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炎症性腸疾患へのTNF-α阻害薬、がんリスクは増大せず/JAMA

 炎症性腸疾患(IBD)患者に対するTNF-α阻害薬投与は、がんリスク増大と関連していないことが、デンマーク・血清研究所(Statens Serum Institut)のNynne Nyboe Andersen氏らによる同国レジストリ患者対象コホート研究の結果、報告された。追跡期間中央値3.7年で、TNF-α阻害薬曝露群と非曝露群の補正後がん発症率比は1.07であったという。TNF-α阻害薬治療後のがんリスクを含む有害事象の検討については、コクランレビューとネットワークメタ解析の結果、全国レジストリの大規模データベースに基づく評価が適切であるとの結論が示されていた。JAMA誌2014年6月18日号掲載の報告より。デンマークIBD患者5万6,146例を対象にTNF-α阻害薬曝露群と非曝露群を比較 被験者は、1999~2012年のデンマーク全国レジストリで15歳以上のIBD患者であると特定された5万6,146例だった。TNF-α阻害薬曝露群は4,553例(8.1%)であった。同曝露群のIBDサブタイプはクローン病54%、潰瘍性大腸炎46%。診断時年齢は33.7歳だった。 がん症例については、デンマークがんレジストリで特定した。 主要評価項目は、TNF-α阻害薬曝露群と非曝露群を比較したがん発症率比(RR)で、ポアソン回帰分析を用いて、年齢、暦年、罹患期間、傾向スコア、その他のIBD薬使用について補正後に評価した。追跡期間中央値3.7年、曝露群の発症率比は1.07 総計48万9,433人年(追跡期間中央値9.3年、四分位範囲[IQR]:4.2~14.0年)において、がんを発症したのは、曝露群81/4,553例(1.8%)(追跡期間中央値3.7年、IQR:1.8~6.0年)、非曝露群3,465/5万1,593例(6.7%)で、補正後RRは1.07(95%信頼区間[CI]:0.85~1.36)だった。 がんリスクは、初回TNF-α阻害薬曝露以降の時間経過により分析した結果においても有意な増大は認められなかった。すなわち、1年未満1.10(95%CI:0.67~1.81、1~2年未満1.22(同:0.77~1.93)、2~5年未満0.82(同:0.54~1.24)、5年以上1.33(同:0.88~2.03)だった。 また、TNF-α阻害薬投与量別の解析でも有意なリスク増大はみられなかった。RRは1~3剤1.02(95%CI:0.71~1.47)、4~7剤0.89(同:0.55~1.42)、8剤以上1.29(同:0.90~1.85)だった。 完全補正後モデルの分析の結果、特定部位のがんが有意に多いということも認められなかった。 なお研究グループは、「今回の追跡期間中央値3.7年の検討においては、TNF-α阻害薬の使用とがんリスクの増大の関連はみられなかったが、より長期間の曝露とリスク増大との関連を除外することはできない」とまとめている。

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肺塞栓症への血栓溶解療法、全死因死亡は減少、大出血は増大/JAMA

 肺塞栓症に対する血栓溶解療法について、全死因死亡は減少するが、大出血および頭蓋内出血(ICH)は増大することが、メタ解析の結果、明らかにされた。米国・マウントサイナイヘルスシステムの聖ルーク-ルーズベルトがん病院のSaurav Chatterjee氏らが、16試験2,115例のデータを分析し報告した。一部の肺塞栓症患者に対して血栓溶解療法は有益である可能性が示されていたが、これまで行われた従来抗凝固療法と比較した生存の改善に関する解析は、統計的検出力が不十分で関連性は確認されていなかった。JAMA誌2014年6月18日号掲載の報告より。16試験2,115例について血栓溶解療法vs. 抗凝固療法を評価 研究グループは、急性肺塞栓症患者を対象に、抗凝固療法と比較した血栓溶解療法の死亡率における有益性および出血リスクを調べた。被験者には、中リスクの肺塞栓症(右室不全を有するが血行動態安定)患者も対象に含めた。 血栓溶解療法と抗凝固療法を比較した無作為化試験を適格条件に、PubMed、Cochrane Library、EMBASE、EBSCO、Web of Science、CINAHLの各データベースを検索(各発刊~2014年4月10日まで)。16試験2,115例を特定した。そのうち8試験1,775例は中リスク肺塞栓症(血行動態安定で右室不全を有する)患者だった。 2名のレビュワーがそれぞれ試験データから患者数、患者特性、追跡期間、アウトカムのデータを抽出し検討した。 主要アウトカムは、全死因死亡と大出血で、副次アウトカムは、肺塞栓症再発およびICHのリスクとした。固定効果モデルを用いて、Peto法によりオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を求め関連を評価した。血栓溶解療法、全死因死亡は減少、大出血は増大 結果、血栓溶解療法は、全死因死亡を有意に減少した。血栓溶解療法群の全死因死亡率は2.17%(23/1,061例)、抗凝固療法群は3.89%(41/1,054例)で、ORは0.53(95%CI:0.32~0.88)、治療必要数(NNT)は59例であった。 一方で大出血リスクは、血栓溶解療法群での有意な上昇が認められた。同群の大出血発生率は9.24%(98/1,061例)、抗凝固療法群は3.42%(36/1,054例)で、ORは2.73(95%CI:1.91~3.91)、有害必要数(NNH)は18例だった。ただし大出血リスクは、65歳以下の患者では有意な増大はみられなかった(OR:1.25、95%CI:0.50~3.14)。 また、血栓溶解療法群ではICH増大との有意な関連が認められた。発生率は1.46%(15/1,024例)vs. 0.19%(2/1,019例)、ORは4.63(95%CI:1.78~12.04)、NNHは78例だった。 肺塞栓症の再発は、血栓溶解療法群において有意な減少が認められた。1.17%(12/1,024例)vs. 3.04%(31/1,019例)、ORは0.40(95%CI:0.22~0.74)、NNTは54例だった。 中リスク肺塞栓患者の分析においても、全死因死亡は減少(OR:0.48、95%CI:0.25~0.92)、一方で大出血イベントについては増大が認められた(同:3.19、2.07~4.92)。 なお著者は今回の結果について、右室不全を有さない血行動態安定の肺塞栓症患者には適用できない可能性があるとしている。

