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先発配合剤の承認は医療費削減に逆行しているのではないか(解説:折笠秀樹氏)-909

 本邦の医療用医薬品の中で、後発医薬品の数量ベースのシェアは70%と言われている。ちなみに、米国での同シェアは90%を超えている。売上ベースのシェアで見ると、30%より少し高い程度のようである。数量的には70%を占めていても、単価が先発医薬品に比べて安いのでこのようになるのだろう。 さて、厚労省は2005年3月、患者の利便性の向上に資するとして、配合剤を承認する旨の通知を出した。配合剤は錠剤数が減って手間が省けるとか、単剤の価格の和よりも安くなるというのは表向きの理由であり、裏には別の理由があると思われる。特許切れを控えた先発品は、どんどん後発医薬品に取って代わられてしまう。そうすると、先発医薬品メーカーは失速してしまう。打開策として、配合剤を開発するようになったというのが本音のような気がする。先発品は10年程度で特許切れになるが、配合剤として新しく世に出せば生き延びることができる。配合剤の後発品はまたしばらく出てこないからだ。 今回の研究はまさに、先発品としての配合剤が米国のメディケア(主に高齢者医療保険)の財政を圧迫しているという調査結果である。配合剤の価格はこの5年間で3倍にも増加していた。そして、29種の先発配合剤だけで、メディケアから年間1,000億円が使われていた。これを後発医薬品へスイッチすることにより、なんと年間900億円も節約できるという試算を示した。薬剤費を1/10に減らせるというのだ。 単剤での医薬品については後発医薬品へのスイッチが浸透してきたが、それに足かせとなっているのが配合剤の登場とも言える。まさに、医療費削減に逆行する動きのようにも見える。先発の配合剤を後発品単剤の組み合わせに切り替えるだけで、薬剤費が1/10になることを本研究は示した。日本の医療費は目下42兆円、その中の薬剤費は約8兆円と言われる。この結果を信じれば、日本の薬剤費は1兆円以下に抑えられることになる。

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ファブリー病〔Fabry disease〕

ファブリー病のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■ 定義α-ガラクトシダーゼAの酵素欠損により心臓、腎臓などの組織を中心にグロボトリオシルセラミド(GL-3)が蓄積することにより、心不全、腎不全を来す疾患である。遺伝形式はX-連鎖の遺伝形式をとる。■ 疫学約4万人に1人と推定される。腎不全患者の0.2~0.5%、左室肥大の患者の4%、女性左室肥大の12%、男性脳卒中患者の4.9%、女性患者の2.4%。イタリアでは新生児男児3,100人に1人の頻度、台湾では1,250人に1人と患者頻度は高い。■ 病因ライソゾーム酵素であるα-ガラクトシダーゼの酵素欠損により全身組織にグロボトリオシルセラミド(GL-3)などの糖脂質が蓄積する(図1)。とくに血管内皮細胞に蓄積、心筋、腎臓、リンパ節、神経節など、全身組織に蓄積する。画像を拡大する■ 臨床症状(表1)ファブリー病の臨床症状は多彩である。小児期からの四肢の激痛、無痛、無汗などの自律神経症状、蛋白尿、腎不全などの臨床症状、不整脈、弁膜症、心不全などの心症状、頭痛、脳梗塞、知能障害などの神経症状、精神症状、皮膚症状として被角血管腫、難聴、めまい、耳鳴り、角膜混濁などの眼科症状、咳などの呼吸器症状などを認める。ファブリー病の臨床症状の進展は図1を参照。画像を拡大する■ 分類臨床的には「古典型」、心型、腎型といわれる「亜型」、「ヘテロ接合体女性患者」に分類される古典型(表2)では皮膚症状(被角血管腫)、自律神経症状(低汗、無痛、四肢痛など)を有する。心型、腎型ではこれらの症状は少ない。ヘテロ接合体女性患者では心症状が主体であるが、痛みなどは男性患者と同様に認められる。画像を拡大する■ 予後古典型の患者は早期の酵素補充療法をしないと、腎不全、心不全、脳梗塞で40~50代で死亡する患者が多い。心型、腎型では60~70代で死亡、ヘテロ女性患者は60~70代で心不全にて死亡する患者が多い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)次の流れに従い、診断を行う。(1)臨床症状:小児期からの四肢の激痛、無汗、皮膚の被角血管腫、心不全、蛋白尿、腎不全、脳梗塞などの症状(2)血清、白血球、尿などでα-ガラクトシダーゼの酵素欠損を証明する(3)尿中GL-3の蓄積(4)皮膚での病理所見:電子顕微鏡でミエリン様蓄積物質を認める(5)遺伝子診断 3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ファブリー病の治療として対症療法と根治療法がある。表3に概略をまとめた。画像を拡大する1)対症療法(1)疼痛ファブリー病での痛みは、患者に大きな負担である。幼少時から四肢の灼熱感のある痛みが生じ、思春期はとくに強い。女性患者でも4~5歳から四肢の痛みを感じる患者がいる。痛みは四肢以外にも下顎、頸部などさまざまである。とくに梅雨の時期、夏などは疼痛が強い。カルバマゼピン(商品名:テグレトールほか)、ガバぺンチン(同:ガバペン)などが有効である。(2)消化器症状腹痛、胃痛、下痢などがみられ、整腸剤などの投与が有効である。(3)心肥大、心不全、不整脈徐脈性不整脈には、ペースメーカーが有効である。心筋保護作用としてのACE阻害薬、 ARBの投与が推奨される。高血圧、高脂血症の予防は重要である。(4)腎障害腎保護策のためにARB、ACE阻害薬は有効との報告がある。蛋白食制限、減塩は必要である。腎不全に対しての腹膜あるいは血液透析療法、さらには腎移植が試みられている。(5)脳梗塞脳梗塞の予防のためのアスピリン、抗血小板凝集薬の投与などの抗凝固療法が必要。(6)その他めまい、難聴などに対する対症療法として、めまいにはベタヒスチンメシル(同:メリスロンほか)、突発性難聴にはステロイドが使用される。2)酵素補充療法酵素補充療法は、現在遺伝子工学的手法の進歩に伴いαガラクトシダーゼAの酵素製剤が2製剤開発されている。アガルシダーゼ アルファ(商品名:リプレガル)とアガルシダーゼ ベータ(同:ファブラザイムほか)が開発されている。アガルシダーゼ ベータはCHO(Chinese Hamster Ovary)細胞から遺伝子工学手法で作成された。投与量としては体重1kgあたりアガルシダーゼ アルファは0.2mg、アガルシダーゼ ベータは1mgを2週間に1回投与する。副作用としては蕁麻疹、悪寒、吐き気、鼻汁、軽度血圧低下、気道に違和感などの症状が見られるが、抗ヒスタミン薬、ステロイドの投与で軽快する場合が多い。副作用は投与後3~5ヵ月後に多く見られ、その後は軽快する場合が多い。そして、効果のポイントは次のとおりである。(1)痛みへの効果痛みは軽減傾向にある。発汗障害は改善傾向にある。(2)腎臓への効果腎臓、とくに腎血管内皮細胞でのGL-3の蓄積は除去される。糸球体のたこ足細胞でのGL-3の蓄積の除去には時間がかかる。GFRが60mL/min/1.73m2以上であれば治療後も維持できる。また、60mL/min/1.73m2 以下であれば、治療にかかわらず機能は低下することが明らかにされている。尿蛋白質では、蛋白の排泄が+1以上であれば酵素治療しても腎機能は低下するが、尿蛋白がマイナスであれば腎機能は悪化しない。(3)心機能への効果心筋の肥厚、左室心筋重量は酵素補充療法により減少する。左室機能改善の改善を認める。(4)脳神経系への効果酵素補充療法により血管の内皮細胞への蓄積は軽快するが、脳梗塞の所見は治療により変化はないと考えられる。また、白質変性への効果も少ない。(5)耳鼻科的効果酵素補充による聴力への効果はあまり期待できない。聴力検査で効果が認められていない。(6)眼症状への効果角膜に対する効果は軽快する傾向にある。網膜動脈閉塞で失明する。(7)皮膚症状への効果被角血管腫への効果は少ない。低(無)汗症への効果はみられ、酵素治療により汗をかくようになりQOLは上がる。(8)消化器症状への効果酵素補充療法により下痢などに対する効果が報告され、酵素治療とともに下痢、腹痛は改善傾向にある。体重は増加する患者が多い。4 今後の展望1)シャペロン治療低分子薬(デオキシノジリマイシンなど)は、ライソゾーム酵素のゴルジーライソゾーム系での酵素の合成、分解過程で作用する。すなわち変異酵素が分解促進、あるいは活性基が障害されている場合、シャペロンは有効であり、全体の約50~60%の患者の遺伝子異常に効果があるといわれている。ミガーラスタット(商品名:ガラフォルド)は、2018年5月に発売され、わが国でも保険適用となった。今後、効果や安全性について、さらに知見の積み重ねがなされる。2)遺伝子治療・細胞治療ファブリー病の最終治療としては、遺伝子治療法の開発が重要である。ファブリー病マウスを用いて「アデノ随伴ウイルス」(AAV)あるいは「レンチウイルスベクター」を用いての治療研究が進められており、モデルマウスではGL-3の臓器からの除去に成功している。また、骨髄幹細胞、あるいは間質幹細胞を用いて、遺伝子治療と組み合わせての治療効果も研究されている。3)ファブリー病のスクリーニングファブリー病の治療のためには、早期診断が重要である。早期診断のための新生児マス・スクリーニングも報告され、ガスリー濾紙血を用いて酵素診断することにより可能である。濾紙血による新生児スクリーニングでは、台湾でのファブリー病患者頻度は1/1,250(男児)、イタリアでは1/3,500(男児)、日本では1/6,500の頻度であり、決して珍しい疾患でないことが証明されている。また、ハイリスク患者スクリーニングとして、心筋症患者、左室肥大患者、腎不全患者、若年性脳梗塞患者にはファブリー病の患者の頻度が高いことが報告されている。早期診断により治療効果をあげることが重要である。5 主たる診療科腎臓内科、循環器内科、小児科、皮膚科、眼科、耳鼻科 など※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療情報難病情報センター ライソゾーム病(ファブリー病を含む)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報ふくろうの会(ファブリー病患者と家族の会)1)Desnick RJ, et al. α-Galactosidase A deficiency: Fabry disease. In: Scriver CR et al, editors. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th ed. New York: McGraw Hill; 2001. p. 3733–3774. 2)Eng CM, et al. N Engl J Med. 2001; 345: 9–16.3)Rolfs A, et al. Lancet. 2005; 366: 1794–1796.4)Sims K, et al. Stroke. 2009; 40: 788-794.5)衛藤義勝. 日本内科学雑誌.2009; 98: 163-170.公開履歴初回2013年2月28日更新2018年9月11日

