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早期死亡リスクが最も低い人の特徴/BMJ

 BMI値範囲が18.5~22.4で、代替健康食指数(AHEI)が高く、身体活動度が高値で、飲酒は適度、たばこは吸わない人が、最も早期死亡リスクが低いことが、米国・ワシントン大学のNicola Veronese氏らによる、医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study)と看護師健康調査(Nurses’ Health Study)の男女2つの大規模な前向きコホート研究の結果、明らかにされた。また、BMIが高値でも、1つでも低リスクの生活習慣因子を有していれば早期死亡リスクは減らせることも示された。先行研究で、やせ型の人は、代謝系の健康度が高く、2型糖尿病、心血管疾患、がん、全死因死亡のリスクが低いことが示されている。一方で、複数の疫学研究のデータで、過体重および軽度肥満でも、死亡リスクは減少することが示唆されていた。BMJ誌2016年11月24日号掲載の報告。4つの生活習慣因子とBMIの組み合わせについて、死亡リスクとの関連を調査 研究グループは、4つの生活習慣因子(食事・身体活動・飲酒・喫煙)と体重の組み合わせについて、全死因死亡および疾患特異的死亡のリスクとの関連を評価する検討を行った。看護師健康調査は1980~2012年、医療従事者追跡調査は1986~2012年に行われ、32年間のフォローアップが完了。参加者はそれぞれ7万4,582例(女性)、3万9,284例(男性)であり、いずれもベースラインで心血管疾患、がんを有していなかった。 曝露因子にBMI、代替健康食指数スコア、身体活動度(時間/週)、喫煙習慣(現在喫煙有無)、飲酒量(g/日)などを含み、死亡(全死因、心血管疾患、がん)をアウトカムとして評価した。Cox比例ハザードモデルを用いて、全死因死亡、がん死、心血管死の補正後ハザード比(HR)を95%信頼区間(CI)とともに、BMI値の分類群(8群に分類、参照値群は22.5~24.9)について算出した。BMI値と死亡との関連評価では、生活習慣を考慮することが重要 32年間のフォローアップの間に、死亡は3万13例(がん死1万808例、心血管死7,189例)であった。 BMI値の4つの分類群(18.5~22.4、22.5~24.9、25.0~29.9、30.0以上)の検討において、いずれの群でも健康的な生活習慣因子が1つ以上ある人は同因子がまったくない人に比べて、全死因死亡、心血管死、がん死のリスクが有意に低かった。 また、低リスクの生活習慣因子が3つ以上ある、BMI値が18.5~22.4の人が、同因子が4つのうち1つもなく、BMI値が参照値の人と比べて、全死因死亡、がん死、心血管死のリスクがいずれも最も低かった。それぞれHR(95%CI)は、全死因死亡0.39(0.35~0.43)、がん死0.40(0.34~0.47)、心血管死0.37(0.29~0.46)であった。 結果を踏まえて著者は、「BMI値と死亡との関連の評価では、食事と生活習慣因子を考慮することが大切である」とまとめている。

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START研究が喘息診療の過去の幻想を拭い去った(解説:倉原 優 氏)-625

 過去のガイドラインにおいて、吸入ステロイド薬(ICS)治療は1週間に2日を超えて症状がある喘息患者、すなわちpersistent asthmaに推奨されてきた歴史がある。それ以下の症状の喘息をintermittent asthmaと呼び、吸入短時間型β2刺激薬などでその都度発作を解除してきた。 この2日というカットオフ値がエビデンス不足のまま現行GINAガイドライン1)へ至ることとなったため、軽症の喘息患者に対するICSの適否をはっきりさせるべきだという意見が多かった。そのため、START研究の事後解析が行われた。なお、現在のGINAガイドライン1)では、頻繁ではないが喘息症状を有し発作のリスクが高い患者に対しては低用量ICSでの治療開始(step 2)を推奨している1)。日本のガイドライン2)では治療ステップ1および2のカットオフ値は、週1回と月1~2回という問診が用いられている。 START研究について解説しておくが、これは今から13年前、発症2年以内の軽症持続型喘息患者を対象に長期追跡した有名な大規模試験である。この研究は、軽症持続型喘息患者においては発症早期から低用量ICSを使うべしという道筋を立てた、喘息診療のマイルストーンともいうべき存在である。 事後解析では、喘息症状の頻度を0~1日/週(0~1日群)、1~2日/週(1~2日群)、2日超/週(2日超群)で層別化し、複合プライマリアウトカムに初回の喘息関連イベント(SARE:入院、救急受診治療、死亡)およびベースラインからの肺機能の変化(気管支拡張後)が設定された。ICSは低用量ブデソニドが用いられ、これがプラセボと比較されている。 層別化はおおむねバランスのとれた頻度で、0~1日群が31%、1~2日群が27%、2日超群が43%だった。解析の結果、どの症状頻度サブグループにおいても初回のSAREまでの期間を有意に延長させることがわかった(0~1日群:ハザード比0.54 [95%信頼区間0.34~0.86]、1~2日群:ハザード比0.60 [95%信頼区間0.39~0.93] 、2日超群:ハザード比:0.57 [95%信頼区間0.41~0.79], p=0.94)。さらに、プラセボ群と比較すると、ブデソニド群は経口あるいは全身性ステロイドを要する重症発作のリスクを減らした(0~1日群:率比0.48 [95%信頼区間0.38~0.61]、1~2日群:率比0.56 [95%信頼区間0.44~0.71]、2日超群:率比0.66 [95%信頼区間0.55~0.80]、p=0.11)。 つまり、1週間あたりの症状が少なかろうと多かろうと、この軽症喘息というくくりでみた患者のすべてが低用量ICSの恩恵を受けることは間違いないということである。「1週間に2日」という幻想に縛られていた過去を、見事に拭い去る結果となった。 喘息であれば早期からICSを導入する、という考え方は正しい。しかし、咳喘息やアトピー咳嗽などの喘息以外の好酸球性気道疾患が増えてきたうえ、喘息とCOPDがオーバーラップしているという疾患概念まで登場している。疾患診断が昔より複雑になったことは否めない。その中で、経験的にICSをホイホイと処方するようになってしまうと、医学的効果がほとんど得られないにもかかわらず、将来の肺炎リスクのみを上昇させてしまうような事態にもなりかねない。 何よりも、喘息という疾患を正しく診断することが重要なのはいうまでもない。参考1)Global Strategy for Asthma Management and Prevention. Updated 20162)喘息予防・管理ガイドライン2015. 日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会編. 協和企画.