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【JSMO見どころまとめ(2)】小児がん患者のサバイバーシップ

 2014年7月17日(木)から福岡国際会議場ほかにて開催される、第12回日本臨床腫瘍学会学術集会に先立ち、先月27日、東京都中央区にて日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催された。そこで行われた、石井 榮一氏(愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学講座)による講演「小児がん患者のサバイバーシップについて」を簡潔にまとめる。【まとめ】・小児がんの予後は、化学療法の進歩や、造血幹細胞移植の導入、分子標的薬の登場などにより飛躍的に改善した。・小児がんサバイバーは、成長とともにさまざまな晩期合併症を来すだけでなく、保険加入や就労の問題など、社会的な偏見も多く残っている。・小児がんサバイバーを長期的にサポートするシステム作りと、小児科から成人診療科へのシームレスな移行が必要である。 本学術集会では、日本小児血液・がん学会との合同シンポジウムを通し、小児がん経験者を社会全体で支援する体制作りについて議論していく。< 小児がんに関する注目演題 >・Presidential Symposium / 会長シンポジウム  第12回学術集会長/日本小児血液・がん学会 合同シンポジウムテーマ:“小児がんサバイバーシップ” 日時:2014年7月18日 15:50~17:50   会場:Room 3(福岡国際会議場3F「メインホール」)【第12回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2014年7月17日(木)~19日(土)■会場:福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センター■会長:田村 和夫氏(福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学 教授)■テーマ:包括的にがん医療を考える~橋渡し研究、がん薬物療法からサバイバーシップまで~第12回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページ

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ホルモン療法未施行前立腺がん患者に対するエンザルタミドの効果

 エンザルタミドは、ドセタキセル投与後進行例の去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に対して承認されている抗アンドロゲン受容体阻害剤である。この試験では、ホルモン療法未施行患者群に対する、エンザルタミド単独使用の効果と安全性の評価を目的としている。オープンラベル、シングルアームの第II相試験で、ヨーロッパの12施設で行われた。対象は、テストステロン未去勢レベル、PSA2ng/ml以上、PS=0のホルモン未治療の前立腺がん患者。これらの対象患者に、エンザルタミド160mg/日を連日投与し、25週におけるPSAが80%以上減少患者の割合をプライマリエンドポイントとしている。ベルギー ルーヴァン・カトリック大学Tombal氏らの研究。Lancet Oncology誌2014年5月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・67例中62名92.5%(95%CI:86.2-98.8)で、25週における80%以上のPSA減少を認めた。・おもな有害事象として、女性化乳房24例、倦怠感23例、乳頭痛13例、ホットフラッシュ12例を認めた(いずれも軽度から中程度)。・Grade3以上の有害事象は、肺炎2例、高血圧4例(その他はいずれも1例)であった。 この試験の結果から、エンザルタミドはホルモン未治療の前立腺患者に対しても、一定程度の進行抑制と忍容性を有することが認められた。今後の非去勢前立腺に対する、さらなる研究が期待される。■「前立腺がんホルモン療法」関連記事ホルモン療法未治療の前立腺がん、ADTにアビラテロンの併用は?/NEJM

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にきび瘢痕の改善にニードリングデバイスが有効

 米国・ノースウェスタン大学のMurad Alam氏らは、にきび瘢痕に対するニードリングデバイス治療の有効性を評価する無作為化対照試験を行った。3回の治療後、対照群と比較して、にきび瘢痕の出現が改善したことを報告した。痛みの報告も最小限であった。ニードリングデバイスは、皮膚の表面を転がしながら用いるローラー状の針装置で、針がネオコラーゲン(neocollagenesis)に達することでにきび瘢痕の出現を減らすことが可能であるという。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年6月11日号の掲載報告。 検討は都市部の大学施設にて2009年11月30日~2010年7月27日に、単施設評価者盲検化1対1のスプリットフェイスでのプラセボ対照並行群間無作為化試験にて行われた。 顔の左右ににきび瘢痕がある20例の健康成人(20~65歳)を登録した。被験者の顔の片側を無作為に、ニードリング治療を行うよう割り付け、2週間ごとに3回、治療を行った。 主要評価項目は、2名の盲検化された皮膚科医が別々に評価した患者のにきび瘢痕であった。評価は、ベースライン時、追跡3ヵ月、6ヵ月時点に撮影された標準デジタル写真を入手し、定量的な総合瘢痕等級分類システムに基づき行った。 主な結果は以下のとおり。・20例のうち15例が本試験を完了した。有害事象で中断した被験者はいなかった。・追跡6ヵ月時点で、ベースライン時と比べて治療群は、平均にきび瘢痕数が有意に減少した(平均差:3.4、95%信頼区間[CI]、0.2~6.5、p=0.03)。・3ヵ月時点では、はっきりとした有意差は認められていなかった(同:2.4、-0.01~4.8、p=0.052)。・一方、対照群では3ヵ月時点(同:1.0、-1.4~3.4、p=0.96)、6ヵ月時点(同:0.4、-2.3~3.5、p>0.99)ともに有意な変化は認められなかった。・ニードリングデバイスについて、とくに痛みは報告されなかった。平均的な疼痛評価は10等級のうち1.08であった。・被験者のうち、治療を受けた側の瘢痕出現について全体的な改善が41%で認められた。・有害事象は報告されなかった。

