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アルツハイマー病治療薬ドネペジルは興奮症状に対し効果がない

コリンエステラーゼ阻害薬ドネペジルは、アルツハイマー病患者の認知機能障害を改善するとされるが、行動障害に関する有益性については明らかになっていない。 キングズ・カレッジ・ロンドン附属精神医学研究所のRobert J. Howard氏らは、アルツハイマー病患者に共通してみられる興奮症状に対して、本剤が効果的かどうかを検証した。NEJM誌10月4日号掲載報告より。1日10mgを12週投与、評価はCMAIスケールで臨床的に明らかな興奮症状を呈し、短期の心理社会的な治療プログラムでも改善がみられなかった272例のアルツハイマー病患者を、ドネペジル10mg/日投与群(128例)とプラセボ投与群(131例)にランダムに割り付け行われた。投与期間は12週間。12週時点の結果評価は、CMAIスケール(Cohen-Mansfield Agitation Inventory:スケールスコアは29~203。スコアが高いほどより興奮状態であることを示す)が用いられ、スコアの変化が測られた。プラセボ投与群との有意差なし基線から12週へのCMAIスコアの変化に、ドネペジル投与群とプラセボ群で有意差は見られなかった。変化の推定平均差(ドネペジル値-プラセボ値)は-0.06(95%信頼区間:-4.35~4.22)。CMAIスコアが30%以上改善した患者は、プラセボ投与群で22/108例(20.4%)、ドネペジル投与群で22/113(19.5%)で、むしろプラセボ投与群のほうが0.9ポイント上回っていた(95%信頼区間:-11.4~9.6)。両群スコアには、Neuropsychiatric Inventory、Neuropsychiatric Inventory Caregiver Distress ScaleまたはClinician's Global Impression of Changeの各スケールを用いても有意差はみられなかった。Howard氏らは、この12週試験では、アルツハイマー病患者の興奮症状に対してドネペジルは効果がなかったと結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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大腸検診でCT大腸検査と内視鏡検査ではどちらが有益か?

大腸検診および大腸予防の主要なターゲットである進行腫瘍の検出率を、CT大腸(CTC)検査と大腸内視鏡(OC)検査との並行スクリーニングプログラムで比較するという研究が、米国ウィスコンシン大学放射線科のDavid H. Kimらによって行われた。NEJM誌10月4日号掲載報告より。進行腫瘍の検出率と切除したポリープ総数を比較比較対象となったのは、初回CTC検査が行われた連続した成人3,163例(平均年齢58.1±7.8歳)と初回OC検査が行われた連続した成人3,120例(同57.0±7.2歳)。主要評価項目は、進行腫瘍(腺腫および腫)の検出率と切除したポリープ総数とされた。CTCで6mm以上のポリープが発見された患者に対してはOCポリープ切除術が勧められたが、1~2個と少数のポリープ(6~9mm)の場合には、オプションとしてCTCサーベイランスも提示された。一方、初回OC検査で見つかったポリープはすべて、診療指針やサイズに関係なく切除された。検出率に有意差なし、切除・合併症リスクを鑑みてまずはCTCを?CTC検査では123個の進行腫瘍が見つかり、そのうち14個が浸潤だった。OC検査では121個が見つかり、そのうち4個が浸潤だった。初回CTC検査によるOC紹介率は7.9%(246/3,120例)。進行腫瘍が確認されたのは、CTC群3.2%(100/3,120例)、OC群3.4%(107/3,163例)だった。これらには、CTC検査で6~9mmのポリープが発見され、切除をせずにサーベイランス中だった患者158例・193個は含まれていない。切除されたポリープ総数は、CTC群で561個、OC群で2,434個だった。またCTC群ではみられなかったが、OC群では7つの結腸穿孔が生じていた。Kim氏らは、「CTC検査およびOC検査の進行腫瘍の初回時検出率は同程度だったが、ポリープ切除術と合併症数はCTCスクリーニング群のほうが圧倒的に少なかった」点を強調しながら、「これらの所見は治療的なOCの前に、初回スクリーニングとしてCTCを行うことを支持するものだ」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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植込型除細動器使用は女性で低い

