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第1回 食事療法・運動療法のキホン【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第1回】食事療法・運動療法のキホン-糖尿病の食事・運動療法のポイントを教えてください。 糖尿病では、食事・運動療法は治療の大前提です。食事・運動療法を行っても目標とする血糖コントロールが達成できない場合は薬物療法を行いますが、その場合でも、食事・運動療法、とくに食事療法が守られなければ、薬剤の十分な効果を得ることはできません。食事療法が薬物療法の効果を左右する、といっても過言ではありません。ですので、私は患者さんに、“食事療法の代わりになる薬はない”こと、“食事療法が守られないと、どんな薬を使っても十分な効果が得られない”ことを必ず伝えています。 患者さんの血糖値にもよりますが、まず、食事・運動療法を数ヵ月行います。最初は1ヵ月に1回来院していただき、こまめに効果を確認します。HbA1cの低下が認められる間は、食事・運動療法のみで十分効果が得られていますので、そのまま継続します。HbA1cの低下が横ばい状態になり、低下する様子が2~3ヵ月みられなくなったら、食事・運動療法のみではこれ以上改善しないと判断し、薬物療法を開始します。-食事・運動療法を継続してもらうのが困難です。外来で短時間に行うことができる指導のコツはありますか。 最初に頑張りすぎてしまう人の場合、すぐに息切れしてダメになってしまうということは往々にしてあることです。食事・運動療法は糖尿病治療の根幹で、治療を続ける限りやっていく必要があります。そのために、“無理なく続けられる食事・運動療法”をやっていく、ということが大切です。食事・運動療法は、患者さんの欲求や嗜好、年齢や健康状態、生活スタイルが大きく影響します。そのため、いずれも通り一遍の方法を指導するのではなく、患者さんの置かれている環境の中で継続できる方法を一緒に考え、選んでいきます。効果が出ると、動機付けにもなります。 血糖コントロールが悪化した場合には、生活習慣が乱れている可能性があるので、食事・運動療法の状況を確認し、問題点を見つけて、是正する方法を一緒に考えます。また、そのときに「できていないですね」などと否定するのではなく、きちんとできているところを見つけて「ここはよくできていますね」などと褒め、「一緒に頑張りましょう」というのもよいでしょう。-高齢者にも、厳密な食事管理・運動を行ってもらうべきでしょうか。 高齢患者さんは、高齢になって発症した場合と、青壮年発症で高齢になった場合に分けて考えます。後者はとくに問題がなければ、それまでの食事・運動療法を続けていただきます。 高齢者の血糖コントロールについて、2015年4月に設置された「高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会」で、まずその目標値について議論され、2016年5月20日に、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」が発表されました1)。 基本的な考え方として、 1.血糖コントロール目標は患者の特徴や健康状態年齢、認知機能、身体機能(基本的ADLや手段的ADL)、併発疾患、重症低血糖のリスク、余命などを考慮して個別に設定すること、2.重症低血糖が危惧される場合は、目標下限値を設定し、より安全な治療を行うこと、 としたうえで、 3.高齢者ではこれらの目標値や目標下限値を参考にしながらも、患者中心の個別性を重視した治療を行う観点から、今回新たに設定された目標値を下回る設定や上回る設定を柔軟に行うことを可能としたこと、 を挙げています。具体的には、患者を認知機能やADL、併存疾患や機能障害によって、カテゴリーI~IIIに分類し、それぞれ重症低血糖が危惧される薬剤(インスリン製剤、SU薬、グリニド薬など)の使用有無で分けて考えます。これら薬剤を使用していない場合は、カテゴリIおよびIIとも7.0%未満、カテゴリIIIでは8.0%未満が目標値となります。一方、これら薬剤を使用している場合は、カテゴリIでは65歳以上75歳未満7.5%未満(下限6.5%)/ 75歳以上8.0%未満(下限7.0%)、カテゴリIIは8.0%(下限7.0%)、カテゴリIIIは8.5%未満(下限7.5%)となっています。 高齢患者さんの場合、上述の高齢者糖尿病の血糖コントロール目標にあるように、年齢や余命、合併症、ADL、腎・肝機能を中心とした生理機能の低下、運動能力の低下といった身体的特徴や、うつ状態やストレス状態といった心理的特徴、さらに家族との関わりや経済状態といった社会的特徴を考慮する必要があります。私は、これらを考慮しながら、まず、HbA1c 8%以下を目指します。しかし、いずれにしても、食事・運動療法は治療の大前提で、薬物治療の効果にも大きく影響しますので、個々の高齢患者さんのできる範囲で守っていただくようにします。-食事・運動療法は個人差が大きく、効果がばらばらです。患者の性別や体格、年齢によって運動と食事の指導をきめ細かに行うべきでしょうか。 前述したように、食事・運動療法は、患者さんの欲求や嗜好、年齢や健康状態、生活スタイルが大きく影響します。そのため、すべての患者さんに対して同じように指導しても、思うような効果が得られません。とくに、生活スタイルは非常に重要で、すでにリタイアされていて時間があり、食事・運動療法にかける時間が取れる方と、お仕事をされていらっしゃる方とでは異なります。その患者さんの生活の中で、できることを考えていく必要があります。また、合併症の有無や、高齢者であれば生理機能や運動能力の低下、家族の有無なども影響します。性別に関しては、私は、女性は男性に比べて比較的真面目に取り組むという印象を持っています。-糖質制限食を患者さんに勧めてよいでしょうか。本当に有効なのか教えてください。 近年、炭水化物(糖質)の摂取制限の体重減少が注目されており、私も患者さんから聞かれることがあります。糖質制限に関しては、これまでにさまざまに議論されており、現時点で糖尿病に関して有効であるという明確な根拠は見いだせていません。 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」2)では、糖尿病の食事として、三大栄養素の摂取比率を定めており、炭水化物の摂取比率を50~60%エネルギーとしたうえで、1日摂取量150g/日以上を目安とすることを勧めています3)。 しかし、夜遅く摂取した炭水化物は翌朝の空腹時血糖値に影響し、それが続けば、ひいてはHbA1cの値に影響します。そのため、私は、朝・昼の炭水化物は普通に摂取し、夕食の炭水化物は少し控え目にするよう(子供用茶碗に軽く一杯程度)、指導しています。昼食の炭水化物を制限してしまうと、どうしても、夕食までにおなかが空き過ぎてしまい、強い空腹感から、かえって炭水化物を多く取ってしまいかねません。「昼間の炭水化物は、夜の炭水化物摂取を抑えるための薬だと思って、しっかり食べてください」と患者さんに指導しています。 夕食は早めに、寝るまでに時間を空けること、とよくいわれますが、働いている方の場合、どうしても帰宅してからの遅い夕食になり、食べてからすぐ寝てしまいがちです。また、昼食と夕食の間に時間が空いてしまうと、空腹感から、炭水化物を多く摂取してしまう可能性があるため、そのような方の場合は、職場で午後6~7時くらいに、軽く炭水化物を取り(おにぎり1~2個程度)、帰宅してからは、海藻類やきのこ類、緑黄色野菜、豆類などを食べるよう、指導するとよいでしょう。 「糖質を制限したら、後は何を食べてもよい」ということをよく聞きますが、糖尿病患者さんの場合、合併症として腎症がありますので、タンパク質の量は非常に重要になってきます。また、脂質を取り過ぎれば、動脈硬化や脂肪毒性※の問題も出てきます。 ※脂肪毒性:脂肪細胞から遊離される脂肪酸によってインスリン抵抗性が生じ、血糖が上昇する、また、インスリン分泌が減少し、膵β細胞が障害されること。-患者さんの何を指標に、どれくらいの負荷の運動をどれだけ勧めればいいのか、教えてください。 一般的に、健康状態に問題がなければ、中等度の強度の有酸素運動が勧められており、強度の目安として、最大酸素摂取量の50%前後、運動時の心拍数が50歳未満では1分間100~120拍、50歳以上は100拍以内とされています1)。しかし、適切な強度を見極めるのは難しいと思いますので、「ちょっときつい」と思う程度、少し息切れする程度・汗ばむ程度を目安としていただければと思います。 また、運動の頻度、負荷量としては、できれば毎日、少なくとも週に3~5回、強度が中等度の有酸素運動を20~60分間、計150分以上運動をすることが勧められています。また、同時に、腹筋や腕立て伏せ、スクワット、ダンベルを使ったレジスタンス運動、いわゆる筋トレですが、これを週に2~3回行うことが推奨されています。歩行運動であれば1回15~30分を1日2回、1日の運動量として、歩行は約1万歩(消費エネルギー約160~240kcal)が適当とされています1)。 これらを踏まえたうえで、患者さんの年齢や身体能力、合併症の有無や生活スタイルに合わせ、その方の日常生活に組み入れ、継続できる運動を一緒に考えていくとよいと思います。 私は、リタイアされて時間に余裕がある方であれば、毎食後のウオーキング(速歩)をお勧めしています。食事の食べ始めを0とし、1~2時間の間に、20分程度のウオーキングをします。食後1時間半~2時間で血糖値がピークを迎えますが、食後に20分程度のウオーキングをすることによって、食後の急激な血糖上昇を抑え、緩やかにするという効果が得られます。 働いている方であれば、このような運動を取り入れるのは難しいので、たとえば、電車で通勤されている方ならば一駅分歩く、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使うなど、普段の生活の中でできる運動を考えます。1)日本糖尿病学会編・著.糖尿病治療ガイド2016-2017.文光堂;2016.2)健康局がん対策・健康増進課栄養指導室.「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書.2014年3月28日.3)日本糖尿病学会.日本人の糖尿病食事療法に関する日本糖尿病学会の提言.2013年3月.

