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日本食は認知症予防によい:東北大

 日本食は、認知症発症の予防効果を有すると推測されているが、この課題を検討した報告はまだない。東北大学の遠又 靖丈氏らは、前向きコホート研究により、日本人高齢者を対象に、食事パターンと認知症発症との関連を検討した。The journals of gerontology誌オンライン版2016年6月29日号の報告。 自治体ベースのコホート研究(大崎コホート研究)に参加した、65歳以上の高齢者1万4,402人を5.7年間フォローアップしたデータを分析した。食物摂取頻度調査票を用いて、39の食品および飲料の消費に関する主成分分析を行い、食事を日本食パターン、動物性食品パターン、高乳製品パターンの3種類に分類した。認知症発症に関するデータは、公的介護保険データベースより収集した。 主な結果は以下のとおり。・7万1,043人年のフォローアップ中、認知症発症率は9.0%であった。・日本食パターンのスコアは、認知症発症リスクの低さと関連が認められた(最高四分位 vs.最低四分位;HR:0.80、95%CI:0.66~0.97、p=0.016)。・動物性食品パターンおよび高乳製品パターンでは、認知症発症との有意な関連は認められなかった。関連医療ニュース 日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは 認知症によいサプリメント、その効果は 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大

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入院中の心房細動発症、脳卒中と死亡リスクが増大

 入院中に心房細動を新規発症した患者の転帰は明らかにされておらず、同患者集団のマネジメントについて現行ガイドラインは特記していない。米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のDaniele Massera氏らは、入院中に心房細動を新規発症した患者の大規模コホートを対象に、死亡および院内発症脳卒中の発症率を検討した。その結果、入院患者における心房細動の新規発症が、脳卒中の院内発症率と死亡率の増加に独立して関連していることを示した。Europace誌オンライン版2016年5月20日号掲載の報告。 対象は、2005年4月20日~2011年12月31日に3次大学医療センターに入院した50歳以上の患者8万4,919例。患者を「心房細動を新規発症」「心房細動の既往あり」「心房細動なし」にカテゴリ化し、人口統計学的変数を比較した。一般化推定方程式(GEE)によるアウトカム比較には、傾向スコアマッチ解析を用いた。主要エンドポイントは30日および1年の全死亡、ならびに院内発症脳卒中だった。入院患者のうち1,749例(2.1%)が新規に心房細動を発症した。 主な結果は以下のとおり。・入院中に新規発症した心房細動患者の30日および1年の全死亡率は、心房細動のない患者よりも高かった(30日時点:OR 2.28、95%CI:1.72~3.02、p<0.0001;1年時点:RR 1.53、95%CI:1.36~1.73、p<0.0001)。また、心房細動の既往のある患者と比較したところ、30日死亡率は高かったが(OR 1.52、95%CI:1.06~2.17、p=0.02)、1年時点ではこの傾向は有意ではなくなった(RR 1.14、95%CI:0.98~1.34、p=0.09)。・新規発症の心房細動患者における院内発症脳卒中リスクは、心房細動のない患者よりも高かった(OR 4.53、95%CI:1.36~15.11、p=0.02)。・新規発症の心房細動患者において、CHA2DS2-VAScスコアは脳卒中の院内発症率と相関していた。

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進行全身性肥満細胞症、midostaurinが有効/NEJM

 すでに進行した全身性肥満細胞症に対する、新規開発薬midostaurin(PKC412)の有効性が、米国・スタンフォードがん研究所のJason Gotlib氏らによる国際多施設共同の第II相非盲検試験の結果、確認された。対象被験者には致死率の高い異型肥満細胞白血病の症例も含まれていた。進行全身性肥満細胞症は、予後不良で有効な治療選択肢がないまれな造血器腫瘍を伴う。midostaurinは、疾患発症の主因子であるKIT D816Vを阻害するマルチキナーゼ経口阻害薬である。NEJM誌2016年6月30日号掲載の報告。29医療施設で患者116例を登録、midostaurin 100mgを1日2回経口投与 試験は単群非盲検試験で2009年1月~2012年7月に、29の医療施設で患者116例を登録し、midostaurin 100mgを1日2回経口投与した。 116例のうち89例において、主要有効性集団の包含基準を満たす肥満細胞症の関連臓器障害が認められた(侵襲性全身性肥満細胞症16例、関連造血器腫瘍を有する全身性肥満細胞症57例、肥満細胞白血病16例)。 主要アウトカムは、最良総合効果(best overall response)であった。全生存期間中央値28.7ヵ月、無増悪生存期間14.1ヵ月 全奏効率(overall response)は、60%(95%信頼区間[CI]:49~70)であった。うち45%の患者で、少なくとも1種類の肥満細胞症の関連臓器障害の完全な消失として定義した、著効(major response)が認められた。 奏効率は、進行全身性肥満細胞症の病型の違いや、KITの異型、または既治療を問わず類似していた。 骨髄肥満細胞負荷、および血清トリプターゼ値の最良変化率の中央値は、それぞれ-59%、-58%であった。 全生存期間中央値は、28.7ヵ月であり、無増悪生存期間は14.1ヵ月であった。肥満細胞白血病を認めた16例の全生存期間は9.4ヵ月(95%CI:7.5~推定不能)であった。 全体で56%(65例)の患者で、毒性による投与量減量が行われたが、そのうち32%において、開始用量までの再増量を図ることができた。 頻度の高かった有害事象は悪心(79%)、嘔吐(66%)、下痢(54%)であったが、そのうち薬物関連と思われるGrade III/IVの事象はそれぞれ6%、6%、8%であった。また、新規発症または増悪したGrade III/IVの好中球減少24%、貧血41%、血小板減少29%が認められ、それら患者の多くで血球減少の既往があった。

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血圧と眼球後方の血行動態は関連している?

