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高リスクIgA腎症に対する経口ステロイドの効果と有害事象を勘案した治療法(解説:浦信行氏)

 IgA腎症の治療法として、ステロイド剤はRA系阻害薬と並んで基本的治療法の一つである。一部の例外的報告を除いて腎障害進行抑制効果や尿蛋白低減効果は有意であるが、その治療法にはかなりのバリエーションがあり、0.8~1.0 mg/kg/日程度の高用量、その半量程度の低用量、さらにステロイドパルス療法や隔日投与法などがあるが、高用量以外はいずれも有害事象の発症抑制を意図したものである。 本研究は多施設二重盲検RCTであり、当初高用量群とプラセボ群との比較であったが、実薬群で有害事象が多かったため観察期間の中央値が2.1年で中止となった。この時点で二重盲検が外れたことでデータの解析に多少のバイアスが掛かる結果となった。ただし、低用量による試験再開の結果でも、同様の臨床効果が得られたことから、その臨床的意義は低くはない。加えて有害事象は実薬群でプラセボ群より多かったとはいえ、高用量群の3分の1以下に留まっていることを考慮すれば、結果的に低用量群の優位性も示した結果となった。この結果は今後のステロイドによる治療に大きな示唆を与えるもので、低用量、隔日投与、パルス療法の意義も同方向にある。 この試験には中国人の参加が多いが、サブ解析では治療効果は中国人に比べ、非中国人のほうの効果が有意に大であった。過去にもカナダ在住のアジア人とそれ以外の人種の比較が報告されているが、その効果もアジア人で有意に低値であった(Barbour J, et al. Kidney Int. 2013;84:1017-1024.)とのことで軌を一にする成績であり、その遺伝子レベルでの解析など原因の解明が必要である。 ところで、本研究ではステロイドの効果は治療終了後の追跡期間で減弱していくことも指摘され、病因・病態に直結した免疫抑制療法など、より一層病態に根差した治療法の開発が必要である。

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062)脱マスクから思い起こされたデジャブ【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第62回 脱マスクから思い起こされたデジャブゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆マスク着用基準の緩和が話題となっている今日この頃、テレビの報道番組などでもマスクに関する巷のさまざまな意見を耳にするようになりました。私個人としては、コロナ以外も含めた感染症対策という観点から、院内では今後もマスク着用で過ごすつもりです。私生活はというと、外出の際もなるべく着けるようにしていますが、ランニングなどは外して行うようになりました。蒸れによる息苦しさ、接触部位の痒みから解放され、快適なランニング生活を送っています。それはさておき、脱マスクの話題に戻ります!先日、お昼のワイドショーで、「脱マスクに賛成か反対か」という特集が放送されていました。反対派の意見として、「マスクをしているとかわいく見える(から外したくない)」「マスクを外して出会うと(素顔を覚えられておらず)誰かわからない」などがありました。専門家の見解によれば、『マスクをしていると、隠された部分を脳が補うことで、素顔よりも美しく見える効果が生まれる』のだとか。それを聞いて思い出したのが病院にありがちな、とある現象。――オペ室スタッフは美男美女が多い!?「オペ室のナースはかわいい子が多い!」というのが私の時代の研修医共通の認識でしたが、これもまさかマスク効果が一役買っていた可能性…??実際、女子力が高くて可愛い女子が多かったというのが当時の記憶ですが、「マスクを外したことで、『誰だっけ??』となる」という街の意見には、激しく同意しました! オペ室忘年会で起こりがちなやつ…!(ほとんど行ったことないけど…! 笑)脱マスクの話題で思いがけず、オペ室に出入りしていた頃の記憶がよみがえったのでした。マスクとのお付き合い、世間的には今後どうなっていくのでしょうね。肌トラブルによる皮膚科の受診も増えたので、少しでもマスクでお悩みの方々の肌コンディションが整うとよいな~と願っています。それでは、また~!

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チェーンソーと首吊りによる複合自殺の一例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第211回

チェーンソーと首吊りによる複合自殺の一例pixabayより使用法医学の世界では、自殺や他殺の症例報告がたくさんあります。死因を特定する重要性を啓蒙するためですが、世の中には、自殺に見せかけた他殺であったり、その逆であったりすることがあるため、事実の究明に役立つという側面もあります。さて今日は痛そうなタイトルです…。チェーンソーと首吊りの複合自殺の一例です。え、どういうことでしょうか?Gualco B, et al.An unusual complex suicide involving a chainsaw and a hanging: a case report.J Med Case Rep . 2022 Mar 28;16(1):122.58歳の白人男性が、地下室の天井で首を吊って死んでいるのを妻に発見されました。すでに死後3時間ほどが経過していました。彼は重度のうつ病を罹患し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を定期内服していました。数年前から引きこもりがちになり、いつしか地下室に住むようになったそうです。当初の現場検証では自殺と思われましたが、なぜか首吊り死体の下に多量の血だまりがあったのです。調べてみると、セーターに多量の血液が付着して、腹部に多数の切創があることがわかりました。臍周辺に不規則な広い切開創が広がっており、筋肉・脂肪組織が見えていました。「自殺ではないのかもしれない―――」現場では、そんな思いがよぎったに違いありません。地下室の周辺を調べると、中庭で血痕が付いたチェーンソーが発見されました。チェーンソーの近くには、セーターの切れ端が見つかりました。チェーンソーからは、被害者の指紋のみが検出されました。また、腹部に切り込まれたチェーンソーの角度が不自然であり、自分で傷を付けたとしか考えられないことが判明しました。つまり、チェーンソーで腹部を切ろうとして死にきれず、最終的に首吊り自殺で死を遂げたというのが真実のようです。謎はすべて解けた。さて、チェーンソー自殺については、この連載の第194回で斬首した症例を紹介しました。「キックバック」がとても危ないという話でしたよね。

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第111回 患者に聞かれたら、何をもって新型コロナ収束と答える?

