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整形外科医はオピオイドの有効性に疑問を持っている可能性がある

 非がん性慢性疼痛へのオピオイド使用に対する考えは徐々に変化してきており、オピオイド処方の増加に伴い長期有効性および安全性が大きな問題となっている。米国・United BioSource CorporationのHilary D. Wilson氏らによるアンケート調査の結果、慢性疼痛患者に対するオピオイド使用に関する考え方は、医師の専門分野によって違いがあることが明らかとなった。本研究は、慢性疼痛に対するオピオイド使用に関して臨床医の考えの心理測定法的特性を示しており、20年前に実施された類似の調査における知見を更新するものだという。The Journal of Pain誌2013年6月号(オンライン版2013年3月26日号)の掲載報告。 Wilson氏らは、オピオイドに対する考えや、慢性疼痛患者に対するオピオイド使用に関する信頼性および妥当性のある評価方法(Clinicians' Attitudes about Opioids Scale[CAOS])を開発し、調査した。 質問票は、まずフォーカスグループとコンテンツを開発して予備調査を行った後、修正した。その後、全米から抽出した医師を対象に正式調査(1,535例)と安定性評価(251例)を行った。 主な結果は以下のとおり。・結果に関して、地域間での有意な差はみられなかった。・一方で、医師の専門分野によっていくつかの違いがみられた。・整形外科医は、長期オピオイド使用に対する障壁や懸念が高く、オピオイドの有効性に対する確信が最も低かった。・疼痛専門医および理学療法/リハビリテーション専門医は、オピオイドの有効性に対する確信が最も高かった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる

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Vol. 1 No. 2 緒言

阿古 潤哉 氏自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科糖尿病の有病率は増加の一途をたどっている。すでにわが国では2,000万人以上が糖尿病であるか、あるいはその予備軍であるという深刻な状況になっている。糖尿病は動脈硬化の強い危険因子であり、動脈硬化性疾患患者に占める糖尿病の割合は高い。実は欧米諸国と比較しても、わが国における動脈硬化性疾患内に占める糖尿病の割合は高いことが知られるようになってきた。ステントの臨床試験であるRESET(Xience VステントとCypherステントとの比較を行う臨床試験)においては、実に45%もの割合の患者がすでに糖尿病であると診断されている(本誌p7の表を参照)。その他のレジストリーなどでも、わが国の動脈硬化性疾患患者内に占める糖尿病の割合はおしなべて35%から40%以上という割合となっており、わが国での動脈硬化危険因子の中では特に大きな位置を占めているといってよい。糖尿病は動脈硬化のリスクファクターであると同時に、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の予後不良の大きな因子である。PCI後の再狭窄も多く、さらに血栓症の発症の危険因子でもある糖尿病をいかに扱うかということは、PCIに携わる人にとって一番大きな課題であるといっても過言ではない。糖尿病によってPCIの長期予後が不良となっているため、血行再建の方法を選択する際にも糖尿病の有無が問題となっている。 さて、このような状況の中で、私のような循環器内科医が糖尿病に対してアプローチしようとすると、さまざまな障壁に突き当たることになる。まず、糖尿病患者のイベントを抑制するための1次予防のアプローチとしては何がよいのだろうか?何を基準にどこまでのコントロールが要求されるのだろうか?どのような薬剤を用いてコントロールを行うのがよいのだろうか?海外での結果は日本の糖尿病患者にも当てはまるのだろうか?ACCORD、ADVANCE、VADTなどの厳格血糖コントロールによるイベント抑制を目指した臨床試験の結果によると、タイトなコントロールを目指したことによって、かえってイベントが上昇することが示唆されている。このような結果はどのように読み解き、また臨床現場にどのように還元する必要があるのだろうか?血糖コントロールのやり方は、最近になって臨床応用されたインクレチン関連薬によりどのような変化を遂げる可能性があるのだろうか?continuous glucosemonitoring(CGM)はどの程度まで日常診療に取り入れていく必要があるのだろうか? 糖尿病患者の血行再建も、もちろん循環器内科にとって難問である。薬剤溶出性ステント(DES)が全盛の今、それでも糖尿病の存在はバイパス術とPCIとは以前のように問題となっているのだろうか?DESの間でも、糖尿病の存在により臨床成績に差が出る可能性が示唆されている。どのようなステントを選択していけばよいのだろうか?さらに2次予防においてもどの程度までの糖尿病のコントロールが望まれるのか。また、糖尿病患者は2次予防においては通常の2次予防よりもさらに厳格な血圧、脂質代謝異常のコントロールが必要になっているのだろうか?抗血小板療法は? 明らかに高リスク群である糖尿病治療に対して、あまりにデータが不足しているのが現状であろうと考えられる。本特集では、この循環器領域における糖尿病という大きな敵に対して、各専門家からの視点で解説していただいた。各方面からの切り口はそれでもこの大きな敵の一断面を示しているだけかもしれない。しかし、いくつかの断面を組み合わせることにより、完全とはいえないまでも、大まかな問題の全体像をあぶり出していくことが可能になるかもしれない。糖尿病は、一冊の雑誌の特集で編集しきれるような大きさの問題でないことは明らかである。しかし、それでも本特集が皆様の臨床上の疑問の解決に対する糸口となるようであれば、編集者として望外の喜びである。

