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外傷患者への人工呼吸器の深呼吸機能は有効か/JAMA

 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のリスク因子を有し、人工呼吸器による管理を受けている外傷患者では、通常ケア単独と比較して、通常ケアに人工呼吸器による深呼吸を追加しても、28日目まで人工呼吸器不要日数は増加しないが、死亡率は改善したとの結果が、米国・コロラド大学のRichard K. Albert氏らが実施した「SiVent試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年11月28日号で報告された。米国15施設の実践的な無作為化試験 SiVent試験は、米国の15の外傷治療施設が参加した実践的な無作為化試験であり、2016年4月~2022年9月の期間に患者の無作為化を行った(Department of Defense Peer-Reviewed Medical Research Program Clinical Trial Awardの助成を受けた)。 年齢18歳以上、人工呼吸器の使用時間が24時間未満の外傷患者で、ARDS発症の5つのリスク因子のうち1つ以上を有し、今後の人工呼吸器の使用時間が24時間以上、生存期間が48時間以上と予測される患者524例(平均年齢43.9[SD 19.2]歳、男性75.2%)を登録し、通常ケア+人工呼吸器による深呼吸を行う群(深呼吸群)に261例、通常ケアのみを行う群(通常ケア群)に263例を無作為に割り付けた。 深呼吸群では、人工呼吸器により6分ごとにプラトー圧35cmH2O(BMI値>35の患者は40cmH2O)の深呼吸を導入し、通常ケア群では、医師が患者の希望に応じて治療を行うこととした。 主要アウトカムは、人工呼吸器不要日数(VFD)とし、28日目までの、侵襲的換気の再導入がなく、呼吸補助なしの日数と定義した。副次アウトカムは、28日目までの全死因死亡などであった。抜管成功までの期間は深呼吸群で短い 28日目までのVFD中央値は、深呼吸群が18.4日(四分位範囲[IQR]:7.0~25.2)、通常ケア群は16.1日(1.1~24.4)であり、両群間に有意な差を認めなかった(p=0.08)。VFDの補正前平均群間差は1.9日(95%信頼区間[CI]:0.1~3.6)、事前に規定された補正後平均群間差は1.4日(95%CI:-0.2~3.0)だった。 抜管成功までの期間は深呼吸群のほうが短かった(部分分布ハザード比[HR]:1.21、95%CI:1.00~1.47、p=0.05)。 また、28日死亡率は、通常ケア群が17.6%(46/261例)であったのに対し、深呼吸群は11.6%(30/259例)と良好であった(オッズ比[OR]:0.61、95%CI:0.37~1.00、p=0.05)。死亡の補正前HRは0.64(95%CI:0.41~1.02、p=0.06)、同補正後HRは0.70(0.43~1.15、p=0.16)だった。非致死性の重篤な有害事象の頻度はほぼ同じ ICU非入室日数中央値は、深呼吸群が13.7日(IQR:2.0~20.6)、通常ケア群は11.9日(0~20.0)であった(p=0.10)。 合併症の発生率には、両群間に差を認めなかった。また、非致死性の重篤な有害事象の割合は、深呼吸群で30.9%(80/259例)、通常ケア群で30.7%(80/261例)と両群で同程度であったが、深呼吸群で低血圧(2.7%[7例]vs.0%)が多くみられた。 著者は、「死亡率が低下し、合併症が増加しなかったことなどから、人工呼吸器による深呼吸の導入は忍容性が高く、臨床アウトカムを改善する可能性があることを示唆する」と指摘し、「深呼吸と死亡率低下を結び付けるメカニズムは推測しかできない」としている。

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過敏性腸症候群に対する1次治療が無効な患者に2次治療として抗うつ薬の低用量アミトリプチリンが有効(解説:上村直実氏)

 過敏性腸症候群(IBS)は便秘や下痢などの便通異常に加えて腹痛を伴う機能性の腸疾患である。IBSの診断について、一般的には国内外のガイドラインで示されるRome IV基準に従って『3ヵ月以上の腹痛と6ヵ月以上前からの便通異常を有する患者』とされるが、わが国における実際の診療現場においては、病悩期間にかかわらず『大腸がんなどの器質性疾患を除く便通異常と腹痛を伴う病態』をIBSとして取り扱うことが多い。 治療に関しては、1次治療として食事指導や生活習慣の改善および消化管運動改善薬や下剤・止痢剤など便通改善薬を用いた薬物治療を行い、症状に改善傾向を認めない場合には2次治療として抗不安薬や抗うつ薬などの抗精神薬が推奨されているが、IBSに対する抗うつ薬の有用性を示すエビデンスは乏しいのが現状であった。 今回、英国で三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンがIBSの2次治療として有効であるかどうかを評価するために、プライマリケアを中心として施行されたRCTの結果が2023年10月16日のLancet誌オンライン版に報告された。1次治療で効果のなかったIBS患者463症例を対象として低用量アミトリプチリンとプラセボを投与した結果、アミトリプチリン群において6ヵ月後のIBS重症度スコアが20%以上有意に改善した。この結果から、第一選択療法が無効なIBS患者に低用量のアミトリプチリンを提供すべきで、英国のガイドラインを更新する必要があると結論している。 日本の医療現場でIBS患者を最初に診療するのは診療所の実地医家や消化器内科医であり、心理状態を把握したうえで処方される抗うつ薬は副作用の問題などから使用されるケースは多くないと思われる。しかし、今回のRCTによるエビデンスから、消化管運動改善薬や便通異常改善薬に反応しない難治性IBSに対する2次治療として低用量の三環系抗うつ薬が使用されることが期待される。

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HER2陽性胃がん・食道胃接合部腺がんの初期治療における免疫チェックポイント阻害薬と標準化学療法併用の有効性(解説:上村直実氏)

 手術不能な胃がん・食道胃接合部腺がんに対する薬物療法として、20年以上前から5-FUを代表とするフッ化ピリミジン系薬剤とシスプラチンやオキサリプラチンなどのプラチナ系薬剤の併用療法(FP療法)が標準的化学療法となっていた。その後、細胞増殖に関わるHER2遺伝子の有無による分類がなされ、HER2陽性の胃がん・食道胃接合部腺がんに対するFP療法に抗HER2抗体であるトラスツズマブを加えたレジメンが標準治療として確立している。 一方、最近、免疫チェックポイント阻害薬の登場に伴って、手術不能な消化器がんに対する薬物療法が大きく様変わりしており、切除不能なHER2陰性胃がんに対しては、FP療法に免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブやペムブロリズマブを加えた3剤併用治療が標準治療レジメンとして確立しつつある。今回は、HER2陽性の胃がん・食道胃接合部腺がんに対して、標準治療であるトラスツズマブ+FP療法に抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用する有用性を検証する試験結果が、2023年10月16日のLancet誌オンライン版に掲載された。この報告は中間解析であるが、ペムブロリズマブ群の無増悪生存期間がプラセボ群に比べて有意に延長された結果が示されている。なお、本試験は継続中であり、厳密に言えば、今後の最終結果を待つ必要もあるが、切除不能胃がんに対する1次治療に免疫チェックポイント阻害薬を含むレジメンが一般的になるものと思われた。 最後に、本年の3月、zolbetuximabに関する論文に対するコメントでも指摘したのだが、臨床現場では、通常の胃がんと食道胃接合部腺がんの両者は浸潤様式や発育速度において異なる生物学的特性を有することが多いことが知られていることから、両疾患をひとまとめにするのではなく、適切な臨床研究デザインによる精緻なエビデンスが期待される。

