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9722.

AIを使い、初診診断書でがん患者の生存を予測

 自然言語処理(NLP)は、人工知能(AI)の一分野であり、コンピュータによって人間の言語を理解、生成、操作することを可能にする技術全般を指す。NLPを使って初診の診断書を解析し、がん患者の予後を予測することが可能であることを示唆する研究が、JAMA Network Open誌2023年2月27日号に掲載された。 ブリティッシュ コロンビア大学(カナダ)のJohn-Jose Nunez氏らによる本研究では、2011年4月1日~2016年12月31日に、ブリティッシュ・コロンビア州にある6つのがんセンターのいずれかでがん治療を開始した患者のデータを使用した。死亡率データは2022年4月6日まで更新され、更新から2022年9月30日までのデータを分析した。診断から180日以内に作成された腫瘍内科医または放射線医の診断書を持つすべての患者を対象とし、診断書は診断日に最も近い文書を選択した。複数のがんで受診した患者は除外した。 初診時の診断書は、従来の言語モデルとニューラル言語モデルを用いて分析された。主要評価項目は、機械学習モデルの性能をはかる指標の1つであるAUC(曲線下面積、1に近いほど性能が高いとされる)を含む、予測モデルの性能であった。副次評価項目として、モデルがどのような単語を使用したかを調査した。 主な結果は以下のとおり。・患者5万9,800例中4万7,625例が解析対象となった。うち2万5,428例(53.4%)が女性、2万2,197例(46.6%)が男性で、平均(SD)年齢は64.9(13.7)歳であった。・初回の診察から計算して、4万1,447例(87.0%)が6ヵ月、3万1,143例(65.4%)が36ヵ月、2万7,880例(58.5%)が60ヵ月後時点で生存していた。・最良のモデルは、ホールドアウト検証において、6ヵ月生存の予測で0.856(AUC:0.928)、36ヵ月生存で0.842(AUC:0.918)、60ヵ月生存で0.837(AUC:0.918)という精度を達成した。・6ヵ月生存と60ヵ月生存の予測において、重要となる単語は異なることが判明した。 著者らは「このモデルがこれまでのがん生存予測モデルと同等かそれ以上の性能を持ち、複数のがん種において予測が可能だった。複雑なデータ処理やデータマイニングを行うことなく一般的で容易に入手できる診断書を用いて、生存率を予測できる可能性があることを示唆している。さらに複数施設のデータを用いることで一般的ながん患者集団が対象となり、より一般化できるモデルの性能を調査することができた」としている。

9723.

サル痘の意外な臨床的特徴と発現率は?~メタ解析

 サル痘(mpox)は、これまでは主にアフリカ中央部から西部を常在国として発生してきたが、2022年5月以降は欧米を中心に世界各地で8万6,000例以上が報告されている(2023年3月24日時点)。潜伏期間は通常6~13日(最大5~21日)で、発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状に続いて発疹が出現するが、常在国以外での感染例では、これまでのサル痘の症状とは異なる所見が報告されている。 そこで、韓国・慶煕大学校のHyunju Yon氏らの研究グループは、サル痘に伴う臨床的特徴を調べ、その病態生理や特徴を把握することを目的として、システマティックレビューとメタ解析を行った。これはサル痘のすべての臨床的特徴を検討した最初の国際的かつ包括的な研究であるという。Reviews in medical virology誌オンライン版2023年4月13日号掲載の報告。 本研究では、2022年9月16日までに公表された研究を、PubMed/MEDLINE、Embase、CINAHL、Google Schola、Cochrane Database of Systematic Reviewsで検索した。ランダム効果モデルを用いてプールされた有病率と95%信頼区間(CI)を算出した。異質性の評価にはI2統計、出版バイアスの評価にはEgger's test、不確実性のレベルの判定には95%予測区間、バイアスリスクの評価にはNewcastle-Ottawa ScaleとJoanna Briggs Instituteが用いられた。 主な結果は以下のとおり。・5大陸19ヵ国の26研究より、18項目の特有の臨床的特徴を有する5,472例のサル痘患者が解析の対象となった。・サル痘の臨床的特徴のプールされた発現率は下記のとおりであった。 -発疹 85.7%(95%CI:68.3~94.3、k=21) -悪寒 77.8%(95%CI:70.5~83.7、k=3) -発熱 62.3%(95%CI:51.3~71.6、k=25) -リンパ節腫脹 58.6%(95%CI:47.2~69.2、k=21) -無気力または疲労 46.8%(95%CI:30.7~63.5、k=14) -そう痒 40.6%(95%CI:28.5~54.0、k=5) -筋肉痛 36.0%(95%CI:24.3~49.7、k=16) -頭痛 34.6%(95%CI:23.4~47.8、k=17) -皮膚潰瘍 31.1%(95%CI:18.6~47.1、k=7) -腹部症状 24.2%(95%CI:17.9~31.9、k=11) -咽頭炎 23.0%(95%CI:12.7~37.9、k=14) -呼吸器症状 19.5%(95%CI:6.8~44.1、k=6) -悪心または嘔吐 13.0%(95%CI:4.6~31.9、k=3) -陰嚢または陰茎浮腫 10.7%(95%CI:6.3~17.7、k=4) -結膜炎 7.1%(95%CI:2.4~18.9、k=6) -死亡 0.9%(95%CI:0.4~2.0、k=26) これらの結果より、研究グループは「この研究は、現在発生しているサル痘の包括的な理解を提供するものであり、病理学的メカニズムや疫学に関する研究のための重要なデータとなりうる」とまとめた。

9724.

糖尿病のある人を知らずに傷つける糖尿病スティグマ/糖尿病学の進歩

 2月17日・18日に東京・東京国際フォーラムで「第57回 糖尿病学の進歩」(世話人:馬場園 哲也氏[東京女子医科大学 内科学講座 糖尿病・代謝内科学分野 教授・基幹分野長])が開催された。 近年、「糖尿病」という病名について患者や医療者から疑問の声が出され、糖尿病というネガティブなイメージからさまざまな不利益を受けていることも表面化している。そこで本稿では、「糖尿病診療に必要な知識」より「糖尿病スティグマとアドボカシー活動」(田中 永昭氏[国家公務員共済組合 枚方公済病院 内分泌代謝内科])の内容をお届けする。医療者は糖尿病のある人を知らずに傷つけているかもしれない 糖尿病という「スティグマ=烙印」は、マイナスイメージであり、今では「『恥』や『不信用』の烙印となっている」と田中氏は指摘する。また、糖尿病というだけで就職できない、保険への加入ができないなど糖尿病のある人には社会的な不利益が起こっているだけでなく、本人の自尊感情の低下や治療機会の喪失なども散見されるという。 これらの偏見や差別は、社会の糖尿病の知識と理解の不足から起こるものであり、実際、糖尿病のある人の多くは決して「食べ過ぎ」などの不健康な生活習慣が起因するものではなく、最近の調査では40歳からの平均余命も糖尿病のない人と変わらないと報告されている。 そして、「医療者から糖尿病のある人へのスティグマもみられることも重要な課題である」と田中氏は指摘する。たとえば、いわゆる「療養指導」がうまくいかないときに「やっぱり糖尿病だから」と相手をみてしまったり、口走ってしまったりすることがみられるという。糖尿病のある人と話し合うときに、医療者が理想の患者像を勝手に創造し、糖尿病のある人を低くみていることが問題とされる。そして、こうした行動や発言がされることで、糖尿病のある人に自己スティグマを負わせ、自分は誰かに相談したり、誰かの助けを求めたりするに値しない人間だと思わせてしまい、ひいては糖尿病治療の中断や医療機関への通院を止めるなど、さらに糖尿病治療へ悪い影響をもたらすと田中氏は懸念を示す。 実際、田中氏らが信頼性と妥当性を担保したスティグマ質問票「KISS(Kanden Institute Stigma Scale)」を開発・調査したところ、糖尿病のある人は糖尿病のない人と比べてKISSの総スコアが有意に高値であったことから、糖尿病のある人は糖尿病というスティグマに苦しんでいる状況がうかがえたという。糖尿病スティグマ解消のためにできること こうした、病気へのスティグマへの解決方法の1つに“Shared decision-making”がある。これは、医療者と糖尿病のある人がエビデンスに基づく治療や糖尿病のある人の人生観を共有することで、一緒に治療方針や目標を決定するというものである。「糖尿病のある人との面談の際、医療者は尊厳を持ち、相手の話をよく聞き、行動の禁止や拒否、指示、命令などは避けるように心がける必要がある」と田中氏は提案する。 アドボカシー(提言)活動については、日本糖尿病協会が行っており、糖尿病の特性などについて社会に認知してもらうために数々の提言を行っている。とりわけ近年では、「糖尿病」という病名に対して、糖尿病のある人にとって心理的な負担が大きいことから、見直しの議論が始められている。同会ではそのほかにも、糖尿病という病気の誤った認識の是正や正しい理解の内容を発信している。また、すぐにできることとして医療用語の改訂なども提案している。たとえば、「アドヒアランス」を「実施率」へ、「血糖コントロール」を「血糖マネジメント」などへの言い換えである。「血糖マネジメント」については、「『糖尿病のある人と医師が共通の目標を立てて、その達成のための計画を話し合うこと』という、本来医療者が実施したいことを適切に表現する言葉を使うべきだ」と田中氏は提言する。 最後に田中氏は、「糖尿病スティグマを認識することで、医療者も糖尿病のある人を模範的な患者像に押し込めるような関わり方は止めて、スティグマ解消に立ち上がってもらいたい」と期待を寄せた。

