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民営化後も医療格差は拡大せず/JAMA

 2000年代に営利病院(profit hospital)に転換した病院について調べた結果、利益率が改善していた一方で医療の質や死亡率、貧困層やマイノリティ患者へのケア提供の割合は変わっていなかったことが報告された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のKaren E. Joynt氏らが237病院について、転換前2年と転換後2年の変化を、適合対照631病院と比べて評価した。米国ではここ10年で、営利病院へ転換する病院が増大したという。それらの病院が医療保険支払者や利益に注力し、患者をないがしろにし、医療の質に留意しなくなるのではないかという懸念が高まっていた。JAMA誌2014年10月22・29日号掲載の報告より。2003~2010年に転換した237病院について適合対照病院と比較検証 研究グループは、2003~2010年に営利病院に転換した237病院と、適合対照631病院について、後ろ向きコホート研究を行った。検討に含まれたメディケア受給患者で、転換病院群184万3,764例、対照病院群482万8,138例であった。患者群の57%が女性、年齢中央値は75歳、82%が白人で、30%が民間保険にも加入していた(dual-eligible)。 転換した年のデータを除外したdifference-in-differenceモデルで、転換前2年間と転換後2年間の財務状況、医療の質、死亡率、メディケア報酬および患者の割合について評価した。利益率は有意に改善、医療の質・死亡率・公的保険の取り扱い量は変化せず 営利病院に転換したのは、中小規模(100床未満50.6%、100~399床44.7%)、南部地域(53.6%)、都市(47.3%)/都市近郊(8.9%)の、非教育病院(84.8%)が多かった。 分析の結果、営利転換病院は対照病院と比較して、利益率(医業収益+その他収益に占める純収益の割合)が有意に改善していた。利益率の改善は2.2%vs. 0.4%、difference in differencesは1.8%(95%信頼区間[CI]:0.5~3.1%、p=0.007)であった。 医療の質は、営利病院、対照病院ともに同程度の改善(6.0%vs. 5.6%)であった(difference in differences:0.4%、95%CI:-1.1~2.0%、p=0.59)。メディケア受給患者の死亡率(全死因)も対照病院と比べて有意差は示されなかったが、むしろ増大割合は少なかった(0.1%vs. 0.2%、difference in differences:-0.2%、95%CI:-0.5~0.2%、p=0.42)。同様の傾向は、dual-eigible患者(difference in differences:0.0%、95%CI:-0.5~0.4%、p=0.86)、65歳超の障害のある患者(同:0.3、-0.2~0.8、p=0.30)でも認められた。 年間メディケア受給患者数の変化(-111例vs. -74例)にも有意な差はなかった(difference in differences:-37例、95%CI:-224~150例、p=0.70)。Disproportionate Share Hospital Indexでみると1.7%vs. 0.4%(p=0.26)、メディケア患者が占める割合でみると-0.2%vs. 0.4%(p=0.38)だった。また黒人患者(-0.4%vs. -0.1%、p=0.72)、ヒスパニック系患者(0.1%vs. -0.1%、p=0.50)の割合の変化についてもそれぞれ有意な差はみられなかった。

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エボラ国際伝播、出国検疫強化がカギ/Lancet

 カナダ・トロント大学のIsaac I Bogoch氏らは、国際線航空機搭乗者を介したエボラウイルス伝播の可能性について、国際線フライトデータとエボラウイルス調査データを連動し評価を行った。その結果、現在アウトブレイクが伝えられる西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネの3ヵ国からは、毎月平均2.8人のエボラウイルス感染旅行者が出国している可能性を報告。同時に、それら3ヵ国に関連した出国時の検疫を強化することで、感染リスクの高い全旅行者の健康状態の評価が可能になるとして、国際的な支援の必要性を提言した。Lancet誌オンライン版2014年10月21日号掲載の報告より。フライト制限、出入国時スクリーニングの有効性をモデル化 Bogoch氏らは、2014年9月1日~12月31日までの国際線フライトスケジュールや、2013年の旅行者データを分析し、ギニア、リベリア、シエラレオネからの航空機による出国旅行者数などを割り出した。 それらとエボラウイルス調査データを連動して、予想されるエボラウイルス感染者の出国者数を調べ、航空機出国旅行を制限することの有効性、空港での出入国時スクリーニングの有効性をモデル化し検討した。検討では、対象3ヵ国の国内線または国際線搭乗者は全員、エボラウイルス曝露の可能性があるとみなし、その他の旅行者には有意な曝露リスクはないものとみなした。ギニア、リベリア、シエラレオネから毎月2.8人の感染旅行者が出国 分析の結果、2013年における全世界の航空機搭乗者に占める出国搭乗者は、ギニア、シエラレオネからはいずれも0.02%、リベリアからは0.01%であった。各国からの出国者数は、2014年9月1日時点でフライトキャンセルや減便などにより、リベリアで51%、ギニアで66%、シエラレオネで85%まで減少していた。 モデル検討により、空港での旅行者の健康スクリーニングが、エボラウイルス伝播の阻止に最も有効であると推定された。スクリーニングが必要なのは、出国時については3ヵ国の3都市の空港、入国時については3ヵ国からの直行便がある15ヵ国の15都市、また直行便のない1,238都市での入国時スクリーニングが必要であることも判明したという。 また、3ヵ国からは毎月平均2.8人のエボラウイルス感染旅行者が出国していることが推定され、ギニア、リベリア、シエラレオネからの航空機搭乗出国者のうち64%(9万1,547例)は、低所得国、低中所得国に向かっていると予測され、3ヵ国3都市の出国時スクリーニングが、エボラウイルス感染曝露が高い全旅行者の健康評価を実現できる可能性が明らかになったという。関連記事 発見者ピーター ピオットが語るエボラの今 エボラ出血熱 対策に成功し終息が宣言された国も エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー

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オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認

 米国・R&Dエスティローダー社のMary S Matsu氏らは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)オメプラゾール(商品名:オメプラールほか)に、メラニン形成の減少効果があることを、仮説に基づくマウスとヒト皮膚モデルでの検証試験の結果、確認したことを報告した。Journal of Investigative Dermatology誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。 オメプラゾールは、消化性潰瘍や逆流性食道炎の治療で用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)で、胃壁細胞のP-type H+/K+ ATPaseであるATP4Aを不可逆的に阻害することによって作用する。 研究グループは、オメプラゾールおよび同種薬について、B16マウス黒色腫細胞とヒト表皮メラニン細胞、および再生ヒト皮膚モデルにおいて、μmol濃度でのメラニン形成を阻害することを発見した。 主な所見は以下のとおり。・UV照射を受けた被験者の皮膚にオメプラゾールを局所適用したところ、未治療コントロールと比較して、3週間後に有意な色素レベル低下が認められた。・オメプラゾールは、精製されたヒト・チロシナーゼの活性への有意な阻害効果はみられなかった。また、チロシナーゼmRNA、dopachrome tautomerase(DCT)、Pmel17またはMITF mRNAへの有意な阻害効果もみられなかった。・メラニン細胞がATP4Aを発現しないにもかかわらず、転移GolgiネットワークにおいてATP7Aを発現した。ATP7Aは、銅輸送P-type ATPaseで、発現はチロシナーゼにおける銅獲得の要求によるものであった。・メラニン細胞での銅凝集増大に応じた転移Golgiネットワークから形質膜へのATP7A再局在化は、オメプラゾールによって阻害された。・オメプラゾール治療は、EndoH感受性チロシナーゼの比率を増大した。これは、チロシナーゼ成熟を阻害したことを示すものである。・加えてオメプラゾールは、分解を増大するシクロヘキシミドにおいて、チロシナーゼタンパク質量を減らした。

