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便のニオイで病原微生物がわかる?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第7回

便のニオイで病原微生物がわかる?面白い医学論文といえば、個人的にはクリスマスBMJがまず想起されます。世界的に有名なジャーナルであるBMJは、クリスマスの時期に一風変わったクリスマスBMJという興味深い医学論文を掲載しています。たとえば、訓練されたビーグル犬がClostridium difficileの同定のために便検体のニオイを嗅ぐことで、C.difficile感染かどうかを感度・特異度100%で鑑別できたなんていう報告があります(BMJ. 2012 Dec 13;345:e7396.)。クリスマスBMJはこういった面白おかしい内容を真面目に論じるところが読者の笑いを誘う企画なのですが、過去の論文を検索してみると、他の医学雑誌で便のニオイについて至極真面目に報告している報告がありました。Poulton J, et al.Diagnosis of rotavirus gastroenteritis by smell.Arch Dis Child. 1987 ;62:851-852.今から20年以上前に報告された東バーミンガム病院のPoulton医師らの論文で、「便のニオイによるロタウイルス胃腸炎の診断」という興味深いタイトルです。この臨床試験は、小児消化器病棟に勤務する看護師さんが便検体のニオイを嗅いで、ロタウイルス感染症かどうか判断するというものです。小児消化器病棟に勤務する看護師さんが、生後0~18ヵ月の小児23人から得られた下痢便検体を盲検下でニオイだけでロタウイルスかどうか判断しました。23人のうちロタウイルスは10人であることがわかっていますが、看護師さんには知らされませんでした。「わかりません」という回答は許可せず、「ロタウイルスである」と「ロタウイルスではない」の2種類の回答のみしか許されませんでした。3ヵ月にわたって合計33の検体が調査されました。その結果、便検体の69%がロタウイルス感染症か否かを正しく同定することができました。論文中では有意な結果と考察されていますが、どちらの回答でも2分の1の確率で正解するので、本当に有意といえるのかどうか微妙なラインだと思います。もう少し大規模な試験のほうが望ましかったかもしれません。ロタウイルス感染症で便が酸っぱいニオイになる原因として、ビフィズス菌や乳酸菌の代謝、スカトール、メルカプタン、硫化水素などの化合物のニオイがさまざまに組み合わさった結果ではないかと考えられています。研修医時代に小児科をローテートしている際、便の性状やニオイだけで「あー、これはロタだね」とベテランの看護師さんが言っていたのを思い出します。教科書的に白色がかった下痢便であればロタウイルスを疑うことはできますが、小児の下痢便のニオイだけでロタウイルスだと言い切る看護師さんってすごいなぁと感心した記憶があります。私もいくつかニオイを嗅いでみたのですが、小児の下痢便はおおよそ酸っぱいニオイを混じており、私にはロタウイルス感染症かどうか判断できるだけの嗅覚はありませんでした。最近小児科の看護師さんと話す機会があったのですが、「酸っぱい中に独特のニオイがするからわかる」という意見が多かったです。これはやはり、排泄物と接する機会が多いためだと思います。そういった経験もあってか、便に限らず看護師さんの「あのニオイは変だと思いますよ」という言葉を私は信じるようにしています。

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ステント留置患者における非心臓手術時の心事故リスク(コメンテーター:大野 貴之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(147)より-

現行のガイドラインでは、冠動脈ステント留置術後の非心臓手術の実施時期について、薬剤溶出性ステント(DES)は1年後、ベアメタルステント(BMS)は6週間後に延期することを推奨しているが、その根拠となるエビデンスは限られていた。 米国・アラバマ大学のMary T. Hawn氏らによる研究グループは、冠動脈ステント留置後24ヵ月以内に手術を受けた4万1,989例の退役軍人(VA)および非VAの全米患者を対象とした後ろ向きコホート試験を行った。試験は、冠動脈ステント留置後に非心臓手術を受けた患者における有害心イベント発生のリスク因子を特定することを目的とした。 対象コホートのうち、冠動脈ステント留置術を受けていたのは12万4,844例(DES:47.6%、BMS:52.4%)だった。そのうち術後24ヵ月以内に非心臓手術を受けていたのは2万8,029例(22.5%、95%信頼区間[CI]:22.2~22.7%)で、うち術後30日MACE発生例は1,980例(4.7%、95%CI:4.5~4.9%)だった。 ステント留置術を実施してから非心臓手術をするまでの期間が短いほど、MACE発生率(全死因死亡・心筋梗塞・心血行再建術)は高く、6週間未満では11.6%、6週間~6ヵ月は6.4%、6~12ヵ月は4.2%、12~24ヵ月は3.5%だった(p<0.001)。DESはMACEとの関連はみられず、またDES、BMSともに、MACEリスクはステント留置術後6ヵ月以降は安定した。また抗血小板薬の周術期投与中止とMACE発生との関連は認められなかった。結果を踏まえて著者らは、「DESとBMSのステントタイプおよび手術のタイミングについて強調している、現行のガイドラインについて再評価する必要がある」と提言している。 わが国の実際の臨床現場でも、非心臓手術(がん手術など)の術前検査で冠動脈疾患が診断されることはよく経験する。このような場合で冠血行再建術が必要と考えられる場合には、術後抗血小板薬投与が必須ではない冠動脈バイパス手術も考慮するのが望ましい。

