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HCV1型感染に経口3剤配合剤が高い効果/JAMA

 代償性肝硬変を伴うC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型感染者に対し、経口薬のみの3剤配合錠ダクラタスビル(商品名:ダクルインザ)+アスナプレビル(商品名:スンベプラ)+ベクラブビル(beclabuvir、国内未承認)の12週間治療は、87~98%と高い割合で持続的ウイルス学的著効率(SVR)を達成可能であることが示された。これまでにインターフェロンや直接作用型抗ウイルス薬(DAA)で治療を受けた人についても、同達成率は高かったという。米国・デューク大学のAndrew J. Muir氏らが、約200例の患者を対象に行った試験UNITY-2の結果、報告した。ダクラタスビルとアスナプレビルは日本で先行発売されている。ベクラブビルは非ヌクレオシド系NS5B阻害薬である。JAMA誌2015年5月5日号掲載の報告より。4ヵ国、49施設で試験を実施 UNITY-2試験は非盲検非対照無作為化試験で、2013年12月~2014年10月にかけて、米国、カナダ、フランス、オーストラリアにある49施設で、代償性肝硬変を伴うHCV遺伝子型1型感染者を対象に行われた。被験者のうち、インターフェロンやDAAで未治療の人は112例、すでに治療を受けたことのある人は90例だった。 同グループは全被験者に対し、ダクラタスビル(30mg)+アスナプレビル(200mg)+ベクラブビル(75mg)を1日2回、12週間投与した。 被験者を遺伝子型1aまたは1bで層別化し、無作為にリバビリン(1,000~1,200mg/日)またはプラセボを併用する群に割り付けて評価を行った。 主要評価項目は、治療12週後のSVR(SVR12)だった。リバビリン投与群でSVR12は未治療群98%、既治療群93% 被験者の年齢中央値は、未治療群が58歳、既治療群が60歳で、74%が遺伝子型1a感染者だった。 SVR12は、リバビリン投与群で未治療群が98%(97.5%信頼区間[CI]:88.9~100.0)、既治療群が93%(同:85.0~100.0)だった。プラセボ群では、それぞれ93%(同:85.4~100.0)と87%(同:75.3~98.0)だった。 なお、治療に関連する重度有害事象の発生は3例、有害事象による治療中止は4例だった。 治療により現出したグレード3または4のALT上昇は4例でみられ、総ビリルビン値の上昇がみられたのはそのうち1例だった。

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持続性心房細動にアブレーションは有効か/NEJM

 持続性心房細動患者にアブレーションを行う場合に、肺静脈隔離術に加えて、コンプレックス細分化電位図を示すアブレーションやリニアアブレーションを行っても、アウトカムの改善にはつながらないことが報告された。カナダ・モントリオール心臓研究所のAtul Verma氏らが、同患者589例について行った無作為化試験で明らかにした。持続性心房細動へのカテーテルアブレーションは、発作性心房細動に比べ成功率が低く、ガイドラインでは補助的な基質の焼灼を示唆している。NEJM誌2015年5月7日号掲載の報告より。18ヵ月追跡し、30秒超の持続性心房細動再発率を比較 研究グループは、持続性心房細動の患者589例を無作為に1対4対4の割合で3群に分け、(1)肺静脈隔離術のみでアブレーション(67例)、(2)肺静脈隔離術と併せてコンプレックス細分化電位図を示すアブレーション(263例)、(3)肺静脈隔離術と併せて左房天蓋部から僧帽弁峡部へのリニアアブレーション(259例)をそれぞれ行った。 追跡期間は18ヵ月で、主要評価項目は1回のアブレーション後、30秒超の持続性心房細動の再発だった。心房細動の無再発割合、5~6割と3群で有意差なし 18ヵ月後、心房細動の再発が認められなかった人の割合は、肺静脈隔離術のみ群で59%、コンプレックス細分化電位図群が49%、リニアアブレーション群が46%と、有意差は認められなかった(p=0.15)。 処置所要時間については、肺静脈隔離術のみ群が他の2群に比べ有意に短かった(p<0.001)。 また副次的評価項目の、2回アブレーション後の心房細動の無再発の割合、心房性不整脈が認められない人の割合、についても3群で同等だった。

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乾癬の生物学的製剤、各製剤の重篤な感染症発生率は?

 乾癬患者において、高齢、糖尿病、喫煙、感染症既往歴、インフリキシマブ投与、アダリムマブ投与が重篤な感染症の増加に関係していたことが、Robert E. Kalb氏らによって明らかにされた。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年5月13日号の掲載報告。 Kalb氏らは乾癬患者において、重篤な感染症リスクが治療に及ぼす影響について調査を行った。 調査には皮膚科における多施設、縦断的、疾患レジストリのPSOLAR(Psoriasis Longitudinal Assessment and Registry)が使用された。被験者は成人乾癬患者で、従来の全身的療法または生物学的製剤を投与中/投与可能な患者であった。レジストリは2007年7月20日に運用が開始され、すべてのデータは2013年8月23日まで収集された。 被験者らは標準療法として規定の乾癬治療薬を投与され、最大8年間追跡を受けた。データ収集と重篤な有害事象(重篤な感染症を含む)は定期的に評価された。 コホートの分析はレジストリ開始時の評価に基づいて実施された。重篤な感染症の累積発生率の調査は、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、非生物学的製剤の治療コホートごとに行われた。なお、メソトレキサートの併用有無は問わなかった。 非メソトレキサート/非生物学的製剤群を対照として、最初の重篤な感染症が発現する時期の予測因子を特定するため、コックス比例ハザード回帰モデルを用いた多変量回帰分析が用いられた。 主な結果は以下のとおり。・乾癬患者1万1,466例から分析された(2万2,311患者年)。・生物学的製剤使用群と非メソトレキサート/非生物学的製剤群では、年齢、性別、BMI、疾患特性など、患者特性に違いがみられた。・インフリキシマブ群では乾癬性関節炎の有病率が高いなど、各生物学的製剤群の間でも患者特性に違いがみられた。・重篤な感染症の累積発生率は100患者年当たり1.45であった(計323例)。・生物学的製剤ごとの重篤な感染症の累積発生率は、ウステキヌマブ0.83、エタネルセプト1.47、アダリムマブ1.97、インフリキシマブ2.49であった。・対照群の重篤な感染症の累積発生率は、非メソトレキサート/非生物学的製剤群1.05、メソトレキサート使用/非生物学的製剤群1.28であった。・最も多く報告された重篤な感染症は、肺炎と蜂窩織炎であった。・高齢、糖尿病、喫煙、重大な感染症既往歴、インフリキシマブ投与、アダリムマブ投与が重篤な感染症の増加に関係していた。

