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運動不足の解消で寿命が0.68年延長

冠動脈心疾患や糖尿病、がんなどの主な非伝染性疾患の6~10%が運動不足に起因し、運動不足が解消されれば寿命が0.68年(約8ヵ月)延長することが、米国ハーバード大学医学校ブリガム・アンド・ウェイメンズ病院のI-Min Lee氏らLancet Physical Activity Series Working Groupの調査で明らかとなった。運動不足は、冠動脈心疾患、2型糖尿病、乳がん、結腸がんなどの非伝染性疾患のリスクを増大させ、余命を短縮することを示す高度なエビデンスが存在する。多くの国では国民の運動不足が指摘されているため、運動不足と非伝染性疾患の関連は保健医療上の重要な課題となっている。Lancet誌2012年7月21日号(オンライン版2012年7月18日号)掲載の報告。運動不足の影響を定量的に評価研究グループは、運動不足の集団が運動を行った場合に、どの程度疾患が回避され、余命の延長が得られるかを予測することで、主な非伝染性疾患に及ぼす運動不足の影響を定量的に評価した。疾病負担の解析では、運動不足が解消した場合の疾患回避率を予測するために、個々の非伝染性疾患に関する標準的な条件を用いて運動不足と関連する人口寄与割合(PAF)を国ごとに算出した。生命表分析を行って余命の延長を推算した。健康リスクは喫煙や肥満と同等冠動脈心疾患の疾病負担の6%(最低値は東南アジア地域の3.2%、最高値は地中海東部地域の7.8%)が運動不足に起因すると推定された。運動不足の2型糖尿病への寄与は7%(範囲:3.9~9.6%)、乳がんへの寄与は10%(5.6~14.1%)、結腸がんへの寄与は10%(5.7~13.8%)と推察された。2008年に世界で発生した若年死の9%(5.1~12.5%)、すなわち5,700万件の若年死のうち530万件が運動不足に起因していた。運動不足が、完全ではないまでも10%解消されれば年間に53万3,000件以上、25%解消された場合は130万件以上の死亡が回避されると推定された。運動不足が完全に解消されれば、世界の余命は中央値で0.68年(0.41~0.95年)延長すると予測された(ちなみに、日本は0.91年の延長)。著者は、「世界的に、運動不足の健康への影響は大きい。不健康な行動の低減や除去により、健康は実質的に改善される可能性がある」と結論づけ、「運動不足の健康リスクは、確立されたリスク因子である喫煙や肥満と同等なことがわかった。1日15~30分の早歩きなどの適度な運動が健康効果をもたらすことが知られており、運動不足の低減に向けたあらゆる尽力を支援すべきである」と指摘している。

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心房細動に対する抗不整脈薬、長期投与は必要か?

