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伝統的な子供向けゲームがインターネット依存や社交性スキルに及ぼす影響

 伝統的な子供向けゲームは、小児の身体的、感情的、精神的な健康状態を保護する可能性がある。トルコ・Civril Sehit Hilmi Oz State HospitalのDilek Kacar氏らは、伝統的な子供向けゲームがインターネット依存、社交性スキル、ストレスレベルに及ぼす影響を評価するため、検討を行った。その結果、伝統的な子供向けゲームは、インターネットの使用を減少させ、社交性スキルの向上に寄与する可能性が示唆された。著者らは、小児期は身体的、認知的、心理社会学的な発達にとって重要な時期であり、子供たちの健康状態を保護し促進するため、学校での伝統的な子供向けゲームの実施は利用可能な介入であることを報告した。Archives of Psychiatric Nursing誌2022年10月号の報告。 対照群を用いた試験前後の準実験的研究を実施した。調査の母集団は、トルコの都市部にある2つの中学校の5年生および6年生(日本の小学5年生、6年生に当たる)で構成した。対象は、介入群20人および対照群22人の合計42人の生徒。評価尺度には、家族と子供のインターネット依存症尺度(Family-Child Internet Addiction Scale)、ソーシャルスキル尺度(Social Skills Assessment Scale、Social Skills Scale)、小学生用ストレス反応尺度(Perceived Stress Scale in Children [8-11 years])を用いた。介入群には、伝統的な子供向けゲームを8週間実施した。 主な結果は以下のとおり。・事前の調査では、インターネットの使用、社交性スキル、ストレスレベルは、介入群と対照群で有意な差は認められていなかった(p>0.05)。・介入後に調査した毎日および毎週のインターネット使用は、介入群と対照群で有意な差が認められた(p<0.05)。・介入群の社交性スキルに関する平均スコアは、対照群と比較し、介入後に上昇が認められた(p<0.05)。・ストレスレベルの平均スコアは、両群間で有意な差が認められなかった(p>0.05)。

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大腸がん術後の低分子ヘパリン、投与期間延長は有効か?/BMJ

 低分子量ヘパリンtinzaparinによる大腸がん切除術の周術期抗凝固療法は、投与期間を延長しても入院中のみの投与と比較して、静脈血栓塞栓症と術後大出血の発現率は両群で類似していたが、無病生存および全生存を改善しなかった。カナダ・オタワ大学のRebecca C. Auer氏らが、カナダ・ケベック州とオンタリオ州の12病院で実施した無作為化非盲検比較試験「PERIOP-01」の結果を報告した。低分子量ヘパリンは、前臨床モデルにおいてがん転移を抑制することが示されているが、がん患者の全生存期間延長は報告されていない。周術期は、低分子量ヘパリンの転移抑制効果を検証するのに適していると考えられることから、約35%の患者が術後に再発するとされる大腸がん患者を対象に臨床試験が行われた。BMJ誌2022年9月13日号掲載の報告。術前から術後56日間の血栓予防と、術後入院期間中のみの血栓予防を比較 研究グループは、2011年10月25日~2020年12月31日の期間に、病理学的に浸潤性結腸・直腸腺がんと確定診断され、術前検査で転移を認めず外科的切除術が予定されたヘモグロビン値8g/dL以上の成人(18歳以上)614例を、血栓予防を目的としたtinzaparin 4,500 IU/日皮下投与を、手術決定時(無作為化後24時間以内)から術後56日間継続する期間延長群と、術後1日目から入院期間中のみ行う院内予防群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、3年時点の無病生存(局所領域再発、遠隔転移、2次原発がん[同一がん]、2次原発がん[他のがん]、または死亡を伴わない生存と定義)、副次評価項目は静脈血栓塞栓症、術後大出血合併症、5年全生存などとし、intention-to-treat解析を実施した。 なお、本試験は、無益性のため中間解析後に早期募集中止となった。周術期の抗凝固療法、期間延長でも3年時の無病生存は改善せず 主要評価項目のイベント発生は、期間延長群で307例中235例(77%)、院内予防群で307例中243例(79%)であった(ハザード比[HR]:1.1、95%信頼区間[CI]:0.90~1.33、p=0.4)。 術後静脈血栓塞栓症は、期間延長群5例(2%)、院内予防群4例(1%)に認められた(p=0.8)。また、術後1週間の手術関連大出血はそれぞれ1例(<1%)および6例(2%)報告された(p=0.1)。 5年全生存率は、期間延長群89%(272例)、院内予防群91%(280例)で有意差は認められなかった(HR:1.12、95%CI:0.72~1.76、p=0.1)。 著者は今回の研究の限界として、非盲検試験であること、結腸がんと直腸がんの両方を組み込んだこと、また中間解析の結果を踏まえて早期に試験中止に至ったことなどを挙げている。

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日本人の脂質値の推移とコントロールの重要性(解説:三浦 伸一郎 氏)

 2022年8月23・30日号のJAMA誌に米国成人の脂質値の推移の研究が報告された。総コレステロール値は年齢調整後、2018年までの10年間で有意に改善していたが、注目されることはアジア人では改善を認めなかったことである。 日本人の脂質値の推移は、「健康日本21(第二次)」の計画の途中経過を見ると、2019年で血清総コレステロール値が240mg/dL以上の割合は男性12.9%、女性22.4%であった(「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省)。この10年間でみると、その割合は、男性で有意な変化はなかったが、女性では有意に増加していた。「健康日本21(第二次)」の脂質異常症(40~79歳)の減少目標は、総コレステロール240mg/dL以上の割合が男性10%、女性17%であり、かなり乖離があるのが現状である。 現在、脳心血管疾患の二次予防では、スタチンを中心とした脂質異常症治療薬による積極的脂質低下療法が実施されるようになってきたが、一次予防に対してはまだ議論の余地がある。JAMA誌の報告のもうひとつの要点は、スタチン服用者のコレステロールのコントロール率は10年間で有意な変化をもたらしていなかったことである。 日本では、2022年7月に日本動脈硬化学会より『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』が発表され、久山町スコアによる予測される10年間の動脈硬化性疾患発症予測モデルが新たに作成されている。一次予防患者では、単にコレステロール値のみでなく、この予測モデルを利用し、個々人に合わせた脂質管理目標値を設定する必要がある。さらに、生活習慣の修正と共に、必要があれば、一次予防でも治療薬による積極的脂質低下療法を考慮すべきと考える。さらに、脂質値を考える場合、総コレステロール値やLDLコレステロール値のみでなく、トリグリセライド値やHDLコレステロール値も考慮に入れた脂質管理が必要である。

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内科治療に血管内治療を追加する有効性は示されなかったものの、周術期合併症率は低く抑制された(解説:高梨成彦氏)

 SAMMPRIS(Chimowitz MI, et al. N Engl J Med. 2011;365:993-1003.)、VISSIT(Zaidat OO, et al, JAMA. 2015;313:1240-1248.)において症候性頭蓋内動脈狭窄症に対する血管形成術・ステント留置術は、内科治療に対する有効性を示すことができなかった。 本研究もまた内科治療に対する血管内治療の有効性を示すことはできなかったものの、30日以内の脳卒中または死亡が5.2%であった。単純比較はできないもののSAMMPRISにおけるそれが14.7%であったことを考慮すれば、周術期合併症率を低く抑制することができたといえるだろう。 その要因は考察でも示されているように、発症から3週間以上経過した症例を選択し、症例数の多い施設・術者が参加したことが大きいだろう。 WEAVE trial(Alexander MJ, et al. Stroke. 2019;50:889-894.)もまた厳格な適応基準、経験豊富な術者、抗血小板薬の効果判定、緩徐な拡張などの条件を満たすことで、周術期合併症を2.6%と低く抑制できている。 内科治療だけでは脳梗塞の再発が抑制しきれない症候性頭蓋内動脈狭窄症患者において、どのような条件で血管形成術を適用すべきであるか、これら研究のプロトコールが参照されることになるだろう。