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新規TKIポナチニブ、治療抵抗性の慢性骨髄性白血病に効果/NEJM

 新規チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ポナチニブ(国内未承認)は、既治療の慢性骨髄性白血病(CML)およびフィラデルフィア染色体陽性(Ph陽性)急性リンパ性白血病(ALL)の治療として、病期や遺伝子変異の有無にかかわらず有効であることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJ.E. Cortes氏らが実施したPACE試験で示された。CMLの1次治療にはイマチニブ(商品名:グリベック)が頻用され、高い奏効率が示されているが、約40%の患者で治療抵抗性または耐用不能な有害事象が発現する。治療抵抗性の主な原因はBCR-ABLキナーゼの変異とされるが、ポナチニブはT315I変異により既存のTKIに抵抗性を示す変異型および野生型BCR-ABLに対し強力な作用を有する経口TKIだという。NEJM誌2013年11月7日号(オンライン版2013年11月1日号)掲載の報告より。ほかのTKIに抵抗性のCML、Ph陽性ALLに対する効果を検証 PACE試験は、CMLおよびPh陽性ALLに対するポナチニブの有用性を評価する国際的な多施設共同第2相試験。対象は、年齢18歳以上、複数の既治療を有し、ダサチニブ(商品名:スプリセル)またはニロチニブ(同:タシグナ)に抵抗性もしくは耐用不能、あるいはBCR-ABL遺伝子のT315I変異を有するCMLまたはPh陽性ALL患者であった。 ポナチニブは45mgを1日1回経口投与した。治療は、病勢進行(PD)、投与中止を要する有害事象、患者の希望、担当医が治療終了と判断するまで継続することとした。 主要エンドポイントは、慢性期CMLが12ヵ月後の細胞遺伝学的Major寛解、移行期および急性期CML、Ph陽性ALLは6ヵ月後の血液学的Major寛解であった。慢性期CMLのMajor寛解達成例の91%で効果が1年以上持続 2010年9月~2011年10月までに、66施設から449例が登録された。慢性期CMLが270例、移行期CMLが85例、急性期CMLが62例、Ph陽性ALLは32例であった。全体の年齢中央値は59歳(18~94歳)、65歳以上が155例(35%)であった。フォローアップ期間中央値は15ヵ月だった。 慢性期CML(267例)の細胞遺伝学的Major寛解率は56%(前治療抵抗性/耐用不能例:51%、T315I変異例:70%)で、そのうち細胞遺伝学的完全寛解率は46%(40%、66%)であり、分子遺伝学的Major寛解率は34%(27%、56%)であった。 寛解は、BCR-ABL遺伝子変異の有無にかかわらずに達成され、かつ長期に持続した(細胞遺伝学的Major寛解の推定12ヵ月以上持続率:91%)。ポナチニブに対する抵抗性に関わるBCR-ABL遺伝子変異は検出されなかった。 移行期CML(83例)における血液学的Major寛解率は55%、細胞遺伝学的Major寛解率は39%であった。急性期CML(62例)ではそれぞれ31%、23%、Ph陽性ALL(32例)では41%、47%だった。 高頻度にみられた有害事象は、血小板減少(37%)、皮疹(34%)、ドライスキン(32%)、腹痛(22%)であった。重篤な動脈血栓性イベントが9%に認められ、このうち3%が治療に関連すると判定された。12%が有害事象により治療を中止した。 これらの結果により、著者は「ポナチニブは、病期や遺伝子変異の有無にかかわらず、既治療のCMLおよびPh陽性ALL患者の治療として臨床的に意味のある抗腫瘍効果を示した」と結論づけている。

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治療抵抗性高血圧患者への腎アブレーション:施行3年後の成績/Lancet

