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長期のコロナ罹患後症状、入院後6ヵ月時点がカギに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、急性期以降の認知および精神医学的転帰のリスク増加と関連することが知られている。英国で行われた大規模研究ではCOVID-19による入院後2~3年間における認知・精神症状の進行を追跡し、その症状と就労への影響について調査した。The Lancet Psychiatry誌2024年9月号掲載の報告。 本研究は英国の臨床医コンソーシアムであるThe Post-hospitalisation COVID-19 study(PHOSP-COVID)の登録データを使い、英国全土の参加病院でCOVID-19の臨床診断を受けて入院した成人(18歳以上)を対象とした前向き縦断コホート研究だった。参加者は入院から2~3年の間に、客観的な認知機能、うつ病、不安障害、慢性疾患治療疲労機能を評価する課題と、主観的な認知機能を評価する質問票に回答した。また、参加者は就労状況の変化やその理由についても報告した。6ヵ月後、12ヵ月後、2〜3年後の追跡調査において症状の絶対リスクの変化を評価し、2〜3年後の症状が初期症状によって予測できるかを検討した。 主な結果は以下のとおり。・83病院の入院患者2,469例が対象となり、うち475例(男性284例[59.8%]、平均年齢58.3[SD 11.13]歳)が2~3年後の追跡調査時にデータを提供した。・参加者は、テストされたすべての認知領域において、社会人口統計学的に予想されるよりもスコアが悪かった。・多くの参加者が、軽度以上のうつ病(263/353例[74.5%])、不安(189/353例[53.5%])、疲労(220/353例[62.3%])、主観的な認知機能低下(184/353例[52.1%])を報告した。・5分の1以上が重度のうつ病(79/353例[22.4%])、重度の疲労(87/353例[24.6%])、重度の認知機能低下(88/353例[24.9%])を報告した。・抑うつ、不安、疲労は、6ヵ月後や12ヵ月後よりも2〜3年後のほうが悪化しており、既存の症状の悪化と新たな症状の出現の両方が認められた。新たな症状の出現は、6ヵ月後と12ヵ月後にほかの症状がみられた人に多くみられ、それ以前の時点で完全に良好であった人にはみられなかった。・2~3年後の症状は、COVID-19の急性期の重症度とは関連しなかったが、6ヵ月後の回復度、急性期のC反応性蛋白に関連するD-ダイマー値上昇、および6ヵ月後の不安、抑うつ、疲労、主観的な認知機能低下と強い関連がみられた。・2〜3年後の客観的な認知機能低下と関連する因子は、6ヵ月後の客観的な認知機能低下のみだった。・95/353例(26.9%)が「職業が変わった」と報告し、その理由として最も多いものは「健康不良」であった。職業の変化は、客観的な認知機能低下(オッズ比[OR]:1.51 )および主観的な認知機能低下(OR:1.54)と強く特異的に関連していた。 著者らは「精神症状および認知症状は、入院後2〜3年の間に、6ヵ月時点ですでに存在していた症状の悪化と、新たな症状の出現の両方により増加するようだ。新たな症状は6ヵ月時点ですでにほかの症状がみられる人に多くみられた。したがって、症状を早期に発見し管理することは、後に複合症候群が発症するのを防ぐ有効な戦略である。COVID-19は、客観的および主観的な認知機能低下を伴う。COVID-19の機能的・経済的影響を抑制するためには、認知機能の回復を促進する、あるいは認知機能の低下を予防するための介入が必要である」としている。

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体外受精、タイムラプスイメージングシステムは有益か/Lancet

 体外受精(in-vitro fertilisation:IVF)あるいは顕微授精(intracytoplasmic sperm injection:ICSI)の治療を受ける女性において、胚の培養および選択にタイムラプスイメージングシステムを用いても、これを用いない標準治療と比較して生児出産率の有意な上昇は認められなかった。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPriya Bhide氏らが、多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を報告した。タイムラプスイメージングシステムの使用は、胚を培養器から取り出さずundisturbedな培養状態で評価ができること、異常な胚の発育イベントを見逃さない利点があり、胚の選択を改善すると考えられること、およびその両者によってIVFやICSI治療を改善する可能性があるが、その有益性については明らかにされていなかった。Lancet誌2024年7月20日号掲載の報告。タイムラプスイメージングシステム、undisturbed培養、標準治療を比較 研究グループは、undisturbedな培養環境と胚の選択を提供するタイムラプスイメージングシステム(タイムラプスイメージングシステム群)と、undisturbedな培養環境のみを提供するタイムラプスイメージングシステム(undisturbed培養群)の有効性について、タイムラプスイメージングシステムを使用しない標準治療(対照群)と比較した。 試験は、英国と香港の7施設でIVFまたはICSIを受ける参加者を集め、3群並行にて行われた。 胚培養士が参加者を、Webベースシステムを用いて、クリニックで層別化してタイムラプスイメージングシステム群、undisturbed培養群、対照群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。割り付けについて、参加者と試験スタッフは盲検化されたが、胚培養士は盲検化されなかった。 参加条件は、女性は18~42歳、男性(すなわちパートナー)は18歳以上とし、カップルは1回目、2回目または3回目のIVFもしくはICSI治療を受けていること、配偶子ドナーを使用している場合は参加できないこととした。 主要アウトカムは、生児出産。ITTを原則とした解析を行い、主な解析は主要アウトカムのデータを入手できた参加者(Full Analysis Set:FAS)で報告した。生児出産率、いずれも標準治療とで有意差なし 2018年6月21日~2022年9月30日に1,575例(英国1,185例、香港390例)が無作為化された(各群525例)。 生児出産率は、タイムラプスイメージングシステム群33.7%(175/520例)、undisturbed培養群36.6%(189/516例)、対照群33.0%(172/522例)。対照群と比較した補正後オッズ比(OR)は、タイムラプスイメージングシステム群1.04(97.5%信頼区間[CI]:0.73~1.47)、undisturbed培養群1.20(0.85~1.70)であり、いずれも対照群との有意差は認められなかった。 リスク低下の絶対差は、タイムラプスイメージングシステム群と対照群では0.7%ポイント(97.5%CI:-5.85~7.25)、undisturbed培養群と対照群では3.6%ポイント(-3.02~10.22)であった。

