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Staphylococcus lugdunensis【1分間で学べる感染症】第15回

画像を拡大するTake home messageS. lugdunensisは、ほかのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌と異なる特徴を持つ。黄色ブドウ球菌と同様に侵襲性感染を引き起こすことを覚えておこう。皆さんはStaphylococcus lugdunensis(スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス:S. lugdunensis)という菌の名前を聞いたことがありますか? 今回は、この菌になじみがある方もそうでない方も、いま一度一緒に学んでいきましょう。では、なぜこの菌が重要なのでしょうか。結論から言うと、S. lugdunensisは「治療が遅れると致死率が高いから」です。皆さんは、表皮ブドウ球菌にはなじみがあるかもしれません。S. lugdunensisは表皮ブドウ球菌と同じコアグラーゼ陰性ブドウ球菌であるにもかかわらず、黄色ブドウ球菌に非常によく似た特徴を持っています。最も重要なポイントは、コンタミネーションが疑われることの多い表皮ブドウ球菌をはじめとするほかのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌と異なり、血液培養でS. lugdunensisが検出されたら、メチシリン感受性ブドウ球菌(MSSA)と思って、その後の感染巣の検索や治療を検討しなければならない、ということです。S. lugdunensisの歴史から簡単に紹介すると、1988年にフランスのリヨンで初めて報告されました。lugdunumはリヨンのラテン語名であり、報告された土地の名が付けられました。微生物学的特徴としては、グラム陽性球菌に分類され、上記コアグラーゼ陰性を示します。コロニーはクリーム色で血液寒天培地において溶血を示すことが特徴です。粘着因子を有することが、高い病原性を示す理由でもあり、人工物が体内に存在する場合にはバイオフィルムを形成して抗菌薬が効果を発揮するのに難渋することがあります。主な臨床的な特徴としては、感染性心内膜炎や菌血症、皮膚軟部組織感染症や骨関節感染症など、黄色ブドウ球菌と類似の感染症を引き起こします。抗菌薬の感受性に関しては、セファゾリンを中心とした抗MSSA用の抗菌薬のほか、バンコマイシン、ダプトマイシン、ST合剤などにも感受性を示すことが多いとされます。以上、S. lugdunensisについて解説しました。「S. lugdunensisを見たらMSSAと思って治療する」という鉄則を念頭に置き、迅速な診断と適切な治療を心掛けるようにしましょう。1)Aldman MH, et al. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2021;40:1103-1106.2)Heilbronner S, et al. Clin Microbiol Rev. 2020;34:e00205-e00220.3)Argemi X, et al. J Clin Microbiol. 2017;55:3167-3174.

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事例012 頭部外傷へのデブリードマン加算などの算定漏れ【斬らレセプト シーズン4】

解説ある内科の診療所において、レセプト点検を行っていたところ、生食と被覆材を使用した時間外の創傷処理の算定に対して違和感を覚えたために、精査を行いました。電子カルテのプログレスを参照したところ、創傷処理が行われたことのみが記載されて、創の大きさやどのような縫合がなされたのかの記録がありませんでした。医師に問い合わせてみますと、患者には診察前の時間外に対応されたようです。患者からは「室内にて転倒した先に茶碗があり、前額部と頭部に挫滅創を負った」と来院時に訴えがあったとのことでした。治療は、前額部に認められた挫滅時の皮弁を取り除いて真皮縫合、創面は被覆材にて術後の傷跡が目立たないように配慮したとのことでした。医師のお話からは、「K000 創傷処理『4 筋肉、臓器に達しないもの(長径5cm未満)』」の点数に加えて、処理前処置の「K000 [注3] デブリードマン加算」、さらに前額部は真皮縫合対象の部位のため「K000 [注2] 真皮縫合加算が算定」ができます。ただし、被覆材は、材料の留意事項によって創傷処理に含まれるとされているために算定できません。医師には、当初算定の約4倍の診療報酬が算定できることを告げて、来院時の事実を簡潔に追記いただきました。レセプトは正しい請求の通り修正して請求を行いました。内科のように外傷対応の事例が少ない場合には、カルテ記載が簡潔になりすぎて後日の検証ができなくなるケースを経験しています。今回は誤算定の防止と後日の検証が可能となるように、医師に施術開始時間と原因、部位と創の大きさ・深さ、行われた処理・処置の内容と使用した薬剤・材料を必ず記入されるようにお願いしました。

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EGFR陽性NSCLC、CRT後のオシメルチニブは日本人でも良好(LAURA)/日本肺学会

 2024 ASCO Annual Meetingにて、第III相無作為化比較試験「LAURA試験」の結果、切除不能なEGFR遺伝子変異陽性StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)における化学放射線療法(CRT)後のオシメルチニブ投与により、無増悪生存期間(PFS)が大幅に改善することが報告された。本試験の日本人集団の結果について、神奈川県立がんセンターの加藤 晃史氏が第65回日本肺学会学術集会で発表した。LAURA試験 試験デザインと結果の概要試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験対象:18歳以上(日本は20歳以上)の切除不能なStageIIIのEGFR遺伝子変異(exon19delまたはL858R)陽性NSCLC患者のうち、CRT(同時CRTまたはsequential CRT)後に病勢進行が認められなかった患者216例試験群(オシメルチニブ群):オシメルチニブ(80mg、1日1回)を病勢進行または許容できない毒性、中止基準への合致のいずれかが認められるまで 143例対照群(プラセボ群):プラセボ※ 73例評価項目:[主要評価項目]RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、安全性など※:BICRによる病勢進行が認められた患者は非盲検下でオシメルチニブへのクロスオーバーが許容された。 データカットオフ時点(2024年1月5日)における全体集団のPFSの成熟度は56%、OSの成熟度は20%であり、BICRによるPFS中央値は、オシメルチニブ群39.1ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.16、95%信頼区間[CI]:0.10~0.24、p<0.001)。OS中央値は、オシメルチニブ群54.0ヵ月、プラセボ群未到達であった(HR:0.81、95%CI:0.42~1.56、p=0.530)。プラセボ群で病勢進行が認められた患者の81%が、オシメルチニブへクロスオーバーした。 日本人集団における主な結果は以下のとおり。・全体集団216例のうち、日本人は30例(オシメルチニブ群23例、プラセボ群7例)含まれていた。全体集団と比較して、年齢中央値はやや高く(日本人集団:71歳、全体集団:63歳)、オシメルチニブ群に含まれるPS0の患者の割合も高かった(日本人集団:78%、全体集団:56%)。・BICRによるPFS中央値は、オシメルチニブ群38.4ヵ月、プラセボ群6.4ヵ月であった。データカットオフ時点ではイベントが少なく、HRは算出されていないが、全体集団と同様にオシメルチニブのベネフィットが示された。1年PFS率はそれぞれ74%、29%、2年PFS率はそれぞれ65%、14%であった。・データカットオフ時点で、オシメルチニブ群の26%(6例)、プラセボ群の14%(1例)で死亡が報告された。・安全性プロファイルは全体集団と一致していたが、放射線肺臓炎はオシメルチニブ群で83%(19例)、プラセボ群で57%(4例)と、日本人集団で多く報告されていた(全体集団ではそれぞれ48%、38%)。しかし、Grade3以上の報告はオシメルチニブ群の4%(1例)のみであり、Grade4/5の報告はなかった。また、放射線肺臓炎が原因でオシメルチニブの投与中止に至った症例は1例のみであった。放射線肺臓炎の報告が多かった理由は、日本における集中的な間質性肺疾患(ILD)モニタリングの結果と考察された。 加藤氏は、今回の解析結果はLAURA試験の全体集団の結果と一致しているとし、オシメルチニブのCRT後の使用は日本人に対しても良好なベネフィット・リスクプロファイルを示したとまとめた。 ディスカッサントとして登壇したテキサス大学MDアンダーソンがんセンターのKeunchil Park氏からは、本試験において病勢進行などが認められるまでオシメルチニブを投与継続することの意義などについて指摘があった。Park氏は、24ヵ月以降のオシメルチニブ群とプラセボ群のPFSを比較しながら、StageIIIの患者の治癒の可能性について言及した。また、切除可能/不能いずれの患者も含まれるStageIIIの患者の不均一性も踏まえ、治療戦略を検討する必要があると語った。 これを受けて加藤氏は、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による治癒の難しさに触れ、各施設の状況を踏まえて、術後補助療法もしくはCRT後というフロントラインでオシメルチニブの使用を検討することが望ましいのではないかと考えを語った。

