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高齢者の術後せん妄予防にケタミン、悪影響の可能性/Lancet

 高齢者の術後せん妄予防目的のケタミン投与は、効果がないばかりか、幻覚やナイトメア症状を増大する可能性が、米国・セントルイス・ワシントン大学のMichael S. Avidan氏らによる国際多施設共同二重盲検無作為化試験「PODCAST」の結果、示された。せん妄は頻度が高く重大な術後合併症である。一方で、術後疼痛を軽減するために周術期静脈内ケタミンの投与がしばしば行われており、同投与のせん妄予防効果を示唆するエビデンスが報告されていた。研究グループは、高齢者の術後せん妄予防に対するケタミンの有効性評価を主要目的に今回の試験を行った。Lancet誌オンライン版2017年5月30日号掲載の報告。プラセボ vs. 0.5mg/kgケタミン vs. 1.0mg/kgケタミンの無作為化試験 PODCAST(Prevention of Delirium and Complications Associated with Surgical Treatments)試験は4ヵ国10施設(米国6、カナダ2、韓国1、インド1)で、全身麻酔下にて心臓または非心臓の大手術を受ける60歳以上の患者を対象に行われた。コンピュータ無作為化シーケンス法で被験者を1対1対1の割合で3群に割り付け、それぞれ術前の麻酔導入後に、(1)プラセボ(生理食塩水)、(2)低用量ケタミン(0.5mg/kg)、(3)高用量ケタミン(1.0mg/kg)を投与した。参加者、臨床医、研究者に割り付けは明らかにされなかった。 せん妄の評価は、術後3日間、Confusion Assessment Method(CAM)を用いて1日2回行われた。解析はintention-to-treat法にて行われ、有害事象についても評価した。3群間のせん妄発生率に有意差なし、ケタミン群で幻覚、ナイトメアが増大 2014年2月6日~2016年6月26日に、1,360例の患者が試験適格の評価を受け、672例(平均年齢70歳、女性38%)が無作為に3群に割り付けられた(プラセボ群222例、低用量ケタミン群227例、高用量ケタミン群223例)。 術後3日間のせん妄発生率は、プラセボ群19.82%、低用量ケタミン群17.65%、高用量ケタミン群21.30%であった。せん妄発生率について、プラセボ群と低・高用量ケタミン複合群(19.45%)の群間に有意差は認められなかった(絶対差:0.36%、95%信頼区間[CI]:-6.07~7.38、p=0.92)。また、3群間の有意差も認められないことが確認された(Cochran-Armitage検定のp=0.80)。ロジスティック回帰モデルの評価では、ケタミンの低用量群と高用量群がそれぞれ、術後せん妄発生の低下を独立して予測することが示されたが、有意差は認められず、さらに潜在的交絡因子で補正後、せん妄の発生までの時間、期間、重症度について3群間で有意差は認められなかった。同評価では、60歳超、心臓手術、うつ病歴がせん妄の独立予測因子として示唆されている。 有害事象(心血管系、腎機能、感染症、消化管出血)の発生は、個別にみても(それぞれのp>0.40)、総体的にみても(プラセボ群36.9%、低用量ケタミン群39.6%、高用量ケタミン群40.8%[p=0.69])、3群間で有意差はなかった。 一方で、プラセボ群と比べてケタミン群の患者で、術後の幻覚症状(プラセボ群18%、低用量ケタミン群20%、高用量ケタミン群28%[p=0.01])、ナイトメア(8%、12%、15%[p=0.03])が有意に増大したことが報告された。

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PARP阻害薬olaparib、BRCA変異乳がんの生存を42%改善/ASCO2017

 BRCA変異陽性HER2陰性転移乳がん(mBC)に対し、PARP阻害薬olaparibの有効性および安全性を単剤化学療法と比較評価する無作為化オープンラベル第III相試験 OlympiAD試験の結果を、米国Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMark Robson氏が米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表した。 OlympiAD試験では、HER2陰性(HR陽性またはトリプルネガティブ)で2ライン以上の化学療法を受けたBRCA変異陽性mBC患者を、olaparib群と医師が選択した標準的な単剤化学療法(TPC)群に、2:1に無作為に割り付けた(単剤化学療法はカペシタビンあるいはエリブリン)。治療は病勢進行するか毒性が忍容できなくなるまで継続した。主要評価項目は、独立第3者評価機関(BICR) 評価の無増悪生存(PFS)。副次的評価項目は2回目のPDまたは死亡までの期間(PFS2)、客観的奏効率(ORR)、安全性と忍容性、健康関連QOLであった。  結果、302例の患者が登録され、205例がolaparib群に、97例がTPC群に割り付けられた。BICR評価のPFSは、olaparib群7.0ヵ月、TPC群4.2ヵ月と、olaparib群で有意に長かった(HR:0.58、95%CI:0.43~0.80、p=0.0009)。 また、PFS2はolaparib群13.2ヵ月、TPC群で9.3ヵ月と、olaparib群で有意に長かった(HR:0.57、95%CI:0.40~0.83、p=0.0033) 。ORRは、 olaparib群60%、TPC群29%であった。OSはolaparib群19.3ヵ月、TPC群19.6ヵ月と、同等であった。全般的健康関連QOL(EORTC-QLQ-C30)のベースラインからの変化は、olaparib群3.9、TPC群−3.6、とolaparib群が優れていた (差異7.5、95% CI:2.5~12.4、p=0.0035)。Grade3以上の有害事象(AE)は、olaparib群の36.6%、TPC群の50.5%で発現し、olaparib群で頻度の高い項目は、貧血16%、好中球減少症9%などであった。 Discussantであるスタンフォード大学のAllison Kurian氏は、PARP阻害薬と免疫チェックポイント薬の併用への期待、また、今後のPARP阻害薬の役割、効果と耐性のバイオマーカーの特定を研究していくべきであると述べた。 この試験の結果は、学会での発表と同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考 ASCO2017 Abstract Robson M, et al. N Engl J Med. 2017. June 4. [Epub ahead of print] OlympiAD試験(Cinical Trials.gov)

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アビラテロン+ADT、転移前立腺がんのOSを38%改善/ASCO2017