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問5

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問5 リスク比(相対危険度)とオッズ比の違いは?(その1)質問1 質問2 質問3 質問4ある状況下に置かれた人と置かれなかった人で、ある疾患と診断されるリスク比(相対危険度)と、このリスク比とよく似た指標として用いられるオッズ比があります。リスク比、オッズ比とは何か、その違いは何か、オッズ比の活用法について2回に分けて解説します。■リスク比(相対危険度)とはリスク比というのは前述のようにある状況下に置かれた人と、置かれなかった人とで、ある病気になる危険度(リスク)の比を表すものです。ですから、ここでのリスクは、病気になる割合(確率)のことです。理解しやすいように「簡単」な事例で解説します。たとえば、喫煙する人は喫煙しない人と比べて、どれくらい高い割合で不整脈になるかを調べたとします。表1は、10例の「不整脈の有無」「喫煙の有無」を調べたものです。この表から、不整脈について喫煙者と非喫煙者を比較したとき、両者に差があるかどうかを明らかにしていきます。表1 喫煙と不整脈の有無を調べた分割表その結果、不整脈になった人の割合は、喫煙者で60%、非喫煙者で20%となります。喫煙者が非喫煙者に比べてどれくらい高い割合で不整脈になるのかを知るには、喫煙者での割合を、非喫煙者での割合で割ればよいのです。60%÷20%で3になります。この値が「リスク比(Risk Ratio)」となります。このようにリスク比は、とても簡単に求められますが、大切なことはリスク比の求め方ではなく、その解釈の仕方です。この例では、リスク比が3ということから、「喫煙者が不整脈となるリスク(割合)は非喫煙者に比べ3倍である」と解釈できることになります。リスク比(相対危険度)の解釈は簡単です。その値が高いほど、ある状況下にいる人は、その状況にない人に比べて、ある病気になる危険度がより高くなると解釈できるからです。■オッズ比とはオッズ比も簡単な事例で勉強していきましょう。オッズは、競馬など賭け事でよく使われますので、勝負事の例で解説します。たとえば、スマホやパソコンにあるゲームを何でもよいので、5セットを1回として計2回やったとします。表2は、1回目と2回目のゲームの勝敗の成績を示したものです。表2 ゲームの勝敗の成績表ゲームの勝敗の成績を、仮に先ほど解説した喫煙の有無と不整脈の有無との関係と同じ結果になるようにしました。では、オッズの説明を先ほどのリスク比と比べながら解説していきます。この表2についてリスク比を求めて、表3でリスク比から何がいえるかを考えてみます。表3 成績表の勝率とリスク比1回目の勝率は60%、2回目の勝率は20%でした。勝率の比、すなわちリスク比は、60%÷20%により3となります。リスク比から、1回目の勝率は2回目に比べ3倍であり、勝率をゲームの強さと考えると、1回目のゲームの強さは2回目に比べ3倍強いといえます。それでは、この成績表を用いてオッズ比について説明していきます。まず、1回目の勝数を2回目の勝数で割った値を「オッズ(Odds)」といいます。そして、1回目の負数を2回目の負数で割った値もオッズといいます。どちらもオッズというので混乱しそうになりますね。勝数に着目すると、1回目の勝数(3勝)は2回目(1勝)に比べ3倍、すなわち、勝数オッズは3です。負数に着目すると、1回目の負数(2敗)は2回目(4敗)に比べ半分、すなわち、負数オッズは0.5となります。そして、ここからが大切なところですが、勝数オッズと負数オッズの比を「オッズ比(Odds Ratio)」というのです。オッズ比は3÷0.5で算出しますので、6となります。■よくあるオッズ比の間違った解釈では、このオッズ比から、1回目の勝率が2回目に比べ6倍、1回目のゲームの強さは2回目の6倍だといってよいでしょうか?答えは間違い! 絶対ダメです。大間違いとなります! ここが、多くの方が陥るオッズ比の典型的な間違った解釈です。勝率(強さ)の比較は、リスク比でしかできないのです。では、オッズ比からは何がわかるのでしょうか。実は、オッズ比では、値が大きいとか、小さいといったことがわかるだけなのです。ですからオッズ比は、リスク比に比べ理解しにくく、そのため使い方に注意がとても必要となるのです。■オッズ比でわかるのは影響要因かどうかということ表1を用い、喫煙の有無と不整脈の有無の事例について、リスク比とオッズ比を求めて、解釈してみましょう。(再掲)表1 喫煙と不整脈の有無を調べた分割表リスク比とオッズ比を、表4にまとめてみました。表4 喫煙状況と不整脈のリスク比とオッズ比喫煙者の不整脈のリスクが60%、非喫煙者の不整脈のリスクは20%、リスク比は60%÷ 20%で3となります。ですから、喫煙者が不整脈となるリスクは非喫煙者に比べ3倍であるといえます。次に、オッズ比を計算してみましょう。不整脈があるケースのオッズは、喫煙者が3、非喫煙者が1ですから、3÷1からオッズは3。不整脈がないケースのオッズは、喫煙者が2、非喫煙者が4のため、2÷4からオッズは0.5。これより、オッズ比は3÷0.5で6となります。オッズ比の値は6と大きいので、喫煙の有無は不整脈の影響要因といえそうですが、絶対に間違ってはいけないのは、「『喫煙者が不整脈となるリスクは、非喫煙者に比べ6倍だ』といってはいけない!」ということです。このように解説していくと、オッズ比はリスク比と比べるとあまり使い道がないように思われるかもしれません。しかし、実際の臨床研究の論文では、オッズ比はよく使われています。このように理解しにくいオッズ比が、なぜ臨床研究で使われているのか。それはそれなりに、オッズ比の活用法があるからということです。次回は、実際にオッズ比を使うシーンをイメージしながら説明していきます。リスク比については、『わかる統計教室 第2回 セクション1 分割表とリスク比』をご参照ください。オッズ比については、『わかる統計教室 第2回 セクション2 よくあるオッズ比の間違った解釈』をご参照ください。今回のポイント1)リスク比で大切なことは、その解釈の仕方!2)オッズやオッズ比を算出して、「喫煙者は非喫煙者に比べ●倍、不整脈につながる」ということはいえない!3)オッズ比でわかるのは、影響要因かどうか、ということ!インデックスページへ戻る

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149)心筋梗塞を避ける朝晩の血圧測定【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師血圧はいつ頃、測っていますか? 患者とくには決めていません。いろいろです。 医師それなら、朝と晩に測定されるといいですよ! 患者どうして朝なんですか? 医師心筋梗塞や脳卒中は、「朝に起こりやすい」と言われています。とくに、目が覚めてから急激に血圧が上昇する「早朝高血圧」に注意が必要です。それに…。 患者それに? 医師喫煙や飲酒をされる働き盛りの人では、夜にも心筋梗塞になる人が多いそうです。 患者なるほど。血圧測定は朝と晩、それに禁煙と節酒も大切なんですね。よくわかりました。●ポイント心筋梗塞が起こりやすい時間帯を説明し、血圧測定の習慣化や生活習慣の改善を説明します1)Kinjo K, et al. Jpn Circ J. 2001;65:617-620.2)Yamasaki F, et al. Clin Exp Hypertens. 2002;24:1-9.

