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青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?

 青年期の統合失調症に対するアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)の症状改善は、服用開始後早期にみられ、寛解を予測する時期は服用開始3週時点が最も適切であることが、米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U. Correll氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の事後解析の結果、明らかにされた。Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry誌2013年7月号(オンライン版2013年6月5日号)の掲載報告。 成人の慢性統合失調症において、症状改善の大半は抗精神病薬服用後2、3週に認められ、2週時点で無反応の場合は、その後の無反応が予測される。研究グループは、そのようなデータ(抗精神病薬に対する反応の軌跡と、早期の抗精神病薬効果から最終的なアウトカムが予測されることについて)が、いまだ得られていない青年期の統合失調症について調べることを目的に、6週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の事後解析を行った。被験者は、13~17歳の統合失調症患者(アリピプラゾール群196例、プラセボ群98例)であった。アリピプラゾール治療により重大症状の改善が服用開始直後の2、3週間で認められるのか、および早期反応(ER:PANSS総スコア改善≧20%)vs.早期無反応(ENR:同改善<20%)の臨床アウトカムの予測について評価した。評価は、服用開始2週時点(ER2/ENR2)と3週時点(ER3/ENR3)について行い、また最終的な反応はPANSS総スコア改善≧40%とした。 主な結果は以下のとおり。・2週時点までに50%近いPANSS総スコア改善の達成が認められた。3週時点までには最大75%のPANSS総スコア改善達成が認められた。・ER2/ER3群は、ENR群よりも、PANSS総スコア、PANSSの陽性・陰性サブスケールスコア、至適な機能的アウトカムの改善が有意に大きかった。・概してER3のほうがER2よりも、アウトカム予測についての感度、特異度、陽性・陰性適中率が良好であった。・6週時点の寛解達成は、ER2群はENR2群よりも8.8倍(95%CI:4.0~19.4)、ER3群はENR3群よりも8.6倍(同:4.5~16.6)有意に多かった(p<0.0001)。有害事象の発生は同程度であった。・以上のように、成人の慢性統合失調症と同様に、早期の青年期統合失調症においても、アリピプラゾール治療開始早期で大半の症状が改善された。また3週時点の改善が、臨床アウトカムを予測するのに最も適切であった。・これらの結果を踏まえて著者は、「試験を延長して実施する必要はあるが、今回の試験の結果は、臨床意思決定に活かしてよいであろう」と結論している。関連医療ニュース アリピプラゾールと気分安定薬の併用、双極性障害患者の体重増加はどの程度? 早期統合失調症、認知機能にGABA作動性抑制が関連 小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は?

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COPDとCOPD・喘息のオーバーラップはバイオマーカーで鑑別できるのか?

 気管支喘息を合併したCOPD(オーバーラップ症候群)ではCOPD単独の患者と比べて、誘発喀痰中の好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)が高いことが、広島大学・分子内科学の岩本 博志氏らにより報告された。The European respiratory journal誌オンライン版2013年6月21日号の掲載報告。 COPDと気管支喘息のオーバーラップ患者とCOPD単独あるいは気管支喘息単独患者との類似点や相違点を明らかにするため、4つのCOPDの潜在的バイオマーカー[肺サーファクタント蛋白質-A(SP-A)、soluble receptor for advanced glycation end-products(sRAGE)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)]を測定した。SP-AとsRAGEは肺細胞由来のマーカーであり、MPOとNGALは好中球由来の分子である(NGALは呼吸上皮細胞にも観察されうる)。 本研究の対象は非喫煙者(n=26)、喫煙者(n=23)、喘息患者(n=32)、COPD患者(n=39)、オーバーラップ患者(n=14)の134例であった。これらの患者の血清中のSP-AとsRAGE、喀痰中のMPOとNGALを酵素免疫測定法(EIA/ELISA)により測定した。 COPD患者とオーバーラップ患者では気管支喘息患者と比較して、喀痰中のMPOと血清SP-Aは有意に上昇していたが、血清sRAGEは減少していた。また、オーバーラップ患者とCOPD患者の比較において、オーバーラップ患者では喀痰中のNGALのみが上昇しており(p = 0.00016)、これにより両者を鑑別できる可能性があることがわかった。 喀痰中のNGAL上昇は、COPDと喘息のオーバーラップ患者に特有の特徴であり、これは好中球性気道炎症の亢進や気道上皮の傷害を示唆しているものと考えられる。

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【ご案内】レジデントメディカルラリーに挑戦しませんか? 目指せ『King of Residents』!

 今年10月13日(日)、第17回へき地離島救急医療学会主催で『レジデントメディカルラリー』が開催されます。当日の研修医の先生方の参加を募集いたします(受付期間:8月5日まで)。■メディカルラリーとは? 医師、看護師、救急救命士がチームを組み、模擬患者を時間内にどれだけ的確に治療できるか競う競技会です。今回のメディカルラリーは、全国初の研修医だけを対象としたメディカルラリーです。日々の研修で学んだ力を存分に発揮し、目の前の患者を救命する達成感を味わってください。 全国の研修病院から集まった初期研修医たちがライバルです。予選と決勝戦を勝ち抜き、『King of Residents』を目指してください。■レジデントメディカルラリーの内容(予定)<予選>メディカルラリー本選に先立ち、臨床研修において十分な経験が求められる知識や技能を試す予選競技会を行い、予選の結果をもとに本選出場チームを10チーム選抜します。1)メディカルラリー 基本シナリオ  実際の救急現場を想定した模擬診察による診断、治療の的確さを競います。2)救急知識クイズ  医学知識、特に救急関連の知識を競います。3)救急実技タイムレース  救急で必要とされる手技、実技の正確性、スピードを競います。<本選>メディカルラリー本選では、予選を勝ち抜いた10チームが、現実の場面を想定したシナリオと現場設定のもとで模擬患者に対して診療を行い、制限時間内にどれだけ的確な治療ができるかを競います。■募集要項対象:初期臨床研修中の医師(卒後1〜2年目)日程:10月12日(土)19時より、グランドサンピア八戸にて競技説明会(出席必須)・競技ルールの説明、懇親会を行います。・後期研修プレゼンテーションも受付けます。・競技者はグランドサンピア八戸に宿泊して頂きます。10月13日(日) 9時より競技開始!・午前中に予選を行い、成績順に10チームが選抜されます。・午後にかけて、予選を勝ち抜いた10チームが本選ラリーに挑戦!・15時より表彰式を行い、15時20分には解散とします。場所:八戸市立市民病院および周辺人数:臨床研修医3名1チームにて募集(最大40チーム)   参加チームは原則として同一施設の研修医のみとする。   複数施設の混成チームも参加可能だが、本選の表彰対象外とする(得点は発表する)。費用:1名18,000円募集受付期間:2013年7月5日~8月5日詳細・申し込みはこちらから>>> http://irakuza.carenet.com/medicalrally/※ケアネットは、本企画にサイト運営・撮影・編集・配信において支援しています。

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日焼け止めの効果はSPFよりも塗り方?

