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生成AIの使用頻度が高いほどうつや不安の重症度が高い

 生成AIの使用頻度が高いほどうつの重症度が高く、不安やイライラについても同様の傾向であったことが、米国成人における大規模インターネット調査でわかった。米国・マサチューセッツ総合病院のRoy H. Perlis氏らが生成AIの使用頻度と陰性感情症状との関連を調査した結果が、JAMA Network Open誌2026年1月2日号に掲載された。 本研究は、2025年4~5月に米国50州とコロンビア特別区で実施された18歳以上を対象としたインターネット調査のデータを使用した。参加者全員にAIの使用頻度を質問した(選択肢:「まったく使用しない」「1~2回」「月に1回程度」「週に1回程度」「週に複数回」「1日1回」「1日に複数回」)。陰性感情は、DSM-5の大うつ病性障害の個別の診断基準を含む9項目の患者健康質問票(PHQ-9)を用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・2万847人が参加し、平均年齢は47.3歳(SD:17.1)、女性が1万327人(49.5%)、男性が1万386人(49.8%)、ノンバイナリーが134人(0.6%)だった。・「1日1回」以上を選択した参加者は2,152人(10.3%)で、「1日1回」は1,053人(5.1%)、「1日に複数回」は1,099人(5.3%)だった。・「1日1回」以上使用している参加者のうち、1,033人(48.0%)が仕事、246人(11.4%)が学校、1,875人(87.1%)が個人利用目的で使用していると回答した。・重み付け回帰モデルでは、「1日1回」以上使用している参加者は、男性、若年成人、高学歴・高収入者、都市部在住者で有意に多かった。・社会人口統計学的に調整された回帰モデルにおいて、生成AIの使用頻度が高いほどうつ症状の重症度が高く(「1日1回」:β=1.08、95%信頼区間[CI]:0.55~1.62、「1日に複数回」:β=0.86、95%CI:0.35~1.37)、毎日使用する人は非使用者と比べ、中等度以上のうつ症状を報告する可能性が高かった(オッズ比:1.29、95%CI:1.15~1.46)。不安やイライラについても同様の傾向が観察された。・年齢別では、25~44歳(β=1.22、95%CI:0.70~1.74)または45~64歳(β=1.38、95%CI:0.72~2.05)でAI使用がうつ症状の悪化と有意に関連していた。

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気圧の変化は片頭痛の重症度や頻度に関係しているのか?~メタ解析

 片頭痛は、最も一般的な神経疾患の1つであり、悪心・嘔吐、羞明、音恐怖、感覚・視覚障害などの症状を伴う頭痛発作を特徴とする疾患である。気象条件などのさまざまな因子が潜在的な片頭痛の誘発因子であると考えられている。グレナダ・St. George's UniversityのAbduraheem Farah氏らは、気圧変化が片頭痛の重症度、頻度、持続時間に及ぼす影響を調査した既存エビデンスを評価し、統合することを目的として、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Cureus誌2025年11月14日号の報告。 本システマティックレビューは、PRISMAガイドラインに準拠し、実施した。適格基準を定め、PubMed、SCOPUS、EMBASE、CINAHLより包括的に検索した。関連研究をスクリーニングし、事前に定義されたスプレッドシートを用いてデータを抽出した。研究の質とバイアスのリスクは、NIHの観察研究、コホート研究、横断研究のための品質評価ツールを用いて評価した。 主な内容は以下のとおり。・特定された研究979件のうち、包含基準を満たした14件(1.4%)の2,696例(11〜70歳)を分析に含めた・対象者の2,372例(87.9%)は女性であった。・多くの研究は成人を対象としており、特定の地域で実施されていた。・すべての研究で主要な曝露として気圧が検討されていた。しかし、気圧変化の測定方法、片頭痛の重症度、時期、データソースは、各研究により大きく異なっていた。・結果の一貫性は認められなかった。しかし、いくつかの研究では、気圧の低下または急激な変動と片頭痛の頻度増加との有意な関連が報告されていた。ただし、重症度との関連を認めた研究は少なく、片頭痛の持続期間との関連を特定した研究はなかった。・既存のエビデンスの全体的な質は、測定方法、対象集団の特性、研究デザインにおける異質性など、方法論的な問題や潜在的なバイアスによって制限されていた。 著者らは「気圧の低下または変動と片頭痛の頻度増加との関連を示唆するエビデンスもいくつかあったが、片頭痛の重症度との関連は依然として不明であり、発作持続時間との関連を裏付けるエビデンスも存在しない。気圧の変化と片頭痛の特徴との関係を明らかにするためには、標準化された評価ツールや、より多様性に富んだ大規模な対象集団を用いた質の高い研究が求められる」としている。

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変形性膝関節症、膝装具の追加で患者報告アウトカムが改善/BMJ

 変形性膝関節症の患者では、助言・書面情報・運動指導による介入と比較して、これに膝装具の装着とアドヒアランス介入を追加すると、6ヵ月時の患者報告アウトカムがわずかながら有意に改善するが、12ヵ月後には有意差は消失し、有害事象の多くは軽微で予期されたものであることが、英国・Keele UniversityのMelanie A. Holden氏らが実施した「PROP OA試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2026年1月26日号に掲載された。イングランドの無作為化対照比較優越性試験 PROP OA試験は、イングランドの4つの地域で実施した無作為化対照比較優越性試験(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価プログラムなどの助成を受けた)。 2019年11月~2022年9月に参加者を募集した。年齢45歳以上の症状を伴う変形性膝関節症の患者466例(平均年齢64[SD 9]歳、女性213例[46%])を対象とした。 これらの患者を、助言・書面情報・運動指導(AIE)による介入を受ける群(AIE群:229例)、またはAIEにコンパートメント側特異的膝装具とアドヒアランス介入を追加する群(AIE+B群:237例)に無作為に割り付けた。 介入は、標準化された訓練を受けた18人の理学療法士(経験年数中央値10年[範囲:1~36])が行った。AIEは1回の対面相談で実施した。AIE+B群の患者は、変形性膝関節症の主要部位の位置に応じて、膝蓋大腿関節用、脛骨大腿関節の負荷軽減用、中立位安定化用のいずれかの膝装具を装着し、2週間のフォローアップ相談が提供された。装具装着のアドヒアランスを支援するために、的を絞ったテキストリマインダーを用いた簡略な動機付け面接を行った。 主要アウトカムは、無作為化から6ヵ月の時点におけるKnee Osteoarthritis Outcomes Score(KOOS)-5(0~100点、痛み、他の症状、日常生活動作、スポーツ・レクリエーション活動、膝関連QOL)で評価した複合的な患者報告アウトカムとした。6ヵ月時の痛みおよび日常生活動作の改善が良好 追跡期間中は、3ヵ月後に401例(86%)、6ヵ月後に394例(85%)、12ヵ月後に370例(79%)から解析可能なデータを得た。 6ヵ月の時点で、AIE群に比べAIE+B群でKOOS-5の改善効果が大きかった(補正後平均群間差:3.39、95%信頼区間[CI]:0.96~5.82、効果量:0.24)。3ヵ月時も、同様の結果であった(3.67、1.47~5.87、0.26)。一方、12ヵ月時は、AIE+B群で改善効果が大きかったものの、その程度は減衰しており、有意差は消失していた(2.67、-0.24~5.57、0.19)。 また、KOOS-5のサブスケールでは、AIE+B群で6ヵ月時の痛み(補正後平均群間差:6.13、95%CI:3.36~8.91、効果量:0.39)および日常生活動作(5.24、2.47~8.02、0.28)の改善効果が優れた。この効果は、12ヵ月時にも維持されていた(痛み[4.76、1.48~8.04、0.30]、日常生活動作[3.60、0.30~6.89、0.19])。ほとんどの有害事象は予期されたもの 両群とも、予期せぬ重篤な有害反応は認めなかった。ほとんどの有害事象は予期されたものであり、全体の発生件数は両群間に大きな差はなかった(6ヵ月時の自己報告による有害事象件数:AIE+B群87件、AIE群113件)。 AIE+B群で最も頻度の高かった予期された有害事象は皮膚刺激および発赤で、最大で20%の患者に発現した。これに対し、水疱および皮膚損傷の発生率は最大で4%と低かった。 著者は、「この安全で受容性の高い介入は、変形性膝関節症の有効な治療法となる可能性がある」「効果量から判断すると、膝装具装着の有益性は3ヵ月および6ヵ月の時点で小さく、12ヵ月の時点では非常に小さかった」「事前に定義したKOOS-5の臨床的に意義のある最小差(MCD)である8点は、達成されなかった」としている。

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PFAS曝露が若者の脂肪性肝リスクを3倍に高める?