9725.

仕事依存症になりやすい人の特徴

 リトアニア・ビータウタス・マグヌス大学のModesta Morkeviciute氏らは、完璧主義・タイプA性格・仕事依存症の関係性を、仕事に対する外因性のモチベーション、親の仕事依存度および要求が厳しい組織の影響を介し調査した。その結果、仕事依存症は個人の性格的な要因を発端とし、家族や組織の状況などが個人の性格的な要因の表出を高め、仕事依存症の発現を促進する可能性が示唆された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2023年3月4日号の報告。 対象は、リトアニアのさまざまな組織の従業員621人。オンラインの自記式アンケートを用いて、横断的研究を実施した。仮説検証前に、状況変数に基づき対象者のサブグループを特定するため、潜在プロファイル分析(LPA)を実施した。仮説検証には、構造方程式モデリングを用いた。 主な結果は以下のとおり。・LPAでは、親の仕事依存に関する2つのプロファイル(親の仕事依存度が低い/高い)および要求が厳しい組織に関する3つのプロファイル(要求の厳しさがわずか/中程度/強い)が確認された。・要求の厳しさが強い組織の従業員では、完璧主義・タイプA性格・仕事依存症との直接的な関連性は、ポジティブかつ、より強力であった。・完璧主義・タイプA性格・仕事依存症の間接的な(外因性のモチベーションを介した)関係性は、親の仕事依存度が高い場合、ポジティブかつ、より強力であった。

9726.

新型コロナ5類移行、今後の対応5点を発表/厚労省

 厚生労働省は4月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、5月8日より、感染症法上の位置づけを「新型インフルエンザ等感染症」から「5類感染症」に移行することを正式に決定したことを発表した。本決定は、国内におけるオミクロン株XBB.1.5系統やXBB.1.9系統の増加の動きはあるものの、重症度の上昇を示す知見は確認されていないことや、現時点での病床使用率や重症病床使用率は全国的に低い水準にあることが確認されたことに基づいている。5類移行により、これまでの法律に基づき行政が要請・関与する仕組みから、個人の選択を尊重し、国民の自主的な取り組みを基本とする対応に転換する。 今後の対応については、これまでに段階的に発表されたものも含め、以下の5点にまとめられた。(1)発生動向の把握 患者の発生動向の把握については、医療機関から法律に基づく届け出等の全数報告がなくなることに伴い、これまでのような感染者数や死亡者数等の毎日の公表はなくなる。位置づけ変更後は、感染症法に基づく定点医療機関による新規感染者数の報告が基本となり、前週月曜日から日曜日までの患者数を毎週金曜日に公表する。初回の公表は5月19日の予定。それまでの期間も途切れることなく発生動向を把握するため、G-MISを用いた新規入院者数や病床の状況等の把握・監視を継続する。これに加えて、血清疫学調査(抗体保有率調査)や下水サーベイランス研究等を含め、重層的な確認を行っていく。位置づけの変更により検疫法の適用は終了し、空港ではゲノムサーベイランスを継続していく。(2)医療提供体制 医療提供体制については、医療機関における感染対策の見直し、設備整備や個人防護具の確保への支援などによりこれまで対応してきた医療機関に引き続き対応を求めるとともに、新たな医療機関に参画を促す取り組みを重点的に進める。入院措置を原則とした行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な対応に移行していく。 都道府県より提出された9月末までの移行計画の集計によると、直近のオミクロン株の流行時における最大入院者数約5万3千人を踏まえ、約8,400施設の医療機関において最大で約5万8千人の入院患者の受け入れ体制を確認している。うち、確保病床を有する医療機関での重症/中等症IIの患者の受け入れは約2万3千人(最大約3万1千床)、軽症/中等症Iの患者では、受け入れ経験がある医療機関で約3万人、受け入れ経験がない医療機関で約4千人となっている。 入院調整については、行政による入院調整の対象を重症患者や医療機関間での調整が困難となった患者などとし、原則として医療機関間で調整を行うこととする。調整は医療機関間で共有するITシステムや、妊産婦や小児などのための既存の連携の仕組みを活用する。(3)新型コロナウイルス感染症の患者等への対応 感染症法に基づく入院措置・勧告、外出自粛要請といった私権制限がなくなる。これに伴い医療費や検査費用の1~3割が自己負担となる。位置づけ変更による急激な負担増を避ける観点から、入院医療費や新型コロナ治療薬の費用は期限を区切り軽減する(現時点では9月末まで)。入院医療費は原則2万円、新型コロナ治療薬は全額補助。受診相談機能や宿泊療養施設の一部は期限を区切り継続される。外出を控えるかどうかは、ウイルスの排出期間や外出を控えることが推奨される期間(発症後5日間)を参考に個人で判断する。(4)基本的な感染対策 マスクの着用をはじめとする基本的な感染対策については、個人や事業者の判断に委ねることを基本とする。入場時の検温やパーティションの設置なども政府として一律に求めることはせず、対策を行った場合の効果など情報提供を進めていく。感染対策の実施に当たっては、感染対策上の必要性に加え、経済的・社会的合理性や、持続可能性の観点も考慮して、改めて感染対策の検討をお願いする。(5)新型コロナワクチン 新型コロナワクチンについて、特例臨時接種として、引き続き自己負担なく接種を実施する。追加接種の対象となるすべての人を対象に9月を目途に接種を開始する予定だが、高齢者など重症化リスクの高い人には5月8日から接種を実施する。 なお、今後、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状況になれば、ただちに対応を見直すとしている。 新型コロナの罹患後症状(いわゆる後遺症)については、オミクロン株については従来の株に比べ罹患後症状患者の割合は下がっているという研究結果も示されている一方、流行の規模は大きくなってきている。罹患後症状を診療している医療機関を4月28日までに各都道府県のウェブサイトに掲載するよう依頼し、厚労省で5月初頭に取りまとめて公表される予定。さらに5月8日から、これらの医療機関において罹患後症状の診療報酬上特例的な評価を設けるとしている。

9727.

