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高リスク糖尿病患者に対する積極的降圧療法の有用性が示される:ADVANCE試験

心血管系高リスクあるいは既往を認める糖尿病患者では、血圧に関わりなくACE阻害薬+利尿薬を用いた降圧により血管系イベントが減少することが、 Lancet誌9月8日号に掲載されたADVANCE試験の結果より明らかになった。本研究は論文掲載に先立ち、欧州心臓病学会(ESC)において報告されている。高リスク糖尿病を対象、血圧は不問本試験の対象は55歳以上の2型糖尿病患者11,140例だが、心血管系イベント既往あるいは心血管系リスクを有する「心血管系高リスク」患者だった。心血管系リスクとされたのは「細小血管症」、「糖尿病性眼症」、「喫煙」、「脂質異常症」、「微量アルブミン尿」、「糖尿病歴10年以上」か「65歳以上」 ──である。試験参加に関し、血圧値は問われなかった。これら11,140例はACE阻害薬ペリンドプリルと利尿薬インダパミドの合剤を服用する「降圧薬群」(5,569例)と「プラセボ群」(5,571群)に無作為割り付けされ、二重盲検法で追跡された。試験開始時の背景因子は、平均年齢66歳、2型糖尿病発症平均年齢が58歳、32%に心血管系イベント既往を認めた。また降圧治療を受けていたのは69%、血圧平均値は145/81mmHgだった。1次評価項目は9%有意に減少4.3年間の平均追跡期間の血圧平均値は、「降圧薬群」で5.6/2.2mmHg有意に低かった。特に収縮期血圧は「降圧薬群」では試験開始6ヵ月後以降135mmHg前後が保たれていたのに対し、プラセボ群では常に140mmHg前後だった。その結果、1次評価項目である「大血管症(心血管系イベント)+細小血管症」の発生率は「プラセボ群」16.8%に対し「降圧薬群」では15.5%で、相対的に9%の有意な減少となった(95%信頼区間:0-17%、p=0.041)。年齢、試験開始時高血圧の有無や血管症既往の有無などで分けて検討しても、「降圧薬群」で1次評価項目が増加傾向を示すサブグループはなかった。また1次評価項目を大血管症と細小血管症に分けて比較すると「降圧薬群」における減少は有意差ではなくなるが、「主要冠動脈イベント」と「その他の冠動脈イベント(血行再建術施行や無症候性心筋虚血、不安定狭心症による入院)」を併せた「全冠動脈イベント」のリスクは相対的に14%、「降圧薬群」で有意に低下していた。同様に、「微量アルブミン尿出現」も「降圧薬群」において相対的に21%、有意にリスクが低下していた。これらより報告者らは、「ペリンドプリルとインダパミド合剤は、血圧の高低にかかわらず2型糖尿病患者の大血管症+細小血管症を減少させるだろう」と結論している。なお同号に掲載された「論評」ではUniversity of Texas(米国)のNorman M. Kaplan氏が、プラセボ群の83%が何らかの降圧薬(55%はペリンドプリル)を服用していたにもかかわらず5.6/2.2mmHgの血圧差があった点など、いくつか考慮すべきポイントを指摘している。(宇津貴史:医学レポーター)

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うつ病は健康状態を悪化する一番の要因:WHO報告

うつ病は世界中で重要な公衆衛生問題であり主要な病因の1つとなっている。また他の慢性疾患との共存で健康状態を悪化させることは、少数ではあるが先行研究として伝えられてきた。 Lancet誌9月8日号に掲載された本報告は、世界保健機構(WHO)のSaba Moussavi氏らによる世界健康調査(World Health Survey:WHS)からの、うつ病の健康状態への影響を分析した結果。うつ病単独の有病率は3.2%WHSは18歳以上成人の健康状態および健康に関するデータ収集を目的とした調査で、世界60ヵ国、245,404例の参加者データから、うつ病と、ICD-10に基づく4つの慢性疾患(狭心症、関節炎、喘息、糖尿病)に関する有病率および健康スコアの分析が行われた。単独疾患の1年有病率は糖尿病が最も低く2.0%(95%信頼区間1.8-2.2)、次いで低かったのがうつ病で3.2%(同3.0-3.5)、その他は喘息3.3%(同2.9-3.6)、関節炎4.1%(同3.8-4.3)、狭心症4.5%(同4.3-4.8)だった。有病率9.3%~23.0%のうつ病+慢性疾患の状態が最も健康を悪化一方で、うつ病+4つの慢性疾患のうちのどれか1つ以上の有病率は、平均9.3%~23.0%までにわたっており(うつ病+糖尿病:9.3%、うつ病+狭心症:10.7%など)、前述のうつ病単独有病率よりも有意に高い(p<0.0001)。また社会経済的要因と健康状態を調整した後の健康スコアの比較からは、国や各人口統計学的特性を問わず、うつ病が健康スコアのマイナス要因として最も大きく影響していることが明らかとなった。Saba 氏らは、「うつ病が慢性疾患よりも健康状態を大きく減退させることが明らかとなった。特にうつ病+慢性疾患が共存する疾病状態は、うつ病単独よりも、慢性疾患単独よりも、また複数の慢性疾患共存状態よりも健康を悪化させる。うつ病対策に最優先で取り組なければならない」とまとめている。

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抗不整脈薬dronedaroneの有効性:EURIDIS & ADONIS試験結果

