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75歳以上の降圧薬、ARB vs.Ca拮抗薬~日本人大規模データ

 75歳以上の高齢者では高血圧が多くみられ、心血管疾患や死亡のリスク因子となる。降圧治療の第1選択薬として、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やカルシウム拮抗薬(CCB)が多く用いられるが、高齢者におけるエビデンスは限られている。そこで、野間 久史氏(統計数理研究所/総合研究大学院大学)、福田 治久氏(九州大学大学院医学研究院)らの研究グループは、本邦の全国規模の医療ビッグデータを用いて、target trial emulationの手法により75歳以上の高齢者におけるARBを含む治療とCCBを含む治療を比較した。その結果、ARBを用いた群はCCBを用いた群と比較して、全死亡、心不全入院、心筋梗塞、脳卒中、主要心血管イベント(MACE)のリスク低下と関連することが示された。本研究結果は、Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2026年4月26日号に掲載された。 研究グループは、全国の医療情報を統合した500万例以上の大規模データベース(LIFE Study)を用いて、後ろ向き観察研究を実施した。対象は、2014年4月~2024年9月のデータに含まれる75歳以上のうち、過去12ヵ月間にARBまたはCCBの処方がなく、新たにARBまたはCCBを開始した2万9,822例とした(ARB群1万37例、CCB群1万9,785例)。主要評価項目は全死亡、副次評価項目は心不全入院、心筋梗塞、脳卒中、MACE、腎アウトカムなどとした。治療開始時点を起点とする新規使用者デザインを用いて、target trial emulationの手法により両群を比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は、ARB群81.7歳、CCB群81.8歳で、女性の割合はそれぞれ57.2%、57.1%であった。追跡期間中央値は4.0年。・追跡期間中に3,487例が死亡した。死亡はARB群1,141例、CCB群2,346例に発生し、ARB群はCCB群と比較して全死亡リスクが有意に低かった(ハザード比[HR]:0.885、95%信頼区間[CI]:0.823~0.951)。5年死亡率はARB群12.7%、CCB群14.8%で、絶対リスク差は-2.1%ポイント(95%CI:-3.1~-1.0)であった。・副次評価項目の心不全入院、心筋梗塞、MACEについてもARB群がCCB群と比較してリスクが低く、脳卒中についてもわずかながらARB群でリスク低下がみられた。一方で、腎アウトカム(持続的なeGFR 40%以上低下、末期腎不全または透析導入)については、両群間で有意差はみられなかった。各評価項目のHR(95%CI)は以下のとおり。 心不全入院:0.843(0.774~0.918) 心筋梗塞:0.867(0.795~0.945) 脳卒中:0.931(0.869~0.998) MACE:0.889(0.848~0.931) eGFR 40%以上低下:1.110(0.773~1.593) 末期腎不全/透析導入:0.611(0.354~1.056) 本研究結果について著者らは、「75歳以上の成人において、ARBを用いた降圧治療はCCBを用いた降圧治療と比較して、全死亡および心不全入院のリスク低下と関連し、心筋梗塞および脳卒中のリスクについても、小さいながら有意な低下が認められた。これらの知見は、75歳以上の高齢者に対して降圧治療を開始する際の薬剤選択に直接関わるエビデンスであり、この集団においてARBを優先的な選択肢として考慮する根拠となる可能性がある」とまとめた。一方で、本研究はtarget trial emulationの手法を用いることでバイアスの低減を図っているものの、観察研究であり、生活習慣や服薬遵守、医師の処方判断などの未測定要因の影響を完全には排除できないことも指摘している。

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CKD患者の筋肉の質が死亡リスク増加と関連

 CKD患者において、MRIで評価した筋肉組成異常(筋肉量低下と筋肉内脂肪浸潤)が全死因死亡リスク増加と関連し、筋肉量の低下だけでなく筋肉の質の悪化が死亡リスク予測に重要である可能性が、スウェーデン・Linkoping UniversityのAinhoa Indurain氏らによって示された。Clinical Journal of the American Society of Nephrology誌オンライン版2026年4月14日号掲載の報告。 研究グループは、UK Biobankのデータを用いてCKDを有する患者(eGFRcys<60mL/分/1.73m2)を特定し、MRIで評価した筋肉組成と全死因死亡との関連を検討した。大腿部の脂肪除去筋肉量と筋肉内脂肪浸潤は、MRI画像をAMRA Researcherで解析し、定量化した。筋肉組成異常は、低筋肉量(性別・BMI補正のzスコアが25パーセンタイル未満)かつ高筋肉内脂肪浸潤(75パーセンタイル超)が共存する状態として定義した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、死亡データが入手可能な894例のCKD患者であった。男性52.5%、平均年齢72.2歳、平均BMI 29kg/m2、平均eGFR 53.5mL/分/1.73m2で、主に軽度~中等度CKD患者で構成されていた。筋肉組成異常を有していたのは32.3%であった。・平均3.6年の追跡期間中に50例が死亡した。・未調整の解析で、筋肉組成異常は正常な筋肉組成と比較して全死因死亡リスク増加と有意に関連していた(ハザード比[HR]:6.17、95%信頼区間[CI]:2.36~16.15、p<0.001)。・この関連は、年齢・性別などの背景因子、生活習慣要因、蛋白尿、併存疾患などで調整した後も有意であった(HR:4.21、95%CI:1.49~11.84、p=0.007)。 これらの結果より、研究グループは「筋肉組成異常はCKD患者における全死因死亡リスクの増加と関連していた。筋肉組成の維持は今後のCKD管理における新たな介入標的となる可能性がある」とまとめた。

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加熱式タバコも頻回な頭痛に関連/JASTIS研究

 加熱式タバコは、従来の紙巻タバコより「有害物質が少ない」と一般的に認識されているが、頭痛との関連についてはエビデンスが限られていた。長岡技術科学大学の勝木 将人氏らの研究グループは、日本の大規模インターネット調査のデータを解析した結果、紙巻タバコだけでなく加熱式タバコの使用も、頻回な頭痛の有病率上昇と独立して関連していることを明らかにした。Headache誌オンライン版2026年3月2日号に掲載。 本研究では、2025年2月〜3月に実施された「日本における社会と新型タバコに関するインターネット調査研究プロジェクト」(JASTIS研究)の回答者のうち2万3,228例(年齢中央値49歳、女性49.3%)を対象とした。過去1年間に「時々」または「頻繁に」頭痛を経験した人を「自覚的な頻回な頭痛」と定義した。タバコの使用状況(現在使用、過去使用、非使用)ごとに、年齢、性別、BMI、既往歴(うつ病、睡眠障害、脂質異常症など)、ライフスタイル(コーヒー、アルコール摂取)などを調整した多変量ロジスティック回帰分析を行い、頭痛の有病率との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象者の25.5%(5,923例)が頻回な頭痛を報告した。・多変量解析の結果、タバコ非使用者と比較した「頻回な頭痛」の調整オッズ比(aOR)は以下のとおりであった。 - 現在の紙巻タバコ使用者:1.71(95%信頼区間[CI]:1.44~2.03、p<0.001) - 過去の紙巻タバコ使用者:1.54(95%CI:1.37~1.73、p<0.001)  - 現在の加熱式タバコ使用者:1.15(95%CI:1.01~1.32、p=0.038) - 過去の加熱式タバコ使用者については、有意な関連は認められなかった(1.09、95%CI:0.96~1.24、p=0.203)・事後比較により、加熱式タバコよりも紙巻タバコのほうが、頭痛との関連が有意に強いことが示された(aORの比:1.48、95%CI:1.19~1.84)。・女性(aOR:2.30)、睡眠障害(2.78)、うつ病(1.92)、カフェイン飲料の摂取(1.07)なども頭痛と有意に関連していた。一方、週2回以上の飲酒は負の関連を示した(0.76)。 著者らは、加熱式タバコは紙巻タバコに比べて有害な揮発性化合物の排出は少ないものの、同程度のニコチンを含有していることが頭痛に寄与している可能性を指摘している。頭痛患者の生活指導において、加熱式タバコへの切り替えだけでは不十分であり、禁煙を促す重要性が示唆された。公衆衛生政策においても、タバコによる害の軽減(ハームリダクション)戦略に頭痛を考慮する必要性を強調している。

