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アスピリンは、糖尿病患者にとって有益か有害か/NEJM

 アスピリンは、糖尿病患者において重篤な血管イベントを予防するが、大出血イベントの原因にもなることが、英国・オックスフォード大学のLouise Bowman氏らが行ったASCEND試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年8月26日号に掲載された。糖尿病により、心血管イベントのリスクが増加する。アスピリンは、閉塞性血管イベントのリスクを抑制するが、糖尿病患者の初回心血管イベントの予防におけるその有益性と有害性のバランスは不明とされる。心血管疾患がない糖尿病患者で有効性と安全性を評価 本研究は、糖尿病患者におけるアスピリンの有効性と安全性を評価する進行中の無作為化試験であり、ファクトリアルデザインを用いて、同時にω-3脂肪酸の検討も行われた(英国心臓財団などの助成による)。 対象は、年齢40歳以上、型を問わず糖尿病と診断され、心血管疾患がみられず、抗血小板療法の有益性が実質的に不確実な患者であった。被験者は、アスピリン100mgを1日1回服用する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 有効性の主要アウトカムは、初回の重篤な血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中[頭蓋内出血を除く]、一過性脳虚血発作、血管死[頭蓋内出血を除く])とした。安全性の主要アウトカムは、初回の大出血イベント(頭蓋内出血、失明のおそれのある眼内出血、消化管出血、その他の重篤な出血)であった。副次アウトカムには、消化器がんなどが含まれた。重篤な血管イベント12%低下、大出血イベント29%増加 2005年6月~2011年7月の期間に1万5,480例が登録され、アスピリン群に7,740例、プラセボ群にも7,740例が割り付けられた。ベースラインの平均年齢は、アスピリン群が63.2±9.2歳、プラセボ群は63.3±9.2歳、男性がそれぞれ62.6%、62.5%であった。両群とも、2型糖尿病が94.1%を占め、罹患期間中央値も同じ7年(IQR:3~13)だった。 全体の平均フォローアップ期間は7.4年、平均アドヒアランス率は70%であった。 重篤な血管イベントの発生率は、アスピリン群が8.5%(658/7,740例)と、プラセボ群の9.6%(743/7,740例)に比べ有意に低かった(率比[RR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.79~0.97、p=0.01)。探索的解析として、フォローアップ期間別の評価を行ったところ、このアスピリンの効果は5年までで、それ以降は、実質的にイベントは抑制されなかった。 これに対し、大出血イベントの発生率は、アスピリン群が4.1%(314/7,740例)と、プラセボ群の3.2%(245/7,740例)に比し有意に高く、アスピリンの有害な作用が示された(RR:1.29、95%CI:1.09~1.52、p=0.003)。出血への影響には、経時的な減衰は示唆されなかった。また、頭蓋内出血(1.22、0.82~1.81)と失明のおそれのある眼内出血(0.89、0.62~1.27)には両群間に有意な差はなく、消化管出血(1.36、1.05~1.75)とその他の重篤な出血(1.70、1.18~2.44)がアスピリン群で有意に高頻度であった。 ベースライン時の重篤な血管イベントの推定5年リスクが高い患者ほど、重篤な血管イベント/血行再建術、および大出血の頻度が高かった。 消化器がん(アスピリン群:2.0% vs.プラセボ群:2.0%)および全がん(11.6 vs.11.5%)の発生率には、両群間に有意な差はみられなかった。 著者は、「アスピリンの絶対的な有益性は、そのほとんどが出血の有害性によって相殺された」とまとめ、「がんについては、今後、長期のフォローアップを行う予定である」としている。

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成人のインフルエンザに対するバロキサビル マルボキシルの効果(解説:吉田敦氏)-913

