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僧帽弁閉鎖不全症は予後は必ずしも良好ではなく過小治療の傾向がある(解説:今井靖氏)-857

 心臓弁膜症は心臓疾患の中では古くからその病態生理が検討され、心臓外科手術、とくに人工弁置換術の術式が確立することに加えて、心臓超音波検査法の進歩と相まって今日の診療の枠組みが構築された。2014年に国内で6万6,453件の心臓外科手術が行われているが、そのうち2万1,939件が弁膜症であり、大動脈弁狭窄に対する弁置換と僧帽弁閉鎖不全に対する形成術の比率が増えており、それら疾患の増加が読み取れる。最近は大動脈弁狭窄症にTAVIというカテーテル治療が登場し、僧帽弁閉鎖不全にもカテーテルを用いてクリップを僧帽弁にかけるMitraClipという治療法が日本でも始まろうとしている。このような時期において一般集団における僧帽弁閉鎖不全の頻度と外科治療の実施状況、予後などについて必ずしも明らかではなかった。本邦の検討ではないが、米国からのこの論文は示唆に富むものと考えられる。 本論文は、一般集団におけるコホート研究による僧帽弁閉鎖不全症の転帰および、介入的治療がなされていない実態を明らかにするための研究である。研究者らはメイヨー・クリニックの電子カルテ情報、ロチェスター疫学研究プロジェクトのデータを用い、米国ミネソタ州オルムステッド郡の一般集団において10年の間に診断された中等度から重症の僧帽弁閉鎖不全症症例全例(大動脈弁に病変がなく、過去に僧帽弁手術の既往がない)を拾い出し、臨床像、死亡率、心不全発症率、心臓外科手術の転帰について解析を行った。 2000~10年の10年間で1,294名の住人(診断時の平均年齢は77歳)が中等度~重症僧帽弁閉鎖不全症と診断され、42%が左室駆出率50%未満であり、それらは50%以上の症例よりも逆流量が少なかった。診断後の死亡率は心臓死が51%(824名中420例)であり、同地域の年齢・性別から推定される死亡率に比較してリスク比が2.23倍と高かった。左室駆出率が50%未満(リスク比3.17)でも以上(リスク比1.71)であっても、また僧帽弁閉鎖不全が一次性(リスク比1.73)であっても二次性(リスク比2.72)であっても死亡率上昇が認められた。心不全も高率に認められた(診断後5年間で平均64%)。僧帽弁外科手術はたった198例(15%)にしか実施されておらず、術式はそのうち149例が僧帽弁形成術であった。外科手術の実施例は、左室駆出率で分けると50%未満では28例(5%)、50%以上では170例(22%)であり、僧帽弁閉鎖不全が一次性のものは164例(29%)、二次性では34例(5%)に実施されていた。このような状況から、僧帽弁閉鎖不全症は診断と治療へのアクセスが十分行える地域集団においても限られた数の症例しか診断・治療に到達していない状況が浮き彫りになったとされ、ここにアンメットニーズがあると考えられる、と結んでいる。 日本においては米国に比較して病院へのアクセスおよび通院頻度が高く、かつ健康診断などがルーチン化している状況で僧帽弁閉鎖不全の実態は大きく異なるのかもしれないが、一方で僧帽弁閉鎖不全症について必要な外科治療を提供できていない可能性も考える必要性があり、大変示唆に富む論文と考えられる。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第60回

第60回:Game Changerとなるか?最近の免疫治療データ:NEJM、AACRよりキーワード肺がんメラノーマKEYNOTE-054KEYNOTE-189KEYNOTE-042CheckMate-227肺がんネオアジュバント動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.毎年大きな発表というと、ASCOということだったんですけど、最近すごく分散されてESMOヨーロッパでもgame changing の発表があったり…AACRというのは、研究寄りと思われてたのですけど…今年はAACRでもPractice Changing臨床が変わるような試験がいくつか報告されています。1つはメラノーマのStageIIIに対するペムブロリズマムの結果が報告されたこと、(そして)KEYNOTE-189ですね(これはウォールストリートジャーナルなどにも載りました)。PhaseIIでFDAには認可されていたんですが、その確認で、PhaseIIIでも同様な効果が得られたことが報告されています。(非小細胞肺がんの)1stラインで、カルボラチン・ペメトレキセド・ペムプロリズムの併用が、カルボプラチン・ペメトレキセドの併用に勝っていたと。これはPD-L1発現に関わらず良かったということですね。ただ、よくあるというか当たり前だと思うんですけど、median survival(OS)が12ヵ月、1年生存率が5割くらいと言われていたStageIV肺がんに対し、PhaseIIの時はmedian Progression Free Survival(PFS)が13ヵ月と1年を超えたので、これは実際どんな結果になるかと思ったんですけど、PhaseIIIで蓋を開けてみるとPFSは8.8ヵ月、9ヵ月弱ですね…それでもかなり画期的なんですけど…そういう結果が出ました。PhaseIIでのresponse rateは5割5分とか6割弱だったと思うのですが、それも49%…50%弱とこなれてきた印象あります。ここでcontrol armが、ちょっと興味深いんですけど、カルボ・アリムタのresponse rateが、実は2割を切るぐらいです。従来は3~4割、4割5分というStudyもあったのですが、これ(この試験)に関しては、control groupはかなり低かったですね。ただ、randomizedのcontrol trialでblindedな試験なので、この結果を(信頼して)…カルボ・ペム・ペムの副作用は2剤、単剤より多いですが、効果は高いということです。またASCOで報告したいと思うんですけども、ASCOでKEYNOTE-042、PD-L1発現1%以上の群に(対する)、Chemo vs ペムブロリズマブの結果がPlenary Sessionで報告されるようです。(これも多分Game Changerになると思うのですが)PD-L1の発現率は今、22c3という抗体を使った場合、1%未満になるのが3分の1、1~49%に収まるのが3分の1、50%以上が3分の1と言われています。ペムブロリズマブは50%以上の群に関しては1stラインでは認可になっています(ので)、もし1~49%も1stラインでペムブロリズマブ単剤のほうがChemoより良い、という結果が報告されると、non squamous、squamous含めStageIVの肺がん患者の3分の2は、ペムブロリズマブから始めたほうが良いということになる可能性もあります。カルボ・ペム・ペムであればPD-L1発現関係なしに使えるので、どういうPSの患者さんにはペムブロリズマブ単剤を使ったほうが良いのか、どういう患者さんであれば、カルボプラチン・ペメトレキセド・ペムブロリズマブの3剤併用を使ったほうが良いのか、バイオマーカーも含めて注意深く報告を見守ってみたいと思います。<KEYNOTE-189を含め、数本の免疫CP薬の記事がNEJMに同時掲載されました>resectableな肺がんに対して、ニボルマブのネオ・アジュバントの結果が報告されています。50%ぐらいにmajor tumor responseがあったと、確か11例ぐらいだと思うんですけど、20例resectionして、その半分近くにtumor responseがあったという、ネオ・アジュバントの小さなStudyですが報告が、まったく同じ時のNew England Journalに載りました。もう1つはtumor mutation burdenですね。これはどこの検査を使うのか、いくつのgeneを調べるのか、カットオフ値をどうするのか、まだまったくコンセンサスが出てなくて、議論の分かれるところですけども、1メガベースに10個以上のmutationがある患者さんに対して、イピリムマブとニボルマブを併用することで効果があった、という報告がNew England Journalの同じ号に出ています。1つの号にKEYNOTE-189、ニボルマブのネオ・アジュバント、そしてtumor mutation burdenを使ったイピ・ニボの効果という報告がありました。高リスク悪性黒色腫の術後補助療法でのペムブロリズマブ:第III相試験(KEYNOTE-054)/NEJMNSCLC 1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS延長:第III相試験(KEYNOTE-189)/NEJMペムブロリズマブ、PD-L1発現肺がんの1次治療に単剤でOS改善(KEYNOTE-042)早期NSCLC、ニボルマブによるネオアジュバントが有望/NEJMニボルマブ・イピリムマブ併用、高腫瘍変異負荷肺がん1次治療でPFS延長(CheckMate-227)/NEJM

