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ケアネット白書~糖尿病編2013

1.調査目的と方法本調査の目的は、糖尿病診療に対する臨床医の意識を調べ、その実態を把握するとともに、主に使用されている糖尿病治療薬を評価することである。2型糖尿病患者を1ヵ月に10人以上診察している全国の医師496人を対象に、(株)ケアネットのウェブサイトにて、アンケート調査への協力を依頼し、2013年3月25日~4月1日に回答を募った。2.結果1)回答医師の背景回答医師496人の主診療科は、一般内科が40.5%で最も多く、次いで糖尿病・代謝・内分泌科で30.6%、循環器科で11.5%である。それら医師の所属施設は、病院(20床以上)が70.2%、診療所(19床以下)が29.8%となっている。医師の年齢層は50-59歳が最も多く35.9%、次いで40-49歳が35.1%、39歳以下が23.4%と続く。40代から50代の医師が全体の7割以上を占めている(表)。

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大腸内視鏡検診の是非と日本のがん検診(コメンテーター:勝俣 範之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(143)より-

大腸がん検診として、便潜血によるスクリーニング法は、確立されている。一方、内視鏡による検診として、S状結腸内視鏡検診は、5つのRCT(ランダム化比較試験)のメタアナリシスにより、大腸がんの罹患率、死亡率を減少させることの有効性が示されている1)。しかし、全大腸内視鏡の検診の有効性に関してはまだ証明されていないところである。 今回の研究は、コホート研究の結果であるが、全大腸内視鏡検診群は、大腸がん発生率、死亡率を共に減少させ、また、S状結腸内視鏡検診群と比べて、近位大腸がんによる死亡をより減少させる結果が得られた。対象がランダム化されていないこと、医療従事者のみを対象としていること、コントロール群が便潜血法による検診群でないことなどから、この結果は、すぐに一般臨床に応用できるまでのエビデンスではないが、全大腸内視鏡検診の有用性を初めて証明した研究としては注目に値すると思われる。米国では、現在大腸がん検診として、便潜血、S状結腸内視鏡、大腸内視鏡検診が推奨されているが(http://www.uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/uspscolo.htm)(日本は便潜血のみ)、今回の結果は、この推奨の後押しとなる結果であったと思われる。 現在、全大腸内視鏡検診の有用性を検証するために、便潜血による検診法と全大腸内視鏡検診を比較したランダム化比較試験が、米国・欧州で2つ行われており、結果が期待されるところである。 振り返ってわが国の現状を考えると、日本で最も発症数が多い胃がん検診に関しては、これまでランダム化比較試験は行われたことはない。胃がん検診として推奨されているバリウム検診に関しても、実際には、ケースコントロール研究の結果でしかない。胃内視鏡検査の方が精度が高く、人間ドックや職場検診などで、多く用いられているのであるが、残念ながら、胃内視鏡検査が検診として有効であるかどうか検証されたことはない。ランダム化比較試験を遂行していくのは大変なことではあるが、国民にとって本当に利益のあることなのか、科学的に検証するということは大切な作業であると思う。勝俣 範之先生のブログはこちら

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変形性関節症への全人工関節置換術、心血管保護効果を確認/BMJ

 股関節または膝関節の中等度~重度変形性関節症患者に対する待機的全人工関節置換術により、重症心血管イベントの発生リスクが低下することが、カナダ・トロント大学のBheeshma Ravi氏らの検討で示された。身体活動性の低下は心血管リスクを増大させる因子であることが示唆されている。65歳以上の40%以上に身体活動性の低下がみられ、その原因の多くを変形性関節症が占める。全人工関節置換術は変形性関節症患者の疼痛、運動能、歩行能、QOL、全般的な身体機能を改善するが、心血管リスクへの影響は不明であった。BMJ誌オンライン版2013年10月30日号掲載の報告。心血管リスクの抑制効果をランドマーク解析で評価 研究グループは、股関節または膝関節に対する全人工関節置換術が、中等度~重度の変形性関節症患者における重症心血管イベントを抑制するかを検証するために、傾向スコア・マッチング法を用いたランドマーク解析を行った。 1996~1998年に、カナダ・オンタリオ州で年齢55歳以上の股関節または膝関節の変形性関節症患者2,200例(年齢中央値71歳、女性72.0%)を登録し、死亡または2011年まで前向きに追跡した。ベースラインから3年以内に、待機的な初回全人工関節置換術を受けた患者と、受けなかった患者において、重症心血管イベントの発生状況を比較した。 傾向スコアをマッチさせたコホートとして、153組の置換術施行例と非施行例、合計306例が解析の対象となった。試験開始日をランドマークとして、中央値7年間追跡した。イベントが約40%低下、絶対リスク減少率は約12% 7年間に、全体で111件(36.3%)の心血管イベントが発生した。 3年以内に全人工関節置換術を受けた患者は、非施行群に比べ重症心血管イベントの頻度が有意に低かった(ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.43~0.74、p<0.001)。また、7年間の絶対リスク減少率は12.4%(95%CI:1.7~23.1)で、治療必要数(NNT)は8例(95%CI:4~57)であった。 膝関節の全人工関節置換術を受けた94例は、非施行の94例に比べ重症心血管イベントの頻度が有意に低かった(HR:0.46、95%CI:0.29~0.75、p=0.0017)。しかし施行群で男性が有意に多く(26.6 vs 19.1%、standardized difference:18%)、両群間のバランスがとれていなかった。一方、股関節の全人工関節置換術を受けた49例は、非施行の49例に比べ重症心血管イベントの頻度が有意に低かった(HR:0.61、95%CI:0.38~0.99、p=0.0442)が、施行群で年齢が高く(70 vs 68歳、standardized difference:16%)、また平均BMIも高い値を示し(32.8 vs 29.2、standardized difference:32%)、バイアスの可能性が残された。 著者は、「股関節または膝関節の中等度~重度変形性関節症患者に対する3年以内の待機的初回全人工関節置換術の心血管保護効果が確認された」とまとめ、「本研究は観察試験であるが、傾向スコア・マッチング法を用いることで交絡因子を調整し、有効性を示すことができた。われわれの知る限り、これは全人工関節置換術の心血管保護効果を示した初めての研究である」と報告している。

