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HER2+乳がん脳転移例、T-DXdで高い頭蓋内奏効率(TUXEDO-1)/ESMO BREAST 2022

 活動性の脳転移を有するHER2陽性乳がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)で73.3%と高い頭蓋内奏効率が得られたことが、前向き単群第II相試験(TUXEDO-1試験)で示された。オーストリア・ウイーン医科大学のRupert Bartsch氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2022、2022年5月3~5日)で報告した。 HER2CLIMB試験では、活動性の脳転移を有するHER2陽性乳がんへのトラスツズマブ+カペシタビン+tucatinibの投与で、頭蓋内奏効率が47.3%、無増悪生存期間(PFS)中央値が9.5ヵ月だったことが報告されている。 今回のTUXEDO-1試験の対象は、トラスツズマブまたはペルツズマブの投与歴があり、即時の局所治療の適応がないHER2陽性乳がん患者で、新たに診断された脳転移(未治療)または局所治療後に進行した脳転移を有する15例。T-DXd 5.4mg/kgを3週ごとに投与した。主要評価項目はResponse Assessment in Neuro-Oncology(RANO)-BM基準で中央判定された頭蓋内奏効率、副次評価項目は頭蓋外奏効率、PFS、全生存期間、安全性、QOLなどであった。Simonの2段階デザインに基づき15例が登録され(第1段階:6例、第2段階:9例)、15例全例でT-DXdが1回以上投与された。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は69歳(範囲:30~76)、ベースラインで神経症状があった患者は40%、脳転移について未治療が40%、局所治療後進行が60%だった。・頭蓋内奏効率は、ITT集団(15例)で73.3%(95%CI:48.1~89.1)、PP集団(脳転移がなかった1例を除外)で78.6%だった。・追跡期間中央値は11ヵ月(範囲:3~17)、PFS中央値は14ヵ月(95%CI:11.0~NR)だった。・クリニカルベネフィット率は、ITT集団で86.7%、PP集団で92.9%だった。・ベースラインで測定可能な頭蓋外病変を有していた8例のうち5例(62.5%)に部分奏効を認めた。・主な非血液学的毒性として、Grade1/2の倦怠感(66.7%)、悪心(46.7%)がみられた。Grade3の左室駆出率低下が1例、Grade2の間質性肺疾患が1例にみられた。・治療期間中、QOLは維持された。 Bartsch氏は「本結果は、中枢神経系に転移のあるHER2+乳がんに全身治療が可能なことを示す一連のエビデンスに追加され、2次性中枢神経系腫瘍における抗体薬物複合体のさらなる研究を支持する」とまとめた。

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StageIAのNSCLC、区域切除が肺葉切除より優れる/Lancet

 Stage IAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、区域切除は肺葉切除と比べて5年全生存(OS)について優越性が示され、事前に規定した全サブグループでも、区域切除の同優越性が一貫して認められた。聖マリアンナ医科大学呼吸器外科主任教授の佐治 久氏らが、日本国内70ヵ所の医療機関を通じて行った「JCOG0802/WJOG4607L試験」の結果を報告した。著者は、「本試験は、われわれの知る限りでは、肺野型NSCLCの全生存について、区域切除と肺葉切除のベネフィットを比較検討した初の試験で、結果は、区域切除を肺野型NSCLC患者の標準外科治療とすべきことを示唆するものであった」と述べている。Lancet誌2022年4月23日号掲載の報告。日本国内70ヵ所の医療機関で無作為化試験 第III相の非盲検無作為化対照非劣性試験「JCOG0802/WJOG4607L試験」は、日本国内70ヵ所の医療機関を通じて行われ、臨床Stage IAのNSCLC(腫瘍径≦2cm、C/T比>0.5)の患者を無作為に2群に分け、一方には肺葉切除を、もう一方には区域切除を行った。無作為化は最小化法で、試験センター、組織型、性別、年齢、薄切CT所見のバランスを考慮した。治療割付について、被験者と試験担当者へのマスキングは行われなかった。 主要エンドポイントはOS(全無作為化患者を対象に解析)、副次エンドポイントは術後呼吸機能(6ヵ月、12ヵ月)、無再発生存、局所再発の割合、有害事象、区域切除完了の割合、入院期間、胸腔チューブ留置期間、手術期間、失血量、自動外科用ステープル使用数だった。 OSはITT解析を行い、非劣性マージンはハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限値1.54に設定し、層別化Cox回帰モデルを用いて算出し検証した。5年OS率、区域切除群94%、肺葉切除群91% 2009年8月10日~2014年10月21日に、被験者数1,106例(ITT集団)が登録され、肺葉切除群は554例、区域切除群は552例だった。両群患者のベースラインの臨床病理はバランスがとれていた。なお、区域切除群のうち、22例が肺葉切除に切り替えられ、1例が拡大区域切除を受けた。 追跡期間中央値7.3年(範囲:0.0~10.9)で、5年OS率は区域切除群が94.3%(95%CI:92.1~96.0)、肺葉切除群は91.1%(88.4~93.2)で、区域切除群の非劣性と優越性が確認された(HR:0.663、95%CI:0.474~0.927、非劣性片側p<0.0001、優越性p=0.0082)。事前に規定した全サブグループで、区域切除術群で全生存率がより良好だった。また、区域切除群のすべての事前規定サブグループで、OSの改善が一貫して観察された。 術後1年の呼吸機能をみたFEV1の減少率中央値は、区域切除群12.0%、肺葉切除群8.5%で有意差がみられたが(群間差:3.5%、p<0.0001)、事前に設定した閾値(10%)には達しなかった。5年無再発生存率は、区域切除群88.0%(95%CI:85.0~90.4)、肺葉切除群87.9%(84.8~90.3)で同等だった(HR:0.998、95%CI:0.753~1.323、p=0.9889)。局所再発率は、区域切除群10.5%、肺葉切除群5.4%と区域切除群で有意に高率だった(p=0.0018)。 区域切除群27/58例(47%)、肺葉切除群52/83例(63%)が、それぞれ術後に他の疾患で死亡した。30日または90日死亡率は観察されていない。 1つ以上のGrade2以上の術後合併症発生率は、区域切除群148例(27%)、肺葉切除群142例(26%)で同程度だった。

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新生児気管挿管、経鼻高流量酸素療法併用で成功率改善/NEJM