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非肥満2型糖尿病患者の心血管障害へのSGLT2阻害薬の効果は/京大

 糖尿病の薬物治療で頻用されているSGLT2阻害薬。しかし、SGLT2阻害薬の有効性を示した過去の大規模臨床研究の参加者は、平均BMIが30を超える肥満体型の糖尿病患者が多数を占めていた。 わが国の実臨床現場ではBMIが25を下回る糖尿病患者が多く、肥満のない患者でも糖分を尿から排泄するSGLT2阻害薬が本当に有効なのかどうかは、検証が不十分だった。そこで、森 雄一郎氏(京都大学大学院医学系研究科)らの研究グループは、協会けんぽのデータベースを活用し、わが国のSGLT2阻害薬の効果検証を行った。その結果、肥満傾向~肥満の患者ではSGLT2阻害薬の有効性が確認できたが、BMI25未満の患者では明らかではなかったことがわかった。本研究の結果はCardiovascular Diabetology誌2024年10月22日号に掲載された。肥満者にSGLT2阻害薬の主要アウトカムの効果はみられた一方で非肥満者ではみられず この研究は、2型糖尿病でBMIが低~正常の患者におけるSGLT2阻害薬の心血管アウトカムに対する有効性を、従来の試験よりも細かい層別化を用いて検討することを目的に行われた。 研究グループは、2015年4月1日~2022年3月31日の協会けんぽのデータベースを活用し、3,000万例以上の現役世代の保険請求記録および健診記録を用い、標的試験エミュレーションの枠組みを用いたコホート研究を行った。 SGLT2阻害薬の新規使用者13万9,783例とDPP-4阻害薬の使用者13万9,783例をBMI区分(20.0未満、20.0~22.4、22.5~24.9、25.0~29.9、30.0~34.9、35.0以上)で層別化し、マッチングした。主要アウトカムは全死亡、心筋梗塞、脳卒中、心不全。 主な結果は以下のとおり。・参加者の17.3%(4万8,377例)が女性で、31.0%(8万6,536例)のBMIが低~正常だった(20.0未満:1.9%[5,350例]、20.0~22.4:8.5%[2万3,818例]、22.5~24.9:20.5%[5万7,368例])。・追跡期間中央値24ヵ月で、主要なアウトカムは参加者の2.9%(8,165例)に発現した。・SGLT2阻害薬は全集団において主要アウトカムの発生率低下と関連していた(ハザード比[HR]:0.92[95%信頼区間[CI]:0.89~0.96])。・BMIが低~正常の集団では、SGLT2阻害薬は主要アウトカム発生率の低下と関連しなかった(20.0未満のHR:1.08[95%CI:0.80~1.46]、20.0~22.4のHR:1.04[95%CI:0.90~1.20]、22.5~24.9のHR:0.92[95%CI:0.84~1.01])。 この結果から研究グループは、「2型糖尿病患者の心血管イベントに対するSGLT2阻害薬の効果は、BMIが低いほど低減するようであり、BMIが低~正常(25.0未満)の患者では有意ではなかった。これらの結果はSGLT2阻害薬の投与開始時にBMIを考慮することの重要性を示唆している」と述べている。

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境界性パーソナリティ障害に非定型抗精神病薬は有効なのか〜メタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)患者は、心理社会的機能に問題を抱えていることが多く、その結果、患者自身の社会的関与能力の低下が認められる。英国・サセックス大学のKatie Griffiths氏らは、成人BPD患者の心理社会的機能の改善に対する非定型抗精神病薬の有効性を検討した。Psychiatry Research Communications誌2024年9月号の報告。 1994〜2024年に実施されたプラセボ対照ランダム化比較試験6件をメタ解析に含めた。対象は、オランザピン、クエチアピン、ziprasidone、アリピプラゾールのいずれかで治療されたBPD患者1,012例。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析では、BPD患者の心理社会的機能の治療において、非定型抗精神病薬の小さな改善を示す証拠が明らかとなった。・とくに、非定型抗精神病薬は、プラセボと比較し、機能の全般的評価(GAF)スコアの改善が認められた。・複数の研究より、GAFのp値を組み合わせたところ、統計学的に有意であることが示唆された。・非定型抗精神病薬は、対人関係、職業機能、家族生活の質の改善においても、プラセボより優れていた。・社会生活、余暇活動においても、ポジティブな改善傾向が認められた。・非定型抗精神病薬治療では、体重増加や過鎮静など、既知の副作用発現がみられた。 著者らは「BPD患者に対する非定型抗精神病薬治療は、心理社会的機能やその他の症状改善に有用であるが、その効果は、プラセボをわずかに上回る程度であり、臨床的意義については議論の余地が残る。そのため、より多くのランダム化比較試験が必要とされる」としている。