 高血圧症を合併する原発開放隅角緑内障(POAG)患者において、血圧は眼球後方の血行動態と関連しているのだろうか。セルビア・ベオグラード大学のIvan Marjanovic氏らは、外来患者を対象とした観察研究で、dipper型の高血圧症を有するPOAG患者では血圧と眼動脈の血管抵抗指数(resistivity index)が有意に関連しており、non-dipper型のPOAG患者と比較してdipper型で眼球後方の血行動態パラメータの低下がみられることを明らかにした。European Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年6月21日号の掲載報告。 研究グループは、眼科外来を受診したdipper型およびnon-dipper型の高血圧症を有するPOAGの連続症例を対象に、前向き横断的観察研究を行った。 24時間血圧測定、ドップラー法および脈拍眼圧(ocular pulse amplitude:OPA)測定を同じ日に行い、夜間の血圧が日中から10%以上減少している患者をdipper型、10%未満の患者をnon-dipper型とし、血圧と眼球後方(眼動脈、網膜中心動脈および短後毛様体動脈)の血行動態パラメータとの関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、計114例(dipper型78例、non-dipper型36例)であった。・non-dipper型よりdipper型で、拡張終期速度が有意に低く、比抵抗指数(resistivity index:RI)が有意に高かった(どちらもp<0.0001)。・dipper型では、眼動脈のRIが日中および夜間の収縮期血圧、ならびに日中平均動脈圧と有意に関連していた。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第30回

第30回:造影CT検査を適正に行うために監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 CT(Computed Tomography)検査は物体を透過したX線の量をデータとして集めてコンピュータ処理し、物体の断面画像を得る検査です。現在、多くの施設で実用化されている装置はマルチスライスCTと呼ばれ、短時間で広範囲を撮影することができるうえ、立体的な画像(3D画像)を容易に撮像できるようになり、今日の日常診療で欠かせない検査となっています1) 。 今回の記事では造影CT検査撮像の適応、造影剤の副作用などを中心に、適正な使用について今一度整理をしてみます。 以下、American Family Physician 2013年 9月1日号2) より造影CT検査を適切に行うためには造影剤の種類・リスク・禁忌・造影剤使用が適切な臨床状況を知っておくことが必要である。<製剤の種類と投与経路>最もよく使用される造影剤はバリウムやヨード製剤があり、投与経路は経口・直腸・静脈・くも膜下投与が挙げられる。経口製剤は一般的に腸の病変が疑われる場合や、腹部・骨盤CTで使用される。直腸投与は直腸穿孔が疑われるときに適応となる。静脈製剤は血管組織や腹部・骨盤の固形臓器の評価の際に適応となる。くも膜下でのヨード製剤投与は脊髄造影で、脊髄・基底槽病変や脳脊髄液漏出の評価に用いられる。<造影剤の副作用>ヨードの濃度で高浸透圧か低浸透圧に分類され、ほとんどの施設は非ヨード性製剤(低浸透圧製剤)を使用する。重篤な副反応にはアナフィラキシー症状が挙げられ、頻度は1/170,000とされている。非ヨード製剤のほうが副反応は少ないとされている。造影剤の副作用のリスクとしては、薬剤アレルギーと気管支喘息が挙げられる。また腎障害も造影剤使用の際には注意が必要である。腎機能のスクリーニングとして、検査1ヵ月前にクレアチニンが測定され、一般的にクレアチニン1.5~2.0mg/dL以上、または増加傾向のときに他の投与方法を検討しなければならない。造影剤による腎症を起こすリスク因子は、慢性腎臓病・糖尿病・心不全・高齢・貧血・左室機能障害・大量の造影剤使用が挙げられる。<造影剤使用の注意点>静注製剤が忌避を検討すべきときは、造影剤への過敏性の既往・妊娠・甲状腺疾患に対するヨード製剤使用・メトホルミン製剤使用・腎不全が挙げられる。過敏反応はその重症度を評価し、それが小さな反応であれば前投薬(ジフェンヒドラミンとコルチコステロイド)でリスクが減る可能性がある。【アナフィラキシー反応の既往がある患者】緊急時以外は造影剤使用を控えるべきである。【妊婦】造影剤が胎盤を通過するため注意が必要である。アメリカ放射線学会では妊婦に対する造影剤使用の推奨があり、母体と胎児のケアに影響がある情報が造影剤使用でないと得られず、撮像指示医が妊娠後まで待てないと判断した場合に推奨される。【ヨード製剤で加療中の甲状腺疾患の患者】ヨード系造影剤使用で甲状腺へのI-131の取り込みが減弱し、治療効果が落ちるので使用を避けるべきである。【メトホルミン使用の患者】腎機能を変化させメトホルミン排泄を障害する可能性があり、代謝性アシドーシスのリスクが上がる (頻度はまれだが、腎機能障害の患者で相対的に多い)。アメリカ放射線学会の推奨では、腎機能正常時・合併症がないときはメトホルミン使用継続・クレアチニンの測定不要で、それ以外ではメトホルミン内服制限・クレアチニン測定が推奨される。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 日本放射線技術学会. CT検査. http://www.jsrt.or.jp/data/citizen/housya/ct-01/ (2016.6.30参照). 2) James V,et al. Am Fam Phisician.2013;88(5):312-316

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Dr.平島のフィジカル教育回診

第4回 もっと頸静脈診察を極めよう!今回は、前回に引き続き、頸静脈診察にさらに深くアプローチしていきます。第4回では、さまざまな症例を振り返りながら、実臨床では、頸静脈がどのように動くのか、心音はどのように聴こえるのかなどを平島部長のコンパクトなレクチャーで学習していきます。各項目として、回診編(1)では、内頸静脈診察のまとめを振り返りつつ、傍胸骨拍動、心雑音のフィジカル回診編(2)では、症例を基に腹部圧迫試験の手順とその診断回診編(3)では、外頸静脈からCVPの上昇を診察するテクニックを学んでいきます。視聴後、すぐ臨床で役立つ知識を、目いっぱい詰め込んでお届けするフィジカル教育回診。回診スタートです。

