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うつ病の既往歴がある患者に対する禁煙治療は難しい?!

 大うつ病の既往は、禁煙治療中あるいは治療後の禁煙継続に悪影響を及ぼすことが報告された。米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学校のHitsman氏らによるメタ解析の結果で、以前(2003年)の解析のアップデート報告。当時の報告では、大うつ病既往は禁煙治療に影響しないことが示されていた。今回の解析結果を受けて著者は、大うつ病喫煙患者には、この点に注目した効果的な治療もしくは適切な治療を見極めることが必要だと提言している。Addiction誌オンライン版2012年10月16日号の報告。 以前のレビュー対象14試験と、2000~2009年に発表された論文で適格であった28試験を対象に組み込み、過去の大うつ病、最近(≦6ヵ月)の大うつ病エピソード、認知行動療法(対面法vs.自己療法)の継続期間と種類、その他の因子をコード化した。解析は、大うつ病喫煙患者に選択的ベネフィットを与える可能性がある実験的治療の影響を極力排除するため、プラセボ/最小強度対照試験のみとした。短期間(≦3ヵ月)および長期間(≧6ヵ月)の禁煙における過去の大うつ病の影響に関する試験特異的オッズ比(OR)を算出した(ランダム効果モデルを用いて統合)。試験方法論と治療因子を用いて、禁煙に関する評価を行った。主な結果は以下のとおり。・非大うつ病喫煙者よりも、大うつ病喫煙者では、短期禁煙のオッズ比が17%低く(評価対象35例、OR:0.83、95%CI:0.72~0.95、p=0.009)、長期禁煙は19%低かった(同38例、0.81、0.67~0.97、p=0.023)(この評価ではバレニクリン単独試験は抗うつ作用を有するので除外した)。・過去の大うつ病と禁煙との関連は、試験方法論(最近の大うつ病患者は除外、大うつ病評価の種類によるなど)や、治療(認知行動療法)によって異なることが認められた。関連医療ニュース ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・喫煙+糖尿病はうつ病リスクを高めるのか?! ・認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認

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抗結核薬耐性の最大リスク因子は「2次抗結核薬の投与歴」

 超多剤耐性結核(XDR-TB)を含む抗結核薬耐性の最大のリスク因子は、「2次抗結核薬の投与歴」であることが、米国疾病対策予防センター(CDC)のTracy Dalton氏らの調査(Global PETTS)で示された。多剤耐性結核(MDR-TB)は、Mycobacterium tuberculosisを原因菌とし、少なくともイソニアジドとリファンピシンに対する耐性を獲得した結核で、XDR-TBはこれら2つの1次抗結核薬に加え、2次抗結核薬であるフルオロキノロン系抗菌薬および注射薬の各1剤以上に耐性となった結核と定義される。XDR-TBの世界的発生は実質的に治療不能な結核の到来を告げるものとされ、MDR-TBに対する2次抗結核薬の使用拡大によりXDR-TBの有病率が増大しつつあるという。Lancet誌2012年10月20日号(オンライン版2012年8月30日号)掲載の報告。2次抗結核薬の耐性を前向きコホート試験で評価Global PETTS(Preserving Effective TB Treatment Study)の研究グループは、8ヵ国における2次抗結核薬に対する耐性の発現状況を評価するプロスペクティブなコホート試験を実施した。2005年1月1日~2008年12月31日までに、エストニア、ラトビア、ペルー、フィリピン、ロシア、南アフリカ、韓国、タイにおいて、MDR-TBが確認され、2次抗結核薬治療を開始した成人患者を登録した。CDCの中央検査室で、以下の11種の抗結核薬の薬剤感受性試験を行った。1次抗結核薬であるエタンブトール、ストレプトマイシン、イソニアジド、リファンピシン、2次抗結核薬としてのフルオロキノロン系経口薬(オフロキサシン、シプロフロキサシン)、注射薬(カナマイシン、カプレオマイシン、アミカシン)、その他の経口薬(アミノサリチル酸、エチオナミド)。2次抗結核薬に対する耐性のリスク因子およびXDR-TBを同定するために、得られた結果を臨床データや疫学データと比較した。2次抗結核薬耐性率43.7%、XDR-TB感染率6.7%解析の対象となった1,278例のうち、1つ以上の2次抗結核薬に耐性を示したのは43.7%(559例)であった。20.0%(255例)が1つ以上の注射薬に、12.9%(165例)は1つ以上のフルオロキノロン系経口抗結核薬に耐性を示した。XDR-TBの感染率は6.7%(86例)だった。これらの薬剤に対する耐性発現の最大のリスク因子は「2次抗結核薬の投与歴」で、XDR-TB感染のリスクが4倍以上に増大した(フルオロキノロン系経口薬:リスク比4.21、p<0.0001、注射薬:4.75、p<0.0001、その他の経口薬:4.05、p<0.0001)。フルオロキノロン系抗菌薬耐性(p<0.0072)およびXDR-TB感染(p<0.0002)は男性よりも女性で高頻度であった。2次抗結核注射薬に対する耐性は、失業、アルコール依存、喫煙との間に関連を認めた。その他のリスク因子については、各薬剤間、各国間でばらつきがみられた。著者は、「XDR-TBを含む抗結核薬耐性の一貫性のある最大のリスク因子は、2次抗結核薬の投与歴であった」と結論し、「今回の特定の国における調査結果は、検査体制に関する国内的な施策や、MDR-TBの効果的な治療に関する勧告の策定の参考として他国にも外挿が可能と考えられる」と考察している。

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だいじょうぶか安房医師会:無料低額診療に反対する理由がひどい (その1/2)

