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【レポート】第16回 日本乳学会学術総会開催前プレスカンファレンス

 2008年9月26、27日に大阪国際会議場にて開催される「第16回日本乳学会学術総会」に先立ち、9月3日にプレスカンファレンス(ファイザー株式会社共催)が開催された。そこで話された日本乳学会の取り組みと、本総会のトピックスについてレポートする。 初めに、日本乳学会理事長の園尾博司氏より、「我が国の乳の現状/日本乳学会の概要と活動実績」が紹介された。 日本乳学会が取り組んでいる全国主要施設の乳統計を、ウェブ上で会員だけでなく一般市民にも公開することで、乳の早期発見と診療の均てん化を目指しているという。しかし、検診による乳の発見率が不十分であることで、乳の見逃しが起こっていると園尾氏は訴え、視触診だけではなくマンモグラフィの受診率を高めることが重要であることを強調した。その他、乳房温存術、センチネルリンパ節生検、保険適用の取得状況、ガイドラインについて紹介した。 園尾氏は乳腺外科標榜についても言及し、学会としては賛成であるとの立場を明確にした。最後に、乳学会は常に患者の立場に立っていたい、と結び患者重視の姿勢をアピールした。 続いて、大阪府立成人病センター乳腺・内分泌外科の稲治英生氏より「日本乳学会学術総会のトピックス紹介~標準化から個別化へ~」が紹介された。 冒頭、今回のメインテーマである「標準化から個別化へ」について稲治氏は、「EBMに基づき治療の標準化が進んだことで、均一な治療が受けられるようになった。一方、標準化治療はあくまでレディーメイドであり、今後はそれぞれのの顔つきに最適化した治療を進めていくべきであろう、と考え、このテーマを掲げた」と述べた。 本総会では、臨床的な研究成果に偏らず、乳の基礎から臨床について学術的機運が高まることを期待していると稲治氏は述べた。 続いて、プログラム全体像が紹介された。乳診療ガイドライン改訂(薬物療法編を除く)、乳取り扱い規約改訂、センチネルリンパ節生検に対する多施設共同臨床確認試験の中間報告などの特別報告に多くの時間を当てている。その他、様々な基調講演、招待講演、ディベートセッション、教育・病理・画像診断・看護の4つのセミナーなどが行われる。

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概ね必要適格なケアを受けている:イギリス50歳以上成人

健康問題を有する人へのヘルスケア介入は効果的に行われているのか。イギリスの50歳以上成人を対象とする調査が、イーストアングリア大学医学部健康政策実践部門のNicholas Steel氏らにより行われた。BMJ誌2008年8月13日号より。32の臨床指標と7つの質問を用いて評価調査は、面談方式による全国統一のサーベイアンケートで、公的・私的を問わず提供されたケアの質の評価をカバーできる指標を有する。参加者は、全イングランドの世帯を対象とする経時的研究(English longitudinal study of ageing)の8,688人で、そのうち4,417人は13の健康問題(虚血性心疾患、うつ、糖尿病など)のうち1つ以上を有していた。主要転帰は、32の臨床指標と7つの質問を用いて、患者である参加者が受けていると回答した介入の適格性の割合と集計スコア。障害や虚弱問題の領域では不十分調査の結果、患者は1万9,082種類の必要適格なケアを受けていた。必要適格なケアを受けているかは、参加者の健康状況によって異なった。最も適格にケアを受けていたのは「虚血性心疾患」の問題を有する患者で83%、「難聴」79%、「疼痛マネジメント」78%、「糖尿病」74%、「禁煙」74%、「高血圧」72%、「脳卒中」65%、「うつ病」64%、「要介護」58%、「視覚障害」58%、「骨粗鬆症」53%、「尿失禁」51%、「転倒マネジメント」44%、「変形性関節症」29%と続き、「全体的に」62%だった。ケアの適格性は、老化に伴う問題(55%)よりも医学的問題(74%)に関するもののほうが高い。また、一般開業医の報酬対象となっている健康問題のほうが(75%)、対象外となっている健康問題(58%)よりも高かった。Steel氏は「推奨されているケアは、障害や虚弱問題の領域では十分に提供されていなかった。よりよい健康アウトカムを成し遂げるためのケア改善の努力は広範囲にわたり必要だが、特に高齢者のQOLに影響を及ぼす慢性疾患の問題で必要である」と結論している。

