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統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか

 統合失調症患者にみられる過度な喫煙行動について、米国・ミシガン大学のMika Hirasawa-Fujita氏らによる検討の結果、ミューオピオイド受容体(mu opioid receptor)機能欠損の一塩基遺伝子多型(SNP)が、統合失調症患者における喫煙を増加していることを明らかにした。また同女性患者では、ドパミンD2受容体の変異も喫煙行動の増大に関与していた。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2014年6月20日号の掲載報告。 精神に障害がある人では過度な喫煙がみられるが、その理由については明らかではない。研究グループは、内因性オピオイドやドパミンの作用機序が喫煙行動の強化に関与しているとして、ミューオピオイド受容体(OPRM1)A118G(rs1799971)遺伝子型、ドパミンD2受容体(DRD2)Taq1A(rs1800497)遺伝子型、および性差について検討した。喫煙者および非喫煙者の統合失調症および双極性障害患者を募り、遺伝子型分析を行った。被験者を3群に分類(現在喫煙、過去に喫煙歴あり、喫煙歴なし)し、1日当たりの喫煙本数を主要喫煙パラメーターとして評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は統合失調症177例、双極性障害113例であった。・統合失調症患者では、喫煙率は、予想どおり女性よりも男性で高かったが、1日の喫煙量は女性のほうが多かった(p<0.01)。・統合失調症でOPRM1 *G遺伝子型の患者は、AAアレル遺伝子キャリアの患者よりも、1日当たりの喫煙量が多かった(p<0.05)。・DRD2 Taq1A遺伝子型についての差は、1日当たりの喫煙本数に影響していなかった。しかし、GGホモ接合DRD2受容体を有している統合失調症の女性では、*A男性喫煙者よりも、喫煙量が多かった(p<0.05)。・双極性障害患者では、喫煙状態についてOPRM1、DRD2 Taq1A遺伝子型の差はみられなかった。・また双極性障害患者では、性差による喫煙行動の違いもみられなかった。・本検討により、統合失調症患者における喫煙行動の増大に、ミューオピオイド受容体機能欠損のSNPが関与していることが示唆された。・また、DRD2受容体機能の変異も、女性の統合失調症患者において喫煙行動を増大していることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響 統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか うつ病患者への禁煙治療、症状悪化の懸念は  担当者へのご意見箱はこちら

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HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与は有効か?(解説:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(220)より-

結核は依然としてHIV感染患者における重要な日和見疾患である。今までにsystematic reviewや後ろ向き観察研究などで、イソニアジド単独、あるいはイソニアジド+抗HIV療法によって結核発病のリスクを低減できることが示されてきた。WHOが途上国に向けて発信したガイドラインでは、HIV感染患者全例にイソニアジドの予防投与を行うことを推奨している。 しかしながら、抗HIV療法を施行している患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性について、強いエビデンスは存在しなかった。 本研究は、抗HIV療法施行中のHIV感染患者に対するイソニアジドの結核予防効果を検討したランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。エイズ、結核罹患率の高い南アフリカケープタウン近郊のカエリチャで実施された。 被験者を(1)イソニアジドを12ヵ月間予防投与する群(662例)と、(2)プラセボを投与する群(667例)に無作為に割り付けし、3,227人年が解析対象となった。スクリーニングの喀痰抗酸菌培養検査で判明した結核例は除外した。プライマリエンドポイントは、結核の発症(疑い例や不確定例も含む)とした。 その結果、イソニアジド群はプラセボ群と比較して37%結核発症率を低下させた(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.41~0.94)。Grade 3または4のALT値上昇のため試験薬投与を中断した患者数は、2群間で有意差を認めなかった(リスク比:1.9、95%信頼区間:0.90~4.09)。また、イソニアジド予防投与の効果が、ツベルクリン反応検査あるいはインターフェロンγ遊離試験が陽性の患者に限定されるというエビデンスは観察されなかった。 これらの結果を踏まえて、著者らは「結核発生リスクの高い地域では、ツベルクリン反応テストやインターフェロンγ遊離試験の結果にかかわらず、抗HIV療法を受けている患者全員に対してイソニアジドの予防投与を推奨すべきである」と提言している。 日本は先進国の中では結核罹患率の高い国ではあるが、アフリカ諸国などと比較すると低く、本試験の結果をそのまま日本での診療に当てはめることはできない。 しかしながら、米国のガイドラインでも潜在性結核感染を認めるHIV感染患者に対してはイソニアジドの投与を推奨しており、本邦でも潜在性結核感染と診断された場合には、イソニアジドの投与を検討してもよいかもしれない。ただし、イソニアジドの投与期間はガイドライン等によって異なり、議論の余地があると思われる。 HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性を検討したBOTUSA study1)では、主にツベルクリン反応陽性者において結核発症率の低下を示したが、本研究では、結核予防効果がツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験の結果に左右されず、対照的な結果となった。 結核が蔓延している国では、おそらく多くの結核例が新たな感染や再感染によるので、イソニアジドは潜在性結核感染の治療だけでなく、新規感染や再感染の予防や治療の役割を果たしていたのかもしれない。また、ツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験は、免疫不全が進行すると偽陰性となりやすいため、本試験の患者に偽陰性が多かった可能性は考えられる。【参考文献はこちら】1) Samandari T, et al. Lancet. 2011;377:1588-1598.

