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肺気腫と気道閉塞は、心機能と負の相関

肺気腫および気道閉塞がより重症であるほど、左室充満の障害が大きく、1回拍出量、心拍出量が減少するという負の相関が、一般住民ベースの研究によって確認された。その関連は、喫煙者ほど大きいことも判明したという。報告は米国コロンビア大学医学部のR. Graham Barr氏らによる。Barr氏らは、きわめて重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、肺血管抵抗が高まり肺性心を生じ、2次的に左室充満、1回拍出量、心拍出量が減少するが、重度の肺疾患を有していなくとも、肺気腫や気道閉塞と心機能とには負の相関があるのではないかと仮定し検討を行った。NEJM誌2010年1月21日号掲載より。45~84歳の2,816例を対象に評価Barr氏らは、45~84歳の2,816例を対象に評価を行った。左室構造と左室機能の評価はMRIを用いて行い、肺気腫の重症度(肺気腫率:%)は心臓CTによって定義(-910ハウンスフィールド単位未満のボクセルのパーセンテージの肺野条件)され、スパイロメトリー検査は、米国胸部疾患学会(ATS)ガイドラインに基づき行われた。そのうえで、一般化加法モデルを用いて、閾値効果の検討を行った。現喫煙者のほうが負の相関関係は強い被験者のうち、現喫煙者は13%、元喫煙者は38%、非喫煙者は49%だった。肺気腫の重症度の10ポイント上昇と、左心室拡張末期容積の減少(-4.1ml、95%信頼区間:-3.3~-4.9、P<0.001)、1回拍出量の減少(-2.7mL、同:-2.2~-3.3、P<0.001)、心拍出量の減少(-0.19L/分、同:-0.14~-0.23、P<0.001)とには直線的な関連がみられた。この関連は、現喫煙者が、元・非喫煙者に比べて強かった。気道閉塞の重症度は、左室構造と左室機能にも関連しており、喫煙状況による影響も同様にみられた。なお、肺気腫の重症度および気道閉塞の重症度と、左室駆出率との関連は認められなかった。(医療ライター:朝田哲明)

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高齢者へのイチョウ葉エキスの長期投与、認知能力低下の抑制効果みられず

高齢者に対し、イチョウ葉エキス(Ginkgo biloba)を長期に投与しても、認知能力低下の抑制効果はみられないことが報告された。イチョウ葉エキスについて、その長期的効果の有無を検討した大規模臨床試験は珍しいという。米国・ピッツバーグ大学神経内科のBeth E. Snitz氏らが、3,000人超の高齢者について行った、無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Ginkgo Evaluation of Memory」(GEM)の結果明らかにしたもので、JAMA誌2009年12月23/30日合併号で発表した。記憶力、注意力、空間視覚能力などの低下幅に有意差なしGEM試験は、2000~2008年にかけて米国の6つの大学病院で、72~96歳の高齢者3,069人を2群に分け、一方の群にはイチョウ葉エキス120mgを1日2回(1,545人)、もう一方の群にはプラセボを投与(1,524人)し追跡した。追跡期間中、改変ミニメンタルステート検査(3MSE)とアルツハイマー病評価尺度の認知度サブスケール(ADAS-Cog)検査、記憶力や注意力などに関する検査を定期的に行った。追跡期間の中央値は、6.1年だった。その結果、記憶力や注意力などに関するZスコアの年間低下幅は、投与群とプラセボ群で有意差がなかった。具体的には、投与群とプラセボ群のZスコア年間低下幅はそれぞれ、記憶力が0.043と0.041、注意力が0.043と0.048、空間視覚能力が0.107と0.118、言語力が0.045と0.041、実行機能が0.092と0.089だった。3MSEとADAS-Cogのスコア低下率、両群で差はみられず3MSEとADAS-Cogいずれのスコアは基線では差があったにもかかわらず、低下率は両群で有意差がなかった(3MSEについてのp=0.71、ADAS-Cogのp=0.97)。能力低下に対する治療効果には、年齢や性別、人種や教育レベル、APOE*E4対立遺伝子の有無や試験開始時の軽度認知障害の有無などで、有意差はなかった(p>0.05)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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冠動脈疾患患者、血中の海洋性ω-3脂肪酸濃度が高いほど、白血球テロメア長の短縮速度が遅い

安定期冠動脈疾患患者で、血中の海洋性オメガ(ω)-3脂肪酸濃度が高いほど、老化の指標である白血球テロメア長の短縮速度が遅いことがわかった。これまでの研究から、海洋性ω-3脂肪酸の摂取が、冠動脈性心疾患患者の生存期間の延長に関与することは明らかになっていたが、その背景となる機序については不明だった。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ総合病院循環器科のRamin Farzaneh-Far氏らが、600人超を対象に行った前向きコホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2010年1月20日号で発表した。608人を中央値6年追跡Farzaneh-Far氏らは、2000年9月~2002年12月にかけて、安定期冠動脈疾患の患者608人について試験を開始し、その後2009年まで追跡した。追跡期間は5.0~8.1年で、中央値は6.0年だった。試験開始時と終了時に、白血球テロメア長を調べた。そして、試験開始時の血中海洋性ω-3脂肪酸[ドコサヘキサエン酸(DHA)+エイコサペンタエン酸(EPA)]濃度と白血球テロメア長の短縮速度について、関連性を調べた。結果、試験開始時の血中DHA+EPA濃度が最も低い四分位範囲の群では、白血球テロメア長の短縮速度が最も速かった(5年間に0.13T/S単位、95%信頼区間:0.09~0.17)。一方、同濃度が最も高い四分位範囲の群では、同速度は最も遅かった(5年間に0.05T/S単位、95%信頼区間:0.02~0.08、四分位範囲ごとの線形トレンドp

32024.

