サイト内検索|page:1603

検索結果 合計:35627件 表示位置:32041 - 32060

32041.

ドネペジル「新たな抗血管新生治療」の選択肢となりうるか?

 ドネペジルは可逆的アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、アルツハイマー病(AD)患者に使用される。最近の研究では、ドネペジル治療により末梢血単核球(PBMC)で炎症性サイトカインの産生を抑制することが報告されている。また、筋組織に由来する炎症性サイトカインが、下肢虚血モデルにおいて血管新生に重要な役割を果たすとの報告もある。九州大学 宮崎氏らは片側大腿動脈結紮にて作成した下肢虚血モデルマウスを用い、ドネペジルの虚血下肢での血管新生に及ぼす影響を検証した。Clin Sci (Lond)誌2012年8月号の報告。主な結果は以下のとおり。・2週間後の血流量回復とCD31陽性細胞の毛細血管密度は、コントロール群と比較してドネペジル群では有意に減少した。フィゾスチグミンでも同様に有意な減少がみられた。・ドネペジル群では、インターロイキン-1β(IL-1β)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現が減少した。・IL-1β筋肉内注射により、ドネペジルによって誘発されたVEGFダウンレギュレーションと抗血管新生作用が逆転した。・C2C12筋芽細胞における低酸素で誘導されるIL-1βの発現は、アセチルコリン、LY294002、PI3Kのプレインキュベーションよって阻害された。・ドネペジルは虚血下肢でAkt(プロテインキナーゼB:PI3K下流キナーゼ)のリン酸エステル化を阻害した。・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬によるコリン作動性刺激がPI3Kにより媒介されるIL-1β誘導抑制を通じて、VEGF発現の減少、血管新生を抑制することが示唆された。関連医療ニュース ・新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療 ・せん妄対策に「光療法」が有効! ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム

32042.

北茨城市のSOS

関西医科大学5年宮崎 貴子2012年8月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。事の始まりは、大学の社会医学実習である。社会医学実習は、基本的に福祉施設や保健所で行うことが多い。私は自主テーマ班に配分された。自主テーマ班は自ら研修先を手配し、研修内容も自ら決めることができる。様々な人との出会いがあり、東京で研修を受けることになった。東京での研修期間中、茨城県北茨城市にある医療法人誠之会 廣橋第一病院に同行させて頂く機会があった。私は、茨城県に行くこと自体が初めてだった。茨城県は南北に広く、北茨城市は福島県の県境にある。日立駅から車で約30分、あと数駅電車に乗れば福島県に入る所にこの病院はあった(スライド1: http://expres.umin.jp/mric/MRIC.vol.563.pptx )。廣橋第一病院は6階建て。1階は外来、2階は検査室、3~5階は療養病棟である。昭和48年創業なので、約40年続く病院ということになる。近隣に高い建物はなく、病院6階の屋上から先を見渡すと海が見えた。すぐ側には川が流れていた。この病院も震災の被害が残る病院の一つである。津波に飲み込まれる程ではないが、すぐ側の川が氾濫したそうだ。地震によって、白い建物全体に灰色のひびが入っていた。「斜めに走る亀裂は、壁表面の傷ではなく壁内部の梁が弱くなっているらしいです。」と事務局長の石澤敏さんが説明してくれた。3階の外壁には、X状にクロスしたひびがあった。5階の天井は部分的に崩れ落ち、当時屋上にあった給水塔も倒壊したため、天井からの雨漏りがずっと続いていたそうだ。3~5階の中は、まるで廃墟のようだった。マットもシーツもはがれた病床のベッド台は一部屋に固められ、食堂の机や椅子も端に山積みにされていた。ナースステーションに医療機器らしいものは何も見当たらない。閑散とした病室前には、患者さんの名前が書かれたプレートや誰かが作ったくす玉が残ったままだった。一年以上経った現在もなお、ここの入院病床は稼動しておらず、補修された1、2階で外来診療をかろうじて行っている状況であった。廣橋第一病院の復旧が遅れている理由は、多くの要因が存在する。一つは、震災の被害を大きく受けている地域にも関わらず、東北3県の影となり、国や市からの支援補助が十分でないこと。もう一つは、廣橋病院の医療従事者の不足および高齢化である。「入院病床を再び稼動させるには、病院を取り壊して新たに開設する必要があるが、どこからも支援がない状況でそれを遂行するのは難しい。仮に開設できたとしても、このまま医療従事者が減る一方では元も子もない。」と理事長の廣橋幽香子さんは頭を悩ませていた。しかし、これは廣橋第一病院だけの問題ではないことに注目して欲しい。北茨城市では、医療施設の不足・医師不足が甚だしい。これは現地に赴いてみると、すぐにわかる。大きな道路沿いでもクリニックが存在しなかった。この機会を用いて、茨城県の市町村ごとの医師偏在について調べた。すると、水戸市、つくば市周辺を除いた8割以上の地域で、日本人口千人あたりの平均医師数2.2人を大きく下回っていた。具体例を挙げると、北茨城市の人口千人あたりの医師数は0.8人である。世界で例えると、北茨城市はなんと『東南アジア』の平均と同等のレベルと言える(スライド2: http://expres.umin.jp/mric/MRIC.vol.563.pptx )。余談であるが、私の生まれである愛媛県今治市も少子高齢化が進む地域であり、気になったので同様の統計をとることにした。今治市の人口千人あたりの医師数は1.8人、世界では『トルコ』であり、日本の平均を下回る地域が愛媛県の7割を占める。自分の生まれの地域と比較していると、茨城県の医師不足の惨状がイメージしやすくなり、ただの数値の結果ではなく親身になれた。話は戻るが、北茨城市の医療は、市立総合病院とこの廣橋第一病院および第二病院でほとんどを担っている。もしもこの病院が完全に運営できなくなれば、北茨城市の医療崩壊は容易に目に浮かぶだろう。つまり、地域全体の問題であり、北茨城市を通して茨城県全体の問題でもあるといえる。また、北茨城市は、放射線による風評被害でも厳しい状況に置かれている。有名なアンコウは観光客を呼び込める目玉商品だが、客足は大きく遠のいた。国や県はホームページを通じて、随時セシウムの数値を公表しているが、一般の消費者には伝わりにくいのが現状である。医療現場だけでなく、産業面でも問題は多く残っているようだ。「医療崩壊を何とか食い止めたい。落ちてしまった医療レベルを引き上げたいんだ。」という思いを理事長の廣橋さんが話して下さった。「復旧に向けてアクションを起こしたい!そのためには人材が必要。」と言う。関西のただの医学生である私に今すぐお手伝いできることは数少ないが、この事態を認識し、関西でもなるべく多くの所に発信していきたいと思う。地震直後、廣橋第一病院に入院されていた患者さんは、そこから車で10分弱のところにある廣橋第二病院に移動したそうだ。現在も21人もの人がそこで入院しているが、その環境は決して良いとは言えなかった。その患者さん達のためにも今後の地域のためにも、新たなる廣橋第一病院の再稼動と北茨城市の再興を望む。また、廣橋さんの強い意志にも敬意を払いたい。

