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ファイザー肺炎球菌ワクチン「プレベナー20」一変承認取得、高齢者にも適応

 ファイザーは8月28日付のプレスリリースにて、同社の肺炎球菌ワクチン「プレベナー20(R)水性懸濁注」(一般名:沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン[無毒性変異ジフテリア毒素結合体])について、「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防」に対する国内の医薬品製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。今回の承認取得は、60歳以上の成人を対象とした国際共同第III相試験1)および海外第III相試験2)の結果に基づく。 本剤は、同社の従来の沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー13(R)」に7血清型を加えたことにより、さらに広範な血清型による肺炎球菌感染症を予防することが期待される。プレベナー20の「小児における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による侵襲性感染症の予防」の適応については、2024年3月26日に承認を取得している。 なお、プレベナー20の発売日は8月30日で、プレベナー13は今後市場から引き上げ、9月30日をもって販売を終了する。現在日本でも、プレベナー13には含まれない血清型による肺炎球菌感染症罹患率の絶対的増加が認められているという。<製品名>プレベナー20(R)水性懸濁注<一般名>日本名:沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)英名:20-valent Pneumococcal Conjugate Vaccine adsorbed(Mutated diphtheria CRM197 conjugate)<用法及び用量>・高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる6歳以上の者:肺炎球菌による感染症の予防:1回0.5mLを筋肉内に注射する。・肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる6歳未満の者:肺炎球菌による感染症の予防:1回0.5mLを皮下又は筋肉内に注射する。・小児:肺炎球菌による侵襲性感染症の予防 初回免疫:通常、1回0.5mLずつを3回、いずれも27日間以上の間隔で皮下又は筋肉内に注射する。 追加免疫:通常、3回目接種から60日間以上の間隔をおいて、0.5mLを1回皮下又は筋肉内に注射する。

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寛解期の双極症I型患者の性機能は~横断的研究

 双極症(BD)は、生涯を通じた性機能低下などのいくつかの課題を伴う慢性的な精神疾患である。BD患者において、QOL、機能性、服薬順守は重要であるにもかかわらず、これまであまり調査されていなかった。ブラジル・バイーア連邦大学のJuliana Socorro Casqueiro氏らは、寛解期の双極症I型(BD-I)患者の性機能について、健康対照群と比較を行い、BD-I患者の性機能に関連する臨床的および社会人口統計学的特徴を調査した。また、性機能障害の有無によるQOLへの影響も併せて調査した。Trends in Psychiatry and Psychotherapy誌オンライン版2024年7月31日号掲載の報告。 寛解期BD-I患者132例および外来クリニックにおける健康対照群61例を対象に、横断的研究を実施した。性機能の評価にはArizona Sexual Scale(ASEX)、QOLの評価にはWHOQoL-BREFを用いた。BD-I群と健康対照群の比較を行った。BD-I群は、性機能障害の有無により2群に分類した。 主な結果は以下のとおり。・BD-I群の性機能障害有病率は、健康対照群よりも高かった(42.4% vs.16.4%、オッズ比:3.67、95%信頼区間:1.55~8.67、p=0.003)。・BD-I患者の性機能障害と関連していた因子は、女性(p=0.001)、高齢(p=0.003)、未治療期間の長さ(p=0.010)であった。・性機能障害を有するBD-I患者は、そうでない患者と比較し、QOLスコアが不良であった。 著者らは「BD-I患者は、性機能障害の有病率が高く、これがさまざまなQOLスコアの低下と関連していることが示唆された」とまとめている。

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NCCNガイドライン推奨の分子標的薬、臨床的有用性は?/BMJ

 精密医療に基づく腫瘍学(precision oncology)は、とくに進行性の治療抵抗性症例に対するがん治療を変革しつつあるが、多くの遺伝子変異の臨床的重要性は依然として不明とされる。米国・ハーバード大学医学大学院のAriadna Tibau氏らは、National Comprehensive Cancer Network(NCCN)が推奨する分子標的とゲノム標的がん治療薬を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の2つの枠組みを用いて評価し、固形がんに対するゲノムに基づく治療薬のうち、患者に高い臨床的有益性をもたらす可能性があるのは約8分の1で、約3分の1は有望ではあるが実質的な有益性は証明されていないことを示した。研究の詳細は、BMJ誌2024年8月20日号で報告された。標的の有効性と治療薬の臨床的有益性を横断研究で評価 研究グループは、NCCNが実臨床で推奨しているゲノム標的がん治療薬とその分子標的について、臨床的有益性と有効性を評価する目的で横断研究を行った(Kaiser Permanent Institute for Health Policy and Arnold Venturesなどの助成を受けた)。 NCCNガイドラインが進行がんに対して推奨しているゲノム標的がん治療薬を対象とした。分子標的の有効性は、ESMO-Scale for Clinical Actionability of Molecular Targets(ESCAT、レベルI~Xの10段階、レベルが低いほど有効性のエビデンスが高度)を用いて評価し、ゲノム標的がん治療薬の臨床的有益性(効果、有害事象、生活の質のデータに基づく)の評価には、ESMO-Magnitude of Clinical Benefit Scale(ESMO-MCBS)を使用した。 実質的な臨床的有益性(ESMO-MCBSのグレード4または5)を示し、ESCATカテゴリーのレベルIに該当する分子標的を有する薬剤を有益性の高いゲノムに基づくがん治療と判定した。また、ESMO-MCBSのグレードが3で、ESCATカテゴリーのレベルIに該当する分子標的を有する薬剤は、有望ではあるが有益性は証明されていないがん治療と判定した。FDA承認は60%、第I/II相78%、単群試験76% 50のドライバー変異を標的とする74のゲノム標的薬に関する411件の推奨について調査した。411件の推奨のうち、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ていたのは246件(60%)で、165件(40%)は適応外使用であった。 薬剤クラスは、低分子の阻害薬が286件(70%)、免疫療法薬が66件(16%)、抗体製剤が37件(9%)、抗体薬物複合体が14件(3%)だった。がん種は、肺がんが83件(20%)、乳がんが49件(12%)、大腸がんが17件(4%)、前立腺がんが5件(1%)であった。 ほとんどの推奨(346/411件[84%])は、さまざまな相の臨床試験に基づいていたが、16%(65/411件)は症例報告または前臨床研究のみに依存していた。多くの臨床試験は、第I相または第II相(271/346件[78%])であり、単群試験(262/346件[76%])が多かった。また、主要評価項目は、多くが全奏効率(271/346件[78%])であり、生存率は3%(12/346件)だった。NCCNガイドラインは実臨床で重要な役割 ESCATのレベルIは60%(246/411件)であり、レベルIIまたはIIIは35%(142/411件)、レベルIV~Xは6%(23/411件)であった。また、ESMO-MCBSのスコア化が可能であった267試験では、実質的な臨床的有益性(グレード4/5)を示したのはわずか12%(32/267試験)で、グレード3は45%(121/267試験)だった。 これら2つの枠組みを組み合わせると、約8分の1(12%[32/267試験])の試験が高い有益性を、約3分の1(33%[88/267試験])は有望ではあるが証明されていない有益性を示した。また、NCCNガイドラインが、好ましいとして支持する118個の介入のうち、62個(53%)が高い有益性または有望ではあるが証明されていない有益性を有する治療に分類され、これらの治療はFDAの承認を得る可能性が高かった(61% vs.16%、p<0.001)。 著者は、「このようにNCCNの推奨と期待される臨床的有益性との一致を確認することは、エビデンスベースのゲノムに基づく治療決定を促進するためにきわめて重要である」とし、「ESMO-MCBSやESCATのような有益性の評価の枠組みは、どのゲノム標的治療が最も質の高いエビデンスに裏付けられているかを見極めるのに役立つ」と述べ、「NCCNガイドラインは実臨床において重要な役割を果たしており、今後ともNCCNの推奨の改善に注力する必要がある」としている。

