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第206回  ALS女性患者嘱託殺人裁判が改めて問う、積極的安楽死が日本で認められるための条件

こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。野球シーズンが始まりました。米国MLBでは、ロサンゼルス・ドジャースの大谷 翔平選手の元通訳、水谷 一平氏の違法賭博問題はまだ収束の兆しが見えず、大谷選手にも疑惑の目が向けられているようです。セントルイス・カージナルスとの開幕4連戦も打率2割6分9厘、ホームランなしと湿った成績で、賭博問題が少なからず影響している気もしました。私はといえば、金曜日の神宮球場のNPB開幕戦、東京ヤクルトスワローズ対中日ドラゴンズを観戦に行ってきました。昨シーズン、“令和の米騒動”で話題となったドラゴンズの視察です。巨人から移籍した中田翔選手のホームランは見ごたえがあったのですが、若手中心の野手陣の守備がひどく(とくにクリスチャン・ロドリゲス内野手)、今年もAクラス入りは厳しいのではと感じた次第です。さて、今回は、判決から少々時間が経ってしまいましたが、ALSの女性患者に対する嘱託殺人罪や別の殺人罪に問われた医師、大久保 愉一被告(45)の裁判員裁判の判決公判が3月5日にありましたので、判決文の内容を紹介しつつ、この事件について改めて書いてみたいと思います。判決で川上 宏裁判長は、嘱託殺人について、「被告人は、医師でありながら、被害者とのSNS上での短いやり取りのみでその嘱託に応じ、診察や意思確認もろくにできないわずか15分程度の面会で軽々しく殺害に及んでいる。130万円の報酬の受領を持って行動に移していることも併せて考慮すれば、被告人が、真に被害者を思って犯行に及んだとは考え難く、利益を求めた犯行であったといわざるを得ない。(中略)被告人の生命軽視の姿勢は顕著であり、強い避難に値する」として、懲役18年(求刑懲役23年)を言い渡しました。大久保被告は共犯者である山本 直樹被告(46)とその母と共謀し山本被告の父親を殺害したとする殺人罪にも問われていましたが、この判決で共犯が認められました。なお、大久保被告の弁護側は3月18日、懲役18年とした京都地裁判決を不服として控訴しました。「死を望む女性患者の自己決定権を保障する憲法13条に違反する」と弁護側は主張ALSの女性患者の嘱託殺人については、本連載でも何度か取り上げてきました。事件発覚当初の2020年8月には、「第17回 安楽死? 京都ALS患者嘱託殺人事件をどう考えるか(前編)」、「第18回 同(後編)」で、日本における積極的安楽死の罪の根拠となっている1991年に起きた「東海大学安楽死事件」と 1998年に起きた「川崎協同病院事件」について振り返り、ある有識者の「(この事件は)安楽死議論の対象にもならない」というコメントを紹介しつつ、「果たして本当にそうでしょうか。少なくとも、医療関係者も目を逸らしてきた、積極的安楽死についての議論を再開するきっかけにはなると思うのですが、どうでしょう」と問い掛けました。そして裁判が始まった直後の今年1月には、「第195回 ALS患者嘱託殺人、主犯とされる医師の裁判員裁判始まる、被告は『願いをかなえるためにやった』と証言」において、「嘱託殺人罪の適用を『死を望む女性患者の自己決定権を保障する憲法13条に違反する』とする弁護側の主張が、どこまで通るのかが裁判のポイントになりそうです」と書きました。13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」は「個人が生存していることが前提」大久保被告が憲法13条に違反することを根拠に無罪を訴えていたことに対し、川上裁判長は、同条に書かれている生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は、「個人が生存していることが前提であると解釈されることなどからすれば、たとえ恐怖や苦痛に直面している状況であったとしても、憲法13条から直ちに『自らの死を援助してくれる医療従事者がいる場合に、その医療従事者が刑事罰から免れるように求める権利』などが導き出されるものではない。したがって、憲法13条違反を直接的な理由・根拠として本件に嘱託殺人罪を適用しないとの結論を採用することはできない」と断じました。患者の症状の判断や、本人や家族等への説明や意思確認など詳細な手順を明示今回の事件、起こった当初は「安楽死議論の対象にもならない」との批判もありましたが、京都地裁判決では、嘱託殺人罪を問わない要件を細かく明示しており、その点では議論が半歩くらいは進んだ、と言えるでしょう。判決では、「死期が間近に迫り、耐え難い肉体的苦痛に苦しんでいる患者や、本件の被害者のように、現代の医学では病状の進行を止めることができず、迫り来る死や、自立的な意思伝達手段の喪失のおそれに直面して日々恐怖に怯えたり、絶望したりしつつも、身体的な自由がきかないことで自殺することもままならないような患者」の存在について言及、そうした患者からの嘱託についても例外なく嘱託殺人罪を当てはめてしまえば、患者らの嘱託に応えようとする医療従事者は現れず、患者らに耐え難い苦痛や恐怖・絶望を強いることになり酷であるとして、「可罰的違法性がないとして嘱託殺人罪に問うことが相当ではないと評価される事案の存在はあり得る」としました。しかし、そのためには、少なくとも、「(1)上記のような状況下にある患者らに対し、その病状による苦痛等の除去・緩和のために他に取るべき手段がなく、かつ、患者が自らの置かれた状況を正しく認識した上で、自らの命を絶つことを真摯に希望するような場合に、(2)医療従事者が、1)医学的に行うべき治療や検査等を尽くし、他の医師等の意見等も徴して、患者の症状をそれまでの経過等も踏まえて診察し、死期が迫るなど現在の医学では改善不可能な症状があること、それによる苦痛等の除去・緩和のために他に取るべき手段がないことなどを慎重に判断し、2)その診察・判断を基に、患者に対して、患者の現在の症状や予後を含めた今後の見込み、取り得る選択肢の有無等について可能な限り説明を尽くし、それらについての正しい認識に基づいた患者の意思を確認するほか、患者の意思をよく知る近親者や関係者等の意見も参考に、患者の意思の真摯性及びその変更の可能性の有無を慎重に見極めた上で、3)患者自身の依頼を受けて、苦痛の少ない医学的に相当な方法を用い、4)事後検証可能なように、それら一連の過程を記録化することなどが最低限必要であるというべきである」――としました。1991年「東海大学安楽死事件」で横浜地裁判決が示した積極的安楽死が許容されるための4要件「安楽死」については、回復が見込めない患者の死期を医師が薬剤を使用するなどして早める「積極的安楽死」と、終末期の患者の人工呼吸器や人工栄養などを中止する「消極的安楽死」の2つの概念があります。前者の「積極的安楽死」は、現在の日本においては今回の裁判のように、嘱託殺人罪や殺人罪などに問われることになります。積極的安楽死の罪の根拠となっているのは、1991年に起きた「東海大学安楽死事件」と 1998年に起きた「川崎協同病院事件」です。東海大学安楽死事件では、家族の要望を受けて末期がんの患者に塩化カリウムを投与し、患者を死に至らしめた医師が殺人罪に問われました。1995年、横浜地裁は、被告人を有罪(懲役2年執行猶予2年)とする判決を下しました(控訴せず確定)。患者自身による死を望む意思表示がなかったことから、罪名は嘱託殺人罪ではなく、殺人罪になりました。この判決では、医師による積極的安楽死が例外的に許容されるための要件として、1)患者が耐えがたい激しい肉体的苦痛に苦しんでいること2)患者は死が避けられず、その死期が迫っていること3)患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし他に代替手段がないこと4)生命の短縮を承諾する患者の意思表示が明示されていることという4つの要件が提示されました。フランスは「死への積極的援助」を導入する法案を発表今回の京都地裁判決は、日本において積極的安楽死が認められる要件をさらに詳細に定めたとも言えるでしょう。「東海大学安楽死事件」の横浜地裁判決で示された積極的安楽死が例外的に認められる4要件に加えて、医療従事者が具体的にどのような手順を踏むべきかをより具体的に示したからです。もっとも、患者の症状の判断や、本人や家族等への説明や意思確認など、相当厳格かつ慎重な手順を踏まなければならず、実際の臨床の現場で実行に移されるかどうかは未知数です。ALS女性患者嘱託殺人裁判の判決が出た1週間後の3月12日、共同通信は「フランスのマクロン大統領は3月11日までに、終末期患者に厳格な条件の下で致死量の薬の投与を認める『死への積極的援助』を導入する法案を発表した」と報じました。自身で死を決断できる能力があり、短期・中期的に死の恐れがある重病に冒され、苦痛を和らげることができない成人に限って安楽死を認めるという法案です。5月から議会で審議するとしています。報道によれば、フランスでは2016年に終末期患者の意識を低下させる鎮静薬投与を医師に認める法律が成立したものの、オランダなどで認められた患者の意思により医師が薬物などで死に導く安楽死や、スイスで認められているような医師が処方した薬物を患者が自ら使用する自殺ほう助はまだ禁じられています。今回の「死への積極的援助」を導入する法案はそうした現状を打破するためのものと言えそうです。オランダ、スイス、そしてフランスなどの安楽死容認に向けての動きが、今後、日本における積極的安楽死の議論にどう影響してくるかが注目されます。

