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男性の平均寿命、市区町村で10年以上の差/厚労省

 厚生労働省は5月12日、「令和2年市区町村別生命表」を発表した。市区町村別生命表は、死亡状況を市区町村単位で比較分析するため、国勢調査による日本人人口(確定数)と人口動態統計(確定数)による日本における日本人の死亡数、出生数を基に、2000年(平成12年)から5年(国勢調査年)ごとに作成し、今回が5回目となる。本結果によると、平均寿命が最も長い市区町村は、男女ともに神奈川県川崎市麻生区で、男性84.0年、女性89.2年であった。一方、平均寿命が最も短かったのは、男女ともに大阪府大阪市西成区で、男性73.2年、女性84.9年であった。平均寿命の最も長い市区町村と最も短い市区町村との差は、男性10.8年、女性4.2年であった。平均寿命の分布を市区町村別にみる 2020年(令和2年)の全国の平均寿命(0歳の平均余命)は、男性が81.49年、女性が87.60年であった。平均寿命の分布を市区町村別にみると、男性では81.0~81.5年、女性では87.0~87.5年に最も多く分布していた。 男性では神奈川県川崎市麻生区が84.0年で最も長く、次いで神奈川県横浜市青葉区(83.9年)、長野県上伊那郡宮田村(83.4年)となっている。また、女性も神奈川県川崎市麻生区が89.2年で最も長く、次いで熊本県上益城郡益城町(89.0年)、長野県下伊那郡高森町(89.0年)となっている。  一方、平均寿命が短い順では、男性では大阪府大阪市西成区が73.2年で最も短く、次いで大阪府大阪市浪速区(77.9年)、大阪府大阪市生野区(78.0年)となっており、女性も大阪府大阪市西成区が84.9年で最も短く、次いで青森県東津軽郡今別町(85.5年)、青森県南津軽郡田舎館村(85.5年)となっている。男女の平均寿命の相関は全国値を中心に分布 男女の平均寿命の相関をみると、男女ともにほぼ全国値(男性81.49年、女性87.60年)を中心に分布しており、相関係数は0.73となっている。男女の平均寿命の差は全国で6.11年となっており、これを市区町村別にみると、男女差が最も大きいのは大阪府大阪市西成区(11.8年)であり、次いで高知県高岡郡中土佐町(8.5年)、大阪府大阪市生野区(8.3年)となっている。逆に、最も小さいのは高知県幡多郡三原村(4.5年)であり、次いで長野県上伊那郡宮田村(4.6年)、奈良県吉野郡吉野町(4.6年)となっている。市区町村別平均寿命(上位・下位5市区町村)【上位・男性】1位 神奈川県川崎市麻生区 84.0年2位 神奈川県横浜市青葉区 83.9年3位 長野県上伊那郡宮田村 83.4年4位 愛知県日進市     83.4年5位 京都府木津川市    83.3年【上位・女性】1位 神奈川県川崎市麻生区 89.2年2位 熊本県上益城郡益城町 89.0年3位 長野県下伊那郡高森町 89.0年4位 滋賀県草津市     89.0年5位 兵庫県芦屋市     88.9年【下位・男性】1位 大阪府大阪市西成区  73.2年2位 大阪府大阪市浪速区  77.9年3位 大阪府大阪市生野区  78.0年4位 青森県下北郡東通村  78.1年5位 青森県上北郡六ヶ所村 78.3年【下位・女性】1位 大阪府大阪市西成区  84.9年2位 青森県東津軽郡今別町 85.5年3位 青森県南津軽郡田舎館村 85.5年4位 青森県南津軽郡大鰐町 85.6年5位 青森県むつ市     85.6年

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早期TN乳がん、術前後のアテゾリズマブ追加でEFS・DFS・OS改善(IMpassion031)/ESMO BREAST 2023

 未治療の早期トリプルネガティブ(TN)乳がんにおける術前化学療法へのアテゾリズマブ追加および術後のアテゾリズマブ投与の有用性を検討した第III相IMpassion031試験の最終解析で、副次評価項目である無イベント生存期間(EFS)、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)の改善が示された。また探索的解析から、手術時に病理学的完全奏効(pCR)が得られた患者は予後良好なこと、pCRが得られず血中循環腫瘍DNA(ctDNA)が残存していた患者は予後不良なことが示された。ブラジル・Hospital Sao Lucas da PUCRSのCarlos H. Barrios氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2023、5月11~13日)で報告した。 本試験の主要評価項目であるpCR率については、PD-L1の有無(SP142によるIC:1%未満vs.1%以上)にかかわらず、アテゾリズマブ群が57.6%とプラセボ群(41.1%)に比べて有意に(p=0.0044)改善したことが報告されている。今回は、副次評価項目であるEFS、DFS、OS、安全性について最後の患者登録から3年後の最終解析と探索的バイオマーカー解析について報告された。・対象:原発巣が2cmを超える未治療のStageII~IIIの早期TN乳がん患者333例・試験群(アテゾリズマブ群、165例):術前にアテゾリズマブ(840mg、2週ごと)+nab-パクリタキセル(毎週)12週間投与後、アテゾリズマブ+ドキソルビシン+シクロホスファミド(2週ごと)8週間投与。術後、アテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと)を11サイクル実施・対照群(プラセボ群、168例):術前にプラセボ+nab-パクリタキセル12週間投与後、プラセボ+ドキソルビシン+シクロホスファミド8週間投与し手術を実施(両群ともpCR未達の患者は、術後補助化学療法を許容) 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値40ヵ月前後(アテゾリズマブ群40.3ヵ月、プラセボ群39.4ヵ月)における最終解析において、pCRが得られず術後補助化学療法を受けたのは、アテゾリズマブ群70例中14例(20%)、プラセボ群99例中33例(33%)であった。・ITT集団におけるEFSのハザード比(HR)は0.76(95%信頼区間[CI]:0.47~1.21)で、PD-L1陽性(IC 1%以上)の患者では0.56(同:0.26~1.20)であった。・DFSのHRは0.76(95%CI:0.44~1.30)で、PD-L1患者では0.57(同:0.23~1.43)であった。・OSのHRは0.56(95%CI:0.30~1.04)で、PD-L1陽性患者では0.71(同:0.26~1.91)であった。・pCR状況別のEFSの探索的解析では、pCRが得られた患者では両群共に長期のEFSが良好であったが、pCRが得られなかった患者では両群共にEFSが不良で、pCRが長期予後を大きく左右していた。・アテゾリズマブにおける新たな安全性シグナルや治療関連死はみられなかった。・ctDNAにおける探索的解析によると、ctDNA陽性率はベースラインの94%から手術時に12%と減少し、ctDNA消失率はアテゾリズマブ群89%、プラセボ群86%と両群で同様だった。消失しなかった患者はpCRが得られなかった。・手術時にpCRが得られずctDNAが陽性だった患者はDFS、OSが不良だったが、アテゾリズマブ群でOSの数値的な改善がみられた(HR:0.31、95%CI:0.03~2.67)。 Barrios氏は「早期TN乳がんに対して、術前化学療法へのアテゾリズマブ追加で有意なpCRベネフィットが得られ、EFS、DFS、OSの改善につながった」とした。

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既治療大腸がん、FTD/TPIへのベバシズマブ上乗せでOS延長/NEJM

 切除不能な進行・再発大腸がん患者において、トリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)+ベバシズマブ併用療法はFTD/TPI単独療法と比較して、全生存期間(OS)を延長することが確認された。オーストリア・ウィーン医科大学のGerald W. Prager氏らが、13ヵ国87施設で実施された第III相無作為化非盲検実薬対照比較試験「SUNLIGHT試験」の結果を報告した。これまでの第III相試験において、FTD/TPIは転移のある大腸がん患者のOSを延長することが示されていた。また、第II相単群および無作為化試験の予備データから、ベバシズマブにFTD/TPIを追加することで生存期間が延長する可能性が示唆されていた。NEJM誌2023年5月4日号掲載の報告。FTD/TPI+ベバシズマブvs.FTD/TPI単独でOSを比較 研究グループは、2レジメン以下の化学療法歴がある切除不能な進行・再発の結腸・直腸腺がんで、ECOG PSが0または1の18歳以上の成人患者を、FTD/TPI+ベバシズマブ群(FTD/TPI併用群)またはFTD/TPI単独群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。割り付けは、地域(北米、欧州、その他の地域)、最初の転移診断からの期間(18ヵ月未満、18ヵ月以上)、RAS状態(野生型、変異型)により層別化された。 主要評価項目はOS、副次評価項目は治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)およびECOG PSが0または1から2以上に悪化するまでの期間を含む安全性とした。FTD/TPI併用群10.8ヵ月vs.単独群7.5ヵ月、OSが有意に延長 2020年11月25日~2022年2月18日の期間に492例が割り付けられた(FTD/TPI併用群246例、単独群246例)。 OS中央値は、FTD/TPI併用群10.8ヵ月、単独群7.5ヵ月であり、死亡のハザード比(HR)は0.61(95%信頼区間[CI]:0.49~0.77、層別log-rank検定のp<0.001)で、FTD/TPI併用群においてOSが有意に延長したことが認められた。6ヵ月全生存率はFTD/TPI併用群77%、単独群61%、12ヵ月全生存率はそれぞれ43%、30%であった。 PFS中央値はFTD/TPI併用群5.6ヵ月、単独群2.4ヵ月(HR:0.44、95%CI:0.36~0.54、p<0.001)、ORRはそれぞれ6.1%(95%CI:3.5~9.9)、1.2%(95%CI:0.3~3.5)であった。 両群で発現頻度が高かった有害事象は、好中球減少症(FTD/TPI併用群62.2%、単独群51.2%)、悪心(それぞれ37.0%、27.2%)、貧血(28.9%、31.7%)であった。治療に関連した死亡の報告はなかった。ECOG PSが0または1から2以上に悪化するまでの期間の中央値は、FTD/TPI併用群9.3ヵ月、単独群6.3ヵ月(HR:0.54、95%CI:0.43~0.67)であった。

