サイト内検索|page:1050

検索結果 合計:35655件 表示位置:20981 - 21000

20981.

ビタミンD値、妊娠高血圧や子癇前症に影響なし/BMJ

 妊娠高血圧や子癇前症に関して、ビタミンD値の影響を示唆する強力なエビデンスはないことが、英国・ブリストル大学のMaria C. Magnus氏らによるメンデル無作為化試験の結果、示された。これまでの観察研究において、25-ヒドロキシビタミンD値が低い女性で子癇前症のリスクが高いことが認められ、複数の試験で妊娠中のビタミンD補給は有益である可能性が示されていたが、有益性は小さく、投与のタイミングや用量は不均一でかなりのばらつきがあり、ビタミンDが子癇前症の起因となるのかは不明であった。BMJ誌2018年6月20日号掲載の報告。メンデル無作為化解析にて検証 検討は、2つの欧州妊娠コホート「Avon Longitudinal Study of Parents and Children」と「Generation R Study」、および2つの症例対照研究被験者「Norwegian Mother and Child Cohort Study内のサブグループ」と「UK Genetics of Pre-eclampsia Study」を対象に、1標本および2標本メンデル無作為化解析にて行われた。 被験者女性は、1標本メンデル無作為化解析群が7,389例(妊娠高血圧751例、子癇前症135例)、2標本メンデル無作為化解析群が子癇前症症例群3,388例と対照群6,059例であった。 ビタミンD合成に関与する一塩基遺伝子多型(rs10741657、rs12785878)と、代謝に関与する一塩基遺伝子多型(rs6013897、rs2282679)を操作変数として評価した。 主要評価項目は、国際妊娠高血圧学会の定義に基づく妊娠高血圧および子癇前症であった。影響があることを示す強いエビデンスは示されず 従来法の多変量解析において、子癇前症の相対リスクは、25-ヒドロキシビタミンD値10%低下につき1.03(95%信頼区間[CI]:1.00~1.07)であり、同値75nmol/L以上の場合と比較した25nmol/L未満の場合の相対リスクは2.04(95%CI:1.02~4.07)であった。こうしたビタミンD値との関連性は、妊娠高血圧については見いだせなかった。 1標本メンデル無作為化解析群で総遺伝的リスクスコアを用いた検討において、25-ヒドロキシビタミンDの妊娠高血圧または子癇前症への線形効果を示す強いエビデンスは示されなかった。オッズ比は、妊娠高血圧が25-ヒドロキシビタミンD値10%低下につき0.90(95%CI:0.78~1.03)、子癇前症は同1.19(0.92~1.52)であった。 子癇前症のオッズ比は2標本メンデル無作為化解析群では、25-ヒドロキシビタミンD値10%低下につき0.98(0.89~1.07)であり、25-ヒドロキシビタミンD値75nmol/L未満ではログ単位増大につき0.96(0.80~1.15)、50nmol/L未満では同0.93(0.73~1.19)であった。 結果を踏まえて著者は、「より多くの子癇前症を呈した女性や、25-ヒドロキシビタミンD値を上昇させうる遺伝的操作変数を用いて、さらなるメンデル無作為化試験を行うことが必要であろう」とまとめている。

20984.

自己免疫疾患とストレス:過剰ストレスは百害あって一利なし(解説:岡村毅氏)-881

 スウェーデンの大規模コホート研究で、ストレスに関連した精神疾患(PTSDなど)と診断された人は、後に自己免疫疾患と診断されるリスクが高いことが報告されている。貴重な報告である。 体の病気とストレスは関係していそうである。病院で患者さん方の話を聞いていると、あるいは街でおしゃべりをしていると、「Aさんは〇〇と診断されたが、思い返してみると、しばらくストレスの多い生活をしていたらしい。やはりストレスはよくないね」というプロットは定番である。しかし冷静に考えてみれば、ストレスがなければ発症しなかったのか、ということについてはわからないのだ。そうなると、本研究のような大規模な疫学研究の出番である。 以下は精神科医の雑談として読んでいただきたい。 ところで、なぜ自己免疫疾患なのだろうか。受け止めきれないくらいの大きなストレスにさらされたとき、自己と他者の境界は揺らぐが、精神医学的には解離性障害(その記憶をなくす、現実感を失う、などの防衛機制)が生じると考えたくなる。しかし、東大免疫学教室元教授の故多田富雄が『免疫の意味論』(青土社. 1993)の中で、身体的に「自己」を規定しているのは免疫系であって脳ではないと述べたように、自己と他者の境界が揺らぐことで自己免疫疾患が生じることもあるかもしれない(なお本論文にはそういうことは一切書いてなく、普通に視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)のことが書いてあるので、あくまで筆者の妄想ですが)。 また本論文の意義を広い視野で考えると、身体科と精神科のいっそうの協働必要性であろう。あくまで個人的経験だし、「ごーまん」と思われたら謝るしかないが、総合病院においては各診療科の精神医学的センスの格差が大きいことに驚く。どういうことかというと、本当に要注意のケースを的確に精神科受診させる科もあれば、ずれた依頼が多い科、あるいはほとんど依頼してこない科もある。その昔は、患者さんや家族とトラブルがあると「変な人の対応をしてよ」と依頼してくるようなケースもあった(いうまでもなく人間関係のこじれはお断りです)。このセンスの差を決めるのは何であろうか? 個人の力量? 診療科固有の思考形式? 単に、その病院のその診療科の人間関係や雰囲気? 興味は尽きない。 いずれにしても、過度のストレスにいいことは何もない。筋トレだって週に2回くらいが筋肥大にはちょうどいい。医療現場は究極の感情労働であるが、過度のストレスで致命的な転帰に向かうくらいなら、静かに逃げ出して再起を図ってほしい。

20985.