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アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの安全性解析

 アルツハイマー病では、アジテーションが頻繁にみられる。これは、患者にとって大きな負担となっている。従来、アルツハイマー病に伴うアジテーションのマネジメントには、非定型抗精神病薬などが適応外で使用されてきたが、高齢で脆弱な患者において、安全性が懸念されていた。ブレクスピプラゾールは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療薬として、近年複数の国で承認された非定型抗精神病薬である。これまでの解析では、ブレクスピプラゾールは、最長24週間まで有効性が報告されており、忍容性もおおむね良好であることが示されていた。米国・University of RochesterのAnton P. Porsteinsson氏らは、これまでの研究に基づく事後解析を実施し、ブレクスピプラゾールの試験治療下における有害事象(TEAE)の発現時期と持続期間を評価した。Drug Safety誌オンライン版2026年4月10日号の報告。 12週間の解析では、アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する患者を対象とした、ブレクスピプラゾールの第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験3件のデータを統合した。また、24週間の解析では、ブレクスピプラゾールの12週間のランダム化試験および12週間の実薬投与延長試験のデータを統合した。治療開始から最初のTEAE発現までの期間およびすべてのTEAEの持続期間の中央値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ブレクスピプラゾールが投与された患者は1,043例。・12週間の試験において、ブレクスピプラゾール群(366例、米国で承認されている治療用量2mg/日または3mg/日)は、プラセボ群(388例)と比較し、最初のTEAE発現までの期間(32日vs.28日)、すべてのTEAEの持続期間(6日vs.4日)は同程度であった。一方、有害事象による投与中止までの期間は、ブレクスピプラゾール群のほうが長かった(47日vs.30日)。・24週間の試験では、ブレクスピプラゾール群(163例)における最初のTEAE発現までの期間は52日、すべてのTEAEの持続期間は3日であった。・12週間の試験でTEAEを報告しなかった患者では、12週間の延長試験においてもTEAEはまれであった。 著者らは「これらの探索的解析により、ブレクスピプラゾールは12週間を通しておおむね忍容性が高く、最初の12週間の治療を耐えた患者では、24週間を通して忍容性が良好であることが確認された。これらの結果は、アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する患者におけるブレクスピプラゾールの長期的な安全性を示している」としている。

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GSKの組換えRSVワクチン、重症化リスクの高い18歳以上に対象拡大

 グラクソ・スミスクラインは2026年5月18日、組換えRSウイルスワクチン(商品名:アレックスビー)について、RSウイルス(RSV)による感染症が重症化するリスクの高い18~49歳の成人を対象として、用法・用量追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。 すでに、重症化リスクの高い50~59歳を対象として2024年11月に承認を取得しており、今回の承認により、本邦では重症化リスクの高い18~59歳の成人に使用可能な唯一のRSVワクチンとなる。なお、本剤は母子免疫による新生児・乳児におけるRSV感染症の予防に対する適応はない。 RSVは、とくに基礎疾患のある成人で重症化リスクが高いことが知られている。添付文書上、18歳以上のRSVによる感染症が重症化するリスクが高いと考えられる者とは、以下のような状態の者を指す。・慢性肺疾患、慢性心血管疾患、慢性腎臓病または慢性肝疾患、糖尿病、神経疾患または神経筋疾患、肥満(BMI 30kg/m2以上を目安とする)、基礎疾患もしくは治療により免疫不全状態であるまたはその状態が疑われる者・上記以外で、医師が本剤の接種を必要と認めた者

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子宮頸がん排除は可能か:予防戦略の世界的強化が必要/Lancet

 子宮頸がんは最も予防の可能性が高いがんの1つだが、世界中で毎年60万例以上の女性が子宮頸がんがんと診断される。また、低・低中所得国(LMIC)における子宮頸がんの年齢調整罹患率は高所得国(HIC)の3倍、同死亡率は6倍に達し、大きな不均衡が存在する。2020年11月、世界保健機関(WHO)は、この不均衡を是正し、最終的に子宮頸がんの排除を目指す世界的な戦略を立ち上げた。カナダ・Universite LavalのMarc Brisson氏らは、排除戦略立ち上げから5年が経過した時点での世界的な現況を、数理モデルを用いて分析した。研究の成果がLancet誌2026年5月2日号に掲載された。WHOの戦略目標:罹患率<4例/10万人年 LMICとHICにおける子宮頸がんリスクの不均衡の主な要因は、子宮頸がん検診へのアクセスの大きな差(検診を受けたことがある女性の割合:10%vs.84%)とされる。さらに、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの配分の世界的な不平等がこの不均衡を助長していると考えられ、2023年の主要な対象年齢層の女子への接種率はHICの57%に対しLMICは23%であり、2022年にはHICの大部分で男子への接種が行われたのに対しLMICでは1%だった。 WHOの排除戦略は、女子の90%へのHPVワクチン接種、女性の70%への子宮頸がん検診、前がん病変およびがんを有する患者の90%に治療を行うことを目標とし、すべての国で年齢調整子宮頸がん罹患率を女性10万人年当たり4例未満に低減することを目指すとしている。67のLMICと42のHICで、シナリオに基づく罹患率を比較 研究グループは、HPV-ADVISEモデルを用い、67のLMICと42のHICにおいて、HPVワクチン接種と子宮頸がん検診に関する種々のシナリオに基づき、年齢調整子宮頸がん罹患率を推計した(Canada Research Chairs Programなどの助成を受けた)。 LMICとHICの格差は、年齢調整子宮頸がん罹患率(ASR)の比率(RRLMIC/HIC=ASRLMIC/ASRHIC)として評価した。現状維持で、HICでは2048年に排除 ワクチン接種と検診が現状維持の場合、LMICの子宮頸がん罹患率は2105年までに23%しか減少しない一方で、HICでは2048年までに排除(年齢調整子宮頸がん罹患率<4例/10万人年)を達成すると予測された。その結果として、2105年までに格差が4倍に拡大すると考えられた(2022年のRRLMIC/HIC=3、2105年のRRLMIC/HIC=12)。 また、すべてのLMICが9価ワクチンに切り替えると、対象集団やワクチン接種・検診に関して現状を維持した場合でも、罹患率およびLMICとHICの格差への影響は最小限にとどまると予測された。WHO排除目標に加え、男子・MAC接種導入が重要 LMICの女子で接種率90%を達成した場合、今世紀末までに罹患率が大幅に低減し(87%の減少)、2094年に排除を達成(HICに遅れること約45年)、格差はわずかに縮小する(2105年のRRLMIC/HIC=2)と考えられた。 また、男子も加えた全国民的な定期接種および多年齢層コホート(MAC)への接種を追加すると、LMICにおける長期的な年齢調整罹患率がさらに低下する(93%の減少、2105年に2例/10万人年)。この戦略は、子宮頸がんの排除を加速し(2080年に達成[HICより約30年遅れ])、今世紀末までにLMICとHICの格差をほぼ解消することになる(RRLMIC/HIC≒1)。 さらに、今世紀末までにLMICとHICの格差解消を達成し、今後数十年間における格差の拡大を抑制するには、LMICがWHOの排除目標を達成し、全国民的な定期接種およびMACワクチン接種を導入する必要がある。この複合戦略により、HICから約20年遅れの2070年には子宮頸がんの排除を達成すると予測された。接種拡大に向けた状況が大きく変化 著者は、「WHOの世界戦略の開始から5年が経過したが、多くのLMICは排除目標の達成にはほど遠い状況にある」「LMICとHICの格差を解消し、すべてのLMICで子宮頸がんを排除するには、LMICがWHOの排除目標を達成し、全国民的なHPVワクチン接種およびMAC接種を導入する必要があるだろう」としている。 また、「(1)WHOの事前認証を受けたワクチンが低価格で入手可能になった、(2)ワクチンの供給制約が解消された、(3)1回接種の選択肢が加わったことにより、HPVワクチン接種の拡大に向けた状況が大きく変化している」「本研究の結果を各国の具体的な状況に適応させるための実装研究とともに、WHO戦略を含む施策を進めるための政治的意志が緊急に必要とされている」と指摘している。