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医療者の不足する地域は死亡率が高い/BMJ

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ―「すべての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」(厚生労働省)―を2030年までに達成するには、健康を促進または改善するさまざまな職業の保健医療人材(Human Resources for Health:HRH)が重要であるが、HRHの不平等は過去30年間で世界的に減少しているものの依然として残っており、全死亡率およびほとんどの死因別死亡率は、医療従事者が限られている、とくにHIV/AIDS・性感染症、母体・新生児疾患、糖尿病、腎臓病といった、優先疾患におけるいくつかの特定のHRHが限られている国・地域で相対的に高いことが、中国・北京大学のWenxin Yan氏らの調査で示された。著者は、「本結果は、2030年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するために、公平性を重視した医療人材政策の策定、医療財政の拡大、不十分なHRHに関連した死亡を減少するための標的型対策の実施に向けた政治的取り組み強化の重要性を浮き彫りにしている」とまとめている。BMJ誌2023年5月10日号掲載の報告。172の国・地域のHRHの傾向と不平等を評価し、全死亡率と死因別死亡率を解析 研究グループは、2019年版の世界疾病負荷研究(Global Burden of Disease Study)のデータベースを用い、172の国・地域を対象として、1990~2019年までの各国・各地域の総HRH、特定のHRH、全死亡率、死因別死亡率に関する年次データを収集するとともに、国連統計(United Nations Statistics)およびOur World in Dataのデータベースから、モデルの共変量として用いる人口統計学的特性、社会経済的状態、医療サービスに関するデータを入手し、解析した。 主要アウトカムは、人口1万人当たりのHRH密度に関連する人口10万人当たりの年齢標準化全死亡率、副次アウトカムは年齢標準化死因別死亡率とした。HRHの傾向と不平等を評価するため、ローレンツ曲線と集中指数(concentration index:CCI)を用いた。HRHの不平等は過去30年間で減少も、総HRHレベルと全死亡率に負の相関 世界的に、人口1万人当たりの総HRH密度は、1990年の56.0から2019年には142.5に増加した。一方で、人口10万人当たりの年齢標準化全死亡率は、1990年の995.5から2019年には743.8に減少した。ローレンツ曲線は均等分布線の下にあり、CCIは0.43(p<0.05)であったことから、人間開発指数で上位にランクされている国・地域に医療従事者がより集中していることが示された。 HRHのCCIは、1990~2001年の間、約0.42~0.43で安定していたが、2001年の0.43から2019年には0.38へと低下(不平等が縮小)していた(p<0.001)。 多変量一般化推定方程式モデルにおいて、総HRHレベル(最低、低、中、高、最高の五分位)と全死亡率との間に負の相関が認められた。最高HRHレベル群を参照群として評価すると、低レベル群の発生リスク比は1.15(95%信頼区間[CI]:1.00~1.32)、中レベル群は同1.14(1.01~1.29)、高レベル群は1.18(1.08~1.28)であった。 総HRH密度と死亡率との負の相関は、顧みられない熱帯病やマラリア、腸管感染症、母体および新生児疾患、糖尿病や腎臓病など、いくつかの死因別死亡率でより顕著であった。医師、歯科スタッフ(歯科医師と歯科助手)、薬剤スタッフ(薬剤師、調剤補助者)、緊急援助および救急医療従事者、オプトメトリスト、心理学者、パーソナルケアワーカー、理学療法士、放射線技師の密度が低い国・地域の人々は、死亡リスクがより高くなる可能性が高かった。

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韓国からのPCIのエビデンス創出を祝福し、95%信頼区間を考察する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第60回

第60回 韓国からのPCIのエビデンス創出を祝福し、95%信頼区間を考察する韓国で行われた素晴らしい臨床研究の結果がNEJM誌2023年5月4日号(オンライン版は3月5日)に掲載されました。RENOVATE-COMPLEX-PCI試験です1)。複雑な冠動脈病変への冠動脈インターベンション(PCI)で、血管内超音波(IVUS)などの血管内イメージングガイドでのPCIは、血管造影ガイドでのPCIと比較して、イベントのリスクを低下させるかを検討したものです。血管内イメージングガイド下PCIによって、複合イベントリスクは36%低下しました(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.45~0.89、p=0.008)。血管内イメージングガイド下PCIが好ましいという結論は、PCIに携わる者の1人として納得できます。血管内イメージングを推進してきた日本のPCIフィールドから、この知見を発信できなかったことに、歯がゆさを感じることも事実ですが、素直に祝福したい気持ちです。Congratulations! (しっかり複数形)今回は、この結論の中に含まれる95%信頼区間(95%CI:confidence interval)について考えてみたいと思います。医学に限らず自然科学の世界では真の値は不明であることが常です。真の値が明らかとなるほうが、まれと考えてよいでしょう。真の値が不明なのであれば推定するしかありません。推定する手法について実例を基に考えてみましょう。PCIから話題を変えて、全国の野良猫の平均体重を調べるとします。どうでもいい設問のように感じるでしょうが、お付き合いください。全国に何匹の野良猫がいるか知りませんが、仮に約100万匹いるとします。この100万匹の野良猫が母集団となります。どう考えても100万匹の猫を全部捕まえて体重を測定することは不可能です。小生の住む滋賀県で、野良猫100匹を標本(サンプル)として捕獲し体重を測定することは、頑張れば可能でしょう。このようにサンプルとして選び出すことを「抽出」といいます。この100匹の体重の平均が5.0kg、標準偏差が1.0kgであったとします。全国の野良猫の体重の真の値は、5.0kgと大きくは異ならないことは推定できます。滋賀県の野良猫100匹の平均体重5.0kgは、あくまでも母集団である全国の野良猫の平均体重の推定値です。全国の野良猫という母集団の特徴と、そこから抽出された100匹の滋賀県の猫のサンプルの特徴は完全に一致することは不可能で、推定値であって真の値ではありません。捕獲し体重測定が可能な猫は太っていて動きの鈍い個体が多く、サンプルの値は真の値よりも大きい可能性もあります。次に埼玉県で同様に100匹の猫をサンプルとして抽出すると平均5.1kgであった、高知県では平均4.9kgであったとします。このようにサンプル数を増やして全国47都道府県すべてで調査すれば、サンプル数47の平均体重のデータが出そろうことになります。47都道府県からの平均体重の値は各々が、おそらく微妙に異なるでしょう。この47個の各平均値から、「平均値の平均値」が算出可能です。「平均値の標準偏差」も算出することが可能で、これを標準誤差といいます。標準誤差は繰り返してサンプル抽出を行った場合に平均値のバラツキの度合いを意味します。平均値の平均値が5.1kg、平均値の標準偏差つまり標準誤差が0.1kgであったとしましょう。ここから話が少し難しくなります。真の平均体重は、おそらくは5.1kgに近く、△~○kgの間に存在するといった範囲の予測は可能となります。正規分布であれば、平均値±2×標準誤差(正確には1.96×標準誤差)の間に真の平均体重が入っている確率が95%であると解釈されます。これが、95%信頼区間です。つまり全国の野良猫の平均体重の95%信頼区間は、平均値±2×標準誤差=5.1±2×0.1kg=5.1±0.2kgとなります。つまり、4.9~5.3kgの間に真の平均体重が入っている確率が95%であると解釈できます。ここで「解釈できる」という表現が微妙です。より正しい表現をすれば、「今後さらに標本抽出を繰り返し行えば100回に95回の割合で4.9~5.3kgの中に母集団の平均を含んでいるので、とりあえずは母集団の真の平均体重が4.9~5.3kgの中に含まれると考えてもいいな」となります。現実的には、4.9~5.3kgの間に真の平均体重が入っている確率が95%と解釈することは、納得しやすいかもしれません。端緒の論文に当てはめれば、「RENOVATE-COMPLEX-PCI試験と同様の臨床試験を繰り返し行えば、そのハザード比は100回に95回の割合で、0.45~0.89の中に含まれると考えてもいいな」となります。血管内イメージングガイド下のPCIがイベントをどの程度まで減らすか(もしかしたら増やすか)というハザード比の真の値は不明のままです。あくまでも推定値として0.64近辺と思われます。さらに解説を加えれば、95%信頼区間の大きいほうの値「0.89」が1を下回っていることから、さらに繰り返して臨床試験を行っても、そこから得られる推定値は1を下回る可能性が高いと考え、これが有意(p=0.008)の根拠となります。医学論文において結果の値と併せて95%信頼区間が表記されることが多くあります。つまずきやすいのは真の値が存在すると思い込んでしまうことです。あくまでも真の値は不明で、推定量として表現する以外にないことがポイントです。「真実は闇の中」が、真実なのです。参考1)Lee JM, et al. N Engl J Med. 2023;388:1668-1679.