 本邦で2018年2月23日に製造承認された新規の抗インフルエンザ薬、バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ錠)に関する2つの二重盲検ランダム化比較試験の結果がNEJM誌上に発表された。本剤はウイルスのポリメラーゼを構成する3つのサブユニットのうち、polymerase acidic protein(PA)を選択的に阻害するプロドラッグであり、エンドヌクレアーゼ阻害薬に分類される。A型、B型いずれにも効果を示し、動物実験では肺内のウイルス量を早期に減少させること、さらに人体内では長い半減期を有する(49~91時間)ことが判明していた。 第II相試験では、バロキサビル1回投与の3用量(10mg、20mg、40mg)とプラセボの4つについて比較した。さらに第III相試験では、12~64歳の外来患者をバロキサビル(体重80kg未満では40mgを1回投与)、オセルタミビル(75mgを1日2回、5日間)、プラセボの3つに割り付けた(ただし12~19歳の患者はバロキサビルとプラセボの2群のみ)。インフルエンザと診断した対象患者は、38℃以上の発熱と、全身症状の少なくとも1つ、呼吸器症状の少なくとも1つを有する者とし、妊婦や体重40kg未満の者、入院を要した患者は除外した。インフルエンザ抗原検査陽性は第II相の対象患者のみ必要とし、第III相ではその結果は問わなかった。開始後は症状、所見を追うとともに、鼻咽腔のウイルス検出と感受性検査、ペア血清による抗体検査、安全性の確認として血液・尿検査を行った。プライマリーエンドポイントは、すべての症状が消失する、あるいは軽度になってから既定の時間が過ぎるまでの期間とした。 第II相では389人が試験を完了したが、およそ6~7割はH1N1 pdm09ウイルスによるもので、プラセボ群では症状軽減(中央値)まで77.7時間であったものが、バロキサビル群では49.5~54.2時間で(40mg群が最も短い)、有症期間は有意に短縮された。2群の有害事象報告率は同程度で、事象が重症であったり、投与中止に至ったものはなかった。第III相では1,064人が解析できたが、80%以上はH3N2ウイルスによるものであり、症状軽減までの時間(中央値)は、バロキサビル群53.7時間、オセルタミビル群53.8時間、プラセボ群80.2時間であった。ウイルスの減少速度はバロキサビルで大きかったが、感染性のウイルスが検出された期間(中央値)はそれぞれ24時間、72時間、96時間であった。なお本試験に関連すると思われる有害事象はそれぞれ4.4%、8.4%、3.9%であった。またバロキサビル低感受性に関与するとされるPAの遺伝子変異(I38T/M/F)を生じたのは、第II相では2.2%、第III相では9.7%であった。 バロキサビルは合併症のないインフルエンザにおいて1回投与でも有意に有症期間を短縮し、さらに速やかにウイルス量を減少させることができ、有望な抗インフルエンザ薬であることが裏付けられた。なお本検討にはいくつかの興味ある点が見受けられる:(1)投与開始が早いほうが成績がよい、(2)オセルタミビルよりも早くウイルス量は減少するが、有症期間は同等である、(3)ウイルス量の早い減少は感染伝播を減らす面ではやや有利かもしれない。しかしバロキサビル投与によって低感受性関連変異を来すと、ウイルス排泄は長引き、有症期間も長くなってしまう(30%ではプラセボよりも延長する)。合併症を有する例、小児・高齢者、免疫不全者における成績や、低感受性ウイルスに関する具体的な解釈もこれからではあるが、本剤の使用にあたっては、オセルタミビルに比べ優れている点と上記のような特徴を理解したうえで、考慮すべきであろう。また、とくに強調したいのは、本検討の8割近い被検者が日本人であったことである。この点は日常診療上の解釈においても、かつ臨床研究上の意義においても、非常に大きいといえよう。

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第5回 ワークライフバランスに悩んだら、思い出してほしい言葉【週刊・川添ラヂオ】

動画解説川添先生が薬剤師によく質問されるテーマに、ワークライフバランスがあるそうです。新卒からベテランまで、実にさまざまな薬剤師に聞かれるので、薬剤師にとって普遍的なテーマなのではないかと考えるようになったと言います。目の前の患者さん、家で待つ幼い子ども、年老いた親。誰との時間を優先したらいいのか、もちろん正解はありません。「よく遊び、よく学び、よく働こう」。川添先生が作り、今もくろしお薬局で受け継がれている社のモットーに、先生にとっての“答え”があります。その真意とは?