JAMA誌10月3日号に寄せられた本論は、植込型除細動器(ICD)使用の性差に着目した、複数年にわたる患者追跡調査を踏まえた研究報告で、米国デューク医科大学クリニカルリサーチ研究所のLesley H. Curtis氏らによる。一次あるいは二次予防目的使用群ごと複数年にわたって検証Curtis氏らは、心突然死の一次予防もしくは二次予防を目的にICD使用が適用された患者群を追い検証した。連邦機関の一つであるCMMS(Centers for Medicare & Medicaid Services:旧保健医療財政局)から得られた1991年~2005年の間の調査定義可能な5%相当の全国サンプルを解析。メディケアに該当する65歳以上患者で、急性心筋梗塞、心機能不全あるいは心筋症と診断された(心停止、心室頻拍は除く)男性65,917例、女性70,504例を一次予防コホート群として、心停止または心室頻拍と診断された男性52,252例、女性47,411例を二次予防コホート群として解析が行われた。主要評価項目は、1999年から2005年までの1年ごとのICD治療の受療状況と全死亡率。ICD治療群と未治療群との死亡率の有意差が少ないのは性差のせい?2005年時の一次予防コホート群で、コホートエントリー1年以内でICD治療を受けていたのは男性が32.3/1,000例、女性は8.6/1,000例。多変量解析によって、男性のほうが女性よりもICD治療を受けている傾向が強かった(ハザード比3.15、95%信頼区間2.86-3.47)。またコホートエントリー180日時点で存命のICD未治療群とICD治療群との、1年以内の死亡率に有意差はなかった(ハザード比1.01、95%信頼区間0.82-1.23)。一方、2005年時の二次予防コホート群は、男性102.2/1,000例、女性38.4/1,000例がICD治療を受けていた。人口統計学的変数および共存症の有無で調整後、男性のほうが女性よりもICD治療を受けている傾向が強いことが明らかとなった(ハザード比2.44、95%信頼区間2.30-2.59)。またコホートエントリー30日時点で存命だったICD未治療群とICD治療群との、1年以内の死亡率は、治療群のほうが有意に低かった(ハザード比0.65、95%信頼区間0.60-0.71)。Curtis氏らは、メディケア集団においては、一次予防もしくは二次予防目的いずれでも、女性のほうがICD治療を男性よりも受けていないという性差が見いだされたと報告。これまでの報告ではギャップは少ないとされていたが、性差があると認識することが死亡率改善のためにも必要だと述べている。(武藤まき:医療ライター)

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植込型除細動器使用は治療指針適格患者の35.4%

JAMA誌10月3日号に寄せられた本論は、植込型除細動器(ICD)使用の性・人種差に着目した研究報告で、米国デューク医科大学クリニカルリサーチ研究所のAdrian F. Hernandez氏らによる。指針適格患者13,034例を調査本研究は、ICD治療指針で「心不全で左室駆出率30%以下」とされている治療適格患者間の、実際の使用の性差および人種差を明らかにすることを目的に行われた。解析対象となったのは、心不全・左室駆出率30%以下で退院後、米国心臓協会のGet With the Guidelines-Heart Failure質改善プログラムを受けている患者13,034例。患者は2005年1月~2007年6月の間に217の病院で治療を受けている。主要評価項目は、退院時までにICD治療を受けた、もしくは計画されていたこととした。「女性」「黒人患者」で有意に低いICD治療適格患者のうち退院までにICD治療を受けていたのは4,615例・35.4%だった。内訳は、新規ICD治療1,614例、計画527例、ICD治療既存2,474例。ICD使用率を人種・性別に見ると、黒人女性では28.2%(375/1,329)、白人女性は29.8%(754/2,531)、黒人男性33.4%(660/1,977)、白人男性43.6%(2,356/5,403)となっている(P

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経口避妊薬はむしろ発リスクを低下させる

経口避妊薬は、1960年代初期に導入されて以来、3億人以上の女性が使用していると考えられる。経口避妊薬使用者は非使用者に比べ乳、子宮頸、肝のリスクが増大するとの研究結果がある一方で、子宮内膜、卵巣、結腸・直腸のリスクが低下するとの報告もあり、全体としての発リスクへの影響は明確でない。 イギリス・アバディーン大学一般医療・プライマリケア科のHannaford氏らは、経口避妊薬に関する長期試験のデータを用い、非使用者に比べ使用者では全体として発のリスクが低下するとの仮説の検証を行った。BMJ誌9月11日付オンライン版、9月30日付本誌掲載の報告。1968年に開始された試験のデータを用いて発リスクを評価解析にはRoyal College of General Practitioners’ oral contraception studyのデータを用いた。本試験は1968年に開始され、14ヵ月にわたりイギリス全土の約1,400名の一般医が23,377名の経口避妊薬使用者と23,796名の非使用者を登録した。2004年までの主要データセットと、1996年までのより小さなデータセットについて解析した。婦人科の併発をはじめ種々のについて経口避妊薬使用者と非使用者における補正相対リスクの評価を行った。標準化変数は年齢、喫煙歴、社会的地位、ホルモン補充療法などであり、サブ解析として、使用者の背景因子、使用期間、使用中止後の経過時間による相対リスクの変化について評価した。経口避妊薬は発リスクを増大させず、むしろベネフィットをもたらす非使用者に比べ使用者では、大腸/直腸、子宮体部、卵巣、部位不明の、婦人科の併発などの発現率が有意に低下していた。使用期間が長くなるに従って、子宮頸、中枢神経系あるいは下垂体のリスクは有意に増大し、子宮体部、卵巣のリスクは有意に低下していた。より小さなデータセットでは発全体の相対リスクの低下には有意差はなかった。卵巣および子宮体部の相対リスクの低下は使用中止後も長期間にわたって観察されたが、部分的には有意差を認めなかった。主要データセットでは、使用者における発の絶対リスクの予測低下率は45/10万人年であり、加齢に伴ってベネフィットはむしろ増大した。より小さなデータセットの予測低下率は10/10万人年であった。これらの知見をふまえ、Hannaford氏は、「経口避妊薬は全体として発のリスクを増大させず、むしろベネフィットをもたらす可能性が示唆された」と結論し、「発のリスクとベネフィットのバランスは経口避妊薬の使用パターンや個々のの発症率などによって各国ごとに異なる可能性があり、死亡率への影響も含めさらなる検討が必要である」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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胸痛治療室の導入は入院率を低減させるか