 治療抵抗性高血圧患者に対するラジオ波アブレーション腎除神経術(RDN)は、3年時点でも十分な降圧効果が認められたことが報告された。オーストラリア・モナシュ大学のHenry Krum氏らが同施術患者を長期に追跡したSymplicity HTN-1試験の最終報告として発表した。すでに同試験における術後1ヵ月、12ヵ月時点の評価において、同施術は治療抵抗性高血圧患者の血圧を大幅に下げることが示されていた。Lancet誌オンライン版2013年11月6日号掲載の報告より。有効性と安全性を6ヵ月ごとに評価し1年ごとに報告 Symplicity HTN-1試験は、長期3年にわたる有効性と安全性について評価することを目的としたオープンラベル試験で、オーストラリア、ヨーロッパ、米国の19施設で登録され153例のうち、同意を得た111例がフォローアップを受けた。 被験者は、適量投与の利尿薬を含む、少なくとも3剤併用降圧治療を受けている収縮期血圧160mmHg以上の患者を適格とした。 フォローアップでは、6ヵ月ごとに診察室血圧と安全性の評価が行われ、12ヵ月ごとに評価の報告が行われた。36ヵ月時点の血圧の低下-32.0/-14.4mmHg、10mmHg超降圧達成93% 36ヵ月時点で、患者88例から完全なデータを入手できた。それら患者のベースライン時の平均年齢は57歳(SD 11)、女性患者が37例(42%)、2型糖尿病を有する患者は25例(28%)、平均eGFR値85(SD 19)mL/分/1.73m2、平均血圧値175/98(SD 16/14)mmHgであった。 結果、36ヵ月時点でも有意な変化が、収縮期血圧(-32.0mmHg、95%信頼区間[CI]:-35.7~-28.2)、拡張期血圧(-14.4 mmHg、同:-16.9~-11.9)にみられた。 収縮期血圧の10mmHg超降圧を達成した患者は、1ヵ月時点で69%、6ヵ月時点81%、12ヵ月時点85%、24ヵ月時点83%、36ヵ月時点では93%だった。また36ヵ月時点の20mmHg超降圧達成患者は77%だった。 降圧効果は、年齢、腎機能、2型糖尿病有無の別でみた場合も有意な格差はみられなかった。 服用降圧薬の平均剤数は、ベースライン時5.0剤(SD 1.7)(全被験者)、36ヵ月時点5.2剤(SD 1.7)(同時点評価者)だった。 安全性については、追跡期間中、腎動脈狭窄1例、死亡3例が発生したがRDNとは無関係だった。

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StageIV大腸がんにおける原発巣切除は生存期間を延長-大規模コホート研究より

 StageIV大腸がん患者における原発巣切除のベネフィットに関して、現在報告されているエビデンスはきわめて質が低いものである。非ランダム化研究で原発巣切除のベネフィットが報告された場合、若年者で全身状態(PS)良好な患者を選択している可能性もある。カナダのShahid Ahmed氏らは、大規模な人口ベースのコホート研究において、進行大腸がんの原発巣切除による延命効果について、これまで報告されているバイアスを排除したうえで検討した。その結果、年齢、PS、合併症、化学療法などの予後変数に関係なく、原発巣切除がStageIV大腸がん患者の生存期間を延長することが示された。Cancer誌オンライン版2013年11月12日号に掲載。 本研究は、カナダ・サスカチュワン州で1992年~2005年に診断されたStageIV大腸がん患者を対象としたレトロスペクティブなコホート研究である。 適格患者1,378例が同定され、平均年齢は70歳(範囲:22~98歳)、男女比は1.3:1であり、そのうち944例(68.5%)が原発巣切除を受けた。また、1,378例のうち42.3%が化学療法を受け、19.1%が2次化学療法を受けた。生存率はカプランマイヤー法で推定し、ログランク検定で比較した。原発巣切除による生存期間延長効果については、Cox比例多変量回帰分析を用いて、ほかの予後変数を調整し評価した。 主な結果は以下のとおり。・全生存期間中央値は、化学療法単独例で8.4ヵ月(95%CI:7.1~9.7ヵ月)に対し、原発巣切除および化学療法施行例で18.3ヵ月(95%CI:16.6~20ヵ月)であった(p<0.0001)。・Cox比例分析により、化学療法施行(ハザード比[HR]:0.47、95%CI:0.41~0.54)、原発巣切除(HR:0.49、95%CI:0.41~0.58)、2次化学療法施行(HR:0.47、95%CI:0.45~0.64)、転移巣切除(HR:0.54、95%CI:0.45~0.64)が生存期間延長と相関していたことが示された。

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出生後1年間の抗菌薬暴露が小児期~若年成人期の湿疹に影響

 出生後1年の間に抗菌薬に曝露された小児は、0~25歳時に湿疹を有するリスクが1.4倍高く、出生前の胎児期の曝露よりも湿疹を呈する頻度が高いことが明らかにされた。英国・Guy's and St Thomas' Hospital NHS財団トラストのT. Tsakok氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。これまで先行研究の多くで、誕生後間もない時期に抗菌薬に曝露されると、湿疹を呈するリスクが高まることが示唆されていた。British Journal of Dermatology誌2013年11月号の掲載報告。 研究グループは、先行研究で示唆された、抗菌薬曝露と湿疹リスクの増大について、胎児期の曝露または生後12ヵ月間での曝露について調べることを目的に、本検討を行った。 レビューは、両期間の曝露が、0~25歳の小児期~若年成人期にもたらす影響について評価していた観察研究を対象に行った。 主な結果は以下のとおり。・検索にて選定した20試験について、抗菌薬の出生前および出生後曝露と、湿疹発生との関連を調べた。・出生後の抗菌薬治療と湿疹発生との関連を評価していた試験は17件あった。それらのプールオッズ比(OR)は、1.41(95%信頼区間[CI]:1.30~1.53)であった。・追跡調査にて検討していた10試験のプールORは、1.40(95%CI:1.19~1.64)であった。それに対して、断面調査にて検討していた7件のプールORは、1.43(同:1.36~1.51)であった。・出生後の曝露には、有意な用量反応関係が認められた。・出生後1年の間に抗菌薬投与を受けるたびに、湿疹リスクは7%上昇することが示された(プールOR:1.07、95%CI:1.02~1.11)。・出産前の抗菌薬曝露と湿疹発生との関連を評価していた試験は4件で、プールORは1.30(95%CI:0.86~1.95)であった。・上記の結果を踏まえて著者は、「抗菌薬の曝露が、出生前ではなく出生後の1年間にあるほうが、湿疹を有する小児の頻度は高いと結論する」とまとめている。

