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双極性障害の入院、5~7月はとくに注意

 イタリア・トリノ大学のAndrea Aguglia氏らは、双極性障害患者における光周期の影響について検討を行った。Revista brasileira de psiquiatria誌オンライン版2017年6月12日号の報告。 イタリアの入院患者に焦点を当て、双極性障害患者を24ヵ月間にわたり追跡調査した。2013年9月~2015年8月までにイタリア・トリノ(オルバッサーノ)のSan Luigi Gonzaga Hospitalの精神科に入院したすべての患者より抽出した。患者背景および臨床データを収集した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は730例であった。・双極性障害患者の入院率に季節的なパターンは認められなかったが、最大日光曝露であった5、6、7月は有意に高かった。・躁病エピソードを有する患者は、うつ病エピソードを有する患者と比較し、春および光周期(の昼の長さ)が長い時に入院が多かった。 著者らは「光周期は、双極性障害の重要な要素であり、環境因子としてだけでなく治療中に考慮すべき臨床パラメータである」としている。■関連記事双極性障害、再入院リスクの低い治療はどれか双極性障害の診断遅延は避けられないのか出生地が双極性障害発症時期に影響

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ADTにアビラテロンの併用で、ホルモン療法未治療の前立腺がんの生存延長/NEJM

 新たに診断されたホルモン療法未治療の転移のある前立腺がん患者において、アンドロゲン除去療法(androgen-deprivation therapy:ADT)に、アンドロゲン合成酵素(CYP17)の選択的阻害薬であるアビラテロン酢酸エステル(アビラテロン[商品名:ザイティガ])とprednisoneを併用することにより、全生存期間(OS)と画像評価による無増悪生存期間(rPFS)が有意に延長することが示された。フランス・パリ第11大学のKarim Fizazi氏らが、34ヵ国235施設で実施された第III相国際共同無作為化二重盲検比較試験「LATITUDE」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2017年6月4日号掲載の報告。前立腺がん患者をADT+アビラテロン+prednisone群とADT+プラセボ群に割り付け LATITUDE試験の対象は、無作為化前の3ヵ月以内に新たに診断された転移のある前立腺がん患者で、18歳以上、EOCG PS 0~2、ハイリスク(Gleasonスコア8以上、骨病変3つ以上、測定可能な内臓転移のこれら3つのリスク因子のうち2つ以上を有する)の患者1,199例。被験者は、アンドロゲン除去療法+アビラテロン(1,000mg/日[250mg×4錠]、1日1回)+prednisone(5mg/日、1日1回)投与群(アビラテロン群)と、アンドロゲン除去療法+プラセボ投与群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目はOSおよびrPFSの2つで、Cox比例ハザードモデルを用いて解析された。ADT+アビラテロン+prednisone群で前立腺がん患者の死亡リスク38%低下 予定された1回目の中間解析(406例が死亡した後)は、追跡期間中央値30.4ヵ月で行われた。 OS中央値はADT+アビラテロン+prednisone群未達、ADT+プラセボ群34.7ヵ月で、ADT+アビラテロン+prednisone群において有意な延長を認めた(死亡のハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.51~0.76、p<0.001)。rPFS中央値も、ADT+アビラテロン+prednisone群33.0ヵ月、ADT+プラセボ群14.8ヵ月で、ADT+アビラテロン+prednisone群で有意に延長した(病勢進行または死亡のHR:0.47、95%CI:0.39~0.55、p<0.001)。また、疼痛増悪までの期間、次治療開始までの期間、化学療法開始までの期間、前立腺特異抗原(PSA)増悪までの期間(いずれもp<0.001)、症候性骨関連事象までの期間(p=0.009)のすべての副次評価項目についても、ADT+アビラテロン+prednisone群の結果が有意に良好であった。これらの結果から、独立データおよび安全性モニタリング委員会は、試験を非盲検化し、プラセボ群の患者にアビラテロンをクロスオーバー投与することを全会一致で推奨した。 安全性については、Grade 3の高血圧および低カリウム血症の有害事象の発現が、ADT+アビラテロン+prednisone群で多かった。 今回のアンドロゲン除去療法へのアビラテロン併用結果について著者は、「ホルモン療法未治療の転移のある前立腺がんに対する初回全身療法において、アンドロゲン受容体シグナル伝達のより効果的な阻害が、予後の改善につながるという仮説を支持するものであった」と述べている。

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出血か、血栓か:それが問題だ!(解説:後藤 信哉 氏)-690

 アスピリンは抗血小板薬として、心血管イベント後の2次予防に広く用いられている。安全性の高いアスピリンといえども、抗血小板薬なので重篤な出血イベントを惹起する。2次予防の症例であればアスピリンが惹起する出血よりも、アスピリンにより予防される血栓イベントの数が多いとの過去のランダム化比較試験が、2次予防の症例にアスピリンを使用する根拠であった。ランダム化比較試験に参加する症例は若い。世界は高齢化している。ランダム化比較試験ではメリットのほうが多いとされた2次予防の症例であってもアスピリンを長期服用すれば、ランダム化比較試験ではイベントの確認されていない「高齢者」になる。 英国には長期観察臨床データベースが多い。本研究も、一過性脳虚血発作、虚血性脳卒中、急性心筋梗塞後にアスピリンを開始した症例を長期観察している。開始時には、いずれの症例もアスピリンの適応であった。30日、6ヵ月、1年、5年、10年と観察するとイベントが起こる。英国では看護師の機能分化が進んで、臨床研究を主務とする看護師もいる。イベントの観察は医師または看護師によりなされた。 長期に観察すると患者は老いる。年間約3%が出血イベントを起こし、1.5%が重篤な出血イベントを起こした。75歳以上、85歳以上の症例では医療を要する出血、入院を要する出血ともに75歳以下の症例より増加した。高齢者の出血イベントとして消化管出血が多かったので、PPIにより予防できるかもしれない。日本ではアスピリン、PPIともに処方薬であるが、米国ではOTCとしてスーパーで売っている。一過性脳虚血発作、虚血性脳卒中、心筋梗塞などを発症したら、数年はアスピリンの服用に意味がある。服用開始5年、10年後にメリットを得ているのか、副作用のほうが多いのかは、正直わからない。多くのランダム化比較試験は2年程度の観察の結果に過ぎない。患者の高齢化、長期服用中の老化による条件の変化がリスク・ベネフィットに与える影響の定量評価が必要である。 比較的安全なアスピリンにて、開始時には血栓イベントリスクの高い症例であっても長期服用では出血が無視できないことを本研究は示した。アスピリン・クロピドグレルの抗血小板併用療法、抗凝固療法による出血イベントリスクはさらに大きい。抗血栓薬処方時には、その時の患者にとって「出血か、血栓か:それが問題だ!」との意識をもって診療に当たることが必須である。

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不遇上等!【Dr. 中島の 新・徒然草】(176)