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44)ナトリウムから食品相当量への換算方法を教えるコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者塩分のとり過ぎには、気をつけているつもりなんですが、食品の栄養成分表示をみると・・・医師それはいいですね。どこをチェックしていますか?患者ナトリウムです。ナトリウムは塩分のことですよね。医師確かに、食塩(NaCl)には、ナトリウムも含まれていますが、塩素も含まれています。つまり、ナトリウムの2.5倍が食塩量ということになります。患者えっ、そんなに違うんですか!医師例えば、カップラーメンに「ナトリウム 2g」と書いてあったら、その2.5倍、つまり食塩が5g入っているということです。患者こりゃまさに「倍返し!」ですね。●ポイント間違えやすい食品の栄養成分表示を、わかりやすく教えましょう●資料食塩含有量(g)=ナトリウム含有量(g) × 2.54

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ADHDの世代間伝達に関連する独立リスク因子は

 米国・カリフォルニア大学のIrene Tung氏らは、注意欠如・多動症(ADHD)を有する親の子育て行動が、子供のADHD症状とどう関連するかを検討した。その結果、ADHDが子供に受け継がれる有意かつ独立した因子として“体罰”が挙げられることを報告した。子供のADHDの主要なリスク因子は、親のADHD症状を基礎とする複合的な関与の可能性が考えられているが、説明可能な因子は明らかになっていなかった。Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。 研究グループは、子育て行動における正ならびに負の側面(体罰、一貫性に欠けるしつけ、ポジティブな子育て行動、ネガティブな発言、ほめるなど)における相違が、親と子のADHDを関連づけるかどうかを検討した。アウトカム(子供のADHD症状)の予測因子(親のADHD症状など)ならびにメディエーター(子育て行動など)に着目したプロスペクティブ研究として実施した。ADHDの有無を問わず背景が明らかな小児120例(Wave 1:5~10歳、Wave 2:7~12歳)とその実の親を対象とし、複数の方法(観察、自己報告など) でポジティブおよびネガティブな子育て行動を評価し、Wave 1の親とWave 2の子供のADHD症状が連動して関連するかどうかを検討した。 主な結果は以下のとおり。・厳格なブートストラップ法からなる多様な媒介フレームワークを用いて検討した。・親のうつ症状、子供のベースライン時のADHDおよび反抗挑発症、子供の年齢を補正後、Wave 1の親のADHD症状とWave 2の子供のADHDを関連づけたのは、体罰が有意かつ唯一の因子であった。・子育て行動はADHDの世代間伝達に関連しており、これらの結果は小児ADHDへの介入と予防に応用可能と思われた。関連医療ニュース 小児ADHD、食事パターンで予防可能か 抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学 ADHDリスクファクターは「男児」「母親の就労」  担当者へのご意見箱はこちら

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肥満の閉塞性睡眠時無呼吸患者へのCPAP+減量介入の効果は?/NEJM

 肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の治療において、持続陽圧呼吸療法(CPAP)と減量介入の併用療法は、それぞれの単独療法に比べC反応性蛋白(CRP)値を改善しないことが、米国・ペンシルバニア大学のJulio A Chirinos氏らの検討で示された。肥満と閉塞性睡眠時無呼吸は併存する傾向があり、炎症やインスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧との関連が知られているが、その因果関係は解明されていない。これまでに行われた心血管リスクに関する減量介入の試験に閉塞性睡眠時無呼吸患者は含まれておらず、CPAPの試験で肥満への介入を含むものはないという。NEJM誌2014年6月12日号掲載の報告。併用による増分効果を無作為化試験で評価 研究グループは、肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の治療におけるCPAP、減量介入、CPAP+減量介入の効果を比較する無作為化試験を実施した。対象は、BMI≧30、中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸(無呼吸低呼吸指数[AHI]≧15回、AHI:睡眠1時間当たりの無呼吸、低呼吸の合計回数)、CRP>1.0mg/Lの患者とした。 CPAPは、個々の患者に合わせて機器を調整した後、毎晩施行した。減量介入は、週1回のカウンセリングを行い、カロリー摂取目標を体重114kg未満の患者は1,200~1,500kcal/日に、114kg以上の場合は1,500~1,800kcal/日に設定した。治療期間は24週であった。 ベースライン、8週、24週時に、CRP値(主要評価項目)、インスリン感受性(副次評価項目)、脂質値(同)、収縮期血圧(探索的評価項目)などを測定し、CPAPと減量介入の併用による各単独療法に対する増分効果の評価を行った。インスリン感受性の測定は、頻回採血ブドウ糖静注負荷試験で行った。CRP改善の増分効果はないが、厳格な治療遵守で収縮期血圧が改善 181例が登録され、併用群に62例(平均年齢49.0歳、男性53.2%、平均BMI 38.4、平均AHI 47.1回/時、高感度CRP中央値4.3mg/L)、CPAP群に58例(49.8歳、60.3%、39.8、41.2回/時、4.7mg/L)、減量群には61例(48.3歳、59%、38.1、39.7回/時、4.4mg/L)が割り付けられた。1回以上の評価が行われた146例が解析の対象となった。 24週の治療により、併用群と減量群ではCRP値(いずれもp<0.001)、インスリン抵抗性(p<0.001、p=0.01)、血清トリグリセライド(TG)値(p<0.001、p=0.03)が有意に改善したが、CPAP群ではこのような変化は認められなかった。収縮期血圧は3群のすべてで有意に低下した(併用群:p<0.001、CPAP群:p=0.02、減量群:p<0.007)。 併用群では、CPAP群や減量群に比べ、CRP値の有意な増分効果は認められなかったが、減量群ではCPAP群に比し有意に低下した(p=0.01)。また、併用群では、CPAP群に比べインスリン抵抗性(p=0.01)および血清TG値(p=0.046)が有意に改善したが、併用群と減量群には有意な差はなかった。 事前に規定されたアドヒアランスの基準を満たした90例(併用群:24例、CPAP群:39例、減量群:27例)を対象にper-protocol解析を行ったところ、併用群ではCPAP群、減量群に比べ、収縮期血圧(p<0.001、p=0.02)が有意に改善された。同様に、平均動脈圧も併用群が各単独群に比べ有意に改善した。 著者は、「CPAPと減量介入の併用によるCRP改善の増分効果は認めなかったが、併用レジメンの厳格な治療遵守により収縮期血圧で増分効果が得られる可能性がある」とまとめ、「肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の治療戦略では、減量介入が重要な要素であることが示唆される」と指摘している。

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慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは?

