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11月23日 ふさふさの日【今日は何の日?】

【11月23日 ふさふさの日】〔由来〕毛が元気に立っているイメージの「11」と、多くの髪の毛を連想させる「フサフサ(23)」と読む語呂合わせでAGAスキンクリニックが制定。薄毛は治療できる時代になったということを多くの人に知ってもらうことが目的。関連コンテンツ円形脱毛症【患者説明用スライド】抜け毛を気にしているのは女性に多い/アイスタットバリシチニブ、円形脱毛症の毛髪再生に有効か/NEJM円形脱毛症リスク、地毛の色で有意差予後予測に優れた円形脱毛症評価ツールを開発

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第139回 世界の男性の精子が半減/T細胞強化コロナワクチンの試験開始

世界の総人口80億人到達1)とは裏腹に、その始まりの半分の出どころ、精子が心配なことに減り続けているようです2,3)。しかも悪いことにその傾向は21世紀に入ってどうやら加速すらしています。イスラエルのヘブライ大学公衆衛生学教授Hagai Levine氏が率いる研究チームが6年前の2017年に発表したメタ解析では北米、欧州、オーストラリアでの精子の紛れもない減少が確認されました4,5)。その3年後の2020年春にLevine氏等は2014年以降に出版された試験の同定に着手し、男性1万4,233人からの精液検体を扱った38試験報告を見出しました。新たに見つかったそれらの試験と2017年のメタ解析で扱った試験は合わせて233件あり、1973~2018年の46年間に6万人近い5万7,168人の男性から採取された精液検体の検討結果を含みます。世界6大陸53ヵ国からのそれらの結果を改めてメタ解析した結果、北米、欧州、オーストラリアでの精子が減り続けていることに加えて、南/中央アメリカ、アジア、アフリカでも精子が減っていることが確認されました。世界の男性の精子減少は驚くばかりで、1973年には1mL当たり1億個を超えていたのが2018年にはその半分未満の1mL当たり4,900万個に減っていました。しかもその減少は20世紀に入って拍車がかかっているらしく、1mL当たりの精子数の年間低下率は1972年過ぎ(post-1972)からは1.16%だったのが2000年以降は2.64%へとおよそ倍増しています。日本の男性の精子もどうやら同様かもしれません。4都市(川崎、大阪、金沢、長崎)の大学構内にポスターを出して被験者を募った1999~2003年の試験の結果、中央値およそ21歳の大学生被験者1,559人の精子数の平均は1mL当たり5,900万個でした6)。今回のメタ解析報告での世界の2000年頃の精子数は(同報告のFigure 2 によると)1mL当たり平均7,000万個ほどであり、日本の大学生被験者はそれに比べると少なめです。また、パートナーが妊娠した男性、すなわち不妊ではなく受精能力がある日本人男性のみ募った試験7)での792人の1mL当たりの精子数平均は1億を超えており(1億0500万個/mL)、大学生被験者を上回っていました。それに、大学生被験者の実に3人に1人(32%)は1mL当たりの精子数が4,000万個に届いておらず、よって受精能力が低いと示唆され、パートナーの妊娠はより困難かもしれません。もっというと大学生被験者のおよそ10人に1人(9%)の1mL当たりの精子数は世界保健機関(WHO)の基準下限1,500万個8)未満でした。最初のメタ解析発表の翌年2018年、Levine氏を筆頭とする医師や科学者等一堂は精子減少を公衆衛生の一大事として認識し、人類の存続のために男性の生殖機能を重視することを求める声明を発表しています9)。各国は男性の生殖機能の衰えの原因を調べることに資源や人手を割き、その調子を把握して害されないようにする最適な環境を整えることをその声明は求めています。Levine氏に言わせれば事態は急を要します。今回発表されたメタ解析結果は男性の精子に危機が迫っていることを知らせるいわば炭鉱のカナリア(canary in a coal mine)であり、このままでは人類の存亡にかかわります。人間を含むすべての生き物にとってより健康的な環境を整えることに世界は取り組み、生殖機能を害する振る舞いや要因を減らさねばなりません3)。Pfizer/BioNTech社の“T細胞”強化コロナワクチンの試験開始新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)へのT細胞反応強化を目指すPfizer/BioNTechのmRNAワクチンBNT162b4の第I相試験(NCT05541861)が始まりました10,11)。SARS-CoV-2感染症(COVID-19)予防 mRNAワクチンを少なくとも3回接種した健康なおよそ180人を募り、オミクロン株BA.4/BA.5対応ワクチン併用でのBNT162b4の3用量(5、10、15 μg)の免疫原性や安全性などがオミクロン株BA.4/BA.5対応ワクチンと比べてどうかが検討されます。BNT162b4はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質以外のタンパク質を作るT細胞抗原mRNAが成分であり、T細胞免疫をいっそう強化してより隈なく行き届くようにし、COVID-19予防をより持続させることを目指します。重症化や入院を少なくとも1年は予防する長持ちな抗体やT細胞免疫を引き出すCOVID-19ワクチンを世に出すことを目指していると今年中頃の決算の会見でPfizerの最高科学責任者Mikael Dolsten氏は述べています12)。今回臨床試験段階に進んだBNT162b4はそういう長持ちで手広い免疫反応を引き出す取り組みの一翼を担っています。参考1)11月15日「80億人の日」/ 国連人口基金2)Levine H, et al. Hum Reprod Update. 2022 Nov 15:dmac035 [Epub ahead of print].3)Follow-up study shows significant decline in sperm Ccounts globally, including Latin America, Asia and Africa / Eurekalert4)Levine H, et al. Hum Reprod Update. 2017;23:646-659.5)Comprehensive study shows a significant ongoing decline in sperm counts of Western men / Eurekalert6)Iwamoto T, et al.BMJ Open 2013;3:e002222.7)Iwamoto T, et al.BMJ Open. 2013;3:e002223.8)WHO laboratory manual for the Examination and processing of human semen / WHO9)Levine H, Basic Clin Androl. 2018;28:13.10)Pfizer and BioNTech Advance Next-Generation COVID-19 Vaccine Strategy with Study Start of Candidate Aimed at Enhancing Breadth of T cell Responses and Duration of Protection / GlobeNewswire11)Safety and Effects of an Investigational COVID-19 Vaccine as a Booster in Healthy People(ClinicalTrials.gov)12)Pfizer (PFE) Q2 2022 Earnings Call Transcript / Fool.com

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神経線維腫症1型における叢状神経線維腫治療薬「コセルゴカプセル」発売/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、11月16日付のプレスリリースで、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」の効能または効果として、コセルゴカプセル10mgおよび25mg(一般名:セルメチニブ硫酸塩)の販売を11月16日より開始したことを発表した。コセルゴカプセルは国内初の神経線維腫症1型における叢状神経線維腫の治療薬 神経線維腫症1型(NF1)は、世界で出生約3,000人に1人が罹患している遺伝性疾患であり、10歳未満の小児で最もよく診断される。患者の30~50%で神経鞘に叢状神経線維腫(PN)が発生し、外見の変形、運動機能障害、疼痛、気道の障害、視力障害、膀胱/腸の機能障害などの病的状態を引き起こすことがある。PNは幼児期に発症し、その重症度は多岐にわたる。神経線維腫症1型患者では健康な人と比較して、平均余命が最長で15年短くなる可能性があるとの報告もある。にもかかわらず、主な治療選択肢が手術に限られるケースもあり、新たな治療法の登場が望まれていた。 コセルゴカプセルは、細胞増殖に関与する酵素である分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1およびMEK2)を阻害することにより、神経線維腫症1型の症状発現に関与する腫瘍細胞の増殖を抑制する薬剤である。コセルゴカプセルの承認は、米国国立がん研究所(NCI)のがん治療評価プログラム(CTEP)によるSPRINT試験第II相パート層1の結果に基づいている。コセルゴカプセルを3~18歳の疼痛や外観上の変形などの臨床症状を有し、重大な合併症のリスクを伴うことなく切除できないPNを有する患者に経口投与したところ、腫瘍の縮小が認められ、客観的奏効率(ORR:完全奏効[PNの消失]または部分奏効[20%以上の腫瘍縮小]が確認された患者の割合と定義)は66%(50例中33例)であったことが示された。SPRINT試験で最も多くみられた副作用は、嘔吐、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、下痢、悪心であった。さらに、症候性かつ手術不能なPNを有する3~18歳の日本の神経線維腫症1型患者を対象とした第I相試験において腫瘍が縮小したと示された点も承認の根拠として評価された。 アレクシオンファーマ社長の笠茂 公弘氏は、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫は今まで根本的な治療薬がなく、主な治療選択肢が手術に限られていた。そのため、痛みを伴う身体的な苦痛、外見の変形などの問題に起因する精神的な苦痛に加え、病態の進行や予後への不安を抱えながら生活する患者さん、患者さんのご家族も少なくない。国内初の治療薬コセルゴを、新たな希望として患者さんとそのご家族に届けられることは大変喜ばしく、われわれにとって大きな励みとなる。引き続き『すべての希少疾患を持つ人々に人生を変える治療法と希望を届ける』という当社のパーパスのために、革新的な治療法の研究開発に努める」としている。