医療現場で見逃される遺伝性血管性浮腫(HAE)とは

2010年1月27日、CSLベーリング株式会社本社(勝どき)にて、「血漿分画製剤と共に生きる」と題して開催されたメディアセミナーについてお届けする。順天堂大学医学部腎臓内科 客員准教授の大井洋之氏は、遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angio Edema:HAE)が疾患としてほとんど認知されていない現状と、今後、医療従事者や製薬会社のみでHAEの認知理解を進めていくには限界があることを示唆した。大井氏によれば、「HAEが、補体の制御因子であるC1 INH欠損によって発症することはすでに明らかになっており、またHAEの診断は比較的容易で、C1 INH製剤による補充療法も可能な疾患である」ため、現在のHAE治療における最大の問題点は、「その認知理解の低さ」にあるという。その背景として、HAEがこれまで一部の医師や補体研究者のみの認知にとどまっていたことや、原因不明の浮腫として扱われていたこと、そして呼吸器・消化器にも浮腫が出現し、激しい症状をきたすことなどがほとんど知られていなかったためであるとした。なお、欧米では5万人~15万人に1人の頻度で発症するとされており、日本での有病率はいまだ不明だという。大井氏は、現在進めているHAEの啓蒙活動によって、「2~3年後には有病率が明らかになることを期待したい」と述べた。続いて、HAEがC1 INHの遺伝子異常で発症する常染色体性遺伝の遺伝性疾患であり、その症状は主にブラジキニンによるものであることを紹介した。HAE発症後、症状は、皮下、粘膜下、消化器、喉頭などに起こり、喉頭浮腫が適切に治療されない場合の致死率はおよそ)30%に上るという。発作は、精神的ストレスや外傷、抜歯、薬物投与などで誘発されることがあり、薬物投与では特にACE阻害薬に注意が必要だと述べた。 そのほか、補体研究会における取り組みや、疾患認知度に関するアンケート結果などから、医療現場でもいまだにHAEが認知されていない現状についても紹介した。大井氏は最後に、「過剰に不安をあおることなくHAEの認知理解が進むように、医療従事者・研究者・メディアなどが協力していかなければならない」と強く訴え、本講演を終えた。(ケアネット 片岡磨衣子)

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重篤な低血糖により糖尿病患者の死亡リスクが増大、ACCORD試験の疫学的解析

ACCORD試験のレトロスペクティブな疫学的解析の結果、2型糖尿病患者では重篤な症候性低血糖により、血糖低下療法の強度にかかわらず死亡リスクが増大するが、1回以上の低血糖エピソードのある患者では強化血糖低下療法の方が標準的血糖低下療法よりも死亡リスクは低いことが示された。ACCORD試験は、心血管リスクが高度な2型糖尿病患者では血糖値を積極的に正常化させることでリスクを低減できるとの仮説を検証するために実施されたが、平均フォローアップ期間3.5年の時点で強化血糖低下療法の方が有意に死亡率が高いことがわかり、2008年2月に中止された。アメリカ国立衛生研究所(NIH)心肺血液研究所(NHLBI)のDenise E Bonds氏らが、BMJ誌2010年1月16日号(オンライン版2010年1月8日号)で報告した。ACCORD試験登録患者データを用いた後ろ向きの疫学解析研究グループは、ACCORD試験の登録患者データを用いて低血糖と死亡率の関連を検討するレトロスペクティブな疫学的解析を行った。ACCORD試験の対象は、スクリーニング時のHbA1C値≧7.5%の2型糖尿病患者で、心血管疾患を有する40~79歳の患者、あるいは潜在疾患が証明されるか2つ以上の心血管リスク因子を有する55~79歳の患者であった。強化血糖低下療法群はHbA1C値<6.0%を、標準的血糖低下療法群はHbA1C値7.0~7.9%を目標に治療が行われた。重篤な低血糖により両群とも死亡リスクが増大、低血糖だけでは死亡率の差は説明できない解析の対象となったのは、ACCORD試験の登録患者10,251例のうち、通常のフォローアップ期間中に少なくとも1回の低血糖の評価が行われた10,194例であった。強化療法群の非補正年間死亡率は、低血糖[血糖値<2.8mmol/L(50mg/dL)]のエピソードがない患者が1.2%(201/16,315人・年)であったのに対し、少なくとも1回以上の低血糖エピソードがみられ治療および補助を要する患者では2.8%(53/1,924人・年)と有意に高値を示した(補正ハザード比:1.41、95%信頼区間:1.03~1.93)。標準療法群でも同様のパターンがみられた[年間死亡率:1.0%(176/17,297人・年) vs. 3.7%(21/564人・年)、補正ハザード比:2.30、95%信頼区間:1.46~3.65]。低血糖エピソードがあり治療および補助を要する患者の解析では、強化療法群と標準療法群で死亡リスクに有意な差は認めなかった(補正ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.46~1.23)。低血糖エピソードがあり治療のみを要する患者では、強化療法群の方が標準療法群よりも死亡リスクが有意に低かった(補正ハザード比:0.55、95%信頼区間:0.31~0.99)。ACCORD試験では、強化療法が中止となるまでに451例が死亡し、そのうち1例は明らかに低血糖が原因と判定された。著者は、「重篤な症候性低血糖は、強化療法群、標準療法群の双方において死亡リスクを増大させた。しかし、低血糖エピソードのある患者では標準療法群よりも強化療法群で死亡リスクが低かった」と結論したうえで、「重篤な症候性低血糖の発現だけでは、ACCORD試験の強化療法群における死亡率の増加は説明できない」と指摘している。(医学ライター:菅野守)

