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視機能喪失の訴えは、うつ病のリスク!?

 自己申告に基づく視機能喪失は、客観的な評価に基づく視力喪失よりも、うつ病との関連が有意であることが、米国・NIHのXinzhi Zhang氏らによる全米成人サンプル調査からのエビデンスとして示された。結果を踏まえて著者は「医療者は、視機能喪失を訴える人のうつ病リスクを認識しなければならない」と結論している。これまで、うつ病と視力喪失の関連について、全米成人サンプルにおける検討はされておらず、特異的なコホート、主に高齢者を対象としたものに限られていた。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2013年3月7日号の掲載報告。 研究グループは、20歳以上が参加した全米調査において、視機能喪失または視力障害を報告した人のうつ病有病率を調べることを目的とした。全米健康・栄養調査(NHANES:全米からの代表的な成人サンプルに基づく断面調査)2005~2008年に参加した20歳以上の米国人合計1万480人を対象とし、一般市民で入院していない米国人の有病率を推定した。主要評価項目は、うつ病評価スケールのPHQ-9に基づくうつ病の有病率と、質問票と視力検査に基づく視力喪失者の割合とした。 主な結果は以下のとおり。・2005~2008年NHANES被験者において、うつ病(PHQ-9スコア≧10)の有病率は、視力喪失成人群(自己申告に基づく)においては11.3%(95%CI:9.7~13.2)であった。非視力喪失成人群では4.8%(同:4.0~5.7)であった。・一方、視力障害成人群[視力20/40(0.5)未満]では10.7%(95%CI:8.0~14.3)であった。視力正常成人群では6.8%(同:5.8~7.8)であった。・補正後(年齢、性、人種・民族、婚姻状態、一人暮らしか否か、教育レベル、収入、雇用状態、健康保険、BMI、喫煙、不節制飲酒、一般的健康状態、視覚に関する懸念、主要な慢性症状)、自己申告による視機能喪失とうつ病との関連は有意なままであった(全体オッズ比:1.9、95%CI:1.6~2.3)。しかし、視力障害とうつ病との関連は統計的に有意ではなくなった。関連医療ニュース ・重度の認知障害を有する高齢者、視力検査は行うべき? ・仕事のストレスとうつ病リスク:獨協医科大学 ・日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき

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Genome to bedside: lost in translation (Daniel F. Hayes, USA)

ゲノムから臨床へ:我々は翻訳によって混乱するか個別化医療とは、適切な患者に、適切な時期に、適切な量とスケジュールで、適切な治療を行うことである。そのような個別化を行うために、バイオマーカーは治療と同じくらい重要なものとなる。患者がすべての毒性も効果も進んで受け入れるのであれば、すべて行えばよい。しかし患者が一定の毒性を避けるために、一定の治療を控えようとするのであれば、治療を慎重に選択することが求められる。そのために必要なものは予後因子、効果予測因子であり、治療に関するリスクとベネフィットおよびコストに関する患者、医師そして社会の評価である。治療を正当化するためにどの程度の絶対的な利益が存在するか(例:Adjuvant online)という判断が重要である。しかし不適切なバイオマーカーは、不適切な治療と同じくらい有害である。たとえば、ある薬剤をどのように混ぜたらよいかが不明である、濃度がわからない、どのようにその薬剤が役立つかを示す臨床データがない、治療効果と毒性に関するレベルの高いエビデンスがない、といった状況のときに、われわれはその薬剤を使うだろうか。バイオマーカーがその意義を持つためには、その測定系が鋭敏かつ再現性があるのか、実際に臨床的意義のあるような生物学的違い(陽性/陰性)を示すのか、予後を改善するための高いレベルのエビデンスをもって臨床的な決定ができるのか、といった条件が必要である。網羅的な生命分子についての情報を意味するオミックス(Omics)の試験は、もともとデューク大学で、化学療法の感受性を予測するために開発された。オミックス試験には3つの段階があり、発見、検証、そして臨床的有用性と使用に関する評価である。このようなオミックス試験は、通常の試験とは異なり、生物学者、遺伝学者、臨床家/臨床研究者、統計学者、生物情報学者、臨床病理学者といった多くの領域の専門家が協力していく必要がある。検証の段階では、候補となる試験を発見に関わったサンプルで評価し、次に別のサンプルを使って再評価する。発見から検証まで、統計と生物情報学による検討が行われる。またオミックス試験は薬剤とは異なり、2通りの規制監督(regulatory oversight)があり、1つはFDAによるレビューであり、もう1つはlaboratory developed test(LDT)研究室で開発したテストのように、臨床検査室改善法(CLIA)が定めた研究施設における検証である。臨床的有用性については、評価可能な臨床的アウトカムが、オミックス試験を用いない場合と比べて改善するかということであり、FDAやLDTの過程では評価されないが、FDAによるレビューがないことが臨床的有用性がないことを意味しない。臨床的有用性を支持するエビデンスを集めるという過程は、臨床に導入される前に行われるべきである。試験を試験するという過程は、過去に行われた臨床試験から得られた試料を後ろ向きに集めて、前向きに検討するという段階と、マーカー自体が主要評価となる前向き臨床試験の2つである。後者の例として、TAILORx、MINDACT、RxPONDERがある。トランスレーショナルのオミックスの評価に関する報告はwww.nap.eduからダウンロード可能である(コメント:「Evolution of Translational Omics: Lessons Learned and the Path Forward」というタイトルで有料である)。画像を拡大するレポート一覧

