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ソホスブビル+リバビリン併用12週治療で、慢性HCV患者のSVR24達成/Lancet

 肝硬変のない未治療の慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1の患者に対する、NS5Bポリメラーゼ選択的阻害薬ソホスブビルのペグインターフェロンα-2a+抗ウイルス薬リバビリン(商品名:レベトールほか)との併用12週間治療の有効性と安全性を検討した第2相試験「ATOMIC」の結果が報告された。本試験は、同患者に対する標準療法の24週間治療法(ポリメラーゼ阻害薬+リバビリン)と同等の効果が、ソホスブビルレジメンの12週間治療法で認められるか、また同レジメン12週投与後にソホスブビル単独療法もしくはソホスブビル+リバビリン併用投与を12週間追加した場合のあらゆるベネフィットを調べることが目的であった。Lancet誌オンライン版2013年3月14日号掲載の報告より。12週治療、24週治療、12週+単独等の3つのコホートで検証 ATOMIC試験は、2011年3月23日~2011年9月21日に、米国、プエルトリコの医療施設42ヵ所で患者を登録して行われたオープンラベル無作為化第2相試験であった。慢性HCV感染症(遺伝子型1、4、5、6)で18歳以上、HCV感染症未治療の患者を適格とした。 研究グループは、遺伝子1型を有するHCV患者を無作為に1対2対3の割合で、ABCの3つのコホートに割り付けた。また、IL28B遺伝子型タイプ別(CC対非CC)、HCV RNA別(<800000 IU/mL対≧800000 IU/mL)での階層化も行った。 コホートAはソホスブビル400mgとペグインターフェロン+リバビリンの12週間投与、コホートBは同24週間投与を、コホートCは同12週間投与後ソホスブビル単独12週間投与もしくはソホスブビル+リバビリン12週間投与を受けた。 コホートBには遺伝子型1以外を有する患者も登録した。 主要有効性エンドポイントは、intention-to-treat解析にて評価した24週時点の持続的ウイルス学的著効(SVR24)の達成とした。3コホートのSVR24達成患者の割合に有意差なし HCV遺伝子1型の患者は316例が登録された(Aコホート52例、Bコホート109例、Cコホート155例)。またBコホートには、遺伝子型4の患者11例、同6の患者5例の患者が割り付けられた(遺伝子型5の患者は非検出)。 HCV遺伝子1型の患者において、SVR24の達成は、Aコホート46例(89%、95%信頼区間:77~96)、Bコホート97例(89%、同:82~94)、Cコホート135例(87%、同:81~92)であった。3群間のSVR24達成患者の割合に有意差は認められなかった(AコホートとBコホートの比較p=0.94、同Cコホートp=0.78)。 遺伝子型4の患者11例のうち9例(82%)および遺伝子型6の5例全員が、SVR24を達成した。 割り付けられた治療終了後の再発は7例(全例が遺伝子型1)だった。 試験中止となった最も頻度の高かった有害事象は、貧血と好中球減少症であり、ペグインターフェロン+リバビリン治療と関連していた。試験中止となったのは、Aコホート3例(6%)、Bコホート18例(14%)、Cコホート3例(2%)であった。 以上の結果を踏まえて著者は、「ソホスブビルの忍容性は良好であることが示された。また、12週以上治療を延長することのベネフィットは認められなかったが、これらの所見については第3相試験で実証する必要がある」と述べた上で、「本試験の結果は、ソホスブビルレジメン12週間治療について、肝硬変のある患者を含むなどより広範な遺伝子型1の慢性HCV患者においてさらなる評価を行うことを支持するものである」とまとめている。

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抗精神病薬によるプロラクチン濃度上昇と関連する鉄欠乏状態