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02)HbA1cの目標値を覚えてもらうには?【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者HbA1cは、どのくらいにしておいたらいいですか?医師このHbA1cを7%以下にしておくと、合併症になるリスクがかなり少なくなると思いますよ。患者7%が目標ですね。医師そうです。体温に例えて覚えておくといいかもしれませんよ。患者体温?医師そうです30を加えると、体温のようになります。6度台は平熱、7度台は微熱が続いている状態、8度台になるとかなり高熱と覚えておいて頂けるといいですね。患者なるほど。7度以下が目標ですね。医師そうなんです。まずは7%以下を目標としてください。患者わかりました。頑張って、7%を目指します。●ポイント体温など身近な例を用いると、患者さんにも覚えてもらえますね。

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CKDでも、RA系阻害薬にBeyond Blood Pressure Lowering効果は認められない。(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(146)より-

これまでの多くの基礎研究の成果から、RA系阻害薬には、他のクラスの降圧薬にはないextraordinaryな効果があるとされてきた。 ARBを対象にしたKyoto Heart Studyや、Jikei Heart Studyなどの日本発臨床研究は、このような基礎研究の成果によって導かれたConceptを証明する、いわばProof Of Conceptとなる研究であり、その意味で画期的であったが、データ改ざんによる不正によって論文撤回という事態を招いてしまった。 臨床研究であっても、基礎研究であっても、『RA系阻害薬に降圧を超えた効果があるか?』というClinical Questionに対する答えが複数存在するわけではない。基礎研究であるならば、対象となる実験動物特有のヒトと異なる生物学的背景(マウスには、レニンが複数存在するものもあり、I型アンジオテンシン受容体は2種類あるなど、必ずしもヒトと同一のRA系ではない)であったり、人為的な実験条件による結果のバイアスがもたらした誤った結論である可能性も無視はできない。 EBMでは、エビデンスのピラミッドとして一次文献、二次文献に階層的な地位を与えている。ランダム化比較試験の結果はEBMの最も重要な一次文献であるが、一次文献を集めたメタ解析、システマチック・レビューの結果が、より上位のエビデンスと考えられている。 BPLTTC(Blood Pressure Lowering Treatment Trialist Collaboration)は、WHOとISHという公的な団体が、降圧薬の薬効に関して、中立な立場から研究・解析を行ったメタ解析である1)。これまでに、ACE阻害薬とARBについて、虚血性心疾患をエンドポイントにして、降圧効果と心血管イベント抑制効果の違いを明らかにする成果を上げている2)。BPLTTCによる解析の精度を示すエピソードとして、ONTARGET研究の結果が両薬剤の回帰直線上にプロットされることがあげられ、BPLTTCによる解析がランダム化比較試験の結果を予測しうる精度をもっていると考えられる。 今回の研究は、BPLTTCグループのオーストラリア・シドニー大学のV Perkovic氏らによる、CKDに対する降圧薬の効果についてのメタ解析である。結果は、降圧による心血管イベント抑制効果を支持したが、降圧薬のクラスエフェクトは認められなかった。 CKD診療のミッションは、『心血管イベント抑制』と『腎保護』の両立にある。『腎保護』について、直近のVA NEPHRON-D研究の結果だけでなく、多くの研究がRA系阻害薬の限界を明らかにしている3)。降圧だけが治療の選択肢ではないが、『腎保護』に対する降圧の有効性について、BPLTTCによる質の高いメタ解析が待たれる。

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精神症状を有するパーキンソン病にピマバンセリンは有用/Lancet