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生後1~11ヵ月に限定したアジスロマイシン配布で死亡率は改善するか/NEJM

 ニジェールの生後1~59ヵ月の小児へのアジスロマイシンの配布により、全死因死亡率が有意に低下し、配布を生後1~11ヵ月の乳児に限定した介入と比較して有効性が高いことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のKieran S. O'Brien氏らが実施した「AVENIR試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年8月22・29日号に掲載された。ニジェールの村落を3群に分けて比較する適応型クラスター無作為化試験 AVENIR試験は、抗菌薬耐性を防止するためにアジスロマイシンの配布を生後1~11ヵ月に制限する世界保健機関(WHO)の勧告の検証を目的に、ニジェールで実施した適応型クラスター無作為化試験であり、2020年11月~2023年7月に参加地域のスクリーニングを行った(ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成を受けた)。 ニジェールの村落を次の3つの群のいずれかに無作為に割り付けた。(1)生後1~59ヵ月の小児にアジスロマイシンを年2回(全4回)配布する群(小児アジスロマイシン群)、(2)生後1~11ヵ月の乳児にアジスロマイシンを年2回(全4回)配布し、生後12~59ヵ月の小児にはプラセボを配布する群(乳児アジスロマイシン群)、(3)生後1~59ヵ月の小児にプラセボを配布する群。 主要アウトカムは、村落レベルでの死亡(1,000人年当たりの死亡数)とした。生後1~59ヵ月では有意に良好、生後1~11ヵ月では差がない 小児アジスロマイシン群に1,229村落、乳児アジスロマイシン群に751村落、プラセボ群に929村落を割り付け、合計38万2,586例の小児が解析の対象となった。41万9,440人年において5,503例が死亡した。 生後1~59ヵ月の小児の死亡率は、プラセボ群が1,000人年当たり13.9例(95%信頼区間[CI]:13.0~14.8)であったのに対し、小児アジスロマイシン群は11.9例(11.3~12.6)と有意に低かった(アジスロマイシン群で14%[95%CI:7~22]低いことを示す、p<0.001)。 生後1~11ヵ月の乳児の死亡率は、乳児アジスロマイシン群が1,000人年当たり22.3例(95%CI:20.0~24.7)、プラセボ群は23.9例(21.6~26.2)であり、両群間に有意な差を認めなかった(アジスロマイシン群で6%[95%CI:-8~19]低いことを示す)。 また、生後12~59ヵ月の小児の死亡率は、プラセボ群が1,000人年当たり12.0例(95%CI:11.2~13.0)であったのに比べ、小児アジスロマイシン群は10.7例(10.0~11.4)と良好であった(アジスロマイシン群で13%[95%CI:4~21]低いことを示す)。重篤な有害事象は全体で5件 生後12~59ヵ月の小児の死亡率は、乳児アジスロマイシン群が1,000人年当たり12.2例(95%CI:11.3~13.1)であり、プラセボ群の12.0例(11.2~13.0)との間に差はなかった(両群の差:0%[95%CI:-12~9])。生後1~11ヵ月の乳児の死亡率は、乳児アジスロマイシン群の1,000人年当たり22.3例(20.0~24.7)と比較して、小児アジスロマイシン群は18.5例(16.7~20.4)と良好だった(小児アジスロマイシン群で17%[95%CI:4~28]低いことを示す)。 重篤な有害事象は5件報告され、プラセボ群3件、乳児アジスロマイシン群1件、小児アジスロマイシン群1件であった。 著者は、「今後、抗菌薬耐性の監視を行う必要がある。全体として、本試験では季節性マラリアの化学予防を受けている死亡率の低い地域でも、生後1~59ヵ月の小児への年2回のアジスロマイシン配布により、死亡率が低下することが示された」と述べ、「これらの結果は、配布対象を生後1~11ヵ月の乳児に限定することは、生後1~59ヵ月のすべての小児への配布に比べ有効ではないことを示すエビデンスとなる」としている。