 小児および思春期患者への使用が増加している非定型抗精神病薬は、脳内ドーパミンを修飾する。ドーパミン作動性シグナル伝達において、鉄は重要な役割を果たしている。米国・アイオワ大学のChadi Albert Calarge氏らは、体内の鉄含量が精神症状の重症度、治療反応性、引き続き行われる抗精神病薬療法の忍容性と関連するか否かについて検討を行った。その結果、対象の45%が鉄枯渇、14%が鉄欠乏状態にあること、また鉄欠乏症を認める患者では血清プロラクチン濃度の上昇が強まることを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2013年3月12日号の掲載報告。 対象は、2005年11月~2009年8月に、リスペリドンの長期安全性を検討する横断研究に登録された内科的には健康な7~17歳のリスペリドン投与中の患者であった。身体所見により精神症状の重症度および食事摂取量を評価し、また、血清中のフェリチン、トランスフェリン受容体、およびプロラクチン濃度を測定した。多変量線形回帰分析により体内鉄含量と症状の重症度、リスペリドンおよび精神刺激薬の用量、血清プロラクチン濃度との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・115例(男性87%、平均年齢11.6±2.8歳)を対象とした。・大半が外在化障害を有しており、リスペリドン服用歴は2.4±1.7年であった。・体内鉄含量は低く、45%が鉄枯渇、14%が鉄欠乏症であった。・体内鉄含量とリスペリドン治療中の体重増加、インターロイキン-6濃度との間に負の関係がみられた。・体内鉄含量と精神症状の重症度、リスペリドンおよび精神刺激薬の1日投与量との間に関連は認められなかった。・一方、体内鉄含量とプロラクチン濃度との間には負の関係が認められ、鉄欠乏症のグループではプロラクチン濃度が約50%高かった。・慢性的にリスペリドンによる治療を受けている小児や思春期患者では、鉄枯渇および鉄欠乏症がしばしばみられ、鉄欠乏状態に伴って、抗精神病薬に起因するプロラクチン濃度の上昇が強まることが示された。・さらなる研究により本知見を確認するとともに、抗精神病薬治療中の患者における鉄補給の潜在的ベネフィットを検討すべきである。関連医療ニュース ・抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響 ・小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は? ・第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は

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100歳以上を理由に、股関節骨折手術の対象から除外すべきではない

 大腿骨近位部は骨粗鬆症により骨折しやすい部位である。米国では100歳以上の超高齢者における股関節骨折が増加しているが、こうした症例の機能的予後と死亡率に関する報告は少ない。米国・トーマス ジェファーソン大学病院のT. David Tarity氏らは、レトロスペクティブな調査を行い、100歳以上で手術した高齢者の死亡率は容認できるものであり、年齢を理由に股関節骨折手術の対象から除外すべきではないとの考えを示した。Orthopedics誌2013年3月1日号の掲載報告。 本研究の目的は、100歳以上の股関節骨折患者の死亡率を評価し、手術介入が安全で適切であるかどうかを検討することであった。 2003年~2010年に股関節骨折の治療を受けた100歳以上の高齢者23例(女性22例、男性1例)について調査した。死亡日の確認は、患者のカルテや社会保障死亡指数を使用した。  主な結果は以下のとおり。・23例中21例は手術治療を、2例は保存的治療を受けていた。 ・Charlson併存疾患指数平均値は2(範囲0~5)であった。 ・股関節骨折時の平均年齢は101.9歳、死亡時の平均年齢は102.8歳であった。・手術治療群において、累積入院日数が30日未満、30日~、90日~、6ヵ月~、12ヵ月~、2年~、3年~および6年~である患者の死亡率はそれぞれ15%、20%、30%、45%、60%、70%、90%、95%であった。 ・保存的治療群は2例全例が90日以内に死亡した。 ・手術治療群のうち1例は、術後6年が経過してもなお生存している。・術後合併症は9例(43%)にみられた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる・「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケースレポート

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off-pump CABGの長期アウトカム、on-pump CABGと有意差なし/NEJM