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日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学

 ADHD児は、生活するうえで複数の問題を抱えている。そのため、早期に発見し、適切な介入を行うことが重要である。弘前大学の髙柳 伸哉氏らは、5歳児のADHDをスクリーニングするため、家庭および学校でのADHD-Rating Scale-IV日本語版(P- and T-ADHD-RS)の心理的特性を評価した。Research in developmental disabilities誌オンライン版2016年5月7日号の報告。 子供838人(男児:452人[ADHD:28人]、女児:386人[ADHD:18人])の親および教師は、ADHD-RSおよびStrengths and Difficulties Questionnaireを行った。 主な結果は以下のとおり。・P- and T-ADHD-RSより、2因子モデル(不注意と多動性衝動性)と内部整合性を確認した(CFI:0.968、980、RMSEA:0.049、0.055、SRMR:0.030、0.024、α=0.86~0.93)。・日本の男児、女児は、米国児と比較し、P- and T-ADHD-RS総スコアが有意に低かった(d=0.65~1.14、0.36~0.59)。・P-ADHD-RSは、T-ADHD-RSと比較し、AUC(0.955、0.692)、感度(89.13%、30.23%)、PPV(46.59%、16.05%)の高い精度を示した。 著者らは、「P-ADHD-RSは、集団よりADHDの可能性がある子供をスクリーニングするうえで、高い信頼性と妥当性を示した。学校での子供の生活適応の予測妥当性を検討するために、縦断的研究が必要とされる」とまとめている。関連医療ニュース 2つのADHD治療薬、安全性の違いは 小児ADHD、食事パターンで予防可能か 成人期まで持続するADHD、その予測因子は

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食塩高摂取でイベントリスクが増大するのは高血圧者のみ/Lancet

 ナトリウム(Na)摂取と心血管イベント・死亡リスクとの関連を調べた結果、高血圧の人においてのみ、Na摂取量が多い人は適量摂取の人と比べて同リスクの増大がみられた。正常血圧の人ではそうした関連はみられず、また、Naの低量摂取は高血圧の有無にかかわらず同リスクを増大するとの結果が示されたという。カナダ・Hamilton Health SciencesのAndrew Mente氏らが、4つの大規模な前向き試験(PURE、EPIDREAM、ONTARGET/TRANSCEND)の参加者13万例超のデータをプール解析し、明らかにした。結果を踏まえて著者は、「示されたデータは、減塩は、食塩摂取量の多い高血圧の人が最適なターゲットであることを示唆するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年5月20日号掲載の報告より。尿中Na排泄量とイベント発生、血圧との関連を調査 解析は、13万3,118例(高血圧6万3,559例、非高血圧6万9,559例)を包含して行われ、被験者は、年齢中央値55歳(IQR:45~63)、49ヵ国から参加していた。 研究グループは、24時間尿中Na排泄量を推算してグループ分けし(3.00g/日未満、3.00~3.99g/日、4.00~4.99g/日、5.00~5.99g/日、6.00~6.99g/日、7.00g/日以上の各群に)、追跡期間中央値4.2年(IQR:3.0~5.0)における死亡・主要心血管疾患イベントの複合アウトカム、および血圧との関連を評価した。高摂取でリスク増大は高血圧の人だけ 結果、Na摂取と収縮期血圧上昇との関連は、高血圧の人のほうが(2.08mmHg上昇/Na排泄量1分位増大)、非高血圧の人と比べて(1.22mmHg上昇/Na排泄量1分位増大)より、より大きかった(交互作用p<0.0001)。 高血圧の人(イベント発生6,835件)では、Na排泄量最大分位(7.00g/日以上)群および最小分位(3.00g/日未満)群の両群が、排泄量4~5g/日の集団参照値群(高血圧群の25%が該当)と比べて、いずれもイベント発生リスクが有意に高かった。それぞれ発生率は、7.00g/日以上群が11%(7,060件)、ハザード比(HR)1.23(95%信頼区間[CI]:1.11~1.37、p<0.0001)、3.00g/日未満群も11%(7,006件)、HRは1.34(1.23~1.47、p<0.0001)であった。 非高血圧の人(イベント発生3,021件)では、4~5g/日の集団参照値群(同集団の27%が該当)と比べて、7.00g/日以上群における主要複合アウトカムリスクとの関連はみられなかった。同群でのイベント発生率は9%(6,271件)、HRは0.90(0.76~1.08、p=0.2547)であった。一方、3.00g/日未満群では有意なリスク増大がみられた。イベント発生率は11%(7,547例)、HRは1.26(1.10~1.45、p=0.0009)であった。【訂正のお知らせ】本文内の表記に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2016年6月8日)。