重症だからこそ…重要度増す非専門機関の役割【東大心不全】

急増する心不全。なかでもいまだ課題が残る重症心不全治療の現状と今後の展開について東京大学循環器内科/重症心不全治療開発講座 波多野 将氏に聞いた。重症心不全治療の現状について教えてください。国内での重症心不全は主に拡張型心筋症を基礎疾患としたケースが多いのが特徴です。これらの患者さんは、内科的治療では完全にコントロールしきれず、最終的には心臓移植が必要となります。国内の心臓移植の最新待機患者数(2018年4月末現在)は674人となっています。最近は新規待機登録患者は毎年150人以上増加していますが、ドナーの数が追い付かず、結果として待機患者数そのものが右肩上がりで増加しています。とはいえ、ドナーも年々増加しています。約20年前の臓器移植法制定当時は提供者本人の生前の書面意思表示と遺族の同意を必須としていたため、心臓移植件数は最大でも年間10件超でした。しかし、2010年の臓器移植法改正で本人の生前の意思が不明確な場合は遺族の同意のみでドナーとなれるようになり、過去2年の心臓移植は年間50件超となりました。限界があるとおっしゃった内科治療の現状について教えてください。日本での重症心不全の内科的治療に関しては、専門施設であっても世界的レベルからはやや距離があると個人的には考えています。欧米での重症心不全の内科的治療は、確固たるエビデンスに基づき、早期に患者の忍容性がある限り高用量のβ遮断薬を投与することが標準治療ですが、日本ではこの考え方が十分に浸透していません。この原因はいくつかあります。1つは欧米人に比べて日本人は小柄であるため、薬物治療全体として高用量投与に慎重な傾向があります。2つ目には重症心不全でのβ遮断薬の投与の仕方次第では、導入初期に逆に悪化させることもあり、そのような経験のある医師は高用量投与に消極的になりがちになります。3つ目として日本でのβ遮断薬の承認用量が欧米の半量以下という点も見逃せないと思います。当院の重症心不全例の基礎疾患で最も多い拡張型心筋症に関して言えば、心不全の病期で最重症のステージDの患者さんの7割は即座に移植待機登録をし、移植までの期間は補助人工心臓を使用します。残る3割は補助人工心臓を用いずに移植待機登録をする場合と移植待機登録しない場合に分けられ、その中でβ遮断薬に反応性がある患者さんでは内科的治療を行います。実際、諦めずに内科的治療を行うことでコントロール可能なケースも存在します。一方、移植待機患者の増加などもあって、近年では植込型補助人工心臓の永久使用に関する是非も検討にあげられているようです。そもそも現在の心臓移植の年齢基準や適応基準などで移植対象外の患者さんもいるため、現在臨床試験も行われています。欧米での重症心不全の内科的治療は、確固たるエビデンスに基づき、早期に患者の忍容性がある限り高用量のβ遮断薬を投与することが標準治療ですが、日本ではこの考え方が十分に浸透していません。当院の事例を説明すると、心臓移植を前提とした植込型補助人工心臓の使用例だけでも現時点で60例超で、その対応だけでも相当なマンパワーを要します。これに加え、将来的に永久使用の患者さんが加わると、新たなマンパワー確保という課題が浮上します。また、マンパワーの視点とは別に、永久使用では医療経済的な観点からも賛否両論があります。ただ、海外ですでに永久使用が認められている現実を考えれば、これを日本でどのように導入していくかという現実的な議論と対策が必要だと思います。やはりドナー不足も含めた心臓移植の現状改善が課題のようですが、その点について改善策があれば教えてください。心臓移植では循環器専門医の中でさえ、現実的治療選択肢と認識されていないことが少なくありません。そのため心臓移植が適応となる潜在患者さんは、現状の移植待機患者さんの数倍は存在すると見込んでいます。心臓移植は適応基準や除外基準がありますが、すでに立派な保険診療で重症心不全患者さんは等しくこの治療を受ける権利があります。まずは、多くの医師にそのことを知っていただきたいと思っています。この認識が広まることは一方で、移植待機患者数の増加をもたらし、ひいてはドナー不足をより深刻化させるのではないかとの懸念もあります。しかし、医師の間で心臓移植が現実的治療選択肢との認識を浸透させることは、実はドナー不足の解消にも貢献すると考えています。というのも、心臓移植の適応となるかもしれない重症心不全患者さんを初めてご紹介いただいた医療機関、ドナーを初めて紹介いただいた医療機関共に一度そのような経験をすると、以後立て続けに患者さんやドナーをご紹介いただけることが多いのです。心臓移植ではドナーからの提供の際、脳死判定が必須で提供医療機関は脳死判定委員会設置などの事前体制の整備が必要です。このため、院内体制が未整備の場合、臨床的脳死例が発生しても脳死判定という次のステップに進めません。ただ、逆に一旦判定の仕組みが整備されれば、その後も継続的に運用ができます。その意味でもやはり心臓移植が重症心不全の治療の1つであり、そのためにはドナーが必要になるという認識が広まることが心臓移植の現状改善のカギになると考えています。最も、そうした認識は、ここ4~5年でかなり浸透してきていると個人的には感じています。実際、心臓移植実施件数も昨年、一昨年とほぼ同じペースです。将来的には心臓移植が年間100件を超える日もそう遠いことではないだろうと考えています。東京大学では今年1月から「高度心不全治療センター」がオープンしましたが、その詳細について教えてください。当院では心臓移植開始後、心臓外科と循環器内科の医師とそれぞれの病棟看護師、移植コーディネーター、薬剤師、理学療法士などによる専任のハートチームができ、これまでさまざまなカンファランスを行うなど、良好な関係は築いてきました。新たに発足したセンターでは、循環器内科20床、心臓外科14床という病床区分はあるものの、このチームが1ヵ所に集約され、理想に近い形になったと考えています。従来は循環器内科で管理している植込型補助人工心臓患者さんのジェネレーター交換が循環器内科の病棟看護師では対応できないため、心臓外科病棟に患者さんを移動させて対応するということなどもありました。また、重症心不全では心臓移植後も免疫抑制薬の服用という新たな治療が始まり、事実上一生治療が続きます。そうした状況を考えれば、センターで一貫した治療を提供できることは患者さんの安心感にはつながると思います。重症心不全治療に当たって専門医以外の先生方にお伝えしたいメッセージがあれば教えてください。重症心不全では、心臓移植実施施設は全国で11施設、成人の植込型補助人工心臓実施施設は2018年5月現在で48施設と限定されています。また、各施設のキャパシティーには限界があり、患者さんの治療や日常管理は1施設で完結できません。実際、当院のような心臓移植施設では、待機患者さんの植込型補助人工心臓の管理などでは他の医療機関と協力していますし、新たな心臓移植施設の立ち上げ時の支援をすることもあります。現在、国内では植込型補助人工心臓患者さんの2年生存率、心臓移植患者さんの10年生存率共に90%を超え、移植手術時の周術期死亡率は5%未満と良好な臨床成績を実現していますが、これを維持・向上させるためには適切な時期での介入を強化することにつきます。重症心不全ではある程度を超えてしまうと、元の状態に戻すことは難しくなるというのが実状なのです。その意味では専門医、非専門医共に植込型補助人工心臓、心臓移植という治療の現状をご理解いただき、各地域内での連携を進めていただきたいと思います。講師紹介

20987.