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GABAA受容体修正にアリール・ピラゾール誘導体

 イタリア・チッタデッラ大学のMaria Paola Mascia氏らは、異なる分子構造(柔軟vs.制約的)で特徴づけられ、リモナバントやAM251と化学的結びつきのある複数のアリール・ピラゾール誘導体について、GABAA受容体機能の修正能力を調べた。結果、その構造特性により、GABAA受容体で異なる活性を示すことが明らかにされた。2014年6月15日号(オンライン版2014年4月1日号)の掲載報告。 研究グループはアフリカツメガエルの卵母細胞を用いて、複数のアリール・ピラゾール誘導体の組換え型α1β2γ2LGABAA受容体機能を修正する能力を調べた。2電極電圧クランプ法を用いて、6Bio-R、14Bio-R、NESS 0327、GP1aとGP2a(0.3~30μM)の影響について評価が行われた。 主な結果は以下のとおり。・6Bio-R、14Bio-Rは、GABA誘発Cl-電流を強化した。・NESS 0327、GP1aとGP2aは、GABAA受容体機能に影響を及ぼさなかったが、6Bio-Rに対して拮抗作用を有した。さらにNESS 0327は、リモナバントによって引き起こされるGABAA受容体機能の強化を阻害した。・ベンゾジアゼピン結合部は、これら合成物の活性に関与するように思われた。・たとえば、フルマゼニルは6Bio-Rによって引き起こされるGABAA受容体機能の強化を拮抗させた。NESS 0327はロラゼパム、ゾルピデムの活性を低下させたが、その一方で、“典型的”なGABA作動性修飾物質(プロパノール、麻酔薬、バルビツール、ステロイド)の活性を拮抗させなかった。・α1β2受容体において6Bio-RはGABA作動性機能を強化したが、フルマゼニルは、6Bio-Rにより引き起こされる活性を拮抗することが可能であった。・GABAA受容体でのアリール・ピラゾール誘導体の活性は、それらの分子構造に依存する。これらの合成物は、αβγ結合部位、γサブユニットを伴わないα/β部位の両部位に結合しており、抗けいれん効果を有する可能性がある薬剤構造の提供につながる可能性がある。関連医療ニュース 統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子を示唆:名古屋大学 抗認知症薬の神経新生促進メカニズムに迫る:大阪大学 統合失調症、双極性障害で新たに注目される「アデノシン作用」  担当者へのご意見箱はこちら

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脳卒中対応救急車はt-PAの治療開始時間を短縮し、実施率を高めた。(解説:内山 真一郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(221)より-

CT、簡易迅速血液検査、電子画像転送システムを装備した脳卒中対応救急車(STEMO)の効果を検討するPHANTOM-S研究がドイツのベルリン地区で行われ、発症からt-PA治療開始までの時間の有意な短縮効果とt-PA治療実施率の有意な改善効果が示された。 このようなシステムの構築には多額な経費が必要であり、企業との産学共同が必須である。公的資金を投入するのであれば費用対効果の検証が不可欠になるが、脳卒中救急診療の先進的な試みとして注目される。 日本では、電子画像転送システムによる脳卒中救急診療体制(tele-medicineまたはtele-stroke)の全国的なネットワークの構築さえ整備されておらず、このままではドイツにさらに差をつけられそうである。 画像機器やITの普及はドイツに決して劣っていないと思われるが、日本でも先進医療を脳卒中救急診療に導入するにはアカデミアと企業との協力体制の構築が急務である。

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豊富で質の高いコミュニケーションを交わす文化が医療の現場を変える

