サイト内検索|page:376

検索結果 合計:35667件 表示位置:7501 - 7520

7501.

第169回 診療所自由開業の見直しを提案、医師偏在問題への対策で/財務省

<先週の動き>1.診療所自由開業の見直しを提案、医師偏在問題への対策で/財務省2.診療所の経常利益率上昇、財務省と医師会の間で賃上げ論争/財務省3.医療・介護施設の経営危機、過去最低の利益率、特養は6割超が赤字/WAM4.先発薬の自己負担上乗せ、後発薬への移行を促進/厚労省5.20歳未満の市販薬乱用対策として購入制限を提案/厚労省6.介護人材確保のカギは賃上げ、報酬改定で新たな取り組み/厚労省1.診療所自由開業の見直しを提案、医師偏在問題への対策で/財務省財務省は、11月1日に開催した財政制度等審議会の財政制度分科会で、医師の偏在対策を進めるため診療所の自由開業・自由標榜の見直しを提案した。特定の地域や診療科での医師の集中が続く中、フランスのように地域・診療科ごとの専門医の定員制を導入するべきとの意見が示された。同省は、大都市に医師や診療所が集中する傾向を示すデータを公表するとともに、医療資源を均等に分散させるため、診療報酬の地域による単価差を導入する提案も行った。このほか同省は、大学病院などからの医療機関に対する医師派遣の充実や外来医療計画における都道府県知事の権限強化、医学部の定員適正化なども求めた。参考1)財政制度分科会 社会保障 資料(財務省)2)診療所の自由開業・標榜の見直し提案、財務省 偏在解消策のメニューとして(CB news)2.診療所の経常利益率上昇、財務省と医師会の間で賃上げ論争/財務省財務省は11月1日に財務相の諮問機関である財政制度等審議会の分科会において社会保障制度について話し合った。この中で、来年度の診療報酬改定で、診療所の初・再診料を中心に診療報酬を引下げて、マイナス改定とすることを提言した。同省の調査によれば、新型コロナウイルスの影響で診療所の経営状況が改善し、2022年度の医療法人の経常利益率が平均8.8%となったためである。財務省側は、収益の改善を原資に賃上げが可能であるとしているが、日本医師会は新型コロナの特例的な影響はあくまで一過性のものであり、これを除くと新型コロナ流行後3年間の利益率は3.3%程度となり、流行前よりも悪化している可能性がある上、特例の見直しにより、来年度以降はコスト増と合わせて経営環境はさらに悪化するとし、財務省の主張はミスリードだとし、診療報酬の引き上げを求めて強く反発している。一方、岸田 文雄首相は医療・介護・福祉分野における物価高騰対策と賃上げを重要な課題だとして、総合経済対策でも必要な対応を検討する意向を示しており、診療報酬の改定については、年末までさらに議論が続く見込み。参考1)財政制度分科会 社会保障 資料(財務省)2)令和6年度診療報酬改定について(日本医師会)3)“利益率高い医療機関は利益取り崩し賃上げ”財政制度等審議会(NHK)4)診療所の利益急改善、財務省「賃上げ可能」 医師会反発(日経新聞)5)日医会長、診療報酬の大幅な引き上げ主張-「ミスリード」「恣意的」財務省に反論(CB News)6)岸田首相 医療、介護、福祉分野の「物価高対策、賃上げは重要な課題」総合経済対策で必要な対応検討へ(ミクスオンライン)3.医療・介護施設の経営危機、過去最低の利益率、特養は6割超が赤字/WAM医療および介護施設の経営困難が深刻化していることが、最近の複数の報道により浮き彫りとなった。福祉医療機構(WAM)の調査によれば、2022年度の一般病院の医業利益率はマイナス1.2%に低下し、療養型病院も1.9%と過去最低水準を記録している。これは、医業利益率が医療活動による収益状況を示す指標であるため、医療機関の経営が厳しくなっていることを物語っている。とくに、新型コロナウイルス対応病院の経常利益率は、補助金を除いてマイナス2.9%となり、赤字となっている病院の割合は61.3%に上昇している。一方、全国老人福祉施設協議会(老施協)の調査によると、特別養護老人ホームの昨年度の赤字施設の割合は62%に達し、2002年度の調査開始以来、初めて6割を超えた。物価高騰が原因で、電気代や紙おむつ、食材のコストの上昇が経営を圧迫している。国や自治体の補助金を収入に加えても、赤字施設の割合は51%となっている。施設の運営は介護報酬の範囲内で行われるため、物価高騰などでの経費増に対応するのが難しく、結果として職員のボーナスが削減されるなどの対応が取られている。老施協は政府に対し、介護報酬の大幅な見直しを求めている。このような背景から、医療・介護施設の経営状況の改善が喫緊の課題となっており、施設の撤退やサービスの低下が地域の医療・介護体制に影響を及ぼす恐れがある。参考1)2022年度 病院の経営状況(速報値)について(福祉機構)2)2022年度 特別養護老人ホームの経営状況(速報値)について(同)3)一般病院と療養病院の医業利益率が最低水準に 昨年度、福祉医療機構調べ(CB News)4)特養ホームの62%が赤字、紙おむつ・食材などの価格上昇が経営圧迫…ボーナス切り下げも(読売新聞)4.先発薬の自己負担上乗せ、後発薬への移行を促進/厚労省厚生労働省は、後発薬の普及をさらに促進するために新たな方針を提案した。これによると、先発薬の患者の自己負担を引き上げることで、患者の後発薬への移行を促進し、医療費の増大を抑制することを目的としている。具体的には、先発薬の自己負担部分に後発薬との価格差の一部を上乗せすることを提案しており、これにより患者の自己負担は数円~数百円ほど増加する可能性がある。さらに、後発薬の安定供給を確保するための対策も進められている。厚労省の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」では、後発薬の供給体制を可視化することを提案し、供給能力と実績を持つ製薬企業が評価される仕組みの構築を求めており、供給不安を緩和するために、製薬企業の供給体制や緊急対応能力、原材料の供給源などの情報公開を求めていく提案されている。これにより、患者や医療機関が信頼性の高い製薬企業を選択することが可能となり、全体としての医薬品供給の安定が期待されるとしている。参考1)先発薬の患者負担上乗せ 厚労省案 後発薬への移行促す(日経新聞)2)後発薬「企業の供給力、評価を」 厚労省検討会(同)3)後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 中間取りまとめ(厚労省)5.20歳未満の市販薬乱用対策として購入制限を提案/厚労省厚生労働省は、10月30日に開いた薬事・食品衛生審議会薬事分科会の部会において、若者の間での過剰摂取(オーバードーズ)を防ぐ対策として、20歳未満に対する「乱用の恐れのある医薬品」の大量購入を制限する新たな方針を示した。これによると、麻薬や覚醒剤に似た成分を含む一部の市販薬、たとえば大正製薬の「パブロン」や「浅田飴」など、OTCとして手軽に購入できる風邪薬などに適用することになる。具体的には20歳未満には1箱のみの販売とし、ネットでの購入は原則ビデオ通話が必須とされる見込み。ビデオ通話は購入者の状況や表情を確認するためとしており、薬の購入状況の一元管理にマイナンバーの利用も検討されている。国立精神・神経医療研究センターの調査によると、高校生の1.6%が過去1年間に市販薬の乱用経験があると推定され、背景にはSNSの広がりや孤独感があるとされている。参考1)要指導医薬品のリスク評価について(厚労省)2)市販薬の2・3類を統合へ 薬の説明は「努力義務」に 厚労省検討会(朝日新聞)3)市販風邪薬の販売規制案 20歳未満、多量購入不可に(日経新聞)4)一部医薬品の大量販売、20歳未満に禁止案 オーバードーズ対策(毎日新聞)6.介護人材確保のカギは賃上げ、報酬改定で新たな取り組み/厚労省わが国の介護業界は深刻な人手不足に直面していることが明らかになった。厚生労働省の分析によると2022年に介護業界から離職した人が、新たに働き始めた人を上回り、就労者が前年より1.6%減していた。今後も介護を必要とする高齢者の増加は見込まれており、処遇の改善による介護士の確保が急務となっている。一方、介護サービスの供給が需要に追いつかない現状が続いている中、介護職の離職率も高まっている。厚労省によると、介護職員の平均賃金は時給1,138円と、他の業種と比べて低い水準であり、新たな人材の獲得や現場の職員の維持が困難となっている。このため、厚労省は介護職員の賃金を引き上げる方針を示している。2023年度の介護報酬改定では、介護職員の平均時給を1,400円以上にすることを目指している。この賃上げは、業界の人手不足解消とサービス品質の向上を目的としている。また、地域によっては、賃金のアップだけでなく、研修やキャリアアップの機会を提供することで、介護職員の定着を促進する取り組みも進められている。一方、介護事業者からは、報酬改定による経営の厳しさを指摘する声も上がっている。報酬の引き上げは、介護サービスの品質向上に寄与する一方で、事業者の経営負担も増大するため、バランスの取れた対応が求められる。参考1)介護職員の賃上げ「月6000円が妥当」 武見敬三厚労相(日経新聞)2)介護就労者が初の減少、低賃金で流出 厚生労働省分析(同)3)コメディカルの給与が全産業平均を下回ることが明らかに(日経ヘルスケア)

