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薬物溶出ステント(DES)が経済的なのは高リスク病変のみ

ステント留置後18ヵ月間の費用対効果を検討すると、薬物溶出ステント(DES)が効率的なのは高リスク病変への留置のみであり、低リスク病変に対する費用対効果はベアメタル・ステント(BMS)に軍配が上がることが、無作為化試験BASKETの結果明らかになった。Basel(スイス)、University HospitalのHans Peter Brunner-La Rocca氏らがLancet誌11月3日号で報告した。DES、BMSの主要心イベント抑制の費用対効果を検討BASKET(Basel Stent Kosten Effektivitats Trial)の対象は、Rocca氏らの施設にて2003年5月から1年の間にPCIを受けステントを留置された826例。ステント長が4.0mm以上だった例、あるいはステント内狭窄例は除外されている。これらをDES群(545例)とBMS群(281例)に無作為化し、主要心イベント(心臓死、非致死性心筋梗塞、虚血症状寛解のための責任病変血行再建再施行)発生を18ヵ月間追跡し、両ステントによる主要心イベント抑制の費用対効果を検討した。病変部のリスクにより費用対効果が異なる18ヵ月後、主要心イベント発生率は両群間に有意差はなかった。 次に、BMSとDESを置き換えた場合のコストの増減を縦軸に、主要心イベント相対リスクの変化を横軸にとり、実測値をBootstrap法にて5,000サンプルへシミュレートのうえプロットした(Cost-effectiveness plane)。するとDESがBMSよりも「安価で有効(主要心イベントを減少させる)」である機会は3%しかなく、「高価で有効」は71%、逆に「高価で無効」となる可能性が26%あった。しかし患者を低リスクと高リスクに分けて検討すると、高リスク群ではDESの費用対効果が優れていた。すなわち、バイパス・グラフトへの直径3.0mm未満のステント留置では、71%のケースでDESがBMSよりも「安価で有効」となっていた。一方、インターベンション歴のない血管に対する直径3.0mm以上のステント留置(低リスク)では逆に、75%のケースでDESがBMSよりも「高価で無効」となると考えられた。このような解析を基にRocca氏らは、ルーチンなDES留置に対しては費用対効果の観点から疑義を呈している。(宇津貴史:医学レポーター)

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高齢者のインフルエンザ、肺炎に対する意識は高い!?

今年もインフルエンザの流行の兆しが見え始め、メディアなどでも様々な話題が報じられているが、万有製薬株式会社は、2007年7月に全国65歳以上の男女計467人を対象に行ったインフルエンザと肺炎に関する意識調査を発表した。調査結果によると、 1.インフルエンザワクチンを接種した経験がある人は67.2%に上るが、最近1年間に接種した方は44.3%で、1年より前に接種した人は22.9%。 2.インフルエンザワクチンを接種した経験がない人でも98.7%がインフルエンザワクチンを知っており、そのうち53.7%が接種の必要性を感じている。 3.67.2%が「肺炎は怖い」というイメージを持っており、また66.2%が「自分もかかるかもしれない」と感じている。そして、36.8%が「肺炎は予防可能な疾患である」と考えている。 4.肺炎球菌ワクチンの認知率は52.7%で、そのうちの35.0%が1年以内に知ったものだった。 プレスリリースはこちら http://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2007/corporate_1112.html

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人工着色料・食品添加物(AFCA)は子どもの多動性を増強する