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p53 and breast cancer subtypes and new insights into response to chemotherapy (Philippe Bertheau, France)

p53と乳がんのサブタイプ、そして化学療法への反応に関する考察p53の変異は乳がんの20~30%に認められるが、いまだ乳がん治療のためのバイオマーカーとしては使われていない。ヒトのがんにおける2万以上のp53変異を調べた研究では、73%がミスセンス変異であり、次いでフレームシフト変異9%、ナンセンス変異7%、サイレント変異5%、スプライス変異2%と続く。Dumayら(2013年)は乳がんのサブタイプ別に検討し、luminal A 17%,luminal B 41%,HER2+ 50%,molecular apocrine 69%,basal-like 88%であった。変異は非短縮型と短縮型があって、短縮型は新たな機能を持ちうるが、蛋白の発現は非常に低かった。Ellisら(2013年)の研究では、luminalの腫瘍において、MDM2の変異または増幅によるp53の不活化はluminal Bの原因であるようである。Changら(2011年)とHerschkowitzら(2012年)の研究から、basal-likeとclaudin-low typeにおいて、p53はmiR-200の上方調節を通してEMT(Epithelial-Mesenchymal transition,上皮間葉移行)とstem cellの性質を調節している。Martinsら(2012年)は、55例のBRCA1グループを調べ、 p53の変異が、luminalでは最初の最も重要なイベントであり、basal-likeではPTENの消失の後に起こっていた。従来は、p53のwild typeではDNA損傷があるとアポトーシスが起こるため治療効果が高く、p53変異があるとアポトーシスを起こさないため、治療への反応が悪いと考えられてきた。しかしER陽性乳がんでは、しばしばp53 wild typeであるが、p53変異が高頻度であるER陰性乳がんと比べて化学療法への反応性が不良である。p53と化学療法への反応を考えるとき、乳がんのサブタイプ、治療の目的、化学療法のレジメン、そしてp53評価の方法を考慮する必要がある。進行性または炎症性乳がんにおけるdose-dense ACの効果とp53の状況をみたとき、p53 wild typeではpCRが0であったのに対し、p53変異があったものでは15/28でpCRがみられた。予後もp53変異のあったもので良好であったが、タキサンベースでは予後に差がなかった。アルキル化剤の量はER陰性p53変異乳がんにおいては極めて重要である(pCR率:E 7/57,FAC 1/17,dose-dense EC 15/21)。アントラサイクリンを投与したとき、p53 wild typeでは細胞周期の停止が起こり、シクロホスファミドに抵抗性のため、一時的な停止が起こるだけで、また増大する。反対にp53変異ではアントラサイクリンで細胞周期の停止もアポトーシスも起こらないが、シクロホスファミドによりmitotic catastrophe(細胞分裂の異常により染色体分離ができず大きな細胞となる)が起こりpCRとなる。しかし、それを免れると腫瘍の急速増大をきたす。Baileyら(2012年)は、エストロゲン受容体がp53依存性のアポトーシスを防いでいることを見出した。Bonnefoiら(2011年)は、p53の状況を調べた2,000名の患者のうち、p53変異のある方の中でT-ETとFECの術前化学療法の効果を比較したところ、生存率にまったく差はみられなかった。しかしこの結果は症例選択が適切でない可能性があり、TNBCやluminal Bの進行乳がんにおいてdose-dense ACのレジメンで臨床試験を行うべきである。レポート一覧

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Influence of genomics on adjuvant treatments for pre-invasive and invasive breast cancer (Lajos Pusztai, USA)

浸潤前および浸潤性乳がんの補助療法におけるゲノミクスの影響Hassettら(2012年)は、21遺伝子を用いたOncotype Dxの使用を2006年から2008年の期間で調査したところ、アカデミックセンターよりもむしろコミュニティーがんセンターで増えていた。化学療法の使用もそれと並行して増加していた。Oncotype Dx を受けた患者の割合は2006年では14.7%であったのに対し、2008年では27.5%となっていた。StageⅠが30.5%であり、腫瘍径が2cm以下で組織学的異型度が低い場合に多かった。リンパ節転移陰性が95%であり、転移1~3個では5%であった。本検査の結果20~25%の症例で補助治療の推奨が変化していた。では、数あるテストの中でどれを用いるのがよいだろうか。すべてのテストは増殖とERシグナルを定量化して予後を算出しており、類似したエビデンスで立証され、臨床的有用性は強いが間接的な推測に基づいたエビデンスによってのみ支持されている。そのため、MINDACT,TAILORx,RxPONDER,POETIC,OTIMAといった臨床試験が、level 1のエビデンスを出すために進行中である。Kellyら(2012年)は、103名のER陽性のStageI~IIの乳がんでOnocotype DxとPAM50を比較し、約20%でリスク評価に不一致があった。しかし現状ではどの予測がより正確かを証明する方法はない。次にER,PgR,HER2およびKi67は同様の結果をもたらすだろうか。それはYesともいえ、Noともいえる。IHC4 soreを用いて計算するならYesであり、標準化された方法で行うならYesである。ER,PgR,HER2およびKi67を2値のカテゴリーとして解釈するならNoであり、Ki67の閾値は当てにならず、最大の情報をもたらさない。近い将来、より長期の補助療法のためのER陽性患者の選択やDCISの再発を予測する、臨床とゲノミクスのモデルを組み合わせた検査が開発されるだろう。Bianchiniら(2011年)は、増殖とER関連遺伝子の時間依存性の効果を、673名のER陽性StageI~IIIでタモキシフェンを服用した患者で調べたところ、晩期再発のリスクを最も有する患者は、増殖性が高くER発現の高いがんであり、次いで増殖性が低くER発現の低いがんであった。高い増殖性と低いER発現は早期再発に関係していた。低い増殖性と高いER発現では再発率は早期も晩期もきわめて低かった。Courtesyら(2012年)は、ATAC試験を用いてBreast Cancer Index(BCI)とOncotype DxおよびIHC4を比較し、晩期再発の予測をみたところ、5~10年の再発はBCIで有意に再発を予測していた。EndoPredict(EP)もまた晩期再発を予測し、EP highで5~10年の再発が多かった。DCISの再発を予測するものとして、21の遺伝子の中から12の遺伝子を選択して用いたOncotype Dxの成績が報告され、Courtesyら(2012年)は、ECOG5194試験の中において327例のDCISで調べたところ、浸潤がんの再発率は低リスク/中間リスクでは低いが、高リスク群で有意に高かった。しかし腫瘍サイズと閉経も重要な因子であった。これは単施設の小さな研究であり、さらなる検証が必要であろう。画像を拡大するレポート一覧

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Follow-up tests to detect recurrent disease: Patient’s reassurance or medical need? (Ian Smith, UK)