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「アイン減算」でグループ全体の基本料が一律引き下げか【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第122回

診療報酬改定について、医科では「診療所の報酬単価を引き下げる」という宣言があり、あちこちで紛糾していますが、調剤も負けず劣らず騒がしくなってきました。何が起きているのかみていきましょう。厚生労働省が11月29日の中央社会保険医療協議会で示した通称“アイン減算”案に対し、その影響を受ける大手調剤チェーンやドラッグストア関係者が怒りの声を上げている。敷地内薬局をもつチェーンは「敷地内以外の店舗」の基本料を一律減算するという前例のない手法で(中略)関係団体が反対声明を準備するほか、異論が出なかった中医協を見限り、国会議員らへのロビイングで打ち返す「空中戦」に臨む構えも見せている。(2023年12月6日付 RISFAX)まず、今回の報酬改定の薬局に関する議論をおさらいしましょう。薬局を取り巻く状況はコロナ禍を除いておおむね良好であると捉えられています。そして、今回の改定は「メリハリをつけた改定とする」と明言されています。その中で、調剤は「今後は対人業務への真の意味でのシフトが必要」とされ、「薬局に求められる機能を踏まえた調剤報酬の見直し」をするとされています。その理由として、「薬局数・薬剤師数が増えていること」「薬局は病院・診療所の近隣が大半であること」「薬剤師技術料がおおむね維持されていること」が挙げられており、結果として、調剤基本料1および地域支援体制加算を見直す議論が始まっています。そして新たに飛び込んできたのが、上記記事にある「アイン減算」です。察しが付くと思いますが、アイン薬局を展開するアインファーマシーズの社長らが、ある病院の敷地内薬局の入札を巡って公契約関係競売入札妨害の罪で逮捕・起訴されたことからきています。今後の調剤報酬改定に影響が生じるのではないかという噂がありましたが、やはり敷地内薬局が狙われました。現時点の厚生労働省の案では、敷地内薬局を対象とする特別調剤基本料(7点)を取り止めて通常の基本料を適用し、グループ全体に適用される基本料の引き下げを検討しています。敷地内薬局だけでなく、グループ全体が対象です。これに対して関係団体は反対声明を出したりロビー活動を行ったりすると予定だと報じられています。医科のほうでは「診療所は極めて良好な経営状況であり、診療所の報酬単価を引き下げる」との宣言に対して、すでに医師会は猛反対しています。それらの関連団体からの声が診療報酬の変更にどう影響するのか、今後の議論と結論を見守りたいと思います。来年度は薬価改定が4月1日、診療報酬改定が6月1日に施行最後に、今後のスケジュールを確認しておきましょう。2023年内に改定の基本方針が決定し、年明けの2024年1月に個別改定項目案の立案、3月に点数・算定要件・施設基準が告示され、それに関して疑義解釈および団体からの質疑応答が実施されます。ここまでは例年どおりともいえるのですが、今回はその後が少し違います。これまで、診療報酬改定の期間が短いため、レセコンや電子カルテなどの各種ベンダーの対応を含む改定作業の負担が大きいことが課題として挙げられていました。そこで、今回は薬価改定と診療報酬改定の施行時期をずらすことになりました。2024年4月1日に薬価改定の施行、2024年6月1日に診療報酬改定が施行されます。2月の受診、4月の受診、6月の受診では負担金が変わってくることがあるため、患者さんへのアナウンスにも注意を払う必要がありそうです。

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お看取り期、家族への上手な説明法は?【非専門医のための緩和ケアTips】第65回

第65回 お看取り期、家族への上手な説明法は?緩和ケアにおいて、患者本人はもちろん、家族への説明も非常に重要な要素です。その重要性は誰もが認めるところでしょうが、実際に取り組むのは難しいものです。何に注意するとよいのでしょうか?今日の質問在宅でお看取りが近い病状の患者さん。ご家族とのやりとりが増えてきました。つらい気持ちが少しでも和らぐようにお話ししたいのですが、どんな点に注意すればよいのでしょうか?お看取りが近くなると、ご家族と毎日のように病状や見通しについて話す必要が出てきます。患者さんの症状が変化するスピードが速いときには、「午前中に話をして、夕方にもう一度話す」と、目まぐるしいこともあります。こうした状況に対する、家族の反応はさまざまです。気が動転して説明があまり伝わらない家族もいれば、「あとどれくらいですか?」「ほかの親族にも連絡したほうがよいでしょうか?」といった具体的な質問をする家族もいます。個別性の高いケアを求められる、難しい場面です。個別の状況においては、好ましいと思われるコミュニケーションを調査した研究もあるのですが、総合的には、ケースごとに医療者が望ましいと考える対話をしているのが実情かと思います。私が看取りの近い家族への説明で、意識しているコツを共有します。最初は、「家族の気掛かりをしっかり聞く」ことを徹底します。先ほど述べたように個別性の高い対応が求められる状況なので、まずは、目の前の家族がどういった心理状況にあるかをしっかりアセスメントします。それらの情報を基に、どういった話をするかを考えます。話を聞いた後にお伝えするのは、「苦痛が和らぐよう、きちんと対応していく」「不安を感じたら、改めて相談してほしい」という点です。今後の見通しについて、「何があってもおかしくありません」といった抽象的な伝え方は、基本的にはしないようにしています。理由としては、あまりにも見通しが立たないと、かえって家族の不安が強まるからです。「医師としての見解をお伝えすると、もしかしたら、今晩にも亡くなるかもしれません。不安にさせたくはありませんが、ご家族の心構えも大切なのでお話しさせていただきました。こうした話を聞かれていかがですか? 不安に感じていることがあれば、一緒に考えたいので教えていただけないでしょうか?」といったように続けます。最後に、「ご家族にできること」をお伝えします。点滴をしている患者さんであれば、むくみが強くなっていないかをご家族にも確認してもらい、ケアに参加してもらうことを提案します。もちろん、強制はしませんが、こうした提案で「家族のおかげでよいケアを提供できている」と伝えやすくなり、家族もそれを実感しやすくなるのです。今回のTips今回のTips終末期の家族への説明、話の順番やケアへの参加を工夫しよう。

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英語で「ミュートになっていて聞こえません」は?【1分★医療英語】第109回

第109回 英語で「ミュートになっていて聞こえません」は?《例文1》 Hey, can you please turn off your mute? We're having trouble hearing you.(あの、ミュートをオフにしてもらえませんか? 声が聞こえていません)《例文2》I'm afraid we can't hear you, as you are still on mute. Could you please unmute yourself?(すみませんが、まだミュートになっていて声が聞こえません。ミュートを解除していただけますか?)《解説》この“You are on mute.”という英語表現は、オンライン会議やビデオチャットなどで使用されることの多い表現で、新型コロナのパンデミック以降、急速にその使用頻度が増えました。相手がミュートになっているため、自分の側に相手の声が聞こえてこないことを伝えるのに用いられる表現です。加えて、「ミュートを解除してほしい」と伝えるためには、《例文1》のように“turn off your mute”と言うか、《例文2》のように“unmute yourself”という表現を用いることができます。逆に、参加者が“mute”にしておらず、雑音が入ってしまっている状態の時には“Could you please mute yourself?”と言って、ミュートにしてもらうようにします。このように、“mute”は名詞としても動詞としても用いることができます。以上のように、“I can't hear you because you are on mute.”は、オンライン会議などでよく使われる表現ですので、ぜひ覚えておきましょう。講師紹介