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左心室収縮能低下を伴う多枝病変、PCIかCABGか

 左心室の収縮機能低下を伴う多枝冠動脈病変について、ガイドラインは経皮的冠動脈インターベンション(PCI)よりも冠動脈バイパス術(CABG)を推奨しているが、両者を比較した無作為化試験はこれまで行われていない。今回、レジストリに登録された患者から傾向スコアを用いて一致させた患者を抽出し、両者を比較した結果がCirculation誌2016年5月31日号(オンライン版2016年5月5日号)に発表された。傾向スコアを用いてPCI群とCABG群を比較 American College of Cardiology Foundation(ACCF)/American Heart Association(AHA)の安定虚血性疾患に対するガイドラインでは、左室駆出率(LVEF)35%以下の患者の生存率の改善に対してCABGがクラスII bの推奨度で推奨されている一方で、PCIは推奨されておらず、再灌流療法の選択に関しては付随する臨床情報を基に判断することになっている。 本試験のデータは、ニューヨーク州の非連邦病院で登録が義務付けられているレジストリ[New York State Percutaneous Coronary Intervention Reporting System(PCIRS)とthe Cardiac Surgery Reporting System(CSRS)]から抽出した。2008~11年にLVEF≦35%で多枝冠動脈病変を有し、エベロリムス溶出ステント(EES)を使用したPCIもしくはCABGを受けた患者が対象となった。なお、以下に当てはまる患者は除外された:1)50%以上の左主冠動脈病変を有する患者(CABGを優先的に施行するため)、2)CABGもしくは心臓弁の手術を受けた患者(再度開心術を受ける可能性が低いため)、3)PCIもしくはCABG前、24時間以内に心筋梗塞を起こした患者(PCIを優先的に施行するため)、4)PCI施行時にEES以外のステントを使用した患者、5)過去1年以内に再灌流療法の既往がある患者、6)血行動態が不安定もしくは心原性ショックの患者。 傾向スコアを用いてマッチングさせたPCIを受けた患者(PCI群)とCABGを受けた患者(CABG群)、各1,063例を比較した。1次評価項目は長期フォローアップ中の全死亡。2次評価項目は心筋梗塞、脳卒中、および冠動脈に対する再灌流療法の施行。フォローアップ期間の中央値は2.9年であった。死亡率は同等、2次評価項目に有意差あり 短期間(30日以内)のフォローアップでは、両群の死亡率に差は認められなかった(HR:0.62、95% CI:0.31~1.24、p=0.17)が、PCI群はCABG群に比べて脳卒中のリスクが95%も低かった(0.1% vs. 1.8%、HR:0.05、95% CI:0.01~0.39、p=0.004)。長期間のフォローアップでも両群の死亡率は同等であった(HR:1.01、95% CI:0.81~1.28、p=0.91)。PCI群は、脳卒中の発生率が有意に低かったが(HR:0.57、95% CI:0.33~0.97、p=0.04)、心筋梗塞(HR:2.16、95% CI:1.42~3.28、p=0.0003)および冠動脈再灌流の発生率(HR:2.54、95% CI:1.88~3.44、p<0.0001)は有意に高かった。 著者らは、日本でも使用が始まったエベロリムス溶出ステントなどの新世代のステントを使用したPCIがCABGの代替オプションになりうると結論付けている。しかし、傾向スコアを用いても測定されない交絡因子の可能性が否定できないこと、冠動脈病変の複雑性を評価するSYNTAXスコアやCABGリスクを評価するSTS、EuroSCOREなどを用いていないことを本試験の欠点に挙げている。

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「研究」からプロの「ビジネス」への転換:ランダム化比較試験の現在(解説:後藤 信哉 氏)-542

 長らく臨床をしていると、日本にいても肺塞栓症などの経験はある。1980年代~90年代には循環器内科以外の内科の病棟管理もしていたが、一般の内科の救急入院症例に対して一般的に抗凝固療法が必要と感じたことはなかった。中心静脈カテールを内頸静脈から入れることが多かったが、内頸静脈アプローチが失敗した場合、下腿静脈アプローチとならざるを得ない場合もあった。後日、米国に友人を持つようになると、彼らにとっては下腿静脈からの留置カテーテルは血栓源として恐れられていることを知って、日米の差異に驚愕した。 本ランダム化比較試験では、肺炎、脳卒中、心不全などの内科疾患の入院例に6~14日の低分子ヘパリンは標準治療と考えられている。14日以内には低分子ヘパリン皮下注射、または抗Xa薬betrixaban、14日以降はbetrixabanなし、ありの比較となっている。14日以降の抗Xa薬の有無を比較する部分に主要な興味を置いた論文である。 日本では、内科疾患の入院時に予防的抗凝固療法を行う発想がない。安静にするだけで血栓ができる症例が、幸いにして少ない。理由の一部は、血栓性の高い活性化プロテインC抵抗性の血液凝固因子第V因子のLeiden型変異が、日本人にないことである。 本試験には、シンガポールなどのアジア地区からの症例登録もある。日本の参加がないのは標準治療と血栓イベントリスクが異なるため仕方ない。国際共同ランダム化比較試験といっても、その結果を適応できる地域に日本は含まれない。以前は、「日本人の血栓イベントリスクが欧米と同じと言えないかもしれない」ので日本が参加しない試験が多かったが、今は「日本人の血栓イベントリスクが欧米と同じでない」ことが事実として認識されている。日本人以外でも、登録症例における血栓イベントが想定より少なかったとみえて、試験の途中にてD-dimer陽性または75歳以上が登録基準に追加された。ランダム化比較試験の意味が、「標準治療を転換する手段」から「新薬の認可承認のためのチャレンジ」に転換している。統計手法も複雑化していて、筆者のような素人には理解できない。 かつては研究者の「研究」であったランダム化比較試験も、現在では薬剤開発のための高度な学術的「ビジネス」に転換しているように筆者にはみえる。誰にも理解できる単純な仮説検証研究が可能であった時代が懐かしい。

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認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4

第10回 血液 第11回 神経第12回 循環器 第13回 総合内科/救急(※正誤表) 日本内科学会の認定内科医試験を受験する先生方、必見です。出題基準ランクAの疾患を中心に各領域の予想問題を作成、出題意図と関連知識を解説していく“完全対策”DVDができました(全4巻)。講師は、若手育成に定評があり数々の資格試験を突破してきた、聖マリア病院の長門直先生。総合内科専門医試験を受ける先生方にとっては、基礎固め、総復習に最適。これを見れば、勉強するポイント、頻出のトピックがわかります!第10回 血液 治療のアップデートが頻繁な血液領域は、必ず出題されるところが決まっています。そこを落とさないようにすることが得点を上げるカギです。AMLとALLの分類・検査・治療の比較や血栓性血小板減少性紫斑病の5徴など、頻出のポイントをしっかり押さえて試験に臨んでください。第11回 神経神経領域では、似た症状を持つ疾患でも使う薬剤や検査が異なる場合がよくあり、出題のポイントになることが多いようです。また、試験に出題されそうな箇所をまとめた脳卒中治療ガイドライン2009と2015の改訂点についても、しっかり確認してください。第12回 循環器 各疾患の検査所見に関する出題が多い循環器領域。中でも、弁膜症、心筋症、狭心症、心筋梗塞などの代表的な心疾患については、しっかりと整理をしておく必要があります。必ず出題されるポイントを押さえて、試験に挑んでください。第13回 総合内科/救急 最終回の総合内科/救急は、出題数は少ないですが、とくに確率統計に関する計算は毎年のように出題されているので必ず得点できるようにしておきましょう。また、心肺蘇生ガイドライン2010から2015への変更点についてもよく確認しておいてください。

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129)塩分摂取の指導は1食当たりで【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師食事ではどんなことに、気を付けておられますか? 患者血圧が高いので、なるべく塩辛いものは食べないように気を付けています。 医師それはいいですね。「塩分をかなり控えている、少し控えている、あまり控えていない」の3段階ならどのくらいですか? 患者そうですね…かなりまではいかないかと思いますので、「少し控えているかな」という程度ですね。 医師そうですか。面白い調査結果があるんです。少し控えているという人の半数以上が、塩分の摂り過ぎだったそうです。 患者私もそうかも! 医師厚生労働省の『食事摂取基準(2015年版)』では、健康な人の1日の食塩摂取量の目標値は男性8g、女性7g未満とされています。高血圧の人は6g未満を目標とします。これを1食分にすると2g前後になりますね。 患者なるほど。1食=2gですね。成分表示をみて、気を付けます。●ポイント1日当たりではなく、1食当たりにすることで食塩摂取の目標値が明確となります参考資料厚生労働省『食事摂取基準(2015年版)』

