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乳がんへのドセタキセルとパクリタキセル、眼科有害事象リスクに差/日本治療学会

 乳がん周術期療法におけるドセタキセルとパクリタキセルの眼科有害事象のリスクを比較した結果、ドセタキセルはパクリタキセルと比較して流涙症のリスクが有意に高かった一方で、黄斑浮腫や視神経障害などのリスクは有意差を認めなかったことを、東京大学の祝 千佳子氏が第62回日本治療学会学術集会(10月24~26日)で発表した。 タキサン系薬剤は好中球減少症や末梢神経障害などさまざまな有害事象を来すことが広く知られているが、眼科有害事象についても報告がある。しかし、ドセタキセルとパクリタキセルの間で眼科有害事象を比較した研究は乏しい。そこで研究グループは、早期乳がんの周術期療法としてドセタキセルまたはパクリタキセルを使用した群で、眼科有害事象の発現リスクに差があるかどうかを比較するために研究を実施した。 研究グループはDeSCのレセプトデータベースを用いて、2014年4月~2022年11月に周術期補助療法としてドセタキセルまたはパクリタキセルを使用した18歳以上の乳がん患者6,118例(ドセタキセル群3,950例、パクリタキセル群2,168例)を同定した。主要評価項目は流涙症、黄斑浮腫、視神経障害の発現、副次評価項目は眼科受診であった。主解析では、傾向スコアを用いたoverlap weighting法による生存時間分析を実施した。アウトカムの発生率は1万人年当たりで算出し、bootstrap法で信頼区間(CI)とp値を設定した。Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。●対象者の年齢中央値は65(四分位範囲:54~70)歳で、観察期間中央値は790(365~1,308)日であった。●Overlap weighting後のドセタキセル群およびパクリタキセル群の流涙症の発現率はそれぞれ127および79/1万人年、黄斑浮腫は92および114/1万人年、視神経障害は53および78/1万人年、眼科受診は428および404/1万人年であった。●ドセタキセル群はパクリタキセル群と比較して流涙症のリスクが有意に高かったが、黄斑浮腫、視神経障害、眼科受診のリスクは有意差を認めなかった。ドセタキセル群vs.パクリタキセル群のHRと95%CIは下記のとおり。 【流涙症】 ・主解析 HR:1.63、95%CI:1.13~2.37、p=0.010 ・65歳未満 HR:1.82、95%CI:0.82~4.02、p=0.14 ・65歳以上 HR:1.58、95%CI:1.04~2.42、p=0.033 【黄斑浮腫】 ・主解析 HR:0.81、95%CI:0.57~1.13、p=0.21 ・65歳未満 HR:0.65、95%CI:0.32~1.33、p=0.24 ・65歳以上 HR:0.86、95%CI:0.59~1.26、p=0.44 【視神経障害】 ・主解析 HR:0.67、95%CI:0.44~1.01、p=0.057 ・65歳未満 HR:0.51、95%CI:0.24~1.09、p=0.082 ・65歳以上 HR:0.73、95%CI:0.43~1.26、p=0.26 【眼科受診】 ・主解析 HR:1.09、95%CI:0.91~1.31、p=0.35 ・65歳未満 HR:1.08、95%CI:0.81~1.45、p=0.60 ・65歳以上 HR:1.09、95%CI:0.84~1.35、p=0.47 これらの結果より、祝氏は「2群間で流涙症リスクに差が生じた理由として、薬剤特性の違いが涙液中の濃度や曝露時間に影響したり、添加物の違いが関係したりしている可能性がある」と示唆したうえで、「実臨床を反映した大規模診療データベースの解析の結果、乳がん患者において周術期療法としてのドセタキセル使用はパクリタキセル使用と比較して流涙症のリスクが有意に高く、とくに65歳以上で顕著であった。ドセタキセルまたはパクリタキセルの治療選択の際は、起こりうる眼科有害事象に留意する必要がある」とまとめた。

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双極症に対する抗精神病薬と気分安定薬の投与量が再発リスクに及ぼす影響

 双極症患者は、症状や治療に苦しんでいるにもかかわらず、効果的な治療レジメンを見出すことは困難である。東フィンランド大学のJonne Lintunen氏らは、双極性障害患者における、さまざまな用量の抗精神病薬および気分安定薬に関連する再発リスク、治療の安全性を調査した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2024年10月2日号の報告。 1996〜2018年のフィンランド全国レジストリより、15〜65歳の双極症患者を特定した。対象となる抗精神病薬には、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、気分安定薬には、リチウム、バルプロ酸、ラモトリギン、カルバマゼピンを含めた。各薬剤の時間変動用量カテゴリーは、使用量に応じて低用量、標準用量、高用量に分類した。アウトカムは、再発リスク(精神科入院)、治療の安全性(非精神科入院)のリスクとした。分析には、個人内の層別Cox回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は6万45例(平均年齢:41.7±15.8歳、女性の割合:56.4%)。・平均フォローアップ期間は8.3±5.8年。・再発リスク低下と関連していた抗精神病薬は、オランザピンの低用量および標準用量、アリピプラゾールの低用量および標準用量、リスペリドンの低用量であった。・調整ハザード比(aHR)が最も低かった薬剤は、アリピプラゾールの標準用量であった(aHR:0.68、95%信頼区間[CI]:0.57〜0.82)。・クエチアピンは、いずれの用量においても再発リスク低下との関連が認められなかった。・低用量および標準用量の気分安定薬は、再発リスク低下と関連が認められ、最も低いaHRは、リチウムの標準用量で観察された(aHR:0.61、95%CI:0.56〜0.65)。・高用量の抗精神病薬および気分安定薬は、リチウムを除き、非精神科入院リスクの増加との関連が認められた。・リチウムは、低用量(aHR:0.88、95%CI:0.84〜0.93)および標準用量(aHR:0.81、95%CI:0.74〜0.88)において、非精神科入院リスク低下と関連していた。 著者らは「双極症患者に対するリチウムおよびアリピプラゾールの標準用量は、再発リスクが最も低く、リチウムの標準用量は、非精神科入院リスクが最も低かった」と結論付けている。

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2型DM男性へのメトホルミン、子の先天奇形と関連なし/BMJ

 父親の精子形成期におけるメトホルミンの使用は、子の臓器特異的奇形を含む先天奇形とは関連しないことが、ノルウェーおよび台湾の一般住民を対象とした全国規模のコホート研究において示された。国立台湾大学のLin-Chieh Meng氏らが報告した。先行研究では、父親のメトホルミン使用と子の先天奇形のリスクとの関連が示されていた。著者は、「今回の研究の結果、メトホルミンは子供をもうける予定のある2型糖尿病男性において、血糖管理のための最初の経口薬として適切であると考えられる」とまとめている。BMJ誌2024年10月16日号掲載の報告。ノルウェー62万例、台湾256万例の子供と父親のデータを解析 研究グループは、ノルウェーの出生登録、処方箋データベース、患者登録および医療費償還払いデータベース、ならびに台湾の出生証明書申請データベース、国民健康保険データベースおよび母子保健データベースを用いた。ノルウェーのコホートでは2010~21年まで、台湾のコホートでは2004~18年までに単胎妊娠で出生した子供のうち、精子形成期(妊娠の3ヵ月前)の父親のデータがある子供それぞれ61万9,389例および256万3,812例を特定した。 主要アウトカムは、先天奇形、副次アウトカムは臓器特異的奇形で、欧州先天奇形サーベイランス(EUROCAT)のガイドラインに従って分類し、父親のメトホルミン使用と子の先天奇形リスクとの関連について解析した。 相対リスクは、補正前解析、父親が2型糖尿病と診断されている集団に限定した解析、ならびに糖尿病の重症度やその他の交絡因子を補正するため父親が2型糖尿病の集団に限定し、傾向スコアオーバーラップ重み付け法を用いた解析により推定した。また、遺伝的因子とライフスタイル因子を考慮するために、兄弟姉妹のマッチング比較を行った。さらに、ノルウェーと台湾のデータの相対リスク推定値を、ランダム効果メタ解析を用いて統合した。父親が2型糖尿病の交絡因子補正後解析では、メトホルミン服用と先天奇形に関連なし ノルウェーのコホートでは、61万9,389例のうち2,075例(0.3%)、台湾のコホートでは256万3,812例のうち1万5,276例(0.6%)の子供の父親が、精子形成期にメトホルミンを使用していた。 先天奇形は、ノルウェーのコホートでは、父親が精子形成期にメトホルミンを使用していなかった子供で2万4,041例(3.9%)、使用していた子供で104例(5.0%)に認められ、台湾のコホートではそれぞれ7万9,278例(3.1%)および512例(3.4%)であった。 補正前解析では、父親のメトホルミン使用は先天奇形のリスク増加と関連していた(補正前相対リスクはノルウェーで1.29[95%信頼区間[CI]:1.07~1.55]、台湾で1.08[0.99~1.17])。 しかし、この関連は交絡因子の補正に従い減弱した。2型糖尿病の父親に限定した解析での相対リスクは、ノルウェーで1.20(95%CI:0.94~1.53)、台湾で0.93(0.80~1.07)、2型糖尿病の父親限定の傾向スコアオーバーラップ重み付け法による解析ではそれぞれ0.98(0.72~1.33)、0.87(0.74~1.02)で、プール推定値は0.89(0.77~1.03)であった。 臓器特異的奇形は、父親のメトホルミン使用と関連していなかった。これらの所見は、兄弟姉妹をマッチさせた比較や感度分析においても一貫していた。