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低・中所得国の心血管疾患対策に母子栄養改善を

妊婦および幼児への公衆衛生プログラムに加えて栄養補助介入が、栄養不足集団での心血管疾患リスクを低減するかどうか。Hygiene and Tropical Medicineロンドン学校のSanjay Kinraらによる長期追跡調査の結果、「母子栄養改善策は、低・中所得国の心血管疾患に対する負担軽減対策として有効のようだ」と報告された。BMJ誌2008年7月25日号より。南インド29村対象に約15年、長期追跡調査インド南部のハイデラバード市近郊の29村を対象に、約15年にわたる長期追跡調査が行われた。対象はコミュニティ単位で比較され、介入群15村、対照群14村。参加者は13~18歳の若者1,165例。介入群には、公衆衛生プログラムに加えて、妊婦と6歳以下の就学前児童に連日、プロテインとカロリーを補助するサプリメント(2.51 MJ, 20 g protein)が与えられた。主要転帰は、身長、肥満度、血圧、脂質、インスリン抵抗性(HOMAスコア)、動脈硬化(増加インデックス)。インスリン抵抗性と動脈硬化の値で良好な結果介入村のほうが対照村より身長が14mm高かった(95%信頼区間:4~23、P=0.007)が、体質的に差異はなかった。介入村ではインスリン抵抗性と動脈硬化の値でより良好な結果が得られた。HOMAスコアで20%低く(3%~39%、P=0.02)、動脈硬化の増加インデックスは3.3%(1%~5.7%、P=0.008)低かった。血圧と脂質では確たるエビデンスは得られなかった。Kinra氏は、「この栄養不足集団において、妊婦と幼児への他の公衆衛生プログラムに加えての補足的な栄養供給は、青年期における心血管疾患リスク因子へより良好な影響を及ぼしていた。今のところ、本研究と同様の研究報告は見あたらず、本仮説が最も強いエビデンスを提供するものである。母子栄養改善は、低・中所得国における心血管疾患の負担軽減策となりうる可能性がある」と結論している。

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欧州心臓病学会にて大規模臨床試験「TRANSCEND」発表される

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology: ESC)において高血圧治療薬ミカルディス(テルミサルタン)のアウトカム試験TRANSCENDの結果が報告され、ミカルディス群はプラセボ群と比較して、心血管イベント高リスク患者での心血管死、心筋梗塞、脳卒中発症リスクの抑制効果が13%高いことが証明されたと発表した。TRANSCEND(Telmisartan Randomised AssessmeNt Study in ACE-iNtolerant subjects with cardiovascular Disease)は、ONTARGET試験に並行して実施された試験で、ACE阻害薬に忍容性の認められない心血管イベント高リスク患者5,926人(40ヵ国)を対象に、ミカルディス群のプラセボ群に対する心血管イベント抑制効果および忍容性を検討したもの。抗血小板薬、スタチンなどの標準的治療が施された上に、ミカルディスまたはプラセボ群ともにRAS抑制薬以外の降圧薬の併用が認められていたことも、試験の特徴として挙げられる。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/news/p-release/08_0902.html

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複合組織同種移植は、重度顔面損傷の長期的修復法となるか

複合組織同種移植(CTA)によるヒト顔面移植術が短期的には成功したと見なしうる重度顔面損傷の事例が、Lancet誌2008年8月23日号に掲載された。中国・第4軍医大学Xijing病院形成外科(陝西省西安市)のShuzhong Guo氏らが実施した部分的顔面同種移植の2年間のフォローアップ研究の報告で、合併症は避けられないものの、重度の顔面損傷の長期的な修復の治療選択肢となる可能性があるという。CTAの最近の進歩は、重度顔面損傷に対する新たな治療法の可能性を示唆していた。CTAと4剤併用免疫調整療法を実施レシピエントは30歳の中国人男性で、2004年10月に熊に襲われて顔面に重度の損傷を負った。2006年4月、全身の前処置を入念に行ったうえでCTAを施行した。右下顎動脈と前顔面静脈の吻合術、および鼻全体、上唇、耳下腺、上顎洞前壁、眼窩下壁、頬骨の全面的な修復を行い、術中に顔面神経の吻合を実施した。タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、副腎皮質ステロイド製剤、ヒト化IL-2受容体モノクローナル抗体による4剤併用免疫調整療法を施行した。フォローアップでは、末梢血中のTリンパ球サブセットの測定、病理学的・免疫組織化学的検査、機能回復訓練、心理学的サポートなどを実施した。合併症は避けられないが、コントロール可能複合組織皮弁(フラップ)は良好な生着を示した。移植後3、5、17ヵ月目に急性の拒絶反応が見られたが、タクロリムスの用量調整およびメチルプレドニゾロンのパルス療法の導入によりコントロール可能であった。肝機能および腎機能は正常であり、感染症も見られなかった。移植後3日目に高血糖をきたしたが、薬物療法でコントロール可能であった。著者は、「顔面移植術は短期的には成功したといえるが、合併症は避けられない。しかし、今回の有望な結果は、複合組織同種移植が重度顔面損傷の長期的な修復法の選択肢となる可能性を示唆する」と結論し、「患者は、移植後の精神状態も良好で、新しい顔貌を容易に受け入れた。CTAによる顔面移植は迅速な社会復帰をも可能にするだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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複合組織同種移植は、顔面の広範な叢状神経線維腫の修復に有効

