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中等症~最重症COPD患者の増悪予防に有効なのは?

中等症~最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の増悪予防には、LABA(長時間作用性β2刺激薬)のサルメテロール(商品名:セレベント)よりも、長時間作用性抗コリン薬のチオトロピウム(商品名:スピリーバ)のほうが有効であることが、7,300例超を対象とした1年間の無作為化二重盲検ダブルダミー並行群間比較試験の結果示された。COPD治療ガイドラインでは、同患者の症状軽減と増悪リスク低下に対して長時間作用性の吸入気管支拡張薬が推奨されているが、LABAもしくは長時間作用性抗コリン薬のいずれが推奨されるかは明らかではない。ドイツ・Giessen and Marburg大学病院Claus Vogelmeier氏ら「POET-COPD」研究グループは、長時間作用性抗コリン薬がLABAよりも優れているのかどうかを検討するため、25ヵ国725施設共同で本試験を行った。NEJM誌2011年3月24日号掲載より。チオトロピウム群とサルメテロール群に無作為化、初回増悪発生までの期間を主要エンドポイントに試験は、中等症~最重症COPD(40歳以上、喫煙10箱・年以上、GOLD II~IVなど)で前年に増悪の既往がある患者を対象とし、無作為に、チオトロピウム18μg・1日1回投与群もしくはサルメテロール50μg・1日2回投与群に割り付け、中等度~重度の増悪発作に対する治療効果を比較した。主要エンドポイントは、初回増悪発生までの期間とした。被験者は2008年1月から2009年4月の間、計7,376例(チオトロピウム群3,707例、サルメテロール群3,669例)が登録された。基線での両群被験者の特徴は均衡しており、おおよそ75%が男性、平均年齢63歳、現喫煙者48%、COPD歴8年などだった。チオトロピウム群のほうが42日間遅く、17%のリスク低下結果、初回増悪発生までの期間は、チオトロピウム群187日、サルメテロール群145日で、チオトロピウム群の方が42日間遅く、17%のリスク低下が認められた(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.77~0.90、P<0.001)。またチオトロピウム群のほうが、初回重度増悪の初回発生までの期間も延長(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.61~0.85、P<0.001)、中等度または重度増悪の年間発生回数の減少(0.64対0.72、発生率比:0.89、95%信頼区間:0.83~0.96、P=0.002)、重度増悪の年間発生回数の減少(0.09対0.13、発生率比:0.73、95%信頼区間:0.66~0.82、P<0.001)も認められた。なお重篤な有害事象、治療中止となった有害事象の発現率は、総じて両群で同程度だった。死亡例は、チオトロピウム群64例(1.7%)、サルメテロール群78例(2.1%)だった。(武藤まき:医療ライター)

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ピオグリタゾン、耐糖能異常から2型糖尿病への進行リスクを低下

ピオグリタゾン(商品名:アクトス)は、耐糖能異常(IGT)から2型糖尿病への進行リスクを低下する効果があることが、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験により示された。72%の進行リスク低下が認められたという。一方で有意な体重増加と浮腫も認められた。米国・テキサス大学健康科学センター/糖尿病研究所のRalph A. DeFronzo氏ら「ACT NOW」スタディグループが行ったもので、耐糖能異常は心血管疾患の発生率増大や、2型糖尿病への進展との関連が認められることから、それら発生を予防したり遅延可能とする介入は臨床的に非常に重要であるとして本試験を行ったという。NEJM誌2011年3月24日号掲載より。耐糖能異常を有する602例を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験試験は、ピオグリタゾンが、耐糖能異常を有する成人男女[18歳以上、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値140~199mg/dL、BMI値25以上]の2型糖尿病リスクを低減できるかどうかを目的に行われた。計602例の被験者が無作為に、ピオグリタゾン群(当初30mg/日、無作為化後45mg/日)かプラセボ群に割り付けられ追跡された。被験者には最初の1年は2ヵ月ごとにその後は3ヵ月に1回の受診が求められ、空腹時血糖値測定が年4回、OGTTが年1回行われた。主要アウトカムは、糖尿病への進展(空腹時血糖値≧126mg/dLかOGTT2時間値≧200mg/dL)で、繰り返された検査の結果を基に診断された。2型糖尿病の年間発生率、ピオグリタゾン群2.1%、プラセボ群7.6%追跡期間中央値は2.4年だった。2型糖尿病の年間発生率は、ピオグリタゾン群2.1%に対しプラセボ群7.6%と、ピオグリタゾン群での有意な発生低減が認められた(ハザード比:0.28、95%信頼区間:0.16~0.49、P<0.001)。また耐糖能の正常化が、ピオグリタゾン群で48%に認められた。プラセボ群は28%であった(P<0.001)。プラセボ群との比較でピオグリタゾン治療による、空腹時血糖値の有意な低下(11.7mg/dL対8.1mg/dL、P<0.001)、OGTT2時間値の有意な低下(30.5mg/dL対15.6mg/dL、P<0.001)、HbA1cの有意な低下(0.04ポイント減対0.20ポイント増、P<0.001)も認められた。また、拡張期血圧の低下(2.0mmHg対0.0mmHg、P=0.03)、頸動脈内膜中膜肥厚度の低下(31.5%、P=0.047)、HDLコレステロール値上昇がより大きい(7.35mg/dL対4.5mg/dL、P=0.008)ことも認められた。なお、プラセボ群と比べてピオグリタゾン群では体重増加が大きく(3.9kg対0.77kg、P<0.001)、浮腫の頻度が高かった(12.9%対6.4%、P=0.007)。(武藤まき:医療ライター)

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価値交換としての原発(なぜ医者の僕が原発の話をするか)