 モナコのLancaster-Coty社国際研究開発センターのMarc Pissavini氏らは、強い日差しの下で長時間過ごす人について、SPF(紫外線防御指数)15とSPF30の日焼け止め製品(サンスクリーン剤)を皮膚に塗布使用した場合の、サンバーン(sunburn)の頻度と程度を推定するためのシミュレーション研究を行った。その結果、サンバーンのリスクを最小限にしたいのであればSPF15よりもSPF30の製品の使用が薦められることを報告した。Photodermatology, Photoimmunology & Photomedicine誌2013年6月号の掲載報告。 本研究は、日焼け止めユーザーの皮膚表面における、日焼け止め効果の格差を推定するために開発されたシミュレーションモデルを用いて行われた。モデルは、製品の平均適用での塗布の厚さと皮膚表面全体の均一性について、日焼け止めユーザーのin vivo測定のSPFの確率分布を統合して創出した。 主な結果は以下のとおり。・SPF15とSPF30いずれの日焼け止めも、名目上のSPFが、日差しに曝される皮膚全体に行き届いていれば、あらゆる紅斑を十分防止可能であった。・しかし、シミュレーションの結果、統合平均量の皮膚表面全体への塗り方で厚さに差があり、とくにSPF15の日焼け止めユーザーで紅斑を招く可能性があることが示された。・以上を踏まえて著者は、「強い日差しの下で長時間を過ごす人は、SPF15よりもSPF30と表示された日焼け止めを使用することが推奨される」と結論した。・そのうえで、「サンバーンのリスクを最小限にしたいのなら、そして皮膚がんリスクも最小限にしたいと考えているのなら、日焼け止め製品を皮膚に慎重に塗布することが勧められる」とまとめている。

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ネットワーク・メタ解析も従来のメタ解析並みの評価が必要だろう(コメンテーター:折笠 秀樹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(111)より-

「メタ解析」はご存じの方も多いだろうと思うが、「ネットワーク・メタ解析」とはその中の特殊なタイプである。2002年に総説論文(Lumley T. Stat Med. 2002; 21: 2313-2324.)が出ているので、方法論に関心ある方は一読してみて欲しい。 従来のメタ解析では、治療法Aと治療法P(多くはプラセボ)を比較した論文を検索し、質を評価したうえで、AとPの比較結果を統計的に併合する。このとき、治療法Aと治療法Bを比較したいことがあるだろう。たとえば、降圧剤の中での薬剤間比較である。しかしながら、ガチンコ比較試験(head to head trials)はほとんど存在しない。他方、A対P、B対Pという比較試験はたくさんある。それらの比較試験結果から、AとBを間接的に比較する方法が「ネットワーク・メタ解析」と呼ばれている。 米国のオバマ大統領が2009年に法制化し進展する、有用性比較研究(CER; Comparative Effectiveness Research)において、ネットワーク・メタ解析は目玉の1つかもしれない。今までのエビデンスは、治療法AやBのプラセボに対する効果が主だったが、診療現場で必要なエビデンスとは治療法AとBの比較結果である。従来のメタ解析ではAとBの直接比較試験がなければ実施できなかったが、ネットワーク・メタ解析ではそれがなくても間接的に治療法AとBが比較できる。ソフトウエアも少しずつ整備されつつあり、年間およそ50件もネットワーク・メタ解析論文が発表されるようになった。 本研究はネットワーク・メタ解析論文121件をレビューした結果、方法論的に問題のある論文が多かったというメッセージを与えた。メタ解析論文のチェックリストであるPRISMA声明、あるいはAMSTAR声明に照らし合わせた結果、該当論文の検索過程に不備のある論文が26%、出版バイアスなどバイアス評価に不備のある論文が50%もあり、総じて何らかの重大な不備の見られる論文が72%もあったというショッキングな調査結果であった。こうした傾向は、雑誌の種類や財源に依らないことから、ネットワーク・メタ解析論文では、PRISMA声明に沿っているかどうかの査読が浸透していないのではないかと想像される。 今後は、ネットワーク・メタ解析においても、従来のメタ解析と同様のチェックがなされることを希望するとともに、読者もメタ解析論文はどういった点に注意して読むべきかを熟知すべきと思われる。その意味でPRISMA声明(Liberati A, et al. Ann Intern Med 2009; 151:W65-74.)をぜひ一読されたい。

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統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学

 前頭前野は、ワーキングメモリのような基本的な認知機能に関連する。一方で吻側野は、認知機能と現実社会の活動性とを統合する機能を有する。東京大学の小池 進介氏らは、統合失調症患者における、ワーキングメモリタスク中の血流変化を測定し検討した。その結果、統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が示唆された。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。 東京大学の小池 進介氏らは、統合失調症患者と健常対照者について、ワーキングメモリタスク中の血流変化を測定し比較検討した。その結果、両群では対照的な変化がみられ、健常対照者では腹外側前頭前野(VLPFC)の両側性に有意な血流増大がみられたが、統合失調症患者では認められなかった。また、健常対照者では背外側前頭前野(DLPFC)や前頭極皮質(FpC)の血流は有意に低下するが、統合失調症患者の同分野では広範囲に血流増大が認められたことを報告した。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。 DLPFCやVLPFCを含む前頭前野は、ワーキングメモリのような基本的な認知機能に関連する。一方でFpCのような吻側野は、認知機能と現実社会の活動性とを統合する機能を有する。機能的MRIによる先行研究において、認知負荷の変化に対するDLPFC活性パターンが、統合失調症患者と健常対照者では、異なることが示されていた。しかし、前頭前野と吻側野との関連について、非限定的条件下における評価はなされていなかったという。 研究グループは、統合失調症患者と健常対象者について、異なる認知負荷を与えるNバック課題ワーキングメモリタスク中の血流変化を、多チャンネル近赤外線分光法(NIRS)を用いて測定し、両群の脳内活性について評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、統合失調症患者26例、健常対照者(年齢、性、プレ発症知能で適合)26例であった。・健常対照者は、両側性VLPFCでは有意なタスク関連の血流増大を示し、DLPFCでは有意なタスク関連の血流低下が示された。認知負荷のタスクがより大きくなるほど、より強いシグナル変化が認められた。・対照的に統合失調症患者は、両側性DLPFCとFpCを含む広範囲の吻側野において血流増大が認められた。しかし、認知負荷増大に関連した血流の低下および増大は、いずれもみられなかった。・今回の多チャンネルNIRS研究の結果、統合失調症患者では認知負荷と関連した血流増大はみられなかったことが示された。すなわち統合失調症では、前頭葉の血流低下による認知障害が示唆された。・また、統合失調症患者では、両側性DLPFCとFpCというより広範な前頭前野における血流増大が認められた。それは前頭葉の血流増大を補完的に図る反応であることが示唆された。関連医療ニュース 早期統合失調症、認知機能にGABA作動性抑制が関連 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は? アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定

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ネットワークメタ解析は最良治療決定の根拠となるのか?/BMJ