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不適切な一般薬の販売が増加傾向 スイッチOTC化の障害となる?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第8回

一般用医薬品の販売には一定のルールがあることはご存じだと思います。しかし、そのルールは順守されているのでしょうか? 一般用医薬品の販売実態に関して、厚生労働省が一般消費者の目線で調査した結果が公表されました。厚生労働省は8月27日、2017年度の「医薬品販売制度実態把握調査」結果を公表した。PPI製剤のスイッチOTC薬化の審議にあたり問題視された「乱用のおそれがあるOTC薬を複数購入しようとしたときの対応」が不適切な例が増加したことを示した。エフェドリンやコデイン(鎮咳去痰薬に限る)などを含むOTC薬を複数購入しようとしたところ、「質問などされずに購入できた」店舗が38.8%あり、前年度より2.2ポイント増加した。(2018年8月28日付 RISFAX)調査期間は2017年11~12月で、全国5,017軒の薬局・店舗販売業の許可を取得している店舗を一般消費者である調査員が訪問し、調査しました。いわゆる“覆面調査”というものです。一般用医薬品は、薬局だけでなく店舗販売業でも販売可能ですので、その両方が調査対象となっています。主な調査項目は、従業者の区別状況、陳列・販売方法、情報提供の有無やその方法などでした。ほとんどの項目で前年とほぼ同様の結果となっていますが、幾つか残念なポイントが見受けられます。乱用の恐れがある一般薬を「質問されずに複数購入できた」約40%たとえば、エフェドリン、コデインやジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る)などを含むいわゆる風邪薬を複数購入しようとした患者さんに対し、どのような対応を取ることが適切でしょうか。乱用の恐れがある一般用医薬品を必要以上に購入しようとする場合は、理由確認が必要ですが、まず1つだけ購入してもらいその後にまた症状が続いていたら相談してもらう、ひどいようなら受診勧告…など、さまざまな対応があり、答えは1つではありませんよね。この調査で不適切とされたのは「質問などをされずに複数購入できた」という場合であり、複数必要な理由を伝えたところ合理性があると判断されて購入できた、という場合も適切と判断されています。乱用の恐れがある一般用医薬品を複数購入希望の患者さんへの対応が不適切であった店舗の割合は、全体の38.8%(薬局30.4%、店舗販売業39.0%)もありました。2017年の同様の調査では36.6%でしたので、2.2%悪化しています。この数字に有意差があるかは別にして、「不適切な店舗が増加」という印象は強く、今後のスイッチOTC化の議論でまた障害になることが懸念されます。このほかにこの調査結果で私が気になったのは、「名札等により専門家の区別ができたか」という項目です。区別できた割合は、全体として79.7%(薬局73.9%、店舗販売業82.2%)で、これも前年度の83.2%から下がっていました。名札を着けるのは、医薬品販売だけでなく、患者さんとの関わりの中で基本中の基本だと思います。名札なんて着けなくても…と思っている店舗が2割程度あるようですが、このくらいのルールも守れないのか! 要指導・一般用医薬品の販売はやっぱり不安だな…、と思われても仕方ないと思います。これまでのスイッチOTC化の議論を見ていると、大きな法人か個店かどうかにかかわらず、一店舗一店舗の対応が薬局全体への信頼や今後の方向性に影響していることがわかります。まずはこのアンケートで調査された項目の見直しから始めてみてはいかがでしょうか。

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ケアネット白書~糖尿病編2018

ケアネットでは今年2月から3月にかけて、2型糖尿病患者を1ヵ月10例以上診察している医師を対象にアンケート調査を実施し、経口血糖降下薬の処方割合やその理由などを聞いた。その回答は、「ケアネット白書~糖尿病編2018」としてまとめているが、本稿では、主な質問項目とその回答について抜粋して紹介する。CONTENTS1.調査概要2.結果(1)回答医師の背景(2)薬剤の処方状況(1stライン)(3)薬剤の処方状況(2ndライン)(4)薬剤選択の際に重要視する項目(5)配合剤に対する認知状況と処方意向

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ケアネット白書~糖尿病編2018

インデックスページへ戻る1.調査概要本調査の目的は、糖尿病診療に対する臨床医の意識を調べ、その実態を把握するとともに、主に使用されている糖尿病治療薬を評価することである。本調査は、2018年2月23日~3月2日に、ケアネットの医師会員約14万人のうち、2型糖尿病患者を1ヵ月に10人以上診察している医師500人を対象にCareNet.com上で実施した。2.結果(1)回答医師の背景回答医師500人の主診療科は、糖尿病・代謝・内分泌科が240人(48.0%)で最も多く、一般内科162人(32.4%)、循環器科41人(8.2%)などが続いた。医師の所属施設は、一般病院が194人(38.8%)で最も多く、以下、医院・診療所・クリニック125人(25.0%)、大学病院93人(18.6%)、国立病院機構・公立病院88人(17.6%)など。医師の年齢層は50代が160人(32.0%)で最も多く、次いで40代(129人、25.8%)、30代(125人、25.0%)が続いた。(2)薬剤の処方状況(1stライン)糖尿病治療薬をSU薬、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)、ビグアナイド(BG)薬、チアゾリジン薬、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド)、DPP-4阻害薬、インスリン、GLP-1、SGLT2阻害薬、その他に分類し、食事・運動療法に加えて薬物療法を実施する際の1stラインの処方状況を聞いた(図1)。図1を拡大する処方が最も多かったのはDPP-4阻害薬で、回答した医師全体の38.3%が1stラインで使っている。昨年と比べると0.1ポイント減少で、ほぼ横ばいといえる。次いで多かったのはBG薬(27.6%)で、昨年と比べて1.3ポイント増加した。そのほか、SGLT2阻害薬(6.4%)は昨年と比べて2.7ポイント増加し、過去5年間において最も多かった。<糖尿病・代謝・内分泌科での1stライン>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合、1stラインでの処方割合が最も多かったのはDPP-4阻害薬(35.4%)だが、これに続くBG薬が34.8%であり、割合は拮抗している。一方、SU薬は過去5年の推移をみても一貫して減少傾向にあるようだ(図2)。図2を拡大する<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での1stライン>回答医師の属性がその他の診療科の場合、1stラインの処方割合はDPP-4阻害薬が最も多く(41.0%)、昨年と比べて0.3ポイント増とほぼ横ばいであった(図3)。図3を拡大する(3)薬剤の処方状況(2ndライン)●DPP-4阻害薬単剤処方例からの治療変更1stラインでDPP-4阻害薬を単剤投与しても血糖コントロールが不十分だった場合、2ndラインではどのような治療変更を行うかについて、1.SU薬を追加、2.速効型インスリン分泌促進薬を追加、3.α-GIを追加、4.BG薬を追加、5.チアゾリジン薬を追加、6. SGLT2阻害薬を追加、7. BG薬とDPP-4阻害薬の配合剤への切り替え、8. その他配合剤への切り替え、9.他剤への切り替え、10.その他―の分類から処方状況を聞いた(図4)。なお、2018年度は選択肢から「GLP-1を追加」、「インスリンを追加」を削除し、「BG/DPP-4阻害薬配合剤へ切り替え」「その他配合剤へ切り替え」を追加している。図4を拡大する最も多かったのはBG薬の追加で、回答した医師の40.8%に上った。SGLT2阻害薬の追加は過去5年間で年々増加傾向にあり、14.1%と昨年と比べて4.2ポイント増加した。一方、SU薬やα-GIの追加は減少傾向にある。BG/DPP-4阻害薬配合剤への切り替えは10.1%であった。回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科とその他の診療科を比較すると、専門医ではBG薬の追加が全体平均よりも高い傾向にあり、逆にα-GIの追加を選ぶ医師は少ない傾向があった。専門医以外では、α-GIの追加のほか、BG/DPP-4阻害薬配合剤を選択する割合が多い傾向がみられた(図5)。図5を拡大する●BG薬単剤処方例からの治療変更また、1stラインでBG薬を単剤投与しても血糖コントロールが不十分だった場合2ndラインではどのような治療変更を行うかについて、1.SU薬を追加、2.速効型インスリン分泌促進薬を追加、3.α-GIを追加、4.チアゾリジン薬を追加、5. DPP-4阻害薬を追加、6. SGLT2阻害薬を追加、7. BG薬とDPP-4阻害薬の配合剤への切り替え、8. その他配合剤への切り替え、9. DPP-4阻害薬(配合剤以外)への切り替え、10. DPP-4阻害薬以外の薬剤(配合剤以外)への切り替え、11.その他―の分類から処方状況を聞いた(図6)。図6を拡大する最も多かったのは前年に引き続きDPP-4阻害薬の追加(55.1%)であった。SGLT2阻害薬の追加(13.2%)を選択する医師の割合は、前年比で5.2ポイント増となり、2番目に多い選択肢となっている。回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科とその他の診療科を比較すると、専門医で最も多かったのはDPP-4阻害薬の追加(52.2%)で、次いでSGLT2阻害薬の追加(16.3%)となっていた。その他の診療科と比べると、DPP-4阻害薬の追加が少なく、SGLT2阻害薬の追加が多い傾向がみられた(図7)。図7を拡大する(4)薬剤選択の際に重要視する項目本調査では、薬剤を選択する際に重要視する項目についても聞いている(複数回答)。最も多いのは昨年に続き「低血糖をきたしにくい」で、77.8%の医師が挙げている。以下、「重篤な副作用がない」(65.0%)、「血糖降下作用が強い」(64.0%)などが続き(図8)、例年と大きな変化はみられなかった。図8を拡大する(5)配合剤に対する認知状況と処方意向今年度から新たに、配合剤の認知度や処方意向についても聞いている。配合剤がラインナップにあることが薬剤の選択理由のひとつになるかという問いに対しては、「とてもそう思う」、「そう思う」、「まあそう思う」と答えた医師が全体の7割強となった。また、処方したいと思う配合剤の組み合わせについて、1. DPP-4阻害薬とビグアナイド薬の配合剤、2. DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤、3.上記以外の配合剤、4. 配合剤を処方するつもりはない―の4項目について聞いたところ(複数回答)、DPP-4阻害薬とビグアナイド薬の配合剤について63.4%の医師が処方意向を示した(図9)。図9を拡大する開発中、または開発検討中の配合剤の認知度について、1. シタグリプチン/イプラグリフロジンの配合剤、2. リナグリプチン/エンパグリフロジンの配合剤、3. アナグリプチン/メトホルミンの配合剤、4.なし―の4項目を聞いたところ(複数回答)、「なし」と答えたのは47.0%で、5割強の医師が開発中の何らかの配合剤を認知しているという結果となった。さらに、認知している配合剤が今後発売された場合、どのように処方したいかという問いに対しては、リナグリプチン/エンパグリフロジンの配合剤について52.0%の医師が「発売時より処方を検討していきたい」と回答し、処方意向が比較的高い傾向がみられた(図10)。図10を拡大するインデックスページへ戻るなお、本データはアンケートを用いた集計結果であり、処方実態を反映しているものではございません。