 off-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、on-pumpCABGと比べて、1年後の臨床アウトカムについて有意差はないことが示された。冠動脈血行再建の再施行率についても、両群で有意差は示されなかった。カナダ・マックマスター大学のAndre Lamy氏らが、約4,800例について行った無作為化比較試験「CORONARY」の結果、報告したもので、NEJM誌2013年3月11日号で発表した。CORONARYの結果についてはすでに、30日後の臨床アウトカムについて両群で有意差がないことは発表されていた。19ヵ国、79ヵ所の医療機関で約4,800例を無作為化 研究グループは、2006~2011年にかけて、19ヵ国、79ヵ所の医療機関を通じて、冠動脈疾患患者でCABGが予定されていた4,752例について試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはoff-pump CABGを、もう一方の群にはon-pump CABGを行うよう割り付けた。 主要複合エンドポイントは、死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・透析を要する新たな非致死的腎不全の発生率で、無作為化後30日時点、1年後に評価した。また、生活の質(QOL)と認知機能について、退院時、30日時点、1年後に評価した。1年後の臨床エンドポイント発生率、認知機能、生活の質はいずれも有意差なし結果、1年後の主要複合エンドポイント発生率について両群で有意差はなく、off-pump群が12.1%で、on-pump群が13.3%だった(off-pump群のon-pump群に対するハザード比:0.91、95%信頼区間:0.77~1.07、p=0.24)。 31日から1年後までの主要複合エンドポイント発生率についても、両群で同等だった(同ハザード比:0.79、同:0.55~1.13、p=0.19)。 また、冠動脈血行再建の再施行率についてもoff-pump群1.4%に対し、on-pump群0.8%であり、両群で有意差はなかった(同ハザード比:1.66、同:0.95~2.89、p=0.07)。 1年後の認知機能、生活の質についても、両群で有意差はなかった。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(73)〕 高齢者のOPCAB:手術成績の改善は見られず、再血行再建率が高い

ドイツで実施された、75歳以上の高齢者を対象としたoff-pump CABG(OPCAB)とon-pump CABGの多施設前向き比較臨床試験報告である。 術後30日の死亡率(2.6% vs 2.8%)、および死亡・脳合併症・心筋梗塞・再血行再建・新規血液透析の5つのCompositeエンドポイント(7.8% vs 8.2%)は両群で差はなかったが、再血行再建率(1.3% vs 0.4%、p=0.04)はOPCABで高かった。術後12ヵ月の成績については、両群間に差はなかった。 これまで日本では、OPCABがon-pump CABGより成績良好とされてきた。しかし、2011年の日本冠動脈外科学会アンケート調査結果では、手術死亡率はOPCAB(2.11%)、心停止on-pump(1.05%)、心拍動on-pump(3.95%)であり、OPCABの成績が2010年(0.53%)と比較して極端に悪化したことが報告され、日本でもOPCAB熱に一定の歯止めがかかった。 Oliver Kuss氏ら(Kuss O et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2011; 142: e117-e122.)も86のRCTのメタ解析により、低左室駆出率症例でOPCABは優れているとしたが、年齢では差はなかった。また、最近のRCTでOPCABのグラフト開存率不良とする報告(Shroyer AL et al. N Engl J Med. 2009; 361: 1827-1837、Hattler B et al. Circulation. 2012; 125: 2827-2835.)も散見され、本報告と一致する。 本報告の「高齢者でも臨床成績には差はなく、逆にoff-pump症例で再血行再建率が高い」という結果は妥当なものと考えられる。

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大人の重症アトピー性皮膚炎、臨床経過は多様であり層別化が必要

 ドイツ・ボン大学のD. Garmhausen氏らは、青年期および成人期のアトピー性皮膚炎の自然経過を調べ、分類化および重症化するリスク因子の同定を行った。アトピー性皮膚炎は、大半が乳幼児期に発症し小児のうちに寛解に至る。しかし重症例では慢性化して成人に至るケースや、成人期に重症のアトピー性皮膚炎を発症し、重症化が起きるケースもある。これまで、大人のアトピー性皮膚炎の自然経過についてはあまり研究されていなかった。Allergy誌オンライン版2013年3月1日号の掲載報告。 本研究では、アトピー性皮膚炎を経過別に分類し、それらと重症化の特異的リスク因子とを関連づけることを目的とした。 青年期および成人期のアトピー性皮膚炎を有する725例について、詳細な臨床所見と病歴の後ろ向き評価を行った。評価したラボデータには、総・特異的IgE値などが含まれていた。 主な結果は以下のとおり。・研究対象患者725例のうち、607例が、経過タイプ別に分類可能であった。・経過タイプは全部で31コースが記録された。・607例のうち85.7%は、31コースのうちの主要な5コースタイプに分類可能であった。・アトピー性皮膚炎発症が早期で成人期まで慢性症状が持続したタイプの患者と、発症が20歳代以降と遅かったタイプの患者では、感作物質の数、血清総IgE値、皮膚病変の偏向における格差が最も大きかった。・著者は、「本検討から、アトピー性皮膚炎の自然経過は、臨床像によってサブグループに分類可能であることが示された」と結論した。・また、「青年期および成人期のアトピー性皮膚炎は多様であるとの仮説が支持されるとともに、アトピー性皮膚炎患者をさらに入念な層別化の必要性があることが強調された」とまとめている。

