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新COPDガイドラインの要点と日本人データ

 2018年7月、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、COPDラウンドセミナーを都内で開催した。本セミナーでは、「COPDガイドラインの改訂と日本人データの重要性」をテーマに、一ノ瀬 正和氏(東北大学大学院医学系研究科 呼吸器内科学分野 教授)による講演が行われた。COPDは息苦しさから、身体活動性の低下につながる COPDは、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)の略語で、以前は慢性気管支炎、肺気腫などと呼ばれていた疾患の総称である。喫煙や微粒子への長期曝露により、気管支に炎症が起こり、気道の狭窄・肺胞壁の破壊(気腫化)・痰などの分泌物増加などが起こる。日本人の場合、90%以上が喫煙によって発症するため、早くても40代、平均50~70代の高齢者で顕在化するという。 COPD患者は、呼吸に圧力が必要で、労作による息切れや運動による低酸素血症を生じる。その息苦しさによる身体活動の不活発化が問題であると一ノ瀬氏は強調した。治療が遅れることで、動脈硬化症、虚血性心疾患、骨粗相症などといった併存症の発症・悪化につながる恐れもある。COPDの認知度を上げて、早期治療を目指す わが国のタバコ消費量は、1980年代から減少傾向にあるが、これまでの喫煙者数や人口構造の高齢化から、COPD患者は今後も増加すると推測できる。一ノ瀬氏は、COPDの認知度の低さを指摘し、「無理にCOPDと呼ばず、慢性気管支炎や肺気腫でもいいので、主に喫煙が原因となるこの病気を多くの人に知ってほしい。目標は、平成34年までに国民の認知度80%を達成すること」と願いを語った。COPDによる負のスパイラル(労作時息切れ→身体活動低下→運動耐容能低下→骨格筋の廃用)は、QOLの著しい低下を招くため、気管支拡張薬による早期治療が望まれる。ガイドラインで示された、COPD治療における3つの要点 ガイドラインの改訂で、大きく変更になった点は3つある。1つ目は長時間作用性抗コリン薬(LAMA)が、長時間作用性β2刺激薬(LABA)より推奨されたことだ。LAMAとLABAの気管支拡張効果は同等だが、LAMAのほうが、粘膜分泌抑制効果により痰が改善されることなどから、増悪率が下がるという報告1-2)がある。 2つ目は、LAMAとLABAを併用することで、非常に強力な気管支拡張作用が得られるというエビデンス3)が示されたこと、3つ目は、ステロイド吸入薬(ICS)の推奨患者の変更である。1990年代以降に、重症COPDで増悪を繰り返す症例でICSがCOPD増悪を抑制するという報告4)がされたが、2014年のWISDOM試験で、LAMA/LABA併用患者をICS継続群とICS段階的中止群に分けて1年間検証した結果、ICSの有無にかかわらず、増悪の発生率は変わらない可能性が示唆された5)。よって、ICSは喘息病態を合併している場合に併用可能という記載になった。 一ノ瀬氏は、治療の順序付けについて、「LAMAもLABAも単剤で十分に効果が出る。副作用が出た場合、原因が特定しづらくなるので、最初は単剤で開始し、その後併用に移行することが望ましい」と述べた。COPD治療は身体活動性の改善が鍵 最後に日本人のエビデンスについて紹介された。海外のCOPD患者と比較すると、わが国の患者集団は、男性が圧倒的に多いこと、高齢でBMIが低いこと、現喫煙者は少なく、症状の訴えが少ないことなど、異なる点が多くあることから、日本人データの重要性を示した。 一ノ瀬氏は、同社が行ったTONADO試験、DYNAGITO試験、VESUTO試験などの結果で、LAMA単剤(商品名:スピリーバレスピマット)、LAMA/LABA配合剤(同:スピオルトレスピマット)により、呼吸機能のみならず、身体活動性の改善をもたらす傾向が得られたことを例に挙げた。これに関して、「患者バックグラウンドの差異によるものかもしれないが、日本人のほうが薬剤の有効性が高く、配合剤によるメリットも大きい可能性がある」と語り、「今後も検討を続けるが、吸入薬で呼吸機能が改善されても、身体活動などが変化しなければ併存症や予後に対する好影響は少ない。医師は、患者さんの生活変容に関しても指導していく必要がある」と述べ、講演を締めくくった。■参考文献1)Vogelmeier C, et al. N Engl J Med. 2011;364:1093-1103.2)Decramer ML, et al. Lancet Respir Med. 2013;1:524-533.3)Beeh KM, et al. Pulm Pharmacol Ther. 2015;32:53-59.4)Sin DD, et al. JAMA. 2003;290:2301-2312.5)Magnussen H, et al. N Engl J Med. 2014;371:1285-1294.■参考ベーリンガープラス COPDガイドラインポイント解説

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非常に高度なアルツハイマー病に対する抗認知症薬の有効性

 高度なアルツハイマー病(AD)において、抗認知症薬(ADD)の処方をいつまで行うべきかに関するエビデンスは、不十分である。韓国・釜山大学病院のYun Jeong Hong氏らは、ドネペジルまたはメマンチンが処方されている非常に高度なAD患者において、継続治療から得られるベネフィットについて調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2018年号の報告。 対象はミニメンタルステート検査(MMSE)スコア0~5またはFunctional Assessment Staging(FAST)スコア6以上のAD患者とし、ランダム化評価者盲検試験にて検討を行った。対象者65例を、ADD治療継続群(30例)またはADD治療中止群(35例)にランダムに割り付けた。使用中のドネペジルまたはメマンチンについては、ADD継続群は12週間継続、ADD中止群ではベースライン後に中止とした。有効性評価は、ベースライン時および12週後に実施した。主要有効性評価項目は、ベースラインから試験終了時までのBaylor Profound Mental State Examination(BPMSE)スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインから試験終了時までのBPMSEの変化は、ADD治療継続群で0.4ポイント改善、ADD治療中止群で0.5ポイント低下がみられたが、同等性検定で同等性は示されなかった。・有害事象による試験中止は、ADD治療継続群(6.7%)よりもADD治療中止群(11.4%)において多く認められた。 著者らは「非常に高度なAD患者に対するドネペジルまたはメマンチンによる継続治療は、全体的な認知機能への影響に関して、治療中止よりも優れている可能性がある」としている。■関連記事高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か?