 慢性のかゆみは、患者にとって生活の質(QOL)の低下に直結する頻度の高い問題であるが、これまで両者を結び付けている因子に関して十分な検討は行われていなかった。米国・エモリー大学のChristopher W. Carr氏らは、同因子を明らかにするため、米国退役軍人を対象とした断面調査を行った。その結果、有意な影響を及ぼす因子が複数あり、それらが複雑に絡み合って影響していることを報告した。著者は、「これらの因子をきちんと認識することが、慢性のかゆみの臨床評価と治療の改善に結び付くであろう」と述べている。JAMA Dermatology誌2014年6月1日号の掲載報告。 研究グループは、慢性のかゆみのQOLへの影響を媒介する因子を明らかにするため、米国退役軍人を対象に電話調査を行った。被験者は、退役軍人病院患者データベースから抽出した。 主要評価項目は、ItchyQoLスコアを用いた多変量分析で統計的に有意であった予測因子(患者特性、慢性のかゆみの特徴)であった。 主な結果は以下のとおり。・6,000例に電話をかけ、1,075例から試験参加への了承を得た。そのうち慢性のかゆみを有していたのは405例であった。・統計的に有意であった、慢性のかゆみのQOLへの影響の媒介因子は、人口統計学的特性[年齢(p=0.007)、人種(p=0.05)、婚姻状態(p=0.04)]、個人特性[外向的(p=0.03)、神経質(p=0.01)]、かゆみの特性[重症度(p<0.001)、期間(p=0.01)、頻度(p<0.001)、部位(p=0.005)]、考えられる病因[皮膚vs. 全身性(p=0.03)]。・有意ではなかった因子は、性別(p=0.98)、社会経済的変数[教育レベル(p>0.99)、雇用状態(p=0.53)、所得(p=0.62)]だった。

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診察室より家庭での血圧が大切

Dr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライド診察室の血圧 は「お見合い写真」メモ診察室で測った血圧値は、いわば「お見合い写真」です。日常生活とは異なる環境で測定するため、ふだんの血圧値とは異なる場合も少なくありません。大切なのは、お見合いの姿(診察室の血圧)よりも、ふだんの姿(家庭血圧)なのです。監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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60歳過ぎたら収縮期血圧に注意

Dr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライド60歳 過ぎたら上の血圧 にご注目!メモ上の血圧は、高齢になるほど高くなり、下の血圧は、60歳くらいから低くなっていきます。若い方(60歳未満)は「下の血圧」、年配の方は「上の血圧」の変化にとくに気をつけましょう!監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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脈圧で血管年齢がわかる

脈圧 でDr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライド脈圧と生存率100血管年齢 がわかる!a 25-year follow-up of the seven countries study.年齢補正後の心血管疾患の生存率曲線対象:40-59歳の12,763例90生存率(%)80脈圧>59mmHg42-59mmHg<42mmHg7060051015202530経過した年数メモPanagiotakos DB, et al. Arch Intern Med. 2005; 165: 2142-2147.脈圧(上下の血圧の差)が大きい人ほど、血管が硬くなっていて、長生きする確率が低くなるという研究結果が出ています。監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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高血圧と糖尿病の合併には注意

Dr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライド高血圧と糖尿病 は悪友どうし!メモ高血圧の患者さんは、ほかに合併症をもつ場合が多い(高コレステロール血症、糖尿病、腎臓病など)。とくに高血圧と糖尿病の2つの病気をもっていると、血管病を起こす危険性が4倍~6倍に増加するので要注意!1+1=2ではなく、1+1=6になってしまうことも。監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか

 英国では、精神科病棟への入院の代替として、危機解決在宅医療チームによる地域ケアの利用がますます増えている。しかし、これらのチームによるケアが自殺率にどのような影響を及ぼすかについて、系統的な分析は行われていない。英国・マンチェスター大学のIsabelle M Hunt氏らは、危機解決在宅医療チームによる治療を受けた患者および精神科入院患者について、自殺率ならびに自殺者数の比較検討を行った。また、家庭または病院で自殺し、死亡した患者の臨床的特徴を評価した。Lancet Psychiatry誌オンライン版2014年6月18日号の報告。 2003年~2011年の国民保健サービス(NHS)データを基に、危機解決在宅医療チームによる治療を受けた患者または精神科入院患者のうち、自殺により死亡した18歳以上の患者を対象に後ろ向きに縦断的解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・1,256例(全自殺患者の12%)は、危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた(年間平均140例)。・分母が異なるためグループ間での直接比較は困難であるが、危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者(1万エピソードあたり:14.6例)は、精神科入院患者(同: 8.8例)よりも平均自殺率が高い傾向にあった。・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者における年間平均自殺者数は、80例(2003、2004年)から163例(2010、2011年)へと増加しており、調査期間の後半数年間では、精神科入院患者の2倍程度となっていた。・しかし、危機解決在宅医療チームによるケアを受ける患者は増加しており、調査の前半と後半の2年間を比較すると自殺率自体は平均18%減少していた。・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた自殺患者のうち548例(44%)は一人暮らしであった。また、594例(49%)は、最近不幸なライフイベントを経験していた。・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者の3分の1(428例)では、精神科病棟から退院後3ヵ月以内に自殺が起きていた。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ  担当者へのご意見箱はこちら