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の全国での新規陽性者報告は、ゴールデン・ウイーク直後にごく一時的に増加局面に入ったものの、今週前半には2万人台前半まで減少してきた。この数字は今年1月7日に新型インフルエンザ等特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置(まん防)」が導入された直後の水準である。背景には2月中旬~3月中旬にかけて新型コロナワクチンの3回目接種が加速し、現在では全人口の約6割が3回接種を完了済みであること、まん防の発出から5月末までに延べ約677万人が感染したという幸と不幸の両面から「集団免疫」を確立した結果と見るのが妥当だろう。そして、最近では日本政府による外国人の入国制限緩和措置や諸外国での同様の措置により、国内外をまたぐ人流も増加しつつある。6月から観光ビザ発給を再開した東京都港区の韓国大使館領事部前には初日の開館前に1,000人を超える申請者が行列を作ったという。そんな最中、周囲からは「これで新型コロナのパンデミックは収束するのか?」とよく聞かれるようになった。正直、これは非常に答えにくい。医療従事者の皆さんは同じ質問にどう答えるのだろうか? 私自身は「今年いっぱいはまだ警戒する必要があるのではないか」と答えるようにしている。理由は極めて単純である。まず、現在の感染状況の鎮静化に一定の効果があっただろうとされるのが新型コロナワクチンの3回目接種である。すでに各種研究で報告されているように、オミクロン株に対するワクチン3回接種直後の発症予防の有効率は60~70%台。そしてこの効果は一部研究では約5ヵ月でほとんどなくなると言われている。さらに高齢者や基礎疾患保有者を対象に始まった4回目の追加接種の有効率は、発症予防で55%、重症化予防で62%との報告があり、当然ながらこの有効率も経時的に減衰していく。これらの報告から推察するに、3回目接種の実施件数のピークが今年3月であったから、その効果がほぼなくなるのは8月くらいだろう。また、4回目接種については、高齢者などの3回目接種のピークが2~3月、4回目接種の適応がそこから5ヵ月以上となるため、4回目接種件数のピークは7~8月ぐらいになるだろう。4回目接種後の抗体価の変化が、2回目や3回目と同様に半年程度で低下すると仮定した場合、そのタイミングは年末年始あたりとなる。このように考えると、今後の判断の山は今秋から年末にかけてだろう。この時点で医療ひっ迫や社会経済状況に大きな影響を与える感染動向にならなければひとまずは収束へ向けた大きな壁を一つ越えたと言える。もっとも最終的な感染の収束、すなわち社会に過度な負荷がなく新型コロナウイルスと共存できる状況と考えると、もう少し先になるだろう。それを決定付けるのは重症化リスクの有無にかかわらず使える汎用治療薬とより効果持続期間の長いワクチンの登場である。あとはこの間に厄介な新規変異株が登場しないことを願うのみである。

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ADHD児の不注意重症度と野菜や果物など食事の質との関係

 注意欠如多動症(ADHD)は、米国の小児においては有病率が8~10%といわれる神経発達障害である。ADHDの症状には不注意や多動性/衝動性が認められるが、反抗挑戦性障害および重篤気分調節症などの情動調節不全(ED)症状も頻発する。ADHDの病因は多因子的と考えられ、その症状の重症度は食事療法と関連しているといわれている。米国・オハイオ州立大学のLisa M. Robinette氏らは、小児コホート研究において、食事の質とADHDおよびED症状との関連を調査した。その結果、ADHDやEDを有する子供では、果物や野菜の摂取が少ないと、より深刻な不注意症状が出現する可能性が示唆された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2022年5月10日号の報告。ADHDと食事の質との有意な関連は認められなかった 多栄養素の補充に関するRCTに登録された、ADHDおよびED症状を有する6~12歳の子供134例を対象に分析を行った。食事の質は、Healthy Eating Index-2015(HEI-2015)を用いて評価した。ADHDおよびEDの症状は、Child and Adolescent Symptom Inventory-5およびStrengths and Difficulties Questionnaireを用いて評価した。必要に応じ共変量で調整した後、関連性を検討するため、線形回帰モデルを用いた。 食事の質とADHDおよびED症状との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・平均HEI総スコアは63.4±8.8であり、ADHDおよびED症状との有意な関連は認められなかった。全体的な食事の質との関連性が認められなかった要因として、ベースライン時の食事の質が比較的良好、ADHDおよびED症状の重症度が軽度、食事摂取量の推定値からの測定誤差、サンプルサイズの小ささが考えられる。・共変量で調整した後、果物の総摂取量(β=-0.158、p=0.037)および野菜の総摂取量(β=-0.118、p=0.004)のHEIコンポーネントスコアに、不注意症状との負の相関が認められた。

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「がんゲノム医療の現状と未来」国際WEBカンファレンス開催/日本乳がん情報ネットワーク

 日本乳がん情報ネットワーク(JCCNB)では2022年6月25日、「Cancer genome medicineの現状と将来展望」と題した国際WEBカンファレンスを開催する。米国臨床腫瘍学会(ASCO)CEOのClifford A. Hudis氏による基調講演のほか、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)のWilliam Gradisher氏による「NCCN ガイドラインの最新情報」などのミニレクチャー、米国・欧州・アジア・オセアニアを繋いだライブでのパネルディスカッションが予定されている。<JCCNB Conference 2022 開催概要>主催:日本乳がん情報ネットワーク(JCCNB)テーマ:Cancer genome medicineの現状と将来展望開催日:2022年6月25日(土)17:00~21:30会議形式:WEB配信(録画・ライブ)参加費:10,000円プログラム:17:00~17:05 「開会」 Dr.中村 清吾(昭和大学臨床ゲノム研究所)17:05~18:00 「基調講演」 Dr. Clifford Hudis(ASCO)18:00~18:05 「Introduction」Dr. Robert Carlson(NCCN)18:05~18:20 「NCCN ガイドラインの最新情報」Dr. William Gradisher(Northwestern University)18:20~18:35 「トリプルネガティブ乳がんにおける最近の話題」Dr. Mellinda Telli(Stanford University School of Medicine)18:35~18:50 「外科医の視点」Dr. Emiel Rutgers(EBC council)18:50~19:05 「腫瘍内科医の視点」Dr. Barbara Pistilli(Gustave Roussy Cancer Center)19:05~19:20 「がん治療における免疫療法の新パラダイム」Dr. Gianpaolo Biancini(Ospedale San Raffaele)19:20~20:00 休憩20:00~21:30 パネルディスカッション(座長:Dr. Clifford Hudis・Dr. 中村清吾)パネルディスカッション参加予定者:Dr. Robert Carlson、Dr. William Gradisher、Dr. Mellinda Telli、Dr. Emiel Rutgers、Dr. Barbara Pistilli、Dr. Gianpaolo Biancini、Dr. Wonshik Han(Seoul National University Hospital)、Dr. Tan Puay Hoon(Singapore General Hospital)、Dr. Bruce Mann(Victorian Comprehensive Cancer Centre) 詳細、ならびに事前参加登録はこちら。