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バレット食道に高用量PPI+アスピリンが有効/Lancet

 バレット食道の治療では、高用量プロトンポンプ阻害薬(PPI)およびアスピリンが有効であり、これらを併用すると、より高い効果が得られることが、英国・Morecambe Bay University Hospitals NHS TrustのJanusz A. Z. Jankowski氏らが行った「AspECT試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年7月26日号に掲載された。食道腺がんは世界で6番目に多いがん死の原因であり、バレット食道はその最も重要なリスク因子である。PPIは、バレット食道の主要な促進因子の1つと考えられる胃酸の逆流の抑制に有効とされる。エソメプラゾール、アスピリンによる化学予防の効果を検討 本研究は、バレット食道患者におけるエソメプラゾールおよびアスピリンによる化学予防の有効性と安全性を評価する2×2ファクトリアルデザインの無作為化第III相試験である(Cancer Research UKなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、国際的に確立された適格基準を満たし、組織学的に証明された1cm以上の円柱上皮化生を認めるバレット食道の患者であった。 被験者は、高用量PPI(40mg、1日2回)、低用量PPI(20mg、1日1回)、高用量PPI+アスピリン(英国では300mg/日、カナダでは325mg/日)、低用量PPI+アスピリンを投与する群に無作為に割り付けられ、8年以上の治療が行われた。 主要複合エンドポイントは、全死因死亡、食道腺がん、高度異形成が発生するまでの期間とした。intention-to-treat集団において、最小限の因子(年齢、バレット食道の長さ、腸上皮化生)で補正したAFT(accelerated failure time)モデルを用いて解析を行った。複合エンドポイントの時間比(TR)が>1の場合に、治療によってイベント発生までの期間が延長したとみなされた。 2005年3月10日~2009年3月1日の期間に、英国の84施設とカナダの1施設に2,557例が登録され、高用量PPI群に704例、低用量PPI群に705例、高用量PPI+アスピリン群に577例、低用量PPI+アスピリン群には571例が割り付けられた。フォローアップと治療期間の中央値は8.9年(IQR:8.2~9.8)だった。NSAID併用例を除外するとアスピリンにも有意差 PPI(高用量[1,270例]vs.低用量[1,265例])およびアスピリン(投与[1,138例]vs.非投与[1,142例])の比較をそれぞれ行った。 主要複合エンドポイントの発生は、高用量PPI群が低用量PPI群に比べ有意に優れた(139件/1,270例vs.174件/1,265例、TR:1.27、95%信頼区間[CI]:1.01~1.58、p=0.038)。アスピリン投与の有無では有意な差を認めなかった(127件/1,138例vs154件/1,142例、1.24、0.98~1.57、p=0.068)が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)併用例を除外すると、アスピリン投与群が非投与群に比し有意に優れた(125件/1,116例vs.150件/1,120例、1.29、1.01~1.66、p=0.043)。 一方、PPIとアスピリンには相加的な効果がみられ、高用量PPI+アスピリン群は低用量PPI群に比べ主要複合エンドポイントの発生が有意に良好であった(52件/572例vs.99件/699例、TR:1.59、95%CI:1.14~2.23、p=0.0068)ものの、高用量PPI+アスピリン群と高用量PPI群には有意な差を認めなかった(52件/572例vs.87件/698例、1.38、0.98~1.94、p=0.0680)。 また、高用量PPI群は低用量PPI群に比べ、全死因死亡の割合が有意に低かった(TR:1.36、95%CI:1.01~1.82、p=0.039)。さらに、アスピリン投与群は非投与群に比し、食道腺がんの前駆病変とされる高度異形成が少ない傾向がみられた(1.51、1.00~2.29、p=0.053)。 1件のイベント(高度異形成、腺がん、死亡)予防に必要なバレット食道の治療数(NNT)は、高用量PPI(vs.低用量PPI)が34(95%CI:18~333)、アスピリン投与(vs.非投与)は43(20~250)であった。試験薬関連の重篤な有害事象が発現したのは28例(1%)のみだった。 著者は、「これらの結果により、高用量PPIの効果が最も大きく、アスピリンを併用することで、さらに効果が付加されると考えられ、9年以上の投与でバレット食道の生存期間を改善する可能性が示唆される」としている。

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30~50代で非飲酒でも認知症リスク上昇/BMJ

 中年期に飲酒しなかった集団および中年期以降に過度な飲酒を続けた集団は、飲酒量が適度な場合に比べ認知症のリスクが高まることが、フランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らが行った「Whitehall II試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年8月1日号に掲載された。非飲酒と過度な飲酒は、いずれも認知機能に有害な影響を及ぼすとされるが、認知症の発症予防や遅延に関する現行のガイドラインには、エビデンスが頑健ではないため、過度の飲酒は含まれていないという。また、研究の多くは、老年期のアルコール摂取を検討しているため生涯の飲酒量を反映しない可能性があり、面接評価で認知機能を検討した研究では選択バイアスが働いている可能性があるため、結果の不一致が生じている。英国公務員のデータを用いたコホート研究 Whitehall II試験は、ロンドン市に事務所のある英国の公務員を対象とした前向きコホート研究であり、1985~88年に35~55歳の1万308例(男性:6,895例、女性:3,413例)が登録され、4~5年ごとに臨床的な調査が行われている(米国国立老化研究所[NIA]などの助成による)。 研究グループは、今回、認知症とアルコール摂取の関連を評価し、この関連への心血管代謝疾患(脳卒中、冠動脈心疾患、心房細動、心不全、糖尿病)の影響を検討した。 アルコール摂取量は、1985~88年、1989~90年、1991~93年(中年期)の3回の調査の平均値とし、非飲酒、1~14単位/週(適度な飲酒)、14単位超/週(過度な飲酒)に分類した。中年期のアルコール摂取を評価した集団の平均年齢は50.3歳だった。 また、1985~88年から2002~04年の5回の調査に基づき、17年間のアルコール摂取の推移を5つのパターン(長期に非飲酒、飲酒量減少、長期に飲酒量が1~14単位/週、飲酒量増加、長期に飲酒量が14単位超/週)に分けて検討した。 1991~93年の調査では、CAGE質問票(4項目、2点以上で依存性あり)を用いてアルコール依存症の評価を行った。さらに、1991~2017年の期間におけるアルコール関連慢性疾患による入院の状況を調べた。飲酒量が減少した集団もリスク上昇 平均フォローアップ期間は23年であり、この間に397例が認知症を発症した。認知症診断時の年齢は、非飲酒群が76.1歳、1~14単位/週の群が75.7歳、14単位超/週の群は74.4歳であった(p=0.13)。 中年期に飲酒していない群は、飲酒量が1~14単位/週の群に比べ認知症のリスクが高かった(ハザード比[HR]:1.47、95%信頼区間[CI]:1.15~1.89、p<0.05)。14単位超/週の群の認知症リスクは、1~14単位/週の群と有意な差はなかった(1.08、0.82~1.43)が、このうち飲酒量が7単位/週増加した集団では認知症リスクが17%有意に高かった(1.17、1.04~1.32、p<0.05)。 CAGEスコア3~4点(HR:2.19、95%CI:1.29~3.71、p<0.05)およびアルコール関連入院(4.28、2.72~6.73、p<0.05)にも、認知症リスクの増加と関連が認められた。 中年期~初老期のアルコール摂取量の推移の検討では、飲酒量が長期に1~14単位/週の集団と比較して、長期に飲酒をしていない集団の認知症リスクは74%高く(HR:1.74、95%CI:1.31~2.30、p<0.05)、摂取量が減少した集団でも55%増加し(1.55、1.08~2.22、p<0.05)、長期に14単位超/週の集団では40%増加した(1.40、1.02~1.93、p<0.05)が、飲酒量が増加した集団(0.88、0.59~1.31)では有意な差はなかった。 中年期の非飲酒に関連する認知症の過剰なリスクは、フォローアップ期間中にみられた心血管代謝疾患によってある程度説明が可能であり、非飲酒群全体の認知症のHRが1.47(1.15~1.89)であったのに対し、心血管代謝疾患を発症しなかった非飲酒の集団では1.33(0.88~2.02)であった。 著者は、「ガイドラインで、14単位超/週のアルコール摂取を有害の閾値と定義する国があるが、今回の知見は、高齢になってからの認知機能の健康を増進するために、閾値を下方修正するよう促すもの」としている。