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認知症への抗精神病薬処方減少へ、ポイントは看護師

 認知症患者に対する抗精神病薬の処方決定は医師により行われるが、その主導権は看護師や看護助手が握っていることが多い。そのため、抗精神病薬の使用を減少させるためには、看護師や看護助手の要求理由を理解する必要がある。オランダ・トウェンテ大学のSarah I M Janus氏らは、態度、考え、行動制御が要求の意図に影響を与えると考えられる計画的行動理論に基づいて、この要求に対する影響要因の概要を示し、処方を要求する行動に影響を及ぼすかを検討した。International psychogeriatrics誌オンライン版2016年11月21日号の報告。 オランダの養護老人ホーム組織より、看護師および看護助手81人からオンライン調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・看護師や看護助手は、居住者およびスタッフに対し、抗精神病薬がもたらす良い効果に関する項目について頻繁に合意していた。・仕事の満足度が低い看護師や看護助手は、抗精神病薬を必要とする可能性が高かった。・抗精神病薬の治療効果や使用によりコントロールされていると感じることについて肯定的な考えを有する場合、コールする意向と正の関連が認められた。・すべての変数は、意向の分散(variance)の59%であった。・現在の職種と、実際の行動と関連していた。・因子寄与(explained variance)は25%であった。 著者らは「政策立案者は、利用可能なエビデンスに沿っていない居住者に対する抗精神病薬の肯定的な効果に対し、看護師および介護助手の考えに焦点を当てるべきであり、抗精神病薬の有効性は限定的であることを教育する必要がある」としている。関連医療ニュース 認知症者に対する抗精神病薬処方は地域差が大きい 警告後、認知症への抗精神病薬処方は減少したのか 認知症者への抗精神病薬投与の現状は

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PCSK9阻害薬とスタチン、効果も影響もほぼ同じ/NEJM

 PCSK9遺伝子多様体と、スタチンが標的とするHMGCR遺伝子多様体は、LDLコレステロール単位当たりの低下につき、心血管イベントリスクにはほぼ同様の低減効果を及ぼすことが、また糖尿病リスクには非常に類似した増大効果を及ぼすことが明らかにされた。また両遺伝子多様体の影響は、独立的かつ相加的であることも示された。米国・ウェイン州立大学のBrian A. Ference氏らによる遺伝子多様体スコア研究の結果で、NEJM誌2016年11月30日号で発表された。PCSK9の薬理学的阻害は、臨床試験で心血管疾患治療について評価がされている。しかし、スタチンと同様に、PCSK9阻害によるLDLコレステロール低下の心血管イベントおよび糖尿病のリスクへの影響は明らかにされていなかった。PCSK9多様体またはHMGCR多様体により低下したLDL-C値の影響を比較 研究グループは、PCSK9およびHMGCRをコードする遺伝子多様体から構成された遺伝子スコアを操作変数として用いて、14試験の被験者11万2,772例(加重年齢中央値59.9歳、心血管イベント1万4,120例、糖尿病例1万635例を含む)を無作為にPCSK9多様体スコア群とHMGCR多様体スコア群に分類した。また、LDLコレステロール値を低下するアレル数によって、被験者を分類(スコア中央値でabove群とbelow群に二分)した。 PCSK9多様体またはHMGCR多様体によって低下したLDLコレステロール値の、心血管イベントリスクおよび糖尿病リスクへの影響について比較した。心血管イベントには同様の保護効果、糖尿病リスクは同様に増大 PCSK9多様体とHMGCR多様体は、心血管イベントリスクについてほぼ同様の保護効果が認められた。PCSK9多様体によるLDLコレステロール値10mg/dL(0.26mmol/L)低下ごとの心血管イベントに関するオッズ比は0.81(95%信頼区間[CI]:0.74~0.89)で、HMGCR多様体による場合は0.81(同:0.72~0.90)であった。 また両遺伝子多様体は、糖尿病リスクについても非常に類似した影響が認められた。LDLコレステロール値10mg/dL低下ごとの糖尿病に関するオッズ比は、PCSK9多様体の場合は1.11(95%CI:1.04~1.19)、HMGCR多様体は1.13(同:1.06~1.20)であった。 糖尿病リスクの増大は、PCSK9多様体スコア群とHMGCR多様体スコア群いずれにおいても、ベースラインで空腹時血糖異常値を有した被験者に限ってみられた。同リスク増大は、心血管イベントへの保護作用に比べて小さかった。 PCSK9多様体とHMGCR多様体両者が存在する場合は、心血管イベントと糖尿病の両者のリスクについて、相加的な影響があることも確認された。

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オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを6ヵ月延長:AURA3 試験

 AstraZeneca(米国)は2016年12月6日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が、EGFR T790M変異陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の新たな標準的2次治療としての可能性を支持するAURA3試験のデータを発表した。このオシメルチニブ初の無作為化第III相試験では、オシメルチニブがプラチナ・ダブレット化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を5.7ヵ月改善したことを示した。この結果は、ウィーンで開催された第17回世界肺学会議(WCLC)で発表され、New England Journal of Medicine誌オンライン版に掲載された。 AURA3試験のデータでは、オシメルチニブが標準的なプラチナ・ダブレット化学療法に対し、統計学的に有意なPFSの改善を示した(10.1ヵ月 vs.4.4ヵ月、HR:0.30、95%CI:0.23~0.41、p<0.001)。 また、被験者の34%を占める中枢神経系(CNS)転移患者に対する探索的サブグループ解析では、オシメルチニブのPFS8.5ヵ月に対して、ペメトレキセドとプラチナ併用化学療法では4.2ヵ月であった(HR:0.32、95%CI:0.21~0.49)。 AURA3試験におけるオシメルチニブの安全性データは、以前の経験と一致していた。Grade3以上の薬剤関連有害事象(AE)は、オシメルチニブの6%(n=16)、プラチナ・ダブレット化学療法の34%(n=46)で報告された。オシメルチニブ群でよくみられた薬剤関連AEは、下痢(全体29%、Grade3以上1%)、皮疹(全体28%、Grade3以上1%未満)で、化学療法群では悪心(全体47%、Grade3以上3%)、食欲減退(全体32%、Grade3以上3%)であった。(ケアネット 細田 雅之)参考AstraZeneca(米国):プレスリリースAURA3試験(ClinicalTrials.gov)関連ニュースT790M変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性:AURA2試験