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治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証

 低ビタミンDレベルは、統合失調症と関連しているが、ビタミンDレベルと疾患重症度や日光曝露量との関連はほとんどわかっていない。オランダ・High Care ClinicsのJan P A M Bogers氏らは、治療抵抗性の重度統合失調症患者とスタッフにおけるビタミンDレベルを比較し、ビタミンDレベルに対する日光曝露の影響を検討した。Nordic journal of psychiatry誌2016年5月号の報告。 ビタミンDレベルは、治療抵抗性統合失調症患者において4月に測定し、患者とスタッフにおいて6月の非常に晴れた春の日に測定した。4月と6月のビタミンDレベルを患者で比較し、6月のビタミンDレベルを患者とスタッフで比較した。日照の影響を検討するに当たり、患者が日中屋外で過ごした時間とビタミンD合成に推奨される最小時間との比較、および患者とスタッフにおける屋外で過ごした時間の比較を考慮した。 主な結果は以下のとおり。・患者は、ビタミンD欠乏症を高率で有し(79~90%)、スタッフと比較しビタミンDレベルが低かった(p<0.001)。皮膚の色素沈着とは独立していた。・患者において、皮膚への日光曝露時間は推奨時間よりかなり長く(p<0.001)、またスタッフよりも曝露時間が長いにもかかわらず(p=0.003)、ビタミンDレベルは正常値ではなかった。 結果を踏まえ、著者らは「治療抵抗性統合失調症患者のビタミンD欠乏症は、顕著であり、皮膚の色素沈着の違いや非活動性、病棟での屋内型ライフスタイルでは説明できない。さらに、患者の十分な日光曝露でも、ビタミンDレベルは改善しない」とし、「おそらくビタミンD欠乏症は、健康状態に関与しており、それが統合失調症の病態である。注目すべきは、著しく晴れた春の日光曝露でも、患者のビタミンD欠乏症を改善するには十分でなかった点である。そのため、統合失調症ではビタミンDレベルを測定し、適切に保つことが求められる」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症発症にビタミンDがどう関与しているのか EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか 治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C

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近隣の歩行環境が良いと肥満・糖尿病のリスクが低下/JAMA

 歩行環境に恵まれている都市近郊住民ほど過体重や肥満になる割合が低く、糖尿病の発症率も低いことが明らかにされた。カナダ・St Michael's HospitalのMaria I. Creatore氏らが2001~12年のオンタリオ州南部の都市住民データを分析した結果で、JAMA誌2016年5月24・31日号で発表した。肥満および糖尿病の罹患率はここ10年で大きく上昇しているが、その傾向に歯止めをかける環境的要因の役割については明らかにされていない。著者らは、都市近郊の歩行環境が良好な住区では不良な住区と比べて、過体重、肥満、糖尿病の増大が緩やかであるかどうかを調べた。歩行環境指標で住区を5分類、過体重・肥満・糖尿病の有病率を比較 検討は、オンタリオ州南部の都市成人(30~64歳)に関する地方都市ヘルスケア年報(300万人/年)と、隔年Canadian Community Health Survey(5,500人/サーベイ)のデータ(2001~12年)を時系列分析して行われた。 範囲0~100の標準化スコアで、スコア高値ほど近隣歩行環境が良好であることを示す指標を用いて、都市近隣住区を最低位(第1五分位)群~最高位(第5五分位)群に分類して評価した。 主要評価項目は、過体重、肥満、糖尿病の年間有病率で、年齢、性別、住区の所得状況、民族性で補正した。 分析には、8,777例の都市近隣住区が含まれた。歩行環境指標の中央値は16.8で、第1五分位群は10.1、第5五分位群は35.2であった。住民特性は類似していたが、貧困度は、歩行環境指標が高値群のほうが低値群と比べて高かった。歩行環境指標が高い住区の有病率は有意に低い 2001年において、過体重/肥満の補正後有病率は、第5五分位群が第1五分位群と比べて有意に低く(43.3% vs.53.5%、p<0.001)、また2001年から2012年の間に、有病率は歩行環境不良住区では有意な上昇がみられた(絶対変化:第1五分位群5.4%、第2五分位群6.7%、第3五分位群9.2%)。一方、歩行環境指標が高い住区では過体重/肥満の有病率の有意な変化はみられなかった(同:第4五分位群2.8%、第5五分位群2.1%)。 2001年において、糖尿病の補正後有病率は、第5五分位群がその他の群と比べて有意に低かった。また、同有病率は、第5五分位群では1,000人当たり2001年7.7から2012年に6.2へと低下し(絶対変化:-1.5、95%信頼区間[CI]:-2.6~-0.4)、第4五分位群でも同8.7から7.6へ低下していた(同:-1.1、-2.2~-0.05)。対照的に、歩行環境不良住区では有意な変化がみられなかった(同:第1五分位群-0.65、第2五分位群-0.5、第3五分位群-0.9)。 いずれの評価時点でも、第1五分位群と比べて第5五分位群のほうが、徒歩、自転車利用、公共交通機関の利用率が有意に高く、車の利用率は有意に低かった。ただし、歩行環境が良好な住区でも、2001年と比べて2011年における日々の歩行や自転車利用の頻度は、わずかな増大にとどまっている。余暇の身体活動度、食事、喫煙パターンについては、歩行環境による違いはみられず(各アウトカムの第1五分位vs.第5五分位のp>0.05)、安定的に推移していた。 なお今回の結果について著者は、生態学的要因や、より歩行環境に優れた都市住区デザインと身体活動度増大との関連についてのエビデンスは不足しており、さらなる研究を行い、観察された関連が普遍的なものかを評価する必要があると指摘している。

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米国における新規医療機器の承認状況/BMJ

 論文発表された新規医療機器の大半が、当局による認可または承認を受けており、その際「510(k)申請」が使用されている頻度が最も高く、多くが最初の臨床試験公表前に承認がされているという。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのHani J Marcus氏らが断面調査の結果、明らかにした。510(k)申請は、合法的に市販されている装置(predicate device)と実質的に同等であることを速やかに承認するためのシステムである。新規医療機器の承認過程は複数あるが、実際にどのように行われているのか、研究グループはバイオメディカル論文で発表された新規医療機器について調査を行った。BMJ誌オンライン版2016年5月20日号掲載の報告。試験報告発表とFDA認可・承認の状況を調査 調査は、2000年1月1日~2004年12月31日のPubMedを検索し、新規医療機器の臨床試験報告、または既報エビデンスがみられない論文を選定して行われた。医療機器の定義は、米国FDAに準拠したもの(instrument、apparatus、implement、machine、contrivance、implant、in vitro reagent)とし、それらまたは類似する医療機器を取り上げている論文、あるいは関連論文を適格とした。 主要評価項目は、装置の種類、ターゲット特性、臨床試験に関する学会または産業界の関与とした。その後、FDAのデータベースを検索し、認可・承認について調べた。発表論文の45%が認可・承認、うち79%が501(k)承認 5,574本のタイトルおよび要約についてスクリーニングを行い、適格性について493本のフルテキスト論文を評価、そのうち218の新規医療機器の臨床試験を包含した。 全体で、臨床試験で報告されていた医療機器のうち99/218(45%)が、最終的に当局の認可または承認を受けていた。 また、これら99の医療機器のうち、78(79%)が510(k)申請により承認を、17(17%)は高リスク医療機器の市販前承認を、また4(4%)がその他により承認されていた。 さらに、43(43%)の医療機器については、臨床試験の公表前に認可または承認がされていたという。