 心房細動(AF)に対する除細動後の抗不整脈薬による短期治療は、長期治療よりも効果が低いが、多くの患者でAFの再発を抑制する可能性があることが、ドイツ・ミュンスター大学病院のPaulus Kirchhof氏らが行ったFlec-SL試験で示された。除細動後の抗不整脈薬治療は、心房の活動電位の持続時間と有効不応期を延長することでAFの再発を予防する。抗不整脈薬治療で洞調律が得られれば、2~4週後には心房の活動電位が正常化するため、それ以上の投与は不要な可能性があるという。Lancet誌2012年7月21日号(オンライン版2012年6月18日号)掲載の報告。フレカイニドの長期投与群に対する短期投与群の非劣性を検証 lec-SL(Flecainide Short-Long trial)試験は、抗不整脈薬の長期投与に対する短期投与の非劣性を検証するプロスペクティブな無作為化試験。 2007年5月4日~2010年3月12日までに、ドイツの44施設から18歳以上の除細動を行う予定の持続性AF患者が登録された。除細動後、患者は抗不整脈薬治療を行わない群(対照群)、抗不整脈薬フレカイニド(商品名:タンボコール)200~300mg/日を4週投与する群(短期投与群)、同様に6ヵ月投与する群(長期投与群)のいずれかに無作為化に割り付けられた。 主要評価項目は6ヵ月後の持続性AFの再発または死亡とした。フレカイニド治療割り付け情報は患者と担当医には知らされたが、解析を行う研究者にはマスクされた。遠隔測定心電計およびHolter心電計を用いてAFを6ヵ月間測定し、per-protocol解析を行った。フレカイニド短期投与群の無イベント生存率は48.4%で長期投与群は56.4% 635例(intention-to-treat集団)が登録され、対照群に81例、フレカイニド短期投与群に273例、長期投与群には281例が割り付けられた(per-protocol集団は、それぞれ77例、261例、263例)。242例のデータを4週間追跡してフレカイニド治療が無治療よりも有効であること(Kaplan-Meier法による生存予測値:70.2% vs 52.5%、p=0.0160)を確認した後、短期投与群と長期投与群の比較を継続した。 6ヵ月後の持続性AFの再発率は、フレカイニドの短期投与群が46%(120/261例)、長期投与群は39%(103/263例)で、死亡例は両群とも認めなかった。無イベント生存率はフレカイニド短期投与群が48.4%、長期投与群は56.4%で、Kaplan-Meier法による予測値の差は7.9%であり、非劣性は示されなかった(境界値:12%、p=0.2081)。intention-to-treat解析では予測値の差は6.3%だった(p=0.1073)。 1ヵ月後までに主要評価項目に到達しなかった症例を対象とする事後的なランドマーク解析では、Kaplan-Meier法による生存予測値はフレカイニドの長期投与群が短期投与群を有意に上回っていた(両群の差:14.3%、ハザード比:0.31、p=0.0001)。 著者は、「除細動後の抗不整脈薬による短期治療は、長期治療よりも効果が低かったが、多くの患者でAFの再発を抑制する可能性が示唆された」と結論し、「無治療との比較では、抗不整脈薬の短期治療は、長期治療の効果の約80%を達成しており、長期治療が適切でない患者(抗不整脈薬により心室性の催不整脈作用を来すリスクが高い例やAFの再発リスクが低い例など)に適応となる可能性がある」と考察している。

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転移性大腸がんに対するIRIS+セツキシマブの安全性~第10回日本臨床腫瘍学会学術集会

 転移性大腸がんに対するIRIS+セツキシマブの第II相試験の安全性解析結果から、本レジメンでは下痢の発現頻度が高く、投与にあたっては減量などのコントロールが重要であり、試験の事務局でデータを管理し対処方法を検討しながら試験を進めていく必要性が示された。第10回日本臨床腫瘍学会学術総会(2012年7月26~28日)のワークショップ6「大腸がん・新しい方向性」で、北海道大学病院腫瘍センターの小松嘉人氏が報告した。 KRAS野生型の転移性結腸直腸がんに対する2次治療としてのIRIS(イリノテカン+S-1)+セツキシマブの効果と安全性を評価する多施設シングルアーム第II相試験(HGCSG0902)における最初の20例での安全性の解析結果が報告された。 S-1は80 or 100 or 120mg/body/日(分2)を14日間投与した後14日間休薬、イリノテカンは100mg/m2(1日目・15日目)、セツキシマブは、Weekly(400mg/m2→250mg/m2/週)もしくはBi-weekly(400mg/m2→500mg/m2/2週)で投与した。1次エンドポイントは奏効率、2次エンドポイントは病勢コントロール率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性であり、今回は安全性を解析し報告した。 患者背景は、年齢中央値は65歳(範囲:42~74歳)、男性が65%、ECOG PSは0が60%、1が35%であった。また、転移は肝転移が75%と最も多く、前治療はmFOLFOX±ベバシズマブ、XELOX±ベバシズマブなどであった。セツキシマブの投与方法は、Weeklyが45%、Bi-weeklyが55%であった。 本試験による有害事象のうち、血液毒性はGrade3以上の骨髄抑制や高カリウム血症が20~30%発現しているが、通常の臨床試験と同程度であり、許容できる範囲あった。非血液毒性は皮膚毒性が見られるが、こちらも許容される範囲であった。しかし、Grade3以上の下痢が45%と高頻度に発現した。投与中止理由は、中止例19例のうち、PDによる中止が11例、副作用による中止が3例で、そのうち2例が下痢であった。セツキシマブの投与方法による下痢発現の差はなかった。 今回の解析から、小松氏は、「下痢以外の副作用は許容できると思われるが、下痢についてはかなり厳しく、減量などのコントロールが重要である。今後はさまざまなデータを事務局で管理して、対処方法をともに相談しながら進めていかなければならない」と結論した。