 新生児集中治療室(NICU)で気管挿管を行う際、手技実施中に経鼻高流量酸素療法を実施することで、新生児の生理学的不安定性を伴わない初回成功率は、3割強から5割に改善したことが示された。必要治療数(NTT)は6だった。オーストラリア・Royal Women's HospitalのKate A. Hodgson氏らが、新生児202例を対象に行った試験の結果を報告した。これまでに、全身麻酔下の小児や成人では、同処置が酸素飽和低下までの時間を延長することは知られていた。一方で、新生児気管挿管は、複数回施行されることが多く、酸素飽和度が低下する頻度が高く、研究グループは、新生児においても経鼻高流量酸素療法の併用で挿管の初回施行での成功率が改善するかを検討した。NEJM誌2022年4月28日号掲載の報告。末梢血酸素飽和度20%超低下・心拍数100回未満/分のない成功率を比較 研究グループは、オーストラリア2ヵ所の3次医療機関NICUで、経口気管挿管を行う新生児を対象に、手技中に経鼻高流量酸素療法を行う方法(高流量群)と経鼻高流量酸素療法、酸素投与のいずれも実施しない方法(標準療法群)を比較する無作為化比較試験を行った。 被験児を、試験センター、挿管前投薬の有無、最終月経後週齢(28週以下または28週超)で層別化し、高流量群または標準療法群に割り付けた。 主要アウトカムは、新生児の生理学的不安定性(末梢血酸素飽和度の挿管前ベースライン値から絶対値で20%超の低下、または心拍数100回未満/分の徐脈と定義)を伴わない、挿管初回試行での成功とした。生理学的不安定性の有無を問わない初回成功率、高流量群69%、標準療法群54% 主要ITT解析の対象は、202例に対する251件の挿管で、うち高流量群124件、標準療法群127件だった。被験児の挿管時最終月経後週齢中央値は27.9週、体重中央値は920gだった。 生理学的不安定性を伴わない挿管初回試行での成功は、標準療法群では127件中40件(31.5%)だったのに対し、高流量群では124件中62件(50.0%)と、より高率だった(補正後リスク差:17.6ポイント、95%信頼区間[CI]:6.0~29.2)。新生児1例が利益を得るための治療必要数は、6(95%CI:4~17)だった。 生理学的安定性の有無を問わない挿管初回試行での成功率は、標準療法群が54.3%だったのに対し、高流量群は68.5%と高率だった(補正後リスク差:15.8ポイント、95%CI:4.3~27.3)。

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経口カルバペネム系抗菌薬テビペネム 重症尿路感染症でも有効(解説:宮嶋哲氏)

 多剤耐性グラム陰性桿菌に効果的な経口抗菌薬が必要とされているなか、テビペネムピボキシルハイドロブロミドは、βラクタマーゼ産生のフルオロキノロン耐性株など尿路病原性エンテロバクターに対して抗菌力を発揮する経口カルバペネム系抗菌薬である。 本研究は、テビペネム経口薬の非劣性に関する、欧米アフリカ諸国95ヵ所における国際多施設無作為化二重盲検比較の第III相試験である。試験デザインは、急性腎盂腎炎と複雑性尿路感染症を含む重症尿路感染症患者を対象に、テビペネム経口投与群(8時間ごと600mg投与)とertapenem静注投与群(24時間ごと1g投与)に1:1でランダムに割り付けている。主要評価項目はITT populationにおける投与19日目での全奏効率(臨床的治癒と良好な微生物学的奏効)、非劣性マージンは12.5%としている。 本研究に登録された成人1,372症例のうち、868症例が微生物学的なITT populationであった。ertapenem静注投与群の全奏効率61.6%に対して、テビペネム経口投与群の全奏効率は58.8%であった。臨床的治癒は、テビペネム経口投与群93.1%:ertapenem静注投与群93.6%であった。微生物学的奏効不良な症例のほとんどは再発性細菌尿を呈する無症候性患者であった。副作用に関しては、テビペネム経口投与群25.7%:ertapenem静注投与群25.6%であり、そのほとんどは軽度の下痢と頭痛であった。以上から、比較的重篤な急性腎盂腎炎と複雑性尿路感染症を伴う症例において、テビペネム経口薬は従来のカルバペネム静注薬に対して非劣性な抗菌力と同等な安全性を示した。 テビペネムピボキシルハイドロブロミドは、わが国で開発され2009年に製造販売承認を取得した経口カルバペネム系抗菌薬である。感染症治療上問題となっている多剤耐性菌に対して抗菌力を呈し、とりわけ経口薬による治療困難であった小児気道感染症例における有効性が示されてきた。本検討では尿路感染症でも有効性が示され、その臨床応用が期待されるが、薬剤耐性の観点から標準治療では効果が期待しえない症例に限定して使用することが望ましいと考える。

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早くも議論されるリフィル処方箋の次なる展開【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第88回

調剤報酬改定から1ヵ月が経ちました。大きな変更の1つとしてリフィル処方箋の導入がありましたが、皆さんの薬局ではもう受け取られましたか?日本チェーンドラッグストア協会は4月15日の定例会見で、(中略)池野会長は、4月からスタートしたリフィル処方についても言及。ウエルシアHDでは「思ったより多い」との印象を語った。同社では、開始2週間で約600枚あまりのリフィル処方箋を応需。全処方の0.08%程度を占めるまでに伸長していることを明らかにした。(2022年4月18日付 RISFAX)全処方箋の0.08%ということは、1,000枚に1枚弱の割合です。この記事の中で「思ったより多い」というコメントがありますが、私も医師会や一部の保険医協会の反対があるわりには「意外と多い」という印象を受けています。まだ様子見の医師も当然多く、リフィル処方箋を扱ったことがない薬局も少なくないかもしれませんが、早くも「次の展開」が検討されています。2022年4月13日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会において、リフィル処方箋について以下のような資料が提示され、議論がなされています。日本は世界有数の受診回数の一方で長期にわたり処方内容に変更がない処方(長期Do処方)が多いその診療密度が薄く頻繁な外来受診が患者負担および利便性を損なわせている新型コロナ禍により、リフィル処方箋導入のニーズは高まってきた医療の質を担保しながら、国民負担の軽減ができるリフィル処方箋の導入により医師から薬剤師へのタスクシフトが行われ、処方の見直し、重複投与や残薬の解消にもつながる可能性がある今後、フォローアップをしながら、周知・広報を図り、積極的な取り組みを行う保険者を各種インセンティブ措置により評価していくべきである今後、どういった処方内容でリフィル処方箋が発行されているのかを明らかにするとともに、「リフィル可」欄に打ち消し線を入れるなどのリフィル処方に対応しない方針を打ち出している医療機関を精査してフォローアップする旨が書かれています。この積極的な感じだと、次の報酬改定でさらなるインセンティブが付く可能性がありそうです。リフィル処方箋はまだレアケースですが、これからどんどん増えていくのではないかと思います。リフィル処方箋をまだ受けていないという薬剤師は、初めての受付でバタバタしないように、また処方元の医師にスムーズにフィードバックできるようにルールを見直しておきましょう。そして、意外と盲点なのがリフィル処方箋の紛失。なくさないように患者さんに注意を促す必要があります。お薬手帳に挟んだり医療証と一緒にしておいたりするなど、具体的な提案をしてみてはいかがでしょうか。参考1)令和4年4月13日開催財政制度等審議会財政制度分科会資料