亀田総合病院副院長社会福祉法人太陽会顧問小松 秀樹2012年10月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。●原徹文書2012年10月9日、安房医師会理事会(会長、副会長以外に6名の理事が出席)において、原徹安房医師会副会長が「安房地域医療センター 無料低額診療施設としての位置付けに関して」と題する文書を配布した。原徹医師は、千葉県医師会副会長であり、日本医師会代議員でもある。医師会活動に長年取り組み、医師会内で地位を獲得してきた。理事会では、間宮聰会長と3名の理事が、原徹文書の論理に沿って、安房地域医療センターで計画されている無料低額診療に対する反対意見を述べた。文書には署名が入っていなかった。私の問い合わせに対し、原副会長は、自分が健康福祉指導課に懸念を伝え、文書を書いたと答えた。文書中には、「安房医師会としての下記懸念がある事を(千葉県庁健康福祉部・健康福祉指導課に)お伝えした」とあり、懸念の主体が安房医師会であることが示されている。安房地域医療センター 無料低額診療施設としての位置付けに関して安房地域医療センターが無料低額診療を開始するとの情報を得た為、10月3日所管となる千葉県庁健康福祉部・健康福祉指導課から御意見を求めた。また安房医師会としては下記の懸念がある事をお伝えした。1)地区医師会所属の会員施設の患者さんも生活に困窮されている方は少なくない状況下にあり、無償ないし低額での保険医療提供は患者誘導、集患行為に当たるのではないか?2)社会福祉法人 太陽会が運営する病院であることは承知しているが、社会福祉法人の理事、評議員の構成が医師会組織や行政の意見を充分に反映する内容となっているのか? また経営の実態は鉄蕉会が担っている様に見受けられますが、社会福祉法人の趣旨を徹底する事が可能なのか?3)本制度に該当する患者さんを選定する会議などが公正に機能するのか?4)生活保護者に対する医療行為等を勘案すると、保険医療費が増加する可能性が否めないのでは? 本制度を運用する施設は、これまで民医連系等が運営する施設など、受診者自身の選択がある程度伴う施設が主であったが安房地域医療センターの位置付け、役割を再度考えるべきではないか?等々の疑問が生じます。●無料低額診療を計画した理由なぜ、社会福祉法人太陽会が無料低額診療を計画するに至ったのか。『厚生福祉』2012年7月20日号掲載の「日本社会の変化と医療・介護」で、小松俊平(現太陽会理事長補佐、鉄蕉会経営企画室員)が理由を述べている。2010年度の国保被保険者3920万人の前年の平均所得は、1世帯当たり145万円、1人当たり83万7千円だった。これに対して、2008年度の国保被保険者の前年の平均所得は、1世帯当たり168万円、1人当たり95万6千円だった。2010年度と比較すれば、リーマン・ショックの影響の深刻さをみてとることができる。さらに遡って、1993年度の国保被保険者の前年の平均所得は、1世帯当たり239万円、1人当たり109万円だった。IMFの「World Economic Outlook Database」(2012年)によれば、2009年の日本の名目GDPは、1992年と比較して3.4%減少したにとどまる。これに対して、国保被保険者の平均所得は、1世帯当たり39%、1人当たり23%減少したことになる。」国保被保険者は、平均世帯所得145万円の中から、平均保険料14万4千円、さらに受診時に自己負担分を支払っている。これと生活保護の基準を比較すれば、我が国セーフティ・ネットの矛盾と破綻の状況が浮かび上がってくる。社会保障推進千葉県協議会が行った市町村への国民健康保険アンケートによれば、2010年の館山市の総世帯に占める国保加入世帯の割合は45.3%、国保加入世帯に占める前年度滞納世帯の割合は30.5%といずれも高率である。国民健康保険実態調査によれば、2010年の市町村国保被保険者1人当たりの課税標準額は、全国63万8094円に対し、館山市59万8316円である。館山市にある安房地域医療センターでは、医療・介護へのアクセスに困難を抱える患者をよく目にする。例えば、独居で移動手段がなく、交通費や医療費の自己負担分を嫌って病院に行かず、症状が顕著になってから救急搬送され、初診で入院となる患者がいる。あるいは、自宅に戻るのが困難であるにもかかわらず、資力の関係で療養病床、老人保健施設を利用できず、特別養護老人ホームの利用を待機している患者もいる。事態は極めて複雑かつ困難で、問題の統一的解決は不可能である。国や地方自治体は、法規範の権威的決定とその執行というスタイルで作動する。公権力という強い力を持つがゆえに、手足を厳密に拘束せざるを得ない。複雑かつ困難な状況を的確に認知し、迅速かつ臨機応変に対処することを期待するのは無理である。結局、現場にあるそれぞれの医療・介護の経営主体が、目を見開いて世界をよく認識し、認識した世界と自己を対照して、自らを変え続け、さらに社会を変え続けていくしかない。工夫に工夫を重ねた特殊な成功例を積み重ねることである。国や地方自治体の役割は、特殊な成功例が多く出るような環境を整えることである。現場に自由を与え、環境の公正さを保障しなければならない。亀田グループでは、医療・介護の供給増のネックとなっている看護師の養成に全力を挙げると同時に、安房地域医療センターにおいて、社会福祉事業として医療を公定価格より安く提供すること(無料・低額診療事業)、従来の居宅での生活が困難になった地域の高齢者へ、安房地域医療センターの近隣で集合住宅、在宅医療、居宅介護を一体的に提供すること(安房セーフティ住宅構想)などを検討している。無料低額診療は、経済的負担に病院が耐えられる範囲でしか実施できない。安房地域医療センターは破綻した医師会病院を、県と地元の自治体の依頼によって負債付きで引き受けたものである。未だに補助金なしでは赤字である。無料低額診療を実施するための資金は、寄付で集めたいと考えている。寄付集めの専門家とも相談を重ねている。無料低額診療を行うにあたって3つの原則が重要だと考えている。第一に病院の存続が脅かされてはならない。第二に安房地域医療センターが担っている急性期医療の機能が損なわれてはならない。第三に受療行動にモラル・ハザードをもたらすことのないようにしなければならない。モラル・ハザードは社会保障の根本に付きまとう問題である。アリストテレスの配分的正義「等しきものは等しく、不等なるものは不等に扱わるべし」が問われる。社会保障によって、負担する費用と受け取るサービス水準の逆転を許せば、働くことを忌避する風潮が生まれる。ごね得を許せば、ごね得が社会にはびこる。結果として市民の士気(morale)が損なわれ、あるいは社会の規律なり道徳なり(moral)が損なわれる。無料低額診療を開始する前に申請、審査、承認を行う。虚偽の申請に対しては、詐欺罪による刑事告発、および減免された費用の返還を求める民事訴訟などができるようにしたいと考えている。さらに、外来診療については、一定期間で終了とし、入院診療については、原則として、退院許可をもって終了とする方針を考えている。様々な制約の中で、ささやかな規模にしかならないかもしれないが、医療にアクセスできない生計困難者を救済したいというのが今回の試みである。●安房10万人計画実は、無料低額診療を推進すべきもう一つの理由がある。安房10万人計画である。首都圏の高齢者を招いて安房の人口を増やそうというものである。亀田グループでは、2012年3月以後、安房10万人計画について議論を重ねている。首都圏では、団塊の世代の高齢化によって、今後20年間で介護需要が約3倍に増加する。団塊ジュニア世代の高齢化がこれに続くため、高齢者の絶対数は長期間にわたって大きく減少することはない。介護需要の増加の規模が余りに大きいため、首都圏だけの対応では、介護需要に応じることが難しいと考えられている。一方で、安房3市1町(館山市、鴨川市、南房総市、鋸南町)では、高齢化率が首都圏よりはるかに高くなり、人口が急速に減少する。2030年には館山市、鴨川市、南房総市、鋸南町の高齢化率はそれぞれ41.1%、43.7%、51.2%、49.3%になると予想されている。高齢化率が50%を超える自治体は、限界自治体と呼ばれる。日本社会保障人口問題研究所の2008年の市町村別将来推計人口によれば、限界自治体数は、2010年10、2020年39、2030年105に達すると予想されている。限界自治体は、有効な対策がなければ自治体としての存続が難しくなる。安房には利点がある。温暖であり、亀田総合病院という日本を代表する病院の一つがある。医療と介護施設、介護施設同士の連携が極めて良好である。この利点を生かそうとするのが、安房10万人計画である。ミッションは以下の3点。1. 首都圏の高齢者、要介護者に、安房で、楽しく穏やかに人生の終末期を過ごし、死を迎えてもらう。2. 高齢者を介護する若者に、安房で、結婚し、子供を産み育ててもらう。3. 安房を活性化することで、住民に職を提供する。さまざまな経営主体に参加を呼び掛けたいと思っている。亀田グループで利益と手柄を独占しない。参加した施設には、医療提供で協力する。異なる立場の関係者が参加するNPOを設立し、これが全体のルールの設定や改定など調整業務を担うようにしたい。亀田グループにとっての最大のメリットは、この地域の人口を増やすことである。政府も似たようなアイデアを進めようとしている。2012年10月8日の日本経済新聞電子版によると、厚労省などが、高齢者の地方移住促進のための仕組みを検討しているという。送り出す自治体が費用を負担する。来年度、東京都杉並区と静岡県南伊豆町が協定を結ぶことになっている。安房10万人計画を推進するのに、地元の生計困難者が医療にアクセスできないのを放置していたのでは、地元の住民の共感が得られない。安房で医療、福祉が充実していることを示さないと、首都圏の高齢者に信頼されない。(その2/2へ続く)

