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骨巨細胞腫〔Giant cell tumor of bone〕

1 疾患概要■ 概念・定義骨巨細胞腫は、病理組織学的に破骨細胞様多核巨細胞がみられる良性骨腫瘍であり、1818年にCooper氏により初めて報告された1)。2013年に改訂されたWHO分類(第4版)では2)、「OSTEOCLASTIC GIANT CELL RICH TUMOURS」の項にIntermediate (locally aggressive、rarely metastasizing) として分類されている。そして「A benign but locally aggressive primary bone neoplasm」と記載されているように、組織学的に良性であっても、局所再発や、まれに肺転移も来す腫瘍である。また、骨巨細胞腫に併存して、あるいは以前骨巨細胞腫が存在した部位に高悪性度肉腫が発生することがあり、これは2013年のWHO分類でmalignancy in GCTと総称されている。■ 疫学発生頻度は原発性骨腫瘍の約8.5%、原発性良性骨腫瘍の約12.3%であり3)、好発年齢は20~30代である。好発部位は、脛骨近位や大腿骨遠位、上腕骨近位、橈骨遠位などの長管骨骨端部であるが、比較的早期に発見された腫瘍は骨幹端に存在するものが多く、骨幹端に発生して速やかに骨端に広がる腫瘍と考えられる。しばしば、脊椎、骨盤などの体幹にも発生する。■ 病因骨巨細胞腫は、主に単核の単球細胞、多核巨細胞、紡錘形細胞で構成されており(図1)、腫瘍の本体は、間質に存在する紡錘形細胞と考えられている。そして、これらの細胞の起源については、単球細胞と多核巨細胞がマクロファージ由来、間質の紡錘形細胞が間葉系幹細胞由来と考えられている4)。本腫瘍に関するこれまでの分子生物学的研究から、間質の紡錘形細胞がRANKLを、多核巨細胞はその受容体であるRANKを高率に発現しており5)、このRANKL-RANKシグナルが骨巨細胞腫の病態形成に深く関わっていることが明らかとなっている。画像を拡大する■ 症状特異的な症状はなく、発生部位の腫脹、熱感、疼痛が主で、関節周囲に発生することから、荷重による疼痛や関節可動域制限を認めることが多い。また、腫瘍の増大が速く、これらの症状が発現してから進行するまでの期間が短く、病的骨折を生じて発見されることもある。■ 分類一般的にX線所見による病期分類6)を用いることが多く、再発などの予後と相関する。Grade1境界明瞭で薄い辺縁硬化を伴い骨皮質が正常Grade2境界明瞭だが辺縁硬化がなく骨皮質の菲薄化を認めるGrade3境界不明瞭で浸潤性および活動性を示し骨皮質の破壊と軟部組織への進展を認める■ 予後エアドリルを併用した病巣掻爬や電気メス、アルゴンビームなどの補助療法を追加する手術を行った場合、再発率は10~25%と報告されており、腫瘍を一塊として切除した場合の再発はこれより少ない。局所再発の多くは、術後2年以内であるが、長期経過後の再発も報告されている。また、約1~2%の例で肺転移を認めることがあり、非常にまれではあるが、肺転移巣の大きさや数、部位によっては死亡する例も存在する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査1)画像検査(1)単純X線腫瘍は長管骨の骨幹端から骨端にかけての骨溶解像として描出される(図2)。腫瘍は偏心性に存在することが多く辺縁硬化像を伴うことは少ない。腫瘍が進行した場合、皮質骨は菲薄化と膨隆を伴いシェル状となる。また、時に皮質骨が消失することもある。その他、特徴的な所見としては腫瘍内部の隔壁構造がsoap-bubble appearanceを呈する場合がある。画像を拡大する(2)CT菲薄化した皮質骨の評価に有用である。(3)MRI骨髄内や骨外への腫瘍進展を捉えるために有用である。一般的に、腫瘍はT1強調像で等~低信号、T2強調像で高信号を示し、ガドリニウム(Gd)によりよく造影される。しかし、進行した場合、病巣内に出血に伴うヘモジデリン沈着、嚢胞形成、壊死などの多彩な変化を生じる。出血に伴い2次性の動脈瘤様骨嚢腫に発展した場合は、液面形成像(fluid-fluid level)を呈することもある。2)病理検査破骨細胞類似の多核巨細胞と単核の間質細胞からなる組織像を示す。腫瘍の辺縁に反応性骨形成がみられることがあるが、腫瘍による骨形成は通常みられない(図1)。■ 鑑別診断画像上の鑑別診断としては、良性では単純性骨嚢腫、動脈瘤様骨嚢腫、軟骨芽細胞腫など、悪性では通常型骨肉腫、血管拡張型骨肉腫、未分化高悪性度多形肉腫、がんの骨転移などが挙げられる。骨巨細胞腫は、好発年齢・部位と特徴的な画像所見により、診断は可能だが、最終診断には生検による病理検査が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 外科的治療他の良性骨腫瘍と同様に掻爬を行い、骨欠損部は骨移植や骨セメントで充填することが一般的である。ただし、鋭匙などによる単純な掻爬では再発率が高く、エアドリルの使用、掻爬後のフェノール処置、電気メスやアルゴンビームなどで焼灼など補助療法を追加した外科的治療を行うことが必要である7)。また、関節に浸潤し、軟骨下骨の温存が困難な例や、腫瘍により骨構築が破綻した場合は、切除を行い、骨欠損部を腫瘍用人工関節や人工骨頭で再建することもある。橈骨遠位端発生例では、腫瘍の活動性が高く、切除を行い関節固定で再建することが多い。■ 薬物療法骨転移による病的骨折などの骨関連事象を制御する目的で用いられているゾレドロン酸を切除困難な骨巨細胞腫に使用し、その有用性を述べた報告もある8)。筆者も使用経験があり、骨巨細胞腫に対する治療選択肢の1つと考えている。しかし、明らかな骨形成など明確な変化が得られることは少なく、また、保険適用外であることが問題である。骨巨細胞腫の治療上、革新的な変化が起きたのは、本疾患に対して抗RANKL抗体であるデノスマブの臨床試験が行われ、その結果を受けて2013年6月に米国食品医薬品局(FDA)が、骨巨細胞腫に対する適応を承認したことである。デノスマブは、すでに「多発性骨髄腫による骨病変および固形がん骨転移による骨病変」に対して2012年4月に保険収載され、現在多くの骨転移患者に用いられている。2013年3月には「骨粗鬆症」に対しても保険適用されている。骨巨細胞腫に関しては、FDAの承認後、わが国でも「切除不能または重度の後遺障害が残る手術が予定されている骨巨細胞腫患者」を対象として国内第II相臨床試験が行われ、2014年5月に骨巨細胞腫に対する追加承認を取得、骨巨細胞腫に対して用いることが可能となった。デノスマブは、RANKLを標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤である。RANKL は、破骨細胞および破骨細胞前駆細胞表面のRANKに結合し、破骨細胞の形成、機能、生存に関わる分子であり、骨巨細胞腫の病態形成にも深く関与している5)。デノスマブによりRANKLが阻害されることにより、破骨細胞様多核巨細胞が消失し、腫瘍による骨破壊が抑制される。また、腫瘍内に骨形成が起こり、疼痛などの自覚症状も改善する。■ その他脊椎や骨盤など、解剖学的に切除が困難な部位に発生した場合には、腫瘍の進行を制御する目的で動脈塞栓術が試みられている。同じく切除不能例に対する放射線治療も行われてきたが、照射後の悪性化が問題となり、現在ではあまり行われていない。4 今後の展望骨巨細胞腫患者に対するデノスマブの有用性と安全性を明らかにする目的で、米国Amgen社により、骨巨細胞腫患者を対象とした臨床試験(20040215試験および20062004試験)が海外で実施された。いずれの試験においても、安全性と高い抗腫瘍効果が認められ9-11)、これら2試験の成績を基に、骨巨細胞腫に対する承認申請が米国Amgen社により行われ、米国では2013年6月に承認された。わが国においても、「切除不能または重度の後遺障害が残る手術が予定されている骨巨細胞腫患者」を対象に臨床試験が行われ、2013年6月にデノスマブが希少疾病用医薬品に指定され、「骨巨細胞腫」を効能・効果として、2014年5月に承認が得られている。筆者は、現時点での本疾患に対するデノスマブの適用を、「骨格の成熟した12歳以上の骨巨細胞腫患者で切除不可能な場合、もしくは切除に伴い重篤な機能障害を生じる場合」と限定して考えている。デノスマブの出現は、切除困難な骨巨細胞腫患者に大きな変化をもたらしたことは明らかである。しかし、エビデンスのある治療戦略はまだ明らかにされていない。術前投与と縮小手術の詳細や中長期の治療成績に関してもまだ不明である。今後、前向き多施設臨床試験などで、これらの問題を明らかにする必要があると考える。5 主たる診療科整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍相談コーナー(一般利用者向けのまとまった情報)特定非営利活動法人 骨軟部肉腫治療研究会(医療従事者向けのまとまった情報)1)Cooper A, et al. Surgical essays. 3rd ed. Cox & Son; 1818.2)World Health Organization Classification of Tumours of Soft Tissue and Bone. IARC Press; 2013.3)日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍委員会 編. 全国骨腫瘍登録一覧表(平成23年度). 国立がん研究センター; 2011.4)Wulling M, et al, Hum Pathol. 2003; 34: 983-993.5)Morgan T, et al. Am J Pathol. 2005; 167: 117-128.6)Campanacci M, et al. J Bone Joint Surg Am. 1987; 69: 106-114.7)岩本幸英 編. 骨・軟部腫瘍外科の要点と盲点(整形外科Knack & Pitfalls). 文光堂; 2005. p.210-213.8)Balke M, et al. BMC Cancer. 2010; 10: 462.9)Thomas D, et al. Lancet Oncol. 2010; 11: 275-280.10)Branstetter DG, et al. Clin Cancer Res. 2012; 18: 4415-4424.11)Chawla S, et al. Lancet Oncol. 2013; 14: 901-908.