9月上旬、本報告がLancet誌オンライン版に掲載されるや、欧米では大きな反響が巻き起こったという。この試験で用いられている人工着色料・食品添加物(AFCA)の多くは日本でも使用されているため、今後、本邦においても広範な議論が展開されることを期待したい。 AFCAの子どもの行動への影響が指摘されて30年以上が経過している。AFCAによる主な行動障害は多動性(過活動、衝動性、不注意)と推察されるため、この行動パターンを示す子どもは注意欠陥多動性障害(ADHD)でない場合でも、ADHDと診断されている可能性がある。また、最近のメタ解析ではADHDに対する有意な影響も示唆されている。 Donna McCann氏(イギリス・サザンプトン大学心理学科)らは、AFCAの摂取が子どもの行動に及ぼす影響を広範に評価するために、対象年齢を拡大した検討を行った。Lancet誌9月6日付オンライン版、11月3日付本誌掲載の報告。297名の子どもが2種類のAFCA含有ジュースとプラセボを飲用本研究は、3歳児153名、8~9歳児144名を対象とした二重盲検プラセボ対照無作為化クロスオーバー試験である。各年齢群とも同じプロトコールに従ってAFCAを含む2種類のジュース(ミックスAおよびB)あるいはプラセボを6週間飲用した。ミックスAには、人工着色料20mg[黄色5号5mg+カルモイシン(日本指定外)2.5mg+黄色4号7.5mg+赤色102号5mg]+保存料(安息香酸ナトリウム45mg)が、ミックスBには人工着色料30mg[黄色5号7.5mg+カルモイシン(日本指定外)7.5mg+キノリンイエロー(日本指定外)7.5mg+赤色40号7.5mg]+保存料(安息香酸ナトリウム45mg)が含まれた。3歳児には1袋56gのお菓子2袋に相当する量のジュースにミックスA、Bを混ぜ、8~9歳児には2袋相当にミックスAを、4袋相当にミックスBを混合した。主要評価項目は、観察された行動のスコアおよび教師、両親による点数化に基づく全体的多動性集計(GHA)とし、8~9歳児にはコンピュータによる注意力の検査も実施した。3歳児、8~9歳児ともに、AFCAによる有害作用を確認16名の3歳児および14名の8~9歳児が、行動とは無関係の原因で試験を完遂できなかった。ミックスAは、すべての3歳児においてプラセボに比し有意に多動性のレベルを上昇させた(p=0.044)が、ミックスBとプラセボには有意差は認めなかった。ジュースを85%以上飲用した3歳児に限定した解析でも同様の結果であった(p=0.02)。8~9歳児は、ジュースを85%以上飲用した場合に限定した解析でミックスA(p=0.023)、ミックスB(p=0.001)ともプラセボに比し有意に多動性レベルが上昇した。多動性をもたらす特定の有害物質は不明McCann氏は「食品中の人工着色料または保存料(もしくはその両方)は、一般集団における3歳児、8~9歳児の多動性を増強する」と結論している。また、同氏は「今回の試験では各ミックス中の特定の有害物質は決定できない」とし、「食品への人工着色料の添加は不要と考えられるが、安息香酸ナトリウムは重要な保存機能を持つため同一には扱えない」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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米国心臓学会において「HIJ-CREATE」の成績が発表

 11月7日(米国時間)、フロリダ州・オーランドで開催されている第80回米国心臓学会 (AHA: the American Heart Association's Scientific Sessions 2007) のlate-breaking clinical trials sessionにおいて、高血圧症治療薬ブロプレス(一般名:カンデサルタン シレキセチル)の大規模臨床試験「HIJ-CREATE」の成績が発表された。HIJ-CREATE試験は2001年6月から実施されたもので、日本の14施設が参加、高血圧症を有する日本人の冠動脈疾患患者2,049例を対象に、アンジオテンシン・受容体拮抗薬(ARB)ブロプレスを基礎治療にした薬剤群(ブロプレス群)とARBを使用しない標準治療薬剤群(標準治療群)について、心血管系イベントの発症を指標として比較。 今回の発表では、以下の点が明らかになった。1.ブロプレス群は標準治療群と比較して、心血管系イベントの発症リスクを11%抑制したものの統計的な有意差は得られなかった(p=0.194)。<主要評価項目> 2.糖尿病の新規発症率は、ブロプレス群1.1%、標準治療群2.9%であり、ブロプレス群は糖尿病の発症を抑制した(p=0.027)。<副次評価項目>3.腎機能の低下した患者においてブロプレス群は標準治療群と比較して、心血管系イベントの発症リスクを21%抑制した(p=0.039)。

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院内暴力で逮捕された男が病院に”お礼参り”

今月4日に東京慈恵会医科大付属病院でナイフで職員を脅かした男が逮捕されたが、その男は、今年9月に院内暴力で警察に通報され、逮捕されていたことがわかった。逮捕されたのは東京都町田市の無職の男(55)で、今年9月の逮捕後、10月に釈放されたばかりだった。病院に対する逆恨みから、今回の”お礼参り”を行ったようだ。院内暴力はマスコミでも取り上げられるケースが増えつつあるが、今年8月の読売新聞の報道によれば、全国の大学病院で、昨年1年間に医師、看護師が患者や家族から暴力を受けたケースは、少なくとも約430件あったという。これらは氷山の一角であり、全体としてはかなりの数になろう。病院だけでなく、介護、あるいは教育の現場でも暴力・暴言やクレーマーが増えていると言う。医療者側と患者とのコミュニケーションの問題もあると指摘されるが、もはやコミュニケーションの問題にとどまらず、リスクマネジメントの観点から安全対策の導入が必要な時代になったといえるのではないか。  読売新聞の「院内暴力」のニュースはこちらhttp://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070821-OYT8T00188.htm?from=goo(ケアネット 孫 秀煥)