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第193回 米国のゲノム編集治療の幕開け~鎌状赤血球症の遺伝子編集治療を英国に次いで米国も承認

米国のゲノム編集治療の幕開け~鎌状赤血球症の遺伝子編集治療を英国に次いで米国も承認2008年の胎児ヘモグロビン(HbF)抑制遺伝子BCL11A同定の報告1)から15年の月日が過ぎ、そのBCL11A狙いの遺伝子(ゲノム)編集による鎌状赤血球症(SCD)治療Casgevy(exagamglogene autotemcel[exa-cel])を英国に次いで米国もこの週末8日に承認しました2,3)。米国ではおよそ10万例がSCDを患います。同国のアフリカ系アメリカ人(African Americans)に最も多く生じますが、より少ないながらヒスパニック系にも認められます。SCDは体の隅々に酸素を運ぶ赤血球のタンパク質ヘモグロビンを作る遺伝子の変異を根本原因とします。その変異のせいでいびつな「鎌状」に変形した赤血球が血流を滞らせ、体内の組織への酸素運搬を妨げます。鎌状赤血球で血管がいよいよ詰まると、体の自由を奪う激痛の血管閉塞発作(vaso-occlusive crisis:VOC)が発生します。VOCを何度も繰り返すことは致命的な体の障害や若くしての死をもたらします。米国のバイオテクノロジー企業Vertex Pharmaceuticals社がCRISPR Therapeutics社と組んで開発したCasgevyは、VOCを繰り返す12歳以上のSCD患者を対象に今回米国で承認されました。CasgevyはFDAが初めて承認したCRISPR遺伝子編集技術込み治療となりました。Casgevyは患者それぞれから採取した造血幹細胞(HSC)をゲノム編集技術CRISPR/Cas9を利用してHbFが作られるようにBCL11A封印加工したものであり、加工が済んだら急速静注によってそれぞれの患者に1回きり投与されます。HbFは胎児の体内で酸素を運ぶヘモグロビンの一種であり、SCD患者のHbFを増やすことは赤血球の鎌状化を防ぎます。CasgevyはそのHbF増加をもたらし、赤血球がより作られて機能するようにし、VOCをSCD患者が被らずに済むようになることを目指します。Casgevyが投与された31例の長期追跡でVOCの抑制効果が裏付けられています。31例は先立つ2年間に1年あたり4回近く重度のVOCを被っていましたが、Casgevy投与後2年間は2例を除く29例(93.5%)が少なくとも1年間を通してVOCなしで過ごすことができました4)。VOCを繰り返す患者の米国での生涯の医療費は400~600万ドルと推定されています。そのような経済的負担などを考慮して定価220万ドル5)のCasgevyの価値は判断されるでしょう。Casgevyの投与には幹細胞移植の専門的経験が必要です。ゆえにVertex社はCasgevyを投与できる治療拠点を米国全域に設けるべく経験豊富な病院に掛け合っています。すでに以下の病院は受け入れ可能となっています。マサチューセッツ州ボストンのBoston Medical CenterワシントンDCのChildren’s National Hospitalカリフォルニア州ロサンゼルスのCity of Hope Children’s Cancer Centerテキサス州ダラスのMedical City Children’s Hospitalテキサス州サンアントニオのMethodist Children’s Hospitalオハイオ州コロンバスのNationwide Children’s Hospitalテネシー州ナッシュビルのThe Children’s Hospital at TriStar Centennialオハイオ州コロンバスのThe Ohio State University Comprehensive Cancer Center - James Cancer Hospital and Solove Research Instituteイリノイ州シカゴのUniversity of Chicago/Comer Children’s Hospital今回のFDA承認によりVertex社は提携会社にしてCasgevyの生みの親であるCRISPR社に達成報奨金2億ドルを払います。主導権はVertex社にあり、同社がCasgevyの開発、製造、販売を行います。FDAはCasgevyに加えて別のSCD遺伝子治療Lyfgenia(lovotibeglogene autotemcel、lovo-cel)も時を同じくして承認しました2,6)。Lyfgeniaは鎌状化赤血球を生じ難くするヘモグロビン(HbAT87Q)が作られるようにする遺伝子入りのHSCを患者ごとに体外で作って体内に戻すことを治療の中身とし、Casgevyの用途と同様に血管閉塞発作の経験がある12歳以上のSCD患者への使用が承認されました。日本でSCDは少なくとも今のところ縁遠い病気だと思いますが、日本でも馴染みのある病気の遺伝子編集治療の臨床開発も進んでいます。たとえばVerve Therapeutics社は家族性高コレステロール血症の遺伝子編集治療を開発しており、LDLコレステロール低下作用を裏付ける第I相試験結果を先月発表しています7)。VERVE-101という名称のその遺伝子編集治療はCasgevyやLyfgeniaと違って体外に細胞を取り出す必要がなく、目当ての遺伝子編集を体内でやってのけます。VERVE-101もCRISPR社との提携の下で開発されています。参考1)Sankaran VG, et al. Science. 2008;322:1839-1842.2)FDA Approves First Gene Therapies to Treat Patients with Sickle Cell Disease / PRNewswire3)Vertex and CRISPR Therapeutics Announce US FDA Approval of CASGEVY (exagamglogene autotemcel) for the Treatment of Sickle Cell Disease / BUSINESS WIRE4)Casgevy添付文書5)US FDA approves two gene therapies for sickle cell disease / Reuters6)bluebird bio Announces FDA Approval of LYFGENIATM (lovotibeglogene autotemcel) for Patients Ages 12 and Older with Sickle Cell Disease and a History of Vaso-Occlusive Events / BusinessWire7)Verve Therapeutics Announces Interim Data for VERVE-101 Demonstrating First Human Proof-of-Concept for In Vivo Base Editing with Dose-Dependent Reductions in LDL-C and Blood PCSK9 Protein in Patients with Heterozygous Familial Hypercholesterolemia / GLOBE NEWSWIRE

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医者になっても同期のつながりってあるの?【医学生お悩み相談ラヂオ】第21回

動画解説今回は、試験勉強や医師としての働き方ではなく、友人とのつながりに関するご相談。学生時代に仲良くなった同期生も、卒業すれば勤務地も別々となり離ればなれに。医師になって関係が切れてしまったら寂しいと医学部4年生の女性が訴えます。先輩医師の立場からのえど先生の回答に、みなさん、ほっとするのではないでしょうか。

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抗うつ薬治療抵抗性うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法~国内第II/III相ランダム化比較試験