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小児てんかんの予後予測、診断初期で可能

 小児期てんかん発作の最終的なアウトカムは、治療を要することなくすべての発作が完全寛解することである。一方で、てんかんの臨床経過において、どのくらいの頻度で発作が起きるのか、またいかに早期に発作を予測するかは、家族が小児てんかんの特徴を理解すること、ならびに何を予期すべきかを把握する助けとして価値がある。米国・シカゴにあるアン&ロバート H. ルリー小児病院のBerg AT氏らは、小児期てんかんの最終的なアウトカムとしての完全寛解を予測しうるかどうかを検討する前向きコホート研究を行った。その結果、最初の診断から5年以内の情報(発症年齢や子供の学校での状況、てんかんのタイプなどを含む)により、完全寛解が得られるか否かを予測しうることを報告した。Brain誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。 てんかんに対するConnecticut studyとして、新規にてんかんと診断された小児613例(0~15歳で発症)を対象とし、5年以上にわたり、発作なし、治療なしを発作の完全な回復として完全寛解を検討した。2年以内および診断2~5年後の発作アウトカムに関する情報は、順次比例ハザードモデルに加えた。モデルの予測値はロジスティック回帰により決定した。 主な結果は以下のとおり。・516例について10年以上追跡した。・328例(63%)が完全寛解を達成した。・完全寛解後23例が再発した。再発率は8.2/1,000人年で、経過とともに減少した。再発率は、完全寛解後最初の5年間10.7、次の5年間6.7、10年超では0となった(傾向のp=0.06)。・そのうち6例において、再び完全寛解が得られた。最終評価時点で完全寛解は、311例(60%)で認められた。・最終評価時に「完全寛解が得られない」ことの、ベースライン時の予測因子は、発症年齢10歳以上(ハザード比[HR]:0.55、p=0.0009)、低学年または発達上の問題がある(同:0.74、p=0.01)であった。・最終評価時に「完全寛解が得られる」ことの予測因子は、合併症のないてんかん(ハザード比:2.23、p<0.0001)、焦点性自己終息性てんかん症候群(HR:2.13、p<0.0001)、および特徴づけられないてんかん(HR:1.61、p=0.04)であった。・2年以内の寛解は良好な予後を予測し(HR:1.95、p<0.0001)、2年以内の薬剤抵抗性は完全寛解が得られないことを予測した(HR:0.33、p<0.0001)。・診断2~5年間、再発(HR:0.21、p<0.0001)および遅延して生じた薬剤抵抗性(同:0.21、p=0.008)は完全寛解の機会を減少させ、後期の寛解(同:2.40、p<0.0001) は完全寛解の機会を増加させた。・モデルの全体的な確度は、ベースラインの情報のみでは72%であったが、2年間のアウトカムに関する情報追加により77%、5年間のアウトカムに関する情報追加により85%へと高まった。・完全寛解後の再発はまれであり、てんかんの完全消失の代用として許容できるものであった。・最初の診断から5年以内の情報により、約20年後の完全寛解を良好に予測できると考えられた。関連医療ニュース 低用量EPA+DHA、てんかん発作を抑制 小児期早期のてんかん転倒発作、特徴が判明:東京女子医大 抗精神病薬投与前に予後予測は可能か  担当者へのご意見箱はこちら

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スタチン治療はやはり糖尿病を増やすのか?そのメカニズムは?(解説:興梠 貴英 氏)-272

 スタチンが虚血性心疾患の一次予防においても二次予防においても有効であることについては、これまで多くの一貫したエビデンスがある。 しかし、以前より一部の研究者によって、スタチンが新規糖尿病発症を増やすのではないか、ということが疑われている。とくにJUPITER試験の安全性評価の項目で、プラセボ群と比較してロスバスタチン投与群で有意に新規糖尿病が多かったという報告1)を契機に、やはりスタチンが新規糖尿病発症を増やすのではないか、ということが広く疑われるようになった。その後、観察研究のメタ解析2)のみならず、本論文の著者らが2010年に行ったRCTのメタ解析3)においてもスタチン投与が糖尿病発症を増加させるということが報告された。 こうした後ろ向き解析による因果関係の推論において問題となるのは、スタチンを投与する必要がある患者では元々糖尿病発症リスクも高く、そのため見かけ上の相関(因果)が認められるのではないか、ということである(適応による交絡)。確かに観察研究の場合はそうしたこともありうるが、RCTのメタ解析においては適応とは無関係に割り付けされており、そうした批判は当たらない。 さて、本論文は著者らが2010年に発表した論文にいくつかのRCT試験を加えてメタ解析し直したこと、さらにスタチンが糖尿病新規発症を増加させるメカニズムに迫るために遺伝学的な検討を加えているところが新しい。 まず、今回のメタ解析においては前回の13試験に加えて、さらに7試験を加えた解析を行い、スタチン対プラセボ、強化治療対通常治療を合わせて12%のリスク上昇があることを示している。 さらに、スタチンが阻害するHMG-CoA還元酵素遺伝子近傍のSNPを検討し、その中でrs17238484とrs12916の2つのSNPとLDL-Cを含めた複数のバイオマーカーや身体計測値(身長、体重、BMI、腹囲)等との関係を調べている。その結果、rs17238484の基準遺伝子型(TT)がGT、GGとなるにつれ、LDL-Cが低下すること、またBMIや体重が増加すること、さらに糖尿病リスクも順次増加することが示されている。rs12916においても同様の傾向の結果を示している。 また、メタ解析を行った20のRCTのうち15においては体重の変化に関するデータも取得できており、スタチン対プラセボ、強化治療対通常治療を合わせて比較した場合、前者では0.24kg有意に体重が増加していた。 これらのことより、著者らはスタチンによる体重増加および糖尿病新規発症はHMGCRの機能阻害によるものだと結論付けている。スタチンには以前よりさまざまなpleiotropic effectがあるのではないかと報告されているが、本論文の結論が正しいとすれば、スタチンが糖尿病新規発症を増やしてしまうのはそうしたpleiotropic effectを通じてではなく、スタチンの本来の作用(HMGCR阻害)によるものであるので、将来的にpleiotropic effectがなく、より特異的にHMGCRを阻害する薬物を開発しても問題は解決しないこととなる。 ただ、本論文で取り上げられたSNPが直接体重増加や糖尿病新規発症の原因ではなく他の交絡因子を介している可能性は否定できず、またそもそもなぜHMGCRの機能阻害が体重増加の原因となりうるのか、という点については本論文でも明らかになっていない。したがって、メカニズムとしても今回の解析で完全に明らかになったわけでもない。 とくに、日本で行われたJ-PREDICT試験ではIGT患者に対してピタバスタチンを投与したときの糖尿病発症を前向き介入試験として検証しており、これまで学会等ではピタバスタチン投与によりむしろ糖尿病発症リスクを減少させたことが報告されており、最終的な論文発表および発症抑制のメカニズムについて興味が持たれるところである。 本論文は学術的には興味深い点はいろいろあるものの、心血管イベント発症リスクを考えた場合、スタチンによる糖尿病新規発症がイベント増大リスクに寄与する割合は、スタチンが減らすリスクよりも小さいことが報告されており4)、本論文の結果をもってしても、虚血性心疾患患者もしくはその高リスク者においてスタチンの投与をためらう必要はないと思われる。