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脳MRIは無症候性の脳異常の発見に結びつく

研究および臨床領域双方で利用が増している脳の磁気共鳴画像(MRI)は、一方ではスキャナやMRIシークエンスの改善がなされている。そうした画像診断技術の進歩は、脳腫瘍、動脈瘤、無症状の血管病変など予期しない無症候性の脳異常の発見に結びつく可能性があるとして、オランダのエラスムスMC大学医療センターのMeike W. Vernooij氏らは、偶発的な脳所見が一般集団で出現する割合を検討した。NEJM誌11月1日号より。2,000例のMRI画像を専門医が精査対象は、標準プロトコルに従って高解像度脳構造MRI(1.5T)検査を実施された、住民ベースのロッテルダム研究対象2,000例(平均年齢63.3歳、年齢範囲45.7~96.7歳)。訓練された評価者2名が、無症候性脳梗塞を含むすべての脳異常を記録した。白質病変量は、自動後処理法でミリリットル単位で定量化された。偶発的な所見の精査は、経験豊かな2名の神経放射線医が行い、診断はすべてMRI所見に基づいて行われ、組織学的検査は行っていない。加齢とともに増加した脳梗塞・髄膜腫・白質病変無症候性脳梗塞は145例(7.2%)にみられた。梗塞以外の所見では、脳動脈瘤(1.8%)と髄膜腫を主とする良性原発腫瘍(1.6%)が最も高頻度にみられた。無症候性脳梗塞と髄膜腫の有病率、および白質病変量は、加齢とともに増加していたが、動脈瘤の有病率には同様の年齢関連性はみられなかった。研究グループは、「無症状の血管病変を含めて、MRI画像による脳の偶発的な所見は一般集団でもよくみられた。最も頻度が高いのは脳梗塞であり、脳動脈瘤と良性原発腫瘍がこれに続いて多い」と報告。「臨床管理上これら病変の自然経過に関する情報が必要だ」と指摘している。(朝田哲明:医療ライター)

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術後患者の補助化学療法に関する日本発エビデンス:ACTS-GC

経口フッ化ピリミジン系薬剤(S-1)に関して、日本国内の109医療機関、患者1,059人が参加して行われたACTS-GC試験(Adjuvant Chemotherapy Trial of TS-1 for Gastric CancerTS-1:胃術後補助化学療法比較試験 http://acts-gc.jp/index.html)の結果が、NEJM誌11月1日号に掲載された。筆頭執筆者は北里大学の桜本信一氏。治癒的切除術が施行された胃患者に対するS-1を用いた補助化学療法の有用性を評価したもの。ステージIIまたはIIIの胃切除術後患者に経口S-1錠投与ACTS-GCは2001年10月から2004年12月にかけて、D2リンパ節郭清を伴う胃切除術を受けたステージIIまたはIIIの日本人の胃患者を、術後にS-1投与による補助化学療法を受けた(投与群)529例と、手術療法のみの(手術単独群)530例にランダムに割り付け行われた。投与群は術後6週間以内に投与を開始し、1年間継続。処方計画は原則として、経口S-1錠80mg/m2/日を4週間投与した後2週間休薬する6週間周期で構成された。主要エンドポイントは全生存率。3年全生存率は投与群80.1%、手術単独群70.1%患者登録終了後1年時点の最初の中間解析で、S-1投与群が手術単独群よりも高い全生存率を示した(P=0.002)。そのため効果・安全性評価委員会の勧告に基づき試験は中止されている。追跡調査データの解析によって、3年全生存率は、S-1投与群が80.1%、手術単独群が70.1%で、S-1投与群の対手術単独群死亡ハザード比は0.68だった(95%信頼区間:0.52-0.87、P=0.003)。S-1投与群で比較的よくみられたグレードIIIまたはIVの有害事象は、食欲不振(6.0%)、悪心(3.7%)、下痢(3.1%)だった。これらから研究グループは、「東アジア人でD2郭清を施行した局所進行性胃患者に対するS-1を用いた補助化学療法は効果的である」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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産学結びつきの現状ともたらす影響

産学連携(Institutional Academic-Industry Relationships:IAIR)は、組織内に利害対立をも引き起こす可能性をはらんでいる。しかしこれまで、大学および教育病院と産業界との関係を管理する方針や手法に関して確立・評価するのに役立つ観察データは示されていなかった。そこで医学部と教育病院の産学連携の性質、範囲そして影響について、学部教授を対象とした全国調査がマサチューセッツ総合病院のEric G. Campbell氏らによって行われ、その結果がJAMA誌2007年10月17日号に掲載された。教授職の6割が産業界と何らかの個人的関係を持つ125の逆症療法を主体とする医学部と15の独立系教育病院の学部教授を対象とした全米調査は、2006年2月から同年10月にかけて実施された。主要評価項目は産業界とのつながりのタイプ。対象となった学部教授職688例のうち459例について調査を完了、回答率は全体の67%だった。学部教授職の60%は産業界との間に何らかの個人的なつながりを持っており、その内訳は、コンサルタント(27%)、学術顧問(27%)、有給講演者(14%)、役員(7%)、設立発起人(9%)、または重役会メンバー(11%)などとなっていた。また、学部単位では3分の2に当たる67%が産業界との関係があった。この中で臨床系学部は非臨床系学部よりも、研究装置(17%対10%、P=0.04)、無制限の資金提供(19%対3%、P