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患者さんの心をキャッチする【Dr. 中島の 新・徒然草】(444)

四百四十四の段 患者さんの心をキャッチする関西を直撃するかと思いきや、日本海側に抜けてしまった台風14号。皆さまの所では雨や風はいかがだったでしょうか?大阪では拍子抜けするほど雨も風もありませんでした。暑くてどうしようもなかった気温も、台風が過ぎた後はむしろ寒くなりました。いきなり季節が切り替わったみたいです。さて、総合診療科では、ローテートしてきた研修医に目標を言わせています。9月は「目標:患者さんの心をキャッチする」という研修医がいました。中島「具体的にどうやってキャッチするのかな」研修医「何度も訪室して、コミュニケーションの機会を増やします」中島「いろいろな話題で盛り上がるとか?」研修医「そうですね」中島「なるほど、それも悪くないとは思うけど……」患者さんというのは病気を治しに来ているのですから、芸能ニュースとか野球の話で盛り上がっても仕方ないわけですね。研修医「何か秘策があるんですか」中島「あるよ」別に勿体をつけているわけではありません。中島「先生自身が言ってた『キャッチする』ってやつ!」研修医「??」中島「患者さんっていろいろと訴えるでしょ。それにキチンと向き合うわけ」たとえば肺炎で入院している患者さんがいたとしましょう。熱が下がったとか、食欲が出てきたとか、そういう話には誰でも耳を傾けます。でも、そこで膝が痛いとか物忘れがある、とか言われると、ついスルーしがちになります。でも、1回は膝を見るとか、具体的な物忘れのエピソードを聞くとか。そのくらいのことはしてもいいと思います。必ずしも診断をつけることができなくても構いません。チラッと膝を見るひと手間で、患者さんの満足度が上がるのではないでしょうか。同じことは人間関係全般にも言えると最近思うようになりました。人というのは、自分の言動の結果を知りたがる傾向にあります。なので、何かしてもらったら結果を報告し、メールが来たら返事をする。できれば、「ありがとうございました」だけではなく、「おかげさまで○○ができました」くらいを添えるといいですね。私自身、必ずしも出来ているわけでもないのですが。そういえば、病院で天井の蛍光灯が切れていたのを、施設係の人に交換してもらいました。「部屋が明るくなったら、急に勤労意欲が湧いてきました!」そう言ったら、係の人に随分ウケたみたいです。このギャグ、関西以外でも通用するのかな。読者の皆さん、よかったら試してみてください。最後に1句秋深し 勤労意欲が 倍増だ

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知っておきたい新しいオピオイド(2)メサドン【非専門医のための緩和ケアTips】第36回

第36回 知っておきたい新しいオピオイド(2)メサドンがん疼痛に対するオピオイドもさまざまな種類があるのですが、今回はその中でも薬物療法の「最終手段」的な存在であるメサドンについてお話しします。「最終手段」だけあって、まだ使ったことがある方は多くはないと思います。今日の質問オピオイドを増量しても、なかなか緩和できない痛みの患者さんがいます。効き目が強いと聞くメサドンを使ってみたいと思うのですが、使用経験がないので不安があります。メサドン(商品名:メサペイン)、初めて聞いた方もいるのではないでしょうか? 私も、そこまで使用経験が豊富なわけではありませんが、今後、メサドンを使用している患者さんの紹介も増えるかもしれないと思い、勉強しているところです。前提として、メサドンは誰にでも処方される薬剤ではありません。その理由は大きく分けて2つあります。1)処方・流通制限があるメサドンを処方するには、事前に医師が専用のeラーニングを受講する必要があります。途中でテストがあるのですが、このテストがなかなか難しく、私は○回目で合格しました。○に何の数字が入るかはご想像にお任せします…。こういう間違い探し的な問題は苦手で、というのは言い訳ですが…。医師だけでなく、管理する調剤薬局もeラーニングを受講した「管理薬剤師」を置く必要があります。調剤前には、処方した医師がeラーニング受講済み、登録済みであることを確認することも必要です。このようにメサドンには厳格な処方・流通制限があり、簡単な処方ができないようになっています。もちろん、これには理由があり、それが「誰にでも処方できない理由」の2つ目でもあります。2)使用上の注意点が多いメサドンの使用上の注意点として、パッと思い浮かぶものを列挙するだけでも以下のようなものがあります。個人差が大きく、投与量の設定が難しいQT延長による致死性不整脈の副作用がある半減期が長く、定常状態までに1週間程度を要するが、こちらも個人差があるどうですか? なかなか使用を躊躇する言葉が並んでいますよね?こうした事情から、メサドンは、「がん疼痛に対する薬物療法に精通した医師がeラーニングを受講して」初めて処方が可能となっているのです。メサドンは使いこなせれば、非常に強力な薬剤です。NMDA受容体の拮抗作用があり、私自身も既存の強オピオイドでは鎮痛効果が不十分であった痛みに対し、有効だった例をしばしば経験しています。複数の作用機序を持つことが、ほかのオピオイドとは異なる鎮痛作用を生じさせているのです。強力な鎮痛効果から、薬物療法の「最終手段」的な位置付けのメサドン。気軽に使用できる薬剤ではないですが、専門医と連携していくきっかけにしてください。今回のTips今回のTipsメサドンは難治性がん疼痛に対する薬物療法の「最終手段」的な薬剤。

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第12回 「今年こそインフルエンザ流行」はオオカミ少年?

毎年「インフルエンザと新型コロナの同時流行が…」という懸念が出つつ、流行しないということが続いています。今度こそインフルエンザが流行するかもしれないと報道されていますが、オオカミ少年のようにあまり信用されていないのが現状です。「インフルエンザと新型コロナはウイルス干渉して共存しないため、コロナ禍ではインフルエンザは流行しない」という見解があり、実際に2シーズン連続でそのような動きとなっています。オーストラリアの流行オーストラリアは南半球にあるため、インフルエンザは夏に流行します。そのため、日本のインフルエンザの流行を予測するうえで、オーストラリアの流行状況を参考にすることが多いです。ほかの国のデータも参考になりますが、オーストラリアが圧倒的に開示されている情報が多く、こちらを基に予測されています。残念ながら、2022年に関しては、オーストラリアでインフルエンザと新型コロナの同時流行が起こっており、ウイルス干渉というロジックがあやふやであることが示されました。オーストラリアでは例年よりも2~3ヵ月早くインフルエンザの流行が起こっており(図)1)、日本でもしこのような事態になるとすれば、年末くらいから流行が始まるかもしれません。図. オーストラリアのインフルエンザ流行状況(参考資料1より)ワクチン同時接種は筋注+皮下注?新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種が認められました。新型コロナワクチンは筋注で行いますが、インフルエンザワクチンは実はまだ添付文書的には皮下注が基本です。病院職員・看護学生へのインフルエンザワクチン接種を筋肉注射か皮下注射の希望選択としている施設での研究によると、申告を要する副反応は、筋肉注射8.2%、皮下注射11.3%と、筋肉注射のほうが少なかったという結果でした2)。別の研究においても、筋肉注射のほうが皮下注射よりも副反応が少なかったと報告されています3)。インフルエンザワクチンによる抗体価上昇は、皮下注射と筋肉注射で差がないこともわかっています4)。一方が筋注、もう一方が皮下注だと、インシデントのもとになりますので、可能であれば両腕に筋肉注射できるようにすべきと考えます。まぁ、そう簡単に同時接種が実現するとは思っていません。ウチの子供の3回目接種が近づいてきたのですが、新型コロナワクチンは自治体から予約、インフルエンザワクチンはかかりつけの小児科で予約、という状況です。参考文献・参考サイト1)Australian Influenza Surveillance Report No. 12 - 29 August to 11 September 20222)馬嶋健一郎ほか. 発症率・接種時疼痛・副反応の前向きコホート観察研究. 日本環境感染学会誌. 2021;36(1):44-52.3)Ikeno D, et al. Immunogenicity of an inactivated adjuvanted whole-virion influenza A (H5N1, NIBRG-14) vaccine administered by intramuscular or subcutaneous injection. Microbiol Immunol. 2010 Feb;54(2):81-8.4)Sanchez L, et al. Immunogenicity and safety of high-dose quadrivalent influenza vaccine in Japanese adults ≥65 years of age: a randomized controlled clinical trial. Hum Vaccin Immunother. 2020 Apr 2;16(4):858-866.