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自家幹細胞移植、中悪性度非ホジキンリンパ腫の地固め療法として有効/NEJM

 自家幹細胞移植は、高中リスクおよび高リスクのびまん性中悪性度(aggressive)非ホジキンリンパ腫(NHL)の地固め療法として有効であることが、米国・ロヨラ大学医療センターのPatrick J Stiff氏らが行ったSWOG9704試験で示された。NHL治療は、「リツキシマブ時代」と呼ばれる状況下で、さらなる予後改善に向けさまざまな治療アプローチの探索が進められている。国際予後指標(IPI)により、診断時に持続的寛解の可能性が50%未満の患者の同定が可能となり、自家幹細胞移植の早期治療への導入が図られているが、高リスク例に対する地固め療法としての有効性は、その可能性が指摘されながらも長期にわたり確立されていなかった。NEJM誌2013年10月31日号掲載の報告。導入療法奏効例での有用性を無作為化試験で評価 SWOG9704試験は、米国のSWOG、ECOG、CALGBおよびカナダNCIC-CTGに所属する40施設が参加した無作為化試験。対象は、年齢15~65歳、生検でNHLが確認され、IPIで年齢調整リスクが高中または高と判定されたびまん性aggressive NHL患者であった。 1999年8月15日~2007年12月15日までに397例が登録され、導入療法としてシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン(prednisone)(CHOP)療法またはリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)療法が5コース施行された。このうち奏効が得られた患者が、地固め療法としてさらに3コースの導入療法レジメンを施行する群(対照群)または1コースの導入療法レジメン施行後に自家幹細胞移植を行う群(移植群)に無作為に割り付けられた。 有効性に関する主要エンドポイントは、2年無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)であった。高リスク群では、OSも有意に改善 適格基準を満たした370例のうち、導入療法が奏効した253例が無作為割り付けの対象となった(移植群125例、対照群128例)。370例の患者背景は、年齢中央値51(18.3~65.9)歳、男性59%で、B細胞リンパ腫が89%、T細胞リンパ腫は11%であった。 追跡期間中に病態が進行または死亡した患者は、移植群が46/125例、対照群は68/128例で、推定2年PFSはそれぞれ69%、55%であった。リスクスコアで調整したCox回帰モデルによる多変量解析では、ハザード比(HR)は1.72(95%信頼区間[CI]:1.18~2.51、p=0.005)であり、移植群が有意に良好だった。 死亡例数は移植群が37例、対照群は47例で、2年OSはそれぞれ74%、71%であり、両群に差は認めなかった(HR:1.26、95%CI:0.82~1.94、p=0.30)。 探索的解析では、高中リスク例と高リスク例で治療効果が異なることが示された。すなわち、高中リスク群の2年PFSは、移植群が66%、対照群は63%と同等であった(p=0.32)が、高リスク群ではそれぞれ75%、41%であり、有意差が認められた(p=0.001)。2年OSも、高中リスク群では移植群が70%、対照群は75%と差は認めなかった(p=0.48)のに対し、高リスク群では移植群が82%と、対照群の64%に比べ有意に良好だった(p=0.01)。 予測されたように、移植群では対照群に比べGrade 3/4の有害事象が多くみられた。治療関連死は移植群が6例(5%)(肺障害3例、出血と腎不全1例、感染症1例、多臓器不全1例)、対照群は3例(2%)(心血管障害1例、感染症1例、原因不明1例)に認められた。 著者は、「自家幹細胞移植の早期導入により、導入療法で奏効が得られた高中および高リスク患者のPFSが改善された」とまとめ、「対照群の再発例62例(48%)のうち29例(47%)にサルベージ療法として化学療法や移植が行われており、これがOSに有意差がなかった理由と考えられる」と指摘している。

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認知度が4割しかない1型糖尿病を支援する-日本イーライリリープレスセミナー 

 11月5日(火)、日本イーライリリー株式会社は、11月14日の「世界糖尿病デー」に先駆け、「多様化する糖尿病と患者さんの支援の重要性」と題して、プレスセミナーを開催した。 前半では、「多様化する糖尿病 ~多様化する患者さん一人ひとりの、糖尿病への向き合い方とその治療~」として内潟 安子氏(東京女子医科大学 糖尿病センター長/ 内科学第三講座主任教授)を講師に迎え、糖尿病の概要についてレクチャーが行われた。 厚生労働省の統計資料によれば、わが国の糖尿病患者数は、依然として増加を続け、成人の約3割が糖尿病かその予備群であり、約4割は未治療のままである。内潟氏からは糖尿病の類型について、とくに1型糖尿病に焦点を絞り説明がなされた。一般に糖尿病は、生活習慣などの乱れから発症する2型糖尿病がほとんどと考えられている中で、1型糖尿病は、小児期から思春期での発症が多く(成人での発症数も多い)、遺伝的素因や免疫学的異常などによる発症がある、とコンパクトに解説が行われた。 そのうえで、医療者は、患者さんの「良好な血糖コントロールを行うこと」と「合併症を予防すること」を念頭に診療にあたっていること、その一方で、患者さんは治療のために、日常生活の中で食事時間や内容、そのカロリー、そして、定期的なインスリン注射、治療薬の服用と毎日の規則正しい生活を行っていることを述べた。そして、周りの方にも糖尿病患者さんへの理解を深めてもらいたい、とレクチャーを終えた。 後半では、同社の綱場 一成氏(糖尿病・成長ホルモン事業本部 事業本部長)が、「糖尿病治療におけるベストパートナーとして」と題し、同社の取り組みと今後の展望を説明した。1923年よりわが国でインスリンを発売してきた同社は、小児糖尿病患者のサマーキャンプなど、これまで社会貢献活動などを活発に行ってきている。 綱場氏は、先ごろ行われた「1型糖尿病の認知度調査」の結果について、次のように概略を発表した(調査は、20代以上の各年代から男女100名ずつを選出。1,000名にインターネットで調査したもの)。その結果、「1型糖尿病」という名称さえ聞いたことがない人が約6割。1型糖尿病を知っている人でもその半数以上が、発症原因として「食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣」と回答したほか、患者タイプを「肥満型の人がなりやすい」と回答した人が約3割、発症により「日常生活の中で活動の制限を受ける」と回答した人が約9割に及び、認知度の低さ以外にも、さまざまな誤解があることが浮き彫りになった。 同社では、こうした状況を受けて、1型糖尿病患者のライフステージに応じて幅広いサポートをするため啓発小冊子を作成した。今後、医療機関で配布していくことで、1型糖尿病と診断された患者さんの心のケアに活用してもらい、糖尿病診療に寄与していきたいと抱負を語った。詳しくは、 日本イーライリリー(糖尿病・内分泌系の病気) ケアネットの特集「糖尿病 外来インスリン療法」 