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新規3剤配合降圧薬GMRx2、2剤併用より有効/Lancet

 テルミサルタン、アムロジピン、インダパミドの新規3剤配合降圧薬GMRx2は、2剤併用薬と比較して臨床的に意義のある降圧をもたらし、忍容性も良好であった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のAnthony Rodgers氏らが、オーストラリア、チェコ、ニュージーランド、ポーランド、スリランカ、英国および米国の83施設で実施した無作為化二重盲検実薬対照比較試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「GMRx2は血圧管理の新たな治療選択肢であり、臨床診療における血圧コントロールの大きな改善をもたらす可能性がある」とまとめている。Lancet誌2024年10月19日号掲載の報告。GMRx2と、各成分2剤併用の計4群を比較 研究グループは、未治療または降圧薬を1~3剤投与されている18歳以上の高血圧患者を登録した。適格基準は、スクリーニングの収縮期血圧が未治療で140~179mmHg、降圧薬1剤で130~170mmHg、2剤で120~160mmHg、3剤で110~150mmHgであった。 4週間の導入期に、治療薬をGMRx2の半量(テルミサルタン20mg、アムロジピン2.5mg、インダパミド1.25mg)に切り替えた。その後、GMRx2半量投与継続群、テルミサルタン20mg+アムロジピン2.5mg群、テルミサルタン20mg+インダパミド1.25mg群、またはアムロジピン2.5mg+インダパミド1.25mg群に2対1対1対1の割合で無作為に割り付け、6週間投与した。6週目の来院時に臨床的な禁忌がない限り、すべての群で用量を2倍に増量し、さらに6週間投与した。 有効性の主要アウトカムは、自宅にて座位で測定した収縮期血圧のベースラインから12週時までの平均変化量、副次アウトカムは6週時および12週時における診察室血圧と家庭血圧のベースラインからの変化量、血圧コントロール達成率などであった。安全性の主要アウトカムはベースラインから12週時までの有害事象による治療中止とした。12週時のSBP平均変化量、血圧コントロール達成率ともGMRx2群が優れる 2021年7月9日~2023年9月1日に、2,244例が導入期に登録され、このうち1,385例が4群に無作為に割り付けられた(GMRx2群551例、テルミサルタン+インダパミド群276例、テルミサルタン+アムロジピン群282例、アムロジピン+インダパミド群276例)。患者背景は、平均(±SD)年齢59±11歳、女性712例(51%)、男性673例(48.6%)、無作為化された患者のスクリーニング時の平均血圧は142/85mmHgであった。GMRx2半量の導入期後、無作為化時の平均血圧は医療機関で133/81mmHg、家庭で129/78mmHgであった。 12週時の家庭収縮期血圧平均値はGMRx2群が126mmHgであり、各2剤併用群より有意に低かった。主要アウトカムであるベースラインから12週時までの収縮期血圧の平均変化量の群間差は、対テルミサルタン+インダパミド群で-2.5mmHg(95%信頼区間[CI]:-3.7~-1.3、p<0.0001)、対テルミサルタン+アムロジピン群で-5.4mmHg(-6.8~-4.1、p<0.0001)、対アムロジピン+インダパミド群で-4.4mmHg(-5.8~-3.1、p<0.0001)であった。 同様に、医療機関で測定した収縮期血圧/拡張期血圧の変化量の差はそれぞれ-4.3/-3.5mmHg、-5.6/-3.7mmHg、-6.3/-4.5mmHgであった(いずれもp<0.001)。 12週時の140/90mmHg未満の血圧コントロール達成率はGMRx2群74%、テルミサルタン+インダパミド群61%、テルミサルタン+アムロジピン群61%、アムロジピン+インダパミド群53%であり、GMRx2群で有意に高値であった。 有害事象による治療中止はGMRx2群で11例(2%)、テルミサルタン+インダパミド群で4例(1%)、テルミサルタン+アムロジピン群で3例(1%)、アムロジピン+インダパミド群で4例(1%)にみられたが、いずれも統計学的有意差はなかった。

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「永遠の化学物質」PFASが睡眠障害を引き起こす可能性も

 血液中の「永遠の化学物質」とも呼ばれる有機フッ素化合物の「PFAS」が、若年成人の睡眠障害と関連していることが、米南カリフォルニア大学(USC)のグループによる研究で示された。PFASは有機フッ素化合物のペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称で、この研究からはPFASのうち4種類の物質の血中濃度が睡眠障害と関連していることが明らかになった。詳細は、「Environmental Advances」10月号に掲載された。 PFASは、テフロン加工された調理器具やシャンプーなど、さまざまな製品に使用されているが、何十年もの間、環境中に残留する可能性がある。また、食品や水と一緒に体内に摂取される可能性も考えられる。研究グループによると、米国人の大多数において、血中のPFAS濃度は検出可能レベルであるという。 この研究は、USCの別の研究で数年前に血液採取を受けた19~24歳の男女136人(試験開始時の平均年齢19.45歳)を対象に実施された。研究参加者は睡眠時間と睡眠の質に関する情報も提供しており、136人中76人は追跡調査も受けていた。対象者の7種類のPFASの血中濃度を測定し、「低」から「高」までの3つのカテゴリーに分けた。 その結果、7種類のPFASのうち、4種類(PFDA、PFHxS、PFOA、PFOS)が睡眠障害に関連していることが明らかになった。具体的には、ベースラインからPFDA濃度のカテゴリーが1段階上がることは、毎晩の睡眠時間の平均0.39時間の短縮と関連していた。また、追跡調査の結果からは、PFHxSとPFOAの濃度のカテゴリーが1段階上がることは、平均で0.39時間と0.32時間の睡眠時間の短縮と関連していた。一方、PFOS濃度のカテゴリーが1段階上がることは、睡眠障害スコアの2.99点の増加、睡眠関連障害スコアの3.35点の増加と関連していた。 論文の筆頭著者で、USCケック医学校のShiwen Li氏は、「われわれが検出した血液中のPFASは、おそらく出生後の曝露によるものだが、出生前の胎児期の曝露に起因している可能性もある」と述べている。 研究グループは、これら4種類のPFASについて分析するため、化学物質と疾患、遺伝子発現の変化の関連についての研究をまとめたデータベースを使用し、PFASの影響を受ける遺伝子と睡眠障害に関与する遺伝子の重複を調べた。 その結果、600を超える遺伝子候補のうち、PFASによって活性化される7つの遺伝子候補が睡眠に影響を与えると推定された。その一つは、コルチゾールというホルモンの産生を助ける免疫系のタンパク質(HSD11B1)をコードする遺伝子だった。コルチゾールは睡眠覚醒リズムの調節で重要な役割を果たしている。また、カテプシンBをコードする遺伝子もPFASの睡眠への影響に関与していることが示された。カテプシンBは、記憶力や思考能力に関係し、アルツハイマー病患者の脳に存在するアミロイドβの生成に関与することが示唆されている。一方で、アルツハイマー病自体も睡眠障害に関連している。 Li氏は、「睡眠の質はほとんど全ての人に関わる問題だ。そのため、今回の研究で示された睡眠に対するPFASの影響には政策的な対応を考慮する必要がある」と話す。また、同氏は、「長期的に見ると、質の悪い睡眠は神経学的な問題や行動面の問題、2型糖尿病、アルツハイマー病などに関連していることが指摘されている」と同大学のニュースリリースで付け加えている。