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HR陽性乳がんへのフルベストラント、PFSを有意に延長/Lancet

 ホルモン受容体(HR)陽性局所進行または転移乳がんに対し、フルベストラント(商品名:フェソロデックス)500mg投与はアナストロゾール1mg投与に対し、無増悪生存(PFS)を有意に延長し、有効性について優越性を示したことが、英国・ノッティンガム大学のJohn F R Robertson氏らによる第III相の国際多施設共同無作為化二重盲検試験FALCONの結果、報告された。HR陽性局所進行または転移乳がんは、アロマターゼ阻害薬が標準治療とされている。研究グループは、ホルモン療法既往のない閉経後患者を対象に、選択的エストロゲン受容体抑制薬のフルベストラントが、標準治療のアロマターゼ阻害薬と比べてPFSを改善するかを検討した。Lancet誌オンライン版2016年11月28日号掲載の報告。20ヵ国113の大学病院から患者を集めて試験 試験は、20ヵ国113の大学病院で患者を集めて行われた。適格とされたのは、組織学的所見でエストロゲン受容体陽性またはプロゲステロン受容体陽性が確認された、局所進行もしくは転移乳がん患者で、ホルモン療法既往なし、WHO分類で0~2、測定可能または測定不能病変が1つ以上あるとした。 患者を無作為に1対1の割合で、フルベストラント投与群(500mg筋注を0、14、28日に、その後は28日ごとに投与)またはアナストロゾール投与群(1mgを1日1回経口投与)に、コンピュータ無作為化法で割り付けた。 主要エンドポイントはPFSで、RECISTガイドラインver1.1で判定した増悪(disease deterioration)による手術もしくは放射線治療の介入、または全死因死亡をintention-to-treat集団で評価した。 安全性アウトカムは、少なくとも1回以上割付治療(プラセボを含む)を受けた全患者を対象に評価した。フルベストラント群のPFSがアナストロゾール群に比し有意に延長 2012年10月17日~2014年7月11日に、524例の患者が試験に登録された。このうち462例が無作為化を受けた(フルベストラント群230例、アナストロゾール群232例)。 結果、PFSはフルベストラント群がアナストロゾール群に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.797、95%信頼区間[CI]:0.637~0.999、p=0.0486)。PFS中央値は、フルベストラント群16.6ヵ月(95%CI:13.83~20.99)に対し、アナストロゾール群は13.8ヵ月(同:11.99~16.59)であった。 頻度の高かった有害事象は、関節痛(フルベストラント群17% vs.アナストロゾール群10%)、ホットフラッシュ(同11% vs.10%)であった。なお、有害事象のため投与中断となった患者は、フルベストラント群16/228例(7%)、アナストロゾール群11/232例(5%)であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「フルベストラントは、ホルモン治療歴のないHR陽性局所進行または転移乳がんについて、これら患者の1次治療の標準療法とされる第3世代のアロマターゼ阻害薬と比較して、有効性に優れており、優先すべき治療選択肢である」とまとめている。

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高齢者のインフルエンザ・肺炎予防

今日から家でできるインフルエンザや肺炎の予防高齢者にとってインフルエンザや肺炎などにかかりやすくなる冬季は、とくに注意が必要です●家では次の3つのことを実践し、予防しましょう1) 口の中、手指を清潔に(うがい、歯磨き、手洗いの励行)2) 栄養のあるものを食べる(肉や魚も積極的に食べる)3) 部屋を適温・適湿に保つ(暖房器具、加湿器を活用)インフルエンザと肺炎球菌ワクチンの予防接種も忘れずに!日本呼吸器学会「成人市中肺炎診療ガイドライン作成委員会」. 成人市中肺炎診療ガイドライン;2007.Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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セロトニンの役割、生産性向上のために

 セロトニンは行動調整の多くの部分に関与している。セロトニンの複数の役割を統合する理論的な試みにおいて、セロトニンが遅延や処罰などの行動選択に与える負担(行動コスト)を調整していることが提議されている。フランス・ピエール・エ・マリー・キュリー大学のFlorent Meyniel氏らは、セロトニンがそれらとは違うタイプの行動コスト、たとえば努力(effort)なども行動調整しているのかについて検討した。eLife誌2016年11月8日号の報告。 プラセボまたは選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるエスシタロプラムのいずれかを58人の健常者に8週間投与し、行動パフォーマンスを比較した。 主な結果は以下のとおり。・エスシタロプラム群は、より多くの努力を生み出し、より高い報酬を得た。・重要な点として、著者らの分析によると、この効果は金銭的インセンティブの変化によるものではなく、努力コスト(努力することの負担)の低減によるものであると示唆された。・本分析によるセロトニンの効果は、行動調整におけるセロトニンの生理学的役割やうつ病に対する薬剤の臨床効果に新たな焦点を当てることを示唆している。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状と関連する「努力コスト」の障害とは? 統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学