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CKD患者の血圧管理:ARBで降圧不十分な場合、増量か?併用か?

 CKD患者の血圧管理においてARB単剤で降圧目標130/80mmHg未満に到達することは難しい。今回、熊本大学の光山氏らは、日本人対象の無作為化比較試験のサブ解析の結果、ARB単剤で降圧不十分時にARBを増量するより、Ca拮抗薬を併用したほうが心血管系イベントや死亡といったリスクを回避しやすいことを示唆した(Kidney International誌オンライン版10月10日号掲載報告)。 ARBを低用量から開始し、通常用量まで増量しても降圧目標に達しないケースでは次にどのような一手を打つべきか? さらに増量する方法のほか、Ca拮抗薬など他の降圧薬の追加も選択肢となる(『CKD治療ガイド2012』では尿蛋白を伴わず、糖尿病を合併していない場合は「降圧薬の種類を問わない」とされている)。 サブ解析は、無作為化オープン試験OlmeSartan and Calcium Antagonists Randomized(OSCAR)試験について行われた。OSCAR試験では心血管疾患もしくは2型糖尿病を1つ以上有する日本人の高齢者(65~85歳)高血圧患者1,164例を対象とし、ARB増量群(オルメサルタン40mg/日)あるいはARB+Ca拮抗薬併用群(オルメサルタン20mg/日+Ca拮抗薬)に無作為化された。今回のサブグループ解析の対象は、事前に設定されていたCKD患者(eGFR 60 mL/min/1.73 m2 未満)である。 主要評価項目は「心血管系イベント」および「非心血管疾患死」。心血管系イベントは「脳血管障害」「冠動脈疾患」「心不全」「その他動脈硬化性疾患」「糖尿病性合併症」「腎機能の悪化」と定義された。なお、本試験については、すでに2009年に小川氏(熊本大学)らによって主要結果が発表されている(Hypertens Res. 2009;32:575-580.)。 主な結果は下記のとおり。・血圧は併用群で増量群に比べ、有意に低下。・主要評価項目の発生率は併用群(16例)で増量群(30例)より少なかった(ハザード比 2.25)。・脳血管障害および心不全イベントが増量群でより多く発生した。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(31)〕 リウマトイド因子高力価陽性の健常者は10年以内に関節リウマチを発症する可能性がある

健常者におけるリウマトイド因子陽性の病的意義は不明であったが、関節リウマチと診断されていない20代から70代の9,712人のコペンハーゲン住民の健常者を28年間追跡した前向きコホート研究の結果、リウマトイド因子の値が高いほど10年以内に関節リウマチを発症するリスクが高まることが示された。 ベースラインで約90%の住民がリウマトイド因子陰性(年齢中央値:58歳)、176人が 25~50 IU/mL(年齢中間値58歳)、187人が 50.1~100 IU/mL(年齢中間値62歳)、55人が>100 IU/mL(年齢中間値62歳)であった。リウマトイド因子陽性の有無については主治医、患者に伝えられないでフォローが開始され、18万7,659人・年の間に、183例が関節リウマチを発症。関節リウマチと診断された年齢の中央値は70歳であった。 10年以内に関節リウマチを発症するリスクに関する多変量解析の結果では、<25 IU/mL群と比較し、25~50 IU/mL群がハザード比 6.0 (95%信頼区間:2.1~17)、50.1~100 IU/mL群が14(同:6.7~28)、>100 IU/mL群が39(同:18~85)であった。関節リウマチの発症頻度が最も高かったグループはリウマトイド因子レベル>100 IU/mL群の50~69歳の女性(30%前後)であり、同群の50歳以下女性が20-25%とそれに継いだ。また、リウマトイド因子レベル50.1~100 IU/mL群では10%前後、25~50 IU/mL群で5%前後の頻度であった。 本研究でRAと同定された年齢がRAの好発年齢(30~60歳)と異なること、ベースラインでのリウマトイド因子陽性者の人数が少ないことから、発症頻度については今回のコホートで認められた観察結果と考えるにとどめるのが妥当と思われる。 無症状のリウマトイド因子陽性の健常者について、早期診断につながる可能性があるが、リウマトイド因子陽性50.1以上の健常者がRAと診断されるまでの年数が中央値で7年であることを考えると、リウマトイド因子陽性の健常者に関節炎が認められないことがリウマチ専門医により確認されたら、患者教育を行い関節症状の出現時に速やかに再受診することを促せばいいと考えられる。

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ある製薬メーカーのケースからを考える「研究者の業務効率化」とは?