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認知症リスクを高める修正可能な因子、2つが追加

 新たな研究により、認知症発症のリスクを高める修正可能なリスク因子のリストに、視力喪失と高コレステロールの2つが加えられた。研究グループは、いずれの因子も予防が可能であるとし、その具体的な方法もアドバイスしている。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のGill Livingston氏らが中心となって、認知症の予防や介入、ケアに関する最新の研究や取り組みを取りまとめた、今回で3報目となるこの報告書は、「Dementia prevention, intervention, and care 2024」として、「The Lancet」に7月31日掲載された。 Livingston氏は、「本研究は、認知症リスクを抑制するためにできることやするべきことは、まだたくさんあることを明らかにした。行動を起こすのに早過ぎることも遅過ぎることもない。人生に影響を与えるチャンスは常にある」とUCLのニュースリリースで述べている。さらに同氏は、「リスクにさらされる時間が長ければ長いほど、その影響は大きくなること、また、リスクは脆弱な人においてより強く作用するということに関するさらに強力なエビデンスが得られた。だからこそ、予防を最も必要とする人に対して、予防の努力を倍加させることが不可欠なのだ」と主張している。 前回の2020年の報告書では、認知症のリスク因子として12因子が特定されていた。それらは、教育不足、頭部外傷、運動不足、喫煙、過度の飲酒、高血圧、肥満、糖尿病、難聴、うつ病、社会的孤立、大気汚染である。今回は、最新のエビデンスに基づき、これらの12因子に新たに40代頃からの高LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値と視力喪失が追加された。 今回の研究では、世界中で認知症発症との関連が最も強いのは難聴と高LDLコレステロール値であり、これらの因子を予防することで、それぞれ認知症の発症を7%ずつ予防できるものと推定された。次いで関連が強かったのは、人生早期における教育不足と社会的孤立で、それぞれ認知症の発症を5%ずつ予防できると推定された。 Livingston氏は、「定期的な運動、禁煙、中年期の認知活動(正式な教育以外も含む)、過度の飲酒を避けるなどの健康的なライフスタイルは、認知症リスクを低下させるだけでなく、認知症の発症を遅らせる可能性がある。つまり、いつか認知症を発症するにしても、認知症患者として生きる年数を短くできる可能性が高いということだ。このことは、個人の生活の質(QOL)に対して大きな影響を及ぼすだけでなく、社会的に見ても大幅なコスト削減につながる」と話す。 一方、新たに加わった2つのリスク因子について研究グループは、医師に対し、中年期以降にコレステロール値が上昇する人を見つけ出して治療することを促すとともに、視力低下のスクリーニングと治療をより身近なものにするよう求めている。 大気汚染が認知症のリスク因子であることはあまり知られていないが、2023年に発表された研究では、米国で毎年18万8,000件近くの認知症が大気汚染によって引き起こされている可能性があると推定されている。さらに、山火事の煙に曝露すると認知症の診断リスクが高まる可能性があるとする研究結果も、米フィラデルフィアで開催されたアルツハイマー病協会年次総会で発表されている。この研究を率いた米ペンシルバニア大学神経学分野のHolly Elser氏は、「山火事は日常生活を大混乱に陥れるため、そのストレスや不安、日常生活の崩壊が、未診断の認知症を露わにすることがあるのではないか」とCBSニュースに対して語っている。

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ニルマトレルビル・リトナビルの曝露後予防効果が示唆された―統計学的問題について(解説:谷明博氏)

 本研究は実薬群(ニルマトレルビル・リトナビル群)の約30%以上の予防効果が示されているにもかかわらず、統計学的有意差が得られなかった研究である。臨床的に有意であるのと、統計学的に有意であるのとは別物であるということを認識しないと、この研究を正しく評価できなくなるので注意が必要だ。 この研究はイベント数が小さいために、検出力の低い試験であり、有意差が得られにくい試験であった。検出力はエントリー症例の大小ではなく、イベント数の大小で決まるものである。たとえ1万例がエントリーしていても、イベント数が数例では統計学的に有意差を得ることはできない。本研究のイベント数はいずれも20例前後ときわめて小さく、これで統計学的に有意差が得られなかったからといって、「臨床的に役に立たない」とまでは言えないのではないか。 この研究の解析では各群を別々に検定しているが、その場合、次の問題点が生じる。1)各群のイベント数が小さくなり、検出力不足となるため統計学的に有意差がつかなくなる。2)各群を別々に検定することは検定の多重性の問題が生じる。 したがって、本研究のようなイベント数が小さい場合は以下の方法で解析することが推奨されている。1)イベントを全体でまとめて解析し検定する。検定は1回のため多重性の問題は生じない。2)群間の効果の差をみるには、群ごとに別々に解析をするのではなく、サブ解析を行って群間の交互作用を調べる。 これに従って解析してみた。5日間投与例と10日間投与例は重なっていないので単純に足し合わせる。症候性感染例と無症候性感染例も重なっていないので単純に足し合わせる。 すると、結果は以下のようになる。コントロール群7%(59/840)、実薬群4.5%(75/1,674)リスク低下36.2%(7.9~64.6%、 p=0.012)と、有意に感染予防効果が示された。 次に、群間のサブグループ解析であるが、5日間投与群と10日間投与群の効果の相互作用のp値は0.78で差はなく、症候性群と無症候性群の交互作用のp値は0.29で、こちらも有意ではない。 したがって、結論は以下のようになる。「ニルマトレルビル・リトナビルの曝露後予防効果が示唆された。その効果は5日間投与と10日間投与で差はなく、また症候性か無症候性であるかによっても効果に差はみられなかった。」 ただし、今回の私の解析は後解析であるためエビデンスとはならず、「~である可能性が示唆された」という表現となる。もし、この研究の試験デザインで最初からこの解析法が採用されていれば、検証試験であったため「~であることが証明できた」と結論することができたであろうに。

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第226回 医療従事者の熱中症リスク、アンケートでみえてきたこと