 アンドロゲン除去療法(ADT)+ドセタキセルはホルモン療法未治療前立腺がん(mHNPC)の標準治療となっている。一方、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)は増加しており、米国では前立腺がんの3%、欧州では6%、さらにアジア・パシフィックでは60%を占める。CRPCでは早期から、アンドロゲン受容体のシグナル伝達再活性化がみられADT耐性を誘導する可能性がある。去勢抵抗性発現以前に、CRPC治療薬であるアビラテロン酢酸エスエル(AA)を投与することで、mHNPCの生存は改善するのか。LATITUDE試験は、高リスクmHNPC患者において、ADTにAA+P(プレドニゾロン)を追加した臨床的利益を評価する第III相プラセボ対照二重盲検試験である。本試験の初回中間解析の結果が、フランスInstitute of Gustave RoussyのKarim Fizazi氏らにより米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表された。 対象患者は、3つの危険因子(グリソンスコア8以上、3つ以上の骨病変、測定可能な内臓転移の存在)のうち2つ以上を有するmHNPC(ECOG PS 0~2)。登録された1,199例を1:1でADT+AA+P群またはADT+プラセボ群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、全生存期間(OS)および画像上の無増悪生存期間(rPFS)であった。 結果、OSについては、ADT+AA+P群では未達、ADT+プラセボ群では34.7ヵ月であり、ADT+AA+P群で有意に改善し、リスク低下は38%であった(HR:0.62、95%CI:0.51~0.76、p<0.0001)。rPFSについては、ADT+AA+P群で33.0ヵ月、ADT+プラセボ群では14.8ヵ月と、ADT+AA+P群で有意に改善し、リスク低下は53%であった(HR:0.47、95%CI:0.39~0.55)。今回の初回中間解析では、副次的評価項目もほとんどの項目がADT+AA+P群で有意に支持されていた。Grade3/4の有害事象の発現はADT+AA+P群で63%、ADT+プラセボ群で48%。ADT+AA+P群で頻度が高かったものは高血圧、低カリウム血症、ALT上昇、AST上昇などであった。 この試験の結果は、学会での発表と同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問10(その3)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その3)質問10(その1) 質問10(その2)前回は、「数量データ」と「カテゴリーデータ」の相関関係について解説しました。今回は、「カテゴリーデータ」同士の相関関係について説明していきます。■クロス集計とクラメール連関係数表1はある疾患A、B、Cに罹患している患者さんに性格や生活習慣など4つの要素でアンケートをした結果です。この結果から4つの要素と罹患している疾患との関係を調べ、この関係性をみてみたいと思います。表1 例題のアンケート分析表クロス集計これらのデータはすべてカテゴリーデータです。カテゴリーデータとカテゴリーデータの基本解析は表2のクロス集計で行います。表2 例題のカテゴリーデータのクロス集計このアンケートでは、疾患Aは、「楽観的性格」「優柔不断」「不規則な生活習慣」「B型行動タイプ」、疾患Bは、「中庸的性格」「即断即決」「不規則な生活習慣」「A型行動タイプ」、疾患Cは、「悲観的性格」「優柔不断」「規則正しい生活習慣」「A型行動タイプ」、と回答した患者さんが高い割合を示していたことがわかります。クラメール連関係数表3のようにカテゴリーデータとカテゴリーデータの相関係数は、「クラメール連関係数」を適用します。疾患、性格、意思決定タイプ、生活習慣、行動タイプ、すべてカテゴリーです。この5変数相互のクラメール連関係数を表3に示します(クラメール連関係数の求め方は後で説明します)。表3 例題の5変数相互のクラメール連関係数表3で、罹患している疾患とほかの4変数のクラメール連関係数をみると、意思決定タイプと行動タイプが高く、次に性格が続きます。単相関係数や相関比と同様に、相関係数がいくつ以上あれば相関が強いという基準はありません。筆者は表4のように定めています。相関比の基準と同じです。また、あくまでもこの基準は、分析者が経験的な判断から決めることになります。表4 筆者流の相関の強弱の考え方表5の性格と罹患疾患のデータで、クラメール連関係数の求め方を説明します。クロス集計表の人数を「実測度数」といいます。表5 例題の性格と罹患疾患のデータの実測度数表6の期待度数は、次の式によって算出します。期待度数=縦計×横計÷総数表6 例題の性格と罹患疾患のデータの期待度数・次に示す計算式で、表7のようにセルごとに計算します。(実測度数-期待度数)2÷期待度数表7 例題のカイ2乗値の算出・クラメール連関係数を求めます。質問10では「2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?」ということで、3回に分けて解説してきました。ポイントは、比べたい2項目のデータのそれぞれのデータタイプが「数量データ」なのか、「カテゴリーデータ」なのかをきちんと確認すれば、その組み合わせで相関分析の解析手法と2項目間の関連性の強さを判断する相関係数も決まるということです。ここまでで、多変量解析を学ぶ前の基礎統計をおさらいしてきました。次回から医学統計でも用いられる多変量解析について、説明していきます。今回のポイント1)「カテゴリーデータ」と「カテゴリーデータ」の比較をする際の基本解析は、クロス集計を行い、関連性をみる!2)クラメール連関係数は「カテゴリーデータ」と「カテゴリーデータ」の相関関係の程度を示す数値である!3)クラメール連関係数は、単相関係数や相関比と同様に、いくつ以上あれば相関が強いといった統計学的基準はなく、あくまでも分析者が経験的な判断から基準を決める!4)2項目間の比較をする際の統計学的手法の使い分けのポイントは、比べたい2項目のデータのそれぞれのデータタイプが「数量データ」なのか「カテゴリーデータ」なのかを確認すること!インデックスページへ戻る

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せん妄ケアの重要性、死亡率への影響を検証

 認知症入院患者は、せん妄リスクが高いが、認知症に併発したせん妄(delirium superimposed on dementia:DSD)が患者アウトカムに及ぼす影響については、あまり知られていない。ブラジル・サンパウロ大学のThiago J. Avelino-Silva氏らは、高齢者入院患者におけるDSDと院内死亡率および12ヵ月間の死亡率との関連を調査した。PLOS medicine誌2017年3月28日号の報告。 本研究は、サンパウロ大学付属病院の老人病棟で実施したコホート研究である。対象は、2009年1月~2015年6月までの60歳以上の急性疾患入院患者1,409例。主な変数と指標は、認知症、認知症の重症度(IQCODE[Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly]、CDR[臨床的認知症尺度])、せん妄(CAM[Confusion Assessment Method])とした。主要アウトカムは、院内死亡までの時間および退院した場合では12ヵ月間での死亡までの時間とした。入院時に高齢者総合的機能評価を実施し、死亡または退院時に追加の臨床データを収集した。症例は、認知症単独群、せん妄単独群、DSD群、非認知症/せん妄(どちらも有しない)群の4群に分類した。非認知症/せん妄群を比較のための対照群として定義した。多変量解析では、交絡因子(社会人口学的情報、病歴および身体検査データ、機能および栄養状態、多剤併用など)を調整したCox比例ハザードモデルを用いて実施した。 主な結果は以下のとおり。・全体として、女性の比率は61%、認知症は39%、平均年齢は80歳であった。・認知症単独群が13%、せん妄単独群が21%、DSD群が26%であった。・院内死亡率は、非認知症/せん妄群で8%、認知症単独群で12%、せん妄単独群で29%、DSD群で32%であった(ピアソンのχ2検定:112、p<0.001)。・独立して院内死亡率と関連していたのは、DSD群(ハザード比[HR]:2.14、95%信頼区間[CI]:1.33~3.45、p=0.002)とせん妄単独群(HR:2.72、95%CI:1.77~4.18、p<0.001)であった。・認知症単独群では、院内死亡率と統計学的に有意な関連は認められなかった(HR:1.69、95%CI:0.72~2.30、p=0.385)。・退院後に死亡した24%の患者における12ヵ月死亡率は、いずれの群においても関連が認められなかった(DSD群[HR:1.15、95%CI:0.79~1.68、p=0.463]、せん妄単独群[HR:1.05、95%CI:0.71~1.54、p=0.810]、認知症単独群[HR:1.19、95%CI:0.79~1.78、p=0.399])。・本検討の限界として、アウトカムに対するせん妄の期間や重症度の影響を検討していない。 著者らは「DSD群およびせん妄単独群では、高齢入院患者の予後が不良だった。認知症との併発にかかわらず、せん妄は院内死亡率の予測因子として重要であることを認識すべきである」としている。■関連記事 認知症者のせん妄、BPSDにより複雑化 せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているか 認知症にならず長生きするために