9月8日(土)東京大学・本郷キャンパスにおいて山本雄士氏(株式会社ミナケア 代表取締役)主催による第5回の「山本雄士ゼミ」が開催された。今回は、ケーススタディとして「ワイス・ファーマシューティカルズ」(Wyeth Pharmaceuticals: Spurring Scientific Creativity with Metrics)を取り上げ、製薬メーカーにおける経営マネジメントなどについてディスカッションした。山本雄士ゼミは、ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得した山本氏をファシリテーターに迎え、ケーススタディを題材に医療の問題点や今後の取組みをディスカッションによって学んでいく毎月1回開催のゼミである。イントロダクション冒頭、山本氏よりケーススタディ企業の概要が説明され、「研究部門長の改革で優れている点は何か?」と「研究開発の目標数を増やすメリット・デメリット」の2つのテーマの提起のあと、ディスカッションに入った。ワイス社は、1860年代にアメリカで創業された企業で何度かの合併・買収を繰り返しながら大きくなっていった製薬メーカ(現在ワイス社は買収されて存在しない)。2005年時点で売上高は約180億ドル、世界的な主力製品の関節リウマチ治療薬や乳幼児向け肺炎球菌ワクチンなど、バイオ医薬品とワクチンなどに強い会社である。企業の研究部門改革の成功例をみる同社が低迷する新開発商品の倍増を目指し、テコ入れを行った「新たな働き方(NWW)」の経緯が今回のケースの内容である。2001~2002年にかけて創薬の初期段階である新規化合物が伸びたこと、試験への進展率が上がったことなどケースから読み取れる事例の報告後、山本氏より「数字で管理するメリットは何か?」との問題提起をうけて、ディスカッションが始まった。参加者からは、「経営戦略がたてやすい」、「研究・開発の管理が容易になる」、「報酬増の目安が表示される」などの意見が出された。次に「NWWが成功したポイントは?」という問いに「モチベーションの見える化」や「報酬の連帯性=組織の強化」、「作業プロセスの効率化」、「スピード感の向上」などの意見が出された。製薬メーカーの本質とは何か山本氏より問題提起として「創薬研究はアートといえるかどうか?」という問題が投げかけられ参加者は、「アートである」と「研究の成果である」の2つに分かれ、ディスカッションが行われた。かたや「薬のターゲットを決めることが創造的作用である」から、かたや「偶然に左右される産物をどのように管理するのか」など双方からさまざまな意見が寄せられた。次に山本氏から「製薬企業の強みとは何か?」という質問に参加者からは、「needs(需要)とseeds(供給)の調整ができる」や「サポートの充実、安定供給ができる」、「患者への責任を持っている」など企業の本質に関わる話題まで多くの回答が寄せられた。これらの内容を踏まえて、企業のサプライチェーン(供給連鎖)の話題や最近の創薬研究の動き(研究の外注化やベンチャーの買収)などがミニレクチャーされた。研究が主体の企業の在り方ケーススタディに戻り、ワイス社がNWWでターゲットの開発目標数を12から15個に増やしたことの賛否について山本氏が質問。これに対し、参加者からは「高めの目標設定は理解できる」や「難しい目標設定ではない」などの賛成意見と「収益の改善に効果がない」や「質が低下する」などの反対意見が出され、ディスカッションが行われた。そして、同社がNWWのおかげで急激な開発速度で目標が達成された経緯を検討、研究者の働き方に関する議論へと進展した。ディスカッションでは、企業統治について本社主導の「統制型」か部門ごとの「分権型」かに分かれて行われた。統制型では、管理しやすく、遂行型業務には適しており、全体最適化がしやすい反面、調整が難しかったり、目標が高くなるきらいがあるなどの意見がでた。一方で、分権型では、部門の自律性が図れると同時に権限が強くなり、フレキシブルな対応ができる反面、目標が低くなり、責任の所在が曖昧になる、全体最適化が難しいなどの意見が出された。結論として、こうした分類は簡単に割り切れるわけではなく、規模や業務内容に応じて選択する必要があること、基準化された正解はないことを確認した。最後にまとめとして、山本氏が「研究・開発に関して、知識の部分というのは管理化・プロトコル化できるが、暗黙知の部分は手順化が難しい。しかし、社内や学内研修や知識の共有化を通じてツール化することは可能であり、今後、この暗黙知の部分も会社なり、大学なり研究組織は、ツール化して組織内にどんどん導入する時にきている」と示唆を述べ、今回のゼミを終えた。

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仕事上でストレスを感じていると、冠動脈疾患を発症しやすいのか?

 「仕事上でストレスを感じていると、冠動脈疾患を発症しやすいのでしょうか?」このような患者さんからの質問にどのように回答するか? これまで職場でのストレスが冠動脈疾患の発症リスクを高めるかについては、出版バイアスや因果の逆転等によって異なる結果が発表されてきた。英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのKivimäki氏らはメタアナリシスの結果、仕事上のストレスを感じている人では冠動脈疾患の発症率が高くなることを明らかにした。Lancet誌2012年10月27日号の掲載報告。 厚生労働省の2010年度国民生活基礎調査によると、12歳以上の日本人では46.5%が「悩みやストレスがある」と回答している。その割合は男女とも40代が最も高く、その原因として男性30−40代の7割が「自分の仕事」を挙げている。仕事上のストレスが冠動脈疾患発症に関係があることは想像できるが、これを科学的に証明した研究はそれほど多くない。論文発表されていない研究も含めると、証明できなかったものの方が多いくらいである。仕事上のストレスを感じている人では冠動脈疾患の発症率が有意に上昇 メタアナリシスには欧州における13のコホート研究(1985~2006年)が用いられ、これらのコホートには登録時に雇用者であり、かつ冠動脈疾患の既往がない男女が含まれていた。仕事上のストレスは、職業性ストレスの調査票(job-content questionnaire)と、要求度-コントロール調査票(demand-control questionnaire)を用いて測定した。冠動脈疾患は初回の心筋梗塞発症または冠動脈疾患死と定義した。主な結果は下記のとおり。・197,473名中30,214名(15%)が仕事上のストレスを報告した。・149万人・年(平均7.5年)の追跡において2,358名が冠動脈疾患を発症した。・仕事上のストレスがあった人では、冠動脈疾患の発症リスクはストレスがなかった人の1.23倍であった(ハザード比 1.23、95%信頼区間:1.10~1.37)であった(性・年齢調整後)。・初回3年間および初回5年間の発症を除外した場合も、同様に職場ストレスがあった人で、冠動脈疾患の発症率が有意に高かった。 ―初回3年間の発症を除外した場合のハザード比 1.31(95%信頼区間:1.15~1.48) ―初回5年間の発症を除外した場合のハザード比 1.30(95%信頼区間:1.13~1.50)・性別、年齢層、社会経済的階層によって群を分けた場合でも同様の結果が認められた。・仕事上のストレスの絶対リスクは3.4%であった。 著者らは職場ストレスの予防は疾患発症を減少させるかもしれないとしながらも、この戦略は喫煙などの標準的な危険因子の管理に比べるとその効果ははるかに小さいと結論づけている。 昨今は若年者の生活習慣病が増えてきており、このような患者さんでは通院や服薬が不規則なケースが多い。そして半数以上は職場でのストレスを抱えており、これは冠動脈疾患の有意な危険因子である。しかし、高血圧、高LDLコレステロール血症、喫煙など従来の危険因子の方がはるかに危険度は高く、治療によるリスク減少も証明されている。患者さんには現在の治療を続けることの重要性を再認識いただく機会に成りうるのではないだろうか。