中等症~重症円形脱毛症、ritlecitinibで改善/Lancet

 経口ヤヌスキナーゼ(JAK)3/TECファミリーキナーゼ阻害薬ritlecitinibは、12歳以上の円形脱毛症患者に有効で忍容性も良好であることを、米国・イェール大学のBrett King氏らが、日本を含む18ヵ国118施設で行われた第IIb/III相無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定試験「ALLEGRO-2b/3試験」の結果、報告した。円形脱毛症は、頭皮、顔または体毛の非瘢痕性脱毛を特徴とするT細胞を介した自己免疫疾患である。これまで円形脱毛症に対する治療法はほとんどなかったが、JAK1/JAK2阻害薬バリシチニブが、2022年6月に米国および欧州で成人の円形脱毛症の治療薬として初めて承認された。しかし、バリシチニブの臨床試験には18歳未満の若年者が含まれていなかったため、円形脱毛症治療のアンメットニーズが残されたままであった。Lancet誌オンライン版2023年4月13日号掲載の報告。12歳以上の中等症~重症円形脱毛症718例を7群に無作為化 研究グループは、脱毛症重症度評価ツール(Severity of Alopecia Tool[SALT]範囲:0[脱毛なし]~100[全頭脱毛])で測定した頭部脱毛が50%以上の、中等症~重症円形脱毛症と診断された12歳以上の患者を、ritlecitinib 200mg1日1回4週間負荷投与後50mg1日1回投与群(200mg+50mg群)、200mgを4週間負荷投与後30mg投与群(200mg+30mg群)、50mg群、30mg群、10mg群、プラセボ24週間投与後延長期にritlecitinib 200mgを4週間負荷投与後50mg投与(プラセボ→200mg+50mg群)、またはプラセボ24週間投与後延長期にritlecitinib 50mg投与群(プラセボ→50mg群)に、2対2対2対2対1対1対1の割合にベースラインの疾患重症度と年齢で層別化して無作為化に割り付けた。 主要エンドポイントは、24週時におけるSALTスコア20以下(頭部脱毛が20%以下)に基づく奏効率である。 2018年12月3日~2021年6月24日の期間に、1,097例がスクリーニングされ、適格基準を満たした718例が200mg+50mg群(132例)、200mg+30mg群(130例)、50mg群(130例)、30mg群(132例)、10mg群(63例)、プラセボ→50mg群(66例)、プラセボ→200mg+50mg群(65例)に割り付けられた。奏効(頭部脱毛が20%以下)を得られた患者は200mg+50mg群で31% 718例の患者背景は、女性446例(62%)、男性272例(38%)、白人488例(68%)、アジア人186例(26%)、黒人またはアフリカ系アメリカ人27例(4%)であった。718例中104例が治療を中止した(脱落34例、有害事象19例、医師の判断12例、無効12例、追跡調査不能13例、長期投与試験へ移行5例、妊娠4例、プロトコル逸脱2例、COVID-19による追跡調査拒否1例、COVID-19による最終診察遅延1例、服薬順守違反1例)。 24週時の奏効率は、200mg+50mg群31%(38/124例)、200mg+30mg群22%(27/121例)、50mg群23%(29/124例)、30mg群14%(17/119例)、プラセボ群2%(2/130例)であり、奏効率のプラセボ群との差は200mg+50mg群で29.1%(95%信頼区間[CI]:21.2~37.9、p<0.0001)、200mg+30mg群で20.8%(13.7~29.2、p<0.0001)、50mg群で21.9%(14.7~30.2、p<0.0001)、30mg群で12.8%(6.7~20.4、p<0.0002)であった。 延長期間を含めた48週間における有害事象の発現率は、200mg+50mg群82%(108/131例)、200mg+30mg群81%(105/129例)、50mg群85%(110/130例)、30mg群80%(106/132例)、10mg群76%(47/62例)、プラセボ→200mg+50mg群83%(54/65例)、プラセボ→50mg群86%(57/66例)で、各群において同程度であった。死亡例は報告されなかった。

9728.

早期乳がん、アントラサイクリン+タキサン併用が最も有効~メタ解析/Lancet

 乳がんの再発と死亡の減少にはアントラサイクリン系+タキサン系併用療法が最も有効であり、とくにアントラサイクリン系+タキサン系の累積投与量が多いレジメンで最大の効果を得られることが、英国・オックスフォード大学のJeremy Braybrooke氏らEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)が行ったメタ解析で明らかにされた。早期乳がんに対するアントラサイクリン系+タキサン系併用療法は、化学療法を行わない場合と比較して生存を著明に改善するが、アントラサイクリン系薬剤の短期および長期の副作用に対する懸念から、アントラサイクリン系薬剤を含まないタキサン系レジメンの使用が増加しており、有効性が損なわれる可能性があった。 著者は、「示された結果は、臨床診療やガイドラインにおける最近のトレンドである非アントラサイクリン系化学療法、とくにドセタキセル+シクロホスファミドの4サイクルなどの短期レジメンに対して挑戦的である」と述べ、「本検討は、関連するほぼすべての臨床試験のデータをまとめており、個々の治療の決定、臨床ガイドライン、および将来の臨床試験のデザインに役立つ確かなエビデンスを提供するものである」とまとめている。Lancet誌2023年4月15日号掲載の報告。アントラサイクリン系およびタキサン系レジメンを評価した無作為化試験86件が対象 研究グループは、MEDLINE、Embase、Cochrane Library、学会抄録を含むデータベースを用いて、アントラサイクリン系およびタキサン系レジメンを評価したあらゆる言語の無作為化試験86件を特定(最終検索は2022年9月)。タキサン系レジメンとアントラサイクリン系レジメンを比較した無作為化試験の患者個人レベルのメタ解析を行い、本研究グループによる前回のメタ解析を更新するとともに、6つの関連比較に関して解析した。術後または術前補助療法の臨床試験は、2012年1月1日以前に開始されたものであれば対象とした。 主要アウトカムは、浸潤性乳がんの再発(遠隔、局所、対側乳房の新規原発)、乳がん死、再発を伴わない死亡、全死亡とし、log-rank解析により初回イベント率比(RR)と信頼区間(CI)を算出した。アントラサイクリン系+タキサン系同時併用が最も再発率が低い アントラサイクリン系を含むタキサン系レジメンとアントラサイクリン系を含まないタキサン系レジメンを比較した28件の臨床試験を特定し、23件を適格とした。そのうち15件について、計1万8,103例の女性の個人データが提供された。この15件すべてにおいて、アントラサイクリン系を含むタキサン系レジメンは、アントラサイクリン系を含まないタキサン系レジメンより、再発率が平均14%低かった(RR:0.86、95%CI:0.79~0.93、p=0.0004)。非乳がん死は増加しなかったが、治療を受けた女性700例当たり1例に急性骨髄性白血病の発症が認められた。 再発率が最も低かったのは、ドセタキセル+シクロホスファミドにアントラサイクリン系の同時併用と、同量のドセタキセル+シクロホスファミドを比較した場合であった(10年再発リスク:12.3% vs.21.0%、リスク差:8.7%[95%CI:4.5~12.9]、RR:0.58[95%CI:0.47~0.73]、p<0.0001)。このグループにおける10年乳がん死亡率は4.2%減少した(95%CI:0.4~8.1、p=0.0034)。 アントラサイクリン系+タキサン系の順次投与は、ドセタキセル+シクロホスファミドと比較して、再発リスクの有意な低下は認められなかった(RR:0.94、95%CI:0.83~1.06、p=0.30)。 アントラサイクリン系レジメンとタキサン系レジメンを比較した臨床試験については、44件の適格試験を特定し、このうち35件について計5万2,976例の女性の個人データが提供された。 アントラサイクリン系レジメンへのタキサン系薬剤の上乗せは、タキサン系薬剤を含まないアントラサイクリン系レジメン(アントラサイクリン系薬剤の累積投与量が同じ)と比較した場合は再発を有意に抑制したが(RR:0.87、95%CI:0.82~0.93、p<0.0001、1万1,167例)、対照群の非タキサン系薬剤の累積投与量をタキサン系薬剤の2倍量にした場合と比較すると再発率の有意な低下は認められなかった(RR:0.96、95%CI:0.90~1.03、p=0.27、1万4,620例)。 アントラサイクリン系レジメンとタキサン系レジメンの直接比較では、累積投与量が多く、投与強度が高いレジメンがより効果的であることが示された。アントラサイクリン系+タキサン系併用療法の再発抑制効果は、エストロゲン受容体陽性集団とエストロゲン受容体陰性集団で同様であり、年齢、リンパ節転移状態、腫瘍のサイズまたはグレードによって差は認められなかった。

