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糖尿病よりCKDが死亡・末期腎不全に関連性大/Lancet

 糖尿病患者は死亡および末期腎不全のリスクが高いが、推定糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン/クレアチニン比(ACR)といった腎疾患尺度でみた場合、その相対リスクは非糖尿病患者と変わらないことが明らかにされた。米国・NHLBIフラミンガム研究グループのCaroline S Fox氏らがメタ解析の結果、報告した。慢性腎臓病は、低eGFR値、高アルブミン値によって特色づけられ、それらの値と重大転帰とが関連している。そのリスクが糖尿病の有無によって影響があるのかはこれまで明らかとなっていなかった。Lancet誌2012年11月10日号(オンライン版2012年9月24日号)掲載報告より。糖尿病有無別で死亡および末期腎不全と腎疾患尺度との関連を検討 研究グループは2011年3月~2012年6月の間に、Chronic Kidney Disease Prognosis Consortiumの基準に適合する試験を選択しメタ解析を行った。 Cox比例ハザードモデルを用いて、糖尿病有無別に死亡および末期腎不全と、eGFRおよびアルブミン尿との関連についてハザード比(HR)を算出した。 解析は、30の一般集団および心血管ハイリスクの試験コホートと、13のCKD試験コホートからの、102万4,977例(うち糖尿病あり12万8,505例)のデータを組み込んで行われた。eGFRとACRでみた死亡・末期腎不全のリスクは糖尿病と非糖尿病群でほぼ同程度 追跡期間中央値8.5年(SD 5.0)の間に、全試験コホートでの全死因死亡発生は、7万5,306例であった。また、心血管死亡のデータが得られた23試験コホートでは、追跡期間中央値9.2年(SD 4.9)の間に、心血管疾患死の発生は2万1,237例であった。 一般集団および心血管ハイリスクコホートにおける解析で、糖尿病がある人の死亡リスクは糖尿病がない人よりも、いずれのeGFRとACRの範囲値でも高かった(1.2~1.9倍)。 その一方で、死亡転帰のハザード比は、eGFRが参照値と比べて低値の場合も、またACRが参照値と比べてより高値の場合も、糖尿病患者群と非糖尿病患者群でいずれも同程度であった。たとえば全死因死亡について、eGFR 45mL/分/1.73m2 vs.参照値95mL/分/1.73m2のハザード比は、糖尿病患者群1.35(95%信頼区間:1.18~1.55)、非糖尿病患者群1.33(同:1.19~1.48)であった。同じくACR 30mg/g vs.同参照値5mg/gのハザード比は、1.50(同:1.35~1.65)、1.52(同:1.38~1.67)であった。全体の相互作用は有意ではなかった。 また、CKDコホートにおける末期腎不全リスクについても同様の知見が認められた。 上記を踏まえて著者は、「糖尿病患者では死亡および末期腎不全のリスクが高い一方で、eGFRとACRでみた相対リスクは、糖尿病患者と非糖尿病患者でほぼ同等であり、臨床転帰の予測因子として腎疾患の重要性が強調される」と結論した。

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抗精神病薬による性機能障害、改善の可能があるのは?

 向精神薬服用と性機能障害の関連について、ドイツ・フライブルグ大学医学部のHannah M Schmidt氏らは、抗精神病薬の投与戦略の違い(投与量減少、休薬期間を設ける、補助薬、他剤への切り替えなど)による性機能障害への影響について評価を行った。2012年11月14日Cochrane Library発表より。 研究グループは、統合失調症と性機能障害を有する患者が関与している無作為化対照試験を、Cochrane Schizophrenia Group's Trials Register(2012年5月3日時点)とその参考文献などを検索し選定した。独立レビュワーがデータを抽出し、2値データについてランダム効果リスク比(RR)を95%信頼区間(CI)ととともに算出し、クロスオーバー試験についてはオッズ比(OR)と95%CIを算出した。また連続データについて、ランダム効果モデルに基づく平均格差(MD)を算出し、クロスオーバー試験については対応尺度の相関を検討し解析した。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、4つの先駆的研究(総被験者138例、介入2週間~4ヵ月間)を組み込んだ。そのうち2つはクロスオーバー試験であった。・1試験の報告において、シルデナフィルの投与がプラセボと比較して、性行為に十分な勃起について有意であり(被験者数32例、MD:3.20、95%CI:1.83~4.57)、勃起持続時間も有意に長く(同:32例、1.18、0.52~1.84)、良好な性交渉の頻度も有意に高かった(同:32例、2.84、1.61~4.07)。・投与戦略の違いを検討した試験では、抗精神病薬による性機能障害について、対症療法としてのセレギリンとプラセボを比較したエビデンスはみつからなかった(被験者数10例、Aizenbergの性機能障害スケールの変化についてのMD:-0.40、95%CI:-3.95~3.15)。・リスペリドンからクエチアピンへの切り替えによる性機能障害改善のエビデンスはみつからなかった(被験者数36例、MD:-2.02、95%CI:-5.79~1.75)。・1試験の報告において、リスペリドンまたは定型抗精神病薬からオランザピンへと切り替えた時に性機能障害の改善が有意であった(同54例、MD:-0.80、-1.55~-0.05)。・本検討は、クロスオーバー試験の被験者群がベストな状態で安定していたか、介入は精神的および身体的なキャリーオーバーがなく適切に行われたか、不確かであった。また、シルデナフィルは統合失調症の男性における抗精神病による性機能障害の治療に有用な選択肢といえるかもしれないが、この報告は小規模短かつ期間の1試験のみをベースとした結論である。オランザピンへの切り替えは、男性および女性の性機能を改善するとの結果が得られたが、この試験についても小規模のオープンラベル試験の評価であった。よりよくデザインされた無作為化試験(盲検、適切な管理と報告、抗精神病薬による性機能障害を有した人における投与量減少・休薬・対症療法・切り替えによる効果の検討)の速やかな実施が必要である。関連医療ニュース ・性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連 ・早漏治療にはSSRI、トラマドールが有効?! ・抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか?