神戸大学感染症内科の岩田健太郎先生より、今回の原発事故について書かれた「価値交換としての原発(なぜ医者の僕が原発の話をするか)」を、先生のご厚意により転載させていただきました。僕は、感染症を専門にする内科医で原発の専門性はカケラほどもない。で、僕が原発についてなぜ語るのかをこれから説明する。池田信夫氏の説明は明快で傾聴に値する。たしかに、日本における原発の実被害は人命でいうとゼロ東海村事故(核燃料加工施設)を入れても2名である。自動車事故で死亡するのが年間5千人弱である。これは年々減少しているから、過去はもっと沢山の人が「毎年」交通事故で命を失ってきた。タバコに関連した死者数は年間10万人以上である。原発に比べると圧倒的に死亡に寄与している。今後、福島原発の事故が原因で亡くなる方は出てくる可能性がある(チェルノブイリの先例を考えると)。しかし、毎年出しているタバコ関連の死者に至ることは絶対にないはずだ。今後どんな天災がやってきて原発をゆさぶったとしても、毎年タバコがもたらしている被害には未来永劫、届くことはない(はず)。1兆ワット時のエネルギーあたりの死者数は石炭で161人、石油で36人、天然ガスで4人、原発で0.04人である。エネルギーあたりの人命という観点からも原発は死者が少ない。池田清彦先生が主張するように、ぼくも温暖化対策の価値にはとても懐疑的だが、かといって石炭に依存したエネルギーではもっとたくさんの死者がでてしまうので、その点では賛成できない。池田氏のようにデータをきちんと吟味する姿勢はとても大切だ。感傷的でデータを吟味しない(あるいは歪曲する)原発反対論は、説得力がない。しかし、(このようなデータをきちんと吟味した上で)それでも僕は今後日本で原発を推進するというわけにはいかないと思う。池田氏の議論の前提は「人の死はすべて等価である」という前提である。しかし、人の死は等価ではない、と僕は思う。人は必ず死ぬ。ロングタームでは人の死亡率は100%である。だれも死からは逃れられない。もし人の死が「等価」であるならば、誰もはいつかは1回死ぬのだから(そして1回以上は死なないのだから)、みな健康のことなど考えずに自由気ままに生きれば良いではないか(そういう人もいますね)。自動車事故で毎年何千人も人が死ぬのに人間が自動車を使うのを止めないのは、人間が自動車事故による死亡をある程度許容しているからだ。少なくとも、自動車との接触をゼロにすべく一切外出しないという人か、自動車にぶつかっても絶対に死なないと「勘違いしている」人以外は、半ば無意識下に許容している。少なくとも、ほとんどの自宅の隣に原発ができることよりもはるかに、我々は隣で自動車が走っていることを許容している。それは自動車があることとその事故による死亡の価値交換の結果である。原発は、その恩恵と安全性にかかわらず、うまく価値交換が出来ていない。すくなくとも311以降はそうである。我々は(たとえその可能性がどんなに小さくても)放射線、放射性物質の影響で死に至ることを欲していない。これは単純に価値観、好き嫌いの問題である。医療において、「人が死なない」ことを目標にしても人の死は100%訪れるのだから意味がない。医療の意味は、人が望まない死亡や苦痛を被らないようにサービスを提供する「価値交換」であるとぼくは「感染症は実在しない」という本に書いた。このコンセプトは今回の問題の理解にもっとも合致していると思う。喫煙がこれだけ健康被害を起しているのに喫煙が「禁止」されないのは、国内産業を保護するためでも税収のためでもないと僕は思う(少なくともそれだけではないと思う)。多くの国民はたばこが健康に良くないことを理解している。理解の程度はともかく、「体に悪くない」と本気で思っている人は少数派である。それでも多くの人は、タバコによる健康被害とタバコから受ける恩恵を天秤にかけて、そのリスクを許容しているのである。禁煙活動に熱心な医療者がその熱意にもかかわらず(いや、その熱意ゆえに)空回りしてしまうのは、医療の本質が「価値交換」にあることを理解せず、彼らが共有していない、自分の価値観を押し売りしようとしてしまうからくる不全感からなのである。僕たち医療者も案外、健康に悪いことを「許容」していることに自覚的でなければならない。寝不足、過労、ストレス、栄養過多、車の運転、飲酒、セックスなどなどなど。これらを許容しているのは僕らの恣意性と価値観(好み)以外に根拠はない。自分たちが原理的に体に良くないことをすべて排除していないのに、他者に原理的にそうあることを強要するのは、エゴである。僕は、医療者は、あくまでも医療は価値の交換作業であることに自覚的であり、謙虚であるべきだと思う。こんなことを書くと僕は「喫煙推進派である」とかいって責められる(かげで書き込みされる)ことがあるが、そういうことを言いたいのではない。もし日本の社会がタバコによる健康被害を価値として(好みとして)許容しなくなったならば、そのときに日本における喫煙者は激減するだろう。それはかつて許容されていたが今は許容されないリスク、、、例えばシートベルトなしの運転とか、お酒の一気飲みとか、飲酒運転とか、問診表なしの予防接種とか、、、の様な形でもたらされるだろう。禁煙活動とは、自らの価値観を押し付けるのではなく、他者の価値観が自主的に変換されていくことを促す活動であるべきだろう。かつては社会が許容したお酒の一気飲みや飲酒運転が許容されなくなったように。そんなわけで、原発もあくまでも価値の交換作業である。原発反対派の価値観は共有される人とされない人がいる。原発推進派も同様だ。そのバランスが原発の今後を決めると僕は思う。原発反対派も推進派も、究極的には自分たちの価値観を基準にしてものごとを主張しているのだと認識すべきだ。そして、自分の価値観を押し付けるのではなく、他者の価値観に耳を傾けるべきである。なぜならば、原発の未来は日本の価値観の総意が決めるのであり、総意は「聴く」こと以外からは得られないからである。おそらくは、今の価値観(好み)から考えると、原発を日本で推進していくことを「好む」人は少なかろう。かといって電気がない状態を好む人も少ないと思う(他のエネルギーに代えることが必ずしも解決策ではなさそうなのは、先に述べた通り)。その先にあるのは、、、、ここからは発電の専門家の領域なので、僕は沈黙します。 《関連書籍》 感染症は実在しない―構造構成的感染症学 《その他の岩田健太郎氏の関連書籍》リスコミWORKSHOP! ― 新型インフルエンザ・パンデミックを振り返る第3回新型インフルエンザ・リスクコミュニケーション・ワークショップから

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ACS疑いへの高感度トロポニンI定量法、カットオフ値低下で心筋梗塞再発や死亡リスクが低下