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非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植と骨髄移植、2年生存率は同等

 白血病患者などに対する、非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植(PBSCT)と骨髄移植(BMT)について、2年生存率は同等であることが報告された。また、生着不全の割合はPBSCTのほうが、慢性移植片対宿主病の発症率はBMTのほうが、それぞれ有意にリスクは低い可能性も示唆された。米国・H. Lee Moffitt Cancer Center and Research InstituteのClaudio Anasetti氏らが、約550例について行った第3相多施設共同無作為化試験の結果で、NEJM誌2012年10月18日号で発表した。48ヵ所の医療機関を通じ、中央値36ヵ月追跡研究グループは2004年3月~2009年9月にかけて、48の医療機関を通じ66歳未満の急性白血病、脊髄形成異常、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄線維症の患者、合わせて551例について試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、非血縁ドナーからの、末梢血幹細胞移植(PBSCT)、または骨髄移植(BMT)を行った。生存者の追跡期間中央値は36ヵ月(四分位範囲:30~37)。両群の2年生存率などについて比較した。生着不全はPBSCT群3%でBMT群9%、慢性移植片対宿主病はそれぞれ53%と41%その結果、2年時点の全生存率は、PBSCT群が51%(95%信頼区間:45~57)、BMT群は46%(同:40~52)で、絶対格差は5%ポイント(同:-3~14)と両群間に有意差はみられなかった。生着不全の発生は、PBSCT群が3%(同:1~5)に対し、BMT群は9%(同:6~13)と有意に高率だった(p=0.002)。一方、移植2年後における慢性移植片対宿主病(GVHD)の発症率は、PBSCT群が53%(同:45~61)に対し、BMT群は41%(同:34~48)と有意に低率だった(p=0.01)。 なお、急性GVHDや再発率について、両群間に有意差はみられなかった。

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XDR結核患者へのリネゾリド追加投与、約9割が半年以内に喀痰培養陰性化

 超多剤耐性(XDR)の結核患者に対してリネゾリド(商品名:ザイボックス)を追加投与することで、6ヵ月時点までに87%で喀痰培養陰性化が認められたことが報告された。一方で、リネゾリドを投与した人の8割で、臨床的に明らかな有害事象が認められた。韓国・International Tuberculosis Research CenterのMyungsun Lee氏らが、40人弱について行った無作為化試験の結果で、NEJM誌2012年10月18日号で発表した。リネゾリド600mg/日を投与、4ヵ月以降は半数に300mg/日を投与研究グループは2008~2011年にかけて、喀痰培養陽性の広範囲薬剤耐性の結核患者で、過去6ヵ月間にいずれの化学療法にも反応しなかった41例を対象に試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方にはリネゾリド600mg/日の投与を即時開始し、もう一方の群には、2ヵ月後から追加投与を開始した。いずれも、それまでの服用レジメンは変更しなかった。主要エンドポイントは、試験登録後4ヵ月間の、喀痰培養の固体培地上での陰性化までの期間だった。陰性化または4ヵ月後のいずれか早い時点で、被験者を再び無作為に2群に分け、一方にはリネゾリド600mg/日を、もう一方の群には300mg/日を、18ヵ月以上投与した。なお、その間毒性に関する検査も行った。リネゾリド投与後6ヵ月以内の陰性化は87%、一方で有害事象82%その結果、投与開始4ヵ月までに喀痰培養が陰性化したのは、リネゾリド即時開始群の19例中15例(79%)に対し、リネゾリド待機開始群は20例中7例(35%)と、即時開始群が有意に高率だった(p=0.001)。38例中34例(87%)がリネゾリド投与後6ヵ月以内に喀痰培養が陰性化した。一方で、リネゾリドを投与した38例中31例(82%)で、リネゾリドに関連する可能性がある、臨床的に明らかな有害事象が認められ、うち3例は投与を中止した。2度目の無作為化でリネゾリド300mg/日を投与した群では、600mg/日投与群に比べ、有害作用発生率は少なかった。また、治療を完了したのは13例で、そのうち治療期間中に再発がみられなかったのは6例、追跡期間6ヵ月以内では4例、同12ヵ月以内では3例だった。リネゾリドへの耐性獲得が認められたのは4例だった。著者は、「リネゾリドは治療抵抗性XDR結核患者の培養陰性化達成に有効である。しかし一方で、有害事象について注意深くモニタリングしなければならない」と結論している。

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HPVワクチン接種を受けた少女、その後の性交渉に変化はみられるのか?

 HPVワクチン接種を受けた少女と受けなかった少女について、その後3年間の性交渉に関連した受診動向について後ろ向きに比較した結果、接種群の複合アウトカムリスク(妊娠/性感染症の検査または診断、避妊カウンセリング)の増大は、認められなかったことが報告された。米国のHMOカイザーパーマネント南東部ヘルスリサーチセンターのBednarczyk RA氏らによる報告で、これまでHPVワクチン接種後の性交渉の変化について自己申告に基づくサーベイ調査はあったが、臨床的指標を用いた調査はこれが初めてだという。Pediatrics誌オンライン版2012年10月15日号の掲載報告。 大規模なマネジドケア組織からの長期的電子データを用い、後ろ向きコホート研究の手法にて、思春期に接種が推奨されているワクチン接種後の性交渉関連臨床アウトカムを評価した。 2006年7月~2007年12月の間にマネジドケア組織に登録された11~12歳の少女を、思春期ワクチン(4価HPVワクチン)接種の有無で分類。2012年12月31日まで3年間追跡し、アウトカム(妊娠/性感染症の検査または診断、避妊カウンセリング)について評価した。受診行動や人口統計学的特性について補正後、多変量ポアソン回帰分析にて発生率比率を推定比較した。 主な結果は以下のとおり。・コホートには、1,398人の少女が組み込まれた(HPVワクチン接種者493人、非接種者905人)。・複合アウトカムリスク(すべての妊娠/性感染症の検査または診断、避妊カウンセリング)について、HPVワクチン接種群での有意な上昇はみられなかった。・補正後発生率比は1.29(95%CI:0.92~1.80)、発生率差は1.6/100人・年(95%CI:-0.03~3.24)であった。・クラミジア感染症に関する発生率差(0.06/100人・年、95%CI:-0.30~0.18)、妊娠診断に関する発生率差(0.07/100人・年、95%CI:-0.20~0.35)について、臨床的に意味ある絶対差はほとんど示されなかった。関連医療トピックス ・ロタウイルスの血清型と流行【動画】 ・睡眠時間の増減が子どもの情緒・落ち着きに与える影響 ・5価ロタウイルスワクチンの有効性、1回接種88%、2回接種で94%に