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QRS≦110msの慢性AF患者への房室結節アブレーション+CRT vs.レートコントロール【Dr.河田pick up】

 洞調律維持を諦めた永続性心房細動症例でレートコントロールが困難な場合、房室結節のアブレーションを行ったうえで、心臓再同期療法(CRT)を植込む両心室ペーシングが必要となることがある。この研究では、永続性心房細動でQRS幅が狭い症例において、房室結節アブレーションとCRTによる治療がレートコントロールよりも心不全を改善し、入院を減らすという仮説を検証した。イタリアのBrignole M氏らによるEuropean Heart Journal 誌オンライン版8月26日号掲載の報告。症状が重くQRS幅が狭い永続性心房細動患者102例を無作為化 症状が重篤で6ヵ月超持続している心房細動患者で、QRS幅が狭く(QRS≦110ms)、前年に少なくとも1回以上入院している患者102例(平均年齢72±10歳)を房室結節アブレーション+CRT群もしくは薬物によるレートコントロール群(両群ともガイドラインに従い除細動器を植込む)に無作為に割り付けた。房室結節アブレーション+CRT群で心不全による入院が有意に減少 平均16ヵ月のフォロー後、主要複合アウトカムである心不全による死亡、心不全による入院、もしくは心不全の増悪の発生は、房室結節アブレーション+CRT群で10例(20%)であったのに対してレートコントロール群では20例(38%)であった(ハザード比[HR]:0.38、95%信頼区間[CI]:0.18~0.81、p=0.013)。また、房室結節アブレーション+CRT群で、全死亡および心不全による入院(6 [12%] vs. 17 [33%]、HR:0.28、95%CI:0.11~0.72、p=0.008)、および心不全による入院(5 [10%] vs. 13 [25%]、HR:0.30、95% CI:0.11~0.78、p=0.024)が有意に少なかった。レートコントロール群と比較すると、房室結節アブレーション+CRT群で、特有の症状と心房細動による活動制限が1年後のフォローアップ時で36%減少していた(p=0.004)。この結果から、著者らは永続性心房細動でQRS幅が狭い高齢患者において、房室結節アブレーション+CRTはレートコントロールと比較して、心不全による入院を減らし、生活の質を改善すると結論づけている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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地方病院の認知症やせん妄患者に対するボランティア介入が再入院率に及ぼす影響

 地方の急性期病院における、認知症、せん妄、せん妄リスクを有する患者に対するパーソン・センタード(person-centered)のボランティアプログラムが臨床アウトカムに及ぼす影響について、オーストラリア・Southern NSW Local Health DistrictのAnnaliese Blair氏らが検討を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2018年8月13日号の報告。 本研究は、非無作為化比較試験として実施された。対象は、オーストラリアの農村部にある急性期病院7施設に入院している高齢患者。介入群270例は、65歳超の認知症またはせん妄の診断を受けた、もしくはせん妄のリスク因子を有する患者で、ボランティアサービスを受けていた。対照群188例は、ボランティアプログラム開始12ヵ月前に同じ病院に入院し、時期が違えばボランティアプログラムの適格基準を満たしていただけであろう患者。ボランティアプログラム介入では、訓練を受けたボランティアスタッフによる、栄養・水分補給、聴覚・視覚補助、活動、オリエンテーションに焦点を当てた1:1のパーソン・センタード・ケアを提供した。ボランティアの訪問、診断、入院日数、インシデント行動、再入院、指定率、死亡、介護施設への入所、転倒、褥瘡、薬剤使用について、医療記録より評価した。 主な結果は以下のとおり。・全施設において、介入群では、1:1指定率、28日再入院率に有意な低下が認められた。・入院日数は、対照群において有意に短かった。・介入群と対照群において、その他のアウトカムに差は認められなかった。 著者らは「ボランティア介入は、地方の病院における認知症、せん妄、せん妄のリスク因子を有する急性期の高齢患者をサポートするうえで、安全かつ効果的で、再現可能な介入である。今後は、コストへの影響、家族の介護者、ボランティア、スタッフ経験に関しても報告を行う予定である」としている。■関連記事日本の認知症者、在院期間短縮のために必要なのは認知症患者と介護者のコミュニケーションスキル向上のために米国の長期介護における向精神薬を使用した認知症ケア改善に関する研究