第1回 高齢者糖尿病は何歳から? 何に注意が必要?【高齢者糖尿病診療のコツ】

第1回 高齢者糖尿病は何歳から? 何に注意が必要?Q1 加齢と糖尿病の関係とは?糖尿病の頻度は加齢とともに増加します。平成28年度の国民栄養調査によると、70歳以上の高齢者で糖尿病が疑われる頻度は男性で23.2%、女性で16.8%となっています(図1)。また、糖尿病患者の中で70歳以上の割合は31.9%を占めています。加齢に伴う糖尿病患者の増加は、加齢に伴うインスリン抵抗性の増加、インスリンの追加分泌の低下、身体活動量の低下などが関係していると考えられています。画像を拡大するQ2 何歳以上を「高齢者糖尿病」として注意すべきでしょうか?高齢者糖尿病は一般に65歳以上の糖尿病を指しますが、「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」では、75歳以上の後期高齢者と機能低下がある一部の前期高齢者が、「高齢者糖尿病」として、とくに注意すべき治療の対象とされています。これは、後期高齢者の糖尿病が前期高齢者の糖尿病と比較して、異なる特徴を示しているからです。第一に、高齢糖尿病患者を対象としたJ-EDIT研究における、MMSE(認知機能検査)の点数をみてみると、65~69歳の患者と比較して75歳以上の患者ではじめて有意に低下します(図2a)。また、日常生活動作であるADLも80歳以上で低下します。同じJ-EDIT研究で老研式活動能力指標を用いて、買い物、金銭管理などの手段的ADL、知的活動、社会的役割を含む高次ADLの障害数を評価したところ、80歳以上で有意に高次ADLの障害数が大きくなります(図2b)。画像を拡大するさらに、高齢者は加齢とともに体組成が大きく変化します。65歳以上の入院高齢糖尿病患者を対象に内臓脂肪面積100cm2以上の蓄積の頻度をみると、75歳以上で内臓脂肪蓄積が増加しています(図3a)。さらに、DEXA法で四肢の筋肉量(除脂肪量)をみると、男女ともに80歳以上で有意に低下しています(図3b)。この内臓脂肪の増加と筋肉量の低下は、インスリン抵抗性を大きくすることで、高齢者糖尿病の病態に大きく関わっています。画像を拡大する腎機能も75~80歳以上で有意に低下します。eGFRcreは筋肉量の影響を受けやすく、eGFRcysや血清シスタチンC濃度の加齢変化をみてみると、80歳以上で有意に増加しています(図4)。この腎機能障害は腎排泄性の薬剤(たとえばSU薬)の蓄積をもたらし、低血糖などの副作用を起こしやすくします。低血糖に関しても、80歳以上の患者で救急外来を受診する低血糖や重症低血糖が起こりやすいことが知られています。この重症低血糖の増加の原因は、上記の薬剤の蓄積しやすさに加えて、急性疾患によって食事摂取が低下しやすいこと、認知機能やADLの低下によって低血糖の対処能力が低下することが考えられます。合併症の中では、80歳以上の患者で脳卒中と心不全が起こりやすいことが知られています。上記に加えて、社会サポートが低下しやすいために、自立した生活を送ることが難しくなるだけでなく、インスリン注射などの糖尿病に関するセルフケアも困難になります。画像を拡大する Q3 「高齢者糖尿病」の治療目的・診断は若壮年者と違うのでしょうか?上記の理由から、「高齢者糖尿病」の治療目的は合併症の予防だけではなく、QOLの維持向上を目指し、さらに認知機能障害、ADL低下、サルコペニアなどの老年症候群を予防することにあります(図5)。また、QOLの維持・向上を図るためには、低血糖などを防ぎ、食のQOLを保つことも大切です。さらに、患者のみならず介護者の治療の負担を軽減することも大切です。なお、高齢者糖尿病の診断は若い人と同様に行います。画像を拡大する

20988.

抗精神病薬使用と乳がんリスク

 一部の抗精神病薬は、プロラクチンレベルを上昇させ、乳がんリスクを高める可能性がある。これまでのエビデンスは、矛盾しており、とくに第2世代抗精神病薬の使用に関するデータは不十分である。デンマーク・南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らは、抗精神病薬使用と乳がん発症との関連についての全国規模のケースコントロール研究を実施した。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2018年6月1日号の報告。 Danish Cancer Registryより、2000~15年に乳がんの初回診断を受けた女性患者6万360例を抽出した。各症例について、女性対照群10集団を年齢とマッチさせた。抗精神病薬使用に関連する乳がんのオッズ比(OR)は、条件付きロジスティック回帰を用いて算出した。第1世代および第2世代抗精神病薬ならびにプロラクチン上昇作用により、抗精神病薬を層別化した。 主な結果は以下のとおり。・乳がんの初回診断を受けた女性患者の8.1%(4,951例)、対照群の7.1%(4万7,643例)に抗精神病薬が使用されていた。・抗精神病薬の長期使用(オランザピン換算1万mg以上)が乳がんと関連しており、調整ORは1.18(95%CI:1.06~1.32)であった。・弱い用量反応パターンが認められ、オランザピン換算5万mg以上でORが1.27(95%CI:1.01~1.59)に増加した。・第1世代(OR:1.17)および第2世代抗精神病薬(OR:1.11)でも同様な関連が認められた。また、非プロラクチン誘発性抗精神病薬においても同様であった(OR:1.17)。・エストロゲン受容体の状態により層別化したところ、エストロゲン受容体陽性のがんでは正の相関が認められたが(長期使用OR:1.29、95%CI:1.13~1.47)、エストロゲン受容体陰性のがんについては関連が認められなかった。 著者らは「全体として、抗精神病薬の使用と乳がんリスクとの間に臨床的に重要な関連性が認められなかった。薬剤誘発性プロラクチン上昇の重要性は不明であるが、エストロゲン受容体陽性の乳がんリスクがわずかではあるが上昇する可能性がある」としている。■関連記事リスペリドン使用で乳がんリスクは上昇するか抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は乳がんの手術方法とうつ病発症に関するメタ解析

20989.

高血圧・高脂血症の治療は認知症を予防するか

 アルツハイマー病(AD)と血管リスク因子(VRF)の関連について疫学的エビデンスはあるが、VRFの治療が認知症やADの発症率を低下させるのか不明である。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C. Larsson氏らが、認知症およびADの発症におけるVRFの治療の影響について系統的レビューとメタ分析で検討した結果、降圧薬とスタチンが認知症やADの発症率を低下させる可能性が示唆された。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2018年6月9日号に掲載。 著者らは、PubMedで2018年1月1日までに公表された関連研究から、認知症とAD発症率に対するVRF治療の影響を調査した無作為化比較試験(RCT)と前向き研究を同定した。 主な結果は以下のとおり。・8件のRCTと52件の前向き研究が同定された。・降圧治療により、RCT(5件、相対リスク[RR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.69~1.02)および前向き研究(3件、RR:0.77、95%CI:0.58~1.01)では、有意ではないが認知症リスクが低下し、前向き研究(5件、RR:0.78、95%CI:0.66~0.91)ではADリスクが低下した。・前向き研究において、スタチンによる高脂血症治療により認知症(17件、RR:0.77、95%CI:0.63~0.95)およびAD(13件、RR:0.86、95%CI:0.80~0.92)のリスクが低下したが、スタチン以外の脂質降下薬では低下しなかった。1件のRCTで、スタチンと認知症発症との関連は示されなかった。・1件のRCTおよび6件の前向き研究のデータから、血糖降下薬またはインスリン療法による認知症リスクへの有益な影響は示されなかった。

20990.

チオ硫酸Na、シスプラチン誘発難聴予防に有効/NEJM

 標準リスク肝芽腫の小児において、チオ硫酸ナトリウムをシスプラチンによる化学療法終了後に追加投与することで、全生存と無イベント生存に影響することなく、シスプラチン誘発難聴の発生率が低下した。英・Great Ormond Street HospitalのPenelope R. Brock氏らが、シスプラチンによる聴覚障害に対するチオ硫酸ナトリウムの予防効果を検討した評価者盲検無作為化第III相臨床試験(SIOPEL6試験)の結果を報告した。標準リスク肝芽腫の小児に対するシスプラチンと外科手術は有効な治療法であるが、多くの患者に不可逆的な聴覚障害を引き起こすことが知られていた。NEJM誌2018年6月21日号掲載の報告。シスプラチン単独投与とチオ硫酸ナトリウム追加投与で、最小可聴値を評価 研究グループは、2007~14年に12ヵ国52施設において、生後1ヵ月超~18歳未満の標準リスク肝芽腫(肝病変3区域以下、転移なし、α-フェトプロテイン値>100ng/ml)小児116例を登録し、シスプラチン単独投与群(80mg/m2体表面積を6時間以上かけて投与)と、チオ硫酸ナトリウム追加併用投与群(シスプラチン投与終了6時間後に、20g/m2体表面積を15分以上かけて静脈内投与)に無作為に割り付け、いずれも術前4クールおよび術後2クール投与した。 主要評価項目は、最低年齢3.5歳時における純音聴力検査による最小可聴値で、聴覚障害はBrockグレード(0~4、グレードが高いほど聴覚障害が重度)で評価した(中央判定)。主な副次評価項目は、3年全生存および無イベント生存などであった。チオ硫酸ナトリウムの追加投与により、聴覚障害の発生率が半減 登録された116例中113例が無作為化され、不適格症例を除く109例(チオ硫酸ナトリウム追加併用群57例、シスプラチン単独群52例)が解析対象(intention-to-treat集団)となった。 絶対聴覚域値の評価可能症例101例において、Brockグレード1以上の聴覚障害の発生率はチオ硫酸ナトリウム追加併用群33%(18/55例)、シスプラチン単独群63%(29/46例)であり、チオ硫酸ナトリウム追加併用により聴覚障害の発生が48%低下することが確認された(相対リスク:0.52、95%信頼区間[CI]:0.33~0.81、p=0.002)。追跡期間中央値52ヵ月における3年無イベント生存率は、チオ硫酸ナトリウム追加併用群82%(95%CI:69~90)、シスプラチン単独群79%(95%CI:65~88)、3年全生存率はそれぞれ98%(95%CI:88~100)および92%(95%CI:81~97)であった。 重篤な副作用は16例に認められ、このうちチオ硫酸ナトリウムと関連があると判定されたのは8例(Grade3の感染症2例、Grade3の好中球減少2例、Grade3の輸血を要する貧血1例、腫瘍進行2例、Grade2の悪心嘔吐1例)であった。