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活性型ビタミンD3、2型DMの発症予防に無効か/BMJ

 活性型ビタミンD3製剤エルデカルシトールは、前糖尿病から2型糖尿病への発症予防効果は認められなかったものの、インスリン分泌が不十分な人に対する有益性を示唆する結果が得られた。産業医科大学病院の河原哲也氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Diabetes Prevention with active Vitamin D study:DPVD試験」の結果を報告した。観察研究では、ビタミンD欠乏がインスリン抵抗性および将来的な糖尿病のリスク増加と関連することが示されている。一方、ビタミンD補充については、2型糖尿病予防を目的とした無作為化比較試験では一貫した結果は認められていないが、先行研究でビタミンD欠乏症を伴う前糖尿病者に対して有益であることが示唆されていた。BMJ誌2022年5月25日号掲載の報告。耐糖能異常からの2型糖尿病発症をエルデカルシトール群vs.プラセボ群で検討 研究グループは、2013年6月1日~2015年8月31日の期間に、国内32施設において30歳以上の耐糖能異常(75g経口ブドウ糖負荷試験で空腹時血糖値<126mg/dLおよび負荷後2時間値が140~199mg/dL、かつ糖化ヘモグロビン[HbA1c]<6.5%)患者1,256例を登録し、エルデカルシトール(0.75μgを1日1回経口投与)群またはプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付け、3年以上投与した。 主要評価項目は、2型糖尿病の発症で、事前に定めた基準(HbA1c≧6.5%、空腹時血糖値≧126mg/dL、負荷2時間後血糖値≧200mg/dL(11.1mmol/L)または随時血糖値≧200mg/dL)のうち少なくとも2つを満たす場合と定義した。 副次評価項目は、耐糖能異常から正常型への移行、およびベースラインの交絡因子(年齢、性別、高血圧の有無、BMI、糖尿病家族歴、HbA1c、空腹時血糖値、2時間血糖値、25(OH)D、HOMA-IR、およびインスリン分泌指数)で補正後の2型糖尿病発症に関するエルデカルシトール群のプラセボ群に対するハザード比(HR)であった。さらに骨密度、骨代謝/糖代謝マーカーについても評価した。2型糖尿病発症率、エルデカルシトール群12.5%、プラセボ群14.2%で有意差なし 1,256例の患者背景は、571例(45.5%)が女性、2型糖尿病家族歴ありが742例(59.1%)、平均年齢61.3歳、ベースラインの血清25(OH)D濃度は平均20.9ng/mL(52.2nmol/L)で、548例(43.6%)は20ng/mL(50nmol/L)未満であった。 追跡期間中央値2.9年において、2型糖尿病発症率はエルデカルシトール群で12.5%(79/630例)、プラセボ群で14.2%(89/626例)であった(HR:0.87、95%信頼区間[CI]:0.67~1.17、p=0.39)。 耐糖能異常から正常型への移行は、エルデカルシトール群で23.0%(145/630例)、プラセボ群で20.1%(126/626例)に認められた(HR:1.15、95%CI:0.93~1.41、p=0.21)。多変量分数多項式Cox回帰分析による交絡因子補正後の2型糖尿病発症に関するHRは0.69(95%CI:0.51~0.95、p=0.020)で、エルデカルシトールは2型糖尿病発症を抑制し、とくに基礎インスリン分泌量が少ない患者において有益であることが示唆された(HR:0.41、95%CI:0.23~0.71、p=0.001)。 また、追跡期間中、エルデカルシトール群ではプラセボ群と比較して、腰椎と大腿骨頸部の骨密度および血清オステオカルシン濃度が有意に上昇した(すべてのp<0.001)。 重篤な有害事象は、両群で有意差は認められなかった。