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AmoyDx肺マルチ遺伝子PCRパネル、KRAS G12C変異肺がんのコンパニオン診断薬として承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2022年11月14日、AmoyDx肺マルチ遺伝子PCRパネルが、KRASG12C変異陽性に適応する薬剤のコンパニオン診断薬の承認を取得したと発表した。 これにより同製品は、がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の切除不能進行・再発非小細胞肺がん患者に対するソトラシブ(商品名:ルマケラス)の適応判定の補助に使用可能となる。 保険適用後の同製品は、EGFR、ALK、ROS1、BRAFV600E、METexon14スキッピング、KRASG12Cに関連する12種の抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助が可能となる。

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統合失調症患者の入院および機能に対するLAI抗精神病薬の影響

 抗精神病薬のアドヒアランス不良は、統合失調症患者の再発および再入院に最も影響を及ぼす因子であり、医療費の増大や心理社会学的障害につながる可能性がある。長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用は、治療の継続性やアドヒアランス改善に有効であると考えられる。イタリア・トリノ大学のCristiana Montemagni氏らは、経口抗精神病薬(OA)からLAI抗精神病薬への切り替えによる有効性を評価するため1年間のミラーイメージ研究を実施した。その結果、再発リスクが高くアドヒアランス不良の統合失調症患者にとって、LAI使用は最適な治療選択肢である可能性が示唆されたとし、とくに社会的機能低下が認められる患者では、第2世代抗精神病薬(SGA)のLAIによる治療が理想的であることを報告した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2022年10月8日号の報告。 統合失調症患者の精神科入院減少および全体の機能改善に対する、OAからLAI抗精神病薬への切り替えによる影響を評価した。SGAと第1世代抗精神病薬(FGA)のLAIのアウトカムの違いについても分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は全体で166例であり、FGA-LAI治療患者が32.5%、SGA-LAI治療患者が67.5%であった。・全体で、LAI切り替えの12ヵ月前と比較し切り替え12ヵ月後には、平均入院数が71%減少し、機能の全体的評定(GAF)スコアは29.3%改善した。・SGA-LAIに切り替えた患者は、FGA-LAIに切り替えた患者と比較し、GAFスコアの有意な改善が認められた。しかし、入院に対する有意な影響は認められなかった。

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マスク要請解除で学校のコロナ感染増、職員で顕著/NEJM

 米国マサチューセッツ州のグレーターボストン地域の学区で、州全体のマスク着用方策の撤回から15週の期間に、マスク着用要請を解除した学区の小中学校はこれに応じずに着用要請を続けた学区の学校と比較して、生徒と学校職員における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患者が1,000人当たり44.9人多かったことが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のTori L. Cowger氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年11月9日号で報告された。グレーターボストン地域72学区の調査 2022年2月28日、マサチューセッツ州は、公立学校におけるユニバーサルマスキング方策を州全体で撤回し、その後の数週間に多くの学区で生徒や職員へのマスク着用要請が解除された。グレーターボストン地域では、ボストン地区と近隣のチェルシー地区の2つの学区だけが、2022年6月までマスク着用要請を続けた。 研究グループは、この変更された方策の実施の時間差に関して差分の差分分析を行い、グレーターボストン地域で2021~22年の学年度中にマスク着用要請を解除した地区と、この要請を継続した地区で、生徒と職員におけるCOVID-19の罹患率を比較した。 グレーターボストン地域の72学区(生徒29万4,084人、学校職員4万6,530人)が解析の対象となった。方策撤回後1週目は、要請解除が46学区、継続は26学区で、2週目にはそれぞれ63学区および9学区に、その後は70学区および2学区となった。生徒より職員で、増加分が大きかった 州全体でマスク着用方策が撤回される前のCOVID-19罹患率は、学区全体で同程度であった。 州全体のマスク着用方策の撤回から15週までに、マスク着用要請を解除した学区では、マスク着用要請を継続した学区に比べ、生徒と職員のCOVID-19罹患率が1,000人当たり44.9人(95%信頼区間[CI]:32.6~57.1)多かった。この増加分の罹患者数は推定1万1,901人(95%CI:8,651~1万5,151)で、解除学区の罹患者の33.4%(95%CI:24.3~42.5)、全学区の罹患者の29.4%(95%CI:21.4~37.5)に相当した。 要請解除による罹患リスクへの影響は、学校職員(81.7人[95%CI:59.3~104.1]/1,000人の増加)のほうが生徒(39.9人[24.3~55.4]/1,000人の増加)よりも大きかった。 マスク着用要請の延長を選択した学区は、早期解除を選択した学区と比較して、校舎の築年数が長く、周辺の環境が劣悪で、1学級の生徒数が多い傾向が認められた。また、これらの学区では、低所得家庭の生徒、障害のある生徒、英語学習中の生徒の割合が高く、黒人や中南米系の生徒や職員が多かった。 著者は、「今回の調査結果は、地域社会で感染者数が多い時期に、高品質マスクを用いたユニバーサルマスキングは、SARS-CoV-2の感染拡大と対面登校日の減少を最小限に抑えるための重要な戦略であるとの見解を支持する。また、マスク着用は、重症COVID-19のリスク、教育現場の混乱、家庭内での2次感染による健康や経済的な影響など、学校における構造的人種差別の影響を軽減するための重要な手段となる可能性が示唆された」と指摘し、「今回の知見を活用すれば、各学区は、2022~23年の学年度中に起こりうる冬のCOVID-19の波を見越して、公平な感染緩和計画を立案し、感染の波が収まった時にマスクを外すための明確な判断基準を策定できるであろう」としている。

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治療抵抗性高血圧、二重エンドセリン受容体拮抗薬が有効/Lancet