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クローン病患者に対する腸切除後の治療方針:無作為化比較試験(解説:上村 直実 氏)-304

 クローン病は原因不明で根治的治療が確立していない炎症性腸疾患であり、日本では医療費補助の対象である特定疾患に指定されている。 抗菌薬、サリチル酸製剤、ステロイドや従来型免疫抑制剤および腸管を安静に保つ栄養療法がわが国における治療の主体であったが、最近、顆粒球除去療法や生物学的製剤である抗TNFα抗体が、新たな治療法として注目されている。 日本における治療目的は再燃を少なくして不自由のない社会生活を送ることのできる寛解期間を長くすることであるが、欧米では入院費用が高額なためにほとんどが外来治療であり、入院を要するのは外科的手術が必要な場合のみという医療現場の違いが治療方針にも反映されている。 クローン病の通過障害を伴う狭窄や穿孔および瘻孔に対して外科的腸切除術が施行されるが、とくに手術施行率の高い欧米では高率な術後再発が大きな課題となっている。 本研究は、腸切除後の患者を対象として、手術から6ヵ月後に内視鏡検査を施行して治療法を変更する群(積極的治療群)と、内視鏡検査を施行せずに標準治療を継続する群(標準治療群)に無作為に割り付けて、18ヵ月後の内視鏡的再発率および粘膜の正常化率を検討した結果、標準治療群と比較して積極的治療群の再発率が有意に低値で、粘膜の正常化率が有意に高値であった。この結果、「クローン病の腸切除後には、早期の内視鏡検査により判定される再燃状態に応じた免疫療法の導入が、術後再発の予防に有用であり、再手術のリスクを軽減できる」と結論している。 クローン病の悪化に対して外科的手術の選択率が高く、さらに術後の短期再発も高率にみられる欧米の医療において、本研究で示された早期内視鏡検査の重要性は術後の診療方針に大きな影響を与えるものであろう。医療保険システムの異なる日本の症例にも適合する可能性が高く、今後、内視鏡的な評価を用いたRCTがわが国でも施行されることを期待したい。

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努力しない人間【Dr. 中島の 新・徒然草】(051)

五十一の段 努力しない人間先日の脳外科同門会でのこと。 A先生 「努力しない人間が世の中にいるということは知っていましたけどね」 中島 「ええ」 A先生 「まさか自分の息子がそうだったとは!最近になってようやく受け入れることができました」 中島 「たしか小学生だったと思うけど」 A先生 「もう就職です」 中島 「月日の経つのは早いなあ」 A先生 「最初は幼児教育やるとか言ってたんですけど大学の単位が足りなくて方向転換したんですよ」 中島 「なるほど」 A先生 「でも今度は自分の専門とはまったく違うアルバイト先に就職するらしいんですわ」 中島 「必ずしも初志貫徹ばかりがエエとは限らへんよ」 A先生 「そうでしょうか」 中島 「そもそも夢っちゅうのは叶えようとするもんじゃなくてね」 A先生 「と、言いますと?」 中島 「現実に合わせて下方修正するモンやな、僕の説では」 A先生 「おおーっ!」 これ、前にも言いましたかね。 中島 「口に出さへんだけで、みんなやっとるがな。下方修正なんて」 A先生 「うーん、確かに」 優秀な人材の多いわれわれの業界であっても、「下方修正」は横行しているはずです。 中島 「もうちょっと付け加えると」 A先生 「ええ」 中島 「何でもちょっとやってみて自分に向いてなかったら、方向転換するべきやね」 A先生 「そうなんですか?」 中島 「こういうのをメタ・ゲームと言うらしんやけど、人生において大切なことは、『いかに自分に向いたゲームを見つけるか』ということやね」 A先生 「そう言われれば、そうかも」 中島 「誰でも下方修正とか方向転換とかこっそりやってるわけよ。先生の息子さんは、それを正当化したり美化したりせず、ストレートに表現しているからお父ちゃんに『努力しない人』と思われているんじゃないかな」 A先生 「そう言っていただくと、ちょっと気が楽になります」 正月早々、努力しない話になってしまって恐縮です。でも、もし努力が苦にならない分野に出会うことができれば、きっとそれが自分に向いているんでしょうね。最後に1句成らずとも 下方修正 すればよし