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限局性前立腺がん、手術 vs.経過観察の死亡率、有意差認められず

前立腺特異抗原(PSA)検査で限局性前立腺がんが発見された男性患者について手術群と経過観察群を比較した無作為化試験の結果、最短12年追跡の手術群の全死因死亡率および前立腺がん死亡率が経過観察群よりも有意な低下は認められなかったことが報告された。米国・ミネソタ大学のTimothy J. Wilt氏らが、PSA検査が普及した初期の患者731例(平均年齢67歳)を対象に行った試験結果で、絶対差は3%ポイント未満であったという。初期ステージの前立腺がん、とくにPSA検査で発見された腫瘍に関する治療をめぐっては、手術か経過観察かその有効性が明らかになっておらず議論の的となっていた。NEJM誌2012年7月19日号掲載報告より。追跡中央値10年の全死因死亡、手術群47.0%、経過観察群49.9%、P=0.22Wilt氏らは、1994年11月~2002年1月の間に前立腺がんと新規診断された1万3,022例について調査した。スクリーニングの結果、試験適格であった731例を、根治的前立腺全摘除術を受けた群(364例)もしくは経過観察群(367例)に無作為化し2010年1月まで追跡した。被験者のPSA検査で限局性前立腺が発見された731例は、平均年齢67歳で85%が自立した生活を送っており、PSA中央値7.8ng/mL、約50%が疾患ステージT1cだった。主要アウトカムは、全死因死亡とし、副次アウトカムは前立腺がん死亡率とした。追跡期間中央値10年の間に、手術群の死亡は471例(47.0%)、経過観察群は183例(49.9%)で、手術群の有意な低下は認められなかった(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.71~1.08、P=0.22、絶対リスク低下:2.9%ポイント)。手術群の有意な全死因死亡低下、PSA値10ng/mL超、中間・高リスクの被験者前立腺がんまたは治療による死亡は、手術群21例(5.8%)、経過観察群31例(8.4%)だった(同:0.63、0.36~1.09、P=0.09、絶対リスク低下:2.6%ポイント)。全死因死亡と前立腺がん死に対する治療効果は、年齢、人種、併存する疾患、自己報告の自立状況、腫瘍の組織学的所見による差は認められなかった。手術群は、PSA値10ng/mL超の被験者(交互作用のP=0.04)と、中間リスクまたは高リスクの患者(交互作用のP=0.07)で、全死因死亡の低下が有意であった。手術後30日間の有害事象発生は21.4%、死亡は1例だった。

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子どもの卵アレルギー、卵白粉末を用いた経口免疫療法が有望

卵アレルギーの子どもに対し卵白粉末を用いた経口免疫療法を行った結果、高率の脱感作が示され、持続的不応性を誘導できる可能性があることが、二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告された。米国・デューク大学小児科のA. Wesley Burks氏らが5~11歳児55例を対象に行った試験で、22ヵ月時点で75%が脱感作、24ヵ月時点での経口食物負荷試験の合格児は28%で全例がその後30、36ヵ月時点でも卵を食べることができたという。現状では、卵アレルギーには非摂取が唯一の回避策とされている。本結果を踏まえてBurks氏は、「非常に有望な治療的介入を発見した」と結論。推奨治療とするためにリスク定義や、薬物療法との定量化、患者の同定、長期の免疫寛容を助長するためポスト脱感作戦略の開発などが重要だとまとめている。NEJM誌2012年7月19日号掲載報告より。卵アレルギー児55例を経口免疫療法群とプラセボ群に無作為化Burks氏らの試験は、5~11歳(年齢中央値7歳)の卵アレルギー児55例を無作為に、経口免疫療法を受ける群(40例)とプラセボ群(15例)に割り付け行われた。経口免疫療法群は、初期漸増期、増強期、維持期(卵白粉末を最高1日2g、卵3分の1相当量を摂取)を経た後、10ヵ月時点と22ヵ月時点で卵白粉末を用いた経口食物負荷試験が行われた。その後、22ヵ月時の試験合格児は、経口免疫療法を中止し4~6週間あらゆる卵の摂取を避け、24ヵ月時点で、持続的不応性をみる経口食物負荷試験が卵白粉末と全卵料理を用いて行われた。さらに、この24ヵ月時点の試験合格児は、卵を適宜摂取することが認められ、30ヵ月時点と36ヵ月時点で持続的不応性の評価が行われた。試験の主要エンドポイントは、22ヵ月時点の持続的不応性であった。22ヵ月時点で経口免疫療法群の75%に脱感作10ヵ月時点の経口食物負荷試験(卵白粉末5g)には、プラセボ群0例に対し、経口免疫療法群は55%が合格した。22ヵ月時点の同試験(卵白粉末10g)では、経口免疫療法群の75%に脱感作が認められた。経口免疫療法群では28%(11/40例)が、24ヵ月時点の経口食物負荷試験に合格し持続的不応性であるとみなされた。また全員がその後、30ヵ月、36ヵ月時点でも卵を摂取することができた。24ヵ月時点の経口食物負荷試験合格では、免疫マーカーの測定結果として、プリックテストの膨疹径が小さいこと、卵特異的IgG4抗体値の上昇が認められた。