経過観察中に再発を発見するための検査:患者の安心のため?それとも医学的必要性?現在“多くの新しい治療が再発乳がんに対して利用可能となり、早く見つけることが治療において重要である“という定説がある。経過観察の理由として考えられるものは、早期発見により予後を改善する、QOLを改善する、治療の長期的な効果をみる、長期経過観察データを集める、BRCAのようなハイリスクにおける新規病変を検出する、である。集中的な経過観察は利益があるかということに関して3つの無作為化比較試験があり、3,055名の女性が登録されたが、生存率、無再発生存率に差はなく、年齢や腫瘍径、リンパ節転移状況によっても5年の死亡率に差がなく、QOLにも違いがなかった。Pelliら(1999年)は1,243名の患者からなる比較試験で、10年生存率にまったく差がないことを示した。Kokkoら(2005年)はフィンランドにおいて472名の患者を4群(i.3ヵ月毎受診+定期検査、ii.3ヵ月毎受診、iii.6ヵ月毎受診+定期検査、iv.6ヵ月毎受診)、に分けて経過観察したところ(定期検査の内容は、来院毎に血算/生化学/CA15-3、6ヵ毎月に胸部レントゲン、肝USと骨シンチを2年毎)、無再発生存率、全生存率ともに差はなく、コストは3ヵ月と6ヵ月で1,050から2,269ユーロへ、定期検査なしとありとで、1つの再発を見つけるのに4,166から9,149ユーロへ上昇した。それでは患者の安心のために定期検査を行うのか。QOLには差はなく、定期検査で10~15%の偽陽性があり、患者は検査による不安を増していて、むしろ余計な資金を用いることなく必要に応じて受けることを希望している。それにもかかわらず、なぜ患者は定期的な経過観察と検査を行いたがるのか。それは、医師、慈善活動、あるいはメディアがそうするのがよいと言っているからである。しかし、適切に説明したらそうはならないだろう。Pennantら(2010年)は、早期乳がんにおいてPET-CTのステージングについて28の研究をレビューしているが、診断精度は改善したものの、患者の予後が改善したというエビデンスはなかった。Augusteら(2010年)は2つの経済研究から1QALYあたり50,000ユーロ上昇するとした。現在ASCO、ESMO、St Gallenのいずれのガイドラインも、注意深い病歴の聴取、身体検査、定期的なマンモグラフィが、乳がん再発の適切な発見のために推奨されるとしている。身体検査は最初の3年は3~6ヵ月、4~5年は6~12ヵ月毎であり、マンモグラフィは1年毎である。血算、生化学、骨シンチ、胸部レントゲン、肝臓超音波、CT、18FDG-PET、MRI、腫瘍マーカー(CEA、CA15-3、CA27.29)は、無症状の患者に対して定期的に行うことは推奨されていない。それでは誰が経過観察をすることが大切であろうか。Grunfeldら(2006年)は、968名の患者を腫瘍専門医と家庭内科医による経過観察に無作為に割り付け、中央値で3.5年追跡したところ、再発、死亡、QOLともに有意な差はみられなかった。Koinbergら(2004年)は、264名の患者を腫瘍専門医と看護師による経過観察に割り付け5年追跡したが、やはり再発、死亡、QOLともに差がなかった。Meyerら(2012年)は、Dana Farberにおいて547名中218名の早期乳がん患者で、少なくとも診断から2年以上経過している方に質問票に答えてもらったところ、腫瘍内科医による経過観察を好む傾向にはあったものの、家庭内科医やナースプラクティショナーともに問題はなかった。ほとんどの方は電話相談を好んでおらず、ナースプラクティショナーによる経過観察はQOLとサバイバーケアを改善させる1つの方法であることを示した。Royal Marsden病院の経験では、ほとんどの再発は患者自身が自覚し、通常定期的な予約の間であった。より多くの女性は以前よりも乳がんから生存するようになり、経過観察のクリニックも大きくなっており、患者はこれらのクリニックで若い医師が診るようになっている。定期的な経過観察は、しばしば心配を引き起こし、予約がそれほど先でなければ患者からの症状の報告は遅れるかもしれない。最初の2年に2,232名の患者から問い合わせがあり、月平均で55回の電話があり、乳房の症状が40%、更年期症状が20%、再建のことが15%、精神社会的サポートが15%であった。そのうち10~15%がクリニックへの来訪を必要とし、多くが乳房の腫瘤であった。現在、より感度の高い検査法として末梢血中の腫瘍細胞や血清中の腫瘍由来DNAの検出があり、また標的治療が臨床応用されている。Dielら(2008年)らは、大腸がん18名で術後に血中変異DNAを測定し、検出されたものはされなかったものより、有意に無再発生存率が不良であることを示した。分子標的治療の時代に高い技術による経過観察ははたして利益があるだろうか。それを証明するためには次世代の無作為化試験が必要である。レポート一覧

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ザンクト・ガレン乳カンファレンス2013 会員聴講レポート

2013年3月13日から16日までスイス ザンクト・ガレンにて第13回ザンクト・ガレン乳カンファレンス2013が開催された。2年に1回開催されるこの重要な会議における、実用的な情報をニュートラルに提供するため、ケアネットでは会員現役ドクターによる聴講レポートを企画。現在そして今後の乳診療トレンドを紹介する。レポーター1978年から始まった早期乳がんのためのザンクト・ガレン国際会議は、現在2年毎の開催となっており、今年で13回目を数える。今回は、本年(2013年)3月13日から16日の4日間、スイスのザンクト・ガレンで開催された。このカンファレンスは、世界の著名な乳がんの専門医が集まり、早期乳がんの初期治療についのエビデンスをレビュー、議論し、診断や治療方針についてのコンセンサスを得ようというものである。最初の3日間はレビューと議論であり、最終日にパネルメンバーが並んで、さまざまな質問に投票をしながらコンセンサス作りをする。私は初めての参加であり、スイスインターナショナルの直行便であったため、問題なく定刻に到着することができたが、フランクフルトやパリなどを経由した先生方は例年にない天候のため足止めされたり、着陸空港が別国へ変更になったりしたことで、到着が遅れたり、荷物が届かなかったりなど、かなり苦労されたようである。ここでは、今回行われたレビューの中からいくつかピックアップして要約する。最初に、本会議の代表者の一人であるHans-Joerg Senn先生から会議の概要について紹介があった。会議の目的は、乳がん研究における最近の情報と最も重要な科学的進歩を統合し、分子生物学的な基盤に基づいて、日常臨床におけるコンセンサスを再構築しようというものである。今年は94ヵ国から参加者があった。最も多いのはスイスであり次いで中国、ドイツ、日本、英国、オーストリア、米国、イタリア、ベルギー、スウェーデンの順であった。(日本からの参加申し込み者は202名)。パネリストは21ヵ国48名の乳がん専門家から構成され、日本からも2名が選ばれている。専門分野の内訳は腫瘍内科医25名、外科医・産婦人科医13名、病理医・基礎研究者4名、放射線腫瘍医2名、統計家・疫学専門家各2名であった。2年後の2017年3月は、ザンクトガレンからは離れオーストリアのウィーンで開催される予定である。レポート一覧