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第2世代抗精神病薬と短期的死亡率に関するメタ解析

 重篤な精神疾患患者における寿命の短縮には、抗精神病薬の急速かつ生命に影響を及ぼす副作用が関与している可能性がある。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らは、この仮説を検証するため、抗精神病薬のプラセボ対照試験における死亡発生のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。The Lancet Psychiatry誌2018年8月号の報告。 本システマティックレビューおよびメタ解析は、各診断カテゴリにわたる第2世代抗精神病薬とプラセボを比較した、ランダム化比較試験を対象とした。2017年1月21日までのデータをMEDLINE、EMBASE、Cochrane CENTRAL、BIOSIS、PsycINFO、PubMed、ClinicalTrials.gov、WHO ICTRPより検索し、さらに適格試験を抽出するため、製薬企業および規制当局に連絡を取った。すべての原因による死亡率(主要アウトカム)、自然原因による死亡率、自殺率、非自然原因による死亡率について調査を行った。共通効果メタ解析において、オッズ比(OR)を用いて結果を検討した。サブグループおよびメタ回帰分析において、年齢、診断カテゴリ、性別、研究期間、使用された抗精神病薬、投与量、多剤併用の影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・1978~2017年に発表された596件のランダム化比較試験より、10万8,747例を抽出した。・入手可能な死亡率データを有する352件の研究(8万4,988例)を、メタ解析データの主なデータセットとした。・死亡報告数は、抗精神病薬使用群5万3,804例中207例(0.4%)、プラセボ群3万1,184例中99例(0.3%)であった。・352件中300件(85%)の研究は、13週(3ヵ月)以下の研究期間であった(中央値:6週間、IQR:4~10)。・抗精神病薬使用群とプラセボ群との間に、死亡率の差は認められなかった。 ●すべての原因による死亡率 OR:1.19、95%CI:0.93~1.53 ●自然原因による死亡率 OR:1.29、95%CI:0.85~1.94 ●自殺率 OR:1.15、95%CI:0.47~2.81 ●非自然原因による死亡率 OR:1.55、95%CI:0.66~3.63・ほとんどのサブグループおよびメタ回帰分析において、重要な影響調整因子は認められなかったが、例外として以下の場合に死亡率の増加が確認された。 ●認知症者 OR:1.56、95%CI:1.10~2.21 ●高齢者 OR:1.38、95%CI:1.01~1.89 ●アリピプラゾール使用 OR:2.20、95%CI:1.00~4.86 ●女性の割合が高い研究 回帰係数:0.025、95%CI:0.010~0.040・しかし、高齢者、アリピプラゾール使用、女性の割合が高い研究における影響は、主に認知症者に対する試験が含まれていた。・統合失調症患者では、死亡リスク増加は認められなかった(OR:0.69、95%CI:0.35~1.35)。 著者らは「全体として、統合失調症に対する抗精神病薬の使用が死亡率を増加させるとするエビデンスは、ランダム化試験より認められなかった。しかし、とくに認知症などの集団においては、死亡リスクが高い可能性が示唆された。本研究では、死亡率に対する抗精神病薬の長期的な影響ではなく、急性期治療による短期的な影響についてのみ検証可能であった」としている。■関連記事アルツハイマー型認知症、抗精神病薬で死亡率上昇認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加統合失調症患者における抗精神病薬使用と死亡率

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睡眠改革で睡眠上手な日本へ

 9月3日の「睡眠の日」にちなみ、目覚め方改革プロジェクト主催のメディアセミナーが、2018年8月29日に都内で開催された。 今まで、わが国でも語られることが少なかった「睡眠」にスポットを当てた目覚め方改革プロジェクトは、「目覚め方および体内リズムを整えることの重要性の啓発」を目的に設立され、医師をはじめとする有識者で構成されている。今後はウェブサイト「目覚め方改革プロジェクト」を通じて睡眠や体内リズムに関連するさまざまな情報を発信していく。先進国で一番睡眠時間が短い日本 はじめにプロジェクトリーダーの内村 直尚氏(久留米大学 医学部 神経精神医学講座 教授)が、「『目覚め方改革プロジェクト』設立について」をテーマに、日本人の睡眠の現状と本プロジェクト設立の意義について説明した。 平均睡眠時間の国際比較によると、日本人の平均睡眠時間は7.4時間とOECD諸国の中でも一番短い。また、日本人の5人に1人は「日中、眠気を感じた」「睡眠時間が足りなかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」など睡眠の問題を抱えている(厚生労働省 平成25年国民健康・栄養調査)と現状を報告した。 「良質な睡眠とは『リズム、量、質』が充足された睡眠である。そして、この睡眠のリズムには、すっきりした目覚めが深く関係しているとして、このプロジェクトを立ち上げた」と内村氏は経緯を述べ、「今後、このプロジェクトのウェブサイトから、『目覚めと体内リズムの重要性』に関する情報発信をしていく」と抱負を述べた。睡眠関連で約15兆円の経済損失 次に「睡眠の基本、睡眠の乱れによる健康問題と生活への影響」をテーマに、岡島 義氏(東京家政大学 人文学部 心理カウンセリング学科 准教授)が、睡眠のメカニズムと睡眠不足、不眠がもたらす弊害を説明した。 睡眠には、疲労回復、エネルギー保存、身体の成長、免疫機能増加などの役割があるが、睡眠不足や不眠になると倦怠感や頭重感、交通・産業事故の誘因、仕事・学業の能率や生産性の低下などを来し、さらには生活習慣病やうつ病の誘因・増悪、認知症発症の誘因を起こすとされている。米国の研究では、わが国の経済損失は約15兆円といわれ、GDPに占める割合ではワースト1位となっているという。 とくに仕事などのパフォーマンスに注目すると、慢性的な睡眠負債では眠気を自覚しにくく、徐々にパフォーマンスを低下させるとし、たとえば17時間覚醒では、血中アルコール濃度0.05%のパフォーマンスに相当し、24時間覚醒では血中アルコール濃度0.10%に相当するという1)(血中アルコール濃度0.05~0.10%はビール1~2本、日本酒1~2合に相当)。 最後に岡島氏は「睡眠の最大の役割は、心と体のメンテナンスにある。充実した1日を過ごすためにも、睡眠の役割を正しく認識することが重要」と述べ、説明を終えた。夜のブルーライトは体内リズムに影響 次に「体内リズムの重要性~睡眠負債とソーシャルジェットラグ~」をテーマに、駒田 陽子氏(明治薬科大学 リベラルアーツ 准教授)が、睡眠と体内リズムの重要性について説明を行った。 体内時計は、さまざまな生理現象を調節する機能を持ち、体内リズムを作り出している。そのため睡眠においても、「メラトニン分泌→睡眠→深部体温低下→コルチゾール分泌→覚醒」の順番を保つリズムが重要であるという。また、体内リズムと光の関係につき、朝の強い光はリズムを進行させ、夜の光はリズムを遅らせるとともに、夜の青い光(ブルーライト)は体内時計に強く作用することから、夜のスマホやゲームは体内リズムに影響を与えると警告する。 続いて最近問題となっている「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」に触れた。ソーシャルジェットラグとは、蓄積した平日の睡眠負債を返済するために、休日に寝だめなどを行った結果、体内リズムが乱れ、起床困難、入眠困難、蓄積疲労などが起こる現象である。そして、ソーシャルジェットラグは、心身の健康に影響を与えることから、これを避けるためにも、「起床時間を休日でも変えない」「6~8時間の睡眠時間の確保」「朝日を浴びて、体内時計をリセットする」など体内リズムを整えることが重要だと説明する。 最後に駒田氏は「昼間、生き生きと過ごすために、朝、すっきりと目覚めることが大事」と語り、説明を終えた。 体内リズムを整えるアスパラプロリン 次に協力企業から只野 健太郎氏(大塚製薬株式会社) が、「『目覚め方改革プロジェクト』協力にあたって」をテーマに、今回のプロジェクトへの期待を語った。 一般的に食事や運動に気を付ける人が多い中で、睡眠に気を配る人は少なく、睡眠に起因する健康被害も多数ある。「今後協力企業として、たとえば体内リズムを整えるアスパラプロリンなどの食品素材の開発・提供を通じて良い睡眠をサポートしていきたい。こうした食品を使うことで、覚醒と睡眠の良循環を作っていきたい」と述べ、講演を終えた。■文献1)Dawson D, et al.nature.1997;388:235-237. ■参考目覚め方改革プロジェクト■関連記事CareNet.com特集「睡眠障害」診療よろず相談TV 第33回「不眠症」 回答者:日本大学医学部精神医学系 内山 真氏

