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事例032 脳性Na利尿ペプチド(BNP)の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、「D008 20 脳性Na利尿ペプチド(BNP)」(以下「BNP」)が、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて査定になりました。増減点連絡書には、過去のレセプト内容と比較する「縦覧点検」において「連月」実施が査定理由であることが記載されていました。BNPは、心不全が疑われる患者や心不全の患者の心不全の程度をはかるために多用されます。診療報酬の留意事項には「心不全の診断又は病態把握のために実施した場合に月1回に限り算定する」とありますが、連月の算定に対する規定はありません。複数の医療機関からも査定事例が多いとうかがったため事例分析を行いました。結果は大きく2つに分かれました。1つ目に、「心不全」や「心不全疑い」の病名にて連月にBNPが実施されており、「浮腫」「増悪」を含む「心不全が類推できる確定病名」や症状詳記が無い場合、縦覧点検によって3ヵ月に2回以上の算定が認められると、過剰として査定対象にされていました。2つ目に、初診時において「心不全疑い」のみでのBNP実施や「心不全疑い」のみにてのBNP連月実施の場合において心電図などの心臓関連検査や症状詳記がないと、過剰として査定対象にされていました。いずれの事例でも、BNPと同じBNP遺伝子に由来する「D008 22 脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)」を同一検査とみなして数えられていました。これらのことを医師に伝えて、両検査を合わせて3ヵ月に2回以上測定された場合には、検査を必要とした医学的理由と検査値を必ず付記していただくようにお願いしました。また、レセプトチェックシステムにも3ヵ月に複数回の場合には、エラーを表示させるように改修して査定対策としました。

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イクラでアレルギー、ほかに除去すべき魚卵は?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第10回

イクラでアレルギー、ほかに除去すべき魚卵は?講師藤田医科大学医学部 小児科学 講師 中島 陽一 氏【今回の症例】3歳の男児。イクラを5粒ほど食べ、10分後に顔に蕁麻疹が出現し、その後に咳も出て呼吸がゼーゼーと苦しそうになり、救急外来を受診した。アドレナリンの筋肉注射を行い、経過観察入院となった。外来で血液検査を行い、特異的IgE抗体価は、イクラ38.3 UA/mL、タラコ1.5 UA/mLだった。イクラ以外の魚卵は食べたことがない。

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脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕

新たなエビデンスを加え、66項目の大改訂!最新のエビデンスを反映させるなどの目的で、例年、全面改訂の約2年後に追補版を発売してきた『脳卒中治療ガイドライン』ですが、近年の本領域の進歩は長足であり、今回は全140項目中66項目を改訂しました。エビデンスレベルの高い新しいエビデンスを加えたほか、新しいエビデンスはないものの推奨度が現実と乖離しているものなども見直したため、今回は「追補」ではなく「改訂」として発売しました。主な改訂点●抗血栓薬や血栓溶解薬などの記載変更について抗血栓薬については、その1種であるDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)の高齢者適応のほか、DOACの中和剤に関する記載も増やしました。また、血栓溶解薬は使用開始時期によって効果が左右されますが、起床時発見もしくは発症時刻不明の虚血性脳血管障害患者に対するエビデンスなどを加えました。さらに、くも膜下出血の治療後に生じる可能性がある遅発性脳血管攣縮については、新たに登場した治療選択肢にも触れるなどの変更を行いました。●危険因子としての糖尿病・心疾患・慢性腎臓病(CKD)の管理について主に糖尿病治療で使われるGLP-1やSGLT-2などの薬剤には、近年、新たなエビデンスが得られていることから、推奨度を含めて記載を見直しました。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕定価8,800円(税込)判型A4判頁数332頁発行2023年8月編集日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会

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適切な運動でがん患者の死亡リスク25%減、がん種別にみると?/JCO

 がんと運動の関係について、さまざまな研究がなされているが、大規模な集団において、がん種横断的に長期間観察した研究結果は報告されていない。そこで、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのJessica A. Lavery氏らの研究グループは、がん種横断的に1万1,480例のがん患者を対象として、がんと診断された後の運動習慣と死亡リスクの関係を調べた。その結果、適切な運動を行っていた患者は非運動患者と比べて、全生存期間中央値が5年延長し、全死亡リスクが25%低下した。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年8月31日号に掲載された。 前立腺がん、肺がん、大腸がん、卵巣がんのスクリーニング研究(Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian [PLCO] Cancer Screening Trial)に参加したがん患者1万1,480例(11がん種)を対象とした。対象患者のがんと診断された後の運動の頻度と死亡の関係を検討した。運動について、米国のガイドラインの基準(中強度以上の運動を週4日以上×平均30分以上および/または高強度の運動を週2回以上×平均20分以上)を満たす患者(適切な運動群)と基準未満の患者(非運動群)の2群に分類し、比較した。主要評価項目は全死亡、副次評価項目はがん死亡、非がん死亡であった。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値16年時点において、死亡が認められたのは4,665例であった。内訳は、がん死亡が1,940例、非がん死亡が2,725例であった。・全生存期間中央値は、適切な運動群が19年であったのに対し、非運動群は14年であった。・多変量解析の結果、適切な運動群は非運動群と比べて、全死亡リスクが有意に25%低下した(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.70~0.80)。・また、適切な運動群は非運動群と比べて、がん死亡リスク(HR:0.79、95%CI:0.72~0.88)と非がん死亡リスク(HR:0.72、95%CI:0.66~0.78)が有意に低下した。・がん種別のサブグループ解析において、全死亡リスクの有意な低下が認められたがん種は、以下のとおりであった。 -子宮体がん(HR:0.41、95%CI:0.24~0.72) -腎がん(同:0.50、0.31~0.81) -頭頸部がん(同:0.62、0.40~0.96) -血液がん(同:0.72、0.59~0.89) -乳がん(同:0.76、0.63~0.91) -前立腺がん(同:0.78、0.70~0.86)・一方、適切な運動群でがん死亡リスクの有意な低下が認められたがん種は、腎がん(HR:0.34、95%CI:0.15~0.75)、頭頸部がん(HR:0.49、95%CI:0.25~0.96)のみであった。

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ファストドクター、コロナ後遺症の専門オンライン診療を開始