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SPRINT試験:frailな高齢者でも厳格な降圧が有用であることを示した点で画期的、ただし腎機能の悪化や有害事象も起こりやすい(解説:桑島 巖 氏)-540

 今回のSPRINTサブ解析では、75歳以上の高齢者高血圧では収縮期血圧140mmHg未満を目指す標準降圧群よりも、120mmHg未満の厳格降圧群のほうが生命予後の改善に良好であることを示した点で画期的である。サブ解析とはいえども対象数は2,636例と、解析には十分堪えられる症例数であり、信頼性は高い。 厳格降圧群で実際に達成された血圧値は、厳格群で123.4/62.0mmHgであることから、後期高齢者では収縮期血圧120~130mmHgが好ましく、拡張期血圧への配慮は不要であることを示唆している。かつて、拡張期血圧が80mmHg以下では死亡率が増加するというJ-カーブ仮説がまことしやかに流布していたことを考えると、今昔の感がある。 本試験の特徴は、frailtyについても詳細に検討しており、参加者の55%以上がless fit(頑強でない)であることや、歩行速度が遅い症例も28%前後含まれており、試験の対象のfrailtyが一般社会の後期高齢者の頻度とは差がないことが示されている。この点、頑強な高齢者ばかりを対象とした研究ではないといえるが、結果を読み解くうえで、frailな例や歩行速度の遅い症例は試験からの脱落率も高いことに注意が必要である。 全死亡を除いた1次エンドポイントは、厳格降圧群のほうが標準降圧群に比べて34%減少を示しており、NNTは27とかなり低い数値である。1次エンドポイントの中でも心不全抑制率が顕著である。しかし、もともとCKDを有していなかった症例において、厳格降圧群において腎機能悪化症例が、3倍以上増えたことは注意しておく必要がある。また、厳格降圧による有用性は心筋梗塞や脳梗塞といった一般的な心血管合併症ではなく、心不全というこれまでのトライアルではしばしば2次エンドポイントとされてきた疾患であることの解釈が難しい。おそらく、降圧利尿薬の有効性が発揮されているのであろう。 また、SPRINT試験では脳卒中既往例や糖尿病例は含まれていないことから、もともと心機能が低下している症例が高血圧という後負荷が軽減されたことで、心不全の抑制に有効であったとも解釈できる。 frailtyのサブ解析では、frailになるほどエンドポイント発症率が経過とともに高くなっていることが示されているが、興味あることにfrailな症例ほど厳格降圧の1次エンドポイント抑制効果が大きくなるという結果は、意外である。ただ、厳格治療群のほうが、低血圧、失神、電解質異常、急性腎障害が多いという結果は、後期高齢者ではただ積極的に血圧を下げるだけではなく、これらの有害事象が起こりやすいことを念頭に置きながら、きわめて慎重な対応が必要であることを示唆している。

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医療機器臨床試験の事前届出システム:日米どちらのシステムが良いのか?(解説:折笠 秀樹 氏)-541

 米国FDAは医療機器をリスクの程度に応じて、Class I~IIIの3種類に分類している。承認プロセスとしては、免除(Exemption)・届出510(k)・承認(Premarket approval;PMA)の3種類がある。Class I(低リスク)ではほとんどが免除であり、Class II(中リスク)ではほとんどが届出510(k)、そしてClass III(高リスク)は承認(PMA)を課せられることが多い。先発機器と実質的同等(substantially equivalent)であれば届出で済ませられるが、そうでなければ承認が必要となる。承認の場合には、安全性・有効性を証明する臨床データ、つまり臨床試験が必須となる。今回の調査結果によると(n=99)、免除が4%、届出が79%、そして承認が17%という結果であった。臨床試験を必要とする承認の件数も意外に多いという印象を持った。 ちなみに、日本ではClass I(聴診器など)は届出、Class II(MRIなど)は認証(第三者機関による)、Class III/IV(ペースメーカーなど)は承認が原則となっている。 また、本調査では論文は出版されるも、約半数しか市販されていないことがわかった。これは臨床試験の結果が思わしくなく、申請に至らなかったためかと思われる。また、認可の時期についてだが、ほぼ半数の医療機器で論文が出る前に認可されていた。これは、論文出版より前にデータは明らかになっているはずであり、それを添付して申請していたためかと思われる。 このように、あまり目新しい調査結果とは思わなかったが、医療機器臨床試験の事前届出システムに関する日米の違いが気になる。日本では治験として臨床試験を実施するなら届出は必要だが、治験外なら不要とされる。一方、米国ではsignificant riskの医療機器では臨床試験の事前届出(IDE)は必要だが、non-significant riskの医療機器では不要とされる。私は、米国のほうが自然のような気がする。人体に危険が及ぶ可能性の場合には、より慎重に進めるのが筋であり、治験か治験でないかで分けるのは不自然のように思った。

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その灰皿、使用禁止です!

その灰皿、使用禁止です! いまや全席禁煙が当たり前の飛行機。しかし、航空法などの法令で、現在でもトイレなどに灰皿を設置することが義務付けられています。 その理由は、機内のトイレで隠れて喫煙した乗客が、火が消えていない吸い殻をトイレ内のゴミ箱に捨てたことが原因とみられる機内火災により多数の死者が出た事故※があったからです。※1973年に発生したヴァリグ・ブラジル航空820便墜落事故あっても使ってはいけません!!航空機の灰皿設置は、火災を避けるための苦肉の策。喫煙許可を意味するものではありません!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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Vol. 4 No. 4 DAPTを検証した臨床試験の数々、それらが導いた「答え」とは?