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免疫チェックポイント阻害薬、放射線治療の心毒性、どう回避する?【見落とさない!がんの心毒性】第11回

がん治療は大きく進歩しており、がんの生物学的特性が明らかになるにつれ、疾患の臓器特性を超えた臓器横断的治療が開発され承認されるようになりました。今回は前回の予告通り、臓器横断的治療における心毒性についてのアンケート結果をお示しいたします。ここでは、免疫チェックポイント阻害薬と放射線療法に焦点を当てます。さらに、がんゲノム医療の進歩により遺伝子変異の解析が進み、それに伴い開発されたTRK阻害薬(NTRK(neurotrophic receptor tyrosine kinase)融合遺伝子陽性固形がんに投与される)による心毒性や、同じ薬剤でも投与される臓器別に異なる副作用が発生するなど新たな問題が出現しているようです。これからのがん治療は、ゲノム関連も含めた病院全体を巻き込んだ臓器横断的な診療科の協力が必要となっています。免疫チェックポイント阻害薬における心毒性第9回、第10回でお届けしてきた読者アンケートからも見えてきたのは、多くの読者においてやはり免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による心毒性の影響に関心があることでした。このICIに関する点については第5回「免疫チェックポイント阻害薬:“予後に影響大”の心筋炎を防ぐには?」(塩山 渉氏、筆者)で解説しました。ICIは臓器横断的に発症する悪性腫瘍に適応が拡大することで、がん治療に大きな変化をもたらしました。その一方で、全身に及ぶ免疫関連副作用(irAE)が大きな問題となっています。irAEに対応するためには、腫瘍科医のみならず、免疫専門医、内分泌内科医、神経内科医、循環器科医、さらには呼吸器内科医や皮膚科医など幅広い医療スタッフの参加が必要です。irAE症例によっては救急治療医の参加も必要ですね!がん免疫療法において、ICI療法の中心は血管新生阻害薬や放射線療法を併用する複合免疫療法へ移行しており、心毒性においてirAEに併用療法による副作用が加わりその管理がより複雑化しています。しかし複合免疫療法は、がん免疫における血管新生阻害因子の作用が解明したことから生み出されており、血管・がん・免疫に共通点があるところなどは腫瘍循環器医として非常に興味深く感じています。放射線関連心血管合併症(RACD:Radiation Associated Cardiovascular diseases)第7回では「進化する放射性治療に取り残されてる?new RTの心毒性対策とは」(志賀 太郎氏)について解説しました。免疫療法と同様に臓器横断的に用いられる放射線治療は、その有効性から使用頻度が急速に増加している反面、やはりRACDが大きな問題となりつつあります。とくに遅発性に出現することから、その病態や対応に関して多くの腫瘍科医や循環器科医に十分理解されているとは言えない病態でした。このような背景の元で2021年9月に開催された第4回日本腫瘍循環器学会学術集会で、このRACDに関するシンポジウムが日本心血管インターベンション治療学会との共催で開催され、とても好評でした。今後は、放射線治療医の先生方が主体となり日本放射線腫瘍学会でも日本腫瘍循環器学会との共催プログラムの開催が決定しています。課題としては、放射線治療後晩期障害に対するフォローアップ診療の構築が成されていない点でしょうか。学会間交流をきっかけに異業種間連携の拡がりを期待し、将来的には連携網の発達により実地医家への連携発展を期待します。また、実地医家の方との連携が深まる事で、放射線治療後晩期障害のすくい上げに繋がる「放射線治療後の遠隔期・長期的フォローアップ」の仕組み作りに結び付く事を期待します。循環器医(心血管インターベンション専門医)における放射線障害と放射線治療医の放射線障害の概念は微妙に異なっていたようです。さらに、がん治療において放射線療法は腫瘍科医ではなく放射線治療医が行うことから、両者の間にも微妙な隙間があったかもしれません。その一方で、小児・AYA世代がんサバイバーにおける放射線化学療法による晩期合併症は、心毒性のみならず内分泌毒性、神経毒性、そして二次発生がんなど多くの問題点を有しています。今後は、腫瘍循環器医は急性期・慢性期そして晩期心毒性などを通じて腫瘍科医、放射線治療科、そして小児科の間をつなぐ役割を果たすことが期待されています。今回のアンケート結果(前編、中編含む)でご紹介した内容以外にもたくさんのご意見をいただき誠にありがとうございました。紙面の関係から一部のご紹介となりました。がんと循環器における関係は、2017年の日本腫瘍循環器学会設立を機に、国や学会レベルでも学際領域の連携が進み、基礎・臨床・疫学研究への支援が加速しています。今回の企画により、今まで触れることのなかった多くの皆さまにおかれましてOnco-Cardiology(腫瘍循環器学)が身近なものになりましたら幸いです。第二部では、症例編として症例クイズ形式にて臨床で難渋した例など興味ある事柄について解説していく予定です。臨床の現場で毎日がん診療を行っている私どもにとって、総論だけでは語りつくせないたくさんの事柄やさまざまな問題点がございます。そして、同じく第一線で診療をなさっておられる読者の皆さまはさらに多くの疑問をお持ちなのではないでしょうか。読者の皆さまの声、リクエストは以下よりお待ちしております。講師紹介

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英語で「~をお勧めします」は?【1分★医療英語】第27回