 医療プラットフォーム「ファストドクター」は8月末からコロナ後遺症専門のオンライン診療サービスをスタートした。ファストドクターは2016年にスタートした在宅医療のデジタルプラットフォーム。主な事業として、夜間・休日医療の1)救急相談、2)救急往診・オンライン診療、3)かかりつけ医連携機能を担う。一般的な利用スタイルとしては、患者からの連絡で電話相談を受け、必要に応じて登録医師とマッチング、オンライン診療もしくは救急往診で対応、という流れとなる。 今回スタートしたコロナ後遺症専門サービスは、コロナ罹患後も倦怠感や不眠症などの体調不良が持続する人に対し、ファストドクターの登録医がオンラインで問診・診察を行う。コロナ後遺症は疲労感や味覚障害などの身体症状から不眠や記憶力低下などの精神障害にわたるものまで幅広く、患者側は適切な診療科を選択することが難しい。さらに対応する診療機関も限られる、という現状がある。 コロナ後遺症専門オンライン診療では、ファストドクターの救急往診サービスとの連携は行っておらず、オンライン診療後に対面受診が必要だと医師が判断した場合は、地域の専門医療機関への紹介状を発行し、そちらでの受診を促す。オンライン診療は精神科・内科を専門とする医師が中心となって対応するという。【コロナ後遺症専門オンライン診療の概要】・対応時間:月・木曜日(18~23時)・土曜日(9~12時)・対応地域:全国・薬の受け取り方法:自宅配送または指定の薬局での受け取り・利用方法:患者が専用サイトから予約してオンライン受診。保険証はオンライン確認、会計はクレジットカード払い。診療後は必要に応じて紹介状による専門機関との連携や必要書類を発行・料金:利用時間に応じて初診2,100円~(自己負担分の目安) また、サービスの提供を通じて収集される診療データは、患者の同意を得たうえで適した研究機関に提供され、コロナ罹患後の精神症状の評価や治療法の確立、治療薬の開発などに寄与することを目指すという。

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うつ病における早期睡眠改善と薬物療法への治療反応との関連

 不眠症とうつ病は相互に関連しており、抗うつ薬治療の初期段階で睡眠の改善が認められれば、うつ病治療においても良好な治療アウトカムが得られる可能性が高まる。オランダ・フローニンゲン大学のCornelis F. Vos氏らは、精神病性うつ病患者の早期不眠症改善が、その後の治療アウトカムが予測可能であるかを調査し、これが治療特異的であるかを評価するため、早期不眠症改善と治療タイプとの関連を検討した。その結果、精神病性うつ病患者に対する早期不眠症改善は、治療薬の種類とは関係なく、良好な治療アウトカムと関連していたと報告。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2023年8月31日号の報告。 精神病性うつ病患者114例を対象に抗うつ薬(ベンラファキシン、イミプラミン)と抗精神病薬併用(ベンラファキシン+クエチアピン)による7週間の治療を比較したランダム化比較試験の2次解析として実施された。早期不眠症改善の定義は、2週間後の不眠症状20%以上減少とした。うつ症状の評価には、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D-17)を用いた。早期不眠症改善と治療アウトカムとの関連性を評価するため、ロジスティック回帰を用いた。また、相互の影響を評価するため、早期不眠症改善と治療タイプとの関連を評価した。早期不眠症改善の予測値と全体的なうつ病に対する早期治療反応(2週間後のHAM-D-17スコア20%以上低下)との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・早期不眠症改善は、治療反応、うつ病寛解、精神症状寛解と関連が認められた。【治療反応】オッズ比(OR):7.9、95%信頼区間(CI):2.7~23.4、p≦0.001【うつ病寛解】OR:6.1、95%CI:1.6~22.3、p=0.009【精神症状寛解】OR:4.1、95%CI:1.6~10.9、p=0.004 早期不眠症改善と治療タイプとの間に、うつ病の治療転帰に対する相互の影響は認められなかった。 著者らは、これらの結果を踏まえて「早期不眠症改善と全体的なうつ病に対する早期治療反応は、治療アウトカムに対する同等の予測能を有していた。早期不眠症改善の一般性を検討するには、今後の研究が必要である」としている。

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心房細動患者のうつ・不安の改善、アブレーションvs.薬物療法/JAMA

 症候性心房細動(AF)を有する患者において、不安や抑うつなど精神症状の改善はカテーテルアブレーション施行患者では観察されたが、薬物療法のみの患者では認められなかったことを、オーストラリア・Royal Melbourne HospitalのAhmed M. AI-Kaisey氏らが、医師主導の無作為化評価者盲検比較試験「Randomized Evaluation of the Impact of Catheter Ablation on Psychological Distress in Atrial Fibrillation:REMEDIAL試験」の結果、報告した。AFカテーテルアブレーションがメンタルヘルスに及ぼす影響についてはよくわかっていなかった。JAMA誌2023年9月12日号掲載の報告。AF患者100例を、カテーテルアブレーション群と薬物療法のみ群に無作為化 研究グループは、2018年6月~2021年3月にオーストラリアのAFセンター2施設において、発作性または持続性AFを有し少なくとも2種類の抗不整脈薬治療の対象となる18~80歳の患者を登録。アブレーション群または薬物療法群に1対1の割合で無作為に割り付け、AFカテーテルアブレーションが薬物療法のみと比較して、精神的苦痛を改善するかどうかを、評価尺度を用いて調べた。 薬物療法群では洞調律を維持するため最適な抗不整脈薬治療が行われ、アブレーション群では無作為化後1ヵ月以内にカテーテルアブレーションが行われた。 主要アウトカムは、12ヵ月時の病院不安抑うつ尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale:HADS)スコア、副次アウトカムは重度の精神的苦痛(HADS合計スコア>15)を有する患者の割合、HADS不安スコア、HADSうつ病スコア、うつ病自己評価尺度(Beck Depression Inventory-II:BDI-II)スコアであった。不整脈再発およびAF負荷のデータも解析した。 計100例(平均[±SD]年齢59±12歳、女性31例[32%]、発作性AF54%)が登録され、アブレーション群(52例)および薬物療法群(48例)に割り付けられた。このうち、4例(それぞれ3例および1例)が追跡不能または脱落となり、96例が試験を完遂した。アブレーション群の全例(49例)で肺静脈隔離に成功した。アブレーション群で、12ヵ月時の病院不安抑うつ尺度の合計スコアが有意に低下 12ヵ月時(主要アウトカム)のHADS合計スコア(平均±SD)は、アブレーション群7.6±5.3、薬物療法群11.8±8.6、群間差は-4.17(95%信頼区間[CI]:-7.04~-1.31、p=0.005)であり、アブレーション群が薬物療法群より有意に低かった。なお6ヵ月時もそれぞれ8.2±5.4、11.9±7.2で、有意差が認められた(p=0.006)。 アブレーション群と薬物療法群において、重度の精神的苦痛を有する患者の割合はそれぞれ6ヵ月時14.2%、34%(p=0.02)、12ヵ月時10.2%、31.9%(p=0.01)であり、HADS不安スコアは6ヵ月時4.7±3.2、6.4±3.9(p=0.02)、12ヵ月時4.5±3.3、6.6±4.8(p=0.02)であった。HADS抑うつスコアは3ヵ月時3.7±2.6、5.2±4.0(p=0.047)、6ヵ月時3.4±2.7、5.5±3.9(p=0.004)、12ヵ月時3.1±2.6、5.2±3.9(p=0.004)。また、BDI-IIスコアは6ヵ月時7.2±6.1、11.5±9.0(p=0.01)、12ヵ月時6.6±7.2、10.9±8.2(p=0.01)であった。 AF負荷の中央値も、アブレーション群0%(四分位範囲[IQR]:0~3.22)、薬物療法群15.5%(1.0~45.9)であり、アブレーション群が有意に低かった(p<0.001)。