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Dr.みやざきの鼠径ヘルニア手術テクニックコレクション

第1回 鼠径部ヘルニアの診断と分類 第2回 鼠径部の臨床解剖 第3回 手術手技の種類と術式選択の基準 第4回 鼠径部ヘルニア手術の術前・術後管理 第5回 鼠径部ヘルニア手術の麻酔法 第6回 手術手技の実際(1)高位結紮術第7回 手術手技の実際(2)Mesh-plug法第8回 手術手技の実際(3)Lichtenstein法第9回 手術手技の実際(4)UHS法第10回 手術手技の実際(5)Direct Kugel Patch法第11回 手術手技の実際(6)大腿ヘルニア手術第12回 手術手技の実際(7)女性の鼠径ヘルニア手術 手術の中で最も件数の多い手術の一つである鼠径ヘルニア修復術。「研修医やレジデントなどが行う初歩的な手術」と思っていませんか?しかし、侮るなかれ!鼠径部は解剖が複雑、手術手技は多種多様と、ヘルニア修復術を完全に理解するのは実は非常に難しいのです!そこで、日本でも有数の鼠径部ヘルニアの手術件数を誇るDr.みやざきこと宮崎恭介氏が講師として登場!鼠径ヘルニア症例数はなんと10年で4300例!この経験に裏打ちされた手術テクニックを余すことなくお見せいたします。臨床解剖、麻酔、術後管理、そして様々な手術手技-高位結紮術、プラグ法、DK法、UHS法、リヒテンシュタイン法、そして大腿ヘルニア、女性の鼠径ヘルニアなどなど、知りたかった、見たかった内容が網羅されています。こんなにたくさんの症例を、多様な手技を、見ることができるものはほかにはありません。しかも手術映像・画像は術者目線!明日からの手術が大きく変わります!第1回 鼠径部ヘルニアの診断と分類 鼠径ヘルニア修復術を理解する上でまず知っておかなければならないことは、鼠径部の解剖、ヘルニアの種類と分類、そして診断方法です。第1回では、鼠径ヘルニアの分類と、その診断方法について解説します。 診断の際は必ず立位で行うこと、そして大腿ヘルニアを見逃さないこと、この2つをおさえておきましょう。第2回 鼠径部の臨床解剖 鼠径ヘルニア手術を行うにあたっては、鼠径部の解剖の理解が重要なのは当然ですが、完全に理解することは難しいと言われています。 鼠径部の解剖をシェーマや写真などで理解したとしても、実際の手術現場では役に立たない事を経験した方も多いでしょう。それは鼠径部の構造が立体的であること、連続する組織(膜)でも部位によって名称が異なる場合があるからです。 そこで、今回は、鼠径部の臨床解剖ーすなわち術者として鼠径部を見た際の解剖をしっかりと理解していきます。最初のポイントは皮膚切開から。皮膚切開ひとつで、こんなにも視野が違います!第3回 手術手技の種類と術式選択の基準 鼠径ヘルニア修復術の手技は、多種多様。 ヘルニアの位置や大きさ、性別や年齢、既往など、術式を決めるための要素はたくさんあるなかで、患者さんにとって、そして、術者にとってよりよい手術手技は一体何か?様々な手術手技を行うヘルニアのスペシャリストはこうやって術式を決めている! 第4回 鼠径部ヘルニア手術の術前・術後管理鼠径ヘルニア手術は嵌頓例以外は手術の緊急性はありません。無理に患者さんへ手術を薦めず、患者さん自信が、手術を決意するまで待つことが大切です。さて、いざ手術となった場合、鼠径ヘルニア修復術の術前と術後の管理はどうすればよいのでしょうか?実は、鼠径ヘルニア手術の術前には特別な管理はほとんど不要です。Dr.みやざき曰く「抗凝固薬服用中、抗血小板療法中の患者でさえも、内服継続のままでも十分に手術可能。」はてさて本当に可能かどうか、どうすれば可能なのか、みていきましょう。また、術後では、「出血」「漿液腫」「SSI」「再発」「慢性疼痛」などが合併症として考えられますが、これらは起こった場合にどう対応するではなくて、「起こさない」ことが重要です。そのために何をするべきかを知り、実践してみましょう。第5回 鼠径部ヘルニア手術の麻酔法 鼠径ヘルニア修復術の麻酔は、日帰りの場合と、入院の場合と異なります。麻酔の3要素は鎮静(意識の消失)、鎮痛(痛みの除去)、筋弛緩(体動の防止)。この3つすべてを、麻酔するのが、麻酔科医による麻酔、すなわち外科医にとって最も手術を行いやすい麻酔です。入院手術の場合は、この麻酔方法で行います。しかし、日帰り手術の際は、筋弛緩は必要ありませし、意識があってもかまいません。鎮痛と鎮静を患者さんに与える手術侵襲を少しだけ上回る麻酔をかけてあげればよいのです。静脈麻酔、局所麻酔、硬膜外麻酔、気管挿管などの様々な麻酔を組み合わせ、術式、患者さんの年齢、BMI、嵌頓の有無等に合わせた麻酔方法を行っています。この回ではそれぞれの詳しい方法を解説します。第6回 手術手技の実際(1) 高位結紮術さて、いよいよ手術手技の実際に入っていきます。最初は高位結紮術です。高位結紮術は、内鼠径輪のみを閉鎖するというシンプルな術式ですが、他の手術手技の基本となる手技です、ここでしっかりと習得しておきましょう。高位結紮術は、若年男性や若年女性のⅠ-1型間接鼠径ヘルニアが適応となります。術者目線の手術映像を見ながら、実際の手術手技を体験し、習得してください。第7回 手術手技の実際(2) Mesh-plug法手術手技の実際:第2回はMesh-plug法です。Mesh-plug法はメッシュプラグでヘルニア門を閉鎖し、オンレイパッチで鼠径管後壁を補強するという術式です。鼠径ヘルニア修復術の中で日本で一番行われている手術法で、シンプルな術式ですが、一歩間違うと術後の疼痛や再発などを引き起こすことがあります。これらの合併症をいかに防止するかは、すべて手術手技にかかっています。そのコツをヘルニアスペシャリストのテクニックから学んでください。第8回 手術手技の実際(3) Lichtenstein法手術手技の実際:第3回はLichtenstein法です。リヒテンシュタイン法はヘルニア門を高位結紮術で閉鎖し、鼠径管後壁をメッシュで補強する術式です。日本においては、それほど多くの症例が行われているわけではありませんが、EHS(the European Hernia Society)の鼠径ヘルニアの診療ガイドラインではLichtenstein法が推奨されているように欧米では第一選択の術式となっています。Dr.みやざきは、腹膜前腔の剥離操作がないことから下腹部手術既往のある間接鼠径ヘルニアを適応としています。メッシュ固定による疼痛を予防するために縫合固定の必要のないメッシュを用いることも1つのポイントです。第9回 手術手技の実際(4) UHS法手術手技の実際:第4回はUHS法です。UHS法は、UHS(Ultlapro® Hernia System )というメッシュを使用して行う術式で、インレイメッシュ法、プラグ法、、リヒテンシュタイン法を1つにした欲張りな術式です。コネクターでヘルニア門を閉鎖し、アンダーレイパッチ、オンレイパッチで鼠径管後壁を挟み込むように補強します。Ⅰ-3型巨大陰嚢内ヘルニア以外の鼠径ヘルニアすべてが適応となります。メッシュ固定による疼痛を予防するためにオンレイメッシュは縫合固定しないこともポイントです。第10回 手術手技の実際(5) Direct Kugel Patch法手術手技の実際:第5回はDirect Kugel Patch法です。Direct Kugel Patch法はインレイメッシュ法の1つで、形状記憶リングにより、腹膜前腔への展開が容易な術式です。ヘルニア門の閉鎖をダイレクトクーゲル®パッチで行い、オンレイパッチは、鼠径管後壁の補強としてオプションとして使用します。ダイレクトクーゲル®パッチで筋恥骨孔すべてを覆うことができ、すべての鼠径部ヘルニアに適応しています。今回は、間接鼠径ヘルニア、直接鼠径ヘルニアともに実際の手術症例を術者目線の映像で提示します。第11回 手術手技の実際(6) 大腿ヘルニア手術大腿ヘルニア手術を解説します。大腿ヘルニアの術式は大きく、2つに分けることができます。1つは鼠径法、そしてもう1つが大腿法です。鼠径法は、鼠径靭帯の上からアプローチし、筋恥骨孔すべてを覆う方法で、大腿法は鼠径靭帯の下からアプローチし、大腿輪のみ閉鎖する方法となります。男性の大腿ヘルニアは症例としては稀ですが、他の鼠径ヘルニアを合併することが多いため鼠径法を適応とし、女性の大腿ヘルニアは、鼠径ヘルニアの合併がほとんどないため、大腿輪のみの閉鎖を行う大腿法を適応としています。本番組では、いずれの方法も術者目線の映像でご覧いただけます。第12回 手術手技の実際(7) 女性の鼠径ヘルニア手術鼠径ヘルニア手術テクニックコレクションの最終回は「女性の鼠径ヘルニア手術」です。女性の鼠径ヘルニアは、男性に比べると症例が少ないため、マニュアルや手順書などでも取り上げられる機会が非常に少ないようです。そのため、学習したり、修得したりする機会が少なく、重要なポイントを見落としてしまうことも。本番組では、見落とされがちなポイントを実際の症例に照らしあわせて解説し、その後、手術映像で手術手技を学んでいただきます。女性の鼠径部ヘルニアを診る場合に気をつけなければならないポイントは2つ。鼠径部ヘルニアの発生頻度と若年女性の鼠径ヘルニアです。そして、そのKey wordは大腿ヘルニアとNuck管嚢腫です。