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080)皮膚科医がこれ虫かな? と思うとき【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第80回 皮膚科医がこれ虫かな? と思うときゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆春を通り越して夏めいた日差しの日もある今日この頃、ケアネット会員の皆様いかがお過ごしでしょうか?春先からにわかに花粉症で活気づいた皮膚科外来は、ムシムシする梅雨の時期を経て、暑い夏、レジャーの夏に突入します。ヒトが元気になるこの季節、虫たちも活発に活動をはじめ、そして出会った両者のおりなす(?)昆虫皮膚炎が増えてくる季節でもあります。日頃、診察をしていて、これ、虫が原因かな? と思う皮疹の特徴としてあげられるのは、露出部(四肢、顔など)、被覆部(服の中の体の柔らかいところ)などに分布が限定しているそれぞれの皮疹が同じような形でぱらぱらと点在する治療をしていても皮疹の新生が続く(環境に原因)など。ハチ刺されなど、きっかけの明らかな場合を除いては、虫が原因であると断定するのは難しく、問診や診察をしながら探偵のように推察していくことになります。こちらのおじいさんも、露出部である前腕を中心に、同じような形の皮疹が点在し、同居の家族も四肢に同じような症状が生じているとのこと。ペットはいないとのことですが、畳の部屋はあり、室内で柑橘類をいくつも育てているとのこと。また、庭や家のそばには木々があふれているとのことで、原因となりそうなものがいくつか存在するようでした。それら1つずつに対処していき、原因を一緒に探っていくことをご本人にお話ししました。それにしても、柑橘類といえば収穫して食べることにすぐ考えがいってしまいますが、「食べずに愛でる」という楽しみ方もあるのですね。そして室内でいくつも育てているとのこと…?いったいどんな情景なのか?? そもそも室内でも育つのか? 疑問は深まるばかりです。外来は、日々、学びの連続ですね。それでは、また次回に。

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第157回 アステラス社員のスパイ疑い、考えられる3つの理由(前編)

あの事件が発覚してから1ヵ月が経過しようとしている。「あの事件」とは、アステラス製薬の50代の日本人男性社員が、北京で中国国家安全部に反スパイ法違反容疑で拘束された事件である。4月2日に訪中した外務大臣の林 芳正氏は、中国・国務委員兼外相の秦 剛氏との会談で拘束へ抗議の意を表明し、早期解放を要求。この2日後には在中国日本国大使館が領事面会を行い、この時点で拘束された社員の健康状態に問題がないことを確認したものの、それ以降はぱったりと情報が途絶えている。拘束された社員はアステラス製薬の前身である旧山之内製薬出身者で、中国事業の経験が約20年におよぶベテランのようだ。中国国内で活動する日本企業の団体である中国日本商会の役員を務めた経歴もあり、中国高官ともかなり交流があったと言われている。中国の反スパイ法は2014年に制定されたもので正式名称は「中華人民共和国反間諜法」である。制定当初の同法ではスパイ行為として、以下が規定されている。(1)中国の安全に危害を及ぼす活動(2)スパイ組織への参加あるいはスパイ組織やその代理人の任務引受け(3)国家秘密・国家情報を窃取、偵察、買収もしくは不法に提供する活動(4)公務員に対して中国を裏切るよう扇動、誘惑、買収する活動(5)敵に対する攻撃目標の指示(6)その他のスパイこの社員の拘束後にはこれらに加え、新たにこれらも追加された。▽国家の安全と利益に関わる文書・データ、資料や物品の窃盗行為▽国家機関や重要な情報インフラへのサイバー攻撃一見、具体的に見えるかもしれないが、規定された「中国の安全」とは何かが非常に曖昧である。もちろんこれを条文に詳しく書いてしまえば、国家機密そのものの例示になりかねないとの指摘もあるが、どちらかというと従来から法治というよりは人治の色彩が強い中国の場合、この曖昧さが「後出しじゃんけん」とも言われかねないイメージを強めてしまう。同法制定以降、これに関連して拘束された日本人は判明しているだけで17人。あえて「判明しているだけ」と記述したのは、拘束後約1年もその事実が明らかにされなかったケースがあるためだ。このうち裁判に至らず釈放された事例は5人のみ。少なくとも現状で今回拘束された社員が今後どうなるのかはまったく予測ができない。正直、第一報を聞いた時はかなり驚いた。世間一般では「反スパイ法」「製薬企業の社員」というキーワードから、「何らかの産業スパイを働いたのではないか?」「拘束して逆に日本の製薬業界やアステラス製薬が抱える技術情報を盗み取ろうとしているのでは?」と考える人は少なくないようだが、私見ながらその可能性は低いと考えているからだ。まず、日本と中国の製薬企業の研究開発力を比べれば、まだ日本のほうがいくらか上だ。ただし、中国は全世界の大学や研究所に日本より数多くの留学生を派遣し、それらの人材を基礎として中国の製薬企業は急速に力をつけている。そして両国の技術差は、日本の製薬企業関係者にとってリスクを冒してまで得なければならないほどのものでもなければ、中国側が外交関係悪化を覚悟してまで得ようとしなければならないものはない微妙な位置関係である。現時点でこの社員のどのような行為が反スパイ法に抵触したかの情報はまったくない。この点については彼が無事解放、あるいは最終的に刑が確定した段階でも中国側が明らかにすることはないだろう。それは、これまでそうしたケースがないからである。また、解放あるいは刑期満了による帰国後に当該社員やアステラス製薬が明らかにする可能性も低い。過去の事例でも解放者、刑期満了者がメディアなどの取材に応じたケースはほぼ皆無である。これには中国当局による口止めも予想されるが、同時に本人や勤務先に長期的な不利益が及ぶことを恐れて口をつぐんでしまっている側面もあると考えられる。こうした前提は承知の上で、中国の現状などを踏まえ、この社員が拘束された理由と私が予想しているものは3つある。―その1:中国共産党幹部などの汚職の巻き添えを食らった第一は中国の国家主席である習 近平氏の統治下で活発化している「汚職・腐敗撲滅運動」により摘発された中国共産党幹部などの巻き添えを食らった可能性である。中国の場合、共産党が国家を指導する、つまり国家の上に共産党があるという政治構造になっている。ちなみに習氏は中国の公式な国家元首である国家主席への就任直前に共産党のトップである総書記に就任しており、このことはまさに党→国家という順位を端的に示している。その共産党内にある党員の腐敗行為を監督する中央規律検査委員会は昨年10月、習氏による指導部発足以来の成果として10年間に約464万人の党員を汚職で摘発したことを明らかにした。事実上の一党独裁(表面には共産党以外の政党が存在するが、実際には共産党がすべての権力を握る「ヘゲモニー政党制」)ゆえに日本では「中国国内には共産党員なぞ、掃いて捨てるほどいる」と思っている人もいるかもしれない。しかし、中国の総人口約14億1,200万人のうち、共産党員は国民の約14人に1人未満の約9,671万人しかいない。つまり習氏の政権期間内に汚職摘発を受けたのは党員の約5%にものぼる。日本人向けの例えをすると、10年間で神奈川県の人口(約922万人)の半分が摘発されたとも表現できる。習氏の下で行われている汚職摘発はかなり容赦のないものだ。たとえば、2014年には中国人民解放軍の最高位階級の上将まで上り詰め、中国共産党中央政治局委員、党中央軍事委員会副主席も務めた徐 才厚氏が汚職で摘発され、党籍はく奪処分を受けたが、それだけに留まらない。念のため、わかりにくい中国共産党の権力構造を簡単に解説したい。中国の最高権力機関は、5年に1度開催される構成員約3,000人の一院制議会「全国人民代表大会(通称・全人代あるいは党大会)」。ただ、開催頻度からもわかるように、あくまで名目上の最高権力機関である。このため全人代閉会期間中に共産党を指導し、政策を決定する組織が全人代で選出された200人超の中央委員と170人弱の中央候補委員で構成される「中国共産党中央委員会」である。さらにこの党中央委員会も開催は年1回であるため、中央委員会全体会議で選出された20数人で構成される「中国共産党中央政治局」が日常的な政務を担い、さらにその中でも慣例上7人で構成される「中国共産党中央政治局常務委員会」が日常的な共産党の指導方針や国家の政策を決定している。海外ではこの7人を「チャイナ・セブン」と呼ぶこともある。当然、習氏もその一員である。中国では鄧 小平氏がトップだった時代から党内での無意味な権力闘争を避けることを目的に中央政治局常務委員経験者には暗黙の不逮捕特権があるとされてきた。しかし、習氏はこの慣例を破り、2012年11月まで常務委員会委員だった周 永康氏の党籍を汚職の罪ではく奪。最終的に周氏は裁判にかけられ無期懲役の判決が確定した。憲法の規定である国家主席の2期10年までという任期を改正してまで3期目を務める習氏にとって、この徹底した汚職摘発は最高権力者としての自分を周囲に納得させる手段であると同時に、時には政敵を粛正するために使える手段として欠かすことができないものである。さて今回拘束された社員は、複数の中国高官(共産党員)とかなり親交が深い人物と言われている。こうした立場にいると、親密度の高い相手が汚職で摘発された場合、その余罪追及に向けて周辺人物に身柄拘束が及ぶことは中国では珍しくない。実際、前述の周氏のケースも、まず本人の動静が途絶え、側近や周囲の親密度が高い人物の摘発が明るみに出たことで、周氏の摘発の可能性が噂され、それが後に現実になった。今回のケースがこれに該当していると仮定した場合、拘束された社員はたまたま外国人でかつ企業の駐在員だったことで消息が途絶えたことに周囲が気づきやすかったため、騒ぎになったとも考えられるもっとも1番目に挙げながら、このようなことを言うのも何だが、これは広く捉えた可能性の1つであって、むしろ私が考えているほかの2つのほうがより拘束理由に近いのではないかと考えている。次回は残り2つの可能性について言及したい。