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歯科受診で介護コストが抑制される可能性

 歯科を受診することが、その後の要介護リスク低下や累積介護費の抑制につながる可能性を示唆するデータが報告された。特に予防目的での歯科受診による抑制効果が顕著だという。東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野の竹内研時氏、木内桜氏らの研究グループによる論文が、「The Journals of Gerontology. Series A, Biological Sciences and Medical Sciences」に8月5日掲載された。 超高齢社会の進展を背景に増大する介護費への対策が、喫緊の社会的課題となっている。介護費増大の要因として脳卒中や心血管疾患、認知機能低下などが挙げられるが、それらのリスク因子として、歯周病や咀嚼機能の低下といった歯科で治療可能な状態の関与を示唆する研究報告が増えている。このことから、適切な歯科治療によって要介護リスクが低下し、介護コストが抑制される可能性が考えられるが、そのような視点での検証作業はまだ行われていない。これを背景として竹内氏らは、全国の自治体が参加して行われている「日本老年学的評価研究(JAGES)」のデータを用いた研究を行った。 JAGESは、2010年に自立して生活している高齢者を対象とする長期コホート研究としてスタート。今回の研究では、調査実施前6カ月間の歯科受診状況、および2018年まで(最大91カ月)の介護保険利用状況を確認し得た、8,429人のデータを解析に用いた。ベースライン時の平均年齢は73.7±6.0歳で、男性が46.1%であり、過去6カ月以内の歯科受診状況は、予防目的での受診ありが35.9%、治療目的での受診ありが52.4%、予防か治療いずれかの目的での受診ありが56.3%だった。 約8年の追跡期間中に1,487人(17.6%)が介護保険の利用を開始し、1,093人(13.0%)が死亡していた。介護保険の利用期間の全体平均は4.5±13.2カ月であり、累積介護費の全体平均は4,877.0米ドルだった。 追跡期間中に介護保険を利用した群と利用しなかった群のベースラインの特徴を比較すると、前者は高齢で女性や配偶者なしの人が多く、BMIが低い、歩行時間が短い、教育歴が短い、低収入などの傾向があり、また、医科の健診を受けていない人が多く、過去6カ月以内に歯科を受診していない人が多い傾向が見られた。 介護保険の平均利用期間は、過去6カ月以内に治療目的で受診していた群はそうでない群より短く、過去6カ月以内に予防か治療いずれかの目的で受診していた群もそうでない群より短かった。過去6カ月以内に予防目的で受診していた群もそうでない群よりも短かった。介護費用に関しては、これら3通りの比較でいずれも、歯科受診をしていた群の方が有意に少なかった。 交絡因子(年齢、性別、BMI、飲酒・喫煙習慣、歩行時間、婚姻状況、収入、教育歴、歯数、地域、基礎疾患〔糖尿病、高血圧、脳卒中、心臓病、がん、うつ状態〕)を調整後、ベースラインから過去6カ月以内に予防か治療いずれかの目的で受診していた群は、そうでない群よりも追跡期間中の介護保険利用が有意に少なかった(オッズ比〔OR〕0.86〔95%信頼区間0.76~0.98〕)。予防目的のみ、または治療目的のみの受診の有無での比較では、介護保険利用率に有意差が見られなかった。 次に、介護保険を利用した人において、ベースラインから過去6カ月以内の歯科受診の有無により累積介護費が異なるのかを、相対コスト比(RCR)を算出して検討。その結果、予防目的で受診していた群はRCR0.82(95%信頼区間0.71~0.95)と、要介護状態になったとしても介護費が有意に少ないことが分かった。治療目的のみ、または予防か治療いずれかの目的での受診の有無での比較では、RCRに有意差は認められなかった。 続いて、歯科受診の有無別に予測される累積介護費を算出。すると、予防目的での受診により累積介護費が-1,089.9米ドル(95%信頼区間-1,888.5~-291.2)と、有意に少なくなることが予測された。また、予防か治療いずれかの目的での受診では、-980.6米ドル(同-1,835.7~-125.5)の有意な減少が見込まれた。治療目的での受診では有意差は認められないものの、-806.7米ドル(同-1,647.4~34.0)の減少が見込まれた。 以上一連の結果を基に著者らは、「歯科受診、特に予防目的での受診は、累積介護費の低下と関連していた。歯科受診を通して口腔の健康を維持することで、介護費を抑制できる可能性がある」と結論付けている。

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映画「路上のソリスト」(その2)【「不幸」になる権利はあるの?私たちはどうすればいいの?(ホームレスの自由権)】Part 1

今回のキーワード浮浪の罪医療保護入院アイデンティティ幸せの押し付け保護法益友情前回(その1)に、映画「路上のソリスト」を通して、ホームレスが保護を拒む原因は、認知機能の低下によって、自由がなくなること、清潔にしなければならないこと、そして先々のことを考えなければならないことがすべてストレスになるからであることがわかりました。今回(その2)は、このホームレスの心理を踏まえて、法的、そして人道的な観点から、ホームレスが保護を拒む権利、つまりホームレスの自由権について掘り下げます。そして、精神医療はどこまでその「自由」に介入すべきか、私たちはどうすればいいかという難題に挑戦してみましょう。ホームレスを強制的に保護できないわけは?なかなか話が通じないナサニエルを見て、ロペスは支援センターのスタッフに「統合失調症だろ?」「彼を救うには、拘束して強制的に薬を飲ませるべきだ」と訴えます。薬を飲めばナサニエルは話が通じるようになるとロペスは考えていたのでした。実際のところ、どうなんでしょうか?ここから、ホームレスを強制的に保護できない理由を、法的な観点と人道的な観点の2つに分けて考えてみましょう。(1)法的な観点ー違法であるから支援センターのスタッフは、ロペスに「身に差し迫った危険がないと、薬の服用を強制することはできない」と毅然として答えます。まず法的な観点として、自傷他害のおそれがなければ、強制的な治療や入院は違法であるからです。もちろん日本では、ホームレスとして路上で生活すること自体、軽犯罪法の浮浪の罪に当たる可能性があります。しかし、精神障害による認知機能の低下が疑われる場合、「働く能力がありながら」というこの罪の要件を満たしていないことになり、罪には問えません。また、日本には家族等の同意による医療保護入院という制度はありますが、ホームレスのように家族と疎遠である場合は同意は得られないでしょう。そもそも、ナサニエルは、未治療の期間が長いため、薬物治療によって認知機能が劇的に改善する可能性は極めて低いです。前回(その1)に、ナサニエルは自由を得るためにホームレス生活の不自由さに納得していると説明しましたが、これはもはや彼の生き方、アイデンティティであると言えます。つまり、彼は「ホームレスとしてのアイデンティティ」が固まっているため、ロペスの目論見通りにはならないということです。つまり、ホームレスは、精神障害であると同時に、生き方の問題になっていることがわかります。これは、彼らの自由権です。本来人間は、他人に害を与えない限り自由に生きていく権利があります。だからこそ、ホームレスを強制的に保護することが違法なのです。なお、薬物治療には鎮静効果があり、認知機能は劇的に改善しなくても、大人しくはなります。よって、本人が望んでいなくても自傷他害のおそれがある場合に限っては、強制的な治療が合法になるのです。もちろん、冒頭でも触れたように、衛生上や臭いの問題、さらには治安の問題もあるため、彼らの存在が社会にとって迷惑だという厳しい意見はあるでしょう。しかし、騒乱罪や風俗犯罪ほど社会秩序が乱れるという具体的で明らかな不利益が起きているわけではないです。よって、保護法益(法によって守られる利益)としても弱いため、強制的な保護、言い換えれば排除することはやはり違法です。ただし、映画では、「町を一掃する」という名目で、ロサンゼルスのホームレスたちが、彼らの持ち物から「窃盗」の罪で次々と逮捕されるシーンがありました。これは、ホームレスのたまり場が、違法薬物の売買などを蔓延させ、殺人を頻繁に招いている深刻な場合です。これは、非人道的ではありますが、明らかな不利益が起きているため、違法とまでは言えなくなります。次のページへ >>