イングランド/ウェールズでは急性の胸痛に対する救急診療部による治療が年間約70万件に達しており、これは緊急入院全体の約1/4に相当する。胸痛治療室での管理により入院率が低下することが確認されているため、国民医療サービス(NHS)を通じた胸痛治療室の設立によって緊急入院が低減する可能性が示唆されている。 イギリス・シェフィールド大学Medical Care Research UnitのGoodacre氏らは、胸痛治療室におけるケアが、治療後30日以降の救急診療部による再治療や入院を増加させずに緊急入院を低減できるかを検討するクラスター無作為化試験を実施、BMJ誌9月18日付オンライン版、9月30日付本誌にて報告した。14施設を介入群と対照群に無作為に割り付け、介入前後の入院率などを評価2004年10月~2005年6月に14施設が登録され、胸痛治療室におけるケアを実施する介入群に7施設が、ルーチンの治療を行う対照群に7施設が無作為に割り付けられた。全体として、介入の前年には胸痛により37,319例が43,642回の治療を受け、介入後の年には40,951例に47,767回の治療が施行された。入院に至った胸痛治療の割合、治療後30日以降の再治療および入院、全原因による1日の緊急入院数、胸痛による救急診療部の受診率について評価した。胸痛治療室の導入は入院率を低下させず、むしろ救急治療が増大胸痛治療室の導入は、ルーチン治療に比べ胸痛による救急診療部の受診率を増大させる傾向が認められた(p=0.08)。入院に至った胸痛治療の割合は両群間で同等であった(p=0.945)。治療後30日以降の再治療(p=0.083)および入院(p=0.036)は、ともに介入群でわずかに増加する傾向が見られ、後者には有意差を認めた。1日の緊急入院数は介入群で有意に増加する(p<0.001)とのエビデンスが得られたが、この知見は欠測値の処理法に対する感受性が高く、別の方法を用いた場合は結果も変わる可能性がある。Goodacre氏は、「胸痛治療室におけるケアの実施は入院率を低下させず、かえって胸痛に対する救急診療部の治療を増大させる可能性がある」と結論し、「適切な患者を選択すればベネフィットをもたらす可能性が残されているとはいえ、既報とは異なりNHSを通じた胸痛治療室の設立は全体として緊急入院の増大を招く可能性があると指摘せざるをえない」としている。(菅野 守:医学ライター)

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グリタゾン系薬により心不全増加するも心血管系死亡率は不変:メタ解析

AHA・ADAによるコンセンサスガイドライン(2003年)では、「インスリン療法例」と「多リスクファクター例」以外では「心不全発症リスクが極めて低い」とされたグリタゾン系薬剤だが、約20,000例を対象としたメタ解析の結果、プラセボ・他剤に比べ心不全発症リスクの有意な増加が確認された。ただし心血管系死亡の有意な増加は認められていない。Lancet誌9月29日号に米国Lahey Clinic Medical CenterのRodrigo M Lago氏らが報告した。心不全発症は有意に増加対象となったのは前糖尿病・2型糖尿病患者においてグリタゾン系薬剤が検討された無作為化二重盲検試験。7試験、20,191例(rosiglitazone:5試験、14,491例、ピオグリタゾン:2試験、5,700例)で解析が行われた。平均29.7ヵ月の追跡期間中、360例の心不全発症が報告されており、グリタゾン系群における発症リスクは対照群の1.72(95%信頼区間:1.21-2.42)倍と有意に増加していた。Rosiglitazone群、ピオグリタゾン群に分けて解析しても同様で、心不全発症リスクの増加は有意だった。心血管系死亡は減少傾向しかし心血管系死亡のリスクはrosiglitazone、ピオグリタゾン群いずれも、対照群に比べ低下傾向を示していた。このため筆者らは「グリタゾン系により増加する心不全が左室リモデリングを伴う通常の心不全と異なる可能性」を示唆するとともに「心不全から死に至るには追跡期間が短すぎる」点も認めている。なお現在、rosiglitazoneによる心血管系イベントへの影響を検討する大規模試験RECORDが進行中である。(宇津貴史:医学レポーター)

30728.