32043.

子宮頸がんリスク、子宮頸部細胞診正常でHPV陰性ならHIV感染による増大なし

子宮頸部細胞診が正常で発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性の女性において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の有無による、高度扁平上皮内病変以上(HSIL+)や子宮頸部上皮内腫瘍2以上(CIN2+)の、5年発症リスクの増大は認められないことが報告された。米国・Albert Einstein College of MedicineのMarla J. Keller氏らが、約700人の女性について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月25日号で発表した。HIV感染約400人と非感染の約300人を5年追跡研究グループは、2001年10月1日~2002年9月30日にかけて、試験開始時点で子宮頸部細胞診が正常だった、HIV感染の420人と、HIV非感染の279人の女性について、2011年4月30日まで追跡した。主要エンドポイントは、HSIL+とCIN2+の、5年累積発生率だった。被験者の平均年齢は、HIV感染群が34歳(標準偏差:7)、HIV非感染群が30歳(同:8)だった。被験者のうちHPV陰性は、HIV感染群中369人(88%、95%信頼区間:84~91)、HIV非感染群中255人(91%、同:88~94)だった。HIV感染群・非感染群ともに、HSIL+発症は1例、CIN2+発症は5%結果、追跡期間中にHSIL+が認められたのは、HIV非感染群で1人、HIV感染群でも1人(発症者のCD4細胞数は500/μL以上)だった。CIN2+も、HIV非感染群が145人中6人(累積発生率:5%、95%信頼区間:1~8)に対し、HIV感染群は219人中9人(同:5%、同:2~8)だった。9人は、CD4細胞数350/μL未満は1人(2%)、350~499/μLは1人(2%)、500/μL以上は7人(6%)だった。CIN3+発症はHIV感染群とHIV非感染群でそれぞれ1人ずつだったが、がんの発症は認められなかった。

32044.

HIVとHCV重複感染者、肝線維化進むほど肝細胞がんや死亡リスク増大

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染者では、肝線維化が進んでいるほど末期肝疾患・肝細胞がん・死亡の複合リスクが増大することが明らかにされた。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のBerkeley N. Limketkai氏らが、600人超の患者について行った、前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月25日号で発表した。638人を中央値5.8年追跡研究グループは、HIVとHCVの重複感染者で、ジョンズ・ホプキンスHIVクリニックで診察を受けている638人(黒人80%、男性66%)について、1993年7月~2011年8月まで、前向きに追跡した。追跡期間中央値は5.82年(四分位範囲:3.42~8.85)だった。肝線維化ステージについては、METAVIRスコアシステムで評価した。主要アウトカムは、末期肝疾患、肝細胞がんまたは死亡の複合アウトカム発生率だった。結果、試験開始時の肝線維化ステージが高いほど主要アウトカム発生率も増加することが示された。主要アウトカム発生率は1,000人・年当たり、肝線維化ステージF0の人は23.63、F1では36.33、F2は53.40、F3は56.14、F4は79.43だった(p

32046.