昨今の報道でよく話題になるのが猛暑と台風だ。今年の7月の平均気温は2年連続過去最高を更新。福岡県太宰府市では8月27日まで最高気温が35℃以上の猛暑日が40日連続となり、国内の連続猛暑日最長記録を更新した。もっともそろそろ9月になるので暑さも和らぐかと思いきや、気象庁の3ヵ月予報によると、今年の9~10月の平均気温は全国的に高いとのこと。気象庁の異常気象情報センターは「残暑が厳しく、秋の訪れが遅くなる見込みのため、油断をせずに熱中症対策を続けてほしい」と呼び掛けている。その警戒すべき熱中症だが、総務省消防庁の集計では、7月の熱中症による救急搬送者は全国で4万3,195人。同集計が始まった2008年以降、2018年の5万4,220人に次ぐ多さとなっている。ちなみにこのうち死者は62人。入院が必要な「中等症」「重症」の合計は全体の3分の1以上にあたる1万5,326人で、搬送者の59%が65歳以上の高齢者である。以前から外気温の上昇やのどの渇きに対する感度が加齢により低下した高齢者では、熱中症の罹患とそれによる死亡リスクが高いのは周知のことである。加えて現在の国内高齢者層は家庭にエアコンが常備されていない時代を経験している世代のためか、エアコン使用そのものを避けたがる傾向があることなども、熱中症リスクの高さに影響していると言われる。そのような最中、たまたま見かけたある調査結果に驚愕している。人材マッチング事業を行う株式会社SOKKIN(本社:東京都新宿区)が2024年8月中旬に現役介護士を対象に実施したインターネット調査「(介護士限定)介護士の熱中症対策に関する簡単アンケート」の結果1)である。そもそも営利企業が行う調査は自社サービスを売り込むための我田引水の傾向があるため、自分の場合は流し読みすることがほとんど。しかも、この調査は回収サンプル数が59票と極めて小規模で本来ならば事実上無視するレベルのものだが、内容があまりにも想像を超えており、かつ同種の調査結果はほとんど見かけないため、ついつい読み込んでしまった。ちなみに調査回答者の年齢層は、30代までが7割強とかなり若年層であることも特徴的である。無視できない介護職のアンケート結果その内容なのだが、「勤務中に暑さが原因での体調不良を経験したことはありますか?」との問いに対しては「経験がある」との回答が93%、「勤務中に熱中症にかかったことはありますか?」との問いに対しては「頻繁にある」が7%、「ある」が54%。ざっくり言えば介護職の大半が業務中に熱中症を経験しているというのだから驚きしかない。ちなみに暑さが原因の体調不良に関しては、症状と発症したシチュエーションに関する自由記述回答も公開されており、「入浴介助が続き、飲水や休憩が取れなくて、頭痛や倦怠感が出現した(30代女性)」に代表されるような入浴介助に関するものが目立つ。確かに真夏の入浴介助の場合、日中の暑い時間はかなり湿気の高い環境になるので熱中症になる危険性が高まるだろう。また、これ以外には「クーラーが嫌いな利用者がいるので、そこの部屋はムシムシしていて暑さが強烈。扇風機だけ回して過ごしており、お風呂の手伝いや着替えなどさせている時に汗がダラダラ出てきて、終わった頃には全身びしょびしょになっている。汗をかき過ぎてめまいや吐き気がすることがあり、その時は車に戻ってエンジンをかけて休ませてもらっている(40代男性)」「施設内でもしっかり冷房が効いている場所とそうでない場所があり、洗濯物を干す時や倉庫に近い備品の補充などそうでない場所での作業が続いて、疲れやすさなどの体調不良が起きた(40代女性)」という記述もある。訪問系サービスの場合、自由記述の回答にあったように、利用者のエアコン嫌いなど相手方の環境に左右されるのが実状だが、後者のように施設系サービスでもリスクを抱えていることは驚きだった。しかも、調査回答者の勤務サービス種別では施設系が7割超。調査回答者の大半が勤務中の熱中症を経験している事実と重ね合わせれば、施設内勤務でもそれなりに熱中症リスクがあると解釈しなければ辻褄が合わないことになる。このあたりは利用者本人による室温設定ができるユニット型の施設が増加していることを考慮すれば、一部の説明がつくかもしれない。そして、同調査によると回答者の8割以上が自衛策として「こまめな水分補給」を行っているが、職場の熱中症対策については「対策はあるが不十分」が最多の59%、「十分な対策はある」が22%、「対策がない」が19%で、回答者の約8割が職場の熱中症対策が十分でないと指摘している。さて、医療者はどうなのかさてこの調査結果を知って気になったのが「では医師や看護師はどうなのだろう?」ということだ。この疑問から今回の介護職の熱中症実態調査に類する医師・看護師版の調査がないものかと検索をしてみたのだが、それらしきものは私の検索した範囲では見当たらない。批判を招く表現になるが、医師・看護師は介護職と比べれば“雲上人”なので、より快適な環境で業務についているのでは? という解釈もあるだろう。だが、介護関係でも介護老人保健施設(老健)のように医師が常勤している施設もあるし、看護師の場合は老健だけでなく介護老人福祉施設(特養)でも常勤者がいる。さらに昨今では在宅医療が増加し、それに応じて訪問看護ステーションも雨後の筍のごとく各地で開設され、医師・看護師が患者宅を訪問する機会はかなり増加している。ということは、勤務中の医療従事者の熱中症の実態は、単に少ないゆえに見逃されている、あるいは水面下でくすぶっているということだろうか?昨今の猛暑による熱中症リスク増加で、メディアでは一般市民に向けて熱中症リスクを訴える医師はよく見かけるが、「紺屋の白袴」でなければ良いのだが…と老婆心ながら思ってしまう。なお「勤務中に熱中症になってしまった」という医師・看護師の方がいらしたら、ぜひ体験談を聞きたいとも思っている。参考1)1)株式会社SOKKIN:現役介護士にアンケート!介護士に聞いた熱中症対策アンケート調査

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脾腫の鑑別診断(2)[感染症編]【1分間で学べる感染症】第10回

画像を拡大するTake home message脾腫の感染症の鑑別診断は「MESHBELT」で覚えよう。今回は脾腫の鑑別診断、とくに感染症に焦点を当てて学んでいきましょう。前回は脾腫の鑑別診断を「CHINA」で覚えました。脾腫を来した患者を診る場合には、この「CHINA」に加えて感染症疾患の多様な鑑別診断を念頭に置いて、精査やリスクに応じた治療を開始することが重要です。脾腫を来す感染症で頻度が高いものとしては、EBウイルスやCMVなどによる伝染性単核球症が重要です。また、海外からの渡航者であれば渡航地域のリスクによって、マラリアや腸チフスなど、地域特有の疾患を考える必要があります。さらには、ネコの曝露によりバルトネラやトキソプラズマ、ネズミや汚染された土壌・淡水などの曝露によりレプトスピラが考えられます。レプトスピラは農業従事者、下水管作業従事者、食肉処理業者だけではなく健常者でも報告があります。最後に、感染性心内膜炎の合併症としては、免疫複合体による脾梗塞の機序や菌体そのものが脾膿瘍を引き起こして脾腫を来すこともあるため、注意が必要です。脾腫を来した患者を診る場合、まずは感染症の診断・除外が重要になります。それぞれの疾患に対してのリスクを問診や身体所見、そのほかの他覚的所見で絞り込むようにしましょう。1)Aldulaimi S, et al. Am Fam Physician. 2021;104:271-276.