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日本感染症学会、抗インフルエンザ薬の使用適応で提言

1月25日に日本感染症学会が抗インフルエンザ薬の使用についての提言を発表した。点滴静注薬のペラミビル(商品名:ラピアクタ)の発売に伴い、「インフルエンザ患者のリスクに応じた抗インフルエンザ薬の適正な使用」を目指した指針として取りまとめている。提言では、基本的な考え方として、治療の判断は基礎疾患の有無やその程度に関わらず「患者の重症度そのものが重視されるべき」と指摘した上で、重症度に応じた抗インフルエンザ薬の適応と使い分けが重要と訴えている。また抗インフルエンザ薬については、現在、臨床の現場で使われているタミフルとリレンザのほか、新発売となったラピアクタ、さらに開発中のラニナミビル(CS-8958)、ファビピラビル(T-705)についても言及。さらに重症度ごとに使用法を示した「抗インフルエンザ薬の使用指針」を提示している。 提言の詳細はこちらからhttp://www.kansensho.or.jp/topics/100122soiv_teigen.html

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ビタミンD+カルシウム、高齢者の骨折予防に効果

高齢者の骨折予防におけるビタミンD単剤の用量は10~20μg/日では不十分であるが、カルシウムと併用すると大腿骨頸部骨折および全骨折が有意に抑制されることが、デンマーク・コペンハーゲン大学Gentofte病院のB. Abrahamsen氏らDIPART(vitamin D Individual Patient Analysis of Randomized Trials)の研究グループが実施したプール解析で明らかとなった。高齢者の骨折予防におけるビタミンDの使用については理論的な根拠が確立されているが、骨折予防に必要な用量は明確になっておらず、カルシウム併用の意義も不明であった。BMJ誌2010年1月16日号(オンライン版2010年1月12日号)掲載の報告。7つの無作為化試験からプールされたデータを用い、個々の患者レベルで解析DIPARTの研究グループは、全骨折、大腿骨頸部骨折、臨床的椎骨骨折に対するビタミンD単剤およびビタミンD+カルシウムの予防効果を、患者特性を踏まえて検討し、ビタミンDの用量およびカルシウム併用の意義について評価を行った。ビタミンD単剤あるいはビタミンD+カルシウムの骨折予防効果について検討した7つの主要な無作為化試験からプールされたデータを用いて、個々の患者レベルのデータ解析を行った。解析の対象となったのは合計68,517例で、平均年齢が69.9(47~107)歳、男性は14.7%であった。より高用量のビタミンD単剤の試験を行うべきビタミンD+カルシウムに関する試験では、全骨折のリスクが有意に低減した(ハザード比:0.92、95%信頼区間:0.86~0.99、p=0.025)。大腿骨頸部骨折のリスクについては、全試験の解析では有意な予防効果を認めなかったが(ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.70~1.01、p=0.07)、ビタミンD用量10μg+カルシウムの試験では骨折リスクが有意に低減した(ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.60~0.91、p=0.005)。ビタミンD単剤を10μg/日あるいは20μg/日投与する試験の解析では、有意な骨折予防効果は認められなかった。骨折の既往歴と治療効果に関連は認めず、年齢、性別、ホルモン補充療法の既往歴も治療効果に影響を及ぼさなかった。著者は、「ビタミンD単剤10~20μg/日の投与に骨折予防効果はない。一方、ビタミンD+カルシウムの併用投与により、年齢、性別、骨折の既往歴にかかわらず、大腿骨頸部骨折および全骨折の頻度が低減し、おそらく椎骨骨折の予防効果もあると推察される」と結論し、「ビタミンDとの併用における骨折予防に必要なカルシウムの用量は1,000mg/日以上と考えられる。より高用量のビタミンD単剤の試験を行う必要がある」と指摘している。(医学ライター:菅野守)