20991.

米国成人の肥満率、非都市圏で高率/JAMA

 2013~16年における米国成人の肥満および重症肥満の年齢調整有病率が、米国大都市統計地域(metropolitan statistical area:MSA)で示される都市化のレベルで異なっていること、また、MSAの都市圏に比べ非MSA地域で有意に高いことを、米国疾病予防管理センターのCraig M. Hales氏らが報告した。米国成人における肥満の有病率については、これまで性別、年齢層別、人種/ヒスパニック系別の報告はあったが、都市化のレベル別ではほとんど研究されていなかった。JAMA誌2018年6月19日号掲載の報告。2013~16年の肥満の有病率と、都市化レベル別での過去12年間における傾向を分析 研究グループは、20歳以上の米国成人を対象とした、身長と体重の測定値を含む米国民健康栄養調査(NHANES)の2001~16年のデータを用い、性別、年齢層、人種/ヒスパニック系、教育レベル、喫煙状況および都市化レベル別に肥満の有病率を解析した。 主要評価項目は、全体およびサブグループ別の2013~16年における肥満(BMI≧30)および重症肥満(BMI≧40)の有病率と、都市化レベル別の同有病率の2001~04年から2013~16年の傾向であった。 都市化レベルは、米国健康統計センター(NCHS)のMSA/非MSA分類に基づき、本検討では、1)大規模MSA(人口100万人以上)、2)中/小規模MSA(人口25万人以上100万人未満/人口25万人未満)、3)非MSA(人口2,500~5万未満などMSAに分類されない地域)に分けて評価した。 解析対象は、身長、体重および都市化レベルの完全なデータが得られた1万792例(平均年齢48歳、女性51%)であった。男女とも都市化レベルが低いほうが肥満の有病率は高い 2013~16年における米国成人の肥満の有病率は38.9%(95%信頼区間[CI]:37.0~40.7%)、重症肥満が7.6%(95%CI:6.8~8.6)であった。 都市化レベル別の肥満の年齢調整有病率は、男性の場合、大規模MSAが31.8%、中/小規模MSAが42.4%、非MSAが38.9%であり、大規模MSAと比較し中/小規模MSAで有意に高かったが(補正群間差:9.8ポイント、95%CI:5.1~14.5)、大規模MSAと非MSAに有意差はなかった(補正群間差:4.8ポイント、95%CI:-2.9~12.6)。女性の場合は、大規模MSA、中/小規模MSAおよび非MSAでそれぞれ38.1%、42.5%および47.2%であり、中/小規模MSA(4.3ポイント、95%CI:0.2~8.5)および非MSA(4.7ポイント、95%CI:0.2~9.3)のいずれも、大規模MSAより有意に高かった。 重症肥満の年齢調整有病率は、男女いずれの場合も、大規模MSAより中/小規模MSAならびに非MSAで高いことが認められた。 肥満/重症肥満の年齢調整有病率は、年齢層、人種/ヒスパニック系、教育レベルでも違いがみられ、そのパターンは男性と女性で異なっていた。 なお、都市化レベル別における肥満/重症肥満の年齢調整有病率は、全レベルとも、男女別ならびに全体のいずれの場合も、2001~04年から2013~16年にかけて有意に増加していることが認められた。

20992.

EGFR変異肺がんにおけるエルロチニブ・ベバシズマブ併用第III相試験(NEJ026)/ASCO2018

 StageIVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、1次治療としてEGFR-TKIが標準療法であるが、無増悪生存期間(PFS)中央値は1年程度である。サバイバルのため、さまざまな併用療法が試みられている。そのようななか、エルロチニブとベバシズマブの併用は、第II相試験JO25569試験において、EGFR変異陽性NSCLCのPFS中央値を16.0ヵ月と有意に改善した。このエルロチニブ・ベバシズマブ併用をエルロチニブ単剤と比較した第III相試験NEJ026の結果を、聖マリアンナ医科大学呼吸器内科の古谷直樹氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 同試験の対象は、化学療法歴のない術後再発あるいはStageIIIB~IVでPS 0~2のEGFR変異陽性NSCLCで、エクソン19欠失変異あるいはL858R点突然変異を有する患者。無症候性脳転移を有する症例は登録可能とした。患者は、ベバシズマブ3週ごと投与+エルロチニブ連日投与群(BE群)とエルロチニブ単独連日投与群(E群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFSで、副次評価項目は全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間、安全性、QOLであった。 2015年6月3日~2016年8月31日に228例の患者が登録された(BE群、E群ともに114例)。追跡期間の中央値は12.4ヵ月で、PFS解析のデータカットオフ日は2017年9月21日。 主要評価項目であるPFS中央値は、BE群が16.9カ月(14.2~21.0ヵ月)、E群が13.3カ月(11.1~15.3ヵ月)で、BE群で有意な延長効果が確認された(HR:0.605、95%CI:0.417~0.877、p=0.0157)。 副次評価項目のうち、ORRはBE群が72.3%、E群が66.1%、DCRはBE群が94.6%、E群が96.4%で両群間に有意差はなかった。 Grade3以上の有害事象発現率は、BE群が56.3%、E群が37.7%でBE群のほうが高かった。Grade3以上の有害事象としてはBE群でベバシズマブに関連する高血圧症が22.3%、蛋白尿が7.1%とE群に比べて有意に高い発現率(高血圧症はp<0.001、蛋白尿がp<0.01)だったが、その他はエルロチニブに伴う皮疹(BE群が20.5%、E群が21.1%)などで両群間に差はなかった。また、全GradeではBE群で出血が25.9%と、E群に比べて有意に高い発現率だった(p<0.001)。 これらの結果から、古谷氏は「エルロチニブとベバシズマブの併用療法はエルロチニブ単独に比べ有意にPFSを延長しており、EGFR陽性NSCLCの新たな標準治療と考えられる」との見解を示した。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

20993.