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高度で違いがある「皮膚の特性」

 皮膚の特性が環境影響によって変化するかどうかを都市単位で比較した研究は多数存在する。しかし、都市間での皮膚特性の比較には、さまざまな環境要因を考慮しなければならない。 本研究では、高度に着目し、同民族、同性(インドネシア人女性)において、異なる高度が皮膚の特徴にどの程度影響を与えるかを検討した。Myeongryeol Lee氏らによる Journal of Cosmetic Dermatology誌オンライン版2016年9月11日号の報告。 本研究では、以前の研究で得られたデータを用い、再分析を行った。データの対象は、20~34歳の健康なインドネシア人(スンダ族)女性で、ジャカルタ(低地)在住者49例、およびバンドン(高地)在住者87例の合計136例。データには公表データである皮膚の水和、皮脂レベル、pH、弾力性、経表皮水分喪失量、また、未発表データである皮膚色L*(明度)、a*(色方向でa*は赤、-a*は緑を示す)、b*(色方向でb*は黄色、-b*は青を示す)が含まれた。 皮膚パラメータの測定には、角質水分測定:コルネオメーター(Courage+Khazaka社)、皮脂分泌量測定:セブメーター(同)、皮膚粘弾性測定:pHメーター、キュートメーター(同)、水分蒸散測定:バポメーター(Delfin社)、分光光度測定:分光光度計(ミノルタ社)がそれぞれ用いられた。 主な結果は以下のとおり。・低地(ジャカルタ)在住女性のほうが、高地(バンドン)在住女性より、額の皮脂量が多く、赤み(a*)が多かった。・対照的に、バンドン在住女性のほうが皮膚のpH値が高く、皮膚色も明るく、額の肌の弾力性も高かった。 皮膚の特性は、高度の違いに影響を受けることが示唆された。これは、高度の違いによって、気温、湿度、紫外線などの環境要因も異なるからである。今後、皮膚の特性に影響を与える要因をさらに調査する必要がある。

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4割が偽造医薬品!インターネット上に流通するED薬の実態

 国内でED(勃起不全)治療薬を製造・販売している製薬企業が合同で、インターネットから入手したED治療薬の調査を実施し、その結果を11月24日に都内で発表した。今回入手した医薬品を調査・分析した結果、4割が偽造医薬品であることが判明した。また、成分を分析した結果、有効成分の含量が150%含まれているものや、有効成分がほとんど含まれていないものがあった。また、正規品には存在しない規格の製品もみられたという。 佐々木 春明氏(昭和大学藤が丘病院 泌尿器科 教授)によると、日本におけるEDは中等度以上の患者だけで1,130万人いるとみられているものの、そのうち医療機関で治療を受けているのはわずか9%程度に留まっている。インターネットからED薬を購入する人の多くは「病院に行くのが恥ずかしい」「病院に行く時間がない」「診察に対する不安がある」「安く、手軽に手に入れたい」などの理由であり、これまでの購入者を対象にした調査では、97%がインターネット上に偽造医薬品が流通していることを認識しているものの、その大半が「自分が購入したものは正規品である」と信じているとの結果が出ているという。 これらの偽造医薬品服用による医学的懸念としては、承認用量以上の有効成分や不純物により予期せぬ副作用が起こる可能性であると佐々木氏は説明した。2011年には国内の医療機関において重篤な低血糖症状および意識障害を来した患者が、偽造のED薬を前日に服用していた事例が報告されている。このED薬には血糖降下薬であるグリベンクラミドが含まれていた。また、シンガポールでは2008年に同様の血糖降下薬を含むED薬服用により8例の死亡が報告されている。 また、偽造医薬品の専門家である木村和子氏(金沢大学 医薬保健研究域薬学系国際保健薬学 教授)は、世界および日本における偽造医薬品の実態について紹介し、昨今の国際会議などにおいても医薬品の国際的な取引や品質は重要課題として取り上げられており、偽造医薬品の問題は健康を根底から揺るがす重大な問題であると指摘した。また、「個人輸入により医薬品が安価に手に入る」というイメージがあるが、実際にインターネット上のED薬の価格を調査したところ、むしろ医療機関より高いものも存在することがわかっているという。 これらのことから、佐々木氏らはインターネットを通じたED薬の購入は、偽造医薬品を入手するリスクが非常に高く、健康被害が危惧されるため、患者には医療機関を受診するよう強く勧める、と訴えた。プレスリリースはこちら。<偽造ED治療薬4社合同調査結果>

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前糖尿病状態は心血管疾患リスクと関連/BMJ

 前糖尿病状態(耐糖能異常、空腹時血糖異常、HbA1c高値)は心血管疾患のリスク増加と関連しており、空腹時血糖値5.6mmol/L(=100.8mg/dL)以上またはHbA1c 39mmol/mol(NGSP 5.7%)以上で健康リスクが高まる可能性があることを、中国・第一人民病院のYuli Huang氏らが、前向きコホート研究のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。前糖尿病状態の患者は世界的に増えているが、前糖尿病状態を定義する空腹時血糖異常やHbA1cのカットオフ値はガイドラインで異なっている。また、全死因死亡および心血管イベントとの関連性に関する報告も一貫していなかった。BMJ誌2016年11月23日号掲載の報告。前向きコホート研究53件、計約160万人のメタ解析を実施 研究グループは、電子データベース(PubMed、Embase、Google Schoar)を用い、複合心血管イベント(冠動脈疾患、脳卒中、その他の心血管疾患)、冠動脈疾患、脳卒中および全死因死亡と、前糖尿病状態との関連について、補正後相対リスクおよび95%信頼区間(CI)が報告されている、一般集団での前向きコホート研究を特定し、メタ解析を行った。 適格研究の選択と評価は、研究者2人が独立して実施。前向きコホート研究53件、合計161万1,339例が解析に組み込まれた。 前糖尿病状態は、空腹時血糖異常(空腹時血糖値が米国糖尿病学会基準[IFG-ADA]で5.6~6.9mmol/L、WHO基準[IFG-WHO]で6.1~6.9mmol/L)、耐糖能異常(経口ブドウ糖負荷試験2時間値が7.8~11.0mmol/L)、またはHbA1c高値(ADA基準で39~47mmol/mol[5.7~6.4%]、英国立臨床評価研究所[NICE]ガイドラインで42~47mmol/mol[6.0~6.4%])と定義した。 主要評価項目は、全死因死亡および心血管イベントの相対リスク(95%CI)を算出して評価した。耐糖能異常、空腹時血糖異常で心血管イベントおよび全死因死亡のリスクが増加 追跡期間中央値は9.5年であった。正常血糖と比較すると、前糖尿病状態は複合心血管イベント(相対リスクはIFG-ADA基準の場合1.13、IFG-WHO基準の場合1.26、耐糖能異常1.30)、冠動脈疾患(同様にそれぞれ1.10、1.18、1.20)、脳卒中(1.06、1.17、1.20)、全死因死亡(1.13、1.13、1.32)のリスク増加と関連していた。 HbA1c高値(ADAの39~47mmol/mol、またはNICEの42~47mmol/mol)は、どちらの基準も複合心血管イベント(相対リスクはそれぞれ1.21、1.25)および冠動脈疾患(同様に1.15、1.28)のリスク増加と関連していたが、脳卒中や全死因死亡のリスクとの関連は認められなかった。 なお、著者は研究の限界として、研究のほとんどが糖尿病の発症について調整しておらず、約半数は空腹時血糖値のみを測定したものであったことなどを挙げている。