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デュルバルマブ+化学療法±オラパリブの進行子宮体がん第III相試験、副次評価項目も改善(DUO-E)/SGO2024

 デュルバルマブ+化学療法による1次治療とデュルバルマブ+オラパリブの維持療法の組み合わせは、進行子宮体がんに対する全生存期間(OS)の延長など有効性を示した。 ベルギー・Cliniques大学のJean-Francois Baurain氏が米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で発表した進行・再発子宮体がんに対する上記レジメンの第III相試験DUO-Eの副次評価項目の結果である。・対象:未治療の進行StageIII/IV(FIGO2009)または再発子宮体がん・試験群1: 化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル:CP)+デュルバルマブ→デュルバルマブ(CP+D群)・試験群2:CP+デュルバルマブ→デュルバルマブ+オラパリブ(CP+D+O群)・対照群:CP→プラセボ(CP群)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]OS、最初の後治療までの時間(TFST)、PFS2、2回目の後治療までの時間(TSST)、安全性 主な結果は以下のとおり。[ITT集団]・OS中央値はCP群25.9ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.77、95%信頼区間[CI]:0.56〜1.07、p=0.102)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.59、95%CI:0.42〜0.83、p=0.003)とCP+D+O群で有意に改善した。・TFST中央値はCP群11.1ヵ月に対し、CP+D群では14.0ヵ月(対CP群HR:0.72、95%CI:0.57〜0.91)、CP+D+O群では21.4ヵ月(対CP群HR:0.50、95%CI:0.39〜0.64)であった。・PFS2中央値はCP群19.1ヵ月に対し、CP+D群では22.2ヵ月(対CP群HR:0.80、95%CI:0.59〜1.07)、CP+D+O群では未到達(対CP群HR:0.55、95%CI:0.40〜0.76)であったた。・TSST中央値はCP群23.9ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.77、95%CI:0.57〜1.05)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.57、95%CI:0.40〜0.78)であった。[dMMR集団]・OS中央値はCP群23.7ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.34、95%CI:0.13〜0.79)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:028、95%CI:0.10〜0.68)であった。・TFST中央値はCP群8.8ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.44、95%CI:0.23〜0.82)、CP+D+O群では未到達(対CP群HR:0.26、95%CI:0.12〜0.52)であった。・PFS2中央値はCP群15.2ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.32、95%CI:0.14〜0.68)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.19、95%CI:0.07〜0.46)であったた。・TSST中央値はCP群16.9ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.34、95%CI:0.15〜0.73)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.22、95%CI:0.08〜0.52)であった。[ミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団]・OS中央値はCP群25.9ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.91、95%CI:0.64〜1.30)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:069、95%CI:0.47〜1.00)であった。・TFST中央値はCP群11.7ヵ月に対し、CP+D群では12.9ヵ月(対CP群HR:0.80、95%CI:0.62〜1.03)、CP+D+O群では19.1ヵ月(対CP群HR:0.56、95%CI:0.43〜0.73)であった。・PFS2中央値はCP群19.5ヵ月に対し、CP+D群では20.4ヵ月(対CP群HR:0.97、95%CI:0.70〜1.33)、CP+D+O群では未到達(対CP群HR:0.68、95%CI:0.48〜0.95)であった。・TSST中央値はCP群25.1ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.93、95%CI:0.65〜1.29)、CP+D+O群でも未到達(対CP群HR:0.68、95%CI:0.47〜.0.97)であった。 Baurain氏は、この試験結果はCP+D群、CP+D+O群を進行子宮体がんに対する新たな治療選択肢として支持するものだとの見解を示した。

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ドライバー遺伝子陰性NSCLC、CGP検査で20%超にドライバー遺伝子異常を検出

 肺がんにおいては、診断時にマルチ遺伝子検査によってドライバー遺伝子が調べられることが一般的である。しかし、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者におけるドライバー遺伝子の種類は年々増加しており、長期生存例などでは十分に調べられていない可能性もある。遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング[CGP]検査)が2019年に保険適用となり実施され始めているが、診断時にドライバー遺伝子異常が陰性であった患者のCGP検査でのドライバー遺伝子異常の検出状況は明らかになっていない。そこで、診断時にドライバー遺伝子異常が陰性であった進行NSCLC患者におけるCGP検査の結果が解析され、24.5%にドライバー遺伝子異常が認められた。本研究結果は、京都府立医科大学の石田 真樹氏らによってCancer Science誌オンライン版2024年3月7日号で報告された。 本研究は、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)に登録されたデータを用いて、2019年8月~2022年3月にCGP検査を受けた進行NSCLC患者986例を対象として実施した。対象患者のCGP検査におけるドライバー遺伝子異常の頻度を調査した。また、診断時にドライバー遺伝子異常が陰性であった330例(EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF V600E遺伝子変異がすべて陰性であった患者)のCGP検査におけるドライバー遺伝子異常の頻度も調査した。 主な結果は以下のとおり。・CGP検査は765例(77.6%)が組織検体、221例(22.4%)が血液検体を用いて実施した。・CGP検査において986例中451例(45.7%)にドライバー遺伝子異常が認められた。主な遺伝子はEGFR遺伝子(16.5%)、KRAS遺伝子(14.5%)であった。・腺がんでは、CGP検査において764例中417例(54.6%)にドライバー遺伝子異常が認められた。・診断時にドライバー遺伝子異常が陰性であった患者では、CGP検査において330例中81例(24.5%)にドライバー遺伝子異常が認められた。そのうち20例(6.1%)にはEGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、BRAF V600E遺伝子変異が認められた。KRAS G12C遺伝子変異は23例(7.0%)、HER2遺伝子変異は20例(6.1%)、MET exon14スキッピングは14例(4.2%)、RET融合遺伝子は4例(1.2%)に認められた。 本研究結果について、著者らは「診断時にドライバー遺伝子異常が陰性であった進行NSCLC患者においてもCGP検査は有用であることが示された」とまとめた。

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イノツズマブ オゾガマイシン、小児CD22陽性急性リンパ性白血病に適応追加/ファイザー