東北の医療の拠点、東北大学病院は約200年近い歴史を誇る。「患者さんに優しい医療と先進医療との調和を目指した病院」を理念に、今日も人口100万の仙台圏を中心に東北地方の命を守っている。同院でのコーチングの取り組みについて、齋木佳克氏(心臓血管外科 教授)ならびに岡本智子氏(診療技術部副部長・栄養管理室 室長)に話を聞いた。■コミュニケーションのハブ人材の育成が導入のきっかけ--メディカル・コーチング導入の経緯についてお聞かせください齋木氏当院は、高度先進医療を行う大学病院ということで、院内はかなり細分化、専門化しています。新しい治療法の導入や病院全体での取り組みを行う際、複数の部署と連携する必要があるのですが、部署間のコミュニケーションが不足している傾向があります。大学病院という、誰もが時間に追われている環境の中では、1つのことを決定するのに、さまざまな部門と調整をする必要があり、時間と労力を非常に要します。会議ひとつをとっても、いわゆる話し合いをする場ではなく、資料を見る場となってしまい、本質的な議論をすることができない場になってしまいがちです。日頃からのコミュニケーション不足が、そういったところに影響しているのかなと感じていました。岡本氏多職種で構成されるチーム医療が必要とされる医療の現場において、いろいろな職種が集まりさえすれば、チーム医療が実践できるのかといえば、そうではないのが現実です。チームがその役割を果たすためには、メンバーひとり一人のパフォーマンスを最大化できるリーダーの存在が必要で、このようなスキルを備える良い方法はないものかと模索していました。そんな時にコミュニケーションのハブとなる人材の育成を行うことを目的に、文部科学省大学教育改革支援事業の1つである2011年度「チーム医療促進のための大学病院職員の人材養成システムの確立」に申請し、選定されたのが、コーチング導入のきっかけとなりました。実は、これ以前に「医療安全」を目的にコーチングを部分的に院内に導入したことがあり、部署間のコミュニケーション改善にも効果があることが予想できていました。■コーチングは「院内のコミュニケーションを活性化させる」--導入準備やその時の苦労についてお聞かせください岡本氏院内でコーチング導入の提案・申請をした出江紳一氏(東北大学大学院医工学研究科教授)の研究室に、私が偶然所属していたので、コーチング・プロジェクトに参加する医療者向けに、導入の目的や内容を説明したり、ステークホルダー(コーチングを受ける人)を探したりということを率先して行いました。参加する医師については、出江先生が中心となり、「病院をより良い組織に変えたいと思っている人」「部下に主体的に仕事に取り組んで欲しいと思っている人」に声をかけてもらい、齋木先生はその1期生として参加されました。齋木氏正直、1期生に選ばれた時は、ちょっと困ったなと思いました。当時も自分の仕事の持ち時間を目いっぱい使って動いていたので、これ以上何かアクションが増えるのは厳しいなと。ただ興味もあり、今後チーム医療をさらに良くしたいという思いと自分もコーチングというコミュニケーション手法を身につけ、診療科にプラスになればいいと思い参加しました。コーチングの効果が最も具体的に表れたのは、手術の時です。当科は診療の内容上、臨時手術、緊急手術が多い。予定していなかった手術がいったん入ると、その瞬間から後の予定はすべてキャンセルになります。そういう時にコーチングで学んだこと、例えば岐路に立った時にどう考えればよいか、ポジティブになるような自問をどうすればできるかを自分が身につけ、その考え方を部下にも広げることで、いつでも気持ちの上で主体的に手術に入れるようになりました。岡本氏コーチングを学んでいくうちにわかったことは、学んだことを実践できるようになると、自分も周りも主体的に行動を起こすようになり、今までと同じ行動でも、考え方や気持ちのあり方が変わってくるということです。時間に追われるのではなく、自分たちの意志で時間を動かしていくんだという気持ちの切り替えができるようになり、業務効率の向上につながったのではないでしょうか。そういった点が、心臓血管外科ではうまく機能したのだと思います。--受講中の苦労、院内の動き、効果などをお聞かせください齋木氏コーチングのプロジェクトでは、5人のステークホルダーを選定し、それぞれの目標を明確にして面談し、その進捗状況や結果について自分につくプロのコーチと電話で相談します。当科では診療内容の性質上、1週間に2コマのトレーニング時間を確保するのが難しくて、なかなか進みませんでした。その都度電話でコーチに励まされて、積み重ねていったことが思い出されます。岡本氏当院独自の取組みとして、受講者がそれぞれ自分の活動について報告する1回30分の「グループコーチング」を実施しました。部署を率いるリーダーの立場の方々の苦労話や成功談を聞くことで横のつながりができ、日常の業務連携でも役立ったことを覚えています。よくコーチングを導入すると豊富で質の高いコミュニケーションを交わす文化が醸成するといわれますが、当院も日常会話の中でコーチング専門の用語が飛び交うようになるなど、院内でも確実にコーチングの認知度があがっていると感じます。こんなこともありました。ある部署の責任者が、私が参加しているある業務のワーキンググループが面白いと言ってきてくれたんです。理由を聞くと、「意見が出て、侃侃諤諤するけれども、最後にはきちんと決定がなされて、前進するから会議に出た充実感がある」と答えてくれました。コーチングを学んだことで、会議のマネジメントができるようになり、目標に向かって進むスピードが加速する。これは大きな成果だと思いました。■情報伝達がスピーディーに、震災時に真価を発揮--導入後どのような変化がありましたか。特に東日本大震災の時のエピソードなどお聞かせください岡本氏コーチングを導入して私が一番強く感じていることは、リーダーが部下の能力を最大限引き出すことができるようになったということです。また、リーダーは、リーダー同士の横のつながりを保ち、部下を成長させつつ、自分の力も見極めることができる。その結果、より良いチーム医療が行われつつあると実感しています。コーチングは、あらゆる場面で活用できると思いますが、各々のリーダーが所属する組織(部署)のゴールを目指す時に、特に有効かと思われます。医療機関であれば「より良い医療を患者さんに提供する」という大きなゴールを、スタッフは皆持っていると思います。各部署の小さなゴールを各リーダーが達成しつつ、大きなゴールにつなげていくことができれば、病院全体が1つのチームとしてすごい力を発揮できると考えています。例えば、東日本大震災の時は、すべきことがたくさんある中で、栄養管理室でさまざまな情報が下から上がってくるという仕組みができていたので、情報の収集とコミュニケーションでは本当に助かりました。私は、入ってくる情報を聞いて判断して、次の行動にすぐ移すことができました。部下に相談しても、きちんと次の動きを考えた意見や提案が上がってきたので、素早く判断することができました。おかげで震災の時、栄養管理室は、患者さんの食事を1食も欠かすことなく出すことができましたし、3,000人に上る職員への支援物資配分をスムーズに行うことができたのは、コミュニケーションをトレーニングしていたおかげだと思います。齋木氏トレーニングを進めていくにしたがって、360度フィードバックで自分の別の側面を見ることができたり、具体的な目標が対話を通じて明確に固まったりと、医局のマネジメントに非常に役に立ちました。今では当科の大学院生を育てる1つのコミュニケーション手法にもコーチングを活用しています。内勤や外勤先での診療や自分の研究で忙しい中、予定していた研究が何かの理由で中断された時でも、大学院生が主体的な気持ちで行動できるように、早朝に時間を見つけては1対1のコーチング面談を行っています。コーチング導入後は、大学院生の表情が変わっていくのが感じられました。今後は自分が学んだコーチングの簡易版を医局員にトレーニングすることで、主体的に動ける医局員を育てていきたいと思います。--今後コーチングを導入される医療機関へアドバイスなどお聞かせください岡本氏コーチングの手法を使ってマネジメントを展開させていく時は、お互いの成果を承認しあい、目標を皆で決めて、そこに向っていきます。その時、定期的な振り返りを行い、現状を把握した上で先々を予想し、戦略性を持って臨んでいくことが大事だと思います。小さな歯車がさまざまなところで回れば、大きな歯車も回っていくのだと実感しています。齋木氏コーチングを導入される場合、全体の核となる人を見つけることが大事だと思います。コーチングの魅力を感じたとしても、続けていくことは簡単なことではないので、全体を引っ張っていく、当院でいえば岡本さんのような人がいることが、成功のカギになると考えます。●病院概要名称東北大学病院病院長下瀬川徹診療科目57科病床数1,262床  看護基準 7対1職員数2,242名(常勤)その他特定機能病院、がん診療連携拠点病院、救急指定病院(救命救急センター設置)、臨床研究中核病院、臨床研修指定病院などインデックスページへ戻る