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T-DXdの作用機序と耐性機序をバイオマーカー解析で検討(DAISY)/ESMO2022

 転移を有する乳がんに対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の有効性をHER2高発現、HER2低発現、HER2陰性の3群で評価したDAISY試験において、T-DXdの作用機序と耐性機序を検討した結果を、フランス・Gustave RoussyのMaria Fernanda Mosele氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表した。 DAISY試験は多施設共同非盲検第II相試験で、転移を有する乳がんにおけるT-DXdの有効性をHER2高発現群(IHC 3+またはIHC 2+/ISH+)、HER2低発現群(IHC 2+/ISH-またはIHC 1+)、HER2陰性群(IHC 0)の3群に分けて評価し、バイオマーカー解析を実施した。有効性についてはSABCS 2021、バイオマーカー解析についてはESMO BREAST 2022ですでに報告されている。 今回、T-DXdの作用機序をさらに探るために、ベースライン時およびT-DXd 1サイクル終了後2~4日目における生検(8ペア)でのHER2発現量に応じた空間ゲノム応答をGeoMxで評価した。ベースライン時の生検(88例)とマッチさせた血液検体(83例)、病勢進行時の生検(20例)とマッチさせたベースライン時の検体(10例)を全エクソームシーケンスで解析し、1次および2次耐性を調べた。病勢進行時のHER2高発現患者の生検(6例)のT-DXd分布をIHCで評価した。 主な結果は以下のとおり。・T-DXdに対するトランスクリプトノーム反応はHER2発現レベルにより異なっていた。・ベースライン検体における再発ドライバー変異には耐性と関連しているものはなかった。ただし、ベースライン時の88例中5例(6%)にERBB2ヘミ接合型欠失が検出され、そのうち4例はT-DXdに反応がなかった。・病勢進行時の検体で20例中4例(20%)にSLX4変異が検出された。2例がベースライン検体で検出されておらず、2例はベースライン時のサンプルがなかった。2つの乳がん細胞株で、SLX4欠失がDXdに対する耐性を媒介した。・病勢進行時に6例中4例でT-DXdの取り込みがみられ、4例中2例でHER2発現が減少していた。 これらの結果からMosele氏は、「ERBB2ヘミ接合型欠失はT-DXdの耐性と関連している可能性があり、SLX4はDXd耐性を誘発する可能性がある」と推察した。また、「HER2発現はT-DXd投与における病勢進行時に減少するが、T-DXdの取り込みが主要な耐性メカニズムであるという確固たるエビデンスはない」と述べた。

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認知症の急性興奮症状を軽減する感覚に基づく介入

 認知症患者の興奮症状の発生を長期間にわたり軽減するための介入として、感覚に基づく介入(Sensory-based Intervention)が一般的に行われている。しかし、この介入の即効性に関するエビデンスは十分ではない。香港理工大学のDaphne Sze Ki Cheung氏らは、認知症患者の興奮症状軽減に対して使用されている感覚に基づく介入を特定し、これら介入の即時効果を調査した。その結果、認知症患者において興奮症状軽減に対する感覚に基づく介入の即時効果を検討した研究はかなり不足しているものの、音楽関連の介入における限られたエビデンスは有望である可能性が示唆された。Aging & Mental Health誌オンライン版2022年9月8日号の報告。 PRISMA ガイドラインに従い、システマティックレビューを実施した。Embase、Medline、PsycINFO、CINAHLより、2022年3月2日までに公表された研究を検索した。介入中または介入開始15分以内に測定した興奮症状の軽減効果を評価した。分析には、英語で公表されたランダム化比較試験または準実験的研究を含めた。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした研究は9件(ランダム化比較試験:2件、クロスオーバー試験:1件、準実験的研究:6件)であった。・すべての研究は西欧諸国で実施されており、対象者総数は246例であった。・音楽関連介入は、7件の研究で調査されており、副作用が発現することなく、興奮症状の軽減に効果的であることが示唆された。・すべての研究において、方法論的制限(単一群デザイン、盲検化、サンプルサイズの小ささ、正確性が不十分に報告された結果など)があった。・認知症患者の興奮症状に対する感覚に基づく介入効果を確認するためには、より厳密な研究が求められる。

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ソトラシブ、KRAS G12C変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長(CodeBreaK-200)/ESMO2022

 KRAS G12C変異陽性の既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、ソトラシブがドセタキセルよりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長することが、米国・Sarah Cannon Research InstituteのMelissa L. Johnson氏から、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表された。 ソトラシブの有効性は単群試験のCodeBreaK100で示されていたが、今回発表されたのは、日本も参加した国際共同無作為化比較第III相試験CodeBreaK 200試験の主解析の結果である。・対象:免疫チェックポイント阻害薬と化学療法薬の治療歴を有するKRAS G12C変異陽性のNSCLC(過去の脳転移治療例は許容)・試験群:ソトラシブ960mgx1/日(Soto群:171例)・対照群:ドセタキセル75mg/m2を3週ごと(DTX群:174例)DTX群からSoto群へのクロスオーバー投与は許容・評価項目:[主要評価項目]独立評価委員会評価によるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性、患者報告アウトカムなど 主な結果は以下のとおり。・試験は2020年6月から開始されたが、2021年2月にプロトコール修正が行われ、登録症例数が650例から330例へと変更になり、DTX群のSoto群へのクロスオーバー投与も認められた。・DTX群からSoto群へのクロスオーバー率は26.4%で、DTX治療の後治療として別のKRAS阻害薬の投与を受けた割合は7.5%であった。・両群の年齢中央値は64.0歳、脳転移の既往有りが約34%、前治療歴は2ライン以上が55%であった。・データカットオフ時(2022年8月)のPFS中央値はSoto群が5.6ヵ月、DTX群が4.5ヵ月で、ハザード比(HR)は0.66(95%信頼区間[CI]:0.51~0.86)、p=0.002と有意にSoto群が良好であった。1年PFS率は、Soto群24.8%、DTX群10.1%だった。・ORRはSoto群が28.1%、DTX群が13.2%、p<0.001とSoto群が有意に高かった。腫瘍縮小効果があった割合は、それぞれ80.4%と62.8%であった。・DoR中央値はSoto群8.6ヵ月、DTX群は6.8ヵ月で、奏効までの期間中央値は、それぞれ1.4ヵ月と2.8ヵ月であった。・症例数が大幅に減ったこととクロスオーバー投与が許容されたことで、OSにおける両群間の差は検出されなかった。OS中央値は10.6ヵ月と11.3ヵ月、HRは1.01(95%CI:0.77~1.33)であった。・Grade3以上の有害事象は、Soto群で33.1%、DTX群で40.4%に発現した。重篤な有害事象はそれぞれ10.7%と22.5%であった。・Soto群で多く認められたGrade3以上の有害事象は、下痢、肝機能障害で、DTX群で多く認められたものは、倦怠感、貧血、脱毛、好中球減少(発熱性好中球減少症含む)などであった。・患者報告アウトカムは、Soto群で良好であり、がん関連の身体症状悪化までの期間もSoto群の方がDTX群よりも長かった。