7503.

ESMO2023 レポート 乳がん

レポーター紹介はじめにESMO Congress2023が10月20日から24日の間、スペイン・マドリードで開催されました。155の国から3万3,000人以上の参加者があり、2,600演題を超える研究成果が発表されました。今年は、非常に重要なPhase3試験の結果が数多く報告され、今後の診療に影響を与える興味深い結果も多く報告されました。今回は乳がん領域で、非常に話題となったいくつかの演題をピックアップして今後の展望を考えてみたいと思います。周術期乳がん演題1)ホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)乳がん今年は、術前化学療法を行うようなHR+/HER2-乳がんに対して、周術期に免疫チェックポイント阻害薬を使用するランダム化比較第III相試験が2つ報告されました(CheckMate 7FL試験とKEYNOTE-756試験)。いずれも、主要評価項目である病理学的完全奏効割合(pCR[ypT0/is ypN0])については、免疫チェックポイント阻害薬併用によって向上することが示されました。CheckMate 7FL試験(NCT04109066、LBA20)本試験では、新規発症のER陽性(ER+)/HER2-乳がん(病期T1c~2、N1~2個またはT3~4、N0~2個、Grade2[かつER 1~10%]またはGrade3[かつER≧1%])と診断された早期乳がん患者521例が組み入れられました。患者は抗PD-1抗体のニボルマブ群またはプラセボ群に無作為に割り付けられました。術前化学療法相では、患者はニボルマブまたはプラセボとパクリタキセルの併用投与を受け、次いでニボルマブまたはプラセボとAC療法の併用投与を受けました。ニボルマブ360mgを3週ごとに、または240mgを2週ごとに投与されました。手術後、両群の患者は、治験責任医師が選択した内分泌療法を受けました。ニボルマブ投与群では、術後治療としてニボルマブ480mgを4週ごとに7サイクル投与されています。全体として、ニボルマブ群では89%、プラセボ群では91%の患者が手術を受けました。結果として、pCR率はニボルマブ群で24.5%、プラセボ群で13.8%(オッズ比[OR]:2.05、95%信頼区間[CI]:1.29~3.27、p=0.0021)であり、統計学的に有意な改善を示しました。とくに、SP142のPD-L1陽性(IC≧1)患者のpCR率はニボルマブ群で44.3%、プラセボ群で20.2%(OR:3.11、95%CI:1.58~6.11)であり、24.1%の差を認めました。KEYNOTE-756試験(NCT03725059、LBA21)本試験では、新規発症のER+/HER2-乳がん(病期T1c~2かつN1~2個、またはT3~4かつN0~2個、Grade3、中央判定)と診断された早期乳がん患者1,278例が組み入れられ、抗PD-1抗体のペムブロリズマブ群またはプラセボ群に無作為に割り付けられました。術前化学療法相では、患者はペムブロリズマブまたはプラセボとパクリタキセルの併用投与を受け、次いでペムブロリズマブまたはプラセボとAC療法またはEC療法の併用投与を受けました。手術後、患者はペムブロリズマブ200mgまたはプラセボを3週間ごとに6ヵ月間投与され、内分泌療法を最長10年間受け、適応があれば放射線療法を受けました。本試験の2つの主要評価項目は、ITT集団における最終手術時pCR(ypT0/TisおよびypN0)割合、およびITT集団における治験責任医師評価による無イベント生存期間(EFS)でした。主要評価項目のpCR割合は、ペムブロリズマブ群24.3%、プラセボ群15.6%であり、統計学的に有意な改善を示しました(推定差:8.5%[95%CI:4.2~12.8]、p=0.00005)。とくに、75%程度を占める22C3のPD-L1陽性(CPS≧1)患者において、pCR割合の差は9.8%(95%CI:4.4~15.2)であり、PD-L1陰性(CPS2)トリプルネガティブ乳がん NeoTRIP試験(NCT002620280、LBA19)NeoTRIP試験は、TNBC患者を、nab-パクリタキセルとカルボプラチンを8サイクル投与する群(化学療法群)とnab-パクリタキセルとカルボプラチンにアテゾリズマブを追加投与する群(アテゾリズマブ群)に無作為に割り付けた試験です。主要評価項目はEFS、副次評価項目はpCR割合で、以前にpCR割合のみが報告されていました。ITT解析において、アテゾリズマブ投与後のpCR割合(48.6%)は、アテゾリズマブ非投与(44.4%;OR:1.18、95%CI:0.74~1.89、p=0.48)と比較して統計学的有意な改善を認めませんでした。多変量解析では、PD-L1発現の有無がpCR率に最も影響する因子でした(OR:2.08)4)。今回発表のあった、追跡期間中央値54ヵ月後のEFS率は、アテゾリズマブ非投与の化学療法単独群74.9%に対してアテゾリズマブ+化学療法群70.6%でした(HR: 1.076、95%CI:0.670~1.731)。このため、主要評価項目のEFSも統計学的有意差を示せなかったという結果でした。アテゾリズマブを使用した術前抗がん剤として、IMpassion 031試験はpCRの改善は認めましたが、DFSやOSは検討できない症例数で、ESMO BC2023における報告では、明らかな有意差を示していませんでした。一方で、KEYNOTE-522の結果は、前述の通りペムブロリズマブ追加でpCRも改善して、EFSも改善していましたので、真逆の結果でした。NeoTRIP試験のKEYNOTE-522試験と異なる点は、術後療法では免疫チェックポイント阻害薬を使用しないこと、術前抗がん剤治療として免疫チェックポイント阻害薬の併用ではアントラサイクリン系薬剤は使用しないこと、異なる免疫チェックポイント阻害薬を使用していることがありましたが、どのくらいこういった要素が影響するかは定かではありません。転移・再発乳がん演題1)HR+/HER2-乳がん TROPION-Breast01試験(NCT05104866、LBA11)本試験では、手術不能または転移を有するHR+/HER2-(IHC 0、IHC 1+またはIHC 2+、ISH陰性)乳がん患者732例が組み入れられました。ECOG PS 0~1、内分泌療法で進行を認め内分泌療法が適さない患者であり、全身化学療法を1~2ライン受けた患者が対象となっています。患者は、datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)(6mg/kgを1日目に投与、3週おき)を投与する群、または医師が選択した化学療法(エリブリン、ビノレルビン、カペシタビン、ゲムシタビン)を投与する群に1:1で無作為に割り付けられました。主要評価項目は、RECISTv1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)でした。本試験の結果、BICRによるPFS中央値はDato-DXd群6.9ヵ月、医師選択化学療法群4.9ヵ月、HR0.63(95% CI:0.52~0.76、p<0.0001)と、有意にDato-DXd群のPFSが良好でした。奏効割合はDato-DXd群36.4%、医師選択化学療法群22.9%でした。OSについては、イベントが不十分な状況でしたが、Dato-DXd群で良好な傾向が認められ、HR0.84(95% CI:0.62~1.14)でした。治療関連有害事象(TRAE)はDato-DXd群で94%、医師選択化学療法群で86%に発生したのですが、Grade 3以上のTRAE割合は、Dato-DXd群で21%対医師選択化学療法群で45%と、Dato-DXd群で低い頻度でした。また、薬剤関連の間質性肺疾患はDato-DXd群で3%、ただしほとんどがGrade 1か2でした。画像を拡大するこれまでにHR+/HER2-(低発現)乳がんに対するランダム化比較第III相試験で、有効性を検証した抗体薬物複合体(ADC:antibody drug conjugate)は3つ目ということになります。HER2低発現に対するT-DXdはすでに保険適用となっていますが、Destiny Breast 04試験の結果、2次治療以降の症例でPFS、OSが医師選択化学療法よりも良好であることが示されています。ESMOではOSのupdate結果が報告され、HR陽性群のT-DXd群の成績は、OS中央値が23.9ヵ月で、HR0.69(95%CI:0.55~0.87)と、これまでの報告の有効性が維持されていました。また、TROP2に対するADCとして、sacituzumab govitecan(SG)があり、こちらもTROPiCS-02試験の結果、PFS、OSが医師選択化学療法よりも良好であることが示されています。SGは2023年10月時点で、まだ日本では承認されていませんが、将来的に承認されることが期待されている薬剤です。実臨床ではまだDato-DXdは使用できませんが、仮にこれら3剤が使用可能な場合のHR陽性HER2陰性乳がんのADCシークエンスはどうなるでしょうか。いずれにせよ、臨床試験で組み入れられた症例はTROPION-Breast01とDestiny Breast04試験は1~2ラインの抗がん剤治療歴がある患者、TROPiCS-02試験は全身化学療法を2~4ライン受けた患者が対象でした。このため、2次治療以降のADCシークエンスが検討されます。HER2低発現であればOS改善効果が証明されている現状では、T-DXdが2次治療では優先されると思います。さらに、3次治療となればSGのほうはOS改善効果が証明されているので、同じTROP2のADCではSGの方が優先されると思います。一方で、HER2 0の症例では、現時点ではT-DXdは使用されませんので、2次治療での有効性はDato-DXdが優先され、3次治療でSGが検討されるのかと考えます。今後、現在進行中のDESTINY-Breast06試験の結果により、1次治療や、HER2 0の症例でのT-DXdの有効性が報告されることが期待されます。さらに、ADCのシークエンスが本当に臨床試験通り有効か? という点は非常に議論されているところですので、今後のリアルワールドデータや、臨床研究の結果が待たれます。2)トリプルネガティブ乳がん BEGONIA試験(NCT03742102、379MO)BEGONIA試験は、進行転移トリプルネガティブ乳がん患者として化学療法歴がない患者を対象とした、デュルバルマブとその他の薬剤との併用療法の有効性を複数のコホートで検討するPhaseIb/II試験です。いくつもの試験治療群がありますが、Dato-DXdと抗PD-L1療法であるデュルバルマブの併用療法を検討したアーム7の有効性と安全性については、昨年2022年のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)において、7.2ヵ月のフォローアップ中央値の結果として報告されていました。PD-L1発現が低い症例が53例(86.9%) (Tumor Area Positivity1)von Minckwitz G, et al. J Clin Oncol. 2012;30:1796-804.2)Masuda J, et al. J Immunother Cancer. 2023;11:e007126.3)Jerusalem G, et al. Breast. 2023;72:103580.4)Gianni L, et al. Ann Oncol. 2022;33:534-543.5)Modi S, et al. N Engl J Med. 2022;387:9-20.6)Rugo HS, et al. J Clin Oncol. 2022;40:3365-3376.7)Rugo HS, et al. Lancet. 2023;402:1423-1433.