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コロナ感染率、ワクチン2回接種vs.感染後1回接種/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染歴がある人では、ワクチン接種の有無や感染前後での接種にかかわらず、再感染予防効果は最後の免疫獲得イベントからの経過時間が長くなるほど低下したが、この予防効果は、未感染でワクチンを2回接種し同じ時間が経過した場合での予防効果より高く、感染後のワクチン1回接種は再感染予防効果を増強することが、イスラエル・テクニオン-イスラエル工科大学のYair Goldberg氏らの研究で示された。SARS-CoV-2感染は、再感染に対する自然免疫を獲得することが知られる。最近の研究では、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)による免疫効果の減衰が示されたが、自然免疫ならびに感染後のワクチン接種で得られるハイブリッド免疫の減衰に関しては不明であった。NEJM誌オンライン版2022年5月25日号掲載の報告。570万人以上を対象に、最後の免疫獲得イベントからの経過時間に分けて感染率を比較 研究グループは、イスラエル保健省の全国データベースを用い、B.1.617.2(デルタ)変異株が優勢であった2021年8月1日~9月30日のデータを抽出し、2021年7月1日以前にSARS-CoV-2感染陽性となった16歳以上の人、または研究期間終了の7日前までにBNT162b2ワクチンを2回以上接種した人を対象として、研究期間中の感染について調査した。SARS-CoV-2感染から回復後にBNT162b2ワクチンを2回以上接種した人や、BNT162b2ワクチンを2回以上接種した後にSARS-CoV-2感染から回復した人は解析から除外した。 解析対象を免疫獲得イベント(感染またはワクチン接種)歴によって、(1)ワクチン未接種回復群、(2)2回接種群(未感染で、研究期間終了7日前までに2回目接種を完了)、(3)3回接種群(未感染で、研究期間終了12日前までに3回目接種を完了)、(4)回復後1回接種群(COVID-19から回復後、研究期間終了7日前までに1回目接種)、(5)1回接種後回復群(1回目接種後、研究期間の90日以上前に感染が確認された人)の5つのコホートに分け、さらに各コホートを最後の免疫獲得イベントからの経過時間によってサブコホートに分け、交絡因子を調整したポアソン回帰を用い最後の免疫獲得イベントからの時間の関数として感染率を比較した。 解析対象は、5つのコホート全体で572万4,810人であった。免疫獲得イベントから6~8ヵ月未満での感染率は、回復後1回接種群が最も低い SARS-CoV-2感染者数/10万人日(補正後率)は、3回接種群を除くすべてのコホートで経時的に増加した(3回接種群はサブコホートが1群のみ)。 すなわち、(1)ワクチン未接種回復群では、感染からの期間4~6ヵ月未満の10.5から、1年以上では30.2に増加し、(4)回復後1回接種群では、接種後0~2ヵ月未満の3.7(すべてのサブコホートで最も低値)から、接種後6~8ヵ月未満では11.6に増加した。 一方、(2)2回接種群では、この補正後率は接種後0~2ヵ月未満の21.1から、接種後6~8ヵ月未満では88.9まで増加した。

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慢性腎臓病の啓発活動を共同展開/日本腎臓病協会・バイエル薬品

 2022年6月1日、日本腎臓病協会とバイエル薬品が、慢性腎臓病(CKD)の早期診断および治療介入の啓発活動を通じて、国民の健康寿命延伸に寄与することを目的に、腎臓病対策の普及啓発に関する包括連携協定を締結したことを公表した。 CKDは全世界的に増え続けており、現在、日本には成人の約8人に1人にあたる、約1,330万人のCKD患者がいるといわれている1)。さらに、CKDでは心臓病や脳卒中などの心血管疾患になりやすいことが明らかになっており、CKD治療による心血管疾患予防が大きな課題となっている。 本協定により、医療従事者を対象に、腎臓病および腎臓病対策の重要性の認識を高め、診断・治療の標準的考え方を普及する活動を行うと同時に、医療機関、健診機関、行政や報道機関などに対しても腎臓病および腎臓病対策の重要性に関する啓発活動を行うなど、両機関が連携して腎臓病の克服を目指す。

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謎の病気【Dr. 中島の 新・徒然草】(428)

四百二十八の段 謎の病気雨が続いています。いつの間にか梅雨になったのかもしれません。でも、雨の合間は爽やかな気候なので、6月も悪くないなと思います。さて、今回は診断にてこずった症例を紹介します。その女性は80歳前後。局所というか、陰部に違和感があるということで、総合診療科外来を受診されました。すでに泌尿器科と婦人科をそれぞれ2病院くらいずつ受診し、どちらでも問題はないということでした。もちろん私は局所の専門家ではありません。謎の訴えをされても困る、というのが本音です。でも、とにかくお話を伺うことにしました。朝は調子良いが、夜になると違和感が強くなる。立ったり歩いたりしていると機嫌良くしていられるが、座ったら不快になる。何というか、陰部がむずむずしてくる。頭がおかしくなりそう。そういった深刻な訴えでした。もう皆目見当がつきません。気が付けば初診から半年。低髄液圧症候群だろうか、内服薬の副作用だろうか、うつ病だろうか。あれこれ試行錯誤をしたのですが、効果はほとんどありません。一時的に良くなったと思っても、すぐに元に戻ります。患者さんの眉間の皺は深くなる一方。「助けてください」「何とかならないでしょうか」「もう頭がおかしくなってしまいます」色々言われるのですが、いわゆる不定愁訴でもなさそう。というのも、この患者さん、調子が良いときは年齢以上にしっかりしているからです。そんなある日のこと。女房「陰部むずむず感で発症したパーキンソン病の1例」たまたまiPadを見ていた女房にそう言われたのです。中島「なんじゃそれ。まさしくそのものやんか!」私は驚きました。女房「住友病院から出ているわよ」中島「どうやったらそんな論文が見つかるわけ?」女房「Googleに『陰部』『むずむず』って入力したら4番目くらいに出てくるから」なんとまあ、そんな簡単なことでしたか。その論文によれば「陰部むずむず感」というのは、いわゆる「むずむず脚症候群」の類縁疾患で、治療も同じようにするのだそうです。むずむず脚症候群なら、これまでの人生で何度も治療しました。たいていはプラミペキソール(商品名:ビ・シフロール)であっさり改善します。念のため、大阪医療センターの総診のカンファレンスの参加者たちに尋ねてみました。研修医向けのカンファレンスですが、クリニックとか老健とかフリーランスの医師も出席しています。この先生方には、マンパワー不足の総診外来を非常勤で手伝ってもらっているわけです。すると、出席者から驚くべき答えが次々に……。「むずむず脚症候群というのは手にも起こるんですよ」「腹部でも起こったのを経験したことがあります」「鉄欠乏とかコーヒーの飲みすぎも原因になりますね」皆さん、よくご存じで。というわけで、件の患者さんにプラミペキソールを処方してみました。すっきりと良くならないまでも、今までとは明らかに手応えが違います。とはいえ、患者さん自身は納得がいかないのか、薬を飲んだり飲まなかったり。で、つい先日のこと。久しぶりに顔を見たら、患者さんの眉間の皺がなくなっていました。ずいぶんスッキリした表情になっています。患者「先生、おかげさまで治りました!」中島「それは良かった。でも、何でまた急に治ったりしたのでしょうか?」患者「この前、買い物で梅田を歩き回ってですね、それから調子が良くなったんです」なるほど。病院や施設では、歩くといっても距離は知れています。でも、女性の買い物というのは、途方もない時間をかけて歩き回るわけです。一時的にせよ、むずむず感が引っ込んでも不思議ではありません。中島「また症状が出てきても、外を歩き回ったら治るってことですよね」患者「買い物に行ったらいいのでしょうか、先生」中島「そう。自分が病気をコントロールできれば、ずいぶん気持ちも楽になると思いますよ」患者さん自身のコントロール感というのが大切だと、私は思います。ともあれ、しばらく見守ることとします。調べてみると、プラミペキソールのほかにも効果のある薬が色々あるみたいだし。めでたく決着がついたところで1句むずむずは 歩いて治せ 梅雨なれど