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てんかん患者への精神療法、その効果は

 英国・王立ハラムシャー病院のEdel Dewhurst氏らは、てんかん患者に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性と費用対効果について検討した。その結果、ACTは抑うつや不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対して良好な効果をもたらし、費用対効果にも優れることを報告した。Epilepsy Behavior誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、てんかん患者に対するACTアプローチに基づいた精神療法の有効性と、費用対効果を評価した。検討は、発作に関連する情緒障害のため心理療法士単独による外来心理療法を勧められた難治性てんかん連続症例を対象とし、前向き非対照研究にて実施した。精神科専門医、神経心理学者あるいはてんかん専門看護師により紹介された患者を被験者とした。有効性が確認されている一連の自己報告質問票(Short Form-12 version 2、Generalized Anxiety Disorder-7、Neurological Disorders Depression Inventory for Epilepsy、Work and Social Adjustment Scale、Rosenberg Self-Esteem Scale)に回答してもらい、紹介時、治療終了時、治療6ヵ月後のけいれん発作回数を報告した。被験者は、ワークブックを用いた1対1のACTを最大20セッション受けた。介入に関わる費用対効果について、質調整生存年(QALY)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・ACT前およびACT後に質問票を完了した患者は60例で、そのうち41例から6ヵ月のフォローアップデータを得られた。・患者が受けたACTは、6~20セッション(平均値11.5、S.D. 9.6)であった。・ACTは、抑うつ、不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対し、中程度以上のポジティブな効果と有意に関連し(ps<0.001)、治療後6ヵ月間継続した。・ACTの平均コストは、445.6ポンドであった。・効果が治療終了後少なくとも6ヵ月維持されると仮定した場合、QALY当たりのコストは1万1,140ポンド(1万4,119ユーロ、1万8,016ドル、QALY当たりのコストは効果が1年間続いた場合には半額となる)と推算された。・本パイロット研究により、ACTはてんかん患者にとって費用対効果の高い治療であることが示唆されるとともに、無作為化対照試験を実施することの妥当性が示された。関連医療ニュース 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か  担当者へのご意見箱はこちら

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ジェノタイプ2型C型慢性肝炎治療薬 ソバルディ錠が5月25日発売

 ギリアド・サイエンシズ株式会社は5月20日、ジェノタイプ2型C型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善の効果・効能で、核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬「ソバルディ錠400mg」を5月25日に発売することを発表した。同社にとっては日本国内で初めての製品販売となる。 ソバルディは、ジェノタイプ2型C型慢性肝炎の治療において、インターフェロンを必要とせず、リバビリンとの併用において、1日1回の12週間投与を可能とする初めての経口薬のみの治療法となる。 日本国内には、C型肝炎ウイルスに感染している患者が150~200万人いると考えられており、20~30%がジェノタイプ2型に罹患している※といわれている。これまでのジェノタイプ2型のC型慢性肝炎に対する治療は、24~48週間に及ぶペグインターフェロンの注射とリバビリンなどによる治療法が主だったが、ソバルディでは経口薬のみ12週間の治療となり、患者の服薬負担が軽減される。※出典:国立国際医療研究センター 肝炎情報センター. C型肝炎. 詳細はギリアド・サイエンシズ株式会社のプレスリリースへ

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上部消化管出血への輸血戦略、大規模RCTは可能か/Lancet