 ファイザーは2024年3月26日、イノツズマブ オゾガマイシン(商品名:ベスポンサ)について、小児の再発又は難治性のCD22陽性急性リンパ性白血病(ALL)に対する国内における医薬品製造販売承認事項一部変更承認を取得した。今回の承認は、小児の再発・難治ALLを対象とした2つの医師主導治験、国内第I相試験(INO-Ped-ALL-1試験)および海外第I/II相試験(ITCC-059試験)の結果に基づいている。 小児ALLは小児期の造血器悪性疾患の中で最も高頻度にみられ、2〜5歳に発症することが多い。小児10万人当たり年間3〜4人が発症し、日本では年間約500人の小児が新規に診断されている。 INO-Ped-ALL-1試験およびITCC-059試験では、同剤の高い完全寛解率と微小残存病変(MRD)陰性率が認められ、寛解持続期間、造血幹細胞移植(HSCT)または CAR-T細胞療法への移行率、無イベント生存率(EFS)、全生存期間(OS)、非寛解または再発の累積発生率も良好な結果が得られた。また、両試験において本剤は、成人患者と同様に管理可能な安全性プロファイルを示した。

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ホモ接合体家族性高コレステロール血症治療に新たな兆し/ウルトラジェニクス

 Ultragenyx Japan(ウルトラジェニクスジャパン)は「エヴキーザ点滴静注液 345mg(一般名:エビナクマブ[遺伝子組換え]、以下エヴキーザ)」の日本における製造販売承認を取得したことを機に、「治療の選択肢が広がるホモ接合体家族性高コレステロール血症―病態、現状の課題及び今後の治療について―」と題したメディアセミナーを2024年3月12日に開催した。 本セミナーでは、初めに大阪医科薬科大学 循環器センター特務教授 斯波 真理子氏より「病態と新薬への期待」について語られた。ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)治療の課題 HoFHは、LDL-C値が370mg/dL以上あるいは小児期より皮膚および腱黄色腫が認められる指定難病であり、若年齢より動脈硬化性心血管疾患を引き起こすことが知られている。LDL-C値を下げるためには、LDL受容体の活性を上昇させることが有効とされ、スタチンやエゼチミブ、PCSK9阻害薬などが用いられている。しかし、HoFHではLDL受容体活性がないあるいはほとんどないため、こうした薬剤を投与しても効果が得られにくい。そのため、HoFHにおいてLDL-C値を低下させる有用な手段として、長い間LDLアフェレシスが用いられてきた。LDLアフェレシスの登場により動脈硬化の進行をある程度抑制できるようになったものの、効果が一時的であることや、体外循環血流量を確保できる年齢になるまでは実施できないという課題が残されていた。HoFHの治療実態 わが国におけるHoFHの実態を調査したデータベース研究では、目標LDL-C値に到達できているのは、一次予防(LDL-C値≦100mg/dL)で21.7%、二次予防(LDL-C値≦70mg/dL)で30.5%であったとされている。また、HoFH患者のうち70%が冠動脈疾患を、24%が心臓弁膜症を合併しているとされ1)、現行の治療法では動脈硬化性心血管疾患の予防が困難であることが示唆された。LDL-C値を低下させることで予後改善にもつながる可能性があることから、斯波氏はLDL-C値の厳格なコントロールの重要性を強調した。 また、HoFHは認知度が低く、診断に至っていないケースが多い。中年になって心筋梗塞を発症し、スタチンやエゼチミブ、PCSK9阻害薬を使用してもLDL-C値が下がらない症例に対して、遺伝子検査をしたらHoFHであったというケースは少なくない。斯波氏は、「HoFHはいかに若年期に診断できるかが重要である」と強く訴えた。 次いで、Ultragenyx Japanのメディカル・クリニカルオペレーション部門長 飛田 公理氏より「エビナクマブ(遺伝子組換え)について」と題し、エヴキーザの作用機序や臨床試験について語られた。エヴキーザの推定作用機序 エヴキーザは、ANGPTL3に特異的に結合して阻害する遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体である。ANGPTL3は肝臓で合成される血中タンパク質で、本剤によって阻害されると、脂質の代謝をコントロールしているリポタンパクリパーゼ(LPL)および血管内皮リパーゼ(EL)の活性が制御される。その結果、超低比重リポタンパク(VLDL)からLDL-Cへの移行を阻害し、LDL-C値を低下させると考えられている。エヴキーザの臨床試験成績 エヴキーザは、国際共同第III相試験(R1500-CL-1629試験)、国際共同第III相長期継続試験(R1500-CL-1719試験)、海外第Ib/III相小児試験(R1500-CL-17100試験)の成績を基に製造販売承認申請が行われた。 国際共同第III相試験(R1500-CL-1629試験)は、日本人10例を含む多施設共同、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、並行群間比較試験である。本試験は24週間の二重盲検投与期間と24週間の非盲検投与期間で構成されており、二重盲検投与期間には、患者をエヴキーザ15mg/kgまたはプラセボをそれぞれ4週に1回静脈内投与する群に2:1の割合で無作為化し、治験薬を24週間投与した。本試験の参加者が行っていた基礎治療としての脂質低下療法の内訳は、エヴキーザ群(43例)でスタチン41例(95.3%)、エゼチミブ33例(76.7%)、PCSK9阻害薬34例(79.1%)、ロミタピド11例(25.6%)、LDLアフェレシス14例(32.6%)、プラセボ群(22例)でスタチン20例(90.9%)、エゼチミブ16例(72.7%)、PCSK9阻害薬16例(72.7%)、ロミタピド3例(13.6%)、LDLアフェレシス8例(36.4%)であった。また、ベースラインの平均LDL-C値は、エヴキーザ群259.5±172.40mg/dL、プラセボ群246.5±153.71mg/dLであった。 主な結果は以下のとおり2)。・ベースラインから投与24週後のLDL-C値の変化率はエヴキーザ群で-47.1%であり、プラセボ群1.9%に対して優位であった。なお、LDL受容体の活性の程度によらず、LDL-C値の低下が認められた。・投与24週後にLDL-C値が50%以上低下した患者割合はエヴキーザ群で55.8%であり、プラセボ群4.5%に対する優越性が示された。・有害事象の発現率は、二重盲検投与期間にエヴキーザ群で29/44例(65.9%)、プラセボ群で17/21例(81.0%)、非盲検投与期間では、全体集団で47/64例(73.4%)であった。いずれの期間においても、有害事象により治験薬の投与中止に至った患者はおらず、死亡例は認められなかった。 なお、国際共同第III相長期継続試験(R1500-CL-1719試験)、海外第Ib/III相小児試験(R1500-CL-17100試験)は、現在も進行中である。

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抗IL-23自己抗体が日和見感染と関連/NEJM

 マイコバクテリア感染、細菌感染、真菌感染を有する患者では、抗インターロイキン-23中和抗体の存在が持続性の重症日和見感染と関連しており、その中和作用の強度が感染症の重症度と相関することが、米国国立アレルギー・感染症研究所のAristine Cheng氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年3月21・28日号に掲載された。日和見感染における抗インターロイキン-23の役割を検証 研究グループは、日和見感染において抗インターロイキン-23が役割を担っている可能性を検証する目的で検討を行った(米国国立アレルギー・感染症研究所などの助成を受けた)。 抗インターロイキン-12を有する患者コホート(多くが胸腺腫)において、インターロイキン-23に対する自己抗体(抗インターロイキン-23)のスクリーニングを行った。また、別の胸腺腫患者コホートと、胸腺腫も抗インターロイキン-12も持たないまれな感染を有する患者コホートで検査を実施した。胸腺腫の81%で感染と関連 抗インターロイキン-12を有し、重症のマイコバクテリア感染、細菌感染、真菌感染のいずれかに罹患している30例(発見コホート)のうち、15例(50%)はインターロイキン-23を中和する自己抗体も持っていた。この中和作用の強度は、これらの感染症の重症度と相関した。また、抗インターロイキン-12の中和活性だけでは、感染との関連はなかった。 胸腺腫患者91例の検証コホートでは、抗インターロイキン-23は74例(81%)で感染状態と関連していた。播種性/脳/肺感染の83%で検出 全体として、抗インターロイキン-23中和抗体は、胸腺腫患者116例のうち30例(26%)で検出され、播種性感染、脳感染、肺感染のいずれかの患者36例では30例(83%)で検出された。 また、抗インターロイキン-23は、重症細胞内感染を有する患者32例のうち6例(19%)に認め、Cladophialophora bantianaやMycobacterium avium complexなどによるまれな頭蓋内感染に罹患した患者16例のうち2例(12%)で発現していた。 著者は、「抗インターロイキン-23中和抗体の存在は、頭蓋内感染症の独立の、または付加的なリスク因子と考えられる」「抗インターロイキン-17の作用を上回る抗インターロイキン-23自己抗体のより包括的な役割は、炎症性大腸炎におけるインターロイキン-23と-17の遮断による多様な効果の説明に資する可能性がある」としている。