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高齢者糖尿病診療ガイドライン2017発刊

 「高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会」による「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」(2016年5月)を受け、2017年5月開催の第60回 日本糖尿病学会年次学術集会において、『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』(編・著 日本老年医学会・日本糖尿病学会)が書籍として発刊された。高齢者糖尿病診療ガイドライン2017はCQ方式で15項目に分けて記載 『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』はクリニカルクエスチョン(以下「CQ」)方式でまとめられ、CQ一覧を冒頭に示し、これに対する要約、本文、引用文献(必要により参考資料)のフォーマットで記されている。そして、可能な場合はエビデンスレベル(レベル1+および1~4)、推奨グレード(AおよびB)を付している。 『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』の具体的な内容としては、I.高齢者糖尿病の背景・特徴、II.高齢者糖尿病の診断・病態、III.高齢者糖尿病の総合機能評価、IV.高齢者糖尿病の合併症評価、V.血糖コントロールと認知症、VI.血糖コントロールと身体機能低下、VII.高齢者糖尿病の血糖コントロール目標、VIII.高齢者糖尿病の食事療法、IX.高齢者糖尿病の運動療法、X.高齢者糖尿病の経口血糖降下薬治療とGLP-1受容体作動薬治療、XI.高齢者糖尿病のインスリン療法、XII.高齢者糖尿病の低血糖対策とシックデイ対策、XIII.高齢者糖尿病の高血圧、脂質異常症、XIV.介護施設入所者の糖尿病、XV.高齢者糖尿病の終末期ケア、と大きく15項目に分けて記載されている。時間がないときは高齢者糖尿病診療ガイドラインの要約だけでも通読 高齢者糖尿病患者に特有の身体的特徴などを踏まえて、『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』では次のように示されている。たとえば「低血糖」について、「高齢者糖尿病の低血糖にはどのような特徴があるか?」のCQに対し、要約では「高齢者の低血糖は、自律神経症状である発汗、動悸、手のふるえなどの症状が減弱し、無自覚低血糖や重症低血糖を起こしやすい。低血糖の悪影響が出やすい」と端的に示されている。また、食事療法の「高齢者における食事のナトリウム制限(減塩)は有効か?」では、「高齢者においても減塩は血圧を改善する(推奨グレードA)」と記されており、運動療法の「高齢者糖尿病において運動療法は血糖コントロール、認知機能、ADL、うつやQOLの改善に有効か?」では、「高齢者糖尿病でも定期的な身体活動、歩行などの運動療法は、代謝異常の是正だけでなく、生命予後、ADLの維持、認知機能低下の抑制にも有効である(推奨グレードA)」と記載されている。 今後、さらに増えると予測される高齢者糖尿病患者の診療に、『高齢者糖尿病診療ガイドライン 2017』をお役立ていただきたい。

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日本人の脳卒中予防に最適な身体活動量~JPHC研究

 欧米人より出血性脳卒中が多いアジア人での身体活動量と脳卒中の関連についての研究は少ない。わが国の多目的コホート研究であるJPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study、主任研究者:津金昌一郎氏)で、脳卒中予防のための身体活動の最適レベルを検討したところ、日本人では過度の激しい活動は出血性脳卒中の予防に有益ではなく、不利益にさえなる可能性があることが示唆された。今回の結果から、脳卒中予防には中等度の活動による中等度の身体活動量が最適であろうとしている。Stroke誌オンライン版2017年6月5日号に掲載。 本研究では、心血管疾患やがんの既往がない50~79歳の日本人7万4,913人を2000~12年に追跡調査した。各身体活動の運動強度指数MET(metabolic equivalent of task)に活動時間をかけたMET・時を合計して1日当たりの身体活動量を求めた。 主な結果は以下のとおり。・69万8,946人年の追跡期間中、出血性脳卒中1,007例(脳実質内出血747例、くも膜下出血260例)、虚血性脳卒中1,721例(非塞栓性梗塞1,206例、塞栓性梗塞515例)を含めた合計2,738例の脳卒中が報告された。・MET・時/日の第2または第3四分位で、脳卒中全体(ハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.75~0.93)、脳実質内出血(HR:0.79、95%CI:0.64~0.97)、くも膜下出血(HR:0.78、95%CI:0.55~1.11)、非塞栓性梗塞(HR:0.78、95%CI:0.67~0.92)のリスクが最も低かった。一方、塞栓性梗塞は第4四分位でリスクが最も低かった(HR:0.76、95%CI:0.59~0.97)。・3次スプラインのグラフでは、最低レベルから5~10 MET・時/日(50パーセンタイル)のプラトーまで、脳卒中リスクの急激な減少(30%減少)を示した。・全身体活動量と出血性脳卒中との関連は、激しい活動での上昇のためにU型またはJ型を示したが、虚血性脳卒中ではL型を示した。

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ミノサイクリンは多発性硬化症進展リスクを抑制するか/NEJM

 初回の局所性脱髄イベント(clinically isolated syndrome:CIS)の発症後は、多発性硬化症への進展リスクが増大する。カナダ・カルガリー大学/フットヒルズ医療センターのLuanne M. Metz氏らは、CIS発症時にミノサイクリン投与を開始すると、6ヵ月時にはこの進展リスクが抑制されたが、24ヵ月時には効果は消失したとの研究結果を、NEJM誌2017年6月1日号で報告した。テトラサイクリン系抗菌薬ミノサイクリンは免疫調節特性を持ち、予備的なデータでは多発性硬化症への活性が示され、2つの小規模な臨床試験で有望な成果が提示されている。副作用として発疹、頭痛、めまい、光線過敏症がみられるものの、安全性プロファイルは良好とされ、まれだが重篤な合併症として偽脳腫瘍や過敏症症候群があり、長期の使用により色素沈着が生じる可能性があるという。カナダの142例が対象のプラセボ対照無作為化試験 研究グループは、脱髄イベントから多発性硬化症への進展リスクに及ぼすミノサイクリンの効果を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した(カナダ多発性硬化症協会の助成による)。 初回CISの発現から180日以内の患者が、ミノサイクリン(100mg、1日2回)を経口投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。治療は、多発性硬化症の診断が確定するか、無作為割り付けから24ヵ月のいずれかまで継続した。 主要評価項目は、無作為割り付けから6ヵ月以内の多発性硬化症(2005年版McDonald診断基準で診断)への進展とした。副次評価項目は、無作為割り付けから24ヵ月以内の多発性硬化症への進展、そして6ヵ月および24ヵ月時のMRI上の変化(T2強調MRI上の病巣の体積、T1強調MRI上の新たに増強された病巣[増強病巣]の累積数、個々の病巣の累積合計数[T1強調MRI上の新規増強病巣、およびT2強調MRI上の新規病巣と新たに増大した病巣])などであった。 2009年1月~2013年7月に、カナダの12の多発性硬化症クリニックで142例が登録され、ミノサイクリン群に72例、プラセボ群には70例が割り付けられた。さらなる試験で検証を ベースライン(CIS発症時)の全体の平均年齢は35.8(SD 9.2)歳、68.3%が女性であった。脊髄病巣(ミノサイクリン群:34.7%、プラセボ群:51.4%、p=0.04)およびMRI上の増強病巣数≧2(9.7 vs.25.7%、p=0.04)がミノサイクリン群で少なかったが、これ以外の因子は両群に差はなかった。 6ヵ月以内にミノサイクリン群の23例、プラセボ群の41例が多発性硬化症を発症した。6ヵ月以内の多発性硬化症への進展の未補正リスクは、ミノサイクリン群が33.4%と、プラセボ群の61.0%に比べ有意に低かった(群間差:27.6%、95%信頼区間[CI]:11.4~43.9、p=0.001)。ベースラインの増強病巣数で補正すると、進展リスクの差は18.5%(95%CI:3.7~33.3)と小さくなったが、有意な差は保持されていた(p=0.01)。 副次評価項目である24ヵ月時の進展の未補正リスクには、有意差は認めなかった(ミノサイクリン群:55.3% vs.プラセボ群:72.0%、群間差:16.7%、95%CI:-0.6~34.0、p=0.06)。 6ヵ月時のMRI関連の副次評価項目は3項目とも、未補正ではミノサイクリン群がプラセボ群よりも有意に良好であり、補正後も有意差は保持された。これに対し、24ヵ月時は、未補正ではミノサイクリン群がいずれも有意に良好であったが、補正後は有意な差はなくなった。 有害事象の頻度は、ミノサイクリン群がプラセボ群に比べて高かった(86.1 vs.61.4%、p=0.001)。とくに発疹(15.3 vs.2.9%、p=0.01)、歯の変色(8.3 vs.0%、p=0.01)、めまい(13.9 vs.1.4%、p=0.005)には有意な差がみられた。4例(両群2例ずつ)に臨床検査で検出された一過性のGrade 3/4の有害事象が、4例(ミノサイクリン群:1例、プラセボ群:3例)に5件の重篤な有害事象が認められた。 著者は、「これらの結果は、事前に規定された6ヵ月時の未補正リスクの25%の絶対差を満たし、補正すると差は縮小したものの有意差は保持されており、MRI関連の転帰も良好であったが、この差は24ヵ月時までは持続しなかった」とまとめ、「さらなる試験による検証が求められる」と指摘している。