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ザンビアでのエイズ罹患小児への抗レトロウイルス療法

ザンビア保健省はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した小児への抗レトロウイルス療法(ART)を首都ルサカにある初期医療施設で提供しているが、同国では周産期予防の規模拡充にもかかわらず小児の多くが感染している状況にある。治療を受けた小児の臨床および免疫学的予後に関する調査報告がJAMA誌2007年10月24日号に掲載された。3剤併用ART療法を受けた小児の転帰データを分析ザンビア感染症研究センターのCarolyn Bolton-Mooreらによる本調査は、ルサカにある18の国立の初期医療施設でARTを受けた小児の転帰データを使ったオープンコホート研究。対象は2004年5月1日から2007年6月29日の間にHIV治療を受けた15歳以下の小児で、治療は主に看護師と、米国の医師助手に類似した医師補によって行われていた。3剤併用ART療法(zidovudineあるいはstavudine+ラミブジン+nevirapineあるいはefavirenz)を受けたのは、国内の治療判定基準を満たした小児。主要評価項目は生存、体重増加、CD4細胞数とヘモグロビン値とされた。登録された4,975例中、2,938例(59.1%)でARTが開始された。ART開始の対象年齢中央値は81ヵ月(四分位範囲36-125)、1,531例(52.1%)が女子であり、WHO定義に基づく病期は2,087例(72.4%)がIII期またはIV期だった。予後、CD4値とも有意に改善2,398例中198例(8.3%)が死亡、これはフォローアップした3,018人年死亡率で換算すると6.6/100人年(95%信頼区間5.7-7.5)に当たることが明らかとなった。また死亡例のうち112例(56.6%)は治療開始から90日以内で転帰に至っており、早期死亡率は17.4/100人年、90日死亡率は2.9/100人年となる。死亡率は、CD4細胞減少、低体重、低年齢、貧血と関連していた。一方で、1回以上の測定を行った1,561例の、ART開始時の平均CD4細胞パーセンテージは12.9%(95%信頼区間12.5%-13.3%)だったが、6ヵ月後には23.7%(同23.1%-24.3%)まで増え、12ヵ月後は27.0%(同26.3%-27.6%)、18ヵ月後は28.0%(同27.2%-28.8%)、そして24ヵ月後には28.4%(同27.4%-29.4%)に増加していた。これを受け、「看護師や医師補のような臨床家が提供するケアでも、HIV感染児のためのプライマリ・ケアは、南部アフリカという環境下で良好な治療成績を上げることができた」と報告。治療導入初期90日の死亡率が高いことについては、早期介入の必要性を示しているものだと結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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「タミフル」の2007-2008年シーズンの供給計画

中外製薬株式会社(東京都中央区)は、抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」(一般名:リン酸オセルタミビル)の2007-2008年シーズンの供給計画を発表した。昨シーズン複数報告された10代患者の転落死との関係は調査中としながらも、3月20日に出された緊急安全性情報等も考慮し、今シーズンは、従来の最大流行規模を想定した1,200万人相当分の供給体制から処方患者数の半減を考慮、600万人相当分の供給体制にする。なお、これを上回る需要に備え、追加供給体制についても検討していくという。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp?documentId=doc_10210&lang=ja

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世界初の選択的アルドステロンブロッカー「セララ」発売

ファイザー株式会社(東京都渋谷区)は、11月13日(火)に、選択的アルドステロンブロッカー「セララ錠25mg/50mg/100mg」(一般名:エプレレノン)を発売する。アルドステロンの受容体であるミネラロコルチコイド受容体に選択的に結合することにより、アルドステロンの有害作用をブロックして、血圧降下や臓器保護を示す。単独、併用双方で優れた降圧効果を示すほか、1日1回投与で、24時間良好な降圧効果を発揮する。また、長期投与でも安定した血圧コントロールを可能とするという。日米欧の診療ガイドライン(GL)で、心疾患に伴う高血圧治療薬として紹介されており、現在、すでに日本を含めて世界64カ国で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2007/2007_11_07.html

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激しい興奮状態の精神疾患患者を速やかに鎮静するには?

精神疾患症状としての興奮症状や暴力的行動に対し、速やかな鎮静を図る手段として、筋注olanzapine(オランザピンは筋注剤は日本未承認)と筋注ハロペリドール+プロメタジンとを比較する無作為化臨床試験の結果が報告された。インドVelloreにあるキリスト教医科大学精神医学部Nirmal S Raveendran氏らによる。BMJ誌オンライン版10月22日付け、本誌10月27日号で掲載。筋注olanzapineと筋注ハロペリドール+プロメタジンを比較本試験は、南インドVelloreにある総合病院精神科部門の救急サービスを基点に行われた。激しい興奮状態あるいは暴力的行動を呈する成人患者300例を無作為に、筋注olanzapine投与群150例と筋注ハロペリドール+プロメタジン投与群150例に割り付け、同剤投与による介入から治療を開始した。主要評価項目は、15分後、240分後時点で、落ち着きを取り戻し眠っている患者の比率。副次評価項目は、15、30、60、120、240分時点での、「落ち着いている」「眠っている」「抑制されている」「逃走」「臨床的に好転」した患者の各比率。さらに4時間を過ぎた時点でのさらなる医療行為介入と副作用の状況、2週間にわたる経口薬のコンプライアンスと副作用の状況も評価された。追跡調査されたデータは298例(99%)。ハロペリドール+プロメタジン群のほうが追加介入が少ない15分後「落ち着きを取り戻し眠っている」患者の比率は、olanzapine群 131/150(87%)、ハロペリドール+プロメタジン群136/150(91%)で同程度だった(相対リスク比0.96、95%信頼区間:0.34-1.47)。240分後もそれぞれ、144/150(96%)、145/150(97%)(同0.99、0.95-1.03)で同程度。しかし、4時間を過ぎた時点で追加投与を必要とする患者が、olanzapine群65/150(43%)で、ハロペリドール+プロメタジン群31/150(21%)よりも多かった(同2.07、1.43-2.97)。副作用は、いずれの治療群でもまれだった。これらからRaveendran氏らは、「いずれの筋注も興奮状態あるいは暴力的な精神病患者を鎮静するのに効果的だったが、ハロペリドール+プロメタジン群のほうが追加介入の割合が低かった。多忙かつ無秩序な状況では併用群を選んだほうがよいということだ」とまとめている。