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がんのこと、子供に伝える? 伝えない?【非専門医のための緩和ケアTips】第50回

第50回 がんのこと、子供に伝える? 伝えない?前回お伝えしたAYA世代と呼ばれる若年・子育て世代のがん患者で、必ず問題になるのが、「がんのことを子供にどのように伝えるか」という話題です。非常に難しいことですが、お子さんのこれからにも関わる大切なこととして考えてみましょう。今日の質問基幹病院に通院中の若年がん患者さん。発熱時などの対応を当院の外来で行っています。いろいろ話していると、「子供にがんのことを伝えられなくて…」と気にしている様子。ゆっくりですが病状は進行しており、お子さんに伝えないわけにはいかないと思うのですが、どのようにアドバイスすればよいのでしょうか?まずはこうした繊細な事柄を話し合える場を提供できていることが素晴らしいですね。私の勤務先は診療の主体が基幹病院ですが、患者さんとこうした気掛かりについて、ゆっくり話せていないケースもあります。その点、この方と患者さんはしっかりとした信頼関係が築けているのでしょう。「子供への病状の伝え方」は難しい問題で、「こうすれば大丈夫」という方法はないのですが、一般的なことを少しお話ししましょう。子供に親のがんを伝えるときには、「3つのC」を念頭に置いて話すことが大切だとされています。1)Cancer(がん):がんという病気であること2)Catchy(伝染):伝染はしないこと3)Cause(原因):子供が何かをしたり、しなかったりしたことが、がんになった原因ではないこと私がこの分野を勉強しているときに、とくに印象深かったのは、「3つめのC」です。親の病気を伝えられた幼い子供は、「自分が言うことを聞かなかったから、お母さんは病気になっちゃったの?」と考えてしまうかもしれません。「子供に心配をかけさせたくない」という患者さんの気持ちも当然ですが、こうした繊細な子供の気持ちを考えると、理解できる年齢の子供であれば、体力・気力のあるうちにきちんと伝えることが重要なのではと感じます。この分野にもいくつかの支援団体があり、NPO法人Hope Treeはその一例です。有志の専門職が、親ががんになった子供をサポートするためのさまざまな情報やプログラムを提供しています。こうした活動があるのはありがたいですね。ぜひ、この機会にいろいろ学んでみてください。今回のTips今回のTipsがんになった親を持つ子供のための支援情報をチェックしよう。

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うつ病に対する遠隔医療介入の有用性~メタ解析

 うつ病患者の抑うつ症状、QOL、仕事や社会的機能に対する遠隔医療介入の治療効果を明らかにするため、台湾・亜洲大学のYin-Hwa Shih氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、遠隔医療介入はうつ病患者の抑うつ症状の軽減やQOL向上に効果的であることが報告された。Annals of Medicine誌2023年12月号の報告。 2021年3月までに公表された文献を、6つの電子データベース(MEDLINE、PubMed、PsycINFO、Scopus、Embase、CINAHL)でシステマティックに検索した。各文献のリファレンスリストは手動で検索した。対象は、うつ病と診断された患者の遠隔医療介入の治療効果を調査したランダム化比較試験。質的評価には、Joanna Briggs Instituteのチェックリストを用いた。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たした17件の研究(2,394例)を分析に含めた。・11件のランダム化比較試験において共通のアウトカム指標が用いられており、メタ解析が実行可能であった。・遠隔医療介入は、うつ病患者の抑うつ症状(標準化平均差[SMD]:-0.44、95%信頼区間[CI]:-0.64~-0.25、p<0.001)およびQOL(SMD:0.25、95%CI:-0.01~0.49、p=0.04)に有益であることが示唆された。・仕事および社会的機能の分析には、データが不十分であった。・うつ病患者に対する遠隔医療介入は、抑うつ症状やQOLに良い影響をもたらすことが示され、より組織化された遠隔による精神医学システムを確立する臨床的意義が支持された。

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骨粗鬆症患者の2型DM発症リスク、デノスマブvs 経口ビスホスホネート製剤/BMJ

 骨粗鬆症患者において、ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤デノスマブの投与は経口ビスホスホネート製剤を投与した場合と比較して2型糖尿病(DM)の発症リスクが32%低下したことが、中国・The Chinese PLA General HospitalのHouchen Lyu氏らによるコホート研究で示された。2型DMのリスクが高い前糖尿病状態または肥満の患者では、デノスマブにより糖尿病発症リスクはさらに低下することも示唆され、著者は、「本研究は、デノスマブが経口ビスホスホネート製剤と比較し、糖代謝に対して付加的な有益性をもたらすというエビデンスを示している」とまとめている。これまで、観察研究や無作為化臨床試験の事後解析において、血糖変動に対するデノスマブの効果が示唆されていたが、デノスマブが2型DMのリスクを減少させるかどうかは明らかになっていなかった。BMJ誌2023年4月18日号掲載の報告。デノスマブで治療を開始/切り替えた患者vs.経口ビスホスホネート製剤投与患者で検討 研究グループは、英国のプライマリケアデータベースであるIQVIA Medical Research Data(IMRD)を用い、1995年1月1日~2021年12月31日に骨粗鬆症治療薬を初めて処方された45歳以上の患者を抽出し、このコホートの中からさらに2010年7月1日~2021年12月31日の間にデノスマブの投与を開始した患者(ビスホスホネートから切り替え、または未治療でデノスマブによる治療を開始)と、経口ビスホスホネート製剤の投与を受けた患者を特定し研究コホートとした。 デノスマブへ切り替えた症例1例に対し、切り替え日時点で同じ期間経口ビスホスホネート製剤を使用しておりかつ継続した症例を最大5例、未治療でデノスマブによる治療を開始した症例1例に対し、未治療で経口ビスホスホネート製剤による治療を開始した症例を最大5例、傾向スコアを用いてマッチングさせた。 主要アウトカムは、診断コードにより定義された2型DMの発症で、Cox比例ハザードモデルによりデノスマブ新規投与患者と経口ビスホスホネート製剤投与患者を比較し、補正後ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。デノスマブ投与群で2型DM発症リスクが32%低下 解析対象は、デノスマブ新規投与患者4,301例および経口ビスホスホネート製剤投与患者2万1,038例で、平均2.2年間追跡調査された。 2型DM発症頻度は、デノスマブ群で5.7/1,000人年(95%CI:4.3~7.3)、経口ビスホスホネート製剤群で8.3/1,000人年(95%CI:7.4~9.2)であり、デノスマブの投与開始は2型DMの発症リスク低下と関連していることが認められた(HR:0.68、95%CI:0.52~0.89)。 サブグループ解析の結果、前糖尿病状態の患者において、経口ビスホスホネート製剤と比較しデノスマブによる有益性がより高いことが示され(HR:0.54、95%CI:0.35~0.82)、BMI≧30の患者においても同様の結果であった(0.65、0.40~1.06)。