アミオダロンは心房細動時の洞調律維持に有効だが、深刻な毒性作用が問題とされる。このアミオダロンの改良タイプとして位置付けられ、副作用リスクを低減するために開発された新しい抗不整脈薬がdronedaroneである(欧米で申請中)。その重篤な心イベントへの有効性と副作用に関する臨床試験結果が NEJM誌9月6日号に公表された。2つのエリアで同一の臨床試験を実施dronedarone の有効性を評価する臨床試験は、多施設共同二重盲検無作為化試験としてヨーロッパ(EURIDIS試験:Clinical Trials.gov番号NCT00259428)、および米国・カナダ・オーストラリア・南アフリカとアルゼンチンの非ヨーロッパ圏(ADONIS試験:同NCT00259376)で実施された。追跡期間は12ヵ月で、この間に律動を、2、3、5日目と3、5、7、10ヵ月目および不整脈再発時は電話による心電図テレメトリーで、また追跡期間中に予定された9回の外来時は心電図でモニターされた。主要エンドポイントは心房細動または粗動の初回再発までの期間。不整脈再発抑制と心室拍動数の減少に効果dronedarone 投与群(400mgを1日2回投与)828例、プラセボ群409例における不整脈再発までの期間中央値は、EURIDIS試験ではプラセボ群41日に対し dronedarone投与群は96日であった(P = 0.01)。ADONIS試験ではそれぞれ59日と158日(P = 0.002)。不整脈再発時の心室拍動数の平均値(±SD)は、EURIDIS試験ではdronedarone投与群で102.3±24.7回/分だったのに対しプラセボ群で117.5±29.1回/分であった(P

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心室ペーシングを最小化する新型両室ペースメーカーの有効性

従来の両室ペーシングは房室同期を維持するものの、本来不要な心室ペーシングの割合を高める。そのため心室の脱同期化を来たし、洞房結節不全患者の心房細動リスクを高めるとの指摘がなされていた。そこで心室ペーシングを最少化する新型の両室ペースメーカーが開発。その有効性を検証する臨床試験の結果が公表された。NEJM誌9月6日号より。洞房結節不全患者1,065例を対象にSAVE PACe(Search AV Extension and Managed Ventricular Pacing for Promoting Atrioventricular Conduction)研究グループによる本臨床試験は、洞房結節不全患者(QRS間隔が正常、かつ房室伝導が良好な)1,065例を対象に、従来の両室ペーシングを受ける群(従来群:535例)と、新型の両室ペースメーカー(房室伝導を促進し心室伝導を保ち心室の脱同期化を予防するよう設計)で最小のペーシングを受ける群(新型群:530例)にランダムに割り付け実施された。主要エンドポイントは持続性心房細動が現れるまでの期間。持続性心房細動の出現リスクを中等度低下平均追跡期間(±SD)は1.7±1.0年だった。心室拍動のペーシング割合は、従来群(99.0%)より新型群(9.1%)の方が有意に低かった(P

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研修医の勤務時間改善で患者死亡率は改善されたか:民間病院での検証結果

米国では卒後医学教育認定委員会(ACGME:Accreditation Council for Graduate Medical Education)によって2003年7月1日より、研修医の勤務時間規則が施行されたが、これによる勤務時間改善と患者死亡率との関連、教育強度の異なる研修病院間での相関については、これまで検証されていなかった。フィラデルフィア退役軍人医療センターのKevin G. Volpp氏らは、その関連性を評価。JAMA誌9月5日号に掲載された本報告は、民間病院のメディケア対象の短期・急性期入院患者を対象とした検証結果である。勤務時間改善の前後で患者死亡率に差があったか政府系を除く民間病院3,321病院に2000年7月1日から2005年6月30日にかけて入院したメディケア患者8,529,595例を、急性心筋梗塞、うっ血性心不全、消化管出血、脳卒中、あるいは全身性の整形外科的、または脈管手術のいずれかの診断関連群に分類し、時系列解析した観察研究。教育強度の多寡によって患者死亡率に違いがあるかを調べるため、勤務時間改善前後の2000~2003学校年度と2003~2005学校年度を対比させ、共存症の有無、期間傾向、病院立地を調整しつつロジスティック回帰分析を行った。主要評価項目は全対象病院の入院30日以内の死亡率とした。勤務時間の改善と死亡率の変化に相関はなかった結果は、内科系・外科系にかかわらず、勤務時間の改善と相対死亡率の増減に有意な相関は認められなかった。教育強度の多寡でも同様で、改善後1年の内科系疾患群との関連オッズ比は1.03(95%信頼区間0.98-1.07)、外科系疾患群とは1.05(同0.98-1.12)、改善後2年でもそれぞれ 1.03(同0.99-1.08)、1.01(同0.95-1.08)だった。唯一、脳卒中について、より教育強度の高い病院で勤務時間改善後に死亡率の上昇がみられたが、この関連は勤務時間改善前からみられたものだった。非研修病院と最も教育強度の高い研修病院とを比較すると、勤務時間改善前1年と改善後2年目との間で、内科系疾患群で0.42パーセンテージ・ポイント(4.4%の相対増加)、外科系疾患群で0.05パーセンテージ・ポイント(2.3%の相対増加)の死亡率の絶対的変化がみられたが、どちらも統計学的に有意ではなかった。これらから研究グループは、ACGMEの勤務時間改善は、少なくとも最初の2年間においてはメディケア患者の病状悪化と死亡率改善のいずれももたらしていないと報告した。なお同日号に、同一執筆者による退役軍人病院を対象に行った検証結果が報告されている。あわせて読むと興味深い。(朝田哲明:医療ライター)

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研修医の勤務時間改善で患者死亡率は改善されたか:退役軍人病院での検証結果