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エボラ熱“最後の1人まで終わらない”と発見者ピオット氏

 2014年10月30日、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)メディアセミナーが開催され、エボラウイルス発見者の1人であるロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長 ピーター・ピオット氏が「エボラ出血熱やその他の感染症への対応と課題」について講演した。今回は、記者との質疑応答をレポートする。前回記事(「発見者ピーターピオットが語るエボラの今」はこちら)今までのアウトブレイクとの違いは? 今回の死者は約5,000人となり(会見時:2014年10月30日)、1976年の発見以降の38年間におけるエボラによる死者数の3倍に達する。これまでのアウトブレイクは非常に限定的なものであった。ところが、今回は、医療システムの崩壊、政府への信用欠如、対応の遅れなど、さまざまな要素が合わさり、流行を制御不能にした。また、医療従事者に悪影響を及ぼし、医療システムの崩壊を招いている。このように社会全体に与えている影響を鑑みると、大規模な国際的取り組みは喫緊の課題といえよう。事態は好転しているのか? 国際的協力が進み、社会の認知が改善したことで良い刺激が出てきているが、国によって状況は異なる。シエラレオネでは流行はまだ悪化している。リベリアでは一部の地域で沈静化のサインが出てきている。実際の社会での拡大阻止を実現できるのは、国際的援助ではなく、地域の人間の活動である。リベリアでは、伝統的指導者が、(死者の身体を拭くという)埋葬の方法を変えるべき、と発言するなど新たな動きが出てきた。これは非常に重要なことだ。 個人的な楽観的シナリオではあるが、クリスマスまでには緩やかな減少が各地にみられるかもしれない。防御服を着ても医療従事者の感染が起こっているが? 防御服を脱ぐ時が問題である。エボラウイルスは死亡患者の身体にも非常に多く生存する。嘔吐、下痢、出血などがその原因だ。死亡者の身体でも2~3日は感染性が高い状態が続き、患者の寝ていたシーツやテーブルの上などでも数時間生存する。ウイルスは口、鼻、結膜などから侵入する。防護服を脱ぐ際、過って患者や死亡者の体液がついた防御服に触れ、その手で瞼や鼻をさわるなどして感染を起こす。そのため、国境なき医師団など熟練した組織では現在、防御服の脱衣を監督下で行っている。中国、日本への拡大リスク 伝播は世界中どの国でも起こりうるが、中国での危険性は高いといえる。現在、何千人という中国人労働者がアフリカ大陸にいる。人の渡航は止めることはできない。中国人労働者がエボラを本国に持ち帰ることも、逆にアフリカ人が中国にウイルスを持ち込む可能性もある。だが、ここで最も大きな問題は医療機関の感染制御の質なのである。SARSの経験で徐々に改善されているものの、中国の公の病院の感染制御レベルはまだ低い。そういう意味で、中国は脆弱性が高いと考えられる。 一方、日本は衛生面、感染制御とも基準を満たしている。だが、同じレベルにある米国テキサスでも死者が発生していることからも安全とはいえない。この時期に、国全体でより良い感染制御の訓練を加速すべきである。これは一部の指定された病院だけでなく、すべての病院が対象となるべきだ。エボラウイルス治療薬、ワクチンの開発 現在は患者の隔離、生命維持、水分補給、接触者の検疫措置、環境改善などの原始的な形でしか封じ込めはできない。そのようななか、富士フイルムグループの富山化学工業のインフルエンザ治療薬アビガン錠がエボラ治療薬として認められた。エボラに対する効果はヒトでは確認されていないが(マウスでは確認済み)、WHOは本疾患の死亡率を鑑みこの判断を下した。現在、用量設定試験が進行中である。そのほかにも幾つかの治療薬が開発されつつある。また、ワクチンも開発されつつある。現在の混乱した状況では効果確認は容易ではないが、いつくかの候補があり、うち1つのワクチンで第I相試験が行われている。 エボラの大きな問題は、他者に感染させる危険がある最後の1人がいなくなるまで終わらないことである。実際、ギニアでは一旦沈静化したにもかかわらず1人の有名人に集まった葬儀参加者から感染が再拡大している。つまり、患者が1人いれば流行が再燃するには十分なのである。この点が他の感染症とは大きく違うところである。そして、これは同時に今後も全面的な取り組みが必要であることを意味する、とピオット氏は強調した。グローバルヘルス技術振興基金 GHIT Fund(Global Health Innovative Technology Fund):開発途上国に蔓延する感染症制圧に必要不可欠な医薬品、ワクチン、診断薬の研究開発および製品化の支援を目的とし、官・企業・市民がパートナーシップを組み資金を拠出して設立したグローバルヘルスR&Dに特化した基金。途上国の最貧困層が必要とする医薬品・ワクチン・診断薬の研究開発・製品化に向け活動している。

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膝OA治療にウコンの黄色成分が有望

 国立病院機構 京都医療センター 整形外科診療部長の中川 泰彰氏らは、変形性膝関節症患者に対し、高吸収型クルクミンを投与したところ、8週間でプラセボと比較して膝痛スコアが有意に低下し、鎮痛薬への依存が有意に低下したことを報告した。Journal of Orthopaedic Science誌オンライン版2014年10月13日号の掲載報告。 クルクミンは天然生薬ウコンの主成分で、中川氏らは表面制御処理を施し吸収性を高めたクルクミン製剤「セラクルミン」を開発し本検討を行った。セラクルミンの血中濃度はクルクミン細粒の27倍に達するという。 同製剤を、変形性膝関節症患者に180mg/日、8週間連日投与し、臨床効果を調べた。被験者は、40歳以上のKellgren-Lawrence分類IIまたはIIIの患者50例で、無作為化二重盲検プラセボ対照にて前向きに検討した。また、各介入の8週間前および後に血液生化学検査を行い有害事象を調べた。 被験者の膝の症状については、0、2、4、6、8週にJKOM(Japanese Knee Osteoarthritis Measure)、視覚アナログスケール(VAS)による膝痛度、日本整形外科学会の膝スコアを用いて評価した。また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の必要性についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療開始後8週時点で、膝痛VASスコアは、プラセボと比較してセラクルミン群(介入開始時のスコアが0.15未満であった患者は除外)で有意に低下した。・セラクルミンは、プラセボと比較してセレコキシブへの依存を有意に低下した。・セラクルミン投与による重大有害事象はみられなかった。 以上より、セラクルミンは、ヒトの変形性膝関節症の治療に適用できる可能性が示された。

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若年者への抗精神病薬使用、93%は適応外処方

 スペイン・バルセロナ大学病院のInmaculada Baeza氏らは、4~17歳の小児・青少年における抗精神病薬使用および変化について、精神科専門外来受診者259例を対象に1年間追跡調査した。結果、第二世代抗精神病薬が最も多く処方され、約93%は未承認の適応での使用であった。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2014年10月号の掲載報告。 追跡調査は、小児・青少年専門精神科部門4施設を受診した、抗精神病薬未治療または準未治療(抗精神病薬治療を始めてから30日未満)の、4~17歳の連続患者265例を対象に行われた。抗精神病薬の種類、用量、併用薬について、ベースライン時、治療開始後1、3、6、12ヵ月時点で記録した。 主な結果は以下のとおり。 ・ベースライン時の患者の平均年齢は14.4(2.9)歳、男性が145例(54.7%)であった。・抗精神病薬の処方頻度は多い順に、統合失調症スペクトラム障害(30.2%)、破壊的行動障害(DBD、18.9%)、双極性障害(14.3%)、抑うつ性障害(12.8%)、摂食障害(11.7%)であった。・全体で93.2%の患者が、未承認適応で抗精神病薬を使用していた。・リスペリドンは、全評価において最も頻度の高い処方薬であったが、診断によって抗精神病薬の種類に違いがみられた。・すなわち、リスペリドンはDBD患者で最も有意に処方頻度が高く、オランザピンは、摂食障害患者で最も処方頻度が高かった。・オランザピンとクエチアピンは、リスペリドン後に最も多く処方された第二世代抗精神病薬であり、ハロペリドールは最も処方数が多かった第一世代抗精神病薬であった。・追跡期間中、抗精神病薬多剤療法を受けていたのは最高8.3%の患者であった。・追跡期間中の抗精神病薬について変更があったのは約16%の患者であり、主として第二世代抗精神病薬1剤をほかのものに切り替えるケースであった。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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肺結核の1次治療、より簡略なレジメンが非劣性/NEJM