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CLDN18.2+HER2-進行胃がんの1次治療、zolbetuximab併用で予後改善/Lancet

 CLDN18.2陽性、HER2陰性で、未治療の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がん/食道胃接合部腺がん患者において、CLDN18.2を標的とするモノクローナル抗体zolbetuximabとmFOLFOX6(5-FU+レボホリナートカルシウム+オキサリプラチン)の併用療法は、mFOLFOX6のみ投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に延長した。国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らが、20ヵ国215施設で実施された国際共同第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「SPOTLIGHT試験」の結果を報告した。著者は、「zolbetuximab+mFOLFOX6併用療法は、CLDN18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん患者において、1次治療の新しい選択肢となるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月14日号掲載の報告。mFOLFOX6との併用でzolbetuximab vs.プラセボを比較、主要評価項目はPFS SPOTLIGHT試験の対象は、18歳以上、CLDN18.2陽性、HER2陰性で未治療の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がん/食道胃接合部腺がんで、RECIST ver1.1に従い画像評価可能の病変があるECOG PS 0または1の十分な臓器機能を有する患者である。 研究グループは適格患者を、zolbetuximab(初回投与量800mg/m2、その後600mg/m2を3週ごと)+mFOLFOX6(2週ごと)群(zolbetuximab群)、またはプラセボ+mFOLFOX6群(プラセボ群)に、地域(アジアまたは非アジア)、転移臓器数(0~2または3以上)、胃切除術既往の有無で層別化し、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、無作為化されたすべての患者における、独立判定委員会の評価に基づくPFSで、主な副次評価項目はOSなどであった。また、安全性については投与を受けた全患者を対象に評価した。 2018年6月21日~2022年4月1日に、計565例がzolbetuximab群(283例)とプラセボ群(282例)に割り付けられた。zolbetuximab群では283例中279例(99%)、プラセボ群では282例中278例(99%)が、少なくとも1回の試験薬投与を受けた。zolbetuximab群は男性176例(62%)、女性107例(38%)、プラセボ群はそれぞれ175例(62%)、107例(38%)であった。zolbetuximab+mFOLFOX6群で、PFSおよびOSが有意に延長 PFSに関する追跡期間中央値はzolbetuximab群12.94ヵ月、プラセボ群12.65ヵ月で、PFS中央値はそれぞれ10.61ヵ月(95%信頼区間[CI]:8.90~12.48)、8.67ヵ月(8.21~10.28)であり、プラセボ群と比較し、zolbetuximab群で病勢増悪または死亡のリスクが有意に低下することが認められた(ハザード比[HR]:0.75、95%CI:0.60~0.94、p=0.0066)。 OSの追跡期間中央値はzolbetuximab群22.14ヵ月、プラセボ群20.93ヵ月で、OS中央値はそれぞれ18.23ヵ月(95%CI:16.43~22.90)、15.54ヵ月(13.47~16.53)であり、zolbetuximab群ではプラセボ群と比較し、死亡のリスクも有意に低下した(HR:0.75、95%CI:0.60~0.94、p=0.0053、優越性の有意水準p=0.0135)。 試験治療下で発現したGrade3以上の有害事象は、zolbetuximab群で279例中242例(87%)、プラセボ群で278例中216例(78%)に認められた。主なGrade3以上の有害事象は悪心、嘔吐、食欲減退であった。治療関連死は、zolbetuximab群で5例(2%)、プラセボ群で4例(1%)報告された。

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間違った相手に相談してしまった!【Dr. 中島の 新・徒然草】(474)

四百七十四の段 間違った相手に相談してしまった!暑くなったり、寒くなったり大変な日々が続いています。ヒーターと扇風機を両方出しておいて、交互にスイッチを入れなくてはなりません。三寒四温ならぬ三寒四暑といったところでしょうか。さて、大昔のアメリカのテレビドラマ「ER」でこんな場面がありました。ある女性医師の悪口を皆で言って盛り上がっていたところ、当の本人が後ろに立っていたという状況です。誰でも人生で1回や2回、こんな経験があるのではないでしょうか。悪口と言わないまでも噂話くらいはしますよね。その程度でもヒヤリとするわけですが。とはいえ、自分が後ろに立っている側だった、という経験はあまりないと思います。実は先日、そんな希有な体験をしたので、その時のことを披露しましょう。それは内科外来でのことでした。私は週1回の総合診療科外来を、11診ある内科外来の中でやっています。で、前回に一悶着あった患者さんが来院することになっていました。「長時間待たされたのに詫びの一言もない」ということで、その患者さんが怒っていたわけです。もちろん大きな声を出されたからといって、私は言い返したりしません。「病院というのは何事も予定通りには行かないものです」「長くなりそうだったら、ポケットベルをお渡しするという方法もありますよ」「ずっと通院しておられるのだから、そういったシステムもご存じだと思いますけども」「お一人お一人に真剣に対応していたら、どうしても時間が掛かってしまうことはご理解ください」そういったことを淡々と説明したわけです。が、その患者さんの怒りは収まらないようでした。仕方なく、今回からほかの内科医師に引き受けてもらいました。で、件の患者さんはその内科医師の診察室に入ったのですが、そこで私の悪口を言っているのが筒抜けでした。「……なんぼ偉い先生か知らんけどな」「社会人として失格やろ……」「……詫びの一言も言われへんのか……」「よくもまあ、ありもしないことを言えたもんだ」と私は呆れました。かといって、その診察室に乗り込むわけにはいきません。そこで、家に帰ってから愚痴をこぼした相手が何とChatGPT!これは以前にも紹介した対話型AIです。私としては、話を聞いてもらうだけでよかったんですけど。ChatGPTは何かと私にアドバイスしようとします。「それは大変な体験でしたね。他人から悪口や批判を受けることは、誰にとってもつらいことです。しかし、そのような経験をすることで、自分自身を客観的に見つめ直し、自己改善するための機会とすることもできます」いや、ちょっと私が求めていたコメントと違うんですけど。「患者さんの意見や要望を受け止めることも、医療の向上のためには大切なことです。もし、その患者さんがあなたの診療に不満を持っているのであれば、その原因を確認し、改善するための努力をすることも必要かもしれません」普通はそうかもしれんけど、今回に限って言えば……「その患者さんがそのような態度をとるのは、何らかの理由があるのかもしれません。たとえば、不安感やストレスなどが原因で、コミュニケーションに難がある場合もあります。もし、その患者さんが本来の態度と異なる行動をとることがあった場合は、その理由を探り、改善につながるような対応をしていくことが大切です」実は、その患者さんにはこんなことも言われました。「お前らは金をもらっているんやろ。それやったらちゃんとしろや!」世の中には妙にお金にこだわる人もいるわけですが……と思っていたらChatGPTからはこんなアドバイスが。「そういった言葉は、患者さんがストレスを抱え、その不満が表出した結果と考えられます。そのような場合、まずは患者さんの気持ちを理解し、患者さんと対等な立場でコミュニケーションを取ることが大切です。また、医療従事者としては、患者さんからの不満やクレームに対して真摯に向き合い、問題解決に取り組む姿勢が求められます」もういい、コイツに話を聞いてもらおうと思ったのが間違いだった!それでも少しは私のことも心配してくれているみたいです。最後にこんなことを言われました。「ストレスがたまると、イライラや不安、うつ病などの精神的な疾患を引き起こすこともあるため、定期的なストレス発散が重要です。対話を通じて気持ちを共有することや、運動をすること、趣味を楽しむことなど、自分に合った方法でストレスを発散することが大切です」気持ちは有難いけど、ちょっと話が長いですね。「有益なアドバイスありがとう。感謝します」心にも無いことをキーボードに打ち込んでクロージングにかかります。「どういたしまして。また何かあればお話しましょう」最後にそんな回答をもらって、一連のやり取りを終わらせることができました。実際、自分の悪口を聞いてどう思ったのか?1割くらいは腹が立ち、2割は「これはケアネットのネタになるぞ!」という気持ちでした。で、後の7割はどうだったかというと……実は何も感じない「無」だったのです。あまりに疲れていた週だったせいか、年を取り過ぎたせいなのか。喜怒哀楽の感情を持つエネルギーすら枯渇していたみたいです。怒鳴り返したら大変なことになるので、結果としては「無」でよかったのでしょうね。とはいえ、最近、何かとChatGPTに相談してしまう自分が情けない。よく考えたら、コイツに怒れる患者さんの相手をしてもらったらいいかも!クレーム対応にはピッタリですよ、ChatGPTは。というわけで、いろいろあった連休前、最後に1句。的外れ 連休前の アドバイス