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調査:統合失調症患者における抗精神病薬の服薬状況

 統合失調症患者において、アドヒアランスは患者の予後を決定する重要な要因のひとつである。スペイン領カナリア諸島保健サービスのFrancisco J. Acosta氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬の服薬状況を調査した。その結果、1日の服薬回数や指示された服薬時間が遵守されていないなど、服薬アドヒアランスが不良である実態を報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年3月7日号の掲載報告。 本研究では、統合失調症の外来患者74例を対象に、治療薬の投与プロファイルに関する正確な情報を提供するMedication Event Monitoring System(MEMS®)を用いた3ヵ月間モニタリング調査を行った。抗精神病薬の投与プロファイル、治療スケジュールの影響、MEMS®使用によるホーソン効果を評価した。なお、治療スケジュールの影響については、関連する因子、治療に対するアドヒアランス(指示された時間枠内での服薬)を検討した。主な結果は以下のとおり。・モニタリング日数の18.7%に非服薬日が認められ、そのほぼすべてが週末であった。 ・処方された用量の約3分の1が、指示された時間外に服薬されていた。・抗精神病薬の服薬に当たり、1日の服薬回数、指示された服薬時間(朝食、夕食)のいずれも遵守されていなかった。・過量服薬は概してまれであった。・指示された時間枠外での服薬がしばしばみられた。・MEMS®使用によるホーソン効果はみられなかった。・アドヒアランスを“指示された時間枠内での服薬”を含めて定義した場合、服薬遵守率はわずか35%であった。・以上より、統合失調症患者における抗精神病薬の服薬はかなり不規則であることがわかった。非服薬日を減らし、指示された時間枠内での服薬を増やす戦略が必要だと思われた。経口抗精神病薬の正確な投与プロファイル、あるいは治療スケジュールの影響を把握することは、アドヒアランス向上に向けた戦略の考案に有用と思われた。関連医療ニュース ・アリピプラゾールで患者満足度向上?! ・長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与 ・持効性注射剤のメリットは?アドヒアランスだけではなかった

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(72)〕 腹部大動脈瘤の瘤径に応じた適切なサーベイランス間隔は?

この論文は腹部大動脈瘤のサーベイランス18論文を、1万5,471例の患者データを、瘤径はランダム効果モデル、破裂率は比例ハザード回帰を用いて統合解析したものである。 結果は、男性で瘤径3.0㎝では平均1.28㎜/年、5.0cmでは平均3.61mm /年拡大する。女性は4倍破裂率が高く、喫煙者と非糖尿病患者の拡大速度が大きいという文献より、解剖学的構造、性ホルモン、喫煙歴が関与した結果と推察される。男性4.5㎝の破裂率は女性5.5㎝と同等であり、女性の4.5~5.5㎝の自然経過を調べる必要がある。男性で破裂率を1%以下にするには3.0~3.9㎝で36ヵ月毎、4.0~4.4㎝では24ヵ月毎、4.5~5.4㎝では12ヵ月毎の超音波検査で十分であるという結論である。 各国のサーベイランス間隔は、英国が最短で3.0~3.4㎝は12ヵ月毎、4.5~5.4㎝で3ヵ月毎、米国が最長で3.0~3.4㎝は36ヵ月毎、3.5~4.4㎝は12ヵ月毎、4.5~5.4㎝は6ヵ月毎であり、米国より間隔が長くても良いということになる。日本では、最大横径>5cm、拡張速度5mm/6ヵ月、腹痛背部痛の症状、感染性動脈瘤に対して手術を行うことが多い(2011年大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドラインではエビデンスレベルC)。体格を考慮して欧米より0.5cm径が小さい5cmで手術としているがエビデンスはなく、サーベイランス間隔も前出の英国に類似して頻回であるのが現状である。 この研究の強みは、大規模データを1つの解析にまとめた点であるが、解釈上の問題点は破裂がすべて捉えられているか不明な点、また費用と心配によるQOL低下の評価が抜けている点である。今後、性別やリスクに応じた個別サーベイランス間隔の解明が待たれる。

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抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害