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手術目的の入院患者の有害事象、多くは予防可能/BMJ

 米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のAntoine Duclos氏らは、多施設共同後ろ向きコホート研究の結果、手術目的で入院した患者の3分の1以上で有害事象が確認され、そのうちの約半数が重大な有害事象であり、また多くが予防できた可能性があることを明らかにした。これまでの研究では、2018年のすべての入院医療で入院患者の約4人に1人に有害事象が認められたことが報告されているが、外科手術(周術期を含む)における有害事象の発生と主な特徴について、最新の評価が必要とされていた。著者は、「今回の結果は、周術期医療全体で、すべての医療従事者が関与し患者の安全性向上を進めていく必要性がきわめて高いことを強調している」とまとめている。BMJ誌2024年11月13日号掲載の報告。11施設の約6万4,000例から無作為抽出した1,009例を解析 研究グループは、米国の11施設(100床未満:2、100~200床:4、201~500床:2、700床超:3)において、2018年に手術目的で入院した18歳以上の成人患者6万4,121例のうち、重み付けランダムサンプリングにより無作為に抽出した1,009例について解析した。 訓練を受けた看護師9人がすべてのカルテを精査して有害事象(医療に起因し、追加のモニタリング、治療または入院が必要となった、または死亡に至った予期しない身体的損傷と定義)を特定した。その後、医師8人が、事象の発生と特徴、重症度を確認し、臨床的に重要な事象(不要な害[harm]を引き起こすが速やかな回復につながる)、重篤な事象(相当の介入および回復期間の延長につながる)、生命を脅かす事象または死亡に至った事象の4つに分類するとともに、それらが予防可能であったかどうかについても評価した。38%に有害事象が発現、全有害事象の21%は予防可能、49%は手術関連有害事象 解析対象1,009例のうち、383例(38.0%、95%信頼区間:32.6~43.4)で1件以上の有害事象が発生し、160例(15.9%、12.7~19.0)で1件以上の重大な有害事象(重篤な事象、生命を脅かす事象または死亡に至った事象)が認められた。 全有害事象593件のうち、353件(59.5%)は予防できた可能性あり、123件(20.7%)はおそらくまたは確実に予防可能であったと判定された。 原因別では、外科手術関連有害事象が最も多く(292件、49.3%)、次いで薬剤関連有害事象(158件、26.6%)、医療関連感染症(74件、12.4%)、患者ケア関連有害事象(66件、11.2%)、輸血関連有害事象(3件、0.5%)の順であった。 有害事象の発生場所は、一般病棟(289件、48.8%)が最も多く、次いで手術室(155件、26.1%)、集中治療室(77件、13.0%)、回復室(20件、3.3%)、救急外来(11件、1.8%)、その他院内(42件、7.0%)の順であった。 有害事象に関与した職種は、主治医(531件、89.5%)、看護師(349件、58.9%)、研修医(294件、49.5%)、上級医(169件、28.5%)、フェロー(68件、11.5%)であった。

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重症βサラセミアへのbeti-cel、89%が輸血非依存性を達成/Lancet

 重症βサラセミアを引き起こす遺伝子型(β0/β0、β0/β+IVS-I-110、またはβ+IVS-I-110/β+IVS-I-110)を有する輸血依存性βサラセミア(TDT)患者において、betibeglogene autotemcel(beti-cel)の投与により約90%の患者が輸血非依存状態になったことが示された。米国・ペンシルベニア大学のJanet L. Kwiatkowski氏らが、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、英国、米国の8つの医療施設で実施した第III相非無作為化非盲検単群試験「HGB-212試験」の結果を報告した。TDTは、生涯にわたる輸血、鉄過剰症および関連合併症を伴う重篤な疾患である。beti-celによる遺伝子治療は、BB305レンチウイルスベクターで形質導入した自己造血幹細胞および前駆細胞を使用するもので、輸血非依存性を可能にする。著者は、「beti-celは、重症TDT患者においてほぼ正常なヘモグロビン値を達成する可能性があり、同種造血幹細胞移植のリスクや限界がなく、治癒を目指す治療選択肢になると考えられる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年11月8日号掲載の報告。主要アウトカムは輸血非依存状態 HGB-212試験の対象は、β0/β0、β0/β+IVS-I-110、またはβ+IVS-I-110/β+IVS-I-110遺伝子型を有し、登録前2年間に100mL/kg/年以上の濃厚赤血球(pRBC)輸血歴または年間8回以上のpRBC輸血歴がある臨床的に安定した50歳以下のTDT患者であった。 HSPC動員ならびに用量調整ブスルファンを用いた骨髄破壊的前処置を行った後、beti-celを静脈内投与し、24ヵ月間追跡した。 主要アウトカムは、輸血非依存状態(pRBC輸血なしでHb濃度加重平均9g/dL以上が12ヵ月以上持続)の患者の割合で、beti-celの投与を受けたすべての患者(移植対象集団)を解析対象集団とした。安全性は、試験の治療を開始したすべての患者(ITT集団)を対象に評価した。89%が主要アウトカムを達成 2017年6月8日~2020年3月12日に、20例がスクリーニングされた。1例は進行性肝疾患を有しており適格基準を満たさず、1例はHSPC動員およびアフェレーシス後に試験同意を撤回したため、beti-cel投与患者は18例であった。 男性が10例(56%)、女性が8例(44%)で、同意取得時に18歳未満が13例(72%)、18歳以上が5例(28%)であった。また、β0/β0遺伝子型が12例(67%)、β0/β+IVS-I-110遺伝子型が3例(17%)、β+IVS-I-110/β+IVS-I-110遺伝子型が3例(17%)であった。 beti-celを投与された18例全例が、主要アウトカムの評価対象となった。2023年1月30日時点(追跡期間中央値47.9ヵ月[範囲:23.8~59.0])において、18例中16例(89%)が輸血非依存状態を達成した(推定効果量:89.9%[95%信頼区間:65.3~98.6])。 有害事象は、18例全例に認められたが、beti-celとの関連が疑われる重篤な有害事象は認められず、死亡例も報告されなかった。 全例が第III相試験を完了し、現在進行中の13年間の長期追跡試験「LTF-303試験」に登録された。

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便秘は心臓病のリスクを高める?

 便秘は心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この研究では、便秘のある人における主要心血管イベント(MACE)の発生リスクは、正常な排便習慣を持つ人より2倍以上高いことが示されたという。セント・ヴィンセント病院(オーストラリア)の臨床データアナリストであるTenghao Zheng氏らによるこの研究の詳細は、「American Journal of Physiology-Heart and Circulatory Physiology」に9月24日掲載された。研究グループは、「便秘はMACEのリスク上昇と独立して関連する潜在的なリスク因子であることが明らかになった」と同誌のニュースリリースの中で述べている。 この研究でZheng氏らは、便秘は、高血圧などの従来の心血管疾患のリスク因子とともにMACEリスクに関連しているとの仮説を立て、UKバイオバンク参加者40万8,354人の健康データの分析を通じてその仮説を検証した。データには、電子健康記録、ライフスタイル調査の結果、自己申告による健康状態や薬の使用状況などが含まれていた。参加者のうち、2万3,814人に便秘があることが確認された。MACEは、急性冠症候群、虚血性脳卒中(脳梗塞)、心不全のいずれかの発生と定義された。 解析の結果、便秘のある人は、正常な排便習慣を持つ人と比べてMACEリスクが2倍以上有意に高いことが明らかになった(オッズ比〔OR〕2.15、P<1.00×10-300)。便秘はMACEのサブグループとも有意に関連しており、リスクは、心不全(OR 2.72)、脳梗塞(同2.36)、急性冠症候群(同1.62)の順で高かった。 また、15万7,414人に高血圧の診断歴があり、このうちの8.6%(1万3,469人)には便秘もあった。便秘のない高血圧患者と比べて、便秘のある高血圧患者でもMACEのオッズは有意に高く(OR 1.68)、MACEの発生リスクは34%高いことが示された(ハザード比1.34、P=2.3×10-50)。 さらに、便秘と心血管疾患に関連すると考えられる900万以上の遺伝的変異の解析から、便秘は心血管疾患と約21%から27%の遺伝的変異を共有しており、両者の間に遺伝的相関のあることが明らかになった。さらに、ゲノム解析により、便秘が遺伝的な特性である可能性は約4%と推定された。 研究グループは、このように便秘とMACEの関連が特定されたことで、「プレシジョンメディシン(精密医療)の原則に沿った、個々の患者のリスク評価に基づいた新たな治療介入を見出し、より効果的な管理戦略を実施できるようになる」との見方を示している。 その一方でZheng氏らは、「便秘とMACEの関連をより深く理解するために、さらなる研究が必要である」と述べている。