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高齢者は1日10時間以上の座位行動で認知症リスク増/JAMA

 60歳以上の高齢者において、加速度計で評価した座位行動時間が長いほど全認知症発症率が有意に高いことが、米国・南カリフォルニア大学のDavid A. Raichlen氏らが実施した大規模コホート研究の後ろ向き解析の結果で示された。座位行動は心代謝性疾患および死亡と関連しているが、認知症との関連は不明であった。著者は、「さらなる研究を行い、座位行動と認知症リスクに因果関係があるのかどうかを調べる必要がある」と述べている。JAMA誌2023年9月12日号掲載の報告。UK Biobankの加速度計装着サブスタディから60歳以上の約5万人を解析 本研究は、前向きに収集されたデータの後ろ向き研究で、UK Biobank(イングランド、スコットランド、ウェールズに居住する成人の地域住民を登録)のデータが用いられた。加速度計を装着するサブスタディ(2013年2月~2015年12月)に参加し、利き手の手首に加速度計(AX3、Axivity製)を1日24時間、7日間装着することに同意した成人10万3,684人のうち、加速度計を装着した時点で認知症の診断を受けておらず、少なくとも3日間の有効な装着時間(1日16時間以上)があり、加速度計装着時に60歳以上であった4万9,841人について解析した。追跡調査は、イングランドでは2021年9月まで、スコットランドでは2021年7月まで、ウェールズでは2018年2月まで行われた。 手首に装着した加速度計の1週間のデータを、機械学習に基づいて解析した。主要解析では、1日の平均座位行動時間(覚醒時において30秒間の時間幅が2回以上連続し座位行動として分類されたものと定義、睡眠は座位行動時間に含まれない)を、副次解析では1日の平均座位時間、1日の最長座位時間、1日の平均座位回数を求め、これらと入院患者の病院記録および死亡登録のデータから得られた認知症診断との関連を、線形および3次スプライン関数を用いたCox比例ハザードモデルにより評価した。座位行動時間が10時間/日以上で認知症発症リスクが有意に増加 計4万9,841人の背景は、平均(±SD)年齢67.19±4.29歳、女性54.7%であった。 平均追跡期間6.72±0.95年の間に、414人が認知症と診断された。 さまざまな共変量を調整した完全調整モデルにおいて、1日の平均座位行動時間と認知症発症との間に有意な非線形の関連が認められた。1日の平均座位行動時間の中央値9.27時間/日に対する認知症のハザード比(HR)は、10時間/日で1.08(95%信頼区間[CI]:1.04~1.12、p<0.001)、12時間/日で1.63(1.35~1.97、p<0.001)、15時間/日で3.21(2.05~5.04、p<0.001)であった。また、1,000人年当たりの認知症発症頻度は、9.27時間/日で7.49(95%CI:7.48~7.49)、10時間/日で8.06(7.76~8.36)、12時間/日で12.00(10.00~14.36)、15時間/日で22.74(14.92~34.11)であった。 1日の平均座位時間(HR:1.53、95%CI:1.03~2.27、p=0.04、平均値0.48時間から1時間増加すると認知症症例が1,000人年当たり0.65[95%CI:0.04~1.57]増加)、および1日の最大座位時間(1.15、1.02~1.31、p=0.02、平均値1.95時間から1時間増加すると認知症症例が1,000人年当たり0.19[95%CI:0.02~0.38]増加)は、認知症発症リスクの増加と有意に関連していたが、1日の平均座位回数は認知症発症リスクの増加とは関連していなかった(HR:1.00、95%CI:0.99~1.01、p=0.89)。 なお感度分析(加速度計装着日から4年後を追跡調査開始日としたランドマーク解析)では、座位行動時間を調整後、1日の平均座位時間および1日の最大座位時間は、認知症発症と有意な関連は認められなかった。

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第178回 コロナワクチン廃棄の件、政府が国民に伝えていないこと

報道する側にとって、データとは時に取り扱いが難しいものである。とくに、ある種の公表データの事実関係だけを淡々と伝えるのが良いのか、それとも解釈まで含めて伝えるほうが良いのかはケースバイケースであるが、まさにそう思う報道を目にしたばかりだ。それは今月20日から新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のオミクロン株XBB.1.5対応ワクチン接種の開始に伴い、廃棄される既存の新型コロナワクチンに関する読売新聞の報道である。数字だけを中心に事実関係だけを淡々と書くのは、それはそれで記事の手法としてはある種極めて真っ当なのだが、ことこの件に関してはもう少し解釈も伝えたほうが良いのではないかと考えている。とりわけ、この記事が引用掲載されたYahoo!ニュースのコメント欄やSNSで、かなりとんちんかんな指摘が散見されるのを目の当たりにし、よりその思いが強くなる。しかも、そうしたとんちんかんなコメントの中に、識者と言われる人たちも含まれているのを見ると、やや頭が痛い。少なくとも、見出しと記事本文で共に指摘を受けている「ワクチン1回当たりの購入単価の非公表」というのは、契約上の問題があるとはいえ、税金を投入し、大勢の国民に接種している以上、国としての説明責任を果たしているとは言えず、ただ廃棄見込み数量を示すのはやや誤解を招くのではないかと思う。まず、ファイザー製の武漢株対応1価ワクチンの廃棄数が約880万回という結果については、かなり上出来だったのではないかと思う。武漢株対応ワクチンについては、長らく打つ手がなかったパンデミックの抑え込みの目的がありながら、需要が読み切れず、全国民に2回接種しても余りある量を用意しなければならなかったという事情があるからだ。約880万回分は、大雑把に2回接種分ならば約440万人分、3回接種分ならば約293万人分であり、総人口の占める割合で言えばそれぞれ3.7%、2.4%である。もちろんこの数字には、これまでに有効期限を迎えて廃棄済みのものは含まれていないが、それを含めても10%前後ではないだろうか? 国単位で見れば、これ自体は過剰な廃棄とは言えないと個人的には考えている。一方、オミクロン株対応の2価ワクチンについて言えば、国が供給を受けたのはファイザー製が約1億2,510万回分、モデルナ製が約7,000万回分。こちらは1回接種であり、日本の総人口をやや超える回数となる。しかし、当時は重症化リスクのある人に対して武漢株対応1価ワクチンを応急的に3回目接種で使用したりなど、やや混乱状態にあり、これに加え1、2回目の接種率が思いのほか高かったこと、オミクロン株となってから急速に感染者が増加したことなどを考慮すれば、事前に接種率を読み切るのはやはり困難だったろう。その意味では日本の総人口を上回る供給量を確保しなければならなかったと考えるのが自然である。このうち廃棄見込みはファイザー製が約2,650万回分、モデルナ製が約5,150万回分と公表されている。前述の報道にもあるように供給量に対する廃棄量の割合は、ファイザー製が2割強、モデルナ製に至っては7割強となる。全般的に見れば、オミクロン株対応ワクチンの廃棄量が増えた原因は、度重なる追加接種やオミクロン株出現後のワクチンの感染・発症予防効果の低下で、新型コロナワクチンそのものへの飽きとも言うべき状況が生まれ、接種率が低下したことが大きな要因だろう。もっともファイザー製については、政府や厚生労働省にとっては想定内だったかもしれないが、モデルナ製については確かに廃棄割合が多過ぎる。この点はいくつかの理由が考えられる。モデルナ製ワクチンの廃棄割合が高い理由一つは副反応の問題である。1~2回目接種時からファイザー製よりモデルナ製のほうが副反応出現率は高いと報告され、とりわけ稀とは言え、若年者での心筋炎の副反応はモデルナ製のほうが明らかに頻度は高かった。このため一般人の間では1価ワクチンの段階からファイザー製に比べ、忌避されがちだった。加えて日本でのオミクロン株対応ワクチンの承認はやや“特殊”な経過を辿っている。日本では2022年9月12日に両社のオミクロン株BA.1対応ワクチンを承認したが、すでに当時は世界的に流行株の主流がBA.4/5に移行していた時期。米国食品医薬品局(FDA)は6月末時点で両社にBA.4/5対応ワクチンの製造を求める声明を発表しており、8月中には両社ともこの対応ワクチンの申請を行っていた。結局、アメリカに倣う形で両社とも2022年9月以降に、日本でもBA.4/5対応2価ワクチンの申請を行ったが、とりあえずBA.1対応2価ワクチンでの公費接種が9月20日に開始され、後に承認されたBA.4/5対応2価ワクチンに現場が切り替えていった。このためオミクロン株BA.1対応ワクチンについては廃棄予定ワクチンに一定程度含まれていたのではないかと思われる。また、アメリカではファイザーとモデルナは1日違いで承認申請を行ったが、日本ではモデルナがファイザーに半月遅れで申請を行っているため、これがさらにモデルナ製の廃棄割合の増加に拍車をかけたとみられる。その意味では、日本でのワクチン購入政策に批判的吟味を加えるならば、廃棄量そのものの多寡ではなく、なぜBA.4/5への切り替えが遅れたのか、アメリカでほぼ同時に申請していながら、日本ではなぜモデルナが半月遅れたか、そこに医薬品医療機器総合機構(PMDA)との齟齬がなかったかどうかを検証すべきだ。今回、オミクロン株XBB.1.5 対応1価ワクチンについて、厚労省はファイザー製2,000万回分、モデルナ製500万回分の追加購入で合意に至っており、すでに量的には慎重になっている。今後、この数字がどのくらいに収まっていくのか、これも注目点と言えるだろう。