 「永遠の化学物質」と呼ばれている有機フッ素化合物(PFAS)によって、若者が代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)を発症するリスクが約3倍上昇する可能性のあることが、新たな研究で示された。PFASの一種であるペルフルオロオクタン酸(PFOA)の血中濃度が2倍高まるごとにMASLD発症のオッズが2.7倍上昇するとの結果が得られたという。米南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校ポピュレーションヘルス・公衆衛生科学および小児科学教授のLida Chatzi氏らによるこの研究の詳細は、「Environmental Research」1月1日号に掲載された。 Chatzi氏は、「MASLDは、深刻な健康問題を引き起こすようになるまで、何年にもわたって自覚症状なく進行する可能性がある。思春期に肝臓で脂肪が蓄積し始めると、それが生涯にわたる代謝および肝臓の健康問題の基になってしまいかねない。早期にPFASへの曝露を抑えることができれば、将来の肝疾患の予防につながるかもしれない。これは公衆衛生上、極めて大きなチャンスになる」と述べている。 PFASは炭素とフッ素が強固に結合した化合物で、「永遠の化学物質」との異名の通り、除去や分解は極めて困難である。PFAS化合物は1940年代以降、泡消火薬剤や焦げ付き防止調理器具、食品の包装紙、汚れ防止加工の家具、防水性の衣類など、さまざまな製品に使用されてきた。Chatzi氏らによると、米国人の99%以上で血液中に測定可能なPFASが存在している。また、米国で供給されている飲料水のほぼ半分に、少なくとも1種類のPFAS化学物質が含まれているという。 今回の研究では、USCの2つの先行研究の一環で収集された南カリフォルニア在住の284人(SOLARコホート:8〜13歳の162人、Meta-AIRコホート:17〜23歳の122人)の青少年と若年成人のデータが分析された。全ての参加者が2型糖尿病または過体重の親を持ち、すでに代謝疾患のリスクが高い状態にあった。PFASの血中濃度は血液検査で測定され、肝臓の脂肪量はMRI検査によって評価された。 その結果、PFOAの血中濃度が倍増するごとに、MASLDオッズが約2.7倍(オッズ比2.69、95%信頼区間1.16〜6.26)高まり、この影響は、年齢が高いほど強まることが示された。さらに、喫煙習慣がある若者や、肝臓の脂肪蓄積に関与する遺伝的変異(PNPLA3高リスクアレル)保有者では、そのリスクがさらに高まることも判明した。 Chatzi氏は、「PFAS曝露は肝臓の生物学的機能を阻害するだけでなく、若者の肝疾患リスクにつながる。思春期は特に影響を受けやすい重要な時期であると見られ、肝臓がまだ発達しつつある段階でのPFAS曝露は最も強い影響を及ぼす可能性があることが示唆される」と述べている。 論文の筆頭著者である米ハワイ大学公衆衛生科学分野のShiwen “Sherlock” Li氏は、「特に思春期は発達と成長の重要な時期であることから、PFASがもたらす健康への影響を受けやすい」とニュースリリースの中で指摘。また同氏は、「PFAS曝露は肝疾患だけでなく、いくつかの種類のがんを含むさまざまな有害な健康アウトカムに関連していることが示されている」と述べている。 共著者の1人であるUSCケック医学校ポピュレーションヘルス・公衆衛生科学分野のMax Aung氏は、「この研究結果は、ライフステージに応じたPFAS曝露、遺伝的要因、そして生活習慣要因の相互作用が、MASLDの発症リスクに影響していることを示唆している。遺伝と環境の相互作用について解明を進めることは、MASLDのためのプレシジョン・エンバイロメンタル・ヘルスの発展の一助になる」とニュースリリースの中で述べている。

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日々の小さな行動変容で寿命が延びる可能性

 健康増進のために、新しい食事計画を立てたりジムの会員になったりする必要はないようだ。あと数分長い睡眠時間を確保する、もう少し体を動かす、食事の質を少しだけ改善するといった日々のごく小さな行動変容が、長生きや健康の維持に寄与する可能性のあることが、新たな研究で示された。シドニー大学(オーストラリア)のNicholas Koemel氏らによるこの研究の詳細は、「eClinicalMedicine」に1月13日掲載された。 この研究でKoemel氏らは、UKバイオバンクのデータを用いて5万9,078人の高齢者(年齢中央値64.0歳、男性45.4%)について調べた。参加者は1週間にわたりリスト型のデバイスを装着し、睡眠と身体活動を測定した。食事内容については、自己申告による食習慣に関する調査結果を基に、食事の質スコア(Diet Quality Score:DQS)を算出した。DQSは0~100点で、スコアが高いほど食事の質が高いことを意味する。 解析の結果、最も不健康な生活習慣の群(夜間の睡眠時間が約5.5時間、1日当たりの運動時間が7.3分、食事スコアが36.9点)を基準とした場合、一晩当たりの睡眠時間が5分長く、1日当たりの運動時間が1.9分多く、DQSが5点高い生活習慣は、平均余命が約1年長いことと関連していると推定された。DQSの5点の上昇は、例えば、野菜を1日当たり0.5サービング増やすか、全粒穀物を1.5サービング多く摂取することに相当する食事改善を意味する。さらに、これら3つの行動変容を同時に達成しなくても、一晩当たりの睡眠時間が25分長いか、1日当たりの運動時間が2.3分多いか、DQSが35.5点高い場合でも、平均余命が約1年長いことと関連していると推定された。 Koemel氏は、「これらの小さな行動変容は、実際には意味のある影響を及ぼし、時間の経過とともに積み重なることで寿命の長さに大きな違いをもたらす」とNBCニュースに語っている。 研究グループは、参加者を8年以上にわたって追跡し、心疾患やがん、認知症、2型糖尿病などの重い疾患を発症することなく生きていた期間(健康寿命)についても調べた。その結果、最も不健康な生活習慣を基準とした場合、一晩当たりの睡眠時間が24分長く、1日当たりの運動時間が3.7分多く、DQSが23点高い生活習慣は、健康寿命が約4年長いことと関連していると推定された。 Koemel氏は、「この研究のポイントは、こうした小さな調整で全てが解決するというものでは必ずしもない。それよりも、どこから最初の一歩を踏み出すか、人々にとって達成可能で無理のない選択肢をどのように作り出すかの方が重要だ」とNBCニュースに語っている。 米疾病対策センター(CDC)のデータによると、米国の成人の約37%が推奨されている1日7時間の睡眠時間を確保できていない。米VCUヘルスのメディカル・ディレクターのMaha Alattar氏は、「睡眠時間を5分増やしても、その日のうちにすぐ効果を感じることはないかもしれない。しかし、1カ月単位で見れば、かなりの時間になる」と指摘する。同氏は、「このことは、長期的には健康状態の改善につながり得ると考えられる。というのも、われわれは逆の視点、つまり睡眠不足から健康を考えているからだ」と言う。 また、運動についても同様の傾向が認められ、ほとんど運動していなかった人が少しでも体を動かすようになった場合に最大の効果が得られることが示唆された。研究グループによると、運動の効果は1日当たり約50分でピークに達することも明らかになったという。 一方、米アリゾナ州立大学運動生理学教授のGlenn Gaesser氏は、「健康上のメリットを得るために生活習慣を大幅に見直す必要はない。将来の行動を予測する最も正確な指標は、過去の行動だ」と述べている。