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ACS疑い例の高感度心筋トロポニン測定は、心筋梗塞を抑制するか/Lancet

 心筋トロポニンIの高感度アッセイは、心筋障害または心筋梗塞の約6分の1を再分類するが、1年以内の心筋梗塞または心血管死の発生には影響を及ぼさないことが、英国心臓財団Centre for Cardiovascular ScienceのAnoop SV Shah氏らが行ったHigh-STEACS試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年8月28日号に掲載された。心筋梗塞のUniversal Definitionは、トロポニン測定値の健常基準集団の99パーセンタイル以上への上昇を、心筋梗塞の診断の閾値とするよう推奨しているが、この推奨値が臨床アウトカムを改善するかは不明だという。ACS疑いの入院患者で、2つのアッセイの診断能を評価 本研究は、急性冠症候群(ACS)疑い例において、男女別の99パーセンタイル診断閾値を用いた高感度心筋トロポニンI(hs-cTnI)アッセイの導入が、心筋梗塞や心血管死を抑制するかを評価するstepped-wedge, cluster-randomized controlled trialであり、スコットランドの2次・3次病院10施設が参加した(英国心臓財団の助成による)。 対象は、ACS疑いで救急診療部に入院し、contemporary心筋トロポニンI(cTnI)アッセイおよびhs-cTnIアッセイの双方の測定が行われた患者であった。6~12ヵ月の検証期間中は、hs-cTnIアッセイの結果は医師に知らされず、cTnIアッセイが治療のガイドに用いられた。 参加施設は、初期導入群(5施設)と後期導入群(5施設)に無作為に割り付けられ、前者は検証期間終了直後にhs-cTnIアッセイと男女別の99パーセンタイル診断閾値(女性:>16ng/L、男性:>34ng/L)が導入され、後者は6ヵ月後に導入された。 主要評価項目は、初発入院後1年以内の心筋梗塞(タイプ1、タイプ4b)または心血管死であった。補正後の一般化線形混合モデルを用いて、hs-cTnIアッセイ導入の前後で、hs-cTnIアッセイによって再分類された患者のアウトカムを比較した。高感度アッセイの99パーセンタイル診断閾値に疑問が生じる 2013年6月10日~2016年3月3日の期間に、ACS疑いの4万8,282例(平均年齢61[SD 17]歳、女性47%)が登録された(検証期間:1万8,978例[39%]、導入期間:2万9,304例[61%])。 このうち1万360例(21%)が、心筋トロポニンI濃度が正常範囲の99パーセンタイル以上であることが、cTnIアッセイまたはhs-cTnIアッセイで同定された。hs-cTnIアッセイは、心筋障害または心筋梗塞と判定された1万360例のうち、cTnIアッセイで同定されなかった1,771例(17%)を再分類した。 再分類された患者における1年以内の心筋梗塞または心血管死の発生率は、検証期間が15%(105/720例)、導入期間は12%(131/1,051例)であった(導入期間の検証期間に対する補正オッズ比:1.10、95%信頼区間:0.75~1.61、p=0.620)。 著者は、「これらの知見は、心筋梗塞の診断閾値は健常基準集団の99パーセンタイルとしてよいか、との疑問を生じさせる」としている。

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臨床研究法施行で何が変わったか~メリット・デメリット

 今年4月1日に「臨床研究法」が施行された。降圧薬に関する臨床研究でのデータ操作への疑念や、メーカーの関与といった問題の発覚から制定されたこの法律に、戸惑っている研究者も多いのではないだろうか。今回、今月末に日本で初めて開催されるICPM(International Conference on Pharmaceutical Medicine:国際製薬医学大会)2018の大会長である今村 恭子氏(東京大学大学院薬学系研究科ファーマコビジネス・イノベーション特任教授)とICPM組織委員会の広報担当である松山 琴音氏(日本医科大学研究統括センター副センター長/医療管理学特任教授)に、臨床研究法の要点、メリット・デメリット、研究を行う医師への影響などを伺った。なお、この法律については、ICPM2018と同時開催される第9回日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会のセッションでも取り上げられる予定だ。臨床研究法における書式統一の先駆け的存在が日本製薬医学会 JAPhMedは、製薬企業や行政の勤務医をはじめ、大学・医療機関において臨床研究に従事する医師などによる学会である。今村氏によると、「所属会員は現在約300名だが、メディカルアフェアーズ(MA)、メディカルサイエンスリエゾン(MSL)という職種に注目が集まるなか、医師以外の参加者が増えている」という。 学会活動の1つに「企業等が研究機関に対して契約に基づき資金を提供する場合に使用する契約書式の例示」がある。臨床研究に関する契約書式を医薬品企業法務研究会(企業に所属する弁護士や法務担当者を中心に作られている研究団体)の経済法研究部会と共同で2009年に第1版を作成しており、JAPhMedは臨床研究法における書式統一の先駆け的存在ともいえる。臨床研究法では特定臨床研究の管理方法が厳重に “承認申請目的の医薬品等の臨床試験”である「治験」には医薬品医療機器等法(薬機法)に基づくGCPが適用される。一方、薬機法における未承認・適応外の医薬品等の臨床研究や、製薬企業などから資金提供を受けて実施される医薬品等の臨床研究である「特定臨床研究」は、法に縛られることなく倫理指針に基づいて行われてきたため、研究資金の提供や研究不正に対する歯止めがきかない状態であった。これを見直すべく、臨床研究法が2017年4月14日に公布、今年4月1日に施行された。 臨床研究法では、医療機関での特定臨床研究の実施に係る措置として、1)モニタリング・監査の実施、利益相反の管理、研究対象者の保護、疾病等の報告や5年間の記録の保存、2)研究計画書の厚労省への提出義務、3)研究対象者への補償、4)実施基準違反に対する指導・監督の4点が設けられた。松山氏は、「法制定により倫理審査委員会(IRB)が認定制になった。これまでは委員会要件を満たせば誰でも委員になれたが、今後は、委員の経歴や適格性なども含め、各地方厚生局の審査を経て厚労省に届け出すことになった。また、研究を行う医師にも、懲役もしくは罰金の罰則が設けられた」と管理方法が厳重になったことに言及した。 また、臨床研究法が施行された2018年4月1日より前から実施している特定臨床研究については、法施行後1年間の経過措置が設けられており、認定臨床研究審査委員会による審査を経たうえで、2019年3月31日までに厚生労働大臣に実施計画書を提出することが義務付けられている。 一方、製薬企業などに対しては、「契約の締結」と「研究資金等の提供に関する情報等の公表」の2点が義務付けられた。公表の対象となる資金の提供先には、医療機関や大学、NPO法人などが含まれ、1)研究資金等、2)寄附金、3)原稿執筆および講演の報酬その他の業務に要する費用の3つについては、インターネット上で5年間公表し続けることになっている。臨床研究法の患者目線での必要性の理解を求めた 臨床研究法におけるメリット・デメリットについては、次の内容が挙げられる。<メリット>・書式の統一化・Single IRB:これまでは関連する機関すべてのIRBで審査をかけていたが、認定された1つのIRBのみで可能となる・倫理的観点だけでなく科学的観点も重要視:技術専門員による評価が必須(対象領域を専門とする医師/歯科医師、生物統計家、臨床薬理学者など)・透明性:利益相反管理基準(特定企業から年間250万円以上を受け取っている医師は、原則、研究代表医師になれない)の適用 このことを踏まえ、今村氏は「スムーズに進めるための書式の標準化をはじめ、委員会要件が明確に定義されたことで、全国で統一された研究体制が期待できるようになる」と臨床研究法による法的規制に対する期待を膨らませた。<デメリット>・雇用負担:認定IRBの専任事務局員4名の配置が必要・契約における時間の増大:認定臨床研究審査委員会の中には、審査費用の支払いに当たり契約が必要なところがあり、審査までの時間が増大するケースがある(ただし、認定臨床研究審査委員会契約が不要な認定審査委員会もある)・書類作成負担の増大:企業が準備を担っていた書式を研究責任医師が準備する・臨床研究保険の措置:補償内容も含めた説明文書の作成と患者の文書による同意が必要・資金提供契約が必要:研究者自身が主体となって、企業に研究の提案を行うとともに、臨床研究に必要な計画および予算を提示し、資金提供契約に基づく実施を目指す必要がある 臨床研究法には上記のようなデメリットがあり、研究者にとっては研究がやりづらくなるものの、今村氏は「治験では契約があるのに、これまで臨床研究の契約がなかったことがおかしい」とし、また、「研究目的だけが先行して、患者に結果を返せていなかった」と患者目線での臨床研究法の必要性に対する理解を求めた。臨床研究に参加する前に、まずは臨床研究法を学んでほしい 両氏は、「実施計画作成などの研究に必要なプロセスを経ずに研究を行ってきた医師を教育し、研究費の予算立てをして製薬企業に研究の必要性をアピールする能力を育成する重要性を臨床研究医に発信していかないといけない」と述べ、製薬企業に対しては「MAの定着に努めてほしい」とコメントした。加えて、今村氏は「これらのニーズに対して貢献できる学会を目指したい。MSL制度認証の普及に寄与し、患者が求めているものを創る、患者中心の医療開発を目指して学会運営に取り組んでいる」と、医療における学会の役割を示し、「まずは臨床研究に参加する前に臨床研究法を学んでほしい」とICPM2018、日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会への参加を呼びかけた。<ICPM2018、第9回日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会の概要>会期:2018年9月27日(木)、28日(金)9:00~19:30 ICPM&JAPhMed共通   2018年9月29日(土)9:00~16:00 JAPhMed年次大会場所:東京大学 伊藤国際学術研究センター(9月27・28日)   東京大学医学部教育研究棟14階鉄門記念講堂(9月29日)ホームページ:https://www.icpm2018tokyo.com/index.html