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現金給付は、医療アクセスを改善するか/JAMA

 貧困は医療へのアクセスの大きな障壁となり、健康アウトカムの悪化と関連することが知られている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSumit D. Agarwal氏らは、現金給付が医療サービス利用と健康にベネフィットをもたらすかを無作為化試験で調べた。現金給付を受けた人では、とくに精神疾患や物質使用障害(substance use disorder:SUD)に関連した理由での救急外来の受診が有意に減少し、入院に至った救急外来の受診の減少や専門外来の受診の増加もみられた。著者は、「試験の結果は、所得支援の提供で貧困を軽減しようとする政策が、健康および医療アクセスに大きなメリットをもたらす可能性があることを示唆するものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年7月22日号掲載の報告。月額最大400ドルを給付、主要アウトカムは救急外来の受診 本試験は、マサチューセッツ州ボストン近郊の低所得者コミュニティであるチェルシー市が、現金給付を受ける人を抽選により選ぶ無作為化法にて行われた。2020年9月17日に抽選を行い、当選者には市庁舎でデビットカードを配布した。入金は、初回が同年11月24日、その後8ヵ月間に毎月行われ、当選者には月額最大400ドルが給付された。デビットカードの使用はVisaが使える場所ならどこでも可能であった。参加者の医療記録は、複数の医療システムと結び付いていた。 2020年11月24日~2021年8月31日の介入期間にアウトカムを評価。主要アウトカムは、救急外来の受診であった。副次アウトカムは、4つのタイプ別にみた救急外来の受診(入院に至った受診、精神疾患またはSUD[アルコール、薬物]に関連した受診、SUDに関連した受診、回避可能だった救急外来受診[緊急性の低い状況で治療できた可能性のある受診])、外来全体および専門外来の利用状況、COVID-19ワクチン接種、コレステロール値などのバイオマーカーなどであった。現金給付により救急外来の受診が有意に減少 抽選に応募したのは2,880例で、平均年齢45.1歳、女性が77%を占めた。 現金給付を受ける群に割り付けられた1,746例は対照群と比較して、救急外来の受診が有意に少なかった(217.1 vs.317.5件/1,000人、補正後群間差:-87.0件/1,000人[95%信頼区間[CI]:-160.2~-13.8])。これには、精神疾患またはSUD関連の受診(-21.6件/1,000人[-40.2~-3.1])、SUD関連の受診(-12.8件/1,000人[-25.0~-0.6])および入院に至った受診(-27.3件/1,000人[-53.6~-1.1])の減少が含まれた。 現金給付は、すべての外来受診(424.3件/1,000人[95%CI:-118.6~967.2])、プライマリケア受診(-90.4件/1,000人[-308.1~127.2])、精神疾患またはSUDの専門外来受診(83.5件/1,000人[-182.9~349.9])には、統計学的に有意な影響を及ぼさなかった。 その他の専門外来受診は、対照群と比較して現金給付群でより多く(303.1件/1,000人[95%CI:32.9~573.2])、とくに車を持たない人で多かった。 現金給付は、COVID-19ワクチン接種、血圧、体重、グリコヘモグロビン、コレステロール値には、統計学的に有意な影響を及ぼさなかった。

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診断のための標的ボトックス注射が片頭痛のトリガー部位を特定する可能性

 診断のための標的ボトックス注射は片頭痛のトリガー部位の特定に、高い陽性適中率を示すという研究結果が、「Plastic and Reconstructive Surgery」5月号に掲載された。 マギル大学保健センター(カナダ)のHassan ElHawary氏らは、片頭痛のトリガー部位を特定するためにボトックス注射を受け、その後に罹患末梢神経の神経減圧術を受けた患者40人について感度解析を実施し、ボトックスの診断能について検討した。 解析の結果、ボトックス注射が成功した患者(注射後に片頭痛指数のスコアが50%以上改善した患者と定義)は、神経減圧術後の片頭痛の強度、頻度、片頭痛指数の平均減少率が有意に高かった。片頭痛の診断法としてのボトックス注射の使用は、感度解析で感度が56.7%、特異度が80.0%であった。陽性適中率は89.5%、陰性適中率は38.1%であった。 共著者で米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのJeffrey E. Janis氏は、「われわれの研究は、術前ボトックス注射が片頭痛手術に反応する患者を特定するための信頼できる診断ツールとして価値があることを支持するものであり、その陽性適中率はほぼ90%であった。われわれは、トリガー部位を確認し、片頭痛手術の効果がより期待できる患者を特定する目的で、神経ブロックと同様に診断用ボトックス注射を日常的に使用することを推奨する」と述べている。

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母親の1型糖尿病は子どもの1型糖尿病罹患に対して保護的に働く

 母親が妊娠以前から1型糖尿病(T1DM)である場合にその子どもがT1DMを発症する確率は、父親がT1DMである場合に比べて相対的に低い可能性のあることが分かった。これは遺伝的な理由によるものではなく、胎児が子宮内で母親のT1DMの環境に曝露されることにより生じる違いと考えられるという。英カーディフ大学のLowri Allen氏らが、欧州糖尿病学会(EASD 2024、9月9~13日、スペイン・マドリード)で発表する。 T1DMは、免疫系が膵臓のインスリン産生細胞を標的として攻撃する自己免疫疾患で、それらの細胞が破壊されてしまうと、生存のためのインスリン療法が必須となる。Allen氏によると、「T1DMの家族歴がある人は、自己免疫疾患を発症する確率が8~15倍高い」という。また同氏は、「これまでの研究では、T1DMの場合、母親ではなく父親が罹患しているケースで、子どもの罹患リスクが高くなることが示されている。われわれはこのような関係をより詳しく理解したかった」と研究背景を述べている。 この研究は、T1DM患者を対象として実施された5件のコホート研究を統合したメタ解析として実施された。解析対象者数は合計1万1,475人で、診断時年齢は0~88歳だった。主な検討項目は、患者の父親および母親がT1DMである割合の比較であり、その結果に対する子どもの診断時年齢や、出生時点で親が既にT1DMを罹患していたか否かの影響も検討した。また、60種類以上の遺伝子情報に基づくT1DMの遺伝的リスクスコアとの関連も評価した。 解析の結果、父親がT1DMであるT1DM患者は母親がT1DMである患者のほぼ2倍多かった(オッズ比〔OR〕1.79〔95%信頼区間1.59~2.03〕)。子どもの年齢で層別化した解析から、この関係は子どもの年齢によって変化しないことが示された(18歳以下ではOR1.80〔同1.58~2.05〕、18歳超ではOR1.64〔1.14~2.37〕)。また、父親のT1DMの診断のタイミングとの関係については、子どもの出生前に既に診断されていた場合のみ、有意なオッズ比上昇が認められた(出生前の診断ではOR1.92〔1.30~2.83〕、出生後の診断ではOR1.28〔0.94~1.75〕)。子どものT1DMの診断時年齢は、父親がT1DMである場合と母親がT1DMである場合で同等だった。父親と母親の遺伝的リスクスコアに有意差はなかった。 これらの結果からAllen氏は、「総合的に解釈すると、母親がT1DMであることによる子どものT1DM罹患に対する相対的な保護効果は、成人期まで続く長期的なものだと示唆される」と述べている。ただし、父親と母親の遺伝的リスクスコアには差がないことと、母親がT1DMであることの相対的保護効果はその診断が子どもの出生前でのみ有意であることから、「母親の子宮内でT1DMの環境に曝露されることが、子どものT1DM罹患リスク低下に重要と考えられる」とし、「T1DM予防策の模索のために、T1DMの母親の子宮内で何が起こっているのかを詳細に研究する必要があるだろう」と付け加えている。 なお、学会発表される報告は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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流行株によるコロナ罹患後症状の発生率とコロナワクチンの効果(解説:寺田教彦氏)