急性冠症候群(ACS)が疑われる人に対し、高感度トロポニンI定量法を行うことは、心筋壊死の診断カットオフ値を引き下げ、心筋梗塞再発や死亡リスクを低下することに結びつくことが示された。スコットランド・Edinburgh大学のNicholas L. Mills氏らが、カットオフ値引き下げ前後で各1,000人超の患者を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年3月23/30日合併号で発表した。血漿トロポニンI濃度のカットオフ値の低下が、臨床アウトカムの改善につながるかどうかについては意見が分かれていた。カットオフ値を0.20ng/mLから0.05ng/mLに低下し1年間の心筋梗塞再発・死亡発生率を比較Mills氏らは、2008年2月1日~7月31日にACSが疑われた1,038人に対し、心筋壊死の診断カットオフ値を血漿トロポニンI濃度0.20ng/mLに設定し、高感度トロポニンI定量法を行った。その後、2009年2月1日~7月31日に、ACS疑いの1,054人について、同カットオフ値を0.05ng/mLに引き下げ、同定量法を行った。2008年群において同濃度が0.20ng/mL以上の人についてのみ、医師に結果が報告された。被験者を血漿トロポニンI濃度によって、0.05ng/mL未満、0.05~0.19ng/mL、0.20ng/mL以上の3群に分け、1年間の心筋梗塞の再発または死亡の発生率を主要評価項目として比較検討された。0.05~0.19ng/mL群、カットオフ値低下で主要転帰発生0.42倍に減少0.05ng/mL未満の人は全体の64%の1,340人、0.05~0.19ng/mLは8%の170人、0.20ng/mL以上は28%の582人だった。このうち0.05~0.19ng/mL群において、2008年に検査を実施した群ではその39%が1年以内に心筋梗塞を再発または死亡していたが、2009年に実施した群では、その割合が21%に減少していた(オッズ比:0.42、95%信頼区間:0.24~0.84、p=0.01)。なお、0.05ng/mL未満の人の主要転帰発生率は2008年において7%(0.05~0.19ng/mL群に対するp

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2002~2009年における米国・カナダでのフィブラート系薬剤の処方傾向

2002~2009年の米国およびカナダにおけるフィブラート系薬剤の処方傾向を調べた結果、米国では特にフェノフィブラート(商品名:リピディル、トライコアなど)を中心に大きく増大したことが認められ、カナダでは約20%と安定的推移を示していたことが報告された。米国Western University of Health SciencesのCynthia A. Jackevicius氏らの観察コホート試験による。Jackevicius氏らは、フェノフィブラート+スタチン療法を評価したACCORD試験でネガティブな結果が公表されて以降、フィブラート系薬剤の使用に関する関心が高まっていること、また臨床的ベネフィットのエビデンスはgemfibrozilやクロフィブラートなど従前薬に傾いているという背景を踏まえ本調査を行った。JAMA誌2011年3月23/30日合併号掲載より。2009年10万人当たりフィブラート系薬剤処方数、米国は730件、カナダは474件同研究グループは、2002年1月~2009年12月の間のフィブラート系薬剤の処方傾向について、IMS Healthデータベースを元に調査を行った。有効性の違い、ブランド品対後発品、米国とカナダの経済状況の違いなどとの関連を調べた。その結果、米国のフィブラート系薬剤処方数は、10万人当たり2002年1月の336件から2009年12月の同730件へと増加しており、その増加幅は117.1(95%信頼区間:116.0~117.9)%だった。一方カナダでは、同402件から474件への増加で、増加幅は18.1(同:17.9~18.3)%だった(P<0.001)。米国ではブランド品優位だがカナダでは後発品が優勢、消費額は米国がカナダの3倍なかでもフェノフィブラートの処方については、米国では10万人当たり2002年1月の150件から2009年12月の同440件に増加し、その増加幅は159.3(同:157.7~161.0)%で、フィブラート系薬剤に占める割合は同期間で47.9%から65.2%に増大していた。カナダにおいては、同321件から429件へとコンスタントな増加であった。また、両国のフェノフィブラートの2008年におけるブランド品対後発品の割合をみたところ、米国では1対0.09であったのに対し、カナダでは1対1.89と後発品処方がブランド品処方を上回っていた。そうしたこともあり、人口10万人・1ヵ月当たりのフェノフィブラートの消費額は、米国では2002年の1万1,535ドルから2009年の4万4,975ドルへと大幅に増大したのに対し、カナダでは同期間で1万7,695ドルから1万6,112ドルへと減少していた。フィブラート系薬剤全体では、2009年の人口10万人当たりの米国での消費額はカナダの3倍であった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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変形性関節症患者、高い死亡リスクが明らかに

イギリスの膝および股関節の変形性関節症患者は、一般人口に比べて死亡リスクが有意に高いことが、スイス・ベルン大学のEveline Nuesch氏らの調査で示された。変形性関節症の罹患率については広範に調査されているが、死亡との関連の研究はさほど進んでいない。変形性関節症患者では死亡リスクが増大しているとする調査もあるが、これらの試験の多くは調査方法に問題が残るという。BMJ誌2011年3月19日号(オンライン版2011年3月8日号)掲載の報告。全死亡率、疾患特異的死亡率を評価する地域住民ベースのコホート試験研究グループは、膝および股関節の変形性関節症患者における全死亡率および疾患特異的死亡率を評価する地域住民ベースのコホート試験を実施した。イングランド南西部地域に居住する35歳以上で症状がみられ、画像検査で確定診断がなされた変形性膝関節症および変形性股関節症患者1,163人(女性660人、男性503人)が登録された。中央値14年間の追跡調査を行い、年齢と性別で標準化された死亡比(予測死亡数に対する実際の死亡数の比)を算出し、Cox比例ハザードモデルを用いてベースラインの背景因子と全死亡、疾患特異的死亡の関連について多変量解析を行った。糖尿病・がん・心血管疾患の既往歴、歩行障害が主なリスク因子変形性関節症患者は、全死亡率が一般人口に比べて有意に高かった(標準化死亡比:1.55、95%信頼区間:1.41~1.70)。疾患特異的死亡率も変形性関節症患者で高く、特に心血管疾患(同:1.71、1.49~1.98)や認知症(同:1.99、1.22~3.25)に関連した死亡率が高値を示した。多変量解析によるリスク因子の分析では、全原因死亡率は加齢とともに上昇し(傾向検定:p<0.001)、男性(調整ハザード比:1.59、95%信頼区間:1.30~1.96、p<0.001)、自己申告による糖尿病の既往歴(同:1.95、1.31~2.90、p=0.001)、がん(同:2.28、1.50~3.47、p<0.001)、心血管疾患(同:1.38、1.12~1.71、p=0.003)、歩行障害(同:1.48、1.17~1.86、p=0.001)で有意に高かった。一方、人工関節置換術の既往歴、肥満、うつ、慢性炎症性疾患、眼疾患、膝あるいは股関節の疼痛との関連は認めなかった。著者は、「変形性膝関節症および変形性股関節症の患者は、一般人口に比べ死亡リスクが高く、主なリスク因子は糖尿病・がん・心血管疾患の既往歴および歩行障害であった」とまとめ、「歩行障害を伴う変形性関節症患者は、心血管疾患による死亡率が高いため、その管理においては心血管リスク因子や併存疾患に有効な治療とともに、身体活動性の増強に有効な治療に重点を置くべきと考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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心血管疾患ガイドラインの多くが、リスク因子のモニタリングに十分に言及せず