米国の研修医の勤務時間は、卒後医学教育認定委員会(ACGME:Accreditation Council for Graduate Medical Education)によって規定され2003年7月1日に施行されている。しかしこれまでこの制度上の変更と入院患者の死亡率との関連、教育強度の異なる研修病院間での相関はついて検証されていない。JAMA誌9月5日号に掲載された本報告は、フィラデルフィア退役軍人医療センターKevin G. Volpp氏らによる退役軍人病院の患者を対象とした検証結果である。内科系・外科系あわせて約32万例の急性期入院データを時系列解析勤務時間改善以前の2000年7月1日から改善後の2005年6月30日にかけて、急性期退役軍人病院(N=131)に入院した全患者(N= 318,636)のデータを、急性心筋梗塞、うっ血性心不全、消化管出血、脳卒中、あるいは全身性の整形外科的、脈管手術のいずれかの診断関連群に分類し、時系列解析した観察研究。教育強度の多寡によって患者死亡率に違いがあるかを調べるため、勤務時間改善前後の 2000~2003学校年度と2003~2005学校年度を対比させ、共存症の有無、期間傾向、病院立地を調整しつつロジスティック回帰分析を行った。主要評価項目は全対象病院の入院30日以内の死亡率とした。内科系(特に急性心筋梗塞)患者で死亡率が低下改善後1年では、内科系・外科系とも死亡率の有意な変化は観察されなかった。改善後2年目に、研修医の病棟勤務比率が最も高い病院と最も低い非研修病院を比較すると、急性心筋梗塞患者の死亡率オッズ比は0.48(95%信頼区間0.33-0.71)で、4つの内科系疾患の合計オッズ比0.74(同0.61- 0.89)、急性心筋梗塞以外の内科系3疾患の合計オッズ比0.79(同0.63-0.98)と比べて有意に低下した。教育強度が25パーセンタイル値と低い病院と、教育強度の高い75あるいは90パーセンタイル値の病院それぞれの内科系疾患患者の死亡率を比較すると、勤務時間改善前1年と改善後2年目では、それぞれ0.70パーセンテージ・ポイント(11.1%の相対低下)、0.88パーセンテージ・ポイント(13.9%の相対低下)と確実な改善がみられた。ACGMEによる研修医の勤務時間改善は、改善後2年目の時点で、退役軍人病院の中でもより教育強度の高い病院で患者死亡率の顕著な改善と関連していた。ただし改善は一般的な4つの内科系疾患を有する患者においてで、外科系患者における死亡率の低下は確認されていない。本結果に関して同日号に、同一執筆者による民間病院を対象とした検証結果が掲載されている。あわせて読むと興味深い。(朝田哲明:医療ライター)

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「正常高値」血圧は中年女性でもリスク:WHSサブ解析

「正常高値」血圧の中年女性は、「正常血圧」の同年代女性に比べ、10年間の心血管系イベントリスクが2倍近く有意に増加することが、米国における約4万人の女性を追跡した結果、明らかになった。Harvard Medical School(米国)のDavid Conen氏らによるWomen’s Health Studyのサブ解析。BMJ誌オンライン版8月19日付で早期公開された。本誌では9月1日号で掲載。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にイベントが増加本解析に含まれたのは。45歳以上で心血管系疾患やその他重篤な疾患を有さない医療従事者の女性39,322例である。平均年齢は約55歳、喫煙者が15%弱、40%前後がホルモン補充療法を受けていた。28,863 例(73.4%)では高血圧を認めなかったが、そのうち17.3%(4,988例)は血圧130~139/85~89mmHgの「正常高値」血圧だった。一方、「正常血圧」(120~129/80~84mmHg)は39.2%(11,326例)、至適血圧(120/75mmHg未満)は43.5%だった(血圧分類は1999年WHO-ISH規準)。次に10.2年間の主要心血管系イベント発生リスクを上記血圧カテゴリー別に、多変量解析で年齢や肥満度などの背景因子を補正して比較した。「正常高値」群では「正常血圧」群に比べ有意にリスクが増加していた。すなわち、「正常高値」群のリスクを1とした場合、「正常血圧」群のリスクは0.61(95%信頼区間:0.48~0.76)だった。「正常血圧」群と「至適血圧」群のリスクには有意差はなかった。なお、主要心血管系イベントとされたのは「心筋梗塞、脳卒中、心血管死、死亡」である。「高血圧」移行後は2年間でイベントリスクが50%上昇観察期間中の「高血圧」への移行リスクも同様で、「正常血圧」群に比べ「正常高値」群では2倍近く、有意に上昇していた。ここで興味深いのは、「至適血圧」群では「正常血圧」群に比べ、高血圧移行リスクが有意に低い点である。「正常高値」群の移行リスクを1とすると、背景因子補正後の「正常血圧」群におけるリスクは0.42(95%信頼区間:0.40~0.44)だったのに対し、「至適血圧」群では0.17(95%信頼区間:0.16~0.18)となっていた。また、ひとたび「高血圧」に移行すると、48ヵ月以内の主要心血管系リスク発生のイベントは「非移行」群の約1.5倍へ有意に増加することも本研究では明らかになっている。筆者らは「正常血圧」と「正常高値」を「preheypertension(前高血圧)」と分類する現在の米国高血圧ガイドライン(JNC7)を批判し、「正常高値」群を特に高リスクとして予防に努める必要があると述べている。(宇津貴史:医学レポーター)