第27回 英語で「~をお勧めします」は?I’d like to lose weight.(体重を減らしたいと思っています)It’s advisable to take regular exercise.(規則的に運動することをお勧めします)《例文1》It’s recommended to go to bed at the same time every night.(毎晩同じ時間に就寝することが推奨されています)《例文2》It’s advisable to quit smoking.(禁煙することが望ましいです)《解説》治療方針や生活指導をするに当たり、何かを提案したり、医学的に推奨されていることを説明したりする場合には、「〜することが良いとされている」「何かをしたほうがいい」という意味の“It’s advisable to do〜”または“I recommend you to do〜”や“It’s recommended to do〜”がよく使われます。「すべき」と言いたいときにまず出てくる“should”や“had better”の場合、かなりきつい言い方に聞こえてしまうので、禁忌事項の説明など、使う場面を限定したほうがよいでしょう。たとえば、“You should avoid binge drinking.”(アルコールの過量摂取は避けるべきです)のように使います。また、“suggest”(提案する)を用いる場合には、“I suggest that you stop smoking.”のようにthat節をとり、“suggest to do〜”という構文はとらないのでこちらも気を付けてください。少し違った言い方では、“It would be great if you do〜”(〜できれば素晴らしいですね)、“The best thing to do is〜”(一番いい方法は〜することです)といった言い方で、何かを提案することもできます。“It would be great if you could cut down on your sugar consumption.”(砂糖の摂取量を控えられるといいですね)といった具合です。患者さんとのやりとりの中で、「こうしたほうがいい」「これは避けたほうがいい」という提案をする場面は多いと思いますので、定型表現として覚えておくと便利ですよ!講師紹介

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第111回 肺マクロファージのNLRP3インフラマソーム絡みの自滅が重症COVID-19に寄与

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の重症化や死に寄与すると思しき肺マクロファージ絡みの度を越した免疫反応がエール大学の研究者を主とするチームによって同定されて天下のNature誌に掲載されました1,2)。SARS-CoV-2の肺感染は悪くするとサイトカインストームとして知られる厄介な過剰免疫反応を引き起こします。エール大学の研究者等はヒトの免疫系を備えるマウスを使ってSARS-CoV-2感染の肺での成り行きを調べました。驚いたことに肺の内面を覆う上皮細胞のみならず免疫細胞にもSARS-CoV-2のRNAが上皮細胞に比肩する量存在していました。とくに肺マクロファージのSARS-CoV-2感染の印は感染の間絶えず強く認められ、SARS-CoV-2がマクロファージに侵入して増えることがやがてマウスに肺炎を招きうると分かりました。CD16とACE2受容体を介したSARS-CoV-2感染に応じてマクロファージは細胞の苦境や感染を認識しうるタンパク質複合体・インフラマソーム3)を活性化し、サイトカイン・IL-1とIL-18を放ち、細胞死の一種ピロトーシスによって自爆します。その自爆は感染を拡大させないための一種の防衛手段ですが、放出されるサイトカインが血液から肺に炎症誘発細胞を招き入れ、それが仇となって肺は過剰な炎症状態に陥ります。そのようなインフラマソーム活性化が肺の炎症の引き金であることは主に4種類あるインフラマソームの一つ・NLRP3インフラマソーム経路の阻害でマウスの肺炎を解消できたことで裏付けられました。NLRP3経路阻害はSARS-CoV-2感染マクロファージを減らしはしないもののその炎症状態を解き、炎症性サイトカインやケモカインを減らして肺炎を解消しました。NLRP3経路は感染マクロファージのいわば自爆装置です。その阻害の副産物として感染マクロファージはもはや死ねなくなり、そしてなんとウイルスをより放出するようになります。よってNLRP3経路阻害によるCOVID-19肺炎治療ではウイルスそのものを狙う抗ウイルス薬の併用が必要かもしれません2)。承認済みのNLPR3経路阻害薬はまだありませんが幾つかの開発が進行中です。臨床試験登記簿Clinicaltrials.govによると、COVID-19サイトカインストームに有益かもしれないインドZydus Lifesciences社(元Cadila Healthcare社)のNLRP3インフラマソーム阻害経口薬ZYIL1の第I相試験2つが完了しています4,5)。参考1)Sefik E, et al. Nature. 2022 Apr 28. [Epub ahead of print]2)Immune system culprit in severe COVID cases found / Eurekalert3)Pan P, et al.Nat Commun. 2021 Aug 2;12:4664.4)A Clinical Study to Evaluate the Safety, Tolerability and Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of ZYIL1 Following Oral Administration in Healthy Volunteers. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT047313245)Clinical Study to Evaluate the Safety, Tolerability and Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of ZYIL1 Following Oral Administration in Healthy Volunteers. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04731324

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新型コロナ自宅死亡例は高齢者が多い/アドバイザリーボード

 4月27日に開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで「新型コロナ患者の自宅での死亡事例に関する自治体からの報告について」が公開された。 本報告では、令和4年1月1日~3月31日までの間に自宅で死亡された5態様(例:自宅療養中に死亡、入院調整中などに死亡、死亡後に陽性確認など)の新型コロナウイルス感染症患者について、都道府県を通じ、年齢、基礎疾患、同居の有無、ワクチン接種歴、死亡に至るまでの経過などを調査、集計したもの。【死亡者の概要】対象者:計555人(男性352人、女性203人)1)死亡時の年齢構成:80代(55%)、70代(24%)、60代(10%)2)基礎疾患の有無:あり(64%)、なし(25%)、不明(11%)3)ワクチン接種歴:2回(39%)、不明(38%)、未接種(16%)4)単身・同居などの状況:家族などと同居(46%)、不明(40%)、単身(14%)5)死亡直前の診断時の症状の程度については、軽症・無症状が43.4%、中等症が7.0%、重症が2.2%、不明または死亡後の診断が47.4%6)生前に陽性が判明して自宅療養中に死亡した者は65.8%、死後に陽性が判明した者は34.2%7)発生届の届出日が死亡日よりも前であった事例が36.2%、発生届の届出日が死亡日と同日であった事例が39.8%、発生届の届出日が死亡日以降であった事例が24.0%8)自宅療養の希望ありが20.4%、希望なしが11.5%、不明者および死後に陽性が判明した者が68.1%【具体的な死亡事例について(抜粋)】・陽性が判明したが、本人や家族の意思により自宅療養を希望するケースがあった。・救急搬送の搬入時の検査で陽性が判明するケースがあった。・高齢であることや末期がんであることにより自宅での看取りを希望するケースがあった。・入院調整や宿泊療養の対象となるも、直後に死亡するケースがあった。・本人の意思により医療機関での受診や検査を希望しないケースがあった。 政府は、今後の対応として、保健・医療体制を強化しながら、オミクロン株の特徴を踏まえ、自宅療養者が確実に医療を受けることができる環境整備が重要であり、自宅療養者に対応する医療機関や発熱外来の拡充、重症化リスクのある患者を対象とした経口治療薬や中和抗体薬の迅速な投与体制の確保などの対応を実施していくことで、地域における医療体制の充実に取り組むとしている。【参考:各都道府県の自宅療養への取組事例(抜粋)】(健康観察の重点化)・陽性判明後、当日届出があった患者の携帯電話あてにショートメッセージで夜間などの緊急時連絡先などを知らせるようにした。また、固定電話のみの患者への連絡を優先するようにした。・保健所から電話連絡を取る対象を、重症化リスクの高い対象に重点化するため限定した。1月下旬からは40歳未満で基礎疾患などのない、ワクチン2回接種済みの方以外、2月上旬からは50歳未満で基礎疾患等の無い方以外の方に注力。(外注による休日対応)・自宅療養者と2日間連絡が取れなかった場合、平日のみ消防局職員の協力により自宅を訪問していたが、土日についても、別事業で委託している業者に訪問の協力を依頼することとし、毎日訪問できる体制に改めた。(看取りの対応)・コロナに感染する前から基礎疾患のため終末期で、家族が自宅での看取りを希望した場合には、在宅医、訪問介護と連携し、自宅看取りの対応を行った。