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HPVワクチン、複数回接種の費用対効果/JAMA

 2価と4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの、接種回数と費用対効果について、英国・イングランド公衆衛生局(Public Health England:PHE)のMark Jit氏らが伝播モデルをベースに検討した。その結果、仮に2回接種による防御効果が10年しか持続せず、3回接種の効果が生涯持続するのなら、そのほうが費用対効果は高いこと、一方で2回接種の効果が20年超持続するのなら、2回接種が最適な選択肢であることを明らかにした。2価/4価HPVワクチンは、長期にわたりHPV16/18への防御効果をもたらす可能性が示されているが、その正確な期間・規模について、3回接種の場合と比較した検討はこれまで行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年1月7日号掲載の報告より。4価ワクチンのコスト136米ドル/回と仮定して検討 研究グループは、英国の12~74歳男女集団をベースとし、12歳女児の80%に対してHPVワクチンの初回接種が実施され、14歳までに2回接種が、3回接種はそれ以後で行われると仮定した伝播モデルを作成し、ワクチンの2回接種、3回接種について、効果持続期間による費用対効果を検討した。 ワクチン効果については、2価/4価HPVワクチンの2回接種は、10年、20年もしくは30年間、防御効果、交叉防御効果、または交叉防御効果はないが生涯持続性のあるワクチンであると仮定し、3回接種は生涯持続および交叉防御効果を有すると仮定し検討した。 検討では、4価HPVワクチン1用量の定価は86.5ポンド(136米ドル)として試算した。2回接種以上が費用対効果高く、2~3回は効果持続期間とコストにより異なる 結果、HPVワクチン2回以上の接種については、HPV関連のがん罹患率が有意に低下し、費用対効果が高いことが判明した。 また4価HPVワクチンの2回接種について、防御効果が10年しか持続せず、3回接種の効果が仮定どおりに生涯持続するのなら、3回接種(追加用量の定価を86.5ポンドとした場合)の費用対効果が高いことが示された(増分費用対効果の中央値:1万7,000ポンド、四分位範囲:1万1,700~2万5,800ポンド)。 一方で、ワクチン2回接種の防御効果が20年超持続するのなら、3回目の接種費用が閾値中央値31ポンド(範囲:28~35ポンド)程度まで大幅に下がらない限り、3回接種の費用対効果は低くなることが示された。 また、2価HPVワクチン(1用量の定価80.5ポンド)でも、同様な結果が得られたという。 結果を踏まえて著者は、「HPVワクチン接種は、防御効果が20年以上あるのならば2回接種が最も費用対効果のある選択肢となりそうだ」と述べるとともに、「2回接種の防御効果の正確な期間が不明であるのなら、同接種コホートに対するモニタリングを密にしなければならない」と指摘している。

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3cm以下のHER2陽性乳がん、補助療法の効果は?/NEJM

 リンパ節転移陰性HER2陽性乳がんで、腫瘍最大径が3cm以下の人に対し、パクリタキセルとトラスツズマブによる補助療法は、早期再発リスクは約2%であることが示された。米国・ダナファーバーがん研究所のSara M. Tolaney氏らが、406例を対象に行った試験で明らかにした。これまでの主なトラスツズマブ補助療法の試験では、腫瘍径が小さい患者の多くは被験者として不適格であったため、同患者群に対する標準治療がないという。NEJM誌2015年1月8日号掲載の報告より。パクリタキセル+トラスツズマブを12週、トラスツズマブを9ヵ月投与 Tolaney氏らは、リンパ節転移陰性HER2陽性乳がんで腫瘍最大径が3cm以下の406例を対象に、パクリタキセルとトラスツズマブによる補助療法について、非対照単群試験を行った。 被験者には12週間にわたりパクリタキセルとトラスツズマブを投与し、その後9ヵ月間トラスツズマブ単剤投与を行った。 追跡期間の中央値は4.0年。主要評価項目は、浸潤がんのない生存だった。浸潤がんのない3年生存率は98.7% その結果、浸潤がんのない3年生存率は98.7%だった(95%信頼区間[CI]:97.6~99.8%)。再発が認められたのは12例で、そのうち乳がんの遠隔転移は2例だった。 HER2陰性対側乳がんと非乳がんのがんを除外すると、疾患特異的イベントは7件だった。 グレード3のニューロパチーが1件以上認められたのは、13例(3.2%、95%CI:1.7~5.4%)。症候性うっ血性心不全が認められたのは2例(0.5%、同:0.1~1.8%)で、両者ともトラスツズマブ投与中止により左室駆出率は正常に戻った。 また、同試験で規定していた、重大な無症候性駆出率低下が認められたのは13例(3.2%、同:1.7~5.4%)だった。しかし、そのうち11例はトラスツズマブ投与を短期中断後、同療法を再開継続できた。