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新規分子標的薬の開発に従来型の大規模臨床試験は必要か?~第10回日本臨床腫瘍学会学術集会

 がん治療における「個別化治療」は、最近の分子標的薬剤の開発によって現実化してきている。第10回日本臨床腫瘍学会学術総会(2012年7月26~28日、大阪国際会議場)のシンポジウム5「Biomarkerによる個別化治療の進歩」では、各領域がんの個別化治療の現状と将来展望について講演が行われた。「バイオマーカーに基づく非小細胞肺における治療開発」と題して講演を行った近畿大学の岡本勇氏は、新規分子標的薬の開発における臨床試験について、「非小細胞肺がんは、遺伝子変異別に薬剤を投与する時代になり、各遺伝子変異の頻度が非常に少ないこともわかってきたことから、従来型の大規模臨床試験による新薬開発からマインドを変える必要がある」と提言した。 非小細胞肺がんにおけるdriver oncogene mutationとしては、EGFR遺伝子変異、EML4-ALK融合遺伝子が代表的であるが、それぞれをターゲットとする薬剤としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(ゲフィチニブ[商品名:イレッサ]、エルロチニブ[同:タルセバ]とALKチロシンキナーゼ阻害薬(クリゾチニブ[同:ザーコリ])が現在、実地臨床で使用できる。 また、現在、driver oncogene mutationとして、ROS1融合遺伝子とRET融合遺伝子が発見されている。ROS1融合遺伝子を持つ患者は肺腺がん患者の1.2%に見られ、クリゾチニブで高い効果が報告されている。RET融合遺伝子を持つ患者も肺腺がん患者の約1~2%存在し、これをターゲットとするバンデタニブ(国内未発売)の有効性と安全性については、国立がん研究センター東病院など5施設で医師主導治験により評価していく予定である。 このように、driver oncogeneが発見され、それをターゲットとする薬剤がある一方で、症例が非常に少ないという現状のなか、岡本氏は「どのような臨床試験を組むのか、どのような承認のプロセスをとるのか、どのように標準的治療のなかに組み込んでいくのかが、われわれが直面している1つの大きな問題」と考える。 さらに岡本氏は、私見として、「driver oncogene mutationという強力な分子的背景があり、前臨床で効果のある患者を特定でき、さらに臨床で高い効果が得られ、ある程度薬剤の安全性が認められる場合は承認し、その後の実地臨床で厳しく評価していけばよいのではないか」と述べた。

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「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり

 食生活は生活習慣病の発症に関与するだけでなく、認知症の発症にも影響を及ぼすといわれている。では、どのような食生活が認知症リスクを高めるのか。Roberts氏らはカロリー摂取と認知症との関係を検討した。J Alzheimers Dis誌オンライン版2012年7月17日号の報告。 高齢者(年齢中央値:79.5歳)を対象とした集団ベースの前向きコホート研究により、毎日の総カロリーにおける主要な栄養素の割合と軽度認知障害(MCI)または認知症の発症との関係を調査した。追跡期間の中央値は3.7年(四分位数間範囲:2.5-3.9)。認知機能はベースラインおよび15ヵ月ごとの臨床認知機能評価法(CDR)スケール、神経学的評価、神経心理学テストにより評価した。カロリー摂取については、試験開始前に128項目に及ぶ食物に関するアンケートを実施し、1日の総カロリーや主栄養素摂取量を既成のデータベースを用い算出した。主栄養素摂取量は1日総カロリー当たりのタンパク質、炭水化物、総脂質の割合として計算された。主な結果は以下のとおり。・試験開始前に認知機能が正常であった937名のうち、200名はMCIまたは認知症であると診断された。・MCIまたは認知症のリスクは、炭水化物の摂取割合が高い方で上昇し(上位四分位ハザード比:1.89、95%信頼区間:[1.17~3.06]、p=0.004)、脂質の摂取割合が高い方(0.56 [0.34~0.91]、p=0.03)やタンパク質の摂取割合が高い方(0.79 [0.52~1.20]、p=0.03)では減少した。・炭水化物からのカロリー摂取率が高く、脂質およびタンパク質からの摂取率が低い高齢者では、MCIまたは認知症の発症リスクが増加する可能性が示唆された。関連医療ニュース ・認知症を予防するには「体を動かすべき」 ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか? ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効?

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急性虚血性脳卒中院内30日死亡リスクモデル、重症度を盛り込むことで予測能改善

急性虚血性脳卒中30日院内死亡リスクモデルは、脳卒中の重症度を示す米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)を盛り込むことで、予測能が有意に改善することが明らかにされた。これまで同スケールの有無によるモデル予測能についてはほとんど検討されていなかったが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のGregg C. Fonarow氏らが、13万人弱の患者について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月18日号で発表した。発症30日院内死亡率は5.8%研究グループは、2003年4月~2009年12月にかけて急性虚血性脳卒中を発症し、全米782ヵ所の病院で治療を受けた12万7,950人について追跡した。院内30日死亡の予測モデルにNIHSS(神経学的検査指標15項目、スコア0~42で高いほど脳卒中の重症度が高い)を盛り込むことで、モデルの予測能が改善するかどうかを分析した。被験者は、メディケアの出来高払い制プランの加入高齢者。NIHSS平均値は8.23(標準偏差8.11)(中央値5、範囲2~12)だった。発症30日以内に死亡したのは1万8,186人(14.5%)で、うち発症時入院中の死亡は7,430人(5.8%)だった。モデルへのNIHSSスコア追加で、ネット再分類改善度は93.1%結果、NIHSSスコアを盛り込まない30日院内死亡モデルのC統計量は0.772(95%信頼区間:0.769~0.776)だったのに対し、盛り込んだ同モデルのC統計量は0.864(同:0.861~0.867)で識別能は有意に高かった(p

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C型肝炎へのシリマリン投与、ALT値の減少効果は認められず

C型肝炎に対するシリマリン(オオアザミ抽出物)の服用は、血中アラニンアミノ基転移酵素(ALT)値を低下する効果はないことが示された。米国・ノースカロライナ大学のMichael W. Fried氏らが、約150人のC型肝炎患者について行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、JAMA誌2012年7月18日号で発表した。シリマリンを服用する慢性肝炎患者は少なくないものの、その効果についてのエビデンスは明確ではなかったという。シリマリン420mgと700mgを投与し、24週後の変化を比較研究グループは、2008年5月~2010年5月にかけて、C型肝炎で血中ALT値が65U/T以上の154人について、米国内4ヵ所の医療機関を通じて無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。被験者は、それまでにインターフェロン治療を受けていたが、治療効果は上がっていなかった患者で、無作為にシリマリン群(シリマリン420mg群と700mg群)とプラセボ群の3群に割り付け、それぞれ1日3回、24週間にわたり投与した。主要アウトカムは、24週時点の血中ALT値が45 U/L以下、または試験開始時から同値が50%以上減少し65 U/L未満を達成することだった。主要アウトカム達成率は3群で同等、血中ALT値の減少幅も有意差なし24週間後、主アウトカムを達成したのは、各群でそれぞれ2人に留まった(シリマリン420mg群:4.0%、シリマリン700mg群:3.8%、プラセボ群:3.8%)。試験開始時と比べ、血中ALT値の変化幅平均値もまた、シリマリン420mg群が-14.4U/L、シリマリン700mg群が-11.3U/L、プラセボ群が-4.3 U/Lと、治療群間の差は有意ではなかった(p=0.75)。また、HCV-RNA値や生活の質(QOL)測定値についても、24週間後の変化幅は、三群で同等だった。