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エベロリムス溶出ステントは、パクリタキセル溶出ステントよりも有用:COMPARE試験

実地臨床で2つの第2世代薬剤溶出ステントを比較した無作為化試験(COMPARE試験)において、エベロリムス溶出ステント「Xience V」は、パクリタキセル溶出ステント「Taxus Liberte」よりも安全性および有効性が優れることが示された。これらのステントはいずれも、厳格な患者選択基準のもとで実施された冠動脈疾患の臨床試験において再狭窄のリスクが従来のベアメタルステントに比べ低減することが示されている。一方、1)ステント血栓症のリスクは低いものの予測不能で、リスクは時間とともに増大する、2)デバイスの送達能には改善の余地がある、3)重篤な冠動脈疾患患者では再インターベンションが必要となる場合がある、などの課題が残されていた。オランダMaasstad病院循環器科のElvin Kedhi氏らが、Lancet誌2010年1月16日号(オンライン版2010年1月8日号)で報告した。単一施設に登録された1,800例の実地臨床における単盲検試験COMPARE試験の研究グループは、2つの第2世代薬物溶出ステントの安全性と有効性を実地臨床において比較する無作為化試験を実施した。Maasstad病院で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適用となった1,800例(18~85歳)が、エベロリムス溶出ステント群(897例、1,286病変)あるいはパクリタキセル溶出ステント群(903例、1,294病変)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、ステント留置後12ヵ月における安全性と有効性の複合エンドポイント(全死亡、心筋梗塞、標的病変再血行再建)とした。患者にはいずれのステントが留置されたかは知らされなかった。エベロリムス溶出ステント群で、複合エンドポイントの発生リスクが31%低減フォローアップが完遂されたのは1,797例であった。1年後の複合エンドポイントの発生率は、エベロリムス溶出ステント群が6%(56/897例)と、パクリタキセル溶出ステント群の9%(82/903例)に比べ有意に優れていた[相対リスク(RR):0.69、p=0.02]。ステント血栓症[<1%(6例) vs. 3%(23例)、RR:0.26、p=0.002)]、心筋梗塞[3%(25例) vs. 5%(48例)、RR:0.52、p=0.007)]、標的病変再血行再建[2%(21例) vs. 6%(54例)、RR:0.39、p=0.0001)]はいずれもエベロリムス溶出ステント群が有意に優れていた。副次評価項目(心臓死、非致死的心筋梗塞、標的病変再血行再建の複合エンドポイント)の発生率についても、エベロリムス溶出ステント群が有意に優れていた[5%(44例) vs. 8%(74例)、RR:0.60、p=0.005]著者は、「非患者選択を対象とした実地臨床の無作為試験において、エベロリムス溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントよりも安全性および有効性が有意に優れた」と結論し、「これらの知見に基づき、日常診療ではパクリタキセル溶出ステントは使用すべきでない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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DNAマイクロアレイを用いた新たな敗血症アッセイの有効性を確認

新たに開発されたDNAマイクロアレイによる敗血症アッセイは、従来のgold standardである血液培養法に比べ、細菌の同定における感受性、特異度が優れるうえに、より迅速に結果が得られることが、フィンランド・ヘルシンキ大学病院検査部のPaivi Tissari氏らが行った観察試験で明らかとなった。細菌性敗血症は生命を脅かす疾患であり、世界的に罹患率、死亡率がともに高く、有効な抗生物質が利用可能な先進国でさえも重要な課題となっている。罹患率や死亡率増大の原因として、原因菌の種類を同定せずに不適切な広域スペクトラムの抗菌薬を使用したり、適切な治療の遅れが挙げられるという。Lancet誌2010年1月16日号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。培養陽性の2,107検体を、従来法と新規のアッセイで検査研究グループは、DNAマイクロアレイをプラットフォームとして新たに開発された敗血症アッセイ「Prove-it Sepsis」の感受性、特異度、所要時間の検討を行った。臨床的に敗血症が疑われる患者の3,318の血液検体のうち、血液培養で陽性を示した2,107の検体について、従来の培養法と新規の敗血症アッセイにより細菌の種類の同定を行った。アッセイに用いられた新たなPCR/マイクロアレイ法は、50種類のバクテリアのgyrB、parE、mecA遺伝子を増幅して検出するもの。検査アッセイを取り扱う検査員には培養結果は知らされなかった。臨床・検査標準協会(CLSI)の勧告に基づいて、感受性、特異度、所要時間が算出された。感受性94.7%、特異度98.8%、所要時間は従来法より18時間短縮培養陽性の2,107検体のうち1,807検体(86%)から、アッセイが検出対象とする病原菌が検出された。アッセイの感受性は94.7%、特異度は98.8%であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感受性と特異度はともに100%であった。検出までの所要時間は、従来の培養法が実働日数で1~2日を要するのに対し、アッセイはこれより平均18時間早かった。3,284検体のうち34検体(1.0%)が、技術的な問題や検査員の誤操作のために除外された。著者は、「PCR/マイクロアレイを用いた敗血症アッセイは、細菌種の最終的な同定において高い感受性と特異度を示し、従来法よりも迅速な検査が可能である」と結論し、「本アッセイはプライマリ・ケアの日常診療に容易に導入できる。現在、先進国、開発途上国の双方で、このアッセイが患者の予後やマネジメント、さらに種々の病原菌のルーチンな迅速診断の実行にどの程度貢献するかについて、プロスペクティブな調査を行っている」としている。(菅野守:医学ライター)

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重傷外傷後のPTSD予防にモルヒネが有効?