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第111回 「超過死亡数」異常増加の謎と、「緊急事態宣言」規定する憲法改正提言

今年2~3月の対前年比の超過死亡数が異常に増加している。原因はわからない。一方、日本医師会(日医)の横倉 義武名誉会長が共同代表を務める会議体は4月、「緊急事態宣言」を憲法に規定するよう提言した。医療にも関わる2つのトピックについて考えてみたい。コロナ関連死・自殺者除いても1ヵ月約1万人の超過死亡数厚生労働省の人口動態統計によると、2021年の年間死亡数は前年より約6万人多かった。しかし、今年は昨年よりもさらに早いピッチで死者数が増加している。同統計速報によると、今年2月は昨年2月と比べて1万9,490人多い。3月も、昨年3月より1万5,992人多かった。3月といえば、2011年の東日本大震災では12都道府県で計1万8,423人の死者・行方不明者が出たが、今年2月はその大惨事を上回る死者数が出ていた。高齢化で年間2万人ほど亡くなる人が増えているが、2月と3月のたった2ヵ月間で、昨年を3万人以上超える超過死亡数が出ているのは異常事態と言えないだろうか。コロナ禍の影響で自殺者やコロナ関連死が増えているせいだろうか。警察庁の自殺統計によると、今年3月の自殺者は1,952人。厚生労働省によると、コロナ陽性者の死亡者数は4,464人。2つの数字を3月の超過死亡数から引いても、なお9,576人という数字が出てくる。この異常事態の原因は何なのか、医療従事者の方々にも究明していただきたい。「緊急事態宣言」から「緊急事態条項」へ飛躍するリスク国民に評判の悪かった「緊急事態宣言」を憲法に規定しようという動きが、日医の有力者から出ている。岸田 文雄首相は憲法記念日の5月3日、憲法改正派が都内で開いた集会に寄せたビデオメッセージで、9条への自衛隊明記や緊急事態条項新設を盛り込んだ党改憲案に関し、「いずれもきわめて現代的な課題だ。早期の実現が求められる」と述べ、緊急事態条項については「きわめて重要な課題だ。真剣に議論を深めなければならない」と訴えた。これに先立つ4月26日、日医の横倉 義武名誉会長が共同代表を務める会議体「ニューレジリエンスフォーラム」が国会内で会合を開き、感染症の蔓延や大規模災害の際の「緊急事態宣言」を憲法に規定するよう、提言書を各党政調会長らに渡した。これに対し、自民党の高市 早苗政調会長は「憲法に緊急事態条項を設けてさまざまな事態に対応できる形をつくりたい」と述べた。憲法に「緊急事態宣言」を規定しなくても、災害の時は災害対策基本法、警察法、自衛隊法、テロ発生時には国民保護法、事態対処法、内乱・戦争発生時には自衛隊法、国民保護法、感染症が蔓延した時には新型インフルエンザ対策特別処置法、感染症法、検疫法で対処できる。また、「緊急事態条項」に関しては、国会の事前同意が必要ない、基本的人権が制限されるなど、国民が公権力に従わざるを得ない状況になる。日医の重要人物が関わる会議体として、憲法に「緊急事態宣言」の規定を政府に促すにあたり、その点も踏まえた慎重な議論が行われたのだろうか。

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統合失調症患者のクロザピン中止後の臨床アウトカム~システマティックレビュー

 治療抵抗性統合失調症に対するクロザピン治療は、ゴールデンスタンダードである。しかし、クロザピン治療でも約60%の患者は治療反応が得られず、クロザピン治療中止後の臨床アウトカムについては明らかになっていない。東京・大泉病院の三浦 元太郎氏らは、クロザピン治療中止後のアウトカムを明らかにするため、システマティックレビューを実施した。その結果、クロザピン治療中止後に臨床アウトカムは悪化しており、その後の治療として、クロザピン再投与やオランザピン治療が検討されていることを報告した。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2022年5月5日号の報告。 検索キーワードを用いて、MEDLINE、Embaseよりシステマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・27文献より28件の臨床研究が特定され、システマティックレビューに含まれた。・ランダム化比較試験3件において、精神症状の悪化が報告された。・シングルアーム研究10件において、精神症状の悪化と改善の結果に一貫性は認められなかった。・大規模レトロスペクティブコホート研究1件において、クロザピン治療中止後のクロザピン再投与、オランザピン治療、抗精神病薬の多剤併用は、薬物治療を行わなかった場合と比較し、再入院率が低かった。・その他のレトロスペクティブ研究14件では、クロザピン治療中止後の臨床状態悪化が多く認められた。・クロザピン再投与後の臨床アウトカムに関する研究5件のうち4件では、クロザピン再投与を行った患者の半数以上で臨床状態改善が報告されていた。・残りの研究では、クロザピン治療中止後に再投与を行った群は、再投与を行わなかった群よりも、寛解評価スコアが不良であったと報告されていた。・クロザピン治療不応答患者におけるクロザピン治療中止後のアウトカムは不明なままであり、適切に設計された今後の研究が求められる。

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ASCO2022スタート!注目演題を特設サイトでチェック