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国際親善地獄【Dr. 中島の 新・徒然草】(222)

二百二十二の段 国際親善地獄先日もERに呼び出されてしまいました。若手「中島先生、ちょっと来てもらえませんでしょうか?」中島「どうした!」若手「香港から来た子供が大阪城公園で転んで・・・」中島「また大阪城で子供が? 日本に来るやつは全員大阪城で転んでウチに来るんか!」若手「とにかくお願いします」というわけでERに行きました。母親に抱かれた2歳ぐらいの子供がギャーギャー泣いていて、看護スタッフが前額部の挫創を水で洗っていたところでした。母親もシクシク泣いているばかりか、そばに立っている5歳くらいの男の子もワーワー泣いています。君まで泣くな、関係ないやろ。スタッフ「誰か中国語のできる人、呼んできて!」中島「いやいや、香港から来たんやろ。英語ができるはずやぞ」スタッフ「ホンマですか?」中島「ちょっと前までイギリスが統治しとったがな」考えてみれば香港がイギリスから中国に返還されたのは1997年、はや20年以上も経っています。とりあえず、母親に英語で尋ねてみました。やはり私なんかよりずっと流ちょうにしゃべります。中島「私はドクター・ナカジーマです。男の子ですか、女の子ですか?」母親「女の子よ。ねえ、この怪我はシリアスなの? (泣)」中島「全然シリアスじゃないですよ」母親「ああ、良かった!」中島「ちょっと傷口を洗って、上から被覆しておきます」母親「わかったわ。明日帰国するんだけど」中島「診断書を書きましょう。あなたのドクターと、多分、保険会社向けに必要でしょうから」母親「そうね」左右から子供に泣かれてイライラするものの、顔には出さずにニコニコ対応を心掛けました。看護師さんたちは、「iPad 持ってきてー。動画を見せたら泣きやむかも」と言っています。それを耳にしながら、「何をヌルイことを。押さえつけてサッサと処置してしまったらいいのに!」と思わずにはいられません。驚いたことには本当にどこからかiPadが出てきて、「キティちゃんかな、アンパンマンかな?」と、ますます私の思惑を無視する形で事態が進んでいきます。次に私がすべきは英文診断書(兼、紹介状)の作成です。「診断:頭部外傷、前額部挫創。2018年5月〇日、この子は、転んで頭を打ったけど、終始意識清明で吐いたりけいれん発作を起こしてはいない。傷口を洗って抗菌薬を処方した」と書いて、母親に確認してもらいました。サッと斜めに読んだ彼女に、さっそく2ヵ所指摘されてしまいました。母親「名前が間違っているわ。“o”じゃなくて“u”なの。それと誕生日は1月じゃなくて6月ね」中島「これは失礼しました。すぐに書き直します」途中で父親らしき男性が登場しましたが、夫婦の会話は中国語です。香港だから広東語になるのでしょうか? ふと気づくと泣き声がしません。子供たちを見ると、2人ともiPadの動画に夢中です。恐るべし、キティちゃん!薬の受け渡しとか支払手続きは若いモンに任せて、私は早々にERを退散しました。それにしてもカナダ、オーストラリア、アメリカ、中国、韓国、香港と、ここのところ国際親善地獄です。毎週のようにコミュニケーションに苦労してきたせいか、最近は頭の中で思ったことが、間髪を入れずに英語で口から出てくるようになりました。英語コミュニケーションのコツを1つ挙げるとしたら、とりあえず何かそれらしい英単語を口にして、ズレていたら言い直すということかもしれません。黙って的確な表現を考えているよりは、まずは何か言った方が、患者さんも「ひょっとして〇〇かしら?」と助け舟を出してくれるので話が通じやすいように思います。それにしても大変な時代になったもんです。だんだん世の中についていけなくなってきました。ぼちぼち中国語を勉強するべき時期なのかもしれませんね。最後に1句ER、国際親善、もう嫌だ

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第1回 経口ステロイドは短期服用でも有害事象リスク増【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 経口ステロイド薬は多岐にわたる疾患に使われていて、多くの疾患の治療に必須の薬剤であることに疑いの余地はありません。しかし、長期服用した場合の有害事象もよく知られているところです。では、経口ステロイド薬を短期服用した場合はどうなのでしょうか? 私は、短期服用した場合の有害事象はそれほど多くはないだろう、となんとなく思っていたのですが、その認識を改める契機となった研究を紹介します。Short term use of oral corticosteroids and related harms among adults in the United States: population based cohort study.Waljee AK ,et al. BMJ. 2017;357:j1415.この研究は、2012~14年にかけて、医療保険に加入している18~64歳の米国人154万8,945例の記録を分析したものです。そのうち32万7,452例(21.1%)が何らかの病気に対して少なくとも1回以上、短期的にステロイド薬を服用していました。論文内では30日未満を短期と定義し、30日~5ヵ月にわたり追跡調査を行っています。5分の1の人が、3年間で1回は経口ステロイド薬を使用していたというのは、本邦とは使用の感覚が少し違うのかもしれません。組み入れられている患者の条件は次のとおりでした。・平均年齢:服用群45.5±11.6歳、非服用群44.1±12.2歳・服用期間:平均6日間(四分位範囲:6~12日)、7日以上服用は47.4%(15万5,171例)・基礎疾患や過去1年以内のステロイド使用歴なし・prednisone当量の服用量:中央値20mg/日(四分位範囲:17.5~36.8mg/日)、40mg/日以上は23.4%(7万6,701例)・主な服用理由:上気道感染症、椎間板障害、アレルギー、気管支炎、下気道疾患(これら5症状が全体の約半数)アウトカムとして服用開始30日以内および31~90日の敗血症、深部静脈血栓症、骨折リスクを評価しています。平均6日間服用で敗血症、深部静脈血栓症、骨折リスクが上昇ステロイド薬服用群で1,000人・年当たりの発生頻度がもっとも高かったのは骨折(21.4件)、次いで静脈血栓塞栓症(4.6件)、敗血症による入院(1.8件)です。下記の表のように、5~30日目の非服用群の自然発生リスクと比較して、服用群の敗血症リスクは5.30倍、静脈血栓症リスクは3.33倍、骨折リスクが1.87倍という結果で、いずれも統計学的に有意差があります。1日20mg以下という比較的低用量であっても有意差は保持されていますが、高用量になるほどリスクが増加する傾向にあります。リスク上昇傾向は31~90日後には下がるものの、それでも服用者総計の敗血症は2.91倍、静脈血栓塞栓症は1.44倍、骨折は1.40倍と有意差は保持されています。相対的な数値ですので実臨床上の感覚としては大幅に増えるというほどのものではないかもしれませんが、一定の認識は持っておいたほうがよさそうです。ちなみに、40mg以上服用の5~30日の発症率比が20~39mg/日よりも低く出ているものもありますが、症例数が少なく信頼区間の幅が極めて広いため、これをもってして20~39mg/日よりリスクが低いとは言い切れません。また、31~90日目の有害事象発症率比はやはり高用量になるほど大きい傾向にあります。画像を拡大するステロイド薬の服用理由別のリスク評価はどうなのでしょうか? ステロイド薬の服用に至った理由は呼吸器系症状か筋骨格系症状かによらず、ステロイド薬服用群では各リスクが上昇する傾向が示唆されています。筋骨格系症状で服用した群の発症率比がやや多いようですが、単純に服用量が多かったという可能性も考えられます。画像を拡大するなお、年齢別、性別、人種別でのリスク評価では、おおむね年齢が高いほどリスクが上がる傾向があるようですが、人種差や性差はさほど見られませんでした。本研究の結果をもって、実際の処方提案などの介入方法を変えるという類のものではなさそうですが、経口ステロイド薬の有害事象のモニタリングは服用が短期間、低用量であっても相応の注意をもって行ったほうがよさそうです。Short term use of oral corticosteroids and related harms among adults in the United States: population based cohort study.Waljee AK ,et al. BMJ. 2017;12;357:j1415.