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第3回 カリメート処方が査定/ヘリコバクター・ピロリ感染症での査定/心筋梗塞でのH-FABP検査の査定/自己免疫疾患の臨床検査での査定【レセプト査定の回避術 】

事例9 カリメート処方が査定高カリウム血症で、ポリスチレンスルホン酸カルシウム(商品名:カリメート散)15gを処方した。●査定点カリメート散15gが査定された。解説を見る●解説添付文書の「効能・効果」で「急性および慢性腎不全に伴う高カリウム血症」と記載されているにもかかわらず、「急性および慢性腎不全」の病名が漏れていました。※とくに、高カリウム血症で他から紹介された患者の場合などで「急性および慢性腎不全」の病名が漏れやすいので注意が必要です。事例10 ヘリコバクター・ピロリ感染症での査定ヘリコバクター・ピロリ感染症で、ランソプラゾール、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン(商品名:ランサップ800)を7シート処方した。●査定点ランサップ800の7シートが査定された。解説を見る●解説ランサップ800は、ランソプラゾール、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシンの3種類の経口剤が1つのシートにまとめられています。ランソプラゾールの「効能・効果」では、「胃潰瘍、十二指腸潰瘍」の病名が求められていますので、ヘリコバクター・ピロリ感染症と胃潰瘍または十二指腸潰瘍の病名が必要になります。事例11 心筋梗塞でのH-FABP検査の査定急性心筋梗塞(3ヵ月前の診療開始日)で、心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)定量検査を請求した。●査定点心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)定量検査が査定された。解説を見る●解説心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)定量検査は、「急性心筋梗塞の診断を目的に用いた場合」のみ算定できるとされています。検査結果についても、心筋細胞が障害を受けると、速やかに約1時間から上昇をしはじめ、5~10時間後でピークになります。そのため3ヵ月前の診療開始日では査定の対象になります。事例12 自己免疫疾患の臨床検査での査定全身性エリテマトーデス、急速進行性糸球体腎炎で、抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)、ループスアンチコアグラント定量検査を請求した。●査定点ループスアンチコアグラント定量検査が査定された。解説を見る●解説抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)は「急速進行性糸球体腎炎の診断又は経過観察のために測定した場合」のみ算定でき、ループスアンチコアグラント定量検査は「抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として行った場合」に限り算定することになっています。両病名が記載されていないと査定の対象となります。

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認知症は1種類だけではないはず(解説:野間重孝氏)-912

 認知症とは「後天的要因(脳疾患、全身疾患、その他の外因)が原因で社会生活や職業の遂行が困難なレベルにまで多領域の認知機能が障害された状態」と定義され、わが国では65歳以上の15%、85歳以上では4割を超えると報告されている。 少し回りくどいようだが、この論文を検討するに当たって重要なことなので、認知症に関する基本的な知識を整理してみよう。まず認知症は変性性認知症と血管性認知症に2大別される。前者の代表がアルツハイマー病であり、その他レビー小体認知症、前頭側頭型認知症(ピック病を含む)が含まれる。前者が人格変化を伴うのに対して、血管性のものでは人格は保たれる例が多い。進行は前者が緩徐ながら常に進行していくのに対し、後者では段階的に進行することが特徴とされる。 ここで重要なことが2点ある。まず認知症のかなりの部分を占める変性性認知症(アルツハイマーだけで認知症の約半分を占める)では原因が特定できないことで、高血圧・糖尿病・心疾患などとの明らかな相関が認められているのは血管性のものだけだということ。第2点はマスコミがアルツハイマー病による若年性認知症などを取り上げて話題にすることが多いため、変性性認知症は年齢と関係がないと思っている向きも多いが、高齢者に多い、つまり年齢との相関があることははっきりしている。一方、逆に血管性というと高齢者の病気とばかり考えられがちだが、若年型も相当数いるという事実である。血管性認知症が全認知症に占める割合は20%~30%とされており、予防・治療には血圧の管理が最も重要であることはすでにわかっている事実である。 このような点を踏まえてこの論文を読み返してみると、奇妙な点に気付くはずである。認知症の型分類がなされていないのである。米国心臓協会の提示するライフ シンプル7が健康寿命を延長するということには誰も異論がないとして、ではどの型の認知症をどの程度予防するのか。こうした健康基準がアルツハイマー病やピック病の予防にも適応されるというのだろうか。 評者はフランスにおける認知症事情については決して詳しくはないが、同国では本年(2018年)8月にアルツハイマー病に対する薬物療法の有効性が問題となり、かなり広い範囲の認知症治療薬が保険適用外になることが議論を呼んでいることは承知している。つまり認知症の型分類は当然重要問題として認識されているものと考えられる。「認知機能低下や認知症と関連するリスク因子を予防するため、心血管の健康増進が望まれる」といった健康増進のための標語のような結論が、なぜこのような有力雑誌で受け入れられたのか、評者には謎に思われてならない。