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糖尿病患者、約8割に皮膚疾患

 糖尿病患者の皮膚疾患と皮膚以外の疾患との関連について、同患者における皮膚疾患は約8割に認められ、そのうち半数近くが皮膚感染症であったこと、また腎障害との関連が深い皮膚疾患の特徴や、血糖値と皮膚疾患との関連などが明らかにされた。トルコ・Ataturk Training and Research HospitalのDuriye Deniz Demirseren氏らが、患者750例を前向きに登録調査し報告した。結果を踏まえて著者は、「皮膚疾患は、糖尿病患者において微小血管合併症の有無を知る手がかりとなりうるだろう」と結論している。American Journal of Clinical Dermatology誌オンライン版2013年10月18日号の掲載報告。 糖尿病患者における皮膚疾患とそれ以外の疾患との関連は明らかになっていない。研究グループは、同患者における皮膚疾患と糖尿病性神経障害、腎症、網膜症との関連を調べることを目的に、750例の患者を前向きに登録し分析した。 人口統計学的および臨床的特性、皮膚疾患、HbA1c値および神経障害、腎症、網膜症について調べた。 主な結果は以下のとおり。・被験者(750例)のうち、38.0%の患者が神経障害を、23.3%が腎症を、22.9%が網膜症を有していた。・皮膚疾患を有していた患者は79.2%(594例)であった。・皮膚疾患のうち最も多かったのは、皮膚感染症(47.5%)、次いで乾皮症(26.4%)、炎症性皮膚疾患(20.7%)であった。・腎症を有する患者においては、皮膚感染症、真菌性感染症、糖尿病性足病変、ルベオーシス(顔面)、色素性紫斑が、腎症を有さない患者と比べて多かった。・神経障害を有する患者では概して、皮膚感染症、糖尿病性足病変、ルベオーシス(顔面)、糖尿病性皮膚障害がみられた。・網膜症を有する患者では、真菌性感染症、糖尿病性足病変、ルベオーシス(顔面)、糖尿病性皮膚障害、色素性紫斑の頻度が高かった。・HbA1c値が8mmol/mL以上の患者では、同値が8mmol/mL未満の患者より皮膚疾患を有する患者が有意に多かった(p<0.05)。

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抗うつ薬の効果発現を加速するポイントは

 一般的に、抗うつ薬が効果を発現するまでには2週間程度を要するといわれている。そのようななか、選択的セロトニン2C(5-HT2C)拮抗薬は、中脳皮質のドーパミン作用シグナリングを強化する作用により、速やかな抗うつ効果の発現を呈することが明らかにされた。米国・シカゴ大学のM D Opal氏らがマウス試験の結果、報告した。現在の抗うつ薬は、治療効果がみられるまでに数週間の投与を必要とする。Molecular Psychiatry誌オンライン版2013年10月29日号の掲載報告。 研究グループは、マウス試験により、5-HT2C拮抗薬の抗うつ効果の発現について、発現までの期間や作用機序について検討した。 主な知見は以下のとおり。・5-HT2C拮抗薬の抗うつ効果の発現までの期間は5日と、現在の抗うつ薬の14日よりも速やかであった。・5-HT2C拮抗薬による亜慢性治療(5日間)により、抗うつ行動をもたらす効果があることが、慢性強制水泳検査(cFST)、慢性軽度ストレス(CMS)パラダイム、嗅球摘出パラダイムにおいて認められた。・また同治療により、抗うつ活性の従来マーカーである、cAMP応答配列結合タンパク(CREB)の活性、内側前頭前皮質(mPFC)における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現にも変化がみられた。・これらの効果発現は、プロトタイプの選択的セロトニン再取り込み薬(SSRI)シタロプラム(国内未承認)の亜慢性治療ではみられなかった。・mPFCにおけるBDNFの誘発には、中脳腹側被蓋野への5-HT2C拮抗薬の局注で十分であった。一方でドーパミンD1受容体拮抗薬治療は、5-HT2C拮抗薬の抗うつ活性効果を阻害することが認められた。・また、5-HT2C拮抗薬は、哺乳類において標的となるmPFCにおけるラパマイシン(mTOR)と真核生物伸長因子2(eEF2)を惹起することにより、迅速な抗うつ活性に結びついていた。・さらに、5-HT2C拮抗薬は、CMSによって誘発されたmPFC錘体神経細胞の萎縮を改善した。・亜慢性SSRI治療(抗うつ行動の効果をもたらさない)も、mTORとeEF2を活性化し、CMSによって誘発された神経萎縮を改善したが、これらの効果は抗うつ効果の発現として認めるには不十分なものであった。・以上のように、5-HT2C拮抗薬は、中脳皮質のドーパミン作用シグナリング強化という作用により、一般に考えられているように効果が速やかな抗うつ薬であることが明らかにされた。関連医療ニュース 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学

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第20回 診療ガイドライン その3:望まれる診療ガイドラインのかたち