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認知症患者の意思決定支援【非専門医のための緩和ケアTips】第60回

第60回 認知症患者の意思決定支援「意思決定能力」という言葉がありますが、認知症などを持つ高齢患者さんの場合、どれだけ話を理解して治療方針を決められる状態なのか、それを評価することが最初のポイントになります。そういいつつ、これがなかなか難しいのも事実です。今回は認知症を持つ高齢患者さんの意思決定支援について考えてみます。今日の質問緩和ケアにおいて、ご本人や家族と話し合いながら、望ましいケアを考えることは大変ですが、やりがいを感じます。一方、高齢の方が多く、本人の意向を伺うことが難しく感じることがあります。本当にコミュニケーションが難しいときはご家族と話し合いますが、「話はできるけれど、複雑なことは理解できない」といった状況の場合、どの程度対応をすればよいのか迷います。皆さんは意思決定能力をどのように評価するか、説明できるでしょうか? おそらく、部分的に取り組んでいることもあるでしょうが、網羅的に言語化して説明するのは難しいと思います。意思決定能力とは、以下の4つの機能が統合されたものとされ、2022年に発表された『がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン』(金原出版)でも示されています。1)理解力提供された情報を理解・保持し、自分の言葉で説明できる。診断や治療を理解できる2)認識する能力自分自身の診断や治療、治療の選択により将来起こり得る結果を自分のこととして認識し考える能力3)論理的な思考能力診断や治療に関する情報を参考に、論理的に比較考察する能力4)選択を表明する能力意思決定の内容を明瞭に表明する能力意思決定では、1)自分がどのような医学的状況にあるかを理解し、2)3)自分にとって何が良いかを論理的に考え、4)医療者や周囲の関係者に伝える、ということをしているわけです。そう考えると、これら4つのどれが障害されても医療分野における意思決定は難しくなることがわかります。そして、目の前の患者さんはどのポイントが障害されているのかを判断し、支援する方法を考えます。ここで重要なのが、意思決定能力は「“ある”もしくは“ない”」「“0”もしくは“100”」で判断できるものではない、という点です。多くのケースでは、「言葉で詳細に自身の考えを述べることは難しいものの、感情と共に嫌な様子は見てとれる」といったように、できることとできないことが複雑に混じり合っています。今回の質問の患者さんも、こうした意思決定能力を構成する能力のどこかが障害されているものの、保たれている部分もある、という状況かと思います。まずは「患者さんの意思決定能力を評価する」ことから始めましょう。その後、「説明において医学的・専門的な内容を減らす」、「話すだけでなく文字でも伝える」など、相手が残された機能で対応できるための工夫をしましょう。今回のTips今回のTips認知症の方の意思決定支援、まずは「意思決定能力を評価」し、「話し合いの工夫」をしてみましょう。

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9月22日 ライソゾーム病の日【今日は何の日?】

【9月22日 ライソゾーム病の日】〔由来〕ライソゾーム病の研究・啓発活動を行う「Sakura Network Japan」が、本症の代表的な疾患であるファブリー病の原因遺伝子が、X染色体q22(キュウ・ニー・ニー)という語呂と疾患啓発のシンボルマーク『シルバーウイング』の活動開始が2012年9月22日であることから制定。関連コンテンツライソゾーム酸性リパーゼ欠損症【希少疾病ライブラリ】ファブリー病【希少疾病ライブラリ】ムコ多糖症I型【希少疾病ライブラリ】ニーマンピック病C1型へのHPβCDの可能性/Lancet

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コロナブースター接種、インフルワクチン同時接種の影響は?