 これまでに発表されたネットワークメタ解析論文の多くでは、系統的レビューに必須とされる方法論関連事項の記述に不足があり、最良の治療法の決定の論拠とするには疑問があることが、フランス・国立保健医学研究所(INSERM)のAida Bafeta氏らの検討で示された。この数年で医療介入の比較研究へのネットワークメタ解析(multiple treatmentsメタ解析、mixed treatment comparisonメタ解析とも呼ばれる)の導入が進んでいる。このメタ解析法では、系統的レビューを行う際の方法論に関する規定を遵守すべきとされるが、解析の方法が複雑なことから、同等の方法論関連リスクを負う標準的なpairwise法による系統的レビューに比べ、これらのリスクの影響をより受けやすい可能性があるという。BMJ誌オンライン版2013年7月1日号掲載の報告。ネットワークメタ解析における系統的レビューの方法論を系統的にレビュー 研究グループは、ネットワークメタ解析における系統的レビューの実施および報告の方法に関する推奨事項の遵守状況を評価するために系統的なレビューを行った。 Cochrane Database of Systematic Reviewsを含む主要な医学文献データベースを検索し、2012年7月12日までに発表された、3つ以上の介入の臨床効果を無作為化対照試験で比較したネットワークメタ解析の論文を選出した。間接比較を含む調整済みのメタ解析は除外した。 系統的レビューにおける一般的特性および主たる方法論関連事項の記載状況を評価し、報告の方法が適切と判定された場合にはその実施方法の質についても検討を行った。 一般的特性には掲載誌名、発表年、著者の国籍、専門領域、資金源、介入のタイプなどが含まれ、方法論関連事項としては「はじめに(introduction)」「方法(methods)」に関する8項目、「結果(results)」に関する4項目、「考察(discussion)」に関する3項目の記述の有無を調査した。高IFの学術誌掲載のネットワークメタ解析論文も例外でない 広範な専門領域を網羅した121編のネットワークメタ解析論文が解析の対象となった。 掲載誌は75誌で、55編(45%)が非専門誌に、66編(55%)は専門誌に掲載された。インパクト・ファクターの高い学術誌に掲載されたのは56編(46%)で、薬物療法による介入を評価した論文は100編(83%)であった。1論文当たりの介入数の中央値は7、対象とされた無作為化対照試験数の中央値は22だった。 88編(73%)のネットワークメタ解析論文が、個々のデータベースの検索方法を記載しておらず、36編(30%)では主要評価項目が明確でなかった。全体として、61編(50%)が個々の試験のバイアスのリスク評価にまったく触れておらず、103編(85%)には出版バイアスの評価法に関する記述がなかった。 87編(72%)が、報告または実施の方法が不適切と判定され(文献検索の報告がない、単一のデータベースを検索しただけで他の情報源に当たっていない、個々の試験のバイアスのリスク評価の記述がない、のいずれかに該当)、この評価には掲載誌のタイプ(非専門誌、専門誌)や資金源(公的、民間)の違いで差はなかった。 Cochrane intervention reviews(version 5.1.0)の方法論に関する評価項目に基づく検討では、実に120編(99%)のネットワークメタ解析論文が報告または実施の方法が不適切とされ、掲載誌タイプ、資金源による差は認めなかった。 著者は、「ネットワークメタ解析の多くは、系統的レビューに必須の方法論関連事項の記述に不足があり、インパクト・ファクターが高い学術誌に掲載された論文も例外ではない」と結論し、「文献の検索が網羅的でなく、バイアスの評価が行われていないネットワークメタ解析論文の結論の信頼性には疑問がある。解析の実施や報告の方法の質の改善を目的とするガイドラインの策定が必要」と指摘している。

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BNPスクリーニング+共同ケア、左室機能障害を予防/JAMA

 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)によるスクリーニングプログラムに、プライマリ・ケア医と心血管専門医による共同ケアを組み合わせるアプローチが、高リスク集団における左室機能障害や心不全の予防に有用なことが、アイルランド・セントビンセント医療グループ/セントマイケル病院のMark Ledwidge氏らが行ったSTOP-HF試験で示された。リスク因子への介入を中心とする現在の心不全予防戦略は、期待されたほど効果的ではないとの指摘があるという。一方、初発心不全リスクが最も高い集団の同定には、リスク因子とBNP検査を組み合わせて対象をさらに限定するサーベイランス(targeted surveillance)がより効果的である可能性が示唆されている。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。高リスク集団における予防効果を無作為化試験で評価 STOP-HF試験は、左室機能障害および心不全の予防における、BNPスクリーニングプログラム+プライマリ・ケア医と専門医の共同ケアの有効性評価を目的とする無作為化試験。40歳以上の心血管リスク因子を持つ集団を対象とし、通常治療群または介入群に無作為に割り付けた。 全参加者が試験開始時にBNP検査を受け、その後は年1回のBNP測定が実施された。通常治療群では、BNP検査の結果を知らされていないプライマリ・ケア医がライフスタイル改善のアドバイスやリスク因子に対する介入を行った。 介入群のうちBNP≧50pg/mLの集団にはプライマリ・ケア医と専門医による共同ケアが施行され、BNP<50pg/mLの集団には通常治療群と同じ治療が行われた。 主要エンドポイントは、無症候性の左室機能不全または初発心不全の複合的な発生率とした。全体およびBNP高値集団の双方で良好な予防効果 2005年1月~2009年12月までに39のプライマリ・ケア施設から1,374人が登録され、通常治療群に677人(平均年齢65.4歳、男性44.3%、BNP≧50pg/mL 235人)、介入群には697人(64.1歳、46.3%、263人)が割り付けられた。フォローアップは2011年12月まで行われた。 全体の主要エンドポイントの発生率は、通常治療群の8.7%(59人)に対し、介入群は5.3%(37人)と有意に良好であった(オッズ比[OR]:0.55、95%信頼区間[CI]:0.37~0.82、p=0.003)。 無症候性左室機能障害のみの発生率も、通常治療群の6.6%(45人)に対し介入群は4.3%(30人)であり、有意な差が認められた(OR:0.57、95%CI:0.37~0.88、p=0.01)。心不全はそれぞれ2.1%(14人)、1.0%(7人)にみられ、介入群で少ない傾向を認めたが有意差はなかった(OR:0.48、95%CI:0.20~1.20、p=0.12)。 主な心血管イベントによる緊急入院の割合は、通常治療群の40.4/1,000人年に対し、介入群は22.3/1,000人年であり、介入による有意な改善効果が認められた(発生率比[IRR]:0.60、95%CI:0.45~0.81、p=0.002)。 BNP≧50pg/mLの集団の解析では、主要エンドポイント(18.7 vs 9.5%、OR:0.44、95%CI:0.26~0.73、p=0.002)、無症候性左室機能障害(13.6 vs 7.6%、OR:0.47、95%CI:0.27~0.83、p=0.01)、主な心血管イベントによる緊急入院(78/1,000人年 vs 40/1,000人年、IRR:0.54、95%CI:0.37~0.77、p=0.002)などが、介入群で有意に良好であった。

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患者自身による「きめ細やかな基礎インスリンの用量調節」がカギ!