■今回のテーマのポイント1.検察官には診療ガイドラインの「行間」を読むことはできない2.したがって、素人が読んでも理解できるようなガイドラインを作成することが肝要である3.システムエラー型であることを明記した事故報告書を作成しても、刑事訴追されるのがわが国の現状である。速やかにWHOドラフトガイドラインに即した事故調査制度に変更しなければならない事件の概要44歳女性(X)。乳がんと診断されたため、平成20年4月、左乳房部分切除術実施目的にてA病院に入院しました。手術当日午前8時55分。Xに対し、麻酔科医であるY医師が麻酔導入を行いました。その結果、Xは、人工呼吸器管理下に置かれ、自発呼吸のできない意識消失・鎮痛・筋弛緩状態となりました。Y医師は、Xに対する麻酔導入が終わり、バイタルサインも安定したことから、インチャージ(責任者)として別の手術室で後期研修医の麻酔導入を指導・補助するため、9時7分頃、手術室を出ました。なお、Y医師は、連絡用のPHSを携帯しており、手術室を出る際、看護師に対し、「インチャージのため退室するが、何かあったら知らせてほしい」と告げていました。9時15分頃、執刀医であるZ医師は、Y医師が不在のまま、看護師に手術台の高さおよび角度の調整をさせ、手術を開始しました。9時16分頃、Xに酸素を供給していた蛇管が麻酔器の取付口から脱落し、Xへの酸素供給が遮断されてしまいました。しかし、蛇管の脱落あるいはそれによるXの状態の異変に気が付く者はいませんでした。9時31分頃、看護師が、モニター上にSpO2の表示がないことに気付き、執刀医であるZ医師に伝えるとともに、PHSでその旨をY医師に伝えました。連絡を受けたY医師は、直ちに手術室に引き返したところ、蛇管が麻酔器から脱落しているのを発見しました。9時34分頃、直ちに用手換気に切り替えるなど応急措置を行いましたが、9時37分頃、Xは心肺停止となりました。Z医師や応援に駆け付けた医師らによる蘇生措置により、心拍の再開は得られたものの、Xには、低酸素脳症による高次脳機能障害および四肢不全麻痺が残ることとなりました。これに対し、横浜区検は、Y医師を「Xの身体の状態を目視するほか、同人に装着されたセンサー等により測定・表示された心拍数・血圧・酸素飽和度等を注視するなどの方法で同人の全身状態を絶え間なく看視し、異変があれば適切に対処すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、同日午前9時7分頃、漫然と同室から退室して約27分間にわたって前記手術室を不在にし、その間、同人の全身状態を看視するなどせずに放置した過失により、Xに完治不能の低酸素脳症に基づく高次脳機能障害及び四肢不全麻痺の傷害を負わせた」として、起訴(刑事訴追)しました。事件の判決検察官は、(1)麻酔担当医である被告人は、Xに全身麻酔を施したことにより、Xを自発呼吸のできない意識消失・鎮痛・筋弛緩状態にしたのであるから、Xの生命維持のため、呼吸管理をするなどして、Xの全身状態を適切に維持・管理することが不可欠となった、(2)したがって、被告人には、Xの身体の状態を目視するほか、Xに装着されたセンサー等により測定・表示された心拍数等を注視するなどの方法で、Xの全身状態を絶え間なく看視すべき業務上の注意義務があると主張するので、これについて付言する。(1)の点は、一般論としては、全くそのとおりである。しかも、(1)でいう、患者の全身状態を適切に維持・管理することが、麻酔担当医の役割であることも、異論はない。ここまでは、弁護人も認めるところである。しかし、そうであるからといって、(2)のように、麻酔担当医が、常時、手術室にいて、患者の全身状態を絶え間なく看視すべきであるとして、具体的な注意義務を導くのは、余りにも論理が飛躍しているというほかない。(1)のような事情は、別に本件に特有のものではなく、他の全身麻酔が行われる場合にも、共通していえることである。それでは、我が国の麻酔担当医が、当該医療機関での職務の体制や患者の容態、麻酔や手術の進行状況を問わず、全身麻酔をした患者に対し、手術室にいて絶え間ない看視をしているかといえば、決してそうではない(少なくとも、そうであるとの立証は、本件では全くされていない。)。確かに、検察官が援用する日本麻酔科学会作成の「安全な麻酔のためのモニター指針」によると、麻酔中の患者の安全を維持確保するため、「現場に麻酔を担当する医師が居て、絶え間なく看視すること。」という指針の記載がある。しかし、このモニター指針は、モニタリングの整備を病院側に促進させようという目的から作成されたものであり、麻酔科学会として目標とする姿勢、望ましい姿勢を示すものと位置づけられている(甲医師証言)。すなわち、この指針に適合せず、絶え間ない看視をしなかったからといって、許容されないものになるという趣旨ではない。なお、乙医師及び丙医師は、麻酔科医は絶え間ない看視を行うべきであるとの見解を、証人として述べているが、これは、麻酔科医が専門家として追求すべき手術中の役割は何かといった観点からの見解であって、我が国での麻酔科医の実情を述べるものではない。以上みてきたところによると、手術室不在という被告人の行動は、その不在時間の長さ(手術室に戻るまでに約27分間、蛇管が外れたときまででも、約9分間)からして、インチャージの担当として後期研修医の指導・補助をしていたという事情があったとはいえ、いささか長過ぎたのではないかとの問題がなくはないが、被告人の置かれた具体的状況、更には当時の我が国の医療水準等を踏まえてみたとき、刑事罰を科さなければならないほどに許容されない問題性があったとは、到底いいがたい。したがって、本件事故について、被告人には、検察官が主張するような、常時在室してBの全身状態を絶え間なく看視すべき業務上の注意義務を認めることはできない。以上のとおりであるから、被告人には、本件事故について過失は認められないから、本件公訴事実については、犯罪の証明がないことに帰着し、刑訴法336条により、被告人には無罪の言渡しをする。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(横浜地判平成25年9月17日)ポイント解説予定では、各論の4回目となるところでしたが、診療ガイドラインに関する重要な判決が出ましたので、今回は「診療ガイドライン その3」として紹介させていただきます。本事例では、日本麻酔科学会が作成した「安全な麻酔のためのモニター指針」に、麻酔中の患者の安全を維持確保するため、「現場に麻酔を担当する医師が居て、絶え間なく看視すること」と記載されていたことから、検察は、Y医師を刑事訴追したものと考えられます。しかしながら、判決にも記載されているように、医師不足が問題となっているわが国の医療現場において、同ガイドラインが勧告する「麻酔科医が絶え間なく看視すること」をすべての医療機関・手術室において実施することが不可能であることはご存じのとおりです。したがって、少しでも医療現場を知っている者が本ガイドラインを読めば、このガイドラインが述べているのは「あるべき理想的な姿」であって、将来的にそれに近づくことが望まれるものの、現在の医療現場においてそれを義務づけると、行える手術件数が著しく低下する結果、手術が受けられず死亡する患者が多数生じてしまうことから、現状における本ガイドラインの記載は、あくまで「目標」、「道標」に過ぎないと読み取ることができます。ですが、検察は、医療の素人ですし、医療現場を知りませんので、この医療従事者ならば当然把握できる「行間」を読むことができません。その結果、検察は、本ガイドラインの字面だけを捉え、Y医師を刑事訴追してしまったのです。裁判の結果、Y医師は無罪となりましたが、裁判中のY医師の心労は計り知れないものであったと思われます。このような不幸な事態が生じないよう、ガイドラインの作成に当たっては、その記載内容が医療従事者以外の者、特に検察官、弁護士に読まれることを十分に意識して作成する必要があるといえます。なお、報道によると、「毛利晴光裁判長は、言い渡しの後、『捜査が十分ではないのに起訴した疑いが残る。このような捜査処理がないことを望む』と検察側に注文をつけた」(読売新聞 2013年9月17日)と報道されており、現在でも裁判所が、医療現場に対する刑事司法の介入に謙抑的な姿勢を持っていることがうかがえます。本事例では、院内事故調査が行われ、事故調査報告書が公表されています。平成20年12月に作成された事故調査報告書では、「7.再発防止に向けた提言」において、1麻酔科医、外科医、看護師間の役割分担、連携が十分でなかったこと。さらに、麻酔科医不在時における全身管理の取り決めがないこと2麻酔器及び生体情報モニターに関する教育が不足していたこと3医師は経験を優先し、マニュアル等を重要視しないことがあること以上3つの根本原因を前提に、次のとおり再発防止策を提言する。と示しており、「8.終わりに」において、「今回の事故は、技術の巧拙の問題ではなく、それぞれの職種間あるいは個人の間の連携や意思疎通が十分でなかったこと、麻酔器モニターなど機器への慣れや過信等が根本的な原因であると考え、再発防止策を提言した。今後、病院をあげてこうした取組を進め、安全で安心な医療を確立しなければならない。特に医師は、指針やマニュアルが継続して遵守され、質の高い医療を提供していくよう、その中心となって取り組むよう要請する」と示し、本事例は、システムエラー型の事案であり、誰か特定の個人の責任に帰せしめることは適当ではない旨を示していたものの、残念ながら刑事訴追がなされてしまいました。本事故調査報告書に記載されているように、今後、同種事例が発生しないためにも、医療機関において改善すべき点はいくつもあります。したがって、本事例は広く知識として共有されるべきものと思われます。しかしながら、当事者が正直に話した結果、刑事訴追されるとすれば、だれも事故調査において正直に話せなくなってしまいます。本事例のような事故調査報告書の記載でも、刑事訴追がなされるのであれば、現状の事故調査システム自体に欠陥があると言わざるを得ません。「WHO draft guidelines for adverse event reporting and learning systems」にも明記されているとおり、報告制度によって処罰されないこと(non-punitive)、そのためには情報が秘匿(confidential)されなければならないことという世界標準に沿った事故調査システムが、速やかに構築されなければいけません。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)横浜地判平成25年9月17日