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うつ病に対するミルタザピンvs他の抗うつ薬【ポール・ヤンセン賞受賞】

 第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会(2012年10月18~20日、宇都宮市)にて2012年ポール・ヤンセン賞を受賞した名古屋市立大学 渡辺氏の「うつ病に対するミルタザピンと他の抗うつ薬の比較―コクランレビュー」を紹介する。 従来の抗うつ薬と異なる作用機序を有するミルタザピン。名古屋市立大学 渡辺氏らは成人のうつ病急性期治療に対するミルタザピンと他の抗うつ薬を比較したエビデンスを評価し、レビューを行った。その結果、著者らは「ミルタザピンはSSRIと比較し、とくに治療早期の有効性に優れる」としている。Cochrane Database Syst Rev誌2011年12月7日号の報告。 うつ病の急性期治療でミルタザピンと他の抗うつ薬を比較した無作為割り付け対照試験を対象とした。エビデンスはコクランうつ・不安神経症グループ研究データベース(CCDANCTR)にて検索を行った。関連研究報告書の参考文献リストをチェックし、専門家への問い合わせを行った。登録基準のチェックとデータの抽出は、2名の著者が各々独立して実施した。各データのランダム効果モデルはオッズ比(OR)と標準化平均差(SMD)に統合された。主要評価項目は治療反応とし、副次的評価として脱落率、忍容性を評価した。評価時期は、治療開始から2週間時点を治療早期、治療開始6~12週時点を急性期治療終了時とした。主な結果は以下のとおり。・最終的に29試験からうつ病患者4,974例のデータが得られた。対照薬として三環系抗うつ薬(10試験、1,553例)、SSRI(12試験、2,626例)、SNRI(2試験、415例)が用いられた。・主要評価項目では、ミルタザピンは三環系抗うつ薬と比較して、治療早期(OR 0.85、95%CI 0.64~1.13)および急性期治療終了時(OR:0.89、95%CI:0.72~1.10)のどちらも明確な差が示されなかった。・ミルタザピンはSSRIと比較して、治療早期(OR 1.57、95%CI 1.30~1.88)および急性期治療終了時(OR:1.19、95%CI:1.01~1.39)とも有意に優れていた。・ミルタザピンはSNRI(ベンラファキシンのみ)と比較して、治療早期(OR 2.29、95%CI 1.45~3.59)および急性期治療終了時(OR:1.53、95%CI:1.03~2.25)とも有意に優れていた。・忍容性は、明確な差を検出することができなかった。・有害事象では、ミルタザピンはSSRIと比較して、体重増加、食欲の増加、眠気を引き起こす可能性が高く、嘔気・嘔吐、性機能障害の可能性は低かった。関連医療ニュース ・【ポール・ヤンセン賞受賞】夜間における抗精神病薬関連のQT延長リスク ・【学会レポート】精神科薬物治療の身体リスクを考える ・【人気コンテンツ】うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット

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小学生の日焼け止め塗布量、中央値0.48mg/cm2で大人と同程度

 オーストラリア・クイーンズランド工科大学公衆衛生校のDiaz A氏らは、小学生の日焼け止めの塗布量と年齢、および容器との関連についてクロスオーバー試験を行った。その結果、塗布量は製品推奨では2.00mg/cm2だが中央値0.48mg/cm2未満であり、ポンプ入りの日焼け止め利用者が最も厚塗りだったが、それでも1.00mg/cm2未満で大人と同程度であったことが明らかになった。Arch Dermatol誌2012年5月号の掲載報告。 小学生が朝、学校で塗布している日焼け止めの塗布量を測定し、その量と日焼け止めの製品推奨塗布量(2.00mg/cm2)との比較、および年齢(1~7年生)、容器の種類(500mL入りポンプ、125mL入りスクイーズボトル、50mL入りロールオン)による塗布量の違いについて調べた。 被験者は、クイーンズランドの公立小学校(1~7学年)の5~12歳で、7つの小学校の登録リストから無作為に集められた小児(87例)とその両親が対象となった。 小児は3週間(月~金曜日)にわたる介入を受け、毎週異なる容器を利用してその日最初の塗布を行った。 主な結果は以下のとおり。・各児から最高3つの観察データが得られた(計258件)。・小児の日焼け止めの塗布量は、中央値0.48mg/cm2であった。・塗布量は、ポンプ入り(0.75mg/cm2)とスクイーズボトル入り(0.57mg/cm2)の利用者が、ロールオンタイプ(塗布部がロール式になっているもの)(0.22mg/cm2)利用者よりも有意に多かった(両方の比較p<0.001)・しかし年齢に関係なく、小学生の日焼け止めの塗布量は1.00mg/cm2未満であり、これは成人で観察された塗布量と同程度であった。・日焼け止めは容器のタイプによって、厚塗りを容易にすることが判明した。

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抗うつ薬だけじゃない!うつ病寛解を目指す「共同ケア」の効果は?