7504.

ダニ関連アレルギー(2)【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q91

ダニ関連アレルギー(2)Q91気管支喘息既往の20歳男性。昼食後に全身の掻痒感、じんましん、咽頭違和感で救急搬送された。アナフィラキシーの診断でアドレナリン0.5mg筋注後、症状が落ち着いてきた。改めて、病歴を聴いたところ、昼食時にはお好み焼きを自宅で焼いて食べたとのことだった。過去にお好み焼きで同様の症状が出たことなく、使用した食材でも過去にアレルギーを起こしていないとのことだった。ほかに何を聞くと良いだろう。疑う疾患は?

7505.

喘息治療で改善しない運動時の喘鳴・呼吸困難、診断に必要な検査は?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第12回

喘息治療で改善しない運動時の喘鳴・呼吸困難、診断に必要な検査は?講師福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科 手塚 純一郎 氏【今回の症例】14歳の女性。これまで喘息と診断されたことはなく、陸上部で中距離走を行っている。部活動の練習にて、全力で走ると数分で急にゼーゼーして呼吸が苦しくなる。運動誘発喘息の診断により、吸入ステロイド薬(フルチカゾン換算で100μg)と長時間作用性β2刺激薬(サルメテロールキシナホ酸塩50μg)の合剤を1日2回吸入しているが、運動時の喘鳴を伴う呼吸困難が改善しない。喘鳴は吸気性で短時間作用性β2刺激薬(サルブタモール)を吸入しても良くならないが、運動を中止すると数分で改善する。

7506.

知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防

眼科医として知っておきたい合併症47項目をピックアップ「眼科」65巻10号(2023年10月臨時増刊号)どこから読んでもすぐ診療に役立つ、気軽な眼科の専門誌です。本年の臨時増刊号は「知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防」と題し、眼科医であれば施術や診療のために是非とも押さえておきたい、多種多様な処置・手術とそれに伴う合併症を47項目ピックアップし、それぞれへの予防と対策をエキスパートの先生に解説していただきました。患者さんとのコミュニケーションの向上やより良い医療の提供へとつながる1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防定価9,350円(税込)判型B5判頁数252頁発行2023年10月編集後藤 浩/飯田 知弘/雑賀 司珠也/門之園 一明/石川 均/根岸 一乃/福地 健郎電子版でご購入の場合はこちら

7507.

HER2+乳がん脳転移例、T-DXdで高い頭蓋内奏効率とCNS-PFS改善(DESTINY-Breast01、02、03プール解析)/ESMO2023

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のDESTINY-Breast01、02、03試験において、ベースライン時に脳転移のあったHER2陽性乳がん患者の探索的プール解析の結果、既治療で安定した脳転移患者および未治療で活動性の脳転移患者で高い頭蓋内奏効率(ORR)が示された。また、中枢神経系無増悪生存期間(CNS-PFS)は、とくに未治療で活動性の脳転移患者において顕著な改善がみられた。米国・Fred Hutchinson Cancer Center, University of WashingtonのSara A. Hurvitz氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。・対象:DESTINY-Breast01、02試験(トラスツズマブ エムタンシンに抵抗性または不応例)およびDESTINY-Breast03試験(トラスツズマブおよびタキサン系抗がん剤による既治療例)で、ベースライン時に脳転移のあったHER2陽性乳がん患者・方法:ベースライン時に既治療で安定した脳転移患者と未治療で活動性脳転移患者に分け、T-DXd群と対照薬群で比較・評価項目:盲検下独立中央判定(BICR)による頭蓋内ORR(頭蓋内完全奏効[CR]/部分奏効[PR])、頭蓋内奏効期間(DOR)、BICRによるCNS-PFS、安全性 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に脳転移のあった患者はT-DXd群148例、対照薬群83例、そのうち再発乳がんがそれぞれ85例、51例だった。脳転移患者での前治療歴の中央値は3レジメン(範囲:1.0~14.0)だった。・頭蓋内ORRは、既治療で安定した脳転移患者においてT-DXd群が45.2%(CR:17例/PR:30例)、対照薬群が27.6%(CR:2例/PR:14例)、未治療の活動性脳転移患者においてT-DXd群が45.5%(CR:7例/PR:13例)、対照薬群が12.0%(CR:0例/PR:3例)と、どちらもT-DXd群が高かった。・頭蓋内DOR中央値は、既治療で安定した脳転移患者において、T-DXd群12.3ヵ月vs.対照薬群11.0ヵ月、未治療の活動性転移患者ではT-DXd群17.5ヵ月vs.対照薬群NAだった。・CNS-PFS中央値は、既治療で安定した脳転移患者ではT-DXd群12.3ヵ月vs.対照薬群8.7ヵ月(ハザード比[HR]:0.5905、95%信頼区間[CI]:0.3921~0.8895)、未治療の活動性脳転移患者で18.5ヵ月vs.4.0ヵ月(HR:0.1919、95%CI:0.1060~0.3473)と、どちらもT-DXd群で延長し、とくに未治療の活動性脳転移患者で顕著だった。・脳転移患者におけるT-DXdの安全性プロファイルは認容可能で管理可能であり、全患者集団と同等であった。 Hurvitz氏は「T-DXdは、HER2陽性で既治療で安定した脳転移患者および未治療で活動性脳転移患者に対して有効で、許容可能で管理可能な安全性プロファイルを持つ治療オプションである」と結論した。

7508.