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小児期のストレスと将来の認知症発症との関連

 小児期の環境と晩年の慢性疾患との関連を分析するライフコース研究は、あまり行われていない。とくに、認知症の早期予測を可能とする研究はほとんど存在しない。東フィンランド大学のGwendolyn A. R. Donley氏らは、小児期のストレスと将来の認知症(とくにアルツハイマー病[AD])との関連について検討を行った。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年7月17日号の報告。 1984~89年に実施された広範なベースライン健康診断およびインタビュー調査である、人口ベースのKuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor Studyに参加した、当時42~61歳の男性2,682例のデータを使用した。これらの構造化されたインタビューには、小児期のイベントが記録されていた。保護施設や児童養護施設での生活、小児期の危機的な経験、教師による問題、戦争による移住など、複合的な小児ストレス変数を作成した。ADを含む認知症に関するデータは、2014年までの健康レジストリより取得した。認知症発症リスクは、ベースライン時の年齢、教育、所得、先天性疾患の既往で調整し、Cox回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・小児期のストレスは、認知症リスクの増加と関連が認められた(HR:1.86、95%CI:1.12~3.10)。・年齢、教育、所得およびその他の共変量で調整した後でも、この関連は統計学的に有意であった(HR:1.93、95%CI:1.14~3.25)。・この関連は、ADにおいてもわずかに有意であり、同様なHRを有していた。 著者らは「小児期のストレスは、男性において、将来の認知症リスクに重要な影響を及ぼす。そのため、ストレス状態に苦しんでいる小児に対しての、支援システムの開発が求められる。多様な集団において、将来の罹患率に関わる小児期の社会的および環境的影響を検討するさらなる調査は、ライフコースの疾患による負荷を理解するために必要である」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかどのくらい前から認知症発症は予測可能か子供はよく遊ばせておいたほうがよい

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パーキンソン病の病因は腸か!?

 2018年7月24日、武田薬品工業株式会社は、都内においてパーキンソン病治療薬ラサギリン(商品名:アジレクト)の発売を期し、「~高齢化社会により患者数が増加している神経変性疾患~ パーキンソン病の病態・治療変遷」をテーマに本症に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、本症の概要、最新の研究状況、「パーキンソン病診療ガイドライン2018」の内容が紹介された。パーキンソン病の推定患者数は約6万人 はじめに服部 信孝氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科 教授)を演者に迎え、「パーキンソン病治療の変遷 過去・現在・未来 -新しいパーキンソン病診療ガイドラインの位置づけ-」をテーマに講演が行われた。 パーキンソン病(以下「PD」と略す)は、1,000人に1人の発症とされ、現在、患者数は約6万人と推定されている。リスク因子の中でも加齢が最も重要な因子であり、高齢になるほど発症頻度も上昇する。主な運動症状は、振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害などがある。また、非運動症状は、便秘、頻尿、睡眠障害、うつ傾向、認知機能障害などがある。とくに睡眠障害で「レム睡眠中の寝言などは、PDの前段階症状をうかがわせる所見であり、この段階で気付くことが大切だ」と同氏は指摘する。 Movement Disorder Society(MDS)の診断基準1)では、「寡動が存在し、静止時振戦か筋強剛のうち少なくとも1つを伴うパーキソニズムの存在」を絶対条件として掲げるとともに、「ドパミン補充療法が有効」「ドパ誘導性ジスキネジアがある」など4項目を支持基準(2項目以上で確定診断)として診断することとしている。また、絶対的除外基準として「小脳障害」「3年以上の下肢限局性のパーキソニズム」など9項目を掲げ、1項目でも該当するとPDと診断できないとし、同じく相対的除外基準として「5年以内の歩行障害」「3年以内の反復する転倒」など10項目を掲げ、3項目以上該当するとPDと診断できないとしている。診断で鑑別する場合、「とくに前期PDでは平衡感覚が保たれているため、転倒することは少ない」と同氏は診断ポイントを指摘する。 PD治療の中心としてL-ドパ含有製剤、ドパミン受容体刺激薬が使われているが、循環器障害、線維症、嘔気、過眠傾向、衝動調節障害などの副作用が問題となっている。また、治療薬の効果時間について作用している「オン」の時間を挟んで、作用していない「オフ」と過剰作用状態の「ジスキネジア」の3期の時間帯があるのがPD治療の特徴であり、病状の進行によりオンからどちらか一方に偏るという課題がある。パーキンソン病の治療薬ターゲットに「腸」の可能性 つぎに最新の研究状況について触れ、PDのリスク逓減因子であるカフェインには、PDの進行予防効果2)、運動症状改善効果があるとされている。そして、PD患者ではカフェイン代謝産物が吸収不全により低値であることが判明した。そのためカフェイン関連代謝産物をPDの診断マーカーとして利用する研究も進行しているという。また、PD発症と関係があるとされるαシヌクレインの伝播について、動物実験段階だが腸内細菌叢から神経炎症が脳に伝播し、脳全体に広がるというPD発症の仮説3)も説明され、今後の治療薬開発に腸がターゲットとなる可能性も示唆された。新しい「パーキンソン病診療ガイドライン」の特徴はCQとGRADEシステム 新しい「パーキンソン病診療ガイドライン」について触れ、その特徴は、「Clinical Question(CQ)」とともに推奨の強さ、エビデンスの確実性を示すために「GRADEシステム」を導入したことであるという。 早期PDの治療推奨としては、「特別の理由がない場合、診断後できるだけ早期に治療開始する方がよい」としながらも、「不利益に関する十分なエビデンスがないため、治療の開始に際しては、その効果と副作用、コストなどのバランスを十分考慮する必要がある」としている。また、「運動障害により生活に支障を来す場合はL-ドパで開始する方がよい」としながらも、「おおむね65歳以下発症など運動合併症のリスクが高いと推定される場合は、L-ドパ以外の薬物療法を考慮する。抗コリン薬やアマンタジンも治療薬の選択肢となり得るが、十分な根拠はない」としている。 進行期PDについては、「1日5回の服用回数、2時間のオフ時間、1時間の問題のあるジスキネジア」がみられる場合、脳深部刺激療法やレボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG)への治療法の変更を記述している。 最後に同氏は、「PDは、脳神経内科の専門医の診療により、さまざまなリスクが減り、治療成績や生命予後が良いことがジャーナル4)でも示されている。迷わずに脳神経内科医の診療を受けていただきたい」と語り、講演を終えた。