 2013年7月9日(火)、サノフィ株式会社による「2型糖尿病の最適な血糖コントロール」をテーマとしたメディアセミナーが開催された。演者の東京医科大学内科学第三講座 主任教授の小田原 雅人氏は、6月21日~25日に米国シカゴで開催された米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会において発表されたATLAS(Asian Treat to target Lantus Study)の意義について語り、「血糖コントロールが不十分な患者自身が基礎インスリンの用量調節を行った場合でも、良好な血糖コントロールが得られることが明らかになった」と述べた。インスリン療法の現状 インスリンは固定用量で投与する薬剤ではなく、血糖コントロールや病態に合わせて適切な用量に調節する必要がある。しかし、血糖コントロールが不十分であるにもかかわらず、初期投与量のまま増量していなかったり、専門医が設定した用量のまま漫然と継続していたりすることが多い。 今年、ADA年次学術集会で発表されたATLASは、基礎インスリンの用量調節に関する試験である。本試験はアジア人を対象とした試験ということもあり、今回のエビデンスは、わが国の2型糖尿病患者におけるインスリンの用量調節のあり方について、少なからず影響を与えるものと考えられる。ATLASの概要 ATLASは日本人を含むアジア人552例を対象に、インスリン グラルギンの新規導入時に医師主導もしくは患者主導で用量調節を行った場合の有効性を比較した試験である。両群とも同じアルゴリズムを用いて、空腹時血糖値が110mg/dLとなるようにインスリンの用量調節を行った。試験の結果、血糖値の相対的な低下度は、患者主導群の方が大きかった。また、重症低血糖の発現率は、患者主導群と医師主導群で差を認めなかった。夜間低血糖、症候性低血糖の発現率はいずれも患者主導群で高かったが、患者教育を行うことで対処が可能であった。まとめ 基礎インスリンの適切な用量調節を阻む要因は大きく分けて、「治療目標の認識不足」、「用量調節の指標がないこと」、そして「低血糖への恐れ」の3つであるという。現在は日本糖尿病学会のガイドラインにおいて、国内外における状況やエビデンスをふまえた血糖コントロール目標値が設定されているため、それぞれの患者に合った目標値を目指して治療を行うことが可能である。 また、ATLASの結果から、患者自身が簡易なアルゴリズムを用いて基礎インスリンの用量調節を行っても医師主導の治療に劣らない血糖コントロール効果が得られること、重症低血糖の発現率も差がないことが明らかになった。今後は基礎インスリンの積極的な用量調節を行い、患者のHbA1cをできるだけ健常人に近づけることが、合併症の発症・進展抑制、健常人と変わらない寿命・QOLの確保につながるのではないだろうか。

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募集した質問にエキスパートが答える!骨粗鬆症診療 Q&A (Part.1)

今回、骨粗鬆診療に関連する3つの質問に回答します。「治療薬の使い分け」「薬剤投与は何歳まで?」「ビスホスの休薬期間」。日頃の悩みがこれで解決。治療薬の使い分け法について教えてください。骨粗鬆症治療薬は1)サプリメント的薬剤(活性型ビタミンD3、ビタミンK2など)、2)骨吸収抑制剤(ビスホスホネート製剤、SERM、抗RANKL抗体)、3)骨形成促進剤(テリパラチド)に分類されます。重症な骨粗鬆症にはテリパラチドが使用されますが、その使用期間は約2年という制限があります。骨吸収抑制剤の中でビスホスホネート製剤は大腿骨近位部骨折を抑制するエビデンスがあり、脆弱性骨折の既往があるなど比較的進行した骨粗鬆症患者に使用します。ただし、近年、長期投与患者に顎骨壊死や非定型骨折が発生した事例が報告されているので、長期投与する場合は慎重に使用しなければなりません。SERMは脆弱性骨折の既往のない比較的初期の骨粗鬆症に使いやすい薬剤です。活性型ビタミンD3、ビタミンK2も比較的初期の骨粗鬆症に使用する薬剤となります。また、ビスホスホネート製剤は食道通過遅延障害、SERMは静脈血栓症、ビタミンK2はワルファリン投与中の患者には投与が禁忌であることも忘れずに確認しましょう。薬剤の投与を続けるべき患者さんの年齢について、教えてください。また、80歳以上でも効果はあるのでしょうか?骨粗鬆症で最も重篤な骨折で70歳代後半から多くなる大腿骨近位部骨折患者にも薬物治療をすることで2次骨折(反対側の骨折)を予防できる、生命予後が改善されるという報告があります。骨粗鬆症は高齢になるほど重症化して骨折しやすくなる疾患です。患者さんがお薬を受け入れるならばぜひ、年齢制限なく薬剤の投与を続けていただきたいと思います。最近では、1ヵ月に一度の内服でよいお薬や1ヵ月に一度の点滴剤なども使用できるので、内服が困難な方にも対処できます。ビスホスホネート製剤の休薬期間について教えてください。近年、ビスホスホネート製剤の長期投与で顎骨壊死や非定型骨折が発生した事例が報告され、長期投与に対して否定的なコメントを目にすることがありますが、現時点で長期投与の是非を確定できるエビデンスがないのが現状です。現時点でアレンドロネートの10年継続投与データが最も長期のものですが、それによると5年間で休薬した場合、多くの症例で骨折危険率は上がらなかったが、重症な骨粗鬆症患者では骨折が増加したと報告されています。ビスホスホネート製剤を5年以上継続している患者さんの休薬を考える場合には、顎骨壊死や非定型骨折を危惧するばかりでなく、休薬により骨折が発生するかもしれないという危険性も考え、個々の患者さんの脆弱性骨折の発生状況や骨密度、骨代謝マーカーなどの情報をもとに慎重に判断すべきでしょう。