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高血圧放置が減少、血圧コントロール率の改善も:メキシコ公的健康保険プログラム

無保険者が健康保険に加入することにより、高血圧治療を受ける患者が有意に増えるだけでなく、血圧コントロール率まで改善される可能性が、メキシコにおける横断的住民研究の結果、明らかになった。米国Johns Hopkins School of Public HealthのSara N Bleich氏らが、BMJ誌オンライン版10月22日付けで早期公開、その後本誌27日号で掲載されている。貧困者対象の公的保険開始から6年メキシコでは2001年より、貧困者を対象にした公的健康保険Seguro Popularを立ち上げ、2010年までに無保険者をなくす予定である。今回Bleich氏らはSeguro Popularの対象になりうる高血圧患者で被保険者と未保険者を比較し、公的健康保険が高血圧治療に及ぼすインパクトを調べた。2005年の全国調査ではSeguro Popularの対象となり得る成人高血圧例は4,032例。1,065例はすでに健康保険に加入していたが、2,967例は未加入だった。被保険者と未保険者では背景因子が大きく異なるため、「年齢」、「性別」、「定期収入」、「貧困度」など9項目に関し傾向(propensity)スコアを用いてマッチングを行った。 治療率・コントロール率とも改善その結果、Seguro Popular下で被保険者となっている高血圧患者が降圧治療を受ける確率は未保険者に比べ1.5倍、有意に高かった(95%信頼区間:1.27-1.78)。また治療により収縮期血圧(SBP)が120mmHg未満にコントロールされている割合も相対的に1.35倍増加していた(95%信頼区間:1.00-1.82)。一方、「人口1,000人当たりの医師・看護士数」と「降圧治療による血圧コントロール(SBP<120mmHg)」達成には有意な相関はなかった。「メキシコ(のような国)では医師・看護士よりも被保険者を増やすほうが降圧治療に直接的な影響があるかもしれない」とBleich氏らはコメントしている。また同氏らが結論している通り、本研究は無保険者を多く抱える他国にとってポジティブな実例となると思われるが、肝心なのはSeguro Popularが公的保険という点だろう。自治体は実情に併せて上乗せが許可されている。したがって、米国で大統領選挙を控えヒラリー(クリントン)氏らが推進しようとしている「(医師の裁量権を事実上制限している)民間保険への皆加入」とは異質であり、米国の保険改革が同等の効果をもたらすかは改めて検討が必要だろう。(宇津貴史:医学レポーター)