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、起源株やアルファ株、デルタ株といったプレオミクロン株流行時期は、重症化率・死亡率の高さから、国内でも緊急事態宣言が出されるほど公衆衛生に多大な影響を与えていた。その後コロナワクチンや中和抗体治療薬により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化率や死亡率は低下したが、2021年ごろから後遺症の問題が注目されるようになった。 新型コロナウイルス感染症罹患後症状(以下、本文ではPASC:post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infectionとする)は、診断基準を提案する論文はあるが(Thaweethai T, et al. JAMA. 2023;329:1934-1946.)、世界的に統一された明確な定義や診断基準はなく、病態や治療法も判明しきってはいない。 PASCはオミクロン株では、過去のアルファ株やベータ株、デルタ株などより発症率が低下していること(Couzin-Frankel J. Science. 2023;379:1174-1175.)や、ワクチン接種者でPASC発症のリスクが軽減する可能性は指摘されていた(Mizrahi B, et al. BMJ. 2023;380:e072529. , Iversen A, et al. Front Public Health. 2024;12:1320059.)が、ウイルス変異の影響(罹患した株による違い)とワクチン接種の効果が、どの程度PASC発症のリスクに影響しているかははっきりしていなかった。 本研究では、新型コロナウイルス感染者のうち、感染時期がプレデルタ株、デルタ株、オミクロン株優勢期だったワクチン未接種者と、感染時期がデルタ株、オミクロン株優勢期だったワクチン接種者のSARS-CoV-2感染後1年間のPASC累積発生率を推定し、優勢株の時期に関連した影響(ウイルスの特性やそのほかの時間的影響)とワクチンによる効果を報告している。 結果は、「コロナ罹患後症状の累積発生率、変異株で異なるか/NEJM」に報告されたとおりで、ウイルスの特性(変異)による影響も罹患後症状リスク低下に関与していたが、罹患後症状が減少した主因(71.89%)はコロナワクチン接種による影響と考えられた。 本研究の特徴として、退役軍人省の大規模な健康記録を活用したため膨大なデータではあるものの、研究対象集団が主に高齢白人男性で構成されていることがある。PASCが問題となる患者層は、女性、高齢者、BMI高値、喫煙歴や基礎疾患がある患者など(Tsampasian V, et al. JAMA Intern Med. 2023;183:566-580.)であり、リスクファクター層と一部合致していない。しかし、本研究結果は過去の研究と同様の傾向を読み取ることができ、おそらくリスク集団を含めたほかの集団でも、同様の傾向となることは予測されるだろう。 ところで、本研究結果からはコロナワクチン接種がPASC発症のリスク軽減に役立つことはわかったが、ワクチンの種類や接種回数、接種時期については調査していないため、コロナワクチン接種後、どの程度の期間PASCのリスク軽減に役立つかはわからなかった。 COVID-19は、今夏も昨年と同様に増加傾向となっており、当院でも入院を要する中等症・重症患者が増加してきている。 今年も昨年同様に8月中旬ごろにピークを迎え、秋に患者数が減少し、冬季に再度ピークとなる可能性が考えられる。本研究から、新型コロナワクチンはPASC発症のリスク軽減に大きな役割を果たしたことが判明したが、新型コロナワクチンはリスクのある患者に接種することで、重症化率や死亡率の軽減にも役立つことも期待されている。今年度より、新型コロナワクチンは65歳以上や、60~64歳でリスクのある対象者で定期接種となっている(厚生労働省「新型コロナワクチンについて」)。 気道ウイルス感染症は冬季に流行しやすい性質があり、定期接種の対象者に対する秋から冬にかけてのコロナワクチン接種は、COVID-19による入院や死亡を減らすためにメリットが大きいと私は考えている。本研究結果からは、PASCリスク軽減にワクチン接種が大きく貢献したことも確認でき、ワクチン接種を推奨するさらなる1つの理由になるだろう。

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医師国家試験の勉強をしない学生から「美」を考察する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第75回

子を慈しむかけがえのない時間「勉強は順調に進んでますか?」数年前の7月末の暑い日に、大学構内で偶然すれ違った顔見知りの医学部医学科6年の女子学生に、あいさつがてら声を掛けました。6年生は医師国家試験の準備に集中している時期だったからです。「まったく勉強してません!」あまりにキッパリと返事をされ、驚きました。この学生は真面目かつ成績優秀で知られていたからです。彼女は一度他大学を卒業後、社会人経験を経て学士入学し、在学中に出産し育児しながら学生生活を送っていました。顔と名前が一致する学生であったのは、この経歴からではなく、熱心に臨床実習に取り組んでくれたからです。彼女は、前日に家のベランダで家庭用のビニールプールで、子供と一緒に水遊びをしたことを説明してくれました。海やプールに連れて行くには幼過ぎるため、小さなプールで子供だけでなく、夫と自分も水着になって遊んだそうです。これまでの人生の中で、最も楽しい時間で、「生きていてよかった!」と感じたと、熱く語ってくれました。この充実した時間に比べれば、医師国家試験の勉強などは比べ物にならない些末なことと感じ、勉強していないと明言しました。こう語る彼女に自分は感銘を受けました。彼女を人として「美しい!」と感じたのです。まさに輝いていました。この学生は医師国家試験に一発で合格し、今は医師として研鑽を積みながら地域医療に貢献しています。子供も赤ちゃんから大きく成長していることでしょう。この原稿を執筆しているのは、2024年8月8日です。パリでオリンピックの熱戦が続いています。時差の関係で深夜の試合時間が続き寝不足気味です。猛暑で疲れた身体に、さらに負担をかけます。しかし、就寝することなく熱心に応援を続ける自分です。メダル獲得だけでなく、一生懸命に競技する姿が「美しい!」のです。競技者たちの努力と情熱は、私たちに感動と勇気を与え、彼らが持つ美しさの本質を教えてくれます。一瞬の勝利のために、長年の準備と忍耐を重ねる彼らの姿は、私たちに努力の美を教えてくれます。オリンピックの場で競技が終わった後に手を取り合う瞬間に見られる友情も、私たちに深い感動を与えます。勝敗を超えた応援や激励、対戦相手に対する尊敬は、スポーツマンシップを体現し美しさを増します。数学の美自分が数学の授業の中で微分・積分を学んでいた時の感動を紹介したいと思います。半径rの円を考えます。円周の公式である2πrを積分すればπr2という円の面積の公式となります。円周を0からrまでの区間について積分すると面積になるということです。直感的に説明してみます。円の中心点を囲む小さな円の円周から、次に少し大きな円周、さらに少し大きな円周と積み重ねていけば大きな真っ黒な円となり、それは円の面積を示すことになるというイメージです。円の面積であるπr2を微分すれば、2πrという円周になります。円の半径がほんのチョットだけ変化した時の面積の差異が円周になるといえばよいでしょうか。同様に球の表面積を積分すれば体積となり。球の体積を微分すれば表面積となります。これは自分で気づいたのではなく、数学の教官から教えてもらいました。高校2年生の時の自分は、この数学の持つ「美しさ」に猛烈に感動したのです。その感動を具現化した言葉が「微分・積分・いい気分」です。この連載コラムのタイトルである「論文・見聞・いい気分」の由来となっています。数学に内在する哲学的な「美しさ」は素晴らしいものがあります。数学者としてこの美を追求する能力に恵まれなかった自分が残念です。あらゆるものの美を考察する子供を慈しむ母親の姿の美しさ、オリンピアンの競技に挑む姿の美しさ、微分・積分の美しさ、「美しさ」とは何でしょうか。こういった「美しさ」を考察する学問が美学です。言語化することが難しく感覚的な世界である美について考察し、言葉を使って分析する学問です。主なフィールドは美術・芸術となりますが、あらゆる分野に及びます。哲学と美学の境界は曖昧です。古来より多くの哲学者が美について考察してきました。プラトンは「美のイデア」に人が憧れを持つからと考え、カントは美を「目的のない合目的性」と表現しました。医療も美とは無縁ではありません。医療技術や手術のプロセスにも美学が関わっています。高度で精密な手術や治療は、技術的な美しさと精度を追求することが求められます。こうやって美について考察していると、わが家の愛猫レオがゴロゴロいいながら膝に乗ってきました。なんと美しい! 猫の身体のラインは非常にエレガントです。長く滑らかなシッポ、しなやかな背中、優雅な脚の動きなどは、流れるような美しい曲線を描きます。このラインは動物の美学的な魅力であり、猫の動きがどこか詩的であると感じさせます。結局は猫自慢になるのが、「論文・見聞・いい気分」の美学なのかもしれません。