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第4回腹腔鏡下胆道手術研究会学術集会 開催のご案内

 腹腔鏡下胆道手術研究会は、「腹腔鏡下胆道手術の健全な普及と進歩」をテーマに、2015年3月7日、第4回腹腔鏡下胆道手術研究会学術集会を開催する。同研究会は、総胆管病変に対するさまざまな腹腔鏡下胆道手術の進歩と発展のため、医療者が集まり勉強する会として活動している。開催概要【日時】2015年3月7日(土)【会場】TKP札幌カンファレンスセンター赤れんが前〒060-0004 北海道札幌市中央区北四条西6丁目1 毎日札幌会館 5F電話:011-252-3165会場地図はこちらアクセス・札幌市営地下鉄 南北線 さっぽろ駅10番出口徒歩2分・JR 函館本線 札幌駅徒歩5分【当番世話人】倉内 宣明 氏(苫小牧日翔病院 外科)【プログラム概要】10:45~11:25 幹事会11:25~11:55 メンバー会議12:00~12:05 開会の辞12:05~13:00 ランチョンセミナー (J&J共催)        演者:        金田 悟郎 氏(国立病院機構相模原病院 副院長)        海老原 裕磨 氏(北海道大学 消化器外科学 II)        司会:        徳村 弘実 氏(東北労災病院 副院長)13:00~14:30 公開ドライラボトレーニング「腹腔鏡下総胆管切石術」        演者:        梅澤 昭子 氏(四谷メディカルキューブ 外科)        松村 直樹 氏(東北労災病院 外科)        会場レポーター:        内藤 剛 氏(東北大学 肝胆膵外科・胃腸外科)        司会:        力山 敏樹 氏(自治医大さいたま医療センター 一般・消化器外科)        コメンテーター:        法水 信治 氏(名古屋第二赤十字病院 一般消化器外科)        千野 佳秀 氏(第一東和会病院 内視鏡外科センター)14:30~14:45 コーヒーブレイク14:45~16:00 ビデオディスカッション1「胆道切除後の胆管空腸吻合」        演者:        佐原 八束 氏(東京医科大学 消化器外科・小児外科)        水口 義昭 氏(日本医科大学 消化器外科)        堀口 明彦 氏(藤田保健衛生大学 胆膵外科・総合外科)        司会:        中村 慶春 氏(日本医科大学 消化器外科)        コメンテーター:        砂川 宏樹 氏(中頭病院 消化器・一般外科)        高畑 俊一 氏(九州大学 臨床・腫瘍外科)16:00~17:15 ビデオディスカッション2「高度急性胆嚢炎の腹腔鏡下胆摘」        演者:        渡邊 学 氏(東邦大学大森病院 外科)        鈴木 憲次 氏(富士宮市立病院 外科)        長谷川 洋 氏(東海病院 内視鏡外科手術センター)        司会:        飯田 敦 氏(国立病院機構福井病院 副院長)        コメンテーター:        安永 昌史 氏(久留米大学 外科)        本田 五郎 氏(都立駒込病院 肝胆膵外科)17:15~17:30 コーヒーブレイク17:30~18:30 特別講演(Covidien共催)        演者:        山川 達郎 氏(帝京大学医学部溝口病院 名誉教授)        司会:        倉内 宣明 氏(苫小牧日翔病院 外科)18:30~18:35 閉会の辞18:50~20:00 情報交換会【お問い合わせ】<運営事務局>マイス株式会社〒060-0041 札幌市中央区大通東7丁目18-2 EAST7ビル7FTEL:011-280-8008 FAX:011-280-4000E-mail:contact@labs4.hkdo.jp第4回腹腔鏡下胆道手術研究会ホームページhttp://labs4.hkdo.jp/

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境界性パーソナリティ障害+過食症女性の自殺リスクは

 神経性過食症(BN)を併発する境界性パーソナリティ障害(BPD)の女性患者では、自傷行為や自殺未遂との特異的かつ有意な関連がみられることが、Deborah L. Reas氏らによる検討の結果、明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「治療期間中の自殺行為に対するさらなる警戒やモニタリングの重要性、定期的なBNスクリーニングが必要である」と指摘している。BPDにおいて、BNが自傷行為や自殺行為といった生命に関わる行為のリスクをもたらすかどうか、調査した研究はほとんどなかった。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2014年12月15日号の掲載報告。 検討は、DSMI-IV II軸パーソナリティ障害のための構造化臨床面接(SCID-II;First, Gibbon, Spitzer, Williams, & Benjamin, 1997; Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th ed.; APA, 1994)によりBPDと診断され、1996~2009年にNorwegian Network of Psychotherapeutic Day Hospitalsに入院した、治療を望む女性患者483例を対象として行われた。57例(11.8%)が、精神疾患簡易構造化面接法(M.I.N.I.; Sheehan et al., 1998)により、DSM-IVの BPD診断基準を満たし、BPDおよび他のAXIS I障害の女性と比較された。 主な結果は以下のとおり。・BPD治療中の女性において、BNの併発は特異的かつ有意に自殺行為リスクの増大と関連した。・BNの併発が、すでにハイリスクにある患者がさらに生命に関わる行為へと向かう(これは社会的重大問題である)有意なマーカーとなっていることが判明し、BPD治療中女性におけるBNの定期的なスクリーニングの重要性が強く示唆された。・BNを併発しているBPD患者では、摂食時における自殺念慮の報告(過去7日間における)、治療期間中における頻繁な自傷行為や自殺未遂の割合が有意に高かった。・気分、不安、物質関連障害で調整後のロジスティック回帰モデルにおいて、すべての二変数の相関関係は有意であった。関連医療ニュース 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには パニック障害+境界性パーソナリティ障害、自殺への影響は 過食性障害薬物治療の新たな可能性とは