 難治性てんかんで抗てんかん薬を長期服用する患者における、骨粗鬆症など骨ミネラル障害の有病率が報告された。オランダ・マーストリヒト大学医療センターのK. Beerhorst氏らが同患者を対象に行った断面調査の結果、80%が低骨塩量(BMD)症状を有していたという。またそのうち半数超が50歳未満であった。著者は「本研究は、慢性てんかん患者における骨ミネラル障害の問題が大きいことを実証している」と結論している。Acta Neurologica Scandinavica誌オンライン版2013年3月6日号の掲載報告。 抗てんかん薬の長期服用と、低BMD、骨折、骨代謝異常との関連は知られているが、研究グループは、同薬を服用する難治性てんかん患者における骨ミネラル障害の有病率を明らかにすることを目的に断面調査を行った。被験者は、重度てんかん医療センターの1病棟から集めた成人患者205例であった。骨ミネラル障害は、脊椎と大腿骨部の二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)スキャンによるスクリーニング(骨塩量と脊椎骨折の評価など)とラボ検査により解析した。被験者の人口統計学的情報やてんかん症状および医療情報などを記録し、DXA-Tスコアに基づき、骨ミネラル障害(骨減少症、骨粗鬆症)の割合を算出した。DXA-Tスコアと、てんかん尺度との相関性についても調べた。 主な結果は以下のとおり。・被験者205例のうち10例が途中脱落し、195例について解析した。・被験者のうち80%(156/195例)に低BMDが認められた。骨減少症を有していたのは48.2%、骨粗鬆症は31.8%に認められた。・低BMD患者のうち、51.9%(81/195例)は18~50歳であった。・大腿骨頚部のTスコアは、てんかん発作の総期間、薬物負荷の累積、骨折の病歴と有意な関連性がみられた。・線形回帰分析の結果、薬物負荷の累積だけが大腿骨頸部Tスコアの低値を有意に予測した(p=0.001)。関連医療ニュース ・てんかん患者の50%以上が不眠症を合併! ・統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当? ・「頻発する腰痛」と「頭痛」の関係

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2012年度10大ニュース~心房細動編~ 第1位

解説者のブログのご紹介『心房細動な日々』国内海外国内1位 多学会、多科、多職種にまたがる連携がますます必要にこれまで見てきたように、とくに抗凝固療法においては、循環器系の学会だけでなく、神経内科、血液内科、消化器内科、歯科など多科にわたる連携の動きが見られるようになっています。前述の消化器内視鏡診療ガイドラインの策定メンバーもそうですが、たとえば日本循環器学会、日本脳卒中学会、日本血栓止血学会などでは、それぞれの分野のエキスパートが出席してのシンポジウムが増えています。心房細動患者の増加とともに、プライマリ・ケア医の抗凝固療法に占める役割はますます大きくなり、プライマリ・ケア医と専門医との連携もさらに重要さを増していくでしょう。血栓と出血というリスクのバランスをどう考え、どう対処するか。この問題は単に医師間で調整する問題ではなく、もちろん患者さんと医師、医療者との間でどう合意形成をするかの問題です。そこに看護師、薬剤師も含めた多職種で関わって行くことが、今後ますます必要になってくると思われます。海外1位 ESCガイドラインの改定~抗凝固薬の敷居を明確に規定1位は何といっても、昨年(2012年)8月に欧州心臓病学会(ESC)の心房細動マネジメントガイドライン1)がアップデートされたことです。このガイドラインの最大の特徴は、抗凝固療法の敷居が低く設定されたということです。従来頻用されていたCHADS2スコアは姿を消し、CHA2DS2-VAScスコア1点以上の患者のほとんどに抗凝固薬が推され、しかもより新規抗凝固薬に推奨度の重みが付けられたものとなっています。一方で同スコア0点(女性のみが該当する例も含む)には抗凝固療法は推奨されないことも明確に述べられています。もうひとつ同ガイドラインの特徴は、今回も「65歳以上の患者における時々の脈拍触診と、脈不整の場合それに続く心電図記録は、初回脳卒中に先立って心房細動を同定するので重要」と改めて強調するなど、プライマリ・ケア医の視点に立ったものであるということです。新規抗凝固薬を推し過ぎの感もありますが、今後の抗凝固療法の方向性を明確に示した、必読のガイドラインと思われます。 また米国胸部専門医学会(American College of Chest Physicians ;ACCP)の抗血栓療法ガイドラインやカナダの心血管協会(CCS)のガイドラインも改訂されていますが、いずれも抗凝固薬の適応を拡大する内容になっています。 来年度はいよいよ日本のガイドライン改訂が待たれるところです。1)Camm AJ, et al. Europace. 2012; 14: 1385-1413.