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“酒は百薬の長されど万病の元”という故事は飲酒の健康への利害を端的に語っており、認知症も例外にあらず!(解説:島田俊夫氏)-908

 高齢者の認知症が大きな社会問題としてクローズアップされている。2018年8月1日にBMJ誌に掲載されたフランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らの「Whitehall IIコホート研究」の結果は、飲酒と認知症の関連を取り上げた時宜にかなう論文で興味深く、この小稿で取り上げた。これまで過度な飲酒が身体に悪影響を及ぼすことは広く周知されている。一般的に適量の飲酒は認知症に関して低リスク1)と考えられてきたが、詳細については不明な点も多い。研究要約 本研究は英国ロンドン市の公務員を対象とした前向きコホート研究で、1985~88年の期間に35~55歳の1万308人(男/女:6,895/3,413人)を登録し、4~5年ごとに追跡調査が行われた。飲酒と認知症の関連性を評価し、心血管代謝疾患(脳卒中、冠動脈疾患、心房細動、心不全、糖尿病)を考慮の下で検討が行われた。 飲酒量は、1985~88年、1989~90年、1991~93年(中年期)の3回の調査平均値を用い、非飲酒、1~14単位/週(適度飲酒)、14単位超/週(過度飲酒)に分類した。中年期の飲酒量を調査した時点でのコホートの平均年齢は50.3歳であった。 さらに、1985~88年から2002~04年にわたる17年の期間中の調査結果を5パターン([1]長期非飲酒、[2]飲酒量減少、[3]長期飲酒量が1~14単位/週、[4]飲酒量増加、[5]長期飲酒量14単位超/週)に分けて検討した。 1991~93年の調査では、CAGE質問表(4項目2点以上でアルコール依存性あり)を用いてアルコール依存症の有無を評価、1991~2017年の期間におけるアルコール関連疾患による入院状況も併せ調査した。結果 中年期の非飲酒群は基準群(適度飲酒群)と比べ認知症のリスクが高かった(ハザード比[HR]:1.47、95%信頼区間[CI]:1.15~1.89、p<0.05)。14単位超/週群の認知症リスクは、基準群と比べ有意差を認めなかった(1.08、0.82~1.43)が、そのうち飲酒量が7単位増加/週群では認知症リスクが17%有意に増加した(1.17、1.04~1.32、p<0.05)。 非飲酒群でフォローアップ期間に認知症の高リスクを認めたことは心血管代謝疾患の関与で部分的に説明可能であり、非飲酒群全体の認知症のハザード比が1.47(1.15~1.89)であったのに対して疾患のない非飲酒群ではハザード比1.33(0.88~2.02)と基準群と比べ有意差を認めなかった。 中年期~初老期の飲酒量推移による検討では、長期飲酒では基準群と比べ長期非飲酒群の認知症リスクは74%と高く(HR:1.74、95%CI:1.31~2.30、p<0.05)、飲酒量減少群で55%増加(1.55、1.08~2.22、p<0.05)、長期14単位超/週群では40%増加(1.40、1.02~1.93、p<0.05)した。コメント 飲酒と総死亡率の関係はUまたはJ-カーブを示すと考えられている2)。昔から“酒は百薬の長されど万病の元”という故事は飲酒の影響を端的に表現している。わかりやすく言い換えると適度な飲酒は健康にとりプラスになり、過度な飲酒は命を縮め、適量飲酒に比べて非飲酒は思いのほか利益なく、かえってマイナスに作用すると言い換えできる。本論文の著者は、これまでの飲酒による知見が認知症に対して当てはまるか否かを、経時的要素を加味し、交絡因子、データエラーを最小にする工夫の下で統計解析を行い、U-カーブの存在を確認し認知症への飲酒によるこれまでの知見の適用の妥当性を確認した。しかしながら、適量飲酒の効用を過大に期待することは飲み過ぎにつながる恐れがあり慎むべきと考える。“酒は百薬の長されど万病(認知症)の元”を肝に銘じ忘れないことが大事です。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第59回

第59回:ASCO/NCCN合同 irAEガイドライン発刊キーワード肺がんメラノーマ免疫関連有害事象irAE動画書き起こしはこちら2月14日にASCOとNCCN共同で、免疫チェックポイント阻害剤による副作用マネジメントについてのガイドラインが出ました。JCOのほうは60ページ位あるガイドラインで、NCCNのほうは、いつもよくあるPDFのアルゴリズムに沿ったようなガイドライン、2つが同時に発表されています。基本的にフォーマットは違いますけど、言っていることは同じです。目新しいものはなかったのですけれども、読まれてみると良いと思います。あとは『Clinical Care Options』というアメリカのwebサイトですね。そういうものがあるんですけど、そこではかなりタイムリーに、たとえば発表があるとその1週間2週間後には、新しいスライドセットが、その領域のエキスパートと呼ばれる人たちの監修で報告されるんですが、そこではiPhoneとかアンドロイドで「副作用」と入れると、そのマネジメントが出てくる、というようなアプリも紹介されています。Clinical Care Optionsのwebサイトに行っていただけると、そういうアプリも見つかると思います。もうここはものすごいスピードでアップデートしているので、定期的にチェックされると、非常によくまとまって、見やすいスライドが提供されています。もちろん、ここもたくさんの製薬会社からのお金が入って維持されているのだと思いますが。Brahmer JR, et al. Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy: American Society of Clinical Oncology Clinical Practice Guideline.J Clin Oncol. 2018 Feb 14. [Epub ahead of print]CLINICAL CARE OPTIONSClinical Care Optionsアプリ inPracticeOncology( APPストア )Clinical Care Optionsアプリ inPracticeOncology( Google Play )

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第5回 臨床試験で必要なn数(サンプルサイズ)【統計のそこが知りたい!】

第5回 臨床試験で必要なn数(サンプルサイズ)前回は、地域住民や患者さんを対象にアンケート調査(市場調査、社会調査)を行う際に必要なn数(サンプルサイズ)の計算方法について解説しました。今回は、臨床試験を行う際に必要なn数(サンプルサイズ)について解説します。■臨床研究計画を立てるときのn数(サンプルサイズ)設定の考え方臨床試験は、被験者の負担や臨床試験にかかる費用を少なくするために、できるだけ少ない被験者で行いたいのが実情です。しかし、被験者が少な過ぎると標準誤差が大きくなることから信頼区間の幅が広くなり、治療に効果があるのにその効果を臨床試験の結果として検出できないことがあります。一方、被験者が多過ぎると母集団の信頼区間の幅は狭くなり過ぎて、医学的に意味のない結果を検出することもあります。ですから医学的に意味のある結果を、できるだけ少ない被験者(症例数)で示すためにn数(サンプルサイズ)の設定が重要になります。■検定結果で誤る2つの可能性臨床試験で避けなければならない失敗の1つは、「効果のない治療を効果がある」と判定してしまうことです。このような間違いを「第一種の誤り(過誤)」といいます。第一種の過誤は、「αエラー」ともいい、統計的観点から立てる仮説である帰無仮説(新しい治療法は従来の治療法と同じ効果である)が正しいのに、それを棄却してしまうという誤りです。n数(サンプルサイズ)が大きいときに起こる可能性が高くなります。このαは有意水準のことです。もう1つの失敗は、「本当は効果がある治療を効果がないと判断して臨床試験を中止してしまう」ことです。このような間違いを「第二種の誤り(過誤)」といいます。第二種の過誤は、「βエラー」といい、帰無仮説が間違っているのに、それを見逃す誤りです。n数(サンプルサイズ)が小さいときに起こる可能性が高くなります。臨床試験を行う研究者にとっては、治療が有効であると考えているのですから、このβエラーは極力避けたいものです。検出力は「1-β」で定義され、本当は効果がある治療が正しく「効果がある」と判断される確率です。■n数(サンプルサイズ)の設定臨床試験の際のn数(サンプルサイズ)の設定には、「有意水準」、「検出力」、「検出したい治療効果の大きさ」の値が必要です。有意水準(α)は0.05もしくは0.01が用いられることが多く、検出力(1-β)は0.8~0.9に設定されます。そのため、実際に算出する必要があるのは「治療効果の大きさ(効果量)」だけになります。治療効果の大きさ(効果量)は、過去の臨床試験データやそれまでの予備試験データなどから効果をどのくらいに設定するのか、ということです。たとえば、新しい治療と既存の治療との間で血圧の平均値の差が8mmHgであるというように、臨床試験によって起こりうる結果を試験開始前に推測しておくということです。効果が大きい場合にはn数(サンプルサイズ)は小さくてよく、一方で効果が小さい場合にはn数(サンプルサイズ)は大きくならなければなりません。たとえば効果が半分になれば必要なn数(サンプルサイズ)は4倍になります。また、臨床試験で得られたデータのバラツキ(標準偏差)が小さければn数(サンプルサイズ)は小さくてよく、一方でデータのバラツキが大きければ必要なn数(サンプルサイズ)は大きくなります。たとえば標準偏差が2倍になれば必要なn数(サンプルサイズ)は4倍となります。効果が半分になれば、必要なn数(サンプルサイズ)は4倍になります。■実際のn数(サンプルサイズ)の計算方法実際のn数(サンプルサイズ)の計算方法は、一様ではなく、どのような検定法で臨床試験結果を判断するのかによって、異なる数式から求められます。臨床試験で必要なn数(サンプルサイズ)を計算・シミュレーションできる、有償・無償のソフトウエアが、今ではたくさんありますので、簡単にn数(サンプルサイズ)を求めることができます。1つ注意しておきたいことは、国際的なガイドラインである「CONSORT声明(Consolidated Standards of Reporting Trials Statement:臨床試験報告に関する統合基準に関する声明)」では、研究結果をまとめた論文に、研究計画時にどのようにしてn数(サンプルサイズ)を決定したのかを記載するよう定めています。ですから、一度決めたn数(サンプルサイズ)を容易に変更することはできないということです。■実際のn数(サンプルサイズ)の計算方法の一例(母平均の検定)サンプルサイズの計算方法●検出力とは?実際は対立仮説が成り立っているときに、帰無仮説を正しく棄却する確率を検出力といいます。これは第二種の誤りを起こさない確率であり、「1-β」と表します。●サンプルサイズの検定【検出力】とは?母平均の検定を例に解説します。検定統計量の値は、サンプルサイズ(=標本数)と検出力に大きく影響を受けます。一般的に、サンプルサイズや検出力が大きくなれば、検定統計量の値は大きくなる傾向にあり、反対に小さくなれば値は小さくなります。帰無仮説m=m0で本当はmとm0に意味のある差がみられても、サンプルサイズや検出力が小さければ、統計量|t0|の値は大きくならず、「有意差なし」となります。逆にmとm0の差が小さくても、サンプルサイズや検出力が大きければ「有意差あり」となります。このような検定結果をうのみにするのは危険です。したがって、サンプルサイズと検出力の設定を行った後に、そのサンプルサイズの下で再度検定をやり直す必要があります。●計算方法母平均の検定において、を設定する場合のサンプルサイズの決定を解説します。帰無仮説の下での値m0と真のmとの差が母標準偏差σの何倍あるのかを示す量が、のとき、有意水準αに対して検出力1-βでH0を棄却したかったとします。そのために必要なサンプルサイズnの設定のための式は、以下のとおりです。分子のZα/2、Z1-βは、それぞれ標準正規分布の上側100(α/2)、100(1-β)%点です。【例題】有意水準αが0.05で、帰無仮説と対立仮説がそれぞれである母平均の検定を考えます。かつ 検出力 1-β=0.90でH0を棄却したい場合、サンプルサイズはいくつ必要でしょうか。【解答】サンプルサイズnを計算すると、*Z=標準正規分布表の値です。したがって、サンプルサイズの候補はn=13あるいはn=12です。今回は、臨床試験を行う際に必要なn数(サンプルサイズ)について解説してきました。臨床試験の論文を読むときには、主要エンドポイントとその統計手法、サンプルサイズの計算などを必ず確認するようにしましょう。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション1 母集団、n数、サンプル数、サンプルサイズとは第4回 ギモンを解決! 一問一答質問2 何人くらいの患者さんを対象にアンケート調査をすればよいですか?