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01)ブルーライトアップの意味は?【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者昨日は東寺がブルーになっていました。あれは何ですか?医師実は昨日は「世界糖尿病デー」なんです。患者世界糖尿病デー?医師そうです。11月14日は世界糖尿病デーなんです。患者どうして、11月14日なんですか?医師11月14日はインスリンを発見したカナダ人のバンティング先生の生まれた日なんです。みんなで糖尿病を克服していこう、という日なんです。患者そうなんですか。どうしてブルーなんですか?医師ブルーは、国連や空を象徴するブルーみたいですね。みんなで糖尿病を克服していこうということで、ブルーの輪がシンボルマークとなっています。患者わかりました。私も頑張ってみます。●ポイント「今日は何の日」などの話題から、療養指導の話が広がります

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【新型マンモグラフィ登場】乳がんの診断精度向上に期待

 11月1日、GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、新型マンモグラフィであるデジタルブレストトモシンセシス「SenoClaire」の発売にあたり、東京都中央区で記者発表会を開催した。その中で、昭和大学乳腺外科准教授の明石 定子氏が「臨床の立場からSenoClaireへの期待」をテーマに講演を行った。 従来のマンモグラフィでは、感度に限界があり乳がんの20%が検出不可能であった。乳腺の密度が高くなるにつれ白く描出されるため、がんの検出感度は低くなる。乳腺の密度が高いことをデンスブレストというが、若年者ほどこの傾向が強く、乳がん発生リスクも高まることがわかっている。さらに、このデンスブレストは、私たち日本人を含むアジア人で多い傾向があるのもひとつの特徴である。 SenoClaireでは、1回の撮影で検査部位に異なる角度でX線を連続パルス照射し、撮影後コンピューターによって画像を再構成することで複数の断層画像を一度に得ることが可能となった。とくに、画像再構成に逐次近似法を採用したことで、従来の画像と比べアーチファクトを除去することが可能となり、デンスブレストに対しても検出感度が高くなった。 また、従来のマンモグラフィでは乳腺の重なりとがんの存在の見極めが困難なため、病変のない患者でも要精査となっていた現状があった。実際、検診により約10%が要精査となるが、そのうち97%が精査でがん所見が認められなかったとの報告もある。SenoClaireでは、奥行き方向のデータも収集し、薄いスライスに画像を再構成して観察することによって、これまで困難であった乳腺の重なりを解消し、より精度の高い情報を得ることが可能となった。 SenoClaireは、従来のマンモグラフィとほぼ同等の線量で撮影可能なため、被曝のリスクが上昇することもない。デンスブレストの視認性向上、要精査率の低減を可能にすることが期待される新技術を搭載したSenoClaireの登場により、今まで以上に乳がんの早期発見・早期治療への期待が高まっている。

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CV-A6感染の非定型手足口病、既往皮膚病変の拡大が特徴