顔面の広範な叢状神経線維腫に対する複合組織同種移植(CTA)は実行可能であり、十分に満足できるリスク対ベネフィット比が得られることが、フランスで実施された1年間のフォローアップ研究で明らかとなった。CTAによる顔面移植のリスク対ベネフィット比については議論が続いているが、手技そのものは技術的にはすでに実行可能であったという。パリ第12大学医学部のLaurent Lantieri氏が、Lancet誌2008年8月23日号で報告した。顔面皮膚の外観およびその機能の修復が目的研究グループは、CTAによる顔面移植を受けた患者の1年間のフォローアップ研究の結果を報告した。2007年1月21日、29歳の1型神経線維腫の男性が、顔面中央と下部にびまん性に浸潤した広範な叢状神経線維腫の切除術を受けた。移植のおもな目的は、顔面皮膚の外観およびその機能の修復であり、特に眼輪筋と口輪筋の障害のコントロールであった。免疫抑制療法を実施し、心理学的な予後や社会復帰の問題の解決とともに、皮膚と粘膜の生検により拒絶反応のモニタリングを行った。顔面機能の予後はきわめて良好、完全な社会復帰を達成術後の初回コースには合併症は見られなかったが、28~64日に拒絶反応が2回発現した。2回目の拒絶反応はサイトメガロウイルス感染によるものであった。いずれの拒絶反応も良好に回復し、それ以上の拒絶反応の臨床的徴候は見られず、免疫抑制薬の減量が可能となった。移植部位の感覚神経および運動神経の再生に成功し、術後1年の時点で顔面機能の予後はきわめて良好であった。心理学的回復も完璧で、完全な社会復帰が達成された。著者は、「顔面を広範に切除し、複合組織同種移植片を移植する手技は実行可能であることが、今回の症例によって示された。この顔面修復術は十分に満足できるリスク対ベネフィット比をもたらすと考えられる」と結論し、「複合組織移植片の免疫原性関連のリスクを評価するには長期のフォローアップが必要である」と指摘している。なお、この初回成功例を受け、現在、次の症例の評価が行われているという。(菅野守:医学ライター)

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スタチン誘発性ミオパチーと関連する遺伝子変異を同定

高LDLコレステロール血症治療薬として広範に用いられているスタチンは、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールを低下させ、心血管イベントを大幅に減少させる。高用量ほどコレステロール低下作用も大きいが、高用量で他の特定薬物と併用された場合、まれにミオパチーが生じて筋力が低下することがある。これに関して英国・オックスフォード大学のゲノム全域研究チーム「SEARCH Collaborative Group」が「スタチン誘発性ミオパチーと強く関連する遺伝子変異を同定した」との報告が、NEJM誌2008年8月21日号(オンライン版2008年7月23日号)に掲載された。スタチン療法に際して遺伝子検査を行うことで、スタチン用量を個別化し安全性を向上できる可能性があるとしている。患者90例と対照85例のゲノム全域連鎖を解析ミオパチーと確認されたか初期症状の患者90例と、対照群85例に対して、約30万種類のマーカーの使用と精密マッピング追加することで、ゲノム全域連鎖解析を実施した。対象者全員が、1万2,000例が参加した別の試験の一環として、シンバスタチンを1日80mg服用していた。結果の再現性は、参加者2万例の試験(シンバスタチン1日40mg投与)で試された。SLCO1B1内の変異体確認でスタチン治療の安全性向上もこれにより、12番染色体上にある遺伝子SLCO1B1内の一塩基多型(SNP)rs4363657が、ミオパチーと強く関連することが示された(P = 4×10(-9))。SLCO1B1は有機陰イオントランスポーターOATP1B1をコード化し、それがスタチンの肝取り込みを調整することが知られている。スタチン代謝に関連している非同義rs4149056 SNPと、非コードrs4363657 SNPはほぼ完全に連鎖不平衡だった(r(2)= 0.97)。対象集団におけるrs4149056 C対立遺伝子の有病率は15%で、ミオパチーのオッズ比は、C対立遺伝子1コピーにつき4.5(95%信頼区間:2.6~7.7)、CCホモ接合体とTTホモ接合体の比較では16.9(4.7~61.1)だった。ミオパチー症例の60%以上は、C変異体によると考えられる。ミオパチーとrs4149056の関連は、シンバスタチン毎日40mg投与試験で再現され、rs4149056とシンバスタチンのコレステロール低下作用との関連も示された。他のいかなる領域のSNPも、ミオパチーとの明らかな関連を示さなかった。これらを踏まえ研究グループは「スタチン誘発性ミオパチーのリスク増加と強く関連するSLCO1B1で、よく見られる変異体を確認した。これらの変異体の遺伝子型が判明すれば、スタチン治療をより安全で効果的に実施する一助になる可能性がある」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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アダリムバブは若年性関節リウマチに対し有効

本論は、関節リウマチの新しい治療薬として国内では2008年2月に承認された、生物学的製剤の一種である抗TNFαモノクローナル抗体アダリムバブ(商品名:ヒュミラ)の有効性と安全性に関する、国際共同研究グループからの報告。若年性関節リウマチ患児を対象としたもので、Daniel J. Lovell(シンシナティ小児病院医療センター)らは「アダリムバブ療法は有効である」と報告した。NEJM誌2008年8月21日号より。MTX併用有無で有効性を比較非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与を受けたことのある活動性若年性関節リウマチの患児(4~17歳)を、抗リウマチ薬メトトレキサート(MTX)使用の有無で層別化し、16週間にわたり隔週で、アダリムバブを体表面積1平方m当たり24mg(最大40mg)皮下投与した。その後16週の時点で、米国リウマチ学会の小児基準「ACR Pedi 30」を有する患児に対して、さらに最大32週間にわたり隔週で、二重盲検下にて無作為に、アダリムバブ投与群とプラセボ投与群に割り付け投与を行った。16週時点でACR Pedi 30を有する患児は、MTX未使用群74%(86例中64例)、MTX併用群では94%(85例中80例)だった。併用群では疾患再燃は有意に低く症状改善の割合も大きい主要転帰の疾患再燃は、MTX未使用患児では、+アダリムバブ投与群43%、+プラセボ投与群71%だった(P=0.03)。MTX併用患児では、+アダリムバブ群37%、+プラセボ群65%であった(P=0.02)。48週の時点で、ACR Pedi 30、同50、同70、同90を有する患児の割合は、MTX併用患児の場合、プラセボ群よりアダリムバブ群のほうが有意に大きかった。しかし、MTX未使用患児の場合は、アダリムバブ群とプラセボ群の間に有意差はなかった。有効率は治療から104週間後も維持された。アダリムバブ投与に関連すると考えられる重篤な有害事象は14例で、このうち7例は重症感染症だった。以上から、「アダリムバブによる治療は、若年性関節リウマチの小児に対する有効な選択肢と考えられる」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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イラク、アフガン従軍兵のアルコール問題