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映画「路上のソリスト」(その2)【「不幸」になる権利はあるの?私たちはどうすればいいの?(ホームレスの自由権)】Part 2

(2)人道的な観点―逆に非人道的になるから支援センターのスタッフは、ロペスに「診断は役に立たない」「必要ないのは、彼を病人扱いする人間だ」とも答えます。そして、「友情を裏切るのは、彼の唯一のものを壊す」とやんわり忠告します。もう1つの人道的な観点として、本人が望んでいないので、保護することは逆に非人道的になるからです。もちろん、炊き出しなどの食料の支給はホームレスたちが望んでいることなので、人道的で望ましいです。そして、施設に入所させるなど決まった場所に住まわせることや、定期的に入浴させて清潔にさせることなどは、粘り強く説得して、彼らが納得するのであれば、人道的で望ましいです。しかし、それでも彼らが望まないのであれば、非人道的になってしまい、望ましくないことになります。よくよく考えると、日本国憲法でも定められている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とは、本人が選ぶ権利であって、社会が押し付ける義務ではないです。つまり、人道的かどうかは、私たちが望ましいと思うかどうかではなく、彼らが望んでいるかどうかであるということです。これは、医療関係者としても、非常に悩ましい問題です。ロペスは「ナサニエルは精神障害によってホームレスとなり不幸だ」と考えました。しかし、これはあくまでロペスのような社会適応をしている多数派の解釈にすぎません。ここから、幸せか不幸かは、社会(多数派)で受け入れられているか、常に多数決で決められてしまう危うさがあることがわかります。つまり、精神障害者が何を幸せと思うかは、最終的には本人が決めることであり、その自由に精神医療が介入することは、「幸せの押し付け」であり、逆に非人道的になってしまうということです。そもそも、ナサニエルは、ホームレスとして日々一生懸命に生きています。一方、ロペスは、社会的には成功していますが、いつも記事の締め切りに追われて疲れきっていました。よくよく考えると、どちらが幸せか、何を持って幸せか、わからなくなってきます。なお、健康か病気かという線引きも多数決で決められてしまう危うさについては、身体完全性違和という特殊な状態を解説した関連記事1をご覧ください。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「路上のソリスト」(その2)【「不幸」になる権利はあるの?私たちはどうすればいいの?(ホームレスの自由権)】Part 3

ホームレスにどうしたらいいの?ロペスは、「助けてるつもりだった」「でも、助けようとしていた本人に敵意を持たれてる」と悩み、元妻に打ち明けます。すると、彼女は「必要な時にそばにいる友達でいて」と助言するのです。このセリフはまさに、ロペスとナサニエルの関係だけでなく、ロペスと元妻の関係もほのめかしているようです。ラストシーンでは、ロペスは仲直りの印として、ナサニエルと握手します。この握手は、ナサニエルが「自分の手は汚いから」と握手を拒んだ最初のシーンとは対照的で感動的です。ナサニエルは、いろいろあったけどロペスなら自分を受け入れてくると思えるようになったのでした。つまり、ホームレスへの最善の対応は、本人が困っていると決めつけて干渉するのではなく、困っていても関係ないと無関心になるのでもなく、本人が困っていると言ってきたらできることを支援することでしょう。これは、家族でもなく、他人でもなく、友達の関係です。そんな社会になることを願うという、この映画のメッセージのように思えてきます。このように自由権の視点で考えると、もちろんホームレスが増えていく社会は危ういわけですが、逆にホームレスがまったくいない社会も危ういように思えてきます。「路上のソリスト」とは?ロペスは、離婚して一人寂しく暮らしていました。そして、インターネットの普及によって、彼が勤務する新聞社にはリストラの波が押し寄せていました。「ソリスト」とは独奏者という意味で、もちろんナサニエルを指しています。同時に実は、もう1人の「路上のソリスト」として、人生の路頭に迷う孤独なロペスでもあることを暗示しているようです。そんななか、2人は出会うのです。ラストシーンでは、ベートーベンのコンサートを、ナサニエルの姉、ナサニエル、ロペス、そしてロペスの元妻が横並びで一緒に聴いています。ナサニエルが路上からアパート暮らしをするようになり、疎遠だった姉に助けを求めるようになったのと同じように、ロペスが元妻とよりを戻すことをほのめかしているように見えます。ロペスがナサニエルの人生に影響を与えたのと同じように、ナサニエルもまたロペスの人生に影響を与えたのでした。この映画は、ナサニエルの物語であると同時に、ナサニエルと深くかかわることで変わっていったロペスの物語でもあります。テーマは、ホームレス問題であると同時に友情でもあります。最後のロペスによるナレーションで、「統合失調症は友達ができると社会性が増すという論文がある」と紹介され、締めくくられます。これは、統合失調症であるナサニエルだけでなく、そうではないロペスにも当てはまるという、この映画のもう1つのメッセージでしょう。1)「ホームレス消滅」p.60、p.219、p.240、p.250、p.256:村田らむ、幻冬舎新書、20202)「ルポ路上生活」pp152-154、pp160-162:國友公司、彩図社、20233)「ホームレス収容所で暮らしてみた~台東寮218日貧困共同生活~」p.10、p.45:川上武志、彩図社、2021<< 前のページへ■関連記事映画「路上のソリスト」(その1)【それが幸せ?なんで保護されたくないの?(ホームレスの心理)】Part 1ドキュメンタリー「WHOLE」(前編)【なんで自分の足を切り落としたいの!?(身体完全性違和)】Part 1

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Jmedmook94 今日の診療に活かせる 喘息・COPDポイント解説

今日から目の前の患者さんに活かせる!プライマリ・ケア医やジェネラリストの先生方が“今日の診療”において一歩ステップアップすることを目的とした、キュート先生こと田中 希宇人先生の著書がついに完成!喘息、COPDそれぞれについては国内外のガイドラインや治療の手引きなど数々の指針がありますが、何を参考にすれば? という若い先生の声も聞かれます。本書は、「今日から目の前の患者さんに活かせる」というコンセプトのもと、喘息とCOPDのポイントを1冊にまとめました。病態から診察、治療についてのキュート先生のわかりやすい解説に加え、長尾 大志先生、倉原 優先生、中島 啓先生など日本を代表する呼吸器内科の専門家が実臨床でのコツを伝授。キュート先生の質問に各先生が答えるQ&Aも必読です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大するJmedmook94 今日の診療に活かせる 喘息・COPDポイント解説定価4,180円(税込)判型B5判頁数176頁発行2024年10月編著田中希宇人(日本鋼管病院呼吸器内科診療部長)ご購入はこちらご購入はこちら電子版でご購入の場合はこちら電子版でご購入の場合はこちら

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第236回 麻酔薬を巡る2つのトピック(後編) プロポフォール使用の配信番組で麻酔科学会声明、芸人への検査は麻酔不要の「経鼻内視鏡」の不可解