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大腸がん診断後のカルシウム・牛乳摂取量が生存率に関連

 カルシウム、ビタミンD、乳製品の高い摂取量は大腸がん発生率の低下と関連しているが、大腸がんの生存率に及ぼす影響は不明である。米国がん協会(ACS)のBaiyu Yang氏らは、大腸がん患者において、がん診断前後のカルシウム(全体、食事由来、サプリメント)、ビタミンD(全体、食事由来)、乳製品(全体、牛乳のみ)の摂取量と、全死因死亡率および大腸がん特異的死亡率との関連を評価した。その結果、非転移性大腸がん患者では、がん診断後における総カルシウムと牛乳の高い摂取量が死亡リスクの低下に関連する可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年6月23日号に掲載。 がん予防研究II栄養コホートのうち、本研究の開始(1992年または1993年)から2009年までの間に侵襲性の非転移性大腸がんと診断された2,284例を前向きに調査した。死亡の追跡は2010年まで行った。参加者の平均年齢は開始時64歳、診断時73歳で、女性が56%であった。診断前の危険因子情報は開始時のアンケートで収集した。また、診断後の情報は1999年と2003年にアンケートで収集し、1,111人から回収した。 主な結果は以下のとおり。・参加者中949人が追跡期間中に死亡し、うち大腸がんによる死亡が408人であった。・多変量補正Cox比例ハザード回帰モデルにおいて、診断後の総カルシウム摂取量は、全死因死亡率と逆相関し(最低四分位と比べた最高四分位の相対リスク[RR] 0.72、95%CI:0.53~0.98、傾向のp=0.02)、大腸がん特異的死亡率の減少との間に有意傾向が認められた(RR 0.59、95%CI:0.33~1.05、傾向のp=0.01)。・全死因死亡率との逆相関は、診断後の牛乳摂取量でも認められた(RR 0.72、95%CI:0.55~0.94、傾向のp=0.02)。しかし、ビタミンD摂取量では認められなかった。・診断前のカルシウム、ビタミンD、乳製品の摂取量は、いずれの死亡率とも関連していなかった。

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月1回投与のミノドロン酸、骨粗鬆症治療のアドヒアランス向上

 ビスホスホネート系薬剤は骨粗鬆症治療の第1選択薬である。服用方法が面倒であることが治療継続の大きな問題であったが、2011年、国内初となる月1回経口製剤のミノドロン酸50mg錠(商品名:ボノテオ、リカルボン)が登場した。産業医科大学整形外科学教室教授の酒井 昭典氏らは、従来のビスホスホネート系薬剤を継続するかミノドロン酸50mgに切り替えるかを患者の希望で選択してもらい、その後の治療継続性と効果などについて検討した。結果、ミノドロン酸50mgのほうが継続率も高く骨代謝も改善し上部消化管症状は少ないなど有用であることを報告した。Osteoporosis International誌オンライン版2014年6月5日号の掲載報告。週1回ビスホスホネートの月1回ミノドロン酸への切り替えで服薬継続率向上 研究グループの目的は、従来の1日1回または週1回投与のビスホスホネート系薬剤による治療を受けている骨粗鬆症患者を対象として、月1回製剤(ミノドロン酸50mg)への選好と、ミノドロン酸50mgの有効性および副作用について調査することであった。 従来のビスホスホネート系薬剤で治療中の骨粗鬆症患者を、患者自身の希望により月1回のミノドロン酸50mgへの切り替え群か継続群かに分けて6ヵ月間治療を行い、服薬状況や治療満足度を自己記入式アンケートにて評価するとともに、骨密度、骨代謝マーカー(血清TRACP-5b、血清P1NP)、腰痛および上部消化管症状を調査した。 週1回のビスホスホネート系薬剤による治療を月1回のミノドロン酸に切り替えた場合の有効性を評価した主な結果は以下のとおり。・月1回のミノドロン酸への切り替えを希望した患者(切り替え群)は264例、切り替え希望せずに週1回投与のビスホスホネート系薬剤による治療を継続した患者(継続群)は133例で、約3分の2の患者が切り替えを希望した。・月1回のミノドロン酸へ切り替えを希望した主な理由は、「服薬回数が少なく簡便である」ことであった。・服薬継続率は、切り替え群が継続群より有意に高かった。・切り替え群では、骨代謝マーカーが切り替え前異常値の場合は切り替え後に基準値範囲内に改善し、切り替え前基準値範囲内の場合はそれを維持した。・切り替え群では、腰痛と上部消化管症状が減少した。

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うつ病診療:混乱から地域連携へ 第110回日本精神神経学会学術総会

 第110回日本精神神経学会学術総会(会長:北里大学精神科学 宮岡 等氏)が、2014年6月26日(木)より、神奈川県横浜市にて開催された。会長の宮岡氏は、冒頭の会長講演「うつ病診療:混乱から地域連携へ」で、うつ病診療の現状の課題について同大学の取り組みも併せて紹介した。精神科医療にとって地域連携は今まで以上に重要になるようである。 同氏が北里大学に着任した当時の状況は、混乱と呼ぶにふさわしいものであったという。同大学のある相模原市は、精神科の大病院はもとより総合病院の精神科もなく、北里大学精神科が唯一の精神科大型入院施設という医療状況だった。こうした地域において、精神科クリニックは予約診療が主体であり、プライマリ・ケアクリニックで精神科医療を受けるべき患者がいても、十分に紹介できない。おのずと患者は同大学の精神科に紹介されることになる。その結果、大学の精神科で診るべき患者が診られない。さらに、回復した患者を地域に帰そうとしてもフォローアップする受け皿がない、という悪循環に陥っていたという。 そのような中、北里大学精神科では、「県北うつ病地域ネットワーク」を立ち上げた。地域での参加医師を集め、定期的な勉強会で診断や治療について検討し、また、患者さんの相互紹介の円滑化を図っている。この活動を通し、組織が整うのを待つのではなく、連携できる医師から活動を始めること、グループ内でコンセンサスを求め不適切な治療を減らしていくことが重要であるということが明らかになったそうだ。 宮岡氏は、今後解決すべき精神科診療の課題として、「医療機関の連携」、「精神医療の質の向上と均てん化」、「精神科救急」、「身体合併症医療」の4点を挙げている。とくに医療機関の連携については、「地域連携パスを早期に作成し、医療者が相互に担い合うことで、うつ病医療を推進していく必要がある」と述べた。

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APOC3遺伝子変異による低TG値でも虚血性血管疾患リスク減/NEJM