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妊娠中の抗うつ薬服用と児のADHDの関連/BMJ

 母親の抗うつ薬服用と子供の注意欠如・多動症(ADHD)との関連について、住民ベースのコホート研究による知見が示された。中国・香港大学のKenneth K C Man氏らによる報告で、子供のADHDリスクは、母親が抗うつ薬を妊娠中服用していた群と妊娠前まで服用していた群で同程度であった。一方で、抗うつ薬服用の有無にかかわらず、精神障害を有する母親の子供はADHDリスクが高かったという。著者は、既報では家族のリスク因子を補正しておらず過大評価されている可能性を指摘し、「抗うつ薬服用とADHDの因果関係を決して否定はしないが、あるとしても関連の強さは既報よりも小さいものと思われる」とまとめている。BMJ誌2017年5月31日号掲載の報告。香港の住民ベースコホート研究で関連を評価 検討は、香港住民をベースとした電子医療カルテClinical Data Analysis and Reporting Systemのデータを用いて行われた。2001年1月~2009年12月に香港の公立病院で生まれた子供19万618例を2015年12月まで追跡し、母親の妊娠中の抗うつ薬服用と6~14歳児のADHDの関連についてハザード比(HR)を求めて評価した。 平均追跡期間は9.3年(範囲:7.4~11.0年)であった。母親の出産時平均年齢は31.2歳(SD 5.1)。母親が精神障害など交絡因子で補正後は関連性が低下 対象19万618例のうち、妊娠中に母親が抗うつ薬を服用していたのは1,252例であり、ADHDの診断または治療を受けた子供は5,659例(3.0%)であった。 妊娠中の抗うつ薬服用群の粗HRは、非服用群との比較で2.26(p<0.01)であった。しかし、潜在的交絡因子(母親が精神障害、または他の抗精神病薬を服用など)で補正後は、1.39(95%信頼区間[CI]:1.07~1.82、p=0.01)に低下した。 同様の関連結果は、母親が抗うつ薬を妊娠前まで服用していた群と服用歴がない群で比較した場合にもみられた(1.76、1.36~2.30、p<0.01)。 一方、母親の抗うつ薬服用歴がない場合でも、ADHDリスクは、母親が精神障害を有する子供のほうが、精神障害を有さない母親の子供との比較において有意に高かった(1.84、1.54~2.18、p<0.01)。 感度解析の結果もすべて同様の結果が示された。 また、兄弟姉妹を適合した分析において、抗うつ薬の妊娠中の曝露群と非曝露群にADHDリスクの有意な差はみられなかった(0.54、0.17~1.74、p=0.30)。 結果について著者は、「抗うつ薬の出生前使用と出生後ADHDリスクとの関連について、少なくとも一部は、交絡因子として含まれる抗うつ薬の適応によって説明可能であることを示唆するものであった」と述べている。

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ニボルマブ、進行肝細胞がんへの挑戦/ASCO2017

 進行肝細胞がん(HCC)における1次治療薬の選択肢はソラフェニブ(商品名:ネクサバール)だけである。本年(2017年)レゴラフェニブ(商品名:スチバーガ)が2次治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に承認されたが、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブはこれらの患者集団における新たな選択肢となるのだろうか。 Checkmate040試験は進行HCC患者に対するニボルマブ(製品名:オプジーボ)の第I/II相試験。シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で、米国Providence Cancer CenterのTodd S. Crocenzi氏らが発表した。 Checkmate040試験ではニボルマブ投与患者を、ソラフェニブ非治療群とソラフェニブ治療群に分け、さらに各群を用量漸増アーム(ニボルマブ投与量0.1~10mg/kg)と拡大アーム(ニボルマブ投与量3mg/kg)に分けて効果と安全性を評価している。今学会ではソラフェニブ非治療群と治療群の生存と効果の持続性の成績が発表された。主要評価項目は用量漸増アームでは安全性と忍容性、拡大アームでは奏効率(ORR)。副次的評価項目はORR(用量漸増アームのみ)、病勢コントロール率(DCR)、初回奏効までの期間、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)であった。 合計264例の患者が登録された。Child-Pughスコアは全例が5以上。多くの患者が重度の治療を受け、肝外転移を有していた。 盲検下独立中央判定(BICR)によるORRは、ソラフェニブ非治療群で20%、ソラフェニブ治療群の漸増アームで19%、同群の拡大アームでは14%であった。DCRは、ソラフェニブ非治療群で54%、ソラフェニブ治療群で55%であった。効果の発現は早く、客観的奏効を達成した患者のうち、ソラフェニブ非治療群の56%、ソラフェニブ治療群の64%が3ヵ月以内に奏効した。DORはソラフェニブ非治療群で17ヵ月、ソラフェニブ治療群では19ヵ月。OSはソラフェニブ非治療群で28.6ヵ月、ソラフェニブ治療群漸増アームでは15.0ヵ月、拡大アームでは15.6ヵ月であった。ニボルマブの効果は、ソラフェニブ治療経験の有無、HCCの病因またはPD-L1発現の有無とは無関係であった。また、ニボルマブの安全性プロファイルは、いずれの群でも既知のものであった。 現在、1次治療でのニボルマブとソラフェニブの第III相比較試験CheckMate459試験が進行中である。■参考 ASCO2017 Abstract Checkmate040試験(Clinical Trials.gov)■関連記事肝細胞がんに対するニボルマブの優先審査を受理:FDA

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体部白癬

【皮膚疾患】体部白癬◆症状胴体や手足に生じる境界鮮明な丸い紅斑で、水ぶくれを伴うことがあります。かゆみが強く、足白癬や爪白癬も併発していることが多いです。◆原因白癬菌による感染で起きます。ステロイド外用薬の誤用で悪化していることもあり、注意が必要です。◆治療と予防・抗真菌薬の外用薬で治療します。・ぺットから感染することもありますので、ペットの皮膚の状態にも目を配り予防しましょう。●一言アドバイス足爪白癬もある場合、再発する傾向が強いので、全部が治るまで治療を中断しないようにしましょう。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.袋 秀平氏