 急性ウイルス性疾患の手足口病は、一般にコクサッキーウイルス(CV)-A16またはエンテロウイルス(EV)71感染により発症するが、近年、CV-A6が関連した非定型手足口病が報告されるようになっている。米国・エール大学のJason P. Lott氏らは、その臨床像および検査結果の特徴などを報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年11月号(オンライン版2013年9月10日号)の掲載報告。 研究グループは、2012年1月~7月の間に受診した、非定型手足口病を示唆する患者の病歴と検査値を特定して分析した。 皮膚病変の形態、分布を記録し、EV感染の検査はリアルタイムPCR(RT-PCR)法を用いて調べられた。EV属型は、カプシド蛋白質遺伝子配列を測定して評価した。 主な結果は以下のとおり。・同期間中に、成人2例、小児3例の非定型手足口病患者が特定された。・それら5例のうち4例は、広範な皮膚疾患を有した。・アトピー性皮膚炎の病歴を有する患者は2例おり、病変の広がりがみられた。・5例のうち4例において、緊急治療を要する全身症状が認められた。また成人2例はいずれも検査入院を要した。・全患者で、CV-A6感染が確認された。・著者は、本検討の結果は単施設調査という点で限定的であるが、CV-A6感染に起因する非定型手足口病において皮膚疾患の拡大がみられたという点は、診断および治療において臨床医を支援する情報となりうると報告している。

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「選択的迅速解離性ドパミンD2受容体拮抗薬」薬物動態の研究

 新規の抗精神薬として開発された選択的迅速解離性ドパミンD2受容体拮抗薬であるJNJ-37822681。ベルギー・ヤンセン・ファーマスーティカ社のEef Hoeben氏らは、健常者および統合失調症患者におけるJNJ-37822681の薬物動態を明らかにするために、母集団薬物動態モデルを開発し、最適用量を特定することを目的とした。その結果、5または7.5mgの1日2回投与は影響なし、あるいは最小限の影響にとどまる用量であること、10mgの1日2回投与は有効性と忍容性の最適なバランスを提供しうる用量であると思われたことを報告した。Clinical Pharmacokinetics誌2013年11月号の掲載報告。  3件の第I相試験と2件の第II相試験に登録された被験者378例よりデータを収集した。非線形混合効果モデルNONMEMを用い、母集団薬物動態パラメータおよびこれらパラメータに及ぼす共変量の影響を推定した。第IIb相試験における各被験者の定常状態での分布をシミュレーションした。第IIb相以降の試験における用量設定の助けとして、過去に実施された[(11)C]raclopride positron emission tomography(PET)試験で確立されたシグモイドmaximumエフェクトモデルから得られた薬力学パラメータと模擬曝露を合わせてD2受容体占拠状況をシミュレーションした。 主な結果は以下のとおり。・2-コンパートメントモデルにより、ベストフィットなデータが得られた。 ・有意な共変量は、性別、見かけのクリアランスに対するバイオアベイラビリティ、吸収速度定数に対する食事の影響であった。・女性は男性と比べ、クリアランスが11%高かった。・第IIb相試験で推定された薬物動態パラメータは、第IIa相試験で観察されたものと同様であった。・10mg、1日2回投与時のD2受容体占拠率は65~80%の範囲と推定された。また、20および30mg、1日2回投与時の占拠率は部分的または完全に80%に達した。・母集団薬物動態モデルによりJNJ-37822681の薬物動態が明らかとなり、第IIb相試験において信頼のおける用量を特定できた。・JNJ-37822681の5または7.5mgの1日2回投与は影響なし、あるいは最小限の影響にとどまる用量と思われた。10mg、1日2回投与は、有効性と忍容性の最適なバランスを提供しうるようであった。関連医療ニュース ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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PCI施行患者への搬送中の抗トロンビン薬投与/NEJM

 プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行患者に対するビバリルジン(国内未承認)の投与について、搬送中からの投与のベネフィットをヘパリン+GP IIb/IIIa阻害薬と比較検討した無作為化試験の結果、ビバリルジン単独群のほうが重大出血を有意に抑制し30日時点の臨床アウトカムを改善することが示された。急性ステント血栓症の発生は有意に高かった。フランス・ビシャ・クロード・ベルナール病院のPhilippe Gabriel Steg氏らEUROMAX研究グループが検討を行い報告したもので、NEJM誌オンライン版2013年10月30日号で発表された。同患者に対してビバリルジンが、ヘパリン+GP IIb/IIIa阻害薬よりもアウトカム(出血と死亡)の改善に優れることは先行研究で示されていたが、搬送中からの投与については明らかではなかった。プライマリPCIを受ける搬送中の2,218例をビバリルジンと対照群に無作為化 EUROMAX(European Ambulance Acute Coronary Syndrome Angiography)試験は、プライマリPCIを受ける患者に対するビバリルジン投与のベネフィットが、GP IIb/IIIa阻害薬や新規のP2Y12阻害薬の投与、橈骨動脈アクセスといった現状行われている入院前処置の選択肢と比べても不変であるかを評価することを目的とした国際無作為化オープンラベル試験であった。2010年3月10日~2013年6月20日の間に9ヵ国65施設から被験者2,218例が登録され、無作為にビバリルジン単独群(1,102例)または対照群(1,116例)に割り付けられた。被験者は、プライマリPCIを受けるため搬送中だったST上昇型心筋梗塞(STEMI)で、対照群には非分画または低分子量ヘパリン+GP IIb/IIIa阻害薬が投与された。試験薬の投与から冠動脈造影までの時間中央値は50分だった。 主要アウトカムは、30日時点の死亡または重大出血[冠動脈バイパス移植術(CABG)と非関連]の複合で、主な副次アウトカムは、死亡、再梗塞、CABG非関連の重大出血の複合であった。ビバリルジン群の相対リスク、主要アウトカム0.60、重大出血は0.43 結果、ビバリルジンは対照介入と比較して、主要アウトカムのリスクを有意に抑制した(5.1%対8.5%、相対リスク[RR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.43~0.82、p=0.001)。また、副次アウトカムのリスクも有意に抑制した(6.6%対9.2%、RR:0.72、95%CI:0.54~0.96、p=0.02)。 アウトカムを個別にみると、重大出血(CABG非関連)は有意に抑制した(2.6%対6.0%、RR:0.43、95%CI:0.28~0.66、p<0.001)が、死亡については抑制はしたものの有意差は示されず(2.9%対3.1%、同:0.96、0.60~1.54、p=0.86)、再梗塞については有意差は示されなかったが増大した(1.7%対0.9%、同:1.93、0.90~4.14、p=0.08)。 ステント血栓症については有意な増大がみられ(1.6%対0.5%、同:2.89、1.14~7.29、p=0.02)、とくに24時間以内の発生リスクが高かった(RR:6.11、95%CI:1.37~27.24、p=0.007)。 これらの結果は、サブグループ(プライマリPCIを受けた患者)解析においても変わらなかった。