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How to handle positive sentinel nodes? (Viviana Galimberti, Italy)

センチネルリンパ節陽性をどう扱うか?第3相無作為化比較試験IBCSG 23-01(2013年)は、センチネルリンパ節に微小転移があった場合の郭清と非郭清を比較したものである。5cm以下、N0で乳房温存術または乳房切除術とセンチネルリンパ節生検を行い、微小転移があった931名を非郭清467名、郭清464名に割り付けた。90%はER陽性であり、92%が病理学的腫瘍径3cm未満であった。術前センチネルリンパ節生検が38%で行われていた。乳房切除術は9%、乳房温存術で放射線治療なしが3%、術中照射のみが19%であった。内分泌療法は88%、化学療法は31%に行われていた。リンパ節領域再発は郭清群1%未満、非郭清群1%であった。無再発生存率は非郭清群の方がむしろ高めで非郭清が再発を増やすことはなかった。全生存率はまったく差がなかった。サブグループ分析を行っても郭清群に良好な因子はなかった。これはレベル1のエビデンスであり、センチネルリンパ節で微小転移のみの場合は郭清は行われるべきではない。しかし乳房切除はわずか9%であった(そのうち2.2%が術後に局所領域の放射線治療を受けていた)ため、結論は出ていない。(コメント:乳房温存術後でも放射線治療なしと術中照射のみが22%あり、さらに術後照射でも短期部分照射も含まれると考えられ、少なくとも30%以上は腋窩が照射されていないと考えられる。したがって乳房切除においても十分許容されるものと思われる。)画像を拡大するMilgromら(2012年)は、センチネルリンパ節陽性(大部分はN0 i+またはN1micでありN1は9%)で、腋窩に治療を加えなかった乳房切除術210例と乳房温存術325例を検討した。その結果、経過観察期間中央値57.8ヵ月で無再発生存率は94.7%対90.1%であり、乳房切除術で郭清を加えなくても非常に良好な予後が得られた(コメント:乳房切除術での領域再発は論文上1.2%)。Z0011試験ではcT1-2N0M0でHE染色にてセンチネルリンパ節が1~2個陽性だったものを、郭清対非郭清に無作為化割り付けした。その結果5年無再発生存にも全生存にも有意差はなく、腋窩再発は低率であった。また腋窩郭清による情報はそのほとんどで補助治療を全く変えなかった。このことから全乳房照射を受けるセンチネルリンパ節転移陽性の乳がんでは郭清を辞めるときであるとプレゼンターは結論している。ただし、非郭清の決定は年齢、併存疾患、患者の価値観を含む全ての関連因子を考え行うべきであると結んでいる。画像を拡大するレポート一覧

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Personalizing extent of breast cancer surgery according to molecular subtypes (Monica Morrow, USA)

分子学的サブタイプに基づいた乳がん手術の個別化乳房温存術を選択する基準として考えられるのは、組織型、グレード、リンパ節の状況、ER、HER2、乳房内のがんの拡がり、放射線治療を受けられるか、である。Sorlieら(2001年)は、サブタイプ毎に予後をみており、luminal Aは無再発生存、全生存率ともによいことを示した。Wiechmannら(2009年)による6072例の検討では、HER2陽性とtriple negativeでグレードが高く(60~80%)、HER2陽性で多中心性/多巣性、広範な乳管内進展の頻度が高かった(30%前後)。Millarら(2009年)、Voducら(2010年)、Arvoldら(2011年)の研究から、乳房温存療法後の局所再発はHER2とbasalで高いことが示されている。しかしKyndiら(2008年)、Voducら(2010年)の研究からは、乳房切除術をしてもHER2やbasalでも局所再発率は高く、そのことは必ずしも温存療法を行ったからではないことが示された。一方、Kyndiら(2008年)は、サブタイプ毎に放射線治療の効果を検討した結果、局所再発率はER陽性では効果が非常に高いのに対して、triple negativeでは中程度であり、HER2では優位性が示されなかった。Cancelloら(2011年)は、T1mic、T1a、T1bでみており、局所再発はER陽性では低いものの、HER2やtriple negativeでは高かった。乳房温存療法後の局所領域再発をサブタイプ別にみたLoweryら(2012年)のレビューでも、triple negativeがnon-triple negativeと比べて再発率が高かった。Millarら(2009年)らは、分子学的フェノタイプ毎の検討で、乳房温存療法489例での10年局所再発率は、luminal A 3.6%、luminal B 8.7%、basal 9.6%、HER2 7.7%であった。次に遺伝子学的特性と局所再発の関係をみてみると(未発表データ)、21遺伝子リスクスコアでも70遺伝子特性でも、高リスク群で再発率が明らかに高かった。効果的な全身療法は局所再発に貢献していることが、NSABP B13,B14,B31,N9831でも明確に示されている。Kiessらは(2012年)、HER2陽性の場合にトラスツズマブが局所領域再発に与える影響をみてみると、3年再発率はトラスツズマブなしで7%、ありで1%であった。それでは、高リスクのtriple-negativeサブセットにより大きな手術を行うことが、より良い手術といえるエビデンスはあるのだろうか。Abdulkarimら(2011年)は、triple-negative (T1-2、N0)での5年局所領域無再発率をみており、乳房温存療法で96%、放射線療法なしの乳房切除術で90%であり、多変量解析では乳房切除術がむしろ局所再発の独立した因子であった。またHoら(2012年)の報告では、乳房温存療法と放射線療法なしの乳房切除術で、観察期間73ヵ月での局所再発率も、T1a-bでは3.1%対4.6%、T1-2、N0で4.3%対5.9%と、いずれも乳房切除術で高かった。さらにAdkinsら(2011年)の報告でも、局所領域の無再発生存率はStageI, IIともに乳房温存療法と乳房切除術で差がなかった。次に、より大きな断端を確保することは、triple-negativeにおいてより良いのであろうか。1999年から2009年の535例の検討で、断端が2mm以下であった71例と2mm以上であった464例を比較したとき、60ヵ月での局所再発率はそれぞれ7.3%と5.1%であり、有意差はなかった(p=0.06)。そして、リンパ節再発はERの状況や年齢によって異なるだろうか。Grillら(2003年)は1,500例の温存療法と郭清を行った症例を解析し、リンパ節転移の大きさのみがリンパ節再発の有意な予測因子だった。また、Yates(2012年)らは、リンパ節領域へ照射せず、乳房温存療法または乳房切除術と郭清を行って1~3個のリンパ節転移があった1,065例を検討したところ、グレード、転移リンパ節個数、術後放射線治療のみが有意なリンパ節再発予測因子であった。ACOSOG Z11の結果は、郭清群とセンチネルリンパ節群で、リンパ節再発率はそれぞれ0.5%対0.9%であり、差はなく、無再発生存、全生存においても差がなかった。メモリアルスローンケタリングがんセンター(MSKCC)において、ACOSOG Z11の基準を満たす患者においてセンチネルリンパ節転移陽性であったもののうち、287例について解析を行った。72例が微小転移、215例がマクロ転移であった。そのうち242例(84%)はセンチネルリンパ節生検のみ、45例(16%)は郭清を行った。サブタイプはほぼ同様であり、HR陰性が約10%であった。核グレード3が35%前後を占めていた。MSKCCの非センチネルリンパ節転移予測のためのノモグラムを用いると、センチネルリンパ節生検のみでは、34%と予測されたが、実際の郭清群では72%であった。経過観察期間は13ヵ月と短いが、いずれもリンパ節再発はしていない。以上より、局所再発は分子学的サブタイプによって異なり、より大きな手術は悪い生物学的特徴をカバーしない。有効な全身療法によって改善し、集学的治療は手術による悪影響を減少させる機会を提供する。レポート一覧