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統合失調症患者の入院、1日の気温差が影響

 気候変動の重要な指標である気温の日較差(DTR)は、健康に対する気温変動性の影響を評価するために使用されることが増えている。しかし、統合失調症に対するDTRの影響は、あまりわかっていない。中国・安徽医科大学のDesheng Zhao氏らは、DTRと統合失調症の入院との関連、さらに患者特性や試験期間によりこれらの関連が変化するかを検討した。The Science of the total environment誌オンライン版2016年6月16日号の報告。 2005~14年の中国・合肥市の毎日のDTRと統合失調症のデータを、長期的および季節的傾向、平均気温、相対湿度、その他の交絡因子で調整した後、ポアソン一般化線形回帰と分散型ラグ非線形モデル(DLNM)を組み合わせて分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者において、非常に大きいDTRによる急性の悪影響が観察された。非常に高いDTR後には、統合失調症の1日の入院率が2.7%増加した(95%CI:1.007~1.047、95パーセンタイル vs.50パーセンタイル)。・大きなDTR曝露による統合失調症発症リスクは、最初の5年間(2005~09年)から次の5年間(2010~14年)にかけて増加した。・15~29歳および50~64歳、男性、春または秋生まれ、既婚の統合失調症患者は、DTRの影響に対し、とくに脆弱であると考えられる。しかし、中程度に大きいDTR(75パーセンタイル)と統合失調症との間に有意な関連は認められなかった。・本研究では、非常に大きいDTRは、中国・合肥市の統合失調症患者の入院における潜在的なトリガーであることが示唆された。関連医療ニュース 気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加 精神科再入院を減少させるポイントとは 統合失調症の再入院や救急受診を減らすには

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wide QRS頻拍への対応、プロカインアミド vs. アミオダロン

 血行動態が保たれた心室頻拍の患者に対してはプロカインアミドとアミオダロンの静脈注射が選択肢となるが、どちらを使用するかについてはガイドラインでさえも明示していない。Mercedes Ortiz氏らは、血行動態の保たれたQRS幅が広い頻拍(心室頻拍の可能性が高い)に対するプロカインアミドおよびアミオダロンの有効性と安全性を評価するために、多施設共同無作為化非盲検試験を実施した。スペインからの報告で、European Heart Journal誌オンライン版2016年6月28日号に掲載された。74例のregular wide QRS頻拍の患者を無作為化 以下の基準を満たす74例が試験の対象となった: QRS幅が120ms以上、120拍/分以上の規則正しい頻拍、血行動態が保たれている、収縮期血圧が90mmHg以上、安静時の息切れや胸痛がない、末梢の循環不全の症状を伴わない。 試験期間は40分間で、プロカインアミド(10mg/kg)もしくはアミオダロン(5mg/kg)を20分間かけて静注し、さらに20分間で効果と安全性を検討した。試験終了後24時間、患者を観察した。 主要評価項目は重大な心臓に関する副作用の発生。副次評価項目は両薬剤の頻拍の急性停止に対する有効性と全観察期間の副作用の発生。プロカインアミド群、心関連副作用が少なく急性停止にもより有効 分析の対象となった62例のうち(12例は除外)、15例(24%)に重大な心臓に関する副作用が発生し、プロカインアミド群(33例中3例、9%)がアミオダロン群(29例中12例、41%)と比べて有意に少なかった(オッズ比[OR]:0.1、95%CI:0.03~0.6、p=0.006)。深刻な血圧の低下のために電気的除細動を必要としたというのが、最も多い心臓に関する副作用であった。40分以内の頻拍の停止はプロカインアミド群(67%)がアミオダロン群(38%)より有意に多かった(OR:3.3、95%CI:1.2~9.3、p=0.026)。構造的心疾患を有する49例でも、プロカインアミド群で心臓に関する副作用は少なかった(11% vs.43%、95%CI:0.04~0.73、p=0.017)。 報告者らは、プロカインアミドの静注は40分以内の急性停止でアミオダロン群より重大な心関連副作用が少なく、有効性も高かったと結論付けている。患者の登録がうまく進まず、26施設で6年かけて実施したが、最終的には登録が遅れ試験を中止し、解析を行ったとしている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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重症外傷患者への即時全身CTは有用か/Lancet

 重症外傷患者に対する即時の全身CTスキャン診断は、標準放射線精密検査を行った場合と比較して、院内死亡の低下には結び付かないことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのJoanne C Sierink氏らによる無作為化試験の結果、示された。先行研究において、外傷患者の初期評価における、全身CTスキャンの生存へのベネフィットが示唆されていた。ただし、レベル1のエビデンス報告はなかった。Lancet誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。標準精密検査との比較で院内死亡の差を評価 検討は、オランダの4病院とスイスの1病院で行われた。被験者は、18歳以上、易感染性バイタルパラメーターを有し、臨床的に生命の危険が伴うまたは重症の外傷患者であった。被験者を、即時全身CTスキャンを行う群と標準精密検査を行う群(従来画像診断のうえで選択的CTスキャンを施行)に、1対1の割合でALEA法を用いて無作為に割り付けた。割り付けについて医師も患者もマスキングはされなかった。 主要エンドポイントは、院内死亡率で、intention-to-treat集団での解析、およびサブグループ解析として多発性外傷患者群と外傷性脳損傷(TBI)群について分析した。死亡率の差はχ2検定で評価した。有意差なし、サブグループの多発性外傷群やTBI群の解析でも 2011年4月22日~2014年1月1日の間に、5,475例が試験適格の評価を受け、1,403例が無作為化を受けた(即時全身CTスキャン群702例、標準精密検査群701例)。 主要解析には、即時全身CTスキャン群541例、標準精密検査群542例が組み込まれた。解析の結果、院内死亡は、即時全身CTスキャン群86例(16%)、標準精密検査群85例(16%)で群間差はみられなかった(p=0.92)。 サブグループ解析の結果も同様だった。多発性外傷患者群(解析対象はそれぞれ362例、331例)については、81例(22%) vs.82例(25%)で有意差はみられず(p=0.46)、TBI群(178例、151例)についても、68例(38%) vs.66例(44%)で有意差はみられなかった(p=0.31)。 重篤有害事象は、即時全身CTスキャン群3例(1%)、標準精密検査群1例(<1%)の報告であった(p=0.37)。そのほかに無作為化後に除外された被験者1例でも報告されている。死亡は全体で5例であった。 著者は、「即時全身CTスキャン診断を受けた患者の院内死亡は、標準放射線精密検査を受けた患者と比較して抑制されない」と結論し、「放射線照射量の増大を考慮し、さらなる検討は患者を絞り込んで、即時全身CTによるベネフィットがあるかを調べるべきであろう」とまとめている。