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伝聞には気をつけよう!【Dr. 中島の 新・徒然草】(477)

四百七十七の段 伝聞には気をつけよう!連休が明けて気持ちの良い季節もごく短期間。急に暑くなってきました。読者の皆さまの地方ではいかがでしょうか。さて、先日私のところに来た書類は、役所からの照会文書でした。「診療状況について(照会)」というものです。以前はこういった文書に対する回答はすべて手書きだったので、作成が大変でした。今は電子カルテに書式が入っているので、チョチョイのチョイとキーボードで打ち込むだけ。はるかに簡単になりました。で、照会文書の中身です。なんでも、「担当医が『大学病院に紹介しようと思っているのに医療扶助を行ってもらえず、必要な医療を受けさせないのはおかしい』と言っている」と患者さんから聞いたとのことでした。文章にするとわかりにくいですかね。要するに、患者さんが役所の担当者に文句を言ったわけです。「自分は大学病院にかかりたいのに医療扶助を行ってもらえない。これはおかしい。担当医もそう言っている」といったところでしょうか。患者さんの発言を踏まえての役所からの質問は2つです。貴院では治療できない理由をお教えください。大学病院でなければ治療できない病状なのでしょうか。ということでした。この患者さんというのは女性ですが、体中、あちこちが痛いということで、数ヵ月に1回、フリーで外来にお見えになります。診察室での訴えの内容は、行政に対する不満、ほかの医療機関の悪口、家族とうまくいっていないこと、などでした。ご自身の体の症状についての話はほとんど出ないので、私はひたすら聞くのみです。たまにアドバイスを求められるので、「家族で仲良くするか、それができないのならお互いに関わらないほうがいいのでは?」といった、当たり前のことを言うだけでした。もちろん当院では治療できないとか、大学病院に紹介するとか言ったことは一度もありません。ちなみに、ご本人によれば、複数の大学病院で出禁をくらっているそうです。結局、彼女は自分の頭の中で組み立てた都合のいいストーリーを、役所の担当者に言ったのでしょう。役所からの照会文書は、担当者の困惑ぶりが伝わってくるものでした。なので、私は「大学病院に紹介する」と言ったことはなく、「当院では治療できない」と言ったこともない、といった趣旨の回答文書を作成しました。今回は役所が私に直接に問い合わせてきたので、誤解を正すことができました。でも、そうでなかったら関係者はお互いに疑心暗鬼になっていたかもしれません。こういった患者さん経由の伝聞というのは、捻じ曲がって伝わることが珍しくないので、くれぐれも注意する必要があります。よくあるのが、「別の医療機関に行ったら『最初の病院での治療は無茶苦茶だ』と言われた」というもの。本当に先方の医師がそのようなことを言ったのかどうか、直接に確認するまで真実は闇の中です。逆もあるかもしれません。「『とんでもない治療だ』と中島先生が言ってた」と、当該医療機関で患者さんが文句を言うことです。そもそも、私はほかの医療機関の悪口を言うことはありません。一文の得にもならないばかりか、何かとトラブルの元になりがちだからです。こういった行き違いにイラッとしないよう、事実と伝聞はキチンと区別することが、われわれの仕事の第一歩。日頃から意識して注意しておくべきですね。最後に1句向暑には イライラしがち 要注意

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NHK「おかあさんといっしょ」(後編)【絶対音感よりも○○!?才能よりも○○!?(幼児教育)】Part 1

今回のキーワード音の高さ(音高)音の共鳴(音素)言語能力連合学習(条件付け)臨界期相対音感フラッシュカード(瞬間記憶)音楽教育とくに幼い子供のいる皆さんは、習いごとを「いつから」そして「どれだけ」やらせればいいんだろうとお悩みじゃないですか? NHKの「おかあさんといっしょ」を見せてはいるけど、それだけじゃ足りないんじゃないか? 自分が怠けたせいであとあと隠れた才能を開花させられなかったと悔やむんじゃないか? たとえばそれが絶対音感だったり?前編では、「おかあさんといっしょ」をヒントに発語(発声学習)のメカニズムを説明し、その起源に迫りました。今回の後編では、前編を踏まえて、絶対音感という「才能」を例に挙げて、より良い音楽教育、そしてより良い幼児教育を一緒に考えてみましょう。絶対音感とは?「おかあさんといっしょ」の番組内では、音楽とともに歌ったり踊ったりして、幼児の音感が養われます。音感とは、まさに音に対する感覚で、音の高低、音色、メロディなどを聞きわける全般的な音楽の能力です。その中で、とくに絶対音感と聞くと、とても神秘的です。ある1つの音を聞くだけで(ほかの音との比較なしで)、瞬時にその音の高さ(音高)がわかり、ドレミの12音のどれかを言い当てることができるわけですから。聞いた曲をすぐに楽譜に書き起こせて便利そうです。この能力のある人は、一般人口の0.01%程度と言われています8)。絶対音感が言語能力である根拠は?絶対音感と聞くと、音楽的才能を連想します。しかし、実はこの正体は言語能力であることがわかっています。その根拠を3つ挙げてみましょう。(1)トレーニング方法1つ目は、絶対音感を身に付けるトレーニング方法です。自然に身に付くことは極めてまれで、特定の和音のパターンを使い、聞こえた音の高さをすぐにドレミの音高名に結びつけることを延々と繰り返します。そうするとやがて、特定の音高を聞くと、もはや抑えようとしても抑えられないくらい、自動的に音高名が頭の中に出てくるようになります。つまり、これは、特定の音高と特定の音高名(音素/言語)を結びつける連合学習(条件付け)であることがわかります8)。この点で、絶対音感は「音感」と表記されていますが、単に音高に限定された感覚であるため、厳密には「絶対音高感」という表記がより適切であると言われています。(2)脳の活動部位2つ目は、絶対音感を司る脳の活動部位です。メロディなどの音楽全般を司る部位が右半球優位であるのに対して、絶対音感を司るのは左半球優位であることがわかっています8)。これは、言語能力と同じです。(3)臨界期3つ目は、絶対音感が身に付けられる臨界期です。その年齢は概ね6歳です。この年齢を過ぎてトレーニングをしてもほぼ身に付かないことがわかっています8)。この年齢は、母語や第2言語の自然学習の臨界期に一致します。つまり、前編で子音や母音である音素(2種類の周波数/共鳴音)の識別能力の臨界期が1歳であると説明しましたが、この音高(1種類の周波数/単音)の識別能力の臨界期は6歳であると言えます。なお、6歳という言語能力に臨界期があるのは、6歳以降は単なる具体的な言葉を覚えるのではなく(それまでの語彙の記憶を固定化させて)、次のステップとしてそれらの言葉を駆使して、より抽象的な思考をすることに脳がエネルギーを注ぐ必要があるからと考えられます。同じように、絶対音感に臨界期があるのは、6歳以降は単なる音高の識別ではなく(それまでの音高識別の能力を固定化させて)、次のステップとしてそれらの音高の組み合わせ(メロディ)をつくり、より創造的な音感を発揮することに脳がエネルギーを注ぐ必要があるからでしょう。次のページへ >>

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NHK「おかあさんといっしょ」(後編)【絶対音感よりも○○!?才能よりも○○!?(幼児教育)】Part 2