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糖尿病ケトアシドーシスの輸液管理ミスで死亡したケース

糖尿病・代謝・内分泌最終判決平成15年4月11日 前橋地方裁判所 判決概要25歳、体重130kgの肥満男性。約2週間前から出現した体調不良で入院し、糖尿病ケトアシドーシス(初診時血糖値580mg/dL)と診断されてIVHによる輸液管理が始まった。ところが、IVH挿入から12時間後の深夜に不穏状態となってIVHを自己抜去。自宅で報告を受けた担当医師は「仕方ないでしょう」と看護師に話し、翌日午後に再度挿入を予定した。ところが、挿入直前に心肺停止状態となり、翌日他院へ転送されたが、3日後に多臓器不全で死亡した。詳細な経過患者情報昭和49年9月3日生まれの25歳、体重130kgの肥満男性経過平成12年3月16日胃部不快感と痛みが出現、その後徐々に固形物がのどを通らなくなる。3月28日動悸、呼吸困難、嘔気、嘔吐が出現。3月30日10:30被告病院受診。歩行困難のため車いす使用。ぐったりとして意識も明瞭でなく、顔面蒼白、ろれつが回らず、医師の診察に対してうまく言葉を発することができなかった。血糖値580mg/dL、「脱水、糖尿病ケトアシドーシス、消化管通過障害疑い」と診断、「持続点滴、インスリン投与」を行う必要があり、2週間程度の入院と説明。家族が看護師に対し付添いを申し入れたが、完全看護であるからその必要はないといわれた。11:15左鎖骨下静脈にIVHを挿入して輸液を開始。約12時間で2,000mLの輸液を行う方針で看護師に指示。18:00当直医への申し送りなく担当医師は帰宅。このとき患者には意識障害がみられ、看護師に対し「今日で入院して3日目になるんですけど、管は取ってもらえませんか」などと要領を得ない発言あり。20:30ひっきりなしに水を欲しがり、呼吸促迫が出現。ナースコール頻回。17:20水分摂取時に嘔吐あり。22:45膀胱カテーテル自己抜去。看護師の制止にもかかわらず、IVHも外しかけてベッドのわきに座っていた。22:55IVH自己抜去。不穏状態のため当直医はIVHを再挿入できず。看護師から電話報告を受けた担当医師は、「仕方ないでしょう」と回答。翌日3月31日14:00頃に出勤してからIVHの再挿入を予定し、輸液再開を指示しないまま鎮静目的でハロペリドール(商品名:セレネース)を筋注。3月31日03:00肩で大きく息をし、口を開けたまま舌が奥に入ってしまうような状態で、大きないびきをかいていた。11:00呼吸困難、のどの渇きを訴えたが、意識障害のため自力で水分摂取不能。家族の要望で看護師が末梢血管を確保し、点滴が再開された(約12時間輸液なし)。14:20担当医師が出勤。再びIVHを挿入しようとしたところで呼吸停止、心停止。ただちに気管内挿管して心肺蘇生を行ったところ、5分ほどで心拍は再開した。しかし糖尿病性昏睡による意識障害が持続。15:30膀胱カテーテル留置。17:20家族から無尿を指摘され、フロセミド(同:ラシックス)を投与。その後6時間で尿量は175cc。さらに明け方までの6時間で尿量はわずか20ccであった。4月1日10:25救急車で別の総合病院へ搬送。糖尿病ケトアシドーシスによる糖尿病性昏睡と診断され、急激なアシドーシスや脱水の進行により急性腎不全を発症していた。4月4日19:44多臓器不全により死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張糖尿病ケトアシドーシスで脱水状態改善の生理食塩水投与は、14~20mL/kg/hr程度が妥当なので、130kgの体重では1,820~2,600mL/hrの点滴が必要だった。ところが、入院してから47時間の輸液量は、入院注射指示簿によれば合計わずか2,000mLで必要量を大幅に下回った。しかも途中でIVHを外してしまったので、輸液量はさらに少なかったことになる。IVHを自己抜去するような状況であったのに、輸液もせずセレネース®投与を指示した(セレネース®は昏睡状態の患者に禁忌)だけであった。また、家族から無尿を指摘されて利尿薬を用いたが、脱水症状が原因で尿が出なくなっているのに利尿薬を用いた。糖尿病を早期に発見して適切な治療を続ければ、糖尿病患者が健康で長生きできることは公知の事実である。被告病院が適切な治療を施していれば、死亡することはなかった。病院側(被告)の主張入院時の血液検査により糖尿病ケトアシドーシスと診断し、高血糖状態に対する処置としてインスリンを適宜投与した。ただし急激な血糖値の改善を行うと脳浮腫を起こす危険があるので、当面は血糖値300mg/dLを目標とし、消化管通過障害も考えて内視鏡の検査も視野に入れた慎重な診療を行っていた。原告らは脱水治療の初期段階で1,820~2,600mL/hrもの輸液をする必要があると主張するが、そのような大量輸液は不適切で、500~1,000mLを最初の1時間で、その後3~4時間は200~500mL/hrで輸液を行うのが通常である。患者の心機能を考慮すると、体重が平均人の2倍あるから2倍の速度で輸液を行うことができるというものではない。しかもIVHを患者が自己抜去したため適切な治療ができなくなり、当時は不穏状態でIVHの再挿入は不可能であった。このような状況下でIVH挿入をくり返せば、気胸などの合併症が生じる可能性がありかえって危険。セレネース®の筋注を指示したのは不穏状態の鎮静化を目的としたものであり適正である。そもそも入院時に、糖尿病の急性合併症である重度の糖尿病ケトアシドーシスによる昏睡状態であったから、短期の治療では改善できないほどの重篤、手遅れの状態であった。心停止の原因は、高度のアシドーシスに感染が加わり、敗血症性ショックないしエンドトキシンショック、さらには横紋筋融解症を来し、これにより多臓器不全を併発したためと推測される。裁判所の判断平成12年当時の医療水準として各種文献によれば、糖尿病ケトアシドーシスの患者に症状の大幅な改善が認められない限り、通常成人で1日当たり少なくとも5,000mL程度の輸液量が必要であった。ところが本件では、3月30日11:15のIVH挿入から転院した4月1日10:25までの47時間余りで、多くても総輸液量は4,420mLにすぎず、130kgもの肥満を呈していた患者にとって必要輸液量に満たなかった。したがって、輸液量が大幅に不足していたという点で担当医師の判断および処置に誤りがあった。被告らは治療当初に500~1,000mL/hrもの輸液を行うと急性心不全や肺水腫を起こす可能性もあり危険であると主張するが、その程度の輸液を行っても急性心不全や肺水腫を起こす可能性はほとんどないし、実際に治療初日の30日においても輸液を160mL/hr程度しか試みていないのであるから、急性心不全や肺水腫を起こす危険性を考慮に入れても、担当医師の試みた輸液量は明らかに少なかった。さらに看護師からIVHを自己抜去したという電話連絡を受けた時点で、意識障害がみられていて、その原因は糖尿病ケトアシドーシスによるものと判断していたにもかかわらず、「仕方ないでしょう」などといって当直医ないし看護師に対し輸液を再開するよう指示せず、そのまま放置したのは明らかな過失である。これに対し担当医師は、不穏状態の患者にIVH再挿入をくり返せば気胸が生じる可能性があり、かえって危険であったと主張するが、IVHの抜去後セレネース®によって鎮静されていることから、入眠しておとなしくなった時点でIVHを挿入することは可能であった。しかもそのまま放置すれば糖尿病性昏睡や急性腎不全、急性心不全により死亡する危険性があったことから、気胸が生じる可能性を考慮に入れても、IVHによる輸液再開を優先して行うべきであった。本件では入院時から腹痛、嘔気、嘔吐などがみられ、意識が明瞭でないなど、すでに糖尿病性昏睡への予兆が現れていた。一方で入院時の血液生化学検査は血糖値以外ほぼ正常であり、当初は腎機能にも問題はなく、いまだ糖尿病性昏睡の初期症状の段階にとどまっていた。ところが輸液が中断された後で意識レベルが悪化し、やがて呼吸停止、心停止状態となった。そして、転院時には、もはや糖尿病性昏睡の症状は治癒不可能な状態まで悪化し、死亡が避けられない状況にあった。担当医師の輸液に関する過失、とりわけIVHの抜去後看護師らに対しIVHの再挿入を指示せずに放置した過失と死亡との間には明らかな因果関係が認められる。原告側合計8,267万円の請求に対し、合計7,672万円の判決考察夜中に不穏状態となってIVHを自己抜去した患者に対し、どのような指示を出しますでしょうか。今回のケースでは、内科医にとってかなり厳しい判断が下されました。体重が130kgにも及ぶ超肥満男性が、糖尿病・脱水で入院してきて、苦労して鎖骨下静脈穿刺を行い、やっとの思いでIVHを挿入しました。とりあえず輸液の指示を出したところで、ひととおりの診断と治療方針決定は終了し、あとは治療への反応を期待してその日は帰宅しました。ところが当日深夜に看護師から電話があり、「本日入院の患者さんですが、IVHを自己抜去し、当直の先生にお願いしましたが、患者さんが暴れていて挿入できません。どうしましょうか」と連絡がありました。そのような時、深夜にもかかわらずすぐに病院に駆けつけ、鎮静薬を投与したうえで再度IVHを挿入するというような判断はできますでしょうか。このように自分から治療拒否するような患者を前にした場合、「仕方ないでしょう」と考える気持ちは十分に理解できます。こちらが誠意を尽くして血管確保を行い、そのままいけば無事回復するものが、「どうして命綱でもある大事なIVHを抜いてしまうのか!」と考えたくなるのも十分に理解できます。ところが本件では、糖尿病ケトアシドーシスの病態が担当医師の予想以上に悪化していて、結果的には不適切な治療となってしまいました。まず第一に、IVHを自己抜去したという異常行動自体が糖尿病性昏睡の始まりだったにもかかわらず、「せっかく入れたIVHなのに、本当にしょうがない患者だ」と考えて、輸液開始・IVH再挿入を翌日午後まで延期してしまったことが最大の問題点であったと思います。担当医師は翌日午前中にほかの用事があり、午後になるまで出勤できませんでした。そのような特別な事情があれば、とりあえずはIVHではなく末梢の血管を確保するよう当直スタッフに指示してIVH再挿入まで何とか輸液を維持するとか、場合によってはほかの医師に依頼して、早めにIVHを挿入しておくべきだったと考えられます。また、担当医師が不在時のバックアップ体制についても再考が必要でしょう。そして、第二に、そもそもの輸液オーダーが少なすぎ、糖尿病ケトアシドーシスの治療としては不十分であった点は、標準治療から外れているといわれても抗弁するのは難しくなります。「日本糖尿病学会編:糖尿病治療ガイド2000」によれば、糖尿病ケトアシドーシス(インスリン依存状態)の輸液として、「ただちに生理食塩水を1,000mL/hr(14~20mL/kg/hr)の速度で点滴静注を開始」と明記されているので、体重が130kgにも及ぶ肥満男性であった患者に対しては、1時間に500mLのボトルで少なくとも2本は投与すべきであったことになります。ところが本件では、当初の輸液オーダーが少なすぎ、3時間で500mLのボトル1本のペースでした。1時間に500mLの点滴を2本も投与するという輸液量は、かなりのハイペースとなりますので、一般的な感触では「ここまで多くしなくても良いのでは」という印象です。しかし、数々のエビデンスをもとに推奨されている治療ガイドラインで「ただちに生理食塩水を1,000mL/hr(14~20mL/kg/hr)の速度で点滴静注を開始」とされている以上、今回の少なすぎる輸液量では標準から大きく外れていることになります。本件では入院当初から糖尿病性ケトアシドーシス、脱水という診断がついていたのですから、「インスリンによる血糖値管理」と「多めの輸液」という治療方針を立てるのが医学的常識でしょう。しかし、経験的な感覚で治療を行っていると、今回の輸液のように、結果的には最近の知見から外れた治療となってしまう危険性が潜んでいるので注意が必要です。本件でも、ひととおりの処置が終了した後で、治療方針や点滴内容が正しかったのかどうか、成書を参照したり同僚に聞いてみるといった時間的余裕はあったと思われます。最近の傾向として、各種医療行為の結果が思わしくなく、患者本人または家族がその事実を受け入れられないと、ほとんどのケースで紛争へ発展するような印象があります。その場合には、医学書、論文、各種ガイドラインなどの記述をもとに、その時の医療行為が正しかったかどうか細かな検証が行われ、「医師の裁量範囲内」という考え方はなかなか採用されません。そのため、日頃から学会での話題や治療ガイドラインを確認して知識をアップデートしておくことが望まれます。糖尿病・代謝・内分泌