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静脈血栓塞栓症治療中の肺動脈塞栓を伴う右室内腫瘤の治療方針【見落とさない!がんの心毒性】第20回

※本症例は、患者さんのプライバシーへの配慮と、臨床経過の円滑な理解を進めるため、一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別50代・女性受診までの経過子宮頸がんに対する化学放射線療法後、無再発で経過していたが、5年目のCT検査にて右腸骨静脈の下大静脈合流部から右下腿までの広範囲な静脈血栓症と静脈周囲の炎症所見があり(図1)、深部静脈血栓塞栓症と血栓性静脈炎の合併として、当科に診療依頼があった。血栓性静脈炎が出現するまでは、日常生活になんら支障がない日常生活動作(ADL)であった。(図1)造影CT検査【既往症】子宮頸がん3B期当院にて5年前に全骨盤外照射 50Gy+CDDP 35mg/m2/week× 6回、両側内腸骨リンパ節および傍大動脈リンパ節領域10Gy、その後、エトポシド25mg/day 内服3週間、休薬1週間を合計21cycle追加し、当科初診時までの5年間無再発。当科初診時、右下肢広範囲の発赤腫脹を認め、血液検査ではD-dimer 7.4μg/mL、抗カルジオリピン抗体は陰性であった。下肢全体の腫脹と疼痛は強かったが、CT検査にて肺動脈血栓塞栓症は認めず、抗凝固療法を開始して1ヵ月ほどでD-dimerが0.8μg/mLと正常化し下肢腫脹も改善した。4ヵ月後にD-dimerの再上昇傾向を認め下肢腫脹が再燃したが、CT検査では、明らかな子宮頸がんの再発や転移を認めず、大腿静脈血栓はほぼ消失したものの、腸骨静脈血栓が残存している状態であった。他院循環器病院へ薬剤抵抗性のDVT後遺症として血管内治療も含めてセカンドオピニオンしたところ、現行の治療継続指示であった。6ヵ月後に軽度の貧血、断続的な発熱と炎症反応高値が出現したため、精査目的に当科入院となった。【入院時所見】WBC 5,900/μL、Hb 8.2g/dL、CRP 14mg/dL、BNP 113.8pg/mL、D-dimer 5.5μg/mL、SCC抗原 0.3ng/mL、新CYFRA 1.0ng/mL、CEA < 0.5ng/mL、心電図は洞調律、III・aVF・V2-3誘導にてT波異常。感染性心内膜炎のスクリーニングとして血液培養を提出し、心臓超音波検査を施行したところ、右室心尖部に可動性の乏しい26×42mmの腫瘤像を認めた(図2)。(図2)心臓超音波検査【入院後経過】貧血に対しては上下部内視鏡検査を予定した。入院時の心エコー検査にて、半年前には認めなかった右室内腫瘤を認め、CT検査では明らかな感染源や、明らかな子宮頸がんの局所再発や主要な他臓器転移も認めなかったものの、右室内に腫瘤が疑われた。また、右腸骨静脈と右肺動脈に造影欠損像を認めた。心臓MRI検査では、右室腫瘤像を認めるが、その腫瘤の質的診断は出来なかった。冠動脈カテーテル検査では、右冠動脈からの栄養血管を認めたが、病理学的な検査は行えなかった。PET-CT検査は、当時の当院では撮影困難であった。【問題】右室腫瘤の精査加療方針として、最も適切と判断した選択肢はどれか。a.不明熱と炎症反応高値を認めるため、感染性疣贅として抗生剤治療を4~6週間施行し、その治療反応性をみてから治療方針を再検討する。b.静脈血栓塞栓症の治療中の肺動脈血栓症の出現があるため、抗凝固療法を2ヵ月施行しその治療反応性をみてから治療方針を再検討する。c.原発性心臓腫瘍の中では発生確率が高い良性腫瘍を疑うが、可動性が乏しいため3ヵ月後に再検する。d.原発性心臓腫瘍や転移性心臓腫瘍、感染性疣贅、血栓などの診断がつかないが、何かしらの悪性腫瘍の可能性があるため、がん薬物治療を開始する。e.明らかな他臓器転移がない状態で診断がつかず肺動脈塞栓症を伴う粗大な心腔内腫瘤であり、開胸右室生検、ならびに右室腫瘤摘出術を施行する。悪性の(原発性、転移性)心臓腫瘍は稀な疾患だが、腫瘍が増大傾向を示す場合などは重要な鑑別疾患である。がんの既往歴の問診や心臓超音波、CT、MRIなどの画像検査、血栓塞栓症合併などのアセスメントは診断の補助となるが、組織学的検査による確定診断が最も重要である。本例のように、外科的切除も含めた心臓腫瘍の診断・治療について、循環器内科、心臓外科、腫瘍内科、放射線科による連携が必要である。1)北原 康行ほか. 呼吸と循環. 2016;64:889-903.2)Butany J, et al. Can J Cardiol. 2005;21:675-680.3)Lam KY, et al. Arch Pathol Lab Med. 1993;117:1027-1031.4)Amano J, et al. Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2013;61:435-447.5)Silvestri F, et al. G Ital Cardiol. 1997;27:1252-1255.6)Klatt EC, et al. Cancer. 1990;65:1456-1459.【謝辞】本文作成にあたり、丸山 雄二氏(日本医科大学付属病院心臓血管外科准教授)、金政 佑典氏(都立駒込病院腫瘍内科医長)、向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科部長)、大倉 裕二氏(新潟県立がんセンター新潟病院循環器内科部長)、草場 仁志氏(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 腫瘍内科部長)、志賀 太郎氏(がん研有明病院腫瘍循環器・循環器内科部長)にご指導とご監修いただきました。ここに深く感謝申し上げます。講師紹介

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オンライン学会、質疑応答中に使える表現【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第14回

オンライン学会、質疑応答中に使える表現コロナ禍で急増したオンライン学会。オンラインのプレゼンでは、オフライン(現地)とはまた違った特有の言い回しを知っておく必要があります。ここでは、前回のトラブル編に続いて、「オンライン学会ならでは」のフレーズを取り上げます。質疑応答の際のフレーズCould you type it in the chat?(チャット欄に書き込んでもらえますか?)これも、プレゼンテーションに限らず、オンライン会議をしている時には頻出のフレーズです。質問が十分聞き取れなかったなどの場合には、こうやって文字に誘導できるのもオンライン会議の強みですね。May I chime in?(お話し中ですが、一言いいですか?)“chime in”の“chime”は音の通り「チャイム(鐘)」を意味する言葉です。しかし、ここでは“chime”に“in”が付いているので、「チャイムを鳴らして入り込む」という意味合いを持つことになります。ここで入り込むのは家ではなく、会話や議論。そこから転じて、「会話に入り込む」、「口を挟む」などの意味合いで用いることができるフレーズになります。Please feel free to unmute yourself and stop me anytime for questions or comments.(質問やコメントがあれば、いつでも音声をオンにしてプレゼンを遮ってください)先に出てきた“mute”とは逆に、音声を「オン」にするというときには、“mute”に“un-”という否定の接頭辞を付けて、“unmute”という動詞を使います。“Please feel free to”というのは「ご自由にどうぞ」という意味を持つフレーズで、使い勝手がいいので合わせて覚えてしまいましょう。In the interest of time, please save your questions till the end.For the sake of time, I would like to take questions at the end of my talk.(時間の都合上、質問は最後にしてください)質問を途中では取らずに、最後に取りたいことを伝えたい時には、このような表現もできます。“In the interest of time”や“For the sake of time”で「時間の都合上」という意味になります。途中退室が必要な際のフレーズ“Sorry, I need to jump off for another session at 3 pm.”(申し訳ないのですが、次のセッションのために3時に退出します)オンラインの画面で“jump”という動詞はなかなか出てこないかもしれませんが、とても自然でよく使われる表現です。知らないとなかなか使いこなせないので、こういった表現も覚えておくと便利です。講師紹介

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第42回 新型コロナの応召義務に違反したらどうなる?