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ベンラリズマブ、好酸球増多症候群に対し承認取得/AZ

 アストラゼネカは2026年5月18日、ベンラリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:ファセンラ皮下注30mgシリンジ/30mgペン)が、「好酸球増多症候群(HES)」に対し、日本で承認を取得したことを発表した。ベンラリズマブは現在、日本、米国、EU、中国を含む80ヵ国以上で重症好酸球性喘息の追加維持治療として承認されており、日本および米国では、6歳以上の小児および青年に対しても承認されている。また、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の成人患者に対する治療薬としても、日本を含む70ヵ国以上で承認されている。 今回の承認は、HES患者を対象に実施された第III相NATRON試験の結果に基づく。NATRON試験は、ベンラリズマブ30mgまたはプラセボを4週間ごとに皮下投与し、その有効性および安全性を評価した、多施設共同の無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験である。主要評価項目は最初のHESの悪化/再燃までの期間で、以下のいずれかに該当する事象として定義された。・HESの臨床症状の悪化または検査異常により、2日以上にわたり経口コルチコステロイド(OCS)の投与量が10mg/日以上増量・細胞毒性療法および/または免疫抑制療法を新規開始または増量・入院 治験参加者(133例)は、HESに対する基礎治療に加えて、二重盲検投与期間24週間中、4週間ごとにベンラリズマブ30mgまたはプラセボの皮下投与を受ける群に、1:1の割合で無作為化された。 ベンラリズマブ投与群はプラセボ投与群と比較して、最初のHESの悪化/再燃までの期間を延長し、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある有効性が認められた(最初のHES悪化/再燃を経験した割合:ベンラリズマブ投与群19.4%vs.プラセボ投与群42.4%、ハザード比:0.35、95%信頼区間:0.18~0.69、p=0.0024)。

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異形成のある炎症性腸疾患患者では大腸腫瘍発症リスクが上昇