 論争の的となっている急性上部消化管出血への輸血戦略について、大規模な非盲検集団無作為化試験の実行可能性を探るTRIGGER試験が英国・オックスフォード大学のVipul Jairath氏らにより行われた。その結果、試験は実行可能であることが示され、著者は、「臨床診療ガイドラインで、すべての上部消化管出血患者に対する制限輸血戦略を推奨するよう記述を変える前に、その効果を評価する大規模な集団無作為化試験は実行可能であり、実施が必須である」と指摘した。これまで、同戦略に関する検討は小規模試験3件と単施設試験1件のみである。単施設試験の所見では、制限輸血(限定的な赤血球[RBC]輸血)群で死亡の低下が報告されており、研究グループは、同所見が多施設の集団無作為化試験によって立証されるか否かを検討することを目的とした。Lancet誌オンライン版2015年5月5日号掲載の報告より。英国6つの病院で試験の実行可能性を探る 検討は英国の6つの大学病院で、18歳以上の新規に急性上部消化管出血を発症した全患者を登録して行った。被験者について、併存疾患の有無は問わなかったが、大量出血例は除外した。  研究グループは病院単位で被験者を2群に割り付け、一方の群には制限輸血(ヘモグロビン濃度が80g/L未満で輸血)を、もう一方の群には非制限輸血(同100g/L未満で輸血)を行った。  実行可能性アウトカムは、被験者補充率、輸血戦略に対するアドヒアランス、ヘモグロビン濃度、RBC曝露、選択バイアス、および第III相試験のデザインおよび経済性評価に導くための情報とした。さらに28日時点の出血と死亡を主要な探索的臨床アウトカムとした。集団無作為化デザインでも制限輸血群でRBC輸血低下 2012年9月3日~2013年3月1日に、936例(制限輸血群の3病院で403例、非制限輸血群の3病院で533例)が登録された。  被験者補充率は制限輸血群よりも非制限輸血群で有意に高かった(62% vs. 55%、p=0.04)。  ベースラインでアンバランスな特性項目があったが、Rockallリスクスコア(両群とも2)およびBlatchfordリスクスコア(両群とも6)は両群で同一であった。  輸血戦略へのアドヒアランスは、制限輸血群96%(SD 10)、非制限輸血群83%(25)であった(差:14%、95%信頼区間[CI]:7~21、p=0.005)。  最後に記録された平均ヘモグロビン濃度は、制限輸血群116(SD 24)g/L、非制限輸血群118(20)g/Lであった(差:-2.0、95%CI:-12.0~7.0、p=0.50)。また、RBC輸血を受けたのは非制限輸血群(247例[46%])よりも制限輸血群(133例[33%])が少なかった(差:-12%、95%CI:-35~11、p=0.23)。RBCの平均輸血単位は、制限輸血群1.2(SD 2.1)、非制限輸血群1.9(2.8)であり(差:-0.7、-1.6~0.3、p=0.12)、いずれも有意差はみられなかった。  臨床的アウトカムについても有意な差はみられなかった。  これらを踏まえて著者は、「集団無作為化デザインは、両群で迅速な被験者補充、高いプロトコルアドヒアランス、貧血の解消に結び付き、制限輸血群で有意ではないがRBC輸血の減少に結び付いた」とまとめている。

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喫煙女性の大腿骨近位部骨折リスクが明らかに

 喫煙により、女性の大腿骨骨折リスクは増加するのか。中国・蘇州大学附属第二医院のGuang Si Shen氏らは、その関連性を明らかにするため、10件の前向きコホート試験のメタ解析を行った。その結果、喫煙は女性の大腿骨近位部骨折リスクと関連すること、禁煙後10年以上経つとリスクへの影響は減少することなどが判明した。著者らは、さらなる検討の必要性を示唆している。Injury誌オンライン版2015年4月20日号の掲載報告。 PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、ISI Web of Scienceを検索し関連論文を抽出、10件の試験を基にメタ解析が行われた。ランダム効果モデルおよび固定効果モデルを用い、リスクのプール推定値を求めた。研究間の不均一性および出版バイアスについても評価した。統計解析にはSTATA (version 12.0)ソフトウエアを用いた。 主な結果は以下のとおり。・現在喫煙している女性において、相対リスク(RR)の有意な増加が認められた(pooled RR 1.30、95%CI:1.16~1.45)。この関連性は、1日15本以上喫煙する女性においては有意であったが、1日15本未満の女性においてはそうではなかった。・プール推定値は、単一試験を除外してもほぼ変わらなかった。・過去喫煙者における股関節骨折の相対リスクは発表論文で類似していた(RR 1.02、95%CI:0.93~1.11)。・10年以上前に禁煙した女性では、リスクの影響は有意に減少した。

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真皮縫合、セットバック縫合vs. 垂直マットレス縫合

 セットバック縫合は真皮の剥離面から刺入し剥離面へ刺出する縫合法で、垂直マットレス縫合に代わる真皮縫合となり得ることが示唆されている。米国・カリフォルニア大学デイビス校のAudrey S. Wang氏らは無作為化盲検比較試験を行い、セットバック縫合が埋没垂直マットレス縫合より創縁の外反に優れ、縫合痕も美容的に良好であることを明らかにした。Journal of the American Academy of Dermatology誌2015年4月号の掲載報告。 対象は、縫合創の長さが3cm以上と予測される楕円形の切開創ができる外科手術例46例である。切開創を半分に分け、一方をセットバック縫合、他方を垂直マットレス縫合にて閉創した。どちら側がどの縫合かは無作為割り付けとし、術者以外(患者および観察者)は盲検化された。 術直後に創縁の最大外反高および幅を測定し、3ヵ月後に観察者2名が各瘢痕を7段階のリッカート瘢痕評価スケールを用いて評価するとともに、患者ならびに観察者が患者および観察者瘢痕評価スケール(POSAS)による評価(スコアは、6が正常な皮膚、60が最悪を表す)を行った。主な結果は以下のとおり。・42例が本研究を完遂した。・創縁の外反は、セットバック縫合が統計学的に有意に高かった。・リッカートスケールでは、セットバック縫合が垂直マットレス縫合より1ポイント高値であった。・POSAS合計スコアは、患者および観察者のいずれもセットバック縫合が垂直マットレス縫合より有意に低かった(平均値は患者が13.0±8.7 vs. 16.2±12.0[p=0.039]、観察者が24.5 ±10.4 vs. 27.7±13.6[p=0.028])。