百七十六の段 不遇上等!とあるパリの展覧会。展示された絵はセザンヌ、ドガ、モネ、ピサロ、ルノワール、シスレーなど、錚々たるメンバーによるもの。値段をつけるなら、その総額は1000億円をくだらないという大変なものでした。それは1874年の第1回印象派展です。当時、ヨーロッパで最も権威ある展覧会「サロン・ド・パリ」に相手にされなかった若者たちが、「ちっくしょう、それなら自分達で好きに絵を描いて展覧会をしてやるわい!」と作品を持ち寄っておこなったものでした。美術に疎い私でも名前を知っている超一流の画家たちが、その昔は世の中に認められず、貧乏のどん底の中でパリのカフェ・ゲルボアに入り浸ってはくだを巻いていた、というのは面白い話です。彼らの絵もたまに「サロン」に当選するものの、その他大勢扱いもいいところでした。なんとルノワールの作品ですら、ごみために展示されていたそうな。嗚呼!その若者たちが審査も報酬もない自由な展覧会をやろうと思うに至ったのは当然のことで、入場料はたったの1フランだったそうです。しかし、パリのキャプシーヌ大通りの狭い部屋で行われた第1回印象派展は評論家たちに酷評されてしまいました。というのは、彼らの画法は伝統的なそれを全く無視したものだったからです。激しい批判にさらされながらも1886年に至るまで合計8回の展覧会を開催した印象派の、その後の快進撃は誰もが知るところ。そのような歴史や人間模様を知った上で、あらためて印象派の絵を眺めると味わい深いものがあります。たとえ権威に理解されなくても、自分の思う通りの絵を描き続けた若者たちの心意気が伝わってくるからでしょう。それだけでなく、彼らの作品は現代日本のアニメーションにも影響しているような気がします。クロード・モネの「日傘をさす女」を見ると、私が連想するのは最近の映画「君の名は。」の数々のシーンです。また、宮崎駿の「風立ちぬ」にも似た構図をみつけることができます。もし私が150年前のカフェ・ゲルボアに現れて、「モネくん、君の作品は50億円で売れるばかりか、形をかえて未来の異国にも登場するぞ! ルノワールくんの方は160億円だ。ごみために展示した馬鹿を許してやってくれ」と教えてあげたら、さぞかし面白いでしょうね。我々も、置かれた状況は人それぞれではありますが、印象派の若者たちを見習い、自らの信ずる道を突き進みましょう。最後に1句君の名は。 印象派だよ、と モネが言う※ 本文中の第1回印象派展の記述については主に「逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密」マルコム・グラッドウェル(講談社)の電子書籍版を参考にしています。

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ペムブロリズマブ、尿路上皮がんの優先審査対象に指定:MSD

 MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下MSD)は、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の局所進行性または転移性の尿路上皮がんに対する効能・効果について、2017年6月22日に厚生労働省より優先審査に指定されたことを発表。 ペムブロリズマブは、2017年4月28日に局所進行性または転移性の尿路上皮がんに対する効能・効果の製造販売承認事項一部変更承認申請を行っていた。 尿路上皮がんは、尿路上皮から生じる腫瘍の総称であり、膀胱がん、腎盂がん、尿管がんおよび尿道がんを含む。また、尿路上皮がんのうち膀胱がんが大部分を占めている。本邦での膀胱がんの推定総患者数(有病者数)は約6万6,000人、2015年の推定新規患者数(罹患者数)は約2万1,000人であり、罹患率は増加している。■参考MSD株式会社ニュースリリース

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リスペリドンと低力価抗精神病薬の併用、相互作用を検証

 ドイツ・アーヘン工科大学のMichael Paulzen氏らは、リスペリドン(RIS)の代謝に対する低力価抗精神病薬の影響をin vivoで調査した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年6月2日号の報告。 1,584例を対象に、RISおよび代謝産物9-OH-RISの血中濃度を含む、治療薬モニタリングデータベースを分析した。RIS群(842例)およびchlorprothixene併用群(67例)、レボメプロマジン併用群(32例)、melperone併用群(46例)、ピパンペロン併用群(63例)、prothipendyl併用群(24例)を比較した。RIS、9-OH-RIS、活性物(RIS+9-OH-RIS:AM)の血中濃度、用量調節血中濃度(C/D)ならびに代謝比(9-OH-RIS/RIS:MR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・AMとRISにおいて、血中濃度の差異が認められた。・ペアワイズ比較では、RISの血中濃度は単独療法群よりも併用療法群で有意に高かった。・chlorprothixene併用群およびprothipendyl併用群では、ほかと差がないことが確認された。・レボメプロマジン併用群およびmelperone併用群では、AMとRISの血中濃度およびC/Dは高かったが、MRは低かった。・ピパンペロン併用群では、RISのC/D値が高く、MRが低かった。 著者らは「RISの代謝変化は、レボメプロマジンおよびmelperoneの薬物相互作用を示唆している。ピパンペロン併用群では、MRが低く、RISの血中濃度およびC/Dレベルが高いほど潜在的な相互作用が示唆される」としている。■関連記事抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析抗精神病薬の副作用、医師にどれだけ伝えられているか:藤田保健衛生大抗精神病薬多剤併用大量療法と関連するペントシジン:順天堂大

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アミロイドβ蛋白が高いと認知機能低下リスクが高い/JAMA

 認知機能が正常でも、アミロイドβ蛋白値が高い人は正常値の人に比べ、認知機能低下リスクが高いことが示された。中央値3.1年の追跡調査の結果、アミロイドβ蛋白値が高い群で、ミニメンタルステート検査(MMSE)など3つの認知機能のスコアについて有意な低下が認められたという。米国・南カリフォルニア大学のMichael C. Donohue氏らが、認知機能の正常な445例を対象に、探索的データ解析を行い明らかにしたもので、JAMA誌2017年6月13日号で発表した。アミロイドβ蛋白値に応じて正常群とアミロイド上昇群に分けて分析 研究グループは2005年8月23日~2016年6月7日にかけて、国際プロジェクト「アルツハイマー病神経画像戦略(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative:ADNI)」に参加する米国およびカナダの83施設で、認知機能が正常な445例についてアミロイドPET検査またはヒト脳脊髄液分析でアミロイドβ蛋白値を測定し、追跡調査を行った。 被験者をベースラインのアミロイドβ蛋白値に応じて、正常群(243例)とアミロイド上昇群(202例)に分け、認知機能低下リスクとの関連を分析した。 主要評価項目は、複合的な認知機能尺度のPreclinical Alzheimer Cognitive Composite(PACC:ベースライン時標準化zスコア計は4、認知機能低下とともにスコアも低下)、ミニメンタルステート検査(MMSE:最低点0~最高点30)、臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes[CDR-SB]:最高0点~最低18点)、ロジカルメモリの遅延再生検査(Logical Memory Delayed Recall[LMDR]:story unit数が最低0~最高25)のスコアだった。 被験者の平均年齢は74.0歳、平均教育年数は16.4年、女性は52%だった。アミロイドβ蛋白値の上昇群でいずれの認知機能スコアも有意に悪化 追跡期間中央値は3.1年(四分位範囲:2.0~4.2年、最長10.3年)。ベースラインの平均PACCスコアは0.00、平均MMSEスコアは29.0、CDR-SBは0.04、LMDRは13.1だった。 アミロイド上昇群は正常群に比べ、4年後の認知能力スコアは低かった。具体的に、アミロイド上昇群と正常群の平均スコア差は、PACCが1.51点(95%信頼区間[CI]:0.94~2.10、p<0.001)、MMSEが0.56点(95%CI:0.32~0.80、p<0.001)、CDR-SBが0.23点(95%CI:0.08~0.38、p=0.002)だった。LMDRスコアについては、両群で有意差はなく、平均スコア差は0.73(95%CI:-0.02~1.48、p=0.056)だった。 結果について著者は、「所見の臨床的重要性が不明である」として、各評価尺度で示された差の臨床的重要性に関する評価と、より長期にわたる関連性を調べる必要があるとまとめている。

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米国内科専門医試験、出題内容と実臨床の一致率は約7割/JAMA

 米国で内科医の資格を得るには、米国内科試験委員会(American Board of Internal Medicine:ABIM)の認定資格維持(Maintenance of Certification:MOC)試験に合格することが必須である。その出題内容について、実際に内科医が遭遇する割合は、およそ7割であることが、米国・ABIMのBradley Gray氏らが行った検討で明らかにされた。結果について著者は、「現行の内科(IM)-MOC試験内容は、実際の診療内容を反映した妥当なものと言えるが、31%の設問が実態と合致しておらず、この点については改善の余地がある」とまとめている。JAMA誌2017年6月13日号掲載の報告。全米外来診療調査と全米退院調査を基に、実際の診療内容を調査 研究グループは、2010~13年のIM-MOC試験の内容について、出題された設問のうち、糖尿病、虚血性心疾患、肝臓病といった186カテゴリーの病状に関するものが、実際の外来・入院患者の診療において内科医が遭遇する状況と、どの程度合致するのかを検証した。 全米の状況を反映する一般内科の診療内容については、2010~13年の全米外来診療調査(National Ambulatory Medical Care Surveys)の1万3,832件の主診断と、2010年の全米退院調査(National Hospital Discharge Survey)の10万8,472件の主診断を活用した。 IM-MOC試験に出題された病状のうち、一般内科医が実際に遭遇した病状との一致率を算出した。外来診療のみでは約6割、入院診療のみでは約4割の一致 2010~13年のIM-MOC試験で出題された問題数は合計3,600題だった。そのうち、186の病状カテゴリーに関連した設問は3,461題(96.1%)だった。症状カテゴリー当たりの平均設問数は18.6題。 出題された3,461題のうち、実際の外来・入院患者の診療内容と一致したのは2,389題(158病状カテゴリー)だった(69.0%、95%信頼区間[CI]:67.5~70.6)。 個別にみると、外来診療のみでは、実際の診療内容と一致したのは2,010題(145病状カテゴリー)で一致率は58.08%(95%CI:56.43~59.72)。入院診療のみでは1,456題(122病状カテゴリー)で一致率は42.07%(同:40.42~43.71)だった。