「第二世代抗精神病薬」長期投与の課題は…

 一般的に、抗精神病薬による代謝系の副作用は、第一世代抗精神病薬と比較し、第二世代抗精神病薬でより顕著に認められる。Schreiner氏らは代表的な第二世代抗精神病薬であるパリペリドンとオランザピンが、統合失調症患者の代謝系へ及ぼす影響と臨床効果を長期的に比較検討した。J Clin Psychopharmacol誌2012年8月号の報告。 統合失調症患者を対象とした6ヵ月間のオープンラベル多施設共同ランダム化並行群間比較試験。パリペリドン群(パリペリドンER錠を6-9㎎/日投与)239例、オランザピン群(オランザピン経口剤を10-15㎎/日投与)220例。主要評価項目は、インスリン抵抗性の指標であるTG/HDL比のベースラインからの平均変化量とした。その他の評価指標は、PANSSスコア、脂質とグルコース代謝の測定、体重とした。主な結果は以下のとおり。・両群ともに統合失調症症状の有意な改善が認められた(p

32047.

メチルフェニデート使用で“喫煙”が加速

 注意欠陥多動性障害(ADHD)患者は一般人と比較して喫煙率が高く、低年齢から喫煙を開始しており、禁煙が困難な場合が多い。そして、メチルフェニデートを使用することで喫煙の増加が短期的にみられることも、実験データから明らかになっている。しかし、長期的な影響に関してはまだわかっていない。Bron氏らは、メチルフェニデートにナイーブなADHD患者に対するメチルフェニデートの使用が、喫煙に与える短・長期的な影響、およびニコチンへの欲求に与える影響に関して調査を行った。Eur Neuropsychopharmacol誌オンライン版2012年7月17日号の報告。 対象はメチルフェニデートにナイーブなADHD患者325例。対象患者はベースライン時、メチルフェニデートによる治療開始後2週間目、3ヵ月目に喫煙に関する質問票(SQ)を記入した。SQの質問項目には、人口統計学的な属性データ、たばこの消費、ニコチンへの欲求、生活でのイベント、精神科診断、薬の使用が含まれていた。主な結果は以下のとおり。・ADHD患者におけるベースライン時の喫煙率は一般人の2倍であった(50.2% vs 25.6%、p

32048.

南相馬市の優しい人々のこと

雲雀ヶ丘病院堀 有伸2012年8月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。筆者は、今年の4月から志願して福島県南相馬市にある精神科単科の雲雀ヶ丘病院の常勤医になりました。震災前のこちらの病院では4病棟が稼働し、定床は250人強でした。現在は60床の閉鎖病棟が一つのみ再開されていて、ここが福島県の相双地区で唯一の入院できる精神科病棟となっています。常勤医は3人のみで、各方面からさまざまなご支援をいただいておりますが、厳しい勤務体制が続いています。こちらでの生活がもうすぐ4カ月となります。皆様は原発事故による放射能の影響を最初に連想されるかもしれません。もちろんそのことの不安がない訳ではありませんが、差し迫って感じるのは交通の不便さと住宅事情の悪さです。唯一の鉄道であった常磐線や、南へ向かう道路は原発事故のために断ち切られています。福島市に向かうには自動車を利用しなければなりません。カーブの多い山道を超えて1時間半から2時間かかります。公共交通機関は、2つの会社が運行するそれぞれ1日4本のバスだけになります。余暇などを楽しむ場合には、仙台を目指す方もたくさんおられます。住宅難も深刻です。私も勤務して最初の20日ほどは住まいが見つからず、ビジネスホテル住まいで、そこも毎日ホテル内で部屋を移動する状況でした。病院の昔からの職員の中にも仮設住宅や借り上げ住宅に暮らしている人が少なくないので、不満が言えるような状況ではありません。何とか病院がアパートを借りてくれましたが、そこは市内でも放射線量の高い地域でした。慣れない土地の単身生活で心細かったのですが、身に沁みたのはこちらの人々の気持ちの暖かさです。南相馬市の人々は本当に優しく、世話好きの方が多いのです。みんな気さくにいろいろと話しかけてくれます。しかし、そんな所で耳にする震災に関連した物語にも、驚くような話が少なくありませんでした。例えば、病棟でみんなが「あ~釣りに行きたい」と話しています。その中の誰かが、「あの家は津波で釣りの道具ごと流されたから諦めがつくだろうけど、うちは道具が残っているんだよね」と言っています。別の誰かは、「この前、はじめてお金を出してヒラメを買っちゃったよ」とつぶやいていました。その数日後に別の所で、「ヒラメをさばいたら、人の髪や爪が出てきたんだよ。そうしたら、もうヒラメを見るのも怖くなっちゃった」という話を聞きました。※注 現在、この地域で地元の方が自分で魚を釣ってそれを食べるということは、基本的に行われておりません。哀しさにあふれても仕方のない土地なのに、人々は明るく我慢強いのです。ボランティアなどでこの土地に来ている方々からも、逆に自分たちが土地の人々に癒されたという話を聞くことが少なくありません。海山の恵みに感謝し、きちんと土地と向かい合いながら皆さんが暮らしてきた様子が感じられました。こちらでの勤務が始まってしばらくした段階で、病院の中で他の職員に守られながら居心地良く過ごしている自分に気がついて驚いたことがありました。そして同時に、精神科医泣かせの土地かもしれないとも感じました。皆さん、精神科への通院や服薬を潔とされません。市内には潜在的な精神症状の保持者がたくさんいると予想されるのにも関わらず、なかなか外来を訪れる方が増えないもどかしい思いも持っております。今年の5月28日、警戒区域内の自宅を一時帰宅した男性が自殺を遂げ、現地の人々に強い衝撃を与えました。伝えられている所によると、遺書はなかったものの、今までの商売を継続できなくなったことを日頃から家族に嘆いていたそうです。普段、いろいろな悲しみを呑み込んで何とか暮らしていた方が、一時帰宅という形で失われてしまったものの現実に触れた時に、何かが起こってしまったのかもしれません。地元の保健センターの仲介で、私たちには仮設住宅や借り上げ住宅を訪問する機会が与えられています。ある仮設住宅の集会場でうつ病について説明させていただいたのですが、その時にこんなお話をうかがいました。ある女性がとても精神的につらくなり、市内の心療内科で睡眠薬を処方してもらい、そのおかげで夜に眠れるようになったそうです。しかし仮設住宅の防音は不十分です。その方は睡眠薬で深く眠った結果として、隣人からいびきについて責められてしまいました。それでも相手に不満を述べることもなく、かえって気持ちの余裕をなくしている相手のことを心配されていました。「うつ病」について語る私に対して、決して責めるのではなかったのですが、「先生、申し訳ないのですけど、先生のお話を聞いても私たちのつらいのは解決しないんです」と声をかけてくれた方もおられました。私は悟りました。今までのように病院や診療所の中に座って待っている精神科医療では、この土地の問題には対応できないことを。土地に根づいた生活をしていた方々が、その培ってきた人間関係から引き剥がされました。孤立や混乱、時には対立がある中で、将来の見通しが立たないまま、不自由な生活が長期化しています。どこかで人々の気持ちが折れてしまうのではないかと、多くの人が心配をしています。それでも南相馬市には、自分のことを二の次にして周囲の世話を焼いてくれる人が少なくありません。例えば、より原発に近い地域にもともとお住まいで、現在避難中の方々の一部を受け入れているのも、南相馬市です。福島第一原発の廃炉のための作業が行われていますが、こちらにも当然多くの貢献を行っています。ある意味では、この土地の人々の努力と犠牲の恩恵に、日本全体が浴しているわけです。そして、私たち外部からの「支援者」の世話を焼いてくれているのも、南相馬市の方々です。この南相馬市の人々が我慢強く優しいのに甘えて、周囲が負担を押し付けるばかりで、その苦難が適切に省みられないのだとしたら、それは正当なこととは思えないのです。まだまだ分からないことばかりですが、こちらでの診療活動を続けて行くつもりです。若輩者ですから、皆様からのご指導ご鞭撻をいただけますことを、お願い申し上げる次第です。