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トルカプ、フェソロデックスと併用でHR+進行乳がんに対し承認取得(CAPItello-291)/AZ

 アストラゼネカは2024年3月27日付のプレスリリースにて、トルカプ(一般名:カピバセルチブ)について、フェソロデックス(同:フルベストラント)との併用療法で「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」を効能または効果として、3月26日に厚生労働省より承認を取得したと発表した。 本承認は、昨年NEJM誌で発表された第III相CAPItello-291試験の結果に基づくものである。本試験では、PI3K/AKT経路の遺伝子変異を有する乳がん患者において、トルカプとフェソロデックスの併用療法が、フェソロデックス単剤療法と比較し、病勢進行または死亡のリスクを50%低下させることが示された(ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.38~0.65、p<0.001、無増悪生存期間(PFS)中央値:7.3ヵ月vs.3.1ヵ月)。 東京都立病院機構 がん・感染症センター 都立駒込病院 院長の戸井 雅和氏は、「このたびのトルカプとフェソロデックスの併用療法の承認によって、ホルモン受容体(HR)陽性進行乳がんの半数となるPIK3CA、AKT1またはPTENの変異を有する患者さんに待ち望まれていた新たな治療選択肢を提供できるようになり、日本におけるHR陽性進行乳がん治療が進展しました。これらの遺伝子変異の検索は、内分泌療法をベースとする治療の効果を拡大し病勢進行を遅らせる併用療法の恩恵を患者さんにもたらすことになり、臨床現場においてきわめて重要です」と述べている。<製品概要>販売名:トルカプ錠160mg、トルカプ錠200mg一般名:カピバセルチブ効能又は効果:内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳用法及び用量:フルベストラントとの併用において、通常、成人にはカピバセルチブとして1回400mgを1日2回、4日間連続して経口投与し、その後3日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。製造販売承認年月日:2024年3月26日

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85歳以上のアルツハイマー病患者の認知機能に関連する因子と脳画像の特徴

 85歳以上の超高齢者のアルツハイマー病における認知機能低下の根底にある病態生理学は、これまで明らかになっていない。総合東京病院 認知症疾患研究センターの羽生 春夫氏らは、超高齢者のアルツハイマー病における認知機能に関連する因子と脳画像の特徴を明らかにするため、本研究を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌2024年3月15日号の報告。 対象は、アルツハイマー病の可能性のある連続した外来患者456例(男性:145例、女性:311例、年齢範囲:51~95歳)。対象者は、74歳以下、75~84歳、85歳以上のサブグループに分類した。人口統計学的要因(教育レベル、初診時の罹病罹患、BMI、併存疾患、フレイル、余暇活動など)、画像検査の特徴(内側側頭葉の萎縮、白質病変、梗塞の重症度、脳低灌流の頻度など)の違いをサブグループ間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・85歳以上の群は、若年群と比較し、次の特徴が認められた。 ●罹病期間が長い ●教育レベルが低い ●フレイルがより重症 ●余暇活動が少ない ●認知機能障害の悪化 ●認知機能低下の進行が遅い傾向 ●内側側頭葉の萎縮がより大きい ●重度の白質高信号領域 ●重度の梗塞 ●脳低灌流の頻度が低い・脳画像のサブタイプに関しては、85歳以上の群は、若年群と比較し、大脳辺縁系優位サブタイプの患者が有意に多く、海馬温存サブタイプの患者が少なかった。 著者らは「85歳以上のアルツハイマー病患者は、より若年のアルツハイマー病患者と異なる特徴を示すことが明らかとなった。この結果は、アルツハイマー病の病態を理解し、臨床診断や適切なマネジメント方法を決定するうえで、有用であろう」としている。

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小林製薬のサプリ問題、日本腎臓学会がアンケート中間報告

 小林製薬が製造販売する『紅麹コレステヘルプ』摂取者の腎障害を含む健康被害の報告が相次いでいる―。これを受け、日本腎臓学会は3月29日より学会員を対象とした「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」アンケートを開始。中間報告として、3月31日19時時点で47例の報告が寄せられ、本アンケートでは死亡例はなかったことを明らかにした。 本学会理事長の南学 正臣氏(東京大学大学院医学系研究科 科長・医学部長)と副理事長の猪阪 善隆氏(大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授)は「健康被害と紅麹コレステヘルプとの因果関係については科学的な検証が必要と考えております。原因物質については、候補物質に関する報道がなされていますが、今後、厚生労働省が国立医薬品食品衛生研究所とともに網羅的探索かつ発生機構の解明を行うことになっています。紅麹コレステヘルプに関連した健康被害として、この中間報告でお示しした以外の病態を否定するものではありませんが、被疑薬を服用された場合、被疑薬の服用を中止するとともに、腎機能検査や尿蛋白に加えて、尿糖や血清カリウム値、尿酸値、リン値、HCO3-値の測定は重要と思われます。今回の報告は中間報告であり、暫定的なものであることをご理解の上、診療にお役立てください」としている。 報告された患者背景や臨床所見については、日本腎臓学会のホームページ内の『「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」アンケート調査(中間報告)』に詳細が示されている。 なお、本アンケートは問題となっているサプリメント摂取者の臨床的特徴の概要を調査し、一般診療に役立てることを目的に実施されており、日本腎臓学会の会員医師を対象に4月30日まで回答を受け付けている。

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091)白衣で守られない魔の三角ゾーン【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第91回 白衣で守られない魔の三角ゾーンゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆皆様、診察や処置の際には、何かしら医療ユニフォームを着用されていることと思います。かくいう私も、病院支給の(ちょっと大きい)白衣を着て、日々外来診療をしています。白衣の下も上下ユニフォームに着替える先生もいますが、私は面倒なので、下は私服のままです。そして、処置となると、浸出液やら膿やら、さまざまな飛散物がくることもあり、だいたい白衣を着ておけばOK。のはずなのですが…。実際に守られないのが、前身頃の合わさる、開きの部分です。胸元もそうですが、ここ最近、何回か私服のズボンに被曝しております。いちおうボタンは一番下まで閉じているのですが、脚を開くと、どうしても開きから内またや膝がのぞいてしまい、ノーガードな状態に。ズボンだけでも支給のユニフォームに着替えようか、迷うところです。両脚を閉じて、お上品に診察をすれば解決…!?しょうもない日常診療の小ネタでスミマセン!なお、胸元の三角ゾーンは、白衣の襟を立てることでガードすることに成功しております☆彡みた目は変ですが、粉瘤の処置などにはおススメ!?それでは、また次の連載で。

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医師の働き方改革に必須なのは財源の確保、米国の医療保険制度から考える(3)――人員確保には、人気の科に偏らないマッチングの仕組みも必要【臨床留学通信 from NY】第59回