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FDAが生体吸収性ステント承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2016年7月5日、冠動脈疾患治療に対する初の完全生体吸収性ステントを承認した。Abbott Vascular社のAbsorb GT1生体吸収性スキャフォールドシステム(BVS)は、瘢痕組織の成長抑制のためにエベロリムスを溶出し、約3年間で徐々に体内に吸収される。 Absorb GT1 BVSは、poly(L-lactide)と呼ばれる生体分解性ポリマーで構成される。これは縫合糸など生体吸収性の医療機器に使用される材料である。ステントが不要になると、デバイスは生体に吸収され、動脈内の異物としての存在は徐々に消えていく。吸収後は、心臓専門医の識別のために、留置場所の動脈壁に4つの非常に小さなプラチナマーカーだけが残る。 FDAはAbsorb GT1 BVSの承認に当たり、薬剤溶出金属ステントとの主要心臓有害イベント発生率を比較した2,008例の無作為化試験のデータを評価した。1年後の主要心臓有害事象発生率は、Absorb GT1 BVS群で7.8%であり、対照群(6.1%)と臨床的な同等性を示した。また、1年後のデバイス内の血栓形成率は、Absorb GT1 BVS群で1.54%、対照群では0.74%であった。 Absorb GT1 BVSの禁忌は、エベロリムスまたはpoly(L-lactide)、poly(D、L-lactide)、プラチナなどのデバイス材料に過敏症またはアレルギーを有する患者。また、血管形成術の対象ではない患者、造影剤過敏症患者、アスピリンと他の抗血小板薬の長期併用療法が実施できない患者にも禁忌である。FDAのプレスリリースはこちら

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わかる統計教室 第3回 理解しておきたい検定 セクション13

インデックスページへ戻る第3回 理解しておきたい検定セクション13 カイ2乗検定セクション1 セクション2 セクション3 セクション4 セクション5セクション6 セクション7 セクション8 セクション9 セクション10セクション11 セクション12これまでt検定について学習しました。セクション13では、臨床統計ではおなじみのカイ2乗検定を学びます。■カイ2乗検定を学ぶ今まで学習してきたt検定は、数量データを扱うときの検定方法でしたね。これから学習するカイ2乗検定は、標本調査のクロス集計表を用いて、母集団における2項目間の関連性があるかないかを調べる方法です。表38と39を例にみてみましょう。表38 所得層と支持政党表39 所得層と支持政党のクロス集計高所得層はJ政党、中間所得層はM政党、低所得層はK政党の割合が他政党より高く、両者に関連性があるように思われますが、所得階層と支持政党の関係をカイ2乗検定で検証してみましょう。■カイ2乗検定の検定手順を学ぶカイ2乗検定の検定手順を下記に示します。1)仮説を立てる。帰無仮説所得階層と支持政党とは関連性がない。 クロス集計表の実測度数と期待度数は等しい。対立仮説所得階層と支持政党とは関連性がある。2)調査データについて、クロス集計を行う。3)仮説検定の公式を用い、実測度数、期待度数、カイ2乗値、棄却限界値、p値を算出する。4)有意差判定方法1 カイ2乗値と棄却限界値を比較カイ2乗値>棄却限界値 対立仮説を採択所得階層と支持政党とは関連性があるといえるカイ2乗値≦棄却限界値 対立仮説を採択しない所得階層と支持政党とは関連性があるといえない方法2 p値と有意点を比較(よく用いられる有意点は0.05 ) p値<0.05 対立仮説を採択所得階層と支持政党とは関連性があるといえるp値≧0.05 対立仮説を採択しない所得階層と支持政党とは関連性があるとはいえない■カイ2乗検定の計算方法表40のようなクロス集計表の件数(度数)を「実測度数」といいます。表40 実測度数表40のセルごとに、縦計×横計÷全数で求めた値を「期待度数」(表41)といいます。期待度数の横%は、どの行も同じになります。すなわち、期待度数で作られるクロス集計では、所得階層と支持政党の関連性がないことになります。表41 期待度数(縦計×横計÷全数)実測度数と期待度数の一致度を、表42のように調べていきます。表42 一致度の算出この合計をカイ2乗値といいます。自由度(項目1のカテゴリー数-1)×(項目2のカテゴリー数-1)=2×2=4棄却限界値、p値はExcelなどで求められる。棄却限界値 =CHIINV(0.05、自由度) = CHIINV(0.05、4) → 9.49p値 =CHIDIST(カイ2乗値、自由度) = CHIDIST(12.21、4)→ 0.0159カイ2乗値>9.49 or p値=0.0159<0.05所得階層と支持政党とは関連性があるといえます。■今回のポイント1)標本調査のクロス集計表を用いて、母集団における2項目間の関連性があるかないかを調べる方法がカイ2乗検定!2)実測度数が期待度数に近い値であれば関連性が弱く、かけ離れていれば関連性が強いと判断できる!インデックスページへ戻る

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日本のTAVIリアルワールドを示す「OCEAN-TAVIレジストリ」

Investigators Interview日本のTAVIリアルワールドを示す「OCEAN-TAVIレジストリ」TAVIは、デバイスの進化、知見の集積、技術の向上により大きく発展している。日本でも2013年に保険償還され現在その施行数は増加している。今回は、日本で初めてTAVIのリアルワールドの実態を示した「OCEAN-TAVIレジストリ」について、同レジストリのLead principal investigatorであり日本初のTAVI指導医である慶應義塾大学 循環器内科 林田健太郎氏に研究の背景とその結果について聞いた。講師紹介

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抗うつ薬治療患者に対するベンゾジアゼピン投与の安全性は:藤田保健衛生大