32049.

難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」

 うつ病患者のうち、抗うつ薬が奏効するのはわずか2/3程度であり、治療に難渋することも少なくない。近年、抗うつ薬に非定型抗精神病薬を併用するうつ病の薬物治療は、効果的かつ高い忍容性が認められるといわれている。産業医科大学 吉村氏らは難治性うつ病患者におけるSSRIとアリピプラゾールとの併用による有効性を検討した。Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry誌オンライン版2012年7月17日号の報告。 対象は、少なくとも2種類以上の抗うつ薬による治療が奏功しなかった大うつ病患者24例(DSM-Ⅳ基準を満たす、男:女=9:13、年齢28~66歳[平均±SD=39±12])。対象患者に対しパロキセチン(11例)またはセルトラリン(13例)を4週間投与し、その後HAMD17スコア減少率が50%以下であった患者に対し、アリピプラゾール併用を4週間行った。主な結果は以下のとおり。・SSRI単独療法と比較し、アリピプラゾール併用療法はHAMD17スコアを低下させた。・パロキセチン+アリピプラゾール群とセルトラリン+アリピプラゾール群におけるHAMD17スコアの変化量には、有意な差は認められなかった。・難治性うつ病に対する薬物治療として、パロキセチンまたはセルトラリンにアリピプラゾールを併用することは効果的かつ良好な忍容性が認められる。 なお、国内におけるアリピプラゾールの効能・効果は「統合失調症」「双極性障害における躁症状の改善」である(2012年7月末現在)。関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット ・PETでみるアリピプラゾール「なぜ、EPSが少ないのか」

32050.