 肺結核の1次治療では、高用量リファペンチン(国内未承認)+モキシフロキサシン(商品名:アベロックス)の週1回投与を含む6ヵ月レジメンの有効性が、イソニアジド(同:イスコチンほか)+リファンピシン(同:リファジンほか)の6ヵ月連日投与を要する標準治療に劣らないことが、英国・ロンドン大学セント・ジョージ校のAmina Jindani氏らが行ったRIFAQUIN試験で示された。現在の肺結核に対する6ヵ月レジメンは、薬剤感受性菌の場合、適切に投与すれば95%以上の無再発治癒達成が可能だが、より短期間で簡略化されたレジメンの確立が求められている。リファペンチンの間欠投与では再発率が高く、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の重複感染例ではリファマイシン系薬への抵抗性がみられるが、マウス実験では高用量リファペンチンとモキシフロキサシンの併用が治癒率を改善する可能性が示唆されている。NEJM誌2014年10月23日号掲載の報告。簡略、短期レジメンの非劣性を無作為化試験で評価 RIFAQUIN試験は、肺結核患者の1次治療において、高用量リファペンチン+モキシフロキサシンの間欠投与を含む6ヵ月および4ヵ月レジメンの、標準治療であるイソニアジド+リファンピシンの6ヵ月連日投与レジメンに対する非劣性を検証する国際的な無作為化対照比較試験。対象は、年齢18歳以上、体重35kg以上で、2つの喀痰塗抹の顕微鏡検査で結核菌陽性の未治療の患者であった。 被験者は、以下の3つのレジメンのいずれかに無作為に割り付けられた。(1)エタンブトール、ピラジナミド、イソニアジド、リファンピシンを2ヵ月連日投与後、イソニアジドとリファンピシンを4ヵ月連日投与する群(対照群)、(2)対照群のイソニアジドをモキシフロキサシンに変更して2ヵ月連日投与後、モキシフロキサシンとリファペンチン900mgを週2回、2ヵ月投与する群(4ヵ月レジメン群)、(3)対照群のイソニアジドをモキシフロキサシンに変更して2ヵ月連日投与後、モキシフロキサシンとリファペンチン1,200mgを週1回、4ヵ月間投与する群(6ヵ月レジメン群)。 喀痰検体の顕微鏡検査と培養検査を定期的に行った。主要評価項目は、治療不成功と再発の複合エンドポイント(治療効果不良)であった。非劣性マージンは6%とし、per-protocol(PP)解析とmodified intention-to-treat(mITT)解析の双方で90%信頼区間(CI)の上限値が6%を超えない場合に非劣性と判定することとした。4ヵ月レジメンでは効果はむしろ不良 2008年8月15日~2011年8月1日までに、南アフリカ、ジンバブエ、ボツワナ、ザンビアから827例が登録され、593例(6ヵ月レジメン群:277例、4ヵ月レジメン群:275例、対照群:275例)がmITT解析、514例(186例、165例、163例)がPP解析の対象となった。mITT集団の64%が男性、27%はHIVとの重複感染例だった。 PP解析では、治療効果不良率は対照群の4.9%に対し、6ヵ月レジメン群は3.2%(補正後対照群との差:-1.8%,90%CI:-6.1~2.4%)、4ヵ月レジメン群は18.2%(同:13.6%、8.1~19.1%)であった。 mITT解析では、治療効果不良率は対照群の14.4%に対し、6ヵ月レジメン群は13.7%(補正後対照群との差:0.4%、90%CI:-4.7~5.6%)、4ヵ月レジメン群は26.9%(同:13.1%、6.8~19.4%)であった。 すなわち、6ヵ月レジメン群はPP解析、mITT解析の双方で90%CIの上限値が6%を超えなかったことから、対照群に対する非劣性が確認された。一方、4ヵ月レジメン群はいずれの解析でも上限値が6%を超えており、非劣性であることは認められなかった。なお、より厳格な95%CIでは、6ヵ月レジメン群のPP解析は非劣性マージンを満たしたが、mITT解析は満たさなかった。 38例に45件の重篤または生命を脅かす有害事象がみられたが、治療に関連するものはなかった。割り付けの対象となった827例中25例が死亡し、このうち4例は結核による可能性があると判定された。 著者は、「高用量リファペンチンとモキシフロキサシンの週1回投与を含む6ヵ月レジメンは、HIV重複感染のない患者やイソニアジド抵抗性の患者などの1次治療として使用可能と考えられる」としている。

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脳卒中患者への降圧治療、身体機能改善せず/Lancet

 高血圧を伴う脳卒中患者に対する降圧治療は、血圧の低下はもたらすものの、身体機能は改善しないことが、英国・ノッティンガム大学のPhilip M W Bath氏らが行ったENOS試験で示された。脳卒中発症後の高血圧は不良な予後と関連することが知られているが、発症後早期の降圧治療の必要性や、投与中の降圧薬継続の是非は明らかにされていないという。Lancet誌オンライン版2014年10月22日号掲載の報告。GTNパッチによる脳卒中の機能改善効果を評価 ENOS試験は、高血圧を伴う急性脳卒中に対するニトログリセリンの有用性を評価する国際無作為化試験。対象は、18歳以上、虚血性または出血性の脳卒中で入院し、四肢の運動障害がみられ、収縮期血圧が140~220mmHgの患者であった。 被験者は、発症後48時間以内にニトログリセリン経皮吸収型製剤(5mg/日)の投与を開始し、7日間継続する群(GTNパッチ群)または投与を行わない群(対照群)に無作為に割り付けられた。また、脳卒中発症前に降圧薬の投与を受けていた患者は、継続投与する群(継続群)または中止する群(中止群)に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は90日後の身体機能(修正Rankinスケール)とし、治療割り付け情報を知らされていない研究者が判定を行った。今後は超早期の降圧治療の試験を 2001年7月20日~2013年10月14日までに、23ヵ国173施設から4,011例が登録され、GTNパッチ群に2,000例、対照群には2,011例が割り付けられた。2,097例(52%)が脳卒中発症前から降圧薬治療を受けており、継続群に1,053例、中止群には1,044例が割り付けられた。 4つの群の平均年齢は70~73歳、男性が50~57%で、虚血性脳卒中が83~88%であった。アジア人の割合は10~14%であった。 ベースライン(脳卒中発症から中央値で26時間後)の平均血圧は、GTNパッチ群が167(SD 19)/90(13)mmHg、非GTNパッチ群は167(19)/89(13)mmHgであり、継続群は166(19)/88(13)mmHg、中止群は168(19)/89(13)mmHgであった。 第1日目の血圧低下の程度は、GTNパッチ群が対照群に比べ有意に大きかった(群間差:-7.0/-3.5mmHg、収縮期、拡張期ともp<0.0001)。また、第7日目の継続群の血圧低下の程度は中止群よりも有意に大きかった(群間差:-9.5/-5.0mmHg、収縮期、拡張期ともp<0.0001)。 一方、90日目の身体機能は、GTNパッチ群および継続群のいずれにおいても改善しなかった。すなわち、不良な転帰に関する、対照群に対するGTNパッチ群の補正オッズ比(OR)は1.01(95%信頼区間[CI]:0.91~1.13、p=0.83)であり、中止群に対する継続群の補正ORは1.05(95%CI:0.90~1.22、p=0.55)であった。 著者は、「病態が安定して薬剤の再導入が安全に行えるようになるまで、降圧治療を控えるのが適切と考えられる。急性期以降の血管イベントのリスク低減には血圧のコントロールが重要であり、降圧治療の再開が必要となるだろう」とし、「今後は、発症後数時間以内の超早期の降圧治療に焦点を当てた試験を行うべき」と指摘している。

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2型糖尿病患者におけるエンパワーメントと治療意思決定支援ツール(decision aids)(解説:住谷 哲 氏)-271