閉経乳がんアジュバントに対するデノスマブの生存ベネフィット(ABCSG-18)/ASCO2018

 閉経後乳がんのアジュバントでは、ビスホスフォネートの補助療法が再発率減少や生存率の改善に寄与するとの報告がある。一方、抗RANKLヒト化モノクローナル抗体のデノスマブの補助療法(60mg、半年ごと年2回皮下注投与)は、アロマターゼ阻害薬治療中の閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がん患者で、プラセボと比較した無作為化二重盲検試験ABCSG-18が実施されている。2015年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2015)での初回報告において、デノスマブ群はプラセボ群に比べて臨床骨折を減少させることが明らかになっている(HR:0.5、p<0.0001)。このABCSG-18の副次評価項目である無病生存期間(DFS)を評価した結果を、オーストリア・ウィーン医科大学のMichael Gnant氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 ABCSG-18試験では、アロマターゼ阻害薬治療中の閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がん患者3,420例をデノスマブ群1,711例、プラセボ群17,09例に割り付けている。追跡期間中央値73ヵ月。 60ヵ月時点、96ヵ月時点のDFS 率はプラセボ群がそれぞれ 87.3%(85.7~89.0%)、77.5% (74.8~80.2%) に対し、デノスマブ群がそれぞれ 89.2%(87.6~90.7%)、80.6% (78.1~83.1%) で、プラセボ群よりもデノスマブ群で統計学的に有意な改善を示した(HR:0.823、95%CI:0.69~0.98、p=0.026)。 また、有害事象に関してはほとんどがアロマターゼ阻害薬に起因するもので両群間で発現率に有意差は認められなかった。主たる重篤な有害事象の発現頻度は、筋骨格・関節障害がプラセボ群で7.2%、デノスマブ群で7.8%、半月板損傷がプラセボ群で1.4%、デノスマブ群で1.3%、白内障がプラセボ群で1.7%、デノスマブ群で0.9%、手根管症候群がプラセボ群、デノスマブ群ともに0.8%、甲状腺腫がプラセボ群で0.7%、デノスマブ群で1.2%など。 デノスマブでの発現が多いとされる重篤な有害事象の顎骨壊死は確認されておらず、非定型大腿骨骨折を発症したのが1例のみだった。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

20994.

過去の“心房細動に対するリズムコントロールは予後を改善しない”という呪縛を解くことはできるのか?(解説:矢崎義直 氏)-880

 心不全症例に心房細動の合併が多いことが知られているが、心不全の病態が心房細動を引き起こし、また心房細動自体が心不全の誘因となりうる。両者は密接に関係しており、心房細動のマネージメントは心不全治療のうえで重要となる。 CASTLE-AF clinical trialは、前向きの無作為比較、多施設共同研究であり、心不全に心房細動を合併した症例において、心房細動に対するカテーテルアブレーション施行群と薬物療法群(リズムコントロールとレートコントロールを含む)を比較し、複合イベント(死亡、心不全の増悪による入院)を1次エンドポイントとした。 対象は、心不全の標準的薬物治療を行ったうえで、EF35%以下、NYHAII~IVの心不全症例だが、NYHAIIの症例が全体の6割を占め比較的軽症例が多い。さらにICDもしくはCRTD植込み症例に限定し、最終的に363例が登録され、無作為にアブレーション群と薬物療法群に1:1に振り分けられた。平均観察期間は約37ヵ月と、約3年のフォローとなった。本試験の特徴として、心房細動の再発などのイベントを通常の定期外来だけでなく、デバイスの遠隔モニタリングを使用していることであり、24時間常にイベントを捉え、早期診断、治療の介入が可能となった。 また、持続性心房細動が7割で、平均左房径が約50mmと拡大しており、カテーテルアブレーション成功率はそう高くない症例が多く含まれている。にもかかわらず、平均1.3回のアブレーション後の60ヵ月時点の洞調律維持は63%と、過去の持続性心房細動に対するアブレーション後の長期成績に比べれば悪くない数字であった。 結果は1次エンドポイント(死亡と心不全入院)はアブレーション群で28.5%と薬物療法群44.6%と比べ有意に少なかった(p=0.007)。全死亡単独でもアブレーション群が低かったが、心血管死のイベントの少なさが寄与している。また、EFの改善率もアブレーション群で8%と薬物療法群の0.2%と比べ有意な改善を認めた(p=0.005)。 過去に多くの臨床試験が行われ、リズムコントロールがレートコントロールに勝るという証明を試みてきた。心房細動を維持するより洞調律化したほうが、心不全患者にとっては良いということは理論的には当然と思えるが、洞調律化による予後改善の強いエビデンスは存在しなかった。本試験は、心房細動合併心不全患者において、アブレーションによるリズムコントロールがハードエンドポイントとしての死亡、心不全入院を改善させた初めての試験となった。カテーテルアブレーションのクオリティ、デバイスの心不全モニタリングシステムの活用法などが大きく予後に影響してくると考えられ、ただ単純にアブレーションが心不全を改善するということだけをメッセージとして捉えるのは危険である。しかし、アブレーション治療が今後、心不全マネージメントのうえで大きなkeyとなりうる可能性が示唆された。

20995.

大阪府北部地震の体験:自宅編【Dr. 中島の 新・徒然草】(227)

二百二十七の段 大阪府北部地震の体験:自宅編大阪府北部地震の体験:病院編はこちら2018年6月18日の大阪府北部地震。私の勤務している大阪医療センターは大阪府の中央部にあるためか、ほとんど被害はありませんでした。救急で来院された患者さんも通常よりはちょっと多いかな、という程度です。ところが北摂にある自宅の方は大変なことになっていました。地震の日は車で出勤していたので、夜になってから車で帰りました。ナビゲーターを見ると大阪市内はどこもかしこも渋滞です。なので、途中まで高速道路を使いました。下に降りてから見た北摂の風景は、やはりどこか普段と違っていました。まずガソリンスタンドに車の列。東日本大震災に学んだのか、皆が早めにガソリンを確保しようとしているようです。自宅に近づくと路上駐車の車が増えてきて、大勢の人が歩いています。どうやら近くの小学校が避難所として開放され、結構な数の人々が利用しているようでした。いよいよ、自宅のドアを開けて現実に直面です。部屋の中には本が散乱しており、洋服掛けなどが倒れ、中にはドアの開かない部屋までありました。幸いなことに本棚やタンス、食器棚はすべて天井との間に転倒防止用突っ張り棒をしていたので、これらは倒れていませんでした。でも、全く無傷というわけでもなく、斜めになったりグニャリと曲がりながら何とか突っ張り棒が本棚を支えているといった状況です。1つだけ突っ張り棒をしていない本棚があって、それは見事に転倒して障害物となり、ドアが開かなくなっていました。痛恨です。教訓1:タンス、本棚、食器棚は転倒する。突っ張り棒で対策を。今回の地震では、転倒した本棚やタンスの下敷きになって亡くなった方がおられましたが、自分の部屋の光景を見ると「確かにこれは命にかかわるなあ」と納得がいきました。突っ張り棒を使えない場合も、本棚の下の方には重いもの、上の方に軽いものを入れることによって少しでも安定を良くした方がいいと思います。また高いところに乗せている荷物も地震の揺れで飛んでくるので、重いものは置くべきではありません。その一方、背の低いタンスやテーブルなどは転倒も移動もしていませんでした。夜遅く帰宅した女房と共にこれらを片づけ、途中でクタクタになって眠りました。ところが、夜中に3回ほど余震で目が覚めました。大阪市内では全く余震を感じなかったのに、北摂ではしばしば余震が起こっているようです。揺れ始めの段階では余震か本震かの区別がつかないので、揺れがおさまるまでの数秒間は恐怖に耐えなくてはなりません。その後、徐々に余震の回数は減っていきました。教訓2:余震は来るものだ。しかも本震と区別がつかない。翌朝、トイレもシャワーも通常の半分程度しか水の勢いがありませんでした。前夜には気づかなかったのですが、付近一帯が断水していたようです。幸い、しばらくして断水は解消しました。地震の翌日、再び車で出勤したのですが、いつもより早く出たはずがいつもより遅く到着しました。通常よりも車の数が多く、渋滞が激しかったのです。一方、前日に運休していた鉄道や地下鉄は始発から復旧しており、電車通勤の人たちは「いつもより空いていた」ということでした。結局、今回の地震は北摂を東西に走る有馬-高槻断層帯が動いた可能性が指摘されました。この断層帯は阪神・淡路大震災の原因となった六甲・淡路島断層帯の東端に位置します。有馬-高槻断層帯と直交する形で大阪府を南北に縦断するのが上町断層帯で、これが動くと大阪医療センターも被害を免れません。ちなみに大阪医療センターの建っている場所は上町台地と呼ばれており、病院の西側に隣接して南北に延々と続く崖があります。この崖はひょっとすると、地表にむき出しになった上町断層帯の一部かもしれません。今後は病院が激しく揺れたときに自室の本棚で押し潰されたりしないよう、こちらの方にも対策をしておきたいと思います。教訓3:自宅だけでなく職場でも本棚やロッカーなどの転倒対策が必要というわけで2回に分けて述べた大阪北部地震の体験談。読者の皆様が御自身の地震対策を考えるキッカケになれば幸いです。最後に1句災害は いつでも来るぞ 日本なら