妊娠高血圧腎症の診断、スポット尿による尿蛋白/クレアチニン比が有用

妊娠高血圧腎症が疑われる妊婦では、スポット尿を用いた尿蛋白/クレアチニン比の評価が、重度蛋白尿の検査法として有用なことが、英国・バーミンガム大学のR K Morris氏らの検討で示された。妊娠高血圧腎症は多系統的血管内皮障害(multisystem endothelial disease)で、糸球体血管内皮症を来し、重症化すると腎機能障害や腎不全に至る。妊婦および周産期の合併症や死亡の主な原因で、妊婦の2~8%が罹患するという。スポット尿検体を用いた尿蛋白/クレアチニン比は24時間尿蛋白の予測値とよく相関し、妊娠高血圧腎症の診断法として有望視されている。BMJ誌2012年7月21日号(オンライン版2012年7月9日号)掲載の報告。スポット尿検査による重度蛋白尿の診断精度をメタ解析で評価研究グループは、妊娠高血圧腎症が疑われる妊婦において、重度蛋白尿や不良な妊娠アウトカムに関する2つのスポット尿検査(尿蛋白/クレアチニン比、尿中アルブミン/クレアチニン比)の診断精度(accuracy)を評価するために系統的レビューとメタ解析を行った。データベースの1980~2011年のデータを検索し、論文の参考文献リストを調査し、専門雑誌に当たり、研究者と連絡を取った。対象は、高血圧がみられる妊婦に関する診断的試験であり、スポット尿検体を用いた尿蛋白/クレアチニン比や尿中アルブミン/クレアチニン比と24時間尿蛋白排泄量や不良な妊娠アウトカムを比較した試験とした。20試験、約3,000人の妊婦のデータを解析20試験に参加した2,978人の妊婦が解析の対象となった。多変量解析には、蛋白尿の検出に尿蛋白/クレアチニン比の評価を行った13試験が含まれた。尿蛋白/クレアチニン比の閾値は0.13~0.5で、感度は0.65~0.89、特異度は0.63~0.87であり、サマリー受信者動作特性(ROC)曲線下面積は0.69だった。全試験の尿蛋白/クレアチニン比の最適閾値(感度と特異度を統合して最適化)の平均値は0.30~0.35と推定された。しかし、試験の診断精度には閾値に関して著明な不均一性が認められた。尿蛋白/クレアチニン比と不良な妊娠アウトカムの関連を調査した試験はなかった。尿中アルブミン/クレアチニン比のメタ解析は不可能だった。尿中アルブミン/クレアチニン比と不良な妊娠アウトカムについて検討した試験が1つあり、周産期死亡の感度は0.82(同:0.48~0.98)、特異度は0.59(同:0.51~0.67)だった。著者は、「妊娠高血圧腎症が疑われる妊婦では、スポット尿を用いた尿蛋白/クレアチニン比の評価が、重度蛋白尿の有望な検査法となることが示された。一方、診断精度の不均一性のため、日常診療への尿蛋白/クレアチニン比の導入を支持するに十分なエビデンスはない。また、尿中アルブミン/クレアチニン比や、不良な妊娠アウトカムを予測する検査のエビデンスも不十分である」と結論している。

32051.

プライマリ・ケアにおける高リスク色素性皮膚病変の診断、新規診断法の追加は有効か?

プライマリ・ケアにおける色素性皮膚病変の診断では、現行のbest practiceにコンピュータ化された新規診断法を追加しても、専門医への適切な紹介は改善されないことが、英国ケンブリッジ大学のFiona M Walter氏らの検討で示された。皮膚がんは英国における重大な死亡原因であり、発生率は年ごとに増加しており、予後の改善には早期の発見と管理が重要とされる。課題は、メラノーマ(悪性黒色腫)の、他の色素性皮膚病変との鑑別であり、プライマリ・ケアへの新たな診断技術の導入が診断能を改善し、高リスク色素性皮膚病変の専門医への適切な紹介につながる可能性があるという。BMJ誌2012年7月21日号(オンライン版2012年7月4日号)掲載の報告。新たな診断法追加の効果を無作為化対照比較試験で評価研究グループは、プライマリ・ケアにおける現行のbest practice(病歴、肉眼的検査、7項目のチェックリスト)に、新たにコンピュータ化された診断法(MoleMateシステム)を加えることで、色素性病変が疑われる患者の2次医療への紹介がより適切に行われるかを検討し、医師および患者に及ぼす影響を評価する無作為化対照比較試験を実施した。イングランド東部の15のプライマリ・ケア施設が参加し、即座に良性病変とは診断されなかった色素性皮膚病変患者1,297例が登録された。これらの患者が、best practiceのみの群(対照群)あるいはbest practiceにMoleMateシステムによる診断を加える群(介入群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は「紹介の妥当性(紹介した病変のうち生検またはモニタリングが実施された病変の割合)」とし、副次的評価項目には医師関連(診断能、信頼性、学習効果)、患者関連(満足度、不安)の項目も含めた。紹介の妥当性:介入群56.8%、対照群64.5%1,297例の1,580病変が解析の対象となり、介入群に643例の788病変が、対照群には654例の792病変が割り付けられた。紹介の妥当性は、介入群が56.8%(130/229病変)、対照群は64.5%(111/172病変)で有意な差を認めなかった(群間差:-8.1%、95%信頼区間:-18.0~1.8%)。プライマリ・ケアで適切に管理された良性病変の割合は介入群99.6%、対照群99.2%(p=0.46)、専門医による生検、モニタリングの決定との一致率はそれぞれ98.5%、95.7%(p=0.26)で、いずれも有意な差はなかった。専門医による良性病変の判定との一致率は、介入群が84.4%と、対照群の90.6%に比し有意に低かった(p

32052.