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認知症を予防するには「体を動かすべき」

 超高齢社会に突入したわが国において、認知症の予防は重要な課題である。認知症予防に有効だと考えられている1つの方法に「運動」がある。Bowen氏は運動を行うことで認知症リスクに影響を与えるか否かを検証し、Am J Health Promot誌2012年7月号で報告した。 本研究は、HRSの身体活動に関するデータとADAMSの認知アウトカムデータを使用したプロスペクティブ研究(HRS:Health and Retirement Study、ADAMS:Aging, Demographics, and Memory Study)。対象は、3~7年間の身体活動に関する情報を有する認知症を発症していない71歳以上の高齢者808名である。身体活動はエアロビクス、スポーツ、サイクリング、重労働の家事などの活発な身体活動を週3回以上実施しているかどうかで評価した。認知症の診断は、専門医(神経心理学者、神経科医、老年科医、老年精神医学科医など)による神経心理学的テストにより評価した。分析には、人口統計学的特性などの因子を調整するためロジスティック回帰分析モデルを用いた。主な結果は以下のとおり。・認知症リスクと活発な身体活動には顕著な関係が認められた。・最終的には、活発な身体活動を行っていた高齢者では認知症と診断されるリスクが21%低くなると考えられる(p≦0.05)。・活発な身体活動は、認知症リスク低下の独立した危険因子の可能性がある。関連医療ニュース ・認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ ・アルツハイマーの予防にスタチン!? ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?

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「痛み」の種類に応じた治療の重要性~全国47都道府県9,400人を対象とした実態調査~