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SMA患児の運動機能が大きく変わった

 2018年7月31日、バイオジェン・ジャパン株式会社は、脊髄性筋萎縮症治療薬ヌシネルセンナトリウム(商品名:スピンラザ髄注12mg)が発売から1年を超えたのを期し、「新薬の登場により、SMA治療が変わる」をテーマに都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、脊髄性筋萎縮症(以下「SMA」と略す)の概要、治療の効果などが説明された。「呼吸が弱い」「いつもグニャとしている」新生児がいたら 講演では、弓削 康太郎氏(久留米大学医学部 小児科学教室 助教)を講師に迎え、「SMAが変わる」をテーマに、疾患概要とヌシネルセンナトリウム処方後の効果について説明が行われた。 SMAは、進行性する運動ニューロン病として、体幹・四肢の近位部優位の筋肉が低下する難病。常染色体劣性遺伝形式で原因遺伝子はSMN1遺伝子と同定されている。SMAは発症年齢と重症度で4つに分類され、I型は重症型(生後6ヵ月までに発症)、II型は中間型(生後1歳6ヵ月までに発症)、III型は軽症型(生後1歳6ヵ月以降に発症)、IV型は成人型(20歳以降で発症)となっている。患児・患者発生は10万人当たり1~2人、年間発生は約50~60人と推定され、SMN1遺伝子の保因者は100人に1人と推定されている。現在、治療では、対症療法を主体に行われている。 主な症状としては、新生児であれば体が柔らかく、手・足・首がだらりと垂れたり、筋肉の萎縮、背骨が曲がったりする。幼児から成人まででは、歩行困難や体幹の筋肉の萎縮などが起こる。顕著な症状としては、呼吸が弱く、咳ができない、痰が出せないなどの呼吸症状がみられ、急変しやすく最悪の場合には呼吸不全となる。成人型では、側湾に障害が起こる場合もあり、骨成長が脆弱な点も特徴的であるという。そして、早期診断の重要性を強調するとともに、一般的な外来診察では気付きにくく、医師以外に患児の祖父母や保健師などからの「寝返りしない」「手指の細かい震え」などの報告や意見が診断の助けとなるというポイントを示した。SMAの治療ができるステージへの期待 つぎにヌシネルセンナトリウムの効果について、主に自院の患児症例について報告が行われた。それによると今まで押せなかったリモコンボタンが押せるようになった例、頸がしっかりとした例、痰排出が容易になった例、咀嚼の改善などの運動機能の改善例が報告された。また、呼吸機能の大きな改善はないものの、睡眠時の中途覚醒が少なくなり、患児のADLだけでなくQOLの改善も報告された。 今後のヌシネルセンナトリウムの課題について、薬価が高価であること、重症側弯症へのアプローチ、長期成績・安全性の確立、進行例へのエビデンス不足などがあるという。 最後に同氏は「SMAはヌシネルセンナトリウムの登場で治療可能な疾患となりつつある。今後は、積極的な診断、治療、評価が必要であり、患者・家族の生き方にも変化を起こすと考えられる(たとえば次子の妊娠希望や出生前診断など)。今後は、遺伝子スクリーニングや発症前治療の是非などの課題を解決しつつ、早期診断、早期治療に努めていきたい」と展望を語り、講演を終えた。ヌシネルセンナトリウムの概要 製品名:スピンラザ髄注12mg 一般名:ヌシネルセンナトリウム 効能・効果:脊髄性筋萎縮症 用法・用量:通常、1回につき決められた用量を投与する。乳児型では初回投与後、2週、4週および9週に投与し、以降4ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。乳児型以外では初回投与後、4週および12週に投与し、以降6ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。 副作用:発熱、頻脈、貧血母斑、蜂巣円、処置後腫脹、眼振、血管炎など 製造販売承認日:2017年7月3日 薬価:932万424円(4ヵ月毎、年3回投与における年間薬剤費は2,796万1,272円) 製造販売元:バイオジェン・ジャパン株式会社 ※なお、本年1月より全国の大学・主要病院で新生児スクリーニング研究を開始。■参考SMA特設サイト(バイオジェン・ジャパン株式会社提供)SMA患者登録システムSMART(SMARTコンソーシアム)

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実地臨床での肺がんのT790M検出率は臨床研究の半分(REMEDY)/日本臨床腫瘍学会

 EGFR-TKI耐性非小細胞肺がん(NSCLC)の50~60%がT790M耐性変異であるといわれる。オシメルチニブはT790M変異症例の標準治療薬である。EGFR-TKI耐性例に対するオシメルチニブの投与にはT790M変異の検出が必要である。しかし、本邦の実臨床における検査および、T790M検出の実態は明らかでない。これらの状況を明らかにするため多施設共同前向き観察研究REMEDY試験の結果が行われ、その結果が神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会において、四国がんセンターの野上 尚之氏により発表された。 対象患者はEGFR-TKI投与中に増悪を来したEGFR変異陽性のNSCLC患者。国内49施設で2017年1月~8月に登録された236例が解析された。 評価項目は、T790M検査のための検体採取率、検体選択の理由、T790M検査実施率、T790M変異検出率、T790M変異結果例の次治療の選択パターン、腫瘍検体の採取部位/方法/成功率、前EGFR-TKI種類別のT790M変異検出率。 主な結果は以下のとおり。・検体採取率は86.9%(236例中205例)。13.1%(31例)は検体採取を実施しなかった。・検体採取の内訳は組織17.4%(41例)、細胞11.4%(27例)、血漿58.1%(137例)であった。・検体採取部位はほとんどが胸部であった。・T790M検査実施率は84.3%(236例中199例)であった。・T790M陽性は61例、陰性/不明は138例。解析対象全体からみたT790M変異検出率は25.8%(236例中61例)であった。・T790M変異結果例の次治療の内訳は91.8%(61例中58例)がオシメルチニブであった。EGFR-TKI耐性である解析対象全体からみると、オシメルチニブ投与に至ったのは23.7%(236例中58例)であった。 EGFR-TKI耐性におけるT790M変異が50~60%と言われるなか、今回の試験の結果では、半分以上が検出できておらず、また薬剤が届いていないことになる。野上氏は発表の中で、この点を指摘した。■関連記事EGFR-TKIで進行した日本人肺がん、遺伝子変異と治療選択の実態(REMEDY)/ELCC2018

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医師のアルバイト時給は平均1万~1万2千円

 ケアネットでは、2018年7月に「勤務医1,000人に聞く!医師のアルバイト収入について」のアンケートを行い、第1回では年間アルバイト収入について報告している。今回は、アルバイトの時給について、結果を発表する。クリニック外来は、80%近くが時給1万円以上 定期アルバイトの時給では、1万~1万2,000円が平均相場という結果が得られた。では、アルバイトの種類による時給の差はあるのだろうか。回答を解析した結果、クリニック外来がほかの種類(病院の外来・当直、健診など)と大きく差をつけて、最も時給が高い傾向にあった。 また、産業医では、1万6,000円以上の高額層が最も大きい27%を占めた。バイトの種類による時給の差が意外に大きいことがわかった。 そのほか、医師経験年数と時給の相関関係、アルバイトを選ぶ際に重視する項目など。詳細なデータはCareNet.comに掲載。