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メトホルミンへの追加薬、インスリンはSU薬よりも予後が不良/JAMA

 メトホルミン単剤で治療を開始した糖尿病患者にインスリン製剤を追加投与すると、スルホニル尿素(SU)薬を追加した場合に比べ、非致死的心血管疾患や全死因死亡のリスクが高いことが、米国・ヴァンダービルト大学のChristianne L Roumie氏らの検討で示された。糖尿病治療では、メトホルミンのみではHbA1c≦7%の達成が難しく、追加薬を要することが多いが、適切な薬剤選択のエビデンスは少ない。医師は、良好な血糖コントロールや膵β細胞保護作用への期待から早期にインスリン製剤を導入する傾向が高まっているが、患者は体重増加や低血糖への懸念から導入を遅らせたがることが多いという。なお、同氏らはインスリン製剤のほうがリスクが低いとの仮説のもとで本研究を開始している。JAMA誌2014年6月11日号掲載の報告。追加薬の違いによる転帰の差を後ろ向きに解析 研究グループは、メトホルミンで治療を開始し無効となった糖尿病患者において、追加薬剤としてインスリン製剤を導入した場合とSU薬を使用した場合の転帰をレトロスペクティブに評価した。 退役軍人健康庁(VHA)、メディケア、国民死亡記録(NDI)のデータベースを使用し、2001~2008年の糖尿病患者のデータを抽出した。患者の背景因子に基づく傾向スコアマッチング法を用い、メトホルミン+インスリン群とメトホルミン+SU薬群に1対5の割合でマッチングした。 Cox比例ハザード周辺構造モデルを用いて、治療群間の複合転帰(非致死的急性心筋梗塞[AMI]、脳卒中による入院、全死因死亡)のリスクを比較した。AMIと脳卒中の頻度は同等、全死因死亡に大きな差 2001~2008年に17万8,341例がメトホルミンで治療を開始し、そのうち2,948例がインスリン製剤を、3万9,990例がSU薬を追加していた。傾向スコアマッチング法でメトホルミン+インスリン群の2,436例とメトホルミン+SU薬群の1万2,180例がマッチングされた。 両群ともに、薬剤追加時の年齢中央値は60歳、男性が95%であり、メトホルミン単剤の投与期間中央値は14ヵ月、HbA1c中央値は8.1%であった。薬剤追加後のフォローアップ期間中央値は14ヵ月。 イベント発生数は、メトホルミン+インスリン群が172件、メトホルミン+SU薬群は634件で、1,000人年当たりの頻度はそれぞれ42.7件、32.8件であり、インスリンを追加したほうが転帰が不良であった(補正ハザード比[aHR]:1.30、95%信頼区間[CI]:1.07~1.58、p=0.009)。 AMIと脳卒中の頻度は両群間で同等であったのに対し、全死因死亡がインスリン追加群で高頻度に発生していた。すなわち、AMI+脳卒中のイベント発生数はそれぞれ41件、229件で、1,000人年当たり10.2件、11.9件(aHR:0.88、95%CI:0.59~1.30、p=0.52)、全死因死亡はそれぞれ137件、444件で、1,000人年当たり33.7件、22.7件(aHR:1.44、95%CI:1.15~1.79、p=0.001)であった。 副次評価項目であるAMI、脳卒中による入院、心血管死の複合転帰のイベント発生数は、メトホルミン+インスリン群が54件、メトホルミン+SU薬群は258件で、1,000人年当たりの頻度はそれぞれ22.8件、22.5件と両群で同等だった(aHR:0.98、95%CI:0.71~1.34、p=0.87)。 著者は、「インスリン製剤の使用に関連するリスクの原因を解明するためにさらなる検討を要する」とし、「この知見は、経口投与が可能な患者ではインスリン製剤とSU薬の効果は同等とする勧告に疑問を投げかけるもの」と指摘している。

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慢性腰痛に気功は本当に有効か?