小児がんの薬剤開発、何が進んだか、次に何をすべきか/日本小児血液・がん学会

 2022年11月に開催された前回の学術集会で、小児がんの薬剤開発に関する課題の共有や抜本的な制度改革への必要性が提言されて以降、さまざまな場で具体的な方策についての検討が行われてきた。その進捗について、第65回日本小児血液・がん学会学術集会の学会特別企画「『小児がんの薬剤開発を考える』何が進んだか、次に何をすべきか」にて、小川 千登世氏(国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)と鹿野 真弓氏(東京理科大学 薬学部)から、それぞれ報告があった。国内における小児がんの薬剤開発のためには抜本的な制度改革が必要 日本における小児がんを対象とした臨床試験数は欧米と比較して圧倒的に少なく、その背景には小児に対する薬剤開発の義務化の有無が影響していると考えられている。小児がんの薬剤開発が進まない理由としては、1)市場規模が小さく、開発コストや法的義務の負担が大きいこと、2)小児治験を実施する環境が不十分であること、3)医師主導治験で開発を試みるも公的予算・研究費の確保が困難であること、4)対象患者が少なく被験者の確保も難しいといった問題等が挙げられる。 小川氏は、これらの問題解決のために「企業開発を可能とするための効果的なインセンティブや、医師主導治験に対する公的予算・研究費の十分な提供、継続的に実施できる体制強化といった抜本的な制度改革が必要である」と述べた。ゲノム医療における、小児がんドラッグラグ解消に向けた取り組み がん遺伝子パネル検査で治療候補薬が見つかった患児やその家族から、薬剤アクセス確保の要望が高まっている一方で、ゲノム医療において「小児がんドラッグラグ」の問題が「がん対策推進基本計画(第3期)」の課題として挙がっていた。この薬剤アクセス改善に向けて、治験の実施を促進する方策について検討するとともに、小児がん中央機関や拠点病院、関係学会だけでなく企業等と連携して研究開発を推進することが、第4期に取り組むべき施策として、がん対策推進基本計画(2023年3月28日に閣議決定)に明記されている。 これらの課題解決には、「小児がん治療開発コンソーシアム」を構築し、患児や家族、国内外の企業、海外アカデミアとの連携による治療薬開発促進や、小児がん患者の薬剤アクセス改善に向けた活動を目指すとしている。小川氏からは、国際共同企業治験の呼び込みとして、国際学会やACCELERATE Platformへの参加による情報収集や海外企業へのコンタクトの実施、薬剤アクセスの改善では、マスタープロトコルを用いた患者申出療養制度に基づく特定臨床試験(PARTNER試験)の実施などの紹介があった。ほかにもさまざまな検討会が立ち上げられ、小児がんのドラッグラグ解消に向けた施策が進行中である。小児がんの薬剤開発の推進には制度改革だけでなく、実施にむけた環境整備も必要 小児がんや小児の希少難治性疾患に対する薬剤開発の推進に向けて、鹿野氏から「小児がん及び小児稀少難治性疾患に係る医薬品開発の推進制度に資する調査研究」について報告があった。 欧米では、成人の医薬品開発過程における小児開発の検討が法律で義務化されて以降、小児臨床試験の割合は増加。その一方で、小児開発が免除(Waiver)または延期(Deferral)となる割合も2017年以降増加していた。米国におけるWaiverの適用理由として、小児患者が少なく治験の実施困難が全体の8割程度、Deferralの適用理由は非開示が多いものの、安全性・有効性に対する懸念、小児用製剤開発の必要性を理由とする事例が確認された。 製薬企業等を対象としたアンケート調査の結果では、欧米で小児適応を取得済み、または開発中の医薬品に対して、日本国内で小児適応に向けた具体的な開発計画がない品目があると回答した企業が半数近く存在した。その理由として、収益性や治験実施体制の整備、PMDAの審査・相談、欧米のような義務化といった問題が挙がっていた。医療機関を対象としたアンケート調査の結果でも、国内で開発が進まない理由として製薬企業の調査結果と同様の課題が挙がっていた。 この課題解決に向けて鹿野氏は、「解決に向けた取り組みは、いろいろなところで始まっている。これらが統合されて、小児がんの薬剤開発の推進を皆で盛り上げていくことが大切である」と述べた。小児がんの薬剤開発として、次に何をすべきか? 講演の後半では、今後の小児がんの薬剤開発についてパネルディスカッションが行われた。課題解決に向けて、「患者・家族の立場として、課題をもっと周知してもらうために、いろいろな場所で情報発信していく必要がある。そのためには患者リテラシーも向上していきたい」「薬剤開発の推進にはスピード・コスト・クオリティの3つのバランスが必要。日本はスピード・コストに課題があるため、この点をカバーするために現在行われている取り組み等に企業としても貢献していきたい」「インセンティブや治験の実施体制などの環境整備の問題等、課題を複合的に検討していく必要がある」など、さまざまな意見が出された。 最後に小川氏は、「昨年からの進捗状況として、いろいろなことが前進したと実感している。小児がんの薬剤開発を盛り上げていくために、患者さんの会、企業、行政と連携して、また1年後に進捗状況を共有していきたい」と締めくくった。

7509.

若者のうつ病に対する孤独感の影響

 COVID-19パンデミックは、孤立の長期化や社会的関係の混乱をもたらし、それに伴って学生の孤独感は増大した。孤独は、うつ病を含むさまざまな精神疾患と関連しており、自傷行為や自殺など、重大な事態を引き起こす可能性がある。中国・広東技術師範大学のM-Q Xiao氏らは、孤独感がうつ病に影響を及ぼす要因について調査を行った。European Review for Medical and Pharmacological Sciences誌2023年9月号の報告。 COVID-19パンデミック中に中国広東省広州市の中等教育および高等教育を受けていた学生879人を対象に、アンケート調査を実施した。収集したデータは、包括的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・データの分析により、孤独感がうつ病に対し、有意な正の予測効果を示すことが明らかとなった。・孤独感とうつ病の症状との関係に、目標思考のアプローチとレジリエンスが部分的に関連していることが示唆された。・レジリエンスや目標へのフォーカスは、表現抑制や認知的再評価のレベルとは無関係に、メディエーターとして特定された。・認知的再評価は、孤独感とうつ病とのメディエーターとして、負の緩和効果を示した。・表現抑制は、孤独感とうつ病との関係を明確に媒介しており、この関係ではレジリエンスが役割を果たしていた。 著者らは、「本調査結果により、COVID-19パンデミック中は、社交や対人関係を通じてネガティブな感情を軽減できなかったことが、孤独感の増大や、その後のうつ病発症につながっていたことが示された」とし、以下のようにまとめている。 レジリエンスについては、孤独感による低下が、好ましくない対人関係の経験を人生の他の側面に投影すること、自身は困難を克服する能力に欠けると思い込むことにつながり、それによってうつ状態を悪化させる可能性がある。また、その向上は、パンデミックにより起きた変化により良く適応し、うつ病リスクの軽減に寄与すると考えられるという。目標へのフォーカスについては、高い場合には、自身の経験からの学び、生活リズムの調整、うつ病レベルが低い傾向などが認められた。このことから、うつ病リスク軽減に、目標へのフォーカス向上を目指した介入が有用であることが示唆された。 さらに、自身の不幸の表現を抑制している場合は、うつ病レベルが上昇する可能性があるが、認知的再評価スキルが高い場合には、困難な状況に対する認知的視点を変えることで、うつ病リスクの低下につながる傾向がある、としている。

7510.