 エンドセリン経路の遮断による降圧作用が示唆されているが、現時点では治療標的とはなっていない。オーストラリア・西オーストラリア大学のMarkus P. Schlaich氏らは「PRECISION試験」において、二重エンドセリン受容体拮抗薬aprocitentanは治療抵抗性高血圧患者で良好な忍容性を示し、4週の時点での収縮期血圧(SBP)がプラセボに比べ有意に低下し、その効果は40週目まで持続したと報告した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月7日号に掲載された。3部構成の無作為化第III相試験 PRECISION試験は、欧州、北米、アジア、オーストラリアの22ヵ国193施設が参加した無作為化第III相試験であり、2018年6月~2022年4月の期間に参加者の登録が行われた(Idorsia PharmaceuticalsとJanssen Biotechの助成を受けた)。 対象は、利尿薬を含むクラスの異なる3種の降圧薬から成る標準化された基礎治療を受けたが、診察室での座位SBPが140mmHg以上の患者であった。 試験は連続する3部から成り、パート1は4週間の二重盲検無作為化プラセボ対照の期間で、患者は標準化基礎治療に加えaprocitentan 12.5mg、同25mg、プラセボの1日1回経口投与を受ける群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。パート2は32週間の単盲検(患者)の期間で、すべての患者がaprocitentan 25mgの投与を受けた。パート3は12週間の二重盲検無作為化プラセボ対照の投与中止期で、再度無作為化が行われ、患者はaprocitentan 25mg群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、パート1のベースラインから4週目までの診察室座位SBP、主な副次エンドポイントはパート3のベースライン(36週目)から4週目(40週目)までの診察室座位SBPの変化であった。そのほか副次エンドポイントには、24時間時間自由行動下SBPの変化などが含まれた。4週時の24時間自由行動下SBPも良好 730例が登録され、このうち704例(96%)がパート1を、703例のうち613例(87%)がパート2を、613例のうち577例(94%)がパート3を完遂した。730例のうちaprocitentan 12.5mg群が243例(平均年齢61.2歳、男性59%)、同25mg群が243例(61.7歳、60%)、プラセボ群は244例(62.2歳、59%)であった。 パート1の4週時におけるSBPの最小二乗平均(SE)変化は、aprocitentan 12.5mg群が-15.3(0.9)mmHg、同25mg群が-15.2(0.9)mmHg、プラセボ群は-11.5(0.9)mmHgであった。プラセボ群との差は、aprocitentan 12.5mg群が-3.8(1.3)mmHg(97.5%信頼区間[CI]:-6.8~-0.8、p=0.0042)、同25mg群は-3.7(1.3)mmHg(-6.7~-0.8、p=0.0046)と、いずれも有意に低下した。 パート1の4週時における、24時間自由行動下SBPのプラセボ群との差は、aprocitentan 12.5mg群が-4.2mmHg(95%CI:-6.2~-2.1)、同25mg群は-5.9mmHg(-7.9~-3.8)であった。 パート3の4週(40週)時におけるSBP(主な副次エンドポイント)は、aprocitentan 25mgに比べプラセボ群で有意に高かった(5.8mmHg、95%CI:3.7~7.9、p<0.0001)。 パート1の4週間で発現した最も頻度の高い有害事象は浮腫/体液貯留で、aprocitentan 12.5mg群が9.1%、同25mg群が18.4%、プラセボ群は2.1%で認められた。試験期間中に治療関連死が11例(心血管死5例、新型コロナウイルス感染症関連死5例、腸穿孔1例)でみられたが、担当医によって試験薬関連と判定されたものはなかった。 著者は、「本研究により、aprocitentanによる二重エンドセリン受容体の遮断は、ガイドラインで推奨されている3剤併用降圧治療との併用で、良好な忍容性とともに、診察室および自由行動下の血圧の双方に持続的な降圧効果をもたらす有効な治療法であることが確立された」としている。

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第124回 マイナカード、救急医療や生活保護受給者でも活用へ/政府

<先週の動き>1.マイナカード、救急医療や生活保護受給者でも活用へ/政府2.社会保障、高齢者も経済力に見合った負担を/厚労省3.糖尿病の病名の変更を要望/日本糖尿病協会4.社会保障に対する意識調査、「高齢者の負担増はやむをない」4割強/健保連5.財務省提案の「要介護1と2の保険外し」案に反論も/財務省6.マイナカードによるオンライン資格確認システム義務化に反対/保団連1.マイナカード、救急医療や生活保護受給者でも活用へ/政府総務省消防庁は第二次補正予算の概要を公表した。マイナンバーカードを用いた「オンライン資格確認等システム」を活用することで、傷病者の医療情報などを閲覧できるようにして、救急業務の迅速化・円滑化に向けたシステム構築の検討のため、1億円の予算を要求した。また、厚生労働省は社会保障審議会の生活困窮者自立支援および生活保護部会を11月14日に開催し、生活保護受給者の医療機関の受診時に、これまで用いてきた医療券の代わりにマイナンバーカードを原則とすることとし、医療扶助の適正化のため、福祉事務所による早期の把握や改善を助言する案を提案しており、同省では来年の通常国会以降に関連法案を提出する見通し。なお、生活保護費は令和2年度実績で3.5兆円(国費2.6兆円)であり、その約半分を医療扶助、約3割を生活扶助が占めている。(参考)令和4年度総務省消防庁 第2次補正予算(案)について(消防庁)生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)案(厚労省)マイナンバーカード活用の救急システム構築検討へ 総務省消防庁が第2次補正予算案概要を公表(CB news)マイナカードで生活保護受給者の受診状況を早期に把握 厚労省(毎日新聞)2.社会保障、高齢者も経済力に見合った負担を/厚労省内閣府は11月11日に全世代型社会保障構築会議を開き、子育て世代への支援拡充や持続的な社会保障制度を実現するため、高齢者にも経済力に見合った負担を求めていく方針を固めた。これを受け、厚生労働省は11月17日に社会保障審議会を開催し、現在は年66万円となっている75歳以上の後期高齢者の年間保険料の上限額を、現在よりも14万円引き上げ80万円とする見直し案を提案した。後期高齢者全体の1%強が影響を受けるが、これによって現役世代の負担は1人当たり年間平均300~1,100円軽減する見込み。(参考)第8回 全世代型社会保障構築会議(内閣府)第158回 社会保障審議会医療保険部会(厚労省)全世代型社会保障 年金、医療、介護 制度改正の焦点(産経新聞)75歳以上の4割が負担増…年金収入153万円超の医療保険料引き上げ案を提示(読売新聞)3.糖尿病の病名の変更を要望/日本糖尿病協会日本糖尿病協会は、糖尿病に対する社会的偏見が、不正確な情報や知識に起因する誤った認識により生じることが多いとして、「糖尿病」という病名について、糖尿病のある人がどのように感じているかを調査した。その結果、糖尿病の患者約1,100人のうち、糖尿病という名前に抵抗感や不快感があると90.2%が回答し、病名を変更したほうがいいと79.8%が回答した。糖尿病という病名にまつわる負のイメージを放置することで、糖尿病をもつ人が社会活動で不利益を被るのみならず、治療に向かわなくなるという弊害があるため、糖尿病であることを隠さずにいられる社会を作っていく必要があるとして、今後、1~2年のうちに新たな病名について、日本糖尿病学会とも連携して、変更を求めていくとしている。(参考)糖尿病の病名変更を提唱へ“不正確でイメージ悪い”専門医団体(NHK)糖尿病「名称変えて」 団体調査、患者の9割不快感 怠惰・不摂生…負の印象つながりかねず(日経新聞)糖尿病にまつわる“ことば”を見直すプロジェクト(日本糖尿病学会・日本糖尿病協会)4.社会保障に対する意識調査、「高齢者の負担増はやむをない」4割強/健保連11月16日、健康保険組合連合会(健保連)は「医療・介護に関する国民意識調査」を発表した。健保連は平成19年から定期的にわが国の公的医療保険・介護保険制度や医療提供体制に対する国民の認識について意識調査を行っており、令和4年もwebアンケート方式で3,000人を対象に実施した。少子高齢化が進む中で、1人の高齢者を支える現役世代の人数が今後も減り続けることが予想されることについて、今後高齢世代の負担が重くなることはやむを得ないとする回答(42.3%)が、現役世代の負担増はやむを得ないとする回答(19.5%)を上回った。年齢別でも、70歳以上の高齢者の45.8%が高齢世代の負担増についてやむを得ないと回答していた。また、健康保険について1人当たり月額16,300円(令和2年)の健康保険料について、「非常に重いと感じる」「やや重いと感じる」と回答した割合は合計68.7%となり、負担感が強いことが明らかになっている。(参考)医療・介護に関する国民意識調査(健保連)高齢世代の負担増、4割超「やむを得ない」健保連・国民意識調査(CB news)5.財務省提案の「要介護1と2の保険外し」案に反論も/財務省財務省は、11月に開催した財政制度等審議会・財政制度分科会において、2024年度の介護保険制度改正で、要介護1・2のサービスの見直しについて言及した。この中で、要支援者に対する訪問介護・通所介護は、地域支援事業へ移行を完了したが、要介護1・2への訪問介護・通所介護についても効果的・効率的なサービス提供を可能にするため、段階的に地域支援事業への移行を目指す方向性を提案した。今後、75歳以上の高齢者が2030年頃まで増加し、その後も要介護認定率や1人当たり介護給付費がことさらに高い85歳以上人口の増加が見込まれており、膨らみ続ける介護費の抑制に対応する。この方針に対して、現場の介護関係者からは批判が出ており、自治体側の受け皿が十分に整っていないまま給付を削減することについて反対の意見が出ている。(参考)社会保障(財務省)“要介護1と2の保険外し”、財務省が一部見送りを容認 「段階的にでも実施すべき」と提言(JOINT)要介護1、2のサービス切り離しに現場反発…なぜ? 厚労省が介護保険給付から市町村事業に移行案(東京新聞)6.マイナカードによるオンライン資格確認システム義務化に反対/保団連全国保険医団体連合会(保団連)は、政府が医療機関等に2023年3月末までのオンライン資格確認の原則義務化や、2024年度秋から保険証廃止を進める方針について、マイナンバーによるオンライン資格確認システムやマイナンバーと保険証の一体化について、撤回を求める意見を発表した。保険医協会、保険医会会員に対して今年の10月14月~31日に行ったアンケートの回答(計4,747)のうち医科診療所62%、歯科診療所28%、病院6%が回答しており、保険証廃止については65%が反対、賛成はわずか9%のみであり、マイナンバーカード利用に不慣れな患者への窓口応対の増加やマイナンバーカードの携帯・持参が困難な患者(単身高齢者など)への対応など保険証廃止による医療現場や患者への影響・危惧する意見が多く寄せられた。また、2023年4月のオンライン資格確認の義務化については、運用開始済みが26%、準備中が54%、導入しない・できないが14%にも上ることが明らかとなった。このほか、オンライン資格確認について運用開始済みと回答した回答者(n=1,242)のうち、利用患者がほとんどいないとする意見が83%であり、十分な議論がされていないとして義務化の撤回を求めている。(参考)保険証廃止・オンライン資格確認義務化 意識・実態調査(保団連)オン資義務化・マイナ保険証の「撤回」を 保団連が会見(MEDIFAX)