ベトナム戦争や湾岸戦争時も報告された、兵士の除隊後の高率なアルコール依存症発症等については、現戦争のイラク戦争やアフガニスタン侵攻に関しても報告されているが、兵役と重篤なアルコール依存症発症との関連リスクについてより詳細な調査を行っていた、米国国防総省ナバル・ヘルス・リサーチセンター(サンディエゴ州)のIsabel G. Jacobson氏らによって、「予備・州兵とより若い軍人でリスクが高い」と報告された。JAMA誌2008年8月13日号より。戦闘曝露から後方支援の兵士まで4万8,481例を対象に兵役後のアルコール依存症といっても、兵役に就いたことがきっかけで新規に発症したパターン、もともと抱えていたアルコール関連の問題(大量飲酒、不節制飲酒)が戦闘曝露によるPTSDなどで制御不能となっているパターンなどが考えられることから、本研究では、それらを明らかにすることが主眼とされた。研究対象は、イラク戦争およびアフガニスタン侵攻に賛意を示す軍人によって、飲酒量やアルコール問題について前向きに記載された「Millennium Cohort Study」の参加者。基線値データ(2001年7月~2003年6月、7万7,047例)と、追跡アンケート調査(2004年6月~2006年2月、5万5,021例、追跡反応率=71.4%)の両方に該当した者が選定された。解析は除外基準適用後4万8,481人の参加者を含んで行われた(軍人;n=2万6,613、予備・州兵;n=2万1,868)。このうち戦闘に曝露されたのは5,510例、されなかったのは5,661例、3万7,310例は戦地に配属されていない。戦闘曝露の予備・州兵で各種アルコール問題の有病率が有意に高い戦闘曝露群のうち、予備・州兵の基線有病率は、「毎週飲酒の習慣性」9.0%、「不節制飲酒」53.6%、「全アルコール問題」15.2%だった。それぞれ、引き続いての有病率は、12.5%、53.0%と11.9%。新規の発症率は、8.8%、25.6%、7.1%であった。軍人では新規の発症率は、6.0%、26.6%、4.8%。戦地配属されていない群との比較で、戦地配属され戦闘曝露が報告された予備・州兵には、各種の問題がより有意に高い可能性が確認された。「毎週飲酒の習慣性」のオッズ比は1.63(95%信頼区間:1.36~1.96)、「不節制飲酒」1.46(1.24~1.71)、「全アルコール問題」1.63(1.33~2.01)。またコホートのうち最も若い年齢階層の兵士が、すべてのアルコール関連のアウトカムで最も高いリスクに位置していた。(朝田哲明:医療ライター)

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冠動脈疾患患者の2次予防にビタミンBは無効

総ホモシステイン濃度と心血管疾患とのリスクの関連性は観察研究によって報告されている。血漿総ホモシステイン濃度は、葉酸+ビタミンB12の内服によって低下させることができるが、Haukeland大学病院心臓疾患部門(ノルウェー)のMarta Ebbing氏らは、冠状動脈疾患もしくは大動脈弁狭窄症患者の2次予防として、葉酸+ビタミンB12の服用効果と、葉酸+ビタミンB6の服薬効果を、無作為化試験で比較評価した。JAMA誌2008年8月20日号より。冠動脈造影を受けた3,096例を群無作為化二重盲検対照試験1999~2006年に、ノルウェー西部の2つの大学病院で行われた無作為化二重盲検対照試験で、参加者は冠動脈造影を受けた計3,096例の成人(女性20.5%、平均年齢61.7歳)。基線で、59.3%が2種または3種の血管疾患があった。83.7%は安定性狭心症があり、14.9%が急性冠動脈症候群を有していた。22通りの要因を有する参加者は、「葉酸(0.8mg)+ビタミンB12(0.4mg)+ビタミンB6(40mg)」(n=772)、「葉酸+ビタミンB12」(n=772)、「ビタミンB6単独投与」(n=772)、「プラセボ投与」(n=780)の4つの経口投与群のうちの1つにランダムに割り当てられた。主要エンドポイントは、全死因、非致死性の急性心筋梗塞、不安定狭心症による緊急入院、非致死性の脳梗塞の複合とした。葉酸効果は認められるがビタミンB効果は確認できなかった「葉酸+ビタミンB12」を受けていた群では、服用1年後の血漿総ホモシステイン濃度の平均値は30%減少していた。本試験は、同時期に行われたNorwegian trialで介入による有害事象の報告がされたため早期に終了され、追跡調査は38ヵ月間だった。その間に主要エンドポイントが確認された参加者は計442例(13.7%)。このうち219例(14.2%)が「葉酸+ビタミンB12」の投与を受けており、203例(13.1%)がそれらの投与を受けていなかった。ハザード比は1.09(95%信頼区間:0.90~1.32、P=0.36)。また「ビタミンB6」の投与を受けていたのは200例(13.0%)、受けていなかったのは222例(14.3%)。ハザード比は0.90(0.74~1.09、P=0.28)だった。これら結果からEbbing氏は、「本試験では、葉酸+ビタミンB12あるいは+ビタミンB6の総死亡率、心血管イベントへの治療効果の違いを見いだすことはできなかった。我々の調査結果では、冠動脈疾患患者の2次予防にビタミンBを用いることを支持しない」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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月経に関連して起こる頭痛の65%は片頭痛の可能性