 新型コロナウイルス感染症ワクチンのブースター接種と季節性インフルエンザワクチンの同時接種の有効性を調査した前向きコホート研究の結果、コロナワクチン単独接種群と比較して、コロナ+インフルワクチン同時接種群では抗スパイクIgG抗体価は低い傾向にあったものの統計学的な有意差はなく、副反応リスクも同程度であったことを、イスラエル・Sheba Medical CenterのTal Gonen氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2023年9月5日号掲載の報告。 コロナワクチンとインフルワクチンの同時接種は、単独で接種した場合と比較して有効性および安全性が劣らないという報告があることなどから現在は実施可能となっている。しかし、多くの報告はコロナワクチンの初回接種を評価したものであり、オミクロンBA.4/5変異株対応2価ワクチンのブースター接種でのデータは乏しい。そこで研究グループは、すでにコロナワクチンを接種している集団における反応原性および免疫原性を比較するために前向きコホート研究を行った。 対象は、Sheba Medical Center(イスラエルの大規模3次医療センター)に勤務する医療者で、2022-2023シーズン中のインフルエンザワクチン(アボット)とオミクロンBA.4/5変異株対応2価ワクチン(ファイザー/BioNTech)のどちらか、またはその両方を接種した。反応原性解析としてワクチン接種後の副反応の発現率(局所症状[疼痛、腫脹、発赤など]、全身症状[発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感など])とその持続期間、免疫原性解析として新型コロナウイルス抗スパイクIgG抗体価を調べた。ワクチン接種は2022年9月に開始し、2023年1月までデータを収集した。 反応原性解析にはアンケートに回答した588人(コロナワクチン群85人[年齢中央値71歳、女性66%]、インフルワクチン群357人[55歳、79%]、同時接種群146人[61歳、55%])が含まれた。免疫原性解析には血清学的検査を受けた151人(コロナワクチン群74人[年齢中央値67歳、女性61%]、同時接種群77人[60歳、55%]が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・ワクチン接種後の局所症状の発現率は、コロナワクチン群で49.4%(95%信頼区間[CI]:38.4~60.5)、インフルワクチン群で34.5%(29.5~39.6)、同時接種群で52.1%(43.6~60.4)であった。・全身症状は、コロナワクチン群で27.4%(95%CI:18.2~38.2)、インフルワクチン群で12.7%(9.5~16.7)、同時接種群で27.6%(20.5~35.6)に発現した。・コロナワクチン群と比較した場合の局所症状および全身症状発現のオッズ比は、インフルワクチン群はそれぞれ0.27(95%CI:0.15~0.47)および0.17(0.09~0.33)、同時接種群は1.02(0.57~1.82)および0.82(0.43~1.56)であった。・同時投与群の抗スパイクIgG抗体価は、コロナワクチン単独投与群の0.84(95%CI:0.69~1.04)倍と推定された。 これらの結果より、研究グループは「本研究の限界として、コロナに対する免疫原性のみを評価し、インフルエンザに対する免疫原性は評価しなかったことが挙げられる」としたうえで、「コロナワクチンの単独接種と比較して、コロナ+インフルワクチン同時接種は免疫反応の大幅な低下や有害事象の頻発とは関連しておらず、これらのワクチンの同時接種を支持するものである」とまとめた。

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スマホゲームで慢性期統合失調症患者の認知機能が改善

 中国・安徽医科大学のShengya Shi氏らは、慢性期統合失調症患者の認知機能改善に対するビデオゲームの有効性を調査し、認知機能に対するビデオゲームのバイオマーカーを評価するため、予備的研究を行った。その結果、ビデオゲーム介入は、慢性期統合失調症患者の認知機能を改善することが示唆され、血清BDNFレベルがこの効果を予測するバイオマーカーである可能性を報告した。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2023年8月18日号の報告。 ゲーム群には、1人用のスマートフォンビデオゲームを1時間/日、週5回プレーを6週間行った。対照群は、1時間/日、週5回のテレビ視聴を6週間行った。認知機能の評価には、神経心理検査アーバンズ(RBANS)およびストループ色彩単語検査(SCWT)を用いた。臨床症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、機能の全体的評価尺度(GAF)、一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSE)、モバイルゲーム依存アンケート(PMGQ)、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ゲーム群では、試験期間中にRBANS合計スコアの改善が認められた。・すべてのSCWTスコアにおいて、両群間の差は認められなかった。・ゲーム群では、PANSSの陰性症状およびGAFの全体的機能のより大きな改善が認められた。・PMGQスコアは、両群ともにすべての時点において、カットオフスコアよりも低値であった。・PHQ-9およびGSEスコアは、両群間で差は認められなかった。・6週間のビデオゲーム介入後、ゲーム群では、血清BDNFレベルが有意に高かった。・すべての参加者において、血清BDNF レベルとRBANS合計スコアとの正の相関が認められた。

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POTENT試験の探索的解析結果、monarchEの適格基準でも検討

 第III相POTENT試験では、エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性乳がんにおける術後ホルモン療法へのS-1の上乗せ効果が示された。今回、POTENT試験のリスク分類別の探索的解析結果を京都大学の高田 正泰氏らがBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年9月7日号に報告した。POTENT試験でのS-1の上乗せ効果はとくに中リスク群で顕著だった POTENT試験の対象は、StageI~IIIBのER陽性HER2陰性乳がん患者。S-1併用群(S-1[1日2回経口、3週ごと]+標準的ホルモン療法)と標準的ホルモン療法群に無作為に割り付けられた。 再発リスク(複合リスク)は、年齢、腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、グレード、ER発現、Ki-67発現レベルを組み込んだCoxモデルで決定した。複合リスクスコアにより低リスク群(下位四分位数以下、677例)、中リスク群(四分位範囲、767例)、高リスク群(上位四分位数超、453例)に分け、各群におけるS-1の上乗せ効果を評価した。また、monarchE試験の適格基準を満たした患者におけるS-1の上乗せ効果も推定された。 POTENT試験をリスク分類別に解析した主な結果は以下のとおり。・内分泌療法にS-1を追加することで、無浸潤疾患生存(iDFS)イベントは、中リスク群では49%(ハザード比[HR]:0.51、95%信頼区間[CI]:0.33~0.78)、高リスク群では29%(HR:0.71、95%CI:0.49~1.02)減少した。・低リスク群では、S-1の上乗せ効果は確認できなかった。・monarchEコホート1基準のうちリンパ節転移1~3個の患者(290例)において、S-1上乗せはiDFSの改善を示した(HR:0.47、95%CI:0.29~0.74)。 著者らはS-1の上乗せ効果はとくに中リスク群で顕著だったとし、最適な使用法を探るため、さらなる研究が必要とまとめている。