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高身長とがんリスク~東アジア人での関連

 身長とがんリスクの関連が示唆されているが、ほとんどの研究は欧米人を対象としておりアジア人を対象とした研究は少ない。今回、中国・Fudan UniversityのYougen Wu氏らが中国人の前向きコホートで解析したところ、高身長ががん全体、肺がん、食道がん、乳がん、子宮頸がんのリスクと有意に関連していた。さらに、中国・日本・韓国のデータを用いたメンデルランダム化解析により、高身長が肺がんおよび胃がんのリスク因子である可能性が示唆された。Cancer Epidemiology誌2024年10月号に掲載。 本研究では、中国のChina Kadoorie Biobank(CKB)前向きコホートのデータを用いて観察的解析を実施し、調整後のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)をCox比例ハザードモデルを用いて推定した。また、CKB、日本のBiobank Japan、韓国のKorean Genome and Epidemiology Studyのデータを用いた2標本メンデルランダム化解析により身長とがんの因果関係を検討した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値10.1年で2万2,731例にがんが発生した。・観察的解析では、ボンフェローニ補正後、身長10cm増加当たりのHRは、がん全体で1.16(95%CI:1.14~1.19、p<0.001)、肺がんで1.18(同:1.12~1.24、p<0.001)、食道がんで1.21(同:1.12~1.30、p<0.001)、乳がんで1.41(同:1.31~1.53、p<0.001)、子宮頸がんで1.29(同:1.15~1.45、p<0.001)で、身長が高いとリスクが有意に上昇した。また、悪性リンパ腫で1.18(同:1.04~1.34、p=0.010)、大腸がんで1.09(同:1.02~1.16、p=0.010)、胃がんで1.07(同:1.00~1.14、p=0.044)で、リスク上昇が示唆された。・メンデルランダム化解析では、遺伝的に予測される身長の1標準偏差(8.07cm)増加当たりのオッズ比は、肺がんで1.17(95%CI:1.02~1.35、p=0.0244)、胃がんで1.14(同:1.02~1.29、p=0.0233)で、高身長でリスク上昇が示唆された。

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アレクチニブ、ALK陽性非小細胞肺がんの術後補助療法に承認/中外

 中外製薬は2024年8月28日、ALK阻害薬アレクチニブ(商品名:アレセンサ)について、「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺における術後補助療法」に対する適応追加承認を取得したと発表。 今回の承認はIB期(腫瘍径4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に実施されたグローバル第III相臨床試験であるALINA試験の成績に基づいている。同試験において、アレクチニブはプラチナベースの化学療法と比較して、対象患者の再発または死亡リスクを76%低下させた(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.13〜0.43、p<0.0001)1)。また、アレクチニブの安全性および忍容性は、転移のあるALK陽性NSCLCを対象とした過去の試験と同様であり、新たな所見は認められなかった。 なお、同療法において化学療法の併用は義務付けられておらず、アレクチニブの用量は600mg×2/日、投与期間は24ヵ月までとされている。電子化添付文書情報 ※下線部について変更・追加販売名:アレセンサ カプセル150mg一般名:アレクチニブ塩酸塩カプセル効能又は効果:ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺における術後補助療法用法及び用量:〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺における術後補助療法〉通常、成人にはアレクチニブとして1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。ただし、投与期間は24ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

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ドナー心臓の低温酸素化灌流で心臓移植は改善するか/Lancet

 心臓移植において、ドナー心臓の持続的低温酸素化機械灌流(hypothermic oxygenated machine perfusion:HOPE)は単純冷却保存(static cold storage:SCS)と比較して、主要エンドポイントに有意差はなかったものの、1次エンドポイントのイベントリスクを44%減少させ、移植後合併症が減少するとともに原発性移植片機能不全(primary graft dysfunction:PGD)の低減に有益であることが示唆された。ベルギー・University Hospitals LeuvenのFilip Rega氏らNIHP2019 investigatorsが、欧州8ヵ国(ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、英国、スペイン、オーストリア、スウェーデン)の移植センター15施設で実施した国際共同無作為化非盲検比較試験「NIHP2019試験」の結果を報告した。SCSは、ドナー心臓保存のゴールドスタンダードであるが、虚血、嫌気的代謝、臓器損傷を伴い、患者の合併症と死亡につながっていた。著者は、「HOPEによるドナー心臓の保存は、移植片保存に関連する既存の課題と、ドナーおよび心移植レシピエントにおける複雑性の増大に対処するもので、今後の研究によりHOPEの有益性がさらに明らかになるであろう」とまとめている。Lancet誌2024年8月17日号掲載の報告。ドナー心臓の保存法、HOPE vs.SCSに無作為化 研究グループは、欧州8ヵ国の移植センター15施設において、心臓移植の候補となる18歳以上の成人を登録し、移植の直前に治療群と対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 治療群(HOPE群)では、保存プロトコールとして、安静時のドナー心臓のHOPEを確保するポータブル機械灌流システムを使用した。対照群(SCS群)のドナー心臓は、標準的な方法により虚血下SCSを行った。 ドナーは、年齢18~70歳で、過去に胸骨切開手術を受けたことがなく、脳死後にドナーとなったことを適格基準として、試験とは無関係に、地域のシステムに従いレシピエントとマッチングされた。 1次エンドポイントは、移植後30日以内の心臓関連死、左心室の中等度または重度の原発性移植片機能不全(primary graft dysfunction:PGD)、右心室のPGD、grade 2R以上の急性細胞性拒絶反応、または生着不全(機械的循環補助の使用または再移植を伴う)のいずれかが最初に発生するまでの時間で、主要解析対象集団(mITT集団)は、無作為化され適格基準と除外基準を満たし、移植を受けた全患者とした。また、無作為化され移植を受けた全患者を対象に安全性について評価した。SCSと比較しイベントリスクは44%減少 2020年11月25日~2023年5月19日に、計229例の患者が登録され(HOPE群119例、SCS群110例)、このうち204例(それぞれ101例、103例)がmITT集団に組み入れられた。また、HOPE群に割り付けられた患者で、装置等の問題によりSCSを用いて移植を受けた患者があり、安全性解析対象集団はHOPE群97例、SCS群125例であった。装置に関連した問題により廃棄されたドナー心臓はなかった。また、移植を受けたが追跡不能となった患者はいなかった。 1次エンドポイントのイベントは、HOPE群で101例中19例(19%)、SCS群で103例中31例(30%)に認められ、HOPEによりイベントリスクが44%減少した(ハザード比:0.56、95%信頼区間[CI]:0.32~0.99、log-rank検定のp=0.059)。1次エンドポイントのイベントのうち、PGDの発生はHOPE群11例(11%)、SCS群29例(28%)であった(リスク比:0.39、95%CI:0.20~0.73)。 重篤な有害事象は、HOPE群では63例(65%)に158件、SCS群では87例(70%)に222件報告された。2次エンドポイントである主要有害心臓移植イベント(MACTE)は、HOPE群で18例(18%)、SCS群で33例(32%)に認められた(リスク比:0.56、95%CI 0.34~0.92)。