中川 義久 氏天理よろづ相談所病院循環器内科はじめに冠動脈疾患の治療においては、冠動脈血行再建を達成することが本質的に重要である。その手段として経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)が主流を占めている。冠動脈血行再建においてバルーン拡張によるPCIの有効性が報告されてから30年以上になる。バルーン拡張のみでは再狭窄率や再閉塞率が高いことが問題であり、これを解決するために金属製ステント(baremetal stent:BMS)が導入された。BMSを用いたPCIは通常治療として受け入れられるようになったが、それでも長期的には再狭窄によって再血行再建を要することが多く克服すべき問題であった。薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)は、BMSに比較して再狭窄を減少させることが示されている。第1世代DESであるシロリムス溶出性ステント(sirolimus-eluting stent:SES)とパクリタキセル溶出性ステント(paclitaxel-eluting stent:PES)が2004年8月から本邦で保険償還が認可され、実臨床において使用可能となった。これにより冠動脈ステント留置後1年の再狭窄率を10%以下に低下させた。現在のPCIではDES留置が通常である。DESは再狭窄を強く抑制するものの、これが血管内皮の修復反応の遅延をきたし、血栓性閉塞(ステント血栓症)の可能性が高い時期が長期間にわたってつづくことが問題とされる。ステント血栓症の予防のために抗血小板薬の適切な投与が重要となっている。ステント血栓症の予防のためにアスピリンと、チエノピリジン系抗血小板薬の併用投与(dual anti-platelet therapy:DAPT)が主流となっているが、その継続すべき期間については明確な指針はない。第2世代DESが登場し、臨床成績が向上してステント血栓症は減少している。さらに、2015年末からは第3世代のDESも実臨床の現場に登場する。DAPTの期間を短縮しても安全性が保たれるという方向の報告がある一方で、DAPTの期間を延長したほうがよいとの報告もあり、議論がつづいている。DAPTを継続することは出血性合併症を増す危険性があり、血栓症予防と出血性合併症の両者のトレードオフで比較すべき問題である。ステント血栓症の予防のためにDAPTを継続すべき期間について明確な結論はない。DAPTを長期間継続することによる頭蓋内出血などの重大な出血性合併症は患者の不利益ともなり、DAPTの至適施行期間を明らかにすることは、DES留置後の患者にとって大切である。DAPT導入の背景現在は使用頻度が減少しているが、BMSの臨床試験が日本で始まったのは1990年(平成2年)であった。その当時、筆者は小倉記念病院に在籍し、その現場を体験した。当時はDAPTという概念はなく、抗血小板薬としてアスピリンを投与し、さらにワルファリンによる抗凝固療法を行っていた。そのうえ、PCI術後には数日間のヘパリンの持続点滴も加えていた。しかし3%前後という高いステント血栓症の発生率と出血性合併症に悩まされていた。この経験からも明らかなように、抗凝固療法を強化してもステント血栓症を予防できないことはみな痛感していた。チエノピリジン系薬剤とアスピリンによるDAPTをBMS留置後1か月間施行することでステント血栓症の発生を抑制することが示され、ステント留置後の標準治療となった1)。その当時はチエノピリジン系薬剤としてクロピドグレルは存在せずチクロピジンのみであった。STARS研究の結果1)をみると、アスピリン単独や、アスピリンとワルファリンによる抗血栓療法に比べて、DAPTによってステント植込み手技の安全性が高まることがわかる。このデータをもとに、現在のDES時代においてもステント術後のDAPT療法として継承されている。現在では、チエノピリジン系抗血小板薬としては、チクロピジンよりも副作用が少ないクロピドグレルが最も頻用されている。short DAPTとlong DAPTDAPT継続期間については12か月間を基準として、それよりも短い期間(3か月から6か月間)で十分とする意見をshort DAPT派、1年を超えてDAPTを継続したほうがよいという意見をlong DAPT派と総括され、両派による活発な議論がつづいている。しかし、第2世代のDESが普及しステント血栓症は減少し、DAPTの期間は短縮する方向での知見が増加している。抗凝固薬を必要とする患者における抗血小板療法については、DAPTを含む3剤の抗血栓薬は避けたほうがよいとのコンセンサスは得られつつあるが、明確な指針は未だ存在しない。明確な指針はない状況においても各担当医は実臨床の現場で方針を決定しなければならない。DES留置後のDAPT期間、short DAPTで十分か?日本循環器学会のガイドライン2, 3)では、2次予防における抗血小板療法として、禁忌がない患者に対するアスピリン(81~162mg)の永続的投与(レベルA)、DES留置の場合にはDAPTを少なくとも12か月間継続し、出血リスクが高くない患者やステント血栓症の高リスク患者に対する可能な限りの併用療法の継続(レベルB)が推奨されている。本邦でのデータとしてCREDO-Kyoto PCI/CABG Registry Cohort-2に登録されたDES(主としてシロリムス溶出性ステント)留置患者6,309例における4か月のランドマーク解析がある4)。4か月の時点でのチエノピリジン系抗血小板薬継続例と中止例でその後3年までの死亡、心筋梗塞、脳卒中の発症率に差はなく、出血性合併症の発症はチエノピリジン系抗血小板薬継続例で多いことが報告されている。これは、日本人におけるDES留置後の至適なDAPT施行期間は、現在の第2世代DESよりもステント血栓症の頻度が相対的に高かった第1世代DESの時代においてすら、4か月程度で十分である可能性を示唆しているもので貴重なデータである。第2世代DESが登場し、臨床成績が向上しステント血栓症は減少しており、DAPTの期間を短縮しても安全性が担保されるという方向の報告が多い。この至適DAPT期間を検討するために大規模なメタ解析の結果が報告された5)。無作為化試験を選択し、DAPT投与期間が12か月間である試験を標準として、12か月未満のshort DAPT試験と、12か月超のlong DAPT試験の比較を行っている。アウトカムは、心血管死亡・心筋梗塞・ステント血栓症・重大出血・全死因死亡である。10の無作為化試験から32,287例が解析されている。12か月の標準群と比較してshort DAPT群は、有意に重大出血を減少させた(オッズ比:0.58、95%CI:0.36-0.92、p=0.02)。虚血性または血栓性のアウトカムについて有意差はなかった。long DAPT群は、心筋梗塞とステント血栓症は有意に減少させたが、重大出血は有意な増大がみられた。また、全死亡の有意な増大もみられた(オッズ比:1.30、95%CI:1.02-1.66、p= 0.03)。この結果を要約すれば、short DAPTは、虚血性合併症を増大させることなく出血を減らし、ほとんどの患者においてshort DAPTで十分であることが示されたといえる。さらにDAPT期間についてARCTIC-Interruptionという無作為化比較試験の結果が興味深い6)。DESの留置後1年の間に虚血性または出血性イベントを経験しなかった患者において、1年以降のDAPT継続は1剤のみの抗血小板療法と比較し、虚血性イベントの抑制効果は示されず、重症または軽症出血のリスクの上昇が認められた。つまり、留置後1年間でイベントが起きなかった場合、その後のDAPT継続には有益性はなく、むしろ出血イベントのリスクが増大し有害であることが示されたことになる。この試験だけでなく、PRODIGY7)、DES LATE8)、EXCELLENT9)、RESET10)、OPTIMIZE11)などのshort DAPTとlong DAPTを比較した試験でも、長期間のDAPTは心血管イベントを減らすことはなく、出血性合併症を増加させるという結果が一貫性をもって示されている。本邦におけるshort DAPTを示唆する研究:STOPDAPT研究長期間のDAPT施行が抗血小板薬単独治療に比べて出血性合併症を増加させ、長期のDAPT施行をつづけても心血管イベントの発症抑制効果がないのであれば、DAPT施行期間はできるだけ短いほうが望ましいことは明確である。このためのエビデンス構築をめざして、本邦においてはSTOPDAPT研究が行われた。日本心血管インターベンション治療学会2015年学術集会(CVIT2015)においてNatsuakiらによって結果が発表された。この研究は、ステント血栓症の発生リスクが低い第2世代DESを代表するコバルトクロム合金のエベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)が留置された患者において、チエノピリジン投与期間を3か月に短縮可能と担当医が判断した連続症例を登録し、ステント留置後3か月の時点でチエノピリジン投与を中止し、ステント留置後12か月の心血管イベント、出血イベントの発生率を評価する研究である。冠動脈にCoCr-EESの留置を受けた3,580人のうち3か月でDAPT中止が可能と判断された患者1,525人が登録された。チエノピリジン投与は4か月までに94.2%で中止され、1年追跡率は99.6%であった。definiteのステント血栓症の発生は皆無であった。選択された患者においてではあるが、CoCr-EES留置後3か月でのDAPT中止の安全性が示唆されたSTOPDAPT研究の意義は大きい。DAPT期間は延長すべき? DAPT試験2014年の第87回米国心臓協会年次集会(AHA2014)でDAPT試験の結果が発表されるまでは、short DAPTの方向に意見は収束しつつあるように思われていた。つまり、DAPT期間を延長することにより出血性合併症の発症リスクは増加し、虚血性イベントの明確な抑制は認められない、というものである。1年間または6か月間のDAPTで十分であり、むしろ論点は3か月間などいっそう短いDAPT期間を模索する方向に推移していた。この方向性を逆転するような結果が「DAPT試験」として報告されたのである12)。DES後の患者で、DAPT期間12か月と30か月というlong DAPTを比較する無作為割り付け試験である。米国食品医薬品局(FDA)の要請により実施された多施設共同ランダム化比較試験であり、冠動脈ステントを製造・販売する企業など8社が資金を提供した大規模研究である。DES後の患者9,961例を対象に、DAPT期間の長短によるリスクとベネフィットが比較検討された。その結果、30か月のlong DAPT群でステント血栓症および主要有害複合エンドポイント(死亡、心筋梗塞、脳卒中)が有意に低く、出血性合併症はlong DAPT群で有意に高かった。long DAPTのベネフィットが報告されたDAPT試験ではあるが、このDAPT試験に内在する問題点についての指摘も多い。本試験のデザインは、DES植込み直後にDAPT期間12か月と30か月に割り付けたわけではなく、植込み当初の1年間のDAPT期間に出血を含めイベントなく経過した患者のみを対象としている。背景にいるDES植込み患者は22,866人おり、そのうちの44%にすぎない9,961人が無作為化試験に参加している。この44%の患者を選択する過程でバイアスが生じている可能性がある。この除外された半数を超える56%の患者に、本試験の結果を敷衍できるのかは不明である。また、この試験の結果では30か月DAPT施行による主要有害複合エンドポイントの抑制は、心筋梗塞イベントの抑制に依存している。心筋梗塞が増えれば死亡が増えることが自然に思えるが、心臓死・非心臓死ともにlong DAPT群において有意差はないが実数として多く発生している。本試験で報告されている心筋梗塞サイズは不明であるが、心筋梗塞イベントが臨床的にもつ意味合いについても考える必要がある。PEGASUS-TIMI 54研究もlong DAPTを支持する結果であった13)。これは、心筋梗塞後1年以上の長期にわたるDAPTが有用か否かを検証する試験で、アスピリン+チカグレロルとアスピリン単独の長期投与を比較した研究である。その結果、有効性はアスピリン+チカグレロル群で有意に優れていたが、安全性(大出血)は有意に高リスクであることが示された。short DAPTかlong DAPTかの問題について決着をつけるには、さらなる研究が必要と思われる。DAPT試験の結果が発表されたあとに、DAPT期間についてのメタ解析がいくつか報告されている。その代表がPalmeriniらによって報告されたものである14)。その論文の結論は明確にDAPT期間の長短を断じたものではなく、患者個別のベネフィットとリスクを考えることを薦めるものであることに注目したい。全患者に均一のDAPT期間を明示することは現実的には困難であり、リスク層別化を考えることが大切と思われる。出血リスクが低く心血管イベントの発生するリスクが極めて高い患者でDAPT期間の延長を考慮することが現実的であろう。文献1)Leon MB et al. A clinical trial comparing three antithrombotic-drug regimens after coronaryartery stenting. Stent Anticoagulation Restenosis Study Investigators. N Engl J Med 1998; 339: 1665-1671.2)日本循環器学会ほか. 安定冠動脈疾患における待機的PCIのガイドライン(2011年改訂版).3)日本循環器学会ほか. ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン(2013年改訂版).4)Tada T et al. Duration of dual antiplatelet therapy and long-term clinical outcome after coronary drug-eluting stent implantation: landmark analyses from the CREDO-Kyoto PCI/CABG Registry Cohort-2. Circ Cardiovasc Interv 2012; 5: 381-391.5)Navarese EP et al. BMJ 2015; 350: h1618.6)Collet JP et al. Dual-antiplatelet treatment beyond 1 year after drug-eluting stent implantation (ARCTICInterruption): a randomised trial. Lancet 2014; 384: 1577-1585.7)Valgimigli M et al. Randomized comparison of 6-versus 24-month clopidogrel therapy after balancing anti-intimal hyperplasia stent potency in all-comer patients undergoing percutaneous coronary intervention. Design and rationale for the PROlonging Dual-antiplatelet treatment after grading stent-induced Intimal hyperplasia study (PRODIGY). Am Heart J 2010; 160: 804-811.8)Lee CW et al. Optimal duration of dual Antiplatelet therapy after drug-eluting stent implantation: a randomized controlled trial. Circulation 2013; 129: 304-312.9)Gwon HC et al. Six-month versus 12-month dual antiplatelet therapy after implantation of drugeluting stents: the efficacy of Xience/Promus versus cypher to reduce late loss after stenting (EXCELLENT) randomized, multicenter study. Circulation 2012; 125: 505-513.10)Kim BK et al. A new strategy for discontinuation of dual antiplatelet therapy: the RESET trial (REal Safety and Efficacy of 3-month dual antiplatelet Therapy following Endeavor zotarolimus-eluting stent implantation). J Am Coll Cardiol 2012; 60: 1340-1348.11)Feres F et al. Three vs twelve months of dual antiplatelet therapy after zotarolimus-eluting stents: the OPTIMIZE randomized trial. JAMA 2013; 310: 2510-2522.12)Mauri L et al. For the DAPT study investigators: Twelve or 30 months of dual antiplatelet therapy after drug-eluting stents. N Engl J Med 2014; 371: 2155-2166.13)Bonaca MP et al. for the PEGASUS-TIMI 54 steering committee and investigators. Long-term use of ticagrelor in patients with prior myocardial infarction. N Engl J Med 2015; 372: 1791-1800.14)Palmerini T et al. Mortality in patients treated with extended duration dual antiplatelet therapy after drug-eluting stent implantation: a pairwise and Bayesian network meta-analysis of randomised trials. Lancet 2015; 385: 2371-2382.