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抗生物質の処方が地域に耐性菌を蔓延

一般医の抗生物質の処方が地域に耐性菌を蔓延させている、との興味深い論文が、BMJ誌オンライン版7月26日号、本誌9月1日号に掲載された。 英国一般診療で抗生物質の処方が最も多いのは、小児の急性呼吸器感染症に対してだが、コミュニティ・スタディなどがほとんど行われてこなかった。英国オックスフォード大学のAngela Chung氏らがあらためて観察研究を行った結果の報告。急性呼吸器感染症と診断の小児119例を追跡調査英国一般診療において抗生物質の処方と耐性菌出現との相関は低いと言われてきたが、最近の報告で、欧州19ヵ国のペニシリンのコミュニティにおける使用とペニシリン耐性菌出現との相関は0.84であると報じられた。ただし、スウェーデンやデンマークは英国よりも処方率は高いが耐性菌レベルは低く、一方フランスは処方率は高いが耐性菌レベルが高い。アイスランドのコミュニティ・スタディでは相関関係は特に見られないなど国によって異なる事実もある。Chung 氏らの観察研究は、オックスフォードシャー州の一般医開業医を受診し急性呼吸器感染症と診断された生後6ヵ月~12歳までの小児119例が対象。そのうち 71例はβラクタム系抗生剤(アモキシシリン70例、cephradine 1例)を処方されており、2週時点と12週時点に咽頭ぬぐい液検査を行い、アンピシリンの最小発育阻止濃度とICEHin1056耐性因子を4つのHaemophilus分離株で評価した。抗生物質投与群の耐性菌出現リスクは2倍2週時点の評価で、アンピシリンの最小発育阻止濃度は、アモキシシリン処方の有無で3倍以上の開きがあることが明らかとなった(処方あり9.2 μg/mL vs 処方なし2.7 μg/mL、P=0.005)。またICEHin1056耐性因子のリスクは約2倍になることも示された(処方あり67% vs処方なし36%、相対危険度1.9、95%信頼区間1.2-2.9)。耐性因子の増加は一過性だったが(12週時にアンピシリン耐性はベースライン近くに低下)、約35%の小児に耐性因子の存在が示され、本研究の一部ポイントでは83%(76%~89%)だった。Chung 氏らは、「プライマリ・ケアで処方されるアモキシシリンの短期的影響は、個々の小児にとって一過性かもしれないが、集団観点ではハイレベルの抗生物質耐性を蔓延させるのに十分足りうるものだ」と結論付け、一般診療での抗生物質の処方を大きく変化させる必要があると述べている。

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COPDのリスク因子、加齢・喫煙の寄与は明らか、他の因子も

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は罹患率、死亡率とも世界規模で上昇している。COPDによる将来的な負担を予測し、主要なリスク因子を見定め、関連健康サービスの供給計画を立案するには、その発症状況を正確に把握する必要がある。 アメリカ・オレゴン健康科学大学のA. Sonia Buist氏らは、BOLD(The Burden Of Obstructive Lung Disease)試験においてCOPDの有病率とそのリスク因子を評価し、国ごとの発症状況の変動を調査した。9月1日付Lancet誌の報告から。世界12地域からの対象を解析2006 年12月31日の時点で世界12地域から登録された40歳以上の9,425人が対象となった。気管支拡張薬投与後のスパイロメトリー検査と呼吸器症状に関する質問票、一般健康状態、COPDリスク因子の曝露状況に関するデータを解析した。COPDの診断はGOLDの病期判定基準に準拠して行った。ロジスティック回帰分析を用いて10歳ごと(40~49、50~59、60~69歳、70歳以上)および10 pack-year(pack-year:1日の喫煙本数/20本×喫煙年数)ごとのCOPDの有病率の増加に関して補正オッズ比(OR)を算出し、メタ解析により、各リスク因子についてプールされた推定値を算出した。加齢、喫煙状況のほかにもリスク因子が存在stage II以上のCOPDの全体の有病率は10.1%であり、男性では11.8%、女性では8.5%であった。stage II以上のCOPDに関する全体のORのプール推定値は10歳ごとに1.94(95%信頼区間1.80-2.10)増加した。地域特異的な10 pack-yearのORは女性で有意差が見られたが、男性では認めなかった(それぞれp=0.012、p=0.743)。Buist 氏は、これらの結果を「今回の国際的な研究においてスパイロメトリーで診断したCOPDは、典型的な既報のデータに比べ病期が進行していた。加齢および喫煙状況がCOPDの発症に強く寄与していたが、地域、加齢、性別、喫煙状況による有病率の変動を十分には説明できず、他の重要な因子の存在が示唆された」と総括している。また、「世界的な人口の高齢化とともに、禁煙は目標としての緊急性が増大しているが、COPDの促進因子をよりよく理解するには、地域ごとの最善の予防対策の構築に向けて地域の公衆衛生行政を支援することが重要」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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受動喫煙は、喫煙未経験者におけるCOPD発症のリスク因子