 抗うつ薬への治療反応が不十分であることは、効果的なうつ病治療の妨げとなる。関西医科大学の加藤 正樹氏らは、抗うつ薬治療で効果不十分な日本人うつ病患者を対象に、ブレクスピプラゾール補助療法の投与量、有効性、安全性を評価するため、国内第II/III相ランダム化比較試験であるBLESS試験を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年11月7日号の報告。 BLESS試験は、8週間の単盲検期間では抗うつ薬治療で効果不十分であった日本人治療抵抗性うつ病患者を対象としたプラセボ対照ランダム化多施設共同並行群間第II/III相試験である。SSRI/SNRI治療で効果不十分なうつ病患者を対象に、6週間のブレクスピプラゾール1mg、2mgまたはプラセボの補助療法を行う群にランダムに割り付けられた。治療抵抗性うつ病患者の定義は、1~3の抗うつ薬治療では、ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)合計スコア14以上と効果不十分であった患者とした。主要エンドポイントは、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)合計スコアのベースラインからの変化とした。副次的エンドポイントは、MADRSによる治療反応、寛解率、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)スコアとした。安全性は、とくに抗精神病薬の有害事象に関して包括的に評価した。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニング対象患者1,194例中740例をランダム化した。・ベースライン時およびベースライン後のMADRS合計スコアは、1以上であった。・対象患者の内訳は、ブレクスピプラゾール1mg群248例、ブレクスピプラゾール2mg群245例、プラセボ群243例であった。・MMRM分析では、6週目のMADRS合計スコアのベースラインからのLSM(SE)変化は、ブレクスピプラゾール1mg群で-8.5±0.47(調整済み対プラセボ群変化量の差:-1.7、95%信頼区間[CI]:-3.0~-0.4、p=0.0089)、ブレクスピプラゾール2mg群で-8.2±0.47(同:-1.4、95%CI:-2.7~-0.1、p=0.0312)、プラセボ群で-6.7±0.47であった。・副次的有効性の結果は、主要エンドポイントを裏付けていた。・ブレクスピプラゾール補助療法の忍容性は、良好であった。 著者らは「抗うつ薬治療で効果不十分な日本人治療抵抗性うつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法は、1mg/日および2mg/日のいずれも有用であり、忍容性も良好であり、ブレクスピプラゾール補助療法における開始用量は、1mg/日が適切であることが示唆された」としている。

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糖質制限or脂質制限、向いている食事療法を予測/京都医療センター

 米国糖尿病予防プログラム(DPP)やフィンランド糖尿病予防研究では低脂肪食が糖尿病に有効との報告がある一方で、糖質制限が減量に有効であるとの報告もある。それでは、目の前の患者さんにどのような食事療法を指導していけばいいのだろうか。 この問題を解決するために、坂根 直樹氏(京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室)らの研究グループは、PwCグループが開発した膵臓・肝臓・脂肪など臓器間のネットワークを含めたシミュレーションモデル(機序計算モデル)を用いて、糖尿病の食事療法の個別化分析を行った。PLOS ONE誌2023年11月30日号の報告。112例の糖質と脂質の割合を変えたシミュレーションを実施 糖尿病予防のための戦略研究J-DOIT1(研究リーダー:葛谷 英嗣氏)の2,607例(中央値4.2年のフォローアップ期間)のデータを用いた。生活習慣介入を受けた介入群(1,240例)から最も結果が良かった者と悪かった者を抽出し、それに合わせたデータセットを対照群(1,367例)から抽出した(合計112例)。体重とHbA1cの時間的変化について機序計算モデルを用いてシミュレーションを行った。生理学的なパラメーター(インスリン感受性など)とライフスタイルのパラメーター(食事摂取など)との関連性を評価した。最後に、体重減少と血糖改善のための個別に最適化されたダイエットを予測するためにシミュレーションを行った。 主な結果は以下のとおり。・本モデルを用いることで、生活習慣介入による体重とHbA1cの時間的変化(4年間)を、それぞれ1.0±1.2kgと0.14%±0.18%の平均予測誤差で予測することができた。・最も改善された生体標識と最も改善されなかった生体標識を持つ個人間では、モデル推定のエネルギーバランスに有意な差はみられず、エネルギーバランスだけでは体重の予測をする良い因子とはなり得なかった。・糖質と脂質の割合を変えたシミュレーションを行うことで、個別に糖質制限が向いているか、低脂肪食が向いているかを予測することができた。たとえば、被験者41が減量に成功(5~7%減)するには、炭水化物の割合を10~20%程度減らすとよいと予測されたのに対し、被験者44では炭水化物の割合ではなく、脂質を10~20%制限する必要があると予測された。・さらに、被験者41が減量だけでなく、血糖も改善(HbA1c0.1~0.2%減)するには脂質の割合を±20%程度に留めておく必要があると予測された。 この結果から坂根氏は「従来、平均化されたエビデンスから平均的な医療が提供されることが多かった。本モデルを用いることで、この人には緩やかな糖質制限、この人には脂質制限と糖尿病食事療法というように個別化できるようになる。さらに、極端に糖質制限をしなくとも、減量と血糖改善は可能であり、脂質はいくらでも増やしてもいいわけではないことも説明できる。今後は、このモデルを用いた生活習慣介入試験を実施する必要がある」と展望を語っている。

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生後6ヵ月~4歳へのコロナワクチン、救急受診・入院予防に40%有効/CDC

 米国では2022年6月より、新型コロナウイルスの起源株に対する1価mRNAワクチンが、生後6ヵ月~4歳児に推奨となった。米国疾病予防管理センター(CDC)は、2022年7月~2023年9月における乳幼児への新型コロナワクチンの有効性を評価したところ、ワクチン未接種と比較すると、2回以上のコロナワクチン接種は、救急外来受診と入院の予防に40%有効であることが認められた。本結果はCDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)誌2023年12月1日号に掲載された。 生後6ヵ月~4歳への新型コロナワクチンは、2022年6月に起源株対応1価ワクチン、2022年12月~2023年4月にオミクロン株BA.4/5対応2価ワクチンが米国にて承認された。この年齢層におけるワクチン接種率は成人よりも著しく低く、2023年1月以降、幼児における新型コロナワクチンの1次接種完了の割合は米国で約5%となっている。なお、1次接種の回数は、ファイザー製では3回、モデルナ製では2回。 本研究では、7つの小児医療センターの急性呼吸器感染症(ARI)に関する集団ベースの前向きサーベイランスであるNew Vaccine Surveillance Network(NVSN)にて、2022年7月1日~2023年9月30日の期間に登録された6ヵ月~4歳の小児7,434例を対象とした。COVID-19によるARI患児の救急外来受診および入院を予防するワクチンの有効性(VE)を、ロジスティック回帰モデルを用いて推定し、ワクチン未接種者と1回または2回以上のワクチン接種を受けた者のオッズをSARS-CoV-2陽性患者とSARS-CoV-2陰性患者で比較した。 主な結果は以下のとおり。・試験期間中、救急外来または病院で登録されたARIを有する6ヵ月~4歳児7,434例のうち、387例(5.0%、年齢中央値15ヵ月)がSARS-CoV-2検査で陽性となり、7,047例(95.0%、22ヵ月)が陰性となった。・SARS-CoV-2陽性群の140例(36.2%)でほかの呼吸器ウイルスが検出され、ライノウイルス/エンテロウイルス(RV/EV)がその約50%、RSウイルスが21.4%を占めていた。一方、SARS-CoV-2陽性群(7,047例)では、RV/EVが全体の36.7%、RSウイルスが17.1%を占めていた。・ARIを発症した乳幼児の85.8%が新型コロナワクチンを接種していなかった。1回接種者は3.8%、2回以上接種者は10.4%であった。・2回目接種率は地域差および人種差が大きかった。地域差は各施設で3.9~27.9%、白人で19.0%、黒人/アフリカ系で2.5%だった。・ワクチンを2回以上接種した小児は、未接種の小児よりも年齢が高かった(年齢中央値 2回以上接種:27ヵ月vs.未接種:21ヵ月)。・未接種者と比較した場合、ワクチンを2回以上接種した乳幼児のワクチンの有効性(VE)は、COVID-19関連の救急外来受診および入院の予防に対して40%(95%信頼区間[CI]:8~60)であり、最終接種からの間隔の中央値は93日(IQR:51~172)であった。・COVID-19関連の救急外来受診および入院の予防に対するワクチン1回接種の有効性は31%(95%CI:-27~62)であったが、95%CIにnull値が含まれていた。 著者は本結果について、ARIで救急受診または入院した乳幼児において、ワクチン2回以上の接種率は10.4%と低いものの、SARS-CoV-2陽性も5%と低い割合であり、この年齢層が過去に軽度のCOVID-19を経験するなど、免疫防御を有する可能性を示唆している。乳幼児へのワクチンは有効だが、ワクチン接種率と医療行為を受けたCOVID-19発生率が低いため、ワクチン効果の推定値の精度は制限されていると述べている。