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子宮移植、成功率は70%で全例生児出産/JAMA

 子宮移植は技術的に可能であり、移植子宮生着後の生児出産率は高かった。米国・ベイラー大学医療センターのGiuliano Testa氏らが、「Dallas Uterus Transplant Study:DUETS試験」の結果を報告した。有害事象は一般的で、医学的および外科的リスクはドナーだけでなくレシピエントにも影響を及ぼしたが、現在までのところ出生児に先天異常や発育遅延は発生していないという。絶対的子宮性不妊症は500人に1人の割合で発生し、生殖医療における障壁となっているが、子宮移植により妊娠・出産できる可能性が示されている。JAMA誌オンライン版2024年8月15日号掲載の報告。少なくとも1回の生児出産を伴う移植子宮生着と安全性を評価 研究グループは、2016年9月14日~2019年8月23日に子宮移植を行った。レシピエントの適格基準は、絶対的子宮性不妊症で、少なくとも1つの卵巣は機能しており、体外受精を受ける意思があり、医学的・心理学的基準を満たした20~40歳の女性であった。ドナーは、25~65歳で少なくとも1回の正期産の出産経験があり、医学的・心理学的合併症がないこととした。 ドナー子宮の摘出は、生体ドナー18例のうち最初の13例は開腹手術、5例は低侵襲ロボット支援経膣的子宮摘出術、死亡ドナー2例は開腹手術にて行われた。 レシピエントは、移植前に良質な正倍数性受精卵を2個以上(11例目以降のレシピエントは4個)得ている必要があった。 子宮移植は、子宮静脈と両側外腸骨血管の血管吻合を行い、同所的に行われた。移植後は、1~2回の生児出産後まで、または移植が失敗し移植された子宮が摘出されるまで免疫抑制薬を投与した。 主要アウトカムは、子宮移植の有効性(少なくとも1回の生児出産を伴う移植子宮生着)、副次アウトカムは安全性とした。20例中14例、70%で子宮移植に成功 移植を希望した701例中、適格基準を満たした20例(年齢中央値30歳[範囲:20~36]、アジア人2例、黒人1例、白人16例)がレシピエントとして登録された。うち18例は先天性子宮欠損症、2例は良性疾患による子宮摘出の既往であった。生体ドナー18例の年齢中央値は37歳(範囲:30~56)であった。 20例中14例(70%)で子宮移植が成功し、14例全例が少なくとも1回、生児出産した。移植に失敗した6例(死亡ドナー2例中1例、生体ドナー18例中5例)のうち、1例は移植後数時間以内の動脈出血による出血性ショックが原因で、5例は血管吻合部の血栓、あるいは子宮微小血管系の既存のアテローム性動脈硬化性変化に起因し、いずれも移植後2週間以内に生じた。 レシピエント20例中11例に少なくとも1件の合併症がみられた。母体および/または産科合併症は、成功した妊娠の50%で発生し、主なものは妊娠高血圧(Gestational hypertension)、子宮頸管無力症、早産(各2例[14%])であった。出生児16例に先天性奇形は認められなかった。生体ドナー18例中4例にGrade3の合併症がみられた。

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限界に近いトレーニングは筋肥大に有効?

 ウェイトリフティングをする人の間で人気のあるトレーニングは、「training to failure(失敗するまでトレーニングする)」、つまり、エクササイズでそれ以上おもり(ウェイト)を持ち上げられなくなるまでレップ(動作の反復の1回が1レップ)を繰り返す方法である。このトレーニング方法は、筋肉を大きくするのには役立つが、筋力の増強にとっては限界までやるかやらないかは関係しない可能性のあることが新たな研究で明らかになった。米フロリダ・アトランティック大学(FAU)生体医科学部(Charles E. Schmidt College of Biomedical Sciences)のMichael Zourdos氏らによるこの研究の詳細は、「Sports Medicine」に7月6日掲載された。 この研究では、55件の先行研究のデータを分析して、限界に近いレップ数で行うトレーニングが、主に、エクササイズで使用される主要な筋肉の肥大と筋力増強にどのような影響を及ぼすのかが検討された。その結果、トレーニングをまだ余力のあるレップ数でやめても、限界に近いレップ数で行っても、筋力増強の程度は同様であることが明らかになった。その一方で、筋肥大については、限界に近いレップ数でトレーニングを行う方が効果の大きいことも示された。 Zourdos氏は、「筋肉を大きくしたいのであれば、トレーニングを限界に近いレップ数で行う方が効果的だろう。言い換えると、セット数やレップ数の変更によりトレーニングのボリュームを変えても、自分の限界に近いトレーニングと筋肥大との関連には影響しないということだ」と述べている。 研究グループは、筋肉を大きくしたい人に対しては、怪我を防ぐためにも、限界よりも0〜5回少ないレップ数でトレーニングを実施するべきだとアドバイスしている。また、筋力を増強させたい人に対しては、限界に近い状態まで行うのではなく、負荷を大きくしてトレーニングを行い、レップ数を限界よりも3〜5回少なくすると良いと述べている。 論文の筆頭著者である、FAU運動科学・健康増進学科分野のZac Robinson氏は、「限界に近いトレーニングは、自分があと何レップできるかに関する自己報告の精度を高める。あと何レップできるのかの見積もりは選ぶウェイトに影響を与える。見積もりが外れると、本来必要とされるよりも軽いウェイトを使用することも考えられ、そうなると、筋力の向上も制限される可能性がある。その一方で、本研究では、限界に近いトレーニングがより大きな筋肉の成長につながることも示された。よって、平均的な人にとっては、体力に対する感覚の精度と筋肉のサイズの向上の両方を改善する限界に近いトレーニングが最適な選択肢なのかもしれない」と述べている。