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、抗うつ薬治療うつ病患者におけるZ薬補助療法の有効性や忍容性に関する包括的なメタアナリシスを行った。European archives of psychiatry and clinical neuroscience誌オンライン版2016年6月18日号の報告。 著者らは、うつ病患者におけるZ薬の無作為化プラセボ/抗うつ薬単独対照試験を抽出した。有効性と安全性の主要評価項目は、それぞれ寛解率と全原因による中止とした。副次評価項目は、反応率、HAMD合計スコアの改善、無効および有害事象による中止、個々の有害事象とした。リスク比(RR)、NNT/NNH、95%CI、標準化平均差(SMD)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・6件が抽出された。 SSRI+ベンラファキシン(平均期間:10.5週、平均年齢:44.4±11.8歳):2,089例 エスゾピクロン+抗うつ薬:642例 プラセボ+抗うつ薬:930例 抗うつ薬単独:112例 ゾルピデム+抗うつ薬:405例・寛解率について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬よりも優れていた(RR:0.85、NNT:10)。・HAMDスコアの改善について、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独よりも優れていたものの(SMD:-0.23)、反応率、無効による中止率に有意な群間差はみられなかった。・全原因による中止率に群間差はみられなかった。・有害事象による中止率に群間差はみられなかったが、Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、1件以上の有害事象発生(RR:1.09、NNH:20)、めまい(RR:1.76、NNH:25)の発生率の高さとの関連が認められた。 著者らは「Z薬+抗うつ薬は、プラセボ+抗うつ薬、抗うつ薬単独と比較して、うつ病治療の有効性の改善が期待できるが、有害事象、とくにめまいへの密なモニタリングが必要である」としている。関連医療ニュース 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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新規医療機器の承認と安全性をめぐる議論、問題の本質とは/BMJ

 欧州連合(EU)で先に承認された医療機器は、米国で先に承認された医療機器と比べて、市販後の安全性に関する警告およびリコールの割合が高いことが、ハーバード大学リベラルアーツ学部のThomas J Hwang氏らによる検討の結果、示された。EUでは、医療機器の承認は民間の認証機関によって行われ、性能基準を満たし安全と見なされれば、同機関が有効性のエビデンスを求めることはほとんどない。そのためハイリスク医療機器についても、米国では食品医薬品局(FDA)が前向き臨床試験を求めるが、EUでは速やかに承認される。そうした中で、厳正な臨床試験が行われずに承認された埋設医療機器の安全性をめぐる議論が巻き起こったのを契機に、EUと米国で規制見直しを求める声が高まっているという。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。EU先行承認 vs.米国先行承認について調査 研究グループは、EUで先行して導入された高性能医療機器の安全性警告とリコール、主な試験アウトカムの公表およびその後の米国での承認について調べるコホート試験を行った。 対象としたのは、2005~10年の間にCEマーキング(Conformite Europeenne marking)の認証を受けEUで承認された心血管系、整形外科系および神経学系の新規医療機器。公的および民間のデータベースを2016年1月時点で検索して、承認についてのプレスリリースおよび発表状況を調べ、またFDAと欧州規制当局のデータベースで米国の承認および安全性警告とリコール状況を調べた。Medline、Embase、Web of Scienceでピアレビューについても調べた。 試験サンプル医療機器の新規性を“重大革新”と“転用拡大”に分類し、機器およびあらゆる安全性警告および回収に関する記述データを抽出。線形回帰モデルを用いて、因子と、EUと米国の承認の違いとの関連を調べた。また、Cox比例ハザードモデルを用いて、因子と安全性警告、リコールとの関連、および重大革新に分類された医療機器の試験アウトカム発表との関連を調べた。 モデルは、時間、治療区分、規制の経路、スポンサー会社の規模、EUでの先行承認、EUでのみ承認について調整を行った。承認後5年で試験結果が入手できるのは全体で37% 対象期間中、全体で309個の新規医療機器がCEマーキングの認定を受けていた。79%が心血管系で、整形外科系12%、神経学系9%であった。4分の1(75個、24%)が“重大革新”の医療機器で、多く(56%)が大会社によって開発されたものだった。 309個のうち206個(67%)が、米国およびEUの両者で承認されたものであったが、うち63%(129/206個)が、EUで先に承認されたものだった。これらEU先行承認医療機器について、米国先行承認医療機器と比較した安全性警告およびリコールに関する補正後ハザード比(HR)は、2.9(95%信頼区間[CI]:1.4~6.2、p=0.005)であった。 重要試験の結果が発表されていた割合は、重大革新に分類される医療機器でも49%(37/75個)であった。また、全体の承認後5年の発表率は37%であった。 著者は、「試験発表率の低さは、より透明性の高い規制を求めていることを意味するものと受け止めるべき。患者および臨床医は、治療方針を決めるための情報を求めている」と指摘している。

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スタチンを中断する患者、7割以上が再開/BMJ

 スタチン治療患者の中断率および再開率を調べた結果、1次予防目的での服用開始患者の中断率は47%、うち再開率は72%であり、2次予防患者ではそれぞれ41%、75%であったという。英国・パーク大学のYana Vinogradova氏らが、同国プライマリケア・データベースを用いた前向きオープンコホート試験の結果、報告した。スタチン治療については先行試験で、中断率が高く、アドヒアランスが低いことが示されている。また傾向として、若年層または高年齢層、女性、マイノリティ、喫煙者、BMI低値、非高血圧または非糖尿病の患者でアドヒアランスが低いことが示されていた。しかし、大半の試験が一般市民の代表を対象としたものではなく、試験デザイン、曝露やアウトカムの定義がまちまちであった。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。英国プライマリケア・データベースで、中断率、再開率および患者特性を調査 研究グループが活用したのは、英国のClinical Practice Research Datalinkで、664人の一般医(GP)が関与していた。2014年10月時点でデータを抽出し、スタチン治療の中断率および再開率を調べ、それぞれの患者の特性を調べた。 対象被験者は、2002年1月~2013年9月の間にスタチン治療を開始した25~84歳。研究グループは、被験者を1次予防群と、2次予防群(心血管疾患の診断歴のある患者)の2群に分類した。試験登録前の12ヵ月間にスタチン処方を受けていた患者は除外した。 主要アウトカムは、スタチン治療中断率(最終処方日と推定される日から90日の間がある)、および中断者における再開率(再開の定義は、中断以降の試験終了までのあらゆる処方)とした。中断-再開の詳細な患者傾向が判明 1次予防群は43万1,023例。追跡期間中央値137週において、中断率は47%(20万4,622例)であり、うち再開率は72%(14万7,305例)であった。2次予防群は13万9,314例。追跡期間中央値182週において、中断率は41%(5万7,791例)であり、うち再開率は75%(4万3,211例)であった。 患者特性を調べた結果、若年層(50歳以下)、高年齢層(75歳以上)、女性、慢性肝疾患の患者は、中断率が高く、再開率が低い傾向が認められた。一方で、マイノリティ、現在喫煙、1型糖尿病の患者は、中断率は高いが再開率も高い傾向がみられた。一方で、高血圧、2型糖尿病の患者は、中断率が低く、たとえ中断しても再開する割合が高い傾向が認められた。 これらの結果は、1次予防群と2次予防群でほとんど変わらなかった。 著者は、「スタチン使用者のうち中断する人は多いが、そのほとんどで再開がみられた。“中断”が想定される大多数の患者にとって、スタチン治療の中断は、幅広く存在する低率アドヒアランス問題の一部にすぎないのだろう」と述べ、「どの患者が中断群または中断-再開群となるかを識別することは、患者および医師にとってポジティブな意味があり、さらなる検討領域であることが示唆される」とまとめている。