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聞き流しOK!ASCO2024肺がんトピックスまとめ【DtoD ラヂオ ここが聞きたい!肺がん診療Up to Date】第7回

第7回:聞き流しOK!ASCO2024肺がんトピックスまとめパーソナリティ日本鋼管病院 田中 希宇人 氏ゲスト聖マリアンナ医科大学 古屋 直樹 氏※番組冒頭に1分ほどDoctors'PicksのCMが流れます関連サイト専門医が厳選した、肺がん論文・ニュース「Doctors'Picks」(医師限定サイト)講師紹介

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寄り道編(7)苦味のマスキング【臨床力に差がつく 医薬トリビア】第56回

※当コーナーは、宮川泰宏先生の著書「臨床力に差がつく 薬学トリビア」の内容を株式会社じほうより許諾をいただき、一部抜粋・改変して掲載しております。今回は、月刊薬事62巻6号「臨床ですぐに使える薬学トリビア」の内容と併せて一部抜粋・改変し、紹介します。寄り道編(7)苦味のマスキングQuestion苦い薬の味を最もマスクできるのは、甘味、酸味、塩味、旨味のどれ?

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第226回 東京女子医大 第三者委員会報告書を読む(前編)「金銭に対する強い執着心」のワンマン理事長、「いずれ辞任するが、今ではない」と最後に抗うも解任

第三者委員会の調査報告書公表後、臨時理事会で岩本理事長解任こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は高校野球観戦三昧でした。知人に早稲田実業OB、OGが多いため、早実の試合を中心にテレビで観たのですが、8月15日の鶴岡東高校戦、17日の大社高校戦ともに好試合で高校野球の面白さを満喫しました。早実はいずれの試合も相手校の好投手を打ちあぐね、西東京大会では爆発(準々決勝以降10点以上得点)していた打線が沈黙していたのが印象的でした。それにしても、大社高校戦で9回裏に早実が敷いたスクイズ警戒のための内野5人シフト(左翼手を投手の右斜め前に配置)には驚きました。しかもそれが的中してタイブレークに持ち込むとは…。最終的に早実は負けてしまいましたが、歴史に残るであろう名試合でした。さて今回は、再び東京女子医大(東京都新宿区)を取り上げます。本連載でも、「第207回 残された道はいよいよ身売りか廃校・学生募集停止か? ガバナンス崩壊、経営難の東京女子医大に警視庁が家宅捜索」、「第219回 女子医大のXデー近づく?警視庁の家宅捜索の次は、卒業生の教員への採用・昇格に寄付金要請、推薦入試での寄付金受け取りも発覚」などで度々書いてきたワンマン理事長、岩本 絹子氏が招いた東京女子医大の数々な問題は、第三者委員会の調査報告書公表、臨時理事会での理事長解任をもって次なるフェーズに入ったようです。私も調査報告書1)を読んでみたのですが、大学経営のことは二の次、三の次にして、私腹を肥やすことばかりに注力してきた前理事長の経営姿勢は本当に呆れるほかありません。また、前理事長の暴走を長年黙認してきた大学の理事会や、評議員会も大いに責められるべきでしょう。同窓会組織・至誠会と学校法人の不適切な資金支出を指摘、寄付金を重視する推薦入試や人事のあり方も問題視東京女子医大の同窓会組織・至誠会を巡って不透明な資金支出等があった問題で、同大が設置した第三者委員会(委員長=山本 秀明弁護士)は調査報告書をまとめ、8月2日に公表しました。調査報告書は至誠会の不適切な資金支出を指摘するだけでなく、学校法人の不適切な資金支出も指摘、さらに寄付金を重視する推薦入試や大学の人事のあり方も問題視しました。そして、その根本原因として、同大は岩本前理事長に権限が集中する「一強体制」で「ガバナンス機能が封鎖された」と指摘しました。日本経済新聞等の報道によれば、委員長の山本弁護士は2日の記者会見で、岩本氏について「問題が明るみに出ても説明責任を果たさず、不満分子の鎮圧に躍起となっていた。非常に問題だと認定した」と語ったそうです。同大は、調査報告書を受け取った直後も、「内部統制・ガバナンスの機能不全の問題を重く受け止め、ステークホルダーの皆様の信頼回復に向けて、本学の理念である『至誠と愛』に今一度立ち返って、組織の改善・改革に全身全霊で取り組んでまいります」という通り一遍のコメントをWebサイトなどで出したのみでした。しかし、8月7日に開かれた臨時理事会において岩本理事長の解任動議が出され、解任が決定しました。そして、新体制発足までの暫定措置として肥塚 直美理事(東京女子医大病院・病院長)が新理事長に選任されました。8月8日付の毎日新聞等の報道によれば、臨時理事会で「理事が岩本氏に辞任を勧告したが、岩本氏は『いずれ辞任するが、今ではない』と拒否。理事長職の解任の動議が提出され、岩本氏を除く10人全員が賛成した」とのことです。その後、8月16日には、東京女子医大の臨時評議委員会が開かれ、岩本氏は同大の理事と評議員からも解任されました。これによって、岩本氏は同大のすべての役職から退くことになりました。また、同日、大学経営及びガバナンス体制の正常化を速やかに進めるために、岩田 喜美枝・元厚生労働省雇用均等・児童家庭局長らを委員とする「新生東京女子医科大学のための諮問委員会」が設置されています。総額約33億円の工事等を受注した複数社が岩本氏側近関与の3社にコンサル料などの名目で総額約1億数千万円支払う第三者委の調査対象は、本連載の「第207回 残された道はいよいよ身売りか廃校・学生募集停止か? ガバナンス崩壊、経営難の東京女子医大に警視庁が家宅捜索」でも詳しく書いた、学校法人及び至誠会における不透明な資金支出が中心でした。調査報告書の「岩本絹子理事長及び経営統括部による資金の不正支出・利益相反行為の疑義」と題する章では、資金の不正支出・利益相反行為を5つに分類し、その不正の有無を細かく検証しています。至誠会の元職員が元事務長と共謀して、勤務実態がないのに約2,000万円の給与を至誠会から受け取ったとする特別背任容疑で警視庁が3月、理事長室や岩本氏宅など十数カ所を家宅捜索しました。そして、この問題については、元職員と元事務長が大学から業務委託を受けた会社の雇用になった後、同社と至誠会から給与が出ていたとして「二重払い」と指摘、この業務委託は岩本氏に近い2人の利益を図る行為で、過大な報酬だった疑いがあるとしました。また、学校法人の不適切な資金支出についても指摘しました。岩本氏が副理事長に就任した直後の2015年、学校法人は外部企業とコンサルティング契約を結びましたが、この会社は岩本氏の知人が代表でした。法人が支払った600万円の一部が岩本氏側に還流した可能性が高いとしました。さらに、2015年から2023年にかけて学校法人から総額約33億円の工事等を受注した複数社が、岩本氏が経営する江戸川区の葛西産婦人科の関係者であった人物が関与する3社にコンサル料などの名目で総額約1億数千万円が支払われていたことも明らかになりました。この工事費等が還流した疑義について調査報告書は、「3社が受領した金銭のその後の流れ等については本調査の限界から解明に至らなかったところ、銀行取引の状況を把握している警察による捜査によって解明されることを期待したい」としています。この他にも、岩本氏が至誠会から顧問料や現金賞与等の名目で利益を享受していたことや、法人全体として人件費等を積極的に削っていったにもかかわらず岩本氏は自身の報酬を継続的に増額していったことなども指摘しています。ちなみに2016年度1,714万円だった岩本氏の理事長報酬は、2023年度は3,179万円まで膨れ上がっていました。一連の行為について「岩本氏の金銭に対する強い執着心の端をうかがうことができる」と断じています。今年3月に警視庁捜査2課が至誠会、大学本部、葛西産婦人科などを家宅捜索した件についてはまだ捜査中とのことです。今後、特別背任などの罪で、書類送検、起訴の可能性も大いにあると言えるでしょう。至誠会の推薦入試における寄付金の収受は、入試での寄付金の受け取りを禁じた文部科学省通知に反する可能性第三者委員会が調査したもう一つの大きな問題は、「第219回 女子医大のXデー近づく?警視庁の家宅捜索の次は、卒業生の教員への採用・昇格に寄付金要請、推薦入試での寄付金受け取りも発覚」でも書いた推薦入試です。至誠会が持つ枠(約10人)で推薦する生徒を決める際、寄付額が加点要素となっていた点について、調査報告書は、受験生側から至誠会と法人への寄付は、推薦対象者を選ぶための面接の直前2ヵ月間に集中、2019~22年度は受験生側による寄付の年間総額の64%にあたる計3,520万円がこの期間に寄付されていた、としています。寄付の実績がない受験生が計700万円を寄付した受験生に順位で抜かれて推薦を受けられなかった事例や、1回目の面接後、2回目の面接前に至誠会に10万円、法人に300万円を寄付した事例もありました。調査報告書には実際の「面接採点票」が1枚掲載されています。それには「面接での質問・確認事項」の欄に採点者が手書きで「寄付等」と記し、「回答内容」の欄にやはり手書きで「協力をおしまない」と書かれており、「評価」は最高得点の5点となっています。そうした調査結果を踏まえ、調査報告書では、至誠会の推薦入試における寄付金の収受は、入試での寄付金の受け取りを禁じた文部科学省通知に反する可能性がある、としています。「医科大学と大学病院を擁する本法人の理事長としての適格性が備わっていたのかという点について、疑問と言わざるを得ない」と経営面での無能ぶりも指摘また、調査報告書は、東京女子医大卒業生の大学への採用・昇格などにおいて寄付金の多寡等を点数化する「至誠会ポイント」(当時大学副理事長、至誠会代表理事だった岩本氏の提案で2018年にスタート)が評価要素となっていたことについても、「採用・昇進・昇格を望む教員が、寄付を行わなければ採用・昇進・昇格に事実上不利益となると考えていたと認められる。至誠会ポイント制度が事実上寄付を強いる制度になっていたと評価せざるを得ず、この制度が「公正かつ厳格・適切」なものであったとは到底評価することができない」としています。数年前から東京女子医大で問題視されてきたさまざまな事案について、第三者委員会は以上のような結論を下したわけですが、私が調査報告書を読んで興味深かったのは、後半で岩本氏の経営手法について評価した部分です。「そもそも医科大学と大学病院を擁する本法人の理事長としての適格性が備わっていたのかという点について、疑問と言わざるを得ない」とその経営面での無能ぶりをあけすけに記述しています。その内容は医療機関経営、大学医学部経営に携わる人にも参考になりそうです。次回はその内容を紹介したいと思います。(この項続く)参考1)第三者委員会による調査報告書の公表について/東京女子医科大学