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春生まれはアレルギーが多い【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第68回

春生まれはアレルギーが多い >FREEIMAGESより使用 「おひつじ座はアレルギーが多いので注意!」なんて星占いを見たら、何言ってんだよ、と思ってしまいますが、実はそれに似た医学論文が存在します。 Cervellin G, et al. Spring season birth is associated with higher emergency department admission for acute allergic reactions. Eur J Intern Med. 2016;28:97-101. 新たな生命が誕生する季節が、もし春だとしたら、その子供はいったいどういったアレルギープロファイルを有して成長するのか。そんな疑問を持った研究グループが出した1つの仮説がここにあります。紹介するのは、急性のアレルギー反応(蕁麻疹、血管浮腫、アナフィラキシーなど)を呈してイタリアの病院の救急部を受診した成人患者を連続登録し、解析した研究です。登録されたのは、588人の患者さん。男女比はおおよそ半々で、平均年齢は43±18歳、最年少が16歳、最高齢が96歳でした。そして、患者さんの誕生日を調べました。最も多かったのは春生まれ! そして最も少なかったのは秋生まれ! 春生まれの患者さんはどのくらいアレルギーのリスクが高いのかというと、秋生まれの患者さんと比べて、1.19倍! …うーん、微妙な結果でしょうか。そして、帰宅させられないほどの重度のアレルギー症状を呈して入院になるリスクは、秋生まれの患者さんと比べて1.86倍リスクが高いという結果でした。この結果を受けて、春生まれの人は、救急部を受診するほどのアレルギー反応を来すリスクがやや高いと結論付けられています。とはいえ、たとえば食物アレルギーは秋生まれに多いという報告もあり1)-3)、一概に生まれた季節によってアレルギーの頻度を断言するのは厳しいと思います。なにせ、赤ちゃんはいろいろな抗原に曝露されるわけですから。アレルギーの患者さんが多い外来の日にでも、患者さんの誕生月をチラリと見てみてはいかがでしょうか。参考文献1)Vassallo MF, et al. Ann Allergy Asthma Immunol. 2010;104:307-313.2)Keet CA, et al. Allergy. 2012 ;67:775-782.3)Kusunoki T, et al. Pediatr Int. 2013;55:7-10.インデックスページへ戻る

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難治性てんかん患者へのケトン食療法、その有効性は?