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処方提案、残薬調整の法的な位置付けは?【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第5回

先日、身内が入院することになり、付き添いで大学病院に行ってきました。病院に着いて、まずは入院の事務手続きをし、部屋が決まり、その後、病棟に行き、荷物の整理をしていると、白衣を着た女性が部屋にやってきました。「○○さん。薬剤師の△△です。少しお話しさせてください」と。薬剤師の先生でした。私としては、薬剤師とこうして病棟で会ったことがなかったので新鮮でしたし、なにより、入院して一番初めに話す医療者が薬剤師であったことに、とても驚きました。身内と薬剤師のやり取りでは、他の病院から処方されている薬剤、市販薬なども含めて持参薬の確認、薬に関する質問などがありました。その後、薬剤師がどのような業務を行うのか詳細はわかりませんが、その情報を基に入院中の処方検討などをするのかと思います。病院によっては、医師による診察の前に行う薬剤師外来というものがありますが、それと同様に、処方提案や残薬調整なども行うのかもしれません。さて、このようなやり取りを見て、薬剤師が病棟で活躍する時代になったことを実感するとともに、対人業務が重視されるなか、処方提案や残薬調整についての業務は、薬剤師の重要な業務であることを再認識しました。そこで、このような業務の法的な位置付けについて考えてみました。現行法は薬剤師の職務の広がりに追いついていない?薬剤師の業務については薬剤師法に規定されており、具体的な内容は、その第4章(業務)で定められています。第19条 調剤の独占第20条 薬剤師の名称独占第21条 応需義務第22条 調剤の場所第23条 処方せんに基づく調剤第24条 疑義照会第25条 調剤した薬剤の表示第25条の2 調剤した際の情報提供および指導第26条 調剤済み処方せんへの署名など第27条 処方せんの保存第28条 調剤録の記入・保存第28条の2 薬剤師の氏名の公表第28条の3 事務の区分これを見るとわかるように、処方提案や残薬調整というのは、薬剤師法において、明確には規定されていません。調剤の定義をどのように捉えるのかによって変わる、あるいは情報提供や指導に含まれるのでは、という議論もあるかもしれません。しかし、調剤は処方せんに基づくのが前提であり、情報提供や指導も調剤した際の義務なので、調剤前の段階や自らが調剤していない薬剤の残薬調整となると、これらのなかに含めて考えるのは難しいような気もします。「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」にも調剤を行う場合の服薬状況および服用歴の確認などの規定がありますが、薬剤師法と同様に明確なものではありません。残薬調整に関係しそうな条文としては、在宅での残薬調整を前提にした以下の規定(薬剤師法施行規則13条の2第1項2号)がありますが、これも自身で調剤することを前提としています。薬剤師が、処方せんを交付した医師又は歯科医師の同意を得て、当該処方せんに記載された医薬品の数量を減らして調剤する業務(調剤された薬剤の全部若しくは一部が不潔になり、若しくは変質若しくは変敗するおそれ、調剤された薬剤に異物が混入し、若しくは付着するおそれ又は調剤された薬剤が病原微生物その他疾病の原因となるものに汚染されるおそれがない場合に限る)。以上のとおり、現在の対人業務で重要とされる処方提案などに、患者との関係では契約上の義務とされる場合があるとしても、法的に明確な規定はありません。薬剤師の任務についての規定は薬剤師法第1条にあり、もちろん調剤だけではありませんが、第4章の業務に規定されているのは、調剤に関わるものであり、薬剤師の職務の広がりを見ると、法が追い付いていないという側面があるかもしれません。(薬剤師の任務)第1条 薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。今後の医薬品医療機器等法改正で薬剤師の対人業務はさらに明記される?処方提案や残薬調整などは、法的に明確な位置付けはありませんが、薬剤師の専門性から期待されている業務といえるかと思います。そのため、調剤報酬などでは評価されているのでしょう。薬剤師が、処方提案や残薬調整などを積極的に行っていくことは好ましいはずです。現状の具体的な例を挙げますと、2014年に「必要な薬学的知見に基づく指導」(薬剤師法25条の2)が追加されました。このことは対人業務の充実への期待といえますので、ほかの業務でもよい結果を示すことが、今後の法改正につながるかもしれません。法に明記されるということは、国民からの期待といってもいいかと思いますし、薬剤師に対してそのような期待を持ってもらいたいところです。“対物”から“対人”という流れで、薬剤師の業務も今後、より変化していくでしょう。そういう意味で、来年予定されている医薬品医療機器等法の改正には注目をしたいところです。参考資料1)e-Gov 薬剤師法2)e-Cov 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則3)e-Gov 薬剤師法施行規則