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高齢者への低用量アスピリン、中止すると…?

 心血管疾患(CVD)を有さない高齢者において、低用量アスピリンはCVDリスクを低下させず、全死亡や大出血のリスクを上昇させたことが報告されているが1,2)、すでに多くの高齢者に低用量アスピリンが投与されている。そこで、オーストラリア・モナシュ大学のZhen Zhou氏らは、アスピリン中止の安全性を明らかにすることを目的として、CVDを有さない高齢者において、低用量アスピリン中止がCVDリスクに与える影響を検討した。その結果、低用量アスピリン中止はCVDリスクを上昇させず、大出血リスクを低下させることが示された。本研究結果は、BMC Medicine誌2024年7月29日号に掲載された。 本研究は、CVDを有さない70歳以上(一部65歳以上を含む)の高齢者を対象として低用量アスピリンの有用性を検討した「ASPREE試験」1,2)の参加者のデータについて、target trial emulationの手法を用いて後ろ向きに解析した。ASPREE試験でアスピリンが投与された参加者について、アスピリンを中止した群(中止群:5,427例)、継続した群(継続群:676例)に分類して比較した。主要評価項目はCVD、主要心血管イベント(MACE)、全死亡、大出血とし、Cox比例ハザードモデルを用いて、3、6、12、48ヵ月のフォローアップ期間におけるハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。HRおよび95%CIの推定の際には、傾向スコアによる調整を行った。 本研究において、中止群では、短期(3ヵ月後)および長期(48ヵ月後)におけるCVD、MACE、全死亡のリスクの有意な上昇はみられなかった。一方、12ヵ月後の全死亡および3、12、48ヵ月後の大出血のリスクは有意に低下した。傾向スコアによる調整後の中止群の継続群に対するHR、95%CI、p値は以下のとおり。【CVD】・3ヵ月後:1.23、0.27~5.58、p=0.79・6ヵ月後:1.49、0.44~5.03、p=0.52・12ヵ月後:0.69、0.33~1.44、p=0.32・48ヵ月後:0.73、0.53~1.01、p=0.06【MACE】・3ヵ月後:1.11、0.24~5.13、p=0.89・6ヵ月後:1.39、0.41~4.73、p=0.60・12ヵ月後:0.73、0.34~1.58、p=0.42・48ヵ月後:0.84、0.57~1.24、p=0.38【全死亡】・3ヵ月後:0.23、0.04~1.32、p=0.10・6ヵ月後:0.76、0.15~3.75、p=0.73・12ヵ月後:0.39、0.20~0.77、p=0.01・48ヵ月後:0.79、0.61~1.03、p=0.08【大出血】・3ヵ月後:0.16、0.03~0.77、p=0.02・6ヵ月後:0.37、0.09~1.47、p=0.16・12ヵ月後:0.37、0.14~0.96、p=0.04・48ヵ月後:0.63、0.41~0.98、p=0.04 本研究結果について著者らは、3~12ヵ月後におけるイベント数が少なかったことや、継続群は研究開始時点のCVDリスクが高かった可能性があることなどの限界を指摘しつつも「高齢者において、低用量アスピリンを中止してもCVDや全死亡のリスクの上昇はみられなかった。また、低用量アスピリンの中止によって、大出血リスクが低下するため、とくにCVDを有さない70歳以上の高齢者において、アスピリンの処方中止が安全である可能性があると考えられる」とまとめた。