 精神症状を有するパーキンソン病患者に対し、セロトニン5-HT2A受容体選択的拮抗薬ピマバンセリンは陽性症状を改善することが、第3相臨床試験の結果、報告された。米国・Cleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain HealthのJeffrey Cummings氏らが発表した。パーキンソン病患者では精神症状(幻覚や妄想を含む)を有する頻度が半数以上と高く、同患者の衰弱の要因になっているが難治性である。今回の結果を受けて著者は「治療法がほとんどない精神症状を有するパーキンソン病患者に、ピマバンセリンは有用である可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2013年11月1日号掲載の報告より。試験開始後43日目のSAPS-PDスコアの変化を比較 研究グループは、2010年8月~2012年8月にかけて、米国とカナダの医療機関を通じ、パーキンソン病で精神症状のある40歳以上の患者199例を対象に、二重盲検無作為化比較試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方にはピマバンセリンを40mg/日、もう一方にはプラセボを、それぞれ投与した。 試験開始後15日、29日、43日にそれぞれ評価を行った。主要評価項目は、試験開始43日後のパーキンソン病患者向けに改変した陽性症状評価尺度(SAPS-PD)スコアの変化だった。 被験者の平均年齢は72.4歳、女性の割合はプラセボ群が42%、ピマバンセリンが33%だった。ピマバンセリン群でプラセボ群に比べSAPS-PDスコアが約3ポイント減少 被験者のうち、プラセボ群90例、ピマバンセリン群95例について分析を行った。その結果、ピマバンセリン群では試験開始43日後のSAPS-PDスコアの変化は-5.79だったのに対し、プラセボ群では-2.73と、その格差は-3.06だった(95%信頼区間:-4.91~-1.20、p=0.001、Cohen's d=0.50)。 有害作用により服用を中止したのは、ピマバンセリン群では10例で、そのうち4例は服用後10日以内の精神障害または幻覚によるものだった。一方プラセボ群では、服用を中止したのは2例だった。 全体としては、ピマバンセリンの忍容性は良好で、安全性や運動機能悪化に対する有意な懸念はみられなかった。

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薬剤溶出ステント:ステントによる差はあるか?/Lancet

 第三世代の薬剤溶出ステントである、ゾタロリムス溶出ステントとエベロリムス溶出ステントについて検討した非劣性試験の結果、両ステントの有効性および安全性は同程度であることが明らかにされた。オランダ・Medisch Spectrum TwenteのClemens von Birgelen氏らによる無作為化単盲検多施設共同非劣性試験「DUTCH PEERS」の結果、示されたもので、著者は「いずれも優れた臨床アウトカムをもたらすものである」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年10月31日号掲載の報告より。オランダ4施設で被験者を募り非劣性試験を実施 第三世代の新しい永久ポリマーの薬剤溶出ステントは、前世代ステントよりも柔軟である点が複雑冠動脈病変への薬剤溶出を容易とする可能性があるが、耐久性について懸念されていた。 DUTCH PEERSは、臨床で使用される頻度が高い2つの第三世代ステントの留置を受けた全患者を対象に、安全性と有効性を評価することを目的とした試験であった。検討の対象となったステントはこれまでに比較検討されたことがなく、無作為化試験での評価が行われていなかった。 試験は、薬剤溶出ステント留置を有する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を必要とした18歳以上の患者で、オランダ国内4施設で被験者を募り行われた。 試験に用いられたステントは、コバルトクロム製のゾタロリムス溶出ステント(米国メドトロニック社製「リゾリュートインテグリティ」)と、プラチナクロム製のエベロリムス溶出ステント(米国ボストン・サイエンティフィック社製「プロマス・エレメント」)であった。 被験者は無作為に1対1の割合でいずれかのステント留置を受けるよう割り付けられた。その際、患者と試験結果の分析者は割り付け情報をマスキングされたが、治療の担当医には割り付け情報が知らされていた。 主要エンドポイントは、標的血管障害の12ヵ月時点の安全性(心臓死または標的血管関連の心筋梗塞)と有効性(標的血管再血行術)の複合とした。解析は、intention-to-treatにて行い、非劣性マージンは3.6%だった。ステントの長期変形はエベロリムス群のみで発生 2010年11月25日~2012年5月24日の間に、適格患者1,811例・標的病変2,371個が試験に登録された。試験期間中に、ST上昇型心筋梗塞を呈した患者は370例(20%)、非ST上昇型心筋梗塞例は447例(25%)であった。 ゾタロリムス群(906例)、エベロリムス群(905例)いずれの患者も、割り付けられた試験薬以外の治療が必要となった患者が非常に少なく(ゾタロリムス群6例[1%]vs. エベロリムス群5例[1%]、p=0.22)、ステントデリバリーが良好であることが示された。 12ヵ月のフォローアップのデータは、ゾタロリムス群で割り付け治療の同意を翻した1例分を除く1.810例から入手できた。 主要エンドポイントを呈したのは、ゾタロリムス群55/905例(6%)、エベロリムス群47/905例(5%)で、ゾタロリムス溶出ステントはエベロリムス溶出ステントに非劣性であることが示された(絶対リスク差:0.88%、95%信頼区間:-1.24~3.01%、95%CIの一方の上限値:2.69%、非劣性のp=0.006)。 主要エンドポイントの各要素について、両群間で有意差はみられなかった。また、確認されたステント血栓症は、ゾタロリムス群3例(0.3%)、エベロリムス群6例(0.7%)で有意差はなかった(p=0.34)。 ステントの長期変形は、エベロリムス群でのみ認められ、9/905例(1.0%)、これに対しゾタロリムス群は0/906例で有意差がみられた(p=0.002)。埋込件数でみるとエベロリムス群の発生は9/1,591例(0.6%)だった。ただし、関連するいかなる有害事象も認められなかった。 以上の結果から著者は、「とりわけ急性心筋梗塞の患者数の多さを鑑みると、両ステントは同程度に有効で安全であり、優れた臨床アウトカムをもたらすものであった」と結論している。