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J-WIND、待望の論文化

わが国で実施され、2006年には米国心臓協会にて報告された大規模試験J-WINDが、Lancet誌10月27日号に掲載された。心筋梗塞に対する再灌流療法にヒト心房性ナトリウムペプチド(カルペリチド)、あるいはニコランジルを加える有用性を検討した本試験、筆頭著者は国立循環器病センターの北風政史氏である。カルペリチドとニコランジルの有用性を別個に検討J-WINDは2つの別個の試験から成る。いずれも急性心筋梗塞例を対象としているが、J-WIND-ANP試験では再灌流療法時にカルペリチドを3日間持続静注、J-WIND-KATP試験ではニコランジルをボーラス静注し、いずれの試験も梗塞サイズと左室駆出率を対照群と比較した。ANP試験ではカルペリチド群に277例、対照群に292例が、KATP試験ではニコランジル群に276例、対照群に269例がそれぞれ無作為割り付けされ、単盲検にて平均2.7年(ANP試験)、2.5年(KATP試験)追跡された。  カルペリチド群では梗塞サイズが縮小し左室機能も保たれる569例が無作為化されたANP試験では、まず535例(カルペリチド群:255例、対照群:280例)で梗塞サイズが検討された。梗塞巣サイズの評価は、再灌流療法前と再灌流1時間~72時間後の間に少なくとも6回採取した血液サンプルから求めたクレアチニンキナーゼのAUCで行なった。その結果、対照群の77,878.9IU/L時に比べカルペリチド群では66,459.9IU/L時と有意(p=0.016)に低下していた。梗塞サイズに換算すると相対的に14.7%の減少になるという。ただし再灌流後12〜18時間に測定したトロポニンT濃度は減少傾向にとどまった。また398例(各群199例ずつ)で評価できた6~12カ月後の左室駆出率も、カルペリチド群では対照群に比べ相対的に1.05倍、有意(p=0.024)に高値だった。この結果よりJ-WIND研究者らは、「経皮的冠血行再建術を施行される心筋梗塞患者に対し、カルペリチド追加は安全かつ有効な治療だと信じている」と記している。 ニコランジルは用量の問題か対照的だったのがKATP試験である。ニコランジル群で梗塞サイズ、左室駆出率とも対照群と有意差を認めなかった。 しかしJ-WIND-KATP試験については本年度の日本循環器学会のセッション「Late Breaking Clinical Trials in Japan」において、以下が指摘されている。すなわち、これまでに報告された臨床試験で、ニコランジルによる梗塞巣縮小が認められた場合、用量は8~12mg程度が用いられている。特に、プラセボ群に比べ心筋梗塞患者の「心血管系死亡と心不全による予定外入院」を有意に抑制し,Circulation誌に掲載された臨床試験では12mgが用いられていた [Ishii H et al. Circulation 2005; 112: 1284]。しかし今回J-WINDで用いられた「0.067mg/kgボーラス+1.67μg/kg/分×24時間」というレジメンではおよそ4mg程度にしかならないため、「もう少し高用量ならば異なった結果になっていた可能性もある」(コメンテーター)とのことである。(宇津貴史:医学レポーター)

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子宮摘出術の安易な第一選択は避けるべき

機能性子宮出血、平滑筋腫など良性疾患に対する治療法としては、子宮摘出術が優先的に行われている。しかし一方で、断定的ではないものの子宮摘出による下部尿路へのリスク増加が指摘されてきた。 スウェーデン、カロリンスカ研究所(ストックホルム)のDaniel Altman氏らは、スウェーデン国内女性を対象に、子宮摘出後の腹圧性尿失禁手術のリスクを調査。結果がLANCET誌10月27日号で報告された。腹圧性尿失禁手術へのリスクを子宮摘出群と非摘出群で比較本研究対象は、スウェーデン国内の入院患者登録データを集約するSwedish Inpatient Registryの1973年~2003年の間のデータから選定された。子宮摘出術を受けた165,260例の女性を曝露コホート群として、受けなかった女性479,506例を非曝露コホート群(対照群)とした。出生年と居住地域を照合が行われている。両コホート群において腹圧性尿失禁手術を受けたか否かは、前述のスウェーデンのSwedish Inpatient Registryで確認された。摘出群のほうがリスクが高い、特に術後5年以内観察期間30年の間に、腹圧性尿失禁手術を受けたのは、100,000人年に対し曝露群で179(95%信頼区間:173-186)、対照群は76(同73-79)だった。それに符合するかのように、曝露群のほうが非曝露群よりも腹圧性尿失禁手術のリスクが手術手技にかかわりなく高かった(ハザード比2.4、95%信頼区間:2.3-2.5)。またそのリスクの度合いは時間とともに異なっていた。リスクが最も高かったのは術後5年以内(同2.7、2.5-2.9)、反対に最も低かったのは10年以上(同2.1、1.9-2.2)経っていた場合だった。Altman氏らは、「良性疾患での子宮摘出は、手術手技にかかわりなく、その後の腹圧性尿失禁手術のリスクを増す」と結論づけ、「女性は子宮摘出に関するリスクについてきちんとしたカウンセリングがなされるべきであり、そして、他の治療法が手術の前に考慮されなければならない」と述べている。