 うつ病に対する共同ケア(collaborative care)の有効性について評価した結果、抑うつおよび不安アウトカムが、通常ケアと比べて改善することが、英国・マンチェスター大学のArcher氏らによるシステマティックレビューの結果より示された。著者は、「抑うつ・不安症状を呈する成人患者の臨床治療に有用であることが示された」と結論している。Cochrane Database Syst Rev2012年10月17日号の報告。英国では、よくあるメンタルヘルスの問題として人口の最大15%が抑うつや不安症状を有すると推定されており、世界的にもこれらの症状の影響や負荷を減らすための効果的な介入が求められている。共同ケアは、慢性疾患マネジメントモデルをベースとする複合的な介入で、メンタルヘルスのマネジメントにおいても有望視されている。 2012年2月までに、MEDLINEやEMBASEなどから関連する無作為化試験を登録しているCochrane Collaboration Depression, Anxiety and Neurosis Group(CCDAN)試験レジスターを検索した。適格試験は、抑うつまたは不安を呈するあらゆる年齢を対象とした共同ケアについての無作為化試験とした。2人の独立したレビュワーがデータ抽出を行い、バイアスリスクの検証とともに、標準化された平均差(SMD)およびリスク比(いずれも95%CIを伴う)を統合算出して検討した。結果の妥当性について感度解析も行った。主な結果は以下のとおり。・無作為化試験79件(関連性のある比較90件を含む)、参加者計2万4,308例を組み込んだ。・試験は、バイアスリスクにより差があった。・主要解析の結果、共同ケアモデルで治療されたうつ病成人患者は、介入が短期、中期、長期を問わず、抑うつ症状のアウトカムについて有意に顕著な改善を示した。短期介入のSMDは-0.34(95%CI:-0.41~-0.27)、RRは1.32(95%CI:1.22~1.43)、中期介入のSMDは-0.28(同:-0.41~-0.15)、RRは1.31(同:1.17~1.48)、長期介入のSMDは-0.35(同:-0.46~-0.24)、RRは1.29(同:1.18~1.41)であった。・しかしながら、これらの有意なベネフィットは、非常に長期にわたる介入においては示されなかった(RR:1.12、95%CI:0.98~1.27)。・不安症状のアウトカムについても同様の結果が示された。短期介入のSMDは-0.30(95%CI:-0.44~-0.17)、RRは1.50(95%CI:1.21~1.87)、中期介入のSMDは-0.33(同:-0.47~-0.19)、RRは1.41(同:1.18~1.69)、長期介入のSMDは-0.20(同:-0.34~-0.06)、RRは1.26(同:1.11~1.42)であった。・不安症状アウトカムについては、非常に長期にわたる介入の比較試験がなかった。・薬物療法、メンタルヘルスQOL、患者満足度を含んだ副次アウトカムでも、ベネフィットがあるとのエビデンスが認められた。しかし、身体的QOLに関するベネフィットについては、エビデンスが乏しかった。関連医療ニュース ・【学会レポート】抗うつ効果の予測と最適な薬剤選択 ・世界初!「WEB版」気分変動アンケート、その後の臨床に有益 ・うつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用

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冠動脈疾患発症予防薬が、心房細動患者の死亡に与えるインパクトは?

 心房細動が脳卒中のリスクであることは有名であるが、冠動脈疾患予防薬が心房細動患者に及ぼす影響については情報が限られていた。このたび、Wandell氏らは、冠動脈疾患予防薬が心房細動患者の全死亡に与える影響について解析した結果を発表した。Eur J Clin Pharmacol誌オンライン版2012年9月19日号掲載の報告。 解析の対象は、スウェーデンのプライマリケアセンター75施設よりデータの提供を受けた45歳以上の心房細動患者12,302例(男性6,660例)であった。Cox回帰分析を用いて、冠動脈疾患予防薬の全死亡に与える影響が、性別(男・女)、年齢別(80歳以上・80歳未満)に解析された。共変量は、年齢、心血管疾患の診断、教育レベルとされた。 主な結果は以下のとおり。・下記カテゴリーにおいて、抗凝固薬使用で低い死亡率が認められた 男性/80歳未満(補正HR 0.43、95 %信頼区間:0.31~0.61) 男性/80歳以上(補正HR 0.47、95 %信頼区間:0.32~0.69) 女性/80歳未満(補正HR 0.46、 95 %信頼区間:0.29~0.74)・下記カテゴリーにおいて、抗血小板薬使用で低い死亡率が認められた。 男性/80歳以上(補正HR 0.51、 95 %信頼区間:0.35~0.74)・下記カテゴリーにおいて、チアジド薬使用で低い死亡率が認められた。 男性/80歳未満(補正HR 0.68、 95 %信頼区間:0.48~0.96) 男性/80歳以上(補正HR 0.67、 95 %信頼区間:0.46~0.98)  女性/80歳以上(補正HR 0.70、 95 %信頼区間:0.52~0.94)・下記カテゴリーにおいて、スタチン使用で低い死亡率が認められた。 男性/80歳未満(補正HR 0.47、 95 %信頼区間:0.32~0.68)  女性/80歳未満(補正HR 0.54、 95 %信頼区間:0.35~0.82)

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複数部位筋骨格痛の鑑別は主要な痛点をベースに

 複数部位の筋骨格痛を訴えるケースは多いが、南デンマーク大学のHartvigsen J氏らはそれらの特異的パターンの定義を行った。その結果、「特異的パターンは、主要な痛点をベースに判定することが可能である。疼痛の主訴が脊椎にある人のほうが四肢にある人と比べて複数のパターンがみられる」ことを報告した。複数部位に起こる疼痛はネガティブな予後を予感させるが、これまで特異的な疼痛パターンに関する情報は十分ではなかった。 主要な筋骨格疼痛部位の近くで起きている、複数部位の筋骨格痛の特異的パターンを定義することを目的とし、デンマークの全国健康インタビュー調査のデータに基づく潜在クラス分析を行った。 調査は1991年に、デンマーク全域からサンプル抽出して行われた4,817例の成人を対象としたものである。 主な結果は以下のとおり。・2週間の調査期間中40%が、疼痛があることを報告した。・最も頻度が高かったのは背下部、頸部、肩部、膝で、40%が1ヵ所以上の疼痛があることを訴えた。・2つの潜在的なクラスでは、それぞれ背下部を除く9ヵ所の主要な痛点がみつかった。・最大クラスは局所の特異的な疼痛のみを有していたが、最小クラスはからだ全体に及ぶびまん性の疼痛を有していた。・主な疼痛が脊椎にあった被験者は、複数疼痛は脊椎のその他の部位で起きている可能性が最も高かった。・主な疼痛が四肢である場合は、概して隣接域で複数疼痛が起きていた。・唯一、際立った例外が、膝痛を主訴とする場合で、複数疼痛が頸部や背下部のようにより離れた部位で認められた。

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【ポール・ヤンセン賞受賞】夜間における抗精神病薬関連のQT延長リスク