石破首相の知見は要職を降りてから「アップデートされていない」こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。自民党、衆院選で大敗しちゃいましたね。テレビに映る石破 茂首相の虚ろな目を見て、せっかくチャンスをもらったのに、総裁選前に自信満々で話していた自身の主張を次々反古にするなど、迷走するリーダーの姿を国民に見せてしまったことも大きな敗因ではないかと感じました。石破首相が誕生した直後、10月5日付の日本経済新聞の経済コラム「大機小機」は「イシバノミクスはあるか」というタイトルで、今後の経済施策について予想するとともに、石破首相の欠点を鋭く突いていました。同記事は、石破首相が主導する経済政策「イシバノミクス」はないと断言、その理由を「党内非主流派に長く身を置」き、「首相の知見が要職を降りてから『アップデートされていない』ためだ、と霞が関の官僚はみている」と書いています。自ら得意と公言する安保政策(アジア版NATO構想など)ですら非現実的なのに、専門ではない経済・金融政策で新しい施策を打ち出せるわけがない、というわけです。実際、石破首相は、社会保障政策についても深く語ることはなく、やはり「アップデートされていない」感(言い換えれば勉強不足)を強く感じます。今回の総選挙で、紙の健康保険証存続を公約に挙げる立憲民主党が大躍進したことで、社会保障政策の最重要課題の一つである医療DX推進にも暗雲が垂れこめそうです。石破首相(あるいは新首相?)にはその点はぜひアップデートし、自らの頭の中身をDXしていただきたいと思います。配信されたバラエティ番組を麻酔科学会が強く非難さて今回も前回に引き続き、麻酔薬のトピックを取り上げます。日本麻酔科学会が「アナペイン注 7.5mg/mL」の製造所追加の承認取得をホームページで会員に伝えた同じ10月16日、同学会は別件で興味深い理事長声明を出しました。「静脈麻酔薬プロポフォールの不適切使用について」1)と題されたその声明は、「10月14日配信開始の番組において、内視鏡クリニックを舞台にプロポフォールが使用され、何らかの外科的処置を必要としない人物を意図的に朦朧状態にするという内容が含まれていることを知り、深い憂慮を抱いております」と、配信されたバラエティ番組で芸能人に対して安易にプロポフォールが使われたことを強く非難しました。このトピックについては、ケアネットの「ニュース批評」、「現場から木曜日」でも倉原 優氏が「第119回 『エンタメ番組でプロポフォール静注』を観た感想」でプロポフォールの内視鏡時の使用の問題点について言及、「日本麻酔科学会が書いているように『麻酔薬をいたずらに使用する行為は、極めて不適切』の一言に尽きます」と書かれていますが、私も実際に配信番組を観て“あること”に気付いたので、若干の補足コメントをしてみたいと思います。「地上波では放送できない企画」をテーマに芸人らが過激な企画に出演まず、経緯を簡単におさらいしておきます。麻酔科学会が問題視したのは、Amazonプライム・ビデオで10月14日から配信が始まった「KILLAH KUTS(キラーカッツ)」という番組の中の1エピソード、「EPISODE2 麻酔ダイイングメッセージ」です。同番組は、「水曜日のダウンタウン」の演出担当として知られる藤井 健太郎氏が手掛け、「地上波では放送できない企画」をテーマに、芸人らが過激な企画に挑むのが売りだそうです。このエピソードでは、「死ぬ瞬間の薄れゆく意識を、麻酔を使えば再現できる」として、みなみかわ、お見送り芸人しんいち、ラランド、モグライダーといった人気芸人らが、被害者役と刑事役に分かれ、病院を訪れた被害者役が院内で事件に巻き込まれ、殺されてしまう、という設定のコントを演じます。被害者役が殺されると、その瞬間、医師が麻酔薬の投与を開始。意識が薄れるなか、被害者役はメモに犯人の情報を残し(いわゆるダイイングメッセージですね)、後から来た刑事役がそれを読んで推理するという設定です。番組を観てみると、被害者役の芸人たち(どちらかというとボケ役が担当)は麻酔薬の投与直後からメモを書き始めるのですが、ほとんどの芸人が犯人の情報を正確に記述することができず、ほどなくして眠りに落ちていました。「麻酔を行う」必然的な理由、エクスキューズを一応は用意制作側も、何らかの非難が起こること(あるいは炎上すること)を想定していたのでしょう。健常人に「麻酔を行う」必然的な理由、エクスキューズを一応は用意していました。番組冒頭でまず、「当番組における麻酔の投与は胃カメラ検査を目的とし、医師による監修のもと安全性に配慮した上で通常の検査で行われる方法と同様に実施しております」というテロップが流れます。さらに番組内では「今回使用するのは、人間ドッグなどで用いられ、注入開始からおよそ1分ほどで意識を失う麻酔。ちなみに、ダイイングメッセージのくだりを終えた後は、実際に胃カメラ検査を実施。あくまで今回のロケは、検査のついでにロケを行わせていただきました」というナレーションも入っています。さらに司会の伊集院 光には番組内で、「あくまで胃カメラ検査をするついでに、麻酔がかかるならこういうこともやってみよう(ということ)。麻酔を悪ふざけとか遊びに使うなんてありえない」とも言わせています。学会は「厳格なガイドラインに従って静脈麻酔薬を適切に管理し、いかなる場合にも不適切な使用を避けるよう強く要請」10月17日付「Smart FLASH」の報道によれば、このエピソードは当初は7日から配信予定でしたが、6日にはAmazonプライム・ビデオの公式Xにて「諸事情により配信日が延期となりました」と発表、ようやく14日に配信されたとのことです。しかし、冒頭で書いたように日本麻酔科学会は配信からわずか2日後の10月16日、理事長名で「静脈麻酔薬プロポフォールの不適切使用について」と題する声明を出しました。麻酔科学会は、マイケル・ジャクソンの死亡事故も例に挙げながら、「プロポフォールをはじめとする静脈麻酔薬は、本来、手術や検査時の鎮静を目的に、医師の厳重な管理のもとで使用されるものです。特に、これらの薬剤は呼吸抑制のリスクを伴うため、必ず人工呼吸管理が可能な環境で使用される必要があります。(中略)適切な医療管理が行われない場合、生命に危険を及ぼす可能性があります。したがって、このような麻酔薬をいたずらに使用する行為は、極めて不適切であり、日本麻酔科学会として断じて容認できるものではありません」と強く非難、「麻酔科医ならびに関連する医療従事者には、厳格なガイドラインに従って静脈麻酔薬を適切に管理し、いかなる場合にも不適切な使用を避けるよう強く要請いたします」としています。内視鏡検査時のプロポフォール使用については安全性に疑問も配信番組では「麻酔薬」と言っているのみで「プロポフォール」という単語は出てこないので、番組内の麻酔薬がプロポフォールであると麻酔科学会がどう確定したかは不明です。ひょっとしたら、協力した埼玉市の医療機関(実名で出てきます)に問い合わせたのかもしれません。プロポフォールは、手術時の全身麻酔や術後管理時の鎮静効果が高いことなどメリットも多く、使いやすい麻酔薬との評価がある一方で、ベンゾジアゼピン系薬剤よりも舌が落ち込んだり、血圧が低下したりするような作用が強く、管理は比較的難しいとされています。また、ICUの小児への使用に関連して、2014年に東京女子医大で重大な事故も起こっています(「第30回 東京女子医大麻酔科医6人書類送検、特定機能病院の再承認にも影響か」参照)。そうしたことも、麻酔科学会が配信番組をあえて非難した理由の一つかもしれません。実際、倉原氏が指摘しているように、内視鏡検査時のプロポフォール使用はなかなか難しい問題もあるようです。日本麻酔科学会の「内視鏡治療における鎮静に関するガイドライン」ではその使用が認められている一方で、「プロポフォールによる鎮静が内視鏡室で非麻酔科医によって安全に行えるかどうかは、日本の医療現場や教育体制、現行の医療制度では明言できない」と記載されているとのことです。倉原氏は、「欧米と比較して非麻酔科医によるプロポフォール使用の教育システムが整っていないという指摘があります」と書かれています。使われていた内視鏡は経鼻内視鏡、プロポフォールによる静脈麻酔は必要だったのか?もう1点、この配信番組を観て驚いたのは、使われていた内視鏡が経鼻内視鏡だった点です。最初の“被害者”であるモグライダーのともしげに麻酔がかけられた後、経鼻内視鏡が挿入される場面があります(ほかの“被害者”ではその場面はなし)。咽頭反射が起こらないため通常の内視鏡検査よりも格段にラクな検査です。多くの医療機関で麻酔薬なしか、リドカインによる鼻腔麻酔などで行われている経鼻内視鏡の検査を行うのであれば、そもそもプロポフォールによる静脈麻酔は必要がなかったはずです。番組で伊集院 光は「麻酔を悪ふざけとか遊びに使うなんてありえない」と語っていますが、内視鏡検査が「経鼻」であったことだけでも、「悪ふざけとか遊び」であったと言えるのではないでしょうか。プロポフォールを打たれた芸人たちは、厳重な安全管理の下で麻酔をされたとは言え、不要、あるいは過剰とも言える医療を施されたわけで、その意味では本当の“被害者”だったわけです。それにしても、一番の問題は、この番組がコントとして全然面白くなかったことです。テレビ局のコンプライアンスが厳しくなり、地上波のバラエティ番組では作りたいものが作れない、と芸人がボヤいたりしています。「KILLAH KUTS」も「地上波では放送できない企画」がテーマだそうです。しかし、「コンプライアンスを守らない=過激=面白い」とはなりません。番組視聴のためにわざわざ入会したAmazonプライムの会費を返して欲しいとすら思った一件でした。参考1)静脈麻酔薬プロポフォールの不適切使用について/日本麻酔科学会