高血糖、高血圧、高コレステロール血症、喫煙のすべてに介入する多因子介入治療(multifactorial approach)が2型糖尿病治療において重要であることは論を俟たない1)。 しかし、この治療が成功するか否かは、患者自身が治療の意義を理解し、多くの治療介入に積極的に参加することに依存している。われわれ医療従事者が患者と向き合うのは診察室におけるごく短時間のみであり、その他の時間はすべて患者の自己管理下にある。この患者の自己管理能力を向上させることで治療を成功に導こうとする考えがエンパワーメント(適切な日本語訳がない)である。 ここでの自己管理能力とは、医療従事者の指示に従うだけではなく、医療従事者との対話を通じて、治療法そのものを自己決定する(shared decision making)ことをも含む広い概念である。本論文は治療意思決定支援ツール(decision aids)が、2型糖尿病患者のエンパワーメントに及ぼす影響を検討したものである。 方法はオランダ北部の18のプライマリケアクリニックに通院中の344例の2型糖尿病患者を通常診療群と治療意思決定支援ツール提供群に無作為に振り分け、1次エンドポイントとしては、治療ゴール達成への意思決定およびゴール達成に対する患者のエンパワーメントの程度をエンパワーメントスコアにより評価した。2次エンドポイントは経過を通じての高血糖、高血圧、高脂血症およびアルブミン尿に対する処方強化および禁煙とした。治療意思決定支援ツールは4つの領域(血糖、血圧、コレステロール、喫煙)から構成されており、それぞれHbA1c<7.0%、収縮期血圧<140mmHg、LDLコレステロール<2.5mmol/L(100mg/dL)、禁煙がゴールに設定されていた。さらに個々の患者のリスクをUKPDS risk engine2)を用いて計算し、たとえば「あなたと同じ年齢、性別の2型糖尿病患者さん100人の中で、16人が今後5年間に心筋梗塞になり、84人は心筋梗塞になりません。しかし、現時点ではあなたが、そのどちらに属しているかはわれわれにはわかりません。」のような説明が提供された。 さらに、4つの領域のいずれがゴール未達成であるか、それに対する治療を受けることによるbenefit およびharm、さらに治療の有効性に関する不確実性についても説明された。探索的検討として、情報提供がパソコンの画面上で提供される群と印刷された紙媒体で提供される群、および詳細情報がすべて提供される群と簡略化された情報が提供される群が2x2要因デザインを用いて比較された。 結果は1次エンドポイントには両群に差を認めなかった。2次エンドポイントについても、紙媒体を用いた治療意思決定支援ツール提供群において高脂血症薬の投与が強化されたのみであった。これらの結果は、2型糖尿病患者に、通常の診療に加えて治療意思決定支援ツールを追加してもエンパワーメントには結びつかないこと示している。しかし、治療意思決定支援ツールによる介入を実際に受けたのが同ツール提供群の46%に過ぎず、結果の解釈には慎重を要する。 世界中で最も多数の患者からの相談を受けている医療従事者はGoogleである、と皮肉まじりにいわれるように医療においてインターネットは必要不可欠になりつつある。もし今回の検討で用いられた治療意思決定支援ツールが有効であったならば、インターネットを通じてすべての2型糖尿病患者に情報が提供され、われわれの日常診療も大きな影響を受けたかもしれない。その点で、今回の結果はわれわれの日常診療の継続に少しの安心感を与えるといえよう。 さらに、論文の主旨とは離れるが、欧米におけるエンパワーメントとわが国のそれとの違いが浮き彫りにされている点も注目してよい。わが国でのエンパワーメントは、「いかにして患者のやる気を引き出すか?」のように情緒的な点に比重が置かれており、具体的な治療目標(HbA1c<7.0%のような数値目標)と、それを達成することによるアウトカム改善のエビデンスとを医療従事者と患者との間で共有したうえでのshared decision makingが行われているとはいい難い状況にある。エンパワーメントもEBMから無縁ではないことを再認識する必要があるだろう。

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D-ダイマーが臨床現場ですぐに測れたら

画像を拡大する静脈血栓塞栓症の鑑別指標であるD-ダイマーを、簡便な操作で短時間に測定できるキットがあることをご存じだろうか? そこで今回は、POCT(point of care testing)機器「コバスh 232」について、製造販売元であるロシュ・ダイアグノスティックス株式会社に聞いた。増加する静脈血栓塞栓症高齢化および生活の欧米化により、本邦でも静脈血栓塞栓症が増加している。静脈血栓塞栓症はまた、心筋梗塞以上に死亡率が高いとされる肺血栓塞栓症1-2)の原因となる。肺塞栓症研究会共同作業部会*の調査結果3)によれば、肺血栓塞栓症の主な危険因子は腹部・骨盤・下肢に対する手術後、高齢、BMI>25.3の肥満、長期臥床、悪性腫瘍などである。これらの要素は、日本の医療が抱えている題点であり、静脈血栓塞栓症は、今後日本においてより大きな問題となっていくと考えられる。*:肺塞栓症の病態の解明、診断能の向上、治療指針の確立、救命率向上の目的で三重大学を中心に肺塞栓症研究会と共に設立された。肺塞栓症に関する多くの研究データを発表している。しかしながら、静脈血栓塞栓症は症状がない場合が多く4)、診断がついた時点で重症化していることも少なくないという。従来のD-ダイマー測定の概念が変わる静脈血栓塞栓症の除外診断には、D-ダイマー検査が必須であり、肺塞栓症研究会ではD-ダイマー測定を推奨している5)。だが、これまでD-ダイマー測定は手軽に実施できるものではなかった。測定設備のある施設でも採血、遠心分離という手順を踏んで検査するため、結果がわかるまで数十分かかってしまう。また、設備がない診療所では外注検査となり、結果は翌日になることが多く、その場での判断はできない。コバスh 232は、D-ダイマーを静脈血全血で測定可能にしたPOCT装置である。小型、軽量、バッテリーでの稼働も可能であるため携帯しやすく、在宅でも使用可能である。そのうえ検査時間も短く、D-ダイマーは約10分で測定可能である。(コバスh 232はD-ダイマー以外にも、心筋トロポニンTやミオグロビン、CK-MB、NT-proBNPの測定も可能)。静脈血栓塞栓は重症化しても症状が出にくい場合もある3)。よって、その場ですぐに結果が得られるメリットは非常に大きいといえる。画像を拡大する電源を入れ、テストストリップをセットし、静脈血全血(150μL)を滴下し、測定ボタンを押す。これだけの操作で8~12分後には結果が表示される。東日本大震災仮設住宅での検診への活用携帯性やその場で測定結果が得られるという特性から、コバスh 232は東日本大震災被災地の仮設住宅の検診でも活用されている。その背景には、狭い住環境、高齢化、外出頻度の減少などから、仮設住宅住民の下肢静脈血栓症が問題となっている状況が挙げられる。そこで毎年、カタールフレンド基金の支援による、岩手県内各地仮設住宅での下肢静脈血栓症予防検診が盛岡市立病院などの主催で行われている。下肢静脈エコーなどとともに、コバスh 232によるD-ダイマー測定が実施される。実際、毎回数名の住民に静脈血栓の疑いが認められるという。拡大するD-ダイマー検査のメリットD-ダイマーの臨床現場での即時検査のメリットはこれだけにとどまらない。とくに婦人科領域での可能性は大きい。妊娠に伴う血液凝固能亢進は、静脈血栓塞栓の発症を増加させ、妊娠中・分娩後の母体死亡のリスクとなる。そのため、低用量ピルの副作用としての静脈血栓症対策として、厚労省は血栓症を念頭に置いた診療をするよう注意喚起している6)。D-ダイマーが臨床現場ですぐに測れたら…。そのメリットは顕在化している肺血栓塞栓症への移行予防にとどまらない。高齢者、長期臥床、生活習慣病患者、がん患者など、高リスク患者が潜在している領域にも、その役割は拡大していくであろう。1)Sakuma M, et al. Research Intern Med. 2003; 42:470-476.2)Watanabe J, et al. Jpn Circ J. 2001; 65:941-946.3)Nakamura M, et al. Clin Cardiol 2001; 24:132-138.4)Cushman M, et al. J Thrombosis. 2010; 8:1730-1735.5)肺塞栓症研究会 災害緊急避難時における肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)に関する提言6)厚生労働省報道発表月経困難症治療剤「ヤーズ配合錠」投与患者での血栓症に関する注意喚起についてロシュ・ダイアグノスティックス コバスh 232の製品ページはこちら(ケアネット 細田 雅之)