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1日わずか5分の身体活動の追加が血圧低下に効果的

 毎日の生活の中に、自転車に乗るなどの運動に近い身体活動をわずか5分加えるだけで、血圧が下がり、心血管疾患のリスク低下につながる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。論文の筆頭著者である、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のJoanna Blodgett氏は、「良いニュースは、身体能力にかかわりなく、短時間で血圧に良い影響がもたらされることだ。われわれの研究は、階段を上ることやちょっとした用事に自転車を使うことなど、日常生活に組み込むことができる、運動に近いあらゆる身体活動の効果を検討した点がユニークだ」と述べている。この研究結果は、「Circulation」に11月6日掲載された。 研究グループによると、世界中で高血圧は約13億人の成人に影響を及ぼしており、脳卒中などによる早期死亡の最大の原因の一つとなっている。今回の研究は、1万4,761人の成人ボランティア(平均年齢54.2±9.6歳)を対象にしたもの。対象者が大腿部に装着する加速度計で測定したデータをもとに、24時間の行動を、睡眠、座位行動、立位行動、ゆっくりとした歩行(1分間に100歩未満)、速歩き(1分間に100歩以上)、およびランニングやサイクリングなどの運動に近い身体活動に分類し、血圧(収縮期血圧と拡張期血圧)との関連を検討した。 対象者が6種類の行動に費やした時間の平均は、睡眠7.13±1.19時間、座位行動10.7±1.9時間、立位行動3.2±1.1時間、ゆっくりとした歩行1.6±0.6時間、速歩き1.1±0.5時間、運動に近い身体活動16.0±16.3分であった。運動に近い身体活動や睡眠に費やす時間が長いほど、血圧は低い傾向が認められた。また、運動に近い身体活動を毎日5分追加することで、収縮期血圧は0.68mmHg、拡張期血圧は0.54mmHg低下すると推定された。 これらの結果を受けて研究グループは、収縮期血圧2mmHg、拡張期血圧1mmHgの低下など、血圧がわずかに低下するだけで、心血管疾患の発症リスクが10%低下する可能性があると指摘。日課に、運動に近い身体活動を1日10~20分程度取り入れることで、それが実現できる可能性があると述べている。また研究グループは、サイクリング、階段の昇降、短時間のランニングなど、心拍数を上げる身体活動は全て、高血圧を緩和する効果があると説明する。Blodgett氏は、「われわれの研究結果は、ほとんどの人にとって、血圧を下げるには、ウォーキングなどのそれほど負担のかからない身体活動よりも、心拍数を上げるような身体活動が鍵となることを示唆している」と述べている。 一方、共著者の一人であるシドニー大学(オーストラリア)医学・健康学分野教授のEmmanuel Stamatakis氏は、「運動をあまりしない人にとっては、ウォーキングは血圧にいくらか良い効果がある」と強調している。同氏は、「1日当たりわずか5分の運動や運動に近い身体活動を追加することで血圧が低下するという結果は、短時間の高強度の身体活動が血圧管理にいかに効果的であるかを強調するものだ」とUCLのニュースリリースで述べている。

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第238回 若い社員の退職理由、「コロナ後遺症」は本当なのか?

国立感染症研究所が発表する最新の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の2024年第45週(11月4~11日)の定点当たり報告数は1.47人。第34週(8月19~25日)の8.8人から現在のところ11週連続で低下している。もっともここ最近、個人的には気になることがあった。一般に新型コロナは若年者では重症化しないと言われているが、今春頃から「うちの若い社員が後遺症でかなり苦しんでいる」という話を3人の知人から別々に聞いていたからだ。ちなみにこの3人同士はまったく面識がない。そして先週、また別の知人と会食していた際に「うちの会社ではすでに今年に入って新人が2人、新型コロナの後遺症がつらいということで相次いで退職した」と聞かされた。まあ、昨今は入社早々、退職代行業者を使って勤務先を辞めてしまうという事例も増えているので、私は当初、「辞める言い訳にでも使っているのではないか?」ぐらいに考えていたのだが、こうも立て続くとさすがに尋常ではないと感じ始めた。しかも、いずれのケースも若い社員が訴えるのは「集中力の極端な低下」や「ブレインフォグ」。会食した友人の話によると、辞めた新人のうちの1人は、感染後、勤務先で「PCのディスプレイに向かっても、表示されている文章が頭に入ってこない」と言っていたという。ということで、ちょっと論文検索をしてみたところ、以下の2件の論文が気になった。1つは中国・清華大学のグループによる研究1)。新型コロナ軽症者185人の感染前後での安静時脳波(EEG)を比較し、補足的に行った認知症状などに関するアンケート結果も含めてまとめた研究である。感染前後のEEGのデータがある点について、ふと不思議に思ってしまったが、論文によると元々の本研究の対象者は、さまざまな年齢層での長期的EEG追跡を目的とした研究の被験者で、たまたまこうしたデータが取れてしまったということらしい。研究では年齢別に成人(26歳以上)、若年成人(20~25歳)、思春期若年者(10~19歳)、小児(4~9歳)に分けて感染前後の影響を調査しているが、若年成人で、記憶、言語、感情処理の機能に関与する側頭葉領域で顕著な脳波の乱れや認知機能の低下が認められたという。もう1つの研究2)はコロンビア大学アービング医療センター放射線科グループによるもの。これも新型コロナパンデミック前から健常ボランティアを対象に行っていた神経画像研究に関連し、ワクチン登場前の新型コロナ感染者(5人)と非感染者(15人)の比較研究である。サンプルサイズは小さいが、新型コロナに関して高齢者に関する研究が多い中で、対象者の年齢中央値が37歳とかなり若い点が特徴的と言える。それによると、前頭葉領域で神経細胞の喪失や炎症を伴う損傷を示唆する組織学的変化が確認された。ちなみに神経認知データの結果では感染者群では悪化傾向はあったものの、非感染者群との有意差は認められなかったという。もっとも2つの研究がかなりの制約の中で行われたものであり、しかも結果に一貫性があるとは言い切れない以上、現時点では数々の示唆の1つに留まる。とはいえ、冒頭で紹介したような偶然にしては似たような状況が重なり過ぎると、どうしても気になってしまうのだ。一応、日本国内でも一部で後遺症に関する研究は行われているようだが、概観すると高齢者などに着目したものや概論的なものがほとんどのようだ。昨今は新型コロナに対する世間の危機感が薄れつつある。とりわけ重症化しにくい若年者では、どうしても高齢者よりは新型コロナをなめがちになる可能性は否めない。しかも、若年者の場合、ワクチンも任意接種で費用は1万5,000円前後となれば、余計のこと感染対策から遠ざかってしまう。このような状況を踏まえると、新型コロナの感染対策を前進させるためには、こうした若年者での正しい知識に基づく危機感の醸成の一環として、後遺症の実態も必要ではないかと思うのだが…。参考1)Sun Y, et al. BMC Med. 2024;22:257.2)Lipton M.L, et al. Heliyon. 2024;10:e34764.