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冠動脈疾患疑い患者への検査、CT vs.侵襲的冠動脈造影/NEJM

 侵襲的冠動脈造影(ICA)のために紹介された、安定胸痛を有する閉塞性冠動脈疾患(CAD)の検査前確率が中程度の患者において、初期画像診断に用いるCTはICAと比較して、有害心血管イベントのリスクは同等であり、手技関連合併症の発生頻度は低いことが示された。ハンガリー・Semmelweis大学のPal Maurovich-Horvat氏らDISCHARGE試験グループが報告した。閉塞性CADの診断では、CTはICAに代わる正確で非侵襲的な検査法であるが、ICAと比較したCTの有効性、すなわち主要有害心血管イベントの発生頻度低下についてはこれまで検討されていなかった。NEJM誌2022年4月28日号掲載の報告。CT群とICA群に無作為化、主要有害心血管イベントの発生を評価者盲検下で評価 DISCHARGE試験は欧州16ヵ国26施設で実施された医師主導、評価者盲検、実用的、無作為優越性試験である。研究グループは、参加施設のいずれかにICAのために紹介された、閉塞性CADの検査前確率が中程度(10~60%)で安定胸痛を有する30歳以上の患者を、CT群とICA群に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。 主要評価項目は、主要有害心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)、主な副次評価項目は手技関連合併症および狭心症であった。 2015年10月3日~2019年4月12日の間に計3,667例が無作為化され、検査を受けた3,561例が修正intention-to-treat解析対象集団となった。主要有害心血管イベントのリスクは同等、手技関連合併症はCTが少ない 追跡期間中央値3.5年(四分位範囲:2.9~4.2)において、3,561例(うち56.2%が女性)中3,523例(98.9%)が追跡調査を完了した。 主要有害心血管イベントは、CT群で1,808例中38例(2.1%)、ICA群で1,753例中52例(3.0%)に発生した(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.46~1.07、p=0.10)。 手技関連合併症はそれぞれ9例(0.5%)、33例(1.9%)に認められた(HR:0.26、95%CI:0.13~0.55)。また、追跡期間の最終4週間に、CT群で8.8%、ICA群で7.5%に狭心症が報告された(オッズ比:1.17、95%CI:0.92~1.48)。

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コロナワクチン接種率10%上がるごとに死亡率8%・発生率7%減/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種率が高いほど、集団レベルのCOVID-19による死亡率および発生率は低いことが、米国疾病予防管理センター(CDC)のAmitabh Bipin Suthar氏らによる観察研究の結果、示された。2022年4月11日現在、米国ではCOVID-19発症が約8,026万例、COVID-19関連死が98万3,237例報告されており、国内の死者数が1918年のスペイン風邪を上回る近年史上最悪のパンデミックとなった。COVID-19のワクチン接種が個人レベルの発症および重症化予防に有効であることは認められているが、ワクチン接種の拡大が公衆衛生に与える影響はまだほとんど明らかにされていなかった。BMJ誌2022年4月27日号掲載の報告。米国48州2,558郡のデータを解析 研究グループは、米国における集団レベルのCOVID-19による死亡率および発生率に対するワクチン接種拡大の影響を評価する目的で、2020年12月14日~2021年12月18日に報告された米国の郡レベルの症例サーベイランスデータおよびワクチン接種データを解析した。米国48州2,558郡のデータを解析対象とした。 主要評価項目は各郡の週ごとのCOVID-19死亡率(死亡数/人口10万人/郡週)、副次評価項目はCOVID-19発生率(症例数/人口10万人/郡週)である。ワクチン接種率別の比較には発生率比を用い、郡のワクチン接種率(18歳以上の成人がCOVID-19ワクチンを1回以上接種と定義)が10%改善した場合の影響を推定した。 また、新型コロナウイルスのアルファ株およびデルタ株が優勢な時期におけるワクチン接種率の影響を、接種率が「非常に低い」(0~9%)、「低い」(10~39%)、「中程度」(40~69%)および「高い」(70%以上)に分け比較検討した。ワクチン接種率が10%上昇するごとに、死亡率が8%、発生率が7%低下 合計13万2,791郡週において、COVID-19発症が3,064万3,878例、COVID-19関連死が43万9,682例観察された。ワクチン接種率が10%上昇するごとに、死亡率が8%(95%信頼区間:8~9)、発生率が7%(6~8)低下することが認められた。 アルファ株が優勢な時期では、7万189郡週においてCOVID-19発症が1,549万3,299例、COVID-19関連死が26万3,873例観察された。 また、デルタ株が優勢な時期では、6万2,602郡週においてCOVID-19発症が1,515万579例、COVID-19関連死が17万5,809例観察された。いずれの時期も、ワクチン接種率の高さが、死亡率および発生率の低下と関連していた。