音感はいつ生まれたの?絶対音感が実は言語能力である根拠は、そのトレーニング方法、その脳の活動部位、そしてその臨界期が言語能力に共通するからであることがわかりました。それでは、そもそも音感はいつ生まれたのでしょうか?ここから、音感の起源を大きく2つに分けて迫ってみましょう。(1)絶対音感前編で約700万年前に人類が誕生して、やがて歌でコミュニケーションするようになったことを説明しました。その歌のうまさは、小鳥のさえずりのように、音の高さの正確さによって評価されていたでしょう。1つ目の起源は、絶対音感です。先ほど、絶対音感は言語能力であると説明しましたが、それは言語の能力を獲得した現代人がこの言語能力を使って音高を識別しているからです。原始の時代の人類は、まだ言語がないため音素(言語)の置き換え(連合学習)なしで、小鳥と同じようにそのまま音高を識別できていた可能性が考えられます。また、原始の時代の人類ももともと左脳で音高を調整していることが推定できることから、やはり歌(音高)が言語の土台(前適応)になっていたことを説明できます。なお、現代の絶対音感を持つ人は1オクターブ内の12音(トーンクロマ)の識別が可能なだけで、オクターブの違い(トーンハイト)までは識別できません。一方で、小鳥は最大音域の7オクターブすべての音、つまり12音×7の84音のすべての識別ができることがわかっています8)。わかりやすく言えば、鳥はピアノのどの鍵盤の音を聞いても特定できるという「超」絶対音感の持ち主というわけです。また、1オクターブ内がピアノの白鍵として7音に分けられているのは、虹が7色(欧米6色)であることや母音が7音前後(日本語5音~スウェーデン語9音)であることに共通していることが指摘されています8)。聴覚的にも視覚的にも、人間の識別能力は7つ程度に分けるのが限界であるようです。この点で、白鍵(7音)のみを識別できる部分的な絶対音感を持つ人は比較的多いのですが、黒鍵を含む12音すべてを識別できる完全な絶対音感を持つ人はかなりまれになってしまうわけです。そもそも、私たち(おそらくほかの哺乳類も)は、この識別能力に限界があるからこそ、聞こえる全ての音域については、周波数が倍になるごとに(倍音)、つまり1オクターブごとに同じドレミがまた聞こえるようにシステマチックに回帰していると考えられています(オクターブ等価性)。これは、虹が赤から始まり最後は紫という赤に近い色で終わって回帰していくことにも共通しています。ちょうど7オクターブまで聞こえるという事実も、7つという先ほどの識別の限界数に一致します。ちなみに、赤ちゃんの泣き声は、普遍的にドレミの中のラ(440Hz)に相当します。この音を基準として音階が成り立っています。(2)相対音感約20万年前に人類が言葉を話すようになり、約10万年前に貝の首飾りを感謝の証にするなど、シンボル(抽象的思考)を使うようになりました。この抽象的思考によって、歌のうまさは、単なる一つひとつの音高の純粋な正確さではなく、複数の音高が複雑に変化する流れ(メロディ)によって評価されるようになったのでしょう。こうして、約5万年前に人類最古の楽器である骨製のフルートが作られました。2つ目の起源は、相対音感です。これは、音の流れの中でほかの音との比較で音の高さがわかることです。これはちょうど、私たちが言葉を一つひとつの単語としてではなく、まとまった文章として認識しているのと同じです。このようにして、私たちは相手の話で一部聞き取れない単語があっても推測して理解することができます。この相対音感によって、本来人間の識別能力の限界である1オクターブ内に7音(白鍵)を超えて12音(黒鍵を含む)までの音高の識別を可能にしていると考えられます。そして、絶対音感がなくても、この相対音感によって、聞いた曲を楽譜に書き起こすことを可能にしていると考えられます。以上より、原始の時代の人類は、現代人よりも絶対音感があった可能性が考えられます。しかし、人類が相対音感を獲得したことで、もはや絶対音感に頼る必要がなくなったのでした。もっと言えば、言葉によってコミュニケーションができてしまうため、相対音感すら必ずしも必要なくなり、 音感が退化していっていると言えます。これが、いわゆる「音痴」です。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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NHK「おかあさんといっしょ」(後編)【絶対音感よりも○○!?才能よりも○○!?(幼児教育)】Part 3

より良い音楽教育とは?音感の進化の歴史からも、絶対音感より圧倒的に相対音感の方が現在の私たちの音楽に強く影響を及ぼしていることがわかります。つまり、より良い音楽教育とは、絶対音感よりも相対音感です。そして、幼児期に相対音感を育むために必要なことは、「おかあさんといっしょ」をまさに一緒に見て楽しむことでしょう。わざわざ絶対音感をトレーニングによって身に付けたとしても、そもそもその能力を使う必要がないからです。それどころか、絶対音感を身に付けると、逆に相対音感が鈍くなる可能性が指摘されています。実際のMRIや脳波の研究では、絶対音感を持つ人は右側頭葉の側頭平面(聴覚野)が一般人よりも縮小し、活動が抑制されていました8)。この訳は、絶対音感と相対音感はトレードオフの関係になっており、一つひとつの音の高さについ注意が向いてしまうことで、全体としての音の流れ(メロディ)に注意が向かなくなってしまうからであると考えられます。これは、絶対音感を手に入れる代償と言えます。より良い幼児教育とは?絶対音感と相対音感のトレードオフの関係から、幼児英才教育の危うさが見えてきます。それは、できるだけ早くやらせる、できるだけ多くやらせる、そしてできるだけ高度なことをやらせることは、形式や結果にとらわれて本質を見失うことです。たとえば、幼児英才教育でよく謳われるフラッシュカード(瞬間記憶)を考えてみましょう。これができるようになると、日常生活で便利そうです。暗記もすぐにできて試験勉強が楽になりそうです。しかし、これができたからといって、その後に知能が高くなったり、大人になってより高い収入が得られるようになったというエビデンスは見当たりません。それどころか、逆に丸ごと覚えることについ注意が向いてしまい、全体をかいつまんでまとめること(概念化)に注意が向かなくなってしまうおそれがあります。これもトレードオフの関係です。むしろ大人になって良い仕事をするために必要なのは、概念化をはじめとする抽象的思考によって、状況を整理して(余計なことは記憶しないで)、予測したり新しいアイデアを出したりすることです。ちなみに、チンパンジーは人間よりも瞬間記憶の能力が高いことがわかっています9)。その訳は、敵対する複数のチンパンジーが襲ってきた時に彼らを瞬時に記憶して反撃したり逃げたりするという生存の淘汰圧がかかってきたからでした。人間はそのような状況はまずありません。子供に瞬間記憶をトレーニングさせるということは、むしろチンパンジーに近い能力を間違って求めているように思えてきます。同じように、そろばん(暗算)の習いごとをしても数学的センスが高まるわけではないことも、速読のトレーニングをしても読解力が身に付くわけではないこともわかります。以上より、より良い幼児教育のあり方とは、形式や結果にとらわれず本質を見極めることです。それは、やはり子供がそれに楽しんで取り組んでいることです。この点で、子供がやりたそうならやらせてみる、やりたくないならやらせないという親が無理強いをしないことでしょう。言い換えれば、それは、毎日20分ほど「おかあさんといっしょ」を親子で一緒に見て楽しめば、それで十分ということです。実際に、行動遺伝学の研究では、音楽、美術、スポーツなどの才能において、遺伝の影響(遺伝率)が80%程度、社会(非共有環境)の影響が20%程度であり、親の取り組みの違い(共有環境)の影響はどれも0%であることがわかっています10)。なお、認知能力においての親の取り組みの違い(共有環境)の影響は、ある程度ありますが、子供が大人になるにつれてやはり目減りしていきます。この詳細については、関連記事3の最後をご覧ください。「おかあさんといっしょ」とは?子供の隠れた才能を見つけ出してあげなければならないと思う親心はよくわかります。ただ実は、そんなことはごく一般的な家庭がするようなことで十分であることもわかりました。確かに、音楽をまったく聞かせていないと、音楽の才能は開花しません。ただ、ほどほどに音楽を聞かせていれば、あとはその子に素質(遺伝の影響)があるのなら、楽しんでいれば勝手に才能が開花していくということです。つまり、才能よりもまず楽しむことです。親としては、そんな子供の様子を温かく見守ることこそが、今必要なのではないでしょうか? つまり、より良い幼児教育とは、できるだけ良い幼児教育ではなく、ほどよい幼児教育であるという逆説であるとも言えるのではないでしょうか?そう考えると、「おかあさんといっしょ」とは、「おとうさんもいっしょ」になり、やがて自立して「みんな(社会)といっしょ」に生きていくためのほどよいサポートをする最初の1歩と言えるのではないでしょうか?8)「絶対音感を科学する」P18、P81、P30、P216、P233、P235、P246、P251:阿部純一(編)、全音楽譜出版社、20219)「文化がヒトを進化させた」P40:ジョセフ・ヘンリック、201910)「遺伝マインド」P59:安藤寿康、有斐閣、2011<< 前のページへ

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第45回 麻疹の接種歴も抗体価も知らぬ医師

茨城県と東京都で成人麻疹8年前から日本は麻疹排除状態になり、麻疹はどちらかといえば輸入感染症としての側面を持つようになっています。茨城県でインドから持ち込まれた麻疹ウイルスに感染した事例が報告され、これと疫学的リンクがある2例が東京都でも発生したことが報道されました。新幹線のグリーン車で感染したらしいので、学会などで移動が増えているこの時期、医師の皆さんもご注意ください。接種歴を知らない医療従事者私は感染制御チームに所属しているので、麻疹の接種歴や抗体価のデータをどのように管理すればよいか日々試行錯誤しているのですが、医療従事者の中には、自分が麻疹にかかったことがあるかどうか・ワクチンを接種したことがあるかどうか・抗体価は十分あるかどうか、知らない人が結構います。意識が高い人は、印刷したデータをネームプレートに入れています。病院実習のときにワクチン接種歴を聞かれて、不十分と判断された大学では接種をすすめていたでしょう。しかし、それすらも記憶にない医師が結構多くて、びっくりします。家族が妊娠したときに、風疹については少し興味を持ってくれる人が多いようですが、麻疹はあまり興味を持たれません。混合ワクチンを接種している世代が増えてきましたが、私のように中途半端な世代もまだまだ多いと思います(表)。アフターコロナで流行国へ渡航することが増えると、麻疹ワクチンを1回のみで接種している人たちが感染するパターンが増えてくるかもしれません。画像を拡大する表. 麻疹ワクチン接種歴(筆者作成1))麻疹には特異的な治療法がなく、対症療法が中心になります。そのため、できるだけ感染しないようワクチンによる予防が重要になります。麻疹による死亡のほとんどは肺炎か脳炎です。まずは接種歴と抗体価の把握をワクチン接種歴や、麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎の抗体価については、ご自身で把握しておくことが望ましいですが、とくに医局人事で病院を転々とする人は、途中でデータが紛失してしまうこともあるため注意してください。参考文献・参考サイト1)一般社団法人日本ワクチン産業協会. 予防接種に関するQ&A集