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亜鉛欠乏でコロナ重症化リスクが上昇か/順天堂大

 亜鉛は免疫機能に重要な役割を果たす微量元素であり、亜鉛欠乏が免疫系を弱体化させる可能性があることが知られている。順天堂大学の松元 直美氏らの研究チームは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における血清亜鉛濃度とCOVID-19の重症度との関連を調査したところ、患者の40%近くが血清亜鉛欠乏状態であり、血清亜鉛濃度が低いほど、COVID-19の重症度が高いことが判明した。本研究は、International Journal of General Medicine誌2024年10月16日号に掲載された。 本研究では、2020年4月~2021年8月にCOVID-19で入院した467例(18歳以上)を対象に、入院時の血清亜鉛濃度を測定した。血清亜鉛濃度が60μg/dL未満を欠乏、≧60~<80μg/dLを境界欠乏、80μg/dL以上を正常とした。COVID-19の重症度は、WHOの基準に基づき、軽症、中等症、重症の3段階に分類した。多変量ロジスティック回帰分析を使用し、血清亜鉛欠乏とCOVID-19の重症度の関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象者の平均年齢(SD)は、重症例(n=40)が68.1(13.0)歳、軽症/中等症例(n=427)が58.8(18.3)歳であった。性別は、重症例では男性72.5%、軽症/中等症例では男性64.6%であった。・血清亜鉛濃度の平均値(SD)は、重症例では51.9(13.9)μg/dL、軽症/中等症例では63.2(12.3)μg/dLであった。・血清亜鉛欠乏(<60μg/dL)の割合は、女性で39.5%、男性で36.4%であった。さらに、境界欠乏(≧60~<80μg/dL)は、女性で54.3%、男性で57.0%だった。・血清亜鉛欠乏は、境界欠乏および正常(≧60μg/dL)と比較して、COVID-19の重症化と有意に関連していた(調整オッズ比:3.60、95%信頼区間:1.60~8.13、p<0.01)。・COVID-19の重症度の上昇は血清亜鉛濃度の上昇と逆相関しており、血清亜鉛濃度が低いほどCOVID-19の重症度が高かった(傾向のp<0.01)。 本研究により、血清亜鉛濃度がCOVID-19の重症度と有意に関連することが示された。血清亜鉛濃度が低い患者はとくに重症化リスクが高いため、COVID-19の治療において血清亜鉛濃度を考慮することの重要性が示唆されている。

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統合失調症患者の10年間にわたる心血管リスク

 統合失調症患者は、平均寿命が短く、その主な死因は心血管疾患となっている。精神症状、認知機能、心血管疾患との関連は十分に明らかになっておらず、性差に関する研究も不十分である。中国・天津医科大学のXiaoying Jin氏らは、統合失調症の男性および女性患者の特徴と10年間の心血管リスクとの関連を調査した。Journal of Neural Transmission誌オンライン版2024年10月10日号の報告。 対象は、慢性期統合失調症患者802例。すべての患者より空腹時の静脈血を採取し、関連する糖脂質代謝指標を測定した。精神症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、認知機能の評価には、神経心理検査アーバンズ(RBANS)、10年間の心血管リスクの推定には、フラミンガムリスクスコア(FRS)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者における10年間の平均心血管リスクは、11.76±8.99%であった。・10年間の心血管リスクが中程度以上の患者の割合は、52.8%であった。・多変量線形回帰分析では、FRSは、BMI、血圧、血糖、総コレステロール、トリグリセライドの上昇とともに増加し、HDLレベルとの逆相関が示唆された。・一般的な精神病理学的スコアとFRSとの負の相関が認められた(男性:B=−0.086、p=0.013、女性:B=−0.056、p=0.039)。・男性において、陰性症状(B=−0.088、p=0.024)とPANSS合計スコア(B=−0.042、p=0.013)は、FRSとの負の相関が認められた。・60歳以上の患者では、一般的な精神病理(B=−0.168、p=0.001)とPANSS合計スコア(B=−0.057、p=0.041)は、FRS低下と関連し、即時記憶(B=0.073、p=0.025)は、FRS上昇と関連していた。 著者らは「統合失調症患者は、心血管疾患の発症リスクが高く、10年間の心血管リスクは、女性よりも男性で高くなることが確認された。FRSと精神症状との関連は、性差が大きく、陰性症状は男性のみでFRSとの負の相関が認められた」と結論付けている。

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帯状疱疹後神経痛、crisugabalinが有効

 帯状疱疹後神経痛を有する成人患者へのcrisugabalin(HSK16149)40mg/日または80mg/日は、プラセボとの比較において忍容性は良好であり、疼痛の改善も示された。中国・南昌大学第一付属病院のDaying Zhang氏らが、crisugabalinの有効性と安全性を検討した第III相無作為化比較試験の結果を報告した。同薬剤は中国で開発中の経口カルシウムチャネルα2δ-1リガンドである。中国では、帯状疱疹後神経痛の負担が大きいことから、既存のカルシウムチャネルリガンドよりも有効性が高く、神経毒性の少ない新薬が待望されているという。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年9月25日号掲載の報告。 本試験は2021年11月9日~2023年1月5日に、中国国内の3次医療センター48施設で2パートに分けて実施された。 パート1は、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第III相試験として実施され、2週間のスクリーニング期、1週間の導入期、12週間の二重盲検治療期で構成された。パート2は、14週間の非盲検下での延長試験であった。治験責任医師、データ分析者、治験担当医師および患者は、割り付けを盲検化された。 対象患者は、過去1週間のNRS(Numerical Rating Scale:0[痛みなし]~10[最大の痛み])に基づく平均疼痛スコア(average daily pain score)が4以上の帯状疱疹後神経痛を有する成人患者とした。なお、プレガバリン(300mg/日以上)またはガバペンチン(1,200mg/日以上)で疼痛コントロール不良の患者は除外された。 パート1では、対象患者をcrisugabalin 20mg 1日2回(40mg/日群)、同40mg 1日2回(80mg/日群)、プラセボ(プラセボ群)による治療を受ける群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、いずれも12週間投与した。パート2ではcrisugabalin 40mg 1日2回による治療を行ったが、治験責任医師の裁量により40~80mg/日の範囲で用量調整を可とした。 有効性の主要エンドポイントは、12週時点のNRSに基づく平均疼痛スコアのベースラインからの変化量であった。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は366例(年齢中央値63.0歳[四分位範囲:56.0~69.0]、男性193例[52.7%])であった(40mg/日群121例、80mg/日群121例、プラセボ群124例)。・12週時点のNRSに基づく平均疼痛スコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値±標準偏差)は、プラセボ群が-1.1±0.2であったのに対し、40mg/日群が-2.2±0.2、80mg/日群が-2.6±0.2であった。・プラセボ群との群間差(最小二乗平均値)は、40mg/日群が-1.1(95%信頼区間:-1.6~-0.7、p<0.001)、80mg/日群が-1.5(-2.0~-1.0、p<0.001)であった。・安全性に関する新たな懸念は報告されなかった。

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低~中リスク限局性前立腺がん、体幹部定位放射線治療は有効か/NEJM