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米国でのオピオイド使用、ピーク時から依然減少せず?/BMJ

 米国において2007~16年のオピオイド使用率は高く、メディケアを受給している障害者が、高齢者および民間保険受給者と比較して最も高かった。オピオイド乱用の注意喚起や危険意識の高まりにもかかわらず、オピオイド使用率および平均1日使用量は、ピーク時からほとんど減少していないという。米国・メイヨー・クリニックのMolly Moore Jeffery氏らが、診療報酬請求データの後ろ向きコホート研究の結果を報告した。米国におけるオピオイドの使用は、ピーク時の2012年以来減少してきたことが人口データにより示唆されているが、メディケア出来高払い受給者を除いた大規模な集団における、オピオイド使用率および1日使用量は明らかにされていなかった。BMJ誌2018年8月1日号掲載の報告。メディケア・アドバンテージ受給者ら4,800万人について調査 研究グループは、米国の民間保険およびメディケア・アドバンテージ受給者の医療費および薬剤費請求のデータベースを用い、2007年1月1日~2016年12月31日の期間に保険受給資格のあった、民間保険受給者、65歳以上のメディケア・アドバンテージ受給者、65歳未満のメディケア・アドバンテージ受給者(身体障害者が該当)、計4,800万人を対象に、後ろ向きコホート研究を実施した。 主要評価項目は、オピオイドが処方された受給者の四半期ごとの割合、平均1日オピオイド使用量(milligram morphine equivalents:MME)などで、ロジスティック回帰モデルと一般化線形モデルを用いて解析した。オピオイド使用率、平均1日オピオイド使用量は減少せず 全研究期間中における年間オピオイド使用率は、民間保険受給者で14%、高齢者メディケア受給者で26%、障害者メディケア受給者で52%であった。 民間保険受給者では、四半期ごとにみたオピオイド使用率に変化はほとんどなく、研究開始時と終了時はいずれも6%であった。平均1日使用量は2011年以降17 MMEで変わらないままであった。高齢者メディケア受給者も同様で、四半期ごとにみた使用率は比較的安定して推移し、研究開始時11%、終了時14%であった。 一方、障害者メディケア受給者はオピオイド使用率および長期使用率が最も高く、平均1日使用量も最大であった。また、四半期ごとにみた使用率と平均1日使用量にはいずれも上昇が認められ、研究開始年の2007年が最低値でそれぞれ26%、53 MME、終了時の2016年末時点では39%、56 MMEであった。 なお、著者は研究の限界として、保険未加入者、メディケア出来高払い受給者、メディケア単独受給者などを対象に含めていないこと、慢性疼痛の割合や慢性疼痛の治療でオピオイドを使用している患者の割合については報告できていないことなどを挙げている。

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末梢静脈カテーテル、失敗率低いドレッシング材と固定法は?/Lancet

 末梢静脈カテーテル(PIVC)留置において、現在使用されているドレッシング材および固定法では、総じてPIVC留置の失敗を招き、耐久性も乏しく、さまざまな製品を同時に使用しなければならないことが多いという。オーストラリア・グリフィス大学のClaire M. Rickard氏らは、非ボーダータイプの標準的なポリウレタンドレッシング材と、他の3つの代替法の有効性と費用について比較検証したプラグマティックな無作為化優越性試験「SAVE試験」の結果を報告した。また著者は、「現状では、コストが製品を選択する主要な決定要因となっている」とも指摘し、「効果的で耐久性のあるドレッシング材による固定を成し遂げるための技術革新と、それらを評価する無作為化試験の実施が喫緊の課題である」と述べている。世界中で毎年20億個ものPIVCが使用されているが、最適なドレッシング材と固定法は十分に確立されていないという。Lancet誌オンライン版2018年7月26日号掲載の報告。標準的なドレッシング材単独使用と3種類の方法を比較 研究グループは、オーストラリア・クイーンズランド州にある2病院において、治療のため24時間以上のPIVC留置が必要な18歳以上の患者を適格患者とし、組織接着剤+ポリウレタンドレッシング材(接着剤併用群)、周囲テープ付き(bordered)ポリウレタンドレッシング材(ボーダータイプ群)、固定具+ポリウレタンドレッシング材(固定具併用群)、ポリウレタンドレッシング材のみ(対照群)のいずれかに、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けPIVCを留置した。 無作為化は、施設で層別化を行い、ウェブベースの中央ランダムブロック法にて行われた。介入の特性上、患者・医師・治験スタッフは盲検化されなかったが、感染症については割り付けに関して盲検化された医師によって判定された。 主要評価項目は、すべてのPIVC留置の失敗(事故抜去・閉塞・静脈炎・感染症[原発性血流感染/局所感染]の複合)とし、解析は修正intention-to-treat集団で実施した。4群間でPIVC留置失敗率と総費用に有意差なし 2013年3月18日~2014年9月9日に、1,807例が4群に割り付けられた(接着剤併用群446例、ボーダータイプ群454例、固定具併用群453例、対照群454例)。修正intention-to-treat集団は1,697例であった。 PIVC留置失敗率は、接着剤併用群38%(163/427例、絶対リスク差:-4.5%、95%信頼区間[CI]:-11.1~2.1%、p=0.19)、ボーダータイプ群40%(169/423例、-2.7%、95%CI:-9.3~3.9%、p=0.44)、固定具併用群41%(176/425例、-1.2%、95%CI:-7.9~5.4%、p=0.73)、対照群43%(180/422例)であった。 皮膚の有害事象が、それぞれ17例、2例、8例および7例に認められた。本試験において介入の総費用は、各群間で有意差はみられなかった。 なお、著者は、ほとんどのPIVC留置が熟練した看護師によって実施されたこと、同じ分類の全製品を反映したものではないこと、小児などの他の患者集団に一般化されない可能性があることなどを研究の限界として挙げている。

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軽症脳梗塞急性期の治療効果はtPAとアスピリンで差がなかった(解説:内山真一郎氏)-897

 脳梗塞急性期患者の半数以上は軽症であるが、これまでに行われた血栓溶解療法の臨床試験には介助を要さない軽症例も含まれていた。PRISMS試験は、米国国立衛生研究所脳卒中尺度(NIHSS)が5点までの軽症例において、アルテプラーゼの有効性と安全性を評価する目的で行われた。PRISMSは米国の多施設共同、第III相無作為化二重盲検比較試験であり、NIHSSが0~5点で介助を要さず、発症後3時間以内の治療を開始された症例が対象となった。 対象症例は米国での標準用量(0.9mg/kg)のアルテプラーゼ投与群かアスピリン325mg投与群に振り分けられ、90日後の転帰が改変ランキン尺度スコア(mRS)で評価された。安全性は治療開始後36時間以内の症候性頭蓋内出血で評価された。試験は資金難のため途中で中止されてしまったことから症例数は目標に達していない313例のみであったが、転帰良好例はアルテプラーゼ群78.2%、アスピリン群81.5%であり、症候性頭蓋内出血はアルテプラーゼ群3.2%、アスピリン群0%であり、アスピリンを上回るアルテプラーゼの有用性は示されなかった。 ただし、試験が早期に中止されてしまったため最終結論を下すことはできず、さらなる研究が必要であるが、軽症例の血栓溶解療法の適用に一石を投じる試験結果であったとはいえる。逆に、脳梗塞発症直後からのアスピリン投与の転帰改善効果をもっと見直す必要があることを示唆しているのかもしれない。