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何もかも前代未聞な本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第9回

【第9回】何もかも前代未聞な本病気について患者さんにわかりやすくかみ砕いて伝えることって、医師の責務だと私は思っています。「血管が狭窄していまして―――」「先生、キョウサクってなんだい」といったやりとりは日常茶飯事です。医者が専門用語じゃないと思っていても、話している内容の半分も向こうに伝わっていない可能性があります。こういう病院の現状を何か形にできないものかなぁと数年前から悶々と考えていたら、あの中山 祐次郎先生が『医者の本音』を出版しました。や、やられた!『医者の本音』中山 祐次郎/著. SBクリエイティブ. 2018中山 祐次郎先生は、Yahoo!ニュース個人や日経ビジネスオンラインで幾度となく登場する売れっ子コラムニストドクターです。福島第一原発の近くにあった高野病院の臨時院長として赴任したときは、連日ニュースに出演されていましたね。私とは目指すところも見ているものも違うと思いますが、ああいう人が一つの目標でもあるのです。まぁ何ていうか、羨望、ジェラシーですよ。Twitterでは、中山 祐次郎先生と匿名でちょこちょこ絡ませていただいているのですが、人柄の良さがにじみ出るというか、なんていうか、すごく「凛々しい」んですよ。いや、モテるんだろうな、きっと。私なんて、ここ最近前髪がちょっと後退している気がしていて、そんな矢先に患者さんに「アレ、先生ハゲたよね?」とズバっと言われて凹んでいる中年男性ですよ。まぁ何ていうか、ジェラシーですよ。そんなジェラしさ全開の中山 祐次郎先生が書いたこの『医者の本音』。コンセプトは、医者のホンネを書くことで、医者を身近に感じられるのではないか、とっつきづらい医者とのコミュニケーションを円滑になるのではないか、というものです。そして、より多くの意見を取り入れるため、クラウドファンディングで出版するアイデアを思いつかれました。出資者にお金を払ってもらい、主体的に本づくりに参加してもらおうということです。これは前代未聞です。実はワタクシ、このクラウドファンディングに参加しています※!患者さんが医者のことを知るための一般向けの本ですが、医師が読んでも面白いところだらけです。個人的には第4章「医者のお金と恋愛」がハンパなく面白かった。中山先生ハンパないって。批判的で辛口な文章がなく、読後感がとても爽やかです。明日からお医者さん頑張るぞ、という気分にさせてくれます。私みたいな中年オヤジには、こんな爽やかな本は書けない。あ、ジェラシーで終わってしまった。※本づくりにはタッチせず、遠方から温かい目だけ送っていました。本の中に私の名前が書いてあるから、みんな見てね!『医者の本音』中山 祐次郎/著出版社名SBクリエイティブ定価本体820円+税サイズ新書判刊行年2018年