手術低リスク重症大動脈弁狭窄症、TAVR vs.手術の5年追跡結果/NEJM

 手術リスクの低い症候性重症大動脈弁狭窄症患者を対象に、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)と外科的大動脈弁置換術を比較した「PARTNER 3試験」の5年追跡解析の結果、全死因死亡、脳卒中および再入院の複合エンドポイントを含む2つの主要エンドポイントについて、いずれも両群に有意差は認められなかったことが示された。米国・Baylor Scott and White HealthのMichael J. Mack氏らが報告した。本試験では、1年時の死亡、脳卒中、再入院の複合エンドポイントの発生率はTAVRのほうが有意に低いことが示されていたが、長期的な予後については不明であった。NEJM誌オンライン版2023年10月24日号掲載の報告。2つの主要複合エンドポイントを評価 研究グループは、症候性大動脈弁狭窄症を有し、米国胸部外科医学会の予測死亡リスク(STS-PROM)スコア(範囲:0~100%、スコアが高いほど術後30日以内の死亡リスクが高い)が4%未満で、臨床的・解剖学的評価に基づき手術リスクが低いと判断された患者1,000例を、経大腿動脈アプローチでバルーン拡張型人工弁(SAPIEN 3)を留置するTAVR群(503例)、または外科的大動脈弁置換術を行う手術群(497例)に、1対1の割合に無作為に割り付け、臨床アウトカムおよび経胸壁心エコーデータを、ベースライン、植込み手技後、退院時、30日後、6ヵ月後、1年後、以降5年後まで毎年評価した。 5年解析時の第1主要エンドポイントは、全死因死亡、脳卒中、手技・弁・心不全に関連した再入院の非階層的複合エンドポイントで、Wald検定を用いてTAVR群の手術群に対する優越性を検討した。また、第2主要エンドポイントとして、全死因死亡、後遺症のある脳卒中、後遺症のない脳卒中、再入院日数の階層的複合エンドポイントを事前に設定し、win比を用いて解析した。TAVRと外科的大動脈弁置換術で、2つの主要エンドポイントに差はなし 無作為化された1,000例のうち、割り付けられた手技が開始されたas-treated集団計950例(TAVR群496例、手術群454例)が解析対象集団となった。 第1主要エンドポイントのイベントは、TAVR群111例、手術群117例に認められ、発生率(Kaplan-Meier推定値)はそれぞれ22.8%、27.2%(群間差:-4.3%、95%信頼区間[CI]:-9.9~1.3、p=0.07)であり、第2主要エンドポイントのwin比は1.17(95%CI:0.90~1.51、p=0.25)であった。第1主要エンドポイントの各構成要素の発生率(Kaplan-Meier推定値)は、全死因死亡がTAVR群10.0%、手術群8.2%、脳卒中がそれぞれ5.8%、6.4%、再入院が13.7%、17.4%であった。 5年時の弁血行動態は両群で類似しており、平均大動脈弁圧較差(平均±SD)はTAVR群12.8±6.5mmHg、手術群11.7±5.6mmHgであった。生体弁機能不全は、TAVR群で3.3%、手術群で3.8%に認められた。

7511.

HER2+胃がん1次治療、ペムブロリズマブ上乗せでPFS改善(KEYNOTE-811)/Lancet

 未治療の転移のあるHER2陽性胃・食道胃接合部腺がん患者において、1次治療であるトラスツズマブおよび化学療法へのペムブロリズマブ上乗せ併用は、プラセボと比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、とくにPD-L1陽性(CPS 1以上)患者で顕著であった。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏らが、20ヵ国168施設で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「KEYNOTE-811試験」の第2回および第3回の中間解析結果を報告した。KEYNOTE-811試験の第1回中間解析では、奏効率に関してペムブロリズマブ群のプラセボ群に対する優越性が示されていた。Lancet誌オンライン版2023年10月20日号掲載の報告。主要評価項目はPFSとOS 研究グループは、未治療の局所進行または転移のあるHER2陽性胃・食道胃接合部腺がんで、RECIST v1.1による測定可能病変を有しECOG PSが0または1の18歳以上の患者を、ペムブロリズマブ群またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。層別因子は、地域、PD-L1 CPSおよび医師が選択した化学療法であった。 両群とも、トラスツズマブおよび、フルオロウラシル+シスプラチンまたはカペシタビン+オキサリプラチンとの併用下で、3週ごとに最大35サイクル、または病勢進行、許容できない毒性発現、治験責任医師の判断または患者の同意撤回による中止まで投与した。 主要評価項目は、PFSおよび全生存期間(OS)で、ITT解析を行った。安全性は、無作為化され1回以上投与を受けたすべての患者を対象に評価した。ペムブロリズマブ群でPFSは有意に延長、OSは延長するも有意水準を満たさず 2018年10月5日~2021年8月6日の期間に計698例がペムブロリズマブ群(350例)またはプラセボ群(348例)に割り付けられた。564例(81%)が男性、134例(19%)が女性であった。第3回中間解析時は、投与を受けたペムブロリズマブ群350例中286例(82%)、プラセボ群346例中304例(88%)が投与を中止しており、そのほとんどは病勢進行によるものであった。 第2回中間解析(追跡期間中央値:ペムブロリズマブ群28.3ヵ月[四分位範囲[IQR]:19.4~34.3]、プラセボ群28.5ヵ月[20.1~34.3])において、PFS中央値はそれぞれ10.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:8.6~11.7)、8.1ヵ月(7.0~8.5)であり(ハザード比[HR]:0.72、95%CI:0.60~0.87、p=0.0002[優越性の有意水準:p=0.0013])、OS中央値は20.0ヵ月(95%CI:17.8~23.2)、16.9ヵ月(15.0~19.8)であった(HR:0.87、95%CI:0.72~1.06、p=0.084)。PD-L1発現がCPS 1以上の患者では、PFS中央値はペムブロリズマブ群10.8ヵ月、プラセボ群7.2ヵ月であった(HR:0.70、95%CI:0.58~0.85)。 第3回中間解析(追跡期間中央値:ペムブロリズマブ群38.4ヵ月[IQR:29.5~44.4]、プラセボ群38.6ヵ月[30.2~44.4])では、PFS中央値はそれぞれ10.0ヵ月(95%CI:8.6~12.2)、8.1ヵ月(7.1~8.6)であり(HR:0.73、95%CI:0.61~0.87)、OS中央値は20.0ヵ月(95%CI:17.8~22.1)、16.8ヵ月(15.0~18.7)であった(HR:0.84、95%CI:0.70~1.01)。OSは有意性の水準を満たさなかったが、その後の治療がOSの評価に影響を与える可能性があることから、事前に規定された最終解析計画は変更せず試験は継続されている。 Grade3以上の治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群で350例中204例(58%)、プラセボ群で346例中176例(51%)に発現した。死亡に至った治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群で4例(1%)(肝炎、敗血症、脳梗塞、肺炎が各1例)、プラセボ群で3例(1%)(心筋炎、胆管炎、肺塞栓症が各1例)に認められた。すべての治療関連有害事象で最も多く見られたのは、下痢(ペムブロリズマブ群165例[47%]、プラセボ群145例[42%])、悪心(それぞれ154例[44%]、152例[44%])、貧血(109例[31%]、113例[33%])であった。

7512.