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Vol. 1 No. 2 糖尿病と心血管イベントの関係

横井 宏佳 氏小倉記念病院循環器内科はじめに糖尿病患者の心血管イベント(CV)予防とは、最終的には心筋梗塞、脳梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症といったアテローム性動脈硬化症(ATS)の発症をいかに予防するか、ということになる。そのためには、糖尿病患者の動脈硬化の発生機序を理解して治療戦略を立てることが必要となる。糖尿病において見られるアテローム血栓性動脈硬化症の促進には慢性的高血糖、食後高血糖、脂質異常症、インスリン抵抗性を含むいくつかの代謝異常が関連しており、通常状態や血管再生の状態でのCVを起こすような脆弱性を与える。また、代謝異常に加えて、糖尿病は内皮細胞・平滑筋細胞・血小板といった複数の細胞の配列を変える。糖尿病が関連するATSのいくつかの特徴の記述があるにもかかわらず、ATS形成過程の始まりと進行の確定的なメカニズムはわからないままであるが、実臨床における治療戦略としてはATSに関わる複数の因子に対して薬物治療を行うことが必要になる。インスリン抵抗性脂質代謝異常、高血圧、肥満、インスリン抵抗性はすべて、メタボリックシンドロームのカギとなる特徴であり、引き続いて2型糖尿病に進行する危険性の高い患者の最初の測定可能な代謝異常でもある。インスリン抵抗性は、インスリンの作用に対する体の組織の感度が低下することであり、これは筋肉や脂肪でのグルコース処理や肝臓でのグルコース産出でのインスリン抑制に影響する。結果的に、より高濃度のインスリンが、末梢でのグルコース処理を刺激したり、2型糖尿病患者では糖尿病でない患者よりも肝臓でのグルコース産出を抑制したりするのに必要である。生物学的なレベルでは、インスリン抵抗性は凝固、炎症促進状態、内皮細胞機能障害、その他の病態の促進に関連している。インスリン抵抗性の患者では、内皮細胞依存性血管拡張は減少しており、機能障害の重症度はインスリン抵抗性の程度と相互に関係している。インスリン抵抗性状態での内皮細胞依存性血管拡張異常は、一酸化窒素(NO)の産生を減少させる細胞内シグナルの変化によって説明できる。つまり、インスリン抵抗性は、遊離脂肪酸値の上昇と関連しており、それがNO合成酵素の活性を減少させ、インスリン抵抗性状態においてNOの産生を減らす。臨床的には、インスリン抵抗性はCVリスクを増加させることに関連している。当院の2006年の急性心筋梗塞患者連続137例の検討では、本邦のメタボリックシンドロームの診断基準を満たす患者は49%を占めており、久山町研究の男性29%、女性21%よりも高率であった。この傾向は1990年前半に行われた米国の全国国民栄養調査の成績と同様であった。また、当院で施行した糖尿病と診断されていない患者への糖負荷試験と冠動脈CTの臨床研究でも、インスリン抵抗性と冠動脈CT上の不安定プラークの存在(代償性拡大、低CT値、限局性石灰化)との間に有意な相関を認めた。インスリン抵抗性を改善する薬物にはビグアナイド薬(BIG)とチアゾリジン薬(TZD)が存在するが、ATSの進展抑制の観点からはTZDがより効果的である。TZD(PPARγアゴニスト)は、血中インスリン濃度を高めることなく血糖を低下させる効果を有し、インスリン抵抗性改善作用はBIGよりも強力である。また、糖代謝のみならず、BIGにはないTG低下、HDL増加といった脂質改善作用、内皮機能改善による血圧降下作用、アディポネクチンを直接増加させる作用を有し、抗動脈硬化作用が期待される。さらに、造影剤使用時の乳酸アシドーシスのリスクはなく、PCIを施行する患者には安心して使用できる利点がある。