重症精神疾患患者に対する個別就労支援(IPS)のヨーロッパにおける有用性を確認

個別就労支援(individual placement and support; IPS)プログラムは、アメリカで開発された重症精神疾患患者を対象とした援助付きの雇用のモデルである。従来の“train-and-place(訓練を受けてから就労する)”ではなく“place-and-train(就労後に訓練を受ける)”との考え方に基づき、患者の希望に応じて迅速に仕事を探し、精神健康サービス部門の就労専門職員が患者および雇用者を継続的にサポートする。 イギリス・オックスフォード市Warneford病院のTom Burns氏らは、ヨーロッパにおけるIPSの有用性を検証し、個々の国の労働市場および福祉制度におけるIPSの効果を評価する目的で無作為化試験を行った。9月29日付Lancet誌掲載の報告。ヨーロッパの6施設が参加、競合的職業への就労率を評価対象は、18歳以上、2年以上の病歴を有する地域居住の重症精神疾患患者で、競合的職業への就労歴がなく、それを望む者とした。2003年4月~2004年5月にヨーロッパの6施設(イギリス、ドイツ、イタリア、スイス、オランダ、ブルガリア)に312例が登録され、IPS群に156例が、対照群に156例が無作為に割り付けられた。フォローアップ期間は18ヵ月であった。主要評価項目は競合的職業への就労率とし、地域福祉制度や労働市場におけるIPSの効果を検討するためにプロスペクティブなメタ解析を行った。IPS群は就労率が高く、ドロップアウト率および入院率が低い就労率(少なくとも1日以上就労できた患者の割合)は、対照群が28%であったのに対しIPS群は55%と約2倍に達していた。ドロップアウト率は対照群45%に対しIPS群13%、入院率は対照群31%に対しIPS群20%と、いずれもIPS群で良好であった。また、地域の失業率の差がIPSの効果の不均一性と有意な相関を示したことから、社会経済状況の影響も明らかとなった。Burns氏は、「少なくともアメリカと同等の有用性がヨーロッパにおいて確認された」と結論しており、「アメリカで蓄積されてきたエビデンスに今回のヨーロッパの知見を加えれば、IPSが精神健康医療において有効なアプローチであることが確証されるだろう。IPSは出資に値し、さらなる調査が必要である」としている。(菅野 守:医学ライター)

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LDL-C値<70mg/dLにおいても、HDL-C値は心血管イベントの予測因子と成り得るか?

本研究はスタチン治験・TNT(Treating to New Targets study)の事後解析の1つ。高比重リポタンパク(HDL)コレステロール値と心血管イベントとの間にみられる強い逆相関性が、低比重リポタンパク(LDL)コレステロールの極低値との間でもみられるかを検証したもの。オーストラリア心臓血管研究所のPhilip Barter氏らTNT研究グループによる報告は、NEJM誌9月27日号に掲載された。研究ターゲットはLDL値が70mg/dL未満解析はまず、最近終了したTNTスタディ参加患者9,770例のHDLコレステロール値でその予測能が評価された。主要評価項目は、主な心血管イベント(虚血性心疾患、非致死性・非処置の心筋梗塞、心停止後蘇生、致死性あるいは非致死性の脳卒中による死亡)の初回発症までの時間で、スタチン投与後3ヵ月目のHDLコレステロール値との予測的な関係について単変量・多変量解析が行われた。そして同様の評価が、LDLコレステロール値が70mg/dL(1.8mmoL/L)未満である特定の治験者層に対しても行われた。心血管イベントのリスクが少ないことが観察されたTNT試験コホート全体でみると、HDLコレステロールを連続変数とみなした時も、被験者をHDLコレステロール値の五分位数によって階層化した場合も、スタチン治療群のHDLコレステロール値から心血管イベントを予測することは可能だった。また、スタチン治療群をLDLコレステロール値によって階層化し分析したところ、HDLコレステロール値と心血管イベントとは有意な関連がみられ(P=0.05)、LDLコレステロールが70mg/dL未満の患者でも、HDLコレステロール値が最大五分位群の患者は最小五分位群の患者より心血管イベントのリスクが少ないことが見受けられた(P=0.03)。研究グループは、「HDLコレステロール値はスタチン治療患者における主な心血管イベントの予測因子であることが確認され、その関係は70mg/dL未満のLDLコレステロール値の患者でも観察された」と結論付けている。(武藤まき:医療ライター)

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褐色細胞腫の最初の記述所見について考察

NEJM誌9月27日号に掲載された本論文は、ドイツのフライブルグ大学医療センター腎臓病学Hartmut P.H. Neumann氏らによる、褐色細胞腫の最初の記述所見について検証したもの。 褐色細胞種を最初に報告したのはFelix Frankelであるという解釈が正しいのか、報告された患者は遺伝性疾患を有していたのではないか、という2点を明らかにすることがNeumann氏らの目的である。 Frankel報告を精査し、現在のテクノロジーを駆使してその記述の所見を更新するため症例患者の親戚にアプローチし評価を行った。親戚子孫を探し出しDNA分析褐色細胞種の最初の記述は1886年、Felix Frankelによるものとされている。彼はその報告で褐色細胞種という用語は用いていないが、褐色細胞種の教科書や、最初の国際的な褐色細胞種に関するシンポジウムでも“最初の記述者”として彼に敬意を表する言葉が述べられており、このことは規定の事実とされてきた。Frankelが記した報告では患者とその所見について、「18歳女性で両側副腎に“肉腫と血管肉腫を有していた”」と記述されている。その点についてNeumann氏らは、「患者が非常に若いということ、さらに両側副腎に有していたということから遺伝性疾患を有していたのではないか」と仮定し、彼女の親戚を探し出して病歴聴取と、提供を受けることができた存命4家族の血液のDNA分析を行った。存命する親戚4家族からRET突然変異の存在確認DNA分析の結果では4家族からRET突然変異の存在が認められた。Neumann氏らは、「このことは、最初の患者とその家族に多発性内分泌腫瘍2型(MEN-2)があることを示すものであり、患者が褐色細胞腫であったことを分子レベルで証明するものである。我々の詳細なレビューによって、組織病理学的な所見と褐色細胞腫との整合性を図ることができた」と報告した。(武藤まき:医療ライター)

30731.