 低~中リスクの限局性前立腺がん患者の放射線治療において、従来の分割照射法または中程度の寡分割照射法と比較して、5分割の体幹部定位放射線治療(SBRT)は、生化学的再発または臨床的再発に関して非劣性であり、有効な治療選択肢となる可能性があることが、英国・Royal Marsden HospitalのNicholas van As氏らが実施した「PACE-B試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年10月17日号に掲載された。3ヵ国の第III相無作為化非劣性試験 PACE-B試験は、限局性前立腺がん患者において、生化学的再発または臨床的再発に関して、従来の分割照射法または中程度の寡分割照射法に対するSBRTの非劣性の検証を目的とする第III相非盲検無作為化対照比較非劣性試験であり、2012年8月~2018年1月に3ヵ国(英国、アイルランド、カナダ)の38施設で患者を登録した(Accurayの助成を受けた)。 年齢18歳以上、臨床的または磁気共鳴画像(MRI)の定義でT1、T2の病変を有し、全米総合がん情報ネットワーク(NCCN)基準で低リスク(Gleasonスコア3+3かつ前立腺特異抗原[PSA]値≦10ng/mL)または中リスク(Gleasonスコア3+4、PSA値10.1~20.0ng/mL、またはこれら両方を満たす)の前立腺がんと判定された男性を対象とした。 被験者を、SBRTを受ける群または対照の放射線治療を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。SBRT群は、総線量36.25Gyを1週間または2週間にわたり5分割で照射し、対照群は、総線量78Gyを7.5週間にわたり39分割、または62Gyを4週間にわたり20分割で照射した。アンドロゲン除去療法(ADT)は許容されなかった。 主要エンドポイントは、生化学的再発(PSA値の上昇、ADTの開始、精巣摘除術)または臨床的再発(局所再発、リンパ節転移再発、遠隔転移、前立腺がんによる死亡)がないこととし、ハザード比(HR)の非劣性マージンを1.45に設定してITT解析を行った。前立腺がん死は2例ずつ 874例を登録し、SBRT群に433例、対照群に441例を割り付けた。ベースラインの全体の年齢中央値は69.8歳(四分位範囲:65.4~74.0)、PSA値中央値は8.0ng/mL(5.9~11.0)であり、NCCNリスク分類は8.4%が低、91.6%が中であった。 追跡期間中央値74.0ヵ月の時点における無生化学的再発または無臨床的再発の5年発生率は、SBRT群が95.8%(95%信頼区間[CI]:93.3~97.4)、対照群は94.6%(91.9~96.4)であり、生化学的再発または臨床的再発の補正前HRは0.73(90%CI:0.48~1.12)と、対照群に対するSBRT群の非劣性が示された(非劣性のp=0.004)。 29例(SBRT群10例、対照群19例)がホルモン療法を開始し、HRは0.55(95%CI:0.26~1.20)であった。また、79例(46例、33例)が死亡し、このうち前立腺がんによる死亡は4例(2例、2例)で、死亡のHRは1.41(95%CI:0.90~2.20)だった。泌尿生殖器毒性が多かった 5年時における晩期の米国腫瘍放射線治療グループ(RTOG)Grade2以上の泌尿生殖器毒性の累積発生率は、対照群の18.3%(95%CI:14.8~22.5)に比べSBRT群は26.9%(22.8~31.5)と高率であった(p<0.001)。また、5年時の晩期RTOG Grade2以上の消化器毒性の累積発生率は、SBRT群が10.7%(8.1~14.2)、対照群は10.2%(7.7~13.5)であり、両群間に差を認めなかった(p=0.94)。 有害事象共通用語規準(CTCAE)のGrade2以上の勃起不全は、SBRT群で26.4%、対照群で29.1%に発現した(p=0.46)。 著者は、「5分割SBRTは、前立腺がんに対する中程度寡分割放射線治療の強固で実行可能な代替療法であり、患者の利便性を高めつつ同等の有効性を提供できることが示された」「分割数の減少により、医療システムの負担が軽減される一方で、ホルモン治療を追加することなく良好ながんコントロールが得られると期待される」としている。

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HER2+乳がんが術前療法後に陰転、長期予後への影響は?/日本治療学会

 術前薬物療法を行ったHER2陽性早期乳がん患者が手術検体を用いた術前薬物療法後の再検査でHER2陰性になった場合は、HER2陽性が保持されている場合と比べて長期予後が不良である可能性を、明治薬科大学/第一三共の中谷 駿介氏が第62回日本治療学会学術集会(10月24~26日)で発表した。 これまでの研究により、HER2陽性早期乳がんで、術前薬物療法を実施して残存病変が確認された症例の約8~47%でHER2が陽性から陰性に変化するHER2陰転化が報告されている。術前薬物療法後の手術検体を用いたHER2再評価は現時点で必須となっていないため、HER2陰転化症例に対しても術後薬物療法として抗HER2薬が投与されている実情がある。他方、HER2陰転化が予後に与える影響は研究によって結論が異なっている。HER2陰転化が予後に与える影響を明らかにすることで、術前薬物療法後の手術検体を用いたHER2再評価の必要性の再考、並びにHER2陰転化症例に対する最適な術後薬物療法の選択に寄与できる可能性がある。そこで、研究グループは、HER2陰転化が予後に与える影響を検討するために、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。 研究グループは、2023年11月19日にPubMedとCochrane Libraryで対象となる研究を検索した。選択基準は、術前薬物療法を受けたHER2陽性早期乳がん症例を対象とし、術前薬物療法前後のHER2検査結果が報告されていて、再発リスクに関するアウトカムあるいは全生存期間(OS)の結果が報告されている観察研究あるいは介入研究で、2人の研究者がスクリーニングを実施した。主要評価項目は、HER2陽性早期乳がんにおける術前薬物療法後のHER2陰転化の予後予測因子としての有用性であった。 主な結果・考察は以下のとおり。・2013~22年に報告された8件の研究がシステマティックレビューおよびメタ解析に含まれた。再発リスクに関するアウトカムである無病生存期間(DFS)/無浸潤疾患生存期間(iDFS)/無再発生存期間(RFS)においては8件すべてが、OSにおいては8件のうち4件がメタ解析に含まれた。・HER2保持群と比べ、HER2陰転化群ではDFS/iDFS/RFSが統計学的に有意に不良であった(ハザード比[HR]:1.85、95%信頼区間[CI]:1.31~2.61、p=0.0005)。・ORにおいてもHER2陰転化群で統計学的に有意に不良であった(HR:2.37、95%CI:1.27~4.41、p=0.0065)。・HER2陰転化はHER2陽性早期乳がんの予後に影響を与えるリスク因子であることが示唆された。・HER2陰転化群がHER2保持群と比べて予後不良であった要因として、HER2陰転化症例に対して作用機序に基づいた適切な術後薬物療法が選択できていない可能性が考えられる。 これらの結果より、中谷氏は「術前薬物療法後の手術検体を用いてHER2再検査を実施し、その結果に応じた薬物療法を選択することで、HER2陰転化症例に対して最適な治療法を提供できる可能性がある。HER2陰転化症例に対する最適な術後薬物療法に関するさらなる研究が期待される」とまとめた。