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第2回 洞調律を知る【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第2回:「洞調律を知る」洞調律、またはサイナス・リズム…言葉だけは知っていても、心電図で何がどうならそういえるのか? 今ひとつ曖昧な人にDr.ヒロがズバッとレクチャーします。今回は、洞調律“ではない”場合の表現もあわせて学びましょう。症例提示57歳。女性。降圧薬を内服中。犬の散歩中に転倒。左腕を強打して救急受診。骨折と診断され、待機的に手術が予定されることとなった。入院時心電図(図1)に関して整形外科よりコンサルトされた。(図1)来院時心電図画像を拡大する【問題1】心電図所見として正しくないものを2つ選べ。1)洞調律2)異所性心房調律3)ST低下4)左室高電位(差)5)反時計回転解答はこちら 1)、5)解説はこちら 左腕骨折で整形外科に入院となった女性です。手術が前提であったためか、入院時に心電図がとられています。自動診断では、(1)房室接合部調律、(2)左室肥大、(3)ST-T異常となっています。1)×:R-R間隔は整で、きれいにP-QRSが並んでいるようですが、P波の様式が洞調律とは異なります。I、V4~V6でフラット、II,aVFで下向き(陰性)となっており、洞調律の条件を満たしません。2)◯:洞調律ではなく、固定のP波を伴う心房調律がこう呼ばれます。3)○:II、aVF(ともに軽度)、そしてV4~V6誘導でST低下があります。4)◯:“スパイク・チェック”(第1回参照)を思い出して、V5,V6誘導のR波の高さに反応して下さい。「V5またはV6誘導でR波高が26mm超なら左室高電位」という基準は余裕があれば覚えましょう。5)×:胸部誘導の移行帯に注目します。V2~V3誘導の間でR波の高さがS波の深さと逆転しており、これは正常です。“洞調律の定義、知ってる?”というわけで、今回ポイントにしたいのは、ズバリ「洞調律を正しく診断できる」。ただただコレだけ。普段、「洞調律って何ですか?」と医学生や研修医の先生に聞くと、『えー、P波があってQRS波がレギュラーで…』『P波とQRS波が1:1の関係でずっと続いて…』というのが代表的な答え。だとすると、今回の心電図も“洞調律”になってしまいますよね。でも否。洞調律(サイナス・リズム、略してサイナス)は洞結節が心臓の収縮ペースを統率している状態を表し、概念的にはみんな知ってます。残念ながら、体表面の心電図では洞結節の活動(興奮)を直接とらえることはできません。そこで、その“命令”に従い、はじめに興奮する心房の興奮様式から判断するんです。具体的にはP波の向きで決めています。詳しく解説するため、別症例の心電図を示します(図2)。(図2)正常洞調律[34歳・女性]画像を拡大する(図2)は34歳、女性のものです。R-R間隔は整で、QRS波の直前にはコンスタントにP波があります。肢誘導も胸部誘導も左から4拍目のP波の向き(極性)に着目すると、I、II、aVF、V4、V5、V6誘導で上向き、aVR誘導で下向きであり、洞調律と判断できるんです。(図中赤矢印:↗)ここで皆さん、いいですか?「イチニエフ・ブイシゴロ。そしてアールに注目!」なんだか呪文みたいでしょ。これは、I、II、aVF、V4~V6とaVRを見なさいってこと。僕はこれを“イチニエフの法則”と呼んでいます。「イチニエフ・ブイシゴロで上向き(陽性)、アールで下向き(陰性)」が洞調律の定義なんです。そして、一括りに「洞調律」といってもイチニエフ・ブイシゴロ以外の誘導の場合、P波の向きには個人差があり、洞調律の判定には使わないので、P波は原則見ないでOK。イチニエフの法則さえおさえれば、洞結節はほぼ規則的に興奮しますし、途中で電気の伝達に妨げがなければ、R-R間隔も整、かつ、P:QRSも1:1になります。これで多くの人が洞調律の定義と考える内容がほぼ自動的に満たされますが、これはあくまでも結果なので、本質は「P波の向き」にあることをきちんと理解して下さい。もちろん、同じ形のP波がコンスタントにあるかどうかも見ますが、それはR-R間隔が整であれば基本見なくてもOKです。ちなみに、全部で7個の誘導でチェックするなんて面倒と思う方はいますか?実は、簡易的に「II誘導とaVR誘導だけ」に着目した“ニアル(II・aVR)法”(ボクが勝手にそう呼んでるだけ)もあります。実際に「II:陽性、aVR:陰性だけでOKだよ」とする本もあります。肢誘導の円座標を思い浮かべて、心房内の興奮はaVR誘導から離れ、II誘導の方向に向かうからですね。しかし、ボク的には他のチェックとの兼ね合いもあり、やはり“イチニエフ法”がイチ押しです。“異所性心房調律って言えたらステキ”ということで、今回の心電図(図1)は洞調律ではなく、異所性心房調律が正解でした。循環器専門医だと、「異所性」に関して、さらに“心房のどこが起源か”なんてのが多少気になりますが(自動診断の「房室接合部」、もっと言うと「冠静脈洞」を疑います)、深入りは禁物。非専門医であれば異所性心房調律と言えるだけで“おつり”が来ます(笑)【問題2】整形外科の先生に「STが下がっているけど、この人は狭心症なんですか?オペいけます?」と尋ねられた。どう答えるか。解答はこちら ST低下は左室肥大に伴う二次性変化、耐術性は問題なし解説はこちら “ST変化は心筋虚血の「専売特許」にあらず”これはオマケの問題です。ちまたには、「ST低下=虚血性心疾患」と思っている人がたくさんいます。安静時心電図のST低下は狭心症のST低下ではないことが大半です。不安定狭心症などのひどい病態は別ですが。この人は普段まったく無症状だそう。その上、高血圧で治療中。ブイゴロク(V5、V6)の左側胸部誘導で高電位(差)プラスST-T変化(この人はT波異常はなし)と言ったら…そう、左室肥大(LVH)で説明可能です。以上を基に心電図から疑われる診断名異所性心房調律(冠静脈洞調律)左室肥大という訳で…、「いやー、先生。この人は心電図で左室肥大が疑われますし、ST変化はそのせいですかね。患者さんから話を聞くには、平時から駅の階段や坂道などはスイスイのスイーッみたいで、胸部症状の自覚なんかも全然ないようです。あと、ちょっとマニアックな異所性心房調律という基本リズム(調律)だったりもしますが、これも普通は特に問題になりません。一応、できたら心エコーしますけど、整形の手術なら全身麻酔でも問題ないと思いますよ」。そう答えられたら、アナタはスゴい!Take-home Message洞調律かどうかはP波の「向き」で決めよ:イチニエフ法(またはニアル法)安静時ST低下は虚血性ではないことが大半【古都のこと~Y字の鴨川~】「鴨川はY字なんだよ」こちらに来たばかりの時、そう教えられました。高野川と賀茂川の水が出会う場所、奥には糺(ただす)の森の深遠な霊気が漂います。市内のごくありふれた風景が、無常観を綴った鴨長明にはどう映っていたのでしょうか。悠久の時の流れ、“うたかた”の自分を感じながら、仕事場に向かう日もあります。

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第4回 「在宅医療」は家に訪問することじゃない!【週刊・川添ラヂオ】

動画解説最近、在宅医療に取り組む薬局が増えていますが、在宅薬剤師の元祖ともいえる川添先生は、若干疑問を感じているようです。調剤報酬が上がったから、在宅訪問の実績がないとかかりつけ薬剤師指導料が取れないから、そんな理由で「在宅」に積極的に取り組んでいるとしたら、まさに本末転倒。在宅医療=薬剤師が訪問して薬を届けて服薬指導すること、ではない!と語気を強める川添先生。在宅医療の目的は何なのか?薬剤師は何をすべきなのか?熱く熱く語ります。

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睡眠時間の変化と認知症発症リスクとの関連~大崎コホート2006

 東北大学の陸 兪凱氏らは、高齢者における睡眠時間の変化と認知症発症リスクとの関連について調査を行った。Sleep誌オンライン版2018年7月25日号の報告。 2006年に宮城県大崎市在住の65歳以上で障害のない日本人高齢者7,422例を対象に、コホート研究を実施した。対象者の睡眠時間は、自己報告アンケートを用いて、1994年と2006年に評価を行った。1994年と2006年のアンケートより得られた睡眠時間から、対象者を睡眠時間の変化に応じて5群に分類した。認知症発症に関するデータは、公的介護保険データベースより抽出し、対象者を5.7年間(2007年4月~2012年11月)フォローアップした。認知症発症の多変量調整ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・3万6,338人年のフォローアップ期間中に、688例が認知症を発症した。・睡眠時間の変化がなかった対象者と比較し、睡眠時間が1時間増加した対象者の多変量HRは1.31(95%CI:1.07~1.60)、2時間以上増加した対象者の多変量HRは2.01(1.51~2.69)であった。 著者らは「高齢者における睡眠時間の増加は、認知症発症リスクの上昇と有意な関連が認められた。睡眠と認知症との関連性を確認するためには、有効性が確認された測定法を用いた今後の研究が必要である」としている。■関連記事日本食は認知症予防によい:東北大「最近、睡眠時間が増えた」は認知症のサインかも睡眠不足だと認知症になりやすいのか

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心不全への遠隔管理の併用で予後が改善/Lancet

 明確に定義された心不全患者(心不全による最近の入院歴あり、大うつ病なし)では、通常治療に加えて構造化された遠隔患者管理による介入を行うと、予定外の心血管系の原因によって病院で過ごす時間が短縮し、全死因死亡も低減することが、ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のFriedrich Koehler氏らが行った「TIM-HF2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年8月25日号に掲載された。心不全患者の遠隔患者管理は、心代償不全の早期の臨床所見の検出に役立ち、それゆえ代償不全に陥った心不全が完全に出現する前に、適切な治療や処置を迅速に開始することが可能になるという。通常治療への追加による予後改善効果を評価 TIM-HF2試験は、ドイツで実施された非盲検(割り付け方法は隠蔽)の多施設共同無作為化並行群間比較試験であり、データの収集にプラグマティックな要素が導入され、病院および心臓病診療施設で患者登録が行われた(ドイツ連邦教育・研究省[BMBF]の助成による)。 対象は、NYHA心機能分類II/IIIの心不全で、無作為割り付け前の12ヵ月以内に心不全による入院歴があり、左室駆出率(LVEF)が45%以下(またはLVEF 45%以上で経口利尿薬が処方)の患者であった。大うつ病の患者は除外された。被験者は、遠隔患者管理+通常治療の群または通常治療のみを行う群に無作為に割り付けられ、最長393日のフォローアップが行われた。 遠隔患者管理のシステムや介入には、(1)遠隔医療センターに体重、血圧、心拍数、心調律、末梢毛細血管の酸素飽和度(SpO2)、自己評価による健康状態(1~5点)のデータを毎日送信、(2)患者教育、(3)遠隔医療センターと、患者のかかりつけ医、心臓専門医との連携などが含まれた。 主要評価項目は、予定外の心血管疾患による入院あるいは全死因死亡で喪失した日数の割合とし、解析は最大の解析対象集団(FAS)で行った。「予定外の心血管疾患による入院あるいは全死因死亡で喪失した日数の割合」とは、これらの理由で失われたフォローアップ期間の割合であり、喪失日数を目標フォローアップ期間で除した値とした。主な副次評価項目は、全死因死亡および心血管死であった。喪失日数が約6日減少 2013年8月13日~2017年5月12日の期間に1,571例が登録され、1,538例がFASに含まれた(遠隔患者管理群:765例、通常治療群:773例)。全体の平均年齢は70歳(SD 10)、70%を男性が占めた。 予定外の心血管疾患による入院あるいは全死因死亡で喪失した日数の割合の加重平均値は、遠隔患者管理群が4.88%(95%信頼区間[CI]:4.55~5.23)と、通常治療群の6.64%(6.19~7.13)に比べ有意に優れた(加重平均値の比:0.80、95%CI:0.65~1.00、p=0.0460)。失われた日数の加重平均値は、遠隔患者管理群が17.8日/年(95%CI:16.6~19.1)と、通常治療群の24.2日/年(22.6~26.0)よりも約6日減少した。 全死因死亡率は、100人年当たり、遠隔患者管理群は7.86(95%CI:6.14~10.10)であり、通常治療群の11.34(9.21~13.95)に比し、有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.70、0.50~0.96、p=0.0280)。心血管死亡率の差は、統計学的に有意ではなかった(0.67、0.45~1.01、p=0.0560)。 12ヵ月時のミネソタ心不全質問表(MLHFQ)によるQOL評価では、ベースラインからの変化には両群間に差はなかった(平均差:-1.11、95%CI:-3.01~0.80、p=0.26)。 著者は、「この総体的な治療コンセプトの主要な要素は、遠隔医療センターが、1日24時間、毎日、個々の患者のリスクプロファイルに従って迅速に対応可能な医師および心不全専門看護師を擁していることである」とし、「本試験では、参加施設の所在地の違いによる影響はなかったことから、遠隔患者管理により、適切な心不全治療へのアクセスの地域差が低減する可能性がある」と指摘している。