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極めて難しい妊婦・産婦の静脈血栓症に対して日本は世界の標準治療ができない?(解説:後藤信哉氏)

 血栓症を専門とする医師として最も困難な臨床病態の一つが妊婦・産婦の静脈血栓症である。高齢者の心筋梗塞であれば死亡などの合併症を起こしても納得しやすい。多くの妊婦が安全に出産するなかで自分の家族が静脈血栓症に凶変すれば家族としては納得できない。血栓性素因などが同定されたら、血栓予防を行うことになる。数ヵ月の妊娠期間内、継続的に血栓予防を行うためにはどうしたらいいだろうか? 経口抗凝固薬として長年のデータの蓄積のあるワルファリンは胎盤を通過する。催奇形性もあるため器官形成期には使用できない。選択的トロンビン、Xa阻害薬は心房細動の脳卒中予防などに広く使用されているが、妊婦への使用経験は少ない。低分子として胎盤を通過すれば胎児への影響も懸念される。 妊婦の血栓症に対して使用できる数少ない抗凝固薬がヘパリンである。ヘパリンは分子量の異なる物質が混在している。個人ごとに効果がばらつくためaPTTを用いたモニタリングが必須である。欧米では、ヘパリンから低分子量成分を抽出した低分子ヘパリンが静脈血栓症に対して使用できる。妊娠中、産後の血栓リスクの高い時期には低分子ヘパリンの自己皮下注射が広く普及している。いわゆる予防量とされる少量の固定量が良いか、体重に応じて投与量を調節した方がよいかは不明であった。つまり、妊産婦の静脈血栓症予防の最適治療について欧米諸国は相当標準化が進んでいたが、容量調節の要否についてコンセンサスがなかったので本ランダム化比較試験が施行された。妊娠14週よりも前に静脈血栓が確認された症例を1,110例集めた。出産後6週までの血栓イベント、出血イベントの群間比較を行い両群に差がないとされた。 残念なことに日本では低分子量ヘパリンが静脈血栓症において適応を取得していない。家族とトラブルになるリスクの高い妊産婦の血栓予防に低分子ヘパリンをチャレンジする勇気はない。世界の標準治療と異なるとしてもヘパリンカルシウムなどにて対応せざるを得ない。ランダム化比較試験のエビデンスが標準治療とされる原理の中で、一度世界と標準治療が異なってしまうと追いつくのが難しい。低分子ヘパリンの自己皮下注が使えれば…と思う症例が多い。せめて日本でも大規模な観察研究データでも作って、本研究のように治療下でも1%の症例には静脈血栓イベントが起こる、などの科学的事実を集積できれば患者さんへの説明に役立つ。

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アルツハイマー病治療薬の今【コロナ時代の認知症診療】第21回

アリセプトの市販後臨床試験結果からみえてくること認知症の原因疾患は、70以上もあるといわれる。治療法はそれぞれの原因ごとに違うが、今のところ治療薬の適応は、数が一番多いアルツハイマー病が基本となっている。実際、現在流通している治療薬の4つはすべてアルツハイマー病が対象である。例外的にドネペジル(商品名:アリセプト)のみは、レビー小体型認知症も適応疾患だった。ところが、この10月の厚生労働省の発表により(令和4年10月28日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会)、本症の承認条件だった市販後臨床試験で「主要評価項目が未達」と報告された。その結果、認知症専門医らが必要と判断した患者に使用すること等を添付文書に追記を求めることになった。「投与開始12週間後までを目安」に認知機能検査や聞き取りによって有効性評価を行い、効果が判断できなければ「投与を中止」すること、投与継続を決めても定期的な継続可否の判断を求め、さらに「認知症治療に精通」した医師が使うよう注意喚起をしたのである。なお経験的に幻視や錐体外路徴候もある本症にはこの薬が効くといわれてきたが、この発表でもそれが統計学的に示されている。要は、いったんは適応となった薬剤でもなかなか甘くはないといえる。aducanumabとlecanemab、結果の違いをどうみるかさて今日アルツハイマー病の根本治療薬として、開発にしのぎが削られる新薬の主流標的は病気の原因と目されているアミロイドβ(Aβ)、タウ、炎症や免疫に関わる薬などに分類できる。その中でも主流はアミロイドβに関連する抗アミロイドβモノクローナル抗体と呼ばれるものである。これまでこの種の新薬として10種類以上により治験がなされてきた。結果概要は、「原因物質と目されるアミロイドβを脳から除去できる。しかし記憶など認知機能への効果は微妙。副作用として脳血管の出血や浮腫みが30%程度出現する」とまとめられる。確かにこの成績では期待の根本治療薬というわけにはいかない。つい最近まで最も優秀とされたaducanumabが、2011年12月に日本で承認されなかったことには3つの理由がある。まず2つの大きな治験をやっているのだが、その治験の結果が両者で一致しないことがある。次にアミロイドβの脳からの除去と認知機能改善の関係性が説明できないこと。さらに少なからぬ例で脳血管の出血や浮腫が見られたことである。これに対して、lecanemabでは2022年9月に主要評価項目とすべての重要な副次評価項目で統計学的に有意な結果が得られたと報告された。主要評価項目スコアの平均変化量は、本剤投与群がプラセボ投与群と比較して-0.45、27%という統計学的に有意な悪化抑制を示したのである。また副次評価項目としての脳内アミロイド蓄積は減少した。他の認知機能テストや日常生活動作などについても統計学的に有意な結果を得たのである。また副作用としての脳血管の出血や浮腫みはaducanumabより低い発現率であった。以上の結果を踏まえてlecanemabは、2022年度中に米国ならびに日本、欧州において承認申請を目指すとされる。なお本剤のメカニズムのポイントは、Aβの少数集合体であるオリゴマー(あるいは凝集体:プロトフィブリル)をターゲットにしていることだ。神経細胞に害を与えるのは出来上がったAβの塊である老人斑ではない。Aβの集合状態には単一のモノマーから少数のオリゴマー、さらには線維化Aβまで段階があるが、神経毒性の強さから最も注目されるのはオリゴマーあるいはプロトフィブリルなのである。lecanemabは承認されるか?承認されるかどうかは、3つの問題点に対してこの薬がどこまで答えられるか、またそれが納得できるかという評価にかかっていると筆者は考える。いずれにせよ今度こそ合格するのではないかと熱い視線が世界中から向けられている。けれども難しい問題がある。まず費用の問題。前回aducanumabの時に、年間600万円の薬価だと言われた。日本人は身体が小さいので、400万程度ではないかという試算もあるようだが、いずれにしても高価である。今回どれくらいの薬価になるのかまだ発表はないようだが、そう安くなるとは思えない。もっと大切なのは保険収載だろう。これがあるからこそ、日本国民は、比較的安価に医療サービスが受けられる。逆にこうした高価な薬で収載がなされないとその恩恵に預かることはそう簡単ではない。よく知られているように新規医薬品や医療技術の保険収載等に際しては、費用対効果や財政影響などの経済性評価や保険外併用療養の活用などが検討される1)。冒頭に述べたアリセプトとレビー小体型認知症の関係ではないが、これはかなり厳しいものといえる。ましてこの新薬について、アルツハイマー病の患者さんの総数、費用対効果などを考えた時に簡単に収載になると考えにくいところがある。参考1)厚生労働省保険局.新規医薬品等の保険収載の考え方について(平成30年10月10日)