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60歳未満の降圧薬服用者、血圧高いと認知症リスク高い

 血圧と認知症の関係については相反する疫学研究結果が報告されている。今回、ノルウェー科学技術大学HUNT研究センターのJessica Mira Gabin氏らが、認知症診断の最大27年前まで(平均17.6年)の血圧と認知症について調査したところ、60歳以上では収縮期血圧と認知症が逆相関を示したが、60歳未満の降圧薬使用者では収縮期血圧や脈圧の上昇とアルツハイマー病発症が関連していた。Alzheimer's research & therapy誌2017年5月31日号に掲載。 本研究では、ノルウェーのNord-Trondelag郡における1995~2011年の認知症発症データを収集し、専門家パネルが診断を検証した。さらに、このデータを被験者の個人識別番号を用いて、1984~86年(HUNT1)および1995~97年(HUNT2)に実施された大規模な住民健康調査であるNord-Trondelag Health Study(HUNT研究)データと結び付けた。HUNT研究の参加者2万4,638人のうち579人がアルツハイマー病、またはアルツハイマー病と血管性の混合型認知症、または血管性認知症と診断された。 主な結果は以下のとおり。・60歳以上においては、年齢、性別、教育およびその他の関連する共変量を調整後、認知症全体、アルツハイマー病/血管性の混合型認知症、アルツハイマー病では収縮期血圧との逆相関が一貫して認められたが、血管性認知症では認められなかった。・この結果は、降圧薬の使用にかかわらず、HUNT1とHUNT2の両方で観察された。・60歳未満の降圧薬服用者では、収縮期血圧および脈圧とアルツハイマー病との間に有害な関連がみられた。

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統合失調症へのメマンチン追加療法のメタ解析:藤田保健衛生大

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、統合失調症治療において抗精神病薬へのメマンチン追加療法が有用であるかを、システマティックレビューおよびメタ解析により検討を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2017年5月15日号の報告。 抗精神病薬を投与されている統合失調症患者に対するメマンチン追加療法の二重盲検無作為化プラセボ対照試験を分析した。主要アウトカムは、陰性症状の改善、全原因による中止とした。2値アウトカムをリスク比(RR)として示し、連続アウトカムを平均差(MD)、標準化平均差(SMD)として示した。 主な結果は以下のとおり。・8件(448例)の研究が抽出された。・メマンチン追加療法は、プラセボ群と比較し、PANSS陰性症状(SMD:-0.96、p=0.006、I2:88%、7研究、367例)、総合精神病理尺度(MD:-1.62、p=0.002、I2:0%、4研究、151例)およびMMSE(MD:-3.07、p<0.0001、I2:21%、3研究、83例)において改善が認められたが、全般的(SMD:-0.75、p=0.06、I2:86%、5研究、271例)、陽性症状(SMD:-0.46、p=0.07、I2:80%、7研究、367例)、抑うつ症状(SMD:-0.127、p=0.326、I2:0%、4研究、201例)、全原因による中止(RR:1.34、p=0.31、I2:0%、8研究、448例)、グループ間における個々の有害事象(疲労、めまい、頭痛、吐き気、便秘)において統計学的に有意な差は認められなかった。・陰性症状については、リスペリドン試験で検討した場合、有意な異質性は消失した(I2:0%)。・しかし、メマンチン追加療法は、プラセボよりも優れていた(SMD:-1.29、p=0.00001)。・メタ回帰分析では、患者の年齢がメマンチンによる陰性症状改善と関連していることが示唆された(slope:0.171、p=0.0206)。 著者らは「メマンチン追加療法は、統合失調症患者の精神病理学的症状(とくに陰性症状)を治療するうえで有用である。陰性症状のエフェクトサイズは、若年成人の統合失調症患者と関連する可能性がある」としている。■関連記事 統合失調症とグルテンとの関係 せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大 抗うつ薬治療患者に対するベンゾジアゼピン投与の安全性は:藤田保健衛生大

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先天異常の原因、5人中4人は「未知」/BMJ

 米国・ユタ大学のMarcia L. Feldkamp氏らが実施したコホート研究の結果、主要な先天異常の5人に4人はその原因が不明であることが明らかとなった。著者は、「一次予防や治療の根拠となる基礎研究ならびにトランスレーショナル研究を早急に行う必要がある」と述べている。これまでは、病院ベースで既知の原因の有無別に先天異常の割合を評価した研究が2件あるだけだった。BMJ誌2017年5月30日号掲載の報告。先天異常児約5,500例について解析 研究グループは、主要な先天異常の原因と臨床像を評価する目的で、集団ベースの症例コホート研究を行った。 地域住民のサーベイランスシステムで確認されたユタ州在住女性が2005~09年に出産した児のすべての記録を臨床的に再調査し、生児出生および死産を合わせた計27万878例のうち、軽度の単独所見(筋性部心室中隔欠損症、遠位尿道下裂など)を除く主要な先天異常児5,504例(有病率2.03%)について分析した。 主要評価項目は、形態学(単独、多発、小奇形のみ)および病理発生(シーケンス、発生域欠損、パターン)別の、原因が既知(染色体、遺伝子、ヒト催奇形因子、双胎形成)または未知の先天異常の割合である。5人に4人は未知の原因 確実な原因は20.2%(1,114例)で確認された。このうち染色体または遺伝子異常が94.4%(1,052例)を占め、催奇形因子が4.1%(46例、ほとんどが糖尿病合併妊娠のコントロール不良)、双胎形成が1.4%(16例、結合双胎児または無心症)であった。 残りの79.8%(4,390例)は、原因が未知の先天異常として分類された。このうち88.2%(3,874例)は単独の先天異常であった。家族歴(同様に罹患した一等親血縁者)は4.8%で確認された。5,504例中5,067例(92.1%)は生児出生(単独および非単独先天異常)、4,147例(75.3%)は単独先天異常(原因が既知または未知)と分類された。 著者は、「喫煙や糖尿病のように既知の原因に関しては、個々の症例で原因を決定することが課題として残っている。一方、未知の原因に関しては、それを突き止めるために包括的な研究戦略が必要である」と述べている。

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CVDリスクを予測する最新QRISK3モデルを検証/BMJ

 心血管疾患(CVD)の10年リスクを予測するQRISK2に新規リスク因子を加えた新しいQRISK3リスク予測モデルが開発され、英国・ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らが検証結果を発表した。追加された臨床変数は、慢性腎臓病(CKD)、収縮期血圧(SBP)の変動性、片頭痛、ステロイド薬、全身性エリテマトーデス(SLE)、非定型抗精神病薬、重度の精神疾患および勃起障害で、これらを組み入れたQRISK3は、医師が心疾患や脳卒中のリスクを特定するのに役立つ可能性が示されたという。現在、英国のプライマリケアではQRISK2が広く活用されているが、QRISK2では完全には捉えられないリスク因子もあり、CVDリスクの過小評価につながる可能性が指摘されていた。BMJ誌2017年5月23日号掲載の報告。抽出コホート789万例、検証コホート267万例のデータから新モデルを作成・検証 研究グループは、英国のQResearchデータベースに参加している一般診療所1,309施設を、抽出コホート(981施設)と検証コホート(328施設)に無作為に割り付け、抽出コホートにおける25~84歳の患者789万例と、検証コホートの同267万例のデータを解析した。ベースラインでCVDがあり、スタチンが処方されている患者は除外された。 抽出コホートでは、Cox比例ハザードモデルを用い、男女別にリスク因子を検討し、10年リスク予測モデルを作成した。検討したリスク因子は、QRISK2ですでに含まれている因子(年齢、人種、貧困、SBP、BMI、総コレステロール/HDLコレステロール比、喫煙、冠動脈疾患の家族歴[60歳未満の1親等の親族]、1型糖尿病、2型糖尿病、治療中の高血圧、関節リウマチ、心房細動およびCKD[ステージ4、5])と、新規のリスク因子(CKD[ステージ3、4、5]、SBPの変動性[反復測定の標準偏差]、片頭痛、ステロイド薬、SLE、非定型抗精神病薬、重度の精神疾患およびHIV/AIDS、男性の勃起障害の診断または治療)であった。 検証コホートでは、男女別に、年齢、人種およびベースライン時の疾患の状態によるサブグループで適合度と予測能を評価した。評価項目は、一般診療、死亡および入院の3つのデータベースに記録されたCVD発症とした。最新QRISK3モデル、心血管疾患のリスク評価に有用 抽出コホートの5,080万観察人年において、36万3,565件のCVD発症例が特定された。 検討された新規リスク因子は、統計学的に有意なリスクの増大が示されなかったHIV/AIDSを除き、すべてモデルへの組み入れ基準を満たした。 新規リスク因子を追加したQRISK3モデルの測定能は良好で、また高い予測能を示した。QRISK3モデルのアルゴリズムにおいて、女性では、CVD診断までの時間のばらつきを示すR2値(高値ほどばらつきが大きいことを指す)は59.6%で、D統計量は2.48、C統計量は0.88であった(どちらも数値が高いほど予測能がよいことを表す)。また、男性ではそれぞれ、54.8%、2.26および0.86であった。全体としてQRISK3モデルのアルゴリズムの性能は、QRISK2と同等であった。