起立性低血圧の有無で、積極的な降圧治療における心血管疾患発症や総死亡の抑制効果に違いはあるのか?(解説:石川讓治氏)

 積極的な降圧が心血管疾患発症抑制に有用であることが、いくつかの大規模無作為割り付け介入試験で報告されている。しかし、これらの研究では起立性低血圧や起立時血圧が低値である患者が除外されていることが多く、これらを有する患者における心血管疾患発症に対する抑制効果に関しては不明であった。本研究は9つの臨床試験の結果の個別参加者データを統合して、起立性低血圧(座位→起立での血圧低下)と起立時低血圧の有無によって、積極的降圧群における心血管疾患発症または総死亡の抑制効果に違いがあるかどうかを検討したメタ解析である。その結果、起立性低血圧や起立時低血圧の有無では、積極的な降圧治療による心血管疾患の発症または総死亡の抑制効果に統計学的有意差は認められなかった。しかし、起立性低血圧を認める患者における積極的な降圧治療は、有意に心血管疾患発症を抑制していたが、総死亡抑制に関しては統計学的有意差が認められなかった。同様に、起立時低血圧を有する患者における積極的降圧治療においても、心血管疾患発症や総死亡低下効果に統計学的有意差は認められなかった。 本研究の解釈には注意が必要である。起立性血圧低下(変動)と起立時に血圧(レベル)が低いことは臨床的には少し異なるものである。起立時に血圧が低いこと自体は、座位においても血圧レベルが低いことの影響を大きく強く受けており、血圧の変動性よりはレベルの問題が大きいと思われる。さらに、起立性低血圧(変動)は、座位→立位の血圧変化では十分に評価をすることは困難である。起立性低血圧は、頭部と心臓の位置関係が変化する仰臥位から立位への変化で診断されるべきであり、座位から立位での血圧変化は下肢運動機能低下やフレイルによる影響を受けやすい。大規模臨床試験では、ヘッドアップティルト試験を全員に行うことが困難なため簡易的に座位→起立での血圧で測定しているが、臨床的に問題となる血圧調整機能障害や自律神経機能低下を反映した起立性低血圧は、座位→立位への変換や起立時の血圧では評価することは困難である。 起立性血圧低下や起立時低血圧の有無にかかわらず、積極的な降圧は平均血圧レベルを低下させ、心血管疾患の発生を抑制するが、起立性低血圧患者においては、生活の質が低下し、転倒骨折リスクが増加することのほうが、イベント抑制よりも問題となることも多い。しかし、このことに関しては本研究においてはまったく評価されていない。起立性低血圧の原因となる自律神経機能低下は、臨床前段階の認知症やパーキンソン病などを併存していることが多く、感染症、老衰、低栄養などによる死亡も多い。こういった患者の多くは大規模な無作為割り付け研究には参加困難であり、積極的降圧治療によっても総死亡の減少効果は少ない。 実臨床においては、起立性低血圧を有する患者の降圧治療は、積極的降圧による心血管疾患発症抑制と、生活の質を維持することのバランスを考えながら行う必要がある。降圧治療をする意義や目的を明確にしながら、降圧目標値を設定していく必要がある。

7513.

サヴァン症候群の「天才的能力」はギフテッドなのか?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第244回

サヴァン症候群の「天才的能力」はギフテッドなのか?photoACより使用サヴァン症候群については医師であればご存じの人が多いと思いますが、ある能力が異常に亢進する症候群です。一瞬見ただけで景色を写真記憶してそれを絵画にして描き出す能力、年月日から曜日を即座に言える能力、耳にした音楽をすべて再現できる能力…。見方によっては、才能を授けられた「ギフテッド」のように思われるかもしれません。Kawamura M, et al.Savant Syndrome and an "Oshikuramanju Hypothesis".Brain Nerve. 2020 Mar;72(3):193-201.この論文はサヴァン症候群の「おしくらまんじゅう仮説」を記したもので、なるほどと考えさせられた総説です。サヴァン症候群の根底にあるのは、特定の脳の機能低下ですが、別の機能が亢進するという状態になります。これが天才的な能力として目の当たりにされるわけです。脳の中では、それらの機能があたかも「おしくらまんじゅう」のようにひしめき合っていて、ある機能が失なわれたときにほかの機能がせり出してくるのではないか、ということです。この機序は獲得性サヴァン症候群においての見解です。反面、生まれながらにしてサヴァン症候群の場合、自閉スペクトラム症のように、器質的な原因があるケースが多いです。私もサヴァン症候群と思われる人とその家族にインタビューをした経験がありますが、コミュニケーションに少し苦労されている人が多かった印象です。国内の特別支援学校での調査によれば、ほとんどのサヴァン症候群児童は男性であり、これは自閉症児が男性に多いことに関係していると推察されています1)。サヴァン症候群の名が知られるようになったのは、映画「レインマン」(1988年)によるところが大きいです。自閉スペクトラム症の兄をダスティン・ホフマンが、その弟をトム・クルーズが演じています。また、「グッド・ドクター」という韓国ドラマの主人公の医師もサヴァン症候群として描かれていますね。日本でも山崎 賢人さんが主演でリメイクされました。1)有路 憲一, 他. サヴァン症候群の実態調査とその実践的価値. 信州大学総合人間科学研究. 2017;11:195-217.

7514.