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いよいよ多変量解析 その2【「実践的」臨床研究入門】第49回

多変量解析手法の選択と留意点臨床研究における多変量解析の主な目的の1つは交絡因子の調整です(連載第40回参照)。交絡因子は、Research Question(RQ)のE(要因)とC(対照)との「理想的な」比較を歪める因子、と説明しました(連載第45回参照)。これまでブラッシュアップしてきたわれわれのRQ(簡略版)を下記に再掲します(連載第40回参照)。P(対象):慢性腎臓病(CKD)患者E(要因):推定たんぱく質摂取量 0.5g/kg標準体重/日未満C(対照):推定たんぱく質摂取量 0.5g/kg標準体重/日以上O(アウトカム):1)末期腎不全 2)糸球体濾過量(GFR)低下速度また、これまでの先行研究の知見や医学的観点から、下記の因子をわれわれのRQの交絡因子として挙げてデータを収集し(連載第45回参照)、その仮想データ・セットを用いた記述統計の結果を、論文の表1としてEZR(Eazy R)で作成しました(連載第46回、第47回参照)。年齢、性別、糖尿病の有無、血圧、eGFR、蛋白尿定量、血清アルブミン値、ヘモグロビン値臨床研究では、多変量解析の代表的な手法として種々の回帰分析が行われます。回帰分析は、アウトカム指標を表す1つの変数(目的変数)と1つ以上の説明変数(交絡因子)との関係をいろいろな数式で表現し、モデル化します。どのような回帰分析モデルを選択するかはアウトカム指標の種類、すなわち目的変数の型で決まります。アウトカム指標の種類、目的変数の型は生存時間(連載第42回参照)および連続変数とカテゴリ変数に大別されるのでした(連載第46回参照)。前述したわれわれのRQ(簡略版)のOで挙げられている末期腎不全(の発症までの時間)は生存時間であり、GFR低下速度は連続変数となります。末期腎不全というアウトカムの発症までの時間は考慮せず、発症の有無のみで扱う場合はカテゴリ(2値)変数となります。生存時間は「打ち切り」も考慮したカテゴリ(2値)変数という捉え方もできます(連載第37回、第41回、第42回参照)。アウトカム指標(目的変数)の型の違いによって、それぞれ対応する回帰分析モデルは下記のようになります。連続変数:線形回帰(重回帰)カテゴリ(2値)変数:ロジスティック回帰生存時間:Cox比例ハザード回帰交絡因子の調整を多変量解析で行う際、サンプルサイズに比してあまり多くの説明変数(交絡因子)を回帰分析モデルに投入すると、モデルが不安定となります。そのため、回帰分析モデルごとに、投入可能な説明変数(目的変数)の数の目安が下記のように示されています。線形回帰(重回帰):説明変数(交絡因子)1つにつき、サンプルサイズ15例ロジスティック回帰:説明変数(交絡因子)1つにつき、アウトカム指標(目的変数)の少ない方のカテゴリ10例Cox比例ハザード回帰:説明変数(交絡因子)1つにつき、イベント数10例それでは、計画している交絡因子の調整が、われわれの仮想データ・セットで可能かどうか確認してみましょう。説明変数(交絡因子)の数は前述したように計8変数となります。まず、Oの1)末期腎不全(の発症までの時間)は生存時間ですので、Cox比例ハザード回帰分析を用います。説明変数(交絡因子)1つにつき、イベント数10例、すなわち8×10=80例が必要ですが、仮想データ・セットから計算した総イベント数は185例ですので(連載第41回参照)、充分です。Oの2)GFR低下速度は連続変数であり、線形回帰(重回帰)分析で必要なサンプルサイズの目安は8×15=120例です。作成した表1をみると、仮想データ・セットのサンプル数の総計は638例ですので(連載第47回参照)、こちらも大丈夫そうです。次回からは、それぞれの回帰分析モデルを用いた多変量解析の実際について、仮想データ・セットを使用したEZRの操作方法を交えて解説していきます。

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海外旅行と医療用麻薬【非専門医のための緩和ケアTips】第88回

海外旅行と医療用麻薬がん疼痛の症状緩和に医療用麻薬が処方されている場面をよく見かけるようになりました。今回は、医療用麻薬が一般的になってきたからこそ出合う状況に関する話題です。今回の質問外来通院中の患者さんで、医療用麻薬を処方している方がいます。幸い、症状緩和ができており、今度、海外旅行に行くそうです。患者さんから、「インターネットで『医療用麻薬は海外に持っていけない』と書いてあったのですが、どうすればよいでしょうか?」と質問がありました。どのようにアドバイスすべきでしょうか?海外旅行時の医療用麻薬の話題ですね。緩和ケア領域でときどき話題になるトピックです。結論からいうと、医療用麻薬を海外に持ち出すことは可能ですが、事前申請が必要になります。「事前」とは、出国日の2週間前までを指すため、早めに対応する必要があります。申請に必要な書類は以下のとおりです。1)医師の診断書…1通(以下の情報を記載)住所、氏名医療用麻薬が必要な理由処方された麻薬の品名・規格、それらの1日量2)麻薬携帯輸出許可証/輸入許可証 各1通申請用紙、記載例は、厚生労働省・地方厚生局・麻薬取締部のサイトからダウンロード可能。3)携帯する医療用麻薬の品名が確認できる資料お薬手帳で対応可能4)返信用封筒(宛先を明記)輸入/輸出許可証(日本語・英語を各1通)の送付用長3用以上の封筒(A4サイズが同封できる封筒)切手を貼付(送料は自己負担)これらの書類を準備し、患者さん自身が申請します。日本在住の方であれば住所地を管轄する厚生労働省・地方厚生局・麻薬取締部が窓口となります。海外在住の方は、入国予定の空港などを管轄する同局に申請します。「麻薬取締部」と聞くと、テレビ番組などで紹介される、空港で人や犬が荷物チェックをしている光景が思い浮かぶのではないでしょうか。医療とはまったく関係ない気がしますが、こうした接点があったのですね。交付された許可証は出国/入国時に税関で提示する必要があるので、そのことも患者さんに伝えておきましょう。このように、海外に医療用麻薬を持ち出す場合には、事前申請が必要となり、外来で急に「来週から海外に行きます」と相談されても、対応が難しくなります。時間がない場合は、医療用麻薬以外のNSAIDsなどで鎮痛できるかを試してみる必要があります。うまくいけばよいのですが、海外で症状が悪化する可能性があるなど、医師としても不安が残ります。まずは普段から患者さんに「海外に行く際は事前に教えてください」と伝え、コミュニケーションを取っておくことが重要です。麻薬取締部のサイトには「時間的余裕がない場合は、直接電話で相談するように」と書かれており、急ぎの相談をする手段はあるようですが、余裕を持った対応が基本です。今回のTips今回のTips医療用麻薬を海外へ持ち出す際は、2週間前までに申請が必要。