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頭頸部扁平上皮の導入化学療法に関する第3相無作為化試験

頭頸部扁平上皮はアメリカでは、成人で新たにと診断される者のうちの5%を、世界的には8%を占め、初期ステージでは根治も期待される疾患である。標準治療は化学療法(手術+放射線療法)だが、最適な治療スケジュールが確立しておらず、薬物療法+放射線療法の導入化学療法が実質的に標準治療となっている。薬物療法ではシスプラチン+フルオロウラシル(PF)療法が、局所進行例での有益性から標準とされているが、ドセタキセル(タキソール)を加えたTPF療法の有益性に関する臨床試験が進行中である。その第3相無作為化試験の結果がNEJM誌10月25日号に掲載された。TPF療法+放射線療法とPF療法+放射線療法を比較TAX 324と名付けられた本試験は、TPF療法後に放射線療法を行う方法と、従来型のPF療法後に放射線療法を行う方法とを比較するもので、501例の頭頸部扁平上皮患者をいずれかに無作為に割り付け行われた。患者はいずれも、遠隔転移は認められないが切除不能な腫瘍を有するステージ3あるいは4の臓器保存対象者。TPFあるいはPF療法を受けた後、週1回のカルボプラチン投与と週5日の放射線療法を受け比較された。主要エンドポイントは全生存率。TPF療法+放射線療法を新たな標準治療に追跡調査は最低2年、69%の患者で3年以上行われた。その結果、TPF群でPF群よりも有意に多数の患者が生存していた。死亡に対するハザード比は0.70(P=0.006)。3年時の生存率はPF群で48%なのに対しTPF群は62%、生存期間(中央値)はPF群30ヵ月に対しTPF群71ヵ月と推定された(P=0.006)。TPF群のほうがPF群よりも局所管理が良好で(P=0.04)、遠隔転移の発生率は両群で有意差がなかった(P=0.14)。好中球減少症と発熱性好中球減少症の発生率は、TPF群のほうが高かった。PF群では、血液系の有害事象のため、化学療法の実施が頻繁に遅延された。以上の結果を踏まえTAX 324研究グループは、TPF療法+放射線療法の有意性を結論付け、臨床家に新たな標準治療と考えるべきであると提起した。(武藤まき:医療ライター)

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インスリン療法の追加はどのタイプが適切なのか?

2型糖尿病患者で経口糖尿病薬による血糖コントロールが不十分になると、インスリンが追加されることは一般的である。しかし、どのようなインスリン療法が適切なのか、これまで大規模な調査は行われておらずエビデンスに限界があった。 そこでオックスフォード大学(英国)チャーチル病院糖尿病センターのRury R. Holman氏ら4T(Treating to Target in Type 2 Diabetes)研究グループが、多施設共同非盲検対照試験を実施。NEJM誌オンライン版9月21日付、本誌10月25日号で結果が掲載された。「二相性」「食前」「持効型」を比較対照患者は、メトホルミンおよびSU剤の最大許容量投与ではグリコヘモグロビン値が至適とならない(7.0~10.0%)708例で、「二相性インスリン(1日2回投与)」「食前インスリン(1日3回投与)」「持効型インスリン(インスリンデテミル:1日1回投与;必要に応じて2回投与)」のいずれかに無作為に割り付けられた。転帰評価項目は1年時点での平均グリコヘモグロビン値、およびグリコヘモグロビン値が6.5%以下になった患者の割合、低血糖発生率、体重増加。その結果、平均グリコヘモグロビン値は、「二相性投与群」と「食前投与群」ではそれぞれ7.3%、7.2%と同等だったが(P=0.08)、「持効型投与群」は7.6%で、より高かった(両群との比較に対するP

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健康・福祉サービスの充足は受給者の「権利」認識不足解消から

発展途上国の中でも特に社会・経済的地位の低い人々が、権利として与えられているはずの健康・福祉サービスを十分に受け取ることができていないのは、そもそもサービスを受け取れるという認識不足が原因ではないか。世界銀行(アメリカ・ワシントン)南アジア人財開発部門のPriyanka Pandey氏らは、世界でアフリカ・サハラ以南に次いで貧困層が多いインド(全人口の35%が1日1ドル未満で暮らす)を対象に、情報資源に乏しい農村部の人々に情報をもたらすことで、どれぐらいサービス送達量に変化が生じるのかを調査した。JAMA誌10月24日号掲載の報告から。インドでクラスタ無作為化試験本研究は地域ベースのクラスタ無作為化試験で、2004年5月~2005年5月の間、インド北部のUttar Pradesh州105村を対象とした。低カーストおよび中~高位カーストの世帯を含む497世帯の介入群と548世帯の対照群が、系統的サンプリング法で選択され行われている。介入群には、村単位で4~6回の公的ミーティングが開催され、権利として与えられている保健サービスおよび教育サービスと、村の自治権に関する情報が伝えられた。対照群には何も行われていない。主要評価項目は、助産師訪問の有無、妊婦が受ける権利を与えられている出生前検査と破傷風予防接種および出生前補助食品の授受、乳児が受けることができる予防接種、超過学費の請求、村議会会議の開催、そして村での発展的な動きとされた。1年後には介入群と対照群にかなりの違いが試験開始時は介入群と対象群で、健康・福祉サービスの送達状況に有意差は見られなかったが、1年後には両群間にかなりの違いが生じていた。出生前検査では30%以上の差が(P < 0.001)、破傷風予防接種27%以上(P < 0.001)、出生前補助食品24%以上(P = 0.003)、乳児予防接種25%以上(P = 0.004)が認められ、超過学費の請求は介入群で8ルピー減少した(P < 0.001)。また、村議会会議開催は21%以上の差(P = 0.01)があった。助産師訪問と村での発展的な動きについての改善は認められなかったが、前記の認められた有意な改善は、世帯のカーストの高低を問わず見られた。Pandey氏らは、「情報伝達を強化する教育的介入が、サービスの送達を改善することにつながるようだ」と結論付けている。(武藤まき:医療ライター)