うつ病労働者への治療プログラムは職場アウトカムをもたらす

ガイドラインに沿ったうつ病治療の有効性は明らかだが、しばしば根拠に基づいた勧告から外れた治療が行われている。うつ病治療プログラムは有意に治療の質を向上させるが、雇用者たちは、対費用効果という点でエビデンスに乏しいとこれらプログラムの採用を後回しにしてきた。 そこで、うつ病治療プログラムの効果が職場に与える影響および雇用者の懸念を評価する無作為化対照試験が、アメリカ国立精神保健研究所(NIMH)のPhilip S. Wang氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。介入6ヵ月毎にうつ重症度と作業能力を評価試験は、行動保健プランでカバーされる604例の労働者を対象に行われ、うつ病は2段階スクリーニングで同定された。患者の治療割当と、6・12ヵ月後のうつ重症度と作業能力の評価結果は公表されず、難治性の躁うつ病や薬物依存症の者、最近精神専門治療を受けた者、また自殺傾向のある労働者は除外された。電話アウトリーチとケア管理プログラムでは、労働者に外来治療(精神療法および/または薬物療法)を受診するよう促し、治療の質を連続モニターして医療提供者に忠告を与えることで、治療が向上するよう試みた。外来治療を嫌がる対象者には、電話による体系的な認知行動精神療法が提供された。主要評価項目は、うつ重症度(QIDSによる評価:Quick Inventory of Depressive Symptomatology)と作業能力(HPQによる評価:WHO Health and Productivity Questionnaire。労働継続率、労働から外れた時間、作業能力、職場で起こしたインシデントを自己評価で報告する方法)。系統的治療プラグラムで労働生産性が向上6ヵ月後と12ヵ月後の評価データを組み合わせると介入群は、QIDSの自己報告スコアは有意に低く(回復の相対確率1.4、95%信頼区間:1.1-2.0、P=0.009)、維持率は有意に高く(同1.7、1.1-3.3、P=0.02)、介入期間を通して通常ケア群より有意に多くの時間労働したことが明らかになった(β=2.0、P=0.02、年換算では2週間分の労働に等しい)。研究グループはこれらから、うつ病を同定し系統的プログラムを行うことは、臨床的な予後改善ばかりでなく職場アウトカムをも有意に改善すると報告。雇用復帰と訓練、給与コストに関する後者の財政的価値は多くの雇用者に、うつ病治療プログラムは投資収益を生むものであると認識させ、治療に前向きに取り組むようになるだろうとまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

30732.

メタボと喫煙を因子に結腸直腸腫瘍とCADは強く相関

結腸直腸腫瘍と冠動脈疾患(CAD)は類似した危険因子を共有しており、発症の関連性も疑われている。そこでCADを有する患者の横断研究を行い、結腸直腸腫瘍の出現率を調査するとともに、2つの疾患の共通危険因子を同定する研究が、香港大学のAnnie On On Chan氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。狭窄率50%以上と結腸直腸腫瘍との関連を調査2004年11月から2006年6月にかけて、CADを疑われ冠動脈造影を受けた香港(中国)の患者の中から、結腸内視鏡検査によるスクリーニングを実施する対象を選び、冠動脈の内1つでも50%以上狭窄している例をCADと定義し(n=206)、それ以外はCAD陰性とみなした(n=208)。対照群(n=207)は、年齢・性別対応で一般の集団から集められた。すでにアスピリンまたはスタチンを服用している患者、結腸疾患の既往がある患者、過去10年間に結腸内視鏡検査を受けた患者は除外されている。主要評価項目は、CAD陽性群、CAD陰性群、一般群それぞれにおける結腸直腸腫瘍の出現率。結腸直腸腫瘍とCADとの関連、そして2つの疾患に共通する危険因子を同定するため、年齢・性調整の上で二変量ロジスティック回帰分析を行った。結腸直腸腫瘍の出現率はCAD陽性群で34%結腸直腸腫瘍の出現率はそれぞれCAD陽性群34.0%、CAD陰性群18.8%、一般群20.8%だった(χ二乗検定によるP<0.001)、進展病巣の出現率は18.4%、8.7%、5.8%(P<0.001)。また、の出現率は4.4%、0.5%、1.4%だった(P=0.02)。CAD陽性群のの内50%は早期であった。年齢・性調整後の結腸直腸腫瘍とCADの関連オッズ比は1.88(95%信頼区間:1.25-2.70、P=0.002)。高度の病変とCADとの関連オッズ比は2.51(同1.43-4.35、P=0.001)だった。メタボリックシンドロームのオッズ比は5.99(同1.43-27.94、P=0.02)、喫煙歴のオッズ比は4.74(同1.38-18.92、P=0.02)で、Chan氏らは「これらは進行性の結腸病変とCADにおける独立危険因子と認められる」と報告。CAD群における結腸直腸腫瘍の出現率は有意に高く、進行性結腸病変の存在とCADとの関連は、メタボリックシンドロームと喫煙歴があるほど強いことが明らかになったと結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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キノロン系抗菌剤「ジェニナック」発売