心血管疾患のガイドラインの中には、主要なリスク因子である脂質値、高血圧、喫煙に関するセクションを欠くものが多く、記述があっても十分でない場合が高率に及ぶことが、イギリス・オックスフォード大学プライマリ・ケア科のIvan Moschetti氏らによる調査で示された。心血管疾患の3つのリスク因子のモニタリングは、患者の予後、臨床的な判断、医療コストに大きな影響を及ぼす可能性がある。臨床ガイドラインの目的は、診断、患者管理、治療法の決定過程を標準化するために、最良のエビデンスに基づいてケアの質を全体的に向上させることだが、心血管疾患管理のガイドラインのほとんどがモニタリングを十分には取り扱っておらず、モニタリングの勧告について系統的になされた検討はないという。BMJ誌2011年3月19日号(オンライン版2011年3月14日号)掲載の報告。リスク因子のモニタリングの記述を系統的にレビュー研究グループは、心血管疾患の予防や治療に関するガイドラインで勧告されているモニタリングの記述の妥当性を評価するために系統的なレビューを行った。Medline、Trip database、National Guideline Clearinghouseなどのデータベースを検索し、2002年1月~2010年2月の間に新規に、あるいは改訂版が公表されたガイドラインのうち、心血管疾患の主要リスク因子である脂質値、高血圧、喫煙に関する記述を含むものを抽出した。主要評価項目は、ガイドラインにおけるリスク因子のモニタリングの取り扱い頻度とした。また、モニタリング勧告の完全性を評価するために、モニタリングすべき項目やその時期、異常値を示す場合の対処法、さらにエビデンスレベルが明記されているか否かについて検討した。エビデンスがない場合はその旨を明記し、必要な研究を示すべき選択基準を満たした117のガイドラインのうち、脂質値に関するセクションを設けていたのは84(72%)だった。そのうち44(53%)にはモニタリングすべき項目に関する情報や具体的な勧告の記述がなく、43(51%)はいつモニタリングすべきかの情報を記述しておらず、54(64%)は正常値でない場合に実施すべき対処法に関する指針を記載していなかった。高血圧に関するセクションを設定していたガイドラインは79(68%)、喫煙については65(56%)にすぎず、それぞれ50(63%)、35(54%)のガイドラインにはモニタリングすべき項目の記述がなかった。エビデンスのレベルを明記したガイドラインは少なく、ほとんどの勧告がレベルの低いエビデンスに基づいていた。著者は、「心血管疾患のガイドラインの多くにはモニタリングすべき項目や、異常値が検出された場合の指針の記述がなかった」とし、「特定のモニタリングを支持するエビデンスがない場合は、その旨をガイドラインに明記すべきであり、この欠落を埋めるために必要とされる新たな研究について記述すべき」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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心のケアを長期的にサポートする震災対応カウンセリングを開始

株式会社アドバンテッジ リスク マネジメントは30日、11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)により被災した従業員とその家族への長期的な心のケアが今後必要になることから、東北エリアなどにおいて長期に渡るサポートを提供する震災対応カウンセリングサービスを開始すると発表した。震災後の時間の経過に応じて、必要となるメンタルヘルスケアの内容は変化し、時期に応じた適切なケアの継続実施が求められる。震災直後においては、被災者が直面している課題を落ち着いて解決することを支援するのが優先であり、PTSDやうつに対応したカウンセリングサービスが求められる時期は震災1ヵ月後以降と言われている。また、今回の震災では被災者の居住地域や避難地域が非常に多岐に渡ることから、まずは震災ストレスに対する正しい対処法を説明した震災時の心のケア対応マニュアルを顧客企業へ配布し、人事担当者への説明会を実施する。加えて、企業向けに、実際に被災した従業員や家族を対象として、震災時の心のケアについての集合研修、出張カウンセリングそして一定期間の継続カウンセリングを組み合わせた「被災地対応メンタルヘルスケアパッケージ」の提供を開始する。震災に対応したサービス提供の体制を増強するため、カウンセラーの増員や電話カウンセリングのための回線増設、東北エリアでの新たな直営カウンセリングルームの開設や、スカイプ(Skype)を利用したテレビ電話カウンセリングや携帯電話でのメールカウンセリング、PTSD/うつ対策のためのe-ラーニングなどの提供も順次実施するとのこと。詳細はプレスリリース(PDF)へhttp://pdf.irpocket.com/C8769/kzOO/ig5c/uLBD.pdf

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男性ビジネスマンの3人に1人が「自宅で朝食を食べない日がある」?

株式会社永谷園は24日、20~49歳の男性ビジネスマン1,800名に対して実施した「朝食」に関する実態調査の結果を報告した。調査結果からは、「時間がない」「食欲がない」といった理由から朝食がきちんととれていない実態や、「朝食と夫婦関係」との関連性が明らかになったという。「朝食を自宅で食べているかどうか」の質問に全体の71%が「いつも自宅で食べている」と回答したのに対し、「時々食べている」「全く食べていない」と答えた人は29%と、ビジネスマンの3人に1人は「自宅で朝食を食べない日がある」という結果だった。「自宅で朝食を食べない理由」としては、「時間がないから」(57%)、「食欲がないから」(32%)といった回答が多くあがった。一方で「朝食は自宅で食べた方が良いと思いますか?」という質問には、94%が「そう思う」と回答。さらに「自宅で朝食を食べるメリット」を聞いたところ、「食費の節約になる」(65%)、「健康管理ができる」(62%)といった回答が多くあがり、その他には「会話が増える」(38%)、「妻の愛情を感じる」(33%)といった夫婦関係にまつわる答えも多くあったとのこと。詳細はプレスリリース(PDF)へhttp://www.nagatanien.co.jp/company/news/pdf/news20110324135610.pdf

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リコレクト、被災者のストレスケアのための無料メール相談サービス開始