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閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療、プライマリ・ケアでも提供可能/JAMA

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療について、プライマリ・ケアでの提供が、睡眠専門医療施設での提供に匹敵することが、オーストラリア・フリンダース大学のChing Li Chai-Coetzer氏らによる無作為化非劣性試験の結果、示された。睡眠障害への気づきと受診を促す啓発活動や肥満者の増大でOSA治療のために専門施設を受診する患者が増え、戦略的な外来治療への関心が高まってきている。プライマリ・ケア受診患者の約3分の1にOSAの疑いがあるとの報告もあり、Chai-Coetzer氏らは、適切な訓練と簡便なマネジメントツールで、プライマリ・ケアでのOSA治療が提供可能か本検討を行った。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告より。同一の介入について6ヵ月時点の睡眠障害改善を専門施設と比較 先行研究では、専門施設でのOSAの外来治療について、受診治療と自宅でのモニタリングおよび自動持続的気道陽圧法(CPAP)による治療との比較は行われている。しかしそうした外来アプローチについて、プライマリ・ケアでの提供の可能性については不明であった。 Chai-Coetzer氏らは本検討で、簡易診断・ケアモデルの効果とコストについて、プライマリ・ケアと、専門医がいる睡眠医療センターとを比較することを目的とした。コストについては本試験限定とした。 対象は、2008年9月~2010年6月の間、南オーストラリア州の州都アデレードと同州3つの地方都市のプライマリ・ケア施設(16のプライマリ・ケアクリニックと5つの地域看護師クリニック)で治療を受けたOSA患者81例と、アデレードの大学病院で治療を受けたOSA患者74例の合計155例であった。両群ともに、CPAP、OSA治療用マウススプリント(mandibular advancement splints)、保存療法のみの計画で介入を受けた。 主要アウトカムは、Epworth Sleepiness Scale(ESS)スコア[範囲:0(日中に眠気がない)~24(日中の眠気が高レベル)]の6ヵ月間の変化とした(非劣性マージン-2.0)。副次アウトカムは疾患特異的・一般的QOL、OSA症状、CPAP使用のアドヒアランス、患者満足度、医療コストなどだった。ESSスコアの平均変化値に有意差なし 結果、6ヵ月時点のESSスコアは両群とも大きく改善していた。プライマリ・ケア群は、平均スコアがベースラインの12.8から7.0に減少し(p<0.001)、専門医群は同12.5から7.0へ減少した(p<0.001)。ESSスコアの補正後の平均変化値は、プライマリ・ケア群は5.8であり、専門医群の同値5.4に対して非劣性であることが示された(補正後格差:-0.13、95%信頼区間下限値:-1.5、p=0.43)。 副次アウトカムについても両群間で有意な差はなかった。 ただし、試験途中での脱落が、プライマリ・ケア群で17例(21%)、専門医群で6例(8%)みられた。

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ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性

 ベンゾジアゼピン系薬物の認知障害は、同薬の作用によるα1GABAA受容体の活性が関与している可能性が示唆された。米国・ハーバードメディカルスクールのLeah Makaron氏らが、アカゲザルによる作業実験研究を行い明らかにした。Pharmacology Biochemistry and Behavior誌2013年3月号の掲載報告。 ベンゾジアゼピン系薬物(BZ)が実行機能の認知領域でパフォーマンスを変える作用について、α1とα5のサブユニットを含むGABA受容体(α1GABAとα5GABA受容体)の役割について評価した。まず、5匹のメスの成体アカゲザル(9~17歳)に、迂回作業を伴う対象想起(object retrieval with detours:ORD)作業の訓練を行った。ORD作業は、サルが透明の箱から食べ物を取り出すために、1回扉を開閉しなければならないというものだった(扉の開閉で箱が回転して食べ物が置かれる)。検討された薬物は、非選択的BZのトリアゾラム、α1GABA選択的アゴニストのゾルピデムとザレプロンであった。 主な結果は以下のとおり。 ・いずれの薬物投与においても、ORD作業の実行に障害が起きた。食べ物を手に入れようとする作業開始に遅延は生じなかったが、食べ物が獲得できなかった割合が増大した。・トリアゾラムとゾルピデムのORDへの影響は、α1GABA選択的拮抗薬βCCTによって阻害された。・トリアゾラムのORDへの影響は、α5GABA選択的拮抗薬XLi-093によっても阻害された。しかしゾルピデムのORDへの影響は同薬では阻害されなかった。・これらの知見は、α1GABAとα5GABA受容体メカニズムの役割を示唆する。すなわち、α1GABA受容体メカニズムが、BZ系薬物が引き起こす実行機能障害に関与している十分な可能性がある。関連医療ニュース ・統合失調症に対するベンゾジアゼピン、最新レビュー知見 ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響