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Close / positive margins after breast-conserving therapy: Additional resection or no resection? (William Wood/USA)

断端クローズまたは露出の際に、追加切除は必要か?放射線治療は潜在している腫瘍をコントロールする。部分的な低酸素腫瘍が広い範囲にあれば非常に高線量でなければコントロールできず、美容的には許容しがたいものとなる。手術は大きな腫瘍を切除できるが、これも美容的に許容しがたいものとなる。ではどれくらい広く切除すればよいだろうか。Hollandら(1985年)、Vaiyaら(1996年)の報告では、断端が広いほど残された乳腺への腫瘍の残存率は減少する。一方、1.6cmの腫瘍径に対して3mmの断端を確保する場合、切除量は5.6ccとなるが、1cmでは24.4ccとなる。2.4cmの腫瘍では14.1ccと44.6ccであり、切除量がかなり異なってくる。Singletaryら(2002年)は34の研究をレビューし、局所再発率は断端に腫瘍があるかないかで6%対16%、1mm離れているかいないかで3%対16%、2mmでは5%と12%であった。断端の距離ではあまり変わりなく、断端陽性であることが再発のリスクであった。Houssamiら(2010年)は21の研究を調査し、断端陰性と陽性とで局所再発の比率は2.43であるとした。Parkら(2000年)の報告では、断端が1mm以上離れていても1mm未満であっても、露出していなければ局所再発率は7%であり、露出している場合は18%であった。ただし部分的な露出の場合、全身療法を行っている場合は7%と変わりがなかった。断端陰性とは何か?腫瘍が露出していないもの?1mm?1mmより大きい?2mmより大きい?5mmより大きい?例えば手術中に4mmの断端を確保しても、標本の形は摘出から固定の段階で変化し、1mm未満の断端になることがある。断端陰性とは陽性でないことであり、Parkの研究、Singletaryの34の研究のレビュー、Houssaminoの21の研究のメタ分析でも、近い断端とより広い断端で局所再発に違いはなかった。DCISでは浸潤とは異なるようである。Dunneら(2009年)は22の研究をレビューし、腫瘍の露出がない/1mmより広いことを断端の定義としたとき、局所再発率は9.4%/10.4%であったが、2mmより広い/5mmより広いとしたとき5.8%/3.9%であった。術中超音波ガイダンスの有無で行った臨床試験では、断端陽性率は超音波なしで16.4、ありで3.3%であった。最近ではElectro-magnetic Margin Probeという機器が登場し、断端陰性に貢献するようになった。追加切除は断端陽性の場合に必要と考えられるが、より広い断端の確保がより良いというエビデンスはなく、断端陰性は重要だが、腫瘍の生物学的特性が最も重要である。以上より局所切除では断端陰性が目的であり、断端陽性は過小な治療となり、追加切除が必要である。断端に腫瘍が露出していない場合には追加切除は不要である。画像を拡大するレポート一覧

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Triple negative disease: Germ-line mutations, molecular heterogeneity and emerging target (William D. Foulkes, Canada)