持効性注射剤のメリットは?アドヒアランスだけではなかった

 画像研究や死後脳研究などから, 統合失調症患者では前頭葉皮質内のミエリン形成の異常が多く認められる。ミエリンは、軸索伸長の阻害や神経可塑性に関わることで適切な神経ネットワークの構築に関与すると考えられている。 これまでのMRI研究では、統合失調症に対する抗精神病薬による治療において、初期段階で前頭皮質内のミエリンが増加し、その後、慢性期になるとすぐに減少することが示唆されている。慢性期統合失調症患者のミエリン減少は服薬アドヒアランス低下や薬物動態が関与しており、持効性注射製剤により改善する可能性もある。Bartzokis氏らは持効性注射製剤のミエリン形成に及ぼす影響を検討した。Schizophr Res誌オンライン版2012年7月16日号の報告。 初発統合失調症患者をリスペリドン持効性注射剤投与群(RLAI群)9名、リスペリドン経口剤投与群(RisO群)13名に無作為に割り付け、6ヵ月後の健常者(12名)との比較にて評価を行った。主要評価項目は、前頭葉皮質内のミエリンの変化量とした。ミエリン量はMRI画像による回転回復法(IR)、プロトン密度(PD)で評価した。また、服薬アドヒアランスを追跡調査した。主な結果は以下のとおり。・健常者と比較し、RLAI群ではミエリン量は有意に増加したが(p=0.005)、RisO群では有意な変化は認められなかった(p=0.39)。・両群における治療効果の差は、有意傾向であった(p=0.093)。・RLAI群は服薬アドヒアランスが良好であり、より多いミエリン量の増加が認められた(カイ二乗検定:p

32053.

運動不足の解消で寿命が0.68年延長

冠動脈心疾患や糖尿病、がんなどの主な非伝染性疾患の6~10%が運動不足に起因し、運動不足が解消されれば寿命が0.68年(約8ヵ月)延長することが、米国ハーバード大学医学校ブリガム・アンド・ウェイメンズ病院のI-Min Lee氏らLancet Physical Activity Series Working Groupの調査で明らかとなった。運動不足は、冠動脈心疾患、2型糖尿病、乳がん、結腸がんなどの非伝染性疾患のリスクを増大させ、余命を短縮することを示す高度なエビデンスが存在する。多くの国では国民の運動不足が指摘されているため、運動不足と非伝染性疾患の関連は保健医療上の重要な課題となっている。Lancet誌2012年7月21日号(オンライン版2012年7月18日号)掲載の報告。運動不足の影響を定量的に評価研究グループは、運動不足の集団が運動を行った場合に、どの程度疾患が回避され、余命の延長が得られるかを予測することで、主な非伝染性疾患に及ぼす運動不足の影響を定量的に評価した。疾病負担の解析では、運動不足が解消した場合の疾患回避率を予測するために、個々の非伝染性疾患に関する標準的な条件を用いて運動不足と関連する人口寄与割合(PAF)を国ごとに算出した。生命表分析を行って余命の延長を推算した。健康リスクは喫煙や肥満と同等冠動脈心疾患の疾病負担の6%(最低値は東南アジア地域の3.2%、最高値は地中海東部地域の7.8%)が運動不足に起因すると推定された。運動不足の2型糖尿病への寄与は7%(範囲:3.9~9.6%)、乳がんへの寄与は10%(5.6~14.1%)、結腸がんへの寄与は10%(5.7~13.8%)と推察された。2008年に世界で発生した若年死の9%(5.1~12.5%)、すなわち5,700万件の若年死のうち530万件が運動不足に起因していた。運動不足が、完全ではないまでも10%解消されれば年間に53万3,000件以上、25%解消された場合は130万件以上の死亡が回避されると推定された。運動不足が完全に解消されれば、世界の余命は中央値で0.68年(0.41~0.95年)延長すると予測された(ちなみに、日本は0.91年の延長)。著者は、「世界的に、運動不足の健康への影響は大きい。不健康な行動の低減や除去により、健康は実質的に改善される可能性がある」と結論づけ、「運動不足の健康リスクは、確立されたリスク因子である喫煙や肥満と同等なことがわかった。1日15~30分の早歩きなどの適度な運動が健康効果をもたらすことが知られており、運動不足の低減に向けたあらゆる尽力を支援すべきである」と指摘している。

32054.

心房細動に対する抗不整脈薬、長期投与は必要か?