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治療効果の男女差、慎重な精査が必要/BMJ

 性別と治療効果との統計学的に有意な相互作用というのは、思っていた予想よりもわずかに多く認められるだけで、また臨床的なエビデンスはほとんどないことを、米国・Meta-Research Innovation Center at Stanford(METRICS)のJoshua D Wallach氏らが、コクランメタ解析のシステマティックレビューを行い報告した。著者は、「執筆者、読者、ならびに学術誌のレビュワーと編集者は、サブグループ解析の信頼性を慎重に精査しなければならない。これまでに報告されている統計学的に有意な治療効果の男女差は、概して生物学的信頼性や臨床的重要性が乏しい」とまとめている。BMJ誌2016年11月24日号掲載の報告。コクランメタ解析41報で示されたサブグループ解析を評価 臨床試験では、サブグループ解析がしばしば実施され、そのサブグループ間での治療効果の違いが主張されることがある。とくに、男性と女性では生理学的、薬物動態学的および薬力学的に差がみられる可能性があるため、治療効果の男女差への関心は高い。しかし、サブグループ解析は、個別化治療を最適化する可能性がある一方で、不適切な方法を提供する可能性もあることが指摘されてもいる。 研究グループは、Cochrane Database of Systematic Reviews(CDSR)とPubMedを用い、無作為化比較試験(RCT)のみを組み込んだメタ解析で、かつフォレストプロットにて少なくとも1つの性別のサブグループ解析を行っているレビュー論文41報を特定し、性別と治療効果に関する統計学的に有意(p<0.05)な相互作用の頻度・妥当性・関連性を評価した。 41報には、計311のRCT(対象が男女両方162試験、男性のみ46試験、女性のみ103試験)が含まれた。性別で治療効果に統計学的に有意差が認められる頻度は少ない 全体で、治療効果のサブグループ解析結果は109件あり、このうち8件(7%)で治療効果に性別で統計学的な有意差が認められていた。個別にみると、男女両方を対象としたRCT162試験のうち、15試験(9%)で統計学的に有意な性別と治療効果の相互作用が示された。また、4件は、最初に発表されたRCTでは統計学的に有意な性別と治療効果の相互作用が示されていたが、他のRCTを含めたメタ解析ではその有意性が認められず、最初に発表されたRCTのデータを除いた時に統計学的有意差を示したメタ解析はなかった。 全体で性別と治療効果との統計学的に有意な相互作用が確認された8件のうち、3件のみが女性と比較し男性において治療の違いの影響について、CDSRのレビュワーによって検討されていた。 これらの結果のうち、最近のガイドラインに反映されているものはなく、1件について “UpToDate”(オンライン臨床意思決定支援システム)で、性別の違いに基づいた管理が提案されていた(狭窄率が50~69%の症候性頸動脈狭窄症患者は、男性に対しては手術を行う)。

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正直驚いたNEJMにおける心房細動合併PCI例の標準治療の設定…(解説:後藤 信哉 氏)-623

 EBMは「平均的症例」の「標準治療」の確立に役立つ。ばらつきが大きく「平均的症例」の幅が広い場合にランダム化比較試験を行っても、その結果の臨床的インパクトは乏しい。抗凝固療法が勧められる症例は「脳卒中リスクを伴う心房細動」であり、抗血小板薬併用療法が勧められるのは「PCI/Stent留置後」の症例である。抗凝固療法による重篤な出血合併症は年率2~3%であり、抗血小板薬併用療法による重篤な出血合併症は年率1%程度である。各々、単独でも100例のうち数例が重篤な副作用を起こす医療介入の決断は苦しい。PCI/Stent後は、1年以上→1年→6ヵ月と推奨期間が短縮しているので、絶対的な出血イベントリスクは減少している。脳卒中リスクは加齢と共に増加するので、一度抗凝固療法を始めてしまうと出血リスクを長期に引きずることになる。PCI/Stent後の抗血小板療法は、併用療法からクロピドグレルないし相同薬(プラスグレル、チカグレロル)単独への流れはあるが、抗血小板薬なしの選択は厳しい。「心房細動と脳卒中リスクを合併した」「PCI/Stent症例」では、一定期間のクロピドグレルないし相同薬を必須として、その後の併用薬を考えることになる。適応症のほかに医師の裁量を考えれば、日本には25 mgのクロピドグレルの錠剤がある。欧米と異なり、個別調整が可能である。プラスグレルの場合には、世界の1/3量が日本の推奨用量でもある。最小限の基盤治療さえ標準化できない状況でのランダム化比較試験の目的の設定は、きわめて困難である。 最近、悪者になりがちなワルファリンはPT-INRに応じた個別最適化が可能である。PT-INR 2~3を標的としたワルファリン治療を仮の標準治療として、各種NOACの開発試験が施行されたが、各種NOAC試験はINR 2~3を標的としたワルファリン治療による重篤な出血合併症が3%程度と、実臨床との解離を示した。実臨床では、PT-INR 2前後を標的とした医師もいれば、INR 1.6程度を標的とした医師もいる。アジア地区のPT-INRのコントロールは、実態として1.5~2程度であることも示されている1)。抗凝固薬のアームは、ワルファリンでも標的PT-INRの設定を標準化できない。抗血小板薬併用療法にて十分に出血イベントが起こることを経験している臨床医は、現実には低い標的PT-INRを設定していると想定されるが、実態のデータもない。過去に「標準治療」が確立されていない段階ではランダム化比較試験を施行しても、その結果を将来の「標準治療の転換」には利用できない。ヤンセン、バイエルが試験の「スポンサー」であるが、将来の「標準治療の転換」、適応拡大につながらない可能性のある試験への投資は難しかったと想定される。 抗血小板薬による出血リスクの増加を当然のこととして、抗凝固薬を減量するのは当然の発想である。しかし、ワルファリンではあえて、「脳卒中リスクを有する心房細動」にて十分に出血したPT-INR 2~3を標的とした。しかし、「スポンサー」が売っているリバーロキサバンは減量した。世界では「脳卒中リスクを有する心房細動」には20mgを使用するが、15mgに減量した。出血を恐れている以外の理由が考えられるだろうか? 出血を恐れるのであれば、なぜワルファリンのPT-INRの標的を下げなかったのであろうか? 日本では適応を取得していないが、欧州では過去のATLAS-TIMI 51試験の結果に基づき、2.5mg×2/日のリバーロキサバンが急性冠症候群に承認されている。急性冠症候群の心血管イベントが減少し、出血イベントは増えることが2.5mg×2/日のリバーロキサバンでも示されているので、この用量にて「脳卒中リスクを有する心房細動」の心原性脳血栓塞栓を予防できれば、そこには新規性がある。 筆者は「標準治療」が確立されていない領域での「仮の標準治療」設定時には、試験の最初から終了まで一貫して当初の仮定が「仮の標準治療」であることを、著者、読者、共に理解しなければならないと思う。本試験にて「仮の標準治療」とされた抗血小板薬併用療法とPT-INR 2~3を標的としたワルファリン治療の組み合わせは、一般的な「脳卒中リスクを有する心房細動」に「PCI/Stent」をするときに、INR 2~3を標的としたワルファリンと抗血小板薬併用療法を併用すると、臨床的に意味のある出血イベントが年率27%も起こるとされた。New Engl J Medのような一流雑誌であっても、「仮の標準治療」とされるべきPT-INR 2~3を標的としたワルファリンと抗血小板薬併用療法の併用を「standard of therapy」と記載している。確立された「標準治療」のない領域にて「仮の標準治療」を設定するのは危険である。本試験の結果を拡大解釈しないように賢く対応することが重要と、筆者は考える。