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がん遺伝子パネル検査、もっと多く、もっと早く/イルミナ

 イルミナは2023年8月31日に、都内でプレスセミナー「がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査の現状と課題」を開催した。演者からは、がん遺伝子パネル検査(包括的がんゲノムプロファイリング[CGP]検査)のさらなる活用と、早期適用についての要望が発せられた。一般大衆のがんゲノム医療への認知度は低い 同社メディカルアフェアーズ本部長である猪又 兵衛氏は、2023年5月に同社が一般成人1,000人を対象に行った「がんゲノム医療に対する意識調査」の結果を紹介した。 がんの根本的な原因について問う質問に対し、「喫煙」「遺伝」「飲酒、偏食」という回答が上位を占め、「遺伝子異常」と認識していた人の割合はそれ以下で5割強にとどまった。また、がんゲノム医療を知っているか、との質問に対し、知っていたと回答した割合は7%であった。 猪又氏は、「がん患者やその家族など、がんに関わっている方でさえ、がんゲノム検査の認知度とがんへの正しい理解度はまだ低く、さらなる向上の余地がある」と総括した。今以上に増やせる日本の遺伝子パネル検査の活用機会は 同社ゼネラルマネジャーのArjuna Kumarasuriyar氏は、世界と日本のCGP活用に関する統計データを示した。 日本ではCGP検査が保険承認されているものの、希少がんを除き、標準治療終了後という制限がある。制限の中でCGP検査を受けているがん患者は約1万7,000例で、日本における年間の新規がん罹患数の約100万人から換算すると、58対1の比率である。この比率は韓国では10対1、ドイツでは13対1で、CGP検査を受けているがん患者の比率は日本の4〜5倍多い。Kumarasuriyar氏は、「日本では今以上にCGPの活用機会がある」と述べた。CGPをさらに治療に結び付けるために必要な、基礎・臨床研究の増加 国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター(C-CAT)センター長の河野 隆志氏は、C-CATの実績について紹介した。 2019年6月以降のC-CATの登録累計は6万人に達する。登録者は増加傾向で、現在は月2,000件程度が新たに登録されている。CGP検査により治療薬が提示された患者は44.5%(1万3,713例)、CGP検査で提示された標的治療薬が投与された患者は9.4%(2,888例)であるという。 河野氏は、「多くの患者で遺伝子変異が見つかっているが、必ずしも薬剤に紐付いているわけではない。今後は遺伝子と薬剤の関係を導き出す基礎研究と、治療につなげる治験の増加が必要だ」と訴えた。CGP活用拡大に欠かせない、医師からの提案と診断初期からの適用 NPO法人パンキャンジャパン理事長の眞島 喜幸氏からは、希少がんと膵臓がん患者のアンケート結果が紹介された。 希少がんでは治療初期からCGP検査が認められている。しかし、医師からがんゲノム医療の説明を受けた希少がん患者は22.5%しかいない。結果、CGP検査を受けた希少がん患者は12%だった。CGP検査を受けなかった理由の第1位は「医師からの説明がなかった」である。眞島氏は、「患者から検査の要望を切り出せる状況には至っていない。医師からの提案が重要」と述べた。 また、同氏はCGPの活用時期についても言及した。膵がんではKRASやBRCAなど代表的な遺伝子変異が多い。米国のNCCNガイドラインでは、進行膵がんに対し治療初期からCGP検査が推奨されているが、日本では、膵がんでのCGP検査適用は標準治療後である。眞島氏は、「膵がんの治療は待ったなし。現在の制限を解除し、米国のように診断時からCGP検査を活用してゲノム医療につなげたい」と訴えた。

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急性期脳梗塞で血管内治療後の急性期血圧管理、厳格vs.標準(OPTIMAL-BP)/JAMA

 主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中患者で血管内血栓除去術(EVT)により再灌流に成功した後、血圧上昇がみられる患者において、24時間の集中的な血圧管理(収縮期血圧の目標140mmHg未満)は従来の血圧管理(同140~180mmHg)と比較し、3ヵ月時点の機能的自立の達成割合が低いことを、韓国・延世大学のHyo Suk Nam氏らが多施設共同無作為化非盲検評価者盲検比較試験「Outcome in Patients Treated With Intra-Arterial Thrombectomy-Optimal Blood Pressure Control:OPTIMAL-BP試験」の結果、報告した。急性期虚血性脳卒中患者におけるEVTによる再灌流成功後の最適な血圧管理は、不明であった。著者は、「EVTを受けた急性期虚血性脳卒中患者において、再灌流成功後24時間の強化降圧療法は避けるべきである」と述べている。JAMA誌2023年9月5日号掲載の報告。140mmHg未満目標の強化管理群vs.140~180mmHg目標の従来管理群を評価 研究グループは、2020年6月~2022年11月の期間に韓国の脳卒中センター19施設において、EVTを受けた20歳以上の主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中患者で、修正Thrombolysis in Cerebral Infarction(TICI)スコアが2b以上(閉塞血管領域の50%以上で再灌流)、再灌流成功後2時間以内に2分間隔で少なくとも2回測定した収縮期血圧が140mmHg以上の患者を登録。登録後24時間の収縮期血圧について、140mmHg未満を目標とする強化管理群と140~180mmHgを目標とする従来管理群に1対1に無作為に割り付けた。 主要有効性アウトカムは、3ヵ月時点の機能的自立(修正Rankin Scaleスコア0~2)とした。主要安全性アウトカムは、36時間以内の症候性頭蓋内出血、3ヵ月以内の脳卒中関連死であった。3ヵ月後の機能的自立の達成割合は、従来管理群が良好 本試験は、ENCHANTED2/MT試験で示された安全性の懸念が確認されたことなどにより、データ安全性モニタリング委員会の勧告に基づき、306例が無作為化された時点で早期中止となった。無作為化された患者のうち、305例が適格基準を満たし、302例(99.0%)が試験を完了した(平均年齢73.0歳、女性122例[40.4%])。 機能的自立を達成した患者の割合は、強化管理群39.4%(61/155例)、従来管理群54.4%(80/147例)、群間リスク差は-15.1%(95%信頼区間[CI]:-26.2~-3.9)、補正後オッズ比は0.56(95%CI:0.33~0.96、p=0.03)であり、強化管理群で達成が有意に低いことが認められた。 症候性頭蓋内出血の発現率は、強化管理群9.0%(14/155例)、従来管理群8.1%(12/149例)であった(群間リスク差:1.0%[95%CI:-5.3~7.3]、補正後オッズ比:1.10[95%CI:0.48~2.53]、p=0.82)。また、3ヵ月以内の脳卒中関連死亡率は、強化管理群7.7%(12/155例)、従来管理群5.4%(8/147例)であった(2.3%[-3.3~7.9]、1.73[0.61~4.92]、p=0.31)。

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転移のある膵がん1次治療、NALIRIFOXがOS・PFS改善(NAPOLI-3)/Lancet