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肥満高齢者に対するダイエット+(有酸素運動+筋トレ)併用療法はフレイル防止に有効 ?(解説:島田 俊夫 氏)-689

 肥満治療をダイエットのみで行えば高齢者では筋肉、骨量の減少を加速し、サルコペニア、オステオペニアが生じやすい。肥満は一般集団では多数の疾患の危険因子となる1)一方で、高齢者では肥満パラドックス2)が注目を浴びている。それゆえ過度な減量を避け、食事・運動療法を適宜組み合わせ、体力・筋力温存維持に努めることが健康寿命の延長につながる。本研究はDennis T. Villareal氏らによるNEJM誌2017年5月18日号に掲載された、高齢者肥満治療の重要ポイントを指摘した興味深い論文である。方法:160人の肥満高齢者を対象とした臨床試験で、体重減量により生じるフレイルや筋肉・骨量の減少を防ぐために複数の運動モデルの効果が試された。参加者は4群からなり、体重調整プログラム3群([1]有酸素運動プログラム、[2]筋肉トレーニング・プログラム、[3]両者の併用プログラム)と、コントロール群(ダイエット、運動療法なし)に無作為に割り付けた。 主要評価項目はベースラインから6ヵ月間の身体機能検査スコアの変化(スコア範囲:0~36、高スコアはより良好な機能を示す)、副次評価項目は他のフレイル尺度、身体成分、骨密度、身体機能の変化とした。結果:全体で141人(88%)が研究を完遂した。身体スコアは、有酸素運動群(29.3から33.2点に)、筋トレ単独群(28.8から32.7点に)ともに14%増加した。併用群は21%(27.9から33.4点に)と大幅に増加した(いずれもボンフェローニ補正後、p=0.01およびp=0.02)。同スコアは運動実施群すべてで対照群よりも大幅に増加した(いずれの群間比較においてp<0.001)。最大酸素消費量(mL/kg/分)は併用群17%(17.2から20.3に)、有酸素運動群18%(17.6から20.9に)で、筋トレ群8%(17.0から18.3に)に比べ大幅に増加した(両方ともp<0.001)。筋力は有酸素運動単独群で4%(265から270kgに)と小幅な増加にとどまったが、併用療法群18%(272から320kgに)、筋トレ群19%(288から337kgに)はともに大幅に増加した(両方の比較に対してp<0.001)。体重はすべての運動実施群で9%減少したが、対照群では有意な体重変化はなかった。股関節骨密度(g/cm2)も同様に、併用療法群1%(1.010から0.996に)、筋トレ群0.5%(1.047から1.041に)と両群で減少するも、有酸素運動群の3%(1.018から0.991に)と比較し減少の程度は軽かった。また、除脂肪体重も併用療法群3%(56.5から54.8kgに)、筋トレ群2%(58.1から57.1kgに)と両群で減少したが、有酸素運動群5%(55.0から52.3kgに)の減少と比べ、わずかな減少にとどまった(すべての比較に対してp<0.05)。 運動に関連した有害事象は筋・骨格障害などが報告された。コメント:本論文でダイエット+(有酸素運動+筋トレ)併用運動療法群が高齢肥満者のダイエット単独治療の問題点であるサルコペニアやオステオペニアを防止しながら適切な肥満是正可能な治療法だと報告した。著者の結論に賛同したいが症例数が少なく、症例の偏りもあり結論を一般化するには症例の蓄積が必要と考える。また、高齢者では潜在的心疾患患者が含まれる可能性も高く、運動療法中の事故を回避するため治療前リスク評価は必要不可欠である。日常生活に今回の結論をうまく取り入れれば高齢者を脅かす認知障害、フレイルを含む生活習慣病対策になるかもしれない。 ■参考1)Calle EE, et al. N Engl J Med. 1999;341:1097-1105.2)Oreopoulos A, et al. Clin Geriatr Med. 2009;25:643-659.

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DASHダイエットは、痛風・高尿酸血症にも有効な「長生きダイエット」!(解説:石上 友章 氏)-688

 高血圧は、生活習慣病の代表的な疾患であり、重要な心血管リスクである。本邦では4,000万人が罹患している、国民病といっていい疾患である。生活習慣病というくらいなので、実のところ適切な生活習慣を守れば、血圧を上げることもなく、医師や降圧薬の厄介になる必要もなくなる可能性がある。医療費が増え続けるといっても、その源が、日々の乱れた食生活にあるのであれば、国をあげて節制すれば、医療費も節約できるはずだ。 こうした考えで、米国保健福祉省の国立衛生研究所に属する国立心肺血液研究所(NHLBI)が、高血圧を予防し治療するために推奨している食事療法が、DASHダイエットである。DASHダイエットのDASHは、Dietary Approaches to Stop Hypertensionの頭文字からとられているように、「高血圧」対策のための食事療法である。DASH食の中身は、果物、野菜、ナッツ・豆類、低脂肪乳製品、全粒穀類を多く摂取し、塩分、砂糖などで甘くした飲料、赤身や加工肉の摂取を抑えた食事で、とくにレシピの指定はなく、食材を選択することが勧められている1)。 米国・マサチューセッツ総合病院のSharan K. Rai氏らは、2017年5月9日号のBMJ誌に掲載した論文で、DASHダイエットが、高血圧のみならず、痛風・高尿酸血症の抑制にも効果があることを報告している。健康な生活を送る秘訣は、食生活にあった。この当たり前のようにもみえる研究は、実に26年間もの長期にわたる観察研究の成果である。26年間、1年おきに律儀にアンケート調査に答えた44,444人の参加者(男性の医療関係者)に、深甚なる敬意を表したい。 稲作や、牧畜が人類にもたらした恩恵は、計り知れない。定住と、食の供給を安定させることで、今日の人類の繁栄の礎となったのは、間違いない。しかし、より健康に、より長く生きて過ごしたいのであれば、穀類の精製をやめ、狩猟採集民の食生活に合わせることが必要らしい。直近のBMJ誌で、高尿酸血症が、腎結石と痛風以外に確実なヘルスケアアウトカムには影響を与えなかったと報告されている2)。両論文を合わせてご覧になると、理解が深まるかもしれません。

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「夏場に太りやすい」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第6回