 APOC3遺伝子の機能欠失型変異により血漿トリグリセライド(TG)値が低下し、虚血性血管疾患のリスクが減少することが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAnders Berg Jorgensen氏らの検討で示された。非空腹時の血漿TG高値は虚血性心血管疾患のリスクを増大させることが知られている。APOC3遺伝子はアポリポ蛋白C3(APOC3)をコードする遺伝子で、その変異により非空腹時血漿TG値が低下するが、APOC3遺伝子変異を保因するため生涯にわたり低TG値の集団は、虚血性心血管疾患のリスクが低いか否かは、これまで明らかにされていなかった。NEJM誌2014年6月18日号掲載の報告。約7万6,000人を34年追跡し、変異とTG値、疾患の関連を解析 研究グループは、非空腹時TG低値と虚血性心血管疾患のリスク減少との関連を検討し、次いでAPOC3遺伝子の機能欠失型変異とこれらの疾患の関連を調査した。 解析には、デンマークで行われた2つの地域住民を対象とした前向き調査(Copenhagen City Heart Study[CCHS]、Copenhagen General Population Study[CGPS])に参加した7万5,725人(CCHS:1万333人、CGPS:6万5,392人)のデータを用いた。虚血性血管疾患は、虚血性心疾患または虚血性脳血管疾患と定義した。 フォローアップ期間中央値は34年で、この間に1万797人の被験者が虚血性血管疾患を発症し、このうち虚血性心疾患は7,557人であった。DNA検査は被験者全員で行われ、脂質検査は98%以上で実施された。TGだけでなく、HDLコレステロールやアポリポ蛋白A1、Bも良好 虚血性血管疾患および虚血性心疾患のリスクは、ベースラインの非空腹時TG値が低下するに従って段階的に減少し、<1.00mmol/L(90mg/dL)の被験者は≧4.00mmol/L(350mg/dL)の場合に比べ発症率が有意に低かった(虚血性血管疾患のハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.35~0.54、虚血性心疾患のHR:0.40、95%CI:0.31~0.52)。 APOC3遺伝子の3つのヘテロ接合型変異(R19X、IVS2+1G→A、A43T)が、非空腹時TG低値と実質的に関連していた(保因者260人、290人に1人の割合)。なお、CCHSの被験者の解析では、IVS2+1G→AとA43TはHDLコレステロールおよびアポリポ蛋白A1の増加とも関連していた。 これらAPOC3遺伝子のヘテロ接合性の機能欠失型変異の保因者は、APOC3遺伝子に変異のない被験者に比べ、非空腹時TG値が平均44%(0.77mmol/L[70mg/dL])低かった(p<0.001)。このTG値低下率は3つの変異型でほぼ同じだった(44~48%、いずれもp<0.001)。また、保因者は非保因者に比し、アポリポ蛋白Bが平均16%(17mg/dL)低く、HDLコレステロールが24%(0.38mmol/L[15mg/dL])、アポリポ蛋白A1が9%(15mg/dL)高かった。 虚血性血管疾患および虚血性心疾患の発症は、ヘテロ接合型変異の保因者で有意に少なく(それぞれp=0.009、p=0.05)、リスク減少率はそれぞれ41%(HR:0.59、95%CI:0.41~0.86、p=0.007)、36%(HR:0.64、95%CI:0.41~0.99、p=0.04)であった。 著者は、「APOC3遺伝子の機能欠失型変異は、TG値の低下および虚血性血管疾患のリスク減少と関連する」と結論し、「APOC3遺伝子は、心血管リスクの低減を目的とする薬剤の標的として有望と考えられる」と指摘している。最近、アンチセンス・オリゴヌクレオチドによりAPOC3遺伝子を阻害すると、アポリポ蛋白C3とTGが低下することが、動物実験やヒトの第I相試験で確認されているという。

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トファシチニブ単剤療法、活動性関節リウマチに対する有用性を確認/NEJM

 2年間のトファシチニブ単剤療法は、関節リウマチの徴候や症状の改善効果および関節の構造的損傷の進行の抑制効果が、メトトレキサートよりも良好であることが、韓国・ソウル大学校医科大学のEun Bong Lee氏らが行ったORAL Start試験で示された。メトトレキサートは関節リウマチの1次治療において最も使用頻度の高い抗リウマチ薬である。トファシチニブはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬と呼ばれる新たなクラスの薬剤で、既存の生物学的製剤が静注薬であるのに対し本薬剤は経口薬であり、すでにいくつかの第III相試験でその有用性が確認されているが、重症感染症や検査値異常などが問題とされる。NEJM誌2014年6月19日号掲載の報告。2年間の単剤療法の有用性を無作為化試験で評価 ORAL Start試験は、トファシチニブ単剤療法の有用性をメトトレキサート単剤療法と比較する二重盲検無作為化第III相試験。対象は、メトトレキサート投与歴がない、または投与歴はあるが治療用量に達していなかった中等度~重度の活動性関節リウマチ患者であった。 試験参加者は、トファシチニブ5mg(1日2回)を投与する群、同10mg(1日2回)を投与する群、メトトレキサートを8週間で20mg/週まで漸増する群に無作為に割り付けられた。1~3ヵ月は毎月1回、その後は3ヵ月に1回、24ヵ月まで受診することとした。 複合主要評価項目は、6ヵ月時のvan der Heijdeの改変による総Sharpスコア(0~448点、スコアが高いほど関節の構造的損傷が重度)のベースラインからの変化および米国リウマチ学会(ACR)判定基準の70%の改善(ACR70)の達成率とした。 ACR70は、圧痛関節数と腫脹関節数の双方が70%以上減少し、以下の5項目の基準のうち3項目が70%以上改善した場合とした。1)患者による疼痛の評価、2)身体機能障害の程度、3)C反応性蛋白(CRP)または赤血球沈降速度(ESR)、4)患者による病態の全般的な評価、5)担当医による病態の全般的な評価。6、12、24ヵ月時の改変総Sharpスコアの変化、ACR70達成率がいずれも良好 試験期間は2010年1月25日~2013年3月13日であった。登録された958例のうち実際に治療を受けたのは956例で、トファシチニブ5mg群が373例(平均年齢50.3歳、女性76.7%)、同10mg群が397例(49.3歳、82.4%)、メトトレキサート群は186例(48.8歳、78.0%)であった。 改変総Sharpスコアのベースラインから6ヵ月までの変化の平均値は、2つのトファシチニブ群がメトトレキサート群に比べ有意に低値であったが、変化の幅は3群ともに小さかった(トファシチニブ5mg群:0.2点、10mg群:<0.1点、メトトレキサート群:0.8点[メトトレキサート群との比較でいずれもp<0.001])。 12ヵ月時の変化の幅はそれぞれ0.4点、0.2点、1.2点(いずれの比較ともp<0.001)、24ヵ月時は0.6点、0.3点、2.1点(同p<0.001)と経時的に大きくなったが、群間の差には6ヵ月時と同様の傾向が認められた。 6ヵ月時のACR70の達成率は、トファシチニブ5mg群が25.5%、10mg群が37.7%であったのに対し、メトトレキサート群は12.0%であった(メトトレキサート群との比較でいずれもp<0.001)。12ヵ月時の達成率はそれぞれ28.7%、38.1%、15.2%(いずれの比較ともp<0.001)、24ヵ月時は34.4%、37.6%、15.2%(同p<0.001)であった。 24ヵ月間の重篤な有害事象の発現率は、トファシチニブ5mg群が10.7%、10mg群が10.8%、メトトレキサート群は11.8%であった。重篤な感染症はそれぞれ3.0%、2.0%、2.7%に認められた。有害事象による治療中止率は10.7%、10.3%、13.4%だった。 トファシチニブを投与された770例のうち31例(4.0%)に帯状疱疹が認められた。メトトレキサート群の186例では2例(1.1%)だった。6例でがん(3例はリンパ腫)が確定され、トファシチニブ投与例が5例、メトトレキサート群は1例であった。トファシチニブ投与例で4例が死亡した。 トファシチニブの投与は、好中球数および白血球数の減少、クレアチニン値の上昇、LDLおよびHDLコレステロールの上昇と有意な関連を示した。 著者は、「トファシチニブ単剤療法は中等度~重度の活動性関節リウマチ患者にベネフィットをもたらすが、有害事象のリスクとのバランスを考慮する必要がある」と指摘している。