第59回:医師の働き方改革に必須なのは財源の確保、米国の医療保険制度から考える(3)前々回、前回に引き続き、医師の働き方改革と財源確保について、米国の医療保険制度から考える第3回です。医師の働き方改革は重要です。長過ぎる労働時間は、現在の若手の負担になっているのは事実です。昔はそうだった、という時代ではありません。しかしながら結局は財源が変わらず、患者さんに対する診察時間などが変わらなければ、解決しようがなく名ばかりと言えるでしょう。当直があたかも働いていないかのように虚偽の申告をせざるを得ないという、本末転倒になりかねません。米国では保険制度側がカルテをチェックする財源に関しては、以前に比べて高齢者が増え、若手が減っている高齢化社会のため、高齢者の負担を変えるのはやむを得ないでしょう。また、前回述べたように、安定している患者さんの不必要な診察を減らすべきです。場合によっては、国民皆保険であるため国側がカルテを閲覧できるようにしてもいいのではないでしょうか。米国では、保険会社(政府の公的保険も含む)がカルテを照会してクレームを入れることもよくあるので、それを参考にしてもよいでしょう。また、日本の高額療養費の負担保証ですが、緊急疾患であり、救命に直結するものであればすべてカバーするのがいいと思います。しかしながら、ここでは個々に対しては言及しづらいのですが、高額な医療で緊急ではないものに関しては、やはり公的保険にある程度制限を設け、すべて高額医療費としてカバーするのではなく米国のようなプライベート保険がもっと普及してもいいかもしれません。公的保険のみでカバーするのは限界です。財源をしっかり確保し、とくに緊急疾患に対する医療費を上げて、そこに人的資源が割けるようにすべきです。財源確保は人員確保につながる私が循環器内科だからというわけではないのですが、緊急疾患、夜間が多い科の成り手を確保することは、国として命題です。病院で働く時間が長過ぎて、バイトもできず、給料は減るだけでは、成り手も減る一方です。やはり、ある程度同じ病院の中でも働く時間や夜間などの緊急が多い人にはより給料を多く払う仕組みや、オンコールも医師を縛り付けているので、相応の対価も必要です。最終的には病院の集約化も必須となってくるかと思いますが、そこは簡単ではないでしょう。名ばかりの専門医制度ではなく、米国のように、人気の科では専門医資格がないと仕事ができないようにし、かつその科への受け入れ人数を制限し、医療が各地域に分配されるようにしないと、医師数が多くてもうまく回りません。米国では、日本のように研修一般をマッチングにするのではなく、専門的な内科や外科レジデント、循環器フェロー、心臓外科フェローになれる人数が決まっていて、かつ病院当たりのフェローの数などに制限を設けて、マッチングの仕組みで採用しています。それらを経ないと専門医を取得できず、基本的に専門医資格がないとその科で働けません。米国で人気の形成外科、皮膚科、眼科、整形外科は、稼ぎも良いのですが、競争が激しくUSMLEの点数も高得点が求められます。より良い大学を卒業する必要があり、全員が全員希望の専門医にはなれません。働き方改革は、単に時間を制限するだけではなく、財源の確保、人員の再分配が必要だと思います。

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英語で「責任追及」は?【1分★医療英語】第124回

第124回 英語で「責任追及」は?《例文1》This is not to finger point, but we have to hold the primary doctor accountable.(罪のなすり付けをするつもりはないが、主治医には説明責任を求めるべきだ)《例文2》We need to stop the blame game.(私たちは罪のなすり付けをやめるべきだ)《解説》医師は医療のさまざまな現場でリーダーとしての役割を求められることが多く、時には、現場での不毛な責任追及を制止して、チームを団結させて問題解決に導くコミュニケーション力も必要です。“finger pointing”は、直訳すると「指差しをすること」となりますが、英会話では「責任追及のために特定の人物を指すこと」という意味があります。否定的な意味合いで使われることが多く、過度・不当な責任追及(=罪のなすり付け)を意味する場合が多いです。また、「正当な責任追及である」と考えて発言するときには、「これはfinger pointingではない」という言い回しを使って前置きすることもよくあります《例文1》。“finger pointing”の類似表現としては、“the blame game”があります《例文2》。講師紹介

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新規機序のホモ接合体家族性高コレステロール血症薬「エヴキーザ点滴静注液345mg」【最新!DI情報】第12回

新規機序のホモ接合体家族性高コレステロール血症薬「エヴキーザ点滴静注液345mg」今回は、ヒト化抗ANGPTL3モノクローナル抗体「エビナクマブ(遺伝子組換え)注射液(商品名:エヴキーザ点滴静注液345mg、製造販売元:Ultragenyx Japan)」を紹介します。本剤は、LDL受容体非依存的にLDL-コレステロールを低下させるため、既存薬で効果不十分であったホモ接合体家族性高コレステロール血症患者の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>ホモ接合体家族性高コレステロール血症の適応で、2024年1月18日に製造販売承認を取得しました。本剤投与の要否は、HMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分または忍容性が不良な場合に検討します。<用法・用量>通常、エビナクマブ(遺伝子組換え)として15mg/kgを4週に1回、60分以上かけて点滴静注します。なお、HMG-CoA還元酵素阻害薬などによる治療が適さない場合を除き、ほかの脂質低下療法と併用します。<安全性>重大な副作用として、アナフィラキシーや注入部位そう痒感を含むinfusion reaction(4.8%)が報告されています。主な副作用である上咽頭炎(1~10%未満)のほか、浮動性めまい、鼻漏、悪心、腹痛、便秘、背部痛、インフルエンザ様疾患が現れる可能性があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、ホモ接合体家族性高コレステロール血症の治療に用いる注射薬です。2.ほかの治療薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)で効果が不十分な場合または副作用のため治療ができない場合に使用されます。3.「ANGPTL3」というタンパク質を阻害することで脂質代謝を促進し、LDL-コレステロールを低下させます。4.妊娠する可能性がある女性は、この薬を使用している間および使用終了から少なくとも5ヵ月間は、適切な避妊を行ってください。<ここがポイント!>家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolaemia:FH)は、早発性冠動脈疾患と腱・皮膚黄色腫を高率に合併する常染色体優性遺伝性の高LDL-コレステロール血症です。ホモ接合体FH(homozygous FH:HoFH)は重度の高LDL-コレステロール血症(LDL-コレステロール値>500mg/dL[13mmol/L])を呈するまれな疾患であり、早発性の心血管系疾患(CVD)や未治療患者の若年死亡などを引き起こす可能性があります。治療にはLDL-コレステロール低下作用を持つスタチンやPCSK9阻害薬が用いられますが、LDL受容体活性が低いHoFH患者では治療抵抗性があります。本剤は遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体で、脂質代謝の調節に関与しているアンジオポエチン様蛋白3(ANGPTL3)を特異的に阻害します。ANGPTL3の阻害により、LDL形成の上流に位置するVLDLのプロセシングおよびクリアランスを促し、LDL受容体非依存的にLDL-コレステロールを低下させると考えられています。成人および青年HoFH患者(12歳以上)を対象とした国際共同第III相試験(R1500-CL-1629試験)において、ベースラインから投与24週後のLDL-コレステロールの変化率(LS平均値)は、本剤群-47.1%、プラセボ群+1.9%で、LS平均値の群間差は-49.0%(95%信頼区間:-65.0~-33.1)であり、本剤群はプラセボ群に比べ有意なLDL-コレステロール低下を示しました。

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現場の断捨離、始めませんか?~働き方改革に先行した日本医科大学の実例