 慢性腰痛の治療における気功の有効性は不明である。ドイツ・シャリテ医科大学のSusanne Blodt氏らは運動療法を対照に無作為化比較試験を行った。結果、気功が運動療法に比べ“劣っていない”ことは証明されなかった。著者は、「慢性腰痛の予防における気功の役割についてはさらなる研究が必要のようだ」とまとめている。European Journal of Pain誌オンライン版2014年6月5日号の掲載報告。 研究グループは、慢性腰痛の治療において運動療法に対する気功療法の非劣性を検証する無作為化比較試験を行った。 対象は慢性腰痛の外来患者127例(年齢46.7±10.4歳)で、気功療法群(64例)と運動療法群(63例)に無作為に割り付けて検討した。 気功療法は1回90分、運動療法は1回60分の治療を週1回、3ヵ月間(計12回)行い、視覚的アナログスケール(VAS)を用いて疼痛強度を評価した。 主要評価項目は、3ヵ月後の最後の1週間における疼痛強度の平均値であった。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月後の、補正後疼痛強度の平均値は、気功療法群34.8mm(95%信頼区間[CI]:29.5~40.2)、運動療法群33.1mm(同:27.7~38.4)であり、気功療法群の非劣性は示されなかった(p=0.204)。・両群で計10例に有害事象が疑われる報告(筋肉痛、めまい、疼痛など)があった。発生総件数は両群でほぼ同程度であった(気功療法群40件、運動療法群44件)。

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【JSMO見どころまとめ(1)】トランスレーショナルリサーチ

 2014年7月17日(木)から3日間にわたり、福岡国際会議場ほかにて、第12回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、先月27日、東京都中央区にて日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催された。そこで行われた、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院 呼吸器内科)による講演「トランスレーショナルリサーチ」について簡潔にまとめる。【まとめ】・近年、非小細胞肺がんにおいてEGFR遺伝子をはじめ、さまざまなドライバー遺伝子が同定されているが、EGFR遺伝子変異を除く多くのドライバー遺伝子の頻度は5%未満であり、これら希少肺がんに対する治療薬開発は困難となっている。・トランスレーショナルリサーチとは、新薬を開発し、臨床での試用経験から、その有効性・安全性を確認して日常診療へ応用していくまでの一連の研究過程をいい、橋渡し研究ともいう。・日本は、トランスレーショナルリサーチが遅く、弱点となっている。これは、研究機関だけの問題ではなく、産官学が一体となって取り組んでいく必要がある。・後藤氏らは、厚生労働科学研究費を基に、わが国初となる全国規模の遺伝子診断ネットワーク(LC-SCRUM-Japan)を組織し、2013年2月より希少肺がんの遺伝子スクリーニングを開始している。 本学術集会では、LC-SCRUM-Japanの詳細情報や、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)との合同シンポジウムを通し、日本と欧州における肺がんを中心としたトランスレーショナルリサーチの現状について議論していく。〈 トランスレーショナルリサーチに関する注目演題 〉・ESMO/JSMO Joint Symposium テーマ:“Translational Research” 日時:2014年7月17日(木)13:20~15:20  会場:Room 3(福岡国際会議場3F「メインホール」)・日本臨床腫瘍学会/ 日本がん分子標的治療学会/ 抗悪性腫瘍フォーラム/ 日本製薬医学会合同シンポジウム2 テーマ:“創薬における必要な橋渡し研究” 日時:2014年7月17日(木)15:20~17:20  会場:Room 3(福岡国際会議場3F「メインホール」)【第12回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2014年7月17日(木)~19日(土)■会場:福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センター■会長:田村 和夫氏(福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学 教授)■テーマ:包括的にがん医療を考える~橋渡し研究、がん薬物療法からサバイバーシップまで~第12回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページ

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統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか

 統合失調症患者にみられる過度な喫煙行動について、米国・ミシガン大学のMika Hirasawa-Fujita氏らによる検討の結果、ミューオピオイド受容体(mu opioid receptor)機能欠損の一塩基遺伝子多型(SNP)が、統合失調症患者における喫煙を増加していることを明らかにした。また同女性患者では、ドパミンD2受容体の変異も喫煙行動の増大に関与していた。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2014年6月20日号の掲載報告。 精神に障害がある人では過度な喫煙がみられるが、その理由については明らかではない。研究グループは、内因性オピオイドやドパミンの作用機序が喫煙行動の強化に関与しているとして、ミューオピオイド受容体(OPRM1)A118G(rs1799971)遺伝子型、ドパミンD2受容体(DRD2)Taq1A(rs1800497)遺伝子型、および性差について検討した。喫煙者および非喫煙者の統合失調症および双極性障害患者を募り、遺伝子型分析を行った。被験者を3群に分類(現在喫煙、過去に喫煙歴あり、喫煙歴なし)し、1日当たりの喫煙本数を主要喫煙パラメーターとして評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は統合失調症177例、双極性障害113例であった。・統合失調症患者では、喫煙率は、予想どおり女性よりも男性で高かったが、1日の喫煙量は女性のほうが多かった(p<0.01)。・統合失調症でOPRM1 *G遺伝子型の患者は、AAアレル遺伝子キャリアの患者よりも、1日当たりの喫煙量が多かった(p<0.05)。・DRD2 Taq1A遺伝子型についての差は、1日当たりの喫煙本数に影響していなかった。しかし、GGホモ接合DRD2受容体を有している統合失調症の女性では、*A男性喫煙者よりも、喫煙量が多かった(p<0.05)。・双極性障害患者では、喫煙状態についてOPRM1、DRD2 Taq1A遺伝子型の差はみられなかった。・また双極性障害患者では、性差による喫煙行動の違いもみられなかった。・本検討により、統合失調症患者における喫煙行動の増大に、ミューオピオイド受容体機能欠損のSNPが関与していることが示唆された。・また、DRD2受容体機能の変異も、女性の統合失調症患者において喫煙行動を増大していることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響 統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか うつ病患者への禁煙治療、症状悪化の懸念は  担当者へのご意見箱はこちら

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HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与は有効か?(解説:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(220)より-