20996.

第2回 「抜歯したら抗菌薬」は本当に必須か【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 先日、歯科医師の友人から、抜歯後に抗菌薬を処方しなかったことで薬剤師からクレームを受けた、という話を聞きました。次のような経緯だったようです。・某日午前、ある女性患者さんの上顎第3大臼歯(親知らず)の残根を抜歯し、術後疼痛対策としてアセトアミノフェンを処方したが、抗菌薬は処方しなかった。・同日夕方、救急外来にこの女性患者さんの旦那さんである薬剤師からクレームの電話が入り、「抜歯したのになぜ抗菌薬を処方しないのか」と言われた。はたして抜歯をする際は感染症を予防するための抗菌薬は必須なのでしょうか。今回は、抜歯時の抗菌薬の有用性について検討したコクランのシステマティックレビューを紹介します。Antibiotics to prevent complications following tooth extractions.Lodi G, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;11:CD003811.論文では、「抜歯処置を受ける患者さんが、術前あるいは術後に抗菌薬を服用すると、抗菌薬なしまたはプラセボ服用に比べて、感染症の発生リスクが下がるか」という疑問が検討されています。本論文で組み入れられた研究では、主にアモキシシリン(±クラブラン酸)、エリスロマイシン、クリンダマイシンなどが投与されています。なお、日本感染症学会、日本化学療法学会による「JAID/JSC感染症治療ガイドライン2016―歯性感染症―」でも、歯性感染症ではペニシリン系、リンコマイシン系、マクロライド系などが推奨されています。日本ではルーティンで第3世代セフェム系薬を処方する歯科医師が多いと感じていますが、これらは必ずしも歯性感染症に適するわけではないですし、概して吸収率も高くはありません。抗菌薬を服用すると12例中1例で感染予防さて、システマティックレビューの評価ポイントはいくつかあります。過去の研究を網羅的に集めているか、集めた研究の評価が適切になされているか、それらの研究の異質性は検討されたか、出版バイアスはないか、情報は適切に統合されたか、などの点を確認することが大切です。本論文では1948年~2012年1月25日までにMEDLINE、EMBASE、CENTRAL、CHSSSといったデータベースに登録されている関連論文を網羅的に集めています。集められた試験のデザインはランダム化比較試験で、うち1件はインターバルが6週間以上のクロスオーバーランダム化比較試験です。クロスオーバーは同じ被験者がウォッシュアウト期間を十分に設けた後に、異なる介入を受けることを意味します。そう何回も抜歯をやるの? という疑問もあるかもしれませんが、スプリットマウスデザインという、同一被験者の口内の左右では条件差がさほどないことを利用して、左右の歯でウォッシュアウト期間をおいて抜歯を行ったものと考えられます。出版バイアスの有無はファンネルプロットを用いて検討されていますが、術後および術前・術後におけるプロットが少ないため判定がやや難しいところです。なお、コクランのハンドブックによれば、一般的にプロットの数が10個以下だとファンネルプロットの左右対称性から出版バイアスを見極めることは難しいとされています。集められた各研究の評価は、2人のレビュアーにより独立して行われ、解釈に食い違いが生じた場合には議論のうえで合意を形成しているため、一定の客観性があると考えてよさそうです。なお、レビュアー名を検索したところ、両名とも歯科医師のようです。最終的に、集められた研究のうち、18件(患者合計2,456例)の研究が採用され、15件がメタ解析されています。システマティックレビューの結果は、通常Summary of Findings(SoF)テーブルとフォレストプロットにまとめられているので、ここを真っ先に見るとよいでしょう。エンドポイントに関する結果を紹介します。抗菌薬を投与した場合、プラセボと比較して抜歯後の局所感染症を約70%減らす(相対リスク:0.29、95%信頼区間:0.16〜0.50)とあり、エビデンスの質としては中程度の確信となっています(p<0.0001)。これは、約12例で抗菌薬を服用すれば、1例は感染症を予防できるという割合です。痛み、発熱、腫れには有意差はありませんでした。有害事象に関しては、抗菌薬投与でほぼ倍増(相対リスク:1.98、95%信頼区間:1.10~3.59)しますが、軽度かつ一時的ということ以外の具体的な内容は本文献ではわかりません。抗菌薬の必要性は侵襲性の程度や患者要因で変わりうるシステマティックレビューは既存の知見を網羅的に集めて質的評価を行い、統計学的に統合することから、しばしばエビデンスの最高峰に位置付けられますが、統合することで対象患者などの細かいニュアンスが省略されるため、その結果を応用する際は外的妥当性を十分に考えねばなりません。本結果を素直に解釈すれば、感染予防のベネフィットがややあるものの、抜歯処置の侵襲性の程度や感染症リスクによっては抗菌薬が処方されないことも十分考えられます。もし服用を検討するのであれば、アレルギーや副作用歴がない限りはペニシリン系やクリンダマイシンなどが比較的妥当な選択となりそうです。現実には下痢の頻度や抗菌薬アレルギーのリスク、冒頭の例であれば歯科医師と患者の関係なども抗菌薬が必要かどうかの考慮事項となりうるでしょう。いずれにせよ、短絡的に抜歯=抗菌薬と断定するのではなく、患者の状態や歯科医師の意図をくみ取ったうえで適切なアクションをとりたいものです。画像を拡大するAntibiotics to prevent complications following tooth extractions.Lodi G, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012;11:CD003811.

20997.