グラクソ・スミスクライン株式会社が20~40歳代の女性を対象に行ったインターネット調査によれば、月経に関連して頭痛が起こるとした20-40歳代女性のうち65%は片頭痛の可能性が高いことが明らかになった。片頭痛は女性に多い疾患、なかでも20~40歳代の女性では有病率が高く、30歳代の女性においては5人に1人が片頭痛に悩んでいるとされる。女性に片頭痛が多い理由として、女性ホルモンとの関連性が示唆されており、特に女性ホルモンが大きく変動する月経数日前から月経時は片頭痛が起こりやすいと言われており、今回の調査を行ったという。さらに調査結果では、月経に関連して起こる頭痛が日常生活に及ぼす影響は非常に大きく、片頭痛患者の86%が「仕事や家事・勉強が手につかなくなる、集中できなくなることがある」と回答した。また42%では「学校や会社、予定していた行事を休むことがあり」、38%は「家から出られなくなる、ベッドや布団から動けなくなる」など、支障度の高さがうかがえた。その一方で、月経に関連して起こる頭痛のために受診した経験がある人は15%に留まり、頭痛として適切な治療が行われていない実態が判明したという。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2008_07/P1000498.html

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プラミペキソール、下肢の痛みや気分障害といったむずむず脚症候群(RLS)随伴症状にも有効性を示す

日本ベーリンガーインゲルハイムは、8月23日から26日にかけてスペイン/マドリッドで開催された第12回欧州神経科学会議(EFNS)において、「むずむず脚症候群(RLS)」を適応症としたプラミペキソールが中等度から重症まで幅広い重症度のむずむず脚症候群(RLS)患者でその症状を有意に改善すること、また下肢の痛みといった随伴症状や気分障害を含む健康関連QOLの改善にも有効であることが明らかになったと発表した。プラミペキソールは非麦角系ドパミンD2受容体作動薬で、欧米では既にパーキンソン病のほか、中等度から重症のむずむず脚症候群(RLS)を適応に承認。日本でも現在、RLSの適応追加について承認申請中。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/news/p-release/08_0827.html

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「おやすみしている女性医師の皆さん!そろそろ復帰してみませんか」シンポジウム in 兵庫青野原病院 

行政の施策でも女性医師の復帰がクローズアップされているが、9月26日(金)に独立行政法人国立病院機構兵庫青野原病院にて女性医師復帰のシンポジウムが開催される。本シンポジウムは女性医師復帰支援を推進している独立行政法人国立病院機構本部近畿ブロック事務所との共催。 日時:平成20年9月26日(金)午後2時~午後4時(受付午後1時30分~)会場:国立病院機構兵庫青野原病院 あおのホール当日のプログラム   ・より働きやすい職場への改善を目指して(山崎麻美先生)   ・復帰を果たして女性医師の体験談   ・重心病棟・保育所の見学   ・個別相談会(1人1人に合ったお話し合いの時間)   ・当日保育可(事前申込み必要)   ・無料駐車場あり主催:独立行政法人国立病院機構兵庫青野原病院共催:独立行政法人国立病院機構本部近畿ブロック事務所 詳細/参加申込みはこちらhttp://www.hosp.go.jp/~aono/welcome-right/new/wdr/newiframe1-wdr.html 兵庫青野原病院のホームページはこちらhttp://www.hosp.go.jp/~aono/

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女性の心血管イベント予防には片頭痛情報とFraminghamリスクスコアを