アステラス製薬、大正富山医薬品、富山化学の3社は5日、新タイプのキノロン系経口合成抗菌剤「ジェニナック」(一般名:メシル酸ガレノキサシン水和物)を新発売した。幅広い抗菌作用を持ち、1日1回の経口投与で効果を発揮する。(1回400mg)また、合成抗菌剤で初めてペニシリン耐性肺炎球菌が適応菌種に明記されたことから、既存薬剤の薬価と比較して有用性加算が認められた。適応菌種ガレノキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ) 適応症咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎

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ユニセフとWHOが推奨する6ヵ月母乳養育には母親への教育が欠かせない

母乳栄養には多くの利点があり、ユニセフとWHOは1991年から、母乳栄養についてベストな選択を母親ができるようサポートするイニシアティブ(the baby friendly hospital initiative)を開始しているが、診療現場に普及するには至っていない国も多い。 シンガポール大学のLin-Lin Su氏らは、どのような方法が母乳養育率を改善するのかを調査するため、一般的に行われる院内ケアを受けるグループと出産前だけに母乳栄養について教育されるグループ、出産後授乳支援を受けるグループとを比較する無作為化試験を行った。本論はBMJ誌オンライン版8月1日付けで早期公開され、本誌では9月22日号で収載されている。ルーチンケア、出産前教育、出産後サポートの3群に分け比較調査はシンガポールの3次機能病院で、併発症を伴わない妊婦450例を、ルーチンケア群(151例)、出産前教育群(150例)、出産後サポート群(149例)にランダムに振り分け行われた。主要評価項目は、分娩退院後2週、6週、3ヵ月、6ヵ月各時点の母乳養育率。副次評価項目は、すべての母乳養育率とした。出産後サポートのほうが出産前教育よりわずかに効果的結果、ルーチンケア群と比較して出産後サポート群のほうが母乳養育の傾向が強いことが明らかとなった。相対リスクは2週時点1.82(95%信頼区間:1.14-2.90)、6週時点1.85(同1.11-3.09)、3ヵ月時点1.87(1.03-3.41)、6ヵ月時点2.12(1.03-4.37)。出産前教育群は、6週、3ヵ月、6ヵ月の時点だけ出産後サポート群より母乳で育てる傾向が見られた。相対リスクはそれぞれ1.73(1.04-2.90)、1.92(1.07-3.48)、2.16(1.05-4.43)。6ヵ月時点での出産後サポート群と出産前教育群の比較では、それぞれNNT(*)が11(6~80)と10(6~60)という結果で有意差は見られなかった。しかし2週時点では、出産後サポート群は出産前教育群と比べるともっぱらあるいは主として母乳で育てる傾向が見られた(相対リスク1.53、95%信頼区間1.01-2.31)。6週間時点でも出産サポート群は、ルーチンケア群と比較しても母乳養育率がより高かった(同1.16、1.02-1.31)。このように、出産前後を問わず1回の介入で分娩後最高6ヵ月時点での母乳養育率の改善につながること、出産後サポートのほうが出産前教育よりわずかに効果的であることが明らかとなった。*NNT:number needed to treat。治療必要数。ここではルーチンケア群との比較で。

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へテロ接合型家族性高コレステロール血症スクリーニングは1~9歳児を対象に

ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(FH)例は若年でも冠動脈イベントリスクが著明に増加する。そのため早期発見が必要とされるが、1~9歳時に血清脂質をチェックするのが最も有効なスクリーニング法であると、英国Barts and the LondonのDavid S Wald氏らがメタ解析の結果として報告した。BMJ誌オンライン版9月13日付け早期公開された後、本誌9月22日号で収載されている。13研究のメタ解析Wald氏らが解析対象にしたのは、ヘテロ接合性FHと非FHにおける、総コレステロール(TC)・LDLコレステロール(LDL-C)値とFH有症率に関するデータを含む13研究18,128例。血清脂質を測定した年齢を「新生児(2試験)」、「1~9歳(5試験)」、「10代(2試験)」、「20~30代(2試験)」、「40~50代(1試験)」と「60代以上(1試験)」に分け、FH偽陽性率が0.1%、0.5%、1%となるTC、LDL-Cのカットオフ値を求め、同時にそのカットオフ値によるFH検出率を算出した。算出に必要なデータが論文に掲載されていない場合、論文著者にコンタクトをとった。偽陽性率0.1%で90%近い検出率するとTC、LDL-Cいずれを指標とする場合も、「1~9歳」時における検出度が最も高かった。すなわち、偽陽性率0.1%の場合、TCならばカットオフ値:1.53MoM(*)で検出率は88%(95%信頼区間:84-92%)、LDL-Cはカットオフ値2.23MoMで検出度は85%(95%信頼区間:79-89%)、いずれも各年代を通しての最高値だった。偽陽性率0.5%、1%で比較しても同様の結果だった。筆者らは1~9歳児に対するFHスクリーニングが有用だと結論すると同時に、そのようなスクリーニングにより親の未発見FH検出にも役立つはずと主張している。 *MoM:multiples of the median。中央値の何倍かを示す。本研究では非FHの脂質中央値に対するMoMである。ちなみに、「1~9歳」のTC中央値はほぼ4m mol/Lなので、カットオフ値は4×1.53=6.1m mol(237mg/dL)となる。(宇津貴史:医学レポーター)