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アジアの小児自閉スペクトラム症の過敏性に対するアリピプラゾールのオープンラベル試験

 アジアの小児および青年(6~17歳)の自閉スペクトラム症の過敏性に対する、アリピプラゾールの有効性および忍容性を調査するため、韓国・蔚山大学校のHyo-Won Kim氏らは、12週間の多国籍多施設オープンラベル試験を実施した。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2018年4月24日号の報告。 小児および青年の自閉スペクトラム症患者67例(10.0±3.1歳、男子:52例)を対象に、アリピプラゾールをフレキシブルドーズ(平均投与量:5.1±2.5mg、範囲:2~15mg)で12週間投与を行った。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールは、異常行動チェックリストのサブスケールにおいて、過敏性、無気力/引きこもり、常同行動、多動性、不適切な話し方の介護者評価スコアの平均値を、ベースラインから12週目までに有意に減少させた(各々、p<0.001)。・臨床全般印象・重症度スコア(Clinical Global Impression Severity of Illness scale score)も、ベースラインから12週目までに改善した(p<0.001)。・最も多く認められた有害事象は、体重増加であった。また、アリピプラゾールでの治療に関連する重篤な有害事象は認められなかった。 著者らは「本結果より、アジアの小児自閉スペクトラム症の過敏性に対する治療で、アリピプラゾールは、有効かつ忍容性のあることが示唆された。今後は、より大規模なサンプルサイズ、より長期間の研究が求められる」としている。■関連記事日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較

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コーヒー豆は浅煎りを選んでがん予防

 コーヒーは世界で最も広く飲まれている飲料の1つであり、健康に有益な多くの植物性化合物を含んでいる。これまでに、浅いローストレベル(焙煎度)の豆が、高い抗酸化活性を持つという報告1)があるが、抗がん作用との関わりは明確にされていなかった。今回、米国・カリフォルニア州立大学のBenigno E. Mojica氏らの研究結果より、浅めに焙煎されたコーヒー豆が、口腔および結腸がんのような、特定のがん予防に寄与する可能性が示唆された。Journal of food science誌2018年4月号に掲載。 本研究では、コーヒー豆が、ヒト結腸腺がん細胞(HT-29)およびヒト舌扁平上皮がん細胞(SCC-25)株にもたらす増殖抑制効果を、焙煎度ごとに比較した。選択された焙煎度合いは、焙煎前(生豆)、シナモンロースト、シティロースト、フルシティロースト、フルシティローストプラス。がん細胞をそれぞれのコーヒー抽出液で72時間処理を行い、細胞生存率を、MTT(thiazolyl blue tetrazolium bromide)アッセイを用いて定量した。 主な結果は以下のとおり。・より浅い焙煎豆の抽出液(とくにシナモンロースト)が、深い焙煎豆の抽出液よりも細胞増殖を抑制した。・シナモンローストの抽出液が、最大の総フェノール含量および抗酸化活性を有していた。・生理活性のある植物化合物として広く認識されている没食子酸とコーヒー酸(フェノール酸の一種)、およびクロロゲン酸の、抽出液中の相対量を比較すると、シナモンロースト抽出液が、没食子酸とコーヒー酸を最も多く含んでいた。

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脳梗塞/TIA患者へのクロピドグレル+アスピリンは?/NEJM

 軽度虚血性脳卒中またはハイリスク一過性脳虚血発作(TIA)患者に対し、クロピドグレル+アスピリン投与はアスピリン単独投与に比べ、90日主要虚血イベントリスクを低下するが、一方で重大出血リスクを増大することが示された。米国・テキサス大学のS. Claiborne Johnston氏らが、10ヵ国、約5,000例の患者を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。クロピドグレル+アスピリンの抗血小板薬2剤併用療法は、軽度虚血性脳卒中またはTIA発症後3ヵ月間の脳卒中再発を抑制する可能性が示唆されていた。実際に、中国人を対象とした試験では再発リスクの低下が示されたが、研究グループは、国際的な検討で同療法の有効性を調べた。NEJM誌オンライン版2018年5月16日号掲載の報告。10ヵ国、269の医療機関で試験 研究グループは2010年5月28日~2017年12月19日に、10ヵ国、269ヵ所の医療機関を通じて、軽度虚血性脳卒中またはハイリスクTIA患者4,881例を対象に、無作為化比較試験を実施した。 被検者を無作為に2群に分け、クロピドグレル(初日投与量600mg、その後75mg/日)+アスピリン(50~325mg/日)、またはアスピリン(同用量)のみを、それぞれ投与した。 有効性に関する主要評価項目は、90日後の、虚血性脳卒中・心筋梗塞・虚血性血管イベントで定義した主要虚血イベントの複合だった。予定被験者数84%時点で、重大出血リスク増大により試験中止 試験は予定した被験者数が84%に達した時点で、安全性モニタリング委員会が、クロピドグレル+アスピリン群がアスピリン単独群に比べ、90日時点での主要虚血イベントリスクを低下するものの、重大出血リスクは増大すると判断し、早期に中止・終了となった。 主要虚血イベントの発生は、アスピリン単独群で2,449例中160例(6.5%)だったのに対し、クロピドグレル+アスピリン群では2,432例中121例(5.0%)と有意に低下した(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.59~0.95、p=0.02)。また、大半のイベントが、初回イベントから1週間以内の発生だった。 一方、重大出血の発生は、アスピリン単独群10例(0.4%)に対し、クロピドグレル+アスピリン群は23例(0.9%)で認められた(HR:2.32、95%CI:1.10~4.87、p=0.02)。