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重症市中肺炎における肺炎球菌性の菌血症を予測できるか

 菌血症を伴う肺炎球菌性肺炎(BPP)患者では、プロカルシトニン(PCT)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、乳酸、CRPが有意に高くなることが示され、なかでも、PCTは肺炎球菌性の菌血症を同定するのに最も優れていることが、ポルトガル・セントロ病院集中治療部のJose Manuel Pereira氏らにより報告された。  とくに血清PCT値が17ng/mLより低ければ、重症市中肺炎であっても、肺炎球菌性の菌血症ではない可能性が高いことにも言及している。Journal of critical care誌2013年12月号の掲載報告。 本研究は、重症市中肺炎(Severe Community-Acquired Pneumonia:SCAP)患者における肺炎球菌性の菌血症のバイオマーカーの役割を評価することを目的とした、単施設前向き観察コホート研究である。 対象は、ポルトガル・セントロ病院の集中治療部に搬送された重症市中肺炎患者108例。白血球、CRP、乳酸、PCT、D-dimer、BNP、コルチゾールを抗菌薬の初回投与後、12時間以内に測定した。 主な結果は以下のとおり。・15例(14%)が菌血症を伴う肺炎球菌性肺炎(BPP)であった。BPPの患者は、それ以外の患者と比べて・CRPの中央値が有意に高い水準にあった(301 [四分位範囲IQR:230~350] mg/L vs 201 [IQR:103~299] mg/L;p=0.023)・PCTの中央値が有意に高い水準にあった(40 [IQR:25~102] ng/mL vs 8 [IQR:2~26] ng/mL;p<0.001)・BNPの中央値が有意に高い水準にあった(568 [IQR:478~2841] pg/mL vs 407 [IQR:175~989] pg/mL;p=0.027)・乳酸の中央値が有意に高い水準にあった(5.5 [IQR:4.5~9.8] mmol/L vs 3.1 [IQR:1.9~6.2] mmol/L;p=0.009)・ROC曲線下面積(the area under the receiver operating characteristic curve:aROC)より評価した識別力でみると、PCT [aROC, 0.79] が他のマーカーと比べて優れていた(乳酸 [aROC, 0.71] 、BNP [aROC, 0.67]、CRP [aROC, 0.70])。・PCTの17ng/mLのカットオフ値における感度は87%で特異度は67%であった。・PCTの肺炎球菌性の菌血症のバイオマーカーとしての陽性的中率は30%で陰性的中率は97%であった。

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日本発、統合失調症大規模臨床試験スタート:東京女子医大

 わが国において第二世代抗精神病薬(SGA)が臨床応用されるようになって17年、現在の統合失調症治療ではSGAを中心とした薬物治療が行われている。海外では各種SGAの長期的な有用性や転帰、社会的機能などに関して報告されているが、日本では大規模な研究は行われていない。東京女子医科大学の石郷岡 純氏らは、日本の医療環境下におけるSGAの治療中止率などを評価するため、JUMPs(Japan useful medication program for schizophrenia)試験を開始した。BMC Psychiatry誌2013年10月3日号の報告。 新規抗精神病薬の開発臨床試験(有効性試験)では、多くの場合、対象患者が限定される傾向にある。さらに、有効性試験では、短期間の精神症状スコアの変化と副作用が独立して評価される。このような試験結果を日常診療で一般化することは難しい。だが、統合失調症の長期的治療目標は、患者の社会活動を含むQOLの改善である。こうした中、長期転帰に関する有効性の検証がますます重要になってきている。 欧米諸国では、オランザピンやリスペリドン、他のSGA、第一世代抗精神病薬(FGA)と比較した研究が蓄積されている。しかし、日本においては、まだ大規模な有効性試験は行われていない。また、近年発売されたアリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドンによる長期転帰に関するデータは十分でない。そこで、著者らはこれら3剤の長期的な有効性を検討するため、JUMPs試験を実施することとした。 主な試験概要は以下のとおり。・本研究は、日本の医療環境下における、SGAの長期的な有用性を検討するためのオープンラベル多施設共同無作為化比較試験。・対象は、3剤の経口薬(アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドン)のうちいずれかで104週間治療を実施した20歳以上の統合失調症患者(他剤からの切り替え症例を含む)。・目標症例数300例。・一次エンドポイントは、任意の原因による治療中止率。二次エンドポイントは寛解率、社会活動の改善、緩和、精神症状の悪化や再発、安全性。関連医療ニュース 新規抗精神病薬は患者にどう評価されているか? 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