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日本における低気圧誘発性頭痛に関する性差

 片頭痛は、女性に多い疾患である。低気圧は、頭痛発症の因子であるが、性別により違いがあるかは確認されていない。慶應義塾大学の藤本 卓磨氏らは、低気圧誘発性頭痛の性差について、調査を行った。BMC Research Notes誌2024年7月23日号の報告。 対象は、調査会社(マクロミル)のWebパネルよりランダムに抽出された20〜49歳の慢性片頭痛および緊張型頭痛患者。対象患者は、Webベースの自己記入式アンケートに回答した。目標変数をHeadache Impact Test-6(HIT-6)の高スコア(56以上)または低気圧誘発性頭痛とし、ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、女性332例、男性337例であった。・HIT-6高スコアは、頭痛発症時年齢が20歳以下、低気圧誘発性頭痛との関連が認められた。【頭痛発症時年齢が20歳以下】オッズ比(OR):1.85、95%信頼区間(CI):1.15〜2.99、p=0.012【低気圧誘発性頭痛】OR:2.11、95%CI:1.51〜2.94、p<0.001・低気圧誘発性頭痛は、女性と有意な関連が認められた(OR:2.92、95%CI:2.12〜4.02、p<0.001)。 著者らは「低気圧誘発性頭痛には、性差が認められた。このことからも、性別に特化した頭痛への治療アプローチが必要である可能性が示唆された」としている。

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尋常性乾癬へのグセルクマブ、投与間隔を16週ごとに延長可能か

 インターロイキン(IL)-23のp19サブユニットに結合し、IL-23の活性を阻害するグセルクマブを用いた尋常性乾癬の維持療法について、16週ごと投与は8週ごと投与に対して非劣性であることが、ドイツ・フライブルク大学のKilian Eyerich氏らによる海外第IIIb相二重盲検無作為化比較試験「GUIDE試験」で示された。慢性の炎症性皮膚疾患である乾癬には、個別化治療およびde-escalation治療戦略に関するアンメットニーズが存在する。試験結果を踏まえて著者は、「今回の試験は、2回の連続した診察時(20週時および28週時)に皮膚症状が完全に消失した患者において、グセルクマブの投与間隔を延長しても疾患活動性をコントロール可能であるとのエビデンスを示した初の無作為化比較試験となった」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年7月31日号掲載の報告。 GUIDE試験は中等症~重症の尋常性乾癬患者を対象に、グセルクマブの早期介入と投与間隔の延長を評価する試験で、現在も進行中である。ドイツとフランスの80施設で行われており、「早期介入の影響」「投与間隔の延長」「治療中止後の有効性の維持」を評価する3パートで構成されている。 本論で報告されたのは投与間隔の延長を評価するパート2の結果で、最初の患者は2019年9月、最後の患者は2022年3月に受診した。 パート1(0週~28週)では、患者は0週時、4週時、12週時、20週時にグセルクマブ100mgの投与を受けた。このうち20週時と28週時にPsoriasis Area and Severity Index(PASI)スコア0を達成した患者をスーパーレスポンダー(SRe)とし、パート2(28週~68週)では、これらSReを8週ごとまたは16週ごとのグセルクマブ100mg投与群に無作為化した。非SReは、非盲検下で8週ごとにグセルクマブの投与を継続した。 試験の主要目的は、SReにおける疾患コントロール(68週時点でPASI<3)達成率(主要エンドポイント)について、16週ごと投与群の8週ごと投与群に対する非劣性(マージン10%)を検証することであった。バイオマーカーに関するサブスタディでは、皮膚および血液における免疫学的効果を評価した。 主な結果は以下のとおり。・パート2では、822例がグセルクマブの投与を受けた(SRe 297例[36.1%]、非SRe 525例[63.9%])。・SRe(8週ごと投与群148例、16週ごと投与群149例)は、平均年齢39.4(SD 14.1)歳、女性95例(32.0%)、男性202例(68.0%)であった。・主要エンドポイントの疾患コントロール達成率は、16週ごと投与群91.9%(137/149例、90%信頼区間:87.3~95.3)、8週ごと投与群92.6%(137/148例、88.0~95.8)であり、グセルクマブ16週ごと投与の8週ごと投与に対する非劣性が示された(非劣性のp=0.001)。・臨床的有効性は免疫学的変化と一致していた。CD8陽性組織常在型メモリーT細胞数はベースラインから速やかに減少し、両群ともに低値を維持していた。同様に、血漿中のIL-17A、IL-17F、IL-22、βディフェンシン2値もベースラインから有意に低下し、68週時点まで両群ともに低値を維持した。・グセルクマブの忍容性は良好であり、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

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重症敗血症へのアセトアミノフェン、生存日数を改善せず/JAMA

 重症敗血症患者において、アセトアミノフェン(パラセタモール)の静脈内投与は、安全性は高いものの、生存日数および臓器補助(腎代替療法、機械換気、昇圧薬)が不要な日数を改善しないことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのLorraine B. Ware氏らが実施した「ASTER試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2024年8月6日号で報告された。米国の無作為化第IIb相試験 ASTER試験は、米国の40の病院の救急診療部または集中治療室(ICU)で実施した二重盲検無作為化第IIb相試験であり、2021年10月~2023年4月に参加者のスクリーニングを行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成を受けた)。 年齢18歳以上の敗血症で、呼吸器系または循環器系の臓器障害を有する患者447例(平均年齢64[SD 15]歳、女性51%、平均SOFAスコア5.4[SD 2.5]点)を登録した。被験者を、アセトアミノフェン1gを6時間ごとに静脈内投与する群(227例)、またはプラセボ群(220例)に無作為に割り付け、5日間投与した。 主要エンドポイントは、28日目までの生存日数および臓器補助(腎代替療法、機械換気、昇圧薬)が不要な日数とした。28日間の全死因死亡にも差はない ベースラインで全体の76%の患者が昇圧薬の投与を、42%が補助換気を受けており、登録前に44%がアセトアミノフェンの投与を受けていた。 アセトアミノフェンは安全であり、治療群間で肝酵素値の異常や低血圧の頻度、体液バランスに差はなかった。 28日目までの生存日数および臓器補助不要日数は、アセトアミノフェン群が20.2日(95%信頼区間[CI]:18.8~21.6)、プラセボ群は19.6日(18.2~21.0)であり、両群間に有意な差を認めなかった(群間差:0.6日、95%CI:-1.4~2.6、p=0.56)。 また、臓器補助の各項目のいずれにも両群間に差はなく、28日間の全死因死亡(アセトアミノフェン群17.5% vs.プラセボ群22.5%、群間差:-5.0%、95%CI:-12.4~2.5、p=0.19)にも差はみられなかった。7日以内のARDSの発生率が有意に改善 15項目の副次アウトカムのうち、7日以内の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発生率のみがアセトアミノフェン群で有意に低く(2.2% vs.8.5%、群間差:-6.3%、95%CI:-10.8~-1.8、p=0.01)、他の項目には両群間に差はなかった。 また、アセトアミノフェン群は、2、3、4日目の総SOFAスコア(いずれもp<0.05)とSOFA凝固系スコア(いずれもp<0.05)の改善度が有意に優れた。 著者は、「本試験の結果で重要な点は、重症敗血症では、アセトアミノフェンの6時間ごとの5日間投与はプラセボに比べ、肝障害のバイオマーカーの異常、全身性低血圧、その他の有害事象の発生率に差がなく安全であったことである」としている。

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自己免疫疾患を有するがん患者、免疫チェックポイント阻害薬によるirAEリスクは?