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最新の制吐療法、何が変わった?「制吐薬適正使用ガイドライン」改訂

 『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』が発刊された。本書は2015年10月【第2版】(Web最新版ver.2.2)を全面改訂したもので、書籍としては8年ぶりの改訂となる。悪心・嘔吐治療の基本は“過不足ない適切な発現予防を目指す”ことであることから、制吐薬適正使用ガイドライン第3版では、がん薬物療法の催吐性リスクに応じた適切な最新の制吐療法を提示するのはもちろん、有用性が明確ではないまま行われている非薬物療法のエビデンスに基づいた評価、患者サポートとして医療現場で行うべき制吐対応などにも焦点が当てられている。今回、ガイドライン改訂ワーキンググループ委員長の青儀 健二郎氏(四国がんセンター乳腺外科 臨床研究推進部長)に主な制吐薬適正使用ガイドライン改訂ポイントについて話を聞いた。制吐薬適正使用ガイドライン改訂で用法・用量を図式化 まず、『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』は8つの章で構成されている。第I章のガイドライン概要にはアルゴリズム、用法・用量を図式化したダイアグラムが明記され(p.18)、第II章の総論では各種抗がん薬の催吐性リスク分類を掲載(p.29~35)。これらを組み合わせれば、患者のレジメンに応じた制吐対策が誰でも確認可能なのが一つの特徴である。なお、悪心・嘔吐の発現時期や状態の定義は以下のとおり制吐薬適正使用ガイドライン前版からの変更はない。<悪心・嘔吐の定義>・急性期悪心・嘔吐:抗がん薬投与開始後24時間以内に発現する悪心・嘔吐・遅発期悪心・嘔吐:抗がん薬投与開始後24~120時間(2~5日目)程度持続する悪心・嘔吐・突出性悪心・嘔吐:制吐薬の予防的投与にもかかわらず発現する悪心・嘔吐・予期性悪心・嘔吐:抗がん薬のことを考えるだけで誘発される悪心・嘔吐*急性期と遅発期を合わせて全期間(抗がん薬投与開始から5日間程度)とする。*抗がん薬投与開始120時間後以降(6日目以降)も持続する超遅発期悪心・嘔吐(beyond delayed nausea and vomiting)も注目されている。制吐薬適正使用ガイドライン改訂にオランザピンの影響力強く 『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』第III~VII章には推奨やステートメントが盛り込まれており、Clinical Question(CQ)全12項目、Future Research Question(FQ)全3項目、Background Question(BQ)全13項目が設けられている。とくに、適応外使用されていた非定型抗精神病薬オランザピン(商品名:ジプレキサ ほか)が2017年に本邦でのみ「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」に対して保険適用となり、急性期・遅発期ともに有効な新たな制吐薬として使用可能になった点、予防的制吐療法としてオランザピン処方が開発された点が制吐薬適正使用ガイドライン改訂に大きな影響を与えている(CQ1、4、5参照)。また、遅発期のデキサメタゾン投与省略のエビデンスが示されたこと(CQ2、6参照)、中等度催吐性リスク抗がん薬に対するNK1受容体拮抗薬の予防的投与について新たなエビデンスが示された(CQ3)。 同氏は「オランザピン投与に際し、傾眠などの副作用を考慮して国内では1日の投与量を5mg(1日量は最大10mg)に設定している。また、糖尿病への投与について、海外では禁忌ではないため糖尿病患者にも注意したうえで処方がなされているが、“国内では禁忌”のため、本書ではオランザピン投与の推奨を国内版にアレンジしている」とし、「この点が国内でのオランザピン処方拡大の足かせになっている」と処方におけるジレンマについても語った。制吐薬適正使用ガイドライン改訂で非薬物療法も記載 続いて『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』第VI章では、第2版では取り上げなかった非薬物療法による制吐療法にも踏み込み、患者から希望を受けた際にどのような根拠を基に説明するべきか、文献のシステマティックレビューに基づいた具体的な内容が記載されている(CQ10、11参照)。非薬物療法に該当するものとして、以下が挙げられる。・ショウガ   ・鍼      ・経皮的電気刺激   ・指圧   ・運動    ・漸進的筋弛緩 ・ヨガ     ・アロマ       ・食事   ・音楽   ・呼吸     ・患者教育   ・オステオパシー   ・リフレクソロジー  ・マッサージ  ・セルフケア  ・ベッドサイドウェルネス 同氏は「悪心・嘔吐ならびに予期性悪心・嘔吐に対して非薬物療法を併施しないことを弱く推奨する、で合意に至った。これまでの治療の明確化のみならず手広く実臨床でニーズがあるものを拾い集めたうえで議論を重ねた」とコメントした。なお、技法全般を総括すると、鍼治療による悪心抑制(エビデンスの強さ:C[弱])、運動療法による悪心・嘔吐抑制(同:D[非常に弱い])、アロマ療法による悪心抑制(同D[非常に弱い])で有意な効果を認め、制吐薬適正使用ガイドラインにはランダム化比較試験が2編以上抽出された9つの技法について、システマティックレビューのまとめを記載している(p.120~141参照)。制吐薬適正使用ガイドラインの今後の課題は“超遅発期”対応 このほか『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』第VII章では制吐療法の評価と患者サポート、第VIII章では医療経済評価に触れている。患者サポートの例としては、昨今、世界的にも注目を集めている超遅発期への対応が該当する。超遅発期の悪心・嘔吐は退院後も尾を引き、自宅生活を送るなかで生じるため医療者の目に触れにくく、在宅療養中のためにエビデンス収集できていないのが現状である。「患者の声を受け取りしっかりフォローできるかどうか、看護師を中心にエビデンスを収集し方針を固めた。そして、超遅発期にも応用できる制吐療法を提言していきたい」と同氏は今後の課題にも触れた。一方で、医療経済面においては「日本治療学会で行ったアンケート調査によると、制吐療法を手厚く行う施設も散見されるため、ぜひ本書の催吐性リスク分類を参照にしたり、1サイクル目に悪心がなかった患者には2サイクル目から制吐薬を一部減らせるかなどを検討したりしてもよいのではないか」と説明した。 今後の動向として、「ガイドライン発刊前後での診療動向の変化を調査するため、改訂ワーキンググループ主導で本書の普及率に関するWebアンケート調査を行った。来年も調査を行い学会などで報告することで制吐療法の適正使用の啓発に努めていく」と締めくくった。

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治療歴のあるHER2+転移乳がん、アベルマブ追加でPFS改善(AVIATOR/TBCRC045)/SABCS2023