ジグザクラインや光の点滅を見たりする前兆を伴う片頭痛は、心筋梗塞を含む虚血性の脳卒中や狭心症など血管性イベントのリスク増加と関連しているとされるが、生物学的メカニズムは明らかではない。その関連について、Framinghamリスクスコアに基づく血管リスクの状態による変化(女性対象)を調べていたブリガム&ウィメンズ病院(米国・ボストン)予防医学部門のTobias Kurth氏らは、「血管リスクの状態によって関連は異なる。片頭痛と血管リスクの情報は、心血管イベントの将来予測に寄与するようだ」と報告した。BMJ誌2008年8月7日号掲載より。2万7,519例の女性を対象に前向きコホート研究米国Women's health studyと題する前向きコホート研究は、基線で心血管疾患ではなく、Framinghamリスクスコアと片頭痛状態に関する情報が入手可能だった2万7,519例の女性が参加して行われた。参加者は、Framinghamリスクスコアに基づき冠動脈性心疾患の10年リスクについて、「≦1%」「2~4%」「5~9%」「≧10%」の各グループに階層化された。主要アウトカムは、「主な心血管疾患イベント(非致死的心筋梗塞、非致死性の虚血性脳卒中、虚血性心血管疾患による死亡)」、「心筋梗塞」、「虚血性脳卒中」の各発症までの時間。基線で片頭痛を報告した女性は、3,577例(13.0%)で、そのうち1,418例(39.6%)が前兆を伴う片頭痛であったことを報告した。Framinghamリスクスコアの血管リスク指標は有効!?11.9年の追跡調査の間、心血管疾患イベントは697例だった。片頭痛のない女性と比較して、前兆を伴う片頭痛がある女性のハザード比(年齢補正済)は、「主な心血管疾患イベント」1.93(95%信頼区間:1.45~2.56)、「虚血性脳卒中」1.80(1.16~2.79)、「心筋梗塞」1.94(1.27~2.95)であった。Framinghamリスクスコアによって階層化した場合は、前兆を伴う片頭痛と「主要な心血管疾患イベント」との間の関連は、「≦1%」グループで最も強かった。片頭痛のない女性と比較して、「≦1%」グループで前兆を伴う片頭痛を報告した女性のハザード比(年齢補正済)は、「虚血性脳卒中」3.88(1.87~8.08)、「心筋梗塞」1.29(0.40~4.21)だった。「≧10%」グループで前兆を伴う片頭痛をもつ女性のハザード比は、「虚血性脳卒中」1.00(0.24~4.14)、「心筋梗塞」3.34(1.50~7.46)だった。前兆のない片頭痛をもつ女性については、Framinghamリスクスコアの各グループごとに見ても、虚血性脳卒中、心筋梗塞ともリスクは高くなかった。Kurth氏は、「前兆を伴う片頭痛と心血管疾患との間の関連は、血管リスクの状態によって異なる。片頭痛と血管リスク状態の病歴情報は、女性において特異的に、将来の心血管疾患イベントの高いリスクを知る手がかりとなるといえそうだ」と結論している。

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スコットランドの超過死亡率は薬物常用による

 スコットランドの死亡率がイングランドとウェールズよりも高いことは早くから知られていた。特に、1981年の超過死亡率は12%だったが、2001年には15%になるなど、死亡率の格差は開いている。その原因の一つとしてこれまで、就職率や車の所有率、階級構成などの低さが指摘されてきた。しかし、このところスコットランドとイングランド、ウェールズとの貧富の差はかつての半分以下に縮まっている。この反比例の関係は「スコットランド効果」と呼ばれており、説得力のある説明はなされていなかった。この「スコットランド効果」の原因を調べるため、グラスゴー大学のMichael Bloor氏らのグループは、薬物使用状況と有病率に着目し、「DORIS」と命名されたコホート研究の二次解析を行った。BMJ誌2008年7月22日号より。スコットランドの死亡率への薬物常用者の寄与率は有意に高い Bloor氏らが薬物使用状況と有病率に着目したのは1991年と2001年の国勢調査によれば、原因不明の死亡率の超過分は0~44歳の男性に顕著だったこと。DORIS(Drug Outcomes Research in Scotland)の二次解析は、スコットランド全域にある33の薬物療法施設で2001~2年に集められた1,033例の問題薬物常用者を対象とし、33ヵ月後の2004~5年にかけて面接調査が行われた。 その結果、このコホートでは38例が死亡していた。この薬物常用者38例の死亡のうち、薬物関連死に分類されたのは22例にとどまり、残りは自殺を含む過量服用、薬物乱用に由来する感染症などだった。 問題薬物使用集団のサイズの推定値から、イギリス全体の薬物常用者の死亡率は、スコットランドが17.3%(95%信頼区間:12.3%~22.8%)、イングランドは11.1%(7.8%~14.8%)と推算された。突出した超過死亡率の3分の1は薬物常用者によるもの 15~54歳の年齢調整死亡率(人口10万対)は、薬物常用者の死亡推算数を除外すると、スコットランドで196から162に、イングランドは138から122に低下することが明らかとなった。また、スコットランドの超過死亡率の32.0%(95%CI 22.3%~43.0%)は薬物使用によると分析された。つまり、タバコやアルコールの摂取、運動不足などと比べれば問題薬物使用自体の有病率リスクは低いものの、死亡率のアップ効果は高いということであり、スコットランドの薬物常用者の調整死亡率は集団全体の12倍にもなるという。スコットランドの問題薬物使用を要因とする高い有病率は、イングランドを上回る超過死亡率の3分の1を占めていた。 これらから研究グループは、スコットランドの問題薬物使用による有病率を低下させる、あるいは薬物常用者の死亡を減少させるために有効な公衆衛生活動が行われれば、スコットランドの総死亡率に劇的なインパクトを与えるだろうと述べている。

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チロフィバンの入院前投与はPCI後のSTEMIの臨床転帰を改善するか:On-TIME 2