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アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定

 カナダ・ダルハウジ大学のAutumn R. Meek氏らは、ヒト脳内に存在する内因性分子の特定を試み、それらのβ-アミロイド領域への親和性ならびにβ-アミロイド凝集抑制作用を検討した。その結果、L-PSと3-HAAという2種類の内因性脳内分子を特定し、それらがβ-アミロイド領域に結合し、凝集を抑制することを報告した。Journal of Psychiatry & Neuroscience誌2013年7月号の掲載報告。 アルツハイマー病は神経細胞が破壊される疾患で、顕著な個体内変動がみられる。本研究は、ヒト脳内に内因性分子が存在し、アルツハイマー病の進行を抑制あるいは緩徐にする凝集抑制活性を発揮しているのではないかという仮定の下、実施された。in silico(コンピュータ上の実験)において、内因性小分子であるL-ホスホセリン(L-PS)および3-ヒドロキシアントラニル酸(3-HAA)の、タンパク質misfoldingの責任領域であるβ-アミロイド標的部位への親和性を検討した。さらに、in vitroにおいてこれら分子の各種濃度での凝集抑制作用を検討した。  主な結果は以下のとおり。・in silicoの検討により、L-PSと3-HAAはmisfolding が惹起されているβ-アミロイドのhistidine13-histidine-glutamine-lysine16(HHQK)領域に結合できることが示された。・これらの相互作用は強力であった。・in vitroの検討により、L-PSと3-HAAともに用量依存的にβ-アミロイドの凝集を抑制し、その作用はL-PSよりも3-HAAのほうが強力であった。 ・本研究は、in vivoではなくin silicoおよびin vitroであるという点で限界がある。・本研究から、L-PSおよび3-HAAという2種類の内因性の脳内分子が、タンパク質misfoldingにより神経毒性を惹起するβ-アミロイドの領域に結合しうることがわかった。・また、L-PSと3-HAAは、各種濃度でβ-アミロイドの凝集を抑制した。脳内におけるこれら分子の濃度がβ-アミロイドの凝集を抑制あるいは緩徐にする効果に影響を及ぼす可能性がある。関連医療ニュース アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか? Aβ沈着は認知機能にどのような影響を与えるか 治療介入により認知症発症率はどこまで減らせるか?