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肌の色はパルスオキシメーターの測定精度に影響する

 パルスオキシメーターで測定した血中酸素飽和度(SpO2)は、肌の色が濃い人では誤った値を示す可能性があり、医療に影響を及ぼす恐れのあることが、新たな研究で明らかになった。パルスオキシメーターは、肌の色が濃い患者に対しては実際よりも高いSpO2値を示す傾向があり、低酸素状態を見逃してしまう可能性のあることが示唆されたという。パルスオキシメーターは、光を使ってSpO2を測定する。ほとんどの人において、SpO2の正常値は95〜100%であり、90〜92%未満になると医療的注意が必要となる。英プリマス大学周術期・集中治療医学分野のDaniel Martin氏らによるこの研究結果は、「The BMJ」に1月14日掲載された。 本論文の付随論評の著者の1人である米コロラド大学の肺専門医・集中治療専門医であるThomas Valley氏は、「本研究で評価した5種類のパルスオキシメーターは、いずれも肌の色が濃い患者に対して、肌の色が明るい患者よりも高いSpO2を示した。この誤った測定値は、治療に実質的な影響を及ぼす可能性がある」と述べている。同氏はさらに、「医師はSpO2の値に基づいて重要な医療判断を行っている。SpO2が正常値を示せば、救急救命士は患者を病院に搬送しないかもしれないし、救急科の医師は患者を入院させないかもしれない。また、パルスオキシメーターの測定値が不正確な場合、集中治療室(ICU)で治療を受けている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の低酸素状態が適切に判断されず、ステロイドなどの救命薬が投与されない可能性もある」と指摘している。 今回の研究では、2022年6月から2024年8月の間に、イングランドの24カ所のICUで治療を受けた903人の成人患者のデータを用いて、肌の色がパルスオキシメーターの測定値と診断精度に与える影響が検討された。パルスオキシメーターは、英国の国民保健サービス(NHS)が、COVID-19対策の一環として家庭に配布していた5種類を対象とした。対象者の肌の色は、携帯型の分光光度計を用いて、利き手ではない方の手の甲の皮膚の明るさを測定して評価した。SpO2の測定値は、動脈血ガス分析の測定値(動脈血酸素飽和度〔SaO2〕)と比較された。 最終的に、全体で1万1,018組のSpO2とSaO2測定値が解析された。その結果、いずれのパルスオキシメーターも、SaO2が低値の範囲では過大評価し、高値の範囲では過小評価する傾向が認められ、肌の色が濃い患者では、肌の色が明るい患者に比べてSpO2が平均0.6~1.5パーセントポイント高く測定されていた。また、SpO2の閾値(92%以下、94%以下)のいずれを用いても、SaO2が92%以下であることを判別する際の偽陰性率は、肌の色が濃くなるほど上昇していた。具体的には、SaO2が92%以下であるのにSpO2が94%超であった患者の割合は、肌の色が明るい患者で1.2~26.9%、肌の色が濃い患者で7.6~62.2%であり、後者は前者に比べて5.3~35.3パーセントポイント高かった。 研究グループは、医師は肌の色が濃い患者を治療する際には、SpO2だけに頼らず、他の症状や兆候と照らし合わせて判断することを提案している。Valley氏らも付随論評の中で、「現時点では、医師は最善を尽くすしかなく、機器の欠点を理解しながら対応する必要がある。目的はSpO2の測定を放棄することではなく、その限界を理解し、公平性を確保し、酸素測定の技術自体が医療格差を助長しないようにすることだ」と述べている。

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静脈血栓塞栓症における抗凝固薬の継続は出血リスクの増加はあるが、再発リスクの低下の効果が大きい(Target Trial Emulation:TTEによる検討)(解説:名郷直樹氏)

 誘因のない静脈血栓塞栓症に対する経口抗凝固療法の継続と中止についてのTarget Trial Emulationが、Kueiyu Joshua Linらにより報告された。Target Trial EmulationはTTEと略されるが、経胸壁心エコー(Transthoracic Echocardiography)のことではない。Target Trial Emulationとは、観察データを使って、仮想的なランダム化臨床試験を模倣する方法論である。 まず、『日本循環器学会/日本肺高血圧・肺循環学会合同ガイドライン2025年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン』ではどうなっているか。「誘因のない中枢型DVT(unprovoked 中枢型DVT)に対し,出血リスクが高くない場合には,中枢型DVTの治療および再発予防のための長期の抗凝固療法として,低用量DOACが使用できるなら可及的長期の抗凝固療法を行うことを考慮してもよい」とクラスIIbで推奨されている。しかし、その根拠となる文献の引用は記載されていない。 では、論文のPECO(Patient、Exposure、Comparison、Outcome)と結果を見てみる。誘因不明の静脈血栓塞栓症があり、初回治療後少なくとも90日間経過した患者において、治療継続群と中止群を比較し、主要アウトカムは、入院を要する再発性VTE、入院を要する大出血である。中止群は、初回90日間の治療後、30日以内に処方がないものと定義された。まず、結果である。治療継続群を治療中止群と比較して、再発性VTEの発生率が著しく低く信頼区間も狭い(調整ハザード比:0.19、95%信頼区間:0.13~0.29)。大出血発生率の上昇(ハザード比:1.75、95%信頼区間:1.52~2.02)、死亡率の低下(ハザード比:0.74、95%信頼区間:0.69~0.79)が認められた。転倒などの出血リスクが低ければ、継続が妥当かもしれない。 次に、TTEにおける批判的吟味を進める。TTEの想定されるランダム化比較試験を模倣する手順は次の7つである。対象患者抽出の適格基準、比較対照となる治療戦略、割付手順、追跡期間、アウトカム、解析方法(交絡因子の調整、ITT、PPS)、解析計画である。とくに、比較対照となる治療戦略、割付手順、解析方法が問題になる。それぞれ、Immortal time biasへの対応と交絡因子の調整などを確認する必要がある。TTEでは介入開始と追跡期間が不一致となる可能性があり、イベントが調査されない期間が含まれる。その期間が解析に含まれると、介入の効果を過大評価してしまう。それをImmortal time biasと呼ぶ。 この研究では、Immortal time biasを回避するため、治療戦略が割り当てられる時点と追跡開始時点(Time zero)を一致させるように設計されている。Time zeroを中止群は抗凝固薬中止日とし、対応する継続群は同じ暦日を割り当てたと記載がある。Time zeroが明確で、Immortal time biasを回避する対応がなされている。 交絡の調整であるが、プロペンシティスコア・マッチングを行い、背景をそろえているが、貧血や転倒の既往は調整されているものの、直前のHb低下傾向や転倒リスクなどの調整は行われていない。抗凝固薬導入後貧血の進行があれば、抗凝固薬を中止することもある。転倒リスクが高いなどの理由で抗凝固薬を中止することも多い。継続群のDOACの用量やワーファリン使用時の目標INRも不明である。TTEではデータベースにない因子を調整することができないという大きな問題がある。ただこうした未知の交絡因子のリスクはあるが、再発リスクをハザード比の95%信頼区間の上限でも0.29まで少なくするという大きな効果を覆すほどの大きな影響はないかもしれない。また現実の患者に利用する際には、アウトカムが入院を要する患者のみに絞られ、外来治療可能な肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症や軽症出血が除外されている。外来患者など再発リスクが低い対象には適用しにくい面がある。 またリスクとベネフィット、再発予防効果と出血リスクのバランスも重要である。この問題を検討するためにLHHという指標がある。Likelihood of Harm to the Patientといい、治療の「害が生じる可能性」を示す医療統計の用語である。計算式はLHH=(1/NNT)÷(1/NNH)である。LHH>1で治療が推奨される。NNT 39、NNH 209のため、LHHは5.36になり、1を大きく超える。一般的には治療推奨になる。しかし血栓症の再発と大出血では重みが異なる。その重みを考慮すると、LHH=(1/NNT)×S÷(1/NNH)(Sは有害事象の重み)になる。一般的に出血のほうが致死的になることが2倍と仮定すると、さらにLHHは小さくなるがそれでも1より大きい。上記のような批判的吟味のポイントはあったが、続けられない理由がない限り、基本的には抗凝固薬継続がいいのかもしれない。