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EGFR変異陽性肺がんの再発リスクを40%減、ゲフィチニブ補助療法/ASCO2017

 非小細胞肺がん(NSCLC)と診断された患者の20~25%は手術適応である。プラチナベースの術後補助化学療法は、Stage II~IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の患者のスタンダードとなっている。一方、EGFR-TKIは進行EGFR変異陽性NSCLC1次治療の標準である。しかし、EGFR-TKIによる術後補助化学療法については、過去のBR19やRADIANT試験からも利点は証明されていない。 EGFR変異陽性のNSCLC患者の術後補助療法として、化学療法をEGFR-TKIで代替できないか。そこでEGFR変異陽性NSCLCの術後補助療法において、ゲフィチニブと化学療法(ビノレルビン+シスプラチン)を比較する初めての無作為化第III相試験となるADJUVANT試験が行われた。中国Guangdong General HospitalのYi-Long Wu氏が、その結果を米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)にて発表した。 同試験の対象は、完全切除後のStage II~IIIA(TNM分類第7版N1-N2)のEGFR変異陽性NSCLC患者。登録された患者は、無作為にゲフィチニブ(250mg×1/日)24ヵ月間投与群と化学療法群(ビノレルビン25mg/m2を1日目と8日目に投与+シスプラチン75mg/m2を1日目に投与)3週ごと4サイクル投与群に、1:1に割り付けられた。主要評価項目は無病生存期間(DFS)。DFSの改善は40%以上とした。 結果、2011年9月19日~2014年4月24日に222例の患者が登録された(ゲフィチニブ群、化学療法群ともに111例)。治療期間の中央値は36.5ヵ月で、ゲフィチニブ群の投与期間は18ヵ月以上が最も多く67.9%、化学療法群は4サイクルが最も多く83.0%を占めた。 主要評価項目であるDFSは、ゲフィチニブ群で28.7ヵ月(24.9~32.5ヵ月)、化学療法群で18.0ヵ月(13.6~22.3ヵ月)と、ゲフィチニブ群で有意に長く(HR:0.60、95%CI:0.42~0.87、p=0.005)、その差は10.7ヵ月であった。3年DFS(3yDFS)はゲフィチニブ群の34.0%に対し、化学療法群は27.0%で、ゲフィチニブ群で有意に高かった(p=0.013)。全生存期間(OS)は未達成。 Grade3以上の有害事象の発現率は、ゲフィチニブ群で12.3%、化学療法群は48.3%と、ゲフィチニブ群で有意に少なかった(p<0.001)。健康関連QOLについては、Total FACT-L、LCSS、TOIの3種の評価ともゲフィチニブ群で有意に優れていた。 EGFR変異陽性のStage II~IIIA(N1-N2)NSCLC切除可能患者に対する、ゲフィチニブの術後補助療法は、これらの患者集団における重要な選択肢であると考えられるべきである。 DiscussantであるVU University Medical CenterのSuresh Senan氏は、「DFSの10.7ヵ月の延長は注目すべきである。今後は、どのような患者にベネフィットがもたらされるのかなど、より詳細に研究していくべきである。また、3yDFSの34%という結果は満足できるものではなく、対象症例などに注目してさらなる改善を図るべきであろう」と述べた。■参考 ADJUVANT試験(NCT01405079) BR19試験 RADIANT試験

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大規模個別患者データに基づくBayes流メタ解析が“非ステロイド性消炎鎮痛薬(COX-2を含む)が総じて急性心筋梗塞発症リスクを増加させる”と報告(解説:島田 俊夫 氏)-685

 本論文では、急性心筋梗塞(AMI)発症の既往歴を有する6万1,460例を含む44万6,763例(38万5,303例はコントロール)の信頼できる大規模個別データ(カナダおよび欧州)を対象にAMIを主な評価項目とし、COX-2選択的阻害薬と従来型NSAIDsの使用と非使用者でAMI発症リスク差を検証するためにBayes流メタ解析1,2)が行われた。 最初1週目(1~7日)、1ヵ月未満、1ヵ月以上の期間でのNSAIDs投与が、いずれの期間においてもAMI発症リスクを有意に増加させた。最初1週目のNSAIDs使用によるAMI発症リスクの事後確率(オッズ比>1.0の事後確率)は、セレコキシブで92%、イブプロフェンで97%、 ジクロフェナク、ナプロキセンおよびrofecoxib(心血管系の副作用のために2004年に米国で販売中止、日本では未承認)でそれぞれ99%であった。対応する調整オッズ比(95%信頼区間)は、セレコキシブで1.24(0.91~1.82)、イブプロフェンで1.48(1.00~2.26)、ジクロフェナクで1.50(1.06~2.04)、ナプロキセンで1.53(1.07~2.33)、 rofecoxibで1.58(1.07~2.17)と高い発症リスクを示し、NSAIDsの高用量投与でさらにリスクが増加することも明らかになった。 1ヵ月を超える長期に渡る投与でのAMI発症リスクは、1ヵ月未満の投与と比較して、そのリスクを上回ることはなかった。服用中止による30日未満では、AMI発症リスクはわずかに低下するにとどまったが、その後1年間でAMI発症リスクはほぼ前の状態に復した。コメント: NSAIDs服用はAMI発症リスクを増加させると言われていたが、大規模症例の確保が難しい状況もあり信頼に足る大規模研究の実施は困難で、議論の余地が残っていた。従来のNSAIDsとCOX-2を含めた経口非ステロイド性消炎鎮痛薬のAMI発症リスク評価のために、ビッグデータを用いた個別データBayes流メタ解析手法3)を使用することで、症例数の不足やその他の問題点の解決に道が開かれた。 本研究によりナプロキセンを含むすべてのNSAIDsが、AMI発症リスクの増加と密接に関係していることが明らかになった。セレコキシブ(COX-2)のAMI発症リスクは従来のNSAIDsとほぼ同等かやや少ない程度であり、 rofecoxib(COX-2)よりは有意に低かった。AMI発症リスクはNSAIDsの最初の1ヵ月の使用期間中で、しかも高用量投与においてAMI発症リスクが最も高くなった。 要するに、NSAIDsの種類によりAMI発症リスクに多少の差があるけれども、COX-2および従来型NSAIDsともAMI発症リスクは五十歩百歩で、総じて気安く使用することへの警鐘として本論文の結果を真摯に受け止めることは重要である。今後、本論文で使用されたビッグデータとしての個別患者データに基づくBayes流メタ解析は、大規模集団形成が難しい研究に使用される有望な解析モデルになるかもしれない。■参考Kalil AC, et al. Intensive Care Med. 2011;37:420-429.Shimada T, et al. Rinsyo Byori. 2016;64:133-141.Riley RD, et al. BMJ. 2010;340:c221.

