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近年、冠動脈疾患(CAD)の画像検査は世界中で著しく増加しているが、画像検査による患者被曝線量には大きなばらつきがあることが明らかとなった。米国・コロンビア大学アービング医療センターのAndrew J. Einstein氏らINCAPS 4 Investigators Groupが、世界101ヵ国の742施設が参加して行われた横断研究「IAEA Noninvasive Cardiology Protocols Study(INCAPS)4」の解析結果を報告した。著者は、「今回の結果は、世界的に放射線量低減のための研修、標準化されたプロトコール、そして最新機器の導入がきわめて重要であることを示している。これは、とくに低・中所得国の患者ならびに冠動脈CT血管造影(CCTA)を受ける患者に影響を与えるだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2026年2月25日号掲載の報告。2023年10~12月の1週間にデータを収集 研究グループは、2023年10月15日~12月10日のいずれか1週間において、参加施設で実施された冠動脈疾患画像検査(SPECTまたはPET心臓核医学検査、冠動脈石灰化スコア[CACS]評価のための心臓CT、またはCCTA)の情報を分析した。収集した情報は、各検査の実施件数、患者背景、撮像プロトコール、放射線関連パラメータであった。 主要アウトカムは、患者への放射線量(実効線量)、およびガイドライン推奨値である実効線量中央値が9mSv以下の施設の割合。 101ヵ国の742施設から1万9,302例のデータ(核医学検査1万1,061例[SPECT:1万295例、PET:726例]、CT検査8,241例[CCTA:6,939例、CACS:6,631例])が報告された。患者の実効線量中央値が最も高いのはCCTA、施設間でもばらつき大 1万9,302例の患者背景は、女性が8,515例(44%)、年齢中央値63歳(四分位範囲[IQR]:54~71)であった。 患者の実効線量は検査によって大きく異なり、中央値(IQR)でCACSが1.2(0.7~2.2)mSv、PETが2.0(1.6~2.4)mSv、SPECTが6.5(3.9~8.6)mSv、CCTAが7.4(3.5~15.5)mSvであった。施設別の実効線量中央値にもばらつきが認められた。 患者の実効線量中央値9mSv以下の施設は、核医学検査実施施設で81%(355施設)、CCTAで56%(216施設)であり、核医学検査実施施設が有意に多かった(p<0.001)。また、実効線量中央値9mSv以下の患者は、核医学検査を受けた患者がCCTAを受けた患者より有意に多かった(79%vs.56%、p<0.001) 同一検査における線量(中央値[IQR])は地域間で有意差が認められ、西ヨーロッパが最も低く(核医学心臓検査で4.8[2.3~7.3]mSv、CCTAで4.6[2.4~9.8]mSv)、核医学心臓検査は中南米(7.8[5.3~9.7]mSv)、CCTAはアフリカ(25.2[14.7~35.3]mSv)で最も高かった(いずれもp<0.001)。 回帰モデルでは、国の所得水準と線量の間に逆相関の関係が認められた。患者線量は、低・中所得国において高所得国より核医学検査が20%(95%信頼区間[CI]:3.6~38.4)、CCTAが最大96%(95%CI:41.7~170.8)高かった(いずれもp<0.001)。ただし、所得水準や地域間で顕著なばらつきが認められている。