 心房細動(AF)に対する除細動後の抗不整脈薬による短期治療は、長期治療よりも効果が低いが、多くの患者でAFの再発を抑制する可能性があることが、ドイツ・ミュンスター大学病院のPaulus Kirchhof氏らが行ったFlec-SL試験で示された。除細動後の抗不整脈薬治療は、心房の活動電位の持続時間と有効不応期を延長することでAFの再発を予防する。抗不整脈薬治療で洞調律が得られれば、2~4週後には心房の活動電位が正常化するため、それ以上の投与は不要な可能性があるという。Lancet誌2012年7月21日号(オンライン版2012年6月18日号)掲載の報告。フレカイニドの長期投与群に対する短期投与群の非劣性を検証 lec-SL(Flecainide Short-Long trial)試験は、抗不整脈薬の長期投与に対する短期投与の非劣性を検証するプロスペクティブな無作為化試験。 2007年5月4日~2010年3月12日までに、ドイツの44施設から18歳以上の除細動を行う予定の持続性AF患者が登録された。除細動後、患者は抗不整脈薬治療を行わない群(対照群)、抗不整脈薬フレカイニド(商品名:タンボコール)200~300mg/日を4週投与する群(短期投与群)、同様に6ヵ月投与する群(長期投与群)のいずれかに無作為化に割り付けられた。 主要評価項目は6ヵ月後の持続性AFの再発または死亡とした。フレカイニド治療割り付け情報は患者と担当医には知らされたが、解析を行う研究者にはマスクされた。遠隔測定心電計およびHolter心電計を用いてAFを6ヵ月間測定し、per-protocol解析を行った。フレカイニド短期投与群の無イベント生存率は48.4%で長期投与群は56.4% 635例(intention-to-treat集団)が登録され、対照群に81例、フレカイニド短期投与群に273例、長期投与群には281例が割り付けられた(per-protocol集団は、それぞれ77例、261例、263例)。242例のデータを4週間追跡してフレカイニド治療が無治療よりも有効であること(Kaplan-Meier法による生存予測値:70.2% vs 52.5%、p=0.0160)を確認した後、短期投与群と長期投与群の比較を継続した。 6ヵ月後の持続性AFの再発率は、フレカイニドの短期投与群が46%(120/261例)、長期投与群は39%(103/263例)で、死亡例は両群とも認めなかった。無イベント生存率はフレカイニド短期投与群が48.4%、長期投与群は56.4%で、Kaplan-Meier法による予測値の差は7.9%であり、非劣性は示されなかった(境界値:12%、p=0.2081)。intention-to-treat解析では予測値の差は6.3%だった(p=0.1073)。 1ヵ月後までに主要評価項目に到達しなかった症例を対象とする事後的なランドマーク解析では、Kaplan-Meier法による生存予測値はフレカイニドの長期投与群が短期投与群を有意に上回っていた(両群の差:14.3%、ハザード比:0.31、p=0.0001)。 著者は、「除細動後の抗不整脈薬による短期治療は、長期治療よりも効果が低かったが、多くの患者でAFの再発を抑制する可能性が示唆された」と結論し、「無治療との比較では、抗不整脈薬の短期治療は、長期治療の効果の約80%を達成しており、長期治療が適切でない患者(抗不整脈薬により心室性の催不整脈作用を来すリスクが高い例やAFの再発リスクが低い例など)に適応となる可能性がある」と考察している。

32055.

転移性大腸がんに対するIRIS+セツキシマブの安全性~第10回日本臨床腫瘍学会学術集会

 転移性大腸がんに対するIRIS+セツキシマブの第II相試験の安全性解析結果から、本レジメンでは下痢の発現頻度が高く、投与にあたっては減量などのコントロールが重要であり、試験の事務局でデータを管理し対処方法を検討しながら試験を進めていく必要性が示された。第10回日本臨床腫瘍学会学術総会(2012年7月26~28日)のワークショップ6「大腸がん・新しい方向性」で、北海道大学病院腫瘍センターの小松嘉人氏が報告した。 KRAS野生型の転移性結腸直腸がんに対する2次治療としてのIRIS(イリノテカン+S-1)+セツキシマブの効果と安全性を評価する多施設シングルアーム第II相試験(HGCSG0902)における最初の20例での安全性の解析結果が報告された。 S-1は80 or 100 or 120mg/body/日(分2)を14日間投与した後14日間休薬、イリノテカンは100mg/m2(1日目・15日目)、セツキシマブは、Weekly(400mg/m2→250mg/m2/週)もしくはBi-weekly(400mg/m2→500mg/m2/2週)で投与した。1次エンドポイントは奏効率、2次エンドポイントは病勢コントロール率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性であり、今回は安全性を解析し報告した。 患者背景は、年齢中央値は65歳(範囲:42~74歳)、男性が65%、ECOG PSは0が60%、1が35%であった。また、転移は肝転移が75%と最も多く、前治療はmFOLFOX±ベバシズマブ、XELOX±ベバシズマブなどであった。セツキシマブの投与方法は、Weeklyが45%、Bi-weeklyが55%であった。 本試験による有害事象のうち、血液毒性はGrade3以上の骨髄抑制や高カリウム血症が20~30%発現しているが、通常の臨床試験と同程度であり、許容できる範囲あった。非血液毒性は皮膚毒性が見られるが、こちらも許容される範囲であった。しかし、Grade3以上の下痢が45%と高頻度に発現した。投与中止理由は、中止例19例のうち、PDによる中止が11例、副作用による中止が3例で、そのうち2例が下痢であった。セツキシマブの投与方法による下痢発現の差はなかった。 今回の解析から、小松氏は、「下痢以外の副作用は許容できると思われるが、下痢についてはかなり厳しく、減量などのコントロールが重要である。今後はさまざまなデータを事務局で管理して、対処方法をともに相談しながら進めていかなければならない」と結論した。

32059.