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新クラスの抗菌薬、「人喰いバクテリア」にも有効か

 新たな抗菌性化合物により、マウスに感染した化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)を効果的に除去できることを示した研究成果が報告された。S. pyogenesは「人喰いバクテリア(劇症型溶血性レンサ球菌感染症)」の主な原因菌であり、この細菌による感染症により毎年50万人が死亡している。研究グループは、「この化合物は、薬剤耐性菌との闘いにおいて貴重な存在となり得る、新規クラスの抗菌薬の第1号となる可能性がある」と述べている。米セントルイス・ワシントン大学医学部分子微生物学分野のScott Hultgren氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に8月2日掲載された。 ペプチドミメティックなジヒドロチアゾロ環縮合2-ピリドンという分子構造を持つこの新しい化合物は、「GmPcides」と名付けられている。当初、Hultgren氏らは、共同研究者であるウメオ大学(スウェーデン)化学分野のFredrik Almqvist氏に、尿道カテーテルの表面に細菌のバイオフィルムが付着するのを防ぐ化合物の開発を依頼したが、結果的に、この化合物が複数の種類の細菌に対して感染防止効果を持っていることが判明したという。 論文の上席著者である、セントルイス・ワシントン大学医学部分子微生物学分野のMichael Caparon氏は、「エンテロコッカス属やブドウ球菌、クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)など、われわれがテストした全てのグラム陽性菌がこの化合物に対して感受性を示した」と話す。グラム陽性菌は細胞壁が厚く、感染時にさまざまな毒素を放出する傾向があり、薬剤耐性の黄色ブドウ球菌感染症、中毒性ショック症候群、その他の致命的な感染症の原因となっていると研究グループは説明する。 今回の研究では、S. pyogenesに感染させたマウスを用いて、皮膚軟部組織感染症(SSTI)に対するGmPcidesの効果が検討された。壊死性筋膜炎などで知られる皮膚軟部組織感染症には複数の細菌が関与し、症状の進行が早く、感染の広がりを抑えるために肢の切断を要する場合もあり、罹患者の約20%が死亡する。 その結果、GmPcidesを投与されたマウスでは未治療のマウスに比べて、体重減少が少なく、感染による症状として現れる潰瘍が小さく、感染からの回復も速いことが示された。 ただし、GmPcidesがどのようにしてこのような効果をもたらすのかは明確になっていない。しかし、顕微鏡による観察からは、GmPcidesが細菌の細胞膜に重要な影響を与えていることが示されている。Caparon氏は、「細胞膜の機能の1つは、外部からの物質を排除することだ。GmPcidesによる処理後5〜10分以内に膜が透過性を持ち始め、通常は排除されるべきものが細菌の中に入り込むようになることが分かっている」と説明する。GmPcidesによる細胞膜の損傷は、細菌が宿主に対して損傷を引き起こす機能や、宿主の免疫応答に対抗する能力を低下させることが考えられるという。 さらにGmPcidesによる治療では、薬剤耐性菌の発生が少ない可能性も示された。薬剤耐性菌を作成する実験では、治療に耐えられる細胞はごくわずかであり、そのため耐性を持つ菌が次世代に引き継がれることはほとんどなかった。 以上のように有望な結果が得られたとはいえ、Caparon氏は、GmPcidesが病院や薬局で入手できるようになるまでには、まだ時間がかかると話す。同氏らは、この研究で使用された化合物の特許を取得し、彼らが所有権を持つ企業QureTech Bio社にライセンスを供与した。同氏らはこの企業と協力して製薬開発や臨床試験を進め、GmPcidesを市場に出すことを計画している。

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アートやクラフトの制作は心の健康に良い影響を与える

 絵画や彫刻、陶芸のような創造的・創作的な趣味は、心の健康を維持するという点では仕事と同等以上の効果を持つ可能性のあることが、英国の新たな研究で明らかになった。論文の筆頭著者である英アングリア・ラスキン大学のHelen Keyes氏は、「クラフト制作やアーティスティックな活動は、人々の人生に対する価値観を予測する上で有意に影響することが示された」と述べている。この研究の詳細は、「Frontiers in Public Health」に8月16日掲載された。 この研究では、英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省が毎年実施している調査「Taking Part Survey」への2019〜2020年の参加者7,182人のデータが解析された。調査参加者は年齢、性別、居住地の郵便番号(重複剥奪指標〔IMD〕を調べるため)、健康状態、雇用状況などのほか、過去12カ月間に絵画やドローイング、彫刻、写真撮影、刺繍、パソコンでの音楽やアートの制作、陶芸などのアートやクラフトの制作(creating arts and crafting;CAC)を行ったか否かを尋ねられていた。また、4つの質問で構成された評価尺度により主観的なウェルビーイング(人生に対する満足度・価値観、幸福感、不安)、1項目の質問により孤独感の評価が行われていた。 対象者の37.4%が過去12カ月の間にCACを1種類以上行っていた。解析の結果、過去12カ月間におけるCACの実施、健康状態、年齢増加、居住地域の豊かさは人生に対する満足度を予測する重要な因子であり、中でもCACは居住地域の豊かさよりも強く影響することが明らかになった。また、CACは人生に対する価値観や幸福感にも有意な影響を与え、人生に対する価値観に対しては雇用状況と同等以上の影響を及ぼすことが示された。一方で、CACは孤独感や不安には有意な影響を与えていなかった。 Keyes氏はこれらの結果について、「CACが主観的ウェルビーイングにもたらす影響は、雇用状況や貧困レベルなどを考慮した後でも確認された。つまりCACは、雇用状況などの他の側面を超えて、幸福感にプラスの影響を与える可能性がある」と「Frontiers in Public Health」誌のニュースリリースの中で述べている。また同氏は、「CACの影響は雇用状況が与える影響よりも強かった。これは、CACが達成感をもたらすだけでなく、自己表現への有意義な手段でもあるためだろう。仕事は、必ずしも自己表現の手段となるわけではない」と述べている。 ただし、本研究は関連性を示すことのみを目的として設計されているため、CACと主観的ウェルビーイングの因果関係が証明されたわけではない。 Keyes氏は、自身の生活の中でも熱心にアート制作やDIYを行っているとし、「自分の仕事の成果が目の前に現れるのは、確かに大きな満足感をもたらす。一つの作業に集中し、創造的に頭を働かせるのは素晴らしい体験だ」と話す。そして、「本研究の結果を受け、政府や国の保健サービスは、ウェルビーイングとメンタルヘルスの促進と予防のアプローチの一環として、クラフト活動への資金提供とその促進、あるいはリスクのある人々へのこうした活動の社会的処方を検討するかもしれない」と話している。