■外来NGワード「夏場は少しくらい痩せるものですよ」「普通、冬に体重は増えるものですよ」「冷たいものばかり、飲んでいるからじゃないですか!」「家の中で何か運動しなさい!」■解説 一昔前は「冬になると太るが、夏になると痩せる」と言われていましたが、最近では「夏場に太る」という患者さんも出てきました。その原因として、暑さのためにビールなどのアルコール飲料やジュース類の摂取が増えること、運動不足になることが、容易に想像できます。そのほかの原因としては、食生活の変化が考えられます。そうめん、冷ややっこ、スイカなど、あっさりとしているようで意外と高カロリーな食品の摂り過ぎです。以前は夏バテしている人も多かったのですが、元気な人は夏になっても食欲が落ちません。まずは、「夏に強い」ことを褒めてあげたいものですね。また、最高気温が27℃以上になるとアイスクリームがよく売れると言われていますが、寝る前にアイスクリームを食べる習慣の患者さんがいます。内臓脂肪の蓄積には、アイスクリームやジュースの多食多飲が関係しているとの報告もあります。患者さんの夏場の食生活を確認した後で、夏場の体重増加予防対策を、患者さんと一緒に立てることができるようになるといいですね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師検査結果が少し悪くなってきたようですね患者やっぱり…夏になると体重が増えてきて…。医師なるほど。この暑さで夏バテする人も多いですが、暑くても何でも食べることができるのは元気な証拠ですね(ポジティブに対応)。患者ハハハ。けど、この体重を何とかしないと…。医師そうですね。夏場に太りやすい人には特徴があるんですよ(前置きをする)。患者それはどんな特徴ですか?(興味津々)医師普段と比べて、食べるものが変わります。それも特徴的なものがあるんです。患者とくに変わっていないと思うんですけど…(気付いていない発言)。医師なるほど。暑くなると、食べたくなるものはありませんか?患者そうですね。暑いのであっさりしたものが欲しくなりますね。そうめんとか。医師そうめんは、のどごしも良いので食べ過ぎてしまいますね。患者家族にも人気ですし、簡単に作れるので、昼に2~3束食べることがあります。医師そうめんは4/5束でごはん1杯くらいのカロリーがあります(ご飯に換算)。そうすると、ご飯2~3杯くらいになるかもしれませんね。患者えっ、そんなにあるんですか(驚きの声)。食べ過ぎですね(気付きの言葉)。ほかにも気を付けたほうがいいものはありますか?医師あっさりしているのに、意外とカロリーが高いものは要注意です!患者それは何ですか?医師たとえば、冷ややっこやスイカ、それに入浴後につい食べたくなるアイスにも要注意ですね。患者あと、ビールですね。いつもより1缶増えています。夏に太る原因がよくわかりました。これからは気を付けます(うれしそうな顔)。■医師へのお勧めの言葉「夏場に太りやすい人には特徴があるんですよ」

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アビラテロンの早期追加でホルモン未治療前立腺がんの予後改善/NEJM

 局所進行・転移性前立腺がんの治療において、アンドロゲン除去療法(ADT)にアビラテロン酢酸エステル(商品名:ザイティガ)(以下、アビラテロン)+プレドニゾロンを併用すると、ADT単独に比べ全生存(OS)率および治療奏効維持生存(failure-free survival:FFS)率が有意に改善することが、英国・バーミンガム大学のNicholas D. James氏らが行ったSTAMPEDE試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月3日号に掲載された。アビラテロン+プレドニゾロンの早期併用の有効性を検討 アビラテロンは、精巣や副腎、前立腺の腫瘍組織におけるアンドロゲンの産生に重要な役割を担う酵素であるCYP17を選択的かつ不可逆的に阻害する。CYP17の阻害とADT(精巣摘除術、GnRHアゴニスト、GnRHアンタゴニスト)の併用は、外科的去勢術単独やGnRHアナログ単独よりも効果的にアンドロゲンを除去するという。 研究グループは、長期ADTを開始した男性におけるアビラテロン+プレドニゾロンの早期併用の有効性を検討した(英国がん研究所などの助成による)。 対象は、新規に診断された転移性、リンパ節転移陽性、高リスク局所進行性の前立腺がん患者、または根治的前立腺摘除術あるいは放射線療法後に再発した高リスク病変を有する前立腺がん患者であり、割り付け前の12週以内に長期ADTの開始が予定されている者とした。 被験者は、ADTにアビラテロン(1,000mg/日)+プレドニゾロン(5mg/日)を併用する群(アビラテロン併用群)またはADT単独群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。ADTは2年以上行うこととし、非転移性病変の患者のうちリンパ節転移陰性例は放射線治療を必須とし、陽性例には奨励とした。アビラテロン併用群に960例、単独群に957例 転移性病変および放射線治療が予定されていない非転移性病変の患者は、画像評価・臨床評価・前立腺特異抗原(PSA)で病勢進行と判定されるまで治療を継続し、放射線治療が予定されている非転移性病変の患者は、2年間または病勢進行のいずれかまで治療が継続された。 主要評価項目はOS率、中間的主要評価項目はFFS(初回治療不成功[treatment failure]までの期間)であった。治療不成功は、PSAで評価した生化学的治療不成功、局所・リンパ節・遠隔転移病変の進行、前立腺がん死と定義した。 2011年11月~2014年1月に、英国の111施設とスイスの5施設に1,917例が登録され、アビラテロン併用群に960例が、単独群には957例が割り付けられた。 ベースラインの全体の年齢中央値は67歳、PSA中央値は53ng/mLであった。転移性病変が52%、リンパ節転移が陽性または不明の非転移性病変が20%、リンパ節転移陰性の非転移性病変が28%で、95%が新規に診断された患者であった。フォローアップ期間中央値は40ヵ月だった。アビラテロン併用群の3年OS率は有意に優れた アビラテロン併用群の184例、単独群の262例が死亡した。3年OS率はそれぞれ83%、76%であり、アビラテロン併用群が有意に優れた(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.52~0.76、p<0.001)。また、転移性病変(0.61、0.49~0.75)では、アビラテロン併用群のOS率が有意に良好であったが、非転移性病変(0.75、0.48~1.18)では両群に差はみられなかった。 アビラテロン併用群で248件、単独群で535件の治療不成功イベントが発生した。3年FFS率はそれぞれ75%、45%であり、アビラテロン併用群が有意に良好であった(HR:0.29、95%CI:0.25~0.34、p<0.001)。また、転移性病変(0.31、0.26~0.37)および非転移性病変(0.21、0.15~0.31)のいずれにおいても、アビラテロン併用群のFFS率が有意に優れた。 3年無増悪生存(PFS)率は、アビラテロン併用群が80%、単独群は62%(HR:0.40、95%CI:0.34~0.47、p<0.001)、3年時に症候性骨関連事象(SSE)がみられない患者の割合は、それぞれ88%、78%(0.46、0.37~0.58、p<0.001)であり、いずれもアビラテロン併用群が有意に優れた。 Grade 3~5の有害事象は、アビラテロン併用群の47%(Grade 5は9例)、単独群の33%(Grade 5は3例)に認められた。内訳は、内分泌障害がそれぞれ14%、14%、心血管障害が10%、4%、筋骨格系障害が7%、5%、肝障害が7%、1%、消化器障害が5%、4%などであった。 なお、本研究にはmultigroup, multistage(multiarm, multistage[MAMS]ともいう) platform designと呼ばれる試験デザインが用いられた。著者は、「単一の試験プラットフォーム内で多数の課題への取り組みが可能であり、対照群を効率的に活用できる。15年で、1つのプロトコルによって10以上の主要課題への答えが得られる予定である」としている。