重傷外傷後の心的外傷後ストレス障害(PTSD)予防に、ケア中のモルヒネ投与が有効である可能性が、米国海軍ヘルスリサーチセンターのTroy Lisa Holbrook氏らによって報告された。PTSDの2次的発現の予防に薬物療法が、効果があるとされてはいるが実証検証はほとんど行われていない。一般的な精神治療薬の研究結果はばらついており、モルヒネ投与に関しては、熱傷を負った小児を対象とする試験で保護作用があることは報告されているが重傷成人に関する研究は行われていなかったという。NEJM誌2010年1月14日号掲載より。イラク従軍の重度外傷者700例を調査Holbrook氏らは、重傷外傷後のPTSD発現予防に対するモルヒネの有効性を調べるため、米国海軍の外傷者登録データベース(CTR EMED)を用いて、重傷者のPTSD発現リスクに関する蘇生術中およびケア中のモルヒネ使用効果を調べた。調査対象となったのは、2004年1月~2006年12月の間にイラク戦争で重度の外傷性脳損傷を負った軍人696例。全員、薬物療法に関するデータは入手できた。PTSDの診断は、海軍ヘルスリサーチセンターが管理しているCareer History Archival Medical and Personnel Systemから入手すると同時に、カルテをチェックし確認した。モルヒネ投与群で、PTSDが発現した人は発現しなかった人の0.47倍PTSDと診断されていたのは243例、されていなかったのは453例だった。蘇生術中およびケア中のモルヒネ使用は、PTSDのリスク低下と有意に関連していた。モルヒネ投与を受けていて、PTSDが発現した人は61%(147/243例)だったのに対し、発現しなかった人は76%(346/453例)で、オッズ比は0.47だった(P

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膵頭部がんにおけるルーチンな術前胆道ドレナージ、合併症リスクを倍増

膵頭部がん手術を受ける患者へのルーチンな術前胆道ドレナージは、合併症のリスクを増大することが、オランダ・アムステルダムにあるAcademic Medical CenterのNiels A. van der Gaag氏らによって明らかにされた。本手技は、膵頭部の腫瘍による閉塞性黄疸がある患者の術後アウトカムを改善するために導入されたが、その有益性については明らかにされていなかった。NEJM誌2010年1月14日号掲載より。多施設共同無作為化試験で、術前胆道ドレナージ実施群と未実施群の転帰を検証Gaag氏らは、13施設(大学病院5、地域病院8)において、術前胆道ドレナージを行った群と未実施群とを比較する多施設共同無作為化試験を行った。被験者は、閉塞性黄疸を伴い、ビリルビン値が40~250μmol/L(2.3~14.6mg/dL)の18~85歳の患者202例で、診断後4~6週の間に内視鏡的胆道ドレナージ(主としてERCP;内視鏡的逆行性胆道膵管造影法による)を行ってから膵頭部がん手術を行う群(術前胆道ドレナージ群:96例)と、診断後1週間以内に膵頭部がん手術を行う群(早期手術群:106例)に無作為に割り付けられ追跡された。主要転帰は、無作為化後120日以内の重篤な合併症の発症率とした。ドレナージ実施群の重篤な合併症リスクは、未実施群の約2倍重篤な合併症が起きたのは、早期手術群39%(37例)だったのに対し、術前胆道ドレナージ群は74%(75例)で、相対リスクは0.54(95%信頼区間:0.41~0.71、P

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GSK 新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン「アレパンリックス」承認取得

グラクソ・スミスクライン株式会社は20日、同社の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン「アレパンリックス(H1N1)筋注」の承認を厚生労働省から取得したと発表した。同剤は、新型インフルエンザの流行に伴うワクチンの緊急的な必要性から、海外で承認されたことを前提に、特例承認医薬品として審査・承認された。「アレパンリックス」は鶏卵を用いて製造され、抗原に免疫増強剤(アジュバント)AS03を混合して使用。成人および10歳以上の小児には 0.5mL(抗原量:3.75µg)、6ヵ月以上10歳未満の小児には0.25mL(抗原量:1.875µg)を筋肉内に注射する。「アレパンリックス」は、アジュバントを使用することにより、アジュバントを使わない抗原量15µgのA/H1N1ワクチンに比べて、4分の1の抗原量である3.75µgで同等以上の免疫応答が得られている。「アレパンリックス」の臨床試験は、世界で約6,400人を対象に行われていて、国内においても成人100人と小児60人を対象に行われた。国内臨床試験の結果、成人を対象とした試験では、20~64 歳の健康成人100人に「アレパンリックス」0.5mLを接種したところ、1回の接種で高い免疫応答(抗体保有率95%)が確認されたという。2回目接種後の抗体保有率は100%に上がった。小児においては、6 ヵ月~17歳の健康小児60人にワクチンが接種し(6ヵ月~9歳が0.25mL、10~17歳が0.5mL)、1回目の接種でいずれの年齢層でも 100%の抗体保有率が確認されたという。これら国内の臨床試験では重篤な副反応は報告されていないとのこと。主な副反応は、注射部位の疼痛や腫張・筋肉痛・関節痛・頭痛であり、それらの頻度は、これまでのアジュバント添加A/H1N1およびA/H5N1ワクチンの臨床試験と同程度だという。同社は、日本政府と7,400万回分の「アレパンリックス」供給契約を締結していて、今回の承認を受け、できるだけ早急に出荷を開始するとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2010_01/P1000608.html