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冠動脈造影/PCI時、コンピュータ支援で急性腎障害軽減/JAMA

 非緊急冠動脈造影や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行する心臓専門医に対し、教育プログラムや造影剤投与量などに関するコンピュータによる監査とフィードバックを伴う臨床意思決定支援の介入を行うことで、これら介入のない場合と比べて施術を受けた患者が急性腎障害(AKI)を発症する可能性は低く、時間調整後絶対リスクは2.3%低下した。また、造影剤の過剰投与について同リスクの低下は12.0%だった。カナダ・カルガリー大学のMatthew T. James氏らが、心臓専門医34人とその患者を対象に行ったクラスター無作為化試験の結果で、JAMA誌2022年9月6日号で発表した。AKIは、冠動脈造影やPCIでは一般的な合併症で、高コストおよび有害長期アウトカムと関連する。今回の結果について著者は、「こうした介入が今回の試験以外の環境下でも有効性を示すかどうか、さらなる検討が必要である」と述べている。患者7,106人を対象にクラスター無作為化試験 研究グループは、カナダ・アルバータ州の心臓カテーテル検査室3ヵ所で侵襲的治療を行う心臓専門医全員を対象に、ステップウェッジ・クラスター無作為化試験を行った。無作為化の開始日は、2018年1月~2019年9月の間。適格患者は、非緊急冠動脈造影またはPCI、もしくはその両方を施行し、透析は行っておらず、AKIリスクが5%超と予測される18歳以上だった。34人の医師が選択基準を満たした患者7,106人に対して7,820件の処置を行った。被験者のフォローアップ終了は2020年11月だった。 介入期間中、心臓専門医は、教育支援プログラム、造影剤投与量や血行力学ガイド下静脈内輸液の目標値に関するコンピュータによる臨床意思決定支援、および監査・フィードバックを受けた。介入期間前(対照期間)は、心臓専門医は通常ケアを提供し、介入は受けなかった。 主要アウトカムはAKIの発生とした。副次アウトカムは12項目で、造影剤投与量、静脈内輸液量、および主要有害心血管・腎イベントなどだった。解析は、時間調整モデルを用いて行われた。AKI発生率、介入群7.2%、対照群8.6% 心臓専門医34人は診療グループや医療センターにより8集団に分けられた。このうち、介入群には医師31人、患者4,032人、4,327件の処置が含まれた(患者の平均年齢:70.3歳[SD 10.7]、女性32.0%)。対照群は医師34人、患者3,251人、3,493件の処置が含まれた(70.2歳[SD 10.8]、33.0%)。 AKI発生率は、介入期間中7.2%(4,327件中310イベント)、対照期間中8.6%(3,493件中299イベント)だった(群間差:-2.3%[95%信頼区間[CI]:-0.6~-4.1、オッズ比[OR]:0.72[95%CI:0.56~0.93]、p=0.01)。 12項目の副次アウトカムのうち、8項目は両群で有意差がみられなかった。造影剤投与量が過剰だった処置の割合は、対照期間中51.7%から介入期間中は38.1%に減少した(群間差:-12.0%[95%CI:-14.4~-9.4]、OR:0.77[95%CI:0.65~0.90]、p=0.002)。静脈内輸液投与が不十分だった処置の割合も、対照期間中の75.1%から介入期間中は60.8%に低下した(群間差:-15.8%[95%CI:-19.7~-12.0]、OR:0.68[95%CI:0.53~0.87]、p=0.002)。 主要有害心血管・腎臓イベントも、両群で有意差はなかった。

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超加工食品摂取が多い男性、大腸がんリスク3割増/BMJ

 ソーセージやインスタント麺といった超加工食品の摂取量が多い男性は、大腸がんリスクが高く、女性では超加工食品摂取量と同リスクの関連はなかったが、調理済み/加熱した混合料理の摂取量が多いと、大腸がんリスクが高いといった関連が、米国・タフツ大学のLu Wang氏らによる検討で示された。BMJ誌2022年8月31日号掲載の報告。医療従事者追跡調査と看護師健康調査の参加者を追跡 研究グループは、米国の医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study、1986~2014年)に参加した男性4万6,341人、看護師健康調査(Nurses' Health Study I[1986~2014年]6万7,425人、II[1991~2015年]9万2,482人)に参加した女性15万9,907人の3つの前向きコホートから、食事摂取量の記録があり、ベースラインでがんの診断を受けていなかった参加者を対象に、超加工食品の摂取と大腸がんリスクとの関連を調べた。 超加工食品の例としては、炭酸飲料、ソーセージ、ビスケット、キャンディー、インスタントスープ/麺、甘味/塩味スナック菓子、加糖牛乳およびフルーツ飲料などが含まれた。 超加工食品摂取と大腸がんリスクについて、潜在的交絡因子を補正し、時変共変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いて推定した。女性は乳製品ベースのデザート摂取量多いと、大腸がんリスクは減少 追跡期間24~28年間で、大腸がん3,216例(男性1,294例、女性1,922例)が報告された。 男性では、超加工食品摂取量の最高五分位範囲群が最低五分位範囲群と比べ、大腸がんリスクが29%高かった(ハザード比[HR]:1.29、95%信頼区間[CI]:1.08~1.53、傾向のp=0.01)。こうしたリスク増大の関連性は、遠位大腸がんでのみ認められた(HR:1.72、95%CI:1.24~2.37、傾向のp<0.001)。さらに、BMIや食事の栄養面の質指標(西洋の食事パターンまたは食事の質スコア)で補正後も、関連性は有意なままだった。 一方で女性については、超加工食品摂取量と大腸がんリスクとの関連は認められなかった。 サブグループ解析では、男性は肉/鶏肉/魚介類ベースの調理済み食品(最高五分位範囲群の最低五分位範囲群に対するHR:1.44、95%CI:1.20~1.73、傾向のp<0.001)や加糖飲料(1.21、1.01~1.44、傾向のp=0.013)、女性は調理済み/加熱した混合料理(1.17、1.01~1.36、傾向のp=0.02)の摂取量が多いほど、大腸がんリスク増大との関連が認められた。 女性では、ヨーグルトや乳製品ベースのデザートの摂取量が多いほど、大腸がんリスクが低いことも認められた(HR:0.83、95%CI:0.71~0.97、傾向のp=0.002)。

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8月末で人口の何%が感染?コロナの“いま”に関する11の知識(2022年9月版)/厚労省