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親のスマートフォン依存症が子供に及ぼす影響

 青少年のスマートフォン依存症(ASA)による健康への悪影響に関する懸念は、世界的な問題となっている。中国・蘭州大学のJian Gong氏らは、親のスマートフォン依存症(PSA)がASAに及ぼす影響を調査し、これらの関連に親子関係や親の養育がどのような役割を果たすかについて評価を行った。その結果、親の過度なスマートフォン使用は子供がASAになる傾向を高め、PSAとASAの関連には親子関係や親の養育が重要な役割を果たすことが示唆された。Journal of Affective Disorders誌2022年6月15日号の報告。 10~15歳の学生およびその保護者を対象に、大規模横断調査を実施した。ASAとPSAの評価にはMobile Phone Addiction Index(MPAI)を用いた。親子関係はChild-Parent Relationship Scale-Short Form(CPRS-SF)、親の養育はParental Bonding Instrument(PBI)を用いて評価した。PSAとASAの関連および親子関係の媒介効果、親の養育の調整効果を調査するため、条件付きプロセスモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・合計9,515人の青少年およびその両親が、オンライン調査を完了した。・PSAは、ASAの有意な予測因子であることが認められた(B=0.488、p<0.001)。・親子関係には、PSAとASAの関連に対するネガティブな媒介効果が認められた(B=-0.321、p<0.001)。・親の過保護は、親子関係を介してPSAからASAへの間接的な影響を調整したが(B=-0.016、p<0.001)、親のケアによる調整効果は認められなかった(B=-0.005、p>0.05)。・過保護は、後期の媒介効果に対しポジティブな調整効果をもたらした。・親子関係を介したASAに対するPSAの間接的な影響は、過保護のレベルが低い場合と比較し、高い場合のほうが大きかった。・本研究の限界として、自己記入式質問票を用いた横断研究である点が挙げられる。

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神経機能障害を伴う治療抵抗性片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療

 既存する片頭痛予防の2~4の薬剤クラスが奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者を対象とした、ランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験の第IIIb相試験「FOCUS試験」において、カルシトニン遺伝子関連ペプチドを標的とするヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの安全性および有効性は明らかとなっている。今回、オーストリア・ Konventhospital Barmherzige Bruder LinzのChristian Lampl氏らは、FOCUS試験の事後分析として、前兆または同様の神経症状の有無により、フレマネズマブの有効性やQOLに対する影響に違いがあるかを検討した。その結果、フレマネズマブは、関連する神経機能症状を伴う片頭痛患者や既存の片頭痛治療薬2~4の薬剤クラスで効果不十分であった患者に対し、神経症状を呈する日数を減少させ、片頭痛を効果的に予防し、QOLを改善することが示唆された。European Journal of Neurology誌オンライン版2022年3月18日号の報告。 FOCUS試験では、既存する片頭痛予防の2~4の薬剤クラスが奏効しなかった慢性片頭痛または反復性片頭痛患者838例を、フレマネズマブを四半期ごとに投与する群、フレマネズマブを月1回投与する群、プラセボ群に1:1:1でランダムに割り付け、12週間の二重盲検治療を実施した。本事後分析は、症状に関する質問への患者の反応に基づき、ベースライン時における関連する神経機能障害の有無別に行われた。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に神経機能障害を有する片頭痛患者では、フレマネズマブ群はプラセボ群と比較し、1ヵ月当たりの神経症状を呈する平均日数の有意な減少が認められた。 ●フレマネズマブ四半期ごと投与群:-1.7日、プラセボ群:-0.5日(p≦0.01) ●フレマネズマブ月1回投与群:-1.8日、プラセボ群:-0.5日(p≦0.01)・フレマネズマブ投与群はともに、プラセボ群と比較し、ベースライン時の神経機能障害の有無にかかわらず、12週間にわたる1ヵ月当たりの片頭痛日数の有意な減少(p<0.0001)、過去4週間のHeadache Impact Test 6(HIT-6)およびMigraine-Specific Quality of Life(MSQ)スコアの有意な改善が認められた(p<0.05)。

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第99回 長年続く産科「一人医長」、医療事故で新生児死亡/輪島病院