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4つの症状に要注意!50歳未満の大腸がんの初期症状

 近年、50歳未満で発症する大腸がん(早期発症大腸がん)が世界的に急増している。また、早期発症大腸がんは診断が遅れることが多く、診断時には進行していることも多い。そこで、米国・ワシントン大学セントルイス校のCassandra D. L. Fritz氏らは、ケースコントロール研究を実施し、早期発症大腸がんに関連する徴候・症状を検討した。その結果、直腸出血、鉄欠乏性貧血、下痢、腹痛を早期に発見することで、早期発症大腸がんの早期発見と適時診断につながる可能性が示された。本研究結果は、Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2023年5月4日号で報告された。 18~64歳の米国の民間保険加入者1億1,300万例のうち、2年以上継続加入している早期発症大腸がん患者5,075例を対象として、2006~15年の期間にマッチドケースコントロール研究を実施した(対照は2万2,378例)。事前に規定した17個の徴候・症状について、大腸がん診断前3ヵ月~2年の徴候・症状と早期発症大腸がんの関係を検討した。 主な結果は以下のとおり。・事前に規定した17個の徴候・症状のうち、早期発症大腸がん患者の診断前3ヵ月~2年の症状として多くみられたものは、腹痛(11.6%)、直腸出血(7.2%)であった。・直腸出血(オッズ比[OR]:5.13、95%信頼区間[CI]:4.36~6.04)、鉄欠乏性貧血(OR:2.07、95%CI:1.61~2.66)、下痢(OR:1.43、95%CI:1.14~1.78)、腹痛(OR:1.34、95%CI:1.19~1.49)の4個が早期発症大腸がんの独立した関連因子として特定された。・上記の4個の徴候・症状を多く有しているほど、早期発症大腸がんのリスクが高かった(1個の場合のOR:1.97、95%CI:1.80~2.15、2個の場合のOR:3.66、95%CI:2.97~4.51、3個以上の場合のOR:6.96、95%CI:4.07~11.91、p for trend<0.001)。・上記の傾向は、若年(p for interaction<0.001)、直腸がん(p for heterogeneity=0.012)で強く認められた。・上記の4個の徴候・症状が診断前3ヵ月~2年に発現した患者の割合は19.3%(診断間隔中央値:8.7ヵ月)、診断後3ヵ月以内に発現した患者の割合は49.3%(診断間隔中央値:0.53ヵ月)であった。

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アリピプラゾール2ヵ月持続性注射剤の安全性~ピボタル試験

 アリピプラゾール2ヵ月持続性注射剤960mg(Ari 2MRTU 960)は、2ヵ月ごとに臀部筋投与を行う新たな長時間作用型注射剤の抗精神病薬であり、現在、統合失調症および双極I型障害の治療に対する研究が実施されている。米国・大塚ファーマシューティカル D&CのMatthew Harlin氏らは、統合失調症または双極I型障害の成人患者に対するAri 2MRTU 960の安全性および忍容性を評価し、同薬剤とアリピプラゾール月1回製剤400mg(AOM 400)の血中濃度の類似性を調査した。その結果、統合失調症または双極I型障害の成人患者において、Ari 2MRTU 960は良好な忍容性が認められ、AOM 400と同等の安全性プロファイルを有していることが確認された。CNS Drugs誌2023年4月号の報告。 32週間のオープンラベル試験を実施した。対象患者は、56±2日ごとのAri 2MRTU 960投与(4回実施予定)または28±2日ごとのAOM 400投与(8回実施予定)のいずれかに1:1でランダムに割り付けられた。初回投与時に、AOM 400で安定していた患者を除き、重複した経口抗精神病薬で治療を行った。安全性、忍容性、薬物動態の評価は、研究期間を通して実施した。主要安全性評価項目には、報告された有害事象、注射部位反応、錐体外路症状を含めた。主要薬物動態評価項目は、Ari 2MRTU 960の4回目投与から56日後およびAOM 400の8回目投与から28日後のアリピプラゾールの血中濃度、Ari 2MRTU 960の4回目投与後0~56日目のAUCまたはAOM 400の7回目および8回目投与後0~28日目のAUCとした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者266例(統合失調症:185例、双極I型障害:81例)は、Ari 2MRTU 960群132例、AOM 400群134例にランダムに割り付けられた。・男性の割合は66.2%、黒人またはアフリカ系米国人の割合は72.9%、平均年齢は47.3歳であり、人口統計学的特性およびベースライン時の疾患特性に両群間で差は認められなかった。・試験完了率は、Ari 2MRTU 960群77.3%、AOM 400群68.7%であった。・試験薬投与下で発現した有害事象(TEAE)の発現率は、Ari 2MRTU 960群71.2%、AOM 400群70.9%と同程度であった。・頻度の高かったTEAEは、体重増加(Ari 2MRTU 960群:22.7%、AOM 400群:20.9%)、注射部位の痛み(Ari 2MRTU 960群:18.2%、AOM 400群:9.0%)であった。・Ari 2MRTU 960の4回目投与から56日後とAOM 400の8回目投与から28日後のアリピプラゾール血中濃度の幾何平均の比(GMR)は、1.011(90%信頼区間[CI]:0.893~1.145)であった。・Ari 2MRTU 960の4回目投与後0~56日目のAUCとAOM 400の7回目および8回目投与後0~28日目のAUCのGMRは、1.006(90%CI:0.851~1.190)であった。

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間質性肺炎合併肺の薬物療法、改訂GLの推奨は?/日本呼吸器学会

 間質性肺炎(IP)には肺が合併することが多く、IP合併肺に対する治療は急性増悪を引き起こすことが問題になる。近年、肺の薬物療法は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が主流となり、IP合併肺に対する薬物療法について、さまざまな検討がなされている。2023年4月に改訂された特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)では、これらのエビデンスを基に、合併肺に関して新たに3つのCQ(クリニカルクエスチョン)が設定され、合計6つとなった。合併肺に関するCQと関連するエビデンスについて、岸 一馬氏(東邦大学医学部内科学講座 呼吸器内科学分野 教授)が第63回日本呼吸器学会学術講演会で解説した。改訂GLの合併肺に関するCQと推奨 特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)は、慢性期、急性増悪、合併肺、肺高血圧症、進行期の5つのセクションで構成され、今回から肺高血圧症と進行期が追加された。合併肺に関するCQは3つ追加された(CQ20-1、20-2、21)1)。 IP合併肺のCQとポイントは以下のとおり。CQ17:IPF(特発性肺線維症)を含むIP合併肺患者に外科治療は推奨されるか? 方向性:行うことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2(弱) エビデンスの強さ:C(低) 本邦において、IP合併例肺手術例の予後を調べた研究では、StageIAであっても5年生存率が59%にとどまっていたことが報告されている2)。その理由として、術後急性増悪による死亡の多さがある。IP合併肺1,763例を対象とした後ろ向き研究では、急性増悪が9.3%に発現し、死亡率は43.9%であった3)。術後急性増悪のリスク因子からリスク予測モデルが作成され、その有用性を検討した前向きコホート研究REVEAL-IP Studyが実施された。その結果、術後急性増悪は1,094例中71例(6.5%)に発現し、そのうち39.4%が死亡したが、後ろ向き研究時よりも改善傾向にあった。CQ18:IPFを含むIP合併肺患者に術後急性増悪の予防投薬は推奨されるか? 方向性:行わないことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2(弱) エビデンスの強さ:C(低) 本邦において、ステロイドなどの術前予防投薬を行っても術後急性増悪の発現率は低下しないことが報告されている3)。その後、少数例の検討ではあるがピルフェニドンが術後急性増悪の発現リスクを低下させることが報告され、現在IPF合併肺患者を対象として周術期ピルフェニドン治療の有用性を検討する無作為化比較試験が実施されている4)。CQ19:IPFを含むIP合併肺患者に細胞傷害性抗がん薬は推奨されるか? 方向性:行うことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2(弱) エビデンスの強さ:C(低) 本邦において、IP合併非小細胞肺(NSCLC)に対する初回化学療法の前向き試験が複数実施されており、急性増悪の頻度は12%以内で、近年は全生存期間中央値(MST)が15ヵ月を超えている。また、2022年12月には、化学療法とBest Supportive Care(BSC)を後ろ向きに比較した研究結果が報告された。傾向スコアマッチングを行っても、化学療法群はBSC群と比較して全生存期間(OS)が有意に延長した5)。CQ20-1:IPFを含むIP合併肺患者に血管新生阻害に関与する分子標的治療薬は推奨されるか? 方向性:行うことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2 エビデンスの強さ:D(非常に低) エビデンスは少ないものの、化学療法にベバシズマブを上乗せしても急性増悪の発現は増加せず、無増悪生存期間(PFS)を延長する傾向が報告されている。また、推奨の決定に関するシステマティックレビューには含まれなかったが、世界で初めてIPF合併NSCLCを対象にニンテダニブの化学療法への上乗せ効果を検討した国内第III相無作為化比較試験(J-SONIC試験)の結果が本邦から報告された。主要評価項目の無イベント生存率(EFS)について、化学療法+ニンテダニブ群は化学療法群と比較して有意差は認められなかったが、奏効率(ORR)は化学療法群が56.0%であったのに対し、化学療法+ニンテダニブ群は69.0%と有意に高かった(p<0.05)。また、PFSについて、中央値は化学療法群が5.5ヵ月であったのに対し、化学療法+ニンテダニブ群は6.2ヵ月であり、有意に延長した(ハザード比:0.68、95%信頼区間[CI]:0.50~0.92)。OSについては、全体では両群間に有意差はなかったが、非扁平上皮NSCLC、GAP StageIのサブグループにおいて、化学療法+ニンテダニブ群が有意に改善した。急性増悪の頻度は、化学療法群1.6%、化学療法+ニンテダニブ群4.1%、全体でも2.9%と低かった6)。CQ20-2:IPFを含むIP合併肺患者にドライバー遺伝子変異に対する分子標的治療薬は推奨されるか? 方向性:行わないことを提案または推奨 推奨の強さ:現段階では結論付けない エビデンスの強さ:D(非常に低) 推奨の強さについて、現段階では結論付けないとされた。これについては、パネル委員の全員が投与しないことを提案または推奨したが、一定の基準に達しなかったため、推奨の強さは決定されなかった。このような推奨となった一因として、日本人の肺患者を対象としてゲフィチニブと化学療法を比較した試験において、ゲフィチニブ群で間質性肺疾患(ILD)の頻度が高く(ゲフィチニブ群4.0%、化学療法群2.1%、オッズ比[OR]:3.2)、ILDによる死亡率が30%を超えたことなどが挙げられる7)。CQ21:IPFを含むIP合併肺患者に免疫チェックポイント阻害薬は推奨されるか? 方向性:行わないことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2 エビデンスの強さ:D(非常に低) IP合併肺に対するICIの効果を検討したメタ解析の結果が報告されている。10試験(ILDのある患者179例)が対象となり、そのうち8試験が本邦の報告であった。ORRについて、ILDのある群(34%)はILDのない群(24%)と比較して有意に良好であった(OR:1.99、95%CI:1.31~3.00)。一方、ILDのある群は免疫関連有害事象(irAE)の発現率が有意に高率であった(OR:3.23、95%CI:2.06~5.06)。ICIによる肺臓炎についても、ILDのある群(全Grade:27%、Grade3以上:15%)はILDのない群(同10%、4%)と比較して有意に高率であった(OR:2.91、95%CI:1.47~5.74)8)。また、びまん性肺疾患に関する調査研究班は、IP合併肺におけるICIの薬剤性肺障害に関する後ろ向き研究を実施した。その結果、200例が対象となり、薬剤性肺障害は30.5%に認められた(Grade3以上:15.5%、Grade5:4.5%)。多変量解析の結果、重篤な薬剤性肺障害の危険因子として、IPFあり、IP診断時のSP-D(肺サーファクタントプロテインD)値高値、ICI投与前のCRP値高値が同定された。また、irAEが発現した患者はPFSとOSが有意に良好であり、IP非合併NSCLCにおける過去の報告と一致していた。IP合併肺に関する現状のまとめ 岸氏は、IP合併肺に関する現状について、以下のようにまとめた。・日本からIP合併肺に関するステートメントと特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)が発刊された。・IP合併肺の発生予防、治療による急性増悪に関して抗線維化薬の有用性が報告された。・IP合併進行NSCLCに対してカルボプラチン+タキサン、小細胞肺(SCLC)に対してプラチナ製剤+エトポシドは標準治療と考えられる。・IP合併肺に対するICIにより約30%に薬剤性肺障害が生じるが、比較的良好な治療成績が報告されている。・IP合併肺の治療は、リスクとベネフィットを慎重に検討し、患者の希望も踏まえて決定することが重要である。特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)編集:「特発性肺線維症の治療ガイドライン」作成委員会定価:3,300円(税込)発行年月:2023年4月判型:A4頁数:140頁■参考文献1)「特発性肺線維症の治療ガイドライン」作成委員会編集. 特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版). 南江堂;20232)Sato T, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2015;149:64-70.3)Sato T, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2014;147:1604-1611.4)Sakairi Y, et al. J Thorac Dis. 2023;15:1489-1493.5)Miyamoto A, et al. Respir Investig. 2023;61:284-295.6)Otsubo K, et al. Eur Respir J. 2022;60:2200380.7)Kudoh S, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:1348-1357.8)Zhang M, et al. Chest. 2022;161:1675-1686.