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軽症喘息へのSMART療法は有益か/NEJM

 軽症喘息患者に対し、ブデソニド・ホルモテロール配合剤(商品名:シムビコート)の頓用は、テルブタリン頓用に比べ、喘息コントールおよび増悪リスクの軽減に優れることが示された。一方、ブデソニド維持療法(ブデソニド+テルブタリン頓用)に対しては、電子ダイアリーの週評価でみた喘息コントロールは劣性であることが示され、増悪リスクの軽減は同程度だった。増悪の頻度は、ブデソニドを含む2療法が、テルブタリンよりも低下した。また結果として、ブデソニド・ホルモテロール頓用群がブデソニド維持療法群よりも、グルココルチコイドの曝露が大幅に少なかった。カナダ・マックマスター大学のPaul M. O’Byrne氏らが、3,849例を対象に行った、52週の二重盲検無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2018年5月17日号で発表した。52週間追跡し、電子ダイアリーによる喘息コントロール良好の週の割合を比較 研究グループは、軽症喘息患者において、吸入ステロイド+短時間作用性β2刺激薬の頓用が、従来治療戦略に代わりうる可能性を検討した。 被験者は、12歳以上の軽症喘息患者3,849例。同グループは被験者を無作為に、テルブタリン群(プラセボ[2回/日]+テルブタリン[0.5mg、頓用])、ブデソニド・ホルモテロール群(プラセボ[2回/日]+ブデソニド・ホルモテロール配合剤[ブデソニド200μg+ホルモテロール6μg、頓用])、ブデソニド維持療法群(ブデソニド[200μg、2回/日]+テルブタリン[0.5mg、頓用])の3群に分け、いずれかを投与した。 試験の主要目的は、喘息症状スコアなどに関する電子ダイアリーを基に、喘息コントロールが良好だった週の割合について、ブデソニド・ホルモテロール頓用のテルブタリン頓用に対する優越性を検証することだった。コントロール良好、LABA/ICS群34.4%、SABA群31.1%、ICS+SABA群44.4% 被験者のうち3,836例(テルブタリン群1,277例、ブデソニド・ホルモテロール群1,277例、ブデソニド維持療法群1,282例)について、全解析と安全性データ分析を行った。 喘息コントロールが良好だった週の割合をみると、テルブタリン群31.1%に対し、ブデソニド・ホルモテロール群は34.4%と、その優越性が示された(オッズ比[OR]:1.14、95%信頼区間[CI]:1.00~1.30、p=0.046)。一方で、ブデソニド維持療法群の同割合は44.4%と、ブデソニド・ホルモテロール群の劣性が示された(OR:0.64、同:0.57~0.73)。 また重度増悪の年間発生頻度は、テルブタリン群が0.20、ブデソニド・ホルモテロール群が0.07、ブデソニド維持療法群が0.09だった。率比は、ブデソニド・ホルモテロール群対テルブタリン群が0.36、ブデソニド・ホルモテロール群対ブデソニド維持療法群が0.83だった。 なお、ブデソニド・ホルモテロール群の1日ステロイド定量噴霧吸入量の中央値は57μgで、ブデソニド維持療法群340μgの17%にとどまった。

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SGLT2阻害薬は死亡率、心血管イベントの低減に最も有用(解説:吉岡成人氏)-856

2型糖尿病の治療薬の選択 糖尿病の治療薬の選択に対して、日本糖尿病学会では患者の病態に応じて薬剤を選択することを推奨しているが、米国糖尿病学会ではメトホルミンを第一選択薬とし、心血管疾患の既往がある患者では、SGLT2阻害薬ないしはGLP-1受容体阻害薬を併用することを推奨している。その背景には、EMPA-REG OUTCOME試験、CANVASプログラム、LEADER試験、SUSUTAIN-6などの臨床試験によって、これらの薬剤が心血管イベントに対して一定の抑制効果を示したことが挙げられる。 それでは、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体阻害薬との比較ではどうなのか、日本で最も使用されているDPP-4阻害薬と比較した場合はどうなのだろうかという疑問に答える論文が報告された。ネットワークメタ解析での比較 通常のメタ解析では治療介入を行ったランダム化比較試験(RCT)を統合して介入の効果を検証するが、3種類以上の介入の効果を比較検討することはできない。Zheng SLらはネットワークメタ解析の手法を用いて、実際のhead-to-headの試験を行うことなく、多数のRCTの結果を統計学的に併合して直接的、間接的な比較を行った結果を報告している。本論文では各薬剤を使用して12ヵ月間以上観察された236件のRCTを抽出し、各薬剤とコントロール群、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬とSGLT2阻害、GLP-1受容体阻害薬とSGLT2阻害の各群において、全死亡を主要アウトカム、心血管死、心不全、心筋梗塞と不安定狭心症、脳卒中を二次アウトカムとして薬剤間の有用性を検証している(Zheng SL, et al. JAMA. 2018 Apr 17;319: 1580-1591. )。SGLT2阻害の有用性が明らかに 各群における対象患者の平均年齢は50代前半から後半までと比較的若く、HbA1cも8.2%前後で、罹病期間が長く血糖コントロールが不良な患者は多く含まれてはいない。しかし、全死亡については、GLP-1受容体阻害薬とSGLT2阻害薬はコントロール群、およびDPP-4阻害薬投与群に比較して有意に減少させており、GLP-1受容体作動薬投与群とSGLT2阻害薬投与群との間には有意差はなかった。この傾向は心血管死亡率についても同様であった。一方、心不全イベントについては、SGLT2阻害の有用性が最も高く、コントロール群、DPP-4阻害薬投与群に対してのみならず、GLP-1受容体投与群に対しても有意に心不全イベントの抑制効果を示していた。 欧米では、2型糖尿病の治療に対して、低血糖や体重増加を来しにくい薬剤が推奨されており、メトホルミンが第一選択薬となっている。今回の結果は、心血管イベントによる死亡が多い欧米人にあっては、SGLT2阻害が第二選択薬としてのポジションをより強固なものにした印象を与える。日本でも、虚血性心疾患のハイリスク患者、心不全患者、糖尿病腎症の患者などでは積極的に、SGLT2阻害薬が使用されつつある。しかし日本人の糖尿病患者では欧米に比較して心血管イベントは少なく、65歳以上の高齢者が多く、インスリン分泌も低い。これらの点を考慮すると、現在広く用いられているDPP-4阻害が重用される現状はしばらく続くのかもしれない。

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第2回 意識障害 その2 意識障害の具体的なアプローチ 10’s rule【救急診療の基礎知識】