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米国陸軍特殊部隊【Dr. 中島の 新・徒然草】(233)

二百三十三の段 米国陸軍特殊部隊朝の救急外来。当直担当の研修医によれば、まだ決着のついていない患者さんが3人残っているとのこと。でも、ベッドには2人しかいません。と思ったら、突然、扉が開いて金髪碧眼の場違いな兄ちゃんが入ってきました。患者さんにしては妙に調子いいというか何というか。そう思いながら兄ちゃんを眺めていたら、ふと目が合ってしまいました。そのままスタスタと私の方にやってきて握手を求めてきます。よく見ると顔の一部が切れていました。金髪「やあ、ドクター。君が治療してくれるのか? よろしく頼むよ」中島「誰が担当するかはまだ決まってへんのよ」研修医「この人、酔っぱらっているんです」金髪「なんだ、君が担当じゃないのか」研修医「難波で喧嘩してだいぶ殴られたらしいんです」中島「難波で飲む奴は全員怪我するんかいな。勘弁してくれよ」その時、ふとたまたま居合わせた形成外科のレジデントに気づきました。中島「おお、スペシャリストがおったがな、ここに!」形成「いえ、その」研修医「ホントだ。彼女こそスペシャリストですね」金髪「おお! 頼むよ、スペシャリスト」中島「今こそ先生の鍛えたワザを炸裂させる時やぞ」形成「わ、わかりました」せっかく気配を消していた形成のレジデントですが、見つかってしまった以上、金髪兄ちゃんの傷の縫合をせざるを得ません。中島「ところでどっから来たんでっか?」金髪「アメリカよ、アメリカ」中島「アメリカのどこなわけ?」金髪「マイアミ。その前はサウスカロライナだ」中島「なるほど」金髪「俺は陸軍なんだ」中島「へー」金髪「特殊部隊だぞ」ホントに特殊部隊だったらケンカでやられたりしないと思うんですけど。中島「とにかく縫合については彼女こそベストやからね。ついでに、もう少しハンサムにするよう言っとこか」金髪「そうか! じゃあ、この鼻をちょっとばかりカッコよくしてもらえるかな」中島「そいつは別料金いただきまっせ」金髪「あんた、ファニードクターだ!」英語でいうところのファニードクターがほめ言葉なのかどうか、もう一つよくわかりませんでした。でも、陽気なアメリカ人としゃべっていると、こっちまでつられて調子のいい大阪オヤジになり、ついギャグで張り合ってしまいます。何故かこの金髪アメリカ人青年、顔を縫われている最中もなんだかんだと女性レジデントに話しかけていました。研修医「この人、頭部CTは要らん、と言っているんですけど」中島「本人がそう言ってるんやったらエエやろ」研修医「わかりました」というわけで、1週間後に抜糸に来ることになりました。案外、シラフだと寡黙な青年だったりするのかもしれません。興味あるところですね。最後に1句笑いなら 特殊部隊に 負けません

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第5回 10年以上余命が延びる5つの健康習慣【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 服薬指導をしていると、生活習慣改善の効果に懐疑的、もしくは諦めている患者さんに出会うことがあるのではないでしょうか。そのような患者さんでも、ある5つの生活習慣を実践すると、それをまったく行わないときよりも10年以上余命が延びる、と言われたら試してみたくならないでしょうか。今回は、健康的な生活が余命に大きな影響を及ぼすことがわかった2つの大規模調査の結果を体系的にまとめた論文を紹介します。Impact of Healthy Lifestyle Factors on Life Expectancies in the US Population.Li Y, et al. Circulation. 2018 Apr 30. [Epub ahead of print]2つの大規模調査とは、女性看護師を対象に慢性疾患のリスクファクターを検証しているNurses’ Health Study(1980~2014年、n=7万8,865)と、栄養的要素が男性医療者の健康に与える影響を検討したHealth Professionals Follow-up Study(1986~2014年、n=4万4,354)です。両研究におけるアンケート調査はなんと現在も進行しています(参考1、2)。いずれも重要かつ知っておくべき研究でしょう。今回紹介する論文は、この2つの研究の合計約12万3,000例の30~75歳を分析しています。両研究は組み入れ対象者の面で相互補完的な関係にあり、それらをまとめて分析した本研究も貴重な結論を導き出しています。解析項目は、健康上低リスク生活習慣者と高リスク生活習慣者でどれだけ死亡率に差が出るかです。組み入れ対象が医療専門職であることと、そのうちの多くは白人であることから、外的妥当性の評価には注意が必要です。本研究では、健康リスクを低減させる要素として、下記の5つを定義しました。1.健康的な食事をしている「健康的な食事」の定義付けとして、AHEI(Alternate Healthy Eating Index)を用いた評価がなされています。これは野菜、果物、ナッツ、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸および長鎖オメガ3系脂肪酸の摂取が多く、赤身肉、加工肉、甘味料入り飲料、トランス脂肪酸、精製粉の摂取が少ないとスコアが良くなる指標です。研究では、AHEIスコアが各研究の上位40%に入った参加者は、健康的な食事を取っていると定義されました。2.喫煙しない3.少なくとも1日当たり30分の中等度または活発な運動を行っている4.適度な量のアルコール摂取(女性で5~15g/日、男性で5~30g/日)5.BMIが18.5~24.9kg/m2、すなわち低体重または肥満ではない各項目に当てはまれば1点、当てはまらなければ0点とし、5項目の合計点によって、対象者は5段階にスコア分けされました。また、これらの習慣が米国人口にどれほど共通しているかを評価するために、NHANES(米国国民健康栄養調査)で2013~14年に収集された情報を利用しています。死亡原因については、国家記録と家族報告書を用いて確認され、米国疾病対策予防センター(CDC)のWONDERデータベースを用いて検討を行っています。それらを踏まえ、最終的には調査対象者の行動パターンがどのように寿命、がんや心血管疾患による死亡リスクに影響を与えるか分析されました。アンケート調査である以上、主観的であり、個々の習慣が余命に及ぼす影響を特定することも困難になるわけですが、研究開始時の年齢、性別、民族性、閉経有無、マルチビタミンや定期的なアスピリン摂取またはホルモン補充療法の有無、糖尿病心臓発作またはがんの家族歴などの変数を用いて多変量解析が行われています。重要な関連要因の影響を考慮に入れて適切な措置をとったこと、サンプルサイズの大きさ、フォローアップ期間の長さ、複数時点での生活習慣とBMI評価があることはこの研究の強みといえるでしょう。最低リスク群では最高リスク群よりも、女性14.0年、男性12.2年余命が長い研究期間中に、4万2,167例の参加者が死亡しています。そのうち、がん患者数は1万3,953例、心血管疾患患者数は1万689例でした。5つの習慣のいずれもが、単独で全死因死亡またはがんないし心血管死亡のリスクを低減させる傾向がありました。最も不健康なスコア0の参加者と比較して、最も健康的なスコア5の参加者を多変量調整した結果は、全死因死亡が74%減少(ハザード比:0.26、95%信頼区間:0.22~0.31)、がんによる死亡が65%減少(ハザード比:0.35、95%信頼区間:0.27~0.45)、心血管疾患死亡が82%減少(ハザード比:0.18、95%信頼区間:0.12~0.26)でした。また、スコア5以外の参加者と比較して、スコア5の参加者では、全死因死亡が60.7%(95%信頼区間:53.6~66.7)、がんによる死亡が51.7%(95%信頼区間:37.1~62.9)、心血管疾患による死亡が71.7%(95%信頼区間:58.1~81.0)減少しています。一般的な米国人口がこれら5つの習慣を取り入れた場合の50歳時点での平均余命は、女性で43.1年(95%信頼区間:41.3~44.9)、男性で37.6年(95%信頼区間:35.8~39.4)でした。これは、そのいずれも取り入れない場合と比較して、女性で14.0年(95%信頼区間:11.8~16.2)、男性で12.2年(95%信頼区間:10.1~14.2)余命が延びている計算になり、大きなインパクトです。現実的に健康リスクを低減させる要素の5つすべてを一度に取り入れることが難しいのであれば、それぞれの習慣がリスク低減に寄与しているため、どれか1つの習慣だけを提案するアプローチもよいでしょう。大きな結果がもたらされることがわかっていれば、小さな習慣から徐々に取り入れて維持していくモチベーションも湧くのではないでしょうか。1)Li Y, et al. Circulation. 2018 Apr 30. [Epub ahead of print]参考1)Nurses’ Health Study2)Health Professionals Follow-up Study