結核は依然としてHIV感染患者における重要な日和見疾患である。今までにsystematic reviewや後ろ向き観察研究などで、イソニアジド単独、あるいはイソニアジド+抗HIV療法によって結核発病のリスクを低減できることが示されてきた。WHOが途上国に向けて発信したガイドラインでは、HIV感染患者全例にイソニアジドの予防投与を行うことを推奨している。 しかしながら、抗HIV療法を施行している患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性について、強いエビデンスは存在しなかった。 本研究は、抗HIV療法施行中のHIV感染患者に対するイソニアジドの結核予防効果を検討したランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。エイズ、結核罹患率の高い南アフリカケープタウン近郊のカエリチャで実施された。 被験者を(1)イソニアジドを12ヵ月間予防投与する群(662例)と、(2)プラセボを投与する群(667例)に無作為に割り付けし、3,227人年が解析対象となった。スクリーニングの喀痰抗酸菌培養検査で判明した結核例は除外した。プライマリエンドポイントは、結核の発症(疑い例や不確定例も含む)とした。 その結果、イソニアジド群はプラセボ群と比較して37%結核発症率を低下させた(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.41~0.94)。Grade 3または4のALT値上昇のため試験薬投与を中断した患者数は、2群間で有意差を認めなかった(リスク比:1.9、95%信頼区間:0.90~4.09)。また、イソニアジド予防投与の効果が、ツベルクリン反応検査あるいはインターフェロンγ遊離試験が陽性の患者に限定されるというエビデンスは観察されなかった。 これらの結果を踏まえて、著者らは「結核発生リスクの高い地域では、ツベルクリン反応テストやインターフェロンγ遊離試験の結果にかかわらず、抗HIV療法を受けている患者全員に対してイソニアジドの予防投与を推奨すべきである」と提言している。 日本は先進国の中では結核罹患率の高い国ではあるが、アフリカ諸国などと比較すると低く、本試験の結果をそのまま日本での診療に当てはめることはできない。 しかしながら、米国のガイドラインでも潜在性結核感染を認めるHIV感染患者に対してはイソニアジドの投与を推奨しており、本邦でも潜在性結核感染と診断された場合には、イソニアジドの投与を検討してもよいかもしれない。ただし、イソニアジドの投与期間はガイドライン等によって異なり、議論の余地があると思われる。 HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性を検討したBOTUSA study1)では、主にツベルクリン反応陽性者において結核発症率の低下を示したが、本研究では、結核予防効果がツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験の結果に左右されず、対照的な結果となった。 結核が蔓延している国では、おそらく多くの結核例が新たな感染や再感染によるので、イソニアジドは潜在性結核感染の治療だけでなく、新規感染や再感染の予防や治療の役割を果たしていたのかもしれない。また、ツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験は、免疫不全が進行すると偽陰性となりやすいため、本試験の患者に偽陰性が多かった可能性は考えられる。【参考文献はこちら】1) Samandari T, et al. Lancet. 2011;377:1588-1598.

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44)ナトリウムから食品相当量への換算方法を教えるコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者塩分のとり過ぎには、気をつけているつもりなんですが、食品の栄養成分表示をみると・・・医師それはいいですね。どこをチェックしていますか?患者ナトリウムです。ナトリウムは塩分のことですよね。医師確かに、食塩(NaCl)には、ナトリウムも含まれていますが、塩素も含まれています。つまり、ナトリウムの2.5倍が食塩量ということになります。患者えっ、そんなに違うんですか!医師例えば、カップラーメンに「ナトリウム 2g」と書いてあったら、その2.5倍、つまり食塩が5g入っているということです。患者こりゃまさに「倍返し!」ですね。●ポイント間違えやすい食品の栄養成分表示を、わかりやすく教えましょう●資料食塩含有量(g)=ナトリウム含有量(g) × 2.54

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ADHDの世代間伝達に関連する独立リスク因子は

 米国・カリフォルニア大学のIrene Tung氏らは、注意欠如・多動症(ADHD)を有する親の子育て行動が、子供のADHD症状とどう関連するかを検討した。その結果、ADHDが子供に受け継がれる有意かつ独立した因子として“体罰”が挙げられることを報告した。子供のADHDの主要なリスク因子は、親のADHD症状を基礎とする複合的な関与の可能性が考えられているが、説明可能な因子は明らかになっていなかった。Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。 研究グループは、子育て行動における正ならびに負の側面(体罰、一貫性に欠けるしつけ、ポジティブな子育て行動、ネガティブな発言、ほめるなど)における相違が、親と子のADHDを関連づけるかどうかを検討した。アウトカム(子供のADHD症状)の予測因子(親のADHD症状など)ならびにメディエーター(子育て行動など)に着目したプロスペクティブ研究として実施した。ADHDの有無を問わず背景が明らかな小児120例(Wave 1:5~10歳、Wave 2:7~12歳)とその実の親を対象とし、複数の方法(観察、自己報告など) でポジティブおよびネガティブな子育て行動を評価し、Wave 1の親とWave 2の子供のADHD症状が連動して関連するかどうかを検討した。 主な結果は以下のとおり。・厳格なブートストラップ法からなる多様な媒介フレームワークを用いて検討した。・親のうつ症状、子供のベースライン時のADHDおよび反抗挑発症、子供の年齢を補正後、Wave 1の親のADHD症状とWave 2の子供のADHDを関連づけたのは、体罰が有意かつ唯一の因子であった。・子育て行動はADHDの世代間伝達に関連しており、これらの結果は小児ADHDへの介入と予防に応用可能と思われた。関連医療ニュース 小児ADHD、食事パターンで予防可能か 抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学 ADHDリスクファクターは「男児」「母親の就労」  担当者へのご意見箱はこちら

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肥満の閉塞性睡眠時無呼吸患者へのCPAP+減量介入の効果は?/NEJM

 肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の治療において、持続陽圧呼吸療法(CPAP)と減量介入の併用療法は、それぞれの単独療法に比べC反応性蛋白(CRP)値を改善しないことが、米国・ペンシルバニア大学のJulio A Chirinos氏らの検討で示された。肥満と閉塞性睡眠時無呼吸は併存する傾向があり、炎症やインスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧との関連が知られているが、その因果関係は解明されていない。これまでに行われた心血管リスクに関する減量介入の試験に閉塞性睡眠時無呼吸患者は含まれておらず、CPAPの試験で肥満への介入を含むものはないという。NEJM誌2014年6月12日号掲載の報告。併用による増分効果を無作為化試験で評価 研究グループは、肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の治療におけるCPAP、減量介入、CPAP+減量介入の効果を比較する無作為化試験を実施した。対象は、BMI≧30、中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸(無呼吸低呼吸指数[AHI]≧15回、AHI:睡眠1時間当たりの無呼吸、低呼吸の合計回数)、CRP>1.0mg/Lの患者とした。 CPAPは、個々の患者に合わせて機器を調整した後、毎晩施行した。減量介入は、週1回のカウンセリングを行い、カロリー摂取目標を体重114kg未満の患者は1,200~1,500kcal/日に、114kg以上の場合は1,500~1,800kcal/日に設定した。治療期間は24週であった。 ベースライン、8週、24週時に、CRP値(主要評価項目)、インスリン感受性(副次評価項目)、脂質値(同)、収縮期血圧(探索的評価項目)などを測定し、CPAPと減量介入の併用による各単独療法に対する増分効果の評価を行った。インスリン感受性の測定は、頻回採血ブドウ糖静注負荷試験で行った。CRP改善の増分効果はないが、厳格な治療遵守で収縮期血圧が改善 181例が登録され、併用群に62例(平均年齢49.0歳、男性53.2%、平均BMI 38.4、平均AHI 47.1回/時、高感度CRP中央値4.3mg/L)、CPAP群に58例(49.8歳、60.3%、39.8、41.2回/時、4.7mg/L)、減量群には61例(48.3歳、59%、38.1、39.7回/時、4.4mg/L)が割り付けられた。1回以上の評価が行われた146例が解析の対象となった。 24週の治療により、併用群と減量群ではCRP値(いずれもp<0.001)、インスリン抵抗性(p<0.001、p=0.01)、血清トリグリセライド(TG)値(p<0.001、p=0.03)が有意に改善したが、CPAP群ではこのような変化は認められなかった。収縮期血圧は3群のすべてで有意に低下した(併用群:p<0.001、CPAP群:p=0.02、減量群:p<0.007)。 併用群では、CPAP群や減量群に比べ、CRP値の有意な増分効果は認められなかったが、減量群ではCPAP群に比し有意に低下した(p=0.01)。また、併用群では、CPAP群に比べインスリン抵抗性(p=0.01)および血清TG値(p=0.046)が有意に改善したが、併用群と減量群には有意な差はなかった。 事前に規定されたアドヒアランスの基準を満たした90例(併用群:24例、CPAP群:39例、減量群:27例)を対象にper-protocol解析を行ったところ、併用群ではCPAP群、減量群に比べ、収縮期血圧(p<0.001、p=0.02)が有意に改善された。同様に、平均動脈圧も併用群が各単独群に比べ有意に改善した。 著者は、「CPAPと減量介入の併用によるCRP改善の増分効果は認めなかったが、併用レジメンの厳格な治療遵守により収縮期血圧で増分効果が得られる可能性がある」とまとめ、「肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸患者の治療戦略では、減量介入が重要な要素であることが示唆される」と指摘している。

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慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは?

 慢性のかゆみは、患者にとって生活の質(QOL)の低下に直結する頻度の高い問題であるが、これまで両者を結び付けている因子に関して十分な検討は行われていなかった。米国・エモリー大学のChristopher W. Carr氏らは、同因子を明らかにするため、米国退役軍人を対象とした断面調査を行った。その結果、有意な影響を及ぼす因子が複数あり、それらが複雑に絡み合って影響していることを報告した。著者は、「これらの因子をきちんと認識することが、慢性のかゆみの臨床評価と治療の改善に結び付くであろう」と述べている。JAMA Dermatology誌2014年6月1日号の掲載報告。 研究グループは、慢性のかゆみのQOLへの影響を媒介する因子を明らかにするため、米国退役軍人を対象に電話調査を行った。被験者は、退役軍人病院患者データベースから抽出した。 主要評価項目は、ItchyQoLスコアを用いた多変量分析で統計的に有意であった予測因子(患者特性、慢性のかゆみの特徴)であった。 主な結果は以下のとおり。・6,000例に電話をかけ、1,075例から試験参加への了承を得た。そのうち慢性のかゆみを有していたのは405例であった。・統計的に有意であった、慢性のかゆみのQOLへの影響の媒介因子は、人口統計学的特性[年齢(p=0.007)、人種(p=0.05)、婚姻状態(p=0.04)]、個人特性[外向的(p=0.03)、神経質(p=0.01)]、かゆみの特性[重症度(p<0.001)、期間(p=0.01)、頻度(p<0.001)、部位(p=0.005)]、考えられる病因[皮膚vs. 全身性(p=0.03)]。・有意ではなかった因子は、性別(p=0.98)、社会経済的変数[教育レベル(p>0.99)、雇用状態(p=0.53)、所得(p=0.62)]だった。

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診察室より家庭での血圧が大切

Dr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライド診察室の血圧 は「お見合い写真」メモ診察室で測った血圧値は、いわば「お見合い写真」です。日常生活とは異なる環境で測定するため、ふだんの血圧値とは異なる場合も少なくありません。大切なのは、お見合いの姿(診察室の血圧)よりも、ふだんの姿(家庭血圧)なのです。監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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