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組織のための老年医学の型―AFHS【こんなときどうする?高齢者診療】第7回

CareNeTVスクール「Dr.樋口の老年医学オンラインサロン」で2024年10月に扱ったテーマ「複雑な問題に落としどころを見つけるには?」から、高齢者診療に役立つトピックをお届けします。組織全体で高齢者ケア向上を目指す5つのMの考え方を駆使して患者・家族に適切なケア提供の方法を見出したとしても、組織としてスキルを持つスタッフが十分にいない、予算が足りないなどのリソース不足により、最適なケアを実現できないという状況が多くの施設で起こっています。そこで今回は、組織全体で高齢者医療を改善するための視点を考えてみましょう。まず初診で来院した高齢男性のケースをイメージしてください。例えば、5つのMの1つである「薬(Medication)」に注目すると、服薬情報や高齢者に有害事象を引き起こしやすい薬について確認することが重要になります。80歳男性 初診時の服薬アセスメントいつ行うか誰が行うか何を行うかアセスメント結果の記録方法 どこに、何を記載するのか高リスク薬服用時のアクションプラン 誰に情報共有し、次のアクションにつなげるのか皆さんの施設では、上記のような項目は明確に定められていますか? 病棟ごとに、診療科ごとに、担当者ごとにばらつきはありませんか?もし定まっていない場合、適切な介入がなされる患者もいれば、アセスメントや介入から漏れ、リスクの高い薬を継続して服用している患者もいる可能性があります。医療者が「薬が高齢者に与える影響やリスクを理解している」という段階と、実際にアセスメントや介入が患者に届いている段階には大きな隔たりがあります。同一施設内で一貫して適切な医療が提供されるよう、組織的な対策が必要です。対策の一例として、北米を中心に導入されているシステムをご紹介します。組織のための老年医学の型:エイジフレンドリ・ヘルスシステムの利点Age Friendly Health System(AFHS)は、施設全体で高齢者に安全で適切な医療を提供するためのフレームワークで、属人性を減らし、標準化されたケアを実現するための取り組みです。2018年に始まり、北米では約4,000施設が認証を取得し、300万人以上の患者がこの仕組みの恩恵を受けているといわれています。AFHS導入により、入院期間の短縮、手術時間の短縮、コスト削減、再入院率の低下、転倒予防スクリーニングの実施率向上といったメリットが報告されています1,2)。現状を見つめる:自施設でできていることを見つけよう!AFHSは日本でも十分に応用可能なスキームです。まずは施設内ですでに行われている取り組みを俯瞰し、どこがうまく機能しているかを見つけることが重要です。AHFS実践のポイント(1)自施設でできていることを確認する(2)不十分な点を見つけて補強する(3)外部評価を活用するお気付きの方もいるかもしれませんね!AFHS は、5つのMからMulti complexityを除いた4つのM(認知・身体機能・薬・大切なこと)のアセスメントと介入の標準化を目指しています。ですから、薬に限らず、転倒リスクや認知機能、本人が大切にしていることについても、アセスメントの時期、担当者、方法、記録方法を見直してみてください。そうすることにより、各分野の優先順位が整理され、チーム全体で適切な資源配分をしやすくなります。すべての施設において、すでにうまくできている部分が必ず存在します。まずその強みを認識し、次に改善が必要な部分を見つけましょう。外部からのフィードバックも含め、小さな改善から始めることで、自施設の強みをさらに引き出すことが大切です。最初から大きな改善をする必要はありません。自施設の強みを活かし、持続的なケアの向上を目指しましょう! オンラインサロンではもやもや症例検討会とAHFSの実践のコツをシェアオンラインセッションでは、理学療法士のサロンメンバーから寄せられたもやもや症例ディスカッション、そしてAFHSを自施設で活用するためのさらに細かなコツをお話いただいています。参考1)The John A.Hartford Foundation.Age-Friendly Health Systems in Action.2)樋口雅也. 医学のあゆみ 291巻3号.医歯薬出版;2024. p222-227.

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統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析

 長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬は、症状の重症度や入院リスクの軽減など、統合失調症患者のアウトカム改善に寄与する。しかし、経口抗精神病薬からLAI抗精神病薬に切り替えた場合のアウトカムは十分に明らかになっていない。サウジアラビア・Jazan UniversityのAmani Kappi氏らは、統合失調スペクトラム症患者における経口抗精神病薬からLAI抗精神病薬に切り替えた際の臨床アウトカム、QOL、医療利用アウトカムを明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of the American Psychiatric Nurses Association誌オンライン版2024年10月23日号の報告。 対象研究をPubMed、Scopus、PsycInfo、CINAHLのデータベースより検索した。メタ解析を行うため、Comprehensive Meta-Analysisのプログラムを用いた。 主な結果は以下のとおり。・包含基準を満たした研究は41件であった。・LAI抗精神病薬に切り替え後、症状重症度、再入院回数、救急外来受診、医療費全体について改善が認められた。・社会機能の有意な改善も確認された。・外来受診頻度には、差が認められなかった。・LAI抗精神病薬の開始前と開始後では、薬局での費用が増加していた。 著者らは、「抗精神病薬の投与経路を経口からLAIに変更すると、統合失調症患者の臨床アウトカム、QOL、医療利用アウトカムを改善することが裏付けられた。より良い臨床アウトカムおよび医療利用の最適化のために、医療従事者は統合失調症治療においてLAIの早期使用を検討すべきであろう」と結論している。

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家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析