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認知症予防に「エビデンス」はあるか? Lancetの14の危険因子を読み解く(前編)【外来で役立つ!認知症Topics】第38回

認知症を「予防」できるのか?認知症基本法の2つの軸は、予防と共生だとされる。この法律の成立過程では「認知症を予防できるのか? できもしないものを法律の目玉にするのはいかがなものか」という厳しい意見が相次いだ。背景には、家族が懸命に予防に努めながらも発症を防げなかったという、切実なケースが少なくなかったからだ。「主人はアルツハイマー病予防に良いとされる運動も脳トレも十分やった。睡眠もしっかり取り、栄養面では私が地中海式の食事作りに励んだ。だけどアルツハイマー病になり、最後は何もわからなくなって亡くなった。私たちが予防を怠けていたからこうなったと言うの?」確かに臨床の場においてこのような例は少なくない。血管性認知症なら血圧や血糖管理に一定の予防効果が期待できるだろう。しかし、アルツハイマー型認知症については、少なくとも近年までは「これ!」という手応えのある予防法はなかった。だからこそLancet誌では、2017年からGill Livingston氏を中心に認知症の真の危険因子を特定する試みを始め、2020年、2024年に改訂版が出された1,2,3)。最新の2024年版では「14の因子」が示され、これらに対応することで認知症発症を45%抑制できると述べられている。危険因子の定義と分類そもそも「危険因子(リスクファクター)」とは何か? どんな疾患も、とくに認知症のような生活習慣病においては、科学的根拠に基づき、疾患の発生と関連するとされる個々の因子を指す。科学的根拠があるとは因果関係が証明されていることである。危険因子は以下の5つのカテゴリーに分類される。1)行動危険因子:喫煙・飲酒、運動習慣などライフスタイル。2)生理学的危険因子:高血圧、肥満など主に生活習慣病に関連するもの。3)人口統計学的危険因子:年齢や性別など基本属性。4)環境危険因子:大気汚染や温暖化など。5)遺伝的危険因子:アルツハイマー病ならAPOE遺伝子など。Lancet誌が示したリスク因子は、これら5つのうち、1)行動危険因子、2)生理学的危険因子、4)環境危険因子に関わるものである。3)人口統計学的危険因子と5)遺伝的危険因子といった、個人の努力で修正不可能な因子は除外されている。画像を拡大するLancet誌のリスク因子は、1)として教育、運動、肥満、飲酒、喫煙、孤独、うつ、2)では糖尿病、高血圧、高LDL、難聴、視力低下、頭部外傷、4)として大気汚染に分けられる。アルツハイマー病理の変遷と「リスク」の正体アルツハイマー病研究の源流は、老人斑の主成分アミロイドβ、神経原線維の主成分タウにある。ところが、近年の抗アミロイドβ抗体薬の治験等を通じて、これらを減らしてもアルツハイマー型認知症は進行することが明らかになった。そこで近年では、神経炎症、酸化ストレス、さらに血液脳関門(BBB)などを介して病勢が進むと考えられ、その方向に沿った新薬も開発されつつある。ある要因をアルツハイマー病など認知症の「リスク」と呼ぶ以上、その要因がなぜ認知症の病理を生じさせるのか合理的説明が必要だ。その考え方に沿って、報告されたリスクに関する文献をたどってみた。ほとんどの要因について、アミロイドβやタウといった「伝統的」なものに働きかけるメカニズムだけでなく、神経炎症、酸化ストレス、さらにBBBを介する「新顔」のメカニズムにも言及されていた。以上の、いわばリスク総論に基づいて、これから14の危険因子の特徴を簡潔にまとめていく。今回は、これらのうち発症への寄与率がいずれも7%と最も高い「中年期からの難聴」と「高LDL」について、その具体的なメカニズムを整理したい。1.難聴がもたらす影響難聴については、「社会的孤立」「認知負荷の増大」「脳の構造的変化」という3つの考え方が主流になっている。まず「社会的孤立」は、聞こえにくくなると他人との交わりを避けるようになり、それが脳への刺激を減らし認知機能の低下を招く。次に「認知負荷の増大」は、難聴になると会話を理解するうえで大きな処理能力が必要になり、その負担が本来なら記憶や思考に使われるべき脳のリソースを損なうとする、いわばエネルギー保存の法則である。さらに「脳の構造的変化」は、長期間にわたる聴覚刺激の減少により、脳の聴覚野が萎縮し始め、この変化が脳全体の萎縮や神経回路の変性を促進する。2.高LDLが脳に与えるダメージ高LDLについては、まず「脳血管障害説」がある。脂質プラークが血管壁に蓄積し、血管を狭窄させて脳への血液灌流を減少させるという。またこれは、脳内でアミロイド前駆体タンパク質の分解酵素を活性化してアミロイドβ生成を高める。さらに、高LDLに関連する酸化LDL(Ox-LDL)がミクログリアを活性化することでサイトカイン放出を増加させ、脳内の慢性的な炎症状態が続き、神経細胞死を促進させる。残りの危険因子については、次回に取り上げる。参考文献1)Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care. Lancet. 2017;390:2673-2734.2)Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet. 2020;396:413-446.3)Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024;404:572-628.