このほかに、血管壁やマクロファージに直接作用して抗炎症、抗増殖、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1( PAI-1)減少作用を有することが知られている。この血管壁に対する直接作用はATS進展抑制作用が期待され、CVイベント抑制に繋がる可能性が示唆される。実際、臨床のエビデンスとしては、PROactive試験のサブ解析における心筋梗塞既往患者2,445例を抽出した検討で、ピオグリタゾン内服患者が非内服患者に比較して、心筋梗塞、急性冠症候群(ACS)などの不安定プラーク破裂により生じる心血管イベントは有意に低率であることが示されている。またPERISCOPE試験では、糖尿病を有する狭心症患者におけるIVUSを用いた検討において、SU剤に比較してピオグリタゾンは18か月間の冠動脈プラークの進行を抑制し、退縮の方向に転換させたことが明らかとなり、CV抑制の病態機序が明らかとなった。また、ロシグリタゾンではLDL上昇作用によりCVイベントを増加させるが、ピオグリタゾンのメタ解析ではCVイベントを有意に抑制することが報告されている。ピオグリタゾンは、腎臓におけるNa吸収促進による循環血液量の増大による浮腫、体重増加、心不全の悪化、骨折、膀胱などの副作用が指摘されているが、CVイベント発症時の致死率を考えるとrisk/benefitのバランスからは、高リスク糖尿病患者には血糖管理とは別に少なくとも15mgは投与することが望ましいと思われる。内皮細胞機能障害糖尿病血管疾患は内皮細胞機能障害によって特徴づけられ、それは、高血糖、遊離脂肪酸産生の増加、内皮細胞由来のNOの生物学的利用率の減少、終末糖化産物(AGE)の形成、リポ蛋白質の変化、そして前述のインスリン抵抗性と関係する生物学的異常である。内皮細胞由来のNOの生物学的利用率の減少は、後に内皮細胞依存性の血管拡張障害を伴うが、検出可能なATS形成が進行するよりもずっと前に糖尿病患者において観察される。NOは潜在的な血管拡張因子であり、内皮細胞が介在して制御する血管弛緩のメカニズムのカギとなる物質である。加えて、NOは血小板の活性を抑え、白血球が内皮細胞と接着したり血管壁に移動したりするのを減少することによって炎症を制限し、血管平滑筋細胞の増殖と移動を減らす。結果として、正常な場合、血管壁におけるNO代謝は、ATS形成阻害という保護効果を持つ。AGEの形成は、グルコースについているアミノ基の酸化の結果である。増大するAGE生成物によって誘発される追加の過程は、内皮下細胞の増殖、マトリックス発現、サイトカイン放出、マクロファージ活性化、接着分子の発現を含んでいる。慢性的高血糖、食後高血糖による酸化ストレスが、糖尿病合併症の病因として重要な役割を果たしているのだろうと推測されている。高血糖は、グルコース代謝を通して直接的にも、AGEの形成とAGE受容体の結合という間接的な形でも、ミトコンドリア中の活性酸素種の産生を誘発する。臨床的には内皮細胞機能障害がATSの進行を助長するのみならず、冠動脈プラーク破裂の外的要因である冠スパスムも助長することになる。急性心筋梗塞患者の20%は冠動脈に有意狭窄はなく、薬物負荷試験で冠スパスムが誘発される。高血圧患者に対して施行されたVALUE試験では、スパスムを予防できるカルシウム拮抗薬(CCB)が有意にアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)よりも心筋梗塞の発症を予防すること、またBPLTTCのメタ解析では、NO産生を促すACE阻害薬がARBよりも冠動脈疾患の発生が少ないことなどが明らかにされ、これらの結果は、心筋梗塞の発生に内皮細胞機能障害によるスパスムが関与していることを示唆している。