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大人のアトピー治療、臨床からのエビデンス

 国際医療福祉大学病院 皮膚科 教授の大塚 勤氏は、臨床における成人アトピー性皮膚炎(AD)患者への、経口シクロスポリン治療と抗ヒスタミン薬治療の評価を行った。結果、両者を組み合わせた治療がより有効であることを報告した。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年10月14日号の掲載報告。 臨床においては多くの成人AD患者が、経口シクロスポリンまたは抗ヒスタミン薬の治療を受けている。大塚氏は、両治療の臨床および検査所見による効果の評価を行った。 25例の経口シクロスポリン治療を受けたAD患者(うち男性11例、16~42歳、平均26.2歳)と、23例の抗ヒスタミン薬治療を受けたAD患者(うち男性10例、15~32歳、平均年齢24.2歳)が対象であった。 検査所見は、高感度CRP、TARCなどで統計的に検討した。 主な結果は以下のとおり。・血清TARCは、経口シクロスポリン治療後(1,013±883pg/mL)が、治療前(3万8,194±4,678pg/mL)と比べて有意な減少を示した(p<0.02)。・末梢血好塩基球値は、同治療後(49.7±26.4×10-3個/μL)が、治療前(41.1±16.7×10-3個/μL)と比べてより有意な増加を示した(p<0.05)。・血清高感度CRP値は、抗ヒスタミン薬治療後(0.09±0.08mg/mL)が、治療前(0.13±0.12mg/mL)と比べて有意な減少を示した(p<0.05)。・末梢血好塩基球値は、同治療後(33.4 ±16.2×10-3個/μL)が、治療前(41.5±23.3×10-3個/μL)より有意に減少した(p<0.01)。

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スマホ版うつ病スクリーニングアプリの精度は

 スマートフォンのアプリケーションは、うつ病スクリーニングにおいて、セルフヘルプ的な介入として有益な可能性がある。しかし、それらの実行可能性と有効性、ならびにアプリユーザーの特徴に関する情報は限られていた。オーストラリア・シドニー大学のNasser F BinDhim氏らは、スマホアプリ版うつ病スクリーニングについて、ユーザーの利用理解度、利用状況および利用者特徴を検討するために横断研究を行った。その結果、ユーザーの4分の1がうつ病診断歴を有していたこと、またハイリスク例が6~8割程度含まれていたことなどを報告。多くの国でスマホアプリによるうつ病スクリーニングが実際に活用できる可能性を示唆した。Journal of American Medical Informatics Association誌オンライン版2014年10月17日号の掲載報告。 研究グループは、ボランティアを募り、利用理解度、利用状況、利用者の特徴を明らかにするため横断研究を行った。検討では、スマホアプリ版の無料うつ病スクリーニングを用いた。アプリには人口統計学的な質問、患者健康質問票(PHQ-9)、簡易不安検査、被験者の結果に基づく個別の推奨が含まれており、うつ病に関連するウェブサイトとリンクしていた。こうした無料アプリは、アップル社のApp Storeにて全世界で入手が可能である。2012年9月~2013年1月に登録された18歳以上の被験者に、アプリをダウンロードしてもらった。 主な結果は以下のとおり。 ・66ヵ国、8,241例がアプリをダウンロード、レスポンス率は73.9%であった。・被験者の4分の1がうつ病と診断されたことがあった。うつ病のハイリスクであるPHQ-9のカットオフ値11の被験者が82.5%、PHQ-9のカットオフ値15の被験者が66.8%を占めた。・多くの被験者が1つ以上の併存症および1回以上の自殺企図歴を有していた。・PHQ-9質問票への1回以上回答完了と関連していたのは、カットオフ値が11(OR:1.4、95%CI:1.2~1.6)、うつ病の診断歴(同:1.3、1.2~1.5)、大学院レベルの学歴(同:1.2、1.0~1.5)であった。・スマホアプリは多数の国で、うつ病のスクリーニングツールとして使用可能であった。・とくに若年成人において、疾患スクリーニング、セルフマネジメント、モニタリング、 保健教育に重要な役割を果たす可能性があった。関連医療ニュース 「笑い」でうつ病診断が可能に がん患者のうつ病を簡単にスクリーニングするには 認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学

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エボラ、赤道アフリカと西アフリカは別種/NEJM

 西アフリカで大規模に広がり続けるエボラウイルス病(EVD)の流行の一方で、赤道アフリカのコンゴ民主共和国で7回目のEVDアウトブレイクが報告されたのは、2014年7月26日のことだった。ガボン共和国・世界保健機関(WHO)研究協力センターのGael D Maganga氏らは、これら近接する2つの地域における同時期のアウトブレイクの関連を調査した。その結果、赤道アフリカのエボラウイルスは西アフリカとは異なることが判明したという。NEJM誌オンライン版2014年10月15日号掲載の報告より。サルから感染した妊婦と接触した医療者が感染源に 研究グループは、標準的なWHOのウイルス性出血熱臨床調査票を用いて、コンゴ民主共和国における疫学および臨床データを収集した。患者は、EVDに関して、「感染が疑われる(suspected)」「感染の疑いが濃厚(probable)」「感染確定(confirmed)」「非感染(non-EVD)」のいずれかに分類された。 個々の患者の接触者を追跡することで感染源の同定を試みた。また、採取された血液サンプルを用いて、特異的なRT-PCR法による診断を行い、ウイルス単離、ゲノム・シーケンシング、系統樹解析を実施した。 今回のEVDアウトブレイクは、同国Equateur州Boende市(人口約4万5,000人)近郊のInkanamongo村(首都キンシャサから直線距離で北西に約700km)で始まり、この地域に限定されていた。最初の感染例(index case)は同村に住む妊婦で、夫が見つけたサル(種は不明)の死体を解体したところ、2014年7月26日に発症し、8月11日に死亡した。 その後、1名の医師を含む4名の医療従事者が、妊婦と胎児を別個に埋葬するという現地の慣習に基づき、死亡した妊婦の帝王切開を行ったところ全員が感染し、死亡した。これらの医療従事者が、その後の感染源となっていた。死亡率74%、潜伏期間16日、迅速な対応で早期終息か 2014年7月26日~10月7日までに、感染疑い3例、感染濃厚28例、確定38例の69例(医療従事者8例を含む)が報告された。男性が33例、女性は36例で、21~60歳が80%を占めた。感染疑いの3例は、のちに非感染であることが判明している。感染濃厚例と確定例のうち49例(男性21例、女性28例、5歳未満の3例を含む)が死亡し、死亡率は74%(49/66例)だった。 EVD患者との接触から発症までの期間中央値は16日(3~27日)で、西アフリカの状況と類似していた。死亡例のうち32例の解析では、発症から死亡までの期間中央値は11日(1~30日)であった。8例の医療従事者(感染濃厚4例、確定4例)はすべて死亡している。 非感染例に比べ感染濃厚例および確定例で頻度の高い症状として、発熱、頭痛、下痢、悪心・嘔吐、疲労感、食欲不振、筋肉痛、嚥下困難、結膜炎、血便および血液の混じる吐瀉物が認められた。 index case以外は、すべてヒト-ヒト感染であった。アウトブレイクの最初の24日間にEVDと診断された29例のうち21例は、index caseと身体的またはその体液に接触していた。6回の発生のピークがみられ、8月17~24日の週の報告例数が最も多く、その後は急速に減少。10月7日の時点で、10月4日を最後に感染の報告はない。 また、index caseと接触した21例を除いた場合の平均再生産症例数(reproduction number、1人の感染者が再生産する2次感染者数)は0.84であり、感染持続の閾値である1を下回ったことから、今後、感染は終息に向かうと予測された。 一方、ゲノム・シーケンシングでは、今回のアウトブレイクの原因ウイルスは1995年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)のKikwit地区で発生したアウトブレイクの原因ウイルスとの遺伝学的同一性が99.2%で、現在西アフリカで進行中のアウトブレイクで同定されたウイルスとの遺伝学的同一性は96.8%であったことから、これらは別種のウイルスであると考えられた。 著者は、赤道アフリカのアウトブレイクが西アフリカよりも小規模であった理由のうち最も説得力のある要因として、(1)西アフリカとは対照的に、遠隔の森林地帯であり、人口密度が低く、交通機関が未発達でヒト間の接触が少なく時間もかかる地域であること、(2)過去6回のEVD流行の経験があり準備が整っていたため、対応が迅速で効果的であった点を挙げている。関連記事 発見者ピーター ピオットが語るエボラの今 エボラ出血熱 対策に成功し終息が宣言された国も エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー