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認知症への運動療法、効果はあるのか

 最近の複数の研究とシステマティック・レビューにおいて、認知症患者に対する運動の効果について信頼性の高い結果が報告されている。カナダ・アルバータ大学のDorothy Forbes氏らは、認知症高齢者に対する運動の効果について、患者および介護者の両面から明らかにするためメタ解析を行った。その結果、運動プログラムが認知症患者の日常生活動作を改善する可能性、および認知機能、神経精神症状、抑うつに対する運動の効果に関するエビデンスは認められなかったことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月15日号の掲載報告。 本報告は、2013年に行ったレビューのアップデートであった。「認知症高齢者に対する運動プログラムは認知機能、日常生活動作(ADLs)、神経精神症状、抑うつ、死亡率を改善するか?」の検討を主要目的とした。また、「認知症高齢者に対する運動プログラムは家族介護者の負担、QOL、死亡率に対し間接的に影響を及ぼすか?」、「認知症高齢者に対する運動プログラムは、患者および家族介護者の医療サービス(救急科への来院など)の使用回数を減らすか?」などの検討を副次目的とした。 2011年9月4日、2012年8月13日、2013年10月3日にALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group's Specialised Registerの検索を行い、無作為化比較試験を検索した。適格条件は、認知症と診断された高齢者を対象とし、認知機能、ADLs、神経精神症状、抑うつ、死亡率の改善を目的として、運動群と対照群(通常治療あるいは社会的コンタクト/活動)に割り付けて検討しているものとした。副次アウトカムには家族介護者に関連する項目(介護者の負担、QOL、死亡率、医療サービスの使用)とした。 2人以上の評価者が、独立して検索文献の評価を行い、方法論的質の評価を行ったうえで、データの抽出を行った。効果の要約に関するデータを分析し、連続データについては平均差または標準化平均差(SMD)を算出し、試験間に大きな不均一性が認められなければ固定効果モデルを用いて各アウトカムのデータを統合し、それ以外の場合はランダム効果モデルを用いた。認知症の重症度とタイプ、そして運動プログラムの内容・回数・期間に関連した不均一性を調査した。また、有害事象の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。・17件、1,067例が選択基準に合致した。しかし、3件の試験における必要なデータおよび4件目の試験データには公表されてないものがあり、利用できなかった。・認知症サブタイプと重症度、そして運動の内容、期間、回数などの点において、試験間に顕著な不均一性がみられた。・2件の試験のみが在宅患者を対象としていた。・メタ解析により、運動による認知機能への効果を示す明確なエビデンスは確認されなかった。運動群と対照群における推定標準化平均差は0.43(95%CI:-0.05~0.92、p=0.08、9試験、409例)であった。しかし、きわめて高い不均一性が認められ(I2値80%)、そのほとんどが説明不能であり、エビデンスの質は非常に低かった。・6件の試験の被験者289例において、運動プログラムが認知症患者のADLに効果的に働くことが判明した。運動群と対照群の間の推定標準化平均差は0.68(95%CI:0.08~1.27、p=0.02)であった。しかし、このメタ解析でも、説明できない高い不均一性が認められ(I2値77%)、エビデンスの質は非常に低いと評価された。・さらに詳細な分析において、1件の試験で、自宅で介護を行う家族介護者が認知症家族の運動プログラムへの参加を指導する立場にある場合、介護者としての負担が減少する可能性がみられた。運動群と対照群の間の平均差は-15.30(95%CI:-24.73~-5.87、1試験、40例、p=0.001)であった。同試験において明らかなバイアスリスクは認められなかった。・さらに、運動が神経精神症状(MD:-0.60、95%CI:-4.22~3.02、1試験、110例、p=0.75)あるいは抑うつ(SMD:0.14、95%CI:-0.07~0.36、5試験、341例、p=0.16)に有効であることを示す明らかなエビデンスはみられなかった。その他のアウトカム、QOL、死亡率、医療コストに関しては、適したデータが報告されていなかった、あるいはこれらのアウトカムを扱った試験を検索していなかったかのどちらかの理由により評価できなかった。関連医療ニュース 認知症、早期介入は予後改善につながるか 適切な認知症薬物療法を行うために 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン  担当者へのご意見箱はこちら

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高齢者では、NOACよりもワルファリンが適していることを証明した貴重なデータ(解説:桑島 巌 氏)-358

 NOAC(新規経口抗凝固薬)とワルファリンに関する出血性イベントのレトロスペクティブコホート研究が2つ、BMJ誌オンライン版2015年4月24日号に掲載された。ここでは、調査規模の大きい米国からのNeena S. Abraham氏らの論文についてコメントする。 実臨床で、NOACがワルファリンに比べて出血性イベントが多いか否かは重要な問題である。本論文では米国の民間保険とメディケア加入者のデータベースを基に、ダビガトラン、リバーロキサバンの新規服用者を対象に、消化管出血リスクについてワルファリン服用者と比較した。 その結果、傾向スコア適合モデルでの検討では、ダビガトラン、リバーロキサバンとも消化管出血リスクはワルファリンと有意差がなかった。しかし、両NOACの消化管出血リスクは、76歳以上では明らかに増加した。このことはまさに、出血リスクや腎機能障害を有することの多い高齢者では、INRをみながら微調整が可能なワルファリンのほうが、調整マーカーのないNOACよりも適していることを示した貴重なデータである。 わが国でも、NOACに関する登録追跡研究結果が発表になっているが、本当に医師主導型というのであれば、本研究のようにNOACすべてを統合して、出血性イベントに的を絞った日本人での実態調査を行うべきである。