ASCO2018レポート 消化器がん

レポーター紹介本年度の米国臨床腫瘍学会年次総会が、2018年6月1日~5日まで例年どおり米国シカゴで開催された。消化器がん領域における注目演題についてレポートする。とくに胃がん領域においては、本邦より2人もの演者がoralで発表されており、日本人として大変誇らしく感じた。JACCRO GC-07 trial本邦の実臨床に最もインパクトがあった演題として、pStageIII胃がんにおけるドセタキセル+S-1(DS)併用療法のS-1療法に対する優越性が証明されたJACCRO GC-07 trialをまずは報告する。本邦では、pStageIII胃がんに対する術後補助化学療法として、S-1療法1年またはCapeOX療法6ヵ月を行うことが標準治療として位置付けられている。しかしながら、ACTS-GC試験のサブグループ解析では、手術単独群に対するS-1療法群の全生存期間におけるHR(ハザード比)がpStageIIIAで0.67、StageIIIBで0.86と報告されており、いずれも効果が不十分と考えられてきた。そこで、根治切除(胃切除+D2郭清)を行ったpStageIII胃腺がんを対象として、S-1療法に対するDS療法の優越性を検証したJACCRO GC-07 trialが行われた。主要評価項目は3年無再発生存(RFS)であり、S-1療法群の3年RFSを62%、HRを0.78とし、両側検定α=5%、検出力80%を確保するために、必要な症例数は1,100例と算出された。2回目の中間解析において(登録患者915例、イベント数216)、3年RFSがS-1療法群49.5%vs.DS療法群65.9%(HR=0.632、p=0.007)と、DS療法群で有意に良好であったことから、2017年9月に効果安全評価委員会において有効中止の勧告がなされた。登録された両群の患者背景には明らかな差が認められず、また明らかな交互作用は観察されなかった。再発部位は、リンパ節、腹膜、血行性転移いずれもDS療法群で少ない傾向であった。有害事象に関しては、白血球減少、好中球減少、発熱性好中球減少症がDS療法で多かったもののマネージメントは十分可能な範囲であった。演者らは、本試験の結果をもって、根治切除後のpStageIII胃がんに対して、DS療法は新たな術後補助療法の標準治療として推奨されると結論付けた。会場では、S-1療法群の成績が従来の本邦からの報告よりやや悪いことが指摘されていた。個人的には、本邦で行われた良質な第III相試験であること、昨年公表された欧州での第III相試験でFLOT療法(DTX+5FU+L-OHP)の有効性が示されていること、エビデンスレベルという点からも、術後DS療法は標準治療として位置付けられると考えられ、今後は実地臨床にも広く用いられることになるだろう。また、用量強度やOSのupdate解析などの報告にも注目したい。KEYNOTE-061試験現在、本邦では胃がん領域においても2017年9月から免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブが実地臨床で用いられている。また、米国においては、ペムブロリズマブが既治療の胃がんに対してFDAで承認を受けている。本試験は、切除不能進行再発胃がん/食道胃接合部がんにおける2次化学療法として、ペムブロリズマブ療法とパクリタキセル療法をHead-to-Headで比較した第III相試験として実施された。当初は、PD-L1発現の有無にかかわらず患者が登録されたが、登録途中でPD-L1陽性(CPS≧1)のみを登録することに変更となった(CPS:combined positive score、PD-L1陽性の細胞数[腫瘍細胞、リンパ球、マクロファージ]/全生存細胞数×100)。主要評価項目は、PD-L1陽性例におけるOSとPFSとし、試験全体の片側α=0.025、OSにおける優越性を示すにはp<0.0135を達成する必要がある統計設計で実施された。登録された患者背景に両群で差は認めなかった。PD-L1陽性例における生存期間中央値(MST)は、ペムブロリズマブ療法9.1ヵ月vs.パクリタキセル療法8.3ヵ月、HR 0.82、片側p=0.042であり、両群で有意差はなかった。ただし、解析時点でペムブロリズマブ群では15例が投与継続(パクリタキセル群は0例)されており、実際に12ヵ月生存割合は39.8%vs.27.1%、18ヵ月生存割合は25.7%vs.14.8%とペムブロリズマブ群で長期生存例が多かった。PD-L1発現別の解析では、CPSが高いほどペムブロリズマブの効果が高まることが示された。また、MSI-High例(全体の5%)では、ペムブロリズマブ療法群でOS、奏効割合がともに良好であった(OSは未達、奏効割合46.7%)。主要評価項目であるPD-L1陽性例におけるOSにおいて、統計学的有意差は示せない結果となった。ただし、今後の進行胃がんの化学療法を考えるうえでは、非常に重要かつ示唆に富む結果が得られたと個人的に感じている。具体的には、先のATTRACTION-2試験(ニボルマブとプラセボを比較した、胃がんにおけるSalvage lineの第III相試験)では、PD-L1発現の有無ではニボルマブの効果予測は困難であったが、CPSというPD-L1陽性の定義を用いると免疫チェックポイント阻害薬の効果予測ができるかもしれない点や、既報と同様にやはりMSI-Hでは胃がんであっても高い奏効割合、治療効果が示される点などである。ディスカッサントからも指摘があったように、今後は、免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法や化学療法との併用療法などの結果が注目され、胃がん化学療法の進歩に期待したいところである。なお、本結果は発表同日にLancet誌に掲載され、インパクトあふれる発表であった。PRODIGE 24/CCTG PA.6試験膵がんの術後補助化学療法は、従来はゲムシタビン療法が標準治療として位置付けられていたが、近年、本邦で実施されたJASPAC-01試験の結果から本邦ではS-1療法が、欧米ではゲムシタビン+カペシタビン療法が確立された。また、遠隔転移を有する膵がんにおいては、FOLFIRINOX療法(5-FU+LV+イリノテカン+L-OHP)が標準治療として用いられている。そこで、切除後膵がんに対する術後補助療法としてのゲムシタビン療法に対するFOLFIRINOX療法の優越性を検証する第III相試験が計画された。本試験で用いられているFOLFIRINOX療法は、毒性の点からmodified FOLFIRINOX療法(mFFX、5-FU 2,400mg/m2+ロイコボリン400mg/m2+イリノテカン180mg/m2+オキサリプラチン85mg/m2、2週ごと、12サイクル)が採用された。主要評価項目は無病生存(DFS)期間として、3年DFS率のHRを0.74、両側α=0.05、検出力80%として必要な症例数は490例と算出された。なお、開始後30例でGrade3以上の下痢を20%に認めたため、以降はイリノテカンの用量が150mg/m2に変更されている。2012年4月~2016年10月までに493例が登録され、2018年2月に効果安全評価委員会において早期結果公表が勧告されたため、今回、データが発表された。登録された患者背景では、リンパ管腫瘍塞栓のみ群間差を認めたがその他は両群に有意な差は認めなかった。DFS期間の中央値は、mFFX療法群21.6ヵ月、ゲムシタビン療法群12.8ヵ月、HR 0.58(p<0.0001)であり、mFFXで有意に良好であった。OSの中央値は、mFFX療法群54.4ヵ月、ゲムシタビン療法群35.0ヵ月、HR 0.64(p=0.003)であった。有害事象として、好中球減少、発熱性好中球減少に差はなかったが、mFFX療法群でG-SCF使用の割合が有意に高かった。また、非血液毒性として、下痢、末梢性感覚ニューロパチー、疲労、嘔吐、口内炎がmFFX群で有意に高かった。以上から、演者らは、mFFX療法は、毒性が増すものの、全身状態が良好な患者における欧米における標準治療と結論付けている。本邦で行われたという点においては、JASPAC-01試験の結果から、毒性の点から、S-1療法は本邦における標準治療としての位置付けは揺るがないだろう。しかしながら、JASPAC-01試験、本試験ともに大規模第III相試験から得られた結果という点では、同等のエビデンスとも考えられ、すでに転移性の膵がんにおいては、FOLFIRINOX療法は実地診療で行われている。とくに、本試験のサブグループ解析では、mFFX療法でR1切除、N1切除の成績が良好であったことから、予後不良な症例にはmFFXは期待できるのかもしれない。

20998.