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ALT・AST上昇例へのスタチン【日常診療アップグレード】第49回

ALT・AST上昇例へのスタチン問題75歳男性。現在、症状はない。狭心症と2型糖尿病、高血圧、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(Metabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease:MASLD)による代償性肝硬変の既往がある。処方薬はアスピリン、クロピドグレル、カルベジロール、リシノプリル、デュラグルチド、ピタバスタチンである。過去1年間に薬剤の変更はない。身体診察では、バイタルサインおよびその他の所見は正常である。1年前と同様の軽度の肝トランスアミナーゼ上昇がある(AST 55U/L、ALT 65U/L)。肝トランスアミナーゼ値が上昇しているが、ピタバスタチンを継続した。

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2月10日 フットケアの日【今日は何の日?】

【2月10日 フットケアの日】〔由来〕糖尿病や末梢動脈疾患による足病変の患者が増加していることから、足病変の予防・早期発見・早期治療の啓発を目的に、「フ(2)ット(10)=足」と読む日付の語呂合わせから日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、日本メドトロニックが共同で制定した。関連コンテンツ爪切り処置の飛び散り対策【Dr.デルぽんの診察室観察日記】爪甲除去術の査定と復活【斬らレセプト シーズン4】手足がしびれるときの症状チェック【患者説明用スライド】足の指の変形【患者説明用スライド】補助具や便利グッズの紹介【患者説明用スライド】

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第305回 パーキンソン病の多様な症状に携わるらしい脳回路狙いの治療が有効

運動の計画を実行へと移すことに携わる身体認知行動ネットワーク(somato-cognitive action network:SCAN)と呼ばれる脳の神経回路を標的とする治療が、パーキンソン病患者の症状を大幅に改善しました1,2)。世界で1,000万例超が罹患するパーキンソン病(PD)はもともと体を動かしにくくする運動障害の類いとされてきましたが、自律神経障害、睡眠障害、自発性の低下などのさまざまな非運動症状も伴います。PDを特徴付ける病変は、脳の黒質のドーパミン放出神経が変性して皮質-基底核-視床の回路が故障することです。皮質と皮質下を繋ぐその回路はドーパミンを供給する薬のレボドパで最初は治療でき、PDの初期段階の運動症状を抑えることができます。しかし時とともに治療効果は弱まるか運動症状日内変動や不随意運動に邪魔され、神経の電気刺激などの追加治療が必要になってきます。視床下核や淡蒼球内節への脳深部刺激療法(DBS)がPDの種々の運動症状、視床中間腹側核へのDBSが震えの治療に承認されています。DBSの効果は手法の進歩で改善していますが、レボドパが効かないすくみ足への効果はいまひとつで、認知機能障害などの有害事象を招く恐れがあります。それに、脳に電極を差し込む大掛かりな手術が必要なことや高額であることからDBSの普及は限定的です。DBSとは違って外科処置が不要な経頭蓋磁気刺激療法(TMS)などの脳の外からの神経刺激の効果も示されていますが検討は不十分です。標的が明白なDBSとは対照的に、脳の狙い所が定まっていないことがTMSの検討を滞らせているのかもしれません。ワシントン大学のNico Dosenbach氏らの2023年の報告3)に初めて記されたSCANは、覚醒、臓器の状態、全身の動かし方と行動の動機をすり合わせて活動の遂行を調節するようです。運動のみならず動機付けなどの認知も害する多岐に渡るPDの症状に、認知と運動を繋ぐSCANの障害が寄与しているかもしれません。もしそうであるならSCAN狙いの神経刺激でPD症状一揃いを治療できる可能性があります。中国のChangping Laboratoryの研究者らは、米国のDosenbach氏らと協力してその仮説を検討することにしました。研究ではDBS、TMS、集束超音波、服薬などの種々の治療を受ける患者、健康な人、PD以外の運動疾患の患者を含む800例超の脳の写真が解析されました。その結果、SCANと皮質下領域の繋がりがPD患者では強すぎることが判明します。皮質下領域は情緒、記憶、運動の制御に携わります。患者が受けている治療の効果はその過剰な連携を抑制して回路の正常化をもたらしている場合に最も高いことも見てとれました。それらの発見に基づき、研究チームはミリメートル単位の正確さでSCANを非侵襲的に狙えるTMS手段を開発します。患者18例に使ってみたところ、SCANと皮質下の過剰連携が減じ、SCAN狙いではないTMSを受けた別の18例に比べて症状がより早く、より大幅に緩和しました。Dosenbach氏は同氏らが設立したTuring Medical社と協力してSCAN狙いの非侵襲性治療の臨床試験を計画しています2)。試験はパーキンソン病患者の歩行障害の治療を目的とします。Dosenbach氏は集束超音波との組み合わせの効果も検討するつもりです。参考1)Ren J, et al. Nature. 2026 Feb 4. [Epub ahead of print]2)Brain network responsible for Parkinson’s disease identified / Eurekalert3)Gordon EM, et al. Nature. 2023;617:351-359.

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6月から薬剤師による投薬量の削減判断が可能に【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第165回

「薬剤師」という文字が、日本経済新聞の一面を飾りました! しかも良い意味で!薬の過剰処方に歯止め、薬剤師が削減判断 6月運用変更薬の過剰処方にメスが入る。厚生労働省は6月から、飲み忘れや飲み残しがある患者への投薬量を薬剤師の判断で減らしやすくする。薬剤費は日本の医療費の2割ほどを占め、国の社会保障費が膨らむ一因となっている。無駄を減らして患者の負担を抑えるとともに公的医療保険制度の持続性を高める。(2026年2月3日付 日本経済新聞)先日、1年後には電子カルテ共有サービスによって、薬局にも傷病名が共有される時代が来る! と小躍りしたばかりですが、6月から薬の飲み残しなどの残薬がある場合の日数変更が薬剤師の判断でできるようになります。私、感激しております!クリニックからの処方箋については日数変更の疑義照会はスムーズかと思いますが、大きめの病院になると、薬剤部に連絡し、その連絡を受けた薬剤部の方が処方医を探して日数変更を確認する…という流れになることが多いでしょう。せっかく残薬を申告してくれた患者さんを待たせてしまうだけでなく、処方医がつかまらないなどのまさかの理由で「次回の受診時に患者さんから医師に残薬数を報告してもらってください」と言われてしまうことも…。薬局の薬剤師に言っても意味がないと思われるリスクもあり、正直「日数変更、しかも減薬だけなのに…」と思うこともたびたびありました。しかし、処方箋に記載されている事項はある種“絶対”です。医療の中には既存の規制による非効率な作業というのは山ほどあります。とはいえ、その中には他の立場になって考えると残しておいたほうがよいものから、サクッとシステムに置き換わるものまでさまざまですが、この日数変更に関しては、医師がその経緯を確認できるのであれば三方良しの改定ではないでしょうか。事前に話題になっていなかったような気がしますが(私だけ…?)、これほどまでに迅速にルールが変わるとは思っていませんでした。すごい!では、少し落ち着いて具体的にどのようになるのか見ていきましょう。次の診療報酬改定から、処方箋に「薬を減らしたうえで医療機関に情報提供」という欄が新設されます。この欄に医師がチェックしていて、薬剤師が残薬を確認した場合は薬剤師の判断で薬の量が減らせるようになります。減薬をした場合に、事後的に医師や医療機関へ減薬について連絡すればよいので双方の負担は軽減されますが、欲を言えばチェック欄にチェックする医師の手間もなくしてほしかったなと思います。まぁここは仕方ないでしょうか。今回の急展開には驚きましたが、国民医療費の削減は待ったなしの状況なのだなと改めて痛感します。そして、医師が薬を処方したら、そのあとは薬局薬剤師も責任を持つという大きな流れも感じ、身の引き締まる思いもします。医師や行政、そして一番大事な患者さんがこの変更にメリットを感じてほしいなと思います。

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閉経後HR+早期乳がんへの術後内分泌療法、アロマターゼ阻害薬3剤の長期転帰を比較