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強迫症の最適治療に関する研究

 強迫症(OCD)の治療では、認知行動療法(CBT)や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による薬物療法が行われる。単独療法よりも併用療法が優れている可能性があるものの、これを調査した研究はほとんどなかった。英国・Hertfordshire Partnership University NHS Foundation TrustのNaomi A. Fineberg氏らは、成人OCD患者を対象に、CBT、SSRI治療の単独または併用療法の治療効果について、比較検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2018年8月15日号の報告。 成人OCD患者49例を、CBT群、SSRI群、SSRI+CBT群にランダムに割り付けた。SSRI治療では、セルトラリン(50~200mg/日)が52週間投与された。16時間のマニュアル化されたCBTを8週間、4つのフォローアップセッションと共に実施した。治療の割り付けは、評価者には盲検化された。予備的な健康経済評価を実施した。 主な結果は以下のとおり。・症例分析では、16週目において、SSRI+CBT群(13例)で最も大きな改善効果が認められた。次いで、SSRI群(7例)、CBT群(9例)であった。・Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)での改善を比較したエフェクトサイズ(Cohen's d)は、CBT群とSSRI+CBT群との比較で-0.39、CBT群とSSRI群との比較で-0.27であった。・16週目と52週目を比較すると、SSRI群で最も臨床的改善効果が認められたが、中止率が高く、信頼できる分析には至らなかった。・平均費用は、SSRI群と比較し、CBT群およびSSRI+CBT群で高かった。・SSRI群の平均質調整生存年(Quality Adjusted Life Years:QALY)スコアは、CBT群よりも0.1823(95%CI:0.0447~0.3199)高く、SSRI+CBT群よりも0.1135(95%CI:-0.0290~0.2560)高かった。 著者らは「成人OCD患者へのSSRI治療とCBTの併用療法は、とくにCBT単独療法に対して、最も臨床的に有効な治療選択肢であったが、SSRI単独療法を超える利点は16週以上持続しなかった。また、SSRI単独療法が、最も費用対効果に優れていた」としている。■関連記事治療抵抗性強迫症に対する増強療法、抗精神病薬の評価は難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何かSSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は

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高リスク心臓手術の輸血戦略、6ヵ月後の転帰は?/NEJM

 死亡リスクが中等度~高度の心臓手術を受ける成人患者において、制限的赤血球輸血は非制限的輸血と比較し、術後6ヵ月時点でも複合アウトカム(全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、透析を要する新規腎不全)に関して非劣性であることが認められた。カナダ・セント・マイケルズ病院のC. David Mazer氏らが、多施設共同無作為化非盲検非劣性試験「TRICS III」の最終解析結果を報告した。同試験の術後28日時の解析でも、退院または術後28日までの複合アウトカムについて、非制限的輸血戦略に対する制限的赤血球輸血の非劣性が報告されていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。制限的vs.非制限的赤血球輸血、術後6ヵ月の臨床転帰を比較 研究グループは、心臓外科手術後リスク予測モデルEuroSCORE Iスコアが6以上の、死亡リスクが中等度~高度な心臓手術を受ける成人患者5,243例を、制限的赤血球輸血群(全身麻酔導入以降の術中/術後、ヘモグロビン濃度<7.5g/dLの場合に輸血)、または非制限的赤血球輸血群(術中または術後ICU入室中:ヘモグロビン濃度<9.5g/dLで輸血、ICU以外の病棟:ヘモグロビン濃度<8.5g/dLで輸血)のいずれかに、無作為に割り付けた。 主要評価項目は、手術後6ヵ月以内の全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、透析を要する新規腎不全の複合アウトカム。副次評価項目は、主要評価項目に加え術後6ヵ月以内に発生した救急部受診、再入院および冠動脈血行再建術を含む複合アウトカム、および各構成要素とした。主要評価項目および副次評価項目は、修正intention-to-treat集団で解析した。術後6ヵ月時でも、複合アウトカムは非劣性、全死因死亡率も両群で有意差なし 術後6ヵ月時の主要複合アウトカムの発生率は、制限的輸血群17.4%(402/2,317例)、非制限的輸血群17.1%(402/2,347例)であり、制限的輸血群の非制限的輸血群に対する非劣性が示された。絶対リスク差は0.22ポイント(95%信頼区間[CI]:-1.95~2.39)、オッズ比(OR)は1.02(95%CI:0.87~1.18)で、事前規定の非劣性マージン(絶対リスク差の95%CI上限値が3ポイント未満)を満たした(p=0.006)。アウトカムを個別にみると、全死因死亡率は、制限的輸血群6.2%、非制限的輸血群6.4%であった(OR:0.95、95%CI:0.75~1.21)。 副次評価項目に関しては、両群で有意差は確認されなかった。 なお、著者は、術後28日時または退院後に輸血のプロトコールに従うよう医師に求めていなかったこと、転帰に関する情報がさまざまな情報源から得られていたこと、非盲検試験のバイアスの可能性を除外できていないことなどを研究の限界として挙げている。