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糖尿病薬の心血管アウトカム試験をどう読むか?ADAハイライトより

 ノボノルディスクファーマ株式会社は6月27日に都内にて2016年米国糖尿病学会(ADA)ハイライトセミナーを開催し、関西電力病院総長/関西電力医学研究所所長の清野 裕氏が「糖尿病治療の流れと最適な治療薬の選択を考える」をテーマに講演した。ADA 2016でとくに注目を集めたトピックとして、「最適な2型糖尿病の管理を目指して新しい糖尿病治療薬をどのように使うか」「糖尿病治療薬の心血管系への影響(大規模心血管アウトカム試験の結果から)」が紹介され、それらを中心に同氏が解説した。個々の状態と病態に合わせた目標設定と治療法選択を 糖尿病治療においては血糖値の低下だけを目指して、低血糖が発生したり、体重が増加したりすることは好ましくないため、「血糖値の改善」「低血糖発現の抑制」「体重の維持または減量」を最終目標とすることが重要であることのことだ。 そして、欧米で第1選択薬となっているメトホルミンへの追加投与として、リラグルチドとグリメピリドを比較した臨床試験の結果を基に、GLP-1受容体作動薬の追加は前述の目標達成に有用であることが説明された。欧米における糖尿病は肥満型が多いため、SU薬の効果が出にくい、という側面があるものの、日本でもGLP-1受容体作動薬の使用について再評価する必要があるのではとの考えが示された。またADAおよび欧州糖尿病学会(EASD)においても患者中心のアプローチをより重要視する傾向になってきており、年齢、罹患期間、生活環境など個々の状態と病態に合わせた目標と治療法選択が必要であることを清野氏は強調した。糖尿病治療薬の心血管系への影響をどう考えるか? これまでに発表された糖尿病薬の心血管アウトカム試験はDPP-4阻害薬を対象としたものが3件、GLP-1受容体作動薬を対象としたものが1件あったが、いずれもプラセボと比較して非劣性という結果であった。しかし、昨年発表された、SGLT2阻害薬エンパグリフロジンのEMPA-REG OUTCOME試験で初めて優越性が示された。それに続き、今回発表されたGLP-1受容体作動薬リラグルチドを用いたLEADER試験でも優越性が認められた。 LEADER試験の主な結果としては、プライマリエンドポイントである心血管死、非致死性心筋梗塞または非致死性脳卒中のいずれかが発現するまでの時間に関して、プラセボ群に対しリラグルチド群において、13%の有意なリスク低下が示された。また、全死亡については15%の有意な低下がみられ、心血管死単独では22%の有意なリスク低下が認められた。顕性アルブミン尿、血清クレアチン倍加、末期腎不全、腎死亡のいずれかの腎障害が発生するリスクについても22%の有意な低下が認められ、部分集団解析では、eGFR60未満の腎機能低下群でリラグルチドによる心血管イベントリスクの有意な抑制が認められた。優越性が認められた2つの試験結果の違いとは? プラセボ群に比較して心血管アウトカム抑制の優越性が認められたEMPA-REG OUTCOME試験とLEADER試験だが、清野氏によると、「これら2つの試験では心血管イベントの抑制の仕方が異なる」とのことだ。 両試験を比較すると、イベント発生の傾向に差が認められるようになるのは試験開始後3ヵ月付近である。EMPA-REG OUTCOME試験では、3ヵ月頃からプラセボ群とイベント発生数に顕著な差がみられるようになる。これはエンパグリフロジンに対して著しい反応性を示す患者が存在するためではないかと清野氏はみている。一方でLEADER試験では、1.5年ころから少しずつ両群に差が開いてきている。これはリラグルチドの心血管系への効果が少しずつ現れているためではないかと説明した。 さらに、個別のイベント発生に注目すると、大きな違いがみられる。心血管死については、リラグルチドでも有意な抑制が示されたが、エンパグリフロジンではより顕著な差がみられる。また、非致死性心筋梗塞や非致死性脳卒中についても傾向が異なっており、とくに非致死性脳卒中については、エンパグリフロジンはプラセボ群よりむしろ増加する傾向が示されていることを指摘した。 心不全による入院や心血管死がエンパグリフロジンにより著しい抑制が認められたのは、エンパグリフロジンが血行動態に対して好影響を与えているためではないかとの見方が示された。一方でリラグルチドに関しては、動脈硬化に対して抑制的に働いたのでは、と考えることができ、これら2つの試験におけるイベントの抑制の期間による発現の差、個別のイベント発生率の差は、それぞれの薬剤が異なる作用機序により心血管イベントを抑制しているからでは、との推論が展開された。 最後に、「DPP-4阻害薬の心血管アウトカム試験はすべて非劣性であったが、LEDEAR試験で優越性が示されたのはGLP-1受容体作動薬の作用の強さによるものなのか」との会場からの質問に対し清野氏は、血中の活性型換算からそれも1つの理由である可能性があるが、試験デザインの影響もあることを説明した。これらの試験は心血管イベント既往のある重症度の高い患者を対象としており、これらの条件で優越性を示すことは難しいと考えられ、より軽症患者を対象により長期の試験を行えば優越性が示される可能性もあるのでは、との見解を示した。

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ATACH-2とINTERACT2:脳出血の急性期に血圧をどう管理すべきか?(解説:有馬 久富 氏)-563