従って糖尿病患者においては内皮細胞機能障害を念頭に、特にスパスムの多いわが国においては、降圧薬としてはHOPE試験でエビデンスのあるRA系阻害薬に追加してCCBの投与を考慮すべきではないかと思われる。また、グルコーススパイクが内皮細胞のアポトーシスを促進させることが知られている。自験例の検討でも、食後高血糖がPCI施行後のCVイベント発症を増加させることが判明しており、STOP-NIDDM試験、MeRIA-7試験のエビデンスと合わせて、内皮機能障害改善のためにα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)の投与も考慮すべきであると思われる。血栓形成促進性状態糖尿病患者が凝固性亢進状態にあるという知見は、血栓形成イベントのリスク増加と凝固系検査値の異常が基となっている。ACS患者の血管内視鏡による検討では、プラーク潰瘍および冠内血栓は、糖尿病患者においてそうでない患者よりも頻繁に見られることが明らかにされている。同様に、血栓の発生率は、糖尿病患者から取った粥腫切除標本の方が、そうでない患者から取ったそれよりも高いこともわかった。糖尿病患者では、ずり応力(シェアストレス)に対して、血小板の作用と凝集が亢進し、血小板を刺激する。加えて、血小板表面上の糖タンパク質GP-Ib受容体やGPⅡb/Ⅲaの発現が増加するといわれている。その上、抗凝集作用を持つNOやプロスタサイクリンの内皮細胞からの産生が減少するのに加え、フィブリノゲン、組織因子、von Willebrand因子、血小板因子4、因子Ⅶなどの凝血原の値が増加し、プロテインC、抗トロンビンⅢなどの内因性抗凝血物質の濃度が低下することが報告されている。さらにPAI-1が内在性組織のプラスミノーゲンアクチベーター仲介性線溶を障害する。つまり、糖尿病は、内因性血小板作用亢進、血小板作用の内在性阻害機構の抑制、内在性線溶の障害による血液凝固の亢進によって特徴づけられる。臨床的には、CVイベント予防のために高リスク糖尿病患者へのアスピリン単剤投与がADAのガイドラインでも推奨されている。クロピドグレルの併用は、出血のリスクとのバランスの中で症例個々に検討していく必要があると思われる。GPⅡb/Ⅲa受容体拮抗薬は、糖尿病患者のPCIの予後を改善することが報告されているが、本邦では未承認である。炎症状態炎症は、急性CVイベントだけでなくATS形成の開始と進行にも関係がある。糖尿病を含むいくつかのCVリスクファクターは炎症状態の引き金となるだろう。白血球は一般的には炎症の主要なメディエーターと考えられているが、近年では、炎症における血小板がカギとなる役割を果たすことが報告されている。この病態と関連する代謝障害が血管炎症の引き金となるということはもっともなことだが、その逆もまた正しいのかもしれない。従って、C反応性タンパク質(CRP)が進行する2型糖尿病のリスクを非依存的に予測するものとして示されてきた。糖尿病や明らかな糖尿病が見られない状態でのインスリン抵抗性状態において上昇する炎症パラメーターには、高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、インターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、循環性(可溶性)CD40リガンド(sCD40L)がある。さらに内皮細胞(E)-セレクチン、血管細胞接着分子1(VCAM-1)、細胞内接着分子1(ICAM-1)などの接着分子の発現が増加することもわかっている。血管炎症作用亢進状態での形態学的な基質は、ACS患者の粥腫切除標本の分析から得たものである。