 てんかんは、子供および成人の両方に影響を及ぼす脳障害である。1920年代より、難治性てんかん患者のための治療オプションとして、ケトン食療法が確立されている。チリ・Universidad de las AmericasのF Araya-Quintanilla氏らは、難治性てんかん患者における、単独ケトン食療法と他の食事療法を比較した無作為化臨床試験のシステマティックレビューを用い検討を行った。Revista de neurologia誌2016年5月16日号の報告。 ケトン食療法の有効性は、難治性てんかん患者の発作エピソード減少により判断した。検索には、無作為化対照試験と比較臨床試験が含まれた。データベースには、Medline、LILACS、Central、CINAHLを使用した。 主な結果は以下のとおり。・6件が適格基準を満たしていた。・ケトン食療法は、中鎖脂肪酸食療法と比較し、発作頻度の減少に有効であるとの限られたエビデンスがあった。・古典的なケトン食療法(2.5:1)は、段階的ダイエット(3:1)と比較し、発作の減少に有効であるとの中程度のエビデンスがあった。・古典的なケトン食療法は、アトキンスダイエットと比較し、発作の減少に有効であるとの中程度のエビデンスがあった。・食事療法のタイプを適切に判断するには、治療のコスト、好み、安全性に基づく必要がある。関連医療ニュース 難治性てんかん重積状態への有用な対処法 日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か てんかん重積状態に対するアプローチは

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PM2.5やNOxの増加が冠動脈石灰化に関連/Lancet

 大都市圏におけるPM2.5や自動車排出ガスなど大気汚染物質濃度の増加は、冠動脈石灰化と関連しており、アテローム性動脈硬化症の進展を早めることを、米国・ワシントン大学のJoel D Kaufman氏らが明らかにした。環境大気汚染への長期曝露と、冠動脈石灰化の進行および頸動脈内膜中膜厚(IMT)の増加との関連を評価した、10年にわたる前向きコホート研究「MESA Air」の結果、報告した。PM2.5や自動車排出ガスによる大気汚染物質への長期曝露は心血管リスクと関連しているが、その背後にある心血管疾患の経過は不明であった。著者は、「心血管疾患予防という点で大気汚染の削減へ向けて世界規模での取り組みが必要である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年5月24日号掲載の報告。米国6大都市圏の約7,000人を10年間追跡 研究グループは、米国6大都市(ボルチモア、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨーク、セントポール、ウィンストン・セーレム)で実施されたMESA Air研究(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis and Air Pollution:アテローム性動脈硬化症と大気汚染の多民族研究)に登録された6,795例(45~84歳)を対象に、経時的にCTを用いて冠動脈石灰化を評価するとともに、超音波検査にて頸動脈IMTを測定した。CT撮影は、2002~05年がほぼ全例、2005~07年が一部、2010~2012年が半数、IMT測定はベースラインが全例、2010~12年は3,459例で実施された。 地域特異的な大気汚染物質濃度は、各地域での測定、政府機関のモニタリングデータおよび地理的予測因子を組み込んだモデルにより、1999~2012年までのPM2.5および窒素酸化物(NOx)濃度を推定した。PM2.5とNOxの濃度上昇と長期的曝露で冠動脈石灰化が進行 リスク因子または大気汚染物質曝露について補正前、冠動脈石灰化は24±58 Agaston単位/年(平均±標準偏差)、ITMは12±10μm/年まで増加した。2000~10年の大気汚染物質濃度平均値は、PM2.5が9.2~22.6μg/m3、NOxが7.2~139.2ppbであった。 冠動脈石灰化については、PM2.5濃度が5μg/m3増加するごとに4.1Agatston単位/年(95%信頼区間[CI]:1.4~6.8)、NOx濃度が40ppb増加するごとに4.8Agatsuton単位/年(同:0.9~8.7)増加し、冠動脈石灰化の進行が示された。 一方、大気汚染物質への曝露は頸動脈IMTの変化量とは関連していなかった。IMT変化量は、PM2.5濃度が5μg/m3高値で長期に曝露された場合に-0.9μm/年(95%CI:-3.0~1.3)、NOx濃度が40ppb増加の場合で0.2μm/年(95%CI:-1.9~2.4)と推定された。 なお、著者は、研究の限界として、頸動脈IMTが心血管疾患イベントを十分に予測するものではなく、大気汚染物質への曝露は戸外の濃度推定値に基づいており、数年にわたる追跡調査で個々の環境での曝露を推定するのは困難であることを挙げている。

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CKD患者の心血管リスク、減塩で低下する可能性/JAMA

 慢性腎臓病(CKD)患者では、尿中ナトリウム排泄量高値が心血管疾患(CVD)リスクの増加と関連していることを、米国・テュレーン大学のKatherine T. Mills氏らが、慢性腎不全コホート研究(Chronic Renal Insufficiency Cohort Study:CRIC研究)の結果、報告した。CKD患者は、一般住民と比較してCVDのリスクが増加していることが知られている。しかし、これまでは食事によるナトリウム摂取とCVDリスクとの関連について矛盾した結果が示されており、CKD患者でこの関連性は検討されていなかった。JAMA誌2016年5月24・31号掲載の報告。CKD患者約3,800例を10年間追跡 CRIC試験は、CKD患者の尿中ナトリウム排泄量とCVDイベントとの関連を評価する目的で、米国7施設において実施されている前向きコホート研究である。21~74歳の軽度~中等度CKD患者3,757例(平均年齢58歳、女性45%)が、2003年5月~2008年に登録された。研究は現在も進行中であり、本報告は2003年5月~2013年3月の追跡結果である。 ベースラインおよび最初の2年間に年1回、計3回の24時間蓄尿検査を行い、24時間尿中ナトリウム排泄累積平均値を算出し、性特異的な24時間尿中クレアチニン排泄平均値(男性1,569mg/24h、女性1,130mg/24h)で補正した。主要評価項目はCVD複合イベント(うっ血性心不全、脳卒中、心筋梗塞)とし、6ヵ月ごとに医療記録によって確認した。尿中ナトリウム排泄量とCVDリスクは有意に関連 追跡期間中央値6.8年において、計804例のCVD複合イベントが発生した(心不全575例、心筋梗塞305例、脳卒中148例)。補正ナトリウム排泄量の第1四分位群(<2,894mg/24h)で174例、第2四分位群(2,894~3,649mg/24h)で159例、第3四分位群(3,650~4,547mg/24h)で198例、第4四分位群(≧4,548mg/24h)で273例であった。また、累積発生率はそれぞれ18.4%、16.5%、20.6%および29.8%であった。 補正ナトリウム排泄量の第4四分位群と第1四分位群で各CVD複合イベント累積発生率を比較すると、心不全が23.2% vs.13.3%、心筋梗塞が10.9% vs.7.8%、脳卒中が6.4% vs.2.7%であった。多変量解析による第4四分位群の第1四分位群に対する調整ハザード比は、CVD複合イベントで1.36(95%信頼区間[CI]:1.09~1.70、p=0.007)、心不全で1.34(同:1.03~1.74、p=0.03)、脳卒中で1.81(同:1.08~3.02、p=0.02)であった。また、多変量で調整した制限3次スプライン回帰モデル解析で、ナトリウム排泄量とCVD複合イベントとの関連は、非線形ではなく(p=0.11)、線形(p<0.001)であることが認められた。 これらの関連は、降圧薬の使用やCVD既往歴等のCVDリスク因子、さらには総カロリー摂取量および収縮期血圧から独立していた。研究にはいくつかの限界があるものの、著者は「ナトリウム摂取量が多いCKD患者では、その摂取量を減らすことでCVDリスクを低下できる可能性が示唆される」と述べている。

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