 痛みとは本来、危険な外的刺激から身を守ったり、身体の異常を感知したりするなど、生命活動に必要なシグナルである。しかし、必要以上の痛みや原因のない痛みは防御機能として作用しないばかりか、健康や身体機能を損なう要因となるため、原因となる疾患の治療に加えて痛みのコントロールが必要となる。 ところが、日本では痛みに対する認識や治療の必要性が十分に知られていない。そのような実態を踏まえ、47都道府県9,400人を対象とした「長く続く痛みに関する実態調査」が実施され、その結果が2012年7月10日、近畿大学医学部奈良病院 整形外科・リウマチ科の宗圓 聰氏によって発表された。(プレスセミナー主催:ファイザー株式会社、エーザイ株式会社)●「痛み」とは 痛み(疼痛)はその病態メカニズムにより、怪我や火傷などの刺激により侵害受容器が持続的に刺激されて生じる「侵害受容性疼痛」、神経の損傷やそれに伴う機能異常によって生じる「神経障害性疼痛」、器質的病変はないものの、心理的な要因により生じる「心因性疼痛」の3つに大別される1)。 これらは疼痛の発生機序や性質が違うため治療法は異なるが、実際にはそれぞれの要因が複雑に絡み合っており、明確に分類することは困難である。とくに神経障害性疼痛は炎症が関与しないため、消炎鎮痛剤が効きにくく難治性であることが知られている。●神経障害性疼痛の特徴と診断 神経障害性疼痛は「知覚異常」、「痛みの質」、「痛みの強弱」、「痛みの発現する時間的パターン」という4つの臨床的な特徴がみられる1)。1.知覚異常: 自発痛と刺激で誘発される痛みの閾値低下(痛覚過敏など)2.痛みの質: 電撃痛、刺すような痛み、灼熱痛、鈍痛、うずく痛み、拍動痛など3.痛みの強弱: 弱いものから強いものまでさまざまである4.痛みの発現する時間的パターン: 自発性の持続痛、電撃痛など 神経障害性疼痛の診断アルゴリズムによると、疼痛の範囲が神経解剖学的に妥当、かつ体性感覚系の損傷あるいは神経疾患を示唆する場合に神経障害性疼痛を考慮する。そのうえで、神経解剖学的に妥当な疼痛範囲かどうか、検査により神経障害・疾患が存在するかどうかで診断を進める2)。●神経障害性疼痛の薬物治療 神経障害性疼痛の治療は薬物療法が中心となるが、痛みの軽減、身体機能とQOLの維持・改善を目的として神経ブロック療法、外科的療法、理学療法も用いられる。日本ペインクリニック学会の「神経障害性疼痛薬物治療ガイドライン」によると、以下の薬剤が選択されている2)。第1選択薬(複数の病態に対して有効性が確認されている薬物)・三環系抗うつ薬(TCA)  ノルトリプチン、アミトリプチン、イミプラミン・Caチャネルα2δリガンド  プレガバリン、ガバペンチン下記の病態に限り、TCA、Caチャネルα2δリガンドとともに第一選択として考慮する・帯状疱疹後神経痛―ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤(ノイロトピン)・有痛性糖尿病性ニューロパチー―SNRI(デュロキセチン)、抗不整脈薬(メキシレチン)、アルドース還元酵素阻害薬(エパルレスタット)第2選択薬(1つの病態に対して有効性が確認されている薬物)・ノイロトピン・デュロキセチン・メキシレチン第3選択薬・麻薬性鎮痛薬  フェンタニル、モルヒネ、オキシコドン、トラマドール、ブプレノルフィン なお、三叉神経痛は特殊な薬物療法が必要となり、第1選択薬としてカルバマゼピン、第2選択薬としてラモトリギン、バクロフェンが選択されている。●47都道府県比較 長く続く痛みに対する意識実態調査 調査結果 各都道府県の慢性疼痛を抱える人の考えや行動を明らかにするために、「47都道府県比較 長く続く痛みに対する意識実態調査」が実施された。 対象は慢性疼痛の条件を満たした20歳以上の男女9,400人(各都道府県200人)で、インターネットを用いて調査が行われた。主な結果は以下のとおり。・「痛みがあってもある程度、自分も我慢するべき」と考える人は74.3%(6,981人)、「痛いということを簡単に他人に言うべきではない」と考える人は55.7%(5,240人)であった。・長く続く痛みへの対処で、病医院へ通院していない人は50.1%(4,707人)であり、そのうち31.2%(1,470人)が「病院へ行くほどでもないと思った」と回答した。・痛みがあってもある程度、自分も我慢するべきと考える割合や、過去5年以内に1回でも通院先を変更した経験があったり、3回以上通院先を変更したりしている人の割合については地域差がみられた。・神経障害性疼痛を判定するスクリーニングテストの結果、20.1%(1,888人)に神経障害性疼痛の疑いがあった。・72.9%(6,849人)が「長く続く痛みの種類」を知らず、76.6%(7,203人)が「長く続く痛みの治療法を知らない」と回答した。 これらの結果より、宗圓氏は、日本では痛みを我慢することが美徳とされてきたが、痛みを我慢するとさまざまな要因が加わって慢性化することがあるため、早めに医療機関を受診することが重要であると述べた。 そして、痛みが長期間続くと不眠、身体機能の低下やうつ症状を併発することもあるため、治療目標を設定し、痛みの種類や症状に合わせて薬物療法、理学療法や心理療法も取り入れ、適切に治療を行う必要があるとまとめた。●プレガバリン(商品名:リリカ)について プレガバリンは痛みを伝える神経伝達物質の過剰放出を抑えることで鎮痛作用を発揮する薬剤であり、従来の疼痛治療薬とは異なる新しい作用機序として期待されている薬剤である。また、現在120の国と地域で承認され、神経障害性疼痛の第一選択薬に推奨されている。 さらに、2012年6月にプレガバリンは「線維筋痛症に伴う疼痛」の効能を取得した。線維筋痛症は全身の広い範囲に慢性的な疼痛や圧痛が生じ、さらに疲労、倦怠感、睡眠障害や不安感などさまざまな症状を合併し、QOLに悪影響を与える疾患である。国内に約200万人の患者がいると推計されるが3)、日本において線維筋痛症の適応で承認を受けている薬剤はほかになく、国内唯一の薬剤となる。国内用量反応試験、国内長期投与試験、外国後期第Ⅱ相試験、外国第Ⅲ相試験および外国長期投与試験において、副作用は1,680例中1,084例(64.5%)に認められた。主な副作用は浮動性めまい393例(23.4%)、傾眠267例(15.9%)、浮腫179例(10.7%)であった。なお、めまい、傾眠、意識消失等の副作用が現れることがあるため、服薬中は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように、また、高齢者では転倒から骨折に至る恐れがあるため注意が必要である。●疼痛治療の今後の期待 慢性疼痛は侵害刺激、神経障害に加え、心理的な要因が複雑に絡み合っている。さらに「長く続く痛みに関する実態調査」によって、疼痛を我慢して治療を受けていない患者の実態が明らかとなり、さまざまな要因が加わって疼痛が慢性化し、治療が難渋することが懸念される。 抗炎症鎮痛薬が効きにくいとされている神経障害性疼痛において、プレガバリンのような新しい作用機序の薬剤の登場により、痛みの種類に応じた薬剤選択が可能となった。患者と治療目標を設定し、適切な治療方法を選択することにより、今後の患者QOLの向上が期待される。