糖尿病患者の組織は、非糖尿病患者の組織と比較して、脂質優位の粥腫がより大部分を占めており、より明らかなマクロファージ浸潤が見られる。特に糖尿病患者においては、冠血管のATS形成過程を促進することでAGE受容体(RAGE)が炎症過程や内皮細胞作用に重要な役割を果たすかもしれない。近年では、ATS形成が見られる患者における炎症促進のカギとなるサイトカインであるCRPが、内皮細胞でのRAGE発現をアップレギュレートすることが報告されている。これらの知見は、炎症、内皮細胞機能障害、ATS形成における糖尿病の機構的な関連を強化している。臨床的にCVイベントの発生に炎症が関与しており、その介入治療としてスタチンが効果的であることがJUPITER試験より明らかとなった。CARDS試験ではストロングスタチンが糖尿病患者のCVイベント抑制に効果的であることが報告されたが、この効果はLDL低下作用とCRP低下作用の強力な群でより顕著であった。2010年、ADAでは糖尿病患者のLDL管理目標値は1次予防で100mg/dL、2次予防で70mg/dLとより厳格な脂質管理を求めているが、脂質改善のみならず、抗炎症効果を期待したものでもあると思われる。プラーク不安定性と血管修復障害ATS形成の促進に加えて、糖尿病ではプラーク不安定性も起きる。糖尿病患者での粥状動脈硬化症病変は、非糖尿病患者に比して、血管平滑筋細胞が少ないことが示されている。コラーゲン源として血管平滑筋細胞は粥腫を強化し、それを壊れにくくする。加えて、糖尿病の内皮細胞は、血管平滑筋細胞によるコラーゲンの新たな合成を減少させる過剰量のサイトカインを産生する。そして最後に、糖尿病はコラーゲンの分解につながるマトリックスのメタロプロテイナーゼの産生を高め、プラークの線維性キャップの機械的安定性を減少させる。つまり、糖尿病はATS病変の形成、プラーク不安定性、臨床的イベントによって血管平滑筋細胞の機能を変える。糖尿病患者では非糖尿病患者より、壊れやすい脂質優位のプラークの量が多いことが報告されてきた。その上、糖尿病患者では、血管修復に重要な制御因子であると考えられているヒト内皮前駆細胞の増殖、接着、血管構造への取り込みが障害されていることが近年の知見で示唆されている。前述の機能障害に加えて、年齢と性をマッチさせ調整した対照群と比較して、培養液中の糖尿病患者から取った内皮前駆細胞の数が減っていることがわかり、その減少は逆にHbA1c値と関係していた。別の調査では、末梢動脈疾患を持つ糖尿病患者では、内皮前駆細胞値が特に低いことが報告されており、この株化細胞の枯渇が、末梢血管の糖尿病合併症の病変形成に関わっているのではないかと推測されている。ピオグリタゾンは糖尿病患者の内皮前駆細胞を増加させることが知られている。まとめ以上のごとく、糖尿病患者のCVイベント予防のためにはHbA1cの管理に加えて、ATS発症に影響を及ぼす多様な因子に対して集学的アプローチが重要となる。Steno-2試験では糖尿病患者に対して血糖のみならず、脂質、高血圧管理を同時に厳格に行うことでCVイベントを抑制した。血糖管理に加えて、スタチン、アスピリン、RA系阻害薬、CCB、TZD、α-GIによる血管管理がCVイベント抑制に効果的であると思われる。また、今後EPA製剤による脂肪酸バランスの是正、DPP-4やGLP-1などのインクレチン製剤による心血管保護も、糖尿病患者のCVイベント抑制に寄与することが期待される。今後は、糖尿病患者ごとにCVイベントリスクを評価し、薬物介入のベネフィットとリスクとコストのバランスを考慮して最適な薬物治療を検討していくことが重要になると思われる。このような観点から、今後登場する各種合剤は、この治療戦略を実行する上で患者服薬コンプライアンスを高め、助けになると思われる。