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2020年には世界的な死亡原因の第3位になると予想されている。喫煙がCOPDの主要なリスク因子であることはすでに明らかだが、受動喫煙の影響については情報がほとんどない。 イギリス・バーミンガム大学公衆衛生学・疫学科のP. Yin氏らは、中国の中高年者において受動喫煙がCOPDおよび呼吸器症状に及ぼす影響を調査、その関連性が明らかになるとともに深刻な事態が浮き彫りにされた。9月1日付Lancet誌掲載の報告。喫煙未経験者の受動喫煙状況とCOPDの関連を調査「広州バイオバンクコホート試験」は、中国南部地域における環境要因と呼吸器疾患の遺伝的因子の関連を調査する疫学研究で、2003~2006年に50歳以上の20,430人が登録された。Yin氏らは、今回、このうち15,379人(女性13,602人、男性1,777人)の喫煙未経験者のデータをもとに受動喫煙とCOPD、呼吸器症状の関連について解析を行った。在宅時および就業時の受動喫煙の曝露状況[曝露の程度(住居、職場の喫煙者数)および曝露期間]を自己申告によって記録した。COPDの診断は、スパイロメトリーを用いてGOLDガイドラインに基づいて行った。受動喫煙者に向け緊急対策を講じるべき高度曝露群(40時間/週、5年以上)は、軽度曝露群(40時間/週、2年未満)に比べCOPDのリスクが有意に増大していた(補正オッズ比1.48、 95%信頼区間1.18-1.85、p=0.001)。また、呼吸器症状全般の発現頻度も有意に増加していた(同1.16、1.07-1.25、p <0.0001)。Yin氏は、「受動喫煙はCOPDおよび呼吸器症状発現の有意なリスク因子である」と結論したうえで、「中国では、受動喫煙によって1,900万人の喫煙未経験者がCOPDで死亡していると推計されるが、これはきわめて深刻な事態だ」と指摘、「今回の知見は、受動喫煙者に向けた緊急対策を促す強力なエビデンスをもたらすものだ」と警鐘を鳴らしている。(菅野 守:医学ライター)

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外傷性脳損傷患者のアルブミン輸液蘇生は死亡率が高い

古くから論争になっているテーマだが、生理食塩水vsアルブミン輸液評価研究グループ(SAFE:Saline versus Albumin Fluid Evaluation)は、SAFEスタディに登録された外傷性脳損傷患者の事後を追跡調査し、その死亡率が、アルブミン輸液で蘇生された患者のほうが生理食塩水で蘇生された患者より高いことが示唆されたと報告した。NEJM誌8月30日号掲載より。460例の外傷性脳損傷患者を追跡調査外傷性脳損傷患者(外傷既往あり、CT断層撮影による頭部外傷の所見あり、かつグラスゴー昏睡尺度(GCS:Glasgow Coma Scale)スコア13以下の患者について、症例報告書、カルテ、CTスキャンからベースライン特性を記録して無作為化し、24ヵ月後に生命予後と身体機能の神経学的転帰を判定した。追跡調査したのは460例。アルブミン投与群231例(50.2%)、生食投与群229例(49.8%)だった。アルブミン投与の重篤な外傷性脳損傷患者ほど死亡率が高い追跡24ヵ月後、死亡例はアルブミン投与群214例の患者のうち71例(33.2%)に対し、生食投与群では206例中42例(20.4%)だった(相対リスク1.63、95%信頼区間1.17-2.26、P = 0.003)。GCS スコア3~8の患者を重篤な脳損傷患者と分類したサブ解析の結果(内訳はアルブミン投与群160例(69.3%)、生食投与群158例(69.0%))、この重篤な脳損傷患者群では、アルブミン投与群146例中61例(41.8%)が死亡したのに対し、生食投与群で死亡したのは144例中32例(22.2%)だった(同1.88、1.31-2.70、P

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連続流タイプの補助人工心臓の有用性について治験グループが報告

難治性心不全患者に対する治療法として認められている左心補助人工心臓だが、拍動流タイプの装置は、サイズが大きい、耐久性に限界があるなどの問題から実用性に限界があった。一方、近年開発された連続流タイプの補助人工心臓(Thoratec社製Heartmate II LAVD)は、小型化され、耐久性、静音性などにも優れる。ミネソタ大学のLeslie W. Miller氏ら同製品治験グループが、Heartmate II LAVD利用者の多施設共同観察研究の結果を報告した。NEJM誌8月30日号掲載より。133例の人工心臓移植後6ヵ月時点の血行動態を評価本研究は、対照群を並列しない前向き多施設共同試験で、対象は心臓移植待機リストからHeartmate II LAVDの体内移植を受けた末期心不全患者133例を抽出した。主要評価項目は、人工心臓移植後180日の時点における、心臓移植を受けた患者の比率、心機能改善が見られた患者の比率、心臓移植適格だが補助人工心臓の使用を続けている患者の比率。心機能およびQOLの評価も行われた。3ヵ月時点では心機能およびQOLが有意に改善180日時点で主要評価項目のいずれかに該当した患者は100例(75%)だった。残り33例は死亡(25例)、合併症で心臓移植不適格(5例)、他のLAVDに切り換え(3例)となった。Heartmate II LAVDサポート期間の中央値は126日(範囲、1~600)。サポート期間中の生存率は、6ヵ月時点で75%、12ヵ月時点で68%だった。また3ヵ月時点では、心機能の有意な改善(ニューヨーク心臓協会分類および6分間の歩行試験の結果による)、QOLの有意な改善(Minnesota Living with Heart Failure質問票およびKansas City Cardiomyopathy質問票による)が認められた。重篤な有害事象は、術後出血、脳卒中、右心不全、経皮リード感染。ポンプ血栓症が2例で起きていた。以上の結果を踏まえ治験グループは、心臓移植待機患者に対して少なくとも6ヵ月間は、Heartmate II LAVDによって効果的に血行動態を改善でき、心機能、QOLも改善することができると述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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民間保険加入小児に生じているワクチン投与格差