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国連ミレニアム開発目標4は達成可能か?

2000年開催の国連ミレニアム・サミットで採択された8つの国連ミレニアム開発目標(MDG)のうち、4番目の目標が、2015年までに世界の5歳未満死亡を1990年基準より67%減らそうというものである。 ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らによる本論は、MDG 4目的達成の前提となる死亡率推計値について、現状データの統計方法に疑問を呈し、新たに再現性ある方法を開発するとともに既存データの再分析を行った。Lancet誌9月22日号より。国連ミレニアム開発目標は67%減少を目指しているが……研究グループは、172カ国における5歳未満死亡率のデータを可能な限り入手し、これまでの傾向と2015年までの予測についてLOESS回帰分析を行った。研究グループが開発したのは、それぞれの推計モデルの特異性に着目しながら過去のタイムトレンド、そして新生児期、乳児期、小児期の死亡率を算出するという方法。その結果、世界の5歳未満死亡率は、1980年の1,000対110から、25年後の2005年には1,000対72に下がっていたこと、世界の児童死亡数は、1980年の1,350万人から、2005年には約970万人に減少していたことが明らかとなった。また研究グループの推計では、1990年を基準とした場合の期待できる2015年までの5歳未満死亡率低下は27%で、「MDG 4が掲げる67%低下と比べればはるかに低い数値だ」と述べている。アフリカサハラ以南の遅れが足を引っ張るラテンアメリカ、北アフリカ、中東、ヨーロッパと東南アジアなどいくつかの地域では、35年間にわたって毎年4%以上の低下率を維持し続けてきたことも明らかとなった。MDG 4の世界における推移は、サハラ以南のアフリカ地域における死亡率低下の遅れに強く影響され続けており、同地域は人口増加率においても最も歯止めがかからない地域でもある。これらから研究グループは、「世界的に見れば、幼児死亡率の低下という目的からすれば30年前よりもよい仕事をしているとは言えない」と述べ、幼児死亡率測定の質と即時性のさらなる改善は、既存データの十分な活用と、標準的な分析方法の適用によって可能なはずだと結論づけている。

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モザンビークにおける重篤な精神的・神経学的障害の出現率

モザンビークは世界でも最も貧しい国の一つである。人口約1,800万人のうち、7割は農村部に暮らしている。この国の精神科医はわずか10人に過ぎず、人々の精神的・神経学的健康状態に関する情報不足は、国の政策決定と医療資源への投資を妨げてきた。Vikram Patel氏らのグループはWHOの支援を受けたモザンビーク保健省とともに、都市部と農村部における発作性疾患、精神疾患、精神発達遅滞の出現率の評価を行った。LANCET誌9月22日号より。都市部と農村部から計2,739世帯をランダムに抽出調査対象はモザンビークの首都Maputo市から1,796世帯、同国でも最も貧困な地方の町Cuambaから943世帯の計2,739世帯がランダムに選ばれた。調査は一定間隔ごとの世帯への訪問インタビュー形式で行われた。各々の世帯の情報提供のキーマンとなる人物から、症状に合致する障害のあると思われる世帯構成員を聞き出すことで有症者を同定し、障害の原因と行われた治療、現在の状態についても聞き取りが行われた。農村部の精神疾患出現率は都市部の約3倍生涯有病率は3つの精神障害すべてにおいて、都市部より地方の方がより高かった。成人の精神疾患出現率は農村部の4.4%に対し都市部では1.6%(標準化有病比2.79)、精神発達遅滞は1.9%対1.3%(同1.48)、発作性疾患は4.0%対1.6%(同2.00)だった。3つの障害の中で、世帯情報提供者がその原因を超自然的な理由にあると考えているのは精神疾患がトップで、発作性疾患がそれに続いた。また、これら精神疾患を持つ構成員のいる世帯の約4分の3は“昔ながらの開業医”に相談しており、農村部に住むこれら障害のある者のほぼ半数は現在も健康状態に問題ありと判定できた。Patel氏らはこうした実態を踏まえ、「精神障害に対する理解を向上させるための援助としては、農村部における精神保健資源への投資、そして、特にモザンビークの貧困な農村地帯においては“昔ながらの開業医”との協力が差し迫った課題である」と結論づけた。