 第3世代アロマターゼ阻害薬であるアナストロゾール、レトロゾール、およびエキセメスタンは、閉経後ホルモン受容体陽性(HR+)早期乳がんに対する標準的な術後内分泌療法であるが、臨床における有効性を比較したデータはほとんどない。フランス・パリ・シテ大学のElise Dumas氏らは、約15万例を対象とした比較効果試験を実施し、エキセメスタンによる術後内分泌療法は、アナストロゾールおよびレトロゾールと比較して、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)がわずかに低くなる可能性があると明らかにした。JAMA Network Open誌2025年12月26日号に掲載の報告。 本試験は、フランスの医療行政データを用いてtarget trial emulationの手法により実施された。患者コホートは、フランス早期乳がんコホート(French Early Breast Cancer Cohort)から抽出され、2011年1月1日~2020年12月31日に早期乳がんと診断され、2021年12月31日まで追跡された50~75歳の女性で構成された。全例が卵巣機能抑制を併用せずに術後アロマターゼ阻害薬を開始した。データ解析は2024年11月~2025年5月に行われた。対象者はアロマターゼ阻害薬の自然継続(natural persistence)状況下および5年間の継続を保証する仮想的な完全継続(perfect persistence)状況下について評価された。主要評価項目はDFSとOSで、いずれも調整カプランマイヤー曲線を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・解析に含まれた14万8,436例(年齢中央値64歳)のうち、38.5%がアナストロゾール、52.9%がレトロゾール、8.5%がエキセメスタンを開始していた。・追跡期間中央値63ヵ月時点で、自然継続状況下における8年DFS率は、エキセメスタン群(79.1%、95%信頼区間[CI]:78.1~80.0%)で、アナストロゾール群(81.0%、95%CI:80.6~81.5%)およびレトロゾール群(81.1%、95%CI:80.7~81.5%)と比較して低くなることが推定された。・同様に8年OS率は、エキセメスタン群88.8%(95%CI:88.0~89.6%)、アナストロゾール群90.5%(95%CI:90.2~90.8%)、レトロゾール群89.9%(95%CI:89.6~90.2%)であった。・エキセメスタンを開始した患者は、ほかの2剤を開始した患者と比較して、治療開始5年以内に治療を中止する可能性が高かった(エキセメスタン群39.3%[95%CI:38.3~40.3%]vs.アナストロゾール群35.1%[95%CI:34.7~35.6%]およびレトロゾール群35.0%[95%CI:34.6~35.4%])。・レトロゾール群およびアナストロゾール群と比較しエキセメスタン群でDFSおよびOSが低くなる傾向は、完全継続状況下においても観察された。 著者らは、「差はわずかではあるが、アロマターゼ阻害薬が広く使用されていることを鑑みればこれらの治療間の差は臨床的に意義がある」とし、「今回の結果は初期治療としてのレトロゾールおよびアナストロゾールの使用を支持するもの」と結論付けた。そのうえで、近年はCDK4/6阻害薬や卵巣機能抑制との併用が行われていることから、新たな治療レジメンを含む、アロマターゼ阻害薬の選択に関する研究が必要としている。

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希少疾病の入院患者はパーキンソン病が最も多い/MDV

 2月最終日の「世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day:RDD)」を前に、メディカルデータビジョン(MDV)は、希少疾病・難病の入院患者推移を発表した。 データは、厚生労働省の「指定難病病名及び臨床調査個人票一覧表」から抽出し、2023年4月以降の同社のDPCデータを用い、入院患者数の年度別推移を分析したものである(対象期間:2023年4月~2025年9月、445施設)。 わが国の希少疾病を含む指定難病は、「原因不明、治療法の未確立、希少性および長期療養性を要件として厚生労働大臣が指定する疾病」であり、2025年4月時点で348疾病が対象となっている。 現在、課題として確定診断までの時間の長さや治療薬の未開発、臨床治験患者などの獲得の困難さなどが指摘されている。新しい治療薬は受療行動に変化をもたらす1)DPCデータに基づく指定難病の入院患者数ランキング(上位3疾患) 1位:パーキンソン病(1万49例) 2位:潰瘍性大腸炎(3,635例) 3位:全身性エリテマトーデス(SLE)(2,662例) 傾向として上位10疾患すべてで実患者数が増加傾向にあり、上位10疾患のうち4疾患を「免疫系疾患」が占め、当該領域の入院患者数増加が目立った。 経年の推移では、後縦靱帯骨化症や顕微鏡的多発血管炎(MPA)など、2023年度から2024年度にかけて入院患者数が約6~14%増加している疾患が複数確認でき、DPC病院における難病診療の受け入れは着実に拡大していた。2)神経・筋疾患領域の入院患者数ランキング(上位3疾患) 1位:パーキンソン病(1万49例) 2位:重症筋無力症(MG)(1,462例) 3位:筋萎縮側索硬化症(ALS)(1,138例) 神経・筋疾患領域の年度別の推移では、慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチーが約17%増(205→240例)、大脳皮質基底核変性症が約18%増(136→161例)と大幅な増加となった。3)免疫系疾患領域の入院患者数ランキング(上位3疾患) 1位:SLE(2,662例) 2位:皮膚筋炎/多発性筋炎(1,611例) 3位:MPA(1,541例) 2023年度と24年度を比較すると、MPA(690→792例)や好酸球性副鼻腔炎(264→348例)において、前年度比10~30%程度の増加が確認された。診断技術の向上や新規治療薬の浸透が、DPCデータ上の患者数増に寄与している可能性がある。 2023~24年度に承認された薬剤の対象疾患では、ALS(1,138例)、免疫性血小板減少症(1,250例)やMG(1,462例)の入院患者数が突出して多い。その一方で、遠位型ミオパチー(7例)やレノックス・ガストー症候群(20例)などは入院患者数が極めて少数であった。また、2024年度に新薬が承認された肺動脈性肺高血圧症が、前年度比約39%増(163→227例)と急増していた。これは新薬の登場が専門施設への受診を後押しした結果と考えられ、新薬承認が患者の受療行動に変化を及ぼしたと考えられる。

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多発性骨髄腫患者の感染リスクを予測する免疫バイオマーカー/Blood

 多発性骨髄腫患者において感染予防は最重要課題である。今回、スペイン・Cancer Center Clinica Universidad de NavarraのAintzane Zabaleta氏らによる多発性骨髄腫患者の大規模免疫プロファイリングの結果、骨髄中のCD27陽性B細胞、CD27陰性NK細胞、CD27陰性/CD27陽性T細胞比が、感染の独立したリスク因子であることが示唆された。Blood誌オンライン版2026年1月29日号に掲載。 著者らは感染リスクの高い免疫バイオマーカーを特定するため、さまざまな疾患Stageおよび治療シナリオにある1,786例の多発性骨髄腫患者から骨髄および末梢血検体を採取し、次世代フローサイトメトリーを用いた免疫プロファイリングを実施した。 主な結果は以下のとおり。・感染症を発症した患者では、骨髄中のCD27陽性B細胞およびCD27陰性NK細胞の割合が有意に低く、CD27陰性/CD27陽性T細胞比が高かった。・リスク因子が1個以下と2個以上に層別化する免疫スコアを開発したところ、感染症発症率はそれぞれ35%と60%であった(p<0.001)。・免疫スコア(オッズ比:2.31、p<0.001)、疾患Stage、CD38、BCMA、GPRC5D標的療法が、感染症発症率と独立して関連していた。 本研究の結果、骨髄および末梢血で検出可能なすべての細胞タイプは有意に相関しており、感染リスクの高い免疫バイオマーカーは、日常的な検査で利用可能な低侵襲的な方法でモニタリングが可能であることが示唆された。

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がんと認知症の発症率は相関している?