不眠症へのスボレキサント切り替えと追加併用を比較したレトロスペクティブ研究

 スボレキサントは、従来のGABA(γ-アミノ酪酸)-A受容体を介さない新規作用機序の睡眠薬である。藤田保健衛生大学の波多野 正和氏らは、ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BzRA)を服用している不眠症患者に対するスボレキサント導入方法の検討を行った。Clinical psychopharmacology and neuroscience誌2018年5月31日号の報告。 本研究は、レトロスペクティブ研究として実施された。スボレキサント処方およびBzRAをすでに使用している患者の臨床データを抽出した。患者は切り替え群と追加併用群に割り当てられた。スボレキサント処方から1ヵ月後の処方中止率を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、切り替え群119例、追加併用群109例に割り当てられた。・追加併用群は、切り替え群よりも、すべての原因による中止率が有意に高かった(オッズ比:2.7、95%CI:1.5~5.0、調整p<0.001)。・追加併用群におけるスボレキサント中止の有意に強いリスク因子は、忍容性であった(22.0% vs.7.6%、p<0.002)。最も一般的な副作用は、過鎮静であった。 著者らは「BzRAを服用している不眠症患者に対しスボレキサントを使用する際には、切り替えよりも追加併用のほうが過鎮静を増加させることが示唆された。しかし、本研究は唯一の予備的レトロスペクティブ研究であるため、本所見を確認するためにはさらなる研究が必要である」としている。■関連記事不眠症患者におけるスボレキサントの覚醒状態軽減効果に関する分析2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは期待の新規不眠症治療薬、1年間の有効性・安全性は

20999.

気管切開の事故防止に向け提言 医療安全調査機構

 気管切開チューブ挿入患者のケアには常に注意を要するが、とくに気管切開術後早期*のチューブ交換時に、再挿入が困難になるリスクが高いことから、日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)では、この時期のチューブ逸脱・迷入による事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第4号)を公表している(6月5日)。逸脱を防ぐための移動・体位変換時の注意事項や、逸脱・迷入が生じてしまったときの具体的対応などについて、以下の7つの提言が示された。*本提言では、気管切開孔が安定するまでの時期とし、気管切開術当日からおよそ2 週間程度と定義。そのうえで、「術後 2 週間を過ぎれば生じないということではない」と注意喚起している。 提言1(リスクの把握):気管切開術後早期(およそ 2 週間程度)は、気管切開チューブの逸脱・迷入により生命の危険に陥りやすいことをすべての医療従事者が認識する。 提言2 (気管切開術):待機的気管切開術は、急変対応可能な環境で、気管切開チューブ逸脱・迷入に関する患者ごとの危険性を考慮した方法で実施する。 提言3(気管切開チューブ逸脱に注意した患者移動・体位変換):気管切開術後早期の患者移動や体位変換は、気管切開チューブに直接張力がかかる人工呼吸器回路や接続器具を可能な限り外して実施する。 提言4 (気管切開チューブ逸脱の察知・確認):「カフが見える」「呼吸状態の異常」「人工呼吸器の作動異常」を認めた場合は、気管切開チューブ逸脱・迷入を疑い、吸引カテーテルの挿入などで、気管切開チューブが気管内に留置されているかどうかを確認する。 提言5 (気管切開チューブ逸脱・迷入が生じたときの対応)気管切開術後早期に気管切開チューブ逸脱・迷入が生じた場合は、気管切開孔からの再挿入に固執せず、経口でのバッグバルブマスクによる換気や経口挿管に切り替える。 提言6 (気管切開チューブの交換時期):気管切開術後早期の気管切開チューブ交換は、気管切開チューブの閉塞やカフの損傷などが生じていなければ、気管切開孔が安定するまで避けることが望ましい。 提言7(院内体制の整備):気管切開術後早期の患者管理および気管切開チューブ逸脱・迷入時の具体的な対応策を整備し、安全教育を推進する。 この提言は、医療事故調査制度のもと収集した院内調査結果報告書を整理・分析し、再発防止策としてまとめているもの。これまでに「中心静脈穿刺合併症」、「急性肺血栓塞栓症」、「注射剤によるアナフィラキシー」をテーマとした各号が公表されている。 今回の第4号では、同制度開始の2015年10月から2018年2 月までの期間に、同機構に提出された院内調査結果報告書607件のうち、「気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例」」として報告された5事例を分析。“死亡に至ることを回避する”という視点で、同様の事象の再発防止を目的としてまとめられている。■参考日本医療安全調査機構:医療事故の再発防止に向けた提言 第4号■関連記事注射剤のアナフィラキシーについて提言 医療安全調査機構中心静脈穿刺の事故防止に向けて提言公表 医療安全調査機構

21000.

腹部大動脈瘤スクリーニングは有益か/Lancet

 腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングは、AAA死亡の減少に寄与していないことが、スウェーデン・イエーテボリ大学のMinna Johansson氏らによる、スウェーデン人を対象としたレジストベースのコホート研究で明らかにされた。AAA発症およびAAA関連死亡にみられる大幅な減少を、スクリーニングに関する無作為化試験の結果で評価するのは時代遅れではないかとの指摘があったが、今回の検討で、減少した要因の大半は他の因子によるもので、おそらくは喫煙の減少によることが示唆されたという。著者は、「ベネフィットは小さく、有益性と有害性のバランスは非常に悪く、スクリーニングの正当性に対する疑念を深める結果であった」とまとめている。Lancet誌2018年6月16日号掲載の報告。スクリーニング群vs.非スクリーニング群の疾患別死亡率、罹患率、手術を比較 研究グループは、スウェーデンにおけるAAAスクリーニングの疾患別死亡率、罹患率、および手術に関する影響を推定する検討を行った。2006~09年にスクリーニングを受けた同国65歳男性コホートを対象に、AAA罹患、AAA死亡、AAA手術に関するデータを集め、年齢で適合した非AAAスクリーニングのデータと比較した。また、ナショナルデータベースを利用して1987年1月1日~2015年12月31日の40~99歳男性に関するデータも分析し、背景傾向を調べた。 交絡因子の調整は、コホート年、婚姻状態、教育レベル、収入、またベースラインでのAAA診断有無に関するロジスティック回帰モデルから得た傾向スコアを用いた重み付け分析法により行った。差異に関する調整も、スクリーニング後6年のコホートに残る逆確率を用いた重み付け分析法で行った。また、一般化推定方程式を用いて、反復測定および重み付けによる分散を調整した。スクリーニング6年後、死亡減少とスクリーニングに有意な関連みられ スウェーデン人男性のAAA死亡率(65~74歳男性10万人当たり)は、2000年初期は36例であったが、2015年には10例に減少していた。死亡率の減少は全国的にみられ、AAAスクリーニング実施の有無に関係していなかった。 スクリーニングの6年後の分析では、AAA死亡率の減少とスクリーニングに有意な関連はみられなかった(補正後オッズ比[aOR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.38~1.51)。この時点で、AAAスクリーニングを受けた男性が回避可能なAAA死亡は、1万人当たり2例(95%CI:-3~7)であった。 スクリーニングは、AAA診断のオッズ増大と関連していた(aOR:1.52、95%CI:1.16~1.99、p=0.002)。また、待機的手術のリスク増大(同:1.59、1.20~2.10、p=0.001)や、過剰診断の恐れとの関連(スクリーニング受診1万人当たり49例[95%CI:25~73例])が認められ、死亡や罹患リスクを増大した回避可能な手術がそのうちの19例(95%CI:1~37)に行われていた。

検索結果 合計:35655件 表示位置:20981 - 21000