トリプルネガティブ病:胚細胞変異、分子学的異質性、期待される標的このプレゼンテーションの目的は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における胚細胞遺伝子変異の頻度、TNBCをさらにいくつかの異なったタイプに分類すること、これらの結果をTNBCの治療に適用することである。BRCA1は1994年に同定され、数千の異なった変異が認められており、膨大な創始者変異が存在する。BRCA1の変異があると、乳がんおよび卵巣がんの生涯リスクが高くなり、他の部位でのがんのリスクも増大する。また、TNBCの頻度が高いことが特徴であり、DNA修復に重要な役割を果たし、BRCA2やPALB2と相互作用する。TNBCにおけるBRCA1変異保有の頻度は、過去の報告から約10~20%である。またBRCA2変異保有者においてもTNBCはまれではない。PALB2の変異はBRCA1/2よりも少ない。PALB2変異保因者におけるTNBCの頻度は40%程度と見込まれる。これらBRCA1/2、PALB2の変異を同定する意義は、TNBCを持った女性への治療および新たながんへの対策、家族に対する予防と早期発見である。それらの変異が認められなくても家族歴がある場合には、TNBCに関連しているようにみえるさまざまなSNPsが全ゲノム関連解析(GWAS:Genome-wide association study)の研究から同定された。臨床上の利益は非常に少ないが、BRCA1/2のような重要なアレルにおけるリスクを修飾している可能性がある。また新しい経路への手がかりとなり、いくつかのSNPsは体細胞変異と連携しているかもしれない。画像を拡大するTNBCはER/PgR/HER2陰性の均一な1つのタイプとして同定されているが、しかし組織学的にはかなり不均質であり、Lehmannら(2011年)は、21のデータセットからの587例のTNBCを、マイクロアレイの発現より、7つのサブグループ、すなわちBL1,BL2,IM,M,MSL,LAR(もう1つのグループは不安定であり、省略された)に分類した。そのうち50%未満がbasal-likeであり、注目すべきことに14%がluminal Aであった。免疫療法への可能性としては、ER陰性では特に腫瘍へのリンパ球浸潤が予後と関連していて、それは年齢によって逆転しているようである。画像を拡大するTNBCにおける次世代シーケンサーの研究として、ブリティッシュコロンビアのグループが、104例の原発性TNBCを調べたところ、クローンの頻度が広く変化しており、BLBCが最もクローンの多様性があり、p53、PI3K、PTENの変異が優位であった。basal のTNBCではnon basalと比べp53変異の頻度が高く(62%対43%)、クローンの集団と転位の数が多かった。Perouら(2013年)は、86例のTNBCを調べ、変異の頻度はTP53が79.1%と高かったが、それ以外はPIK3CAが10.4%、RB1が4%、MLL3とNF1がそれぞれ3%と低かった。basal-likeにおける治療の標的として考えられるものは、遺伝子の増幅(PI3CA,KRAS,BRAF,EGFR,FGFR1,FGFR2,IGFR1,KIT,MET,PDGFRA)であるが、HIFα/ARNT経路の活性化も高頻度に観察されている。TNBCはしばしば予後不良とされているが、多くの女性は治癒しており、TNBCの多くが進行性であるものの、TNBCのあるサブセットでは従来の治療によく反応し、pCRとともに予後が改善する。その一方でpCRに至らなかったものは非常に予後が悪い。アントラサイクリンにタキサン系薬剤を加えることでER陽性乳がんよりもベネフィットが期待できる。プラチナ製剤はBRCA変異をもった腫瘍以外ではまだ結論は出ていない。BRCA変異はPARP阻害剤の効果と関係しており、プラチナ製剤への反応性も高い。またBRCA1関連乳がんでは、PI3K阻害剤(BKM120)のPARP阻害剤(olaparib)への相乗効果が期待されている。Banerjeeら(2012年)は、TNBC72例中5例に遺伝子の融合を見出しており、これも治療標的の1つとなるかもしれない。レポート一覧

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Special session: St. Gallen breast cancer experts'consensus panel 2013:

スペシャルセッション:パネリストの投票最終日のパネリストによる投票の結果をピックアップしたので参考にしてもらいたい。パネリストは、はい、いいえ、棄権のいずれかを回答する。棄権は原則として、データが不十分、専門に該当しない、COIに抵触する場合に選択することとなっていた。総合司会はEric Winer先生が担当していた。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大するレポート一覧

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長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ

 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。カフェイン添加物摂取と事故リスク減少の相関をリアルワールドで調査 研究グループは、カフェイン添加物摂取と事故リスク減少が相関しているのかについて調べた。 2008年12月~2011年5月の間、オーストラリアのニューサウスウェールズ州(人口730万人)とウェスタンオーストラリア州(230万人)において、長距離ドライバー(走行距離は原則200km以上)で、直近に警察が出動した事故を起こした人(症例群)と、過去12ヵ月は事故を起こしていない人(対照群)を特定して検討した。 主要評価項目は、事故とカフェイン添加物との尤度で、年齢、健康障害、睡眠パターン、睡眠障害症状、走行距離、睡眠を取った時間、休憩の取得、夜間走行スケジュールなどの因子で調整した。カフェイン摂取により事故リスクが63%低下 被験者は、事故を起こした症例群530例、事故を起こしていない対照群517例の合計1,047例であった。99%(1,039例)が男性で、症例群のほうが、平均年齢が若く(44.2歳vs. 46.1歳、p=0.004)、過去5年で1回以上事故を起こしている人が多かった(p=0.002)。一方、対照群のほうが、肥満者が多く(p=0.047)、運転経験の平均年数が長かった(19.9年vs. 15.1年、p<0.001)。 解析の結果、事故を起こしていない対照群では、43%がカフェイン添加物(お茶、コーヒー、カフェイン錠、エネルギードリンクなど)を眠気覚まし目的に摂取していた。一方で、違法な刺激物[アンフェタミン(通称:スピード)、3,4メチレンジオキシ・メタンフェタミン(通称:エクスタシー)]を使用していると回答した人はわずか3%であった。 カフェイン添加物の高用量を摂取している人は、対照群のほうが多かった(例:エネルギードリンク以外のカフェイン添加物の高用量摂取:対照群37%vs. 症例群13%)。 潜在的交絡因子で調整後、眠気覚ましを目的にカフェイン添加物を摂取している人では、非摂取者と比較して、事故リスクの尤度が63%抑制されていた(オッズ比:0.37、95%信頼区間:0.27~0.50)。 これらの結果を踏まえて著者は、「カフェイン添加物の摂取は、商業長距離ドライバーのリスク減少と関連しており、休憩や睡眠を取るなど総合的な疲労マネジメント戦力が優先すべきことではあるが、カフェイン添加物を摂取することも運転の敏捷性維持の補助戦略として有用である可能性はある」と結論している。

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RA単独療法は、トシリズマブがアダリムマブよりも症状改善が有意/Lancet