 がんと認知症は、高齢化と社会経済の変遷の影響を受ける、主要な世界的健康課題である。いずれも大きな負担を強いるものの、人口レベルでの両者の関係は、これまで十分には検討されていなかった。オーストラリア・アデレード大学のWenpeng You氏らは、発達、人口動態、医療関連因子を考慮したうえで、がんと認知症の発生率の世界的な関連性を調査した。Future Science OA誌2026年12月号の報告。 保健指標評価研究所(IHME)より入手したデータを用いて検討を行った。共変量には、経済的豊かさ、都市化、選択機会の減少、60歳の平均寿命を含めた。204ヵ国を対象とした分析では、相関係数、偏相関係数、主成分分析、重回帰分析(エントロピー法とステップワイズ法)を用いた。サブグループ解析では、所得水準、発展途上国、WHO加盟地域、地政学的グループにより層別化した。 主な結果は以下のとおり。・がんの発生率は、世界全体で認知症の発生率と強い相関を示した(r=0.873、ρ=0.938、p<0.001)。・この関連は地域間で一貫しており、とくに上位中所得国および発展途上国で顕著であった。・偏相関では、調整後もこの関係が持続することが示され、がんは認知症の分散の59.8%であった。・回帰モデルでは、社会経済的および人口統計学的因子は、分散の51.7%であり、がんを含めると80.1%に上昇することが明らかになった。 著者らは「がんの発生率は、世界的に認知症の発症率の主な独立予測因子であり、従来の因子を上回っている。調査結果は、共通の決定因子を浮き彫りにしており、とくにリソースの少ない環境における統合的な慢性疾患戦略の重要性を示唆している」としている。

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医師会員の57%が花粉症と回答、オススメの予防法は

 全国的にスギ花粉の飛散が始まろうとしている。厚生労働省の統計によると、花粉症の有病率は2019年に42.5%となり、年々有病者数は増加しているという。国民病となった花粉症について、医師における有病率の違い、医師ならではの予防や対策などはあるのであろうか。 CareNet.comでは、2026年1月19~25日にかけて、会員医師1,000人(うち耳鼻咽喉科の医師100人を含む)に「医師の花粉症とその実態」についてアンケートを行った。花粉症へのアレルゲン免疫療法、生物学的製剤などの治療数は少ない 質問1で「花粉症かどうか」(単回答)を聞いたところ、「花粉症ではない」が40%と一番回答率高く、(診断を受け)「花粉症である」が33%、(診断を受けず)「花粉症である」が24%、「わからない」が3%の順で多かった。しかしながら、診断の有無を考慮しない場合、全体の57%が「花粉症である」を回答していた。 質問2で「花粉症で困る症状について」(複数回答)を聞いたところ、全体では「鼻汁」が81%、「くしゃみ」が59%、「目、皮膚、喉のかゆみ」が58%の順で多かった。耳鼻咽喉科とそれ以外の診療科の医師との比較では、両方で「鼻汁」が一番多かったが、「くしゃみ」、「目、皮膚、喉のかゆみ」、「鼻閉」などで若干の差がみられた。また、「集中力の低下」と「倦怠感・頭痛」は、それ以外の診療科の医師からの回答数が耳鼻咽喉科の医師の回答の2倍以上だった。 質問3で「花粉症の治療としてどのようなことをしているか」(複数回答)を聞いたところ、全体では「医療用医薬品の内服薬」が72%、「OTC薬の内服薬や外用薬」が29%、「医療用医薬品の外用薬」が26%の順で多かった。耳鼻咽喉科とそれ以外の診療科の医師との比較では、両方で「医療用医薬品の内服薬」が一番多かったが、「OTC薬の内服薬や外用薬」と「医療用医薬品の外用薬」で順位が逆転していた。また、それ以外の診療科の医師では「アレルゲン免疫療法」、「生物学的製剤」、「手術」の治療を行っていたが、耳鼻咽喉科の医師は行っていないという回答結果だった。 質問4で「お勧めの花粉症予防法・対策」(自由記載)について聞いたところ、全体では「マスクの着用」が19%で多く、「専用眼鏡・ゴーグルの着用」と「鼻洗浄・鼻うがい」は4%と同じ回答率だった。耳鼻咽喉科とそれ以外の診療科の医師との比較では、耳鼻咽喉科の医師では「専用眼鏡・ゴーグルの着用」の回答率が多く、「鼻洗浄・鼻うがい」はほぼ同じ回答率だった。 質問5で「花粉症にまつわるエピソード」を聞いたところ、下記のようなコメントが寄せられた。【花粉症の症状のエピソード】・くしゃみが止まらなくて、風邪と判断されることが多々ある(30代/膠原病・リウマチ科)・花粉症の活動期は喘息発作も起きやすくなるので注意している(60代/麻酔科)【治療薬に関するエピソード】・ワセリンの鼻への塗布が有効(40代/麻酔科)・花粉の飛散の日内変動は朝と夕方にあるので、作用時間の長い薬剤の方が効果的(60代/糖尿病・代謝・内分泌内科)【患者への助言などのエピソード】・患者に自分が使っている薬を教えると喜ばれる(50代/耳鼻咽喉科)・処方に合わせて鼻うがいを指導している(30代/耳鼻咽喉科)【花粉症予防に関するエピソード】・だいたいバレンタインデーの頃から花粉症の問診と処方を開始する(50代/心療内科)・花粉に曝露しないことが一番大事。曝露したときは鼻うがいで洗い流すが、真水ではだめ(60代/耳鼻咽喉科)■参考医師の花粉症とその実態について/医師1,000人アンケート

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AI聴診器で、心不全の検出率は向上するか/Lancet

 プライマリケアへの人工知能(AI)搭載聴診器の導入は心不全の検出率を増加させず、地域ベースの診断率の改善ももたらさないことが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMihir A. Kelshiker氏らが行った「TRICORDER試験」において示された。心不全、心房細動、心臓弁膜症はいずれも頻度が高い疾患で、検出可能で治療も可能だが、緊急入院後に初めて診断される場合が多い。プライマリケアへの、AIに基づく安価で実用的な臨床現場(point-of-care)検出技術の導入は、これらの疾患の早期発見に結び付く可能性が示されていた。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2026年1月28日号で報告された。英国のプライマリケア施設のクラスター無作為化実装試験 TRICORDER試験は、2023年10月~2024年5月に、英国の205のプライマリケア施設で実施した非盲検クラスター無作為化対照比較実装試験(英国国立衛生研究所[NIHR]などの助成を受けた)。参加施設を、介入群(96施設、登録患者70万1,933例[平均年齢44.5歳、女性48.9%])または対照群(109施設、85万1,242例[43.5歳、47.9%])に無作為に割り付けた。 介入群の医師は、日常診療におけるAI聴診器使用の研修を受け、臨床導入した。対照群は通常診療を行った。介入の性質上、参加者(施設、臨床医、患者)の盲検化は不可能だった。 心音検査において、AI聴診器は15秒間の単一誘導心電図と心音図信号を記録した。これらのデータは3つのアルゴリズムに入力され、「左室駆出率低下(≦40%)」「心房細動」「弁膜症」の有無について、二値予測(陽性または陰性)の結果が返答された(いずれも規制当局の承認済み)。 主要エンドポイントは、新たに診断コードが付与されたあらゆる心不全(全サブタイプ)の発症率とし、英国国民保健サービス(NHS)のSecure Data Environmentから得たデータに基づき、1,000人年当たりの発症率(発症率比[IRR])として算出した。心房細動、心臓弁膜症の検出にも差はない 介入群の施設では、972人の医療従事者がAI聴診器を用いて1万2,725例の検査データを記録した。平均追跡期間は、介入群が30.8(SD 10.8)週、対照群は35.8(SD 9.9)週だった。 ITT解析では、12ヵ月の時点における新規心不全は、介入群で1,342例(2.58/1,000人年)、対照群で1,984例(2.76/1,000人年)に発生し、検出率に関して両群間に有意な差を認めなかった(補正後IRR:0.94、95%信頼区間[CI]:0.86~1.02)。また、補正済み解析の結果、AI聴診器の導入に関連した地域ベースの検出への有意な転換はみられなかった。 心房細動(補正後IRR:0.98、95%CI:0.88~1.09)および心臓弁膜症(1.00、0.90~1.11)の検出についても、両群間に差はなかった。 一方、per-protocol解析(8,942例)では、新規心不全の検出率は介入群で有意に高く(補正後IRR:2.33、95%CI:1.28~4.26、p=0.0046)、心房細動(3.45、2.24~5.32、p=0.0013)、心臓弁膜症(1.92、1.09~3.40、p=0.020)の検出についても同様の結果であった。AI技術は、導入されるシステムの実情から切り離せない 著者は、「AIの技術的性能は高いものの、疾患の検出率に有意な向上がみられなかったという結果は、臨床効果を実現するには、実装環境(とくに、診療の行程への統合や臨床医の受容性)が中心的な役割を担うことを示しており、AI技術の有効性が、それが導入されるシステムの実情から切り離せないことを強調している」「これらの知見は、重点を置くべき要件を、単に『アルゴリズムが機能すること』を証明する段階から、複雑で医療資源の限られた環境において持続的に利用するための文脈要因(contextual factor)を研究・最適化する段階へ転換するよう促すもの」と考察し、「医療システムにおいてAI技術を効果的に展開し、その後のインパクトを確実なものにするには、実用的な有効性研究と並行して実装科学(implementation science)を組み込んだ研究デザインが重要であることを、本試験は立証した」としている。