米国では最近5年間で小児および思春期の若者へのワクチンが倍増した。髄膜炎、3種混合(破傷風-ジフテリア-百日咳)、A型肝炎、インフルエンザ、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)など新たにもしくは拡大推奨されたワクチンを、小児全員に投与するための公的セクターのコストは7.5倍(1995年155ドル→2007年1,170ドル)に膨らんだという。 ワクチン投与は罹患率の低下など効果をもたらす一方、州の政策立案者や臨床家から、ワクチン接種をカバーしないタイプの民間保険に加入する小児(2000年時点で約14%)の問題が指摘されるようになった。彼らのワクチンコストは州がカバーすることになっているが、その適用に格差が生じているというのである。 ハーバード大学メディカルスクール&ハーバード・ピルグリム・ヘルスケアのGrace M. Lee氏らは、格差の実態と原因を調査。JAMA誌8月8日号に詳細が報告された。州担当者にワクチン購入・供給について聞き取り本研究は、各州の予防接種プログラム・マネジャーへの2段階の聞き取り調査によって行われた。州保健局に雇用される予防接種プログラム・マネジャーは、公的資金で必要なワクチンを購入し、公的セクター(保健所など)や民間クリニックの臨床家に配布する役割を果たしている。第1 段階の調査は2005年11月~12月にかけて、それぞれ異なる資金調達方針を掲げる9人のマネジャーに対する、1時間に及ぶ質的な質問項目からなる電話インタビュー。第2段階は2006年1月~6月にかけて、全国50州のマネジャーを対象とする電話と書面による調査が行われた。回答が得られたのは48州(96%)。格差の原因は資金調達システムにその結果、髄膜炎ワクチンについて、公的資金での購入・供給を民間クリニックに対して行っていないと回答したのが30/43州(70%)、公的セクターにしていないと回答したのは17/43州(40%)に上った。肺炎球菌ワクチンについてはそれぞれ24/48州(50%)、8/48州(17%)だった。また10の州で、新規ワクチン購入資金が限られていることを理由に2004年~2006年前半の間に、私的保険加入小児が公的資金で購入した新規ワクチンを接種できないように州の政策を変更していた。米国では、保険未加入およびメディケイドなど公的保険に加入する小児へのワクチン投与は連邦政府が資金を提供するVFCプログラムによって保障される。マネジャーはこのVFC資金、セクション317と呼ばれる資金と、州が割り当てる予算でワクチンを購入するのだが、調査ではマネジャーから「私的保険加入児の前には連邦および州政府の財源不足という壁が立ちふさがっている」との指摘が相次いだ。こうした結果を踏まえLee氏らは、「子どもたちがすべてのワクチン接種を受けられるような資金調達システムの戦略が必要だ」と提起した。(武藤まき:医療ライター)

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糖尿病患者の急性冠動脈症候群死亡リスク

糖尿病患者の主要な死因とされる心血管疾患だが、急性冠動脈症候群(ACS)後の死亡に関する糖尿病との関連については明確にされていない。そこで米国コーネル大学メディカルセンターのSean M. Donahoe氏らが、ACS後の糖尿病患者の死亡リスクについて検証した。JAMA誌8月15日号の報告から。ACS患者62,036例を検証対象としたのは、1997年~2006年の間にThrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)研究グループによって行われた11の無作為化臨床試験に登録されたACSを呈した患者62,036例。内訳はST上昇心筋梗塞患者46,577例(STEMI症例群)、不安定狭心症/非ST上昇心筋梗塞患者15,459例(UA/NSTEMI症例群)。また糖尿病患者は両群にわたって10,613例(17.1%)いた。主要評価項目は、糖尿病患者 vs 非糖尿病患者のACS後30日および1年死亡率。不安定狭心症/非ST上昇心筋梗塞後の死亡リスクが最も高い糖尿病患者 vs 非糖尿病患者の30日死亡率は、STEMI症例群では8.5% vs 5.4%(P<0.001)、UA/NSTEMI症例群では2.1% vs 1.1%(P<0.001)で、いずれも糖尿病患者で有意に高かった。また多変量モデリング(ACSイベントの基線特徴、所見、処置因子を調整)の結果、UA/NSTEMI症例群で糖尿病とのより高い関連が示された(STEMI vs UA/NSTEMIオッズ比;1.40 vs 1.78)。1年死亡率の対比でも、UA/NSTEMI症例群で糖尿病とのより高い関連が示された(STEMI vs UA/NSTEMIハザード比:1.22 vs 1.65)。なお、UA/NSTEMIを呈した糖尿病患者とSTEMIを呈した非糖尿病患者との1年死亡率の値が非常に接近していることが見て取れた(7.2% vs 8.1%)。Donahoe氏らは、「ACS治療の進展にもかかわらず、糖尿病は予後に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。本研究の結果は、このハイリスク集団に対する虚血性心疾患マネジメントの積極的な戦略の重要性を強調するものだ」と結論付けた。(武藤まき:医療ライター)

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一般医は心房細動(AF)の判読が苦手

英国の一般医(GP)による心電図を用いた心房細動(AF)診断の正確性は十分とは言えず、自動診断ソフトも信頼性に欠けることが、英国における無作為化試験SAFE(Screening for atrial fibrillation in the elderly)のサブ試験の結果、明らかになった。BMJ誌HP上早期公開論文(6月29日付)としてUniversity of Birmingham(英国)のJonathan Mant氏らが報告した(本誌では8月25日号に掲載)。GPの紹介がないと病院を受診できない英国においては、大きな問題である。2,600例弱の心電図で検討本検討ではAFが疑われスクリーニングを受けた65歳以上、2,595例の心電図(12誘導、誘導、肢誘導、あるいは胸部誘導)を用い、49名のGPと同数のpractice nurse(PN問診や検査を行う)がそれぞれ、AFか否かを判読した。同時に自動診断ソフトでも、2,595例の12誘導心電図を判別させた。正解は2名の循環器専門医が12誘導心電図でそれぞれ独立して判読。結果が一致しない場合、もう1人の専門医の意見に従った。これら専門医は、自動ソフトの診断結果やGP、PNの判読結果を知らされていない。大きい個人差その結果、GPによるAF診断は感度が80%(AFの20%を見逃し)、特異度が92%(洞調律の8%をAFと診断)だった(95%信頼区間それぞれ: 71~87%、90~93%)。PNは少し劣り、感度77%、特異度85%だった(95%信頼区間それぞれ:67~85%、83~87%)。自動診断ソフトは感度こそ99%と高かったが、特異度は83%と低かった。ただしGP間では個人差が大きく、感度・特異度ともに100%のGPもいれば、特異度が60%に満たないGPもいた。個人差が大きいのはPNも同様だった。英国ではGPの診断がないと病院を受診できない疾患が決められており、AFもその1つだという。筆者らは「心電図判読の質向上がプライマリ・ケアにおけるAF診断に重要だ」と主張している。(宇津貴史:医学レポーター)