 急性期脳出血に対する、積極的降圧療法の効果を検討したATACH-2試験の結果が、N Engl J Med誌に掲載された。ATACH-2は、無作為化オープン比較試験である。発症4.5時間以内で、収縮期血圧180mmHg以上の脳出血患者が、収縮期血圧110~139mmHgを目標とする積極的降圧療法群と、140~179mmHgを目標とする通常治療群に無作為に割り付けられた。当初のサンプルサイズは、1,280例であったが、中間解析で「治療効果なし」と判定され、1,000例の段階で早期終了となった。その結果、3ヵ月間後の高度身体機能障害あるいは死亡(modified Rankin Scale 4-6)の頻度に、割付群間で差を認めなかった(積極的降圧療法群38.7% vs.通常治療群37.7%、相対危険1.04、p=0.72)。 ATACH-2の結果は、私がシドニー大学在職中に従事したINTERACT2試験1)の結果と異なるものであった。INTERACT2も無作為化オープン比較試験であり、発症6時間以内で、収縮期血圧150~220mmHgの脳出血患者2,839例が、収縮期血圧140mmHg未満を目標とする積極的降圧療法群と、180mmHg未満を目標とする通常治療群に無作為に割り付けられた。その結果、積極的降圧療法により3ヵ月後の高度身体機能障害あるいは死亡(modified Rankin Scale 3-6)の頻度は約4%減少した(相対危険0.87、p=0.06)。 なぜ、ATACH-2試験とINTERACT2試験で異なる結果が得られたのであろうか?理由の1つとして、対象者の治療開始前の収縮期血圧の違いがあるかもしれない。ATACH-2試験では収縮期血圧の上限がなかった(平均約200mmHg)のに対し、INTERACT2試験では収縮期血圧の上限を220mmHgに設定していた(平均約179mmHg)。来院時の収縮期血圧が220mmHg以上と非常に高い脳出血患者では、慎重な降圧が必要なのかもしれない。別の理由として、治療開始後の降圧レベルの差もあるかもしれない。ATACH-2試験の積極的降圧療法群では、収縮期血圧110~139mmHgが目標とされ、治療中の収縮期血圧平均値は120mmHg程度であった。一方、INTERACT2試験の積極的降圧療法群では、収縮期血圧130mmHg未満で治療を一時中断するプロトコルだったため、実質的には収縮期血圧130~139mmHgが目標とされており、治療中の収縮期血圧の平均値も140mmHg程度であった。INTERACT2試験のサブ解析において、予後の最も良い至適降圧レベルは130mmHg付近であり、それ以下では、高度身体機能障害/死亡が増加する傾向にあった2)ことを考えると、過度な降圧は避けたほうがよいのかもしれない。 現時点のエビデンスに基づいた場合、脳出血の急性期に血圧をどう管理すべきであろうか? INTERACT2試験で積極的降圧療法が予後を改善する傾向にあったこと、ATACH-2試験で少なくとも死亡や身体機能障害を増悪させることはなかったことを考えると、今後も積極的降圧療法を行っていくべきであろう。ただし、来院時の収縮期血圧が非常に高い(220mmHg以上)場合には、慎重な降圧が必要かもしれない。また、ATACH-2試験およびINTERACT2試験サブ解析の結果から、過度の降圧を避け、収縮期血圧130~139mmHgを降圧目標とすることが望ましいであろう。