医師の働き方改革がついに始まった。それでも、今もなお議論が絶えないのが、診療行為以外にあたる“研究や自己研鑽時間”の捉え方である。厚生労働省が2024年1月15日に『医師等の宿日直許可基準及び医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての運用に当たっての留意事項について』を発出したものの、これまで根付いてきた労働環境に対するパラダイムシフトは、そう簡単なものではないはずだ。今回、臨床研究法や大規模臨床試験のDx化などに力を入れている松山 琴音氏(日本医科大学医療管理学 特任教授/学校法人日本医科大学研究統括センター副センター長)に治験効率化の視点から医師の働き方改革のヒントになるポイントを聞いた。土日対応の治験、働き方にメス小児への新型コロナワクチン普及が遅れている日本の状況を危惧し、今後の再流行に備えるべく、小児のワクチン接種の有効性・安全性の証明や国産ワクチン開発の進展に尽力する―。その活動を担う一人である松山 琴音氏は日本医科大学とその付属病院をはじめとするさまざまな臨床研究の基盤整備やDx化に力を注ぐ。その松山氏が所属する日本医科大学は、新型コロナワクチンの大規模接種会場運営の応需や、小児5,000例を対象とした『新型コロナワクチン(国産不活化)とインフルエンザワクチンの同時接種に関する大規模臨床試験』(現在、募集中)を行うなどしている1)。しかし、こういった取り組みは土日の業務対応が必須であり、治験においても治験の責任は大学病院の医師らが担う必要があるため、時間外労働は当たり前となる。「この治験では、パンデミック下に構築された大規模職域接種の仕組みを再利用し、医師、看護師や担当のスタッフは正当な対価の支払いを受けられるようにした」と話した。一方、病院経営には当然ながら収益が求められるが、それには医療者という人材がなくてはならない。「治療を担う医師の確保もさることながら、入院患者の受け入れ人数は看護師の人員配置基準によって決定付けられる。コンプライアンスの達成のみならず病床数確保のための人員確保が病院としての課題」と述べ、コロナパンデミックの発生によって医療者の“働き型”に少しずつ変化が見られたことを契機に、臨床研究の視点から同氏らは医師の働き方の課題解決に乗り出した。治験開始までを効率化させ、医療者の満足度up臨床試験や治験業務にはさまざまな医療者が関わり、当たり前のように時間外勤務も発生する。なかでも治験業務の大半を病院職員の1人である治験コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)が担うわけだが、CRCの時間内業務が達成されれば、医師を含むそのほかの職員の業務も効率化を図ることができるため、まずこの目標達成に向け、日本医科大学は治験運用ルールを設定し長時間労働是正のための断捨離を決行した。「一般的な治験業務で最も問題なのは、プロセスばかりが冗長で人材を掛け過ぎていること。無駄な対人業務を断捨離すれば、国内治験のスピードが加速しジャパンバッシングが起こらなくなる」と松山氏は国内の治験の在り方を指摘した。その課題解決策として、同氏はビッグデータの利活用のために、『SmarTrial』(Activade株式会社)と共同開発した費用算定機能を導入したことを明かした。「治験に登録可能な症例データはレセプトデータ、いわゆるビッグデータを活用することでフィージビリティ調査への対応をいち早く完了させ、治験責任医師や院内チームとともに早期からリクルートプランの作成やグローバル標準であるベンチマークコスト導入に向けた対応ができる」。また、治験の症例管理が可能である『SmarTrial』を導入したことで、「自施設では治験者ごとのToDo管理と試験全体のToDo管理を臨床開発モニター(CRA:Clinical Research Associate)と参加施設間で共有・完了確認できるシステムを導入し、費用算定機能と連結させた。治験の進捗状況が一覧化され、請求情報が紐付けられれば、CRA・CRC・医療者、そして医事課のスタッフの知っておくべき情報が統合され、登録症例ごとに治験のどの段階まで進んでいるのかが見えるようになった」と話した。さらにその結果として、「CRCの業務時間が週あたり1時間半も削減できた」というから驚きだ。「このシステムを利用することで候補被験者を事前に共有し、治験の状況の予測を立てられたり患者のvisit予定が把握できたりするため、医師のワークロード軽減にも貢献できた」と述べ、来るべき分散化臨床試験(DCT:Decentralized Clinical Trial)やサイトレス試験を見据えてDx化してきたことが、働き方改革に通じる取り組みであったことを説明した。画像を拡大する業務効率のポイント「丸抱えしない」「業務を見える化」また、“時間内”に業務を収めるポイントとして、「1人で業務を丸抱えしない」「業務プロセスを見える化」することだと述べ、リクルートマネージャーの設置、トヨタのかんばん方式にならった各治験の進捗管理を“見える化”のためのダッシュボードの導入が課題解決に繋がったことを説明した。リクルートマネージャーの設置画像を拡大する治験業務の場合、外部モニターからの進捗状況などの問い合わせや院内調整に多くの時間を割かれ、サテライト医療機関から紹介された患者が治験による受診をすると、窓口がはっきりせずに院内をたらい回しにされるリスクもある。リクルートマネージャーという外部対応に特化、患者の治験同意などを介在する人材を配置したことで、CRCは治験の質向上に向けたquality managerという新たな役割を果たし、ほかの院内スタッフの労力を軽減させることに繋がった。ダッシュボードの活用画像を拡大する治験の複雑さが招く業務過多を見える化画像を拡大する直接的な治験状況の確認、やるべきこと・問題点を早期に可視化、ワークロードを可視化するために、1)IRB・必須文書の電子化、2)Delegation listや教育研修記録の作成、3)フェアバリュー方式への対応、4)契約書における手順書の標準化、5)想定される症例数の調査、6)混み具合や収支に関する情報を収集・見える化した。このような取り組みのために、幾度となく病院経営層との対話を繰り返し、実行に至るまでに数年を要したそうだが、その苦労の甲斐もあり、今では某グローバル企業の治験において、日本医科大学系列全体での症例登録数は世界2位を誇るまでに至っている。同氏らは将来展望として、「病院ごとの仕組みのバラつきを統一し、情報を集約するための管理機能を研究統括センターに組み入れた。この取り組みを日本医科大学のある種のブランディングと捉え、“治験ブランディングチーム”と称して活動していく」と話した。また、「治験施設に足を運ばなくてもリジットなコミュニケーションを円滑に実行していくためにはこのようなリモート環境の整備が重要で、VRの利活用を検証するための実証実験や治験に対する社会の理解を進めるための患者市民参画に向けた活動も始めている」と、コロナ禍で定着し始めたリモート環境の更なる可能性を引き出すために奮闘している。働き方改革の“一歩先行く”国内のドラッグラグ・ロス問題が喫緊の課題となる日本。働き方改革が臨床研究の足かせになり研究を担う人材の確保に苦戦しては本末転倒である。今を生きる、そして次世代のための医療基盤として臨床研究の根を絶やさぬためも、リモート環境整備の加速化の波に乗り、医療全体の質の向上を目指す松山氏らによる取り組みが、患者、臨床研究を担う医師・医療者や製薬企業、ひいては日本国の未来を照らす手立てになるのではないだろうか。(取材・文:ケアネット 土井 舞子)参考1)日本医科大学治験サイト日本医科大学 研究統括センター厚生労働省:「医師の働き方改革」.jp講師紹介

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第208回 メトホルミンの食欲抑制を担うらしい血中成分を発見