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第30回 医療に絶対を求める裁判所の結論への疑問

■今回のテーマのポイント1.乳腺疾患で一番訴訟が多いのは乳がんである2.乳がんに関する訴訟では、診断、手術適応、説明義務違反が主として争われている3.本事例における病理診断に対する裁判所の過失判断の枠組みには問題があり、再考の必要がある■事件のサマリ原告患者X被告Y病院 Z医師(病理医)争点診断ミスによる債務不履行責任結果原告勝訴、1,645万円の損害賠償事件の概要45歳女性(X)。平成13年10月、市の乳がん検診を受診し、左乳腺腫瘤を指摘されたことから、近医を受診し、超音波検査を受けたところ、やはり、同部に腫瘤が認められました。Xは、同月23日に精査のためY病院を受診し、A医師により、触診、超音波検査、マンモグラフィーおよび吸引細胞診などが行われました。超音波検査の結果は、乳がんを疑うとされましたが、マンモグラフィーではがんは指摘されませんでした。Y病院の病理医のZ医師は、Xの吸引細胞診の検体を観察し、細胞診検査報告書に、「血性で汚い背景です。クロマチン増量、核小体腫大、核大小不同を示す不規則重積性のみられるatypical cell(異型細胞)がみられます。Papilo tubular Ca(乳頭腺管がん)を考えます。診断PAP ClassⅤ(パパニコロウ分類)」などと記載してA医師に報告しました。以上から、A医師は、Xに対し、検査の結果、左乳腺腫瘤はがんであったと伝え、11月7日に、左乳房の非定型乳房切除術を行いました。ところが、切除検体を用いた病理診断の結果は、「全体像を総合的に検討すると、病変は、増殖が強く、典型的とはいえないが、乳管内乳頭腫である可能性を第一に考える」と診断されました。これに対し、Xは、不必要な手術を受けた結果、左肩関節の可動域制限および乳房再建手術を受けることとなったなどとして、Y病院および、病理医のZ医師に対し、約2,720万円の損害賠償請求を行いました事件の判決細胞診の判定としては、従来より、パパニコロウ分類が用いられている。このパパニコロウ分類においては、細胞診所見において異型細胞をみないものがクラスI、異型細胞はあるが悪性細胞をみないものがクラスII、悪性を疑わせる細胞をみるが確診できないものがクラスIII、悪性の疑いが極めて濃厚な異型細胞を認める場合がクラスIV、悪性と診断可能な異型細胞を認める場合がクラスVとされている。このように、クラスVとの診断は、疑いを超えて確診に至ったものであるから、クラスVというためには、診断時の所見に照らし、悪性と診断できる確実な根拠があることが必要であるというべきである。上記のとおり、本件では、術前の細胞診の結果、クラスVと診断されているにもかかわらず、術後の組織検査においては、被告病院を含む3つの医療機関において、いずれも良性である乳管内乳頭腫との診断がされており、術前の細胞診のプレパラートについても、他院において、クラスIIとの判定がされている。その上、本件当時被告病院に勤務していた細胞検査技師は、他施設の検査技師も悪性を疑うという意見であったこと及び被告病院で再度検討した結果としてもがんの可能性がないとは言い切れないとの判断であったことを陳述しているところ、これらの判断を上記分類に当てはめた結果については何ら言及されていないが、悪性を確診するとか、これを強く疑うとの記載がないことからすると、せいぜいクラスIIIに分類すべきとの判断と理解でき、この陳述からしても、被告Z医師の判定は誤りであったとうかがわれるところである。・・・・(判決文中略)・・・・上記で認定説示した事実と弁論の全趣旨によると、被告Z医師には、細胞診の検体からは良性の可能性も否定できず、さらに生検等によってこの点を精査すべきであったにもかかわらず(この点は、仮に、判定がクラスIVであっても同様である)、良性の可能性を疑う余地がないかのような判定をした点において、細胞診の診断を誤った過失があると認められる。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(東京地判平成18年6月23日判タ1246号274頁)ポイント解説■乳腺疾患の訴訟の現状今回は乳腺疾患です。乳腺疾患で最も訴訟が多いのは乳がんであり、疾患全体の中でその多くを占めています。乳がんに関する訴訟の原告勝訴率は、55.6%と高いのですが、平均認容額は、約1,387万円とそれほど高額とはなっていません(表1)。これは、乳がんに関する訴訟では、悪性疾患であるにもかかわらず、生存患者からの訴訟が多く、かつ、がん自体が根治していてもなお訴訟に到っていることが原因となっています。参考までに肝細胞がんに関する訴訟(20件)では、患者転帰が生存である率は4.8%しかなく、膵がんに関する訴訟(4件)では0%です。一方、乳がんに関する訴訟では、55.6%と高率であり、かつ、乳がん自体は根治している事例が3件(33.3%)もあります(表2)。乳がんに関する訴訟は大きく分けて3つの類型があります。1つは、本件で取り扱ったような誤診事例であり、もう1つは、不必要に拡大手術を行ったとして争われる事例であり、最後の1つが、説明義務違反の事例です。悪性疾患であることからか、不必要な拡大手術を行ったとして争われている事例では、原告勝訴事例はありません。しかし、良性の腫瘍を誤って悪性と診断し、切除した場合(誤診事例)には、原告が勝訴しています。やはり、結果が(後になってからではありますが)明らかである分、裁判所の判断が厳しくなるものと思われます。■病理医が訴えられ敗訴本件の判決で大きな問題といえるのは、病院とともに、病理医が個人として訴えられており、かつ、敗訴している点です(約1,645万円の損害賠償)。本判決の判断枠組みは非常にシンプルで、「ClassVは、悪性と診断できる確実な根拠があることが必要」であるところ、「他の病理医がClassIIと診断している」したがって、「良性の可能性を疑う余地があるのにClassVとしたのは過失」というものです(図)。しかし、この判断枠組みに従うと、後に他の病理医が良性と診断すると、過失と認定されることとなってしまいます。ご存じのとおり、病理診断には診断基準はあるものの、経験に基づく総合判断によることから、病理医により診断が分かれることがしばしばあります。そのような場合、結果として誤って悪性度を高く判断をしたら、過失と認定されるとなると、病理医は、ClassVと診断できなくなってしまいます。誰がみても明らかなものでない限り、Class Vと書けなくなってしまうとなると、Class IIIやIVとして要再検査とする病理診断が跋扈することとなり、患者は無駄な検査の負担を負うこととなりますし、場合によっては、治療の時期が遅れて生命に関わることもありえます(もし、仮に結果として悪性であったのに萎縮診断によりClass IIIと書いたため治療が遅れたとして訴訟された場合には、同一の判断枠組みを用いて過失はないと判断するのでしょうか)。もちろん、誰がみても明らかな水準の誤診であった場合には、病理医に責任があるとされることは止むを得ません。本事例がどちらであったかは判断できませんが、すくなくとも、本判決における判断の枠組みは、病理医に対し強い萎縮効果を持たせることは明白であり、その結果、過剰な検査などによる負担を負うのは患者です。現在は、だいぶ改善していますが、福島大野病院事件以前の判決では、このような現場を無視した過剰かつ、過酷な判決がしばしば見受けられました。司法と医療の相互理解を深め、萎縮効果を生むような判決が示されないよう努力していく必要があります。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成18年6月23日判タ1246号274頁

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PD4-5 Blood draws injections, blood pressure readings in the at-risk arm, and flying might not be associated with increases in arm volume: a prospective study.(Ferguson CM, USA)

患側上肢の採血、静脈注射、血圧測定および飛行は腕のボリュームの増加にはつながらないようである:前向き試験乳がん術後のリンパ浮腫に関する研究である。リンパ浮腫の一般的なリスク因子として、腋窩郭清や所属リンパ節領域への照射、術前の高いBMIが挙げられる。患者はしばしば採血や静脈注射、血圧測定、傷、飛行機による旅行、過度な運動を避けるようにアドバイスされている。しかしこれらの推奨は症例レベルの情報に基づいており、これらを避けた方がよいという確かなデータはない。そこで、患側上肢の採血、静脈注射、血圧測定、外傷および飛行が与える上肢ボリュームへの影響を大規模前向きコホート試験にて評価した。新規乳がん患者で術前、化学療法と放射線治療終了後および3~7ヵ月ごとに、ペロメトリーで両側上肢の測定を行い、上肢のボリューム変化を、片側術後では相対的ボリューム変化(RVC)、両側術後では体重で補正したボリューム変化(WAC)で定量化した。また、患者に対する質問紙も用いた。組み入れ基準は、3ヵ所以上上肢の測定がなされていること、術後6ヵ月以上経過していること、片側または両側乳房術後であることである。710人(片側560人、両側150人)、計860乳房で手術が行われた。治療の内訳は、センチネルリンパ節生検のみ64.5%、郭清18.8%、所属リンパ節領域までの照射は19%、化学療法38%、内分泌療法77%であった、リンパ浮腫をRVCまたはWAC 10%以上と定義したとき、24ヵ月で7.05%に認められた。単変量解析によるリスク因子評価は図のごとくである。多変量解析でRVCまたはWACの増加に関して、腋窩郭清はp<0.0001と有意に高く、外傷はp=0.0524とボーダーラインながら有意に高かった。【図】図を拡大する結論として、患側上肢の採血、静脈注射、血圧測定および飛行のようなリスク因子と上肢のボリュームとの間に、有意な関係は認められなかった。多変量解析で外傷は上肢のボリューム増加と関連していた。これらのデータは現在のガイドラインをサポートするものではなく、患者教育を改善するために有用であろうと著者は結んでいる。考えてみれば、患側上肢への針刺しなどがリンパ浮腫に与える影響に関して、しっかりとした研究はなかった。そのため臨床上有益なものとして紹介させていただいた。