 厚生労働省は、COVID-19の感染者数・病原性、感染性、検査・治療、変異株について、現在の状況とこれまでに得られた科学的知見をまとめた「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識」を更新した2022年9月版を公開した。主な更新内容は以下のとおり。Q 日本では、どれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。2022年9月1日0時時点で、1,891万7,782人が診断され、全人口の約15.0%に相当する。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。オミクロン株が流行の主体である2022年3~4月に診断された人における重症化率は50代以下で0.03%、60代以上で1.50%、死亡率は50代以下で0.01%、60代以上で1.13%だった。Q 海外と比べて、日本で新型コロナウイルス感染症と診断された人の数は多いのですか。2022年9月3日時点での日本の人口当たりの報告されている感染者数および死亡者数は主要国を上回っている。(ただし、各国の感染者数・死亡者数の報告方法が異なることも影響しているなど、結果の解釈には留意が必要)Q 現在、日本で接種できる新型コロナワクチンはどのようなワクチンですか。接種はどの程度進んでいますか。初回(1、2回目)接種と追加接種における接種可能なワクチンの種類と対象者、ワクチンの効果と主な副反応、年齢階級別の接種実績(2022年9月7日公表時点)の一覧表を掲載。Q 新型コロナウイルスの変異について教えてください。現在はB.1.1.529系統(オミクロン株)の亜系統のBA.5系統の変異株が日本を含む世界各地で主流であることなどを記載。 上記のほか、以下の6項目についてまとめられている。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化しやすいのはどんな人ですか。Q 新型コロナウイルスに感染した人が、他の人に感染させる可能性がある期間はいつまでですか。Q 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、どれくらいの人が他の人に感染させていますか。Q 新型コロナウイルス感染症を拡げないためには、どのような場面に注意する必要がありますか。Q 新型コロナウイルス感染症を診断するための検査にはどのようなものがありますか。Q 新型コロナウイルス感染症はどのようにして治療するのですか。

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第127回 アマゾン処方薬ネット販売と零売薬局、デジタルとアナログ、その落差と共通点(後編)

コロナ終息とエリザベス女王国葬こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。WHOのテドロス事務局長は9月14日の記者会見で、新型コロナウイルスの世界全体の死者数が、先週、2020年3月以来の低い水準になったと指摘、「世界的な感染拡大を終わらせるのにこれほど有利な状況になったことはない。まだ到達していないが、終わりが視野に入ってきた」と述べたそうです。同日、厚生労働省の新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」も、全国的に新規感染者数の減少が続いている、との分析を公表しました。世界的に流行が終息に向かっていることは、米国MLBの中継や、英国エリザベス女王の国葬の様子を見ても実感することができます。国葬もそうでしたし、女王の国葬に先立つウエストミンスター宮殿での公開安置の行列でも、マスクをしている人はほとんどいませんでした(デビット・ベッカム氏も!)。その点、日本人は真面目というか、融通が効かないというか、街中の屋外では、皆、まだマスクをしています。こうした、お上の言うことに真面目に従い、世間体(周囲)を気にする他人任せな点が、日本でセルフメディケーションがなかなか進まない一因なのかもしれません。アマゾンの処方薬ネット販売の背景さて前回は、米アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)が日本で処方薬のネット販売に乗り出すことになった、というニュースについて書きました(「第126回 アマゾン処方薬ネット販売と零売薬局、デジタルとアナログ、その落差と共通点(前編)」参照)。アマゾンの処方薬ネット販売進出の背景にあるのは、オンライン診療、オンライン服薬指導の普及・定着と、来年から始まる予定の電子処方箋の運用です。電子処方箋が運用されれば、処方箋のやりとりだけでなく、処方薬の流通についても徹底した効率化が求められるようになります。近い将来やってくるであろう調剤・配送集中化の時代を見据え、アマゾンとしてはまずは同社の服薬指導のシステムを普及させることで、地域の薬局をネットワーク化しておきたいというのが、その大きな狙いとみられます。こうした動きに対し、日本保険薬局協会の首藤 正一会長(アインホールディングス代表取締役専務)は記者会見で、「リアル店舗やかかりつけ薬剤師の存在感を高めることで、アマゾンに対抗する」といった趣旨のコメントをしたそうです。その記事を読んで、私は首をかしげてしまいました。世の中で「かかりつけ薬剤師」は「かかりつけ医師」よりももっと曖昧な存在です。そんなものに力を入れることで、果たして巨大アマゾンに対抗できるのでしょうか。そんなことを考えていたら、アマゾン報道の1週間ほど前に利用した都内の零売(れいばい)薬局のことを思い出しました。大都市圏で増える零売薬局零売薬局はコロナ禍で医療機関の受診控えが起こったことなどを背景に、東京都内をはじめ、大都市圏で急増しています。「処方箋なしで病院の薬が買える」などのキャッチフレーズで、新宿、渋谷、池袋など、特に若者が多く集まる街で増えている印象です。その動きは地方にも及んでいます。東海テレビ(愛知県)は7月29日の放送で、名古屋で初めての零売薬局、「セルフケア薬局」が繁華街である地下鉄名城線栄駅・南改札すぐのところにオープンした、と報じています。「セルフケア薬局」は、東京に本拠を構える零売薬局チェーンで、東京、神奈川のほか、大阪、京都などでも店舗を展開しています。厚労省が零売を公式に認めたのは2005年そもそも零売とは、医療用医薬品を、処方箋なしに容器から取り出して顧客の必要量だけ販売することをいいます。「零」は「ゼロ」を意味する漢字ですが、「少ない」「わずか」と言う意味もあります。つまり零売とは「少数や少量に小分けして売ること」という意味なのです。厚生労働省が処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売、すなわち零売を公式に認めたのは、2005年とそんなに昔のことではありません。それ以前は法令上での明確な規定がなく、一部薬局では医療用医薬品の販売が行われていました。厚労省が零売を容認するきっかけとなったのが2005年4月の薬事法改正です。医薬品分類を現在の分類に刷新するとともに「処方箋医薬品以外」の医療用医薬品の薬局での販売を条件付きで認める通知を発出しました。同年3月30日の厚生労働省から発出された「処方せん医薬品等の取扱いについて」(薬食発第0330016号厚生労働省医薬食品局長通知)は、「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」は、「処方せんに基づく薬剤の交付を原則」とするものであるが、「一般用医薬品」の販売による対応を考慮したにもかかわらず、「やむを得ず販売せざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で」、薬剤師が患者に対面販売できるとしました。なお、零売に当たっては、1)必要最小限の数量に限定、2)調剤室での保管と分割、3)販売記録の作成、4)薬歴管理の実施、5)薬剤師による対面販売――の順守も求められることになりました(本通知の内容は現在、2014年3月18日付薬食発0318第4号厚生労働省医薬食品局長通知「薬局医薬品の取扱いについて」に引き継がれています)。医療用医薬品約1万5,000 種類のうち半数は処方箋なしでの零売可能2005年4月施行の改正薬事法は、処方箋医薬品の零売を防ごうとしたのも目的の一つでした。それまでの「要指示医薬品」と、全ての注射剤、麻薬、向精神薬など、医療用医薬の約半分以上が新たに「処方箋医薬品」に分類されたわけですが、逆に使用経験が豊富だったり副作用リスクが少なかったりなど、比較的安全性が高い残りの医薬品が「処方箋医薬品以外の医薬品」に分類され、零売可能となったわけです。現在、日本で使われる医療用医薬品は約1万5,000種類あり、このうち半分の約7,500 種類は処方箋なしでの零売が認められています。鎮痛剤、抗アレルギー薬、胃腸薬、便秘薬、ステロイド塗布剤、水虫薬など、コモンディジーズの薬剤が中心で、抗生剤や注射剤はありません。また、比較的新しい、薬効が強めの薬剤も含まれません(H2ブロッカーはあるがPPIはない等)。ついでだからとリンデロンVG軟膏5mgも買ってしまうさて、9月初旬に私が利用したのは、都内のとある零売薬局です。いつも通っている整形外科の診療所でいつもの鎮痛剤と湿布薬を処方してもらうつもりだったのですが、外来で2時間近く待つ時間的余裕がなく、仕方なしに山手線の某駅近くにある零売薬局を利用することにしたのです。店内に入ると女性の薬剤師がカウンターに座るよう促しました。こちらの症状や、欲しい薬剤をヒアリングし、パソコンの画面を見せながら推奨する薬剤を勧めるという流れです。私は整形外科で処方してくれている鎮痛剤のエトドラク錠200mgと、ジクロフェナクテープ30mgを希望しました。しかし、「いずれも処方箋医薬品以外の医薬品ですが、当店では扱っていません」とのことで、同種のロキソプロフェンNa錠60mgとロコアテープを勧められ、それらを購入することにしました。また、雑談(!)の中で、二日酔いの薬やビタミン剤、虫刺されの薬などの話も出たので、ついでだからとリンデロンVG軟膏5mgも買ってしまいました。リンデロンVGは、山登りや沢登りでの虫刺されにてきめんに効く薬ですが、ステロイドの含有量が多いこともあって普通の薬局・薬店では買えません。「前は調剤薬局にいたが、今の仕事のほうが面白い」と、なんだかんだで薬剤師と20分近く会話をして、約4,000円の買い物をしてしまいました。薬局を出てから、今までかかってきた整形外科でも、その門前にある調剤薬局でも、鎮痛剤や湿布薬についてここまで詳しく説明を聞いたことがなかったことに気付きました。エトドラク錠と、ジクロフェナクテープがなかったのは、単にこの薬局が仕入れる薬剤リストに入っていないためか、あるいは薬効や副作用などから自主的に販売していなためかはわかりませんが、少なくとも代替薬を勧める薬剤師の説明は理には適っていました。症状を自分で聞いて、薬を選択するアドバイスをし、客の人となりを見て他の薬剤も勧めるには、それなりの知識とコミュニケーション力が要るでしょう。私を担当した薬剤師は最後に、「前は調剤薬局で働いていたが、今の仕事のほうが面白い」と話していました。零売薬局の不適切事例に厚労相が注意喚起の通知というのが私の零売薬局体験なのですが、調べてみるとコロナ禍で急増した零売薬局の中には、不適切事例も相次いでいるようです。厚労省は2022年8月5日、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の薬局での販売の不適切な販売事例について、都道府県などに再周知を促す通知「処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について」(薬生発0805第23号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)を発出、不適切な事例について指導を徹底するよう求めています1)。前述したように2005年の通知、それを引き継いだ2014年の通知で、零売は「一般用医薬品の販売等による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売等を行わざるを得ない場合」に例外的な販売が認められていますが、そうした“考慮”をすることなく販売されている事例を、「不適切」として注意喚起したわけです。私自身のケースも考えてみればそうでした。今回の通知ではまた、「同様の効能・効果を有する一般用医薬品等がある場合は、まずはそれらを販売すること」、「在庫がない場合は他店舗の紹介などによる対応を優先すること」され、さらに販売に当たっての遵守事項として「反復継続的に医薬品を漫然と販売等することは、医薬品を不必要に使用する恐れがあり不適切」とも改めて明示されました。さらに、広告やホームページなどで次のような表現を用いて処方箋医薬品以外の医療用医薬品の購入を消費者等に促すことは不適切ともされました。「処方箋がなくても買える」「病院や診療所に行かなくても買える」 「忙しくて時間がないため病院に行けない人へ」 「時間の節約になる」 「医療用医薬品をいつでも購入できる」 「病院にかかるより値段が安くて済む」…。コモンディジーズならば医療機関の受診をはしょれるこの通知は増える零売薬局への強烈な牽制と考えられます。実は厚労省は同様の指摘を2021年に一般社団法人日本零売薬局協会に対して行っており、同協会は12月、「厚生労働省からのご指摘について」という文書を会員に対して配布、広告表現等について注意するよう促しています2)。私自身は、ここまで零売に足かせをはめる必要はないと思います。医療保険が使えず、現状極めてアナログなシステムと言えますが、少なくともコモンディジーズならば医療機関の受診をはしょれます。患者は勝手知ったる薬を手早く入手できますし、国の医療費削減にも寄与します。一方、薬剤師も医師の処方にただ従って調剤するのではなく、自らの判断で薬剤を選ばなければならないので、説明も責任をもって行うようになるかもしれません。プリントされた薬剤情報提供書を機械的に渡すだけの調剤薬局の薬剤師とは異なる職能も求められ、仕事としての面白味も増しそうです。日本の薬局や処方箋調剤が抱える“欠点”DXの最先端であるアマゾンとアナログの極みとも言える零売薬局。日本の薬局や処方箋調剤が抱える“欠点”に対するアンチテーゼという意味でも共通点があります。その“欠点”とは服薬指導です。処方薬の場合、現状、すべてのケースで服薬指導を行わないと、処方薬を患者に渡すことはできません。もし、患者の希望によって、あるいは一部の薬剤においてそのプロセスをはしょることができれば、電子処方箋の運用はもっとスムーズなものになるはずです。患者はオンライン診療を受けるだけで(オンライン服薬指導を受けなくても)、薬剤が手元に届くことになるからです。一方、リアルでアナログな薬局である零売薬局ですが、そこで行われている服薬指導のほうが薬剤師は熱心だし、責任をもってやっている、というのも皮肉な話です。OTC販売では構築できなかった新しい「患者-薬剤師関係」が生まれる可能性もあります。何より、零売は医療機関を受診しない(保険診療ではない)ことで、医療費の削減につながります。国が言う、セルフメディケーション推進の流れにも合っているわけで、風邪や下痢などのコモンディジーズや患者自身も十分に理解している疾患に限っては、零売は「規制」よりも「推進」があるべき形だと考えられます。10月にも岸田 文雄首相を本部長とする「医療DX推進本部」がいよいよ発足します。現状の仕組みをすべてシステムの中に落とし込もうとするのではなく、服薬指導や医療機関受診といった現在のプロセスの中のはしょれる部分を大胆にはしょった上で、新たにシステムを組み直すほうが真のDXになると思いますが、皆さんいかがでしょう。ドラゴンクエストの世界のような、エリザベス女王の国葬をテレビ中継で観ながら、そんなことを考えていた雨の週末でした。参考1)処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について/厚生労働省2)厚生労働省からのご指摘について/一般社団法人日本零売薬局協会