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Fever 発熱について我々が語るべき幾つかの事柄 (第1版)

知ってるつもりの「発熱」について、再度認識を改めたい!発熱は、日々最も普遍的にみられる症状です。しかし、発熱診療はときに困難で、ときに重大な判断を伴うことがあります。そのような場合でも「発熱診療の本質」を誤らなければ、目の前の発熱患者にすべきことは、かすかにほの見えてくるはずです。本書は、各専門領域で発熱診療に奮闘する著者たちが、現場での文脈に沿って発熱原因の探求について語る叙述であります。そして、すべての医師に捧げる、難攻不落の発熱に真正面から取り組むための指針であると考えています。臨床現場で「発熱」と戦う、医師・医療従事者必読の1冊!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   Fever発熱について我々が語るべき幾つかの事柄 (第1版) 定価 5,500円 + 税判型 A5判頁数 608頁発行 2015年5月著者 大曲貴夫 / 狩野俊和 / 忽那賢志 / 國松淳和 / 佐田竜一Amazonでご購入の場合はこちら

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事例53 アモキシシリン(商品名: サワシリン)カプセルの査定【斬らレセプト】

解説事例では、発熱・咽頭痛を主訴に夜間時間帯に受診され、紅斑を認めたため典型症状の溶連菌感染症と診断、検査を行わずにアモキシシリン(サワシリン®)カプセル250mgを10日分処方したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて「過剰」と判断され、7日分に査定となった。「ガイドラインに沿った投与にもかかわらず査定となった理由を教えてほしい」と問い合わせがあった。確かにA群溶連菌感染症診断が確定した場合には、「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011」に沿って、基本的に第1選択のペニシリン系薬が10日間投与される。しかし、確認のためのD012[22]A群β溶連菌迅速試験定性の実施がなかった。溶連菌の型式などの確定が行われない段階での10日分投与は、同剤の添付文書にある「耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間(7日間以内:筆者経験則)の投与にとどめる」から考えて、予防的もしくは炎症疾患への投与とみなされ、3日分が査定となったものであろう。典型的症状であっても、検査が必要とされる疾病に対しては、検査の実施もしくは確定診断に至った医学的理由の注記がレセプトに必要なのである。

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日光角化症の5-FUクリーム、長期の有用性は?

 フルオロウラシルクリーム5%(5-FUクリーム)による日光角化症の治療は、2年以上にわたり有用で、病変数や追加初回治療を減少させることが、米国・ブラウン大学のHyemin Pomerantz氏らにより報告された。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。 フルオロウラシルクリームによる日光角化症治療が、病変数の減少に有用であることはこれまでも報告されていたが、長期的な効果を観察したランダム化試験はなかった。そこでPomerantz氏らは、フルオロウラシルクリーム5%単剤投与の長期的な有用性を観察するため、二重盲検プラセボ対照試験のThe Veterans Affairs Keratinocyte Carcinoma Chemoprevention(VAKCC)trialを実施した。 試験は、過去5年以内に2部位以上の皮膚角化細胞がんを有した退役軍人を対象として行われた。2009年から2011年に12ヵ所の退役軍人医療センターの皮膚科で登録され、2013年まで追跡された。フルオロウラシル群、プラセボ群ともに平均追跡期間は2.6年であった。 合計932例が登録され、無作為にフルオロウラシル群(468例)、プラセボ群(464例)に割り付けられた。両群とも顔と耳に1日2回、4週間塗布された。日光角化症の病変数と治療内容の確認は、皮膚科医によって登録時および6ヵ月ごとに行われた。顔、耳の日光角化症病変部位での追加治療を要した病変数は、半年ごとに記録された。 主な結果は以下のとおり。・割り付け時の両群の顔と耳の病変数に差はみられなかった(フルオロウラシル群11.1、プラセボ群10.6、p<0.10)。・無作為化後6ヵ月時点において、フルオロウラシル群ではプラセボ群よりも病変数が減少していた(フルオロウラシル群3.0、プラセボ群8.1、p<0.001)。この結果は、全期間を通して同様であった(p<0.001)。・フルオロウラシル群では6ヵ月時点の病変の完全消退率が高く(フルオロウラシル群38%、プラセボ群17%)、全期間を通じてフルオロウラシル群では追加治療を要した割合が少なかった(p<0.01)。・フルオロウラシル群では、初回追加治療を要するまでの期間が長かった(フルオロウラシル群6.2ヵ月、プラセボ群6.0ヵ月、ハザード比 0.69、95%信頼区間:0.60~0.79)。・肥大した病変数は、6ヵ月時点ではフルオロウラシル群で少なかった(フルオロウラシル群0.23、プラセボ群0.41、p<0.05)が、最終的には差はみられなかった(p=0.60)。

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脊椎疾患の待機的手術、患者満足度が有効性を正確に表す?