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緑内障手術、線維柱帯切除術 vs.低侵襲ステント留置

 近年、緑内障手術ではステント状のデバイスを埋め込む低侵襲の手術が注目され、海外ではさまざまなデバイスが開発されている。カナダ・トロント大学のMatthew B. Schlenker氏らは、ab interno(眼の内側からの)ゼラチンマイクロステント留置の有効性および安全性について、線維柱帯切除術と比較する国際多施設後ろ向き介入コホート研究を行い、両者の間で失敗のリスクや安全性プロファイルに大きな差はないことを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2017年6月7日号掲載の報告。 研究グループは、2011年1月1日~2015年7月31日の間に、カナダ・トロント、ドイツ・フランクフルト、オーストリア・ザルツブルグ、ベルギー・ルーヴェンの4つの大学病院において、マイトマイシンC併用ab internoゼラチンマイクロステント留置、またはマイトマイシンC併用線維柱帯切除術を受けた、過去に切開手術の既往歴のないコントロール不良の緑内障患者連続症例354眼293例(マイクロステント185例、線維柱帯切除術169例)について、解析した。 主要評価項目は、失敗のハザード比(HR:失敗は、2回の連続した測定で眼圧低下<6mmHg、視力障害を伴う、と定義)、またはクリニックでの穿刺を含む介入にもかかわらず、手術後1ヵ月以上の時点で薬物療法を行うことなく眼圧>17mmHg(完全成功)の割合であった。副次評価項目は、眼圧閾値が6~14mmHg、6~21mmHgまたは薬物療法を受けた場合と同じ値(条件付き成功)の割合、介入、合併症、そして再手術率とした。 主な結果は以下のとおり。・マイクロステント群で、男性が多く(56% vs.43%)、年齢が若く(平均年齢-3歳)、術前視力が良好で(0.4logMAR以下の割合が22% vs.32%)、線維柱帯形成術の割合が多かった(52% vs.30%)が、ベースラインにおけるそれ以外の患者背景は類似していた。・マイクロステント失敗の線維柱帯切除術に対する補正HRは、完全成功に関して1.2(95%信頼区間[CI]:0.7~2.0)、条件付き成功に関して1.3(95%CI:0.6~2.8)、その他の評価項目に関しては類似していた。・25%失敗までの時間は、完全な成功に関してマイクロステントで11.2ヵ月(95%CI:6.9~16.1)、線維柱帯切除術で10.6ヵ月(95%CI:6.8~16.2ヵ月)、条件付き成功に関して、それぞれ30.3ヵ月(95%CI:19.0~未到達)と33.3ヵ月(95%CI:25.7~46.2ヵ月)であった。・概して、白人には失敗のリスク減少との関連があり(補正HR:0.49、95%CI:0.25~0.96)、糖尿病は失敗のリスク増加と関連していた(補正HR:4.21、95%CI:2.10~8.45)。・マイクロステントと線維柱帯切除術で、介入がそれぞれ114件および162件、穿刺施行が43%および31%あり、線維柱帯切除術眼の50%はレーザー縫合糸切離を受けた。・合併症は、それぞれ22件および30件認められたが、ほとんどは一過性であった。・再手術率は、それぞれ10%および5%であった(p=0.11)。

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CANVAS Program が示した1つの回答

 2017年6月23日、都内にて「Diabetes Update Seminar~糖尿病治療における脳・心血管イベントに関する最新研究~」と題するセミナーが開かれた(主催:田辺三菱製薬株式会社)。 演者である稲垣 暢也氏(京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 教授)は、ADAにて発表されたCANVAS Programの結果を受け、「SGLT2阻害薬の脳・心血管イベントに対する有効性が、クラスエフェクトである可能性が高まった」と述べた。 以下、セミナーの内容を記載する。EMPA-REG OUTCOMEが残した臨床的疑問 糖尿病患者の脳・心血管イベント発症リスクは、高いことが知られている。Steno-2研究により血糖値だけではなく、血圧、脂質といった包括的なリスクを管理する重要性が示されているが、3つの検査値すべてが目標値まで管理されている患者は20.8%1)との報告もあり、リスク管理は困難なのが実情だ。糖尿病治療におけるイベント抑制は、継続的課題であった。 そんな中、EMPA-REG OUTCOMEが発表され、SGLT2阻害薬による脳・心血管イベント抑制作用に大きな注目が集まった。一方で、「EMPA-REG OUTCOMEでのイベント抑制作用がエンパグリフロジン独自の作用なのか、それともSGLT2阻害薬によるクラスエフェクトなのか」といった臨床的疑問は残されたままであった。CANVAS Program による1つの回答 CANVAS Programは、この疑問に1つの回答を出した。 6月12日、ADAでCANVAS Programの結果が発表され、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが脳・心血管イベント発症リスクを低減させる2)ことが示された。CANVAS Programは、30ヵ国、心血管疾患リスクが高い2型糖尿病の患者1万142例を対象にした、2つのプラセボ対照無作為化比較試験「CANVAS」「CANVAS-R」の統合解析プログラムである。 基本とする患者背景はEMPA-REG OUTCOMEと同様だが、大きな違いとして、CANVAS Programには脳・心血管疾患の既往のない患者が3分の1ほど含まれている。 CANVAS Programは被験者を無作為に2群に割り付け、カナグリフロジン(100~300mg/日)またはプラセボをそれぞれ投与し、平均188.2週間追跡した。主要評価項目は、MACE(脳・心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)の発症リスクであった。 この結果、SGLT2阻害薬カナグリフロジンの投与は、主要評価項目の心血管リスクを約14%と有意に低減した。演者の稲垣氏は、EMPA-REG OUTCOMEでCANVAS Programと同様の試験結果が示されていることを受け、「脳・心血管イベントに対する有効性は、SGLT2阻害薬によるクラスエフェクトである可能性が高まった」と述べた。安全性に関する継続的な検証が必要 安全性についてCANVAS Programでは、カナグリフロジン投与により、性器感染症などの既知のSGLT2阻害薬による有害事象の増加が認められたほか、下肢切断リスクを2倍程度増加させることが明らかにされた。重回帰分析の結果、下肢切断リスクは、下肢切断既往、末梢循環疾患既往、男性、神経障害、HbA1c>8%といった因子で高まることから、リスクが高い患者では予防的フットケアなどが求められる。なお、下肢切断リスク増加のメカニズムは不明で、これがクラスエフェクトかドラッグエフェクトかは現時点では判断できない。日本国内における糖尿病足潰瘍の年間切断率は0.05%であり、欧米とアジア人との発生率の違いも含め、今後さらなる解析が待たれる。腎保護作用とSGLT2阻害薬 興味深いことに、CANVAS ProgramとEMPA-REG OUTCOMEの脳・心血管複合イベントリスクの低下率は14%と同じ数値が示されている。SGLT2阻害薬は、尿糖やナトリウムの排泄を促すことで腎保護作用を高める。腎保護作用は脳・心血管イベント抑制にも好影響をもたらすと期待されることから、SGLT2阻害薬による腎保護作用の可能性については、さらなる検証が必要といえるだろう。 カナグリフロジンでは、糖尿病性腎症の進行抑制を期待した国際共同試験「CREDENCE試験」も開始されている。演者の稲垣氏は、「透析患者は増え続けている。進行中のCREDENCE試験の結果にも期待したい」と述べ、講演を終えた。

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うつ病患者へのベンゾジアゼピン併用、リスクとベネフィットは

 ベンゾジアゼピン(BZD)は、うつ病患者に対し、より早期に抑うつ症状を改善したい場合や不安症状を軽減したい場合に短期間用いられ、抗うつ薬治療の継続を改善する。しかし、ベンゾジアゼピンは、数週間の使用でも依存性を含むリスクと関連している。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のGreta A. Bushnell氏らは、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用の傾向を調査するため、抗うつ薬を服用しているうつ病成人を対象に、併用期間の評価、長期ベンゾジアゼピン使用の推定および、その決定要因の検討を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2017年6月7日号の報告。うつ病患者のベンゾジアゼピン併用処方には慎重な検討が必要 このコホート研究には、US commercial claims databaseを用いた。2001年1月~2014年12月に抗うつ薬療法を開始した成人うつ病患者(18~64歳)のうち、診断の前年に抗うつ薬またはベンゾジアゼピンを使用していなかった患者を対象とした。併用処方の定義は、新規抗うつ薬処方と同日に新規ベンゾジアゼピンの処方を行った場合とした。主要アウトカムは、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用処方率および併用期間の6ヵ月継続率とした。 うつ病患者の抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用の傾向を調査した主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬治療を開始した成人うつ病患者76万5,130例(年齢中央値:39歳、四分位範囲:29~49歳、女性:50万7,451例[66.3%])のうち、ベンゾジアゼピンの併用処方を行った患者は、8万1,020例(10.6%)であった。・2001~14年までの併用処方開始率の平均年増加率は、0.49%であった(95%CI:0.47~0.51%)。2001年の6.1%(95%CI:5.5~6.6%)から、2012年には12.5%(95%CI:12.3~12.7%)と増加したが、2014年は11.3%(95%CI:11.1~11.5%)と落ち着いていた。・同様の所見は、年齢層および医師のタイプによって明らかであった。・抗うつ薬治療期間は、併用処方患者と非併用処方患者で同様であった。・併用処方患者のうち、12.3%(95%CI:12.0~12.5%)は長期間ベンゾジアゼピンを使用していた(64.0%は初期に中止)。・長期ベンゾジアゼピン使用の決定要因は、ベンゾジアゼピン初期投与の長さ、長時間作用型ベンゾジアゼピンを初回に処方、最近のオピオイド処方であった。 著者らは「抗うつ薬治療を開始したうつ病患者では、10人に1人の割合でベンゾジアゼピン併用処方を行っていた。6ヵ月後の抗うつ薬治療に、有意な差は認められなかった。ベンゾジアゼピンに関連するリスクを考えると、抗うつ薬治療開始時のベンゾジアゼピン併用処方には、慎重な検討が必要である」としている。■関連記事ベンゾジアゼピンと認知症リスク~メタ解析うつ病患者のベンゾジアゼピン使用、ミルタザピン使用で減少:千葉大ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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遺伝性血管性浮腫〔HAE:Hereditary angioedema〕