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メタボ予防にコーヒーが有効か?―本邦での報告―

 日本人において、コーヒーの消費量は、NCEP ATP III基準でメタボリックシンドロームと診断された場合の有病率と負の相関関係があることが、徳島大学大学院 高見栄喜氏らの研究で示された。Journal of Epidemiology誌オンライン版2012年10月6日付の報告。 本研究は、日本多施設共同コホート研究(J-MICC STUDY)のベースライン調査に参加した554人を対象とした横断研究。コーヒー・緑茶の消費量は、アンケートを用いて評価された。メタボリックシンドロームは、National Cholesterol Education Program Adult treatment Panel III(NCEP ATP III)、または日本におけるメタボリックシンドロームの診断基準に基づいて診断された。コーヒー・緑茶の消費量とメタボリックシンドローム有病率との関連はロジスティック回帰分析を用いて評価された。 主な結果は以下のとおり。・NCEP ATP IIIの診断基準に基づいた場合、性別、年齢、その他の潜在的な交絡因子にて調整後、コーヒーの消費量が多いほど、メタボリックシンドローム有病率の有意な減少を認めた(傾向性p =0.03)。・コーヒーをより多く飲んだ参加者ほど、高トリグリセリド値に対し、有意に低いオッズ比を認めたが(傾向性p =0.02)、血圧上昇またはウエスト周囲径増加については当てはまらなかった。・日本におけるメタボリックシンドロームの診断基準に基づいた場合、適度なコーヒー消費量(1日1.5~3杯以下)は、高血漿グルコース濃度値に対し、有意な低いオッズ比を認めた(OR 0.51、95%CI :0.28~0.93)。・緑茶消費量は、メタボリックシンドロームあるいはその要素のいずれの有病率とも関連を認めなかった。

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ハイリスク群へのPCV13接種の費用対効果は?/BMJ

 多くの国で侵襲性肺炎球菌感染症のハイリスク患者には23価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV23)の予防的投与が推奨されているが、欧州委員会は最近、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の適応を50歳以上の成人まで拡大した。オランダ・フローニンゲン大学のMark H Rozenbaum氏らは、ハイリスク患者に対するPCV13接種の費用対効果について検証した。BMJ誌2012年11月10日号(オンライン版2012年10月26日号)掲載より。2歳以上のイギリス人ハイリスク患者を対象にコスト、QALYを評価 経済解析は保険者視点によるコホートモデルを用いて行われ、対象は、2歳以上のイギリス人で、慢性腎臓病、脾臓の機能不全、HIV感染症、免疫系の易感染、慢性の心臓・肝臓・呼吸器系の疾患、糖尿病などで侵襲性肺炎球菌感染症のリスクが高い者であった。 主要評価項目はコスト、質調整生存年(QALY)、増分費用効果比(ICER)とした。非肺炎球菌菌血症に対するPCV13の有効性が実証されれば費用対効果が高い可能性 PCV13を用いた新生児ワクチン接種プログラムによる間接効果の増大は、一方でハイリスク群の予防可能な疾患負荷を減らすことが可能であることを意味する。 ベース症例の条件(ハイリスク群の非肺炎球菌菌血症に全体的な効果が認められず、ハイリスクワクチン接種プログラムは新生児接種プログラム後の2~3歳で開始する)下では、増分費用効果比は最大ハイリスク群でQALY当たり3万ポンド(3万7,216ユーロ、4万8,210ドル)以上になると推定された。 しかし、もしワクチンが非肺炎球菌菌血症の予防に効果がない、あるいはワクチンを新生児PCV13プログラム開始と同時とした場合は、ハイリスク患者への接種は(より)費用対効果に優れている可能性があるとしている。 感度解析では、費用対効果はとくに集団ベネフィットと有効性の推定において感度が高かった。 これらの結果からRozenbaum氏らは、ベース症例前提条件下では、高い費用対効果が可能と考えられるリスク群への肺炎球菌ワクチン接種プログラムは考えにくいとしたうえで、この不確定さは、非肺炎球菌菌血症に対するPCV13の有効性を実証することによって、かなり減少される可能性はあると報告した。

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精製された炭水化物の大量摂取により前立腺がんリスクが増加

 食事における炭水化物の摂取は前立腺がんに関係している。今回、信頼性の高いデータを用いたスウェーデンの大規模研究から、精製された炭水化物の大量摂取が前立腺がんのリスク増加と関連することが示唆された。一方、高リスク前立腺がんとの有意な関連は認められず、精製された炭水化物を多く含む食品がすべて、前立腺がんと関連しているわけではなかった。Isabel Drake氏らがThe American journal of clinical nutrition誌オンライン版2012年11月7日号に報告。 著者らは、Malmo Diet and Cancer cohortにおいて、食事における炭水化物と食物繊維、およびそれらを含む食品の摂取量と前立腺のリスクとの関連について、全体および重症度別に検討した。 解析対象は、がん・心血管疾患・糖尿病の既往がなく、カロリー報告者として適切な45~73歳の男性8,128人。フォローアップ期間(中央値:15年間)の後、817人が前立腺がんと診断された。Cox比例ハザード回帰を用いて、カロリー調整された栄養素や食品の摂取量と前立腺がんの発症リスクとの関係を検討した。 主な結果は以下のとおり。・年齢、その他の既知のリスクまたは可能性のあるリスク因子の調整後、総炭水化物や食物繊維と前立腺がんとの間に関連性は認められなかった。・繊維の少ないシリアルの摂取量と前立腺がん全体および低リスクの前立腺がんとの間に、正の相関が認められた。また、ケーキ・ビスケット・米・パスタの摂取量と低リスクの前立腺がんとの間にも、正の相関が認められた(すべて傾向性のp

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スタチンを服用していた人は、がん発症後もがん関連死が低い/NEJM