 患者満足度調査は、医療の質と診療報酬の償還を決める要素として生み出されたもので、満足度を改善する要因を特定することは非常に重要である。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのSilky Chotai氏らは、脊椎変性疾患に対する待機的手術時に行った患者満足度調査から、アウトカムに対する患者の満足度は、脊椎外科的治療の有効性を正確に表すことが可能で、術後1年間における疼痛や機能障害の改善で示されることを報告した。ただし、だからといって満足度が治療の全体の質や有効性に依存するわけではないこと、メディケイド/保険非加入者の支払人の社会的地位および手術前の疼痛や機能障害が関与することも示唆されたと述べている。Neurosurgery誌オンライン版2015年4月23日号の掲載報告。 研究グループは、術前の患者背景や患者報告アウトカムが脊椎手術後の患者の不満を予測できるかどうかを検討する目的で、腰椎・頚椎変性疾患の待機的手術を受ける患者を対象に、2年間にわたり前向き登録研究を行った。  手術前および手術12ヵ月後に、患者報告アウトカム、腰痛/頚痛による機能障害指数(Oswestry Disability Index[ODI]/Neck Disability Index[NDI])、腰痛/頚痛および下肢痛/上肢痛(数値的評価スケールによる疼痛スコア)を記録した。  以前の報告に基づきODIは14.9%、NDIは17.3%、腰痛/頚痛は2.1/2.6、下肢痛/上肢痛は2.8/4.1を臨床的に重要な最小差とし、患者満足度は北米脊椎学会の患者満足度質問票(North American Spine Society Satisfaction Questionnaire)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象症例は1,645例であった(男性811例、年齢57±13歳)。・12ヵ月後のアウトカムに満足であると報告した患者の割合は83%(1,362例)であった。・多変量解析の結果、12ヵ月後の患者が不満であることの独立した予測因子は、ODI/NDI(オッズ比[OR]:4.215、95%信頼区間[CI]:2.7~6.5、p<0.001)、腰痛/頚部痛(同:3.1、2.188~4.43、p<0.001)、ならびに下肢痛/上肢痛(同:2.6、1.8~3.6、p<0.001)であった。また、患者特異的因子で調整後は臨床的に重要な最小差を達成できなかったが、メディケイド/保険非加入者の支払人の社会的地位(同:1.39、1.01~1.93、p=0.04)および手術前のODI/NDIスコア高値(同:1.11、1.04~1.19、p=0.002)ならびに腰痛/頚痛スコア高値(同:1.03、1.01~1.06、p=0.002)が予測因子として示された。

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統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学

 未治療の統合失調症では多くの場合、周囲の人たちは、患者の精神症状や自殺企図の可能性を認識できていない。東邦大学の山口 大樹氏らは、致死的な自殺企図を経験した未治療の統合失調症患者において、主観的な経験と観察された行動との間に矛盾があるかを質的パイロット研究により調査した。Annals of general psychiatry誌オンライン版2015年4月15日号の報告。 自殺企図時の主観的経験を検討するために、直近に致死的な自殺企図を経験した未治療の統合失調症患者7例を対象に半構造化インタビューを行った。また、患者家族に対して、患者の精神症状や自殺念慮を認識していたかを評価するため、インタビューを実施した。インタビューデータは質的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・6例の被験者は、自殺関連の念慮を示す際、精神症状の悪化を経験した。・1例は、自殺を試みる前に、長期の抑うつ状態になっていた。・すべての患者が、精神症状や抑うつ気分による重度な苦痛を経験していたが、助けを求める行動は、低レベルまたはまったくない状況であった。・7家族中6家族は、患者の精神状態の変化を認識していなかった。 結果を踏まえ、著者らは「統合失調症患者の助けを求める行動が見過ごされないように、疾患に関する適切な情報が一般に提供されるべきであり、精神疾患のための利用しやすい早期介入サービスの確立が求められる」とまとめている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 統合失調症の自殺にプロラクチンは関連するのか  担当者へのご意見箱はこちら

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下大静脈フィルター併用、肺塞栓症の再発リスク低下せず/JAMA

 重症急性肺塞栓症入院患者において、抗凝固療法+回収可能型下大静脈フィルター留置を行っても、3ヵ月時点の症候性肺塞栓症の再発リスクは抗凝固療法単独と比べて減少しなかったことが示された。フランス・サンテティエンヌ大学中央病院のPatrick Mismetti氏らが無作為化試験の結果、報告した。回収可能型下大静脈フィルターは、急性静脈血栓塞栓症患者において抗凝固療法と併用して行われる頻度が高いが、そのリスク-ベネフィットについては不明であった。今回の結果について著者は、「抗凝固療法治療が可能な患者に対する同タイプフィルターの使用を支持しないという所見が示された」とまとめている。JAMA誌2015年4月28日号掲載の報告より。抗凝固療法+回収可能型下大静脈フィルター留置vs. 抗凝固療法単独 検討はPREPIC2と称され、非盲検だがエンドポイント盲検の無作為化試験にて、2006年8月~2013年1月にフォローアップ6ヵ月間を設定して行われた。  適格被験者は、急性の症候性肺塞栓症入院患者で下肢静脈血栓症を有しており、1以上の重症度判定基準を有していた。  被験者を、抗凝固療法+回収可能型下大静脈フィルター留置群(フィルター群)と、抗凝固療法単独群(対照群)に割り付け、外来でフォローアップした。なお初回入院の発生場所は、フランスにある17の医療センターだった。  全患者に6ヵ月以上のfull-doseの抗凝固療法が行われ、フィルター群に割り付けられた患者のフィルター回収は、留置後3ヵ月時とされた。  主要有効性アウトカムは、3ヵ月時点での症候性肺塞栓症の再発とし、副次アウトカムには、6ヵ月時点の肺塞栓症の再発、症候性深部静脈血栓症、重大出血、死亡で3ヵ月、6ヵ月時点で評価した。またフィルター関連合併症も評価に含まれた。3ヵ月時点、有意差はないがフィルター群の相対リスク2.00 フィルター群に200例が、対照群には199例が割り付けられた。 フィルター群のフィルター留置の成功例は193例。フィルター回収が予定どおり行われたのは、回収が試みられた164例中153例であった。  結果、3ヵ月時点での、肺塞栓症再発発生例はフィルター群6例(3.0%、すべて致死例)、対照群は3例(1.5%、2例が致死例)で、フィルター群の相対リスク(RR)は2.00(95%信頼区間[CI]:0.51~7.89、p=0.50)であった。6ヵ月時点の結果も同様であった(RR:1.75、95%CI:0.52~5.88、p=0.54)。  その他のアウトカムについても、2群間の差は観察されなかった。深部静脈血栓症の再発は3ヵ月時点のRRは1.00(p>0.99)、6ヵ月時点0.50(p>0.99)、重大出血は0.80(p=0.63)と0.87(p=0.69)、死亡は1.25(p=0.55)と1.40(p=0.29)であった。死亡の主原因は両群ともがんであった。  なお、フィルター塞栓症は3例で報告されている。