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非緊急PCI、心臓外科部門のない施設でもアウトカムは非劣性/NEJM

 非緊急の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)について、心臓外科部門のない病院(非専門施設)での実施のアウトカムが、同部門がある病院に劣らないことが、米国・ボストン大学医学部のAlice K. Jacobs氏らによる多施設共同の前向き無作為化非劣性試験「MASS COMM」の結果、明らかにされた。PCI後に緊急手術を要する事象の発生はまれになったが、最良のアウトカムを得るためには、PCI実施は専門施設を基本とするべきかについては不明であった。MASS COMMは、政策へのエビデンス提供を目的に州公衆衛生局と共同で2006年に企画された研究であった。NEJM誌オンライン版2013年3月11日号掲載の報告。主要重大心イベントの発生について安全性(30日時点)と有効性(12ヵ月時点)を評価 本試験には10件の非専門施設と7件の専門施設が参加して行われた。2006年7月~2011年9月の間に、非専門施設で非緊急PCIが適応とされた患者を登録し、無作為に3対1の割合で専門施設または提携病院に割り付けた。 主要エンドポイントは、主要重大心イベント(死亡・心筋梗塞・再血行再建・脳卒中の複合)の発生について、安全性エンドポイントは30日時点で、有効性エンドポイントは12ヵ月時点の評価とした。主要エンドポイントはintention-to-treat解析にて行い、非劣性マージンは安全性エンドポイントについては1.5、有効性エンドポイントについては1.3とした。主要エンドポイントは安全性、有効性とも非劣性マージンを下回る 3,691例が無作為化を受け、非専門施設PCI群に2,774例、専門施設PCI群に917例が割り付けられた。 結果、安全性エンドポイントとした30日時点の評価では、主要重大心イベントの発生は、非専門施設群9.5%、専門施設群9.4%で、非専門施設の非劣性が認められた[相対リスク(RR):1.00、95%信頼区間上限値:1.22、非劣性p<0.001]。 有効性エンドポイントとした12ヵ月時点の評価でも、各群17.3%、17.8%で、非専門施設の非劣性が認められた(同:0.98、1.13、p<0.001)。 主要エンドポイントの各イベントを個別でみても、30日時点、12ヵ月時点で両群間に有意な差はみられなかった。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(71)〕 神経刺激療法は、早期パーキンソン病患者の治療選択肢として有用

パーキンソン病に対する神経刺激療法(視床下核刺激療法)は、わが国では脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation: DBS)と呼ばれ、すでに健康保険が適用されている定位的脳手術療法の一つである。その適応は、Levodopaなどのパーキンソン病の薬に対して「オフ」期間(薬の効果が十分になく、症状が続いている) に悩まされている場合や、ジスキネジア(不随意過剰運動)がある場合など、病状が比較的進行したパーキンソン病患者(Hoehn-Yahr重症度分類Stage3以上)に有効とされている。一方で、DBSはパーキンソン病と診断されて間もない患者やパーキンソン病の薬で症状がうまくコントロールされている患者には不向きとされてきた。 しかし、今回ヨーロッパから報告されたEARLYSTIM試験(多施設共同無作為化試験)において、罹病期間4年以上、Hoehn-Yahr重症度分類Stage 1~3で薬物療法を受け、早期の運動障害がみられる251症例を神経刺激療法群と内科的治療単独群に割り付け、そのQOLを比較したところ、神経刺激療法が早期のパーキンソン病にも有用との仮説が証明される結果となった。著者らの指摘のとおり、神経刺激療法は、現行の勧告よりも早期のパーキンソン病患者の治療選択肢となる可能性がある。

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