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コロナワクチンの有効性、40試験のメタ解析結果

 将来の第9波到来を見越した新型コロナ対策として、これまでのブースター接種のタイミングや接種用量などを評価しておく必要がある。伊・Fondazione Bruno Kessler(FBK)のFrancesco Menegale氏らはワクチンの有効性(VE)の経時的変化を数学的に説明できれば、流行時に応用できる可能性があると考え、新型コロナウイルスのデルタ株およびオミクロン株に対するVEとして、VEの半減期や効果減退率に関する調査を実施した。その結果、ワクチン初回接種とブースター接種後の時間経過とともにVEが急速に低下することを示唆した。JAMA Network Open誌2023年5月3日号掲載の報告。 本研究では論文検索データベースとしてPubMedとWeb of Scienceを使用。検索開始から2022年10月19日までの期間に、新型コロナウイルス感染や症候性疾患に対する経時的なVEの推定値を報告した論文からプレプリントまでを抽出してシステマティックレビューならびにメタ解析を行った。なお、各論文で使用されていた主なワクチンはBNT162b2(ファイザー社/ビオンテック社)、mRNA-1273(モデルナ社)だった。 主な結果は以下のとおり。・検索した結果、799件の論文、査読付きジャーナルに掲載された149件のレビュー、35件のプレプリントが該当し、そのうちの40件が分析に使用された。・オミクロン株感染と症候性疾患に対するワクチン初回接種のVEに関する推定値は、最終投与から6ヵ月で20%未満だった。・ブースター接種は、初回接種の投与直後に得られたレベルに匹敵するまでにVEを回復させた。しかし、ブースター接種9ヵ月後のオミクロン株に対するVEは、感染症および症候性疾患に対して30%未満だった。・症候性感染に対するVEが半減するのは、デルタ株では316日(95%信頼区間[CI]:240~470日)、オミクロン株では87日(95%CI:67~129日)と推定された。・また、VEを若年層(18歳未満)と高齢者(60歳以上)で比較したところ、推定値での差はみられなかった(39.2%[95%CI:34.0~44.4] vs.38.7%[95%CI:14.4~63.1])。 研究者らは「本結果は、将来のワクチン接種プログラムの適切な目標とタイミング構築に役立つ可能性がある」としている。

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重症アルコール性肝炎に抗菌薬予防投与は有効か?/JAMA

 重症アルコール性肝炎の入院患者に対する抗菌薬の予防的投与のベネフィットは明らかになってないが、フランス・Lille大学のAlexandre Louvet氏らが292例を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、60日全死因死亡率を改善しないことが示された。著者は、「今回示された結果は、重症アルコール性肝炎で入院した患者の生存改善に対して抗菌薬の予防的投与を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌2023年5月9日号掲載の報告。Maddrey機能スコア32以上、MELDスコア21以上の患者を対象 研究グループは2015年6月13日~2019年5月24日に、フランスとベルギーの医療センター25ヵ所で、生検で確認された重症アルコール性肝炎の患者292例を対象に試験を開始した。被験者のMaddrey機能スコアは32以上、末期肝疾患モデル(MELD)スコアは21以上だった。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはプレドニゾロン+アモキシシリン・クラブラン酸(145例)、もう一方にはプレドニゾロン+プラセボ(147例)をそれぞれ投与した。追跡期間は180日で、最終フォローアップは2019年11月19日だった。 主要アウトカムは、60日時点の全死因死亡率だった。副次アウトカムは、90日、180日時点の全死因死亡率、60日時点の感染症、肝腎症候群、MELDスコア17未満のいずれも発生率、および7日時点のLilleスコア0.45未満の患者の割合だった。60日全死因死亡率、アモキシシリン群17%、プラセボ群21%で有意差なし 被験者292例の平均年齢は52.8歳、女性80例(27.4%)で、284例(97%)が解析に含まれた。 60日死亡率は、アモキシシリン群17.3%、プラセボ群が21.3%で統計的有意差はなかった(補正前絶対群間差:-4.7ポイント[95%信頼区間[CI]:-14.0~4.7]、ハザード比[HR]:0.77[95%CI:0.45~1.31]、p=0.33)。 60日時点の感染症発生率は、アモキシシリン群(29.7%)がプラセボ群(41.5%)より有意に低かった(補正前絶対群間差:-11.8ポイント[95%CI:-23.0~-0.7]、サブHR:0.62[95%CI:0.41~0.91]、p=0.02)。その他の副次的アウトカムは、両群で有意差はなかった。 最も多くみられた重篤有害イベントは、肝不全関連(アモキシシリン群25例、プラセボ群20例)、感染症(同23例、46例)、胃腸障害(同15例、21例)だった。

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閉経後の骨粗鬆症治療薬、69試験のネットワークメタ解析で効果比較/BMJ