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「ザ・ゴール」の内容【Dr. 中島の 新・徒然草】(173)

百七十三の段 「ザ・ゴール」の内容前回は「ザ・ゴール-企業の究極の目的とは何か」(ダイヤモンド社)のシリーズを最近になって読み直し、その先見の明にあらためて感心し、医療にも応用できるのではないかと述べました。今回はまず「ザ・ゴール」でのアレックス・ロゴ所長の工場における生産性向上のための具体的方法を2つ紹介したいと思います(多少のネタバレあり)1つ目はボトルネックの活用です。この工場では色々な機械の組み合わせで製品を作っているのですが、その多くはNCX-10という最新式の機械で処理をする必要があります。そしてNCX-10の前には仕掛在庫が山のようにたまっている一方で、この機械から部品が出てくるのが遅いとよく後工程の人がせっつきに来るのです。すなわち、このNCX-10がボトルネックなのです。にもかかわらず、NCX-10は作業員の休憩時間に合わせて停まっていたりして、その能力はフル活用されていませんでした。そこで、アレックスは工員の休憩時間をもう少し柔軟に運用してNCX-10をできるだけ休ませないようにしました。さらにNCX-10以前に使っていた旧式の機械を倉庫から引っ張り出して来て手助けをさせます。これらの工夫でボトルネックであるNCX-10の担当工程を目一杯使ったところ、一気に生産力があがりました。このことから分かるのは、全体の生産性はボトルネックに依存しており、全体最適化を図るにはボトルネックという要所を改善しなくてはならないということです。2つ目は、いかなる難題に対しても適切な解決法を考えろ、ということです。アレックスの工場は色々な工夫で大きく生産性をアップすることができたのですが、そこに難題が降ってきました。バーンサイドという大口顧客から12型モデルを2週間以内に1,000台納入できないか、というものです。これに応えることができれば、今後バーンサイドを囲い込むことができそうですが、いかにアレックスの工場といえども、そこまでの生産力はもっていません。そこで考えたのが、小分けにすることでした。2週間後に250台、その後は1週間ごとに250台ずつの納入ではどうか、とバーンサイドに打診したところ、「その方がむしろ都合がいい」という返事をもらえました。その結果、アレックスはバーンサイドの注文にうまく対応することができ、先方からも本社からも素晴らしい評価を得ることができたのです。このエピソードは、顧客の要求と自分の見込み案を足して2で割って妥協するのではなく、双方がウィン・ウィンとなる解決策を追求することの大切さを示しています。次回はいよいよ「ザ・ゴール」を医療へ応用する方法について、私のアイデアを述べたいと思います。とりあえず1句何事も ウイン・ウインの解決だ