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Borrelia miyamotoiに気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。読者の皆さまは今年のゴールデンウイークをどのようにお過ごしになられたでしょうか? 私はゴールデンウイークの後半である現在、この原稿を書いて過ごしています(例によって締め切りを過ぎているのですッ!)。さて、この連載は「新興再興感染症の気をつけ方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。前回はSFTSの気を付け方について学んだわけですが、今回は一気にグッとマニアック度を増してBorrelia miyamotoiについて考えたいと思います。Borrelia miyamotoiとは?Borrelia miyamotoiはボレリア属の細菌です。ボレリアは、スピロヘータの一種であり、ちぢれ毛のような形態をしております(図1)。画像を拡大するボレリア属は大きく分けると、ライム病の原因となるグループと回帰熱の原因となるグループの2つに分かれます。Borrelia miyamotoiは、このうち回帰熱ボレリアに属する細菌になります。これらの2つのグループは、それぞれ異なる種類のマダニに媒介されることが知られています(例外的にシラミによって媒介される回帰熱もあります)。しかし、このBorrelia miyamotoiだけは回帰熱グループのボレリアであるにもかかわらず、ライム病グループのマダニに媒介されるという面白い特徴を持つことがわかっています。一般的な回帰熱のイメージ=中島みゆき皆さんは、回帰熱というと1989年にリリースされた中島みゆきの17作目のアルバム『回帰熱』(図2)を想起される方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで言う回帰熱は感染症の回帰熱です。中島みゆき17作目のアルバム『回帰熱』。忽那は未聴ですが、国立国際医療研究センター 総合診療科 國松淳和医師いわく、名作とのことです。なお図はイメージです(編集部注)その名のとおり、無熱期と発熱期を繰り返す、特徴的な熱型の感染症です。輸入感染症としての回帰熱は、日本ではこれまでに2例が報告されています1、2)が、どちらも不肖忽那が診断したものです(捏造ではありません!)。そう、これまで日本で回帰熱といえば輸入感染症と相場が決まっていたのです。しかし……しかし、このBorrelia miyamotoiはこれまでのボレリアとは異なり、日本にいるボレリアなのです。つまり日本でもBorrelia miyamotoiに感染するかもしれないのですッ! 回帰熱が輸入モノの時代は終わったッ! 今は国内の回帰熱が熱いんですッ!おっと……少し興奮しすぎました……。気を取り直してBorrelia miyamotoiの解説を次に続けたいと思います。病原体の由縁このBorrelia miyamotoiという名前をみて「ミヤモトイ? 宮本?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そうなんです、このBorrelia miyamotoiの名前は、日本人の宮本健司先生のお名前に由来しており、日本で発見された病原体なのであります。発見された当時はヒトへの病原性はないのではないかと考えられていたそうです。しかし、ロシアで46例のBorrelia miyamotoi感染症の症例が報告され3)、がぜん注目を集め始めました。また、2013年は米国、欧州でも症例が報告され始め、“New England Journal of Medicine”4)や“Lancet”5)といったメジャー医学誌に、免疫不全者の慢性髄膜炎というプレゼンテーションで、受診し、診断に至ったBorrelia miyamotoi感染症の症例報告が掲載されたのは記憶に新しいところです。そして、ついには病原体が発見された地である日本でもBorrelia miyamotoi感染症が報告されるに至ったのです!!盛り上がってきたところで、次回はBorrelia miyamotoi感染症の日本国内の疫学、臨床像や治療に迫りますッ!1)Kutsuna S, et al. Am J Trop Med Hyg. 2013;89:460-461.2)忽那賢志ほか. 感染症誌. 2014;88:713-714.3)Platonov AE, et al. Emerg Infect Dis. 2011;17:1816-1823.4)Gugliotta JL, et al. N Engl J Med. 2013;368:240-245.5)Hovius JW, et al. Lancet. 2013;382:658.

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90)腎臓を守る5つの習慣【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者腎臓が悪くなると、尿にたんぱくがおりるんですよね。 医師そうですね。血糖や血圧が高い状態が続くと、腎機能が落ちてきて、たんぱく尿が出てきます。それが腎臓が悪くなったサインです。 患者どうやったら腎臓を守ることができますか? 医師5つのポイントがあります(前置き)。 患者それは何ですか?(興味津々)。 医師1つ目は禁煙。これはできていますね。2つ目が体重管理になります。 患者やっぱり、痩せないといけませんね(気づきの言葉)。 医師3つ目が節酒。これはお酒が飲めないので、できていますね。4つ目が運動です。 患者運動ですね。5つ目は何ですか? 医師夕食後に間食をしないことです。 患者それが原因ですね。今後は気をつけます。●ポイント5つの健康習慣を患者さんと確認しながら、わかりやすく説明●資料1)禁煙、2)体重管理(BMI25未満)、3)節酒(日本酒換算で1日1合未満)、4)運動(1回30分以上の軽い汗をかく運動を週2回以上,1年以上実施。日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施)、5)健康的な食事(夕食後に間食[3食以外の夜食]を摂ることを週に3回以上しない、朝食を抜くことを週に3回以上しない)の5つの健康習慣スコアの点数が高ければ高いほど、1年後の健診で、尿蛋白の陽性者が少ない。 1) Wakasugi M, et al. Hypertens Res. 2013; 36: 328-333.