72歳男性の意識障害:典型的なあの疾患の症例72歳男性。友人と食事中に、椅子から崩れるようにして倒れた。友人が呼び掛けると開眼はあるものの、反応が乏しく救急車を要請した。救急隊到着時、失語、右上下肢の麻痺を認め、脳卒中選定で当院へ要請があった。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:3/JCS、E4V2M5/GCS血圧:188/102mmHg 脈拍:98回/分(不整) 呼吸:18回/分SpO2:95%(RA) 体温:36.2℃ 瞳孔:3/3mm+/+意識障害のアプローチ意識障害は非常にコモンな症候であり、救急外来ではもちろんのこと、その他一般の外来であってもしばしば遭遇します。発熱や腹痛など他の症候で来院した患者であっても、意識障害を認める場合には必ずプロブレムリストに挙げて鑑別をする癖をもちましょう。意識はバイタルサインの中でも呼吸数と並んで非常に重要なバイタルサインであるばかりでなく、軽視されがちなバイタルサインの1つです。何となくおかしいというのも立派な意識障害でしたね。救急の現場では、人材や検査などの資源が限られるだけでなく、早期に判断することが必要です。じっくり考えている時間がないのです。そのため、意識障害、意識消失、ショックなどの頻度や緊急性が高い症候に関しては、症候ごとの軸となるアプローチ法を身に付けておく必要があります。もちろん、経験を重ね、最短距離でベストなアプローチをとることができれば良いですが、さまざまな制約がある場面では難しいものです。みなさんも意識障害患者を診る際に手順はあると思うのですが、まだアプローチ方法が確立していない、もしくは自身のアプローチ方法に自信がない方は参考にしてみてください。アプローチ方法の確立:10’s Rule1)私は表1の様な手順で意識障害患者に対応しています。坂本originalなものではありません。ごく当たり前のアプローチです。ですが、この当たり前のアプローチが意外と確立されておらず、しばしば診断が遅れてしまっている事例が少なくありません。「低血糖を否定する前に頭部CTを撮影」「髄膜炎を見逃してしまった」「飲酒患者の原因をアルコール中毒以外に考えなかった」などなど、みなさんも経験があるのではないでしょうか。画像を拡大する●Rule1 ABCの安定が最優先!意識障害であろうとなかろうと、バイタルサインの異常は早期に察知し、介入する必要があります。原因がわかっても救命できなければ意味がありません。バイタルサインでは、血圧や脈拍も重要ですが、呼吸数を意識する癖を持つと重症患者のトリアージに有効です。頻呼吸や徐呼吸、死戦期呼吸は要注意です。心停止患者に対するアプローチにおいても、反応を確認した後にさらに確認するバイタルサインは呼吸です。反応がなく、呼吸が正常でなければ胸骨圧迫開始でしたね。今後取り上げる予定の敗血症の診断基準に用いる「quick SOFA(qSOFA)」にも、意識、呼吸が含まれています。「意識障害患者ではまず『呼吸』に着目」、これを意識しておきましょう。気管挿管の適応血圧が低ければ輸液、場合によっては輸血、昇圧剤や止血処置が必要です。C(Circulation)の異常は、血圧や脈拍など、モニターに表示される数値で把握できるため、誰もが異変に気付き、対応することは難しくありません。それに対して、A(Airway)、B(Breathing)に対しては、SpO2のみで判断しがちですが、そうではありません。SpO2が95%と保たれていても、前述のとおり、呼吸回数が多い場合、換気が不十分な場合(CO2の貯留が認められる場合)、重度の意識障害を認める場合、ショックの場合には、確実な気道確保のために気管挿管が必要です。消化管出血に伴う出血性ショックでは、緊急上部内視鏡を行うこともありますが、その際にはCの改善に従事できるように、気管挿管を行い、AとBは安定させて内視鏡処置に専念する必要性を考える癖を持つようにしましょう。緊急内視鏡症例全例に気管挿管を行うわけではありませんが、SpO2が保たれているからといって内視鏡を行い、再吐血や不穏による誤嚥などによってAとBの異常が起こりうることは知っておきましょう。●Rule2 Vital signs、病歴、身体所見が超重要! 外傷検索、AMPLE聴取も忘れずに!症例の患者は、突然発症の右上下肢麻痺であり、誰もが脳卒中を考えるでしょう。それではvital signsは脳卒中に矛盾ないでしょうか。脳卒中に代表される頭蓋内疾患による意識障害では、通常血圧は高くなります(表2)2)。これは、脳卒中に伴う脳圧の亢進に対して、体血圧を上昇させ脳血流を維持しようとする生体の反応によるものです。つまり、脳卒中様症状を認めた場合に、血圧が高ければ「脳卒中らしい」ということです。さらに瞳孔の左右差や共同偏視を認めれば、より疑いは強くなります。画像を拡大する頸部の診察を忘れずに!意識障害患者は、「路上で倒れていた」「卒倒した」などの病歴から外傷を伴うことが少なくありません。その際、頭部外傷は気にすることはできても、頸部の病変を見逃してしまうことがあります。頸椎損傷など、頸の外傷は不用意な頸部の観察で症状を悪化させてしまうこともあるため、後頸部の圧痛は必ず確認すること、また意識障害のために評価が困難な場合には否定されるまで頸を保護するようにしましょう。画像を拡大する意識障害の鑑別では、既往歴や内服薬は大きく影響します。糖尿病治療中であれば低血糖や高血糖、心房細動の既往があれば心原性脳塞栓症、肝硬変を認めれば肝性脳症などなど。また、内服薬の影響は常に考え、お薬手帳を確認するだけでなく、漢方やサプリメント、家族や友人の薬を内服していないかまで確認しましょう3)。●Rule3 鑑別疾患の基本をmasterせよ!救急外来など初診時には、(1)緊急性、(2)簡便性、(3)検査前確率の3点に意識して鑑別を進めていきましょう。意識障害の原因はAIUEOTIPS(表4)です。表4はCarpenterの分類に大動脈解離(Aortic Dissection)、ビタミン欠乏(Supplement)を追加しています。頭に入れておきましょう。画像を拡大する●Rule4 意識障害と意識消失を明確に区別せよ!意識障害ではなく意識消失(失神や痙攣)の場合には、鑑別診断が異なるためアプローチが異なります。これは、今後のシリーズで詳細を述べる予定です。ここでは1つだけおさえておきましょう。それは、意識状態は「普段と比較する」ということです。高齢者が多いわが国では、認知症や脳卒中後の影響で普段から意思疎通が困難な場合も少なくありません。必ず普段の意識状態を知る人からの情報を確認し、意識障害の有無を把握しましょう。前述の「Rule4つ」は順番というよりも同時に確認していきます。かかりつけの患者さんであれば、来院前に内服薬や既往を確認しつつ、病歴から◯◯らしいかを意識しておきましょう。ここで、実際に前掲の症例を考えてみましょう。突然発症の右上下肢麻痺であり、3/JCSと明らかな意識障害を認めます(普段は見当識障害など特記異常はないことを確認)。血圧が普段と比較し高く、脈拍も心房細動を示唆する不整を認めます。ここまでの情報がそろえば、この患者さんの診断は脳卒中、とくに左大脳半球領域の脳梗塞で間違いなしですね?!実際にこの症例では、頭部CT、MRIとMRAを撮影したところ左中大脳動脈領域の急性期心原性脳塞栓症でした。診断は容易に思えるかもしれませんが、迅速かつ正確な診断を限られた時間の中で行うことは決して簡単ではありません。次回は、10’s Ruleの後半を、陥りやすいpitfallsを交えながら解説します。お楽しみに!1)坂本壮. 救急外来 ただいま診断中. 中外医学社;2015.2)Ikeda M, et al. BMJ. 2002;325:800.3)坂本壮ほか. 月刊薬事. 2017;59:148-156.コラム(2) 相談できるか否か、それが問題だ!「報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)」が大事! この単語はみなさん聞いたことがあると思います。何か困ったことやトラブルに巻き込まれそうになったときは、自身で抱え込まずに、上司や同僚などに声をかけ、対応するのが良いことは誰もが納得するところです。それでは、この3つのうち最も大切なのはどれでしょうか。すべて大事なのですが、とくに「相談」は大事です。報告や連絡は事後であることが多いのに対して、相談はまさに困っているときにできるからです。言われてみると当たり前ですが、学年が上がるにつれて、また忙しくなるにつれて相談せずに自己解決し、後で後悔してしまうことが多いのではないでしょうか。「こんなことで相談したら情けないか…」「まぁ大丈夫だろう」「あの先生に前に相談したときに怒られたし…」など理由は多々あるかもしれませんが、医師の役目は患者さんの症状の改善であって、自分の評価を上げることではありません。原因検索や対応に悩んだら相談すること、指導医など相談される立場の医師は、相談されやすい環境作り、振る舞いを意識しましょう(私もこの部分は実践できているとは言えず、書きながら反省しています)。(次回は6月27日の予定)