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脱毛症の人はあのリスクが上昇

 脱毛症は、冠状動脈性心疾患のリスク上昇と関連し、脱毛症の重症度が高いほど、冠状動脈性心疾患のリスクも上昇する可能性があることが、オーストラリア・シドニー大学のNelson Trieu氏らによる研究で明らかになった。また、脱毛症は高血圧、高インスリン血症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームのリスク上昇、血清総コレステロール値・トリグリセリド値の上昇とも関連が認められた。International journal of cardiology誌2014年10月20日号の報告。 脱毛症は、冠状動脈性心疾患リスクの上昇との関連が認められており、高インスリン血症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、高血圧といった循環器疾患のリスク因子でもある。本研究では、脱毛症患者における冠状動脈性心疾患リスクとリスク因子を定量的に評価するために、データベースで文献を検索し、メタ解析を行った。プールされたオッズ比と95%信頼区間は、ランダム効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・31試験、2万9,254人の脱毛症患者について解析した。・脱毛症は、下記のリスク上昇と関連が認められた。 冠状動脈性心疾患(オッズ比1.22、95%CI:1.07~1.39) 高インスリン血症(オッズ比1.97、95%CI:1.20~3.21) インスリン抵抗性(オッズ比 4.88、 95%CI:2.05~11.64) メタボリックシンドローム(オッズ比 4.49、95%CI:2.36~8.53)・脱毛症患者は、脱毛症でない患者と比べて下記の値が高かった。 血清コレステロール(オッズ比 1.60、95%CI:1.17~2.21) 血清トリグリセリド(オッズ比 2.07、95%CI:1.32~3.25) 収縮期血圧(オッズ比 1.73、95%CI:1.29~2.33) 拡張期血圧(オッズ比 1.59、95%CI:1.16~2.18)

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ステージIV大腸がんの原発巣切除率が減少、生存率は増加

 近年の効果的な新薬の登場により、ステージIV大腸がんにおいて原発巣切除はすべての患者で必須とはいえなくなっている。米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのChung-Yuan Hu氏らは、米国におけるステージIV大腸がんでの原発巣切除実施と生存率の年次推移を検討した。それによると、1988年にはステージIV大腸がん患者の4人に3人が原発巣切除を受けていたが、2001年を境に切除率の減少が大きくなり、2010年には6割を切っていた。生存率は原発巣切除率の減少にもかかわらず改善した。著者らは「原発巣切除が不要な患者に対しても、いまだ切除が実施されている可能性があり、実際の治療はエビデンスに基づく治療ガイドラインより遅れている」と指摘している。JAMA surgeryオンライン版2015年1月14日号に掲載。 本研究は、国立がん研究所による地域がん登録を用いた後ろ向きコホート研究である。1988年1月1日から2010年12月31日までにステージIV大腸がんと診断された6万4,157例について、人口統計学的および臨床的因子を原発巣切除実施の有無で比較した。 主な結果は以下のとおり。・ステージIV大腸がん6万4,157例のうち4万3,273例(67.4%)が原発巣切除を受けていた。・原発巣切除率は、1988年の74.5%から2010年には57.4%へと減少し(p<0.001)、その経年的変化をみると、1988~2001年の-0.41%が2001~2010年では-2.39%となっており、2001年を境に減少率が有意に大きくなっていた(p<0.001)。・原発巣切除に関連していた因子は、50歳未満、女性、既婚、腫瘍悪性度が高い、結腸がん、などであった。・相対生存率中央値は、1988年の8.6%から2009年には17.8%へと増加し(p<0.001)、その経年的変化をみると、1988~2001年の2.18%が、2001~2009年では5.43%となっており、増加率は有意に大きくなっていた(p<0.001)。

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抗うつ薬の新たな可能性、あけび主要成分

 中国・南方医科大学のBao-Fang Liang氏らは、ヘデラゲニン(hederagenin)の抗うつ様効果におけるノルエピネフリンとセロトニンシステムの関与を、予測不可慢性軽度ストレス誘発性(UCMS)うつ病のラットモデルで調べた。その結果、同モデルでの抗うつ効果を確認し、モノアミン神経伝達物質とセロトニン・トランスポーター(5-HTT)mRNA発現を伴う可能性がみられたことを報告した。Pharmaceutical Biology誌オンライン版2014年12月4日号の掲載報告。 研究グループは先行研究のラボ試験にて、あけび(Fructus Akebiae)エキスの急性および亜慢性投与が、動物実験で抗うつ様効果を示すことを報告していた。あけびは、主要化学成分としてヘデラゲニンを約70%含む。 本検討では、マウス試験にて、あけびとヘデラゲニンの抗うつ効果を比較し、UCMSうつ病ラットモデルでヘデラゲニンの抗うつ様効果と潜在的機序を調べた。マウスに、胃内投与(i.g.)であけび(50mg/kg)またはヘデラゲニン(20mg/kg)を1日1回3週間投与した。抗不安および抗うつ活性を、高架式十字迷路検査や、尾懸垂試験法、強制水泳試験などを行い比較した。また、ヘデラゲニン(5mg/kg)の抗うつ効果を、UCMSうつラットモデルを用いて評価。さらに、UCMSラットの海馬におけるモノアミン神経伝達物質レベルと遺伝子発現を、高性能リキッドクロマトグラフィとリアルタイムPCR法を用いて確認した。 主な結果は以下のとおり。・尾懸垂試験法および強制水泳試験のいずれにおいても、ヘデラゲニン(20mg/kg)は有意に不動性を減じたが、あけび(50mg/kg)はそうではなかった。・しかし、ヘデラゲニン群とあけび群で有意差は示されなかった。・ヘデラゲニンの慢性投与は、高架式十字迷路検査における移所行動量や立ち上がり行動、open armにおける滞在時間やclosed armへの進入回数について、増大傾向はみられたものの有意に改善しなかった。しかし、ヘデラゲニンはショ糖嗜好検査で嗜好行動を有意に増大し、強制水泳試験の不動性を有意に減じた。・ヘデラゲニン群では、ノルエピネフリンとセロトニン値の有意な増大が示された。5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)1A受容体mRNAの発現が増加し、5-HTTのmRNA発現が有意に減少する傾向が示された。・しかしながら、脳由来神経栄養因子の発現における有意差はみられなかった。関連医療ニュース うつ病治療の新展開、ミトコンドリア生体エネルギー 新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光 過食性障害薬物治療の新たな可能性とは  担当者へのご意見箱はこちら