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在宅高齢者への運動プログラム、重度損傷の転倒予防にも/BMJ

 高齢者の転倒を防止するよう構成された運動プログラムは、最も重度のものを含む転倒による損傷を予防可能であり、また、医療処置を要する転倒の発生率を低下することが、フランス・パリ第11大学のFabienne El-Khoury氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにされた。転倒およびそれにより生じる損傷は、高齢者にとって最も深刻かつ頻度の高い医学的問題の1つである。よりよく設計された運動プログラムは、在宅高齢者の転倒を防止することは可能だが、それが重篤から軽度までの異なる損傷のいずれをも予防できるかについては、明確なエビデンスはなかった。BMJ誌オンライン版2013年10月29日号掲載の報告より。異なる転倒関連の損傷に効果があるのか等についてシステマティックレビュー 研究グループは本検討において、地域の高齢者に対する転倒予防運動の介入について、タイプの異なる転倒関連の損傷に効果があるのか、またどの程度効果があるかを評価することを目的とした。 電子データベース(PubMed、Cochrane Library、Embase、CINAHL)および文献リストをソースに、該当する無作為化試験および関連レビューを発行開始時から2013年7月まで検索した。 解析にあたっては、選定した試験で使われていた症例定義をもとに、試験間の比較とプール解析を可能とするため、有害転倒の定義をより均一なカテゴリーに分類し直した。 各試験について有害転倒の発生率を抽出および算出し、評価を行った。あらゆる・医療に帰着・重篤・骨折の4つの転倒カテゴリーすべてで有意な効果 メタ解析の適格被験者は、17試験・4,305例だった。 転倒カテゴリーは、(1)あらゆる有害な転倒、(2)医療に帰着した転倒、(3)重篤な有害転倒、(4)骨折に至った転倒の4つが特定された。 結果、運動は4つのすべてのカテゴリーで有意な効果が示された。プール解析による率比は、(1)あらゆる有害な転倒(10試験)は0.63(95%信頼区間[CI]:0.51~0.77)、(2)医療に帰着した転倒(8試験)は0.70(同:0.54~0.92)、(3)重篤な有害転倒(7試験)は0.57(同:0.36~0.90)、(4)骨折に至った転倒(6試験)は0.39(同:0.22~0.66)だった。 しかし、すべての試験間に有意な不均一性が認められた(I2=50%、p=0.04)。

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第1回 メディカル仕事術(ライフハック)セミナーのご案内

 メディカル仕事術(ライフハック)委員会は、11月16日(土)に新日本有限責任監査法人とクラシコから協賛をうけ、『第1回 メディカル仕事術(ライフハック)セミナー』を開催する。《開催概要》 今回のセミナーの目玉企画は、以下の4つ。①なかなか教わる機会のない「英語論文の書き方講座」②ヘルスケアから日本の未来を創る為の目のツケどころ③知らないと損!「Evernote」の簡単便利な利用法④あなたのやりたいことをアナログ手帳で実現する「アナログ手帳で自己実現しよう」 新たなネットワーク作りや、仕事術についての情報交換などに役立つ、参加者同士の交流の場も設けられている。 総合司会は元テレビ朝日アナウンサーの吉澤 雅子氏。また、ドリンクやサプライズプレゼントも用意されている。【日時】11月16日(土) 15:00~18:00(開場14:30)【会場】霞が関ビルディング33階 セミナールームhttp://www.kasumigaseki36.com/access/銀座線 虎の門駅 [11番出口] 徒歩2分(その他 4駅からも徒歩10分以内)【対象】医療従事者、医療関係の社会人・大学職員、医療系学生(先着150人)【参加費】社会人 3500円、学生 2000円☆参加者全員に、セミナーで使う「メディカル手帳」をプレゼント!【申し込み方法】Facebookイベントページからお申し込みください。https://www.facebook.com/events/167769230096204/【タイムスケジュール】14:30 受付開始15:00 開演・趣旨説明15:05 英語論文の夢を叶えます!「英語論文の書き方講座」⇒初心者でもバッチリの英語論文の書き方・勉強の仕方を解説します。(講師:東海大学医用生体工学科教授 高原太郎氏)15:45 20分で、未来を考えましょう。「ヘルスケアから未来創造」⇒医療界を目指す皆さんと一緒に日本の未来創造について熱く考えます。(講師:慶応大学環境情報学部准教授 森川富昭氏)16:10 切れ味抜群のITツール、Evernoteの活用極意を教えます!「Evernote 活用講座」⇒「Evernote」という道具の意味、利用法について説明します。(講師:慶應義塾大学医学部6年 吉永和貴氏)16:30 休憩16:45 「アナログ」手帳の活用で、あなたの計画を成就させよう(講師:東海大学教授 高原太郎氏)17:15 交流会18:15 会場片づけ・撤収18:30 クローズ【スピーカープロフィール】・森川富昭氏 慶応大学環境情報学部准教授・高原太郎氏:東海大学工学部 医用生体工学科教授医学博士・放射線科専門医著書に「PowerPoint 疑問氷解」「MRI 自由自在」等・吉永和貴氏:慶應義塾大学医学部6年 医療系ビジネスコンテストPerry2013代表【総合司会プロフィール】・吉澤 雅子氏フリーアナウンサー、元テレビ朝日アナウンサーKEE'S アナウンススクール&話し方講師アナウンサー志望者、ミスコン出場者、ビジネスパーソンの指導の他、医療系イベント司会、医大予備校面接講座、教授選プレゼンアドバイザーも担当。【主催】メディカル仕事術(ライフハック)委員会【協賛】新日本有限責任監査法人(http://www.shinnihon.or.jp/)クラシコ株式会社(http://www.clasic.jp/)

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エキスパートに聞く!「糖尿病診療」Q&A 2013 Part1