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LDL-C低下によるプラークの退縮はどこまで可能か?(解説:平山 篤志 氏)-624

 今回の米国心臓病学会のLate Braking Clinical Trialの目玉の1つである、GLAGOV試験の結果が発表された。 試験のデザインは、冠動脈疾患患者にスタチンが投与されていてLDL-C値が80mg/dLを超える患者を対象に、スタチン治療のみを継続する群(プラセボ群)と、スタチン治療に抗PCSK9抗体であるエボロクマブを追加投与する群(エボロクマブ群)で、LDL-C値の低下の違いにより血管内超音波で測定したプラーク体積(percent atheroma volume)の変化の差を検討するものであった。 LDL-C値は、プラセボ群で平均93.0mg/dL(ベースラインからの変化率は3.9%)、エボロクマブ群で平均36.6mg/dL(ベースラインからの変化率-59.8%)と有意な低下効果を認めた。1次エンドポイントであるプラーク量の変化率は、プラセボ群で0.05%、エボロクマブ群で-0.95%と両群間に有意な差を認めた(p<0.001)。 LDL-コレステロールによる低下で、プラークの退縮が認められるのは期待された結果であるが、その程度が0.95%で、期待されていたほどの退縮が認められなかったのは、少し残念な結果であった。というのも、スタチンを用いたこのグループのこれまでの試験から、おそらく2%以上の退縮が期待されたていたからである。退縮効果が少なかった理由として、かつての試験の時代より強力なスタチン治療がすでになされている患者が多いという背景の違いがあるかもしれない。ただ、プラークの退縮がこれまでの大規模臨床試験の結果を反映していたことを考えると、エボロクマブにはおそらくイベント低下効果はあるだろうが、大きな効果ではないかもしれないとの危惧を感じさせた。ただ、ベースラインのLDL-C値が70mg/dL未満の患者群で-1.97%のプラーク低下を認めたことは、ある意味では治療されていてもハイリスクの人たちに著明な効果があるのではという期待を抱かせる結果でもあった。 これらの患者群で、なぜ高度な退縮が認められたのか? 結果の解釈にはさらなる解析が必要だが、今後発表される大規模臨床試験がこの結果を反映したものになるのかを待ちたい。

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君やめたまふことなかれ【Dr. 中島の 新・徒然草】(148)

百四十八の段 君やめたまふことなかれある日の会話から。看護師「こないだ○○先生と話をしていたら、中島先生のことを言っておられましたよ」中島「へっ、何それ?」看護師「中島先生に『やめるな』と言われて、ずいぶん勇気づけられたって」そう言われて思い出しました。○○先生が手術した患者さんに合併症が生じたので、その事故調査委員会の1人として私が関わったのです。中島「手術はとくに問題なかったけど、○○先生はえらく落ち込んでいたからなあ」看護師「それで『やめるな』って言ってあげたんですか」中島「それが……実は覚えてないわけよ」看護師「覚えていないんですか!」中島「よく言うセリフやからな」看護師「あらまあ」何かあった時に、「もうメスを置きたい」と思うのも無理はありません。中島「合併症が起こったからといって手術をやめてしまったりしたら、今まで築いてきたものがパアになるし、社会にとっても大きな損失やろ」看護師「そうですね」中島「だから、できるだけやめないように言うわけよ」看護師「なるほど」もちろん改善策があるのなら、それを講じるのは当然です。中島「時々は、やめたほうがよさそうな人もおるのは事実や」看護師「ホントですか!」中島「人のアドバイスを全然受け入れない先生とかな」看護師「そんな時はどうするんですか?」中島「『あまり無理しないほうがいいのでは?』くらいのことは言うかな。あくまでも尋ねられた時だけやけど」看護師「なるほど」とはいえ、大部分の外科医は極めて謙虚な人たちです。たとえ手術でトラブルが起こったとしても、めげることなく精進を続けていただきたいと願っております。最後に1句事故調査 やめてはならんと 祈りつつ

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日本人統合失調症、外来と入院でメタボ率が高いのは:新潟大

 統合失調症患者は、一般よりも平均余命が有意に短く、肥満やメタボリックシンドロームにつながる可能性のある不健全な生活習慣の問題にしばしば直面する。統合失調症患者におけるメタボリックシンドロームの構成要素である肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病の有病率を明確にする必要があるが、日本における大規模調査は不十分であったことから、新潟大学の須貝 拓朗氏らが調査を行った。PLOS ONE誌2016年11月17日号の報告。 2012年1月~2013年7月に、日本精神病院協会の外来520施設、入院247施設を対象に、アンケートを用いて、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病の有病率を大規模に調査した。統合失調症の外来患者は7,655例、入院患者は1万5,461例であった。 主な結果は以下のとおり。・外来患者は、入院患者と比較し、肥満、高血圧、高トリグリセリド血症、高LDLコレステロール血症、糖尿病の有病率が有意に高かった。・低HDLコレステロール血症の有病率は、外来患者よりも入院患者で高かった。・年齢別分析では、外来患者の肥満、高血圧、高トリグリセリド血症、高LDLコレステロール血症、糖尿病の罹患率が、入院患者の2~3倍であることが示唆された。・60歳以上の患者では、外来患者の肥満および糖尿病の有病率が、入院患者の約3倍であった。 著者らは「日本人統合失調症の外来患者は、入院患者よりも肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの身体的リスクを有する可能性が高かった。統合失調症患者の身体的リスクは、ケアの種類などの環境パラメータにより影響を受ける可能性があり、より注意する必要がある」としている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者のMets有病率を調査:新潟大学 どのような精神疾患患者でメタボリスクが高いのか 非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か