 6月3日~7日(現地時間)まで、世界最大の腫瘍学会であるASCO2022(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催される。新型コロナ感染拡大の影響でにより、2年間オンラインのみの開催だったが、今年のASCO2022は久しぶりに現地に世界のオンコロジストが集うこととなり、各種カンファレンスや交流会なども多く企画されている。ASCO2022の注目演題を複数のエキスパートが選定 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)では、ASCO2022のスタートにあわせ、数千を超す演題の中から、複数のエキスパートが選定した「注目演題」をピックアップ。ASCO2022期間中にオープンする特設サイトにおいて、「肺がん」「消化器がん」「乳がん」「泌尿器がん」「血液がん」のがん種別に、コメントとともに紹介している。 ASCO2022終了後は、視聴レポートやまとめ記事なども続々アップしていく予定だ。Doctors’Picks ASCO2022特設サイトDoctors’Picks【医師会員限定】

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4回目のコロナワクチン、感染予防の持続期間は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の4回接種は、3回接種と比較して新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染予防とCOVID-19重症化予防の両方の有効性が認められたが、感染予防効果は比較的早期に減弱することが示唆された。イスラエル・Maccabi Healthcare ServicesのSivan Gazit氏らが、後ろ向き診断陰性デザインによる症例対照研究の結果を報告した。BMJ誌2022年5月24日号掲載の報告。約9万7,500例の10週間のデータを解析、4回目接種者vs.マッチング3回接種者 研究グループは、イスラエルの健康保険組織Maccabi Healthcare Services(MHS、250万人が加入)のデータベースを用い、同国でオミクロン株が優勢であった2022年1月10日(初めて4回目接種が行われた日の7日後)から2022年3月13日までのデータを解析した。 解析対象は、SARS-CoV-2感染歴がなく2022年1月3日から4回目接種を受ける資格を有していた(すなわち、3回目接種から4ヵ月以上経過)60歳以上のMHS会員で、追跡期間中に少なくとも1回のPCR検査を受けた9万7,499例であった。COVID-19の既往歴を完全に把握できない可能性のある2020年3月以降にMHSに加入した人は除外された。 主要評価項目は、SARS-CoV-2感染(BNT162b2ワクチン4回目接種後7日以上経過した時点でのPCR検査陽性)、および重症COVID-19(COVID-19関連の入院または死亡)とした。 追跡期間中のPCR検査において、最初の陽性判定(または重症度分析ではCOVID-19に関連した最初の入院または死亡)で症例、陰性判定のみを対照とし、性別、年齢(70歳未満、70歳以上)、居住地、社会経済状態、最初に検査を受けた週、3回目接種月、生活環境(医療介護施設、介護付き住宅、個人宅)の7因子に基づき、1症例に対して最大5例の対照をマッチングさせた。条件付きロジスティック回帰モデルを用い、4回目未接種(3回接種)に対する4回接種の相対的なワクチンの有効率を、接種後の各週で(1-オッズ比)×100(%)として算出した。感染予防効果は3週目が65%でピーク、重症化予防効果は72%以上を維持 解析対象の9万7,499例のうち、追跡期間中に4回目接種を受けたのは2万7,876例、3回接種が6万9,623例であった。 4回目接種後最初の3週間は、3回接種と比較してSARS-CoV-2感染およびCOVID-19重症化の両方に対して有効性が認められたが、感染予防効果は時間とともに低下した。すなわち、SARS-CoV-2感染に対する4回接種の相対的な有効率は、接種後3週目(14~20日)に65.1%(95%信頼区間[CI]:63.0~67.1)でピークに達した後、以降は急速に低下し、接種後10週目(63~69日)には22.0%(95%CI:4.9~36.1)となった。 一方、重症COVID-19に対する4回接種の相対的な有効率は、追跡期間を通じて高率に維持された(接種後7~27日で77.5%、28~48日で72.8%、49~69日で86.5%)。ただし、重症化は比較的まれな事象で、追跡期間中のCOVID-19関連入院・死亡の発生は全体でもわずか572例(0.25%)であった。COVID-19による死亡は106例で、このうち77例は3回接種のみ、23例は3回接種後の最初の3週間に4回目接種を受けていた。

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無症候性高度頸動脈狭窄症、外科的介入なしの脳梗塞発症率は?/JAMA

 外科的介入を受けなかった無症候性高度頸動脈狭窄症患者において、頸動脈病変に関連した同側の急性虚血性脳卒中の推定発生率は5年間で4.7%であることが、米国・カイザーパーマネンテ北カリフォルニア(KPNC)のRobert W. Chang氏らによる後ろ向きコホート研究で示された。近年、医療が進歩しており、また、内科的治療と外科的治療の最新の比較データがないため、無症候性高度頸動脈狭窄症の最適な管理方法は不確かである。著者は、「今回の知見は、無症候性高度頸動脈狭窄症患者に対する外科的治療と内科的治療に関する意思決定に役立つだろう」とまとめている。JAMA誌2022年5月24日号掲載の報告。無症候性で狭窄率70~99%の高度頸動脈狭窄症患者3,737例について調査 研究グループは、KPNC(医療センター/病院21施設、会員450万人以上の統合医療システム)のデータを用い、2008~12年の間に無症候性高度頸動脈狭窄症(Society of Radiologists in Ultrasound Consensus基準、またはNASCET法で70~99%狭窄)と診断された患者で、同側の頸動脈インターベンション(頸動脈内膜切除術または頸動脈ステント留置)歴ならびに過去6ヵ月以内の脳卒中または一過性脳虚血発作既往歴がない成人患者を対象に、2019年12月31日まで追跡した。 主要評価項目は、頸動脈病変に関連した同側の急性虚血性脳卒中(脳梗塞)の発生であった。死亡、KPNC会員脱退または同側の頸動脈インターベンション実施があった時点で打ち切りとした。 2008~12年に頸動脈狭窄症のスクリーニングを受けた9万4,822例のうち、3,737例(平均[±SD]年齢73.8±9.5歳、男性57.4%)、標的動脈4,230本が適格基準を満たした。同側脳梗塞の平均年間発症率は0.9% 3,737例(標的動脈4,230本)のうち、2,314例(標的動脈2,539本)は試験終了時点までにインターベンションを受けていなかった。 平均追跡期間4.1±3.6年において、インターベンション前の同側脳梗塞は129例133件発生し、平均年間発症率は0.9%(95%信頼区間[CI]:0.7~1.2)であった。 Kaplan-Meier法による同側脳梗塞の5年累積発生率は、インターベンションを受けた患者で4.7%(95%CI:3.9~5.7)、受けなかった患者で4.1%(3.3~5.0)であった。 多変量Cox回帰分析では、年齢(10歳増加することに補正後ハザード比[HR]は1.25、95%CI:1.02~1.53、p=0.03)、ベースラインの超高度病変(NASCET法で90~99%狭窄またはPSV≧350cm/s)(補正後HR:1.73、95%CI:1.06~2.84、p=0.03)、非同側脳梗塞の既往(2.81、1.63~4.84、P<0.001)が同側脳梗塞に関連する有意な独立変数として認められた。 また、追跡期間中のスタチンの使用は、脳梗塞のリスク低下と関連していた(補正後HR:0.38、95%CI:0.21~0.72、p=0.003)。