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高HDLコレステロール血症について【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q42

高HDLコレステロール血症についてQ42診断基準には含まれないが、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では高HDLコレステロール血症についてもひとこと言及された。リスクとなる可能性があるのは、HDLコレステロールがいくつ以上とされたか?

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コロナで日本の未成年者の自殺率とその理由が変化

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に、日本の若年者(10~19歳)の自殺率はパンデミック前と比較して増加し、家族問題や人間関係の問題に起因する自殺が増加していたことを、東京大学医学部附属病院の後藤 隆之介氏らが明らかにした。パンデミックにより学校閉鎖などの前例のない感染防止対策が講じられ、若年者に多くのメンタルヘルスの課題をもたらしたが、これまでパンデミック中の若年者の自殺の傾向やその理由を調査した研究はほとんどなかった。The Lancet regional health. Western Pacific誌2022年8月10日掲載の報告。 調査は、厚生労働省発表の2016~20年の月別自殺率と、警察庁発表の2018~20年の自殺原因を用いて行われた。ポアソン回帰モデルを使用して変動を推計したイベントスタディデザインと分割時系列解析により、パンデミック前(2016年5月~2020年3月)とパンデミック中(2020年5月~2021年4月)の月別自殺率の変化を比較するとともに、自殺の原因(家族問題、精神疾患、人間関係の問題、学校問題)の変化を調査した。 主な結果は以下のとおり。・10~19歳の若年者の自殺率は、パンデミック前と比較してとくに2020年8月から11月にかけて増加した。2020年11月の自殺率は前年比1.86倍(95%信頼区間[CI]:1.30~2.66)であった。・自殺率は、2020年12月にはパンデミック前と同水準に近づいたが、2021年に入ってもわずかに上昇したままであった。・分割時系列解析によると、自殺率は2020年5月から8月にかけて上昇(+0.099件/10万人の若年者/月、95%CI:0.022~0.176)し、2020年9月から12月にかけて減少(-0.086件/10万人の若年者/月、95%CI:-0.164~-0.009)した。・すべての主な原因による自殺が2020年夏から秋にかけて増加しており、とくに家族問題や人間関係の問題に起因する自殺が増加していた。・精神疾患に起因する自殺率は、パンデミック前の水準よりも2020年12月まで高いままであった。 これらの結果より、同氏らは「パンデミック中は若年者にメンタルサポートを提供するだけでなく、定期的な社会的交流の機会の提供が有益である可能性がある」とまとめた。

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大腸手術前の予防的抗菌薬、経口・静注併用で手術部位感染減少/BMJ

 大腸手術を受ける患者では、予防的な抗菌薬の静脈内投与と経口投与の併用により手術部位感染が低下することが、最近の研究で示唆されている。フランス・Centre Hospitalier Universitaire de Clermont-FerrandのEmmanuel Futier氏らは、「COMBINE試験」において、待機的大腸手術を受ける成人患者では、術前に抗菌薬静脈内投与に加え経口ornidazoleの1g用量を単回投与すると、プラセボと比較して術後の手術部位感染が有意に減少し、術後の重度合併症も少ないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2022年11月3日号に掲載された。フランスの無作為化プラセボ対照試験 COMBINE試験は、フランスの11施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照試験であり、2016年5月~2019年8月の期間に患者の登録が行われた(フランス保健省の助成を受けた)。 対象は、待機的に腹腔鏡または開腹による大腸手術を受ける成人患者であった。被験者は、術前の抗菌薬静脈内投与による感染予防処置の補助として手術の12時間前に、経口ornidazole 1gを単回投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、術後30日以内に手術部位感染(表層切開創、深部切開層、臓器/体腔)を発症した患者の割合とされた。副次アウトカムは、術後30日以内の手術部位感染の個々の感染の種類および重度の術後合併症(Clavien-Dindo分類のGrade3以上)などであった。縫合不全、敗血症/敗血症性ショックも低下 926例(平均年齢63歳、男性60%)が解析に含まれた。ornidazole群が463例、プラセボ群も463例だった。64%が結腸切除術、36%が直腸切除術を受け、74%は腹腔鏡手術だった。 術後30日以内の手術部位感染は、ornidazole群が463例中60例(13.0%)で発生し、プラセボ群の463例中100例(21.6%)に比べ有意に少なかった(絶対群間差:-8.6%[95%信頼区間[CI]:-13.5~-3.8]、相対リスク:0.60[95%CI:0.45~0.80]、p=0.001)。 手術部位感染のうち、深部切開層感染(4.8% vs.8.0%、絶対群間差:-3.2%[95%CI:-6.4~-0.1、相対リスク:0.54[95%CI:0.31~0.92]、p=0.03)と、臓器/体腔感染(5.0% vs.8.4%、-3.4%[-6.7~-0.2]、0.53[0.31~0.91]、p=0.02)はornidazole群で患者の割合が有意に低かったが、表層切開創感染(3.2% vs.5.2%、p=0.09)は両群間に有意な差は認められなかった。 術後30日以内の重度合併症(9.1% vs.13.6%、絶対群間差:-4.5%[95%CI:-8.6~-0.5]、相対リスク:0.63[95%CI:0.41~0.97]、p=0.03)もornidazole群で少なく、術後縫合不全(4.8% vs.8.0%、相対リスク:0.59[95%CI:0.36~0.99]、p=0.046)や、敗血症/敗血症性ショック(5.6% vs.9.1%、0.62[0.39~0.99]、p=0.046)にも臨床的に意義のある差がみられた。 死亡には差がなかった(30日時:0.4%[2例]vs.1.1%[5例]、p=0.27、90日時:1.1%[5例]vs.2.2%[10例]、p=0.20)。また、試験薬による重篤な有害事象は両群とも報告がなかった。 著者は、「これらの知見により、予防的経口抗菌薬投与の効果は、主に深部切開層感染と臓器/体腔感染の発生率の低減に起因すると示唆された」としている。

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デルイソマルトース第二鉄、心不全入院/心血管死を抑制か/Lancet