 がん患者におけるスタチン服用が、がん関連死低下と関連していることが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のSune F. Nielsen氏らがデンマーク国民について検討した結果、報告したもので、NEJM誌2012年11月8日号で発表した。これまで、体内に取り込むコレステロール量の減少は、がん細胞の増殖や転移を減じる可能性が示されており、研究グループは、スタチンをがんと診断される前から服用していた人ではがん関連死亡率が低くなるとの仮説を立て、検証を行った。がん診断前のスタチン服用・非服用で、その後の死亡について追跡評価 デンマーク全住民の出生、出入国、移住、死亡を記録したDanish Civil Registration Systemを用いて検証した。 1995~2007年にがんと診断された患者を2009年12月1日まで追跡し、死亡について評価した。 40歳以上のがん患者のうち、がんの診断前からスタチンを定期服用していたのは1万8,721例だった。一方、スタチン服用歴がなかったがん患者は27万7,204例だった。スタチン服用がん患者の全死因死亡ハザード0.85、がん死亡0.85 全死因死亡について、スタチン服用者の非服用者に対する多変量補正ハザード比は、0.85だった(95%信頼区間:0.83~0.87)。がん死亡については、同0.85だった(同:0.82~0.87)。 スタチンの1日服用量(1日当たりの推定平均維持量)別にみた全死因死亡の補正ハザード比(非服用者1日量0.00群を参照群)は、1日量0.01~0.75群の患者は0.82(95%信頼区間:0.81~0.85)、0.76~1.50群の患者は0.87(同:0.83~0.89)、>1.50群は0.87(同:0.81~0.91)だった。がん死亡ハザード比はそれぞれ、0.83(同:0.81~0.86)、0.87(同:0.83~0.91)、0.87(同:0.81~0.92)だった。 がんの種類別(13種類)にみてもスタチン服用者のがん関連死亡率は、非服用者と比較して低かった。

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新規製剤セクキヌマブ、中等症~重症尋常性乾癬で75%以上改善を達成

 第II相無作為化二重盲検プラセボ対照用量反応試験の結果、中等度~重度の尋常性乾癬に対するセクキヌマブ(secukinumab)は、皮下注投与75mg/回×3回群と同150mg/回×3回群で、12週間の治療期間終了時点で75%以上改善(PASI 75)を達成し有効性が示されたことが、カナダ・Probity Medical ResearchのPapp KA氏らによって報告された。セクキヌマブは、乾癬の病因で重要な炎症性サイトカインと考えられるIL-17A(自然免疫と獲得免疫を調節するTh1/Th2とは異なるクラスのヘルパーT細胞であるTh17から産生されるサイトカイン)をターゲットとした抗体医薬品(完全ヒト抗IL-17A IgG1κモノクローナル抗体)である。研究グループは、尋常性乾癬に対する従来療法は患者の要望を十分に満たすものではなく、最近の生物学的製剤は概して忍容性は良好だが長期的安全性については懸念が示されているとして、セクキヌマブの有効性と安全性について用量反応試験による評価を行った。 中等症~重度の尋常性乾癬患者125例を、無作為に5群に割り付けた。プラセボ(22例)、セクキヌマブ皮下注1×25mg群(29例)、同3×25mg群(26例)、同3×75mg群(21例)、同3×150mg群(27例)。各群とも0、4、8週時に投与を受けた。治療期間は12週間であり、被験者はその後24週間フォローアップを受けた。 主要有効性アウトカムは、PASIスコアでベースラインから75%以上改善(PASI 75)であり、副次アウトカムにはIGA反応率、PASI 90反応率、PASI 50反応率なども含んだ。 主な結果は以下のとおり。・12週間の治療期間後、3×150mg群(82%、p<0.001)と3×75mg群(57%、p=0.002)は、プラセボ群(9%)と比較して、有意なPASI 75反応率を示したことが認められた。・これらの75%以上改善効果は、治療終了後の時間経過とともに減少はしたが、フォローアップ中も維持された[36週時点でそれぞれ25.9%(7例)、19.0%(4例)vs.4.5%(1例)]。・プラセボ群との比較による12週時点のIGA反応率は、3×150mg群で有意に高かったことが認められた(48%vs. 9%、p=0.005)。・また、3×150mg群と3×75mg群のIGA反応率は、4週以降は常にプラセボ群より高かった。・プラセボ群との比較による12週時点のPASI 90反応率は、3×150mg群で有意に高く(52%vs. 5%、p=0.005)、フォローアップ中も高いままであった。・セクキヌマブの忍容性は良好であった。・3×150mg群で、好中球減少症(グレード2以下)が2例報告された。

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睡眠時間が短いと脂質異常症のリスクも高まる―日本の男性労働者を対象とした研究―

 日本の都市部で働く男性の短い睡眠時間がコレステロール値の上昇と関連することが、京都大学 外山善朗氏らによる地域ベースの研究で明らかになった。著者は睡眠時無呼吸、睡眠時間、脂質プロファイルの関連性について検討し、呼吸障害指数(RDI)がトリグリセリド値(TG)と正の相関があることを示したうえで、「睡眠時無呼吸や睡眠時間を改善することが、脂質プロファイルや心血管系への影響を改善する可能性がある」と結論づけた。Chest誌オンライン版2012年10月15日号掲載の報告。 脂質異常症はしばしば閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を併発するが、その関連性についての集団研究はほとんどない。また、短い睡眠は高血圧症や糖尿病の発症と関連があるが、脂質異常症との関連性はよく知られていない。 対象者は日本企業に勤める男性275例。RDIと睡眠時間は3タイプのポータブルデバイスとアクチグラフを用いて測定し、空腹時血液パラメータは定期検査のデータから得た。 主な結果は以下のとおり。・脂質異常症を143 例で認めた(本邦のガイドラインに基づき診断)。・脂質異常症を認めた群は、認めない群と比べて、睡眠中の血中酸素飽和度(SpO2)90%未満の例が多く、重度な睡眠時無呼吸の有病率が高かった。また、睡眠時間が短く、睡眠中の平均SpO2の値が低かった。・単変量解析の結果から、RDIはTGと正の相関が認められた(ρ=0.20、p<0.01)。睡眠時間は血清総コレステロール値(γ=-0.13、p=0.03)および血清LDLコレステロール値(γ=-0.12、p=0.04)と負の相関が認められた。・ステップワイズ重回帰分析の結果から、TGはRDI(β=0.14、p=0.02)、BMI(β= 0.20、p<0.01)、アルコール摂取量(β=0.20、p<0.01)と正の相関が認められた。また、TCは睡眠時間(β=-0.13、p=0.03)と負の相関、年齢(β=0.15、p=0.02)およびウエスト/ヒップ比(β=0.15、p= 0.02)と正の相関を認めた。