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出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:ACTORDS研究グループ

 オーストラリアのアデレード大学Caroline A. Crowther氏らACTORDS(Australasian Collaborative Trial of Repeat Doses of Steroids)研究グループは以前、早期産のリスクを有する妊婦へのコルチコステロイド反復投与療法について無作為化対照臨床試験を行い、「新生児における呼吸窮迫症候群や重篤な疾患罹患リスクが減少した」と報告したが、この時のデータは本療法の長期予後に関しては有効ではなかったため、あらためて前向き臨床試験を実施した。NEJM誌9月20日号の報告から。2歳時の感覚神経障害と体格を評価 今回の試験では、コルチコステロイドの初期治療コースを7日間以上受けた妊婦に、コルチコステロイド(ベタメタゾン11.4mg:反復投与群)またはプラセボ(生理食塩水:単回投与群)の筋注がランダムに割り当てられた。妊娠期間が32週未満で早期産の危険がある妊婦には、毎週投与が繰り返された。 評価は年齢調整後の2歳時点における重度感覚神経障害を伴わない生存率および体格。注意力に問題あるも単回投与群と有意差なし 2歳時点で生存していた1,085例の小児の内、1,047例(96.5%)が評価の対象となった(反復投与群521例、単回投与群526例)。 重度障害を伴わない生存率は、反復投与群84.4%、単回投与群81.0%で同程度だった(補正相対危険度1.04、95%信頼区間:0.98-1.10、P = 0.20)。 体格、血圧、保健サービスの利用度、呼吸器系疾患罹患率、また小児行動スコアのいずれも両群間に有意差は認められなかった。ただし注意力の面での問題が、反復投与群で単回投与群より一定の根拠をもって指摘された(P = 0.04)。 これらの結果から研究グループは、出生前コルチコステロイドの反復投与を用いた早期産のおそれのある妊婦の管理は、前回試験で明らかになったように、新生児の罹患率を低下させるとともに、2歳時点においても重度の感覚神経障害または発育不良のどちらも伴わないと報告している。

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出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:MFMU研究グループ

 出生前コルチコステロイドの反復投与は、早期産児の新生児期における一部の疾患罹患や死亡リスクを改善するものの、出生時体重の低下および子宮内胎児の発育遅延のリスクを増すことが、先行研究によって示されている。本論文は、コロンビア大学Ronald J. Wapnerら米国NIHのMFMU(Maternal-Fetal Medicine Units)ネットワークの研究グループによる、出生前コルチコステロイド投与の長期追跡調査の結果報告。NEJM誌9月20日号に掲載された。反復投与群と単回投与群を比較 追跡調査は、コルチコステロイドの初期コース受療後7日目の時点で妊娠が継続していた妊娠23~31週の女性を、反復投与群(ベタメタゾン週1回12mg筋注、24時間後に再投与)と単回投与群(プラセボ投与)に無作為に割り付け、それぞれに生まれた修正年齢2-3歳時の小児が対象とされた。 評価は、ベイリー乳幼児発達検査(Bayley Scales of Infant Development:BSID)スコア、身体測定値、脳性麻痺の有無で行われた。脳性麻痺の発症率が反復投与群で高かった 追跡調査が行われたのは556例。そのうち486例(87.4%)が身体測定を受け、465例(83.6%)がベイリー検査を受けた。平均修正年齢(±SD)は29.3±4.6ヵ月だった。 身体測定およびベイリー検査の結果に関しては両群に有意差は見られなかった。 脳性麻痺に関しては、反復投与群では6例(妊娠全体の2.9%)に認められたのに対し、単回投与群は1例(同0.5%)で、相対リスクは5.7という結果だった(95%信頼区間:0.7-46.7、P=0.12)。 長期予後として神経認知機能や身体の発達度に有意差は認められなかったが、脳性麻痺の発症率が統計学的に有意差は認められなかったとはいえ反復投与群で高かったことを受け、研究グループは「懸念すべきことであり、さらなる研究が必要だ」と結んでいる。

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B型慢性肝疾患治療薬バラクルードの投薬期間制限解除

B型慢性肝疾患治療薬バラクルード錠0.5mgは、2007年10月1日より投薬期間の制限が解除された。 B型肝炎キャリアは約150万人とされ、肝がんの原因の第2位を占めている。B型肝炎は、無症候性キャリアからも肝がんを発症することがあり、常に注意が必要な疾患である。バラクルードは、従来の治療薬に比べ、高い抗ウイルス活性と低い耐性出現率を示す。このことから、バラクルードは既に35歳以上のB型慢性肝炎の治療ガイドラインでは第一選択薬として推奨されており、ラミブジン投与中であっても、治療期間の短い症例では変更可能な薬剤として推奨されている。今回の投薬期間の制限解除により、B型慢性肝疾患の患者さんに、より投与しやすくなると予想される。(ケアネット 鈴木渉)

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