1 疾患概要■ 概念・定義遺伝性血管性浮腫(HAE)は、顔面や四肢、腸管や喉頭など全身のさまざまな部位に突発性、一過性の浮腫を生じる遺伝性疾患である。気道閉塞や激烈な腹痛を生じて重篤になりうるため希少疾患ではあるが見逃してはならない。従来、C1インヒビター(C1-INH)遺伝子異常によるHAE I型、II型が知られていたが、2000年にC1-INH遺伝子に異常を認めないHAE with normal C1-INH(HAEnC1-INHあるいはHAE III型)が報告された。HAEは常染色体優性遺伝形式をとるが、HAE III型では浸透率が低く、しかも発症するのはほとんど女性である。またHAE I/II型では家族歴のない孤発例も25%で認められる。孤発例はde novoの遺伝子異常症である1)。HAEにみられる突発性浮腫の本態は、これらの遺伝子異常の結果、産生が亢進したブラジキニンなどの炎症メディエーターによって血管透過性が亢進することがある。古くから知られた疾患であるがまれな疾患であり、気付かれにくく診断に難渋することが多い。2010年に「遺伝性血管性浮腫ガイドライン2010」が補体研究会(現 一般社団法人 日本補体学会)から発表され2)、2014年に改訂された3)。HAEの診断、鑑別、症状別の治療方針について系統的に記載されたわが国で初めてのガイドラインである。■ 疫学HAE I/II型は人種を問わず5万人に1人とする報告が多い。HAE III型は10万人に1人程度と考えられている。いずれもすべての人種で報告されている。■ 病因HAEはその病因から3つの型に分類される。I型常染色体優性の遺伝形式をとり、C1-INHの活性、タンパク量ともに低下している。HAE全体の約85%を占める。II型常染色体優性の遺伝形式をとり、C1-INHの活性中心のアミノ酸変異による機能異常である。C1-INH活性は低下するが、タンパク量は低下しない。HAEの約15%を占める。III型遺伝性であるがほとんど女性に発症する。病態の詳細は不明であるが、一部の症例に凝固XII因子の変異を認める。C1-INHの活性、タンパク量ともに正常である。HAEのほとんどを占めるI型、II型の原因は、遺伝子変異によるC1-INHの機能低下である。I型、II型ならびにIII型の中で凝固XII因子の変異がある場合は、最終的にブラジキニンの産生が亢進する。その結果、血管透過性が亢進し、血管外に水分が漏出、貯留して浮腫が生じるが、この浮腫は数日で消失する。III型で凝固XII因子の異常を認めない場合の病因は不明である。■ 症状24時間で最大となり数日で自然に消褪する発作を繰り返す。10~20歳代に初発することが多い。I~III型まで報告されているHAEの特徴を、表に示す4)。いずれの病型も発現する症状はほぼ同じである。風邪、外傷、歯科治療、精神的ストレス、疲労などが誘因になりやすいが、何の誘因もない症例も多い。浮腫発作がないときには、健康人と何ら変わりはない。画像を拡大する1)皮膚症状眼瞼、口唇、四肢に発作性に浮腫を生じやすいが、ほかにもあらゆる場所に生じうる。浮腫を起こした皮膚表面は、赤みをごく軽度に帯びることはあっても蕁麻疹などのように明瞭な皮疹は伴わない。発作初期に罹患部がピリピリすることはあるが痛みやかゆみはない。2)消化器症状嘔気、嘔吐、下痢、腹痛などがあるが、なかでも腹痛は激烈である。炎症性疾患とは異なり、筋性防御はなく腹部エコーやCT所見で浮腫を認める。3)喉頭浮腫嚥下困難、喉の詰まり感、嗄声や声が出ないなどの声の変化、息苦しさを呈するが、進行すると呼吸困難、窒息になる。■ 予後喉頭浮腫を生じているにもかかわらず、適切に治療されなかった場合の致死率は30%とされる。その他の症候は予後良好である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準1)突発性の浮腫2)補体C4の低下、C1-INH活性の低下3)家族歴以上の3つがあればHAE I型あるいはII型(HAE I/II型)と診断できる。C1-INHタンパク質量が低下していればHAE I型、正常または増加していればHAE II型である。1)と3)のみの場合、HAE III型と診断しうる。1)と2)のみの場合HAE I/II型の孤発例か後天性血管性浮腫である。血清C1qタンパク質定量(保険適用外)が低値であれば後天性とされているが、HAEの場合でも低値を示すことがある。4)確定診断のためには遺伝子解析が有用である。確定診断のためにはC1-INH遺伝子(SERPING1)異常の同定が望ましい。HAE III型の一部では凝固XII因子遺伝子異常が報告されているが、わが国での報告はない。HAE III型は今後の研究の進展に伴って疾患概念が変化する可能性がある。5)診断の参考となるアルゴリズムを提示する(図)1)。画像を拡大する■ 検査1)HAEを疑った際にはまず補体C4濃度を測定する。発作時には100%、発作がないときでも98%の検体で基準値を下回る。2)C1-INH活性は発作時であるか否かにかかわらず50%未満となるため診断に最も有用である。保険適用である。3)C1-INHタンパク質定量はHAE I型、II型を区別する場合に施行するが、保険適用ではない。4)HAE I/II型ではSERPING1遺伝子のヘテロ変異を認める。5)HAE III型の一部には凝固XII因子の遺伝子異常を認めるが、それ以外には診断に役立つ検査はない。■ 鑑別診断突発性浮腫を呈するほかの疾患との鑑別が重要である。1)アレルギー性血管性浮腫蕁麻疹を伴い、原因はペニシリンなどの薬剤や卵、小麦などの食物、化学物質に対するIgEを介したアレルギー機序である。2)後天性血管性浮腫思春期発症が多いHAEと異なり40歳以降に初発することが多い。悪性腫瘍、自己免疫によるC1-INHの消費が原因である。3)非アレルギー性薬剤性血管性浮腫アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)では、COX阻害により浮腫を生じる。ACE阻害薬内服患者の0.1~0.5%に生じるとされる。4)物理的刺激による血管性浮腫温熱、寒冷、振動、日光曝露などの物理的刺激で生じる。5)好酸球増多を伴う好酸球性血管性浮腫末梢血の好酸球増多、繰り返す浮腫と発熱、蕁麻疹、体重増加とIgM増加を伴う。まれ。6)特発性浮腫原因不明である。血管性浮腫の半数近くを占め、最も頻度が高い。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)発作出現時の治療と発作の予防の2つに分けられる。1)発作時の治療世界的にはC1-INH製剤、ブラジキニンB2受容体拮抗薬、カリクレイン阻害薬の3系統が存在するが、わが国では2017年6月現在ヒト血漿由来C1-INH製剤である乾燥濃縮人C1インアクチベーター製剤(商品名:ベリナートP静注)のみ保険適用である。顔面、頸部、喉頭、腹部の発作には積極的に投与する。2)短期予防あらかじめ処置や手術がわかっているときの発作予防である。ベリナートPが1990年にわが国で承認されて以来、効能・効果は「遺伝性血管性浮腫の急性発作」のみであった。しかしながら、侵襲を伴う処置に対する発作予防の必要性が認められ、2017年3月ベリナートPの効能・効果に「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」が追加された。(1)歯科治療(侵襲が小さい場合)C1-INH製剤の準備のうえならば予防投与は必要ない。(2)歯科治療(侵襲が大きい場合)、外科手術などの大ストレス時手術の1時間前にC1-INH製剤の補充を行う。3)長期予防1ヵ月に1回以上あるいは1ヵ月に5日以上の発作がある場合、または喉頭浮腫の既往がある場合には、次の治療を検討する。(1)トラネキサム酸(同:トランサミン)30~50mg/kg/日を1日2~3回に分けて服用する。そのほか、長期の発作予防には抗プラスミン作用を期待してトラネキサム酸が用いられるが、効果は限定的である。(2)ダナゾール(同:ボンゾール)蛋白同化ホルモンであるダナゾールも用いられる。2.5mg/kg/日(最大200mg/日)を1ヵ月、もし無効ならば300mgを1ヵ月、さらに無効ならば400mg/日を1ヵ月投与する。有効であれば、その後1ヵ月ごとに半量に軽減し50mg/日連日か100mg/日隔日まで減量する。副作用として肝障害、高血糖、多毛、男性化には注意が必要である。ただし保険適用はない。(3)C1-INH製剤(C1エステラーゼ阻害剤)欧米ではヒト血漿由来のCinryzeの予防投与(週2回、静注)が認められているが、わが国では未承認である。4 今後の展望HAEの早期発見、早期治療のためには、関連診療科医師へのさらなる啓発活動が重要である。また、HAEのような希少疾患では、1人でも多くの患者情報を正確に収集し、病態の把握や診断基準の作成に役立てる必要がある。欧米では、すでにいくつかの登録システムが稼働しているように、わが国においても患者レジストリーの構築が不可欠である。現在、NPO法人 血管性浮腫情報センターと、一般社団法人 日本補体学会の協力をもとにレジストリーの構築が進められている。薬剤治療法については、従来から存在するヒト血漿由来C1-INH製剤に加えて、最近の10年間で遺伝子組換えヒトC1-INH製剤、ブラジキニンB2受容体拮抗薬、カリクレイン阻害薬が次々と登場してきた。わが国ではヒト血漿由来C1-INH製剤ベリナートPのみがHAEへの保険適用を認められているに過ぎないが、これらの薬剤のHAEへの承認へ向けた臨床試験が進められている。とくに新しい経口のHAE治療薬開発の進展が期待されている。5 主たる診療科内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科、救命救急科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報NPO法人 血管性浮腫情報センター(CREATE)(医療従事者向けのまとまった情報)一般社団法人 日本補体学会HAEサイト(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報HAE患者会「くみーむ」(HAE患者と家族への情報)その他の情報腫れ・腹痛ナビ(医療従事者向け)腫れ・腹痛ナビ(患者さん向け)1)堀内孝彦. 遺伝性血管性浮腫(HAE). In:日本免疫不全症研究会編. 原発性免疫不全症候群 診療の手引き. 診断と治療社; 2017.p.130-135.2)Horiuchi T, et al. Allergol Int. 2012;61:559-562.3)堀内孝彦ほか. 補体. 2014;52:24-30.4)堀内孝彦. 医学のあゆみ. 2016;258:861-866.公開履歴初回2017年6月27日