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選択的NK1受容体拮抗型制吐剤、アロカリス点滴静注235mg新発売/大鵬薬品

 大鵬薬品工業は、2022年5月30日に選択的NK1受容体拮抗型制吐剤である「アロカリス点滴静注235mg」の販売を開始した。 本剤は、抗悪性腫瘍剤投与後の悪心、嘔吐の予防を目的に開発された選択的NK1受容体拮抗型制吐剤であり、活性本体であるネツピタントに変換されるリン酸化プロドラッグ製剤(注射剤)である。高度催吐性抗悪性腫瘍剤(シスプラチン)投与患者を対象に、パロノセトロンおよびデキサメタゾン併用下で、本剤とホスアプレピタントの有効性および安全性を比較した第III相試験(CONSOLE)の結果に基づき、2022年3月に製造販売承認を取得している。アロカリス点滴静注235mg製品概要・製品名:アロカリス®点滴静注235mg・一般名:ホスネツピタント塩化物塩酸塩・効能または効果:抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)・用法および用量:他の制吐剤との併用において、通常、成人にはホスネツピタントとして235mgを抗悪性腫瘍剤投与1日目に1回、点滴静注する。・製造販売承認日:2022年3月28日・薬価収載日:2022年5月25日・発売日:2022年5月30日・薬価:11,276円/バイアル・包装:5バイアル・製造販売元:大鵬薬品工業株式会社

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モビコール配合内用剤HD新発売、モビコール配合内用剤LDとの違いは?

 EAファーマ、エーザイ、持田製薬は2022年5月20日、慢性便秘症治療薬「モビコール配合内用剤HD」(以下、モビコールHD)を新発売したことを発表した。 モビコールHDは、慢性便秘症治療薬「モビコール配合内用剤LD」(以下、モビコールLD)の2倍量が1包に包装されている高用量製剤だ。そのためモビコールLDを2包単位で使用する患者にとって、アルミ袋の開封操作の手間や経済的負担の軽減、廃棄物の削減が期待できる。 モビコールLDおよびモビコールHD(両規格あわせて以下、本剤)は、2歳以上の小児、成人で使用可能である。モビコールLDおよびモビコールHDの主成分のポリエチレングリコール(マクロゴール4000)が浸透圧効果により腸管内の水分量を増加させ、その結果、便中水分量が増加することで便が軟化、便容積が増大する。それにより、生理的に大腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発化し、排便が促される。また、モビコールLDおよびモビコールHDは水に溶解して服用するため、適切な硬さの便がみられるまで適宜増減が可能なことも特徴だ。 便秘症は、若年層では女性に多く、高齢者では男女ともに罹患比率が高い疾患である。また小児においてはとくに重症化しやすいといわれている。排便回数の減少に加えて、残便感、硬便などの症状が認められ、慢性化することで多くの患者はQOL(生活の質)の低下に悩まされている。EAファーマ、エーザイ、持田製薬は、既存の慢性便秘症治療薬「グーフィス錠5mg」およびモビコールLDに加え、新規格のモビコールHDを販売することで、多様な病態背景を持つ慢性便秘症に対する治療選択肢を広げ、患者やその家族、医療従事者のニーズの充足とベネフィット向上に貢献していく、としている。モビコール配合内用剤LD モビコール配合内用剤HD 製品概要・製品名:モビコール配合内用剤LD、モビコール配合内用剤HD・成分名:マクロゴール4000、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム・効能・効果:慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)・用法・用量:本剤は、水で溶解して経口投与する。 通常、2歳以上7歳未満の幼児には初回用量としてモビコール配合内用剤LD(以下LD)1包を1日1回経口投与する。以降、症状に応じて適宜増減し、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量としてLD 4包またはモビコール配合内用剤HD(以下HD)2包まで(1回量としてLD 2包またはHD 1包まで)とする。ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量としてLD 1包までとする。 通常、7歳以上12歳未満の小児には初回用量としてLD 2包またはHD 1包を1日1回経口投与する。以降、症状に応じて適宜増減し、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量としてLD 4包またはHD 2包まで(1回量としてLD 2包またはHD 1包まで)とする。ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量としてLD 1包までとする。 通常、成人および12歳以上の小児には初回用量としてLD 2包またはHD 1包を1日1回経口投与する。以降、症状に応じて適宜増減し、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量としてLD 6包またはHD 3包まで(1回量としてLD 4包またはHD 2包まで)とする。ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量としてLD 2包またはHD 1包までとする。 ※増量は2日以上の間隔をあけて行うこと・包装:100包・承認年月日:モビコール配合内用剤LD 2018年9月21日       モビコール配合内用剤HD 2021年1月25日・薬価基準収載日:モビコール配合内用剤LD 2018年11月20日         モビコール配合内用剤HD 2021年11月25日・薬価:モビコール配合内用剤LD 1包 75.30円    モビコール配合内用剤HD 1包 131.60円・発売日:モビコール配合内用剤LD 2018年11月29日     モビコール配合内用剤HD 2022年5月20日・製造販売元:EAファーマ株式会社・EAファーマ株式会社とのプロモーション提携:エーザイ株式会社・販売:持田製薬株式会社