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HER2低発現進行乳がんへのT-DXd、患者報告アウトカム(DESTINY-Breast04)/ESMO2022

 HER2低発現で既治療の進行乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択の化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast04試験における、患者報告アウトカムの解析結果が報告された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの上野 直人氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表した。 DESTINY-Breast04試験では、T-Dxd群でHR+コホートにおけるPFS中央値(10.1ヵ月vs.5.4ヵ月、HR:0.51、p<0.0001)およびOS中央値(23.9ヵ月vs.17.5ヵ月、HR:0.64、p=0.0028)を有意に改善した。安全性については、Grade3以上のTEAEはT-Dxd群53% vs.TPC群67%で発生し、T-Dxd群で多くみられた治療関連TEAEは、吐き気(73% vs.24%)、倦怠感(48% vs.42%)、TPC群では好中球減少症(33% vs.51%)だった。・対象:HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)、1~2ラインの化学療法歴のある切除不能および/または転移を有する乳がん患者(ホルモン受容体陽性[HR+]の場合は内分泌療法抵抗性) 557例 以下の2群に2対1の割合で無作為に割り付け・試験群(T-DXd群):T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与 373例・対照群(TPC群):治験医師選択の化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ナブパクリタキセルのいずれか) 184例・評価項目:[主要評価項目]HR+患者における無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全例におけるPFS、HR+患者および全例における全生存期間(OS)、安全性、HR+患者における患者報告アウトカム(PRO)など・PROの測定:EORTC QLQ-C30、EORTC QLQ-BR23およびEQ-5D-5Lの質問票を用いて、3サイクル目までは各サイクルごと、以降は2サイクルごと、治療終了40日後、3ヵ月後に実施。ベースラインからの変化および決定的な悪化までの時間(TDD)が評価された。悪化は10点以上の増加と定義された。 主な結果は以下のとおり。・HR+コホートは、T-Dxd群331例vs.TPC群163例。年齢中央値は56.8歳vs.55.7歳、IHC 1+の患者が両群とも約58%を、前治療はCDK4/6阻害薬が約70%を占めた。・両群とも、ベースラインで92%超、2~27サイクルでは80%超の質問票遵守率だった。・ベースラインでの平均GHSスコアは、T-Dxd群36.3±21.8 vs.TPC群37.8±22.5だった。・QLQ-C30のGHS/QOLの平均変化量は、T-Dxd群では27サイクルまで安定(±10点)しており、TPC群では13サイクルまで安定していた。・倦怠感については、両群ともに治療中全サイクルを通じてQLQ-C30のスコア変化は<10点で安定していた。吐き気については、T-Dxd群で早期サイクルで<10点のスコア上昇がみられたが、7サイクル以降は減少し、安定的なスコアとなっていた。・GHS/QOLのTDD中央値はT-DXd群11.4ヵ月vs.TPC群7.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.52~0.92、p=0.0096)で、吐き気を除くすべての事前に規定したQLQ-C30サブスケールにおいてT-DXdの方がTDDが長く、痛みについてのTDD中央値はT-DXd群16.4ヵ月vs.TPC群6.1ヵ月(HR:0.40、95%CI:0.30~0.54、p<0.0001)だった。 上野氏は、今回の結果はT-DXdによる治療がTPCと比較してGHS/QOLスコアを長く維持し、QOLベネフィットを示したとし、患者視点でのQOLの向上が、DESTINY-Breast04試験の有効性・安全性を裏付けているとコメントした。