血小板糖蛋白IIb/IIIa受容体拮抗薬チロフィバンの入院前高用量急速静注投与により、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)に対するPCI施行後の臨床転帰が改善することが、ヨーロッパで行われたプラセボ対照無作為化試験(On-TIME 2)で明らかとなった。PCIが適用となる急性のSTEMIでは、抗血小板療法の最も効果的な強度およびタイミングが重要とされ、さまざまな治療アプローチの評価が進められている。オランダIsala Klinieken循環器科のArnoud W J van't Hof氏らによる報告で、Lancet誌2008年8月16日号に掲載された。入院前の標準的抗血栓療法+チロフィバンの効果を評価On-TIME(Ongoing Tirofiban in Myocardial Evaluation)2試験は、2006年6月29日~2007年11月13日にオランダ、ドイツ、ベルギーの24施設で実施された二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、救急あるいは心臓病センターへの初回搬送時の早期チロフィバン投与が、PCI施行後の転帰を改善するか否かを評価した。PCIの候補となったSTEMI患者984例が、標準治療(アスピリン500mg+ヘパリン5,000IU+クロピドグレル600mg)に高用量急速静注チロフィバン(25μg/kgを急速静注後、0.15μg/kg/分を18時間点滴静注)を追加する群(491例)あるいはプラセボを投与する群(493例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPCI施行後1時間のST値の変化とした。標準治療よりもさらに強力な抗血小板療法の必要性が明らかに入院前のMI診断後に各治療群に割り付けられたのは936例(95%)で、発症から診断までの所要時間は75分(中央値)であった。平均ST間部偏位は、PCI前がチロフィバン群10.9mm(SD 9.2)、プラセボ群12.1mm(SD 9.4)(p=0.028)、PCI施行後1時間ではそれぞれ3.6mm(SD 4.6)、4.8mm(SD 6.3)(p=0.003)であり、チロフィバン群で有意な改善効果が確認された。大出血の発生率は両群間に有意な差は認めなかった(4% vs. 3%、p=0.36)。著者は、「ルーチンの入院前高用量急速静注チロフィバン投与は、PCI施行後のST回復を改善する」と結論し、「今回の知見により、PCIが適用となるSTEMIに対しては、高用量クロピドグレルに加えさらなる血小板凝集阻害療法を実施すべきであることが明確となった」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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テルミサルタン+ラミプリル併用で腎機能はむしろ低下:ONTARGET試験

血管リスクの高い集団の腎機能に及ぼすテルミサルタンの効果はラミプリルと同等であり、両薬剤を併用した場合は単剤投与に比べ蛋白尿は改善するものの腎機能はむしろ低下することが、ONTARGET試験の参加者を対象とした解析で明らかとなった。アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬は蛋白尿を抑制することが確認されており、併用による腎機能の改善効果が期待されていた。ドイツLudwig Maximilians大学Schwabing総合病院のJohannes F E Mann氏が、Lancet誌2008年8月16日号で報告した。2万5,000例以上を対象とした国際的な無作為化試験の腎機能解析ONTARGET(ongoing telmisartan alone and in combination with ramipril global endpoint trial)試験の研究グループは、55歳以上のアテローム動脈硬化性血管疾患患者あるいは臓器障害を伴う糖尿病患者を対象に、ARBであるテルミサルタン、ACE阻害薬であるラミプリルおよびその併用投与が腎機能に及ぼす効果を比較検討した。試験期間は2001~2007年で、3週間のrun-in期間ののち2万5,620例がテルミサルタン群(80mg/日、8,542例)、ラミプリル群(10mg/日、8,576例)、併用群(それぞれ80mg/日+10mg/日、8,502例)に無作為に割り付けられ、腎機能の評価および蛋白尿の測定が行われた。フォローアップ期間(中央値)は56ヵ月であった。主要アウトカムは透析、血清クレアチニン値の倍化、死亡の複合発生率、副次アウトカムは透析、血清クレアチニン値の倍化の複合発生率とした。主要、副次アウトカムがともに併用群で有意に悪化試験期間中に低血圧症状で784例(テルミサルタン群229例、ラミプリル群149例、併用群406例)が治療を中止した。主要アウトカム(透析、血清クレアチニン値の倍化、死亡)の発生率は、テルミサルタン群(1,147件、13.4%)とラミプリル群(1,150件、13.5%)は同等であったが(ハザード比:1.00、95%信頼区間:0.92~1.09)、併用群(1,233件、14.5%)では有意に上昇した(1.09、1.01~1.18、p=0.037)。副次アウトカム(透析、血清クレアチニン値の倍化)の発生率も同様で、テルミサルタン群(189例、2.21%)とラミプリル群(174 例、2.03%)は同等であったが(1.09、0.89~1.34)、併用群(212例、2.49%)では有意に上昇した(1.24、1.01~1.51、p=0.038)。推定糸球体濾過率(eGFR)のベースラインからの低下は、テルミサルタン群(-4.12 mL/分/1.73m2)、併用群(-6.11 mL/分/1.73m2)に比べラミプリル群(-2.82 mL/分/1.73m2)で少なく、いずれも有意差を認めた(いずれもp<0.0001)。尿中アルブミン排泄の上昇は、ラミプリル群に比べテルミサルタン群(p=0.004)および併用群(p=0.001)で有意に少なかった。著者は、「血管リスクの高い集団では、テルミサルタンの腎機能に及ぼす効果はラミプリルと同等であり、両薬剤の併用投与はそれぞれの単剤投与に比べ蛋白尿は改善するものの腎機能はむしろ低下した」と結論し、「明確な蛋白尿が見られる腎疾患患者では、併用投与が腎不全の進行や透析の予防に有効な可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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安定冠動脈疾患患者へのPCI追加によるQOL改善効力は3年