<先週の動き>1.長年続く産科「一人医長」、医療事故で新生児死亡/輪島病院2.原因不明の小児急性肝炎「可能性例」、国内で計7例に/厚労省3.コロナ関連死の推計を初公表、直接死の最大3倍/WHO4.新型コロナワクチン、2.4兆円もの調達費を問題視5.健康保険組合の赤字額2,770億円、今後急速な財政悪化か/健保連6.クレベリンのウイルス除去効果は科学的根拠なし/大幸薬品1.長年続く産科「一人医長」、医療事故で新生児死亡/輪島病院石川県能登北部にある市立輪島病院が、昨年6月に同院産婦人科で新生児が死亡したことを記者会見で明らかにし、院長と市長が謝罪した。輪島市側は全面的に責任を認め、同日に開かれた市議会臨時会で遺族に損害賠償金5,825万円を支払う議案を可決した。病院側によると、入院した妊婦を早産と誤って判断して陣痛促進剤の投与を続けたが、実際は常位胎盤早期剥離を起こしていた。さらに母体および胎児の状態悪化に対して、帝王切開ではなく吸引分娩で対応したところ、新生児は重症新生児仮死状態で生まれた。即時、救命処置と金沢市内の病院へ緊急搬送を行ったが、翌日の早朝、搬送先の病院で亡くなった。なお、母親の容態は回復している。院内の医療事故調査委員会は、妊婦への説明が不十分なまま主治医が時間休を取得し病院を離れたこと、助産師らとの情報共有がされなかったことを主たる要因と結論付けている。再発防止策として、緊急時の体制整備と医療従事者同士の情報共有の徹底を挙げた。現在、輪島、珠洲、穴水、能登の四市町(奥能登)には、分娩に対応できる産科医がこの1人しかいない。院長は会見で「医師に負担がかかっているのは事実」と説明。地域医療の維持についても考えていかねばならないだろう。(参考)輪島市長、院長が謝罪 輪島病院誤診 遺族に賠償5825万円(北国新聞)【石川】医療事故で新生児死亡 市立輪島病院 5825万円を賠償(中日新聞)市立輪島病院における医療事故について(市立輪島病院)2.原因不明の小児急性肝炎「可能性例」、国内で計7例に/厚労省厚生労働省は、英国やアメリカなどで報告が相次いでいる原因不明の小児急性肝炎の疑い例について、国内で新たに16歳以下の入院症例4件が報告されたと発表した。累計での報告数は7例となり、このうち新型コロナウイルスとアデノウイルスのPCR検査でそれぞれ1件ずつ陽性が報告されたが、現時点で確定例はない。こうした症例について、先月から自治体等に対し注意喚起および情報提供依頼を出し、GW前には感染症サーベランスおよび積極的疫学調査についての事務連絡を発出して情報収集に当たっている。なお、アメリカでは昨年10月から109人の患者報告があり、うち5人が死亡。世界保健機関(WHO)は、各国に該当する症例の報告を求めている。(参考)“原因不明” 子どもの急性肝炎 国内で新たに4人が同様の症状(NHK)米CDC、原因不明の小児肝炎を調査 5人死亡(CNN)小児の原因不明の急性肝炎について(厚労省)3.コロナ関連死の推計を初公表、直接死の最大3倍/WHOWHOは、2020年1月~2021年12月の2年間で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連した死者数を約1,490万人とする推計結果を初めて公表した。少なくとも1,330万人、最大で1,660万人が亡くなったとされる。これに対し、各国がWHOに報告したCOVID-19が直接の死因となる人数の総計は同期間で542万人(22年も含めると624万人)であり、間接死も含めると最大3倍となる。なお、超過死亡の84%は東南アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸に集中しており、このうち約68%は世界全体でわずか10ヵ国に集中していた。死亡例は高齢者で多く、また女性よりも男性に多かった(男性57%、女性43%)。(参考)コロナ関連死、20~21年は最大1660万人 WHOが初推計(AFPBB News)新型コロナ死者1490万人 WHOが推計発表、米大学集計の3倍(朝日新聞)14.9 million excess deaths associated with the COVID-19 pandemic in2020 and 2021(WHO)4.新型コロナワクチン、2.4兆円もの調達費を問題視新型コロナウイルス感染対策として、政府がワクチン調達のために2兆4,000億円もの巨額な予算を使ったことについて批判の声が上がっている。先月の財政制度等審議会でも、国内で想定された接種回数を上回る8億8,200万回分のワクチンを購入したことについて指摘されており、岸田総理は「必要な費用だった」と答弁している。ワクチン購入以外にも感染対策として巨額な費用が投じられており、メディアも含め、国民が関心を寄せている。政府はもっと開示を行っていくべきと考える。(参考)不透明なコロナ支出 ワクチンや病床確保に16兆円、さらに膨らむ恐れ(毎日新聞)コロナワクチン調達費2.4兆円 不透明さの背景に「秘密保持契約」(同)岸田首相 ワクチン2兆4000億円かけ購入 “必要な費用だった”(NHK)5.健康保険組合の赤字額2,770億円、今後急速な財政悪化か/健保連大企業の社員らが加入する健康保険組合の赤字が問題となっている。健康保険組合連合会(健保連)が発表した2022年度予算の早期集計結果の概要によると、今年度の収支は2,770億円の赤字と、昨年度の5,028億円の赤字に比べて改善したものの、赤字組合の割合はいまだ7割を占める。健保連によると、収支改善は新型コロナウイルスによる高齢者の受診控えによって、一時的に高齢者の医療費を補うための拠出金が減少したためとし、次年度以降、高齢者拠出金が急増することは必至であり、今後急速な財政悪化が予想される。国民皆医療制度の持続可能性を左右する問題であり、保険料引き上げ以外にも政府が医療費抑制のために対策を打ってくるだろう。(参考)健保組合7割赤字 全体赤字額2770億円 来年度以降急激な悪化か(NHK)大企業の健保、22年度は赤字幅縮小へ コロナで医療費減(日経新聞)令和 4 年度 健康保険組合の予算早期集計結果(概要)について(健保連)6.クレベリンのウイルス除去効果は科学的根拠なし/大幸薬品大幸薬品は、主力製品「クレベリン」の広告内容について、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づいた措置命令に従って、広告内容とパッケージを変更することを明らかにした。同社はこれまで同製品について「空間のウイルス除去・除菌・消臭に使用できる」などと広告に表示していたが、その効果を疑問視する声が寄せられていた。消費者庁は広告内容について、実際の効果よりも著しく優良あるかのよう表示したことは景品表示法に違反するとした。なお、製品の販売は続けられる方針だ。(参考)大幸薬品 「クレベリン」の広告表示 景品表示法違反を認める(NHK)クレベリンの浮遊ウイルス除去効果は「根拠ない」…大幸薬品「深くおわび」「返品は受け付けず」(読売新聞)弊社商品の表示に関するお知らせ(大幸薬品)

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食道扁平上皮がんに対する1次治療における新たな抗PD-L1阻害薬sintilimabの有用性(解説:上村直実氏)

 切除不能進行・再発食道扁平上皮がんに対するファーストライン治療は、シスプラチンを中心とした白金製剤と5-FUないしはパクリタキセルの2剤併用化学療法であったが、最近、1次治療から化学療法に免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-L1阻害薬)を加えたレジメンの有用性が次々と報告され、日常診療における治療方針が急激に変化している。すなわち、最近のランダム化比較試験の結果、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、camrelizumab、toripalimabと化学療法の併用群が化学療法単独群と比較して安全性に差を認めない一方、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に延長することが示されている。今回は、すでに報告されている4剤と同様の試験デザインによって、5番目の抗PD-L1阻害薬であるsintilimabの切除不能食道扁平上皮がんに対する同様の有効性がBMJ誌に報告されている。 わが国の臨床現場でも食道学会ガイドラインに記載されるとともに、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とペムブロリズマブ(同:キイトルーダ)が保険収載され、切除不能食道がんに対する1次治療における有用性が実際の診療において役に立つ体制が整備されつつあると思われる。ただ一方では、これら高価な抗PD-L1阻害薬によるOSの延長期間は3ないしは4ヵ月間であるが、コストパフォーマンスの観点からこの延命期間がコストに適合したものかどうか議論されていることも事実である。 最後に、筆者のコメントでは必ず述べているが、日本における食道がん診療は欧米と異なる保険診療体制の下「がんの早期発見」による死亡率低下に注力しており、内視鏡検査により小さな早期がんを発見し、内視鏡的切除により根治することが可能となっていることを強調したい。

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診療所の売れ行きに直結する「概要書」の大切さ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第39回