 インフルエンザの感染対策では、手指衛生やマスク着用などの非薬物介入が推奨されることが多いが、家庭における対策は比較的研究が進んでいない分野である。今回、中国・香港大学のJessica Y. Wong氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析により、非薬物介入は家庭内感染には影響を及ぼさなかったことが明らかになった。International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2024年11月4日号掲載の報告。 インフルエンザウイルス感染は、主に人と人との濃厚接触によって広がり、伝播の多い環境の1つが家庭である。そのため、家庭内で実施可能な非薬物介入はインフルエンザの制御において重要な役割を果たす可能性がある。そこで研究グループは、多くの国で推奨されている9つの非薬物介入(手指衛生、咳エチケット、マスク、フェイスシールド、表面の清掃、換気、加湿、感染者の隔離、物理的距離の確保)が家庭内のインフルエンザ感染予防として有効かどうかを評価するために調査を実施した。 2022年5月26日~8月30日にMedline、PubMed、EMBASE、CENTRALを検索してシステマティックレビューを実施した。「家庭」は血縁に関係なく2人以上で暮らしている集団とし、学生寮や老人ホームなどで実施された研究は除外した。メタ解析では、非薬物介入の有効性のリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。全体的な効果は、固定効果モデルを使用したプール解析で推定した。 主な結果は以下のとおり。・手指衛生については、5,118例の参加者を対象とした7件のランダム化比較試験を特定し、そのうち6件をメタ解析に含めた。マスク着用については、4,247例の参加者を対象とした7件のランダム化比較試験を特定してメタ解析に含めた。・手指衛生はインフルエンザの家庭内感染に有意な予防効果をもたらさなかった(RR:1.07、95%CI:0.85~1.35、p=0.58、I2=48%)。・マスク着用は家庭内感染予防に効果がある可能性があるものの、統計的に有意ではなかった(RR:0.59、95%CI:0.32~1.10、p=0.10、I2=16%)。・手指衛生とマスクの併用でも、統計的に有意な家庭内感染の減少は認められなかった(RR:0.97、95%CI:0.77~1.22、p=0.24、I2=28%)。・プール解析でも、手指衛生やマスク着用が家庭内感染に有意な効果をもたらすことは確認されなかった。・初発患者の症状発現早期に手指衛生やマスク着用を開始することは、家庭内における感染予防に効果的である可能性が示唆された。・上記以外の7つの非薬物介入の有効性に関する公表されたランダム化比較試験は確認されなかった。 これらの結果より、研究グループは「家庭内でのインフルエンザ感染を制御するための個人防護策、環境対策、病人の隔離または物理的距離の確保が大きな予防効果を持つことを裏付けるエビデンスは限られていたが、これらの対策はインフルエンザの人から人への感染に関するメカニズムとして妥当性がある。インフルエンザの感染に関する今後の調査は、家庭内感染に対するガイドラインやエビデンスに基づく推奨事項を準備するうえで役立つだろう」とまとめた。

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BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO

 乳がんと診断された男女2万5千例以上を対象とした研究で、BRCA1/2病的バリアント保持者における二次原発がんリスクの高さが明らかになった。英国・ケンブリッジ大学のIsaac Allen氏らによるJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年10月29日号掲載の報告より。 本研究では、1995~2019年に英国国民保健サービス(NHS)臨床遺伝学センターで乳がんと診断され、生殖細胞系列のBRCA遺伝子検査を受けた女性2万5,811例と男性480例について、二次原発がん診断、死亡、国外移住、対側乳房/卵巣手術の1年後または2020年12月31日まで追跡調査が行われた。 英国の一般人口における罹患率を使用した標準化罹患比(SIR)、Cox回帰法によりBRCA1/2病的バリアント保持者と非保持者を比較したハザード比(HR)、およびKaplan-Meier法による10年累積リスクが推定された。 主な結果は以下のとおり。・女性のBRCA1病的バリアント保持者は1,840例、BRCA2病的バリアント保持者は1,750例であった。・一般人口と比較すると、BRCA1病的バリアント保持者は対側乳房(SIR:15.6、95%信頼区間[CI]:11.8~20.2)、卵巣(44.0、31.4~59.9)、非乳房/卵巣の複合(2.18、1.59~2.92)、大腸(4.80、2.62~8.05)、および子宮内膜(2.92、1.07~6.35)における二次原発がんリスクが高かった。・BRCA2病的バリアント保持者は対側乳房(SIR:7.70、95%CI:5.45〜10.6)、卵巣(16.8、10.3〜26.0)、膵臓(5.42、2.09〜12.5)、および非乳房/卵巣の複合(1.68、1.24〜2.23)における二次原発がんリスクが高かった。・検査でBRCA1/2病的バリアントが認められなかった女性と比較すると、BRCA1病的バリアント保持者は対側乳房(HR:3.60、95%CI:2.65〜4.90)、卵巣(33.0、19.1〜57.1)、非乳房/卵巣の複合(1.45、1.05〜2.01)、および大腸(2.93、1.53〜5.62)における二次原発がんリスクが高かった。・BRCA2病的バリアント保持者は、対側乳房(HR:2.40、95%CI:1.70〜3.40)、卵巣(12.0、6.70〜21.5)、および膵臓(3.56、1.34〜9.48)における二次原発がんリスクが高かった。・10年累積リスクは、対側乳房、卵巣、および非乳房/卵巣の複合について、BRCA1病的バリアント保持者では16%/6.3%/7.8%であり、BRCA2病的バリアント保持者では12%/3.0%/6.2%、非保持者では3.6%/0.4%/4.9%であった。・男性では、BRCA2病的バリアント保持者は非保持者と比較して、対側乳房(HR:13.1、95%CI:1.19〜146)、および前立腺(5.61、1.96〜16.0)における二次原発がんリスクが高かった。

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生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA

 小児科医による保護者への健康行動カウンセリングに加えて、ヘルスリテラシーに基づくデジタル介入を併用することで、乳児の生後24ヵ月時の体重/身長比の改善と肥満の割合の減少が認められ、さらにこの介入は、小児肥満のリスクが高い集団を含む多様な人種/民族集団に有効であることが示された。米国・バンダービルト大学医療センターのWilliam J. Heerman氏らが実施した無作為化並行群間比較試験の結果を報告した。乳児の成長は長期的な肥満と心血管疾患を予測する。先行研究では、生後2年間の肥満を予防するために多くの介入が考案されたが、ほとんどが成功していなかった。また、伝統的な人種・民族の少数派集団では肥満の有病率が高いことも問題視されていた。JAMA誌オンライン版2024年11月3日号掲載の報告。カウンセリングのみvs.ヘルスリテラシーに基づくデジタル介入併用を比較 研究グループは、2019年10月~2022年1月に、次の条件に該当する児とその保護者を対象に試験を行った。対象児の適格要件は、(1)生後0~21日、(2)在胎期間34週以上、(3)出生時体重1,500g以上、(4)試験登録時の体重がWHOの成長曲線ベースの3パーセンタイル超、(5)体重増に影響を及ぼす慢性疾患がないこと。両親の適格要件は、(1)18歳以上、(2)英語またはスペイン語が優先言語、(3)データサービスにアクセスできるスマートフォンを所持、(4)2年以内に今の小児プライマリケアを離れざるを得ない予定はない、(5)試験参加の障壁となる視力障害や神経学的疾患を有していない、(6)ベースラインデータ収集を完了していることであった。 試験は、米国内6つの大学(デューク大学、マイアミ大学、ニューヨーク大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校、スタンフォード大学、バンダービルト大学)の医療センターと、各系列の小児プライマリケアクリニックで行われた。 適格な900例をクリニック群(451例)とクリニック+デジタル群(449例)に無作為に割り付け、2024年1月まで追跡評価した。 クリニック群では、児の肥満予防を目的として出生時から2歳まで、小児科医が両親に対し小冊子を用いて健康行動カウンセリングを行った。 クリニック+デジタル群では、健康行動カウンセリングに加えて、テキストメッセージの送受信とウェブベースのダッシュボードを用いた。 主要アウトカムは、24ヵ月時までの児の身長別体重(体重/身長[kg/m])の推移、副次アウトカムは、身長別体重のZスコアの推移、BMIのZスコアの推移、過体重または肥満の児の割合であった。デジタル介入により、生後24ヵ月時に体重/身長比が改善し肥満の割合が減少 無作為化された900例の乳児のうち、24ヵ月時の主要アウトカムのデータがあったのは86.3%であった。対象児の特性(人種・民族)は、非ヒスパニック系の黒人が143例(15.9%)、ヒスパニック系が405例(45.0%)、非ヒスパニック系の白人が185例(20.6%)、その他の人種・民族が165例(18.3%)であった。 クリニック+デジタル群ではクリニック群と比較して、24ヵ月間を通して平均体重/身長比が低く、24ヵ月時点で推定0.33kg/m(95%信頼区間[CI]:0.09~0.57)低かった。 また、24ヵ月時の身長別体重のZスコアの補正後平均群間差は-0.19(95%CI:-0.37~-0.02)、BMIのZスコアの補正後平均群間差は-0.19(-0.36~-0.01)であった。 24ヵ月時の乳児のうち過体重または肥満(疾病管理予防センター[CDC]の基準でBMIが85パーセンタイル以上)であった児の割合は、クリニック+デジタル群23.2%、クリニック群24.5%(補正後リスク比:0.91、95%CI:0.70~1.17)、肥満([CDC]の基準でBMIが95パーセンタイル以上)の児の割合は、それぞれ7.4%、12.7%(補正後リスク比:0.56、95%CI:0.36~0.88)であった。