株式会社リコレクトは30日、同社ウェブサイト内にて東日本大震災で被災された方々のための無料メール相談サービスを開始すると発表した。サービス内容はシンプルで、震災関連のストレスに悩む方に対して、一人ひとりに合った効果的なストレスケアの方法をメールで答えるというもの。相談者は、1.氏名、2.住所、3.組織名(企業や団体での問い合わせる場合)、4.返信用のメールアドレス、5.ケアしたいストレスについての内容、についてなるべく詳しく書き、ishin-soudan@recollect.co.jp宛にメールで連絡する。同社は基本2日以内で、相談者の要望に合わせたストレスマネジメント方法のレポートを返信してくれるとのこと。ストレスケアの内容は、同社代表 森川陽太郎氏の著書『「いつもの自分」トレーニング(ダイヤモンド社)』で紹介されているストレスケアのスキルを、震災でストレスを抱えた方々向けに応用し相談者の悩みに合わせてアレンジしたもの。専門家を必要とせずに一人でも簡単にストレスケアを行えることを目的にしているとのこと。また、同サービスは、個人だけでなく企業・団体などグループでも利用可能で、子どものストレスケアにも活用できるという。詳細はこちらhttp://www.recollect.co.jp/jisinsaigai/jishin_mail/index.html

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被災地でなくとも半分以上の医療現場で「心因的病状悪化」みられる PTSD症例発生も4割の医師が予想

株式会社QLifeは28日、茨城県を除く関東地方1都5県の医師252人の協力のもと行った『大震災の医療現場への影響(茨城県を除く関東地方1都5県)実態調査』の結果を発表した。調査結果によると、関東では直接大きな被害を受けていない地域でも半分以上の医療現場で、患者に「震災で心因的な病状悪化」が見られることがわかった。病状の悪化は「子供」だけでなく、むしろ「大人」に認められ、とくに「女性」や「高齢者」に多いと回答する医師が多数を占めた。患者が訴える主な症状は「不眠」「めまい・浮遊感」「血圧上昇」の順で多く、「余震」「TV映像」がきっかけの症例も多い。なかには「自殺傾向を示す(東京・病院)」「定期受診者の全員が血圧上昇(群馬・病院)」「心不全が増悪して入院(千葉・病院)」との報告もあった。さらに、42%の医師が「今後、自分の患者さんのなかでPTSDを生じる人がいる」と予想している。過去にPTSD症例経験ない医師も多いと思われるため、医療者間での診療ノウハウの早期共有が望まれる。この結果について、精神科医の冨高辰一郎氏は、「災害被害を直接受けていなくても、報道や余震を介して身体症状や精神症状を悪化させる患者が多いということは大変興味深い。このような調査はあまり行われていなかったので大変貴重と思う」とコメントしている。さらには、「医療者として大切なのは、震災に対する患者の不安や心配を理解しながらも、そういった症状全てを病的なものとして扱わず、かつ冷淡になり過ぎず、重症度に応じた対応をすることではないか。また、避難生活を送っている患者の場合、不安や不眠に対して睡眠薬や精神安定薬を処方する場合、十分注意する必要がある。精神科薬によって静脈血栓症(エコノミー症候群)のリスクが上昇すると報告されている」と述べた。また、今後発症が懸念されているPTSDについては、「一般医がPTSDと診断し、患者に説明するのはなるべく控えた方が良いかもしれない。PTSDは生命の危機を感じるような出来事を直接体験した後の心的不調であり、震災で不安になった方をあまり安易にPTSDと診断すると弊害もあるからだ。もちろん、精神的不調が深刻なケースは専門医に紹介した方が良いとは思う。患者や家族は、お互いの不安や不調を配慮しながらも、今、自分たちができることに意識を向けていくことが大切ではないだろうか」と述べている。詳細はこちらhttp://www.qlife.co.jp/news/1993.html

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便失禁治療、安定化ヒアルロン酸ナトリウムデキストラノマー粘膜下注入が有効

 便失禁に対する低侵襲性の治療として、安定化ヒアルロン酸ナトリウムデキストラノマー(NASHA Dx)の経肛門的粘膜下注入療法が有効なことが、スウェーデン・ウプサラ大学病院(Akademiska sjukhuset)外科のWilhelm Graf氏らの検討で示された。アメリカでは20~30歳の2.6%から70歳以上の15.3%までの頻度で便失禁がみられると報告されているが、その原因は多岐にわたり完全には解明されていない。治療としては、肛門管への充填剤注入療法を施行する施設が増加しているが、その有効性を証明した対照比較試験はないという。Lancet誌2011年3月19日号掲載の報告。欧米の13施設が参加した無作為化シャム対照試験 研究グループは、便失禁の治療における肛門括約筋粘膜下へのNASHA Dx注射の有効性と安全性を評価する二重盲検無作為化シャム対照試験を実施した。 2006年9月~2008年9月までにアメリカの8施設およびヨーロッパの5施設から、Cleveland clinic Florida便失禁スコア(CCFIS)≧10で、2週間に4回以上の便失禁が認められる18~75歳の患者が登録された。 これらの患者が、経肛門的粘膜下NASHA Dx注入療法を施行する群あるいはシャム対照群に無作為に割り付けられた。治療開始後6ヵ月間、患者と臨床評価を行う医師には割り付け情報が知らされなかったが、注射を行う医師にはマスクされなかった。患者は便失禁エピソードを記録し、2週間当たりの無失禁日の日数を算出した。 主要評価項目は、「ベースラインとの比較における便失禁回数の50%以上の低下」で定義された治療への反応とした。治療3、6ヵ月に臨床評価を行い、NASHA Dx群のみその後もフォローアップが続けられた(9、12ヵ月)。有効率:52% vs. 31%、無失禁日の増加日数:3.1日 vs. 1.7日 選択基準を満たした206例のうち、136例がNASHA Dx群に、70例が対照群に割り付けられた。治療6ヵ月の時点で便失禁回数が50%以上低下した患者の割合は、NASHA Dx群が52%(71/136例)と、対照群の31%(22/70例)に比べ有意に優れていた(オッズ比:2.36、95%信頼区間:1.24~4.47、p=0.0089)。 2週間当たりの無失禁日増加の平均日数は、治療6ヵ月ではNASHA Dx群が3.1日(SD 4.05)と、対照群の1.7日(SD 3.50)に比べ有意に高値を示したが、治療3ヵ月では有意な差はみられなかった[2.6日(SD 3.95) vs. 1.9日(SD 3.46)、p=0.1880]。 6ヵ月間の治療により、NASHA Dx群では128件の治療関連有害事象(直腸痛14%、発熱8%、直腸出血7%、下痢5%、注射部位の出血5%など)が認められ、そのうち重篤な有害事象は2件(直腸膿瘍1例、前立腺膿瘍1例)であった。 著者は、「経肛門的粘膜下NASHA Dx注入療法は便失禁に対する治療として有効である」と結論し、「この低侵襲性の治療法は、今後、患者選択基準、至適な用量と注射部位、長期予後が改善されれば、さらに高い支持を得る可能性がある」と指摘している。