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2017年度認定内科医試験、直前対策ダイジェスト(後編)

【第1回】~【第6回】は こちら【第7回 消化器(消化管)】 全9問消化器は、最近ガイドライン改訂が続いているため、新たなガイドラインはチェックしておきたい。また潰瘍性大腸炎とクローン病については毎年出題されているので、両疾患の相違点を確認しておくことも重要である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)胃食道逆流症(GERD)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)コレシストキニンは下部食道括約筋(LES)収縮作用を持つ(b)シェーグレン症候群の合併症に胃食道逆流症(GERD)がある(c)食道粘膜障害の内視鏡的重症度は、自覚症状の程度と相関する(d)非びらん性胃食道逆流症はびらん性胃食道逆流症と違い、肥満者に多いという特徴を持つ(e)除菌治療によるピロリ菌感染率低下により、今後、患者数は減少すると予想されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第8回 消化器(肝胆膵)】 全8問肝臓については、各々の肝炎ウイルスの特徴と肝細胞がんの新たな治療アルゴリズムを確認しておきたい。膵臓については、膵炎の新たなガイドラインについて出題される可能性があるので、一読の必要がある。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肝炎について正しいものはどれか?1つ選べ(a)急性肝炎でAST(GOT)>ALT(GPT)は、極期を過ぎて回復期に入ったことを示している(b)de novo B型肝炎は、HBV既往感染者(HBs抗原陰性・HBc抗体陽性・HBs抗体陽性)にステロイドや免疫抑制薬を使用した際にHBV再活性化により肝炎を発症した状態であり、通常のB型肝炎に比べて劇症化や死亡率は低い(c)HBVゲノタイプC感染に伴うB型急性肝炎では、肝炎が遷延もしくは慢性化する可能性がほかのゲノタイプよりも高い(d)B型急性肝炎とキャリアからの急性発症との鑑別にIgM-HBc抗体価が使用される(e)HBs抗原陽性血液に曝露した場合の対応として、 被曝露者がHBs抗原陰性かつHBs抗体陰性であれば十分な水洗いと曝露時のワクチン接種ならびに72時間以内のB型肝炎免疫グロブリン(HBIG)が推奨されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第9回 血液】 全7問血液領域については、何といっても白血病が設問の中心である。認定内科医試験では、治療よりも染色の特徴、検査データ、予防因子についてよく出題される傾向がある。このほか、貧血に関する出題も多いので、しっかりと押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)急性白血病について正しいものはどれか?1つ選べ(a)急性骨髄性白血病(AML)MO・M5b・M7では、MPO染色陰性であるため、注意する必要がある(b)急性前骨髄球性白血病(APL)では、白血病細胞中のアズール顆粒内の組織因子やアネキシンIIにより、播種性血管内凝固症候群(DIC)を高率に合併する(c)AMLのFAB分類M5では、特異的エステラーゼ染色・非特異的エステラーゼ染色とも陽性を示す(d)AMLの予後不良因子は、染色体核型がt(15:17)・t(8:21)・inv(16)である(e)ATRAを用いた治療中にレチノイン酸症候群または分化症候群を発症した場合、治療中断による白血病増悪を考え、ステロイド併用などを行いつつ治療を継続すべきである例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第10回 循環器】 全9問循環器領域については、弁膜症や心筋梗塞など主要疾患の診断確定に必要な身体所見と検査所見をしっかり押さえることが重要である。高血圧や感染性心内膜炎の問題は毎年出題されているので、フォローしておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)弁膜症について正しいものはどれか?1つ選べ(a)僧帽弁狭窄症(MS)は、本邦では高齢化に伴い近年増加傾向である(b)僧帽弁狭窄症(MS)では、拡張期ランブルを聴診器ベル型で聴取する(c)僧帽弁狭窄症(MS)では、心音図でQ-I時間が短いほど、II-OS時間が長いほど重症と判定する(d)僧帽弁狭窄症(MS)の心臓超音波検査では、僧帽弁前尖の拡張期後退速度(DDR)の上昇を認める(e)僧帽弁逸脱症(MVP)は肥満体型の男性に多く認める例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第11回 神経】 全8問神経領域については、今年度も「脳卒中治療ガイドライン2015」と血栓溶解療法の適応に関する出題が予想される。各神経疾患における画像所見、とりわけスペクトとMIBGシンチグラフィは毎年出題されている。アトラス等でしっかりと確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)脳梗塞について正しいものはどれか?1つ選べ(a)心原性脳塞栓症は、階段状増悪の経過をとることが多い(b)一過性脳虚血発作(TIA)で一過性黒内障の症状を認めた場合、椎骨脳底動脈系の閉塞を疑う(c)TIAを疑う場合のABCD2スコアは、A:Age(年齢)、B:BP(血圧)、C:Consciousness level(意識障害の程度)、D:duration(持続時間)とdiabetes(糖尿病の病歴)の5項目をスコアリングし、合計したものである(d)CHADS2スコア1点の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中発症予防には、ワルファリンによる抗凝固療法が勧められている(e)血栓溶解療法(アルテプラーゼ静注療法)は、血小板8万/mm3では適応外である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第12回 総合内科/救急】 全5問総合内科/救急では、「心肺蘇生ガイドライン2015」や、JCS・GCSスコアリング、確率計算の出題が予想される。2016年12月に「日本版敗血症診療ガイドライン2016」が発表されたので、内容を押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)事前確率25%で感度60%・特異度80%の検査が陽性であった場合の正しい事後確率はどれか?1つ選べ(a)15%(b)20%(c)50%(d)60%(e)80%例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【例題の解答】第7回:(b)、第8回:(d)、第9回:(b)、第10回:(b)、第11回:(e)、第12回:(c)【第1回】~【第6回】は こちら