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梅毒が昨年上回るペースで増加中、原因不明の発疹には疑いを

   梅毒の届け出数は、2014年頃から急激な増加傾向にあり、昨年は年間報告数が44年ぶりに5,000例を超えた。今年は昨年をさらに上回るペースで増加しており、国立感染症研究所の発表によると、梅毒の累積報告数は8月22日集計時点ですでに4,221例となっている1)。日本医師会は9月5日の定例記者会見で、梅毒の感染経路を含む発生動向について解説するとともに、感染拡大への注意を促した。都市部で圧倒的に多い梅毒の報告数、その原因は? 梅毒の年間報告数は長く1,000例以下で推移していたが、2011年頃から徐々に増加し、2014年頃からは男女ともに急激に増加している。2017年の梅毒の報告数を都道府県別にみると、東京都が1,777例と圧倒的に多く、次いで大阪府(840例)、愛知県(339例)、神奈川県(322例)と、都市部で多い。年齢別では、男性では20~40代、女性では20代の感染が目立っている2)。 梅毒の感染経路ごとの報告数をみると、2014年頃までは同性間性交渉で感染した男性の増加が目立っていたが、以降は異性間性交渉で感染した男女がともに大きく増加している3)。このことから、2014年以降の急激な梅毒の増加の原因には、異性間性交渉による感染があるとみられるという。また、2014年以降に梅毒の報告数が急増した岡山県岡山市での調査4)では、2017年に異性間性交渉で感染した男性のうち、過去数ヵ月以内に風俗店の利用のあった患者は71.2%を占めており、女性では25.9%がCSW(コマーシャルセックスワーカー)であった。 厚生労働省では、梅毒の発生動向をより詳細に把握することを目的として、来年を目途に届出基準を改正する見通し。新たに届出事項として、性風俗産業の従事歴・利用歴や梅毒既往歴、妊娠の有無などを加える予定としている。梅毒は診断が難しく、無症候期でも感染力あり このような状況から日本医師会では今年8月、日本性感染症学会と協力して「梅毒診療ガイド」のダイジェスト版5)を会員医師に配布している(下記リンクページから閲覧可能)。梅毒は感染後、典型的には3週間前後の潜伏期間を経て、まず侵入部位(外性器や口内など)に無痛性のしこり・潰瘍ができるが(第1期)、じきに消失するため、見逃されやすい。さらに、3ヵ月後頃には発疹(全身性だが、しばしば手のひらや足の裏に発現)がみられることが多いが(第2期)、こちらも自然に消失する。登壇した平川 俊夫常任理事は、「この症状があれば梅毒だと鑑別することは難しく、症状がない期間も感染力はある」と説明し、「全診療科の医師が、梅毒が増えているということを念頭において、非特異的な皮膚病変、あるいは皮膚以外でも説明がつかないような臓器病変を診たら、積極的に抗体検査を行って、梅毒の可能性を除外していくようにしてほしい」と呼びかけた。また陽性の場合には、パートナーの受診を医療従事者が積極的に推奨することも重要だという。

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冠動脈炎を非侵襲的に検出する新バイオマーカー/Lancet

 血管周囲の脂肪減衰指数(FAI)は、冠動脈の炎症を非侵襲的に検出する新たな画像バイオマーカーである。英国・オックスフォード大学のEvangelos K. Oikonomou氏らは、CRISP CT試験のアウトカムデータの事後解析を行い、血管周囲FAIは、冠動脈炎を定量的に測定することにより、冠動脈CT血管造影(CTA)における現行の最高水準の評価に加えて、心臓リスクの予測や再層別化の質の向上をもたらすことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年8月28日号に掲載された。冠動脈の炎症は、隣接する血管周囲の脂肪細胞における脂肪生成を阻害する。血管周囲FAIは、冠動脈CTA画像上で、血管周囲の脂肪減衰の変化を空間的にマッピングすることで冠動脈炎を捉えるが、その臨床アウトカムの予測能は不明であった。解析コホートと検証コホートで予後予測能を解析 研究グループは、CRISP-CT試験において、2つの独立したコホートで前向きに収集されたアウトカムデータを用いて事後解析を行った(英国心臓財団[BHF]などの助成による)。 エルランゲン大学病院(ドイツ)で冠動脈CTAを受けた患者を解析コホート、クリーブランドクリニック(米国)で冠動脈CTAを受けた患者を検証コホートとした。3つの主冠動脈(右冠動脈近位部、左前下行枝、左回旋枝)において、血管周囲の脂肪減衰をマッピングした。 Cox回帰モデル(年齢、性別、心血管リスク因子、管電圧、修正Duke冠動脈疾患指標、冠動脈CTAによる高リスクプラーク特性の数で補正)を用い、全死因死亡および心臓死に関して、予後予測における血管周囲脂肪減衰マッピングの意義を評価した。心臓死の1次、2次予防に有用となる可能性 2005~09年の期間に、解析コホートの1,872例(年齢中央値:62歳、範囲:17~89歳)が冠動脈CTAを受け、2008~16年の期間に、検証コホートの2,040例(53歳、19~87歳)が冠動脈CTAを受けた。フォローアップ期間中央値は、解析コホートが72ヵ月(51~109ヵ月)、検証コホートは54ヵ月(4~105ヵ月)だった。 両コホートとも、右冠動脈近位部および左前下行枝における血管周囲FAI高値は全死因死亡および心臓死を予測し、互いに強い相関を示した。一方、左回旋枝では、このような関連は認めなかった。そこで、統計学的な共線性の観点から、右冠動脈で測定した血管周囲FAIを、冠動脈全体の炎症の代替バイオマーカーとして使用した。 なお、右冠動脈の血管周囲FAIの、全死因死亡の予測における解析コホートのハザード比(HR)は1.49(95%信頼区間[CI]:1.20~1.85、p=0.0003)、検証コホートのHRは1.84(1.45~2.33、p<0.0001)であり、心臓死の予測における解析コホートのHRは2.15(1.33~3.48、p=0.0017)、検証コホートのHRは2.06(1.50~2.83、p<0.0001)であった。 解析コホートにおける血管周囲FAIの至適カットオフ値(これを上回ると心臓死が急増)は、-70.1HU以上とした(全死因死亡のHR:2.55、95%CI:1.65~3.92、p<0.0001、心臓死のHR:9.04、3.35~24.40、p<0.0001)。このカットオフ値は、検証コホートで確定された(全死因死亡のHR:3.69、2.26~6.02、p<0.0001、心臓死のHR:5.62、2.90~10.88、p<0.0001)。血管周囲FAIは、両コホートにおいてリスクの判別能を改善し、全死因死亡と心臓死に関する重要な再分類をもたらした。 著者は、「血管周囲FAI高値(カットオフ値:≧-70.1HU)は心臓死増加の指標であり、それゆえ早期の標的として1次予防に役立ち、至適治療にもかかわらず発症した冠動脈アテローム性硬化の不安定プラークの同定が可能であるため、2次予防にも有用となる可能性がある」としている。

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TRK阻害薬larotrectinib、NTRK遺伝子融合がん治療薬としてEUに申請/バイエル

 ドイツ・バイエル社は、2018年8月27日、欧州医薬品庁(EMA)にlarotrectinib(LOXO-101)の販売承認申請(MAA)を提出したと発表。 larotrectinibは、神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)遺伝子融合を有する、局所進行性または転移性の固形がん患者(成人および小児)の治療薬として開発されたトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害薬。NTRK遺伝子融合は、TRK融合タンパク質の産生が制御できなくなるゲノム変化であり、腫瘍増殖をもたらす。臨床試験では、larotrectinibの全奏効率(ORR)は、治験責任医師による評価では80%、中央判定では75%であった。larotrectinibは米国食品医薬品局(FDA)より優先審査品目に指定 TRK融合を有するがんは、NTRK遺伝子が、別の無関係の遺伝子と融合し、TRKタンパク質に変異が生じて起こる。最近の研究結果から、体内のさまざまな場所で固形がんを生じさせることが示唆されており、虫垂がん、乳がん、胆管がん、大腸がん、消化管間質腫瘍(GIST)、乳児型線維肉腫、肺がん、唾液腺の乳腺相似分泌がん、悪性黒色腫、膵臓がん、甲状腺がん、肉腫など成人や小児のさまざまながんに見られる。 larotrectinibは、バイエルと米国のロクソ・オンコロジー社(本社:米国コネティカット州スタンフォード)が共同開発し、2018年5月、米国食品医薬品局(FDA)よりNTRK遺伝子融合を有する、局所進行性または転移性の固形がん患者(成人および小児)の治療薬として優先審査品目に指定された。

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