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1型糖尿病への強化治療、長期死亡を低減/JAMA

 1型糖尿病への血糖コントロール強化治療は、長期的な全死因死亡の低下に結び付くことが示された。米国・ピッツバーグ大学のTrevor J. Orchard氏らDCCT/EDIC研究グループが、同試験で平均6.5年間強化治療を行った被験者1,441例を、平均27年間追跡した結果、ハザード比(HR)0.67と死亡発生の低下が認められたという。また、血糖値と死亡との有意な関連も判明した。これまで、1型糖尿病への強化治療が死亡に影響するかどうかは明らかにされていなかった。JAMA誌2015年1月6日号掲載の報告より。6.5年間強化治療をした患者を27年間追跡、従来治療群と死亡を比較 研究グループは、DCCT(Diabetes Control and Complications Trial)コホートを長期に追跡し、強化治療群と従来治療群とで死亡率が異なるかを調べた。 DCCTは1983~1993年に行われ、その後被験者は複数施設(米国とカナダの大学医療センター27ヵ所)で観察研究(Epidemiology of Diabetes Control and Complications[EDIC])により2012年12月31日までフォローアップを受けた。 被験者は、糖尿病を有するが健康なボランティア1,441例で、ベースライン時の年齢が13~39歳であった。罹病期間は1~15年で、微小血管合併症はなく、高血圧症、心血管疾患、その他致死的疾患は有していなかった。 DCCTの間に被験者は、強化治療(血糖値が非糖尿病域となるよう)を受ける群(711例)または従来治療群(730例)に無作為に割り付けられる介入を受けた。平均6.5年間のDCCT終了後、強化治療は全被験者に教授・推奨され、糖尿病治療は各医師に移行された。 主要評価項目は、全死亡および特異的死亡で、毎年の家族・友人とのコンタクトで評価された。またその記録は平均追跡期間27年にわたって記録された。強化治療群のハザード比0.67、さらにHbA1c値と死亡との関連が有意 被験者のうち1,429例(99.2%)について情報を追跡できた。 全体では107例の死亡が報告され、従来治療群64例、強化治療群は43例であった。絶対リスク差は、10万人当たり-109例(95%信頼区間[CI]:-218~-1)で、全死因死亡リスクは強化治療群で低かった(ハザード比[HR]:0.67、95%CI:0.46~0.99、p=0.045)。 主な死亡要因は、心血管疾患(24例、22.4%)、がん(21例、19.6%)、急性糖尿病合併症(19例、17.8%)、そして事故または自殺(18例、16.8%)であった。 また、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値と、全死因死亡との有意な関連が認められた(HbA1cが相対値で10%増加するごとのHR:1.56、95%CI:1.35~1.81、p<0.001)。同様に、蛋白尿の発症も有意であった(同:2.20、1.46~3.31、p<0.001)。

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米J&Jがエボラワクチンの第I相臨床試験開始を発表

 米国のジョンソン・エンド・ジョンソン社(以下、J&J社)は1月20日、同社の医薬品部門である米国ヤンセンファーマシューティカル社(以下、ヤンセン社)で開発中のエボラ出血熱予防ワクチンの第I相ヒト初回投与試験の開始を発表した。 エボラワクチン製剤の第I相ヒト初回試験では、被験者が4つのグループに登録され、実薬またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられる。実薬投与群は、登録された4つのグループごとの投与計画に従い、1日目に初回接種(プライム)後、1ヵ月または2ヵ月の間隔をあけて追加接種(ブースト)を受ける。この試験の分析結果は、最適なワクチンの予防効果や効果持続期間を確認するために今後実施する試験における、2つのワクチンの投与順序や間隔などの判断に有益な情報となるという。試験の詳細はClinicalTrials.gov(https://clinicaltrials.gov/)に掲載されている。 試験はオックスフォード大学小児科のオックスフォードワクチングループが進めている。現在被験者の登録が進行中で、最初の被験者に対する初回のワクチンが投与されたという。登録は1月末までに完了予定とのこと。 またJ&J社は、ヤンセン社がBavarian Nordic社との提携により、2015年4月までに大規模臨床試験で使用する40万回分以上のプライムブーストワクチンを生産したことも発表した。今後2015年中に合計200万回分のワクチンが提供可能となり、また必要に応じて12~18ヵ月間で最大500万回分までの迅速な増産が可能となるという。今回、同社らが発表した増産の見通しは、2015年末までに100万回分以上を生産し、そのうち25万回分を2015年5月までに臨床試験で幅広く活用する予定としていた以前の発表に代わる最新情報となる。詳細はヤンセンファーマ株式会社のプレスリリースへ

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心血管リスクと関係があるのはHDL-C濃度ではなくその引き抜き能(解説:興梠 貴英 氏)-303

 疫学研究から得られたデータでは、血清HDL-C濃度と心血管系リスクとの間には負の相関があることが示されている。しかし近年ナイアシンやCETP阻害薬を用いてHDL-Cを上昇させたほとんどの臨床試験において、心血管イベントの減少効果が認められていない。 元々、HDL-Cが心血管系リスクと関連があるのは、HDL-Cを構成するアポリポ蛋白Apo-AIが末梢組織からコレステロールを引き抜いて、コレステロールの逆輸送系において重要な役割を果たすからと考えられている。実際、細胞からApo-AIにコレステロールを引き渡すうえで重要な役割を持つABCA1遺伝子に変異を有するTangier病患者では、心血管疾患のリスクの上昇が報告されている1) 。 さて、HDL-Cが末梢組織からコレステロールを引き抜く能力(引き抜き能/流出能)には遺伝的要因による差があることがわかっている。ただ、従来引き抜き能の測定にはアイソトープラベルが必要で大量の検体の処理が難しかったところ、2011年に蛍光ラベルを用いた簡便法が開発された2)。 RohatagiらはDallas Heart Studyの被験者2,924人を対象に、HDL-C濃度、HDL粒子濃度に加えて、上記の新手法によるHDL-C(より正確には非apoB分画)のコレステロール引き抜き能などを測定し、中央値9.4年の追跡期間中の心血管系イベント(非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈血行再建、心血管死の複合)との関係を調べた。 その結果、HDL-C濃度は従来の心血管危険因子と関係していたが、引き抜き能はそうした危険因子とほとんど相関しなかった。また、他の危険因子で調整した場合にHDL-C濃度は心血管イベントリスクと有意に関連していなかったが、引き抜き能が高いことは有意に心血管イベントリスクの低下と関係していた(全体を4群に分けたときの最も高い群と最も低い群を比較したときに67%の低下)。 つまり一般人口のコホートにおいて、新しいバイオマーカーであるコレステロール引き抜き能が、心血管イベントの発生率を低下させることを示すことができた。