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切除不能大腸がんの1次治療、FOLFOXIRI+BVが有効/NEJM

 切除不能大腸がんの1次治療において、フルオロウラシル(5-FU)/ロイコボリン(LV)+オキサリプラチン+イリノテカン(FOLFOXIRI)とベバシズマブ(BV)の併用療法は、標準治療である5-FU/LV+イリノテカン(FOLFIRI)とBVの併用療法よりも良好な予後をもたらすことが、イタリア・ピサ大学のFotios Loupakis氏らが行ったTRIBE試験で示された。切除不能大腸がんの1次治療では、従来、FOLFIRIまたは5-FU/LV+オキサリプラチン(FOLFOX)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のモノクローナル抗体であるBVの併用療法が標準治療とされる。しかしBVの臨床導入以前にFOLFOXIRIのほうがFOLFIRIやFOLFOXよりも有効性が優れることが示されており、またFOLFOXIRI+BVの第II相試験において、有望な抗腫瘍効果と良好な安全性が確認されていた。NEJM誌2014年10月23日号掲載の報告より。FOLFOXIRI+BVの予後改善効果を無作為化試験で評価 TRIBE試験は、切除不能大腸がんの1次治療におけるFOLFOXIRI+BV療法とFOLFIRI+BV療法の有用性を評価する非盲検無作為化第III相試験。対象は、年齢18~75歳、全身状態(ECOG PS)が0~2(70歳以上は0)で、組織学的に腺がんが確証され、治癒切除が不能と判定された患者であった。 被験者は、FOLFOXIRI+BV群またはFOLFIRI+BV群(対照群)に無作為に割り付けられ、1サイクル2週の治療が最大12サイクル施行されたのち、維持療法として5-FU+BV療法が病態進行となるまで継続された。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS、割り付け時から病態進行または死亡までの期間)であり、評価は中央判定で行われた。FOLFOXIRI+BVのPFSが有意に2.4ヵ月延長、OSに有意差なし 2008年7月~2011年5月までにイタリアの34施設から508例が登録され、FOLFOXIRI+BV群に252例(年齢中央値60.5歳、男性59.5%、PS 0は90.1%)が、FOLFIRI+BV群には256例(60.0歳、60.9%、89.5%)が割り付けられた。原発巣が右結腸の患者がそれぞれ34.9%、23.8%(p=0.02)と有意な差がみられたが、これ以外の背景因子に差はなかった。 PFS中央値は、FOLFOXIRI+BV群が12.1ヵ月と、FOLFIRI+BV群の9.7ヵ月に比べ有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.62~0.90、p=0.003)。術後補助療法歴のある患者を除く全サブグループにおいて、PFSに関するFOLFOXIRI+BV群のベネフィットが認められた。 客観的奏効率(ORR)は、FOLFOXIRI+BV群が65.1%(完全奏効:4.8%、部分奏効:60.3%)、FOLFIRI+BV群は53.1%(3.1%、50.0%)であり、有意差が認められた(HR:1.64、95%CI:1.15~2.35、p=0.006)。また、全生存期間(OS)中央値はFOLFOXIRI+BV群が31.0ヵ月と、FOLFIRI+BV群の25.8ヵ月よりも延長する傾向がみられたが、有意な差はなかった(HR:0.79、95%CI:0.63~1.00、p=0.054)。 FOLFOXIRI+BV群はFOLFIRI+BV群に比べ、Grade 3~4の末梢神経障害(5.2 vs. 0%、p<0.001)、口内炎(8.8 vs. 4.3%、p=0.048)、下痢(18.8 vs. 10.6%、p=0.01)、好中球減少症(50.0 vs. 20.5%、p<0.001)の頻度が有意に高かった。BV関連の有害事象の頻度は両群で同等であった。重篤な有害事象(20.4 vs. 19.7%、p=0.91)および有害事象による死亡(2.4 vs. 1.6%)にも両群間に差はなかった。 著者は、「FOLFOXIRI+BV療法による6ヵ月の導入療法と5-FU+BVによる維持療法は標準治療よりも高い効果を示した。医療費は有害事象の発症に応じて増加した」とまとめ、「1次治療で3剤併用化学療法を行った場合の2次治療以降のレジメンや、RAS野生型例への適応などの課題が残る」としている。

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健康長寿実現には早期死亡回避努力(早期死亡率改善)の忍耐強い継続的実践が優れた手段となる可能性に期待(解説:島田 俊夫 氏)-270

世界の先進国においては平均寿命が長くなり、平均寿命は70歳を超える時代に突入し、わが国を含む先進国の一部では女性は言うまでもなく90歳を超える勢いで、男性においても80歳を超える状況となっている。 本論文では、これ以上寿命を延ばすことにのみ目を向けるのではなく、健康寿命重視の立場から70歳未満のいわゆる早期死亡に視点を向け、早期死亡をいかにして減少させるかを国連(1970年~2010年)およびWHOのデータソース(2000年~2010年)を用いて検証し、具体的なデータに基づいて著者の考えをアピールしている。 Norheim氏らは、実施可能な目標こそが各国の政府に影響を与えるとして「2030年までに早期死亡の40%削減」を提案している。全死亡とヘルスケア改善には、修正可能な死亡原因や死亡の脅威となっている障害をすべて考慮することが必要であり、早期死亡の40%削減は、すべての国にとって不可避な課題であり、次の4つの目標達成を「2030年に向け継続可能な改善目標」として強化することを推奨している。(1)小児および妊産婦死亡の2/3削減、(2)結核、HIV、マラリアによる死亡の2/3削減、(3)非感染性疾患(NCDs)による早期死亡の1/3削減、(4)その他の要因(感染性疾患、低栄養、外傷)による死亡の1/3削減、である。 これらの目標達成が50歳未満死を半減し、50~69歳の死亡を1/3削減して、結果的には70歳未満死の40%削減が達成できるとしている。 この可能性を評価するために、人口上位25ヵ国、4つの所得国群および全世界の死亡動向をレビューしている。全死亡については1970~2010年の国連データを使用し、2000~2010年のWHOデータに基づき特異的原因死の動向調査を実施のうえ、2030年の各国人口を標準化した。 これらの情報を踏まえて著者は、「2000~2010年」にみられた死亡率減少の継続・維持・推進で、2030年の目標である疾患特異的死亡の2/3または1/3削減の目標達成は可能」としている。 この数値目標が達成されれば2030年の0~49歳の死亡は2,000万例のうち約1,000万例を、0~69歳の死亡は4,100万例のうち約1,700万例を減らすことが可能だと試算している。 この結果は、早期死亡を減らすことが発展途上国に限定されたものでなく先進国においてさえ、多少の差はあるとしてもあまねく健康改善の実現(健康長寿)に寄与することを強調している。また、NCDsのリスク因子であるタバコ、アルコールなどの使用を減らすことは早期死亡を減らすことに有効な手段となることは自明の理である。 単に長寿を追求する時代ではなくQuality of Lifeを考慮した健康長寿を目指す時代に私たちは生きている。

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62)消費税率を話題に目標血糖値を覚えてもらうコツ【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者消費税が5%から8%に上がって大変です。そんなに経済的に余裕がないのに・・・医師確かにそうですね。今日の検査を見て頂けますか。患者悪くなっているんですか?医師そうですね。血糖値が8%台になりました。合併症予防のための血糖コントロール(HbA1c)の第一目標は7%になります。ちなみに、糖尿病でない人のHbA1cは5%台です患者普通の人が5%で、私が8%ですか。消費税と同じ数字ですね。医師そうですね。値上がりをきっかけに、食品の購入について考えてみてもいいですね。患者確かに。余分なものは買わないようにしないと・・・(気づきの言葉)。●ポイント身近な話題を取り上げて、検査値について復習できるといいですね

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