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働く世代や小児がん対策充実へ…新・がん対策推進計画

 7月26日、大阪で開催された第10回日本臨床腫瘍学会学術集会 公開講座にて、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課 鷲見学氏は、過去5年間の「がん対策推進基本計画」のレビューを行うとともに、本年6月に改定された 新・がん対策推進基本計画 の特徴を紹介した。「がん対策推進基本計画」策定後の主な成果 「がんの年齢調整死亡率(75歳以上)を10年間で20%減少」という目標については、5年間で8.8%減少した。未達であるが、残りの5年間で達成に向けて進めていきたい。 また、すべての地域がん診療連携拠点病院で放射線治療機器(リニアック)、外来化学療室が設置された。緩和ケアについても研修事業を行い、5年間で3万人以上が緩和ケアの研修を終了している。がん登録については、5年前は35道府県だったが、平成24年4月時点では45道府県で実施されており、24年末には全都道府県でがん登録の制度がスタートする予定である。 拠点病院の充実については、2次医療圏に原則1つということであったが、現在は全国で397ヵ所と増加している。また、この全施設で相談支援センターを設置し、相談員を配置している。 がん検診の受診率については、向上しているものの目標の5割には到達していない。しかしながら、子宮頸がんの30、40代、乳がんの40代、50代など一部の年代層、一部のがん種では5割近くまで上がってきている。全体として、がん対策の枠組みが一定程度整備されてきており、今後5年間は質の向上が課題といえる。予算については、基本計画ができてから柱ができた。現在の予算額は約350億円であるが、厳しい財政状況のなか徐々に上昇してきている。新・がん対策推進基本計画 このような中、6月に「がん対策推進基本計画」が新たに策定された。今回は、働く世代や小児へのがん対策の充実が新たに加わったのが特徴である。また、死亡者の減少、QOLの向上に加え、がんになっても安心に暮らせる社会の構築を新しい目標として掲げている。 いまや、がんの5年生存率は56.9%に向上した。すなわち、がんの治療を受けながら仕事をしなければならない患者さんが増えているわけである。この方たちは2015年には533万人になると推定されている。 一方で、がんの罹病により勤務者の34%が依願退職あるいは解雇され、自営業者の13%が廃業しているという事実がある。こうした中、職場の理解を深める、ハローワークと相談支援センターをつなぎ合わせるなどを課題としながら進めていきたいと考えている。 また、働く世代のなかでも、女性のがん死亡率の上昇が問題となっている。乳がん、子宮頸がんについては、諸外国では死亡率が下がっているにもかかわらず、日本では上昇している。きわめて深刻な状況である。無料クーポンの拡大など検診受診率の向上を図っていきたい。 小児がんについては、現在2,000例から2,500例が新たに発生している。しかし、1施設に症例数が集まらず、質の向上が図れない、新薬の治験体制ができていないなどの課題がある。そのため、小児がん拠点病院を新たに立ち上げるとしている。 緩和ケアについては、緩和ケアセンターを立ち上げ、緊急病床の確保を検討している。 このように、総括していろいろな視点で、複眼的に政策を進め、がんになっても安心して暮らせる社会の構築をしていくと、と鷲見氏は述べた。(ケアネット 細田 雅之)

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