限局性前立腺がん、手術 vs.経過観察の死亡率、有意差認められず

前立腺特異抗原(PSA)検査で限局性前立腺がんが発見された男性患者について手術群と経過観察群を比較した無作為化試験の結果、最短12年追跡の手術群の全死因死亡率および前立腺がん死亡率が経過観察群よりも有意な低下は認められなかったことが報告された。米国・ミネソタ大学のTimothy J. Wilt氏らが、PSA検査が普及した初期の患者731例(平均年齢67歳)を対象に行った試験結果で、絶対差は3%ポイント未満であったという。初期ステージの前立腺がん、とくにPSA検査で発見された腫瘍に関する治療をめぐっては、手術か経過観察かその有効性が明らかになっておらず議論の的となっていた。NEJM誌2012年7月19日号掲載報告より。追跡中央値10年の全死因死亡、手術群47.0%、経過観察群49.9%、P=0.22Wilt氏らは、1994年11月~2002年1月の間に前立腺がんと新規診断された1万3,022例について調査した。スクリーニングの結果、試験適格であった731例を、根治的前立腺全摘除術を受けた群(364例)もしくは経過観察群(367例)に無作為化し2010年1月まで追跡した。被験者のPSA検査で限局性前立腺が発見された731例は、平均年齢67歳で85%が自立した生活を送っており、PSA中央値7.8ng/mL、約50%が疾患ステージT1cだった。主要アウトカムは、全死因死亡とし、副次アウトカムは前立腺がん死亡率とした。追跡期間中央値10年の間に、手術群の死亡は471例(47.0%)、経過観察群は183例(49.9%)で、手術群の有意な低下は認められなかった(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.71~1.08、P=0.22、絶対リスク低下:2.9%ポイント)。手術群の有意な全死因死亡低下、PSA値10ng/mL超、中間・高リスクの被験者前立腺がんまたは治療による死亡は、手術群21例(5.8%)、経過観察群31例(8.4%)だった(同:0.63、0.36~1.09、P=0.09、絶対リスク低下:2.6%ポイント)。全死因死亡と前立腺がん死に対する治療効果は、年齢、人種、併存する疾患、自己報告の自立状況、腫瘍の組織学的所見による差は認められなかった。手術群は、PSA値10ng/mL超の被験者(交互作用のP=0.04)と、中間リスクまたは高リスクの患者(交互作用のP=0.07)で、全死因死亡の低下が有意であった。手術後30日間の有害事象発生は21.4%、死亡は1例だった。

32060.

子どもの卵アレルギー、卵白粉末を用いた経口免疫療法が有望

卵アレルギーの子どもに対し卵白粉末を用いた経口免疫療法を行った結果、高率の脱感作が示され、持続的不応性を誘導できる可能性があることが、二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告された。米国・デューク大学小児科のA. Wesley Burks氏らが5~11歳児55例を対象に行った試験で、22ヵ月時点で75%が脱感作、24ヵ月時点での経口食物負荷試験の合格児は28%で全例がその後30、36ヵ月時点でも卵を食べることができたという。現状では、卵アレルギーには非摂取が唯一の回避策とされている。本結果を踏まえてBurks氏は、「非常に有望な治療的介入を発見した」と結論。推奨治療とするためにリスク定義や、薬物療法との定量化、患者の同定、長期の免疫寛容を助長するためポスト脱感作戦略の開発などが重要だとまとめている。NEJM誌2012年7月19日号掲載報告より。卵アレルギー児55例を経口免疫療法群とプラセボ群に無作為化Burks氏らの試験は、5~11歳(年齢中央値7歳)の卵アレルギー児55例を無作為に、経口免疫療法を受ける群(40例)とプラセボ群(15例)に割り付け行われた。経口免疫療法群は、初期漸増期、増強期、維持期(卵白粉末を最高1日2g、卵3分の1相当量を摂取)を経た後、10ヵ月時点と22ヵ月時点で卵白粉末を用いた経口食物負荷試験が行われた。その後、22ヵ月時の試験合格児は、経口免疫療法を中止し4~6週間あらゆる卵の摂取を避け、24ヵ月時点で、持続的不応性をみる経口食物負荷試験が卵白粉末と全卵料理を用いて行われた。さらに、この24ヵ月時点の試験合格児は、卵を適宜摂取することが認められ、30ヵ月時点と36ヵ月時点で持続的不応性の評価が行われた。試験の主要エンドポイントは、22ヵ月時点の持続的不応性であった。22ヵ月時点で経口免疫療法群の75%に脱感作10ヵ月時点の経口食物負荷試験(卵白粉末5g)には、プラセボ群0例に対し、経口免疫療法群は55%が合格した。22ヵ月時点の同試験(卵白粉末10g)では、経口免疫療法群の75%に脱感作が認められた。経口免疫療法群では28%(11/40例)が、24ヵ月時点の経口食物負荷試験に合格し持続的不応性であるとみなされた。また全員がその後、30ヵ月、36ヵ月時点でも卵を摂取することができた。24ヵ月時点の経口食物負荷試験合格では、免疫マーカーの測定結果として、プリックテストの膨疹径が小さいこと、卵特異的IgG4抗体値の上昇が認められた。

検索結果 合計:35627件 表示位置:32041 - 32060