 閉経後女性への骨粗鬆症治療薬の大部分にベネフィットがあることが、デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのMina Nicole Handel氏らによる69試験・被験者総数8万例超を対象としたシステマティックレビューとメタ解析で明らかにされた。骨形成促進薬はビスホスホネートよりも、ベースラインのリスク指標にかかわらず、臨床的骨折および脊椎骨折の予防に有効であることが示された。著者は、「今回の分析結果は、骨折リスクの高い患者への骨形成促進薬による治療を制限する、臨床的エビデンスはないことを示すものであった」とまとめている。BMJ誌2023年5月2日号掲載の報告。ビスホスホネートやSERM、PTH受容体作動薬などのRCTをレビュー・解析 研究グループはMedline、Embase、Cochrane Libraryを基に、1996年1月1日~2021年11月24日に発表され、ビスホスホネート、デノスマブ、選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)、副甲状腺ホルモン(PTH)受容体作動薬、ロモソズマブをプラセボまたは実薬と比較した無作為化試験を特定し、システマティックレビューとネットワークメタ解析およびメタ回帰分析を行った。適格試験は、全年齢の非アジア人閉経後女性を対象に、介入時に骨質について幅広い要素を評価したものだった。 主要アウトカムは、臨床的骨折とした。副次アウトカムは、脊椎、非脊椎、腰、その他の主な骨粗鬆症骨折と、全死因死亡、有害イベント、重篤な心血管有害事象だった。骨吸収抑制薬治療、ベースライン時の年齢増加と共に予防効果増大 69試験(被験者総数8万人超)を対象に解析が行われた。臨床的骨折の統合結果は、ビスホスホネート、PTH受容体作動薬、ロモソズマブが、いずれもプラセボに比べ、予防的効果があることを示した。 その中でビスホスホネートはPTH受容体作動薬に比べ、臨床的骨折を軽減する効果が低かった(オッズ比[OR]:1.49、95%信頼区間:1.12~2.00)。デノスマブは、PTH受容体作動薬とロモソズマブに比べ、臨床的骨折の軽減効果が低かった(デノスマブvs.PTH受容体作動薬のOR:1.85[95%CI:1.18~2.92]、デノスマブvs.ロモソズマブのOR:1.56[95%CI:1.02~2.39])。 脊椎骨折リスクについては、すべての薬剤で、プラセボと比べ軽減効果が認められた。実薬の比較では、デノスマブ、PTH受容体作動薬、ロモソズマブが、経口ビスホスホネートに比べ、脊椎骨折の予防効果が高かった。 骨吸収抑制薬による治療は、ベースラインの平均年齢が高くなるにつれ、対プラセボの臨床的骨折リスクの減少幅が増大したが(試験数17、β=0.98、95%CI:0.96~0.99)、それ以外のすべての治療の効果は、ベースラインのリスク指標による影響を受けなかった。 有害アウトカムはみられなかったが、個々のアウトカムに関する効果予測の確実性については、深刻なバイアスリスクや不正確性が示され、評価は中等度~低度であった。

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5月17日 高血圧の日【今日は何の日?】

【5月17日 高血圧の日】〔由来〕日常的な血圧測定や定期健診を促すことで、高血圧による疾病リスクを低減するために「世界高血圧デー」に准じ、2007年に日本高血圧学会と日本高血圧協会によって制定された。また、毎月17日は、高血圧の原因となる食塩の過剰摂取を防ぐために「減塩の日」として諸活動を行っている。関連コンテンツ降圧目標【一目でわかる診療ビフォーアフター】高血圧:脳心血管疾患の危険因子【一目でわかる診療ビフォーアフター】高血圧の人では、コーヒーと緑茶のどちらが危ない?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】体重増加は糖尿病や高血圧のリスク【患者説明用スライド】降圧薬使用とアルツハイマー病との関連~メタ解析

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急速に進行する認知症(前編)【外来で役立つ!認知症Topics】第5回

急速に進行する認知症(前編)患者さんが認知症だと診断されたら、その次にご家族が期待されるのは治療効果である。つまり進行しないこと、進行が遅いことである。認知症の進行ぶりを客観的に評価するために、私のクリニックでは、定期的にMMSEや改訂長谷川式などの神経心理学的なテストをやっていただく。普通は緩徐に低下していくが、3、4割の人では意外ながらも前回よりも高得点が得られる。それを伝えると本人はにっこりされる。だが家族は怪訝そうな表情で、「家では、やることなすことみな悪化したのに」と述べられる。こうした経験から、とくにMCI(軽度認知障害)レベルでは、臨床経過において認知機能と日々の生活機能(IADL:道具的な日常生活機能)は平行しないと考えるようになった。対応に最も窮するのは、ご家族から、「うちの場合、認知症の進行がとくに速いのではないか?」と言われることだ。こうした場合、当方への批判や不信感がありありと伝わってくる。このとき筆者の胸に浮かぶのは、少なからず経験する急速進行性のアルツハイマー病や、まれながら絶対に見逃せないプリオン病である。そこで過去のカルテを読み返すが、症状や脳画像所見が否定型的だったり、どうも普通とは違うなと思われる過去の記述を発見したりした場合、「やだな」と不吉な思いが走る。確かに急速に進行する認知症(RPD:Rapid Progressive Dementia)という用語に合致しそうなケースはある。RPDの定義の1つに、MMSE得点の年間低下が6点以上というものがある。平均的な低下は2~3点(調査によって1.8点~4.5点と大きな開き)とされるだけに、確かに6点以上だと速いと実感する。急速進行性認知症に多い3タイプRPDにはいくつかタイプがある。まずこれまで4例経験したのが、古典的な狂牛病など致死的なプリオン病である。次に脳炎など炎症性疾患である。さらに、確かにアルツハイマー病など変性疾患なのに、というものである。これは2つに大別され、まず脳血管障害、硬膜下血種や正常圧水頭症などほかの病理が加わってくるもの、次にそうしたものがないのにぐんぐん悪化するものである。さて2022年のNature Reviews Neurology誌でRPDに関するレビューがあった1)。それを参考に概要をまとめた。まずその定義は最初の異常から認知症の診断までが1年以下としたものが多い。認知症一般を扱う病院からの報告で、RPDが認知症全体に占める割合を3.7%としたものがあった。当院の経験でも5%以内かと思う。またRPDの基礎疾患としては、プリオン病、変性疾患、炎症性疾患はそれぞれ3分の1を占めるとされる。そこで以下では、認知症一般を診る医師の立場で、こうしたRPDの鑑別のプロセスを示してみたい。プリオン病プリオン病では、自験例で早いものでは数ヵ月で死に至ったこともあり、まず早期の致死が基本である。当初はアルツハイマー病など普通の認知症と思えても、数ヵ月以内に認知機能も身体症状も急速に悪化する。担当医としては、ここで「おかしい、違うぞ!」と思わなければならない。診断根拠としてほぼ確実なのは、早期から見られるMRIの拡散強調画像における大脳皮質の高信号である。なお教科書的に有名な脳波の周期性同期性放電は中・後期にならないと認められない。そこでプリオン病が疑わしいと思ったら、放射線専門医に、皮質の変化を中心に読影してほしいと紹介状を依頼すべきだろう。炎症性脳炎次に各種の脳炎である。最も多いヘルペス脳炎、帯状疱疹脳炎は定型的な症状をもって急性発症することが多いが、ときにRPDのような認知症の1タイプを思わせるケースもある。炎症性疾患として古典的な神経梅毒は近年増加しているのに、見逃されがちであり、無治療例も多いとされる。さらにあるメタアナリシスでは、ヘルペス脳炎患者の42.6%に認知障害が見られると報告している。自己免疫性脳炎免疫介在性の脳炎は、全脳炎の20%余りにも上るとしたイギリスの報告があるように、RPDの鑑別疾患として重要である。自己免疫性脳炎は、その病態に自己免疫学的な機序が介在する脳炎・脳症である。腫瘍を合併し(腫瘍随伴性)、その遠隔効果、すなわち傍腫瘍性神経症候群(paraneoplastic neurological syndrome)として発症するものもある。これは、腫瘍に関連する神経筋障害のうち、免疫介在性の機序によるものをいう。傍腫瘍性免疫介在性は、神経抗原を異所性に発現した腫瘍に対する液性免疫反応(自己抗体)と細胞性免疫反応(細胞傷害性T細胞)が自己の神経組織を傷害すると考えられている。自己抗体には、細胞内抗原を認識する抗体、シナプス受容体、細胞膜表面抗原に対する抗体がある。いずれの自己免疫性脳炎においても、早期の腫瘍検索と腫瘍に対する治療が重要であることに変わりはない。そのほかでは、中枢神経領域の悪性腫瘍、繰り返す低血糖、また重度の甲状腺機能低下症などもRPDになりうることに留意したい。最後に、アルコール性認知症は代謝性のRPDとして最も重要ではないかと思われる。これはいわゆる若年性認知症の1割を占め、栄養の偏りや低栄養を伴うことも多い。筆者の経験でも、飲酒をやめてもこうした変性性認知症を思わせるような急速悪化が続いた印象深い症例がある。参考1)Hermann P, et al. Rapidly progressive dementias - aetiologies, diagnosis and management. Nat Rev Neurol. 2022 Jun;18(6):363-376.