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小児の心拍数と呼吸数、エビデンスベースの新たな正常範囲を提唱

小児の心拍数と呼吸数の正常範囲は、既存のガイドラインの定義と実際とで著しく異なることが、英国・オックスフォード大学プライマリ・ケア科のSusannah Fleming氏らの調査で明らかとなった。心拍数と呼吸数は、小児の心肺蘇生中の救命介入への反応の予測において重要な因子であり、疾患急性期の標準的な臨床評価やトリアージにおいても不可欠な要素である。しかし、既存のガイドラインの正常範囲の多くは臨床的なコンセンサスに準拠しており、エビデンスに基づくものではないという。Lancet誌2011年3月19日(オンライン版2011年3月15日号)掲載の報告。新たなパーセンタイル曲線を作成して既存データと比較研究グループは、健常小児のバイタルサインに関する観察研究の系統的なレビューを行い、心拍数と呼吸数についてエビデンスベースの新たな正常範囲の基準値の定義を試みた。Medline、Embase、CINAHLおよび文献リストを検索して、1950~2009年4月までに発表された0~18歳の健常小児の心拍数あるいは呼吸数について検討した試験を抽出した。ノンパラメトリックカーネル回帰を用いて、年齢別の心拍数と呼吸数のパーセンタイル曲線を作成した。次いで、得られたデータを既存の基準範囲と比較した。心拍数、呼吸数とも既存値と顕著に相違選択基準を満たした69試験から、小児の心拍数(14万3,346人)および呼吸数(3,881人)のデータを抽出して0~18歳のパーセンタイル曲線を作成した。呼吸数は出生から青年期にかけて低下しており、2歳以下の幼児期における低下度が最も急激であった。すなわち、呼吸数中央値は出生時の44回/分から2歳時には26回/分にまで低下した。心拍数は、生後1ヵ月に小さなピークがみられた。心拍数中央値が出生時の127拍/分から約1ヵ月後には145拍/分と最大値に達し、その後2歳時には113拍/分にまで低下した。これらのデータを、公表されている既存の心拍数、呼吸数の基準範囲と比較したところ、顕著な相違がみられた。既存のガイドラインの正常範囲の基準値は、今回得られた0~18歳の99パーセンタイルおよび1パーセンタイルの曲線を逸脱したり、中央値の曲線と交差する場合もみられた。著者は、「これらのエビデンスベースのパーセンタイル曲線は、小児の疾患急性期の臨床評価とともに、蘇生ガイドラインの改訂やトリアージスコアの策定などに有用と考えられる」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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薬剤溶出性ステントを用いたPCIとCABG、術後QOLはどちらが良好か

多枝血行再建術予定患者に対する、薬剤溶出性ステントを用いたPCIと冠動脈バイパス術(CABG)の、術後QOLを比較検討が、米国・ミズーリ大学カンザスシティー校Saint Luke's Mid America Heart InstituteのDavid J. Cohen氏らにより行われた。これまでの研究ではCABGが、バルーン血管形成術やベアメタルステントを用いたPCIと比較して、狭心症発作を大幅に軽減しQOLを改善することが示されているが、薬剤溶出性ステントを用いたPCIのQOLへの影響は明らかになっていなかった。NEJM誌2011年3月17日号より。1,800例をパクリタキセル溶出ステントを用いたPCIとCABGに無作為化検討は、パクリタキセル溶出ステントを用いたPCIとCABGのアウトカムを比較検討した大規模無作為化試験SYNTAX(Synergy between PCI with Taxus and Cardiac Surgery)のサブスタディとして行われた。SYNTAXでは、再血行再建を含む複合主要エンドポイント発生率ではCABG群の有意な低下が認められたが、不可逆的な転帰のみから成る複合エンドポイント発生率では両群に有意差は認められなかった。このことからCohen氏らは、血行再建術の選択には、狭心症発作の軽減を含むQOLが重要な指標になるとして、被験者の前向きQOLサブスタディを行った。被験者は、3枝病変または左冠動脈主幹部病変患者1,800例。パクリタキセル溶出ステントを用いたPCI群(903例)、もしくはCABG群(897例)に無作為化され、ベースライン時、1ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後に、SAQ(シアトル狭心症質問票)と包括的QOL評価尺度であるSF-36を用いて健康関連QOLが評価された。主要エンドポイントは、SAQの狭心症発作頻度サブスケールスコア(0~100:スコアが高いほど健康状態は良好とされる)とした。狭心症発作頻度の軽減はCABGが大きいが、ベネフィットは小さいSAQとSF-36それぞれのサブスケールスコアは、両群ともベースライン時より6ヵ月後と12ヵ月後で有意に高かった。SAQの狭心症発作頻度サブスケールスコアは、CABGがPCI群より6ヵ月後と12ヵ月後により大きく増加した(それぞれP=0.04、P=0.03)。しかし群間差は小さく、両時点での治療効果の平均差はいずれも1.7ポイントだった。狭心症発作が起きなった患者の割合は、1ヵ月後と6ヵ月後では両群とも同程度だったが、12ヵ月後ではPCI群よりCABG群の方が高かった(76.3%対71.6%、P=0.05)。SAQとSF-36サブスケールのその他のスコアについては、主に1ヵ月後にPCI群が有意に高いスコアを示すものもみられたが、追跡期間全体を通しては有意差を示すものはなく両群で同程度であった。これらから研究グループは、「3枝病変または左冠動脈主幹部病変患者においては、CABGの方が6ヵ月後と12ヵ月後の狭心症発作の頻度はPCIと比べ大きく軽減したが、ベネフィットは小さかった」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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都市部の小児喘息コントロール、抗IgE抗体omalizumab追加で改善