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国連ミレニアム開発目標を達成するための効果的な介入方法

国連ミレニアム開発目標(MDGs)は、世界的に重大な貧困、健康および持続的な諸問題に関して具体的目標を立て2015年までに達成するというものである。しかし現状では目標日時までの達成は非常に難しいことがわかってきており、目標達成のための計画および資源配分を効果的に行い、1つの介入で複数のMDG達成に寄与できないかが検討課題となっている。 ハーバード大学(アメリカ)Initiative for Global HealthのEmmanuela Gakidou氏らは、環境および栄養改善を目標とするMDGsへの介入の、乳幼児死亡率低下への寄与、および介入対象が置かれている経済状況によっての差異などを調査し、より有効な介入のあり方について検討を行った。JAMA誌10月24日号掲載の報告から。環境・栄養改善介入の影響を乳幼児死亡率の低下で比較検証栄養改善を目標とするMDGでは小児栄養の改善を掲げており、環境改善を目標とするMDGはクリーンな水・衛生環境・燃料を提供するというものである。小児栄養および環境に関するリスク因子に対する介入の影響を、経済状況によって5段階に階層化したモデル集団の乳幼児死亡率をを比較することで評価を行った。経済状況、小児低体重、水・衛生・家庭用燃料に関するデータは、ラテンアメリカおよびカリブ海、南アジアとサハラ以南のアフリカ42カ国を対象として統計されたDemographic Health Surveysを参照。疾患特有の乳幼児死亡率に関するデータは、WHOのものを参照した。その他MDGに関するリスク因子の各データは、システマティックレビューおよびメタ解析による疫学研究を参照した。貧困層からの介入で改善率はさらにアップする5歳未満のすべての小児を対象に実行した小児栄養の改善、クリーンな水・衛生環境・家庭用燃料の提供は、ラテンアメリカとカリブ海地域で49,700人(14%)、南アジアでは80万人(24%)、サハラ以南のアフリカでは147万人(31%)の小児死亡の年次低下をもたらすことが推定された。これらは、乳幼児死亡率のMDGにおける低下目標値と現状格差との30~48%に相当する。MDGs全体で想定した場合、同様の環境・栄養改善の介入の半分の範囲を、もし最初に貧困層から行いやや裕福な層へと展開していった場合、乳幼児死亡率は前述の各地域でそれぞれ26,900人、51万、102万となると推定された。反対に裕福な世帯から行った場合は、これらの期待値は貧困層から行った場合の30%~75%に留まる。Gakidou氏らは、MDGs全体を想定しての環境・栄養改善の介入が、実質的に乳幼児死亡率を目標とするMDGにも寄与する。統合的な介入マネジメントを、貧困層を優先して行うことで、その効果は最大のものにできると結論付けた。(武藤まき:医療ライター)

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アマチュアボクシングは慢性外傷性脳損傷のリスクを増大させるか

アマチュアボクシングは、イギリスでは男女を問わず人気の高いスポーツで、特に大学生の参加人口が増加している。一方、その安全性については相反する主張があり、アマチュアボクシングと慢性外傷性脳損傷の関連性は明確でない。 Northwick Park病院オリンピック医学研究所(イギリス、Harrow)のMike Loosemore氏らは、アマチュアボクシングにおける慢性外傷性脳損傷のリスクを評価する目的で系統的レビューを行った。BMJ誌10月4日付オンライン版、10月20日付本誌掲載の報告。1950年以降に報告された観察研究から抽出Loosemore氏らは、慢性外傷性脳損傷の観察研究について系統的なレビューを実施した。慢性外傷性脳損傷の定義は、神経学的臨床検査、精神測定検査、神経画像検査、脳波検査における異常とした。1950年以降に報告された研究を言語を問わずに検索した。2名の研究者が、観察研究の系統的レビュー用に広く推奨されている方法(MOOSE)に基づいて開発されたプロトコールに準拠し、試験の特徴、質、データを抽出した。慢性外傷性脳損傷の発症を認めた試験は24%のみ詳細な評価の結果、36試験が抽出された。エビデンスの質(プロスペクティブ、交絡因子が同等な群、二重盲検、十分な観察期間、曝露-反応測定、適正な統計処理)は全般に低く、最も質の高い試験はコホート研究および精神測定検査を用いた研究であった。少人数ながらもボクサーが慢性外傷性脳損傷を発症していたのは、比較的質の高い17試験のうち4試験(24%)のみであった。エビデンスの質は低いものの、強い関連性は認められないLoosemore氏は、「解析の対象となった試験は仮説を支持あるいは反証するエビデンスの質が低かったものの、アマチュアボクシングと慢性外傷性脳損傷の強い関連性を示唆するエビデンスは認めなかった」と結論している。また、同氏は「本レビューはアマチュアボクシングを肯定も否定もしない。アマチュアボクシングが安全であることを証明するためにボクシングをする者がいるし、その有害性を証明しようとする者もいるのであり、おそらくこれは個人の哲学の問題だ」と考察している。(菅野 守:医学ライター)

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