 炎症性腸疾患(IBD)患者において異形成を認める場合、将来的な大腸腫瘍(CRN;大腸異形成および大腸がんを含む)のリスクが上昇するという研究結果が、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に2月16日掲載された。 米ニューヨーク大学グロスマン医学部のJordan Axelrad氏らは、IBD患者における異形成の有無およびタイプ別の臨床経過を検討するため、スウェーデン全国患者登録およびESPRESSO組織病理学コホートを用いた全国規模のコホート研究を実施した。対象は1969~2023年にIBDと診断された患者5万4,534人で、初回の異形成発生エピソードに基づき、異形成なし(ND)、判定保留(IND)、軽度の異形成(LGD)、高度の異形成(HGD)に分類された。 その結果、対象IBD患者のうち5万3,214人がND、1,320人に異形成の初回発生が認められた(IND 264人、LGD 1,031人、HGD 25人)。中央値13.3年の追跡期間中、進行したCRNを発症した割合はND群で2.3%であったのに対し、IND群では5.3%、LGD群では8.3%であった(調整ハザード比はそれぞれ1.85、3.51)。HGD群では40%が大腸がんを発症した(同47.88)。将来の異形成発生のリスク因子としては、男性であること、診断時年齢が低いこと、全大腸炎型の大腸炎、原発性硬化性胆管炎、組織学的炎症が挙げられた。 Axelrad氏は、「この知見は、がん検診の頻度や介入の必要性について、医師と患者がより適切な意思決定を行うために、信頼性の高い長期的データを提供することになる」と述べている。 なお、複数の著者がバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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ハンタウイルス感染症に気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。大阪大学の忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。もはや誰も覚えていない不定期連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」ですが、読者の皆さまが忘れたころに新興再興感染症というものは起こるものなのです。そうです、現在世間では「ハンタウイルス感染症」なるものが毎日ニュースをにぎわせています。今回はこの「ハンタウイルス感染症」の気を付け方について学んでいきましょう。感染症学習に使えるアプリさて、ハンタウイルス感染症について知りたい場合、一番手っ取り早いのは、そう、私が自作したiPhoneアプリ「くつ王感染症クイックリファレンス」で調べることです!トップ画面で「ハンタウイルス」と入れれば、あっという間に要点が丸わかり!App Storeで「くつ王感染症クイックリファレンス」を検索してみよう!アプリの詳細は最後の方をご覧ください!ハンタウイルスの概要宣伝はこれくらいにしておきまして…ハンタウイルス感染症は、ウイルス性出血熱の一群に含まれる重要な人獣共通感染症であり、世界各地に分布しています。まず、大事な事実として本疾患は臨床的に2つの主要な症候群を呈します。ヨーロッパおよびアジアでは腎症候性出血熱(HFRS)が、アメリカ大陸ではハンタウイルス肺症候群(HCPS)(またはハンタウイルス心肺症候群)が主に報告されています1, 2)。これらは別の疾患として捉えられていますが、血管透過性の亢進という共通の病態生理を基盤としており、臨床像においても多くの重複が見られるのが特徴です。図 ハンタウイルス感染症の流行地域と感染経路(文献1よりNotebookLMで作成)さらに、ハンタウイルスは、Bunyavirales目Hantaviridae科のOrthohantavirus属に分類されるウイルスの総称であり、表のようにヨーロッパ・アジアでHFRSを起こすハンタウイルス、そして、アメリカ大陸でHCPSを起こすハンタウイルスにもそれぞれ複数の種類が知られています。表 主要な原因ウイルスと臨床的特徴の比較画像を拡大する(文献1より作成)ハンタウイルスの症状、診断と治療なんか急に話がややこしくなってきたと思われるかもしれませんが、それぞれの細かいウイルスまで覚える必要はありません。主な自然宿主は齧歯類です。ウイルスは宿主の唾液、尿、糞便中に排泄され、人間はそれらが含まれるエアロゾルを吸入することで感染します。特筆すべき例外として、中南米のアンデスウイルス(ANDV)は、例外的にヒトからヒトへの感染が確認されている唯一のハンタウイルスであり、密接な接触がリスク要因となります3,4)。たとえば、誕生日のパーティーやお通夜への参加、同じ車内で長時間一緒に過ごしたなどの場面での感染が報告されています。注意すべき点としては、これまでに患者から医療従事者への感染例も報告されていることです。症状ですが、まず潜伏期間が長いのが特徴です。今回問題になっているANDVでは平均18日程度と報告されており、正確な渡航歴・接触歴・曝露歴の聴取が不可欠です。HFRS(腎症候性出血熱)では典型的には5つの病期(発熱期、低血圧期、乏尿期、利尿期、回復期)をたどります。高熱、頭痛、腹痛、背部痛に加え、視覚異常が感染者の最大70%に見られます。HCPS(ハンタウイルス肺症候群)では2~7日間の前駆症状(発熱、筋肉痛など)を経て、呼吸不全が急激に進行します。これは肺血管透過性の亢進により、数時間以内に非心原性肺水腫、呼吸不全、心原性ショックが進行するというものです。画像所見では、両側性の隔壁肥厚やすりガラス影、胸水貯留が急速に拡大します。どちらの病型にも共通している病態が「血管透過性の亢進」でありまして、HFRSでは主に腎髄質の毛細血管が、HCPSでは主に肺の毛細血管が強く影響を受けることがわかっています。先述の表にも記載していますが、致死率はHFRSでは1~12%、HCPSではなんと最大45%にも及びます。きわめて重症度の高い感染症です。診断は抗体検査またはPCRによって行います。IgMは通常、発症初期から検出可能とされます。RT-qPCRは高感度であり、抗体出現前の早期診断にきわめて有用です5)。治療については、リバビリンや高用量ステロイド、回復者血漿療法などが検討されてきましたが、現時点で確立した治療法はありません6,7)。体外式膜型人工肺(ECMO)が注目されており、血管透過性亢進が回復するまでECMOを使用することで予後が改善したという報告があります8)。とまあ、このように恐ろしいハンタウイルス感染症ですが、果たしてわが国に持ち込まれるリスクはどれくらいあるのでしょうか?次回はそこんとこを検討していきたいと思います。1)Vial PA, et al. Lancet Infect Dis. 2023;23:e371-e382.2)Manigold T, Vial P. Swiss Med Wkly. 2014:144:w13937.3)Padula PJ, et al. Virology. 1998;241:323-330.4)Martinez VP, et al. N Engl J Med. 2020;383:2230-2241.5)Guzman C, et al. Expert Rev Anti Infect Ther. 2015;13:939-946.6)Mertz GJ, et al. Clin Infect Dis. 2004;39:1307-1313.7)Vial PA, et al. Antivir Ther. 2015;20:377-386.8)Wernly JA, et al. Eur J Cardiothorac Surg. 2011;40:1334-1340.

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間欠性跛行を伴う末梢動脈疾患の初期治療【日常診療アップグレード】第56回

間欠性跛行を伴う末梢動脈疾患の初期治療問題67歳男性。1年前から歩行時に右ふくらはぎ痛がある。5~10分間安静にすると痛みは改善するが、現在は犬の散歩や早足で歩くことが次第に困難になってきた。喫煙歴はない。既往歴は冠動脈疾患、駆出率低下を伴う心不全(HFrEF:Heart Failure with reduced Ejection Fraction)、高血圧、脂質異常症である。服用中の薬剤は、アスピリン、メトプロロール、バルサルタン、スピロノラクトン、ダパグリフロジン、アトルバスタチンである。血圧128/74mmHg、脈拍68回/分、整である。末梢動脈の拍動は両側の大腿動脈で2+、右膝窩動脈および右足背動脈の拍動は1+である。足は温かく、潰瘍は認められない。足関節上腕血圧比(ABI:Ankle Brachial Index)は、左が0.94、右が0.76である。LDLコレステロールは58mg/dL。シロスタゾールを投与した。

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5月19日 IBDを理解する日【今日は何の日?】

【5月19日 IBDを理解する日】〔由来〕「世界IBDデー」に准じ、クローン病や潰瘍性大腸炎などの「炎症性腸疾患」(IBD)への理解促進のため、IBDネットワークとアッヴィの共同で2013年に制定。関連コンテンツ固定用量の潰瘍性大腸炎治療薬「ベルスピティ錠2mg」【最新!DI情報】中等症~重症の活動性クローン病、グセルクマブ導入・維持療法が有効/Lancetコーヒー摂取量と便秘・下痢、IBDとの関連は?辛い食品は炎症性腸疾患リスクを上げるのか

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家族の介護疲れをケアする【非専門医のための緩和ケアTips】第124回

家族の介護疲れをケアする高齢化が進む日本で、介護の問題は非常に重要です。在宅緩和ケアの実践でも、患者の症状緩和だけでなく、家族の介護負担をどのようにケアするかという問題によく遭遇します。緩和ケア医の立場からは、どのような支援ができるのでしょうか?今日の質問先日、訪問診療を担当している患者が入院したのですが、症状悪化というよりは家族の介護疲れが理由で入院となってしまい、在宅医としてやや不全感がありました。もともと、家族としては在宅療養にあまり前向きでなかった中で、本人が強く自宅療養を希望したという経緯もあります。何かできたことがあったのでしょうか?まず、患者本人がどのように感じているかはこの文面からはわかりませんが、家族が在宅療養に前向きでなかった中で、少しでも自宅療養の時間を持てたことは、医療者としての役割を果たせたのではと思います。そのうえで、私自身が感じたことや取り組んでいる工夫について述べます。まず、「介護疲れ」とは家族の性格や覚悟の問題ではなく、シンプルに「負担が許容量を超えた状態」だと理解しましょう。そして許容量はそれぞれの家族、ご家庭で異なります。ある家族にとっては乗り越えられたことも、ある家族にとっては対応が難しいと感じることもよく経験します。ですので、事前に家族の状況を把握し、在宅療養という(多くの場合は)未経験のことへの対応力をアセスメントしておくことが大切です。アセスメントをしたうえで、懸念される事項に対して準備できることや必要な支援を整理します。その中で最も一般的なのは、介護保険の申請と介護保険サービスの活用でしょう。介護保険については皆さんも日々対応されているでしょうが、私が医師として行っている工夫を紹介します。それは、不安や負担に感じていることを傾聴したうえで、「家族だけで対応しなくてもいいんですよ」と自分の言葉で明確に伝える、というものです。介護経験のない家族は、それぞれが持つ介護の「イメージ」の中で不安が増幅しています。もちろん、介護負担を心配して在宅療養を選択しなくてもよいわけですが、極端かつ誤ったイメージだけで選択肢を狭めてしまうのは残念です。なので「心配はごもっともだと思います。皆さん、同じように心配されると思って聞いていました。ただ、もし、『本当は自宅で過ごさせてあげたいけど、介護が心配』ということであれば、私もいろいろなご家族と同じような相談をしてきた経験から、少しご説明させていただいてもよいですか?」と話します。医療、介護の注意点と見通しをお伝えしたうえで、「しっかり準備をしたら、大変なときはあったけれど、思ったよりも負担は少なかった、と振り返るご家族もいました。よろしければ、より詳しい介護のプロからのお話も聞いてみませんか?」とお話しして、ケアマネジャーや退院支援スタッフにつなぎます。緩和ケアに関わっていると、各職種の担う役割はとても専門性が高いことを実感します。私自身ができることはごく一部であり、各職種の専門性を患者と家族に還元できるようにすることが、緩和ケア医を含めた医師の役割なのだと感じます。今日のTips今日のTips介護は家族にとって切実な問題。家族の状況のアセスメントを介護職と一緒に取り組みましょう。