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早期診断が重症化を遅らせるゴーシェ病

 11月29日、サノフィ株式会社は、都内において「ゴーシェ病」に関するメディアセミナーを開催した。セミナーでは、疾患の概要ならびに成人ゴーシェ病患者の症例報告が行われた。ゴーシェ病とは、ライソゾーム病の1つで、先天性脂質代謝に異常を起こすまれな疾患である。小児から成人まで、あらゆる年齢で発症する可能性があり、肝脾腫、貧血、出血傾向、進行性の骨疾患など重篤な全身性の症状を引き起こす。脾腫が触れ、血小板減少がみられたら想起して欲しい はじめに井田 博幸氏(東京慈恵会医科大学 小児科学講座 主任教授)が、「ゴーシェ病の診断と治療」と題し、疾患概要について説明を行った。 ゴーシェ病は、ライソゾーム病の1種であり、疫学的にはユダヤ人で多く報告されている(450~4,000人に1人)。わが国では、50~100万人に1人と非常にまれな疾患であるが、進行性かつ重症化する例が多い疾患であるという。 病型は、慢性非神経型のI型、急性神経型のII型、亜急性神経型のIII型の3型に分類され、とくに乳児に発生するII型は予後不良となる。わが国では、この3形態がほぼ同等数で発症している(他国では90%以上がI型発症)。 主な症状としては、肝脾腫、腹部膨満、貧血、出血傾向などの全身症状、ゴーシェ細胞の骨髄浸潤、骨量減少、骨壊死などの骨症状、精神運動発達遅滞・退行、後弓反張、咽頭痙攣などの神経症状(II型、III型)がある。 そして、診断では、スクリーニング検査として血液検査(血小板減少やヘモグロビン値低下)、画像診断(MRI所見で骨髄のまだら様所見など)、骨髄穿刺(ゴーシェ細胞の確認)が行われ、GBA(グルコセレブロシダーゼ)活性測定検査で活性低下、遺伝子検査で変異が確認されれば確定診断となるが、遺伝子検査は施設数の都合でほとんど行われていない。乳幼児発症例では、重症例が多いために疾患に比較的気付きやすいが、成人発症例では血液検査での血小板減少などで気付く場合が多い。「もし外来で肝脾腫や血小板減少を診断したら、本症も想起して欲しい」と井田氏はいう。 本症の治療としては、酵素補充療法と基質合成抑制療法が主に行われている。酵素補充療法では、イミグルセラーゼ(商品名:セレザイム)とベラグルセラーゼ(同:ビプリブ)の両剤が保険適用となっており、患者は2週間ごとに点滴を受ける。効果としては、肝脾腫の改善、貧血症状の改善、骨痛の改善などが認められる。たとえばイミグルセラーゼの効果をみてみると、肝脾腫では24週くらいから減少が認められ、96週時点で平均減少率は肝臓31%(n=15)、脾臓59%(n=16)となった。また、血液についてヘモグロビン値は、24週で平均値が12.2g/dLまで改善し、以降、400週以上にわたり良好な状態を維持しているほか、血小板数も16週で平均値が正常範囲16.1×104/mm3に達し、同じく400週以上にわたり良好な状態を維持している1)。 基質合成抑制療法は、エリグルスタット(同:サテルガ)が保険適用となっており、こちらは経口薬として同じく肝脾腫の改善、貧血症状などを改善する。その他、中枢神経症状の治療に向けて、シャペロン療法の研究が進められている。 最後に井田氏は、「ゴーシェ病は、多彩な症状を示すために、診断が遅れ、その結果病態が進行することがある。本症には、治療法があるので、早期診断、早期治療の意義をくんでもらいたい」とレクチャーをまとめた。ゴーシェ病の早期診断のために 次に原田 浩史氏(昭和大学藤が丘病院 血液内科 准教授)が、「血液内科が経験した成人ゴーシェ病患者」と題し、症例と血液内科の視点から本症の診断ポイントなどを解説した。 症例は、3歳でゴーシェ病(III型)を発症し、18歳のときに脾腫で受診した女性。このときに脾臓を摘出し、経過観察では骨病変が進行傾向であり、イミグルセラーゼ投与前は肝臓触知、両側難聴、両眼の外転障害、股関節痛の歩行障害、高γグロブリン血症など多彩な症状を呈していた。 その後、イミグルセラーゼ投与後、肝腫大、臨床検査所見の改善がみられたが、脾臓摘出のために大腿骨骨折などの骨病変の進行は続いた。早期に治療介入がなされていれば、虚血性骨壊死のリスクを低下させる2)ことが示唆された。 次に血液内科における、本症診療の現状について説明した。全世界の血液内科医/腫瘍内科医(n=406)に肝脾腫や血小板減少などの一定の症例を示し、どのような疾患を想起するかアンケートをとったところ、本症想起はわずか20%しかなかったという。多くは、白血病、リンパ腫を想起し、血液内科でも見逃し例が多いのではないかと示唆を与えた。実際、脾腫と血小板減少で血液内科を受診した成人男性196例を対象とした本症有病数調査によれば、7例(3.6%)がゴーシェ病と診断されたという3)。 最後に原田氏は、「ゴーシェ病は血液疾患と症状が似ているために、まだ診断されずにいる患者も推測される。患者に脾腫と血小板減少の症状がみられたら本症を考慮し、早期診療につなげてもらいたい。血液内科医の役割は重要である」とレクチャーを終えた。(ケアネット 稲川 進)参考文献1)井田博幸ほか. 小児科診療. 2013;76:1325-1334.2)Mistry PK, et al. Br J Haematol. 2009;147:561-570.3)Motta I, et al. Eur J Haematol. 2016;96:352-359.関連サイトLysoLife (ライソライフ)  参考サイト希少疾病ライブラリ ゴーシェ病

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