第184回 治療効果で医師や患者を裏切った!?沢井製薬のカプセル不正問題

10月23日、国内ジェネリック医薬品(GE)企業最大手の沢井製薬(以下、沢井)が突如、記者会見を開いた。記者会見の内容は9月に経済誌「ZAITEN」が報じていた同社の品質検査不正に関するもの。この日、私は自分の事務所で仕事をしていたが、14時46分、ある大手メディアの記者から「沢井が15時から大阪本社で会見する」との一報を受け取った。後に調べると、記者クラブ加盟各社には13時過ぎに会見案内が届いていたらしい。この辺は記者クラブに所属していない私の最大の弱点である。大手メディア記者に「オンライン対応ある?」と尋ねると、「ある」との返答。間もなくこの記者からオンライン参加のZoom URLが送られてきた。この時すでに14時55分。何とか間に合った。さてその後の会見は約2時間にも及んだが、私個人はすっきりしなかったというのが率直な印象だ。沢井側の検査不正概要は以下のとおりである。沢井の検査不正の全容まず、問題となったのは消化器疾患治療薬のテプレノン(有効期間3年)の有効期間中に、製剤として物理的・化学的性質が適正に保持されているかを評価するための長期安定性試験である。不正の中身は1~4年経過したカプセル入りテプレノンが規格通りに溶出するかを確認する試験(溶出試験)を、わざわざ新しいカプセルに詰め替えて行い、合格としていたのである。経年変化の確認試験では、理由の如何を問わず悪質と言わざるを得ない。同社が社内で不正を認識後に設置した弁護士などで構成された特別調査委員会の調査報告書が会見に合わせて公表されたが、それによると2010年秋には、有効期限延長の是非を探るため4年を経過したテプレノンで試験を行い、溶出不十分なサンプルを確認。原因究明のため新規カプセルに詰め替えた試験では規格に適合することがわかった。最終的にこの原因は成分と接触したカプセルの内側に膜が形成される経年変化と突き止められた。この結果は翌2011年1月に本社に報告され、有効期限の3年以内でも同様のことが起こりうる危険性を指摘する内容のメールも送信されたが、本社側の何らかの対応、九州工場側によるGMP省令(医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準に関する省令)に基づく逸脱管理などを行った形跡はないという。そして遡ること2013年には、3年を経過したテプレノンの試験でも同様の溶出規格外が発生。その結果報告に対し、当時の工場長はカプセルの影響を確認するよう指示。2010年と同様に新規カプセルに詰め替えて試験を行うと規格適合になった。この時も特段逸脱管理が行われず、原因究明のための試験方法を、試験責任者とその上司は「詰め替えで適合するならば逸脱として扱わない」と“誤認”。そのまま、この試験方法が口頭伝承され、2014年、2017年にも同様の試験で規格外の結果が続き、口頭伝承の試験方法による合格結果で良しとしていたという。結局、2023年4月、(たまたま?)口頭伝承が行われていなかった着任半年の試験担当者が3年次、4年次の長期安定性試験を行った結果、溶出率0%となるサンプルも複数存在することが確認されて上部に報告。ここでようやく別の試験担当者の供述から不正が行われていたことが発覚した。ちなみに報告書を見ると、2013年の3年次安定性試験については、実際には37ヵ月、すなわち厳密な意味での有効期限を1ヵ月過ぎた製剤だったため、「カプセルを詰め替えて試験を行い、逸脱としては取り扱わないことが正当化されるものと理解していたこともうかがえる」と記載されている。ちなみに2017年の3 年次の溶出試験での不適合もその時点で44 ヵ月経過した使用期限外のロットであったことから、重大な事態とは思わなかったらしい。現場の“誤認”で上層部の関与なし?正直、会見の進行中、パラパラ報告書をめくって拾い読みしていた段階でも「あり得ない」と思っていたが、会見終了後に熟読すればするほど余計意味がわからない。そもそも試験担当者やその上司はGMP省令をなんと心得ているのだろうか?ちなみにこの長期安定性試験は九州工場品質管理課で行われていたが、報告書によると、本社側、九州工場の責任役員、工場長、品質管理課の管理職であるマネージャー・アシスタントマネージャーからは不正な試験実施を認識していた、あるいは指示していた事実や供述は確認できず、品質管理課の非管理職であるリーダー・チーフは不正試験を認識、指示していたこと、またその下の試験担当者4人も不正を認識していたことが認められたという。また、実際の試験担当者は「上司からの指示に反してまで実施を止める必要はないとの認識を有しており、遵法意識よりも上司からの指示を優先していたものと考えられる」と記述されている。結果、管理職層は誰もこの不正の認識・指示の証拠がなく、あくまでリーダー・チーフによる誤認に基づく不正な試験が続いてきたとの判断で、報告書は「上層部が関与して組織的に行われた行為であったとまでは認められない」と記述している。これを読んで沢井の外部の人はどう思うだろうか? 何人かの人間に聞いてみたが、得られた感想はほぼ以下の1点に集約されてしまう。「現場の“誤認”という点から組織的な関与はない、は無理筋なストーリー過ぎないか」まあ、事実がどうであれ、そう思われても仕方がない。実際、報告書には以下のような記述もある。「通常であれば、カプセル剤の内容物を新しいカプセルに詰め替えた上で溶出試験を実施するという試験の意義自体を無に帰する作業が、明確な指示がない中で工場長以下の複数の上司らの総意による指示であると認識することは考えにくい。しかし、九州工場では、試験担当者にとっても、チーフやリーダーにとっても、上司らが本件不適切試験を指示することが不自然であるとは捉えられなかった。そのため、上司らが本件不適切試験を指示するなど何かの間違いではないかといった疑問が生じることもなく、指示の有無や経緯を上司らに確認しようという発想にも至っていなかった」うーん、と唸るほかない。ちなみにやや細かいことだが、報告書を読んでいて私が気になったことがある。2017年に行われた3年次溶出試験に関するものだ。これは前述のように当初試験では溶出不適合になり、口頭伝承に沿ってカプセルの詰め替えが行われて溶出適合となり、後者の結果が織り込まれた長期安定性試験報告書が上部に提出されている。しかし、今回の調査の結果、試験担当者らが使用する共有PCに、報告書には添付されていなかった規格不適合の溶出試験結果の計算シートが残されており、しかもそれを見ると試行錯誤しながら試験を繰り返していた形跡が認められた。しかし、この未報告計算シートの存在について、試験担当者は「用途や試験を行った理由については記憶がない」のだという。確かに6年前のことを詳細に記憶している人は少ないだろう。とはいえ、この方には申し訳ないが、まるで戦後最大の疑獄事件であるロッキード事件の証人喚問で連発された「記憶にございません」を想起してしまう。また、これまで繰り返し書いてきたようにGE企業の不正は、2020年の小林化工事件を発端に複数の企業で発覚している。これは業界団体の日本ジェネリック製薬協会から発出された2021 年3 月25 日付「ジェネリック医薬品の信頼性確保に関する対応について」を受けた各社の一斉点検で一部が発覚している。当然ながら沢井の九州工場でも同年5 月に点検が行われたが、(1)承認書の記載(2)製品標準書の記載(3)指図書・記録書の記載の確認による齟齬の有無チェックに留まり、試験担当者への聞き取りは実施していなかったため当時は発覚しなかったという。さてこの会見、当然ながら参加した身として質問をしないわけにはいかない。一応、1回につき2問までと広報担当者からの説明はあったが、同時に2回以降の挙手も可能ということだったので、オンラインから質問をさせていただいた。結果、2回指名を受けた。どうやら指名NGリスト入りしていないらしい(笑)。以下、その内容の一問一答を要約してお伝えしたい。回答者はいずれも現社長の木村 元彦氏である(カッコ内は私による補足)。2021年の全社点検時に品質管理課のリーダーは、報告すべき不正とは認識しなかったのか?チーフ・リーダー層は過去の試験結果で規格外が出る原因分析のためにカプセル詰め替えを実施したが、その結果の処理に不手際があり、誤った認識でその後も(不正な)試験をし続けてよいという認識で続けていた。試験担当者からこれでよいのかと質問されても、そういう(誤った)認識に立った説明をしていた。長期安定性試験の性格を考えた際、経年したカプセルで行うのが常識で、それを変えて試験を行うこと自体がGMPなどに対する著しい理解不足に思える。まさしくおっしゃる通り。私もこの話を聞いたときはGMP教育の徹底がまだなされていないと強く感じた。生産本部(木村社長の前任は同本部長)を中心にもう一度社内資料だけではなくて社外の良質なeラーニングのシステムも導入してGMP教育の再徹底をしていきたい。2017年の未報告計算シートの存在がありながら、試験担当者は記憶がないと証言している。常識的に考えて、記憶がないとの口実で隠蔽していると受け止められても仕方ない。その辺りの記憶がないとの証言で、今おっしゃった不適切なことをやっていた確証はなく、その点の判断はなかなか難しいのではないかと考えている。管理職は認識していなかったとの判断は、事実上、管理監督をしていなかったと言っているようなもの。その点は、まさしくそのように私も理解しており、再発防止策の中にも書いた、現場・現物・現実の三現主義の徹底をしっかり管理職が行うことが大事だと認識している。溶出不十分はいわゆる有害事象・副作用にはつながらない反面、報告書内で溶出率0%のサンプルもあった。結果的に処方した医師や処方された患者が期待した治療効果を得られなかった可能性もある。私も非常に気にしているが、残っている参考品(通常の室温管理品。長期安定性試験品はこれより高温・多湿で管理されている)をできる限り多く調べ、それらは規格適合を確認している。国内では場所により室温が違うところもあるので、安全性を重視し、自主回収をした。私見だが、これ以外の記者の質疑応答も腑に落ちないと感じることは多かった。もっともこの記者会見はどこぞの芸能事務所とは違い、質問の挙手が尽きるまで行われたことは、評価したい。

7515.