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第319回 光合成でドライアイ治療

植物の葉のように光合成する葉緑体成分をナノ粒子化してマウスの目に移植し、ドライアイ(乾性角結膜炎)を治療しうる光合成成分を生み出すことができました1-4)。ヒトは目の光感知のおかげで物を見ることができます。一方、植物、藻類、バクテリアのいくらかは光を頼りとする光合成により、生存に不可欠な代謝産物を生み出します。動物の嚢舌目ウミウシは捕食した藻類から光合成装置の葉緑体をくすね取るという類いまれな才能を有します。くすねた葉緑体は飢餓に備えて腸細胞に保管され、栄養を得ることに使われます。2年ほど前の研究報告で、東京大学の細胞生物学者の松永 幸大氏らは似たことが哺乳類細胞でも可能なことを示しました5,6)。ハムスター起源の培養細胞に移植した葉緑体が2日は電子伝達活性を維持することがその研究で確認されています3)。光合成を治療に役立てることも試みられています。たとえば2022年の報告では、関節炎マウスの膝関節への光合成機構の一部の注入により関節が破壊されないようにすることが示されています7)。ただし、膝に日光はあまり当たりません。ゆえに光合成機構の恩恵を得るためにマウスは毎日30分間赤い光を浴びる必要がありました3)。一方、眼は光と共にあります。ゆえに目は光合成の場としてうってつけであり、目に入る自然光での光合成の産物を利用した新たな治療手段を生み出せそうです。シンガポール国立大学のKuoran Xing氏らはそう思い立ち、まずは地元のスーパー(FairPrice)に足を運んで緑黄野菜一揃いを買って葉緑体を単離しました3)。光エネルギーの吸収に携わる葉緑素が最も豊富なのはホウレンソウでした。そこでホウレンソウの葉緑体から葉緑素を含む層状構造のチラコイドグラナを丸ごと取り出して界面活性剤のPluronic F127で包みました。そうしてできたナノ粒子はLEAF(light-reaction enriched thylakoid NADPH-foundry)と呼ばれ、光合成の最終産物の糖分子ではなく、炎症を鎮める働きが知られる抗酸化物質のNADPHとATPを光を頼りに生み出します。哺乳類細胞はLEAFをやすやすと取り込め、細胞内でLEAFは光に反応してATPとNADPHを何時間か作ることができました。植物では次の段階の反応でそれらの分子が炭水化物へと変わっていきます。ドライアイは目を傷つける酸化や炎症を誘発します。ゆえにLEAFが生み出すNADPHでドライアイを治療できるかもしれません。Xing氏らはドライアイを引き起こす物質をマウスに投与し、続いてLEAFを点眼しました。すると涙の生成が増え、角膜の厚みが回復しました。ラットでの検討結果も同様で、LEAFは角膜上皮の傷を癒し、涙の生成を回復させました。今や研究チームはドライアイの患者にLEAFを試す臨床試験の実施を計画しています4)。効果や安全性の長期的な検討が必要な一方で、LEAFの不明点も解明しなければなりません。たとえば、ドライアイ治療効果を担うのはNADPHではなくLEAFが生み出すもう1つの分子のATPなのかもしれません。ドライアイでは角膜の細胞のエネルギー生成を助ける神経細胞が死ぬことが知られます。LEAFが生み出すATPがその穴埋めをすることが実は効果につながっている可能性があります3)。ともあれ、ひとたび点眼したら後はいつものように光と共にすごすだけで事足りるLEAFはなかなかよくできた(really creative)治療手段と言えそうです3)。LEAFは淡い緑色をしていますが、微量で済むのでその点眼で目が緑がかってしまうという心配はいらないようです4)。参考1)Xing K, et al. Cell. 2026 May 15. [Epub ahead of print]2)Eyes that photosynthesise: NUS scientists plant a cure for dry eye disease / National University of Singapore (NUS)3)Making eyes ‘photosynthetic’ could treat common vision problem / Science4)Mouse eyes photosynthesize after plant-to-animal transplant / Nature5)Aoki R, et al. Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 2024;100:524-536.6)Solar-powered animal cells / University of Tokyo7)Chen P, et al. Nature. 2022;612:546-554.

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5月スタートの「指定濫用防止医薬品」、法的義務化と現場の対応は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第170回

市販薬の不適正使用による健康被害が後を絶ちません。これを踏まえ、2026年5月1日より、従来の「濫用等のおそれのある医薬品」は「指定濫用防止医薬品」へ名称が変更されました。販売方法などの規制が強化されていますので、改正前・後のルールや運用の変更について確認しましょう。対象となる成分改正前(濫用等のおそれのある医薬品)は、エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、プソイドエフェドリン、ブロモバレリル尿素、メチルエフェドリンの6成分が対象でしたが、改正後はデキストロメトルファンとジフェンヒドラミンの2成分が追加になりました。市販の咳止め・睡眠改善薬が新たに広く対象になったということになります。なお、規制の目的から、本成分の外用薬は対象外です。年齢・容量10代などの若年層では、違法薬物よりも市販薬を用いた乱用薬物の割合が拡大しています。セルフメディケーション推進と医療費削減を目的としたOTC医薬品のネット販売が解禁されたのが2014年ですから、それと健康被害の拡大が時期的に重なっており、入手容易性の上昇が一因とも考えられています。今回の改正では若年者への歯止めが明確に法定化されました。適正使用でないと判断した場合は販売を拒否しなければなりません。18歳未満:小容量1包装のみの販売に制限され、複数個や大容量サイズは販売禁止となります。販売形態も、対面もしくはビデオ通話でのリアルタイムの確認が必須となり、通常のインターネット販売はできません。18歳以上:小容量1包装であればインターネット販売できますが、複数・大容量の場合は不可です(対面/ビデオ通話なら可)。また、複数・大容量購入を希望した場合は購入理由を確認することが義務付けられました。情報提供の方法改正前は、声掛けや注意喚起をするなど、わりと販売者の努力や良心に委ねられているという印象がありました。改正後は、書面(電子可)+口頭説明が必須となり、濫用時の健康被害を明示し、最終的に購入希望者が「理解したか」「質問はあるか」の確認までを義務としました。陳列方法自由に手に取れる棚陳列は原則不可となり、購入者の手の届かない場所や薬剤師などの目の届く範囲への配置が必要です。また、頻回購入対策を盛り込んだ手順書を整備することが推奨から義務になりました。今回の変更は、2025年の薬機法改正による変更の1つに当たります。以前は、省令や通知において「濫用等のおそれのある医薬品」として区分され、規制されており、販売時確認や注意喚起は努力義務的運用とされていました。2026年5月1日からは薬機法第36条の11に明記され、販売ルールは法的義務となります。よって、違反した場合は薬機法違反となり、行政指導・業務停止等の対象となりますので注意が必要です。