 治療歴のあるHER2+転移乳がんに対して、標準治療である化学療法+トラスツズマブに、抗PD-L1抗体であるアベルマブを追加することで無増悪生存期間(PFS)が有意に改善することが示された。一方、化学療法+トラスツズマブ+アベルマブに、4-1BBアゴニストであるutomilumabを追加してもPFSの改善はみられなかった。米国・Dana-Farber Cancer InstituteのAdrienne G. Waks氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で発表した。 本試験は、HER2+転移乳がんに対して、化学療法+トラスツズマブにアベルマブおよびutomilumabを併用した場合の有効性と安全性を検討した無作為化第II相試験である。・対象:トラスツズマブ/ペルツズマブ/T-DM1の治療歴がある進行HER2+乳がん(ビノレルビン/免疫チェックポイント阻害薬の治療歴がある患者は除外)100例・試験方法:ビノレルビン+トラスツズマブ(NH)群、ビノレルビン+トラスツズマブ+アベルマブ(NHA)群、ビノレルビン+トラスツズマブ+アベルマブ+utomilumab(NHAU)群に1:2:2で無作為に割り付け・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性/忍容性※当初、NHA群とNH群、NHAU群とNHA群で比較予定だったが、2021年utomilumabの開発が中止され、中間無益性解析でNHAU群のNHA群に対するPFSのハザード比(HR)が1.14(p=0.32)であったことからNHAU群を終了した。 主な結果は以下のとおり。・NHA群(45例)は NH群(18例)に比べて PFS を有意に改善し(HR:0.56、90%信頼区間[CI]:0.31~0.91、片側log rank検定p=0.025)、中央値はNH群2.0ヵ月、NHA群3.8ヵ月だった。・ORRは、NH群11.1%に対してNHA群20.0%、DOR中央値は、NH群が評価不能、NHA群が15.8ヵ月だった。・患者全体において、治療前の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が10%以上の患者では10%未満の患者よりPFSが良好な傾向を示した(HR:0.55、90%CI:0.29~1.04)。一方、PD-L1 CPSが1以上と1未満でPFSに差はみられなかった(HR:0.77、90%CI:0.43~1.36)。・Grade3/4の試験治療下における有害事象(TEAE)は、NH群61.1%、NHA群62.2%とほぼ同等だった。NHA群でGrade3の免疫関連有害事象が2例発現した(副腎機能不全、AST上昇)。予期しないTEAEは認められなかった。 Waks氏は「治療歴のあるHER2+転移乳がんに対する免疫チェックポイント阻害のさらなる研究が必要」と述べた。

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急性中毒疑いの昏睡患者、非侵襲的気道管理は有効か/JAMA

 急性中毒が疑われる昏睡状態の患者では、気管挿管を行わない保存的な治療は通常治療と比較して、院内死亡、集中治療室(ICU)入室期間、入院期間の複合エンドポイントに関してより大きな臨床的有益性をもたらし、挿管に伴う有害事象や肺炎も少ないことが、フランス・ソルボンヌ大学のYonathan Freund氏らが実施した「NICO試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年11月29日号に掲載された。フランス21施設の非盲検無作為化臨床試験 NICO試験は、フランスの20の救急診療部と1つのICUが参加した非盲検無作為化臨床試験であり、2021年5月~2023年4月に患者の無作為化を行った(フランス保健省の助成を受けた)。 急性中毒が疑われ、グラスゴー昏睡尺度(GCS)のスコアが9点未満の昏睡状態にある患者225例(平均年齢33歳、女性38%)を登録し、気管挿管を行わない保存的な気道管理を受ける群(介入群)に116例、通常治療を受ける群(対照群)に109例を無作為に割り付けた。 介入群では、緊急挿管基準を満たす場合を除き挿管を行わず、対照群では、挿管の可否の決定は治療を行う救急医の裁量とした。 主要エンドポイントは、院内死亡、ICU入室期間、入院期間の複合とし、副次エンドポイントは、挿管に起因する有害事象、48時間以内の肺炎の発症などであった。主要エンドポイントは介入群で優れる ベースラインの全体のGCSスコア中央値は6点(四分位範囲[IQR]:3~7)で、主な毒素はアルコール(67%)であった。挿管を受けた患者は、介入群が19例(16.4%)、対照群は63例(57.8%)だった。 両群とも入院中に死亡した患者はいなかった。ICU入室期間中央値は、対照群の24.0時間(IQR:0~57.0)と比較して、介入群は0時間(0~18.5)と短かった(率比[RR]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.24~0.66)。また、入院期間中央値は、対照群が37.0時間であったのに対し、介入群は21.5時間だった(RR:0.74、95%CI:0.53~1.03)。 これらのデータに基づき、主要エンドポイントに関する臨床的有益性は、介入群で有意に優れることが示された(勝利比[win ratio]:1.85、95%CI:1.33~2.58)。不必要な挿管を回避できる可能性 介入群では、機械換気を受けた患者の割合が低く(18.1% vs.59.6%、絶対群間リスク差:-42.5%、95%CI:-54.1~-30.9)、挿管による有害事象の発生率も低かった(6.0 % vs.14.7%、絶対群間リスク差:-8.6%、95%CI:-16.6~-0.7)。 また、挿管後の肺炎も、介入群で発生頻度が低かった(6.9% vs.14.7%、絶対群間リスク差:-7.8%、95%CI:-15.9~0.3)。 著者は、「これらの知見は、実臨床において重要な意味を持つ。保存的治療を用いれば、急性中毒で昏睡状態にある患者において不必要な挿管を回避し、有害事象のリスク低下につながる可能性がある」とし、「この試験は盲検化されていなかったため、ホーソン効果(Hawthorne effect)により、医師の行動と挿管の決定に影響を及ぼした可能性がある」と指摘している。

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第174回 2024年度診療報酬改定の基本方針、医療DXと人材確保が焦点に/厚労省