 2012年10月18~20日に第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会が宇都宮で開催された。同学会において、日本臨床精神神経薬理学会2012年ポール・ヤンセン賞が発表され、新潟大学 渡邉氏の「夜間における抗精神病薬に関連したQT間隔延長リスクの増加―24時間ホルター心電図記録を用いた研究から―」と、名古屋市立大学 渡辺氏の「うつ病に対するミルタザピンと他の抗うつ薬の比較―コクランレビュ―」が受賞した。今回は、新潟大学 渡邉氏らの報告を紹介する。 これまでの報告において、抗精神病薬がQT延長を引き起こす可能性があることがわかっている。一方で、QT間隔は日内変動があり、健常者では昼間よりも夜間に延長する。新潟大学 渡邉氏らは、抗精神病薬服用患者のQT間隔に関して、日内変動および薬剤間の差を検討した。J Clin Psychopharmacol誌2012年2月号の報告。 対象は抗精神病薬オランザピン(OLZ)またはリスペリドン(RIS)を服薬中の統合失調症患者および未服薬の健常者(18~65歳)。ホルター心電図でCM5誘導を記録、QT解析ソフトでQT間隔を測定、専門家によるチェックを行った後、Fridericiaの公式[QTcF=QT/RR1/3]を用いて対応するRR間隔で補正し、30分間の平均QTcFから24時間、日中、夜間の平均QTcFを算出した。3群間の比較には一元配置分散分析法を、事後検定にはBonferroni法を用いた。主な結果は以下のとおり。・OLZ群41例、RIS群25例、健常群40例を解析した。・夜間のQTcFは日中と比較し、RIS群 13.9±15.0ms、OLZ群 3.5±11.7ms、健常群 5.2±10.5ms長く、昼夜の差はRIS群でOLZ群、健常群と比較し有意に大きかった(各々p=0.003、p=0.019)。・夜間のQTcFは、RIS群 411.6±29.0ms、OLZ群 395.9±21.2ms、健常群 387.8±19.0msであった。日中のQTcFは、RIS群 397.7±23.4ms、OLZ群 392.4±18.9ms、健常群 382.6±17.3msであった。日中のQTcFではRIS群とOLZ群との間に有意な差は認められなかったが、夜間のQTcF間隔はRIS群がOLZ群、健常群と比較し有意に長かった(各々p=0.021、p

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妊娠17週未満の胎児心エコーの評価は?

 アメリカのMoon-Grady氏らによって、胎児心エコー(FE)について、妊娠早期(17週未満)と妊娠中期(17~23週)の正確性について比較が実施された。妊娠17週未満の胎児心エコー図はカリフォルニア大学で入手し、5年以上にわたって後ろ向きに解析された。FEは解剖学的に細部が評価できるかどうか、カラーパルスドプラ評価が実証できるかどうかで検証された。J Am Soc Echocardiogr 誌オンライン版10月16日号掲載報告。 主な結果は以下のとおり。・試験期間中に17週未満の妊娠早期であった139例が対象となった(平均妊娠期間:14週、範囲:12週0日目~18週6日目)。追加の経膣超音波検査は139例中14例(10%)で実施された。・113名は妊娠早期と妊娠中期でFEを実施した。そのうち27例(24%)で妊娠早期に正確な胎児心エコー図が得られ(95%CI:17~33%)、76例(67%)が妊娠中期で得られた(同: 58~75%)・多くの妊娠早期のFEのうち、肺静脈のカラーパルスドプラ評価は成功しなかった。・肺静脈のカラードプラ評価が除外された場合、妊娠早期のFEでの検証は80例(71%)で実証され(95%CI:62~78%)、妊娠中期では97例(86%)で実証された(同:78~91%)。・妊娠早期のFEにおいて、20例で心臓病が懸念された。主要な先天性心疾患は見逃されなかったものの、4例において妊娠中期のFEおよび生後に心室中隔欠損症が発見された。・肺静脈の評価を除いて、妊娠早期のFEは多くの患者でほぼ正確であった。関連医療トピックス ・ロタウイルスの血清型と流行【動画】 ・睡眠時間の増減が子どもの情緒・落ち着きに与える影響 ・5価ロタウイルスワクチンの有効性、1回接種88%、2回接種で94%に

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抗てんかん薬の処方、小児神経科医はどう使っている?

 スウェーデン ウプサラ大学のMattsson氏らは、てんかん児の社会人口統計学的背景(居住地など)と抗てんかん薬処方との関連について調査した。その結果、年齢や居住地による専門医療アクセスの不平等さや、小児神経科医とその他の専門医とでは抗てんかん薬の処方に違いがあることが明らかとなった。著者は「広範な医療圏がてんかん児の医療機関へのアクセスを妨げていることを示す重要な報告となった。小児神経科医の充実が専門的医療サービスへのアクセスにとって重要であるかどうかについて、データの獲得はできなかったものの、傾向を把握することができた」と指摘している。Epilepsia誌オンライン版2012年10月12日号の報告。 スウェーデンのてんかん児において、社会人口統計学的な違いが専門医療サービスへのアクセスや抗てんかん薬処方と関連しているかを調べた。てんかんの罹患、抗てんかん薬の処方箋、社会人口統計学的因子について複数の全国レジスターからデータを入手し、小児神経科医へのアクセスや抗てんかん薬の処方について、性、年齢、親の教育レベル、居住地、出生地、世帯収入により異なるかを検討した。また、抗てんかん薬の処方が小児神経科医とその他の専門医で異なるかについても評価した。主な結果は以下のとおり。・2006年末時点でスウェーデンに住んでいた1~17歳(178万8,382人)において、てんかんの診断を受けたのは9,935例(0.56%)であった。・抗てんかん薬治療を受けていたのは、3,631例(スウェーデン全1~17歳児の0.24%)であった。・そのうち小児神経科医から処方を受けていたのは、2,301例(63.4%)であった。・1~5歳児は、より年長の小児と比べ、小児神経科医による治療を受けていた。また大都市に住んでいる小児および青年のほうが、小都市や農村地域に住んでいる小児と比べて、小児神経科医による治療を受けていた。・大都市に住んでいる小児は農村地域に住んでいる小児と比べて、より顕著に多くオキシカルバゼピン治療を受けていた。・レベチラセタムの処方を受けていた小児は、両親の収入が高い小児ほど、より多かった。・最も処方頻度が高かった5剤の抗てんかん薬の中で、ラモトリギン、オキシカルバゼピン、レベチラセタムの3剤の処方は、他の専門医よりも小児神経科医でより多かった。カルバマゼピンの処方はより少なかった。関連医療ニュース ・てんかん治療の術前評価/切除が標準化、一方で困難な患者が増大 ・てんかん発作には乳幼児早期からの積極的な症状コントロールが重要 ・小児におけるレベチラセタム静注の有効性と安全性を確認

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