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【勤務医のアルバイト収入 2018】第2回 アルバイト時給編

ケアネットでは、会員の先生方から寄せられた「ほかの医師たちのアルバイト(非常勤)収入について知りたい」という声にお応えし、アンケートのご協力をお願いしました。今回は、アルバイト時給の集計結果をご報告いたします。時給1万~1万2,000円が平均相場「最も回数が多いアルバイト先の時給」について、1,000人の回答結果からアルバイトを週1回以上行っている医師408人を抽出した。その結果、1万~1万2,000円未満が全体の35%と最も多くを占めた。次いで8,000~1万円未満が17%、その次は最も高額の1万6,000円以上で14%だった。画像を拡大するちなみに、「アルバイトの時給は、業務内容に見合っているとお考えですか?」という問いに対しては、59%が「見合っている」との回答だった。アルバイトの時給には、おおむね満足している医師が半数以上のようだ。■Q .《最も回数が多いアルバイト先について》アルバイトの時給をお教えください。1) 8,000円未満2) 8,000円以上1万円未満3) 1万円以上1万2,000円未満4) 1万2,000円以上1万4,000円未満5) 1万4,000円以上1万6,000円未満6) 1万6,000円以上時給が安いアルバイト先は若手に?週1回以上アルバイトを行っている医師408人を経験年数で分けて比較したところ、10年未満の若手医師では、時給1万円未満が40%を占める一方、1万4,000円以上は19%と、経験が10年以上の中堅・ベテラン医師と比較して低時給が多く、高時給が少ない傾向にあった。画像を拡大する最も時給が高いのはクリニック外来と産業医? 医師1,000人の回答から、アルバイトの種類による時給について解析を行った。その結果、クリニック外来では1万円以上の割合が77%を占め、ほかと大きな差をつけて最も時給が高かった。また、産業医は1万6,000円以上の高額層が27%と最も大きな割合を占めた。画像を拡大するその他の回答には、「(手術)麻酔」、「(看護学校などの)講師」、「講演会」、「手術」、「(レントゲンなどの)読影」などがあった。■Q . 《最も回数が多いアルバイト先について》アルバイト先の医療機関タイプをお教えください。1) 病院の外来2) 病院の当直3) 病院の病棟4) クリニックの外来5) 学校健診6) 施設健診7) 企業検診8) 産業医9) その他(自由記述欄)医師はアルバイトに高時給を求めている「アルバイト先を選ぶときに重視する条件」に対する回答は、「時給が高い」と答えた医師が圧倒的に多かった。2番目に多く選ばれた条件は、「自宅または勤務先から近い」、3番目は「専門性が活かせる」だった。その他の回答では、「負担が少ない」、「医局・病院からの紹介や指定」、「先輩・友人からの紹介」などが挙げられた。画像を拡大する■Q . アルバイト先を選ぶときに重視する条件をお教えください。※ 該当するものすべてをご回答ください。(複数可)1) インセンティブがつく2) 自宅から近い3) 専門性が活かせる4) 特殊技術が活かせる5) 時間が短い6) 交通費が出る7) 勤務先から近い8) 時給が高い9) エージェント利用10) 勤務先による紹介11) その他(自由記述欄)第3回では、詳細なデータと寄せられたコメントなどをご紹介いたします。

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セクキヌマブは乾癬性関節炎の痛みも改善?

 セクキヌマブは乾癬性関節炎患者の痛みを2年にわたって改善させ、さらにその痛みはTNF阻害薬を使用しているかにかかわらず改善させる可能性があることが英国・グラスゴー大学のIain B. McInnes氏らの研究によって明らかになった。Arthritis Research & Therapy誌2018年6月号に掲載。 乾癬性関節炎の痛みは、患者の健康関連QOLに最も強く影響する要素の1つである。乾癬性関節炎患者に対して、セクキヌマブは健康関連QOLを含め、徴候や症状を迅速かつ持続的に改善させることが示されている。本研究では、乾癬性関節炎患者の痛みに与えるセクキヌマブの効果を評価するために、セクキヌマブの投与開始から104週目の間における患者の痛みのスコアを解析した。 著者らは治療開始から104週までの間にかけて、以下の3つの尺度で痛みを臨床的に測定した。・痛みのビジュアルアナログスケール(VAS)とSF-36の体の痛みのスコアのベースラインからの変化・上記2項目について臨床における最小重要差以上の改善が認められた患者の割合・EQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目におけるno、moderate、extremeに該当する患者の割合 痛みの測定の相関はピアソンの相関係数により解析された。TNFナイーブ患者と、TNF阻害薬の不十分な応答や安全性/忍容性により投与を中止した(TNF-IR)患者に対する項目の設定を事前に行った解析は、観測データを用いて行われた。 主な結果は以下のとおり。・投与開始3週目におけるベースラインから改善した痛みのVASスコアの平均値はプラセボ群と比較してより大きく改善し、セクキヌマブ300mg投与群では-16.9(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では-12.6(p<0.05)で、スコアの改善は104週まで続いた。・投与開始4週目におけるSF-36の体の痛みのスコアはプラセボ群と比較して有意に改善し、セクキヌマブ300mg投与群では16.2(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では16.3(p<0.0001)で、スコアの改善は104週まで続いた。・プラセボと比較してセクキヌマブ300mg投与群と150mg投与群では、3週目と4週目における痛みのVASスコアとSF-36の体の痛みのスコアについて、臨床における最小重要差以上の改善が有意に大きかった。・投与開始4週目時点でのEQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目において、セクキヌマブ300mg投与群の15%、150mg投与群の9%、プラセボ群の5%がno pain/discomfortに分類され、さらにセクキヌマブ投与群ではこの割合が104週まで上昇した。・TNFナイーブあるいはTNF-IR患者においても、痛みのスコアがセクキヌマブ投与により有意に改善した。

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高齢者の疼痛管理に必要なものとは?