32033.

筋弛緩回復剤「ブリディオン」承認取得

シェリング・プラウ株式会社は20日、筋弛緩回復剤「ブリディオン静注200mg / 500mg(一般名:スガマデクスナトリウム)」の承認を同日付で取得したと発表した。ブリディオンは、旧シェリング・プラウ・コーポレーション(現:Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A)が創製した、新たな筋弛緩回復剤で、平成21年9月現在、世界35カ国以上において承認を取得している。同剤は、筋弛緩剤ロクロニウム/ベクロニウムを選択的に直接包接して筋弛緩作用を不活化する、世界初の筋弛緩回復剤(SRBA:selective relaxant binding agent)。このような作用機序を有する同剤は、自発呼吸の回復を待たずに、深い筋弛緩状態からも速やかに回復することが可能であり、コリン作動性神経系への影響もない薬剤とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/index.html

32034.

5-HT3受容体拮抗型制吐剤「アロキシ」製造販売承認取得

大鵬薬品工業株式会社は20日、5-HT3(セロトニン)受容体拮抗型制吐剤 「アロキシ静注0.75mg」(一般名:パロノセトロン塩酸塩)の製造販売承認を取得したと発表した。アロキシは2004年1月の大鵬薬品とスイスのヘルシン社(HELSINN HEALTHCARE SA)とのライセンス契約に基づき、同社が国内開発した薬剤。海外においては、2003年7月に米国、2005年3月に欧州で承認され、2009年 12月現在、世界62ヵ国で承認されている。アロキシは、がん化学療法(シスプラチン等)実施前の1回投与で、急性悪心、嘔吐のみならず、現行の治療薬では効果の不十分であった遅発性悪心、嘔吐にも有効性が確認されている。同剤は、血中消失半減期が約40時間と非常に長く、5-HT3受容体に対して高い結合親和性と選択性を有している。また、 NCCNの「制吐療法ガイドライン」で、高度催吐性化学療法に伴う悪心、嘔吐の予防に用いる薬剤として推奨されているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/2010/20100120.html

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4月1日から経口避妊剤「シンフェーズ T28錠」科研製薬より発売へ

科研製薬株式会社は22日、ファイザー株式会社が製造販売承認を有する、経口避妊剤「シンフェーズ T28錠」(一般名:ノルエチステロン・エチニルエストラジオール)について、4月1日より発売すると発表した。「シンフェーズ T28」は1999年9月に株式会社ツムラより発売され、その後、医療事故防止対策に関する厚生労働省からの通知に基づき、販売名が「シンフェーズ T28錠」に変更され現在に至っているが、2010年3月末日をもって、ツムラによる販売を終了することとなった。4月1日以降については、科研製薬が「シンフェーズ T28錠」を販売する。なお、科研製薬で従来より販売している同一成分薬「ノリニールT28錠」については、引き続き販売を継続するとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.kaken.co.jp/nr/release/nr20100122.html

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貼るタイプの疼痛治療剤 「デュロテップMTパッチ」の効能追加承認を取得

ヤンセンファーマ株式会社は22日、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「デュロテップ MTパッチ」(一般名:フェンタニル) の追加効能となる、“中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛”の承認を、20日付けで取得したと発表した。「デュロテップ MTパッチ」は、痛みを和らげる有効成分(フェンタニル)を粘着層に溶解させた薄い半透明フィルム状の経皮吸収型製剤(貼り薬)で、フェンタニルが皮膚を通して少しずつ体内に吸収され、1回の貼付で3日間、鎮痛効果を持続させることが可能とのこと。本剤はこれまで“中等度から高度の疼痛を伴う各種(がん)における鎮痛”を適応とし、いわゆる、がん性疼痛の治療薬としてのみに使用されてきた。一方、欧米などの諸外国においては、フェンタニル・パッチが非がん性の慢性疼痛においても広く使用されている実態を鑑みて、同社では2005年に国内第III相臨床試験を開始し、その後、2008年7月の承認申請を経て、今回の承認取得へと至った。詳細はプレスリリースへhttp://www.janssen.co.jp/inforest/public/home/?paf_gear_id=2100029&paf_gm=content&paf_dm=full&vid=v11&cid=cnt64112

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防げる子宮頸がん…防がないのは罪 ~HPVワクチンの接種により73%の子宮頸がんが減少。社会・経済的効果も190憶円~