「糖尿病の名前の由来」に興味を持った患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第41回

■外来NGワード「そんなことは自分で調べなさい」(患者さんの質問に真摯に答えない)「尿に糖がでる病気だから、『糖尿病』なんです!」(誤解を招く説明)■解説国立国語研究所の「病院の言葉」をわかりやすくする提案の中で、「『糖尿病』という病名の認知率は高いが、その字面から「糖が尿にでる病気」として誤解されることが多い」と指摘しています。また、「糖」を「砂糖」のことだと単純に考え、「甘いものの摂り過ぎで起こる病気」と勘違いしている人も半数近くいたそうです。さて、この「糖尿病」という名前の病気、いつ頃から名付けられたのでしょう。紀元前1500年のエジプトのパピルスに「尿があまりにもたくさんでる病気」との記載があります。2世紀頃のカッパドキアのアイタイウスが「肉や手足が尿中に溶けてしまう病気で患者は一時も尿を作ることを止めず、尿は水道の蛇口が開いたように絶え間なく流れ出す」と記載しており、ギリシャ語のサイフォン(高い所から低い所へと水が流れる)を意味する“Diabetes”がこの病気の名前として用いられるようになってきました。その後、17世紀に入ると英国人医師のトーマス・ウイルスが糖尿病患者の尿が蜂蜜のように甘いことに気付き、“Mellitus”(ラテン語の「蜂蜜」)と名付け、“Diabetes Mellitus”となりました。これらの用語が日本に伝わり、「蜜尿とう」、「蜜尿病」、「糖尿病」(のちに蜜が糖であることが判明したため)などさまざまな病名で呼ばれていましたが、1907年の第4回 日本内科学会で「糖尿病」という病名に統一され、今日に至っています。ちなみに、下垂体後葉の病気で多尿を呈する「尿崩症」は“Diabetes Insipidus”と言い、病名の“Insipidus”とは「無味」の意味で尿が甘くないことを意味しています。■患者さんとの会話でロールプレイ患者コロナのワクチン接種の際に病名を記載するのに、私の病名は「糖尿病」「高血圧」「高脂血症」でいいですか?医師はい。「糖尿病」、「高血圧」、「高脂血症」あるいは「脂質異常症」でいいですよ。患者ありがとうございます。けど、糖尿病ってあまり印象の良くない名前ですね。医師確かに。「糖が尿にでる病気」と誤解している人も多いですよね。患者そうじゃないんですか?医師正しくは、血液中の糖、血糖値が高くなる病気です。その結果、尿に糖がでるわけで、高くなくても尿に糖がでる人もいます。患者へぇ~、そうなんですか。じゃあ、どうして「糖尿病」って名前になったんですか?「高血糖症」でもよさそうなのに。医師確かに。けれど、糖尿病という名前にしようとした頃、つまり100年以上も前は血糖を測定するのは今ほど簡単じゃなかったからですね。患者なるほど。それで「尿」の名前が付いているんですね。医師そうですね。参考となる症状も多尿でしたし、トイレが水洗でなく汲み取り式だった時代には汲み取り業者が甘い臭いから「この家には糖尿病の人がいる」と言っていたという話もありましたからね。患者へぇ~。尿でそんなことがわかるんですね。医師そうなんです。他にも尿でわかることがありますよ!患者それは何ですか? 是非、教えてください(興味深々)■医師へのお勧めの言葉「昔は尿に糖がでるということで『糖尿病』という名前が使われていましたが、正しくは血液中の糖分、血糖値が上がる病気ですね」 1)Lakhtakia R. Sultan Qaboos Univ Med J. 2013;13:368-370.

7516.

11月3日 難聴ケアの日【今日は何の日?】

【11月3日 難聴ケアの日】〔由来〕「いい(11)みみ(3)」(いい耳)と読む語呂合わせと、難聴ケアを文化にしたいという思いも込め「文化の日」の今日、補聴器を中心とした聴覚関連機器の販売などを手がける株式会社岡野電気(埼玉県・大宮市)が制定。難聴が原因で起きるさまざまな障害の重大性を知る機会を作ること、難聴予備群の方に正確な情報を提供すること、そして難聴の予防、改善するきっかけの日とすることが目的。関連コンテンツ難聴と認知症【外来で役立つ!認知症Topics】コロナ禍のコミュニケーション【コロナ時代の認知症診療】耳鳴りがするときの症状チェック【患者説明用スライド】老化に伴う難聴を脳のコレステロール補強で防ぎうる高齢者における難聴とうつ病との関係~メタ解析

7517.

制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版

8年ぶりの改訂、Mindsに準拠した最新指針がん薬物療法により発現する悪心・嘔吐を適切に評価し抑制することは、がん患者のQOL改善と治療完遂のための重要な課題です。8年ぶりの全面改訂となる今版は、Minds2017に準拠し作成しました。各章の総論・Questionを充実させ、非薬物療法による制吐療法、患者サポート、医療経済などについても新たにQuestionや解説を追加し、制吐療法における、患者と医療従事者の意思決定支援に必要な情報提供を目指しました。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版定価3,080円(税込)判型B5判頁数208頁(図数:44枚)発行2023年10月編集日本治療学会電子版でご購入の場合はこちら

7518.

過去30年間における世界の頭痛有病率~世界疾病負荷研究

 近年、頭痛は世界的な健康課題として大きく注目されている。この懸念は、とくに低~中所得国で顕著であり、青少年や若年成人における有病率の増加に現れている。このような頭痛の急増により、頭痛患者のQOLは常に低いものとなっている。しかし、世界的な影響にもかかわらず、若年層を対象に頭痛の影響を調査した包括的な研究は、いまだ十分ではない。中国・上海交通大学のXin-Yu Li氏らは1990~2019年の30年間にわたり、15~39歳における頭痛の世界的な有病率を定量化するため、本研究を実施した。結果を踏まえて著者らは、片頭痛と緊張性頭痛(TTH)は世界の健康において大きな課題であるとし、その影響の強さは国によって違いがあり、女性、30~39歳、社会人口統計学的指数(SDI)が高い集団においては、とくに影響が大きいと指摘している。The Journal of Headache and Pain誌2023年9月18日号の報告。 研究は、1990~2019年の30年間にかけて実施された。204の異なる国と地域を対象に、とくに片頭痛とTTHの影響を評価した。包括的な評価では、年齢、性別、年、地域性、SDIなどのさまざまな人口統計学的要因と、頭痛の罹患率、有病率、障害調整生存年(DALY)との関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。・2019年の世界における片頭痛の推定患者数は5億8,176万1,847.2例(95%不確定区間[UI]:4億8,830万9998.1~6億9,629万1,713.7)であり、1990年から16%の増加が認められた。・2019年のTTHの推定患者数は、9億6,480万8567.1例(同:8億958万2,531.8~11億5,523万5,337.2)であり、1990年から37%の増加が認められた。・片頭痛の有病率は、南アジアで最も高く、1億5,449万169.8例(同:1億3,029万6,054.6~1億8,246万4,065.6)であった。・高SDI地域では、1990年(人口10万人当たり2万2,429例)と2019年(人口10万人当たり2万2,606例)のいずれにおいても、最も顕著な片頭痛有病率が示された。・SDI分類のうち、中SDI地域は、1990年(2億1,013万6,691.6例)と2019年(2億8,757万7,250例)のいずれにおいても、TTH患者数が最も高かった。・過去30年間で片頭痛患者数が最も顕著に増加したのは、東アジアであった。・全体として、片頭痛およびTTHの疾患負荷とSDIとの間に、正の相関が認められた。 著者らは「片頭痛とTTHのマネジメントを現代医療のパラダイムに組み込むことは不可欠であり、このような戦略的統合は、頭痛に関連するリスク因子や治療介入の重要性について一般集団が認識を深めることに寄与する可能性がある」としている。

7519.

急性虚血性脳梗塞に対する早期の降圧治療、発症8日目からの降圧治療開始との比較で90日後の死亡や神経学的後遺症に有意差なし(解説:石川讓治氏)

 血栓溶解療法を行わない発症後24~48時間の急性虚血性脳梗塞患者における収縮期血圧140~220mmHgに対して、7日以内に140/90mmHg未満を目指して早期に降圧治療を行った群と、降圧薬を7日間中止後8日目以降に140/90mmHg未満を目指して遅れて降圧治療を開始した群の間で、90日後の死亡や神経学的後遺症のリスクを比較した研究である。 早期降圧治療群において7日後の血圧が有意に低かったが、14日後の血圧は両群で有意差は認められず、その結果、90日後の死亡や神経学的後遺症のリスクには有意差はなく、むしろ早期降圧治療群において1.18倍のリスク増加が認められる傾向があった(p=0.08)。 本研究においてはどのような降圧薬が使用されたかというデータは示されていない。また、1週間後に降圧治療を開始した群においても、収縮期血圧が220mmHg以上になった場合は一時的な降圧薬の使用も認められていたことに注意が必要である。14日目の血圧レベルは両群で同じレベルにコントロールされており、降圧治療は決して遅れた(delayed)群ではないようにも思われる。本研究の結果からは、血栓溶解療法を行わない虚血性脳梗塞患者においては、急性期1週間以内の一過性(反応性)の血圧上昇に対しては、過剰に降圧することなく、2週間程度かけてゆっくり降圧していくことの重要性が示唆された。

検索結果 合計:35667件 表示位置:7501 - 7520