 自己免疫疾患を有するがん患者では、免疫チェックポイント阻害薬の投与によって免疫関連有害事象(irAE)が発現する割合は高いものの、これらは軽度で管理可能であり、がんへの反応性には影響がなかったことを、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMaria A. Lopez-Olivo氏らが明らかにした。European Journal of Cancer誌2024年8月号掲載の報告。自己免疫疾患のあるがん患者は免疫チェックポイント阻害薬によるirAEの発現率が高かった 自己免疫疾患を有するがん患者は、免疫チェックポイント阻害薬のランダム化比較試験から除外されていることが多い。そこで研究グループは、自己免疫疾患の既往があり、免疫チェックポイント阻害薬を投与されたがん患者を含む観察試験と非対照試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、新規イベントや自己免疫疾患の再燃を含むirAEの発現率、irAEによる入院・死亡などを調査した。 研究グループは、5つの電子データベースを2023年11月まで検索した。研究の選択、データ収集、質の評価は2人の研究者によって独立して行われた。 自己免疫疾患を有するがん患者への免疫チェックポイント阻害薬投与によるirAEの発現率を調査した主な結果は以下のとおり。・解析には、95件の研究から、がんおよび自己免疫疾患の既往を有する2万3,897例が組み込まれた。がん種で多かったのは肺がん(30.7%)、皮膚がん(15.7%)であった。・自己免疫疾患のある患者は、自己免疫疾患のない患者と比較して、irAEの発現率が高かった(相対リスク:1.3、95%信頼区間[CI]:1.0~1.6)。・すべてのirAEの統合発現率(自己免疫疾患の再燃または新規イベント)は61%(95%CI:54~68)で、自己免疫疾患の再燃は36%(95%CI:30~43)、新規のirAE発現は23%(95%CI:16~30)であった。・自己免疫疾患が再燃した患者の半数はGrade3未満であり、乾癬/乾癬性関節炎(39%)、炎症性腸疾患(37%)、関節リウマチ(36%)の患者で多かった。・irAEが発現した患者の32%は入院を必要とし、irAEの治療として72%にコルチコステロイドが用いられた。irAEによる死亡率は0.07%であった。・自己免疫疾患のある患者とない患者の間で、免疫チェックポイント阻害薬に対するがんの反応性に統計的な有意差は認められなかった。 研究グループは「これらの結果から、免疫チェックポイント阻害薬は自己免疫疾患を有するがん患者にも使用可能であることが示唆されるが、患者の3分の1以上が自己免疫疾患の再燃を経験したり、入院を必要としたりするため、注意深いモニタリングが必要である。これらの知見は、がん専門医がモニタリングと管理の戦略を改善し、免疫チェックポイント阻害薬治療の利点を最大化しつつリスクを最小化するための重要な基盤となるものである」とまとめた。

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血液検査で多様な疾患の発症を予測可能か

 たった一滴の血液により何十もの疾患の発症を予測できるかもしれない。新たな研究で、血液中のタンパク質の「シグネチャー」を分析することで、血液がん、神経変性疾患、肺疾患、心不全を含む67種類の疾患を予測できる可能性が示された。英ロンドン大学クイーン・メアリー校、プレシジョンヘルスケア大学研究所のJulia Carrasco-Zanini氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に7月22日掲載された。 この研究は、UKバイオバンク製薬プロテオミクスプロジェクト(UK Biobank Pharma Proteomics Project;UKB-PPP)からランダムに選び出した4万1,931人の2,923種類に及ぶ血漿タンパク質のデータを用いたもの。Carrasco-Zanini氏らは、これらの血漿タンパク質のデータを対象者の電子カルテと関連付け、10年間での218種類の疾患の発症を予測する予測モデルを作成した。その上で、基本的な臨床情報のみを用いたモデル、あるいは基本的な臨床情報に37種類の臨床アッセイデータを組み合わせたモデルとこのモデルの疾患予測能を比較した。 その結果、5〜20種類のタンパク質のシグネチャーを含むスパースな予測モデルは、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、運動神経障害、肺線維症、拡張型心筋症など67種類の疾患の発症を、基本的な臨床情報のみを用いたモデルよりも高い精度で予測できることが明らかになった。また、このモデルは、基本的な臨床情報と37種類の臨床アッセイデータを組み合わせたモデルよりも、上述の疾患を含む52種類の疾患の予測能が優れていた。 Carrasco-Zanini氏は、「われわれのタンパク質シグネチャーのいくつかは、前立腺がんの前立腺特異抗原(PSA)のようなスクリーニング検査にすでに実用化されているタンパク質と同等か、それ以上の予測能を示した」と話す。同氏は、「それゆえ、われわれはこれらのタンパク質シグネチャーが多くの疾患の早期発見、ひいては予後の改善に役立つ可能性を大いに期待している」とロンドン大学クイーン・メアリー校のニュースリリースの中で述べている。 論文の責任著者の1人である、製薬会社グラクソ・スミスクライン(GSK)の副社長兼ヒト遺伝学・ゲノム学部長であるRobert Scott氏は、「このような簡単な血液検査は、疾患の早期発見を改善するだけでなく、新薬の研究と開発に役立つ可能性もある。医薬品開発における重要な課題は、新薬の恩恵を最も受けそうな患者を特定することだ」と語る。また同氏は、血漿タンパク質をベースにした血液検査について、「さまざまな疾患においてリスクの高い患者を特定するのに利用でき、また、テクノロジーを利用してヒューマンバイオロジーと疾患に対する理解を深めようとするわれわれのアプローチに合致するものでもある」と述べている。 ただし研究グループは、今回の研究結果は、さまざまな民族や多様な疾患のさまざまなレベルの症状を持つ人など、異なる集団を対象に検証する必要があると述べている。

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マクロライドとキノロンを組み合わせたmacrolones、耐性菌に有望か