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第2回 薬物療法のキホン(総論)【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第2回】薬物療法のキホン(総論)-薬物療法のポイントを教えてください。 糖尿病では、血糖のみならず、体重、血圧、脂質の良好なコントロール状態を維持し、細小血管合併症や動脈硬化性疾患の発症・進展を抑制し、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)を維持し、寿命を確保することが求められます1)。そのために、まず、食事・運動療法から開始し、効果がなければ薬物療法を開始しますが、そのときも重要なのは“食事・運動療法”です。 第1回でもお話ししましたが、糖尿病では、食事・運動療法は治療の大前提です(第1回 食事療法・運動療法のキホン)。食事・運動療法、とくに食事療法が守られなければ、薬物療法の効果が十分に得られないからです。薬物治療を開始する際には、患者さんに“食事療法の代わりになる薬はない”こと、“食事療法が守られないと、どんな薬を使っても十分な効果が得られない”ことをお伝えするとよいでしょう。また、薬物療法で期待できる効果が得られないときには、食事・運動療法が守られていない可能性があるので、生活習慣が乱れていないかを確認してください。-経口血糖降下薬のファーストチョイスは?DPP-4阻害薬かメトホルミンかで迷っています。 DPP-4阻害薬、メトホルミンのいずれの薬剤も単独で低血糖を来しにくく、体重増加を来さないという点で使いやすい薬剤です。 DPP-4阻害薬は、腎機能、あるいは肝機能障害に注意が必要ですが、薬剤によって異なるので、各薬剤の腎・肝機能障害のある患者さんに対する適応を確認して選択します。メトホルミンは、高齢者や腎機能低下進行例注)では注意が必要ですが、薬価が安いというメリットがあります。糖尿病患者さんは他の薬剤を服用していることも多いため、経済的事情を考慮するのも大切な視点です。 私は、メトホルミンを最初に処方することが比較的多く、メトホルミンが使えない場合はDPP-4阻害薬を選択することがあります。また、メトホルミンで治療を開始するも、副作用である消化器症状のために治療が継続できない場合には、DPP-4阻害薬に切り替えることがあります。 DPP-4阻害薬はインスリン分泌促進系の薬剤で、メトホルミンはインスリン抵抗性改善系の薬剤ですので、若くて肥満があり、食事療法が守れない方であればメトホルミン、非肥満、高齢であればDPP-4阻害薬という考え方もよいと思います。それぞれの薬剤の特性や副作用、禁忌などを考慮し、患者さんに適した薬剤を選択するとよいでしょう。注:メトグルコを除くビグアナイド薬は、腎機能障害患者に禁忌となっています。-機序の異なる薬の使い分け・効果的な組み合わせを教えてください。 日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド」1)では、病態に合わせた経口血糖降下薬の選択が示されています。病態で分けるとすれば、インスリン分泌能低下、あるいはインスリン抵抗性のどちらが優位かによって薬剤を選択できます。いずれかを使っても目標とする血糖コントロールが得られなければ、異なる作用機序の薬剤を組み合わせるのも有用です。 もう1つは、「平均血糖」と「血糖変動」という考え方です。診断、あるいは治療開始後の血糖コントロール状況の確認のために、空腹時血糖値とHbA1cでみることが多いと思いますが、HbA1cは、過去1~2ヵ月の血糖値の平均をみているものです。しかし、血糖値は1日の中で常に変動していて、その変動する血糖値をならした「平均血糖」を反映しているのがHbA1cであり、そこに大きく影響するのは基本的には空腹時血糖値です。 血糖値は、食事のたびに上昇し、食後1時間半~2時間の間にピークを迎えますが(食後血糖値)、糖尿病、あるいは予備軍であるIGT(境界型)で、食後高血糖が心血管疾患のリスクになることが、幾つかの大規模臨床試験で示されています2,3)。しかし、食後高血糖をHbA1cでみることはむずかしく、空腹時血糖値やHbA1cで良好な血糖コントロールが得られている患者さんで、CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続血糖測定)により24時間の血糖変動をみたところ、空腹時血糖値は正常範囲でしたが、食後高血糖が認められたというケースも少なくありません。 糖尿病で血糖値を下げる目的は、合併症の予防です。生命予後を左右する心血管疾患などの大血管障害予防のために、空腹時血糖のみならず、食後の急激な血糖上昇を抑制し、血糖変動幅を縮小させる治療が重要だと私は考えています。血糖変動幅の縮小によりHbA1cが低下することを、われわれは「“上質”なHbA1cの低下」と呼んでいます。 平均血糖、つまり主に空腹時血糖値を低下させる薬剤には、スルホニル尿素(SU)薬、チアゾリジン薬、BG薬、SGLT2阻害薬があります。対して、食後高血糖を抑制し、血糖変動幅を縮小させる薬剤には、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)と速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)があります。DPP-4阻害薬はいずれの作用も持ちます。空腹時血糖値、食後血糖値ともに高い患者さんであれば、空腹時血糖値を低下させる薬剤と食後高血糖を改善する薬剤を組み合わせるのもよいでしょう。 このように病態や血糖日内変動幅などの観点から患者さんに適した薬剤を選択しますが、加えて年齢や肝・腎などの生理機能、肥満の有無や低血糖を起こしにくい、といった視点も合わせて、最適な治療を決めていきます。-同グループ内での薬剤の選択、使い分けを教えてください。 いざ、薬剤を選択しようとすると、同種・同効の薬剤が多いものもあり、どれを選べばよいか迷うこともあると思います。とくに比較的新しい薬剤はそうですね。 DPP-4阻害薬は血糖低下作用についてはおおむね同等ですが、排出経路が薬剤によって異なります。主に腎で排泄される薬剤と肝で排泄される薬剤があるので、腎機能、もしくは肝機能障害がある患者さんで使い分けるとよいでしょう。また、半減期の違いから、1日1回投与のものと2回投与のものがあるので、服薬回数で選択するというのもよいでしょう。 最も新しい薬剤であるSGLT2阻害薬は、腎の近位尿細管で糖の再吸収を担うSGLT2を阻害することで、腎における糖の再吸収を抑制し、尿中への糖排泄を促進させて血糖を低下させます。SGLT2阻害薬の血糖低下作用についてもおおむね同等と思っていますが、私は、SGLT2以外に腎でブドウ糖の再吸収を担うSGLT2と同じファミリーであるSGLT1に注目しています。 腎における糖の再吸収の90%はSGLT2によるものですが、残り10%を担っているのがSGLT1です4)。このSGLT1は主に小腸に存在し、腸管からの糖の吸収・再吸収という役割を担っています5)。SGLT2に選択性が高い場合、腎における糖の再吸収抑制という点ではよいのですが、食直後に消化管から糖が吸収されるスピードに、尿細管での糖の再吸収阻害がどうしても追い付かないという問題が出てきます。SGLT2阻害薬の中にはSGLT2に対する選択性が低い、つまりSGLT1の阻害作用を持つ薬剤もあり、その場合、食後の消化管における糖の吸収遅延が期待できます。実際に、カナグリフロジン(商品名:カナグル)で、小腸での糖の吸収を遅らせ、食後の血糖上昇を抑制したというデータもあります6)。α-GIと同じ作用と考えてよいでしょう。このSGLT1の小腸における糖の吸収・再吸収という作用に着目し、SGLT2とSGLT1の両方を阻害するデュアルインヒビターが現在、海外では開発中です。 インスリン分泌を促進する消化管ホルモンであるインクレチンに着目し、7年前にその関連薬として臨床応用できるようになったのがDPP-4阻害薬と、もう1つGLP-1受容体作動薬があります。間接的に作用するのがDPP-4阻害薬であるのに対し、直接作用するのがGLP-1受容体作動薬です。GLP-1受容体作動薬は注射ですので、インスリン療法のようにきめ細やかな用量設定の必要はないものの、患者さんの注射に対する心理的障壁もあって、導入は容易ではないかもしれません。GLP-1受容体作動薬では、血糖低下以外に体重減少が期待できますが、これは、中枢神経系にも作用して食欲を抑制する以外に、胃の内容物の排出を遅らせることで、内容物が胃にとどまっている時間が長くなり、満腹感を感じやすいことにもよります。 GLP-1受容体作動薬には、半減期の長い長時間作用型[リラグルチド(商品名:ビクトーザ)、持続性エキセナチド(同:ビデュリオン)、デュラグルチド(同:トルリシティ)]と、半減期の短い短時間作用型[エキセナチド(同:バイエッタ)、リキシセナチド(同:リキスミア)]があり、短時間作用型のものは、高濃度のGLP-1が維持されないため、胃排泄の遅延作用に対するタキフィラキシー(効果減弱)が起こりにくいという特徴があります。胃排泄の遅延作用が継続するため、体重減少効果が期待でき、さらに、食後高血糖の抑制作用が期待できます。対して、長時間作用型のものは、高濃度のGLP-1が維持されるため、空腹時の血糖低下作用が期待できます。1)日本糖尿病学会編・著. 糖尿病治療ガイド2015-2016. 文光堂;2016. 2)DECODE Study Group, the European Diabetes Epidemiology Group. Arch Intern Med 2001;161:397-405.3)Tominaga M et al. Diabetes Care 1999;22:920-924.4)Fujita Y, et al . J Diabetes Investig. 2014;5:265-275.5)稲垣暢也編. 糖輸送体の基礎を知る. SGLT阻害薬のすべて. 先端医学社;2014. 6)Polidori D et al. Diabetes Care. 2013;36:2154-2161.

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