 左室駆出率(LVEF)低下と鉄欠乏を伴う幅広い心不全患者において、デルイソマルトース第二鉄の静脈内投与は通常治療と比較して、心不全による入院および心血管死のリスクを低下させる可能性があり、重篤な心臓有害事象が少ないことが、英国・Portsmouth Hospitals University NHS TrustのPaul R. Kalra氏らが実施した「IRONMAN試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月5日号で報告された。英国のイベント主導型無作為化試験 IRONMAN試験は、英国の70施設が参加した医師主導による非盲検エンドポイント評価盲検化のイベント主導型前向き無作為化試験であり、2016年8月~2021年10月の期間に患者のスクリーニングが行われた(英国心臓財団とデンマーク・Pharmacosmosの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、症候性の心不全で、LVEF≦45%、鉄欠乏(トランスフェリン飽和度<20%または血清フェリチン値<100μg/L)がみられ、心不全により現在入院中または過去6ヵ月以内の入院歴のある患者も含まれた。 被験者は、デルイソマルトース第二鉄の静脈内投与または通常治療を受ける群に無作為に割り付けられた。デルイソマルトース第二鉄の用量は、体重とヘモグロビン値によって患者ごとに決められた。通常治療は鉄剤静注療法を受けないこととされ、通常治療群では担当医の裁量で経口鉄剤の服用は許容されたものの、積極的な推奨は行われなかった。 主要エンドポイントは、心不全による再入院および心血管死とされた。感染症入院、感染症死には差がない 1,137例(年齢中央値73歳[四分位範囲[IQR]:63~79]、女性26%)が登録され、デルイソマルトース第二鉄群に569例、通常治療群に568例が割り付けられた。14%が心不全で入院中の患者、18%が過去6ヵ月以内に入院歴のある患者、67%は外来クリニックからの登録でNT-proBNP値またはBNP値の上昇がみられる患者であった。追跡期間中央値は2.7年(IQR:1.8~3.6)だった。 心不全による入院および心血管死は、デルイソマルトース第二鉄群が336例(100人年当たり22.4例)、通常治療群は411例(100人年当たり27.5例)で発現した(率比[RR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.66~1.02、p=0.070)。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を考慮した感度分析では、心不全による入院および心血管死はそれぞれ210例(100人年当たり22.3例)および280例(100人年当たり29.3例)で認められた(RR:0.76、95%CI:0.58~1.00、p=0.047)。 事前に規定された安全性のエンドポイントである感染症による入院(11.7例/100人年 vs.14.2/100人年、RR:0.82、95%CI:0.62~1.08、p=0.16)および感染症による死亡(6% vs.5%、ハザード比:1.22、95%CI:0.74~2.02、p=0.43)には、両群間に有意な差は認められなかった。また、重篤な心臓有害事象(36% vs.43%、群間差:-7.00%、95%CI:-12.69~-1.32、p=0.016)は、デルイソマルトース第二鉄群で有意に少なかった。 著者は、「本試験とAFFIRM-AHF試験の結果には一貫性が認められた。両試験とも主要エンドポイントを満たさなかったが、エビデンスの総体として鉄剤静注療法は心不全による入院を低下させることが示唆された」とし、「鉄欠乏を伴う幅広い心不全患者において、鉄剤静注療法は全般的に有益で、使用する鉄複合体の種類とは無関係の可能性がある」と指摘している。

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日本人アルツハイマー病に対する抗認知症薬の継続性

 アルツハイマー病(AD)の症状に対する治療には、ドネペジルが用いられることが多いが、早期の治療中断も少なくない。ドネペジル治療開始後の抗認知症薬使用の継続率を明らかにすることは、今後の治療戦略の開発および改善に役立つ可能性があるものの、これらに関する日本からのエビデンスはほとんどなかった。九州大学の福田 治久氏らは、日本人AD患者におけるドネペジル開始後の抗認知症薬の継続率を明らかにするため、保険請求データベースを用いて検討を行った。その結果、日本人AD患者における抗認知症薬の継続率は、他国と同様に低いことが明らかとなった。著者らは、長期介護が必要な患者で治療中断リスクが高く、AD患者の薬物治療継続率を改善するためには、さらなる対策が求められると報告している。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年10月1日号の報告。 17の自治体より2014年4月~2021年10月にドネペジルを新規で処方されたAD患者に関する保険請求データを収集した。抗認知症薬の継続性は、ドネペジル最終処方後60日以内にドネペジル、他のコリンエステラーゼ阻害薬、メマンチンを処方された場合と定義した。要介護レベルと治療中断との関連を分析するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、AD患者2万474例(平均年齢:82.2±6.3歳、女性の割合:65.7%)。・抗認知症薬の継続率は、開始後30日で89.1%、90日で79.4%、180日で72.6%、360日で64.5%、540日で58.3%であった。・要介護度別における治療中断のハザード比は、介助が必要な患者で1.01(95%信頼区間[CI]:0.94~1.07)、長期介護の必要性が低度の患者で1.12(95%CI:1.06~1.18)、長期介護の必要性が中程度~高度の患者で1.31(95%CI:1.21~1.40)であった。

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第135回 もはや “ワクチンガチャ”、追加接種はBA.1かBA.4/BA.5の明示必要なし