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。今回は「糖尿病診療」のなかでも「インスリン療法」について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。明日の診療から使えるコツをお届けします。早期から基礎インスリン療法を開始すべきかどうか教えてください。2型糖尿病診断初期から基礎インスリンのみならず、強化インスリン療法を用いて血糖値を正常化することが、経口糖尿病薬で治療するよりも、その後インスリン治療を止めて1年後の膵β細胞機能にとって望ましく、無治療でいられる人の割合も高いことが報告されています1)。また、平均推定罹病期間4.5年の2型糖尿病においても、中間型インスリンの2回打ちと超速効型インスリン3回の強化インスリン療法で、4週間血糖値を正常近くまでコントロールすることがインスリンのGIPとGLP-1に対する反応を改善することも報告されています2)。わが国においても、私の前職の順天堂大学にて、1型/2型糖尿病において持効型インスリンが外来で安全に使用でき、非常に有効な手段であることを報告してきました3)。HbA1c7%以上が続いている場合には、基礎インスリンによるBasal-supported Oral Therapy(BOT)でもよいので4)、積極的にインスリンを導入することが大切でしょう。●引用文献1)Weng J, et al. Lancet. 2008; 371: 1753-1760.2)Hojberg PV, et al. Diabetologia. 2009; 52: 199-207.3)Kanazawa Y, et al. Endocr J. 2007; 54: 975-983.4)弘世貴久. 続これなら簡単 今すぐできる外来インスリン導入. メディカルレビュー社; 2009.インスリンを使用したほうがよい患者さん、そうでない患者さんの鑑別をご教示ください。(1) 絶対的適応1型糖尿病が疑われる例、血糖コントロール不良の妊娠希望の女性、急性代謝失調発症者、または発症する危険性が高い患者さん(2) 相対的適応SU薬2次無効、無治療高血糖放置例、肝疾患、腎疾患合併例(3) 一時的なインスリン療法の適応急性感染症などのシックデイ、ステロイド治療時、中程度以上の外科手術時さらに詳しい解説は、以下の文献をご参照ください。●熊代尚記: 治療の目的と適応となる症例. インスリン療法最前線 第2版. 河盛隆造監, 弘世貴久, 綿田裕孝編, 日本医事新報社; 2008.p.21-24.●熊代尚記: インスリン療法開始の適応. 糖尿病薬物療法 BRUSHUP. 河盛隆造監, 綿田裕孝, 弘世貴久編, 日本医事新報社; 2011.p.82-84.インスリン導入を恐れる患者さんを説得するのに、よい言葉やいい回しをご教示ください。初めに血糖コントロール状況と合併症について説明します。自覚症状がなくても、慢性の高血糖が3大合併症や大血管障害の発症に関連していることを説明します。次に、患者を取り巻く家族や社会の状況を一緒に考え、本当に合併症が起きてもよいのか、合併症で身体が不自由な生活になっても困らないか話し合います。独り身で将来に希望がないような状況では、血糖コントロールをよくすることにまったく関心を持っていただけないかもしれません。しかし、糖尿病で通院を続けている患者さんたちは、何とかして欲しいという気持ちを少なからず持っているはずです。大事な家族や仕事、趣味などがあれば、それを守るために何とかしましょうと説得します。入院が望ましくても忙しくて入院ができない患者さんには、外来でも改善できますと安心させます。ここまで話して、インスリンについて話をします。安全性・有効性について、私はよく妊婦の話を出します。妊娠して、赤ちゃんがお腹にいて、糖尿病になる患者さんにわが国で唯一認められている治療薬がインスリンです。最も安全で生理的な薬だと説明します。そして、量を増やすことで確実に血糖値を下げることができると説明します。早ければ早いほど少量のインスリンで済むことが多いとも伝えます。さらに、どうしても不安、不信に思う患者さんには一時的な使用でもまったく構わないと伝えます。このような話に10~20分程度を要しますが、これで受け入れてもらえることが多いです。外来診療という限られた時間内で、どのようにインスリンを導入し、その後のフォローをしていけばよいか教えてください。インスリン注射に同意された後、実際にインスリンを導入する際に重要となるのは、いきなり低血糖を起こさないことです。ごく少量の基礎インスリン4単位くらいから始めると低血糖は問題になりません。受け入れの難しそうな患者さんには、まずはインスリン自己注射のみを指導して、後日、血糖自己測定(SMBG)を導入するほうが、抵抗が少ないです。実は痛みも、インスリン注射ではほとんどありませんが、SMBGでは針が太めでそこそこ痛いのです。また、効果が少ないインスリン量で始めているので、せっかく始めたインスリン療法に幻滅する恐れもあります。したがって、始めはインスリン自己注射のみ指導することが一つの有効な手段です。SMBG導入後、数日でインスリンの効果判定ができますが、診察間隔は予約状況次第です。数日おきに診察できるなら速やかにきめ細かくインスリン調節ができますが、予約の関係で1~数週間おきのフォローになるなら緩徐なインスリン調節が必要でしょう。このようなインスリン導入の際には、それまでの内服薬を一気に中止しないことも、導入後の急激な悪化を防ぐために重要です。そのほか、外来での導入では、看護師やその他のスタッフ教育もしっかり行い、協力していただくことが不可欠です。インスリンとほかの薬剤との安全な組み合わせの方法や、治療中に専門医へ紹介するタイミングなどをご教示ください。持効型インスリンとの併用としては、速効型インスリン分泌促進薬1)やα-グルコシダーゼ阻害薬やDPP-4阻害薬2)がよいでしょう。持効型インスリンは食前の血糖コントロールに適しているので、食後の血糖コントロールに適した内服を組み合わせることが望ましいです。一方、超速効型インスリンとの併用としては、グリメピリド(商品名:アマリール)0.5mgなどのごく少量のSU薬を夕食時に内服するかビグアナイド薬、チアゾリジン薬との併用がよいでしょう。超速効型インスリンは、食後の血糖コントロールに適しており、上述の内服で食前の血糖コントロールにも対応することができます。いずれの場合も注射薬の種類だけでなく病態によっても併用薬の選択肢は変わってきます。最近は高齢化で、患者さんも糖尿病以外にさまざまな合併症を患っていたりするので、併用する前にそれぞれの薬の適応の良否も判断しなければなりません。したがって、病状が複雑になってきた場合には、ご遠慮なく専門医へ紹介いただくのがよろしいかと思われます。●引用文献1)Kumashiro N, et al. Endocr J. 2007; 54: 163-166.2)Barnett AH, et al. Lancet. 2013 Aug 12.[Epub ahead of print].

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