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高齢者では痛覚の内因性抑制系が減弱しているかもしれない

 高齢者では、疼痛調節能力の変化が疼痛の発生増加の一因となる可能性がある。若年および高齢の健常成人を対象とした研究で、疼痛刺激のわずかな減少による一時的な疼痛抑制(offset analgesia)が、高齢者では低下していることが示された。米国・フロリダ大学のKelly M. Naugle氏らによる検討を報告したもので、示された結果について著者は「年齢による痛覚の内因性抑制系の減弱を反映している可能性」を指摘している。Pain誌2013年11月号(オンライン版2013年7月16日号)の掲載報告。 研究グループは、熱痛覚のoffset analgesiaについて年齢による違いと末梢メカニズムの関与を検討する目的で、若年者25例と高齢者20例を対象に、手のひら側の前腕ならびに手のひらの無毛皮膚で、熱刺激による疼痛を調べる6試験を行った。  熱刺激は、最初の15秒間は疼痛性刺激を、その後5秒間は最初の刺激温度よりわずかに高い温度での刺激を、最後の10秒間は最初のテスト温度の刺激を連続して加え、各刺激中の疼痛強度を視覚的アナログスケール(0~100)で測定した。 主な結果は以下のとおり。・手のひら側の前腕では、若年者と比較し高齢者でoffset analgesiaの減少を認めた。 ・手のひらでは、すべての被験者においてoffset analgesiaはみられなかった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・知っておいて損はない運動器慢性痛の知識・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する

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エキスパートに聞く!「糖尿病診療」Q&A 2013 Part2

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。前回に引き続き、「糖尿病診療」のなかでも「インスリン療法」について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。明日の診療から使えるコツをお届けします。経口薬からインスリン治療を開始した患者に、経口糖尿病薬をどのように減量・中止させるべきかご教示ください。最近の外来では持効型インスリンでインスリン治療を開始し、Basal-supported Oral Therapy(BOT)とすることが多いでしょう。持効型インスリンが発売された今、10年前までの超速効型3回打ちでの導入ではなく、先にBOTで導入しておいて、効果不十分例に対してBasal-Plus療法として超速効型インスリンを1日1回から上乗せする方法が主流となりつつあります。その場合、SU薬を一気に減らすとコントロールを急速に乱す恐れがあるので、例えばグリメピリド(商品名:アマリール)なら1㎎ずつ徐々に減らしていき、0.5㎎で十分なコントロールが得られるようなら食後高血糖の選択的改善を狙ってグリニド薬やDPP-4阻害薬に変更するとよいでしょう。SU薬を通常量使っていて食後高血糖があるからといってSU薬をグリニド薬やDPP-4阻害薬にいきなり変えると、こちらもコントロールを乱す恐れがあるので勧められません。αグルコシダーゼ阻害薬との併用は有効です。インスリン抵抗性を改善するビグアナイド薬やピオグリタゾン(同:アクトス)は、BOTを始めるような状況では、いったん止めて薬を整理してもよいと思います。BOTを始めた際には、できれば一度最小限の内服まで減らして、1剤1剤本当に効果があるのかどうか、再確認しながら再開するとよいでしょう。■参考文献弘世貴久. 続これなら簡単 今すぐできる外来インスリン導入. メディカルレビュー社; 2009.p. 60-61.食事を摂りにくいときのインスリン使用のコツについて、教えてください。超速効型インスリンを用いて、食直後に、食事摂取量に応じて打つことが可能です。例えば具体的には、食事摂取量インスリン量7割以上平常と同じ量4~6割平常の半量3割以下打たずある程度食事摂取量が落ち着いたら、食直前の決まった単位打ちに戻します。もし、血糖値が高くなってしまったら、平常の量の設定を増やすか、食前に測定した血糖値に応じて、インスリンを増量して打つこと(通常のスライディングスケールを併用すること)も可能です。例えば具体的には、食前血糖 < 200mg/dL上記スケールでのインスリン量のまま食前血糖 200~299mg/dL上記スケールのインスリン量に2単位増量食前血糖 300~399mg/dL上記スケールのインスリン量に4単位増量食前血糖 400以上上記スケールのインスリン量に6単位増量インスリンから離脱できる症例や継続したほうがいい症例など教えてください。インスリン離脱には、治療薬が不要になる場合と経口薬に切り替わる場合の2つがあります。前者が望ましいのですが、後者になる場合は、相当な理由がない限り、経口薬にSU薬を使って(SU薬を代替に)インスリンから離脱することは避けるべきだと思います。インスリンから離脱できる症例の特徴として、罹病期間が短く、インスリン投与量が少ないということが以前に報告されています1)。また、われわれの検討でも、より若年で体重が重く、インスリン投与量が少ない患者において、超速効型3回 + 持効型1回の強化インスリン療法からミチグリニド(商品名:グルファスト)3回内服 + 持効型1回に変更できることがわかりました2、3)。罹病期間が短いこと、インスリン投与量が少ないこと、若年で体重が重いということはすべて内因性インスリン分泌が保たれていることを示唆していると思われます。内因性インスリン分泌の指標としてCペプチドインデックス(空腹時血清Cペプチド/空腹時血糖×100)というものがあり、0.8未満でインスリン依存の可能性が高いと考えられています。●引用文献1)菅田有紀子ほか. 糖尿病. 2004; 47: 271-275.2)Yoshihara T, et al. Endocr J. 2006; 53: 67-72.3)Kumashiro N, et al. Endocr J. 2007; 54: 163-166.一人住まいの高齢の患者さんに対するインスリンの適切使用の確認と管理について教えてください。高齢者では、視力障害、上肢の麻痺や振戦、認知症、うつ症状などの理由でインスリン自己注射が困難な例も多く存在します。補助器具や文字が大きいダイヤル式のインスリン注入器も利用できますが、それでも困難な場合は家人、往診医、訪問看護師、介護ヘルパーなどと協議します。自己注射の継続が不可能と判断された独居高齢者の場合は、往診医に連日注射してもらうか、注射のためにかかりつけのクリニックなどを連日受診するよう指導します。自力で受診できない場合には、介護ヘルパーの付き添いで受診します。それも不可能で、インスリン注射の継続が困難と判断された独居高齢者の場合は、各種経口血糖降下薬で対処するしかありませんが、内服薬の選択は慎重に行います。正確な内服管理すら不可能な場合や急性代謝失調に陥る危険性が高い場合には、入院や老健施設への入所が必要です。このような状況では、厳格な血糖管理は低血糖を招く危険が高いので、低血糖と著しい高血糖を予防するような血糖管理を行います。■参考文献熊代尚記: 高齢者のインスリン療法の方法と注意点. 糖尿病薬物療法 BRUSHUP. 河盛隆造監, 綿田裕孝, 弘世貴久編, 日本医事新報社; 2011.p.114-116.超高齢者へのインスリン治療で、気をつけなくてはいけないポイントについて教えてください。超高齢者であっても、インスリン療法開始の目安は、SU薬2次無効、急性代謝失調、重症感染症、外科手術時、重症肝障害・腎障害など、一般の2型糖尿病患者と同じであり、治療目的も、(1)急性代謝失調の予防、(2)糖尿病性合併症の発症・進展防止、(3)QOLの維持・向上と、一般の患者さんと同じです。しかし、高齢者では糖尿病の罹病期間や糖尿病性合併症の進展度、ほかの合併疾患もさまざまであり、加えて個々の社会的環境も異なるため、治療方針は個別に考慮する必要があります。超高齢者に対するインスリンの不適切な使用は無自覚性低血糖、認知症傾向、うつ症状を来しやすいので注意が必要です。食事摂取が不安定な場合には、超速効型インスリンを毎食ごとに用いると調節しやすいでしょう。また、感染症、ほかの病気、外傷時などの際(シックデイ)の対策(食事の摂り方、インスリン用量の臨時の調節、主治医への連絡が必要な場合の判断など)を本人と家人に指導し、連絡体制を確立しておくことも大切です。■参考文献熊代尚記: 高齢者のインスリン療法の方法と注意点. 糖尿病薬物療法 BRUSHUP. 河盛隆造監, 綿田裕孝, 弘世貴久編, 日本医事新報社; 2011.p.114-116.