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ICIとの併用でOSが延長、肺がん治療の新戦略「TTフィールド」の可能性/ノボキュア

 ノボキュアは2026年4月にメディアラウンドテーブル「進行期肺がん治療の新潮流」を開催した。同イベントでは近畿大学医学部内科学腫瘍内科の林 秀敏氏と同社の代表取締役である小谷 秀仁氏が登壇。2026年3月に保険収載された非小細胞肺がん(NSCLC)の腫瘍治療電場(TTフィールド)「オプチューンルア」について、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)との併用効果などを解説した。TTフィールドの抗腫瘍効果 TTフィールドは、電場をがん治療に応用した新たな治療モダリティである。肺がんに対しては150kHzの交流電場を体内に形成することで、直接および間接作用で抗腫瘍効果を発揮する。 直接作用として明らかになっているのは有糸分裂阻害である。交流電場によって細胞分裂に必要な紡錘体形成が妨げられ、がん細胞がアポトーシスへと誘導される。交流電場によって免疫原性細胞死が誘導されて抗腫瘍免疫が惹起されることで間接作用として抗腫瘍活性が発揮される。この結果、がん免疫療法がより有効に機能する状態が整えられる。 腫瘍細胞と正常細胞では電場の最適周波数が異なること、急速に分裂する腫瘍細胞に対して選択的に作用する特性から、TTフィールドは正常細胞への影響が少ないとされる。肺がんにおけるTTフィールドへの期待 日本における肺がんの罹患数は全がん種の中で2位、死亡数は最多である。新薬の登場で改善しつつあるが、肺がんの生命予後はいまだに厳しい。とくに2次治療以降の有効な選択肢は少ない。 こうした背景のもと、プラチナベース化学療法で進行した再発・進行NSCLCを対象に、国際多施設共同無作為化試験LUNARが実施された。 同試験の結果、全体集団においてオプチューンルア+標準療法(治験責任医師選択のICIまたはドセタキセル)群の全生存期間(OS)中央値は13.2ヵ月、標準療法群は9.9ヵ月と、統計学的に有意な延長が示され、主要評価項目を達成した(ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.56〜0.98、p=0.035)。特筆すべきはICIとの併用サブグループである。対照群であるICI単独群のOS中央値10.8ヵ月に対し、オプチューンルア+ICI群では19.0ヵ月を示し、8.2ヵ月の延長が認められた1)。TTフィールドが腫瘍免疫を活性化することでICIの有効性をさらに高める可能性が示唆される結果となった。 オプチューンルアの対象となるドライバー遺伝子陰性NSCLCにおいても、ICIによる2次治療の効果は限られている。林氏は「ICIをいかに効きやすくするかは、われわれに課せられた重要な使命であり、TTフィールドはその1つの答えになり得る」と期待を語った。実臨床での活用とサポート体制 オプチューンルアによる治療は在宅で実施する。胸部の前後を挟み4枚のアレイを貼付するという単純なものである。 LUNAR試験における主な有害事象はアレイ貼付部位の皮膚炎(大半がGrade1〜2)であり、保湿やスキンケアなどのシンプルな対応が有効である。 臨床効果の発現は長時間貼付することで、より発揮され、18時間以上の使用が推奨されている。 ノボキュアでは医療者、患者のサポート体制を整えている。MDR(Medical Device Representative)が医療機関向けに情報提供・適正使用推進を担い、DSS(Device Support Specialist)は機器の取り扱いトレーニングなどを担う。在宅療法という特性上、24時間365日のコールセンターでサポートする。アレイには着用時間を記録する温度センサーが内蔵されており、患者の使用データをDSSが担当の医療者に毎月フィードバックする。 治験を行なった林氏は「治療を頑張りたいという患者さんが多い。患者さん自身が治療に関与できる点がモチベーションにもつながっているのではないか」と語った。 TTフィールド療法は従来の薬物治療とは一線を画す新たなモダリティとして、またICIの有効性を底上げする治療戦略として、再発・進行NSCLCにおける新たな潮流となることが期待される。

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アトピーは学業成績に影響するか

 アトピー性皮膚炎(AD)は、睡眠障害や併存疾患、あるいは心理社会的影響により学業成績を低下させる可能性があるが、集団ベースの縦断的研究によるエビデンスは限られている。英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのRita J. Iskandar氏らは、デンマークおよび英国の小児約78万人を対象とした並行コホート研究において、ADは学業成績の低下と関連するか、またその関連は疾患表現型や社会経済的背景によって異なるかどうかを検討した。JAMA Dermatology誌オンライン版2026年4月8日号掲載の報告。 本研究は、デンマークおよび英国における、ADを有する小児および有さない小児を対象とした集団ベースの並行コホート研究。デンマークでは、全国的なレジストリから1986~2000年に出生した小児を抽出し、2018年まで追跡調査を行った。英国では、Avon親子縦断研究(ALSPAC)から得られた1991~92年に出生した小児データを、国立生徒データベース(National Pupil Database)と連携させ、2009年まで追跡調査を行った。データ解析は2022年10月~2024年4月に実施された。 ADは、13歳未満での診断(デンマーク)または11.5歳までの母親から2回以上のADの報告(イングランド)と定義した。デンマークの分析では、遺伝的因子を考慮するため、AD罹患状況が異なり両親を同じくする兄弟姉妹を対象とした反復解析を実施した。 主要評価項目は、16歳時の義務教育修了時の全国統一試験における不合格の成績(2値アウトカム;ポアソン回帰による割合比)および平均学業成績スコア(連続アウトカム;線形回帰による平均差)であった。 主な結果は以下のとおり。・両研究を合わせて、計78万2,837人の小児が対象となった。・デンマーク(n=77万6,214人、AD患者1万259人、女児38万6,408人[49.8%])では、AD患者と非AD患者の間で、不合格率(12.0%vs.11.2%、調整割合比[aPR]:1.06、95%信頼区間[CI]:1.01~1.12)および平均学業成績(調整平均差:-0.06ポイント、95%CI:-0.11~-0.01)に差は認められなかった。・活動性AD患者では、非AD患者と比較して不合格率の高さとの関連がみられた(aPR:1.19、95% CI:1.03~1.37)。・兄弟姉妹間における解析でも同様の結果が得られた。・イングランド(n=6,623人、AD患者2,967人、女児3,332人[50.3%])では、AD患者は非AD患者に比べて、不合格率がわずかに低く(37.7%vs.47.4%、aPR:0.88、95%CI:0.83~0.93)、平均学業成績が高かった(調整平均差:10.48ポイント、95%CI:6.49~13.86)。・表現型分析によると、中等度-寛解型(moderate-declining)および中等度-頻発型(moderate-frequent)AD患者の成績が優れることがこれらの結果を主に説明しており、軽度-間欠型(mild-intermittent)または重度-頻発型(severe-frequent)AD患者の成績は、非AD患者または症状のほとんどないAD患者と同程度であった。・全体として、学業成績について、表現型や社会経済的背景による一貫した差異はみられなかった。 著者らは、「2つの大規模コホートにおけるトライアンギュレーション(triangulation)アプローチによる検討と多重解析により、ADは義務教育修了時の全国統一試験における学業成績の著しい低下とは関連がない可能性が高いことが示された」とし、「本結果はADを有する小児やその家族、教員や臨床医にとって安心材料となるもの」とまとめている。

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双極症II型の死亡リスクは双極症I型より高いのか?