都市部に住む小児、青年、若年成人の喘息患者に対して、ガイドラインベースの治療に加えてヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体omalizumabを投与することで、喘息コントロールを改善し、増悪の季節性ピークはほとんどなくなり、喘息コントロールのためのその他薬剤の必要性が低下したことが示された。米国・ウィスコンシン大学マディソン校医学・公衆衛生部のWilliam W. Busse氏らによるプラセボ対照無作為化試験の結果による。これまでに行われた都市部に住む小児の喘息患者の調査研究で、アレルゲンへの曝露やガイドラインベースの治療の徹底で増悪を減らせることは示されているが、重症例における疾患コントロールには限界があることが示されていた。NEJM誌2011年3月17日号掲載より。ガイドラインベースの治療にomalizumabを追加した場合の有効性を検討抗IgE抗体omalizumabは、最新の全米喘息教育・予防プログラム(NAEPP)ガイドラインで、より高次の治療ステップでもコントロールできない喘息患者への治療として推奨されており、投与した患者の一部で増悪や症状発現、疾患コントロール維持のための吸入ステロイド薬の投与量を減らすことが示されている。一方で、都市部住民における罹患率増加の背景には、アレルギー体質の人が多いことや、大量のアレルゲンに曝露されていることがあり、Busse氏らは、omalizumabが特にこれら住民にベネフィットをもたらすのではないかと考え試験を行った。2006年11月~2008年4月に、8施設から、都市部に住む持続性喘息を有する小児、青年、若年成人を登録し、無作為化二重盲検プラセボ対照パラレルグループ試験を行った。ガイドラインベースの治療に加えてomalizumabによる治療を行うことの有効性について検討した。試験は60週間行われ、主要アウトカムは喘息症状とされた。omalizumab 群では、症状発現、増悪が有意に低下、吸入ステロイド薬とLABAの使用も減少スクリーニング後無作為化されたのは419例(omalizumab群208例、プラセボ群211例)、平均年齢は10.8歳、58%が男子、60%が黒人、37%がヒスパニック系だった。また73%が、疾患分類が中等度または重度だった。結果、omalizumab群がプラセボ群と比べて、喘息症状発現日数が2週間で1.96日から1.48日へと有意に24.5%減少したことが認められた(P<0.001)。同様に1回以上の増悪を有した被験者の割合についても、omalizumab群では48.8%から30.3%へと有意な低下が認められた(P<0.001)。またomalizumab群では、吸入ステロイド薬およびLABA(長時間作用性β2刺激薬)の使用が減少した。しかしそれにもかかわらず改善が認められた。(武藤まき:医療ライター)

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薬剤性溶出ステント挿入PCI後のクロピドグレル高用量投与の検討:GRAVITAS

安定冠動脈疾患などで薬剤性溶出ステントを挿入後、血小板反応性が高い患者に対し、クロピドグレル(商品名:プラビックス)を標準の2倍量投与しても、6ヵ月間の心血管イベントリスクは減少せず、標準量投与と同等であることが示された。米国・Scripps ClinicのMatthew J. Price氏らによる多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験「Gauging Responsiveness With A VerifyNow assay―Impact on Thrombosis and Safety」(GRAVITAS)の結果による。JAMA誌2011年3月16日号で発表された。これまでの研究により、クロピドグレル服用者で血小板反応性が高い人は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の心血管疾患イベントリスクが増大する可能性が示されている。しかしこうした患者への治療方針は確立されておらず、高用量投与とすることで効果が示されるかが検討された。PRU230以上患者を標準量群と高用量群に無作為化し、6ヵ月間のイベント発生率を評価GRAVITASは、2008年7月~2010年4月にかけて、北米83ヵ所の医療施設を通じ、2,214人を被験者として行われた。被験者は、薬剤性溶出ステント挿入PCI後、12~24時間内の血小板反応性がP2Y12反応単位(PRU)230以上だった。平均年齢は64歳、うち男性は65%だった。被験者は無作為に、高用量クロピドグレル群(初期負荷投与600mg、その後150mg/日)と、標準量クロピドグレル群(75mg/日)に割り付けられ、それぞれ6ヵ月間投与された。主要エンドポイントは、心血管疾患死、非致死的心筋梗塞、またはステント内血栓症の6ヵ月間の発生率とされた。6ヵ月心血管疾患イベントのリスク、出血リスクともに同等結果、6ヵ月時点での主要エンドポイント発生率は、高用量群で2.3%(1,109人中25人)、標準量群も2.3%(1,105人中25人)と同等であった(ハザード比:1.01、95%信頼区間:0.58~1.76、p=0.97)。また中等度から重度の出血イベントの発生について、高用量群15人(1.4%)、標準量群25人(2.3%)で、同リスクの有意な増大は認められなかった(ハザード比:0.59、95%信頼区間:0.31~1.11、p=0.10)。なお、術後30日時点で高い血小板反応性(PRU 230以上)が認められた人の割合は、標準量群62%に対し高用量群は40%で、高用量群で絶対値で22ポイント(95%信頼区間:18~26)の有意な低下が認められた(p<0.001)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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高齢者の慢性疾患診断頻度と疾患数別致死率、逆相関であることが明らかに:米国

高齢者への慢性疾患診断の頻度は全米各地で差があり、同頻度が高い地域ほど、疾患同数別にみた致死率は低くなるという逆相関の関連があることが明らかになった。米国・バーモント州退役軍人メディカルセンターのH. Gilbert Welch氏らが、米国高齢者向け公的医療保険のメディケアの受給者515万人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年3月16日号で発表した。地域別の重度慢性疾患診断頻度は1人当たり0.58~1.23と格差研究グループは、2007年にメディケアの出来高払い制プランに加入する、515万3,877人について、全米306地域の病院紹介地域(hospital referral regions:HRRs)別に、1人当たりの重度慢性疾患診断頻度と疾患数別致死率の関係を分析した。調査対象の重度慢性疾患は、がん、慢性閉塞性肺疾患、冠動脈疾患、うっ血性心不全、末梢血管疾患、重度肝疾患、末端臓器疾患を伴う糖尿病、慢性腎不全、認知症の9疾患だった。結果、9疾患の診断頻度は、最も低いコロラド州グランド・ジャンクション地域で1人当たり0.58、最も高いフロリダ州マイアミ地域で1.23と幅があった。平均診断頻度は0.90(95%信頼区間:0.89~0.91)、中央値は0.87(四分位範囲:0.80~0.96)だった。診断された疾患数別(0、1、2、3)にみた致死率はそれぞれ、1,000人当たり16人、45人、93人、154人と、疾患数の増加に伴い増大することが認められた。疾患数1の致死率、診断頻度が高い地域では1,000人当たり38人、低い地域では51人しかし、地域別の診断頻度別にみると、疾患数別にみた致死率は、地域別診断頻度が高まるほど段階的に低いことが認められた。具体的には、疾患数が1の人の致死率は、診断頻度が最も低い五分位範囲の地域では1,000人当たり51人だったのに対し、最も高い五分位範囲の地域では1,000人当たり38人だった(相対比率:0.74、95%信頼区間:0.72~0.76)。疾患数が3の人の致死率についても、診断頻度が最も低い五分位範囲の地域では1,000人当たり168人だったのに対し、最も高い五分位範囲の地域では1,000人当たり137人だった(相対比率:0.81、同:0.79~0.84)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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避難場所における【感染予防のための8ヵ条】 東北感染症危機管理ネットワークより