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日本でのコロナ死亡例の分析結果/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、9月7日に開催された。その中で大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター/COVIREGI解析チーム)らのチームが、「COVID-19レジストリに基づく死亡症例の分析」を報告した。 レジストリ研究は、わが国におけるCOVID-19患者の臨床像および疫学的動向を明らかにすることを目的に、2020年1月から行われている。COVID-19と診断され、医療機関において入院管理されている症例を対象に(8月22日時点で登録症例数は7万920症例)、COVID-19の臨床像・経過・予後、重症化危険因子の探索、薬剤投与症例の経過と安全性について解析、検討が行われている。軽症例での死亡率が徐々に上昇【各波の死亡症例】 各波の死亡症例を比較すると、第6波と第7波は中等症および軽症からの死亡が増加していた。登録数で1番死亡例が多かった第3波と比較すると次のようになる〔( )の死亡率は編集部で算出した〕。・第3波 総死亡:1,218、重症死亡数:235(19.3%)、中等症死亡数:957(78.6%)、軽症:26(2.13%)・第6波 総死亡:300、重症死亡数:40(13.3%)、中等症死亡数:250(83.3%)、軽症:10(3.3%)・第7波 総死亡:19、重症死亡数:1(5.2%)、中等症死亡数:17(89.0%)、軽症:1(5.2%)【中等症での死亡症例】 中等症のうち、第4波以降ネーザルハイフローの利用が進んだが、第6波以降酸素のみ使用で死亡する症例が増えている。第5波で約50%、第6波で約65%、第7波で約80%と上昇。【中等症のリスク因子】 第1波~第7波まで共通して、基礎疾患ありの患者の方が死亡していた。第1波 224人中209人が基礎疾患あり(93.3%)第2波 208人中200人が基礎疾患あり(96.2%)第3波 924人中868人が基礎疾患あり(93.9%)第4波 254人中235人が基礎疾患あり(92.5%)第5波 118人中103人が基礎疾患あり(87.3%)第6波 233人中223人が基礎疾患あり(95.7%)第7波 17人中16人が基礎疾患あり(94.1%)【第5波と第6・7波の比較】・入院中のCOVID-19治療目的での薬物投与の登録割合 (第5波)ワクチン接種あり(ステロイド、抗凝固薬、レムデシビル順で多い)ワクチン接種なし(サリルマブ、モルヌピラビル、ナファモスタット、カモスタットの順で多い)(第6・7波) ワクチン接種あり(ステロイド、レムデシビル、抗凝固薬の順で多い)ワクチン接種なし(ファビピラビル、カモスタット、サリルマブが同順で多い)・入院中の呼吸補助の登録割合 (第5波)ワクチン接種あり(酸素投与、ネーザルハイフロー、侵襲的機械換気の順で多い)ワクチン接種なし(体外式膜型人工肺、非侵襲的機械換気、侵襲的機械換気の順で多い)(第6・7波)ワクチン接種あり(酸素投与、ネーザルハイフロー、侵襲的機械換気の順で多い)ワクチン接種なし(体外式膜型人工肺、非侵襲的機械換気、侵襲的機械換気の順で多い)【第6波と第7波の比較】・入院中のCOVID-19治療目的での薬物投与の登録割合 (第6波)ワクチン接種あり(レムデシビル、ステロイド、抗凝固薬の順で多い)ワクチン接種なし(ファビピラビル、カモスタット、サリルマブが同順で多い)(第7波)ワクチン接種あり(レムデシビル、ステロイド、抗凝固薬の順で多い)ワクチン接種なし(ファビピラビル、トシリズマブ、ナファモスタット、カモスタット、サリルマブ、カシリビマブ/イムデビマブが同順で多い)・入院中の呼吸補助の登録割合 (第6波)ワクチン接種あり(酸素投与、ネーザルハイフロー、侵襲的機械換気の順で多い)ワクチン接種なし(体外式膜型人工肺、非侵襲的機械換気、侵襲的機械換気の順で多い)(第7波)ワクチン接種あり(酸素投与、ネーザルハイフロー、侵襲的機械換気の順で多い)ワクチン接種なし(体外式膜型人工肺、非侵襲的機械換気、侵襲的機械換気の順で多い)【まとめ】・第5波と第6-7波の死亡例比較では、第6-7波の方が人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイド処方が下っていた。また、ともに90%の事例では酸素を必要としていた。・第6波と第7波の死亡例比較では、第7波の方が、さらに人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイドの処方率が下がっていた。・ワクチン3回、4回接種者の割合が増加していることから、重篤なCOVID-19肺炎による呼吸不全の方が占める比率が下がっていると推測される。※なお、本報告のレジストリ登録患者は入院患者かつわが国全体の患者の一部であり、すべてのCOVID-19患者が登録されているわけではないこと、また報告では統計学的な検討は実施していないことに注意が必要。

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虚血性脳卒中の2次予防、asundexian追加の有効性示せず/Lancet