 双極症II型(BD-II)が長期死亡率の上昇と関連しているかどうかは、依然として不明である。その理由は、ほとんどの研究がBD-IIと双極症I型(BD-I)を区別していないことにある。台湾・長庚大学のChih-Wei Hsu氏らは、BD-IIが一般集団や非双極症の兄弟姉妹、およびBD-I患者と比較して、すべての原因による死亡率および原因別死亡率の上昇と関連しているかどうかを調査した。JAMA Network Open誌2026年4月1日号の報告。 本集団ベースのレトロスペクティブコホート研究では、2000~22年の台湾国民健康保険データベースのデータを使用し、検討を行った。対象は、12歳以上で、精神科医によって2回以上のBD-II診断を受けた患者(BD-II群)および性別と生年月日をマッチさせたBD-IIでない患者(対照群)。追加の比較対象者として、影響を受けていない生物学的同胞およびBD-Iコホートを含めた。フォローアップ期間は、インデックス日から死亡または2022年12月31日までとした。データ解析は、2025年6~8月に実施した。主要アウトカムはすべての原因による死亡率、副次的アウトカムは自然死および不自然死による死亡率とした。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、年齢、性別、所得、居住地、医療資源利用、併存疾患を調整したハザード比(aHR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、BD-II群1万1,427例(平均年齢:39.6±16.6歳、女性:7,073例[61.9%])および対照群4万5,708例(平均年齢:39.6±16.7歳、女性2万8,292例[61.9%])。・平均フォローアップ期間7.3±5.1年の間に死亡したのは、BD-II群で1,089例、対照群で1,879例であった(aHR:1.62、95%CI:1.47~1.78)。・BD-II群における過剰死亡は、自然死(aHR:1.37、95%CI:1.23~1.52)および不自然死(aHR:4.46、95%CI:3.53~5.64)の両方で認められた。・自然死には、精神および行動障害、循環器系、呼吸器系、消化器系、皮膚または皮下組織の疾患、他に分類されない症状、兆候、異常な臨床所見および検査所見が含まれた。・不自然死は、主に不慮の事故、自殺、暴行または殺人であった。・これらの結果は、性別、年齢、精神疾患の併存の有無にかかわらず一貫していた。・家族内解析では、BD-II群はすべての原因による死亡率(aHR:1.31、95%CI:1.00~1.72)および不自然死の死亡率(aHR:2.05、95%CI:1.43~2.95)の上昇と関連していたが、自然死の死亡率との関連は認められなかった。・BD-Iと比較すると、BD-IIはすべての原因による死亡率(aHR:1.24、95%CI:1.01~1.53)および自然死の死亡率(aHR:1.45、95%CI:1.14~1.86)の上昇と関連していたが、不自然死の死亡率との関連は認められなかった。 著者らは「BD-IIは、さまざまな死因にわたる早期死亡の有意なリスクと関連していた。家族歴などの共通要因を考慮した後でも、BD-Iと比較し、すべての原因による死亡率は依然として高かった。これらの結果は、BD-II患者に対する包括的な精神科医療の重要性を強調するものである」と結論付けている。

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1回の大腸内視鏡検査、長期の罹患率と死亡率を改善するか/Lancet

 1回の大腸内視鏡スクリーニングは、13年にわたり大腸がんの罹患率を有意に抑制するが、死亡率には影響を及ぼさないことが、ポーランド・Maria Sklodowska-Curie National Research InstituteのMichal F. Kaminski氏らが実施した「NordICC試験」の長期追跡調査で示された。研究の成果は、Lancet誌2026年5月9日号で報告された。欧州の約8.5万例のデータを解析 NordICC試験は、欧州4ヵ国(ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、オランダ)で実施した住民ベースの無作為化対照比較試験(Norwegian Research Councilなどの助成を受けた)。 2009年6月~2014年6月に、各国レジストリから55~64歳の8万4,583例を抽出した(今回の解析にはオランダのデータは含まなかった)。 被験者を、大腸内視鏡によるスクリーニングを受ける群(2万8,217例)または受けない群(5万6,366例)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、大腸がん罹患率および死亡率とした。初回解析は10年後に行い(報告済み)、それ以降は2年以上の間隔を空けて解析を繰り返した。13年大腸がん罹患率、スクリーニング群1.46%vs.非スクリーニング群1.80% 追跡期間中央値13年の時点で、大腸がんの発生は、ITT解析でスクリーニング群が2万8,217例中375例(1.46%)であり、非スクリーニング群の5万6,366例中912例(1.80%)と比べて有意に低かった(リスク比[RR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.71~0.90)。per-protocol解析でも、スクリーニング群で大腸がん罹患率が有意に低かった(1.00%vs.1.80%、RR:0.55、95%CI:0.33~0.81)。 近位大腸がんは、スクリーニング群で129例(0.51%)、非スクリーニング群で283例(0.56%)に発生し、両群間に差を認めなかった(RR:0.91、95%CI:0.71~1.09)。一方、遠位大腸がんは、非スクリーニング群で563例(1.11%)に発生したのに対し、スクリーニング群は224例(0.87%)と有意に頻度が低かった(RR:0.79、95%CI:0.65~0.89、交互作用のp<0.0001)。 また、男性では、大腸がんは非スクリーニング群の2万8,247例中541例(2.19%)に発生したのに比べ、スクリーニング群は1万4,154例中214例(1.69%)と有意に低かった(RR:0.77、95%CI:0.64~0.88)。一方、女性では、スクリーニング群の1万4,063例中161例(1.24%)、非スクリーニング群の2万8,119例中371例(1.43%)に発生し、両群間に差はみられなかった(RR:0.87、95%CI:0.70~1.02、交互作用のp<0.0001)。非スクリーニング群の死亡率は予想より大幅に低い 13年の時点における大腸がんによる死亡は、ITT解析でスクリーニング群2万8,217例中106例(0.41%)、非スクリーニング群5万6,366例中236例(0.47%)に認めた(RR:0.88、95%CI:0.68~1.08)。また、per-protocol解析ではそれぞれ0.33%および0.47%(RR:0.70、95%CI:0.26~1.25)であった。いずれの解析でも両群間に差はなかった。 なお、非スクリーニング群で観察された大腸がん死亡率(0.47%)は、試験デザイン作成時に予想されていた値(0.82%)に比べ大幅に低かった。 著者は、「これらの知見に基づくと、1回の大腸内視鏡検査により、13年間の追跡期間中に大腸がんのリスクが0.3~0.8%低下する」「非スクリーニング群の大腸がん死亡率がきわめて低かったため、さらに追跡期間を延長してもこれ以上のスクリーニングによる有益性は望めないかもしれない」としている。 また、「死亡リスクを低減せずとも、がんの発症を防ぐことができるのであれば、スクリーニングは正当化される可能性がある」と指摘している。