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のZev A. Wainberg氏らは、欧州、北米、南米、アジア、オーストラリアの18ヵ国187施設で実施した無作為化非盲検第III相試験「NAPOLI 3試験」の結果、転移のある膵管腺がん(mPDAC)の1次治療としてNALIRIFOX(ナノリポソーム型イリノテカン+フルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン)はnab-パクリタキセル+ゲムシタビンと比較し、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことを報告した。膵管腺がんは依然として、生命予後が最も不良の悪性腫瘍の1つであり、治療選択肢はほとんどないとされている。Lancet誌オンライン版2023年9月11日号掲載の報告。NALIRIFOX群vs.nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群で評価 研究グループは、未治療のmPDACで18歳以上のECOG PS 0~1の患者を、地域(北米vs.東アジアvs.その他の地域)、PS(0 vs.1)、肝転移(ありvs.なし)で層別化し、NALIRIFOX群またはnab-パクリタキセル+ゲムシタビン群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 NALIRIFOX群では、28日を1サイクルとして1日目と15日目に、ナノリポソーム型イリノテカン50mg/m2、フルオロウラシル2,400mg/m2、ロイコボリン400mg/m2およびオキサリプラチン60mg/m2を46時間以上かけて持続点滴静注した。nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群では、28日を1サイクルとして1日目、8日目および15日目に、nab-パクリタキセル125mg/m2とゲムシタビン1,000mg/m2を静脈内投与した。 主要評価項目は、intention-to-treat集団におけるOSで、両群において少なくとも543件のイベントが観察された時点で評価した。副次評価項目はPFSなどであった。また、試験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者を解析対象として安全性を評価した。 2020年2月19日~2021年8月17日の期間に、計770例が無作為に割り付けられた(NALIRIFOX群383例、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群387例)。NALIRIFOX群でOSが有意に延長 追跡期間中央値16.1ヵ月(四分位範囲[IQR]:13.4~19.1)において、OS中央値はNALIRIFOX群11.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:10.0~12.1)、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群9.2ヵ月(8.3~10.6)であった(ハザード比[HR]:0.83、95%CI:0.70~0.99、p=0.036)。12ヵ月OS率は、NALIRIFOX群45.6%(95%CI:40.5~50.5)、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群39.5%(34.6~44.4)であり、18ヵ月OS率はそれぞれ26.2%(20.9~31.7)、19.3%(14.8~24.2)であった。 また、副次評価項目であるPFSは、NALIRIFOX群7.4ヵ月(95%CI:6.0~7.7)、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群5.6ヵ月(5.3~5.8)であった(HR:0.69、95%CI:0.58~0.83、p<0.0001)。 治療関連死は、NALIRIFOX群で6例(2%)、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン群で8例(2%)であった。

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コロナ医療費、公費支援を10月から縮小/厚労省

 厚生労働省は9月15日付の事務連絡にて、新型コロナウイルス感染症の10月以降の医療提供体制の移行および公費支援の具体的内容を公表した。2023年5月8日に新型コロナは5類感染症に変更となり、9月末までを目途として特例措置の見直しが行われてきた。これまでの見直しを踏まえ、冬の感染拡大に対応しつつ、通常の医療提供体制への段階的な移行を進めるため、2023年10月~2024年3月を引き続き移行期間として定め、10月以降の取り扱いがまとめられた。 病床確保料や診療報酬上の特例が見直され、10月以降は補助単価の上限や特例加算を引き下げて継続となる。具体的な額面・点数の詳細は「新型コロナウイルス感染症に関する10月以降の見直し等について」の資料を参照されたい。 新型コロナ患者への治療薬や入院医療費など対する公費支援なども見直され、全額公費負担だったコロナ治療薬は、一部自己負担を求めつつ公費支援が継続されることなどが示された。2024年4月の完全移行後は、通常の自己負担となる予定。 患者等に対する公費支援の詳細は以下のとおり。【治療薬】・9月までは、コロナ治療薬の費用は全額公費支援(外来・入院)であった。・10月以降は、他の疾病との公平性の観点も踏まえ、自己負担なしの扱いから、一定の自己負担を求めつつ公費支援を継続。・自己負担の上限額は、医療費の自己負担割合に応じて段階的に、1割の人:3,000円、2割の人:6,000円、3割の人:9,000円とする。3割の人でも、重症化予防効果のあるラゲブリオ等の薬価(約90,000円)の1割程度(9,000円)にとどまるように見直す。【入院医療費】・9月までは、高額療養費制度の自己負担限度額から2万円を減額であった。・10月以降は、他の疾病との公平性の観点も踏まえ、入院医療費については、高額療養費制度の自己負担限度額から1万円の減額に見直して公費支援を継続。新型コロナ医療費の自己負担イメージ【外来医療費】2023年5月8日~9月末→10月1日~2024年3月末→完全移行後・1割負担の人:1,390円(うち薬剤費0円)→4,090円(同3,000円)→8,000~10,520円(同9,430円)・2割負担の人:2,780円(うち薬剤費0円)→8,180円(同6,000円)→18,000円(同18,860円)・3割負担の人:4,170円(うち薬剤費0円)→12,270円(同9,000円)→31,570円(同28,290円)【入院医療費】・75歳以上(1割負担)で年収約370万円以下の人が7日間入院した場合、治療薬を除く自己負担額は39,800~47,600円。※完全移行後は高額療養費を適用し、39,800~57,600円。

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漫画『王の病室』がリアル!【Dr. 中島の 新・徒然草】(495)

四百九十五の段 漫画『王の病室』がリアル!「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、本当に彼岸を過ぎたらこの暑さが和らぐのでしょうか? 外来受診をしたタイ人の患者さんが「日本のほうが暑い!」と言っていたくらいですから、まだまだ続くのかもしれません。さて、前々回は『響~小説家になる方法』という漫画を紹介しましたが、今回は『王の病室』(講談社、原作:灰吹 ジジ、漫画:中西 淳)という医療漫画を紹介したいと思います。医学部を卒業して新しく研修医になった赤城くんが主人公。彼が研修をしながら、医療の現実の中で悩みながら成長する物語です。漫画の中の登場人物のセリフがリアル。我知らず感心してしまいました。以下、いくつかの例を紹介させていただきます。ここがリアル! その1まず、赤城くんが担当患者さんのご家族に「少しお伺いしたいことが」と呼び止められる場面。ご家族が赤城くんに尋ねます。「父が治るまでに一体いくらぐらい用意しておけばよろしいのでしょうか」これに対して赤城くんの答えが笑えます。「さあ」何ですか、「さあ」って!でも、開業医の先生はともかく、私を含めて勤務医はあまり医療費のことを考えていません。ましてや赤城くんは卒業したばかりの研修医ゆえ、「さあ」以外の答えがないのは当然です。それにしても、もう少しマシな答えはなかったものでしょうか?ここがリアル! その2先輩の獄門院 聖(ごくもんいん ひじり)先生が赤城くんを慰める場面。「安心しろ赤城。この世に絶対の名医なんて存在しねェ。だから潔く泥仕合に励むんだな」赤城くんはグッドパスチャー症候群に対して血漿交換で挑もうとしていたのですが、いくら繰り返しても改善しない、という経過を予想できていません。泥仕合とは言い得て妙です。ここがリアル! その3指導医の高野 孝太郎(たかの こうたろう)先生に血漿交換の許可をもらいに行ったときのこと。すでに負け戦が見えている高野先生にとって、血漿交換は貴重な医療資源の浪費にしか思えません。でも一生懸命な赤城くんを見てこう言います。「赤城先生のためと思って今回は大目にみましょう…(略)…ここで血漿交換療法を経験した赤城先生が未来で誰かを救うかもしれない」大金をドブに捨てるみたいな治療ではあるけれども若者の教育のため、と思って自分を無理に納得させているのでしょう。ここがリアル! その4腎臓内科の松下 優音(まつした ゆね)先生は獄門院先生や高野先生とは別の考えを持っています。彼女のセリフが私にとっては一番腑に落ちるものでした。ちょっと長いけど引用させてもらいます。「この世で最も平等なものは『病』だと思うんだ…(略)…平等という言葉を使うとき我々は少し歪んだ認識をしてると思うんだけど。『善人が救われる』『悪人が罰を受ける』どこかそんな勧善懲悪をイメージしてない?」見事に我々が無意識に持っている考えを言い当ててくれます。そして松下先生はこう続けました。「本当の平等はもっと残酷だよ。老いも若きも金持ちも貧乏人も善人も悪人も区別なくただただ病は降り注ぐ」まさしく、その通り!「だからこそ私は信じてるんだよね。病と闘う者もまた同じくらい平等が許されると。若者を助けるべきとか誰を優先すべきとか、そういう小賢しい判断は国のお偉いさんにお任せ。与えられた手段全部使って誰でも治すのが私のやり方だから」飲酒喫煙しながら長生きする人が大勢いる一方、清く正しい生活で早死にしてしまう人も少なくありません。まさしく病は平等、そして理不尽です。だからこそ、自分のほうも理不尽に振る舞い、使えるものは何でも使って治療する、という松下先生の考え方には頷かされてしまいます。この漫画には、ほかにも示唆に富むセリフが沢山出てきました。読者の皆さまには、是非ともこの漫画を買って読んでいただきたく思います。きっと「あるある」と笑えることでしょう。ということで最後に1句彼岸すぎ リアルな漫画に 感心す