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第161回 止められない人口減少に相変わらずのんきな病院経営者、医療関係団体。取り返しがつかなくなる前に決断すべきこととは…(前編)

5月の連休、北海道のテレビが放送されている下北半島で考えたことこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。5月の連休、私は山仲間と青森県の八甲田山に行って来ました。豪雪で有名な酸ヶ湯温泉から地獄湯の沢を登って大岳(八甲田山の主峰です)、毛無岱を経て酸ヶ湯に戻る周回コース。幸い好天で残雪の春山を堪能できたのですが、やはりここ八甲田山でも雪は例年より少なく、地元の人は「季節が変わるのが2週間は早い」と話していました。八甲田山を登った後はレンタカーで下北半島巡りをしました。恐山霊場を参拝した後、下風呂温泉の宿に泊まったのですが、その宿のテレビでは北海道の民放が普通に放送されていました。もちろんCMも北海道の企業のものばかりです。下北半島の北エリアはテレビ的には青森ではなく距離が近い函館圏内、ということなのでしょう。ちなみにマグロで有名な下北半島の先端にある大間町と函館市の距離は直線(フェリー)で約46キロ、大間町と青森間は国道を使って約150キロです。となると仕事柄、医療提供体制についても気になるので、源泉かけ流しの温泉に浸かった後、ちょっと調べてみました。下北半島が位置する下北地域には4つの病院があります。基幹病院である一部事務組合下北医療センター・むつ総合病院(454床)以外は、国民健康保険大間病院(48床)、自衛隊大湊病院(30床)、むつリハビリテーション病院(120床)と、中小病院とリハビリ病院しかありません。実質的にむつ総合病院が、この地域の急性期医療を一手に引き受けていることになります。ただし、大間町からむつ市までは陸路で48キロもあり、距離的には函館とほぼ同じです。医療、とくに救急などの急性期医療に迅速に対応するには微妙な距離です。北海道のドクターヘリが自由に使えれば、ある意味”函館医療圏”と言ってもいいくらいでしょう。翌日我々は、人口減に苦しむ僻地の医療の大変さを実感しながら、約2時間半をかけてむつ市経由で青森まで車を走らせました。日本の人口、50年後の2070年には3,900万人減少し8,700万人にということで今回は、ゴールデンウイーク直前の4月26日に厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表した「将来推計人口」と、日本の医療提供体制への影響について書いてみたいと思います。「将来推計人口」は国勢調査を基に5年に1度公表する日本の人口の長期予測です。今回は新型コロナウイルスの影響で2017年4月以来、6年ぶりの公表となりました1)。それによれば、最も実現性の高いとされるケースで、2020年に1億2,615万人だった日本の人口は、50年後の2070年には3,915万人減少し、8,700万人になるとのことです。女性1人が生涯に産む子供の推定人数「合計特殊出生率」は2070年に1.36と推計されました(2020年は1.33)。推計には、日本に住む外国人も含まれ、933万人で人口の約1割になるとしています。人口が1億人を割るのは2056年で、前回推計の2053年より3年遅くなりました。そして2067年には9,000万人を下回るとしています。「生産年齢人口」は人口の52.1%まで減少65歳以上の高齢者の割合である高齢化率は2020年に28.6%だったのが、今後も上昇し2070年には38.7%まで高まるとしています。高齢者数のピークは前回推計では2042年の3,935万人でしたが、今回は1年遅い2043年の3,953万人となりました。15歳から64歳までの「生産年齢人口」は2020年で7,509万人(全人口の59.5%)だったものが、2070年には4,535万人、全人口の52.1%まで減少するとしています。ただし、外国人の流入もあり、前回(4,281万人)よりは働き手を多く確保できる推計となっています。平均寿命は2020年で男性81.58歳、女性87.27歳だったものが、2070年には男性85.89歳、女性91.94歳にまで延びるとしています。人口が減れば医療・介護のマーケットは縮小、今以上の人手不足が起こる以上が、最新の「将来推計人口」の概要です。6年前の推計と比べ、人口1億人割れの時期は3年遅くなったものの、日本の人口減の勢いはまったく弱まらないようです。人口が減るということは、都道府県、市町村の人口が減り、医療・介護のマーケット(つまり患者数)が縮小、同時に、労働集約型産業の側面が大きい医療・介護の分野での人手不足が今以上に深刻になることを意味します。日本の医療の現場では現在、そうした事態に備えた準備を着実に進めていると言えるでしょうか。私は2つの側面からみて、現場の医療者の多くはまだまだ他人事として、のんきに構えているようにしか見えません。遅々として進まない病院の役割分担の明確化や再編成に向けての動き1つ目の側面は医療提供体制における、病院の役割分担の明確化や再編成、病床削減などの取り組みです。将来の地域の医療提供体制(医療機関の役割分担)を形づくる国の仕組みとしては、医療法で定められた「医療計画」と「地域医療構想」があります。医療計画は現在、各都道府県で第8次医療計画(2024〜28年)の策定が進められています。地域医療構想については当面は策定された2025年の目標に向けての取り組みが進められていることになっています(次の地域医療構想は2040年頃を視野に入れつつ策定予定ですが、詳細は未定)。しかし、大規模な再編が本格化しようとした矢先、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こり、地域の病院再編は先延ばしとなってしまいました(「第32回 遅れに遅れた地域の病院再編、コロナに乗じた「先延ばし」はさらなる悲劇に」参照)。コロナ禍で、補助金などにより一時的に地域の公立・公的病院の経営状況が上向いたことや、地域の病院病床の必要性が”再確認”されたこともあり、病院の役割分担の明確化や再編成に向けての動きは活発化していません。実際、財務省もそんな状況にやきもきしています。4月28日に開かれた医療や介護など社会保障分野の改革を検討する政府のワーキンググループにおいて、財務省は地域医療構想について「過去の工程表と比較して進捗がみられない」「目標が後退していると言われかねない」などと指摘しています。山形県米沢市では公立、民間が病院機能を再編するケースももっとも、そんな中でも先を見越し、大胆な再編計画を進める地域もあります。厚生労働省が3月1日に開いた第11回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループでは、山形県米沢市でのユニークな取り組みが紹介されました。米沢市では、米沢市立病院(322床)と民間(一般財団法人 三友堂病院)の三友堂病院(185床)と三友堂リハビリテーションセンター(120床)の再編計画が進行中です。3つの病院の機能分化と連携強化を推し進め、急性期は米沢市立病院が、それ以外の回復期や慢性期などは三友堂病院が担うことにしたのです。また、各病院とも老朽化が進んでいたことから、現在、米沢市立病院がある敷地に三友堂病院(三友堂リハビリテーションセンターを統合)が移転し、通路を挟んでそれぞれが新病院を建設することになりました。開院予定は今年11月です。人口減と高齢化を背景に、公と民の病院が生き残りを賭けたこの計画、病床数は米沢市立病院が59床減の263床、三友堂病院が106床減の199床になる予定です。公立病院と民間病院の組み合わせということで完全な統合はせず、それぞれ経営が独立したまま「地域医療連携推進法人」を設立し、人材交流や物資の共同利用を進める方針です。この連載でも地域医療連携推進法人については度々書いてきましたが、公立・公的と民間というように、経営母体が違う法人同士の連携を進める上では、使い勝手の良い制度と言えるでしょう(「第138回 かかりつけ医制度の将来像 連携法人などのグループを住民が選択、健康管理も含めた包括報酬導入か?」参照)。ちなみに、この米沢市のケースを想定してか、国の認定再編計画に基づいて再編を行う病院同士を併設する場合、施設や構造設備を共用できるのは「再編対象病院が同一の地域医療連携推進法人に参加していること」とする厚生労働省医制局長通知(医政発0331第10号「病院の併設について」)が今年の3月31日に発出されています。相変わらずのんきな日本医師会、日本薬剤師会「自分たちだけは大丈夫」と考え、依然再編には無関心の病院経営者も少なくないようですが、このケースのように高齢化、人口減、患者減、医師・看護師などの医療者確保難が深刻化している地域では、ドラスティックな再編に乗り出す医療機関がこれからも増えることでしょう。しかし一方で、相変わらずのんきなのは日本医師会や日本薬剤師会といった医療関係団体のトップです。人口減が招くであろう人材難に対する危機感が希薄過ぎるのです。(この項続く)参考1)日本の将来推計人口(令和5年推計)/国立社会保障・人口問題研究所

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夜勤と認知症リスク~UK Biobankの縦断的研究

 中国・Jinan University First Affiliated HospitalのYitong Ling氏らは、夜勤労働とすべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症との関連性を調査し、夜勤労働の影響およびアルツハイマー病に対する遺伝的感受性を評価した。その結果、常に夜勤をしている労働者では、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症リスクが高いことが示唆された。また、アルツハイマー病の発症リスクは、アルツハイマー病の遺伝的リスクスコア(GRS)の違いにかかわらず、常に夜勤をしている労働者で高いことが報告された。Journal of Neurology誌オンライン版2023年4月6日号の報告。 データ抽出には、UK Biobankのデータベースを用いた。対象は24万5,570例、平均フォローアップ期間は13.1年であった。夜勤とすべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症との関連性を評価するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・すべての原因による認知症を発症した患者は1,248例であった。・最終的な多変量調整済みモデルでは、認知症のリスクは、常に夜勤をしている労働者で最も高く(HR:1.465、95%信頼区間[CI]:1.058~2.028、p=0.022)、次いで不規則なシフト勤務の労働者であった(HR:1.197、95%CI:1.026~1.396、p=0.023)。・アルツハイマー病を発症した患者は474例であった。・最終的な多変量調整済みモデルでは、アルツハイマー病の発症リスクも同様に、常に夜勤をしている労働者で最も高かった(HR:2.031、95%CI:1.269~3.250、p=0.003)。・常に夜勤をしている労働者は、アルツハイマー病のGRSの低・中・高、いずれのグループにおいても、アルツハイマー病の発症リスクの高さと関連していた。

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