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リバーロキサバン、退院後投与の血栓予防効果は?/NEJM

 静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高い内科疾患による入院患者に対し、退院後45日間のリバーロキサバン投与はプラセボと比較して、大出血の発生率は低かったが、症候性VTEおよびVTEに起因する死亡リスクを有意に低下させることはなかった。米国・Northwell Health at Lenox Hill HospitalのAlex C. Spyropoulos氏らが、リバーロキサバンの退院後VTE予防効果を検証した多施設共同無作為化二重盲検試験「MARINER試験」の結果を報告した。内科疾患で入院した患者には退院後のVTEリスクが残るが、こうした患者における血栓予防療法の延長が果たす役割については議論の的になっていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。VTE高リスク内科疾患入院患者、約1万2,000例を対象に検討 研究グループは、2014年6月~2018年1月に36ヵ国671施設において、VTE高リスク(修正IMPROVE VTEリスクスコアが4以上、または2~3かつ血漿Dダイマーが施設基準値上限の2倍以上)で、内科疾患(左室駆出率45%以下の心不全、急性呼吸不全または慢性閉塞性肺疾患の増悪、急性虚血性脳卒中、あるいは急性感染症またはリウマチ疾患を含む炎症性疾患)により3~10日間入院した40歳以上の患者1万2,024例を対象に試験を行った。被験者は、退院時にリバーロキサバン群(10mgを1日1回45日間、ただし投与量は腎不全で調整)またはプラセボ群に、無作為に1対1の割合で割り付けられた。 主要有効性評価項目は、症候性VTE(深部静脈血栓症または非致死性肺塞栓症)もしくはVTEに起因する死亡の複合アウトカム。主な安全性評価項目は大出血であった。症候性VTEまたはVTE関連死の発生に有意差なし 無作為化された1万2,024例のうち、1万2,019例がintention-to-treat解析に組み込まれた。 複合アウトカムの発生率は、リバーロキサバン群0.83%(50/6,007例)、プラセボ群1.10%(66/6,012例)で、リバーロキサバンの優越性は示されなかった(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.52~1.09、p=0.14)。事前に定義された副次評価項目である症候性非致死性VTEの発生率は、リバーロキサバン群0.18%、プラセボ群0.42%であった(HR:0.44、95%CI:0.22~0.89)。 大出血は、リバーロキサバン群で5,982例中17例(0.28%)、プラセボ群で5,980例中9例(0.15%)に認めた(HR:1.88、95%CI:0.84~4.23)。 なお、本試験は、イベントの発生が少ないため試験途中で目標症例数1万2,000例にプロトコールが変更されたが、それでもイベント数は必要とした161例に達せず、登録中止となっている。

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末梢静脈カテーテル留置は世界中で毎年20億回も行われている(解説:中澤達氏)-911