 2018年7月19日より3日間開催された日本ペインクリニック学会 第52回大会(学会長:井関 雅子/テーマ「あなたの想いが未来のペインクリニックを創る」)のジョイント基調講演で「高齢者の疼痛管理に必要なものとは何か?」をテーマに、川井 康嗣氏(仙台ペインクリニック石巻分院 院長)が講演を行った。本稿ではこの講演の概要をお届けする。被災地特有の運動器障害と疼痛 川井氏は、東日本大震災の被災地である石巻・東松島地区で、約4年前からペインクリニックに従事し、主に高齢者の非がん性の痛みのマネジメントを行っている。 高齢者の「痛み」の多くは、加齢によるロコモティブシンドロームなどから起こる運動器障害の痛みであり、腰痛、関節痛および骨粗鬆症・脊椎椎体骨折などの整形外科疾患の痛みが多い。とくに石巻では、現在も狭小な仮設住宅に住む高齢者も多く、不良な生活環境が運動器の痛みの原因になっていることが推察される。また、震災で地域コミュニティが崩壊したこともあり、「生きがいを感じる場所の喪失は日常生活の不活発化~不動化をもたらし、患者に与えている影響は震災後7年を経過した現在でも大きい」と同氏は被災地の現状を語った。こうした高齢患者には良質の鎮痛とともに、不動化を予防するマネジメントが求められる。 不動化が生じている高齢患者の診療では、痛みが改善しても不動化が改善しない場合があり、その中には単なる運動不足ではない、いわゆる「生活不活発病」の症例があるという。これは、生活環境や人間関係の激変・喪失を契機に心身の機能が低下する状態であり、全国の他の被災地でも同様なことが生じているのではないかと危惧している。こうした症例では、「運動器の器質的なアプローチでは不十分であり、心理・社会的アセスメントと地域コミュニティ対策が求められる」と同氏は指摘する。老化の痛みのマネジメント 高齢者の運動アドヒアランスを維持するためには、1~2種類の体操に限定して指示することや、寝たきりが予防できる歩数として1日最低2,000歩以上は歩行するような提案(理想は速歩き20分を含む8,000歩/日:青柳幸利 The Nakanojo Studyより)、積極的な介護保険の申請と利用の推奨などを行う必要がある。また同時に、「医療者からは高齢患者に社会的な関わりを持たせるための工夫(男性ではスポーツ、ゲームなど競争要素のあるもの、女性では人間交流の点で利点の多い運動や趣味を中心に)を来院時に持ち掛けることも運動機能の維持に有益ではないか」と同氏は提案する。今後、こうした運動へのモチーベーションの提供のため、「同世代のサークル募集の張り紙や運動仲間のお誘いポスターを院内に掲示するなどの工夫をしたい」とも話す。 そのほか、高齢者では、退行変性(老化)の痛みを老化ではなく疾患と捉え、治癒を目指して闘っている姿がしばしば見られる。このような症例では、自己の老化を受け入れ、それをマネジメントしていくため、医療者からの丁寧な説明が必要だという。同氏は「医療者は、こうした患者に安易に鎮痛薬を処方するのではなく、薬物療法と同時に、投薬の意義についての教育も重要」と語る。高齢者の薬物療法はチームプレイで当たる 疼痛の薬物治療について、高齢者では出来る限りNSAIDsは慎重に使用し、アセトアミノフェンから使用することが望ましい。最近では、神経障害性疼痛に対する治療薬やオピオイド鎮痛薬が発売され、患者の選択肢は飛躍的に拡大した。しかし、忍容性の低い高齢者では、「細心の薬剤選択と用量調整(マルチモーダル鎮痛法や“start low, go slow”など)や副作用対策が必要となる。そのほか、薬物療法に神経ブロック療法を組み合わせることで、さらに良質な鎮痛が期待できる」と語る。 また、「高齢者では服薬アドヒアランスを維持することが重要で、看護師や薬剤師などを中心としたチームアプローチによって、患者に治療薬の説明や薬物療法の意義についての教育や副作用の相談や対処、残薬の確認などを行う必要がある。そのためにも日ごろから薬剤について学習会などを通じて、医療チーム全体で知識のアップデートを行うことが大事だ」と同氏は提案する。 最後に、「高齢者の疼痛管理では、鎮痛や不動化予防などの目標に加え、生きる自信を与えながら、人生のゴールに向かって苦痛や不安に寄り添う姿勢が求められる。今後も、高齢者が困ったときに、気軽に立ち寄れるようなクリニックを目指し診療を行っていく」と思いを語り、講演を終えた。■参考日本ペインクリニック学会 第52回大会■関連記事診療よろず相談TV シーズンII第21回「腰痛」回答者:福島県立医科大学 医学部 整形外科学講座 教授 紺野 愼一氏

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SNRI中止後の離脱症状に関するシステマティックレビュー

 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は広く用いられており、SNRIの中止は幅広い症状との関連が認められている。イタリア・ボローニャ大学のGiovanni A. Fava氏らは、SNRI中止後の離脱症状の発生、頻度、特徴について検討を行った。Psychotherapy and Psychosomatics誌オンライン版2018年7月17日号の報告。 PRISMAガイドラインに沿って、システマティックレビューを実施した。PubMed、コクラン・ライブラリ、Web of Science、MEDLINEを用いて、それぞれのデータベースの初めから2017年6月までの文献を検索した。検索キーワードは、デュロキセチン、ベンラファキシン、desvenlafaxine、ミルナシプラン、levomilnacipran、SNRI、第2世代抗うつ薬、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、および中断、離脱、リバウンドを組み合わせた。英語で公表された試験のみ抽出した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は、61件であった。・その内訳は、二重盲検ランダム化比較試験22件、オープンフェーズと二重盲検ランダム化フェーズを用いた試験6件、オープントライアル8件、自然主義的研究1件、レトロスペクティブ研究1件、ケースレポート23件であった。・各種SNRI中止後に、離脱症状が認められた。・離脱症状の発生率は、各報告で変化していたが、ベンラファキシンではより高率であると思われる。・典型的に、症状発現は中止後数日以内に認められ、徐々に漸減しながら数週間継続していた。・遅発性の障害や長期間の持続も同様に認められた。 著者らは「臨床医は、投与中止後に離脱症状を誘発する可能性のある薬剤リストに、他の向精神薬と共にSNRIを追加する必要がある」としている。■関連記事SSRI中止は離脱症状に注意をSSRI/SNRIへの増強療法、コストパフォーマンスが良いのはSSRIなどで効果不十分なうつ病患者、新規抗うつ薬切り替えを検証

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