 メトトレキサート(商品名:リウマトレックスほか、MTX)が使用できない関節リウマチ(RA)患者に対する生物学的製剤の単独療法は、トシリズマブ(同:アクテムラ)がアダリムマブ(同:ヒュミラ)よりも優れることが、スイス・ジュネーブ大学病院のCem Gabay氏らによる第4相国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間試験「ADACTA」の結果、示された。先行研究(第3相無作為化二重盲検対照試験)において、トシリズマブ+MTXまたはDMARDsの併用療法が異なるRA患者の症状を改善することが示されていたが、米国のRAレジストリにおいて約3分の1が生物学的製剤単独療法を受けているとの実態を受けて本検討が行われた。また、トシリズマブ単独療法の有効性および安全性は、先の第3相試験で示されていた。Lancet誌オンライン版2013年3月18日号掲載の報告より。MTXに対する忍容性が低い、同治療が適切でない患者を対象に ADACTA試験は、15ヵ国(北・南米、オーストラリア、ヨーロッパ)76施設から被験者を登録して行われ、RA患者に対するトシリズマブ単独療法とアダリムマブ単独療法の有効性と安全性を評価することを目的とした。 被験者は、18歳以上、6ヵ月以上重症RA状態で、MTXに対する忍容性が低い、あるいはMTX治療が適切ではなかったRA患者を対象とした。 被験者は1対1の割合で、トシリズマブ8mg/kg体重を4週に1回静脈内投与+2週に1回プラセボを皮下注射群、アダリムマブ40mgを2週に1回皮下注射+4週に1回プラセボを静脈内投与群に無作為に割り付けられ、24週間治療を受けた。試験担当医、患者および試験のスポンサーの人間は、治療割付を知らされなかった。 主要エンドポイントは、28関節の疾患活動性スコア(DAS28)のベースラインから24週までの変化とした。24週時点のDAS28スコア変化、トシリズマブ群-3.3、アダリムマブ群-1.8 452例がスクリーニングを受け、326例が登録された。intention-to-treatコホートは325例(トシリズマブ群163例、アダリムマブ群162例)であった。 結果、24週時点のDAS28スコア変化の平均値は、トシリズマブ群が-3.3と、アダリムマブ群の-1.8よりも有意に大きかった[差:-1.5、95%信頼区間(CI):-1.8~-1.1、p<0.0001]。 重大有害事象を呈したのは、アダリムマブ群16/162例(10%)、トシリズマブ群19/162例(12%)であった。 また、トシリズマブ群のほうがアダリムマブ群よりも、LDLコレステロール値の上昇およびALT値の上昇を呈した患者、血小板および好中球の減少を呈した患者が多かった。 以上の結果を踏まえて著者は「MTX治療が不適切とされたRA患者の症状改善について、トシリズマブのほうがアダリムマブよりも優れていた。トシリズマブとアダリムマブの有害事象プロファイルは、以前の所見と一致したものであった」とまとめている。

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陰性症状改善に!5-HT3拮抗薬トロピセトロンの効果は?

 慢性期統合失調症患者における陰性症状をどのように改善させるかは、今なお問題である。陰性症状にはセロトニン5-HT3受容体が関与することは知られている。Maryam Noroozian氏らは、慢性期統合失調症患者に対する5-HT3拮抗薬トロピセトロン(本疾患には未承認)の追加投与による陰性症状への有効性と忍容性を評価した。Psychopharmacology誌オンライン版2013年3月21日号の報告。 対象はリスペリドン投与により症状が安定している慢性期統合失調症患者40例。トロピセトロンまたはプラセボを無作為に追加投与し、8週間経過を観察した。精神症状はPANSSを用い、2週おきに評価した。錐体外路症状と抑うつ症状は副作用と同様に評価した。主要評価項目として、PANSS陰性症状スコア(8週目)のベースラインからの変化量を両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・トロピセトロン群はプラセボ群と比較してPANSS総スコア(F[1.860,70.699]=37.366、p

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(76)〕 ATLAS試験の功績は?~国際臨床試験の集大成~

乳がんに対するホルモン療法の臨床試験は、古くから行われているが、このATLAS試験は、これまで行われたホルモン療法・抗がん剤の臨床試験の中で最も大規模な臨床試験であったと言える。全世界36ヵ国、10年かけて1万2,894名の患者が登録され、日本からも137例が登録された。タモキシフェンを5年飲むのがよいのか、10年飲むのがよいのか? という臨床的疑問に答えるべく、この試験は開始されたのであるが、膨大な準備と計画により成し遂げられたこの成果は、賞賛されるべきと言ってよいと思われる。しかも、この試験は、製薬企業のスポンサーではなく、英国オックスフォード大学の研究資金により行われた。さすが、ランダム化比較試験の生みの親の国と言ってよいだろう。 ATLAS試験は、筆者の前任地の病院でも参加していたが、患者の適格基準が、乳がんで術後にタモキシフェンを5年内服した患者はすべて登録可能であり、細かい除外基準など一切なし、というものであった。近頃の治験などでよくあるように、何十項目もある適格基準・除外基準でガチガチに厳選された患者を対象とするのではなく、より臨床現場に近い患者を対象にという、pragmaticなデザインであったことは、当時としても画期的であったと思われる。 振り返って結果はというと、本来のプライマリー解析は、全登録例における死亡の減少であった。今回は、エストロゲン受容体(ER)陽性例に対する解析を行ったということで、サブ解析になるのであるが、5年より、10年内服する方が、全死亡の低下、乳がん死リスクの低下、乳がん再発の低下をもたらしたというものである。 試験開始から解析・公表までに、17年も過ぎたこの結果が、実際の患者に応用できるかというと、閉経後乳がんには、現在はアロマターゼ阻害薬が標準治療になっているので、応用不可であるが、閉経前乳がん患者には応用可能である。閉経後乳がんに対しても、より長くホルモン療法をやった方が、再発予防効果をもたらしたというATLAS試験の結果は、今後大変参考になるものと思われる。 いずれにせよ、ATLAS試験がもたらした功績は、試験の結果に加えて、臨床試験のあり方、研究者主導の国際共同試験のあり方に大きな希望と勇気を与えてくれるものであったと思われる。わが国では、まだまだ研究者主導臨床試験においても、先進国の中でかなり遅れをとっているので、このような臨床研究からもっと多くを学んでほしいと願うものである。勝俣 範之先生のブログはこちら

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高力価スタチン服用者、急性腎障害による入院リスクが高い/BMJ