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肺炎随伴性胸水を吸入ステロイドが減少させる?

 これまでCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者に吸入ステロイドを投与することは市中肺炎発症リスクの増加と関連するとされてきた。しかしながら、その一方で、吸入ステロイドは肺の合併症や肺関連死のリスクを減少させるということも報告されている。 スペインの Jacobo Sellares氏らは過去の吸入ステロイド投与の有無が、異なる呼吸器疾患の背景を有する肺炎随伴性胸水にどのような影響を及ぼすのかを調べた結果、吸入ステロイドによる治療を受けた群で肺炎随伴性胸水が減少していたことを報告した。 American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌2013年6月1日号の掲載報告。肺炎随伴性胸水が有意に少なかった 市中肺炎と診断された3,612例に対し、臨床的検査、放射線学的検査、胸水生化学検査、微生物学的検査を実施し(単一施設コホート)、過去の吸入ステロイドによる治療の有無で2群に分け、解析した。 過去の吸入ステロイド投与の有無が肺炎随伴性胸水にどのような影響を及ぼすのかの主な結果は以下のとおり。・対象の17%にあたる633例が、肺炎と診断される前に吸入ステロイドによる治療を受けていた(COPD 54%、喘息 13%)。・吸入ステロイドによる治療を受けていた群では、そうでない群に比べ、肺炎随伴性胸水が有意に少なかった(5% vs12%、p<0.001)。・傾向スコアによりマッチングさせた640例においても、同様の傾向が認められた(オッズ比: 0.40、95%信頼区間[CI]0.23~0.69、p=0.001)。・吸入ステロイドによる治療を受けていた群では、胸水中のグルコースとpHが有意に高く(それぞれ、p=0.003、p=0.02)、タンパクと乳酸脱水素酵素(LDH)は有意に低かった(それぞれ、p=0.01、p=0.007)。

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百日咳ワクチン接種の副反応・かゆみを伴う硬結、その予後は?

 スウェーデン、イエーテボリで行われた先行研究において、1990年代に水酸化アルミニウムを含む沈降精製の百日咳トキソイドワクチンを接種した小児約7万6,000人のうち745例で、接種部位に持続性のかゆみを伴う硬結の発現がみられたことが報告されている。サールグレンスカ大学病院のAnette Gente Lidholm氏らは、当該小児の、ワクチンによって引き起こされたアルミニウムアレルギーの予後を調査した。Contact Dermatitis誌2013年5月号の掲載報告。 先行研究では硬結の副反応が報告された745例のうち、495例にアルミニウムアレルギーについてのパッチテストが行われた。Lidholm氏らは、それらテストを受けた被験児に対して、同一方法によるパッチテストを5~9歳時に行った。 主な結果は以下のとおり。・先行研究では、アルミニウムアレルギーについてのパッチテストを受けた495例のうち、376例(76%)で陽性反応が認められていた。・今回の5~9歳時の再テストには、初回テストで陽性反応が認められた被験児のうち241例が参加した。・再テストの結果、241例のうち186例(77%)で、アルミニウムに対する接触性アレルギーが明白にはみられなくなっていた。・ワクチン接種部位にかゆみを有していなかった小児の大半で、陰性のテスト結果が共通してみられた。・陰性のテスト結果は、年齢、初回接種からの期間、初回パッチテストでの反応の強さとも関連していた。・以上の結果を踏まえて著者は、「アルミニウムに対するパッチテストの反応性は、消失あるいは減弱するようである」と結論した。

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治療介入により認知症発症率はどこまで減らせるか?