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人類の平均寿命はここ30年で延び幅が鈍化

 「人生100年時代」の到来は、現状では期待できないようだ。食生活の向上や医学の進歩の恩恵を受け、19世紀から20世紀にかけて平均寿命はほぼ2倍に延びたが、ここ30年でその延び方が鈍化し、最も長寿の国でも1990年以降の平均寿命の延び幅は平均するとわずか6.5年だったことが、新たな研究で明らかになった。米イリノイ大学シカゴ校公衆衛生学部のS. Jay Olshansky氏らによるこの研究結果は、「Nature Aging」に10月7日掲載された。 Olshansky氏は、1990年に「Science」誌に、人間の平均寿命は85歳で上限に近づいているとする論文を発表した。この見解に異を唱えた研究者らは、医療と公衆衛生の進歩により20世紀に認められた寿命の延長は加速を続けたまま21世紀に突入すると予測した。しかし、今回発表された新たな研究では、老化の容赦ない影響を受ける人が増えるにつれ、平均寿命の延び方は鈍化し続けることが予測された。 本研究でOlshansky氏らは、Human Mortality Databaseから、長寿国上位8カ国(フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、スイス、オーストラリア、日本、韓国)と、香港、および米国の1990年から2019年の年齢別・性別の年間死亡率と平均余命のデータを抽出し、死亡率と平均寿命に関する最近の傾向を評価した。 その結果、直近10年での平均寿命が延びるスピードは、20世紀の最後の10年間に比べると遅くなっていることが明らかになった。また、対象とされた8カ国と香港では、1990年から2019年にかけて平均寿命は平均でわずか6.5年しか延びていなかった。一方、米国は、10年間を単位として見た場合に、初めと終わりの時点で平均寿命の低下が見られる数少ない国の一つであるが、本研究でもこの現象が、20世紀の前半から中頃にかけて確認された。これは、スペイン風邪や戦争による死亡などの極端な出来事が原因であったが、近年では2010年から2019年にかけての中年層の死亡率の増加により低下していた。 Olshansky氏は、「この研究結果は、人間が生物学的な寿命の限界に近付いていることの新たな証拠となるものだ。寿命の最大の延長は、病気と闘う努力の成功によりすでに実現されている」と述べ、寿命をさらに延長させる上で、老化による有害な影響が最大の障害となっているとの考えを示している。 Olshansky氏はまた、「今日、生存している高齢者のほとんどは、医学によって作られた時間を生きている。しかし、こうした医学的な応急処置の開発は加速しているにもかかわらず、延長する寿命の年数は減少していることから、平均寿命が急速に延長する時代が終わったことは明らかだ」と話す。 研究グループは、科学と医学によりさらなる寿命の延長がもたらされる可能性はあるものの、寿命を延ばすよりも生活の質(QOL)を向上させる努力の方が理にかなっているのではないかとの考えを示している。そしてジェロサイエンス(老化研究)への投資を呼び掛け、「それが健康と寿命延長の次の波の鍵となる可能性がある」と主張している。Olshansky氏は、この研究で示唆された平均寿命の限界について、「レンガの壁のように打破できないものではなく、ガラスの天井のように克服できる可能性はある」とし、「ジェロサイエンスと老化の影響を遅らせる努力によって、健康と長寿のガラスの天井を打ち破ることはできる」と述べている。

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体脂肪だけを減らせる持久力運動

 高強度の持久力運動により、体脂肪だけを効果的に減らせることを示す研究結果が報告された。中年男性が7日間で1,440kmのロードサイクリングを行った結果、全身の体脂肪は9%減少、内臓脂肪は15%減少して、血圧や血清脂質にも良い影響が生じ、一方で体重はわずか1%しか減らなかったという。 この研究は、ラヴァル大学(カナダ)のJean-Pierre Despres氏らによるもので、詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」9月号に掲載された。論文の責任著者である同氏は、「われわれの研究結果は、肥満予防にはカロリー制限よりも、身体的に活動的なライフスタイルを促進することが重要であるという事実を裏付けている」と述べている。また研究グループは、「人間はできるだけ食べないようにするのではなく、身体的に活動的になるように設計されていることを示す、一つのエビデンスといえる」という別の言い方で研究結果を総括している。 この研究には、50~66歳のレクリエーションレベルの男性サイクリスト11人(平均年齢60.4±4.4歳)が参加した。これらの参加者はベースライン時点において、同年齢の一般男性86人に比べて心肺機能(VO2peak)が有意に高く(+9.2mL/kg/分、P<0.0001)、皮下(-56.2mL)および肝臓(-3.3%)の脂肪量が有意に少なかった(ともにP<0.05)。 これらの参加者に対して、7日間で1,440kmのロードサイクリングを課し、その間、消費したエネルギー量を食事で十分に補充して体重が落ちないようにしてもらった。そのため、朝食と昼食はビュッフェ形式で自由に摂取可能とし、夕食は持ち帰りの弁当や菓子などを無制限に提供した。 7日後、体重は約1%減少し(-0.8±0.9kg)、BMIも低下(-0.3±0.3)したものの(ともにP<0.05)、わずかな変化に抑えられていた。それに対して、全身の脂肪量は約9%減少し(-1.5±1.0kg、P<0.001)、内臓脂肪量は14.6%減少(-14.1±14.2mL、P<0.01)、ウエスト周囲長も有意に低下していた(-3.2±1.7cm、P<0.0001)。さらに、除脂肪体重は1.2%増加し(0.8±1.2kg)、総コレステロールは20%以上低下、トリグリセライド(中性脂肪)に関しては40%近く低下し、また血圧も大幅に低下していた。 研究グループは、「これらの結果は、持久力運動によって引き起こされる影響が体重の変化にとどまらずに、体組成への好ましい影響が少なくないことを改めて強調している」と結論付けている。

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難聴は認知機能の低下につながる?

 フランスの大規模研究において、成人の聴覚障害(難聴)は認知症と関連することが明らかにされた。論文の筆頭著者であるパリシテ大学(フランス)のBaptiste Grenier氏は、「認知機能低下がもたらす大きな負担と、認知機能低下を治癒する治療法がないことを考え合わせると、修正可能なリスク因子を特定することが重要だ」との考えを示している。この研究結果は、「JAMA Network Open」に10月1日掲載された。 この研究でGrenier氏らは、2012年1月1日から2020年12月31日の間に募集されたCONSTANCESコホート研究参加者6万2,072人(45〜69歳、平均年齢57.4歳、女性52%)のデータの縦断的解析を行い、客観的に測定された難聴と認知機能との関連を評価した。これらの研究参加者の認知機能は、試験登録時に5種類の検査から成る認知機能評価バッテリーにより評価されていた。主成分分析により算出された認知機能スコアが分布の25パーセンタイル以下である場合を認知機能障害があると判断された。 参加者の49%は正常な聴力であったが、38%(2万3,768人)は軽度難聴、10%(6,012人)は日常生活に支障を来たす難聴(以下、重度難聴)があるが補聴器は未使用、3%(1,668人)は補聴器を使用していた。認知機能障害が認められた参加者の割合は、正常な聴力で16%、軽度難聴で27%、重度難聴で37%であり、難聴の重症度が上がるほど高かった。多変量解析からは、軽度難聴と重度難聴は認知機能障害のリスク増加と関連することが示され、オッズ比は、それぞれ1.10(95%信頼区間1.05〜1.15)と1.24(同1.16〜1.33)であった。重度難聴の人の間では、補聴器の使用の有無により、認知機能障害のリスクに有意差は認められなかった。 感度分析では、うつ病の有無に関わりなく難聴と認知機能障害との間に関連が認められたものの、うつ病がある場合での関連はより強いことが示された。また、補聴器の使用と認知機能障害の関連はうつ病のある参加者においてのみ見られた(オッズ比0.62、95%信頼区間0.44〜0.88)。このことから研究グループは、補聴器はうつ病のある重度難聴患者の認知機能障害リスクを軽減する可能性があるとの考えを示している。 Grenier氏らは、「難聴の人は社会的に孤立するだけでなく、聴覚入力のない期間が長いために思考力が低下する可能性がある」との考えを示している。それでも同氏らは、補聴器の使用と認知機能低下との関連については統一見解が得られておらず、さらなる研究が必要だとして、「重度難聴患者に対する補聴器は、認知機能の低下を緩和するためではなく、生活の質(QOL)に対する潜在的な利益に基づいて処方されるべきだ」と主張している。

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高齢者の睡眠時間の目安は?

65歳以上の睡眠時間の目安⚫ 必要な睡眠時間は年齢とともに少なくなり、高齢世代では睡眠時間の長短よりも、長い床上時間(寝床で過ごす時間)が健康リスクとなることが示されています⚫ 床上時間が8時間以上にならないことを目安に※必要な睡眠時間を確保しましょう※さまざまな健康上の理由から、寝床で過ごす時間を減らすことが難しい場合を除きます床上時間と睡眠時間•まずはご自身の睡眠状態を1週間記録してみましょう。ポイントは、床上時間(寝床に入っている時間)と睡眠時間(実際に眠っている時間)を区別することです•床上時間の目安は、1週間の平均睡眠時間+30分程度で、8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間※を確保するようにしましょう※必要な睡眠時間には個人差があります。6時間以上を目安に、睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)が得られる、ご自身にとって必要な睡眠時間を見つけましょう“休養感”のある睡眠のために・日中は活動的に過ごし、昼と夜(活動と休息)のメリハリをつけましょう・日中の長時間の昼寝は避けるようにしましょう出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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