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コルヒチンによる死亡例発生、適正使用を呼びかけ/PMDA

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は2月6日、「痛風発作の緩解及び予防」および「家族性地中海熱」の効能・効果を有するコルヒチン錠(商品名:コルヒチン錠0.5mg「タカタ」)の適正使用のお願いを、同機構ホームページの「製薬企業からの適正使用等に関するお知らせ」で公開した。 2026年1月31日までに国内において、承認された用法・用量の範囲(1.8mg)を超える高用量を投与後に死亡に至った症例が報告されたことから、改めて添付文書の「効能又は効果」および「用法及び用量」「用法及び用量に関連する注意」などの関連項目を確認するとともに、下記の留意点を踏まえ適正に使用するよう呼びかけている。<留意点>――――――――――――――●コルヒチンの1日量1.8mgを超える高用量投与により、重篤な中毒症状(胃腸障害、血液障害、腎障害、肝障害など)をきたし、死亡に至る可能性があります。●1日量1.8mgを超える用量については、臨床上やむを得ない場合を除き投与は避けてください。●「痛風発作の緩解」の目的で本剤を使用した場合は、疼痛が改善したら速やかに中止してください。●患者が自身の判断で1日量3錠を超える用量を服用しないよう指導してください。――――――――――――――――――― また、本剤の禁忌(肝臓または腎臓に障害のある患者で、肝代謝酵素CYP3A4を強く阻害する薬剤またはP糖蛋白を阻害する薬剤を服用中の患者)についても併せて注意喚起した。添付文書での痛風発作緩解の1日量 添付文書における「痛風発作の緩解」の場合の用法及び用量は「1日3~4mgを6~8回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する」とされているが、用法及び用量に関連する注意において「投与量の増加に伴い、下痢等の胃腸障害の発現が増加するため、1日量は1.8mgまでの投与にとどめることが望ましい」と記載されている。 なお、高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2022年追補版)でも「低用量コルヒチン投与法が推奨される」および「コルヒチンは発症12時間以内に1mg、その1時間後に0.5mgを投与する」と示されている。

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てんかん患者向けAIチャットボット「えぴろぼ」との会話解析でわかったこと

 人工知能(AI)搭載チャットボットは、患者教育やメンタルヘルス支援での活用が広がっている。今回、てんかん患者や家族を支援する目的で開発されたAIチャットボット「えぴろぼ」との会話を解析した結果、相談内容によって利用者の気持ちの動きが異なることが分かった。医療相談ではポジティブな感情の強度が高まる傾向が示された一方、内省的な会話ではポジティブな感情の変化が小さい傾向がみられたという。研究は、埼玉大学大学院理工学研究科/先端産業国際ラボラトリーの綿貫啓一氏、国立精神・神経医療研究センターの倉持泉氏によるもので、詳細は12月11日付で「Epilepsia Open」に掲載された。 てんかん患者は、発作だけでなく、誤解や偏見に伴う心理社会的な困難にも直面している。こうした背景から、正確な医療情報と心理的支援を、気兼ねなく受けられる新たな支援手段が求められている。近年、AIチャットボットは匿名性や常時利用可能といった特長から、患者教育やメンタルヘルス支援への活用が進んでいる。てんかん向けに開発されたAIチャットボット「えぴろぼ」は、こうしたニーズに応えるツールであり、会話には医学的質問から感情を伴う内容まで多様な要素が含まれる。本研究では、高度な自然言語処理技術を用いて、AIチャットボット「えぴろぼ」の利用パターンを識別することと、会話を通じて利用者の気持ちがどのように変化するかを明らかにすることを目的とした。 チャットボットのプレテスト段階におけるテキスト上のやり取りを分析対象とした。参加者は埼玉医科大学総合医療センターからリクルートされた計23名で、内訳はてんかん患者10名、介護者10名、医療従事者3名であった。会話内容の分類には、日本語の医療文献で事前学習された自然言語処理モデルであるJMedRoBERTaを用い、ユーザーのメッセージを内容クラスターに分類した。感情の変化の解析にはDeBERTaを用いた。感情分析は、「えぴろぼ」とのやり取りが80回以上あったてんかん患者5名を対象とした。内容分析ではUMAP(Uniform Manifold Approximation and Projection)およびk-means法クラスタリングを用い、客観的な医療相談と主観的で緊急性の低い相談を区別した。さらに、感情分析により、チャットボットとの会話が感情的関与に与える影響を検討した。 解析には、「えぴろぼ」利用者23名によるメッセージのうち、意味のある600件のメッセージを用いた。さらにメッセージの長さによる影響を避けるため、50文字以下の492件を最終的な解析対象とした。 会話内容の解析から、解析内容となったメッセージは主に2つの内容クラスターに分類された。JMedRoBERTaで抽出した特徴量をUMAPとk-means法で解析した結果、てんかん治療薬の調整や管理方法など、客観的な医療情報を求める質問が中心の「医療相談クラスター」と、意味の解釈や気持ちの整理など、主観的・内省的な問いが多い「探索的利用クラスター」が同定された。医療相談クラスターは332件、探索的利用クラスターは160件と、医療相談に関するやり取りが多くを占めていた。 さらに、DeBERTaを用いた感情分析では、メッセージごとにポジティブ・中立・ネガティブの3つの感情強度が算出された。その結果、前向きな学習や気分の安定を目的としたやり取りでは、ポジティブな感情の強度が高まる傾向が確認された。一方で、他者からの見え方や自己評価に関する内省的な問いでは、ポジティブな感情の変化は小さい傾向がみられた。 著者らは、「本解析よりAIチャットボットが単なる情報提供にとどまらず、利用者の感情面においても一定の利益をもたらす可能性が示唆された。一方で、今後はより共感的なAI応答や、利用者の状況に応じた個別化支援の強化が課題になるだろう」と述べている。

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