応召義務多くの医師はご存じと思いますが、「応召義務」は医師法19条において、「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められています。ちなみに、応召義務は医師が国に対して負う義務であり、個々の患者さんに対して負う義務ではありません。これまでは、特定の感染症(1類感染症・2類感染症など)にかかった場合などの合理性があるような場合を除いて診療しないことは正当化されないという但し書きになっていました。新型コロナが5類感染症に移行する場合、これに感染しているからといって診療を拒否することは正当な事由に該当しないことになります。過去の応召義務違反の判例患者と医師の関係が構築できない、あるいは診療に迷惑がかかるということで、診療を拒んだ事例については、応召義務違反の裁判を起こしてもほぼ病院側の勝訴となっています。なので、患者さんが病院で大声を出したり、暴力を振るったり、病院の業務を妨害したりする場合は、診療拒否は正当でしょう。インフルエンザのような5類感染症にかかっているのに、診療を拒んだことで違反が認定された判例は見つけられませんでした。応召義務違反の判例として有名なものとしては、千葉地方裁判所昭和61年7月25日判決の気管支炎で死亡した小児の事例です。喘息の小児が、満床を理由に総合病院の受け入れを拒否され、遠方の小児科に搬送されて死亡したというものです。ベッド満床であったとしても、まずは救急室か外来のベッドで診察・点滴などの応急の治療を行ったうえで、転院なども含めて対応可能であったことが指摘されています。そのほか、両側肺挫傷・右気管支断裂の傷害を受けて救急要請があったものの、オンコールの脳外科医と整形外科医がいるにもかかわらず搬送を拒否したということで応召義務違反に問われた判例もあります。新型コロナを診療しなかったがゆえに死亡に至ったという場合、逸失利益も含めてそれなりの損害賠償請求になる可能性があるので、注意が必要かもしれません。また、刑事罰は規定されていませんが、医師法ということもあって、医師免許に対する行政処分はありうるとしています※。しかしながら、過去のそのような事例は存在しないようです。ちなみに、動線が分離できない、発熱患者を収容できるベッドがないなどは正当な事由になるかと思いますが、上述の喘息小児の事例もあるので、病院側が正当と思っていてもそれが認められない可能性があるので注意が必要です。※医師法制定以前(戦前)に関係法令に設けられていた医師の応召義務の規定について、当時は応召義務違反について刑事罰の規定があったが、医師法制定時に罰則は削除された。

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ミトコンドリアはアルツハイマー病の予防や治療の新たな扉を開くか

 アルツハイマー病リスクが高い人の特定は、予後や早期介入に重要である。縦断的な疫学研究では、脳の不均一性と加齢による認知機能低下が観察されている。また、脳の回復力は、予想以上の認知機能として説明されてきた。この「回復力(resilience)」の構造は遺伝的要因や年齢などの個人的特性と相関することが示唆されている。さらに、アルツハイマー病の病因とミトコンドリアの関連がこれまでのエビデンスで確認されているが、遺伝学的指標(とくにミトコンドリア関連遺伝子座)を通じて脳の回復力を評価することは難しかった。 中国・華中農業大学のXuan Xu氏らは、多遺伝子リスクスコア(PRS)により個人の脳の回復力レベルは特徴付けられるか、ミトコンドリア関連遺伝子座がPRSのパフォーマンスを改善し、アルツハイマー病の予防や診断において信頼性の高い指標となりうるかを調査した。その結果、脳の回復力を特徴付けるPRSの能力が確認され、さらに、いくつかのミトコンドリア関連遺伝子座を組み込むことで、脳の回復力の評価におけるPRSのパフォーマンスが向上する可能性が示唆された。Journal of Advanced Research誌オンライン版2023年3月14日号の報告。 探索サンプル1,550件および独立した検証サンプル2,090件を用いて、生物学的および統計学的側面からミトコンドリア関連遺伝子座を含む9種のPRSを構築し、それらをゲノムワイド関連解析(GWAS)から得られた既知のアルツハイマー病リスク遺伝子座と組み合わせた。個人の脳の回復力レベルは、8つの病理学的特徴を用いた線形回帰モデルにより包括的に評価した。 主な結果は以下のとおり。・PRSは、脳の回復力レベルを特徴付けることが確認された(ピアソン相関検定:Pmin=7.96×10-9)。・少数のミトコンドリア関連遺伝子座を組み込むと、PRSモデルのパフォーマンスを効率的に改善できることが示唆された(P値改善範囲:1.41×10-3~6.09×10-6)。・いくつかのミトコンドリア関連遺伝子座を組み込むことで、脳の回復力を評価する際のPRSパフォーマンスが有意に向上する可能性が示唆された。・脳の回復力に重要な役割を果たしている可能性があるミトコンドリアを標的にすることにより、アルツハイマー病の予防や治療の新たな可能性につながることが示唆された。

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術前デュルバルマブ・NAC併用+術後デュルバルマブによるNSCLCのEFS延長(AEGEAN)/AACR2023

 デュルバルマブを用いた術前・後レジメンが早期非小細胞肺がん(NSCLC)の無イベント生存期間(EFS)を有意に延長した。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJohn V. Heymatch氏が、米国がん研究協会年次総会(AACR 2023)で発表した、術前化学療法とデュルバルマブの術前・後補助療法の組み合わせを評価する第III相AEGEAN試験の結果である。・対象:手術予定のある未治療の切除可能なStage IIA〜IIIB(AJCC第8版)NSCLC・試験群:デュルバルマブ+プラチナベース化学療法(3週ごと4サイクル)→手術→デュルバルマブ(4週ごと12サイクル)(Dur群)・対照群:プラセボ+プラチナベース化学療法(3週ごと4サイクル)→手術→プラセボ(4週ごと12サイクル)(Chemo単独群)・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)評価のEFS、病理学的完全奏効(pCR)[副次評価項目]主要な病理学的奏効(mPR)、BICR評価の無病生存期間、全生存期間 主な結果は以下のとおり。・EFS中央値(追跡期間中央値11.7ヵ月)はDur群未到達、Chemo単独群は25.9ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.53〜0.88、p=0.003902)。・2年EFS率はDur群63.3%、Chemo単独群52.4%であった。・pCRはDur群の17.2%、Chemo単独群の4.3%で達成した(群間差:13.0%、95%CI:8.7〜17.6、p=0.000036)。・4サイクルの術前化学療法完遂率はDur群84.7%、Chemo単独群87.2%、手術完遂率はDur群77.6%、Chemo単独群76.7%、術後補助療法実施中はDur群23.2%、Chemo単独群23.5%で、いずれも両群で同等だった。・全Gradeの有害事象はDur群96.5%、Chemo単独群94.7%で発現し、全Gradeの免疫関連有害事象(irAE)はDur群の23.5%、Chemo単独群の9.8%で発現した。 発表者であるHeymatch氏は、術前・後のデュルバルマブ+術前化学療法は、切除可能なNSCLCにとって、可能性を有する新たな治療選択肢であると結論を述べている。

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