諸外国に遅れをとりながらわが国でも子宮頸がんの予防ワクチンが承認された。そのような中『子宮頸がんと予防ワクチン』と題し、国立がんセンター中央病院にて講演会が開催された。講演会では、主催者の国立がんセンター中央病院院長土屋了介氏に加え3名の演者が製薬企業、医療者、患者それぞれの立場でHPVワクチンを日本の医療環境に取り入れていく中での課題や問題点について発表した。そのなかから自治医大埼玉医療センター産婦人科今野良氏の講演内容を中心に紹介する。日本と世界に於ける子宮頸がんの状況世界では、子宮頸がんにより毎年50万人が亡くなっている。日本での子宮頸がん発生率は人口10万人当たり約8人、死亡率は2.6人であり、世界的にみても少ないといえる。これは、日本の子宮頸がん検診は導入、充実が世界的にも早かったためである。しかし、近年は若年者での発生率が増加しているという問題が発生している。実際、20~29歳の浸潤がんの発生率は1984年に比べ1996年で4倍である。その原因としては若年者の子宮頸がん検診受診率が極めて低いことが挙げられる。欧米先進国の子宮頸がん検診受診率は80%以上であるが、日本の受診率は既に24%と極端に低くなっている。これは若い世代に検診の重要性を伝えきれていない結果である。このまま若年者の検診受診の習慣付けをしないと患者数が大幅に増加すると予想される。検診での過ちをワクチンでも繰り返すべきではないと考える。成人女性であれば特別なこととはいえないHPVの感染HPV(Human Papiloma Virus)感染は子宮頸がん発生の必要条件として報告されており、HPV感染の有無は500倍のodds比であり関連度は99%である。HPV感染は通常の性交渉によって起こる。HPVは子宮頸部の非常に微細な上皮の傷から感染し増殖する。そのため、成人女性であれば大部分の方が一度は感染しているといえ、非常にありふれたものといってもおかしくない。いまだ一部誤解があるようだが、問題がある性交渉を行ったから発生するというものではない。また、HPV感染の90%は一過性感染である。残りの10%が持続感染になり、その中からがんに至るものがでてくる。HPVワクチンの効果は非常に高く日本での臨床試験ではHPV16、18感染に関して共に100%予防可能であった。HPVワクチンと検診の両輪で子宮頸がんを克服する子宮頸がんは、リスクファクターもその前がん病変も明らかである。前がん病変は検診時の細胞診で従来から判定が可能である。それに加えリスクファクターであるHPV感染を予防するワクチンが出現した。つまり、子宮頸がんは、一次予防のHPVワクチンと二次予防の検診の両輪で予防可能な疾患なのである。*HPVワクチンについて会場質問と回答も追記・HPVワクチンは成人に接種しても意味がない:現在HPV16、18に感染している方には効果がないが、過去に感染があっても現在陰性であれば年齢に関係なく有効。90%の方は陰性であり成人に対する接種も医学的には有効である。 ・HPV感染者への接種で抗体価が上がる:抗体価は上がらない。また、感染者に接種しても良くも悪くもならない・腺がんの対策:腺がんは検診では鑑別できないため現状の対策はHPVがワクチンしかないHPVワクチン導入による社会・経済的効果本邦におけるHPVワクチン接種による医学的効果と経済評価を行った。その結果、12歳の女児全員に接種すると子宮頸がんの発生率、死亡率ともに73%抑えることが推計された。経済的には、治療費用、機会費用を合せ400億円が削減され、ワクチン費用約210億円(ワクチン1コース36,000円と仮定)を差し引くと社会全体で約190億円の費用削減効果が期待された。さらに、10~45歳の女性全員にワクチンを接種させた場合、約430億円の社会的費用が削減さると推計された。増分費用効果比からみても45歳までの接種が許容されるという計算になる。 子宮頸がん後進国にならないためにHPVがワクチン接種の公費負担をHPVワクチンは100ヵ国以上の国で承認され、約30ヵ国で公費負担により12歳前後の女子に対し接種が行われている。そして、オーストラリア、欧州、米国でも医療保険、民間保険で費用の一部あるいは全額がカバーされている。WHOからも今年の4月にPositionPaperが提示され、世界の多くの国や機関でワクチン政策に組み入れることを推奨している。検診率が高い欧州は、更にHPVワクチン接種を組み込むことによって子宮頸がんを根絶しようという戦略である。一方、経済資源がなく検診の充実が期待できないアフリカなどでもGAVI(Global Alliance for Vaccines and Immunization)のような世界的支援機関の援助でHPVワクチン接種が始められている。日本では、発売されたものの公費負担は認可されていない。公費負担がないとワクチン接種率は5%程度と予想される。前出の費用効果分析の手法でシミュレーションしても、それでは子宮頸がんの発症抑制は全く期待できないことになる。このままだと日本は子宮頸がん対策に取り残されることになるのである。ワクチンの普及には行政がイニシアチブをとることが必要である。まずは11~14歳のHPVワクチンの全額公費負担を、次に15~45歳の保険償還での補助などでHPVワクチン接種の費用負担を実現させたい。 最後に座長の土屋了介氏は、HPVがワクチン公費負担についての会場署名およびWebサイト公募署名を長妻大臣に届けることを会場で宣言し会を締めくくった。(ケアネット 細田 雅之)