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高血圧は全ての心血管疾患発症リスク:英国プライマリケア医登録研究(解説:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(219)より-

日本の「高血圧治療ガイドライン2014」では中年層の降圧目標が根拠が乏しいまま緩和されたが、それを再び見直す必要を思わせる英国プライマリ・ケア医登録追跡研究データである。 本研究の大きな特徴は英国でのプライマリ・ケア医に登録された患者の長期追跡であり、一般住民での検診をベースとした追跡研究と大きく異なる。したがっていわゆる虚弱体質や慢性炎症性疾患を有する例は含まれておらず、またすでに心筋梗塞、脳梗塞などの既往例も除外されており、あくまでも心血管疾患を初発するまでの追跡である。 結果は血圧が高いことが30歳から90歳までのどの年齢層にとっても、心血管疾患の発症のリスクであり、血圧が心血管系の大きな負荷であることをあらためて示した。心血管イベントにとって最も負担が少ない血圧レベルは収縮期血圧90~114 / 拡張期血圧60~74mmHgであり、J曲線はみられないことを示したが、至適血圧が120mmHgであることを確認した成績といえよう。 とくに収縮期血圧上昇と関連が深いのは脳出血、くも膜下出血、安定狭心症、心筋梗塞であり、拡張期血圧上昇と関連が深いのは腹部大動脈瘤であったという。とくに大動脈瘤は拡張期高血圧、脈圧が小さいことと関連していたのは意外である。 30歳代での高血圧患者における生涯心血管発症リスクは63.3%、正常血圧では46.1%であり、この世代で高血圧を有することは心血管発症を5年早める、という結果である。生活習慣病に関心をもたない健康過信世代の高血圧リスクに対する注意喚起を促す貴重なエビデンスである。 英国の医療制度は、国民の99%以上がプライマリ・ケア医に登録されて、プライマリ・ケア医から基幹病院へ紹介された場合も電子カルテで厳格に追跡されている。 患者はどの医療機関も選ぶことができるというわが国の医療システムとは根本的な違いがあるものの本研究の結果は、高血圧を降圧不十分なまま放置した場合の長期的予後を示す有用なエビデンスといえる。 最近、単年度の検診、人間ドック受診者150万人のデータから血圧基準を147mmHgと誤解を招くような発表を行った、日本人間ドック学会データとは根本的に異なるものである。