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第2回 無菌室稼働から7回目、ドキドキの独り立ち!【はらこしなみの在宅訪問日誌】

在宅訪問専任薬剤師のはらこし なみです。責任と自己判断。1人でドキドキの混注先日の無菌室稼働から7回目。そろそろ体が先に動くようになってきて、「1人でも大丈夫だろう、次からはもう1人で」と決まりました。輸液やアンプルにアルコール吹き付けたり、トレーを消毒したり、シリンジやフィルターをそろえたり・・・入室前の準備をしつつ、緊張感も出てきて、もう一度マニュアルを読んで手技のチェック。一人で気楽かと思いきや、責任と自己判断という重みがのしかかり、ドキドキの混注になりました。一通り無菌操作を終え、無菌室すべての面・・・床、壁をアルコールで拭く掃除が、思いのほか大変でした。「でも、これはきっちりとやらないと!」と、アルコールにまみれながら終了。クリーンルームの外に出て、新鮮な空気が美味しく、ひと時ほっとします。でも、この輸液が何かトラブルを起こさないだろうか、チューブの詰まりはないか、体調はどうか、お届け時間は間に合うか・・・と、新たなドキドキが待っていました。腸閉塞の患者さんが在宅中心静脈栄養(TPN)の予定今、A病院に入院されている腸閉塞の患者さんが在宅中心静脈栄養(TPN)の予定です。※TPNは心臓に近い鎖骨の下を走る中心静脈にカテーテルを入れて、そのカテーテルに直接薬 剤や栄養剤を投与する方法。現在は・・・ラクトリン®ゲル液、フルカリック®。ロピオン®静注(静注用非ステロイド性鎮痛薬)を生食100mLに入れて側注管より注入。とのことでした。ロピオン®は在宅でいけますか?と先生より質問もあり、調べています。先生はロピオン®か、デュロテップ®でいくか、考え中のよう。しかし、新たな問題が・・・うすうす勘づいていたのですが、案の定、ロピオン®の安定性(生食 or ブドウ糖5%にmix)は3日間(72時間)までの資料しかなく、ロピオン®が乳濁性製剤のため、フィルターに目詰まりを起こす可能性がある、側管からフィルターを通さない方法が推奨される、とメーカーより回答をいただきました。うちの薬局の基準では、アンプル混中でTPNの場合はフィルター使用が前提。どうしたものか・・・??結局、ロピオン®が在宅には向かないことを先生にお伝えしました。処方提案もしたかったけれど、先生がお考えのデュロテップ®以外には思いつかず・・・。力不足を味わっていました。ところが、退院時処方を見ると、ハイペン®200mgが開始に!胃を全摘していない、完全に腸閉塞しているわけではないことから、退院までの間に内服を試して、可能になったそうです。"TPNだから経口投与はできない"と端から内服薬を除外していましたが、経口できるか否かはTPNかどうかではないこと、腸閉塞といっても様々な状態があり、まさに患者さん個々の状態にもよるのだということを学んだ一例でした・・・。日々精進です!

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若年者の無症候性WPW症候群における致死的なイベントリスクは?【Dr.河田pick up】

 WPW(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト)症候群を持つ若年者は突然死のリスクがあり、無症候の若年WPW症候群患者のマネージメントについては長い間議論されてきた。 この研究では、WPW症候群を持つ若年者のリスクの特性を調べるために、致死的なイベントを経験した患者とそうでない患者を比較している。米国・ユタ大学のSusan P. Etheridge氏らによる国際多施設共同研究で、JACC.Clinical Electrophysiology誌2018年4月号に掲載。 この後ろ向きの多施設共同研究では、21歳以下のWPW症候群患者でEPS(電気生理学的検査)が行われた912人を同定した。症例群は致死的なイベント(LTE)を有した患者で、LTEは突然死、回避された突然死、そして心房細動中の最も短いRR間隔 (shortest pre-excited RR interval in atrial fibrillation:SPERRI)が250ms以下、もしくは心房細動中に血行動態が保てなくなったもの、と定義されている。対照群はそれらのイベントのない患者であり、両群の臨床的な特徴とEPSのデータを比較した。致死的なイベントが起きた患者では、65%でLTEが初発症状 症例群(96例)は年齢が高く、症状や頻拍の既往が少ない傾向にあった。LTEが起きた際の平均年齢は14.1±3.9歳であった。LTEが初発症状であったのが65%であり、そのうち早期興奮を伴った心房細動が49%、回避された突然死が45%、そして突然死が6%であった。EPSで同定された3つのリスクは最も短いRR間隔、副伝導路の有効不応期 (accessory pathway effective refractory period:APERP) 、そして心房ペーシング中の早期興奮が見られる最短のペーシング間隔 (shortest paced cycle length with pre-excitation during atrial pacing:SPPCL) であり、これら3つはいずれも症例群で、対照群より短かった。致死的なイベントが起きた患者でも、37%でEPSのハイリスクな特徴を示さず 多変量解析の結果、致死的なイベントのリスク因子は、男性、Ebstein奇形、早い順行伝導が可能な副伝導路(APERP、SPERRI、あるいはSPPCL≤250ms)、複数の副伝導路、心房細動が誘発されることであった。症例群の86例中60例(69%)がEPSの際に少なくとも2つ以上のリスク項目の評価を受けた。そして、そのうち22例(37%)がEPSでのハイリスクな特徴を示さず、15例(25%)ではリスクが高い副伝導路およびAVRT(房室回帰性頻拍)のいずれも有していなかった。無症候の若年WPW患者でも突然死を起こす可能性有 本研究では、若年WPW患者は症状やハイリスクな特徴を有さずとも、突然死を起こす可能性があると結論付けている。WPW症候群のマネージメントは有症候、無症候に分けて行われてきたが、このマネージメントが必ずしも適切とは言えないかもしれない。EPSは症状よりもリスク評価において正確であるが、完璧なツールではない。また、EPSと同時にアブレーションを行うのが一般的であり、EPS後に無作為化した前向き研究を行うことは現実的ではない(副伝導路をEPSのみ行い放置するのは、一般的に極めてまれである)。アブレーションのリスクは一般的に高くはないが、若年者の場合は全身麻酔等も必要で、心臓が成長することも考慮しなければならず、症例ごとに評価、家族との話し合いのうえで管理していくことが必要と考えられる。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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軽度~中等度のアルツハイマー病患者における急速な認知機能低下の予測因子