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高齢者の高額医療費、外来サービス充実による医療費削減には限界がある/JAMA

 米国・ハーバード公衆衛生大学院のKaren E. Joynt氏らが、米国高齢者向け公的医療保険メディケアの高額医療費受給者について、予防可能な急性期医療サービスにかかる費用の占める割合を調べたところ、病院救急部門医療費では約4割、入院医療費では約1割と推定された。そのため著者は「外来医療サービスを充実しても、高齢者の高額医療費を削減するには限界があるようだ」と述べている。JAMA誌2013年6月26日号掲載の報告より。メディケア高額受給者上位十分位群を特定し、予防可能な医療費の割合を算出 研究グループは、65歳以上でメディケア出来高払いプランの受給者111万4,469例の医療費について、未然に防ぐことができたと考えられる、病院の救急部門受診や急性期医療を受けるための入院分を調べた。 また、2009~2010年のメディケア支払いデータから、2010年のみ、または2009、2010年共に、高額受給者だった上位十分位群をそれぞれ特定。それら高額受給者について、予防可能な急性期医療サービスにかかるコストの割合を算出した。高額受給者による病院救急部門医療費の41%、入院費用の9.6%が予防可能な医療費 高額受給者上位十分位群は、その他の非高額受給者上位十分位群と比べると、高齢で、男性、黒人が多く、共存症を有する患者が多かった。 2010年の病院救急部門に支払われた総医療費のうち、32.9%が同年の高額受給者上位十分位群によるものだった。こうした高額受給者上位十分位群による病院救急部門医療費のうち、予防可能だったものの割合は41.0%だった。一方で、高額受給者上位十分位群以外の人の同医療費のうち、予防可能だったのは42.6%だった。 また、高額受給者上位十分位群の医療費の、入院医療費全体に占める割合は79.0%で、そのうち予防可能な医療費は9.6%だった。高額受給者上位十分位群以外の人の予防可能な入院医療費は16.8%と推定された。 2009年、2010年共に高額受給者上位十分位群だった人の、病院救急部門の医療費のうち43.3%が、また入院医療費のうち13.5%が、それぞれ予防可能な医療費だった。

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テレモニタリング+薬剤師による管理で血圧改善/JAMA

 患者の自宅からの家庭血圧テレモニタリングと薬剤師による血圧管理を組み合わせた降圧治療の有用性が、米国・HealthPartners Institute for Education and Research(ミネアポリス市)のKaren L Margolis氏らが行ったHyperLink試験で確認された。多くの有効な治療薬が開発されているにもかかわらず、米国では血圧が推奨値以下に管理されている成人高血圧患者は約半数にとどまる。最近の系統的レビューは、血圧の改善には診療体制を再編し、医師以外の医療従事者の主導で降圧治療の調整を行う必要があると結論づけており、遠隔治療と看護師、薬剤師主導のチーム医療を組み合わせた介入の有効性を示唆する研究結果もあるという。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。多彩な患者に対する効果をクラスター無作為化試験で評価 HyperLink試験は、降圧治療における家庭血圧テレモニタリングと薬剤師による患者管理を組み合わせた介入の有用性を検証するクラスター無作為化試験。ミネアポリス市およびセントポール市の16のプライマリ・ケア施設が、介入を行う群(8施設)または通常治療を行う群(8施設)に無作為に割り付けられた。 患者選択基準は収縮期血圧(SBP)≧140mmHgもしくは拡張期血圧(DBP)≧90mmHgとし、糖尿病や慢性腎臓病を併発する患者(基準値:SBP≧130mmHgもしくはDBP≧80mmHg)も含めた。介入群の患者は自宅で測定した家庭血圧のデータを薬剤師に送信し、薬剤師はデータに基づいて降圧治療の調整を行った。治療期間は1年であった。 主要アウトカムは、治療開始から6ヵ月、12ヵ月時のSBP<140/DBP<90mmHg(糖尿病、慢性腎臓病を併発する場合はSBP<130/DBP<80mmHg)の達成とし、18ヵ月時(治療終了後6ヵ月)の血圧管理、患者満足度などの評価も行った。塩分摂取制限や患者満足度も良好 2009年3月~2011年4月までに介入群に228例、通常治療群には222例が登録された。全体の平均年齢は61.1歳、女性が44.7%、白人が81.8%で、平均SBPは147.9mmHg、平均DBPは84.7mmHgだった。また、このうち糖尿病が19.1%、慢性腎臓病は18.6%にみられた。 主要アウトカムの治療開始6ヵ月時の達成率は、介入群71.8%、通常治療群45.2%(p<0.001)、12ヵ月時はそれぞれ71.2%、52.8%(p=0.005)、18ヵ月時は71.8%、57.1%(p=0.003)であり、いずれも介入群で有意に良好であった。 6ヵ月と12ヵ月の両時点で主要アウトカムが達成された患者は介入群57.2%、通常治療群30.0%(p=0.001)、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月のすべてで達成された患者はそれぞれ50.9%、21.3%(p=0.002)であり、有意な差が認められた。 介入群のSBPは、ベースラインから治療開始6ヵ月時までに21.5mmHg低下し、12ヵ月時には22.5mmHg、18ヵ月時には21.3mmHg低下した。DBPの低下はそれぞれ9.4、9.3、9.3mmHgであった。通常治療群のSBPはそれぞれ10.8、12.9、14.7mmHg低下し、DBPは3.4、4.3、6.4mmHg低下した。 SBPの低下は、いずれの時点でも介入群が有意に良好で、両群間の降圧の差は6ヵ月時が10.7mmHg(p<0.001)、12ヵ月時が9.7mmHg(p<0.001)、18ヵ月時は6.6mmHg(p=0.004)であった。DBPの低下も介入群が良好で、それぞれ6.0(p<0.001)、5.1(p<0.001)、3.0mmHg(p=0.07)の差が認められた。 介入群では、降圧薬の種類の増加、服薬遵守、塩分摂取制限、患者満足度なども良好で、安全性も許容可能なものであった。 著者は、「家庭血圧テレモニタリングと薬剤師による血圧管理を組み合わせた降圧治療は、通常治療に比べ降圧達成率が良好であり、効果は治療終了6ヵ月後も持続していた」とまとめ、「今後、費用対効果や長期効果が確かめられれば、このモデルは高血圧や他の慢性疾患の管理法として普及すると考えられる」と指摘している。

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複合性局所疼痛症候群患者では広範痛についても評価が必要

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者では、10%を超える患者が広範痛(widespread pain)を有していることが明らかとなった。英国・エンツリー大学病院のThomas Birley氏らによる後ろ向き研究からの報告で、結果を踏まえて著者は、「CRPS患者の臨床評価においては日常的に、さらなる痛みについて問診をすることが支持される」とまとめている。Pain Practice誌オンライン版2013年6月24日号の掲載報告。 CRPS患者における広範痛の有病率を調べる目的で、2007年7月~2012年9月の間に第3次疼痛医療センターに紹介されブダペスト基準に従いCRPSと診断された連続症例について、紹介状や医療記録を後ろ向きに評価した。 対象は、CRPS患者190例(うち149例は女性)および特定不能のCRPS患者26例であった(平均年齢44歳、罹病期間中央値18ヵ月)。 主な結果は以下のとおり。・3分の1の患者は、CRPSに先行する事象が起こる前にすでに、現在CRPSに罹患した肢に日常的な痛みとは違う痛みを経験していた。・21例(11.1%)が広範痛の経験を有していたが、医療機関からの紹介状にはほとんど記載されていなかった。・CRPSの誘因となった外傷のタイプや、ブダペスト基準の他覚所見および自覚症状の頻度は、広範痛の有無による差がみられなかった。・すべての患者は広範痛を日常生活の質に影響を与える重要な要素と考えており、ほとんどの患者にとって広範痛の重症度はCRPSの痛みと同程度であった。・CRPSに併発する局所的な痛み(多くは頭痛/片頭痛、腰痛、過敏性腸症候群)を有する患者もいた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説

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鳥インフルエンザA(H7N9)感染、それほど重大ではなかった?/Lancet