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第10回 インスリン療法のキホン【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第10回】インスリン療法のキホン―インスリン治療の開始はどのように判断したらよいでしょうか。内服から切り替える場合の基準、製剤選択についても教えてください。 インスリン治療の適応には、インスリン依存状態(1型糖尿病)や高血糖性の昏睡を来した状態(糖尿病ケトアシドーシスなど)、重度の肝・腎障害の合併、糖尿病合併妊婦などの「絶対的適応」と、インスリン非依存状態(2型糖尿病)が対象の「相対的適応」があります。2型糖尿病の場合、「著明な高血糖(空腹時血糖値250mg/dL以上、随時血糖値350mg/dL)を認める」「経口薬のみでは良好な血糖コントロールが得られない」「やせ型で栄養状態が低下」「糖毒性を積極的に解除する必要がある」などが相対的な適応とされています1)(絶対的適応の場合は、専門医に相談)。 インスリン以外で治療中の2型糖尿病患者さんで、たとえば高用量のSU薬に加え、作用機序の異なる薬剤を併用しているにも関わらず、空腹時血糖値が250mg/dLを超える状態が数ヵ月続く場合は、インスリン治療を検討します。その際、内因性インスリンを評価するために、空腹時血中Cペプチドもみるとよいでしょう。朝食前血中Cペプチドの正常値は1.0~3.5ng/mL(0.5ng/mL以下でインスリン依存状態)で、低値であればあるほど、内因性インスリン分泌が低下しており、インスリン療法が必要です。空腹時血中Cペプチドが0.8ng/mL以下であれば、インスリン治療適応と考えてよいと思います。 インスリン導入にあたって、入院と外来の2つの方法があり、インスリンの絶対的適応では入院が望ましく、また、2型糖尿病でも可能であれば入院がよいですが、外来での導入も可能です。導入方法には、内服薬からの切り替えと、現在服用している経口薬を続けながらインスリンを併用するBOT(Basal Supported Oral Therapy)があります。 健康な成人のインスリン分泌は、1日中少しずつ分泌される「基礎分泌(Basal)」と食後の血糖上昇に合わせて瞬時に分泌される「追加分泌(Bolus)」からなります。インスリン治療では、健康な成人にできるだけ近いインスリン分泌パターンを作り、1日の血糖値の動きを正常域内に収めることが求められるため、基礎分泌と追加分泌を補う必要があります。そのため、切り替えの場合は、基礎分泌を補う目的で「中間型」もしくは「持効型」のインスリンを1日1~2回、追加分泌を補う目的で食事毎に「速効型」もしくは「超速効型」のインスリンを注射する「Basal-Bolus療法」が基本です。 経口薬にインスリンを上乗せするBOTでは、作用発現が遅く、ほぼ1日にわたり持続的な作用を示し、基礎分泌を補う「持効型溶解インスリン製剤」を追加します。持効型溶解インスリン製剤は主に空腹時血糖値を低下させるので、併用する(継続する)経口薬は食後の血糖低下効果を持つ薬剤がよいです。インスリン製剤で外因性インスリンを補うことで、疲弊している膵β細胞を休ませ、糖毒性を解除することが期待できます。糖毒性が解除されると、既存の経口薬の効果が増強されることがあるので、血糖低下状況をみながら、インスリンを中止し、経口薬のみに戻すことも可能です。―外来でインスリンを導入する方法と注意点について教えてください。 外来でインスリンを導入する場合、血糖自己測定(SMBG)と頻回の通院(週1回)が必要になります。SMBGは、インスリン治療を行う2型糖尿病でも保険が適用されますが、1日2回までとなっていますので※、その範囲で測定する場合は、1回は朝食前空腹時血糖値に、残り1回は昼食前血糖値あるいは夕食前血糖値と交互にするとよいでしょう。朝食前血糖値が高いと、下駄を履いたまま1日が始まり、全体的に血糖値が底上げされた状態になります。まずは朝食前血糖値をしっかり下げること、そして、そこが落ち着いたら食後高血糖をコントロールしましょう。※血糖自己測定に基づく指導を行った場合、インスリン自己注射指導管理料に加算して、血糖自己測定を1日に1回、2回または3回以上行っているものに対して、それぞれ400点、580点または860点を加算することとされている。 その際、注意することは、朝食前空腹時血糖値を“下げすぎない”ことです。インスリン治療の問題に「体重増加」がありますが、下げすぎると強い空腹感から食べてしまい、体重増加を来します。また、もう1つインスリン治療で問題になるのが「低血糖」です。朝食前空腹時血糖値を下げすぎてしまうと、その前の夜間に低血糖を起こしてしまう可能性があります。強化療法による2型糖尿病患者さんの心血管障害の発症抑制を検討したものの、死亡率が予想を上回ったために早期終了となった「ACCORD:Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes」では、強化療法による厳格な血糖コントロールによって生じた重症低血糖が、死亡リスク増大と関連したことが示されました2)。また、夜間低血糖については、不整脈との関連も示唆されています3)。朝食前血糖値は120~130mg/dLを目指すようにし、100mg/dLを下回らないようにしましょう。さらに、血糖コントロール長期不良例では、急激に血糖を低下させると網膜症や神経障害が悪化する可能性があるので1)、徐々に目標値に近づけましょう。―インスリンの初回投与量の設定について教えてください。 インスリン導入の際には、入院か外来で適切な投与量(単位)を決めますが、開始時の投与量は体重1kg当たり1日0.2~0.3単位(8~12単位)、体重1kg当たり1日0.4~0.5単位(20~30単位)まで増量することが多いとされています1)。単位の変更は、「責任インスリン(その血糖値に最も影響を及ぼしているインスリン)」で決めます。SMBGを同時に開始しますが、Basal-Bolus療法を行っている場合、たとえば昼食前の血糖値が高ければ、その血糖値に影響を及ぼしている朝のBolusを見直す、夕食前の血糖値が高ければ、その血糖値に影響を及ぼしている昼のBolusを見直す、また、朝食前の血糖値が高ければ、朝食前血糖値に影響を及ぼすBasalを見直します。その患者さんに適したインスリン量を決めるにあたり、SMBGの記録は大変重要です。―独居の高齢患者さんや認知機能低下のある患者さんに対するインスリン導入に悩みます。どのように判断したらよいでしょうか? 独居の高齢者でも、認知機能に問題がなく自分で管理できればインスリン治療は可能ですし、認知機能が低下していても、同居家族や補助者がきちんと管理できれば問題ありません。 インスリン治療で最も怖いのは低血糖です。昏睡に至ることもあり、前述のように、心血管疾患との関連も示されています。インスリン導入にあたり、決められた量を決められた時間に打つことができるかどうかを確認することも大切ですが、低血糖管理、とくに低血糖を予防することができるかどうかを見極めることが重要です。インスリン治療を行っている場合、まず、食事を1日3回、必要十分量とる必要があります。とくに高齢者の場合、インスリンを投与し、いざ食事しようとしたら、いつもの量が食べられなかった、ということがしばしばあります。―シックデイのインスリン投与はどのようにしたらよいでしょうか。インスリンの種類による対応の違いと患者さんへの説明の仕方を教えてください。 シックデイで食事がとれない場合は、まず、食事を工夫してできるだけ普段と同じカロリーの食事がとれるようにし、インスリン注射はやめないようにします。どうしても食事がとれないときは、医師や看護師、薬剤師などに相談してもらいますが、その際も、基礎分泌を補うBasalは食事とは関係がないので、中止しないようにします。SMBGもやめないようにしてもらいます。また、できるだけ水分摂取を心がけてもらい、吐き気や嘔吐のために水分もとることができないときは連絡してもらいます。―心理的抵抗がある患者さんにインスリンを導入する場合は、どのように指導したらよいでしょうか? 近年のインスリン製剤の開発や注射器具の改良、簡便なSMBG機器の出現により、患者さんの負担を最小限にしたインスリン治療ができるようになっています。2型糖尿病患者さんにも、幅広く受け入れてもらえるようになりました。しかしそれでもまだ、「インスリン(注射)」と聞くと「最後の治療」と感じてしまう患者さんもいます。そのような患者さんには、「決して最後の治療ではないこと」「インスリンにより糖毒性が解除されれば、また経口薬でのコントロールに戻ることができるようになる」などを説明し、心理的障壁を取り除くようにします。「自分で打つのはいやだけど、医療従事者が打つなら」という患者さんもいます。そのような方で、たとえばリタイアされていて時間があるような場合は、1日1回、持効型溶解インスリン製剤を打ちに来院してもらうという方法をとるのもよいでしょう。また、注射に慣れていただくために、週1回のGLP1-受容体作動薬を来院して打つ、あるいはご自分で打つことから始め、慣れてからインスリンを導入するという手もあります。1)日本糖尿病学会編・著. 糖尿病治療ガイド2016-2017. 文光堂;2016.2)Bonds DE, et al. BMJ. 2010;340:b4909.3)Chow E, et al. Diabetes. 2014;63:1738-1747.

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加齢黄斑変性へのbrolucizumab vs.アフリベルセプト

 滲出型加齢黄斑変性(AMD)に対する抗VEGF薬の有効性と安全性について、brolucizumabとアフリベルセプトを比較した第II相無作為化試験が、米国・Retinal Consultants of ArizonaのPravin U. Dugel氏らにより行われた。治療サイクル8週ごと(q8)の検討において、両者の有効性および安全性は同等であることが示されたが、brolucizumab群のほうが、中心領域網膜厚(CSFT)減少が安定的で、予定外治療の頻度が少なく、網膜下液などの溶解率が高かった。また、brolucizumab投与の治療サイクル12週ごと(q12)の検討で、最高矯正視力(BCVA)を治療を受けた眼の約50%で得ることが示された。Ophthalmology誌オンライン版2017年5月24日号掲載の報告。 試験は多施設共同で前向き二重盲検法にて行われた。被験者は活動性の、AMD続発性の新生血管を有する50歳以上の患者89例。1対1の割合で、硝子体内にbrolucizumab(6mg/50μL)またはアフリベルセプト(2mg/50μL)を注射投与する群に無作為に割り付けられた。 両群とも月1回3ヵ月間の投与を受けた後、8週に1回投与を受け40週時点で評価を受けた。またbrolucizumab群は、最終q8サイクルで12週に1回投与の2サイクルに更新され、56週時点で評価を行った。アフリベルセプト群はq8投与が継続され、56週時点で評価を受けた。なお、両群とも予定外の治療は研究者の裁量で容認された。 主要および副次的仮説は、brolucizumab群がアフリベルセプト群に対し、ベースラインから12週および16週それぞれの時点でBCVAスコアの変化が非劣性である(マージン:片側αレベル0.1で5 letters)、とした。試験全体を通して、BCVA、CSFT、形態的特色について評価が行われた。主な結果は以下のとおり。・BCVAのベースラインからの平均変化値について、12週時点の評価で、brolucizumab群のアフリベルセプト群に対する非劣性が示された。5.75 vs.6.89(80%信頼区間[CI]:-4.19~1.93)。・16週時点においても、brolucizumab群のアフリベルセプト群に対する非劣性が示され(6.04 vs.6.62、80%CI:-3.72~2.56)、40週時点でも顕著な差は認められなかった。・q8治療サイクル中の疾患活動性の評価アウトカムにおいて、brolucizumabを受けた患者のほうが、予定外治療を受けた頻度が少なく(6 vs.15)、CSFTの減少がより安定していたことが示された。・さらに事後解析において、brolucizumab治療を受けた眼のほうがアフリベルセプト治療を受けた眼と比べて、網膜内および網膜下液の溶解率がより高かった。・また、q12サイクルにおいて、brolucizumab治療を受けた眼の約50%が、安定したBCVAを有した。・brolucizumabとアフリベルセプト関連の有害事象は類似していた。

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