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検証!非定型抗精神病薬の神経保護作用

 Cedo Miljević氏らは、非定型抗精神病薬(アリピプラゾール、クロザピン、ジプラシドン、オランザピン、クエチアピン、セルチンドール、アミスルピリド)の神経保護に及ぼす影響を、in vitroにおけるヒト赤血球中の抗酸化防御酵素活性測定にて検討した。その結果、アリピプラゾールとクエチアピンは神経保護作用を有する可能性が示唆された。Human psychopharmacology誌オンライン版2012年11月5日号の報告。 23~39歳の非喫煙者健康男性15名の血液を使用した。採取された血液と薬剤は1時間、37℃にてインキュベーションした後、還元酵素であるCu/Zn-スーパーオキシドディスムターゼ(SOD1)、カタラーゼ(CAT)、セレン依存性グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン還元酵素活性を測定した。主な結果は以下のとおり。・SOD1活性は、対照群と比較し、アリピプラゾール群(p

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死亡・末期腎不全との関連、高血圧よりもeGFR、ACRが重大/Lancet

 高血圧症のない人もある人と同様に、死亡および末期腎不全のリスクとして慢性腎臓病(CKD)を考慮すべきであることが示された。米国・ジョンズ・ホピキンスブルームバーグ公衆衛生校のBakhtawar K Mahmoodi氏らが、メタ解析の結果、報告した。高血圧症は、CKD患者では最もよくみられる共存症だが、推定糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン/クレアチニン比(ACR)といった腎疾患尺度と、死亡や末期腎不全との関連を高血圧症の状態別でみた場合の影響はこれまで明らかとなっていなかった。Lancet誌2012年11月10日号(オンライン版2012年9月24日号)掲載報告より。高血圧症有無別で死亡および末期腎不全と腎疾患尺度との関連を検討 研究グループは2011年3月~2012年6月の間に、Chronic Kidney Disease Prognosis Consortiumの基準に適合する試験を選択しメタ解析を行った。 Cox比例ハザードモデルを用いて、高血圧症の有無別に死亡および末期腎不全と、eGFRおよびACRとの関連についてハザード比(HR)を算出した。 解析は、45のコホート(一般集団試験コホート25、ハイリスク試験コホート7、慢性腎臓病試験コホート13)からの、112万7,656例(うち高血圧症あり36万4,344例)のデータを組み込んで行われた。eGFRとACRでみた死亡・末期腎不全のリスクは高血圧症にかかわりなくほぼ同程度 結果、一般集団およびハイリスクコホートにおいて、eGFRが一定の場合の全死因死亡リスクは、高血圧症がある人が高血圧症のない人よりも高かった(1.1~1.2倍)。 一方で同コホートにおいて、高血圧症の状態にかかわりなく、低eGFRと高ACRと、死亡との関連が認められた。 eGFR範囲値45~75mL/分/1.73m2での相対リスクの上昇は、高血圧症がない人のほうが高血圧症がある人よりも大きく、eGFR低値での死亡リスクは両群でほぼ同程度であった。すなわち、eGFR 45mL/分/1.73m2 vs.参照値90mL/分/1.73m2の全死因死亡ハザード比は、高血圧症がない人で1.77(95%信頼区間:1.57~1.99)であるのに対して、高血圧症がある人は同1.24(1.11~1.39)であった(全相互作用のp=0.0003)。 同様に、ACR値についても、ACR 300mg/g vs.同参照値5mg/gのハザード比は、2.30(同:1.98~2.68)、2.08(同:1.84~2.35)であった(全相互作用のp=0.019)。 また、心血管死亡についても同様の結果が得られた。末期腎不全についてもeGFRおよびACRとの関連がみられたが、高血圧症の状態による差は認められなかった。さらにCKDコホートの検討においても同様の結果が得られた。 これらの結果について著者は、「CKDは、高血圧症の状態にかかわらず注意と治療を怠らないようにすべきとの根拠を示す知見が得られた」とまとめている。

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大腸がん閉塞に対する内視鏡的ステント留置術は外科的減圧術と死亡率の差はない

 急性大腸がん閉塞には、従来、外科的減圧術が実施されているが、近年、閉塞の緩和に内視鏡的大腸ステント留置術が使用されている。これらを比較するためにメタアナリシスにより解析したところ、内視鏡的大腸ステント留置術はいくつかの治療成績(1次吻合、ストーマ形成、永久的ストーマ造設など)を改善する一方、死亡率と罹患率の改善は認められなかった。イタリアVincenzo Cennamo氏らによる報告(International journal of colorectal disease誌オンライン版2012年11月15日号掲載)。 著者らは、数種類のデータベースにおける包括的な検索を行い、可能性の高い321報の抄録とタイトルを確認し、そのうち、353例を含む8件の無作為化試験の全文を検索した。 主な結果は以下のとおり。・プール分析では、外科的減圧術群(以下、手術群)と内視鏡的大腸ステント留置群(以下、ステント群)で、死亡率(オッズ比[OR]:0.91)と罹患率(OR:2.05)に有意な差はなかった。・永久的ストーマ造設率は、ステント群より手術群で有意に高かった(OR:3.12)。・「手術への橋渡し」としてのステント使用を解析した研究において、手術群と大腸ステント群をプール分析で比較したところ、1次吻合は手術群よりステント群で多く(OR:0.42)、ストーマ造設はステント群より手術群で多かった(OR:2.36)。