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酩酊患者の胸腔内出血を診断できずに死亡したケース

救急医療最終判決判例時報 1132号128-135頁概要酩酊状態でオートバイと衝突し、救急隊でA病院に搬送された。外観上左後頭部と右大腿外側の挫創を認め、経過観察のため入院とした。病室では大声で歌を歌ったり、点滴を自己抜去するなどの行動がみられたが、救急搬送から1時間後に容態が急変して下顎呼吸となり、救急蘇生が行われたものの死亡に至った。死体解剖は行われなかったが、視診上右第3-第6肋骨骨折、穿刺した髄液が少量の血性を帯びていたことなどから、「多発性肋骨骨折を伴う胸腔内出血による出血性ショック」と検案された。詳細な経過経過1979年12月16日16:15頃相当量の飲酒をして道路を横断中、走行してきたオートバイの右ハンドル部分が右脇腹付近に強く当たる形で衝突し、約5mはねとばされて路上に転倒した。16:20近くの救急病院であるA病院に救急車で搬送される。かなりの酩酊状態であり、痛いというのでその部位を質問しても答えられず、処置中制止しても体を動かしたりした。外観上は、左後頭部挫傷、右大腿外側挫傷、左上腕擦過傷、右外肘擦過傷を認めたが、胸部の視診による皮下出血、頻呼吸、異常呼吸、ならびに触診による明らかな肋骨骨折なし。血圧90/68、呼吸困難なし、腹部筋性防御反応なし、神経学的異常所見なしであった。各創部の縫合処置を行ったのち、血圧が低いことを考慮して血管確保(乳酸加リンゲル500mL)を行ったが、格別重症ではないと判断して各種X線、血液検査、尿検査、CT撮影などは実施しなかった。このとき、便失禁があり、胸腹部あたりにしきりに疼痛を訴えていたが、正確な部位が確認できなかったため経過観察とした。17:20病室に収容。寝返りをしたり、ベッド上に起き上がったりして体動が激しく、転落のおそれがあったので、窓際のベッドに移してベッド柵をした。患者は大声で歌うなどしており、体動が激しく点滴を自己抜去するほどであり、バイタルサインをとることができなかったが、喘鳴・呼吸困難はなかった。17:40容態が急変して体動が少なくなり、下顎呼吸が出現。当直医は応援医師の要請を行った。17:50救急蘇生を開始したが反応なし。18:35死亡確認となった。■死体検案本来は死体解剖をぜひともするべきケースであったが行われなかった。右頭頂部に挫創を伴う表皮剥脱1個あり髄液が少量の血性を帯びていた右第3-第6肋骨の外側で骨折を触知、胸腔穿刺にて相当量の出血あり肋骨骨折部位の皮膚表面には変色なし以上の所見から、監察医は「死因は多発肋骨骨折を伴う胸腔内出血による出血性ショック」と判断した。当事者の主張患者側(原告)の主張初診時からしきりに胸腹部の疼痛を訴え、かつ腹部が膨張して便失禁がみられたにもかかわらず、酩酊していたことを理由に患者の訴えを重要視しなかった受傷機転について詳細な調査を行わず、脈拍の検査ならびに肋骨部分の触診・聴診を十分に実施せず、初診時の血圧が低かったにもかかわらず再検をせず、X線撮影、血液検査、尿検査をまったく行わなかった初診時に特段の意識障害がなかったことから軽症と判断し、外見的に捉えられる創部の縫合処置を行っただけで、診療上なすべき処置を執らなかった結果、死亡に至らしめた病院側(被告)の主張胸腹部の疼痛の訴えはあったが、しきりに訴えたものではなく、疼痛の部位を尋ねても泥酔のために明確な指摘ができなかった初診時には泥酔をしていて、処置中も寝がえりをするなど体動が激しく、血圧測定、X線検査などができる状態ではなかった。肋骨骨折は、ショック状態にいたって蘇生術として施行した体外心マッサージによるものである初診時に触診・聴診・視診で異常がなく、喀血および呼吸困難がなく、大声で歌を歌っていたという経過からみて、肋骨骨折や重大な損傷があったとは認められない。死体検案で髄液が血性であったということから、頭蓋内損傷で救命することは不可能であった。仮に胸腔内出血であったとしても、ショックの進行があまりにも早かったので救命はできなかった裁判所の判断1.初診時血圧が90と低く、胸腹部のあたりをしきりに痛がってたこと、急変してショック状態となった際の諸症状、心肺蘇生施行中に胸部から腹部にかけて膨満してきた事実、死体検案で右第3-第6肋骨骨折がみられたことなどを総合すると、右胸腔内出血により出血性ショックに陥って死亡したものと認めるのが相当である2.容態急変前には呼吸困難などなく、激しい体動をなし、歌を歌っていたが、酩酊している場合には骨折によって生じる痛みがある程度抑制されるものである3.肋骨骨折部位の皮膚に変色などの異常を疑う所見がなかったのは、衝突の際にセーターやジャンパーを着用していたため皮下出血が生じなかった4.体外式心マッサージの際生じることのある肋骨骨折は左側であるのに対し、本件の肋骨骨折は右外側であるので、本件で問題となっている肋骨骨折は救急蘇生とは関係ない。一般に肋骨骨折は慎重な触診を行うことにより容易に触知できることが認められるから、診療上の過失があった5.胸腔内への相当量の出血を生じている患者に対して通常必要とされる初診時からの血圧、脈拍などにより循環状態を監視しつつ、必要量の乳酸加リンゲルなどの輸液および輸血を急速に実施し、さらに症状の改善がみられない場合には開胸止血手術を実施するなどの処置を行わなかった点は適切を欠いたものである。さらに自己抜去した点滴を放置しその後まもなく出血性ショックになったことを考えると、注射針脱落後の処置が相当であったとは到底認めることができない6.以上のような適切な処置を施した場合には、救命することが可能であった原告側合計6,172万円の請求に対し、5,172万円の判決考察ここまでの経過をご覧になって、あまりにも裁判所の判断が実際の臨床とかけ離れていて、唖然としてしまったのは私だけではないと思います。その理由を説明する前に、この事件が発生したのは日曜日の午後であり、当時A病院には当直医1名(卒後1年目の研修医)、看護師4名が勤務していて、X線技師、臨床検査技師は不在であり、X線撮影、血液検査はスタッフを呼び出して、行わなければならなかったことをお断りしておきます。まず、本件では救急車で来院してから1時間20分後に下顎呼吸となっています。そのような重症例では、来院時から意識障害がみられたり、身体のどこかに大きな損傷があるものですが、経過をみる限りそのようなことを疑う所見がほとんどありませんでした。唯一、血圧が90/68と低かった点が問題であったと思います。しかも、容態急変の20分前には(酩酊も関係していたと思われますが)大声で歌を歌っていたり、病室で点滴を自己抜去したということからみても、これほど早く下顎呼吸が出現することを予期するのは、きわめて困難であったと思われます。1. 死亡原因について本件では死体解剖が行われていないため、裁判所の判断した「胸腔内出血による失血死」というのが真実かどうかはわかりません。確かに、初診時の血圧が90/68と低かったので、ショック状態、あるいはプレショック状態であったことは事実です。