メトホルミンの食欲抑制を担うらしい血中成分を発見メトホルミンの食欲抑制作用を担うと思しき血中成分が同定されました1,2)。糖尿病の治療薬メトホルミンは中世ヨーロッパで薬草として使われていたフレンチライラック(Galega officinalis、ガレガ草)を発祥とし、同植物に豊富に含まれる成分のグアニジンを端緒とする化合物として今からおよそ100年も前の1922年にその合成が報告されています3)。メトホルミンは血糖値の低下のみならず心血管イベント減少や生存改善ももたらしうることが1998年の試験で判明したことを受け、2型糖尿病(T2D)の高血糖管理にまず使うべき薬剤の1つと見なされるようになりました。いまや同剤はT2D治療の域を超え、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、HIVリポジストロフィー、認知症などのインスリン抵抗性が絡む数々の疾患の治療やがんの予防、さらには抗老化という夢のような効果をも担いうることが示されています。何やら万能薬の様相を呈するメトホルミンですが、同剤の根本的な用途であるT2D治療の仕組みの理解はまだ不完全です。たとえばメトホルミンが体重を減らす効果には食欲抑制が寄与しているようですが、食欲抑制の仕組みはこれまでよくわかっていませんでした。メトホルミンは食欲を抑制するホルモンGDF15を増やします。2019年の報告ではその作用を介してメトホルミンは食欲を抑制すると示唆されました4)。しかし、その3年後の2022年の報告でメトホルミンはGDF15がなくとも体重を減らしうることが示され5)、メトホルミンの食欲抑制へのGDF15増加の寄与のほどは今や疑問視されています。GDF15とメトホルミンの食欲抑制作用の関わりのさらなる検討が必要である一方、ダブリン大学(Trinity College Dublin)のBarry Scott氏らは別の食欲抑制因子に当たりをつけて研究を行いました。Scott氏らが注目したのは乳酸とフェニルアラニンを結合させる酵素の産物である乳酸フェニルアラニン(N-lactoyl phenylalanine:Lac-Phe)です。Lac-Pheは激しい運動をすると食欲がなくなることに寄与する成分を探す研究で発見されました6)。肥満マウスにLac-Pheを投与すると食欲が減り、競走馬やヒトの運動後にLac-Pheが大幅に上昇することが2022年の報告で示されています。Scott氏らは新たな研究で33例の被験者の血中代謝物を調べました。その結果、メトホルミン治療を主とする糖尿病患者にLac-Pheが多く、Lac-Pheとメトホルミンの濃度が強く関連しました。また、英国の双子の追跡データ(TwinsUK)や先立つ2つの介入試験の結果を解析したところ、メトホルミン投与に伴うLac-Phe上昇が認められました。ほかでもないLac-Pheを発見したチームもメトホルミン投与に応じたLac-Phe上昇をヒトとマウスの両方で確認しており、その成果をScott氏らと時を同じくしてNature Metabolism誌に報告しています7,8)。より強力な食欲抑制作用が期待できるLac-Phe狙いの創薬により、肥満を治療する安全で効果的なこれまでにない類いの薬を生み出せそうです1)。参考1)Scott B, et al. Nat Metab. 2024 Mar 18. [Epub ahead of print] 2)Scientists uncover new secrets to natural appetite control, offering promise in the battle against obesity / Eurekalert3)Weight loss caused by common diabetes drug tied to “anti-hunger” molecule in study / Eurekalert4)Bailey CJ. Diabetologia. 2017;60:1566-1576.5)Day EA, et al. Nat Metab. 2019;1:1202-1208.6)Klein AB, et al. Cell Rep. 2022;40:111258. 7)Coll AP, et al. Nature. 2020;578:E24. 8)Xiao S, et al. Nat Metab. 2024 Mar 18. [Epub ahead of print] 9)Weight loss caused by common diabetes drug tied to “anti-hunger” molecule in study / Eurekalert

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低用量アスピリンは肝脂肪を減らすか?~MASLD対象RCT/JAMA

 脂肪性肝疾患の1つであるMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)は、進行すると肝硬変や肝細胞がん、その他の合併症のリスクが高まるとされている。しかし、本邦においてMASLDに対する治療薬として承認されている薬剤はなく、治療法の開発が望まれている。アスピリンは前臨床研究や観察研究において、MASLDから肝線維化や肝細胞がんへの進展を抑制する可能性が示されており、MASLDの治療薬候補の1つと考えられている。そこで、米国・マサチューセッツ総合病院のTracey G. Simon氏らの研究グループは、海外第II相プラセボ対照無作為化比較試験を実施し、肝硬変を伴わないMASLDに対する低用量アスピリンの治療効果を検討した。その結果、低用量アスピリンは肝脂肪量を減少させることが示された。本研究結果は、JAMA誌2024年3月19日号にPreliminary Communicationとして掲載された。 本研究は、肝硬変のないMASLD患者80例を対象とした。対象患者を低用量アスピリン群(1日1回81mg)とプラセボ群に無作為に1対1の割合で割り付け、6ヵ月投与した。主要評価項目は、投与6ヵ月時点におけるMagnetic Resonance Spectroscopy(MRS)に基づく肝脂肪量の変化であった。主要な副次評価項目は、投与6ヵ月時点におけるMRSに基づく肝脂肪率の変化、MRSに基づく肝脂肪量30%以上減少の達成率、Magnetic Resonance Imaging-Proton Density Fat Fraction(MRI-PDFF)に基づく肝脂肪量の変化および肝脂肪率の変化であった。 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目の投与6ヵ月時点におけるMRSに基づく肝脂肪量の変化は、プラセボ群が3.6%であったのに対し、低用量アスピリン群は-6.6%であり、低用量アスピリン群が有意に減少した(群間差:-10.2%、95%信頼区間[CI]:-27.7~-2.6、p=0.009)。・投与6ヵ月時点における肝脂肪率の変化は、プラセボ群が30.0%ポイントであったのに対し、低用量アスピリン群は-8.8%ポイントであり、低用量アスピリン群が有意に減少した(群間差:-38.8%ポイント、95%CI:-66.7~-10.8、p=0.007)。・MRSに基づく肝脂肪量30%以上減少の達成率は、低用量アスピリン群がプラセボ群と比較して有意に高かった(42.5% vs.12.5%、p=0.006)。・MRI-PDFFに基づく肝脂肪量・肝脂肪率の変化も、低用量アスピリン群がプラセボ群と比較して有意に優れた(それぞれp=0.004、p=0.003)。

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統合失調症における幻聴の状態と特性のネットワーク局在化

 統合失調症における幻聴の神経回路を調査した神経画像研究では、さまざまな結果が得られているが、ネットワーク局在化により調整される可能性が示唆されている。中国・安徽医科大学のFan Mo氏らは、統合失調症における幻聴の状態および特徴的な脳変化が共通のネットワークに局在化するか否かを調査した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2024年2月24日号の報告。 統合失調症における幻聴の状態、および特徴的な脳変化を報告した48の研究を特定した。影響を受けた脳のデータを、安静状態の大規模な発見と検証の機能的磁気共鳴機能画像法(fMRI)データベースと統合し、次に機能的結合ネットワークマッピングを活用して、幻聴の状態および特徴の機能不全ネットワークを構築した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症における神経解剖学的に不均一な幻聴の状態および脳変化は、個別の特異的なネットワークに局在化していた。・幻聴状態の機能不全ネットワークは、主に聴覚、顕著性、大脳基底核、言語、感覚運動ネットワークを含む広範囲な一連の脳領域で構成されていた。・対照的に、幻聴の特徴的な脳変化の機能不全ネットワークは、主に尾状核および下前頭葉の関連する限定された脳領域パターンとして出現した。・さらに、幻聴状態の機能不全ネットワークは、幻聴の効果的な治療のための神経調整標的部位と一致しており、臨床的関連性の可能性が示唆された。 著者らは「本知見は、現実可能性が低いと考えられる神経画像結果を統合した点とは別に、ネットワークの観点から統合失調症における幻聴の状態、および特徴的な脳変化の根底にあるさまざまな神経機構を示唆しており、将来の幻聴に対する広範な神経調整治療につながる情報となる可能性がある」としている。

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高リスク局所進行子宮頸がん、ペムブロリズマブ追加でPFS改善/Lancet