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ロタウイルスワクチン接種は、ローコストでハイリターン

 ロタウイルスワクチン接種は、わずかなコストにより、相当な疾患負担を減少することが、カナダ・トロント大学のDavid N Fisman氏らによる検討の結果、報告された。ロタウイルス胃腸炎は世界中の小児における罹患率と死亡率の要因となっており、カナダを含む高所得国では、高い罹患率とヘルスケア利用は大きな負担となっている。カナダでは現在、2種のロタウイルスワクチン(商品名:ロタリックス、ロタテック)が承認されているが、これまで経済効果については調査されていなかったという。Vaccine誌オンライン版2012年10月26日号の掲載報告。 研究グループは、2つのモデル(マルコフ連鎖モンテカルロ法シミュレーションと、ブリティッシュコロンビア州小児のロタウイルス胃腸炎に関する動的伝播モデルシミュレーション)による経済解析を行った。モデルは、疾患自然史、疫学情報、ワクチンの有効性およびコスト、医療費について入手可能な最善のデータに基づいて示され、ヘルスケア利用、ワクチン普及率は経験的推定値とすり合わせて調整した。それら予測値の検証について、決定論的・確率論的感度解析で評価した。 主な結果は以下のとおり。・小児のロタウイルス胃腸炎に対する予防接種は、小児への接種100人につき63~81人の感染を防御することが予測された。外来患者については、相当数を防御すると予測された。・2種のワクチンはともに、小児への接種100人につき1~2件の入院を防御すると予測された。・ワクチン接種は、ヘルスケアコストを増加すると予測された。・ロタリックスによる予防接種はおよそ1感染防御につき10ドルのコストを要し、2,400ドルQALYを獲得する可能性が示された。ロタテックは、コストが多いが効果は低く、優先的に選ばれない可能性が示された。・それらの可能性は、広範囲の感度解析でも揺るがなかった。

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疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も

 線維筋痛症(FMS)の症状軽減に対しプラセボ以上の治療効果が期待できる薬物療法は少なく、有害事象による脱落率が増加するといわれてきた。最近のシステマティックレビューによると、慢性疼痛の試験において、治療薬の有用性や副作用のかなりの割合は、プラセボに起因することが実証された。Winfried Häuser氏らはプラセボおよびノセボ反応(プラセボにより副作用が発現すること)の大きさを測定し、FMS適応承認のための医薬品の臨床試験においてそれらが薬の有用性に及ぼす影響を評価した。Clinical and experimental rheumatology誌オンライン版2012年11月8日号の報告。 FMS患者を対象とした、デュロキセチン、ミルナシプラン、プレガバリン、ナトリウムオキシベートを用いた無作為化二重盲検プラセボ対照試験のうち、2012年6月30日までに報告された試験を、CENTRAL、MEDLINE、clinicaltrials.govより検索した。プラセボへの反応は、プラセボにより痛みが50%軽減する推定値を評価した。ノセボ反応は、プラセボ群における有害事象による推定脱落値を評価した。 主な結果は以下のとおり。・プラセボ群3,546例を含む18試験が抽出された。・プラセボにより痛みが50%軽減する推定値は18.6%であった(95%CI:17.4~19.9)。・プラセボ群における有害事象による推定脱落値は10.9%であった(95%CI:9.9~11.9)。・臨床ではプラセボ効果を期待する場合もあるが、治験医師はプラセボ効果を低下させることを目指している。また、臨床試験においてはノセボ反応を減らすことが重要である。関連医療ニュース ・とくにうつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用 ・検証!デュロキセチンvs.他の抗うつ薬:システマティックレビュー ・「片頭痛の慢性化」と「うつ」の関係