 2方向から同時に細菌を攻撃する抗菌薬が、薬剤耐性菌と闘うための解決策になるかもしれない。互いに異なる標的に作用する2種類の抗菌薬を組み合わせたmacrolonesと呼ばれる合成抗菌薬が、細菌のタンパク質合成の阻害とDNA複製の阻害という2つの異なる方法で細菌の細胞機能を破壊することが示された。米イリノイ大学シカゴ校(UIC)生物分子科学および薬学分野のAlexander Mankin氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Chemical Biology」に7月22日掲載された。 Macrolonesは、広く使われている2種類の抗菌薬であるマクロライド系抗菌薬とフルオロキノロン系抗菌薬を組み合わせたものである。エリスロマイシンのようなマクロライド系抗菌薬は、細菌の細胞内にあるリボソームでのタンパク質合成を阻害し、シプロフロキサシンのようなフルオロキノロン系抗菌薬は、細菌がDNAを複製する際に必要とする酵素(DNAジャイレース、トポイソメラーゼIV)を標的にする。 今回の研究では、論文の共著者の1人でありUIC生物科学分野のYury Polikanov氏らの構造生物学を専門とする研究室と、Mankin氏らの薬学を専門とする研究室が、さまざまなmacrolonesの細胞内での作用を調べた。 Polikanov氏らはmacrolonesとリボソームの相互作用を調べた。その結果、macrolonesは従来のマクロライド系抗菌薬よりも強固にリボソームに結合し、マクロライド耐性の細菌株のリボソームも阻害することが示された。また、耐性遺伝子の活性化を引き起こすこともないことが確認された。 一方、Mankin氏らの研究室では、macrolonesがリボソームやDNAジャイレースのどちらを優先的に阻害するのかを、さまざまな投与量で調べた。その結果、いくつかの投与量でいずれかの標的を効果的に阻害することが示されたものの、低用量でリボソームとDNAジャイレースの両方に作用する、特に有望なmacrolonesが特定された。 Polikanov氏は、「基本的に同じ濃度で2つの標的を同時に攻撃することで、細菌による単純な遺伝的防御をほぼ不可能にすることができる」と話す。この点についてMankin氏は、「細菌がどちらか一方の標的に対して変異を起こしても(もう一方に対する変異を同時に起こすことはできないため)結果的に耐性を獲得することができないからだ」と説明している。 Polikanov氏は、「この研究の主な成果は、今後、進むべき方向性を明らかにしたこと、また、化学者に対しては、macrolonesが両方の標的を同時に攻撃するように最適化する必要があることを示した点だ」と述べている。

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英語で「代わりに来ました」は?【1分★医療英語】第144回

第144回 英語で「代わりに来ました」は?《例文1》Good morning, my name is Dr. Smith. I came to see you on behalf of Dr. Yamada while he's away at a conference. How can I assist you today?(おはようございます。スミスと申します。山田医師が学会に出席しているので、代わりに診察に来ました。本日はどうされましたか?)《例文2》Dr. Johnson is here on behalf of Dr. Tanaka to discuss your test results.(ジョンソン先生が田中先生の代わりにあなたの検査結果についてお話しします)《解説》“on behalf of”は、「ほかの医師の代わりに診察を行う」際に使用できる丁寧な表現です。“on behalf of”は「〜の代わりに」「〜を代表して」という意味を持ち、比較的フォーマルな場面で使用されます。この表現は、ビジネスや法律の分野でも頻繁に使用されますが、医療現場においても適切な表現だといえるでしょう。「代表して」というニュアンスがあるので、たとえば、“I would like to thank you on behalf of my team.”(チームを代表して、私がお礼を申し上げたいです)といったようにも使えます。医療現場では急な代診や担当医の変更など、予期せぬ状況が発生することがあります。そのような場面で“on behalf of”を使用することで、専門的かつ丁寧に状況を説明することができます。なお、このような代診のシチュエーションでは、以前に扱った“fill in for”も“I'm filling in for Dr. Yamada today.”のように使えますので、そちらのフレーズとセットで覚えておいていただくとよいでしょう。講師紹介

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腎機能障害患者でも用量調節が不要な抗てんかん薬「ブリィビアクト錠25mg/錠50mg/静注25mg」【最新!DI情報】第21回

腎機能障害患者でも用量調節が不要な抗てんかん薬「ブリィビアクト錠25mg/錠50mg/静注25mg」今回は、抗てんかん薬「ブリーバラセタム(商品名:ブリィビアクト錠25mg/錠50mg/静注25mg、製造販売元:ユーシービージャパン)」を紹介します。本剤は、既存薬の課題であった眠気や精神症状が少なく、腎機能障害患者でも用量調節が不要な薬剤として期待されます。<効能・効果>下記の適応で、2024年6月24日に製造販売承認を取得しました。錠 てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)静注一時的に経口投与ができない患者における、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)の治療に対するブリーバラセタム経口製剤の代替療法<用法・用量>錠 通常、成人にはブリーバラセタムとして1日50mgを1日2回に分けて経口投与します。静注ブリーバラセタムの経口投与から本剤に切り替える場合は、通常、ブリーバラセタム経口投与と同じ1日用量および投与回数で、1回量を2~15分かけて静脈内投与します。ブリーバラセタムの経口投与に先立ち本剤を投与する場合は、通常、成人にはブリーバラセタムとして1日50mgを1日2回に分け、1回量を2~15分かけて静脈内投与します。いずれの場合においても、症状により適宜増減できますが、1日最高投与量は200mgです。<安全性>重大な副作用に攻撃性(0.3%)があります。本剤の服用中は、攻撃性、激越、精神病性障害、易刺激性などの精神症状が現れ、自殺企画に至ることがあるので、患者の状態および病態の変化を注意深く観察する必要があります。その他の副作用として、傾眠(14.9%)、浮動性めまい(10.9%)、疲労(3%以上)、易刺激性、不安、不眠症、悪心、食欲減衰、回転性めまい(いずれも1~3%未満)、うつ病、激越、精神病性障害、好中球減少症、便秘、嘔吐、上気道感染、咳嗽(いずれも1%未満)、インフルエンザ、1型過敏症(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に使用されます。脳内の神経の過剰な興奮を鎮めて、てんかん発作を抑えます。2.この薬は、指示どおり飲み続けることが重要です。自己判断で服用を中止したり、量を加減したりすると、発作の悪化やてんかん重積状態が現れることがあります。3.傾眠やめまいなどが起こることがあるので、自動車の運転などの危険を伴う機械の操作は行わないようにしてください。4.妊婦または妊娠している可能性がある人は医師に相談してください。5.アルコールを含む飲食物はこの薬に影響しますので、控えてください<ここがポイント!>ブリーバラセタムは2ピロリドン誘導体で、脳内のシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に選択的に結合して、てんかん発作抑制作用を発揮します。作用機序は、レベチラセタム(商品名:イーケプラ)と同様ですが、レベチラセタムに比べてカルシウムチャネルおよびAMPA受容体に対する作用がほとんどなく、SV2Aに対する親和性も高いことから、眠気や精神症状が軽減されることが期待されます。また、レベチラセタムとは異なり、腎機能障害を有する患者での用量調節は不要です。剤形としては錠剤と注射剤がありますが、基本は錠剤です。注射剤は、一時的に経口投与ができない患者における代替療法として、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に使用されます。部分発作を有する成人てんかん患者(アジア人)を対象としたブリーバラセタム併用療法の国際共同第III相試験(EP0083試験)において、治療期間の28日あたりの部分発作回数のプラセボ群に対する減少率は、全体集団で50mg/日群が24.5%および200mg/日群が33.4%であり、いずれの本剤群もプラセボ群との間に優越性が検証されました(それぞれp=0.0005およびp<0.0001、ANCOVA)。また、日本人集団においては、50mg/日群が14.5%および200mg/日群が30.0%であり、全体集団と同様に、いずれの本剤群もプラセボ群と比較して高い減少率でした。しかし、日本人被験者は例数が少ないため、統計解析処理は実施されませんでした。

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