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前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM

 前糖尿病状態の肥満患者において、3年間のチルゼパチド投与はプラセボと比較して、体重を持続的かつ有意に減少し、2型糖尿病への進行リスクも有意に低減した。米国・イェール大学医学校のAnia M. Jastreboff氏らが、第III相無作為化二重盲検比較試験「SURMOUNT-1試験」の結果を報告した。同試験の早期解析では、チルゼパチドは72週間にわたって肥満患者の体重を大幅かつ持続的に減少させることが報告されていた。本報告では、チルゼパチド投与3年間の安全性アウトカムと、肥満と前糖尿病状態を有する患者の体重減少と2型糖尿病への進行遅延に対する有効性の解析結果を報告した。NEJM誌オンライン版2024年11月13日号掲載の報告。176週までの体重の変化率、193週時の2型糖尿病発症について解析 SURMOUNT-1試験は、非糖尿病の肥満(BMI値30以上、または27以上で糖尿病以外の肥満関連合併症を有する)患者2,539例を、週1回のチルゼパチド5mg群、10mg群、15mg群またはプラセボ群に1対1対1対1の割合で割り付け、ベースラインで前糖尿病状態ではない患者には72週間、前糖尿病状態の患者には176週間投与した。 今回の解析は、肥満かつベースラインで前糖尿病状態の患者1,032例を対象とした。全例、定期的な生活指導を受け、食事療法(1日当たり500kcal削減)および運動療法(週150分以上)に加えて、チルゼパチドまたはプラセボを176週間投与した。その後、17週間の休薬期間(安全性追跡調査期間)を設け、試験期間は193週間とした。 72週時の主要アウトカムの解析結果についてはすでに報告されている。今回は、重要な副次アウトカムであるベースラインから176週までの体重の変化率(チルゼパチド10mg群、15mg群、プラセボ群について評価)、ならびに176週時および193週時の2型糖尿病発症(チルゼパチド群統合とプラセボ群の比較)について解析した。176週時に平均体重が最大約20%減少、2型DM発症リスクは93%低下 176週時におけるベースラインからの体重の平均変化率は、チルゼパチド5mg群-12.3%、10mg群-18.7%、15mg群-19.7%に対し、プラセボ群では-1.3%であった(いずれもp<0.001)。 176週時における2型糖尿病の発症例は、チルゼパチド群で10例(1.3%)(5mg群4例[1.5%]、10mg群5例[2.0%]、15mg群1例[0.4%])、プラセボ群で36例(13.3%)に認められ、チルゼパチド群においてプラセボ群と比較し2型糖尿病の発症リスクが93%低かった(ハザード比[HR]:0.07、95%信頼区間[CI]:0.0~0.1、p<0.001)。 193週時における2型糖尿病の発症例は、チルゼパチド群で18例(2.4%)、プラセボ群で37例(13.7%)であった(HR:0.12、95%CI:0.1~0.2、p<0.001)。 主な有害事象(新型コロナウイルス感染症以外)は胃腸障害で、ほとんどは軽度~中等度であり、主に最初の20週間の用量漸増期間中に発現した。新たな安全性の懸念は確認されなかった。

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減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性

 インクレチン製剤であるGLP-1受容体作動薬などの減量薬を、より広い対象に適用して多くの人がアクセスできるようにすることで、米国では年間4万人以上の命が救われる可能性があるとする論文が発表された。米イェール大学公衆衛生大学院のAlison Galvani氏らの研究によるもので、詳細は「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に10月15日掲載された。 肥満が死因として記録されることはめったにない。しかし、肥満は心血管代謝疾患をはじめとする多くの疾患のリスクを押し上げ、結果としてそれらの疾患による死亡リスクを高めている。米国では人口の74%が過体重や肥満(うち43%が肥満)に該当し、公衆衛生上の極めて大きな問題となっている。 消化管ホルモンであるインクレチンの作用を模倣した血糖降下薬であるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬(GLP-1RA)や、GLP-1とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)の両受容体作動薬(GIP/GLP-1RA)が近年、減量目的で使用されるようになり、顕著な効果が報告されている。しかし、これらの薬剤は高額で、かつ肥満治療における保険の適用範囲も限られている。具体的には、肥満に伴う何らかの疾患を抱えている場合にのみ保険が適用され、単に減量目的で処方を受けるには月額1,000ドル以上の負担が発生する。そのため現状では、多くの肥満者がこれらの薬剤にアクセスできていない。Galvani氏らは、仮に減量目的でのGLP-1RAやGIP/GLP-1RAが、必要な全ての人にいきわたったとした場合のインパクトを推計した。 この研究では、まず、現時点での減量薬(GLP-1RA、GIP/GLP-1RA)の米国人の死亡抑制効果を推計したところ、1年間で8,592人(95%不確定区間8,580~8,604)の命が救われていると計算された。そのうち、糖尿病患者が2,670人(同2,657~2,684)を占めていた。 次に、BMIが30以上の人の全て、およびBMI25以上の糖尿病患者の全てがアクセス可能な状況を仮定した推計を行った。この場合、米国成人の45%以上が減量薬を使用することになる。解析の結果、1年間でさらに4万2,027人(4万1,990~4万2,064)の命が救われると計算された。そのうち、糖尿病患者は1万1,769人(1万1,707~1万1,832)だった。 この研究に関連してGalvani氏は、「医薬品へのアクセス拡大には、疾患罹患者の治療選択肢を増やすということだけでなく、重要な公衆衛生対策という側面もある」と解説。ただし同氏らは、GLP-1RAやGIP/GLP-1RAが高価であるため、全てを保険適用とするのは困難であり、かつ、現在でも既に需要の高まりによって慢性的な供給不足になっているという課題を指摘している。 論文共著者の1人である米フロリダ大学のBurton Singer氏は、「これらの課題に対しては多面的なアプローチが必要だ。医薬品の価格を製造コストに見合ったものとし、需要を満たし得る生産能力を確保しなければならない。それと同時に、多くの人々が必要な治療を受けられていないという、アクセスの問題にも取り組まなければならない」と述べている。

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