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高齢者の心房細動(AF)スクリーニングは日和見的手法で

積極的なスクリーニングによって心房細動(AF)の検出率は向上するのか。また系統的なスクリーニングと日和見的なスクリーニングではどちらが優位なのか。英国における無作為化試験SAFE(Screening for atrial fibrillation in the elderly)の一部として、University of Birmingham(英国)プライマリ・ケア&一般診療部門のDavid A Fitzmaurice氏らが比較対照試験を行った。BMJ誌オンライン版8月2日号、本誌8月25日号掲載の報告より。65歳以上14,802例を対象に無作為化比較対照試験本試験は、英国の一般医の診療所50施設を、スクリーニング介入群(25施設)と対照群(25施設)に、さらにスクリーニング介入群は系統的な心電図検査実施群と日和見的な実施群(検脈で異常がみられた場合に心電図検査を実施)とに無作為に割り付けて行われた。合計対象者数は65歳以上の14,802例。スクリーニングは各々の実施群とも2001年10月~2003年2月の間12ヵ月以上にわたって行われた。なお対照群では積極的なスクリーニングは行われていない。新規AF検出率で0.59ポイントの差結果は、主要評価項目の新規AFの検出率がスクリーニング介入群は年間1.63%、対照群は1.04%で0.59ポイントの差があった(95%信頼区間0.20~0.98%)。系統的な実施群と日和見的な実施群との検出率の比較では、1.62% vs 1.64%とほぼ同一。日和見的なスクリーニングのほうが0.02ポイント優勢だった(95%信頼区間-0.5%~0.5%)。これら結果を踏まえFitzmaurice氏らは、「積極的なスクリーニングで検出率は向上する。またプライマリ・ケアにおける65歳以上の患者のスクリーニングの手法としては、日和見的な方法が好ましい」と結論付けた。

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カルシウム補助剤は中高年者の骨折、骨塩量減少を予防する

骨粗鬆症が原因の骨折による社会的、経済的な負担は加齢とともに世界規模で増大しており、その予防は公衆衛生学上の最優先事項とされるが、骨折予防薬は治療と同等のコストがかかる。カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンDの補助剤は安価で効果的な骨折予防法との報告があるが、これらの知見は確立されていない。 オーストラリア・ウェスタンシドニー大学補完医学研究センターのBenjamin M. P. Tang氏らは、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤が中高年者の骨粗鬆症による骨折や骨塩量に及ぼす影響を検討した無作為化試験に関するメタ解析を行った。8月25日付Lancet誌掲載の報告から。29のプラセボ対照無作為化試験に参加した約64,000人のデータを解析2007年1月までにデータベースに登録された報告などから、50歳以上の中高年者を対象とし、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の骨折および骨塩量に及ぼす効果を検討した29のプラセボ対照無作為化試験を抽出した。データは変量モデルを用いてプールした。17 試験が骨折について検討し、24試験が骨塩量の解析を行っていた。合計63,897人が解析の対象となり、そのうち58,785人(92%)が女性、平均年齢は67.8歳であった。13試験がカルシウム+ビタミンD補助剤を、16試験がカルシウム補助剤を用いていた。平均治療期間は3.5年。カルシウム補助剤により、全骨折リスク、骨塩量減少率が有意に改善骨折(52,625人)については、治療群で全骨折リスクが12%低下し有意差が認められた(リスク比:0.88、p=0.0004)。骨塩量(41,419人)については、治療群の骨塩量減少率が大腿骨近位部で0.54%改善され(p<0.0001)、椎骨では1.19%改善された(p <0.0001)。骨折リスクの改善効果はコンプライアンスが高い試験で有意に優れた(p<0.0001)。治療効果は、カルシウムの用量が<1,200mgよりも≧1,200mgで、ビタミンDは<800IUよりも≧800IUで有意に優れていた(それぞれp=0.006、 p=0.03)。Tang氏は、「50歳以上では、骨粗鬆症の予防治療としてカルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の使用を支持するエビデンスが得られた」と結論し、「優れた治療効果を得るには、少なくともカルシウム1,200mg+ビタミンD 800IU(併用治療の場合)が推奨される」と指摘している。また、「ビタミンDの上乗せ効果は示されなかったが、ビタミン Dの用量による効果の差が観察されている。この乖離は≧800IUのデータの不足による統計学的なアーチファクトと考えられ、高用量でのベネフィットが確認されていることから、併用する場合は≧800IUを使用すべき」と強調している。(菅野 守:医学ライター)

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敗血症性ショックの昇圧治療、ノルアドレナリン+ドブタミンとアドレナリンの有用性は同等