そして、胸腹部を痛がったり、監察医が右第3-第6肋骨骨折があることを触診で確認していますので、胸腔内出血を疑うのももっともです。しかし、酩酊状態で直前まで大声で歌を歌っていたのに、急に下顎呼吸になるという病態としては、急性心筋梗塞による致死性不整脈であるとか、大動脈瘤破裂、もしくは肺梗塞なども十分に疑われると思います。そして、次に述べますが、肋骨骨折が心マッサージによるものでないと断言できるのでしょうか。どうも、本件で唯一その存在が確かな(と思われる)肋骨骨折が一人歩きしてしまって、それを軸としてすべてが片付けられているように思えます。2. 肋骨骨折についてまず、「一般に肋骨骨折は慎重な触診を行うことにより容易に触知できる」と断じています。この点は救急を経験したことのある先生方であればまったくの間違いであるとおわかり頂けると思います。外観上異常がなくても、X線写真を撮ってはじめてわかる肋骨骨折が多数あることは常識です。さらに、「肋骨骨折部位の皮膚に変色などの異常を疑う所見がなかったのは、衝突の際にセーターやジャンパーを着用していたため皮下出血が生じなかった」とまで述べているのも、こじつけのように思えて仕方がありません。交通外傷では、(たとえ厚い生地であっても)衣服の下に擦過傷、挫創があることはしばしば経験しますし、そもそも死亡に至るほどの胸腔内出血が発生したのならば、胸部の皮下出血くらいあるのが普通ではないでしょうか。そして、もっとも問題なのが、「体外式心マッサージの際生じることのある肋骨骨折は左側であるのに対し、本件の肋骨骨折は右外側であるので、本件で問題となっている肋骨骨折は救急蘇生とは関係ない」と、ある鑑定医の先生がおっしゃったことを、そのまま判決文に採用していることです。われわれ医師は、科学に基づいた教育を受け、それを実践しているわけですから、死体解剖もしていないケースにこのような憶測でものごとを述べるのはきわめて遺憾です。3. 点滴自己抜去について本件では初診時から血算、電解質などを調べておきたかったと思いますが、当時の状況では血液検査ができませんでしたので、酩酊状態で大声で歌を歌っていた患者に対しとりあえず輸液を行い、入院措置としたのは適切であったと思います。そして、病室へと看護師が案内したのが17:20、恐らくその直後に点滴を自己抜去したと思いますが、このとき寝返りをしたりベッド上に起き上がろうとして体動が激しいため、転落を心配して窓際のベッドに移動し、ベッドに柵をしたりしました。これだけでも10分程度は経過するでしょう。恐らく、落ち着いてから点滴を再挿入しようとしたのだと思いますが、病室に入ったわずか20分後の17:40に下顎呼吸となっていますので、別に点滴が抜けたのに漫然と放置したわけではないと思います。にもかかわらず、「さらに自己抜去した点滴を放置しその後まもなく出血性ショックになったことを考えると、注射針脱落後の処置が相当であったとは到底認めることができない」とまでいうのは、どうみても適切な判断とは思えません。4. 本件は救命できたか?裁判所(恐らく鑑定医の判断)は、「適切な処置(輸血、開胸止血)を施した場合には、救命することが可能であった」と断定しています。はたして本件は適切な治療を行えば本当に救命できたのでしょうか?もう一度時間経過を整理すると、16:15交通事故。16:20病院へ救急搬送、左後頭部、右大腿外側の縫合処置、便失禁の処置、点滴挿入。17:20病室へ。体動が激しく大声で歌を歌う。17:40下顎呼吸出現。18:35死亡確認。この患者さんを救命するとしたら、やはり下顎呼吸が出現する前に血液検査、輸血用のクロスマッチ、場合によっては手術室の手配を行わなければなりません。しかしA病院では日曜日の当直帯であったため、X線検査、血液検査はできず、裁判所のいうように適切に診断し治療を開始するとしたら、来院後すぐに3次救急病院へ転送するしか救命する方法はなかったと思います。A病院で外来にて診察を行っていたのは60分間であり、その時の処置(縫合、点滴など)をみる限り、手際が悪かったとはいえず(血圧が低かったのは気になりますが)、この時点ですぐに転送しなければならない切羽詰まった状況ではなかったと思います。となると、どのような処置をしたとしても救命は不可能であったといえるように思えます。では最初から救命救急センターに運ばれていたとしたら、どうだったでしょうか。初診時に意識障害がなかったということなので、簡単な問診の後、まずは骨折がないかどうかX線写真をとると思います。そして、胸腹部を痛がっていたのならば、腹部エコー、血液検査などを追加し、それらの結果がわかるまでに約1時間くらいは経ってしまうと思います。もし裁判所の判断通り胸腔内出血があったとしたら、さらに胸部CTも追加しますので、その時点で開胸止血が必要と判断したら、手術室の準備が必要となり、入室までさらに30分くらい経過してしまうと思います。となると、来院から手術室入室まで早くても90分くらいは要しますので、その時にはもう容態は急変(下顎呼吸は来院後80分)していることになります。このように、後から検証してみても救命はきわめて困難であり、「適切な処置(輸血、開胸止血)を施した場合には、救命することが可能であった」とは、到底いえないケースであったと思います。以上、本件の担当医には酷な結末であったと思いますが、ひとつだけ注意を喚起しておきたいのは、来院時の血圧が90/68であったのならば、ぜひともそのあと再検して欲しかった点です。もし再検で100以上あれば病院側に相当有利になっていたと思われるし、さらに低下していたらその時点で3次救急病院への転送を考えたかも知れません。救急医療

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自分が欲しい物をつくる【Dr. 中島の 新・徒然草】(023)

二十三の段 自分が欲しい物をつくる最近、空き時間に「スティーブ・ジョブズ(ウォルター・アイザックソン 著、井口 耕二 訳、講談社)」を読んでいるのですが、ヒントになることがたくさんあります。その1つに「みんな、iPod を自分のために作ったんだ」というスティーブ・ジョブズの言葉がありました。つまり iPod というのは音楽を愛するアップルの技術者たちが、「こんなものがあったらいいな、こんなものが欲しいな」と思いながら開発したのだそうです。これに対して他の会社は、それぞれにMP3プレイヤー製造技術やソフトウェア開発技術を持ち、似たような製品を発表したにもかかわらず、アップルの iPod に敗れ去ってしまいました。やはり「自分が欲しい物をつくる」人たちは、細部にわたるまで妥協することがないので、結果的に無敵の製品を作ってしまうわけです。われわれも、医師として自分の受けたい医療を実現する、市民として自分の住みたい社会を実現する、と考えて毎日を生きていくべきですね。もう少し現実的に考えれば、日々、高齢患者さんたちの訴えに耳を傾け、治療に創意工夫をこらすことが、自分自身の健康増進にも役立つ、といったところかもしれません。

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