 2013年3月に第1例が特定されヒトへの感染が明らかとなった、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症について、中国疾病管理予防センター(CDC)のHongjie Yu氏らが5月28日時点で行った臨床的重症度の評価結果を発表した。入院となった感染患者は123例で、そのうち37例(30%)が死亡、17例はなお入院中であり、回復したのは69例(56%)であったことなどを報告している。Lancet誌オンライン版2013年6月21日号掲載の報告より。2013年5月28日時点の入院患者は123例 鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症の臨床的重症度の評価は、2013年5月28日時点で報告された、検査によって確定した症例の情報を、中国CDC統合データベースから入手して行われた。 医学上の理由で入院が必要となった患者について、死亡、人工呼吸器装着、ICU入室のリスクを調べた。また、インフルエンザ様疾患サーベイランスによって検出した感染確定症例の情報を用いて、症候性感染死亡リスクを推定した。 その結果2013年5月28日時点において、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症による入院患者は123例だった(60歳以上58%、男性71%)。症候性感染死亡リスクは10万症例当たり160~2,800例 123例のうち37例(30%)が死亡、69例(56%)が回復していた。回復までの期間中央値は18日(95%信頼区間[CI]:14~29)だった。また17例がいまだ入院中だった。それらを加味した全年齢入院患者の死亡リスクは36%(95%CI:26~45)と推定された。年齢別では、60歳未満患者では18%(同:6~29)、60歳以上患者は49%(同:36~63)だった。 人工呼吸器装着あるいは死亡のリスクは69%(95%CI:60~77)、ICU入室・人工呼吸器装着・死亡のリスクは83%(同:76~90)と高率であった。それぞれの60歳未満と60歳以上のリスクは、前者が53%、80%、後者が75%、89%だった。 症候性感染の死亡リスクは、10万症例当たり160例(95%CI:63~460)~2,800例(同:1,000~9,400)と推定された。 上記の結果を踏まえて著者は「鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染は、以前に報告したほど重大ではないようである。すでに軽症例が発生している可能性がある」と結論。そのうえで「ヒトへの感染リスクを最小とするために、引き続き警戒と継続的な介入コントールは必要である」とまとめている。

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抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連

 ノルウェー・ベルゲン大学のJorunn Drageset氏らは、介護施設に入居中の認知機能低下を認めない高齢者を対象に、がんの有無別に不安と抑うつ症状の死亡への影響を検討した。その結果、がんの有無にかかわらず、抑うつ症状は認知機能低下を認めない介護施設入居者の死亡率に関連していることを報告した。Cancer Nursing誌2013年7-8月号の掲載報告。 介護施設に入居中の認知機能低下を認めない高齢者において、がんの有無別に不安と抑うつ症状の死亡への影響を検討した研究は少ない。本研究は、不安または抑うつが生存率と関連しており、がんに罹患していない者に比べがんに罹患している者に対して、より大きな影響を及ぼすのではないかという仮定の下で実施された。介護施設30施設の、認知機能低下を認めない(Clinical Dementia Rating scale score≦0.5)高齢入居者コホート227例(がん罹患60例、がん非罹患167例)について、2004~2005年から2010年まで追跡調査を行った。データは面談により収集した。不安および抑うつは、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)サブスケールを用いて評価し、診療録を基に社会人口統計学的背景ならびに既往歴を特定した。 主な結果は以下のとおり。・5年後の全生存率は、がん罹患者が17%、がん非罹患者が22%であった。・抑うつは、がん罹患と独立して生存不良と有意に関連していた。・がんに罹患していて不安症状のある者(サブスコア最低値8)は、不安症状のない者に比べ生存率が不良であったが(p=0.02)、この傾向はがん非罹患者では認められなかった。・以上のことから、がんの有無にかかわらず、抑うつ症状は認知機能低下を認めない介護施設入居者の死亡率に関連していることが明らかになった。また、がんに罹患しており不安症状を有する場合は、生存期間がより短くなることが予測された。関連医療ニュース 皮膚がんとの関連研究で判明!アルツハイマー病に特異的な神経保護作用 がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… 高齢者介護ロボット、認知症対応でも効果を発揮できる?

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アスピリンの定期的服用、BRAF野生型の大腸がんリスクを低下/JAMA

 アスピリンの定期的な服用は、BRAF野生型の大腸がんリスクを3~5割ほど減少する一方、BRAF変異の大腸がんリスクについては減少しなかったことが明らかにされた。米国・ダナファーバーがん研究所のReiko Nishihara氏らが、米国看護師健康調査などの参加被験者13万例弱を対象とした調査で明らかにしたもので、JAMA誌2013年6月26日号で発表した。総数約317万人・年、大腸がん患者1,226例について分析 研究グループは、1980年以降の看護師健康調査と1986年以降の医療従事者追跡調査の被験者について、隔年の質問票を基に、大腸がんリスクがアスピリン服用の有無およびBRAFがん遺伝子の変異により異なるかどうかを調べた。被験者のがん罹患率については2006年7月1日まで、がん死亡率については2012年1月1日まで追跡した。 被験者数は12万7,865例、総数316万5,985人・年だった。その間に大腸がんを発症し、その分子情報が得られたのは1,226例だった。アスピリン定期服用者、BRAF野生型の大腸がんリスクは0.73倍 結果、アスピリンの定期的服用者は、非服用者に比べ、BRAF野生型の大腸がんリスクが3割弱低下した(多変量ハザード比:0.73、95%信頼区間[CI]:0.64~0.83/年齢補正後の罹患率格差:-9.7/10万人・年、95%CI:-12.6~-6.7)。同関連は、腫瘍PTGS2発現型、PIK3CAあるいはKRASの変異型にかかわらず、同様に認められた。 一方、アスピリンの定期的服用は、BRAF変異の大腸がんリスク減少との関連はなかった(多変量ハザード比:1.03、95%CI:0.76~1.38/年齢補正後の罹患率格差:0.7/10万人・年、95%CI:-0.3~1.7)。 さらに毎週14錠超のアスピリンを服用する人は、非服用者に比べ、BRAF野生型の大腸がんリスクが半分以下に減少した(多変量ハザード比:0.43、95%CI:0.25~0.75/年齢補正後の罹患率格差:-19.8/10万人・年、95%CI:-26.3~-13.3)。

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4年ぶりの改訂『小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版』発売

 日本耳科学会、日本小児耳鼻咽喉科学会、日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会は、『小児急性中耳炎診療ガイドライン』を4年ぶりに改訂し、同2013年版を7月12日より発売する。 今回の改訂は、急性中耳炎に関連する起炎菌や難治化などの病態の変化、予防を含めた治療法の発展など、多岐にわたる要因を考慮している。 具体的には、起炎菌サーベイランスデータの更新、重症度判定基準・治療アルゴリズムの見直しを行い、さらに肺炎球菌迅速検査キット、肺炎球菌ワクチン、新たな推奨薬剤や漢方補剤による診療、遷延性・難治性中耳炎等に関して、最新のデータに基づいて記述が修正、加筆された。 ガイドラインは、全国の書店、Amazonなどで7月12日より発売。定価は2,415円(本体2,300円+税5%)。詳しくは、金原出版まで

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