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関節リウマチの予後・治療反応と関連する遺伝子/JAMA

 関節リウマチ(RA)患者では、HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子が疾患感受性と関連しており、放射線学的重症度、死亡、治療反応とも関連していることが明らかにされた。関連が認められたのは、HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子座の11にアミノ酸バリンが認められるタイプであった。英国・マンチェスター大学のSebastien Viatte氏らが、RA患者の複数のコホートを基に分析し報告した。なお今回の結果について著者は、他コホートで同様の所見がみられれば、次のステップとしてRA治療におけるHLA-DRB1ハプロタイプの位置付けを評価すべきと述べている。JAMA誌2015年4月28日号掲載の報告より。HLA-DRB1ハプロタイプと放射線学的重症度などを分析 研究グループは、Norfolk Arthritis Register(NOAR)などRA患者の4つのコホート(被験者数:1,691例、421例、2,432例、1,846例)を基に、HLA-DRB1ハプロタイプと、放射線学的重症度、死亡率、TNF阻害薬への反応性の関連を検討した。 検討は、縦断的統計モデルを用いて、患者単位で画像診断記録を統合して行った。すべての患者は英国生まれの白人(自己申告)だった。 HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子は、遺伝子座11、71、74のアミノ酸バリンで16タイプを特定。主要評価項目は、Larsenスコア(範囲:0~200、スコア高値ほど関節破壊が重度)を用いた放射線学的アウトカムと画像所見上での手足機能低下、全死因死亡、28関節に基づく疾患活動性スコア(DAS 28)、およびEuropean League Against Rheumatism(EULAR)反応とした。炎症性多発性関節炎では死亡率が1.16倍に RA患者で、HLA-DRB1遺伝子座11にアミノ酸バリンが認められる人は、放射線学的損傷と強い関連が認められた(オッズ比:1.75、95%信頼区間:1.51~2.05)。 5年間で手足機能低下が認められた患者は、同所見が認められなかった人(ノンキャリア)では48%だったが、ヘテロ接合体キャリア患者では61%、ホモ接合体キャリア患者では74%だった。 また、HLA-DRB1遺伝子座11にアミノ酸バリンが認められる炎症性多発性関節炎患者では、全死因死亡増大との関連がみられた(ハザード比:1.16、同:1.03~1.31、p=0.01)。年間死亡率はノンキャリアは1.9%に対しキャリアは2.5%だった。 さらに、EULAR基準に基づくTNF阻害薬に対する治療反応性を増大することも認められた(オッズ比:1.14、同:1.01~1.30、p=0.04)。ノンキャリア78%に対し、ヘテロ接合体キャリアは81%、ホモ接合体キャリアは86%だった。 HLA-DRB1ハプロタイプによって定義したリスク階層は、疾患感受性、重症度、死亡率と相関していた。しかし、TNF阻害薬治療反応とは逆相関の関連が認められた。

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帯状疱疹の新規ワクチン、50歳以上で97%有効/NEJM

 帯状疱疹ウイルス中のタンパク質gEとAS01Bアジュバントを組み合わせた新規ワクチン「HZ/su」について、50歳以上高齢者への有効率は97%で、70歳以上にも同等の効果があることが報告された。米国・GSK Vaccines社のHimal Lal氏らが、50歳以上成人1万5,411例について行った第III相臨床試験の結果、示された。すでに高齢者を対象に組み込んだ第I-II相臨床試験において、臨床的に許容できる安全性プロファイルおよび高い免疫原性が示されていた。NEJM誌オンライン版2015年4月28日号掲載の報告より。 50歳以上を年齢別に分け、無作為化 著者らは世界18ヵ国で50歳以上の1万5,411例を対象に、プラセボ対照無作為化試験を行い、HZ/suの高齢者における有効性について検討した。 被験者を年齢別に、50~59歳、60~69歳、70歳以上に分類したうえで、それぞれの年齢群で無作為に2群に分けた。一方の群にはHZ/suを2ヵ月間隔で2回接種し、もう一方の群にはプラセボを接種した。帯状疱疹罹患率、HZ/su群0.3/1,000人年、プラセボ群9.1/1,000人年 結果、平均追跡期間3.2年間中に帯状疱疹を発症した人は、プラセボ群210例(罹患率:9.1/1,000人年)に対し、HZ/su群では6例(同:0.3/1,000人年)だった。 全体的な同ワクチン有効率は97.2%(95%信頼区間:93.7~99.0、p<0.001)と高かった。 また年齢群別のワクチン有効率は、96.6~97.9%と各年齢群で有意な差はなく、70歳以上への有効性も確認された。 副作用については、接種後7日以内の注射部位反応および全身性反応の報告が、ワクチン接種群のほうが高かった。また、グレード3症状の非自発的・自発的報告がプラセボ群では3.2%だったが、ワクチン群では17.0%だった。

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