敗血症性ショックは敗血症の最も重篤な病態であり、フランスではICU治療の約9%を占め、短期的な死亡率は40~60%に達する。本症では、敗血症に起因する低血圧を正常化するために昇圧治療を要する。最近の国際的ガイドラインでは、ドパミンあるいはノルアドレナリンを第一選択薬とし、奏効が得られない場合はアドレナリンが推奨されているが、これらの薬剤の大規模な比較試験は実施されていない。 フランス研究・高等教育拠点パリ南大学 UVSQレイモン・ポアンカレ病院のDjillali Annane氏らは、敗血症性ショックにおいてノルアドレナリンと必要に応じてドブタミンを併用する治療法とアドレナリン単独の有効性と安全性を比較する試験を実施、その結果を8月25日付Lancet誌上で報告した。28日目の全原因死亡率は両治療群間で同等本研究はプロスペクティブな二重盲検多施設共同無作為化試験であり、フランス国内の19のICUに収容された敗血症性ショック330例がアドレナリン単独群(161例)あるいはノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用群(169例)に無作為に割り付けられた。投与量は平均血圧70mmHg以上を維持するように調整された。主要評価項目である28日目の全原因死亡率は、単独群40%(64/161例)、併用群34%(58/169例)と、両治療群間で同等であった(p=0.31、相対リスク:0.86)。重篤な有害事象の発症率も、両治療群間に差はない両治療群間で、ICU死亡率(p=0.69)、退院時死亡率(p=0.51)、90日死亡率(p=0.73)、血行動態回復までの期間(log-rank検定:p=0.67)、昇圧治療中止までの期間(log-rank検定:p=0.09)、SOFAスコア(敗血症に伴う臓器障害の指標)の推移に有意な差は認めなかった。重篤な有害事象の発症率についても、両治療群間に差はなかった。以上により、Annane氏は「敗血症性ショックの管理において、アドレナリン単独治療とノルアドレナリン+ドブタミン必要時併用治療の有効性および安全性は同等」と結論している。また、「臨床の場では、心係数が低下している敗血症性ショックに対する昇圧治療としては、アドレナリン、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン+ドブタミンのいずれを施行してもよい。今後は、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミンの単独治療の有効性と安全性を比較し、敗血症性ショックにおける昇圧治療の最適な血行動態目標値を明確にすべき」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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米国高齢者の性

人口の高齢化にもかかわらず、高齢者の性行動と性機能についてはあまり知られていない。シカゴ大学プリッツカー医科大学院で医療倫理学を扱うStacy Tessler Lindau氏らは、米国内で57~85歳の3,005人(女性1,550人と男性1,455人)をランダムに抽出。性行動、活動性、問題点の出現率について報告するとともに、これらの変数が年齢や健康状態とどのように関連するのかについて報告した。NEJM誌8月23日号より。高齢者の性問題、女性は性欲低下、男性は勃起不全抽出したサンプルの非加重平均応答率は74.8%で、加重平均応答率は75.5%だった。回答者の性行動に関する応答率は年齢と共に減少した(57~64歳で73%、65~74歳で53%、75~85歳で26%)。女性は全年齢の男性より性行動に関する回答が有意に少なかった。性的にアクティブな回答者では、男女とも半数は少なくとも1つの性に関する面倒な問題があると回答した。女性にとって最もポピュラーな性の問題は、性欲低下(43%)、膣潤滑不全(39%)、不感症(34%)。男性では勃起不全(37%)であった。そして男性の14%は、性機能を高めるために薬物療法または補助食品を使用すると答えた。男女とも、自分が健康でないと考えている人ほど性的にアクティブではなく、性的にアクティブだと答えた回答者ほど性の問題に積極的に回答を寄せていた。性について問題を抱えてはいるが医師に相談する高齢者は少ない高齢者は全般に性的にアクティブではあることはわかったが、女性は男性より夫婦生活やそれに類した関係を持つこと、そして性的にアクティブになることについて積極的でないことも明らかになった。また男性の38%、女性の22%が50歳頃から、性行動について医師に相談していると回答。高齢者において性の問題はしばしば起こるが、そうした問題について医師と話し合われる機会は少ないことも判明した。Lindau氏らは報告の中で、「医師には、高齢者の一般的な健康問題や臨床上で治療可能な性の問題を見つける能力とともに、性に関する指導やカウンセリングができる能力も磨いてほしい」と述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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特発性ALSの疾患感受性遺伝子を発見

筋萎縮側索硬化症(ALS)の約90%を占める特発性ALSについては、複数の環境要因と未解明の遺伝子との相互作用に起因するのではないかといわれているが、発症の一因となる遺伝子についてはほとんどわかっていない。そこで米国アリゾナ州にある遺伝子研究センターTGen(Translational Genomics Research Inst)のTravis Dunckley氏らが、ゲノム解析を行った。NEJM誌8月1日号オンライン版、8月23日号本誌掲載の報告から。3つの独立したシリーズで試験本研究は、ALSと診断もしくは見込まれる患者から集められた1,152人分のDNAサンプルを使って行われた。このサンプルを基に「発見シリーズ」と「独立追試験シリーズ1」を、さらに公開サンプルデータセットを利用して「独立追試験シリーズ2」を作成。発見シリーズ(すべて白人、特発性ALS患者386 例、神経学的に正常だった対照542例)で確認された766,955の一塩基多型(SNP)のゲノムワイド関連解析の結果を、2つの追試験で確認する形で行われた。追試験シリーズ1は患者群766例、対照群750例、シリーズ2は患者群135例、対照群275例。未解明の遺伝子FLJ10986の変異が発症に関わる可能性結果は、全3シリーズの白人患者・対照群で、特発性ALSと有意に関連(P

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