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患者さんの自己流運動へのチェックも大事(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者医師患者医師最近、足腰が弱ってきて…。立ち上がるときに「よっこいしょ!」なんてかけ声が必要だったりして…。ハハハ…。それ、私です。何か、対策はされていますか?たまに、スクワットをしているんですが…。どんな風にされていますか?こんな感じです(実演)…回数は50回くらいです。なるほど。…もっと効果的な「7秒スクワット」というのがありますよ。患者 7秒スクワット、どんなスクワットなんですか?(興味津々)画 いわみせいじ医師 ちょっと、やってみましょうか。(実演)5秒かけてゆっくりと腰を落としていきます(伸張性収縮)。そのあと2秒間キープします(等尺性収縮)。そして、反動をつけずに立ち上がります(短縮性収縮)。患者 これ結構、効きますね。今までの私がやっていたスクワットとは全然、違いますね。どのくらいの回数をやったらいいですか?医師 1セット10回を3回。これを週に2回からスタートしてみてください。患者 はい、わかりました。頑張ってやってみます(嬉しそうな顔)ポイント自己流ではなく、筋グリコーゲンを使い切る効果的なスクワットの方法について実演を交えながら説明します。Copyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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アポを取るべし【Dr. 中島の 新・徒然草】(544)

五百四十四の段 アポを取るべし台風の季節になりました。まだ遠くの海上にいても、何かと影響があるのでしょうか。大阪でも突然の激しい夕立に見舞われたりします。進路も気まぐれで、いつ来るかわかったもんじゃありません。困ったものです。さて、先日の総合診療科外来にやってきた男性。年齢は75歳くらいだったかな。3ヵ月ごとの通院患者さんです。患者「気がついたら首を吊っていて」中島「でも……生きてますよね」患者「紐が切れましてん」これはご本人に原因を語ってもらう必要がありそうです。中島「何でまた首なんか吊るんですか?」患者「どうも人と喋ることがないんで」この方は独居です。患者「誰かと喋るのは3ヵ月に1回、中島先生の外来に来たときだけですねん」そうでしたか。患者「それでワシは施設に入ったほうが、ええのとちゃうやろか」中島「……」患者「担当者に中島先生から電話してくれまへんか?」中島「電話ですか。担当者のお名前は何と仰るのでしょうか」そうすると何やら黄色いカードが出てきました。ケースワーカー○○と書いてあります。「この○○さんが担当で、電話番号はこれこれ」××区福祉課とあります。中島「なるほど」患者「ほな、電話してくれまっか?」中島「いやいや、電話はご本人がしたほうがいいですね」患者「ワシがやるんでっか」中島「そうです。ご自分で○○さんに電話して、何月何日何時に会うという約束をするんですよ」本当は「アポを取る」と言うべきなんでしょうけど、この患者さんに通じるかどうかわからないので、わかりやすく言いました。患者「いつも『忙しい、忙しい』と言われるからなあ」中島「そりゃあ忙しいでしょう。○○さんは、たぶん100人も200人も担当しているはずだし」患者「そんなにでっか!」中島「当たり前じゃないですか。だから電話した時には『15分で済みます』と言ってください。じゃないと、会ってくれないかもしれませんよ」患者「それで、この前に首を吊って、中島先生に『人と喋らなあかん』と言われた、と言ったらええんでっか?」中島「『首を吊った』とか『中島先生に言われた』とかは、やめておいたほうがいいですね」そんな話を○○さんが聞かされて「そりゃ大変だ!」となるとは思えません。それよりも端的に「人と話す機会が欲しい」と言うべきでしょう。中島「それと『施設に入れてくれ』というよりも、今の家に住んだままで参加できるような活動のほうがいいと思いますけど」患者「サークルとかそんなものでっか?」中島「そうそう、サークルみたいなのがあったら一番いいと思いますよ」患者「サークルかあ」この人、誰かと会うときはアポを取るという社会人としての振る舞いを、学ぶ機会がなかったのかもしれません。でも、そういった機会がなかったのなら、この場で学んだらいいことです。たとえ75歳であったとしても。とにかく、ケースワーカーの○○さんに相談する場合、電話でアポを取ること手短に用件を言って話を15分で終わらせること提案してもらった事には積極的に挑戦することを繰り返し強調しました。その上で、もし中島が支援することができるとしたら、○○さんが中島に連絡してきたら状況を説明する診断書など必要な書類があれば作成するということも説明しました。実際、私との会話を通じて、多少は前向きになってくれるのか、ちゃんと言われたことを実行したのか。それは次回に確認したいと思います。最後に1句台風と ともに学ぼう アポ取りを

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ジャガイモ料理を食べて嘔吐・下痢、対処法は?【これって「食」中毒?】第4回

今回の症例年齢・性別34歳・男性、28歳・女性患者情報新婚の夫婦は新居の庭に菜園を作り、手始めにジャガイモを栽培した。7月上旬に地上の茎の刈り取り(写真1)を行った後、イモ堀りをしてジャガイモをたくさん収穫した(写真2)。画像を拡大する早速、ジャガイモを煮たり、茹でたりして肉じゃがやポテトサラダにして夕食で食べた(写真3、4)。画像を拡大する夫はビールによる酔いも手伝って、妻よりも多量に摂取した。翌朝、激しい嘔気で目が覚め、トイレで嘔吐した。その後も嘔吐、下痢を繰り返し、腹痛や強い倦怠感も生じたため救急要請し、嘔気を訴えていた妻と一緒に某病院救急センターに搬送された。初診時は気道開通、呼吸数24/分、SpO2 98%(室内気)、血圧92/60mmHg、心拍数120bpm(整)、意識レベルJCS 0、体温37.8℃であった。頭痛、嘔気、腹痛、強い倦怠感を訴えていた。検査値・画像所見血液検査では白血球増多(8,900/µL)以外に特記すべき異常を認めなかった。胸腹部造影CTでは腸管の浮腫を認めた。問題

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ポケジェリ―AGS高齢者診療マニュアル

あなたのポケットにジェリアトリクス(老年医学)を!本書は、米国老年医学会(American Geriatrics Society)が刊行する、“Geriatrics At Your Fingertips”の翻訳版です。日本の超高齢社会において、すべての医師は老年医学のマインドセットを身につける必要があります。すなわち、内科学、総合診療を根幹におき、高齢者一人ひとりの尊厳を大切にする視点、特有の問題や複雑な症状を見極める洞察力、最適な薬剤・治療法を選択する判断力を加えた老年医学の考え方です。翻訳では全面的な薬剤監修も実施し、丁寧な日本化を試みました。実践で使いこなしながら学べる1冊になっています。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大するポケジェリ―AGS高齢者診療マニュアル定価6,930円(税込)判型B6変判頁数472頁発行2024年8月編著者山田 悠史(Brookdale Department of Geriatrics and Palliative Medicine, Icahn School of Medicine at Mount Sinai)原田 洸(Brookdale Department of Geriatrics and Palliative Medicine,  Icahn School of Medicine at Mount Sinai)榎本 貴一(練馬光が丘病院 薬剤室)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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