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事例36 尿沈渣の査定【斬らレセプト】

解説事例では、D002-2 尿沈渣(フローサイトメトリー法)とそれに対する尿・糞便等検査判断料がD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの/重複: 国保)にて査定となった。尿沈渣フローサイトメトリー法は、「D000尿中一般物質定性半定量検査若しくはD001尿中特殊物質定性定量検査において何らかの所見が認められ、又は診察の結果からその実施が必要と認められ、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱及び細菌を同時に測定した場合に算定する」とあり、「D002 尿沈渣(鏡検法)を併せて実施した場合は主たるもののみ算定する」とある。事例では尿沈渣(鏡検法)の実施がないので算定をしたという。しかし、S-M(D017 3 排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査)も併施されている。尿沈渣(フローサイトメトリー法)の注1には、「同一検体について当該検査とD017に掲げる排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査を併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみ算定する」とある。したがって、主たる所定点数であるS-Mのみが算定できるとして尿沈渣が査定となったものである。

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吸わない人のほうが幸福感が大きい

 ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAndrew Stickley氏らは、旧ソ連の9ヵ国のデータを使用し、男性の喫煙率と喫煙関連死亡率の高い集団において、喫煙やニコチン依存と幸福感との関連について検討した。その結果、喫煙は低い幸福感と関連していることが認められ、喫煙が高い幸福感と関連するという見解とは矛盾していた。著者らは「旧ソ連諸国の政策との関連から、喫煙が健康に有害な影響を及ぼすという社会的認識が不足していた。しかし、最近の報告では禁煙を望む人が増えており、禁煙が身体的・精神的な健康につながることを強調することで、今回の知見を公衆衛生の取り組みに生かしていくべき」と指摘している。Tobacco control誌オンライン版2015年1月6日号に掲載。 著者らは、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、カザフスタン、キルギス、モルドバ、ロシア、ウクライナにおいて2010年と2011年に実施された、集団ベースの横断的研究のデータを検討した。18歳以上の1万8,000人から、喫煙状況(非喫煙、元喫煙、現喫煙)、禁煙努力、ニコチン依存について情報を収集した。これらの項目と自己申告による幸福感との関連について、プロビット回帰分析により検証した。 主な結果は以下のとおり。・非喫煙者と元喫煙者はともに、現喫煙者よりも幸福感が有意に高かった。・ニコチン依存度が高い喫煙者は、依存度が低い喫煙者より幸福感が有意に低かった。

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重症アトピー性皮膚炎、血液浄化療法は有効か

 重症アトピー性皮膚炎の治療として、血液浄化療法に類する反復免疫吸着療法(Repetitive Immunoadsorption Cycles)が、臨床的改善をもたらすことが示された。ドイツ・グライフスヴァルト大学のGeorg Daeschlein氏らが、重症アトピー性皮膚炎患者では血清IgE値が高いことに着目し、その除去が臨床的に有効であるかを検討し報告した。Therapeutic Apheresis and Dialysis誌オンライン版2014年12月16日号の掲載報告。 検討は、重症アトピー性皮膚炎患者7例を対象に行われた。いずれの患者も、SCORADスコアの有意あるいは長期的な低下が示されておらず、また総血清IgE値が700IU/mL超であった。 患者は、月に1回、連続5回にわたって行うIA療法(Ig-Therasorb吸着カラム、ドイツ・Miltenyi Biotec社製)を1~5シリーズ受けた。 主な結果は以下のとおり。・全体では、IA療法1サイクルを受けた患者は1例、2サイクルは2例、3サイクルは1例、4サイクルは2例、5サイクルは1例であった。・IAは、全サイクル群の患者で忍容性は良好であり、治療期間中、SCORADおよびIgE値の有意な低下を認めた。・SCORADと血清IgE値の相対的低下は、5シリーズ群では11.1%、80%であった。以下、4シリーズ群では24.1%、83.6%、3シリーズ群は37.6%、75.9%、2シリーズ群は27.9%、74.2%、1シリーズ群は25.1%、74.8%であった。・5サイクルを受けた患者(1例)で、12ヵ月超にわたる長期持続的な臨床的ベネフィットが示された。・以上を踏まえて著者は、「血清IgE値が高い重症アトピー性皮膚炎患者について、反復IA法は、1ヵ月1回(4週間間隔)の2サイクル超が、血清IgE値を大きくかつ持続的に低下し、またSCORADを改善し顕著な臨床的有効性を示す」とまとめている。

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統合失調症患者のEPSと認知機能の関連は

 カナダ・トロント大学のGagan Fervaha氏らは、統合失調症患者における錐体外路症状(EPS)と、認知障害との関連を調べた。結果、EPSの重症度と認知テストの低スコアとが強く結び付いていることを実証した。EPSは統合失調症における最も一般的な運動障害である。同患者の運動障害は、抗精神病薬を服用していない患者でも認められるが、認知といった疾患のその他の特性との関連については十分に解明されていなかった。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年12月1日号の掲載報告。 検討は、統合失調症患者で、あらゆる抗精神病薬または抗コリン薬の投与を受けていない325例を対象に行われた。被験者は、Clinical Antipsychotic Treatment of Intervention Effectiveness試験のベースライン訪問に関与していた患者であった。EPSの評価には、Simpson-Angus尺度が用いられ、認知の評価は、総合的な神経心理学的テストにて行われた。EPSと認知テスト結果との関連性について、数的および分類学的両面から評価した。 主な結果は以下のとおり。・EPSの重症度がより大きいと、複合スコア評価による認知テストの結果は、より悪化するという有意な関連が認められた。・86例の患者はパーキンソン症候群を有していることが特定された。これらの患者は非パーキンソン症候群患者と比べて認知テストの結果は悪かった。・同所見は、精神病理、鎮静、アカシジア、ジスキネジアなどの重症度といった変数で補正後も有意なままであった。・これらの結果は、神経筋および神経認知の障害の基礎を成す病態生理が共通していることを示す。ただし、パーキンソン症候群がテストを受ける能力を障害している可能性もある。・いずれにせよ機序に関係なく、認知障害に関する推論は、EPSの存在を考慮すべきであることを示唆するものであり、認知試験の所見を媒介するその他の変数と同様の示唆を与えるものと思われた。関連医療ニュース 統合失調症患者の抗コリン薬中止、その影響は 統合失調症患者の認知機能低下への関連因子は 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学  担当者へのご意見箱はこちら

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