 慢性腎障害がみられない患者の場合、高力価スタチン服用者は低力価スタチン服用者に比べ急性腎障害による入院率が有意に高いことが、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のColin R Dormuth氏らの検討で示された。スタチンの腎臓に対する有害作用の可能性を示唆する研究がいくつかあるが、スタチンによる急性腎障害に関する検討はこれまで行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月20日号掲載の報告。高・低力価スタチンの急性腎障害リスクをコホート内症例対照研究で評価 研究グループは、急性腎障害の発現と、高力価および低力価スタチンとの関連についてレトロスペクティブに検討した。9つの地域住民ベースのコホート試験とメタ解析のデータベースを用い、コホート内症例対照デザインに基づいて解析を行った。 対象は、1997年1月1日~2008年4月30日の間に新規にスタチン治療を開始した40歳以上の患者206万7,639例。急性腎障害で入院した個々の患者と背景因子をマッチさせた対照を無作為に選択した。 ≧10mgのロスバスタチン(商品名:クレストール)、≧20mgのアトルバスタチン(同:リピトールほか)、≧40mgのシンバスタチン(同:リポバスほか)を高力価スタチンとし、これら以外を低力価スタチンと定義した。主要評価項目は急性腎障害による入院率であった。120日以内の入院率の差:34%、121~365日:11%、366~730日:15% 206万7,639例のうち慢性腎障害患者は5万9,636例で、残りの200万8,003例には慢性腎障害を認めなかった。スタチン治療開始から120日以内に急性腎障害で入院したのは、慢性腎障害のみられない患者が4,691例、慢性腎障害患者は1,896例であった。 慢性腎障害がみられない患者では、治療開始から120日以内の急性腎障害による入院率が、高力価スタチン服用者のほうが低力価スタチン服用者に比べ34%高かった[率比:1.34、95%信頼区間(CI):1.25~1.43)]。治療開始から121~365日(同:1.11、1.04~1.19)および366~730日(同:1.15、1.09~1.22)の急性腎障害による入院率も、高力価スタチン服用者で有意に高かったが、120日以内に比べるとその差は小さかった。 慢性腎障害患者では、このような差は認められなかった(治療開始から120日以内の率比:1.10、95%CI:0.99~1.23、121~365日:1.08、0.96~1.22、366~730日:1.04、0.92~1.18)。 著者は、「慢性腎障害がみられない場合、高力価スタチン服用者は低力価スタチン服用者に比べ急性腎障害の診断による入院率が高く、この差は特に治療開始初期(120日以内)に大きかった」と結論し、「日常診療で高力価スタチンの使用を考えており、特に低力価スタチンも選択肢となる場合は、このような腎障害のリスクを考慮すべきである」と指摘している。

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ECTが適応となる統合失調症患者は?

 電気けいれん療法(ECT)は双極性障害や大うつ病などの気分障害の治療において有効な手段のひとつである。また、統合失調症の緊張型、重症なうつ病、躁病、その他の感情障害に対して有効な治療法でもある。イタリア、ラ・サピエンツァ大学のMaurizio Pompili氏らは統合失調症患者に対するECTの短期的および長期的な効果や薬物療法との比較を行い、ECT適応患者を明らかにしようと試みた。Schizophrenia research誌オンライン版2013年3月14日号の報告。 ECTが施行された統合失調症患者に関する文献より系統的レビューを行った。ピアレビュー誌より31報が同定され、最も関連性の高い報告が本レビューのために使用された。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者に対するECT使用の最も一般的な適応は、薬物療法の強化であった。また、適応患者の随伴症状は、緊張病症状、攻撃性、自殺企図の順で多かった。・緊張型の患者では、統合失調症の他のサブタイプをもつ患者と比較し、ECTへの反応が有意に優れていた。・薬物療法とECTの併用は、薬物療法耐性患者に対し有用である可能性がある。・従来の薬物療法耐性患者に対し、ECTとリスペリドン、またはECTとクロザピンの併用が最も効果的であった。・薬物療法耐性を示す緊張型、攻撃性、自殺企図を有する統合失調症患者に対し、急速な改善が必要な場合にECTと抗精神病薬との併用療法が推奨される。■関連記事難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」難治性双極性障害患者への併用療法は?難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」

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退院時診断に基づくERの軽症患者の受診抑制策は効果的なのか?/JAMA

 米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMaria C. Raven氏らは、非緊急の救急部門(ER)受診を退院時診断で特定できるのか、主訴と退院時診断を比較する検討を行った。米国では増大する医療費削減策として、ERのいわゆる軽症患者の受診を抑制するため、非緊急ER受診が退院診断と関連しているような場合は医療費支払いを拒否または制限するというメディケア施策が、複数の州で制定・実行または検討されているという。本施策については効果的とする一方、たとえば高齢の糖尿病患者で胸痛を訴えた後の逆流性食道炎が退院時診断であったような場合や、医療費支払いの制限を心配した過度の受診抑制が起きるのではないかという懸念も示されている。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。退院時診断と主訴を調べ、非緊急ER受診者の主訴等の一致を検証 研究グループは、ER受診時の主訴および診断が、ER受診抑制策での原則としている退院時診断と緊密に一致しているかを検証した。非緊急ER受診者の特定には、ニューヨーク医科大学のERアルゴリズムを共通の指標として用い、同アルゴリズムを2009 NHAMCS(全米病院外来調査)のデータからER受診者のデータを入手して適用し、“プライマリ・ケアで治療可能”であった人を特定した。また、ER受診者を退院時診断で階層化し、その主訴の特定も行った。それらの主訴と非緊急ER受診者との一致を調べ、各主訴群のER経過コース、最終的な状態の傾向、退室時診断を調べた。 主要評価項目は、各患者の人口動態学的特性と臨床的な特色、および非緊急ER訪問と関連した主訴の傾向とした。事前に非緊急と判定された人のうち、1割強は実際には緊急治療を実施 2009 NHAMCSのER受診記録数は、3万4,942件であった。そのうち、退院時診断(および当検討に用いた修正アルゴリズム)に基づきプライマリ・ケアで治療可能と判定されたのは、6.3%(95%CI:5.8~6.7)であった。 しかしながら、それらのうちER受診時の主訴と退院時診断の主訴が同じであったと報告した人は、88.7%(同:88.1~89.4)であった。 また、11.1%(同:9.3~13.0)の人が、ERでのトリアージで即時または緊急治療が必要と特定され、12.5%(同:11.8~14.3)の人が入院が必要であり、そして3.4%(同:2.5~4.3)の人がERから手術室へ即時搬送された。 著者は、「退院時診断においてプライマリ・ケアで治療可能と判断されていた人のうち主訴がER受診時と同じであった人では、相当数が即時の緊急治療や入院を必要とした。主訴とER退室時診断の不一致は、退院時診断が非緊急ER受診者を正確には特定できないことを示す」と結論している。

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