 アルツハイマー病(AD)は、治療や予防手段がなく、進行を遅らせる方法が証明されていない疾患である。ADは、あまり知られていないさまざまな因子に起因する認知機能悪化と関連している。フランス・リモージュ大学のAchille E. Tchalla氏らは、高齢者のAD患者における急速な認知機能低下に関連する要因について検討を行った。Dementia and geriatric cognitive disorders誌オンライン版2018年4月23日号の報告。 12ヵ月間のプロスペクティブマルチセンターコホート研究を実施した。対象は、軽度~中等度のADを有する65歳以上の地域住民。急速な認知機能低下は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア3点/年以上の減少と定義した。潜在的な個人レベルの予測因子をベースライン時に収集した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、521例であった。・平均年齢は、80.8±9.0歳、女性の割合は66.0%であった。・ベースライン時の平均MMSEスコアは、20.5±4.5点であった。・急速な認知機能低下の発現率は、40.9%(95%CI:36.7~45.1)であった。・急速な認知機能低下は、軽度AD(22.3%)よりも中等度AD(53.5%)で多く認められた。・急速な認知機能低下に関連する因子は以下のとおりであった。 ●親の認知症歴(オッズ比:2.32、95%CI:1.24~4.21、p=0.011) ●精神症状(オッズ比:2.06、95%CI:1.22~3.48、p=0.007) ●栄養不良(オッズ比:1.61、95%CI:1.06~2.63、p=0.028) ●女性(オッズ比:1.48、95%CI:1.03~2.15、p=0.036)・治療開始時のMMSEスコア20点未満も、急速な認知機能低下と関連が認められた(p<0.001)。 著者らは「これらの結果は、患者、その家族、医師と直接的に関連する可能性があり、困難な臨床経過や機能アウトカム不良の早期予測を可能にする」としている。■関連記事どのくらい前から認知症発症は予測可能かドネペジルの治療反応、投与前に予測可能か認知症に対する抗精神病薬処方、治療反応の予測因子は:慈恵医大

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日本人は身長が高いと脳血管死亡リスク低い~JPHC研究

 成人の身長と死亡リスクの関連が以前の研究で示唆されているが、日本人における身長と全死因死亡率・疾患別死亡率との包括的な関連は不明である。今回、わが国の前向きコホート研究(JPHC研究)で評価したところ、成人での身長が高いと、男女共に脳血管疾患死亡リスクが低く、逆に男性のがん死亡リスクが高いことが示唆された。PLOS ONE誌2018年5月14日号に掲載。 対象は、JPHC研究のベースライン時のアンケートに回答した、40~69歳の参加者10万7,794人(男性5万755人、女性5万7,039人)。自己申告アンケートによる成人での身長により、男性では、160cm未満、160~163cm、164~167cm、168cm以上、また女性では、149cm未満、149~151cm、152~155cm、156cm以上の四分位で分けて検討した。Cox比例ハザードモデルを用いて、全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、その他の原因による死亡のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中、男性1万2,320人、女性7,030人が死亡した。・男性では、成人での身長が高いと脳血管疾患死亡リスク(160cm未満のHRを1としたときの168cm以上のHR:0.83、95%CI:0.69~0.99、5cm増におけるHR:0.95、95%CI:0.90~0.99)および呼吸器疾患死亡リスク(160cm未満のHRを1としたときの168cm以上のHR:0.84、95%CI:0.69~1.03、5cm増におけるHR:0.92、95%CI:0.87~0.97)が低かった。一方、全がん死亡率(160cm未満のHRを1としたときの168cm以上のHR:1.17、95%CI:1.07~1.28、5cm増におけるHR:1.04、95%CI:1.01~1.07)は高かった。・女性においても、成人での身長が高いと脳血管疾患死亡リスクが低かった(149cm未満のHRを1としたときの156cm以上のHR:0.84、95%CI:0.66~1.05、5cm増におけるHR:0.92、95%CI:0.86~0.99)。

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赤身肉や加工肉の摂取、悪性黒色腫発症のリスクを低下?

 赤身肉および加工肉の摂取は、がんのリスク増加に関与していることが知られているが、悪性黒色腫との関連については結論が得られていない。米国・ハーバード公衆衛生大学院のHsi Yen氏らが、2つの前向きコホート研究、Nurses' Health Study(NHS)およびHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)を使用した調査と解析の結果、赤身肉および加工肉を多く摂取することは悪性黒色腫の発症リスクを低下させる可能性があると報告した。ただし結果について著者は、「この2つのコホート研究の対象者は白人の医療従事者に限られているので、今回の結果は一般化可能性に限界があるかもしれない」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年4月23日号掲載の報告。 研究グループは、赤身肉および加工肉の摂取と悪性黒色腫のリスクについて検討する目的で、1984~2010年にNHSに参加した女性7万5,263例と、1986~2010年にHPFSに参加した男性4万8,523例を対象に、食物摂取頻度調査票(FFQ)で評価した。 悪性黒色腫の診断を診療記録から確認し、赤身肉および加工肉の摂取と悪性黒色腫との関連について、COX比例ハザードモデルを用いて多変量ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中に、悪性黒色腫として女性679例、男性639例が記録された。・赤身肉および加工肉の摂取量と、悪性黒色腫リスクとの間に、逆相関が認められた(傾向のp=0.002)。・2つのコホート研究を合わせた悪性黒色腫のハザード比は、赤身肉および加工肉の摂取量を五分位群に分けた第1五分位(基準)に対し、第2五分位1.00(95%CI:0.87~1.14)、第3五分位0.98(95%CI:0.86~1.13)、第4五分位0.89(95%CI:0.77~1.02)、第5五分位0.81(95%CI:0.70~0.95)であった。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、高腫瘍変異負荷肺がん1次治療でPFS延長/NEJM

 ニボルマブとイピリムマブは、第I相CheckMate-012試験で非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に有効性を示し、また腫瘍変異負荷(TMB)はバイオマーカーとして注目されている。そのような中、ニボルマブおよびニボルマブベースのレジメントと化学療法を比較した、無作為化オープンラベルマルチパート第III相CheckMate-227試験から、TMB高レベル患者(1メガベースあたりの変異が10個以上)における、ニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法群を比較したPart1の結果が、NEJM誌2018年4月16日号とAACR2018で同時に発表された。・試験対象:PD-L1発現1%以上および1%未満のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群     ニボルマブ単独群(TPS1%以上)     ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)・対照群:化学療法・評価項目:[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるニボルマブ+イピリムマブ群対化学療法群のPFS、PD-L1発現(≧1%)患者におけるニボルマブ+イピリムマブ群対化学療法群の全生存期間(OS)、[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(≧1%)患者におけるニボルマブ単独群対化学療法群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるニボルマブ+化学療法群対化学療法群のOS。そのほか、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・有効なTBMデータを有した1,004例のうち、高TMB(≧10変異/メガベース)患者は444例であった・上記の444例は、無作為にイピリムマブ+ニボルマブ群139例、化学療法群160例に割り付けられた・高TMB(≧10/メガベース)患者の1年PFS率は、ニボルマブ+イピリムマブ群42.6%、化学療法群13.2%。PFS中央値はニボルマブ+イピリムマブ群7.2ヵ月(95%CI:5.5〜13.2)、化学療法群5.5ヵ月(95%CI:4.4~5.8)と、化学療法に比べ、ニボルマブ+イピリムマブ群で有意に長かった(HR:0.58、97.5%CI:0.41~0.81、p<0.001)・PFSサブグループ解析では、PD-L1発現(≧1%、<1%)、また組織型(扁平上皮、非扁平上皮)にかかわらず、ニボルマブ+イピリムマブ群で良好であった・ORRは、ニボルマブ+イピリムマブ群で45.3%、化学療法群で26.9%であった・Grade3/4の治療関連有害事象はニボルマブ+イピリムマブ群31.2%、化学療法36.1%であった  この結果は、高TMBのNSCLC患者における、ニボルマブ・イピリムマブ併用の利点と、患者選択のバイオマーカーとしての腫瘍変異負荷の役割を立証している。■参考CheckMate-227試験(ClinicalTrials.gov)CheckMate-227試験(AACR2018ニュースリリース)