<先週の動き>1.2024年度診療報酬改定の基本方針、医療DXと人材確保が焦点に/厚労省2.1%の薬価引き下げで医療費抑制と処遇改善へ、製薬産業が犠牲に/厚労省3.健康保険証廃止、マイナ保険証への移行は予定通りの2024年秋か/政府4.特許切れの先発品を希望した患者の自己負担増、来年度から/厚労省5.急増する高齢者対策、2025年夏から介護保険利用料の2割負担を拡大へ/厚労省6.カテーテル治療後の死亡事例、さらに10例を追加調査へ/神戸徳洲会病院1.2024年度診療報酬改定の基本方針、医療DXと人材確保が焦点に/厚労省 厚生労働省は、12月8日に社会保障審議会の医療部会と医療保険部会で「2024年度の診療報酬改定に関する基本方針案」を提示し、大筋で了承された。今回の改定の主な柱は、医療デジタルトランスフォーメーション(DX)、物価高騰を考慮した賃金上昇、人材確保、医師らの働き方改革であり、これらに取り組むとしている。改定の重点課題としては、人材確保と働き方改革の推進が挙げられ、医療従事者の賃上げを促す方向性が打ち出された。とくに「コメディカル」の賃金格差の解消と人材流出の防止を目指す。また、地域包括ケアシステムの推進や医療機能の分化・強化、連携の推進といった従来の取り組みも強化する。基本方針案では、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにデジタル化の遅延が明らかになったことを受け、マイナ保険証や電子カルテの活用による医療機能の強化を明記された。また、医療従事者の長時間労働といった厳しい勤務環境の改善も強調されている。医療部会では、医療従事者の処遇改善、医療DXの推進、高齢者の救急医療の充実などに関する意見が出されたほか、医療保険制度の持続可能性を向上させるために効率化・適正化も議論された。今後、この基本方針をもとに、来年度の当初予算案を閣僚間で最終調整する「大臣折衝」を経て、改定幅が年内に最終決定される。参考1)令和6年度診療報酬改定の基本方針(厚労省)2)診療報酬改定の基本方針案、大筋了承 社保審部会 医療DX、人材確保強化(産経新聞)3)24年度診療報酬改定の基本方針案を了承 社保審の2部会、重点課題は1つに(CB News)2. 1%の薬価引き下げで医療費抑制と処遇改善へ、製薬産業が犠牲に/厚労省厚生労働省は、2024年度の診療報酬改定において、医薬品の公定価格の「薬価」を市場取引価格に近付けるため、約1.0%程度の引き下げを検討している。この措置により、医療費の約4千億円が抑制され、国費1千億円程度の圧縮が見込まれている。さらに厚労省は医療従事者、とくに看護補助者らの賃上げを実施した医療機関に対して、報酬を加算する仕組みの導入を検討している。この賃上げの加算は、実績に応じて報酬を増やす仕組みであり、厚労省と財務省が対象職種や加算金額を協議している。診療報酬は、薬価部分と医師や医療従事者らの人件費に当たる「本体」部分から成り立っており、今後の本体部分の改定率が焦点となる。日本医師会は賃上げの実現に向けて増額を訴えているが、財務省は診療所の利益が多いとして引き下げを主張している。厚労省は、看護職員処遇改善評価料を超える幅広い職種の賃上げにつなげるための仕組みを中央社会保険医療協議会(中医協)の分科会で検討する方針だが、具体的な処遇改善策は年明けに示される予定で、看護職員に限らず医療現場で働く全職種の賃上げが必要とされている。一方、わが国の製薬業界は、薬価の過度な抑圧により、構造的デフレ産業に陥るリスクが指摘されている。新薬開発の成功率が低く、とくにわが国の薬価制度では革新的な医薬品の価格が低く抑えられる傾向にあり、日本市場の魅力が失われたため、新薬の発売が米国や欧州市場よりも遅れる「ドラッグ・ラグ」や、まったく発売されない「ドラッグ・ロス」が問題となっている。今年4月、日本製薬工業協会(JPMA)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)からなる日米欧製薬3団体は来年度の改定にあたって、薬価制度改革への提言を行い、患者の新薬へのアクセスを確保し、企業が次世代の治療法やワクチンに再投資できるようにするために、新薬を開発する企業のイノベーションを推進するような薬価制度への移行を求めていた。なお、今年の11月に開催された中医協の薬価専門部会では、ドラッグ・ロスに陥っている医薬品86品目のうち39品目が「わが国にはその病気に対する既存薬がない」と報告されていた。参考1)「薬価」1%引き下げを検討 診療報酬改定、賃上げで加算も(共同通信)2)薬価1%引き下げ検討 診療報酬、賃上げで加算も 6年度改定、厚労省(産経新聞)3)診療報酬の処遇改善策、年明けに具体案 中医協の分科会で枠組み検討へ(CB News)4)2024年度(令和6年度)薬価制度改革への提言(製薬協)5)「薬のないニッポン」 薬価抑圧が招いた危機(日経新聞)6)薬価下落、製薬業は「構造的デフレ」 制度見直し求め自民議連が提言(朝日新聞)3.健康保険証廃止、マイナ保険証への移行は予定通りの2024年秋か/政府政府は、現行の紙の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を明らかにしている。岸田 文雄首相が12日に開催予定の「マイナンバー情報総点検本部」で、予定通り2024年秋に廃止の方針を表明する見通しという報道があった。これに対して武見 敬三厚生労働大臣は、12月8日の記者会見で「決定した事実はない」と述べ、国民の不安を払拭する発言を行った。政府は、マイナンバーカードのトラブルを受けて総点検を行い、その結果を踏まえて最終判断を下す意向。政府関係者によると、マイナ保険証への移行には問題がないと判断されている。これまでデジタル庁の「マイナンバー情報総点検本部」による点検では、マイナ保険証や障害者手帳のひも付けに関する誤りが確認されたが、政府は再発防止策を整え、国民の理解を得る方針。来秋の保険証廃止後も、最長1年間は現行の保険証が利用でき、マイナ保険証を取得していない人には「資格確認書」が発行される予定。厚生労働省は「医療DX令和ビジョン2030」の実現に向けて、マイナンバーカードの普及、さらに利活用推進を進めており、医療・介護の情報共有化に向けて「医療DXの推進に関する工程表」を公開している。医療・介護業界はさらに情報連携のためにIT投資を求められる見込み。参考1)医療DXについて(厚労省)2)医療DXの推進、マイナ保険証の利用及び電子処方箋の導入に関する状況について(同)3)健康保険証の廃止時期「方向性決定の事実ない」武見敬三厚労相(産経新聞)4)現行の健康保険証の廃止、予定通り来年秋…マイナ保険証への移行に問題なしと判断(読売新聞)5)保険証「来秋」廃止方針を維持 12日にも首相表明 政府(時事通信)4.特許切れの先発品を希望した患者の自己負担増、来年度から/厚労省厚生労働省は、12月8日に開かれた「社会保障審議会医療保険部会」で、2024年度中にも後発薬(ジェネリック医薬品)がある先発薬を希望した患者の窓口負担の金額を引き上げる方針を示した。具体的には、発売から5年以上経過した先発品を対象に、ジェネリック医薬品との価格差の一部を患者が全額自己負担する案が提案されている。たとえば、先発品が500円、ジェネリックが250円の場合、窓口負担が3割の患者では、現在150円を支払っているものが200円から250円に増える計算。厚労省は、後発薬との差額の4分の1(25%)を患者の負担に上乗せする案を中心に検討している。この方針により、国費で100~250億円の財政効果が見込まれ、創薬力強化や後発薬の安定供給策に活用される予定。また、医師が先発薬の処方を必要と判断した場合は対象外となる。病気によっては診療ガイドライン上で薬の変更が望ましくないものもあり、これらの状況には配慮されることになっている。この方針に対して、患者の追加負担に関するさまざまな意見が出されており、患者は負担増に敏感であるため、負担は広く薄くすることが望ましいとの声もある。また、薬局など現場での混乱を防ぐため、処方箋様式の見直しについても検討が進められている。参考1)第172回 社会保障審議会医療保険部会(厚労省)2)先発医薬品希望する患者 窓口負担引き上げの方針 厚労省(NHK)3)後発品のある先発薬利用、差額の一部自己負担 厚労省検討 来年度にも、25%程度(日経新聞)4)24年度予算編成作業本格化 長期収載品の選定療養 財政効果は「400億~1000億円」 自民党医療委(ミクスオンライン)5.急増する高齢者対策、2025年夏から介護保険利用料の2割負担を拡大へ/厚労省厚生労働省は、12月7日に「社会保障審議会介護保険部会」を開き、介護保険サービスの利用料について、2割負担の対象拡大を早ければ2025年8月から実施する方針を示した。現在、介護保険の利用者は1割負担が基本で、一定以上の所得者は2割、現役並み所得者は3割負担となっている。政府が少子化対策の財源確保と社会保障制度の持続可能性を高めるために、負担割合の見直しを2024年度に実施する計画を立てていたが、システム改修や利用者への周知に時間が必要とされるため、実施時期が遅れることになった。厚労省では、2割負担の対象者を拡大するために、年収基準の引き下げなどを提案しているが、この提案に対して、介護サービスの利用控えや生活への影響を懸念する声が多く、審議会では慎重な判断を求める意見が出された。政府は、介護保険の制度改革は、保険制度を維持するために必要とされ、高齢者人口の増加と介護給付費の増大に対応するため不可欠であり、介護保険の1号被保険者(65歳以上)が支払う保険料の見直しや、介護医療院などの室料負担の変更も検討している。また、政府は、物価高によって生じている介護事業者の経営環境の悪化を踏まえ、介護報酬の引き上げと利用者負担の見直しを併せて議論を続け、来年度の介護報酬の改定幅を年末までに決める方針。参考1)介護保険利用料、2割負担拡大 来年度の導入を事実上断念 厚労省(朝日新聞)2)介護2割負担の範囲拡大、早ければ25年8月施行 年収基準引き下げで9類型提示、厚労省(CB News)3)介護2割負担拡大、年内決定へ 年収190万円以上で試算(日経新聞)4)第109回 社会保障審議会介護保険部会(厚労省)6.カテーテル治療後の死亡事例、さらに10例を追加調査へ/神戸徳洲会病院神戸徳洲会病院で、今年1月以降にカテーテル治療を受けた複数の患者が死亡した問題が今年の7月に発覚していたが、具体的な死亡事例の数は11件に上ることがわかった。一連の死亡事例は、循環器内科医によるカテーテル処置に関連しているとされ、神戸市保健所は今年8月に、病院の医療安全管理体制に問題があったとして行政指導を実施した。病院側は、これまで2件の死亡事例について国の医療事故調査制度に基づいて調査を進めていたが、新たに10件の死亡や合併症の事例が調査対象に追加された。病院のホームページによると、男性医師によるカテーテル処置150件のうち、11件が死亡例であったことを明らかにされた。現在、病院側は、死亡と処置の関連について外部の専門家を交えた検証を進めており、病院は当初の2例と新たな10例の結論は2024年3月末を目途に結論を出すとしている。カテーテル治療後の患者死亡を巡っては、今年の9月に被害者救済の弁護団が設立されており、民事訴訟など今後予想されている。参考1)【第2報】当院循環器内科におけるカテーテル治療・検査に関する経過報告について(神戸徳洲会病院)2)カテーテル手術で患者死亡、10件追加調査 神戸徳洲会病院(産経新聞)3)被害者支援へ弁護団を結成 神戸徳洲会病院の患者死亡(同)4)カテーテル治療後に複数死亡、神戸徳洲会病院が別の10例も調査 外部専門家ら、来年3月末をめどに結論(神戸新聞)