第39回 診療所の売れ行きに直結する「概要書」の大切さ漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継において自院(承継案件)を買い手にアピールするうえで、欠かせないのが「概要書」です。概要書とは「インフォメーション・メモランダム」や「インフォメーション・パッケージ」などとも呼ばれ、「自院(承継案件)をアピールするうえで必要な情報を買い手にわかりやすくまとめたプレゼンテーション資料」を指します。【概要書の基本構成】(1)診療所名(2)経営情報―経営者プロフィール―財務情報―患者情報(科目別の構成比など)―物件情報(テナント)(3)診療圏情報―推定の1日当たり外来数―競合医院情報(4)譲渡条件 仲介会社は、まずは概要書で買い手に承継案件を提案し、その後、補足情報として生データを送付する、というのが丁寧な仲介業務です。しかし、概要書作りは手間が掛かるため、生データをそのまま買い手に見せるだけ、といった仲介会社も多いのが実情です。【生データとは】(1)診療所のホームページ(2)確定申告書(3)賃貸借契約書…買い手側が税理士など財務や医院経営に詳しい方であれば、このような生データでも解釈できるでしょうが、買い手の多くは勤務医であり、確定申告書の読み解き方などには不案内であることがほとんどです。大量の生データを見せられても、買う買わないの判断がつかない、というのが実際でしょう。よって、仲介会社は成約率を上げるため、承継案件の情報をわかりやすく、また効果的に魅力的に買い手に伝えることが重要な役割となりますが、日々の業務の忙しさからこれをしない、もしくは概要書は作ったものの、中身が薄くなっていることがあります。仲介会社を選定する際には、各社に概要書の雛形(サンプル)を提示してもらい、仕事の丁寧さを確認してから依頼するのも一手でしょう。

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第49回 リスク比・オッズ比算出の基本となるクロス集計とは?【統計のそこが知りたい!】

第49回 リスク比・オッズ比算出の基本となるクロス集計とは?クロス集計(Crosstabs)は、カテゴリーデータである2つの項目(変数)をクロスして集計表を作成することにより、項目相互の関係を明らかにする解析手法です。たとえば「不整脈症状の有無の割合」、「治療満足率」など明らかにしたい事柄を「目的変数(または結果変数)」と言います。これに対し、どのような属性(性別、年代、居住地域など)の人で満足率が高いか、どのような理由(クリニックの受付の対応、治療についての説明など)で満足率が高いかを明らかにしたいときの「人々の属性」や「理由」を「説明変数(または原因変数)」と言います。クロス集計は、説明変数と目的変数との関係を明らかにする手法であり、原因と結果の関係、すなわち因果関係を解明する手法ともいえます。■2項目の具体例でひも解く2つの質問項目のそれぞれのカテゴリーデータで同時に分類し、表の該当するセル(マス目)に回答人数および回答割合を記入した表のことを、「クロス集計表」と言います。表1のクロス集計表の*印がついたセルを見てください。表1 クロス集計表上段は喫煙で「吸う」と回答した人のうち、不整脈症状が「ある」と回答した人が30名いることを示し、下段は「吸う」と回答した80名のうち、不整脈症状が「ある」と回答した30名の割合(回答割合)である37.5%を示しています。クロス集計表において、表の上側に位置する項目のことを表頭項目(あるいは集計項目)、表の左側に位置する項目を「表側項目(あるいは分類項目)」と言います。また、このようなクロス集計表を作成するとき、「表側項目と表頭項目をクロス集計する」あるいは「表頭項目を表側項目でブレークダウンする」と言います。■クロス集計の種類と見方1)クロス集計表の種類クロス集計表は一番左側の列の回答人数に対する割合を計算しているので、横の割合の合計が100%になります。この表のことを「横%表」と言います。一番上側の行の回答人数に対する割合を計算した表は「縦%表」と言います。通常、クロス集計表は横%表を適用します。縦%を求めたい場合、表側を不整脈症状有無、表頭を喫煙有無と逆転させて横%を算出します。目的によっては割合のみの表を作成することがあり、その場合、%ベースの回答人数を欄外に表記します(表記例:表2欄外)。先のクロス集計表のように回答人数と割合を併記した表を併記表、表2のように割合のみを表記する表を「分離表」と言います。表2 クロス集計表・分離表2)表頭項目、表側項目の決め方クロス集計表を横%表で作成する場合、クロス集計表の表頭は目的変数(結果変数)の項目、表側は説明変数(原因変数)の項目とします。3)クロス集計表の見方横%表は、表頭項目の任意のカテゴリーに着目し、そのカテゴリーの割合を縦に比較します。先のクロス集計表は、不整脈症状有無の「ある」に着目すると、喫煙有無の割合は、「吸う」37.5%、「吸わない」16.4%で、「吸う」は「吸わない」を上回っていると解釈します。4)%ベースのn数%ベースの回答数をn数あるいは「n」と言います。n数が30未満の場合、回答割合のブレが大きくなるので、回答割合は参考値とします。たとえばnが10で、回答数が1変化すると、%が10%も変化しますが、nが30の場合は3.3%の変化だからです(表3)。クロス集計表の見方のポイント集計は横に! 解釈は縦に!■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第11回 リスク比とオッズ比の違いは?「わかる統計教室」第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション1 分割表とリスク比セクション2 よくあるオッズ比の間違った解釈

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事例049 骨粗鬆症治療のプラリア皮下注で査定【斬らレセプト シーズン2】

解説骨粗鬆症の患者に行ったデノスマブ(商品名:プラリア皮下注)60mg(以下「同注射」)が、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて査定となりました。1筒当たりの薬価が高額のためにカルテを確認しました。カルテの前回受診日には、「次回来院予定は、6ヵ月後」と患者に説明したことが記載されていました。今回は、そろそろ6ヵ月となるからと来院された模様です。医師は、「実際には5ヵ月と少しの来院であるが、おおむね6ヵ月となるために注射は可能」と判断して実施されていました。レセプトには、前回と今回の注射施行日が記載されています。その他のコメントは記載がありませんでした。同注射の添付文書には、「骨粗鬆症の患者には60mg1筒を6ヵ月に1回、皮下注射する」と記載されています。審査支払機関では期間制限のある投与に対しては厳密に審査がなされます。このような事例では、計算時やレセプト点検時における対応ができません。大きな金額の査定につながることになります。査定対策として医師には、投与期間に期限のある薬剤に対しては患者に再度の来院を依頼していただき、医学的にやむを得ず期限を外れて必要と判断された場合には、カルテとレセプトにその旨を記載していただくことをお願いしました。

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