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一つひとつの執刀を必ずモノにする術後ルーチン【誰も教えてくれない手術記録 】第15回

第15回 一つひとつの執刀を必ずモノにする術後ルーチンこんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。前回は初執刀に向けた「術前ルーチン」を紹介しました。そう来たら次は「術後ルーチン」の紹介です。術前と同様に、術後にも通常業務に加えて自身の学習や成長につながることを期待したルーチンが幾つかあります。今回紹介する内容の多くは、初執刀に限らず僕が日常的に行っているものです。(1)手術直後にメモを残す手術が終了した直後、一番頭がフレッシュな状態で、“My手術ノート”にメモを描き残すようにしています。内容は手術中の学びや気付き、上級医からのアドバイス、手術記録に描きたい術野のラフスケッチなど、思い付いたことを何でも盛り込みます。術後は何かと忙しく、気付けば手術が終わって数時間経過し疲れ果ててしまっていることもしばしばです。わざわざノートを持ち込まなくても、手術室にメモ用紙とボールペンさえ置いておけば、手術終了から患者さんの退室までの間に描けてしまうのでおすすめですよ。参考:手術ノートの例(2)極力時間を空けずに手術記録を完成させる通常の業務として手術記録の作成が必要ですが、文章だけでなく手術イラストも添えたいですよね。そしてできれば当日中、遅くとも翌日には完成させたいところ。術前の予習等で作成した手術イラストがあれば、それを転用して時短できますが、予習と実際の手術では内容が異なることが大半で、イラストの加筆修正が必須です。デジタルイラストに慣れていれば、さほど時間をかけずにできると思います。術後カンファレンスでは、執刀医が作成した手術イラストの提示を求められることが多いと思います。執刀で得られた知識や学びをふんだんに盛り込んだ渾身のオペレコを提示し、上級医をうならせてやりましょう!(3)手術ビデオで振り返り(&余裕があればビデオ編集)自分の執刀を手術ビデオで復習することは、手技の向上に必須の取り組みだと思います。映像で手術を冷静に客観的に振り返ることで、執刀中には気付かなかった課題が浮き彫りになるでしょう。なかなかじっくり見返す時間はありませんが、僕の場合は手術記録を描きながら手術ビデオを見ることで多少の時短を試みています。余裕があれば、手術の良い点と悪い点のみを抽出して短いビデオとしてまとめておくと、後日振り返りやすいですよ。なお、手術ビデオはれっきとした個人情報なので、取り扱いには十分注意しましょう。画像を拡大する参考:手術ビデオの編集画面(4)診療情報提供書に手術記録とイラストを添付僕は、紹介医への診療情報提供書にも手術記録とイラストを添付して、手術の詳細を報告するようにしています。信頼して患者さんを預けられると紹介していただいたドクターへの感謝の気持ちと、手術に対する真摯な姿勢を文章とイラストで伝えたいと考えています。実はこのルーチン、僕がこれまで勤務した病院では一般的なことでしたが、意外と習慣化されていない病院も多いと聞いています。地域から信頼される病院・医師を目指すためにも、もっと広まってほしいルーチンです。(5)上級医との反省会手術ビデオやオペレコ作成で、自分の手術を十分に検討し復習できたら、それらを軸に上級医からあらためてフィードバックを受けましょう。時間があるときは手術ビデオを一緒に見返して、冷静な状態で意見を交わすことで新しい課題やアドバイスがもらえるかもしれません。また、オペレコを提出して添削を受けるのも良いでしょう。オペレコ作成はどうしても主観的な考えやイメージが強く反映されてしまいがちです。自身では正しいと思って描いていた解剖構造が、上級医から見ると間違っていることもしばしばです。オペレコを描いて、見せて、修正を受けて、また描き直す。この作業は手術以上に時間がかかることもありますが、1回の手術経験をとことん自身のモノにする方法としては非常に有用だと考えています。まとめ毎日のように手術執刀の機会を与えられ、準備不足で十分に反省する間もないまま次の手術に向かっていく…。そんな時期が僕にもありましたが、得られたのは根拠のない自信とハリボテの知識・テクニックだったような気がします。今の環境は執刀数が少ない分、1例1例と向き合える時間がしっかり取れます。数少ないチャンスを少しでも自身の成長につなげられるよう、術前・術後にやるべきことのルーチン化を徹底するようになりました。ひたすら執刀に追われていた当時とは異なり、1例ごとに確かな成長を感じて、次の手術への目標が明確に持てています。前回に続けて、今回は「初執刀前後のルーチン」について紹介しました。これらはあくまで僕の一例にすぎませんので、皆さん自身が一番成長できると考える、オリジナルの素晴らしいルーチンをつくってみてくださいね!

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T式ひらがな音読支援の理論と実践――ディスレクシアから読みの苦手な子まで

専門家による音読支援の実施手順を段階的・具体的に紹介十数年にわたる検証の結果、効果が科学的に証明されたT式ひらがな音読支援。専門家による音読支援を、小学校教諭、子どもの保護者が活用できるよう実施手順を段階的・具体的に紹介。解読指導に使用する文字カード、訓練の成果を評価する検査法を巻末に収載。「タイポグリセミア現象」などコラム17話。音読指導アプリの活用はQRコードでダウンロード。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    T式ひらがな音読支援の理論と実践――ディスレクシアから読みの苦手な子まで定価3,850円(税込)判型B5判頁数96頁発行2022年5月著者小枝 達也(国立成育医療研究センター)関 あゆみ(北海道大学)

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