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医師に必要なコミュニケーション能力

プラザ形成外科院長Dr. ロバート クレ2012年11月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。『コミュニケーションリーダーシップ』(佐藤玖美著、日本経済新聞出版社刊)という本が出た。副題に「考える技術 伝える技術」とあって、PRとかマーケティングコミュニケーションを超えて、最終的に人を動かすにはどうしたらいいかということを、さまざまな事例を用いて解説したコミュニケーション戦略に関する著書であるが、アメリカ生活の長かった私の場合、「なるほど」と興味深く読ませていただいたが、一般の日本の読者にとってはかなり新鮮に受け止められる方も多いのではないだろうか?本の帯に「ドライブ(Drive)、差異化(Differentiate)、エンハンス(Enhance)、リポジション(Reposition)――人を動かす4つの戦略を伝授!」とあり、そのための論理の組み立て方を明らかにする本という触れ込みだ。確かに、4つの戦略の頭文字をとったDDERマトリックスだったり、SWOT分析、さらには戦略的インペラティブという用語も出てきて、なんだか軍隊の秘密コードのように難解に感じられるかもしれないが、相手に何かを伝えるだけでなく、その上でわかってもらい、行動に移してもらうためにはこうした論理的に考えた戦略が必要で、著者が若いときに勉強したコミュニケーション先進国のアメリカならではのことだと感心しつつも、そういえば医学の分野でも似たようなことはあったなと思い出した次第である。アメリカでは臨床医学のトレーニングにおいてSOAP noteということをよく聞く。これはSubjective、 Objective、 Assessment、 Planという言葉の頭文字であるが、治療計画を立てる上で、まず同僚の医師たちに自分の考えをsystematicに伝える方法である。これは外科の特殊な分野(脳外科、形成外科)などよりは、一般内科、小児科などの教育でより重宝されている。たとえば、ひどい夜泣きに発熱と嘔吐を訴えて小児患者が母親に連れられてくる。医学生あるいはインターンはまずこのSOAPに従ってストリーを組み立てていく。Sはこの場合、前述の夜泣き、発熱、嘔吐となる。Oは患者を診察して得られる情報で、発熱の程度、夜泣きの具体的内容(この場合間歇的と判明)、腹痛の部位が特定できないこと、さらには聴診所見となる。Aはこの時点では虫垂炎(盲腸)か腸重積症が疑われるとなり、Pはレントゲン検査が必要となる。アメリカの内科系の症例のプレゼンテーションは大体こういう感じで、これには聞き手に「わかってもらう」ようにうまく行う必要があり、高いコミュニケーション能力を要求される。逆にSOAP方式でプレゼンテーションしてもらうと、アメリカの医師なら非常にわかりやすいと思うだろう。アメリカの臨床医学の現場では、日本のような学閥はあまりないため、とくに内科系では先に述べたようなプレゼンテーションがうまくできないと、どんな大学を出ていても相手にされなくなってしまう。逆に外国人医師で、英語が完璧でなくても、理路整然とプレゼンテーションできるものには皆聞き入る、とてもフェアな文化の国であると身をもって経験した。ただ、これからの医師にとってはプレゼンテーション能力だけでなく、コミュニケーション能力が大いに必要となるだろう。とくに患者さんとのコミュニケーションの重要性を学ぶことは日本ではまだ確立されていないと思うが、これまでの、医師は偉く、患者は黙って従えばいいというパターナリズムの中ですでに出来上がってしまった古い世代の医師はともかく、これからの若い医師はコミュニケーション能力を磨き、患者さんとの良好なコミュニケーションをとることも医療・医術の大きなスキルの一つだと考えることが必要だ。たとえば、この本でも「医療ミスに遭遇したとき、状況や対処方法をしっかりと説明して患者をケアするとともに、患者やその家族に納得してもらうことができれば、提訴される確立は大きく減る」と『沈黙の壁』という本から引用して、そうした医療ミスの場合に「何があったのか、これから、いつ、どのような手を打つのかといったことを論理的に説明し、相手に納得してもらうことが、問題解決に向けた行動を促す力となる」と著者は述べている。著者の戦略的アプローチはすごい。医者同士の狭い世界の話ではなく、目標を立てたら、最終的には一般大衆に広く「わかってもらう」ことを目標とする、そういうシステムを構築するわけである。スケールの大きさが違う。医者の世界でも、医院経営も、病院の運営も大変な時代である。医師は医学部で経営を学ばない。ましてコミュニケーションを学ばない。本書は、医師向けに書かれたコミュニケーションリーダーシップ論ではないが、そこかしこに、医師が学ぶべき考え方や論理の組み立て方が展開されている。一読をお勧めする。

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マルチビタミン剤を毎日10年間服用しても心血管疾患予防には効果なし/JAMA

 毎日のマルチビタミン剤服用が、心血管疾患予防には結びつかないことが、ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバードメディカルスクールのSesso HD氏らが、米国男性(医師コホート)を10年間追跡した無作為化試験「Physicians' Health Study II」の結果、報告された。マルチビタミン剤はビタミンとミネラル不足を防ぐために用いるもので、心血管疾患予防の可能性が知られていた。ただしこれまでの観察研究でもマルチビタミン剤の定期服用と心血管疾患との関連は一貫しておらず、また長期服用の臨床試験は行われていなかった。JAMA誌2012年11月7日号掲載報告より。50歳以上男性医師1万4,641例を追跡 試験は、マルチビタミンサプリメントの長期服用が男性における重大心血管イベントリスクを減少するのかをプラセボ服用と目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、1997年に開始され、2011年7月1日まで追跡した。 登録被験者は米国医師1万4,641例(無作為化時点で心血管疾患歴のあった754例含む)で、試験開始時50歳以上(平均年齢64.3歳、SD 9.2)であった。 主要アウトカムは、重大心血管疾患(非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・心血管疾患による死亡の複合)であり、副次アウトカムには、心筋梗塞、脳卒中などが含まれた。ベースラインでの心血管疾患有無で検討した場合も有意差みられず 追跡期間中央値11.2年(範囲:10.7~13.3)の間に、1,732例の重大心血管イベントの発生が確認された。 重大心血管イベント発生に関する毎日のマルチビタミン服用の効果は、プラセボ群と比較して有意ではなかった[1,000人・年当たりマルチビタミン群11.0 vs. プラセボ群10.8、ハザード比(HR):1.01(95%信頼区間:0.91~1.10)、p=0.91]。 また、疾患を個別にみた場合も効果はみられなかった。全心筋梗塞(同3.9 vs. 4.2、0.93(0.80~1.09)、p=0.39)、全脳卒中(同:4.1 vs. 3.9、1.06(0.91~1.23)、p=0.48)、心血管疾患死亡(同:5.0 vs. 5.1、0.95(0.83~1.09)、p=0.47)。 さらに、全死亡との関連についても有意差はみられなかった(HR:0.94、0.88~1.02、p=0.13)。 ベースラインでの心血管疾患有無で検討した場合も有意な効果は認められなかった(相互作用のp=0.62)。

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ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は?