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交通事故診療で困ることとその対応(2)

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。整形外科医の濱口 裕之です。前回の「交通事故診療で困ることとその対応」はいかがでしたでしょうか?やっぱり交通事故診療は面倒くさいとか言わないでくださいね。それでは、今回も交通事故診療の疑問にお答えしましょう!自分の患者さんが、どのような基準で後遺障害に認定されるのかわかりません。後遺障害診断書をしっかり記載したのに非該当になって、患者さんに愚痴られたことがあります自賠責保険の後遺障害認定基準はブラックボックスであり、詳細は公開されていません。このため、自分の患者さんが後遺障害に認定されるか否かを正確に予測するのはほぼ不可能です。これまで、私たちのグループは、全国から寄せられる数千例に及ぶ事案に取り組んできました。それらの事案を分析した結果、自賠責保険は以下の認定基準にしたがって後遺障害の審査を行っていると推察されます。事故の規模症状の一貫性通院頻度適切な専門科の受診の程度身体所見と画像所見の一致の程度症状固定までの期間患者さんが受傷した部位ごとに細かい認定基準があるため、私たちのように年間約1,000例もの症例に取り組んでいても、正確に後遺障害等級を予測できるわけではありません。このため、自分の患者さんの後遺障害等級を予測するのは困難だと割り切りましょう。事故と症状の因果関係が疑わしい患者さんをときどき見かけます。単なる外傷性頸部症候群(頸椎捻挫)なのに、めまい、耳鳴、目のかすみなどの訴えは理解できません交通事故での外傷性頸部症候群(頸椎捻挫)といえば、首の痛みを想像する人が多いと思います。確かに、外傷性頸部症候群の症状として最も多いのは、後頸部から腕にかけての痛みやしびれです。しかし、外傷性頸部症候群では、めまい、耳鳴、目のかすみ、目の疲れなど自律神経失調症の症状を併発する症例があります。外傷の影響で交感神経が刺激されて前庭迷路の血流が減少します。これによって、めまいや耳鳴が起きるといわれています。外傷性頸部症候群に自律神経失調症が合併した状態を、バレリュー症候群と呼びます。バレリュー症候群は、整形外科医の間でさえ一般的な傷病とは言い難いです。しかし、交通事故診療では比較的よく見かける傷病です。患者さんがめまい、耳鳴、目のかすみ、目の疲れなどを訴えると、精神疾患や詐病を連想しがちです。しかし、外傷性頸部症候群では、一定の確率で自律神経失調症を併発します。バレリュー症候群である可能性を念頭に置いて診療しましょう。症状固定の時に、治療終了となることに対して患者さんが納得しなくて困っています。症状固定とは、治療してもそれ以上改善しない状態を指します。具体的には、消炎鎮痛剤の服用やリハビリテーションにより一過性に軽快するものの、すぐ元に戻ってしまう状態です。症状が一進一退になれば、症状固定の時期と思って良いでしょう。症状固定は医学的な概念ではなく、損害保険会社や裁判で慣習的に使われている用語です。そのため、患者さんだけでなく医師が症状固定の意味を正確に理解していなくても不思議ではありません。自賠責保険は、すべての交通事故被害者が完治するとは考えていません。治療効果がなくなった時点で治療を終了し、後遺症に対しては後遺障害を認定して救済します。限りある保険料収入を最大限有効活用することで、公的な利益を追求しています。そのため、治療しても根本的に改善する可能性がなくなったにもかかわらず、延々と治療を続けることには問題があります。患者さんの立場では、交通事故に巻き込まれて後遺症を負ったので、完全に治るまで補償して欲しいと思いがちです。症状固定に納得しない患者さんには、自賠責保険の公的な存在意義を説明するしかないと思います。なお、症状固定しても自賠責保険での治療が終了するだけです。健康保険で症状緩和の治療を続けられることは申し伝えましょう。診断書へ絶対に記載してはいけない事項は何でしょうか?自賠責保険は、醜状などの一部を除いて、すべて書類審査です。したがって、医師が作成した診断書は、患者さんの後遺障害認定に極めて大きな影響を及ぼします。そのため、診断書は自賠責保険のルールに則って記載する必要があります。そうは言っても、特別に勉強する必要はなく、普通の感覚で診断書を作成すればよいでしょう。ただし後遺障害診断書の左下にある「障害内容の増悪・緩解の見通し」については、慎重に記載する必要があります。この欄に、症状は改善する見込みがあるなどと記載すると、患者さんは確実に後遺障害非該当になります。そもそも、症状固定の定義は「治療してもそれ以上改善しない状態」です。症状が改善する見込みがあるのなら、まだ症状固定ではありません。症状固定は医学用語ではないので、多くの医師が症状固定の定義を知らないのは当然といえるでしょう。だからといって、患者さんに不利益になることをあえて記載する理由はありません。主治医として、この点だけは知っておいて損はないと思います。自覚症状だけで他覚所見が乏しい場合の対応はどうすればよいのでしょうか?交通事故診療で最も多い外傷性頸部症候群では、他覚所見に乏しい症例が多いです。身体所見や画像所見と比較して症状の訴えの強い患者さんを診ると、どうしても詐病が頭をよぎります。しかし、私たちの数千例に及ぶ経験では、交通事故診療で明らかに詐病と思われる症例は、さほど多くないのが実情です。たしかに、外傷性頸部症候群では自覚症状だけで他覚所見が乏しい症例は多いですが、彼らが全員ウソをついているわけではありません。単に現在の医療水準では、画像検査などで痛みなどの症状の原因を捉えきれていないだけだと考えるべきでしょう。私たち医師ができることは、客観的に診療することだけです。詐病が強く疑われるケースを除けば、粛々と治療を続けることが望まれます。

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