 今後、認知症患者数は平均寿命の延長に伴い、飛躍的に増加することが予想されている。いくつかの研究では、糖尿病や高血圧といった介入可能なリスクファクターを制御することで、認知症の発症率が減少することも示唆されている。しかし、これら血管系の要因を治療することは死亡リスクを減少させるが、そのような公衆衛生介入が認知症の有病率に及ぼす実際の影響に関しては不明なままである。フランス・ボルドー・セガレン大学のHelene Jacqmin-Gadda氏らは、フランスにおける将来の認知症有病率を予測し、また認知症の危険因子を標的とする公衆衛生介入が、認知症有病率に影響を及ぼすかを評価した。European journal of epidemiology誌オンライン版2013年6月12日号の報告。 本研究の目的は、(1)フランスにおける2010~2030年までの年齢別・性別認知症有病率を予測し、(2)この有病率予測を、認知症の危険因子に対する公衆衛生介入により変えることができるかを評価することである。認知症の発症率や死亡率は、PAQUID コホートからセミパラメトリックモデルを用い推定した。将来の全死亡率や人口の変化は、フランス人口動態予測から得られた。 主な結果は以下のとおり。・2030年までに平均寿命が男性で3.5年、女性で2.8年延長する仮定の下、認知症患者は2010年と比べ2030年には約75%増加すると推測された。また、90歳以上では200%の増加が予測された。・高血圧の有病率を低下させる治療介入は、認知症の発症率と死亡率の両方の減少に対し、適度な影響を与えることが示唆された。・一方、ApoE4キャリアに対する認知症予防は、生存率改善の可能性が低いため、公衆衛生介入により認知症有病率は15~20%減少すると考えられる。関連医療ニュース アルツハイマー病、46.8%で不適切な薬剤が処方 認知機能トレーニング/リハビリテーションはどの程度有効なのか? アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか?

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複数の心血管危険因子を有する患者に対するn-3 系脂肪酸の有用性(コメンテーター:三浦 伸一郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(107)より-

n-3系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)の投与は、心筋梗塞後の患者を対象としたGISSI-Prevenzioneや、心不全患者を対象としたGISSI-HFといった臨床試験において有用性が報告されている。 しかしこの臨床試験の結果は「n-3 PUFAの投与は心血管疾患の罹患や死亡を減少させない」というものであった。たしかに、この試験は二重盲検プラセボ対照臨床試験として実施されており、信頼性は高い。しかし、これまでの試験とはいくつかの点で異なっている。 対象者は二次予防患者ではなく、複数の心血管リスクを有する一次予防患者である。また日本において実施された、高脂血症患者を対象としたJELIS試験では、n-3 PUFAとしてイコサペンタエン酸(EPA)のみの投与であったが、この試験では、EPAとドコサヘキサエン酸(DHA)の両者を投与している。EPAもDHAもn-3 PUFAであるが、抗動脈硬化作用に対してちがいもある。さらに投与量も 1 g/日(EPA+DHA)と、JELIS試験のEPA投与(1.8 g/日)の約半分量であり、投与されたn-3 PUFAの種類や量は、各試験により異なっている。 そのほか、この試験で熟考すべき点は、プラセボ投与群にオリーブオイルを使用していることである。最近、オリーブオイルを追加した地中海食の有用性を検討した臨床試験で、主要心血管イベントの発生率低下も報告されているため(Estruch R, et al. N Engl J Med. 2013; 368: 1279-1290.)この試験でn-3 PUFA投与との有意な効果のちがいを見出せなかった可能性もある。 また、当初の主要エンドポイントは、死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の累積発生率であったが、1年後にイベント発生率が予測よりも低率であったため、主要エンドポイントを変更している(フォローアップ期間5年)。エンドポイントとして発生が低率の項目を用いる場合は、さらなる症例数や期間の延長なども考慮しなければならない。 いずれにしても、臨床研究ごとに対象患者の背景、n-3 PUFAの種類、投与量、投与期間、エンドポイントが異なっており、一概にn-3 PUFAの投与が有効、無効とは言うことはできず、さらなる臨床研究の積み重ねが必要と思われる。

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