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抗うつ薬はアルツハイマー病リスクを高めるのか

 アルツハイマー病(AD)は神経変性疾患であり、高齢者の記憶、思考、行動に対し、臨床的に明白で観察可能な障害を示す。アポリポ蛋白E(ApoE)ε4のような感受性遺伝子は、長期間AD診断のリスク増加と関連している。また、うつ病とAD発症リスク増加との関連を示唆する研究も報告されている。さらに、これまでの調査の知見より、高齢者に対する向精神薬使用において、混合効果も示唆されている。米国・フロリダ国際大学のShanna L. Burke氏らは、抗うつ薬の使用がうつ病や最終的なAD発症の危険性に与える影響について検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2017年5月31日号の報告。 国立アルツハイマー病センターのデータを活用して、認知障害のない1万1,443例を評価、検討した。うつ病、ApoE、AD診断、抗うつ薬使用の関連性を調査するため、生存分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・認知機能が正常な8,732例を対象に、調査を行った。・抗うつ薬使用者の間で、ほとんどの場合、危険性は統計学的に有意ではなかった。・1つのジェネリック医薬品は、保護的効果を示した(p<0.001)。・最近のうつ病(2,083例、p<0.001)、生涯うつ病(2,068例、p<0.05)、ApoEε4キャリア(2,470例、p<0.001)は、AD発症との間に統計学的に有意な関係が認められた。 著者らは「この知見は、抗うつ薬使用に関連するメカニズムが、最終的なADの危険性を減少させる可能性があることを示唆している。さらに、うつ病、ApoEε4、AD診断との関連を補強している。本研究は、うつ病などの潜在的に修正可能な心理社会的リスク因子を標的とすることにより、ADリスクを低下させる目的で介入を検討する、新たな文献に寄与するであろう」としている。■関連記事認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているかたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能1日1時間のウオーキングで認知症リスク低下:東北大

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PARP阻害薬olaparib、既治療のBRCA乳がんの予後を改善/NEJM

 既治療の生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がん患者の治療において、olaparibは標準治療に比べ無増悪生存(PFS)期間中央値を2.8ヵ月延長し、病勢進行や死亡のリスクを42%低減することが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのMark Robson氏らが行ったOlympiAD試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月4日号に掲載された。olaparibは、経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬で、米国ではBRCA遺伝子変異陽性の再発卵巣がんの治療薬として承認を得ており、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性で転移のある乳がんでも有望な抗腫瘍活性が示されている。日本人を含む約300例対象、olaparibの無作為化対照比較試験 本研究は、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がんにおけるolaparibの安全性と有効性を評価する国際的な非盲検無作為化対照比較第III相試験で、アジアからは日本のほか韓国、中国の施設も参加している(AstraZeneca社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ホルモン受容体陽性(ER陽性、PgR陽性または双方が陽性)または陰性の、HER2陰性転移性乳がんで、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性が確認され、2レジメンまでの化学療法歴がある患者であった。 被験者は、olaparib(300mg、1日2回)を経口投与する群または担当医の選択による化学療法薬単剤(カペシタビン、エリブリン、ビノレルビン)を投与する群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、独立審査委員会の中央判定によるPFS(割り付け時から画像評価による病勢進行または全死因死亡までの期間)であり、intention-to-treat法ベースで解析が行われた。 2014年4月7日~2015年11月27日に302例が登録され、olaparib群に205例が、標準治療群には97例が割り付けられた。標準治療群は91例が実際に治療を受けた。olaparib群で奏効率約2倍に、OSには差がない ベースラインの全体の年齢中央値は44歳で、フォローアップ期間中央値はolaparib群が14.5ヵ月、標準治療群は14.1ヵ月であった。男性が、olaparib群に5例(2.4%)、標準治療群に2例(2.1%)含まれた。ホルモン受容体陽性例はそれぞれ50.2%、50.5%、トリプルネガティブ例は49.8%、49.5%だった。 PFS期間中央値は、olaparib群が7.0ヵ月と、標準治療群の4.2ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.43~0.80、p<0.001)。事前に規定されたすべてのサブグループで、olaparib群のベネフィットが認められ、トリプルネガティブ例はolaparib群が有意に良好であった(HR:0.43、95%CI:0.29~0.63)。 全生存(OS)期間中央値は両群に差を認めなかった(HR:0.90、95%CI:0.63~1.29、p=0.57)。奏効率は、olaparib群が59.9%(完全奏効率:9.0%)、標準治療群は28.8%(同:1.5%)であり、奏効期間中央値は、それぞれ6.4ヵ月、7.1ヵ月、奏効までの期間中央値は47日、45日であった。 olaparib群で頻度の高い有害事象は、悪心(58.0%)、貧血(40.0%)、嘔吐(29.8%)、疲労(28.8%)、好中球減少(27.3%)であり、多くがGrade 1/2であった。Grade 3以上の有害事象は、olaparib群の36.6%、標準治療群の50.5%に発現した。毒性による治療中止はそれぞれ4.9%、7.7%だった。 著者は、「この試験はOSの差を評価する検出力はなく、OSは後治療による交絡を受ける可能性も高い」としており、「ホルモン受容体の状態別、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療歴の有無別のolaparibの効果を評価する試験や、olaparibとプラチナ製剤ベースの化学療法を直接比較する試験も有益と考えられる」と指摘する。

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BRAF変異肺がん、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用が承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年6月22日、BRAF V600E変異のある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)とトラメチニブ(商品名:メキニスト)の併用を通常承認した。これは、同患者に対するFDA初の承認となる。 この承認は、BRAF V600E変異陽性転移性NSCLCの国際多施設共同試験で、3つのコホートからなるBRF113928試験の結果に基づいている。当試験では93例の患者が、ダブラフェニブ(150mg×2/日)とトラメチニブ(2mg×1/日)の併用で治療された。93例中36例は全身療法未治療で、57例はプラチナベース化学療法を1つ以上受け疾患進行が確認された患者であった。また、別途78例のBRAF変異陽性患者が、ダブラフェニブ単剤による治療を受けた。 既治療群にける併用療法の全奏効率(ORR)は、63%(95%CI:49%~76%)であり、奏効期間(DOR)は12.6ヵ月(95%CI:5.8~NE)。未治療群ではORR61%(95%CI:44%~77%)、DOR中央値は未達であるが(95%CI:6.9~NE)、奏効者の59%は6ヵ月以上の奏効を示した。また、ダブラフェニブ単剤治療患者のORRは27%(95%CI:18%~38%)で、DORは9.9ヵ月であった。 有害事象の発現率および重症度は、すでに承認を受けているメラノーマ患者での報告と同様であった。Grade3/4で頻度の高い項目は、発熱、疲労、呼吸困難、嘔吐、発疹、出血、および下痢であった。Grade3/4で頻度の高い検査値異常は、低ナトリウム血症、リンパ球減少症、貧血、高血糖、好中球減少症、白血球減少症、低リン酸血症、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇であった。有害事象による投与中止はダブラフェニブ18%、トラメチニブ19%でみられた。 FDAはまた、次世代シークエンサー(NGS)Oncomine Dx Target Test(Thermo Fisher Scientific)も承認した。この検査により、NSCLC患者の組織標本からBRAF、ROS1、EGFR遺伝子異常の存在が検出可能となる。FDAによる初めてのNGSオンコロジーパネル検査の承認である。■参考FDAの発表BRF113928試験(Clinica Trials.gov)

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