診断学分野のご厚意により転載させていただきます。避難場所では、インフルエンザや風邪、嘔吐下痢症の流行が心配されています。【感染予防のための8ヵ条】vol.1.0 ~可能な限り守っていただきたいこと~(1)食事は可能な限り加熱したものをとるようにしましょう(2)安心して飲める水だけを飲用とし、きれいなコップで飲みましょう(3)ごはんの前、トイレの後には手を洗いましょう(水やアルコール手指消毒薬で洗ってください)(4)おむつは所定の場所に捨てて、よく手を洗いましょう~症状があるときは~(5)咳が出るときには、周りに飛ばさないようにクチを手でおおいましょう(マスクがあるときはマスクをつけてください)(6)熱っぽい、のどが痛い、咳、けが、嘔吐、下痢などがあるとき、特にまわりに同じような症状が増えているときには、医師や看護師、代表の方に相談してください。(7)熱や咳が出ている人、介護する人はなるべくマスクをしてください。(8)次の症状がある場合には、早めに医療機関での治療が必要かもしれません。医師や看護師、代表の方に相談してください。 ・咳がひどいとき、黄色い痰が多くなっている場合 ・息苦しい場合、呼吸が荒い場合 ・ぐったりしている、顔色が悪い場合 ※特に子供やお年寄りでは症状が現れにくいことがありますので、まわりの人から見て何かいつもと様子が違う場合には連絡してください。東北大学大学院内科病態学講座 感染制御・検査診断学分野東北大学大学院 感染症診療地域連携講座東北感染制御ネットワーク 平成23年3月17日東北感染症危機管理ネットワークホームページ 東北関東大震災感染症ホットラインよりその他の情報はこちら東北感染症危機管理ネットワークhttp://www.tohoku-icnet.ac/

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国を挙げての急性期脳卒中ケアサービス提供の改善施策は功を奏したか?:英国

英国では、ロンドン南部における1995~2000年の脳卒中患者に対する急性期ケア提供の社会人口統計学的格差の報告を受け、その後、急性期ケアサービス改善に特に重点を置いた施策が次々と打ち出された。それらが効果をもたらし、改善が認められているのか。キングズ・カレッジ・ロンドンの健康・社会的ケア調査部門のJuliet Addo氏らが、ロンドン南部におけるその後の変化動向について調査を行った。BMJ誌2011年3月5日号(オンライン版2011年2月24日号)掲載より。改善施策の影響を1995年から2009年の患者受療内容から評価調査は、ロンドン南部で1995年1月から2009年12月の間に、初発の虚血性脳卒中や脳内出血を有した患者3,800例を対象とし、急性期脳卒中ケア受診の経時的変化と、ケア提供と関連する因子について評価が行われた。主要評価項目は、急性期ケア介入、入院状況、脳卒中ユニットケア、急性期の投薬状況、ケアを受けるアクセスの不均衡について。1995~1997年(907例)、1998~2000年(810例)、2001~2003年(757例)、2004~2006年(706例)、2007~2009年(620例)の5期間にグループ分けされ評価された。3,800例のうち、脳卒中後に入院治療を受けたのは3,330例(87.6%)で、そのうち388例(11.7%)が入院中に脳卒中を発症していた。平均発症年齢は71.1(SD 14.1)歳だった。全体的に改善はされたが、年齢、社会階層で有意な格差がみられ、至適には至っていない脳卒中後に入院治療を受けられた人は1995~1997年に82.1%で、2007~2009年には94.7%に上昇したが、なお約5%(33/620例)の人、特に軽症の人が入院治療を受けることができていなかった。また入院できた人でも約21%(124/584例)が、集学的な脳卒中ユニットケアを受けることができていなかった。脳卒中ユニットケアおよび脳画像診断の割合(調査全期間における)は、有意に増大していた。血栓溶解療法の割合(2005~2009年)も有意に増大していた(いずれもp<0.001)。また、白人患者との比較で黒人患者の、脳卒中ユニットケアで治療を受けた割合(オッズ比:1.76、95%信頼区間:1.35~2.29、P

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50歳以上の乳がんリスク、喫煙者で有意に増大、間接喫煙者でも増大示唆

閉経後女性における喫煙と侵襲性乳がんリスクとの関連について、直接喫煙者では有意なリスク増大が認められ、間接喫煙者でも増大が示唆されることが、米国・ウエスト・バージニア大学Mary Babb RandolphがんセンターのJuhua Luo氏らによる前向きコホート試験「Women's Health Initiative Observational Study」の結果、明らかにされた。BMJ誌2011年3月5日号(オンライン版2011年3月1日号)掲載より。乳がんリスク、非喫煙者と比べ元喫煙者1.09倍、現喫煙者1.16倍試験には、米国内40ヵ所のクリニックセンターから、1993~1998年の間に50~79歳の女性7万9,990例の被験者が登録した。主要評価項目は、自己報告による能動的または受動的喫煙状況、病理学的に診断された侵襲性乳がんとした。平均10.3年の追跡期間で、侵襲性乳がんと診断されたのは3,520例だった。非喫煙者と比べ、乳がんリスクは、元喫煙者は9%高く(ハザード比:1.09、95%信頼区間:1.02~1.17)、現喫煙者は16%高かった(同:1.16、1.00~1.34)。子どもの時から間接喫煙に曝露された最大曝露群、非間接喫煙群の1.32倍喫煙本数が多く、喫煙歴も長い能動的喫煙者、また喫煙開始年齢が10代であった人における乳がんリスクが有意に高かった。乳がんリスクが最も高かったのは、50歳以上の喫煙者で、生涯非喫煙者と比べ1.35倍(同:1.35、1.03~1.77)、生涯非喫煙者で非間接喫煙者と比べると1.45倍(同:1.45、1.06~1.98)だった。禁煙後も20年間、乳がんリスクは増大した。非喫煙者では、潜在的交絡因子補正後、間接喫煙曝露が最も多かった人(子どもの時に10年以上、成人後家庭内で20年以上、成人後職場で10年以上)の乳がんリスクは、間接喫煙曝露がなかった人に比べて32%超過(ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.04~1.67)が認められた。しかし、その他の低曝露群との有意な関連は認められなかった。間接喫煙の累積に対するレスポンスも不明であった。

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