 ドパミンD3受容体拮抗作用に着目した統合失調症の陽性および陰性症状や認知症状治療の可能性は、前臨床試験や予備的臨床試験のデータに基づき再検討されている。ドイツ・Abbott Neuroscience ResearchのGerhard Gross氏らは、D3受容体拮抗作用が錐体外路症状を阻害可能であるといった事実に基づけば、依然として治療オプションとなりうるとの見解を報告している。Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology誌オンライン版2012年11月6日号の報告。 下記の考察から、新たなD3受容体拮抗薬の開発および臨床試験の実施は十分正当であると報告した。主な内容は以下のとおり。・ドパミンD3受容体は、中脳、辺縁系および皮質領域に発現し、統合失調症の発症や認知症状に関連する。・選択的D33受容体拮抗薬は、精神疾患モデルマウスにおいて、D2受容体拮抗作用が示すような効果が示されていない。・しかし、選択的D3受容体拮抗薬は脳内微小透析法において、非定型抗精神病薬と同程度の、中脳腹側被蓋野におけるドパミンニューロンの電気的活性に影響を与え、NMDA受容体阻害作用によってもたらされる影響を相殺し、皮質のドパミンおよびアセチルコリンを亢進する。・ドパミンD2受容体拮抗薬と対照的に、D3受容体拮抗薬は齧歯動物試験によって、さまざまな社会的行動や認知行動(統合失調症患者では障害がみられる柔軟な認知や実行力について)に影響を与えることは明らかである。・D3受容体拮抗薬に対する高い親和性にもかかわらず、第2世代抗精神病薬のクロザピン、リスペリドン、オランザピンが統合失調症患者に投与されるとき、D3受容体との結合は不十分でD3受容体がもたらす治療的なメリットが認められないようにみえる。・初の選択的D3受容体拮抗薬であるABT-925は最近、統合失調症患者において試験が行われた。その結果、認知シグナルは認められたが、十分なD3受容体占有率(統合失調症の治療薬として価値ある数値)は達成されなかった。・それでも機構的、実験的考察と、D3受容体拮抗作用が錐体外路症状を阻害可能であり快感消失および代謝的な有害反応のいずれももたらす可能性がないという事実から、強力なD3受容体拮抗作用を有する新たなD3受容体拮抗薬の開発および臨床試験の実施は十分に正当であると考えられる。関連医療ニュース ・統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値 ・統合失調症患者の認知機能や副作用に影響を及ぼす?「遊離トリヨードサイロニン」 ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」

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進行性乳がん患者に対するTDM-1、無増悪生存期間、全生存期間を有意に延長/NEJM

 トラスツズマブエムタンシン(TDM-1)は、HER2陽性進行性乳がん患者[トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)とタキサン系薬剤による治療歴のある]に対して、ラパチニブ+カペシタビン療法と比較して無増悪生存期間、全生存期間を有意に延長することが示された。毒性も低かった。TDM-1は、抗体医薬品トラスツズマブと化学療法薬のDM1が安定したリンカーにより結合した抗体薬物複合体である。カナダ・Sunnybrook Odette Cancer CentreのSunil Verma氏らEMILIA試験グループによるTDM-1の有効性と安全性を検討した第3相無作為化試験の結果は、NEJM誌2012年11月8日号(オンライン版2012年10月1日号)で発表された。TDM-1群とラパチニブ+カペシタビン群に割り付け有効性と安全性を評価 EMILIA試験は2009年2月~2011年10月に、26ヵ国213施設から被験者を登録し行われた国際多施設共同無作為化オープンラベル試験。トラスツズマブとタキサン系薬剤による治療歴のあるHER2陽性進行性乳がん患者991例を対象とし、TDM-1群とラパチニブ+カペシタビン群に無作為に割り付け追跡した。 主要エンドポイントは、独立審査委員会が評価した無増悪生存期間、全生存期間、安全性とした。副次エンドポイントは、試験担当医が評価した無増悪生存期間、客観的な奏効率、症状増悪までの期間などだった。全生存期間中の中間解析は2回行った。TDM-1群の増悪・全死因死亡ハザード比は0.65 結果、主要エンドポイントの無増悪生存期間中央値は、TDM-1群9.6ヵ月に対し、ラパチニブ+カペシタビン群は6.4ヵ月で、TDM-1群の増悪・全死因死亡ハザード比は0.65だった[95%信頼区間(CI):0.55~0.77、p<0.001]。 全生存期間中央値(2回目中間解析時点)は有効性の中止基準を超えるものだった(30.9ヵ月vs. 25.1ヵ月、全死因死亡ハザード比:0.68、95%CI:0.55~0.85、p<0.001)。 客観的奏効率はTDM-1群のほうが有意に高く(43.6%vs. 30.8%、p<0.001)、試験担当医が評価した無増悪生存期間(p<0.001)、症状増悪までの期間(12.6ヵ月vs. 6.5ヵ月)などその他の副次エンドポイントもすべてTDM-1群のほうが良好だった。 安全性については、グレード3または4の有害事象発生率はラパチニブ+カペシタビン群のほうが高かった(57%vs. 41%)。TDM-1群の発生が高率だったのは、血小板減少症、血清アミノトランスフェラーゼ値上昇で、下痢、悪心、嘔吐、手掌・足底発赤知覚不全発生率はラパチニブ+カペシタビン群で高率だった。

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ダーモスコピー、15の尺度で潰瘍を鑑別

 基底細胞がんのダーモスコピー診断では、潰瘍が頻繁に認められる。外傷の既往を伴わない潰瘍、いわゆる非外傷性潰瘍は、最も頻度の高い皮膚がんである基底細胞がんの重大徴候であるが、そのような非外傷性潰瘍と良性病変は特徴が似通っており、鑑別は難しい。そこで米国・南イリノイ大学のSerkan Kefel氏らは、潰瘍の色とテクスチャーの特色で規定した15の尺度(9つのカラー尺度と6つのテクスチャー尺度)が、両者を識別するのに有用であるか評価を行った。Skin Research and Technology誌2012年11月号の掲載報告。 潰瘍の色とテクスチャーの特色が、基底細胞がんと良性病変を鑑別可能か検討した。 生検で確認された基底細胞がんの偏光ダーモスコピー画像49例を手動で選択し、潰瘍を同定した。また同様に、良性病変で非常に近似した潰瘍の偏光ダーモスコピー画像153例を選択した。 主な結果は以下のとおり。・潰瘍と潰瘍に近似した病変のすべての画像について、15の尺度を用いて分析した。・15の尺度のうち6つはテクスチャー尺度[活力(energy)、分散性(variance)、なめらかさ(smoothness)、非対称性(skewness)、均一性(uniformity)、エントロピー]であった。・9つは、カラー尺度(赤・緑・青の相対的尺度、赤・緑・青の色度、青/緑・青/赤・緑/赤の比率)であった。・大部分の基底細胞がんと良性病変が、15の尺度を用いることで鑑別可能であった。ROC曲線下面積は92.46%であった。・潰瘍に画像解析技術を適用させた基底細胞がんと良性病変の鑑別は可能であり、本試験で検討した15の尺度は、基底細胞がんの自動鑑別に適用できる可能性がある。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(36)〕 ステント研究の難しさ