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米国成人肥満率、男性は10年前の1.32倍:米国過去10年の動向調査

米国成人の過去10年の肥満率は、男性はやや増加傾向が見られるものの、女性は明らかな変化は認められないことが報告された。米国疾病対策予防センター(CDC)のKatherine M. Flegal氏らが、National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)の結果を分析して明らかにしたもので、JAMA誌2010年1月20日号(オンライン版2010年1月13日号)で発表した。米国成人の68%が、太り気味か肥満研究グループは、2007~2008年のNHANESの結果から、20歳以上の男女、合わせて5,555人について、身長と体重を分析した。その中で、ボディマス指標(BMI)が25.0~29.9を太り気味、BMIが30.0以上を肥満と定義し、1999~2006年の結果と比較した。その結果、2007~2008年の年齢補正後の肥満の割合は、33.8%(95%信頼区間:31.6~36.0)だった。男女別に見ると、男性が32.2%(同:29.5~35.0)、女性が35.5%(同:33.2~37.7)だった。BMIが25.0以上の、太り気味と肥満を併せた割合は、全体で68.0%(同:66.3~69.8)、男性では72.3%(同:70.4~74.1)、女性では64.1%(同:61.3~66.9)だった。女性は有意な変化見られず過去10年間の肥満割合の傾向について見てみると、女性については、有意な傾向は見られなかった(1999~2000年に対する2007~2008年の補正後オッズ比:1.12、95%信頼区間:0.89~1.32)。一方男性については、やや増加傾向が見られた(同:1.32、1.12~1.58)。ただし男性も、直近3回(2003~2004年、2005~2006年、2007~2008年)の調査結果では、有意差は見られていない。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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米国6~19歳白人男子、過度肥満リスクが10年前の約1.5倍:米国過去10年の動向調査

米国20歳未満の過去10年間(1999~2008年)の肥満率は、全体として変化傾向はみられないことが報告された。ただし一部、6~19歳の男子などについては、過度な肥満者の割合が増加していることも明らかになった。米国疾病対策予防センター(CDC)のCynthia L. Ogden氏らが、2007~2008年のNational Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)を分析し、JAMA誌2010年1月20日号(オンライン版2010年1月13日号)で発表している。1999~2006年にかけての米国20歳未満のボディマス指標(BMI)も、一定水準にあったという。19歳未満の約4,000人を、年齢、性、人種別で分析研究グループは、2007~2008年のNHANESの結果から、2歳未満児の719人と、2~19歳の3,281人について分析を行った。2歳未満の肥満の定義については、CDCの性別横臥身長に対する体重グラフ2000年版に基づき、その95パーセンタイル以上とした。また、2~19歳の肥満の定義は、CDCの性別BMI成長グラフ2000年版に基づき、その97パーセンタイル以上と95パーセンタイル以上、85パーセンタイル以上の3段階に分類定義した。1999~2000年のNHANESデータと比べて、年齢、性、人種別に変化傾向を分析した。全体としての変化傾向はみられずその結果、2007~2008年の2歳未満で基準グラフの95パーセンタイル以上だったのは、9.5%(95%信頼区間:7.3~11.7)だった。2~19歳については、基準グラフの97パーセンタイル以上が11.9%(同:9.8~13.9)、95パーセンタイル以上が16.9%(同:14.1~19.6)、85パーセンタイル以上が31.7%(同:29.2~34.1)だった。傾向分析の結果、1999~2000年と2007~2008年の間には、全体としての変化傾向はみられなかった。ただし、6~19歳の男子で、97パーセンタイル以上の過度な肥満となるリスクが増加しており、2007~2008年の1999~2000年に対するオッズ比は1.52(同:1.17~2.01)だった。なかでも同年齢の非ヒスパニック系白人の男子でのオッズ比は1.87(同:1.22~2.94)と高かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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抗悪性腫瘍剤「テモダール 点滴静注用100mg」承認取得

シェリング・プラウ株式会社は20日、悪性神経膠腫の治療薬、「テモダール 点滴静注用100mg」(TEMODAL Injection 100mg 一般名:テモゾロミド)の承認を取得したと発表した。テモダールは旧シェリング・プラウ・コーポレーション(現:Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A)が1991年に欧州連合(EU)で承認を受けて以降、カプセル剤と点滴静注剤を合わせ、現在90ヵ国以上で承認されており、点滴静注剤は33ヵ国で承認されている。日本においては、2005年7月22日、厚生労働省の「未承認薬使用問題検討会議」により「テモダール カプセル20mg/100mg」(TEMODAL Capsule 20mg/100mg)が早期承認申請の要請を受け、申請後、同年9月30日付で「優先審査品目」に指定された。その後2006年9月、悪性神経膠腫の適応を有する日本で19年ぶりの新規薬剤として発売されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/index.html

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