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大気汚染は片頭痛発作の引き金となるのか

 片頭痛に悩む人は、睡眠・ストレス・食事などを記録していることが多いが、新たな研究によれば、大気汚染の状況にも注意を払う必要があるようだ。自動車の排気ガスや工場の煙などによる大気汚染は、特に特定の気象条件と組み合わさると、片頭痛発作の重要な誘因となる可能性が示された。ネゲヴ・ベン=グリオン大学(イスラエル)のIdo Peles氏らによるこの研究は、「Neurology」に4月15日掲載された。 本研究では、イスラエル南部の片頭痛患者7,032人(平均年齢46.9歳、女性77.4%)を平均10.23年間追跡し、環境曝露と急性片頭痛発作との関連を検討した。環境曝露として、二酸化窒素(NO2)やPM2.5などの大気汚染物質の濃度と、気温、湿度、日射量などの気象条件を日単位で評価し、これらのデータと片頭痛による病院・診療所の受診記録を照合した。加えて、受診前7日間の環境曝露や、四半期(3カ月間)単位での片頭痛薬(トリプタン系薬剤)の使用頻度についても分析した。 データセット内で片頭痛関連救急受診が最も多かった日は、研究期間全体の平均と比較して大気汚染物質濃度が高値であった。一方、受診数が最も少なかった日には、これらの濃度は低値であった。解析では、発作当日の環境曝露と片頭痛関連救急受診の間に有意な関連が認められなかったため、発作前1週間の曝露(lag 1~7)が検討された。 その結果、発作1日前(lag 1)のNO2と太陽放射への曝露は片頭痛関連救急受診と有意に関連し、オッズ比はそれぞれ1.41(95%信頼区間1.13~1.77)と1.23(同1.07~1.42)だった。PM2.5曝露と片頭痛関連救急受診の間には、いずれのlagにおいても有意な関連は認められなかった。さらに、週単位の気象条件はこれらの短期曝露の影響を修飾しており、夏季の高温・低湿条件ではNO2の影響が強まる一方、冬季の低温・高湿条件では、NO2の影響は弱まりPM2.5の影響が強まることが示された。 さらに、大気汚染物質への累積曝露量と片頭痛薬の使用頻度の関連を検討したところ、NO2については直前四半期の曝露で使用頻度の10%増加(発生率比1.10、95%信頼区間1.00~1.21)、PM2.5については、直前四半期の曝露で使用頻度の9%増加(同1.09、1.00~1.19)と関連していた。 論文の筆頭著者であるPeles氏は、本結果は片頭痛発作の発生メカニズムおよびタイミングの理解に寄与するとし、「これらの結果は、片頭痛が起こりやすい人では、環境要因が二つの役割を果たしている可能性を示唆している。中期的要因としては、熱や湿度が発作リスクに影響を及ぼし、短期的要因としては、大気汚染の急激な上昇が片頭痛発作の直接的な引き金となる可能性がある」と述べている。 また本研究では、気象条件と大気汚染の間にも相互作用が認められた。この結果は、気候変動により熱波や砂嵐の頻度が増加することで、大気汚染が生じている地域では片頭痛の増加が起こり得ることを示唆している。Peles氏は、「気候変動により熱波・砂嵐・大気汚染イベントの発生頻度が増していることから、これらの環境リスクを片頭痛患者への指導に組み込む必要がある」と述べている。 ただし研究グループは、本研究は、大気汚染が片頭痛発作を直接引き起こすことを証明するものではなく、あくまで一貫した関連性を示したに過ぎないとし、「今後は大気汚染曝露後の片頭痛の活動性をより正確に評価する追加研究が必要だ」と述べている。

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骨折手術後の抗菌薬併用で感染症リスクは低下せず

 関節周囲の脛骨骨折手術において、手術の最終段階である固定時に、創部にバンコマイシン粉末に加えてトブラマイシン粉末を投与しても、バンコマイシン粉末の単独投与と比較して、深部手術部位感染症のリスクは低下しないことが、新たな研究で示された。四肢外傷に関する臨床研究を行う多施設共同研究ネットワークであるMajor Extremity Trauma Research Consortium(METRC)が主導したこの研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に4月15日掲載された。論文の共著者でMETRCのメンバーである米メリーランド大学整形外科准教授のNathan O’Hara氏は、「外科医は日常診療において、この併用アプローチによる追加の効果を期待すべきではない」とニュースリリースで述べている。 現在、医師は下肢骨折患者の手術において、深部手術部位感染症のリスクを低減する目的でバンコマイシンを局所投与する。バンコマイシンは、創部でよく認められるグラム陽性菌を標的とする抗菌薬であり、骨折後の感染症で問題となることの多いグラム陰性菌に対しては効果がない。 本研究では、米国の39施設においてランダム化比較試験を実施し、関節周囲の脛骨骨折手術の固定時に、創部にバンコマイシン(1.0g)を単独投与した場合と、バンコマイシン(1.0g)にグラム陰性菌を標的とするトブラマイシン(1.2g)を併用した場合とで、深部手術部位感染症の発生率を比較検討した。関節周囲の脛骨骨折とは、膝関節に近い脛骨高原骨折と、足関節に近い脛骨天蓋骨折(ピロン骨折)のことである。1,660人の患者が、単独投与群または併用群のいずれかにランダムに割り付けられ、1,528人(平均年齢47.0歳、男性60.5%)が一次解析の対象とされた。 その結果、併用群では753人中51人、単独投与群では775人中47人に深部手術部位感染症が発生した。182日間の発生率は、それぞれ7.4%、6.6%であった。ハザード比は1.11(95%ベイズ信用区間0.75~1.66)であり、両群間に統計学的に有意な差は認められなかった。また、バンコマイシンとトブラマイシン併用の方が優れている確率は29.7%と推定された。 論文の責任著者であるメリーランド大学R Adams Cowley Shock Trauma CenterのRobert O’Toole氏は、「われわれは、アミノグリコシド系抗菌薬であるトブラマイシンを追加することで、グラム陰性菌感染が減少するという一般的な考えを検証した。しかし、その仮説は支持されなかった。バンコマイシンの単独投与はグラム陽性菌感染の予防として有効な選択肢であるが、トブラマイシンを日常的に追加することを支持するデータは得られなかった」と述べている。 メリーランド大学医学部学部長のMark Gladwin氏は、「骨折手術後の感染症は再手術、抗菌薬の長期投与、治癒遅延、長期的な障害につながり得るため、感染対策は極めて重要である。本研究は、全国の多様な外傷センターを対象とし、高いプロトコル遵守率とフォローアップ率を伴うよく設計されたものであり、整形外科外傷における感染予防プロトコルに実践的な指針を提供している」とコメントしている。

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