慢性冠動脈疾患の治療法に関する臨床試験「COURAGE」では、最適薬物療法に経皮的冠動脈介入(PCI)を加えても、死亡率や心筋梗塞発生率の改善につながらなかった。しかし、最適薬物療法+PCIがQOLを改善できるかどうかを検証していた、同試験メンバーのWilliam S. Weintraub氏(米国・Christiana Care Health System)らは、「PCI追加によって、治療初期にはよりQOLが改善されるが、3年後には差がなくなる」と報告した。NEJM誌2008年8月14日号より。2,287例を薬物単独群とPCI追加群に割り付け慢性冠動脈疾患患者2,287例を無作為に、PCI+最適薬物療法群(PCI群)と最適薬物療法単独群(薬物療法群)に割り付けた。狭心症に特有の健康状態の評価は「Seattle Angina Questionnaire」(SAQ;0~100のスコアが高いほど良好な健康状態を示す)を用いて、また全般的な身体・精神機能は「RAND-36=36項目健康調査」によって評価した。24ヵ月までなら重症者ほどPCIの利点が大きいベースラインで狭心症の認められなかった患者は22%だが、3ヵ月後にはPCI群で53%、薬物療法群で42%となった(P

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tiboloneで骨折と乳リスクは低下するが脳卒中リスクが増大

合成ホルモン剤tiboloneには、エストロゲンやプロゲステロン、アンドロゲンと同様の効果があり、骨量減少を予防できるが、骨折や乳、心血管疾患に対する作用は不明である。この点について米国カリフォルニア大学のSteven R. Cummings氏らは、閉経後の高齢女性を対象にした大規模な無作為化試験の結果、「tiboloneは骨折と乳の発症リスクを低下させるが、脳卒中リスクを増大させる」と警告した。NEJM誌2008年8月14日号より。60~85歳の女性4,538例を対象にプラセボ対照試験試験は、60~85歳の女性を対象に、股関節または脊椎の骨密度のTスコアが-2.5以下か、同じくTスコア-2.0以下で脊椎骨折のX線所見が認められた4,538例を、tibolone投与群(1日1回1.25mg)と、プラセボ群に無作為に割り付け行われた。1年に1回X線写真撮影をして脊椎骨折を評価。また心血管イベントと乳発症率は、専門家委員会によって判定された。大腸リスクも低下したが脳卒中リスク増大で試験中止中央値34ヵ月の試験期間で、tibolone群とプラセボ群を比較すると、脊椎骨折のリスクは1,000人年につき70症例対126症例(相対ハザード:0.55、95%信頼区間:0.41~0.74、P

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心的外傷を負ったインドネシアの小児に対する精神保健介入

武力紛争に巻き込まれた中・低所得層の児童に対する、精神保健面の介入の有効性は明らかではない。貧困と不安定な政治状況では、対処は困難である。宗教紛争で住民に多数の犠牲者が出たインドネシア・ポソ県で活動するオランダのNGO「Health Net TPO」のWietse A. Tol氏らは、紛争で心的外傷を負った小児のために、学校ベースの介入を試み、その成果を報告した。JAMA誌2008年8月13日号より。405例にグループ介入を行い、待機群と成果を比較被験者は、同県で紛争が起きた地域から無作為に選んだ学校に通う平均年齢9.9歳(標準偏差:1.3)の小児で、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と不安障害を露呈している495例(包含率81.4%)。学校ベースのグループ介入は、5週間にわたる15セッションで、心的外傷に対応する行動や共同での遊び、創造的で表現力に富む構成要素を含んでおり、地元で訓練された助手によって行われた。介入は2006年3~12月に行われ、介入の1週間後と6ヵ月後に、非盲検法で治療の成果を比較。精神医学的症状は「Child Posttraumatic Stress Scale」と「Depression Self-Rating Scale」および「Self-Report for Anxiety Related Disorders 第5版」「Children's Hope Scale」などに基づいて評価した。PTSDは改善したが抑うつ症状には効果なし治療群は待機群より、PTSDの症状が有意に改善されていた(平均変化差:2.78、95%信頼区間:1.02~4.53)ほか、待機群より、希望を持ち続けることも認められた(-2.21、-3.52~-0.91)。しかし、ストレスに起因する身体症状の変化(0.50、-0.12~1.11)、抑うつ症状(0.70、-0.08~1.49)、不安障害(0.12、-0.31~0.56)、機能障害(0.52、-0.43~1.46)などには、治療群と待機群に有意な差異は認められなかった。紛争の影響にさらされた小児に対して、学校ベースの介入はPTSDを減らし、希望を持ち続けられるようになるなど一定の効果は認められた。しかし、抑うつ症状や不安症状、機能障害などには改善が認められなかったと結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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