 急性期非心原塞栓性虚血性脳卒中の2次予防治療において、抗血小板薬療法への血液凝固第XIa因子(FXIa)阻害薬asundexianの追加はプラセボと比較して、大出血または臨床的に重要な非大出血の複合の発生を増加させないものの、潜在性脳梗塞または虚血性脳卒中再発の複合の発生を抑制しないことが、カナダ・マックマスター大学のAshkan Shoamanesh氏らが実施した「PACIFIC-Stroke試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年9月2日号で報告された。23ヵ国の第IIb相試験 PACIFIC-Stroke試験は、脳卒中の2次予防におけるasundexianの有効性と安全性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb相試験であり、2020年6月~2021年7月の期間に、日本を含む23ヵ国196施設で参加者のスクリーニングが行われた(ドイツBayerの助成による)。 対象は、年齢45歳以上、急性期(発症から48時間以内)の非心原塞栓性虚血性脳卒中と診断され、抗血小板療法による治療を受け、ベースラインで(無作為化の前または割り付け後72時間以内に)MRI検査を受けることが可能な患者とされた。 被験者は、抗血小板薬による通常治療に加え、3種の用量のasundexian(10mg、20mg、50mg)またはプラセボを1日1回経口投与する4つの群に無作為に割り付けられた。治療期間は26~52週だった。 有効性の主要アウトカムは、無作為化から26週の時点またはそれ以前のMRIで検出された初発の潜在性脳梗塞または症候性虚血性脳卒中の再発の複合に関する用量反応効果とされた。また、安全性の主要アウトカムは、国際血栓止血学会(ISTH)の判定基準で定義された大出血または臨床的に重要な非大出血の複合であった。事後解析で50mg群の有効性が示唆 1,808例が登録され、asundexian 10mg群に455例、同20mg群に450例、同50mg群に447例、プラセボ群に456例が割り付けられた。全体の平均年齢は67(SD 10)歳、615例(34%)が女性で、1,505例(83%)が白人、268例(15%)はアジア人だった。 脳卒中発症から無作為化までの平均時間は36(SD 10)時間、ベースラインの米国国立衛生研究所脳卒中尺度(NIHSS)のスコア中央値は2.0(四分位範囲[IQR]:1.0~4.0)で、7日目の修正Rankin尺度スコア中央値は1.0(IQR:1.0~2.0)だった。783例(43%)は無作為化後に平均70.1(SD 113.4)日間にわたり抗血小板薬2剤併用療法を受けていた。 26週の時点で、有効性の主要アウトカムは、プラセボ群が19%(87/456例)で発現したのに対し、asundexian 10mg群の発現率は19%(86/455例)(粗罹患比:0.99、90%信頼区間[CI]:0.79~1.24)、同20mg群は22%(99/450例)(1.15、0.93~1.43)、同50mg群は20%(90/447例)(1.06、0.85~1.32)であった。プラセボ群と3種の用量群にはいずれも有意な差はなく、有意な用量反応は観察されなかった(t statistic:-0.68、p=0.80)。 MRI上の初発潜在性脳梗塞と、症候性虚血性脳卒中の再発にも、プラセボ群とasundexianの3種の用量群に有意差はみられなかった。 安全性の主要アウトカムは、プラセボ群が2%(11/452例)で発現したのに対し、asundexian 10mg群の発現率は4%(19/445例)、同20mg群は3%(14/446例)、同50mg群は4%(19/443例)であり、3種の用量のasundexian群全体では4%(52/1,334例)であった。有意な用量反応関係は認められず、ISTHの大出血または臨床的に重要な非大出血の複合の発現に関して、プラセボ群に比べasundexian群で有意な増加はみられなかった(ハザード比[HR]:1.57、90%CI:0.91~2.71)。 大出血と臨床的に重要な非大出血はいずれも、プラセボ群と、asundexianの3種の用量群および3用量全体に有意な差はなかった。 一方、探索的な事後解析では、asundexian 50mg群はプラセボ群に比べ、大出血や臨床的に重要な非大出血のリスクを増加させずに、虚血性脳卒中再発または一過性脳虚血発作の複合の予防効果が優れ(HR:0.64、90%CI:0.41~0.98)、とくにアテローム性動脈硬化を伴う患者で良好であった。 著者は、「事後解析の結果は有望であり、十分な検出力を有する無作為化第III相試験で確認する必要がある」としている。

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心不全のうっ血解除、アセタゾラミド追加で改善/NEJM

 体液過剰を伴う急性非代償性心不全患者の治療において、標準化されたループ利尿薬療法に炭酸脱水酵素阻害薬アセタゾラミドを追加すると、3日以内のうっ血解除(decongestion)の成功率が改善され、尿量やナトリウム利尿が増加して利尿効率が高くなり、有害事象の増加は認められないことが、ベルギー・Ziekenhuis Oost-LimburgのWilfried Mullens氏らが実施した「ADVOR試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年8月27日号に掲載された。ベルギーの医師主導無作為化プラセボ対照比較試験 ADVOR試験は、ベルギーの27施設が参加した医師主導の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2018年11月~2022年1月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Belgian Health Care Knowledge Centerの助成を受けた)。 対象は、急性非代償性心不全で入院した成人で、少なくとも1つの体液過剰の臨床的徴候(浮腫、胸水、腹水)が認められ、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値>1,000pg/mLまたはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値>250pg/mLの患者とされた。 被験者は、標準化されたループ利尿薬の静脈内投与(経口維持量の2倍に相当)に加え、アセタゾラミドの静脈内投与(500mg、1日1回)を受ける群またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、うっ血解除の成功とされた。その定義は、体液過剰のない状態であり、無作為化から3日以内に達成され、うっ血解除療法の増量の適応がない場合とされた。入院期間も短縮、効果は退院時にも維持 519例(平均[±SD]年齢78.2±8.9歳、男性62.6%、白人99.0%)が登録され、アセタゾラミド群に259例、プラセボ群に260例が割り付けられた。患者はすべて臨床的に重大なうっ血の状態で、NT-proBNP値中央値は6,173pg/mL(IQR:3,068~1万896)、うっ血スコア(0~10点[浮腫:0~4点、胸水:0~3点、腹水:0~3点の合計]、点数が高いほど病態が悪い)中央値は4点(IQR:3~6)だった。 うっ血解除成功率は、アセタゾラミド群が42.2%(108/256例)と、プラセボ群の30.5%(79/259例)に比べ有意に優れた(リスク比:1.46、95%信頼区間[CI]:1.17~1.82、p<0.001)。アセタゾラミド群はプラセボ群に比し、3日間を通じてうっ血スコアの低下の程度がより顕著だった。また、生存退院時のうっ血解除成功率も、アセタゾラミド群で良好だった(78.8% vs.62.5%、リスク比:1.27、95%CI:1.13~1.43)。 副次エンドポイントである3ヵ月以内の全死因死亡または心不全による再入院の複合は、アセタゾラミド群が29.7%(76/256例)、プラセボ群は27.8%(72/259例)で発生し、両群間に差はなかった(HR:1.07、95%CI:0.78~1.48)。一方、初回入院の期間の幾何平均は、アセタゾラミド群が8.8日(95%CI:8.0~9.5)、プラセボ群は9.9日(9.1~10.8)と、アセタゾラミド群で良好だった(群間差:0.89、95%CI:0.81~0.98)。 無作為化から2日目の朝の平均(±SD)累積尿量は、アセタゾラミド群が4.6±1.7L、プラセボ群は4.1±1.8L(群間差:0.5L、95%CI:0.2~0.8)、平均(±SD)ナトリウム利尿はそれぞれ468±234mmolおよび369±231mmol(群間差:98mmol、95%CI:56~140)であり、いずれもアセタゾラミド群で多く、利尿効率が高かった。 投与期間中に、重度の代謝性アシドーシスは両群とも発生しなかった。腎臓の安全性の複合エンドポイント(血清クレアチニン値のベースラインからの倍加、推算糸球体濾過量の持続的な50%以上の減少、初回入院中の腎代替療法)(アセタゾラミド群2.7% vs.プラセボ群0.8%、p=0.10)、低カリウム血症(5.5% vs.3.9%、p=0.39)、低血圧(6.6% vs.3.5%、p=0.11)の発生は両群で同程度であった。また、3ヵ月の追跡期間中の重篤な有害事象(48.0% vs.47.9%、p=1.00)、治療関連有害事象(3.1% vs.1.2%、p=0.14)、心血管系の有害事象(44.1% vs.47.1%、p=0.53)の発生はいずれも、両群で差はなかった。 著者は、「うっ血の残存が有害なアウトカムと関連することを考慮すると、これらのアセタゾラミド治療の有益な効果は重要である。今回の知見は、うっ血を標的とする早期かつ積極的な治療の重要性を強調し、利尿反応の指標としてのナトリウム利尿を支持するものである」としている。

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