臨床手技に全く問題がなかったにもかかわらず、突如ステントが血栓閉塞してしまうステント血栓症はベアメタルステントの時代から、まれではあるが重症な合併症として認知されていた。ただし、ベアメタルステントでは植め込み後2週間以内の発症が多く1ヵ月以降に起こることはまれであることが知られていた。 ところが薬剤溶出ステントの時代となり、30日以降にも合併する遅発性ステント血栓症が注目されるようになった。ことの起こりは2006年のヨーロッパ心臓病学会で、Camenzind氏らが「薬剤溶出ステントを使用するとかえって死亡と心筋梗塞のリスクが増加する」とのメタアナリシスを発表したことである。これにより、一時薬剤溶出ステントの売り上げが4割減少したといわれる。結局は元データを検討し直すことで両群間の差はみられなくなり、論争は一旦収束したが、その後もこの問題を巡ってはさまざまな解析がなされ、遅発性血栓症が薬剤溶出ステントにおける重大な問題であるという点は広く認識されるに至った。 一方、血管内視鏡を用いた研究からシロリムス溶出ステントでは、植め込み後1年たっても内膜が張らず、ステントストラットが露出している例がまれではないことが明らかにされた。そのことから、より緩徐な作用の薬剤を使用することにより、late lossをある程度犠牲にしてでも内膜の自然な修復を促すことで、遅発性血栓症のリスクを減らすことができるのではないかとの仮説が提出された。 この仮説はいかにも説得力を持つが、その後もステント血栓症に特化した大規模臨床試験は行われることはなかった。今回のPROTECTは、この仮説の検定を前面に打ち出した初めての大規模臨床試験である。 一般にある要素の検定を行う場合、それ以外の要素を全て均一にして群間比較をする必要がある。しかし、著者自身が指摘しているように、ステントの性能を規定する因子は使用薬剤だけではなく、溶出プログラム・ポリマーの性質や形態・ステントデザインなど複数あり、それらを均一にすることは不可能である。 また、臨床ステント研究において、完全盲検は特許などの実際的な面からも倫理的な面からも不可能である。したがって、精緻な割り付けを行っても、結局は「製品としてのエンデバーとサイファーの遅発性血栓症という観点からみた性能比較」となり、前述した仮説の直接的な検定にはなり得ない。ここに臨床ステント研究の難しさ、限界がある。 このような限界はあるものの、今回の研究は(著者らの当初のもくろみに反し)製品の違いによる差が明らかでなかったこと、dual antiplatelet therapyの持続期間の方が大きな意味を持つ可能性がある点が示唆されたことで、この仮説に対し、やんわりとではあるが疑義を呈する形となった。 薬剤溶出ステントにおける遅発性血栓症の問題をいかに克服するかについては、薬剤以外の要素も含め、種々の製品開発がなされる過程において、ゆっくりと解決策の合意がなされていくのだろうと予想される。しかし、その際も、この問題の検討が大規模臨床試験という検定法にはそぐわないのではないかとの疑念を、頭の片隅に置いておく必要があると考えるものである。

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脊椎手術後の最大有害事象、外科医は死亡に10点、患者は脳卒中に9.2点と評価

 脊椎手術後のさまざまな有害事象の影響について、患者と医師の認識の度合いを調査した結果、双方ともに項目間にはかなりのばらつきがあり、全体的には患者の方が医師よりも有害事象の影響を強く認識していることが明らかになった。脊椎手術後の有害事象はなお多く発生しているが、これまで患者中心のアウトカム評価ツールは開発されていない。米国・オレゴン健康科学大学のRobert Hart氏らは、手術結果とQOLにおいて有害事象の影響を考慮することは重要なファーストステップであるとして、両者の認識について評価する、合併症発生シナリオベースのサーベイ調査を行った。Spine誌オンライン版2012年11月2日号の掲載報告。 サーベイ調査は22の潜在的な周術期の有害事象(心筋梗塞、脳卒中、脊髄損傷、神経根損傷、馬尾損傷、失明、硬膜損傷、輸血、深部静脈血栓症、肺塞栓症、表在性感染症、深在性感染症、呼吸不全、尿路感染症、偽関節、隣接椎間障害、脊柱変形が持続、インプラント治療失敗、死亡、腎機能不全、消化管系の合併症、性機能障害)を、14人の脊椎手術専門外科医と、16例の成人脊柱変形患者に対して示し行われた。 各合併症が起きた場合の影響スコアを、総合的な重症度、手術に対する満足度、QOLへの影響からなる3つのカテゴリーで評価してもらい、Wilcoxon/Kruskal-Wallis検定にて外科医と患者との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・外科医と患者の各合併症の平均影響スコアは、イベント間でばらつきがみられた。外科医では、最低が0.9点(輸血)、最高が10.0点(死亡)であり、患者では最低が2.3点(尿路感染症)、最高が9.2点(脳卒中)であった。・患者のスコアでは、6つの潜在的な有害事象(脳卒中、呼吸不全、心筋梗塞、肺塞栓症、硬膜損傷、輸血)について、3つのすべてのカテゴリーの評価が、外科医より一貫して高かった(p<0.05)。・さらに3つの合併症(腎機能不全、偽関節、深部静脈血栓症)は、1つあるいは2つのカテゴリーについて、患者の評価の方が高かった。 これらの結果を踏まえて著者は、「患者本位の立場から有害事象を説明することで、より完成度の高い手術結果の提供が可能となるであろう」と結論している。

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