徐々に新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の第8波の足音が忍び寄っている。現在に至ってもその感染対策の基本は、手洗い、マスク、三密回避、ワクチンであることは不変だ。しかし、新型コロナパンデミックからもう丸3年が経過しようとしている中で、いくつかの変化はある。まず、流行の主流ウイルス株がBA.4/BA.5と5世代目になり、多くの国民が2回はワクチンを接種していることもあってか、見かけ上の重症化率は低下している。一方で当初から使われてきたワクチンの効果が以前よりも低下し、新たな2価ワクチンが登場したものの、国民の側も頻回なワクチン接種にややうんざりしている。実際、首相官邸のホームページで公表されているワクチン接種実績も2価ワクチンに関しては、11月14日時点で10.4%と低調である。これについては、(1)第7波時の感染者の接種待機、(2)4回目接種からの接種待機、(3)BA.4/BA.5対応の接種待ち、という要素もあるだろうが、それにしても接種率の低さは否めない。そうした中でやや気になるのが現在のワクチン接種体制である。日本では9月12日にオミクロン株BA.1対応2価ワクチン(以下、BA.1対応ワクチン)を承認したが、米国食品医薬品局(FDA)はそれより一足早く8月31日にオミクロン株BA.4/BA.5対応2価ワクチン(以下、BA.4/BA.5対応ワクチン)の緊急使用許可を下した。そして日本では10月5日にファイザー製、10月31日にモデルナ製のBA.4/BA.5対応ワクチンをそれぞれ承認した。前者については私が見る限り、すでにほとんどの自治体に行き渡っていると見られ、後者については厚生労働省(以下、厚労省)の発表によると11月28日から各自治体への配送が始まるという。さてここで問題。2杯のラーメンがあり、うち一杯はチャーシューが3枚、もう一杯はチャーシューが5枚、ただし料金は同一。あなたはどちらを選びますか? チャーシューの好き嫌いやカロリーを気にする人を除けば、多くは5枚のほうを選ぶのではないだろうか?なぜこのような話をしたのかというと、現在、市中に流通しているファイザー製2価ワクチンはBA.1対応ワクチンとBA.4/BA.5対応ワクチンが混在している。そして現在の流行の主流はBA.4/BA.5である。最低限の知識があり、新型コロナワクチンの接種を希望する人がどちらを選びたがるかは自明ではないだろうか?もちろんBA.1対応ワクチンでもBA.4/BA.5に一定の効果はあるのは確かだ。しかし、限定的とはいえ、公表されているデータを見れば、ファイザー製ワクチンのBA.4/BA.5に対する中和抗体価は、明らかにBA.4/BA.5対応ワクチンのほうが高い。にもかかわらず「どちらでも良いから接種してください」は国民感情の観点からは無理があり過ぎると思うのだ。百歩譲って、感染拡大が急速に進行し、供給量がBA.1対応ワクチンのほうが潤沢な一方、BA.4/BA.5対応ワクチンがかなり心もとない状況ならば、私も「どちらでも良い」とは言うだろう。しかし、現在はBA.4/BA.5主流の第8波に入り始めている中、少なくともファイザー製ワクチンに関しては、大都市圏では予約システムで問題なくBA.4/BA.5対応ワクチンが選択でき、一部の地方自治体ではBA.4/BA.5対応ワクチンに切り替えて一本化する方針を打ち出している事例もある。それでもなお「どちらでも良い」で国民の納得が得られるとは到底思えない。これに対して厚労省は何と言っているのか? 10月20日付事務連絡「オミクロン株に対応した新型コロナワクチンの接種体制確保について(その6)」から気になった以下の2点を原文のまま抜粋する。「BA.4-5対応型ワクチンの使用開始後においても、有効期限内のBA.1対応型ワクチンを廃棄してBA.4-5対応型ワクチンに切り替えるといった対応は行わず、BA.1対応型ワクチンを含め、接種可能なワクチンを使用して、速やかにオミクロン株対応ワクチン接種を進めること」「なお、予約枠の提供に際しては、使用するワクチンがBA.1対応型ワクチンであるかBA.4-5対応型ワクチンであるかを明示する必要はない」貴重な血税を投入して確保したワクチンであることを考えれば、BA.1対応ワクチンをなるべく使い切って無駄を防ぎたいのは、別に官僚でなくともわかる。こうした国の方針を忖度したのかどうかはわからないが、大阪府知事の吉村 洋文氏や千葉県知事の熊谷 俊人氏のように自身のBA.1対応ワクチンの接種を公開してアピールする御仁もいる(吉村氏のほうは記事内でBA.1対応ワクチンであることを本人が公言しているわけではないが、記事中にあるように府の接種センターがモデルナ製を使用している以上、現下ではBA.1対応であることは明白)。さらに言えば、事務連絡の後段は、さすがに言い過ぎではないだろうか? 前述のラーメン話に例えれば、目隠しした客にチャーシューが3枚になるか、5枚になるかは運次第と言っているようなもの。ラーメンなら多少の遊び心でそれも良いかもしれないが、ことは公衆衛生に関わることであり、国民にとっては自分個人の健康にかかわることである。こんなところで“無作為化”の必要はないはずだ。もっとも多くの自治体では事務連絡は事実上見て見ぬ振りをして、どのワクチンを使用するかは明示している。しかし、中には国に忖度したのか巧みな戦略を導入している自治体もある。これを知ったのは、時々本連載に登場させている(本人たちは知らない 笑)私の両親を通じてである。先日、母親からLINEが来た。敢えてそのやり取りを一部伏字にしながら抜粋する。母5回目のコロナ接種(オミクロン対応)二人共終了。私BA.5用?母BA.1モデルナ。私なんでよ。BA.5待てばよかったのに。それ在庫処分セールみたいなものだよ。事前に相談してほしかった。母お父さん(注:すでに軽度認知障害あり)を連れて行く事で頭一杯で、気が回らない!!事前に教えてくれる事(注:新たなワクチン接種などがある時は母から尋ねられなくとも自発的に私から情報提供せよという意味)を今後考えてくれると、ありがたい。私わかったよ。だから事前に相談して。効果がないわけじゃないけど、BA.5に対してはどうしてもBA.1用では効果が劣るので感染対策を入念にしてください。母いや、情報はそちらからお願いします。年寄りは××(注:現在受験生のわが娘)の事で忙しいと思ってかなり遠慮しています。私いつ打つかもわからないのに事前に情報出せないでしょ。自治体によって接種スケジュールも違うし、そもそも△△町(注:わが故郷)がBA.1用をまだ使っているなんて思いもしなかったよ。ここでドタバタの親子のやり取りは終わりのはずだった。ところが日付が変わった深夜に再び母親からLINEが到着した。午前3時過ぎだ。通常なら母親は完全に寝入っている時間だ。母反省している。必死の思いで受けたのに残念で眠れない。私どうしたのよ急に。まあ、無効なわけじゃないのであまり気にしないで。ちょっと私も言い方がきつかった。まさか△△町がまだBA.1用を使っていると思わなかったのよ。ほとんどの自治体で切り替えているからさ。幸いだったのはモデルナだったこと。母わかった。私モデルナのほうが抗体がより高く上がる。ファイザーよりね。中途半端に医療知識がある息子の心ない言動だと、多くの医療従事者からはお叱りを受けるかもしれない。しかし、基礎疾患がある80代半ば過ぎの老老介護の両親を遠く離れた故郷に残している自分としては、少しでも感染・発症リスクは避けたいと願うのだ。さて「巧みな戦略」と言ったのは、わが故郷の自治体のことである。母親から話を聞いた後、自治体のホームページをのぞいて溜息が出た。なんとわが故郷の自治体は、11月と12月に個別接種医療機関で使用するワクチンを週ごとにBA.1対応ワクチンとBA.4/BA.5対応ワクチンに交互に切替をしていたのだ。国からすれば模範的な対応と言えるかもしれない。そして両親は“BA.1対応ワクチン在庫一掃処分セール(嵐のように批判されようとも、敢えてこの言葉を使う)”の週にたまたま当たっていたのである。ここでちょっと原点に戻りたい。そもそもこのようなドタバタが存在するのはワクチンの承認審査過程に起因する。前述のように日本では米・FDAがBA.4/BA.5対応ワクチンの緊急使用許可後にBA.1対応ワクチンを承認するというタイムラグがあった。これについては、米・FDAが早くも6月段階で追加接種用ワクチンの申請に当たっては、BA.4/BA.5対応ワクチンを推奨したからである。この推奨がなかった日本とヨーロッパでは、ファイザー、モデルナともにBA.1対応ワクチンを承認申請し、そのまま承認された。当初、この日本の対応を私はかなり批判的に捉えていたが、今はその見解を撤回している。ご存じのようにFDAのBA.4/BA.5対応ワクチンの承認は、ほぼ前例のない動物実験データのみでの承認だったことを日本でのBA.1対応ワクチン承認後に知ったからである(言い訳をすると当時はかなり多忙を極め、FDAの緊急使用許可の中身までは吟味できていなかった)。少なくとも日本の承認審査制度の細かさ(保守性?)を考えれば、たとえ製造方法や原料の同等性はあったとしても、申請時にヒトの中和抗体価データのみしかないBA.1対応ワクチンの承認もなく、一足飛びに動物実験データのみでBA.4/BA.5対応ワクチンを承認することを素直に肯定はできなかっただろう。これは私個人の見解(感情)もそうだ。さらに言えば、感情的には「もにょる」ものの、「まあ製法や原料は同じだしな」となんとか納得させている部分はある。ただし、BA.4/BA.5対応ワクチンのヒトでの中和抗体価データが明らかになりつつある今は、この「もにょる」感情も薄れつつある。さて、そのうえで私はもう思い切って新型コロナワクチンの公的接種はBA.4/BA.5対応ワクチンに一本化しても良いのではないかと思っている。岸田 文雄首相自らが国民にいくらワクチン接種を呼びかけようとも、周回遅れワクチンを接種したいと思う人は多くないはずである。もちろんこのことはBA.1対応ワクチンにかかった税金を事実上ドブに捨てることになる可能性は大である。強いて取れる戦略があるとするならば、一本化後もBA.1対応ワクチンを有効期限内は保持して、BA.4/BA.5対応ワクチンの供給不安と感染拡大が重なった時に利用するという形である。徐々に市中の様相はかつての日常に戻りつつあるとはいえ、今も準緊急事態であることは多くの国民が認識しているはずである。そして今回のワクチンの費用負担は強大な国が負っている。いくら血税とはいえ、いまBA.1対応ワクチンが無駄になったとしても国民が直接損害を被ることはない。ならば公衆衛生という観点からは大胆な「損切り」も必要なのではないだろうか?

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非専門医が使える「糖尿病治療のエッセンス」2022年版/日本糖尿病対策推進会議

 わが国の糖尿病患者数は、糖尿病が強く疑われる予備群を含め約2,000万人いるとされているが、糖尿病の未治療者や治療中断者が少なくない。 そこで、糖尿病診療のさらなる普及を目指し、日本糖尿病学会をはじめとする日本糖尿病対策推進会議は、糖尿病治療のポイントをとりまとめて作成した『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』を制作し、日本医師会のホ-ムページより公開した。糖尿病治療のエッセンスの改訂は今回で5回目となる。 糖尿病治療のエッセンスの今改訂では、(1)かかりつけ医から糖尿病・腎臓の専門医・専門医療機関への照会基準を明確に解説、(2)最新の薬剤情報へアップデートなど、よりわかりやすい内容に見直しを行った。『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』主な内容と使用図表の一覧(主な内容)1)糖尿病患者初診のポイント2)治療目標・コントロール指標3)治療方針の立て方4)食事療法・運動療法 薬物療法のタイミングと処方の実際5)糖尿病合併症 医療連携 (使用図表)図1 糖尿病の臨床診断のフローチャート図2 血糖コントロール目標図3 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)図4 糖尿病患者の治療方針の立て方図5 有酸素運動とレジスタンス運動図6 かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準図7 かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準表1 その他のコントロール指標表2 主な経口血糖降下薬の特徴(赤字は重要な副作用)表3 GLP-1受容体作動薬 (リベルサス以外は注射薬)表4 インスリン注射のタイミング、持続時間と主な製剤の比較表5 基礎インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合注射薬表6 代表的なインスリンを用いた治療のパターン表7 糖尿病性腎症病期分類図 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム別表 安全な血糖管理達成のための糖尿病治療薬の血糖降下作用・低血糖リスク・禁忌・服薬継続率・コストのまとめ 同会議では「糖尿病診療は新しい取り組みや薬物療法など、そのとりまく環境は大きく変化している。本書を活用し、最新の知見について理解を深め、日常診療において、糖尿病患者の早期発見、治療に役立てて、糖尿病診療に携わる医療関係者にとって医療連携のツールとして、その発展につながることを願っている」と『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』に期待を寄せている。