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第68回 ROC解析で算出したカットオフ値【統計のそこが知りたい!】

第68回 ROC解析で算出したカットオフ値カットオフ値(Cutoff value)とは、定量データを区切るために用いる基準の値のことです。医療分野に絞って言えば、ある検査の陽性、陰性を分ける値のことで「病態識別値」とも呼ばれます。検査結果によって、特定の疾患に罹患した患者と罹患していない患者を分ける境界値のことです。前回第67回では、2×2分割表のクラメール連関係数で算出するカットオフ値について紹介しましたが、今回はROC解析で算出するカットオフ値について解説します。■ROC解析ROC解析について解説します。ROC曲線は第2次世界大戦中にレーダーの性能評価をするために開発されました。現在では、工業、医療などさまざまな分野で利用されています。ROCは“Receiver operating characteristic”の略です。ROC解析は、カットオフ値を連続的に変化(例題では表1 BMI30~21)させたときの、感度と100%から特異度を引いた値(1-特異度)を用います。縦軸(y軸)を感度とし、横軸(x軸)を1-特異度とするグラフ上に、感度および1-特異度をプロットして、グラフを作成します。こうして描かれた曲線が「ROC曲線」です。本事例におけるROC曲線のグラフを示します(表1、図1)。表1 感度、1-特異度図1 感度と1-特異度のROC曲線ROC曲線を用いて、最適なカットオフ値の求め方を示しますが、それには2つの方法があります。【方法(1)】グラフの左上隅の起点座標(0%、100%)から点までの距離が最小の検査結果が最適なカットオフ値です。例題では、横軸7.1%、縦軸83.3%の点まで距離が18.1%で最小です。そのBMIは26です。よって最適なカットオフ値は26です(表2、図2)。表2 起点から点までの距離(横:x、縦:y)図2 感度と1-特異度のROC曲線【方法(2)】点座標(0%、0%)と点座標(100%、100%)を結ぶ直線を引きます。点から直線までの距離を求めます。距離が最大の検査結果が最適なカットオフ値です。例題では、横軸7.1%、縦軸83.3%の点から直線まで距離が53.9%で最大です。そのBMIは26です。よって最適なカットオフ値は26です(表3、図3)。表3 点から斜線までの距離(横:x、縦:y)図3 感度と1-特異度のROC曲線用いる方法によっては、求めた最適なカットオフ値が異なることがあります。どれを選ぶかは分析者の判断に委ねられます。■検査の有用性を調べる方法について検査は、どれくらい有用性があるのかを調べる方法を説明するために、2つのケースを示します。【ケース1】表4のBMI26以上の10人は全員が陽性、BMI26未満の10人は全員が陰性です。検査陽性者(BMI検査で陽性と判定された患者)は全員疾患(疾病有無で陽性の患者)があり、検査陰性者は全員疾患がないと判定できる検査です。クラメール連関数の最大は1.000で当然ながらカットオフ値は26となります。表4 ケース1の検査結果画像を拡大するケース1のROC曲線を描きました(図4)。曲線で囲まれる面積は1(100%)となります。陽性と陰性を完璧に分ける理想的な検査の面積は100%となります。図4 ケース1のROC曲線【ケース2】表5のように疾患の有無で陰性10人のBMI検査は21~30です。陽性10人のBMI検査も21~30で、どのカットオフ値も陽性と陰性を判別することができていません。表5 ケース2の検査結果画像を拡大する図5にROC曲線を描いてみました。曲線で囲まれる面積は0.5(50%)となります。陽性と陰性をまったく判別できない検査における面積は、このように50%となります。図5 ケース2のROC曲線■AUCAUC(Area Under the Curve)とは、ROC曲線の下側の面積のことです。AUCはある検査が、どれくらい有用性があるのかを調べる指標です。先述の例からわかるように、陽性と陰性をまったく判別できない検査のときにAUCが0.50(50%)になり、陽性と陰性をきちんと判別できる検査のときにAUCは1(100%)になります。表1のAUCを図6に示します。AUCは92.3%で100%に近く有用性のある検査といえます。図6 表1のROC曲線この検査が母集団についても有用性があるかは1群母比率検定で調べることができます。帰無仮説:AUCは0.5(50%)である。対立仮説:AUCは0.5(50%)より大きい(片側検定)。p値はExcel関数で求めることができます。=1-NORMSDIST(検定統計量)→0.0001「p値<0.05より、BMI検査は有用な検査である」といえる結果となります。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第50回 クラメール連関係数とは?第51回 期待度数がわかれば簡単! クラメール連関係数の計算法特別編 カットオフ値とROC解析

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外傷の処置(6)外傷へのトラネキサム酸【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q96

外傷の処置(6)外傷へのトラネキサム酸Q96前回、鼻出血に対するトラネキサム酸の使用について触れた。今回は外傷への使用を取り上げる。出血リスクのある外傷患者に対して、どれぐらい早くトラネキサム酸を投与するべきだろうか。

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