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術直後ゲムシタビン膀胱内注入、膀胱がん再発リスク低減/JAMA

 低悪性度の筋層非浸潤性尿路上皮がん患者は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)後の再発の頻度が高いという。米国・ロチェスター大学のEdward M. Messing氏らは、本症が疑われる患者では、術直後の単回ゲムシタビン膀胱内注入療法により、4年後の再発リスクが低減することを、多施設共同試験「SWOG S0337試験」で示した。ゲムシタビンを含むレジメンは、筋層浸潤性および高度に進行性の尿路上皮がんの全身療法に使用されており、予備的エビデンスではゲムシタビン膀胱内投与は安全であり、筋層非浸潤性尿路上皮がんでは他の薬剤と同等以上の有効性が示唆されている。JAMA誌2018年5月8日号掲載の報告。膀胱鏡所見での疑い例を対象とする無作為化試験 SWOG S0337試験は、低悪性度の筋層非浸潤性尿路上皮がん疑い例における、TURBT施行直後の単回ゲムシタビン膀胱内注入療法の有用性を評価する二重盲検無作為化試験である(米国国立がん研究所[NCI]の助成による)。 対象は、TURBT施行前の18ヵ月以内に、膀胱鏡所見で高悪性度病変がないか、または低悪性度の筋層非浸潤性病変が2個以内の患者406例であった。患者登録は、2008年1月23日~2012年8月14日の期間に行われた。 被験者は、TURBT施行直後に、1時間でゲムシタビン膀胱内注入(2g+生食100mL)を行う群(201例)または生食(100mL)を膀胱内に注入する群(205例)に無作為に割り付けられた。最終フォローアップ日は、2016年8月14日だった。 主要アウトカムは再発までの期間であり、副次エンドポイントは筋層浸潤までの期間および全死因死亡とした。適格基準が、検証的組織所見ではなく膀胱鏡所見に基づくため、登録患者の10%は組織所見が予測とは異なると推定した。4年再発リスクが34%低減 ベースラインの全体の年齢中央値は66歳で、84.7%が男性であった。383例(ゲムシタビン群:190例、生食群:193例)が試験を完遂した。 intention-to-treat解析では、4年以内にゲムシタビン群の201例中67例が再発し(推定4年再発率:35%)、生食群は205例中91例が再発した(同:47%)。ハザード比(HR)は0.66(95%信頼区間[CI]:0.48~0.90、p<0.001[再発までの期間の片側log-rank検定])であり、ゲムシタビン群が有意に優れた。 TURBTと膀胱内注入療法を受けた低悪性度の筋層非浸潤性尿路上皮がん患者は215例であった。このうちゲムシタビン群の102例中34例が再発し(推定4年再発率:34%)、生食群は113例中59例が再発した(同:54%)。HRは0.53(95%CI:0.35~0.81、p=0.001[再発までの期間の片側log-rank検定])であり、ゲムシタビン群が有意に良好であった。 15例が筋層浸潤病変へと進行し、このうちゲムシタビン群は5例、生食群は10例であり、有意な差は認めなかった(p=0.22、片側log-rank検定)。また、42例が死亡したが、ゲムシタビン群が17例、生食群は25例であり、両群に差はみられなかった(p=0.12、片側log-rank検定)。 Grade4/5の有害事象は発現しなかった。Grade3はゲムシタビン群が4例(血尿3例、感染症1例)、生食群は6例(排尿機能障害3例、排尿痛/性交痛2例、血尿1例)に認められた。Grade1/2のうち頻度の高い有害事象は、排尿機能障害(ゲムシタビン群31例、生食群32例)、排尿痛/性交痛(26例、23例)、血尿(12例、14例)であった。 著者は、「これらの知見は、この治療法の導入を支持するが、ゲムシタビンと他の薬剤の膀胱内注入を比較する試験を行う必要がある」としている。

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認知症の薬はいったいいつできるのか? バプティスト史観から(解説:岡村毅氏)-855

本論文はメルク社の研究チームからの直球の論文である。アルツハイマー型認知症の病理の中核にアミロイドがあるが、それをつくる酵素(BACE)の阻害薬を軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の方に投与したが、効果はみられなかったというものだ。21世紀に入りアルツハイマー型認知症に関して、多くの薬がパイプラインに乗ったという報告がなされた。近い将来(つまり2018年の今ごろ?)根本治療薬が開発されるのではと思った方も多かったのでは。しかしここ数年、失敗の報告が相次いでいる。ファイザー社は中枢神経系の開発自体を諦めてしまった。いったいいつできるのか? あるいは、できないのか? 21世紀の前半を生きる私たちの立ち位置を改めて眺めてみよう。(1)アルツハイマー型認知症に関して現在ある薬は、アミロイドの病理とはまったく関係なく、アセチルコリン系を賦活して脳の働きを活発にする対症療法薬である。アミロイド自体に介入する薬は失敗が続いている。(2)しかし国際的な大規模縦断観察研究(ADNI)が明らかにしたように、症状が出た時点ではアミロイドはすでに蓄積している。診断されてからアミロイドに介入しても無意味なのかもしれない。(3)現在、症状はないが、脳内にアミロイドがたまっているプレクリニカル期で研究が行われている。ここでBACE阻害薬やAβ抗体が効果を示す可能性は十分にある。以上はアミロイド中心主義(ベータアミロイド[β-amyloid]からバプティスト[Baptists]などと言われる)史観ともいえるだろう。私は根本治療薬の開発を支持するが、さらに広い視野で眺めてみよう。(A)先進国ではアルツハイマー型認知症の発症率は低下しており、教育年数との関連が示されている。また糖尿病がアルツハイマー型認知症の発症の危険因子であることもわかってきた。公衆衛生的アプローチは効果的だ。(B)レビー小体病、前頭側頭葉変性症の根本治療薬に関しては、まったくめどが立っていない。(C)予防薬の開発も重要だが、それのみが強調されると、すでに認知症と診断された人には救いがない。診断後支援やケアラー支援の重要性がようやく認められつつある。Living well with dementiaは知っておくべき言い回しだろう。(D)認知症を持つ人も、当たり前だが、私たちと同じ人間であり、同じ権利を持つのだから、彼ら自身の選択を尊重しようという考え方もようやく共有されてきた。当事者の発信も増えている。障害の領域でのNothing about us without usに対応。(E)脱施設の流れは加速するが、地縁血縁の弱体化、長寿化(と格差の拡大)、家族形態の変化および独居の増加、プライバシーの保護などは、むしろ地域ケアへの挑戦かもしれない。一方でITやロボットなどが急激に実用化に向かいつつある。21世紀の半ばにはわが国の人口の10%程度が認知症を有する可能性もある。今後数十年、認知症の専門家は嵐のような日々であろう。今回は現在の私たちの立ち位置を備忘録的に記した。知っておいて損はないと思う。

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