 新規に診断された高リスクの局所進行子宮頸がん患者の治療において、PD-1阻害薬ペムブロリズマブを化学放射線療法と併用し、化学放射線療法終了後も継続投与することで、化学放射線療法単独と比較して統計学的に有意で臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)の改善が得られ、安全性は各レジメンの既知のプロファイルと一致することが示された。イタリア・Fondazione Policlinico Universitario A Gemelli IRCCS and Catholic University of Sacred HeartのDomenica Lorusso氏らが「ENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18試験」の結果を報告した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年3月20日号に掲載された。30ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験 本研究は、日本を含む30ヵ国176施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2020年6月~2022年12月に、参加者の無作為割り付けを行った(Merck Sharp & Dohmeの助成を受けた)。 前治療歴がなく、新たに高リスクの局所進行子宮頸がんと診断された成人患者(年齢18歳以上)1,060例を登録した。これらの患者を、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学放射線療法を5サイクル施行後に、ペムブロリズマブ(400mg、6週ごと)を15サイクル投与する群に529例(年齢中央値49歳)、プラセボ(3週ごと)+化学放射線療法を5サイクル施行後に、プラセボ(6週ごと)を15サイクル投与する群に531例(年齢中央値50歳)を無作為に割り付けた。 主要評価項目は、ITT集団(無作為化の対象となったすべての患者)におけるPFSおよび全生存期間(OS)であった。安全性の評価は、as-treated集団(少なくとも1回の試験薬の投与を受けたすべての患者)で行った。OSには差がない スクリーニング時に、1,060例中598例(56.4%)が2014年の国際産婦人科連合(FIGO)基準(FIGO 2014)のStageIII~IVAの子宮頸がんで、650例(61.3%)が骨盤リンパ節転移陽性、24例(2.3%)が傍大動脈リンパ節転移陽性であり、1,000例(94.3%)はPD-L1陽性であった。追跡期間中央値は両群とも17.9ヵ月だった。 PFS中央値は両群とも未到達で、24ヵ月時のPFS率はペムブロリズマブ群が68%、プラセボ群は57%であった。病勢進行と死亡のハザード比(HR)は0.70(95%信頼区間:0.55~0.89)であり、ペムブロリズマブ群で有意に優れた(p=0.0020)。 また、OS中央値も両群とも未到達で、24ヵ月時のOS率はペムブロリズマブ群が87%、プラセボ群は81%であった。死亡のHRは0.73(0.49~1.07)であり、統計学的に有意な差を認めなかった。重篤な有害事象発現は、ペムブロリズマブ群17%、プラセボ群12% 客観的奏効率は、ペムブロリズマブ群79%、プラセボ群76%、奏効期間中央値は両群とも未到達、奏効期間が12ヵ月以上の患者の割合はそれぞれ81%および77%であった。 試験薬投与下に発現したGrade3以上の有害事象の割合は、ペムブロリズマブ群75%(394/528例)、プラセボ群69%(364/530例)で、このうち試験薬関連と判定されたものはそれぞれ67%(354例)および61%(321例)であり、両群とも白血球数の減少(19%、21%)、貧血(19%、16%)、好中球数の減少(15%、15%)の頻度が高かった。重篤な有害事象は、それぞれ17%(91例)および12%(65例)で発現した。 著者は、「PFS率の曲線は、最初の画像評価(治療開始から約3ヵ月後)の時点で2群で乖離し始め、経時的にその状態が続いた。安全性プロファイルは予想どおりであり、有害事象は用量の調節や薬剤の投与により臨床的に管理可能であった」とし、「これらの知見は、この患者集団における化学放射線療法へのペムブロリズマブ追加の潜在的な役割を示唆する」と述べている。

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ビデオ喉頭鏡、手術室での気管内挿管の試行回数を改善/JAMA

 外科的処置時の全身麻酔で気管内挿管を要した成人患者において、直接喉頭鏡と比較してhyperangulatedブレードを用いたビデオ喉頭鏡は、気管内挿管の達成に必要な試行回数を減少させ、挿管失敗のリスクも低いことが、米国・クリーブランドクリニックのKurt Ruetzler氏らが実施した検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年3月18日号で報告された。米国の単一施設のクラスター無作為化多重クロスオーバー試験 本研究は、米国の単一施設(クリーブランドクリニック)で実施したクラスター無作為化多重クロスオーバー試験であり、2021年3月~2022年12月の期間に参加者を登録した(研究助成はクリーブランドクリニックの支援のみ)。 対象は、年齢18歳以上、心臓、胸部、血管の待機的または緊急の外科手術を受け、全身麻酔のためにシングルルーメンチューブによる気管内挿管を要する患者であった。手術室を2つのセットに分け、それぞれ1週間ごとにhyperangulatedブレードを用いたビデオ喉頭鏡または直接喉頭鏡を用いた挿管を行う群に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、1回の手術での手術室挿管の試行回数とした。副次アウトカムは挿管の失敗(担当医が何らかの理由で別の喉頭鏡デバイスに切り換えた場合、または挿管を4回以上試みた場合と定義)と、気道または歯の損傷の複合であった。複数回の挿管試行が有意に少ない 7,736例に8,429件の手術を行った。患者の年齢中央値は66歳(四分位範囲[IQR]:56~73)、35%(2,950件)が女性で、85%(7,135件)が待機的手術であった。 2回以上の挿管試行が必要であった手術は、直接喉頭鏡群が4,016件中306件(7.6%)であったのに対し、ビデオ喉頭鏡群は4,413件中77件(1.7%)であり、挿管試行回数の推定比例オッズ比は0.20(95%信頼区間[CI]:0.14~0.28)と、ビデオ喉頭鏡群で有意に良好であった(p<0.001)。気道または歯の損傷には差がない 挿管失敗は、直接喉頭鏡群が4,016件中161件(4.0%)で発生したのに比べ、ビデオ喉頭鏡群は4,413件中12件(0.27%)と有意に少なく(相対リスク:0.06、95%CI:0.03~0.14、p<0.001)、補正前の絶対リスク群間差は-3.7%(95%CI:-4.4~-3.2)であった。 一方、気道または歯の損傷は、ビデオ喉頭鏡群(41件[0.93%])と直接喉頭鏡群(42件[1.1%])で有意差を認めなかった(相対リスク:0.87、95%CI:0.48~1.58、p=0.53)。 著者は、「挿管を何回も試みると、誤嚥、低酸素血症、気道損傷、死亡などの合併症を引き起こすことが、いくつかの大規模な観察研究や無作為化試験で報告されているため、今回のビデオ喉頭鏡による初回成功率の改善効果は臨床的に重要となる可能性がある」と述べ、「この結果は、外科的処置を受ける患者の挿管では、hyperangulatedブレードを用いたビデオ喉頭鏡が望ましいアプローチである可能性を示唆する」とまとめている。

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ゾルベツキシマブ、CLDN18.2陽性の進行胃がんに承認/アステラス

 アステラスは2024年3月26日、ゾルベツキシマブ(商品名:ビロイ)について、CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんを効能・効果として日本における製造販売承認を取得した。 今回の承認は、CLDN18.2陽性HER2陰性の切除不能な局所進行または転移のある胃/食道胃接合部腺がんの1次治療に対する第III相SPOTLIGHT試験およびGLOW試験の結果に基づいている。両試験とも、ゾルベツキシマブ+化学療法群(mFOLFOX6またはCAPOX)は、主要評価項目である無増悪生存期間および重要な副次評価項目である全生存期間に対し統計的に有意な延長を示している。ゾルベツキシマブ+化学療法群で発現頻度の高かった(20%以上)治療関連有害事象は、悪心、嘔吐、食欲減退、好中球減少症、体重減少であった。なお、CLDN18.2陽性はSPOTLIGHT試験およびGLOW試験スクリーニングされた患者の約38%を占めた。 ゾルベツキシマブのコンパニオン診断薬としては、ロシュ・ダイアグノスティックスが承認取得したベンタナ OptiView CLDN18を使用する。この検査は、日本でも複数の検査機関を通じて利用可能となり、順次、他の検査機関にも拡大される予定である。

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