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急性期治療における抗精神病薬の使用状況~スコーピングレビュー

 せん妄などの原発性精神疾患以外の症状に対して、急性期治療で抗精神病薬が使用されることは少なくない。このようなケースで使用された抗精神病薬は、退院時およびフォローアップ時においても継続使用されていることが多いといわれている。カナダ・カルガリー大学のNatalia Jaworska氏らは、抗精神病薬処方の慣行の特徴、抗精神病薬処方と中止に対する専門家の認識、急性期治療における抗精神病薬処方中止戦略などを明らかにするため、スコーピングレビューを実施した。その結果、急性期治療で専門家が認識していた抗精神病薬処方と実際に測定された処方の慣行は異なっており、また院内での処方中止戦略についての報告はほとんどないことが明らかとなった。結果を踏まえ著者らは、抗精神病薬の有効性およびリスクを評価するためには、処方中止戦略を継続的に評価する必要があるとしている。BMC Health Services Research誌2022年10月21日号の報告。 2021年7月3日までに公表された、抗精神病薬の処方と中止の慣行、および急性期治療における抗精神病薬処方と中止に対する認識について報告した1次調査研究を、MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHL、Web of Scienceのデータベースより検索した。プロトコール、エディトリアル、オピニオンピース、システマティックレビュー、スコーピングレビューを除くすべての研究デザインを分析に含めた。2人のレビュアーにより、データを個別または重複してスクリーニングし、要約した。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングした研究4,528件のうち80件を分析に含めた。・すべての急性期治療環境(集中治療室、入院、救急部門)において専門家が認識していた抗精神病薬処方は、ハロペリドールが最も高頻度であったが(100%[36件中36件])、測定された抗精神病薬処方の慣行では、クエチアピンが最も一般的であった(76%[36件中26件])。・抗精神病薬の使用理由は、せん妄(70%[69件中48件])および興奮症状(29%[69件中20件])であった。・退院時では、クエチアピンの処方が最も多かった(100%[18件中18件])。・3件の研究で、薬剤師主導の処方中止権限、ハンドオフツール、教育セッションに焦点を当てた院内抗精神病薬処方中止戦略が報告されていた。

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がん患者のCOVID-19、免疫抑制と免疫療法の両方で重症化

 免疫療法を受けたがん患者は、免疫系の活性化により新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるサイトカインストームがより多く発生する可能性がある。今回、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのZiad Bakouny氏らが、がん患者におけるベースラインの免疫抑制と免疫療法、COVID-19の重症度およびサイトカインストームとの関連を調べた。その結果、COVID-19を発症したがん患者において、免疫抑制と免疫療法のどちらか片方のみでは重度の感染症やサイトカインストームのリスクは増加せず、ベースラインで免疫抑制のあるがん患者に免疫療法を実施すると、COVID-19の重症化やサイトカインストームの発生につながるリスクが高いことが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2022年11月3日号に掲載。 本研究は後ろ向きコホート研究で、対象は2020年3月~2022年5月にCOVID-19 and Cancer Consortium(CCC19)レジストリ(現在または過去にがん診断を受けたCOVID-19患者の国際的な多施設集中型レジストリ)に報告された1万2,046例。解析対象は、PCRまたは血清学的所見でSARS-CoV-2感染が確認されたactiveながん患者もしくはがん既往のある患者で、COVID-19診断前3ヵ月以内に免疫療法(PD-1/PD-L1/CTLA-4阻害薬、二重特異性T細胞誘導抗体、CAR-T細胞療法)を含むレジメンで治療された免疫療法群、免疫療法以外(細胞傷害性抗がん剤、分子標的療法、内分泌療法)のレジメンで治療された非免疫療法群、未治療群に分けた。主要評価項目は、COVID-19の重症度(合併症なし、酸素を要しない入院、酸素を要する入院、ICU入院/機械的人工換気、死亡の5段階)、副次評価項目はサイトカインストームの発生とした。 主な結果は以下のとおり。・全コホートの年齢中央値は65歳(四分位範囲:54~74)、女性が6,359例(52.8%)、非ヒスパニック系白人が6,598例(54.8%)であった。免疫療法群は599例(5.0%)、非免疫療法群は4,327例(35.9%)で、未治療群は7,120例(59.1%)であった。・全コホートでは、免疫療法群はCOVID-19重症度(調整オッズ比[aOR]:0.80、95%CI:0.56~1.13)およびサイトカインストーム発生(aOR:0.89、95%CI:0.41~1.93)で未治療群と差が認められなかった。・ベースラインが免疫抑制状態で免疫療法を受けた患者では、未治療群と比較し、COVID-19重症度(aOR:3.33、95%CI:1.38~8.01)およびサイトカインストーム発生(aOR:4.41、95%CI:1.71~11.38)が悪化していた。・ベースラインが免疫抑制状態で非免疫療法を受けた患者も、未治療群と比較し、COVID-19重症度(aOR:1.79、95%CI:1.36~2.35)およびサイトカインストーム発生(aOR:2.32、95%CI:1.42~3.79)が悪化していた。

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モデルナBA.4/5対応2価ワクチン、第II/III相試験で主要評価項目達成

 Moderna(米国)は11月14日付のプレスリリースで、オミクロン株対応2価ワクチン候補mRNA-1273.222について、オミクロン株(BA.4/5)に対してmRNA-1273のブースター用量と比較して優れた抗体反応が得られたことを発表した。 同社が実施した第II/III相試験では、ワクチン接種歴のある19~89歳の511名を対象とし、前回のワクチン接種から約9.5ヵ月後にmRNA-1273.222を、約4.5ヵ月後にmRNA-1273をそれぞれ接種した。 mRNA-1273.222とmRNA-1273のオミクロン株BA.4/5幾何平均抗体価(GMT)は、ブースター接種前のSARS-CoV-2感染者と非感染者でそれぞれ5.11(95%信頼区間[CI]:4.10~6.36)と 6.29(95%CI:5.27~7.51)であった。すべての参加者において、オミクロン株BA.4/5 に対するGMTは4,289(95%CI:3,789.0~4,855.9)で、ブースター接種前から15.1倍(95%CI:13.3~17.1)上昇した。感染歴のない被験者では、GMTは2,325(95%CI:1,321.2~2,812.7)であり26.4倍(95%CI:22.0~31.9)の増加、感染歴のある被験者では、GMTは6,965(95%CI:6,043.7~8,025.4)でありブースター接種前から9.8倍(95%CI:8.4~11.4)上昇した。なお、65歳以上の被験者と18~65歳未満の被験者の間で、一貫した結果が認められた。 今回の結果は、同社のBA.1対応2価ワクチンであるmRNA-1273.214が、mRNA-1273のブースター用量と比較して複数のオミクロン変異株に対する中和抗体価に優れることを確認したNEJM誌に発表されたデータに基づく。mRNA-1273.214においては、50μgブースター用量が、mRNA-1273のブースター用量と比較してオミクロンBA.1およびオミクロンBA.4/5に対して優れた中和抗体反応を引き起こし、その優位性は少なくとも3ヵ月間継続した。 mRNA-1273.222およびmRNA-1273.214の副作用の発現頻度は、2回目または3回目のワクチン接種の場合と同様かそれ以下であった。また、どちらも約1ヵ月、約3ヵ月の追跡調査後、新たな安全性の懸念は確認されなかった。これらの安全性および免疫原性データは、査読付きの論文として提出され、世界中の規制当局と共有される予定だとしている。

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