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日本人における膝痛・腰痛の有病率と危険因子~全国9地域1万2,019人のデータより

 超高齢社会となったわが国では、高齢者のQOL維持や健康寿命の延長、医療費低減のために、筋骨格系疾患の予防対策が急がれる。しかしながら、本疾患の疫学エビデンスの集積はまだ十分ではない。東京大学医学部附属病院22 世紀医療センターの吉村 典子氏らは、全国9地域の1万2,019人の情報を統合したThe Longitudinal Cohorts of Motor System Organ(LOCOMO)スタディのデータを用い、膝痛と腰痛(およびその共存)について、有病率や関連因子を報告した。Journal of Bone and Mineral Metabolism誌オンライン版2013年11月9日号に掲載。 LOCOMOスタディは、筋骨格系疾患の予防を目的に設けたいくつかのコホートからの情報を統合するために、厚生労働省より助成金を受け2008年に開始された研究である。 著者らは、東京(2地域)、和歌山(2地域)、広島、新潟、三重、秋田、群馬の各都県に位置する9地域を含むコホートで1万2,019人(男性3,959人、女性8,060人)の情報を統合し、評価した。LOCOMOスタディのベースライン調査では、インタビュアーによるアンケート、身体計測、医療情報の記録、X線撮影、骨密度測定が行われた。 ベースライン調査の主な結果は以下のとおり。・膝痛の有病率は32.7%(男性27.9%、女性35.1%)、腰痛の有病率は37.7%(男性34.2%、女性39.4%)であった。・ベースライン調査で膝痛・腰痛の両方について調査された9,046人のうち、どちらの痛みもある人は12.2%(男性10.9%、女性12.8%)であった。・ロジスティック回帰分析により、「高齢」「女性」「高BMI」「農村地域居住」「腰痛あり」が、「膝痛あり」に有意に影響していることが示された。同様に、「高齢」「女性」「高BMI」「農村地域居住」「膝痛あり」は、「腰痛あり」に有意に影響していた。

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