 この論文を読んで、早朝7時の病棟を思い出した。同じ経験をされている方々も多いと思うが、朝食前の採血と末梢ライン留置は研修医の仕事だった。容易に静脈が確認できる患者さんでは失敗はしなかったが、静脈が表面から見えないときは緊張した。先方もこちらが医師1年生であることは認識しているのだから、失敗してsecond tryともなると、気まずい雰囲気にならないようなコミュニケーションが必須だった。手技を習得するというより、コミュニケーション能力の向上のためのトレーニングと思っていたほどだ。それは、手技時間だけで構築されるものではなく、日々の回診や処置や雑談から(信用・信頼、本当だろうか?)獲得されていたのだ。 本研究は、治療のため24時間以上のPIVC留置が必要な18歳以上の患者を適格患者とし、4種類(組織接着剤+ポリウレタンドレッシング材、周囲テープ付きポリウレタンドレッシング材、固定具+ポリウレタンドレッシング材、ポリウレタンドレッシング材のみ)に無作為に割り付けた。4群間でPIVC留置失敗率(事故抜去・閉塞・静脈炎・感染症[原発性血流感染/局所感染]の複合)と総費用に有意差がなかった。処置時間の人件費と材料費を含めて有意差がなかったのだ。 また、「現状では、コストが製品を選択する主要な決定要因となっている」とも述べている。なるほど、医療材料採用に関わる委員会で、実施に掛かる人件費が考慮される場面は遭遇したことはないし、実際の算入は不可能だろう。ちなみに今回は、施行者は病棟看護師、医師、末梢ライン専門看護師でresidentは含まれていない。 この研究はオーストラリアの2病院に関してのことであり、病院ごとに調査・集計し、最適手法を確立する必要がある。留置固定法は、製品コストではなく、施設職員の技量に相応した最適の方法に収束していることが望まれる。20億回分の1手技ではあるが、患者さんは治療終了時期まで維持できるラインが、1穿刺で達成されることを心から願っているだろう。したがって、このような基本手技に関したエビデンスは軽視できないからこそLancetに掲載されている。

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加齢だったら万々歳【Dr. 中島の 新・徒然草】(238)

二百三十八の段 加齢だったら万々歳前回は関西を通過した台風21号(チェービー)について述べました。私自身は職場にも自宅にも大きな被害はなくて良かったのですが、知り合いの中には自宅が10時間も停電してしまった人もいました。ところが、台風通過の2日後、9月6日には北海道で震度7の地震が発生し、全道で停電という大変な事になってしまいました。交通機関も通信手段も何もかもが止まってしまい、あらゆるインフラは電気で動いていたんだ、と改めて知った次第です。もちろん各病院も通常診療はできなくなったとのこと。北海道以外の医療機関も、自分達の地域で停電が起こった時にどうするか、あらかじめ想定しておく必要がありそうです。さて、この1週間は個人的にもバタバタしていたので、レールダル訪問記(その2)は次回にスキップして、今回は外来のコネタを紹介します。3ヵ月ごとに脳外科外来に通院している患者さん。70歳代の男性です。ある日の外来で、最近になって自分の声がかすれてきたような気がする、と相談されました。中島「僕にはあまり変化があるようには思えないですけれど」患者「でも、気になるんですよ」中島「確かに声がかすれたら気にした方がいいとは言いますからねえ。耳鼻科に相談しましょうか?」患者「是非お願いします」中島「じゃあ、手続きしますから、今日このまま耳鼻科外来の窓口に行ってください」ということで、院内の耳鼻科に紹介しました。こういうことは「勢い」が大切ですから、患者さんから何か相談されたら、なるべくその場でアクションを起こすように心がけています。そして、耳鼻科に紹介したことすら忘れていた3ヵ月後の外来。電子カルテを開くと耳鼻科受診の結果が書いてありました。ファイバーで覗いたけれども声門の動きも良好で特に周囲構造物にも異常は見当たらない、とのことでした。中島「前回、耳鼻科に紹介させてもらったのですが、何か言われましたか?」患者「『加齢です』と、それだけですねん」中島「それ、滅茶苦茶良かったやないですか!」患者「『加齢です』だけでっせ。ミもフタもおまへんがな」中島「これは二択ですかからね。加齢かガンか、2つに1つですよ」患者「ええっ?」中島「『ガンです』と言われるより、『加齢です』の方が100倍マシですよ」患者「そりゃそうですけど」中島「この前の患者さんは、ガンやと言われて喉を持っていかれましたよ」患者「ヒエーッ!」中島「加齢やったら『神様、ありがとう!』って、僕なら言いますね」患者「いやホンマ、ありがたい気になってきました!」中島「第一、ご本人が気にするほど声もかすれてませんよ」患者「そうですか?」中島「それとも『カラオケチャンピオンの俺がこんな声では不本意や』とか?」患者「滅相もない」中島「じゃあ、今日から明るく楽しく前向きに生きてください」患者「わかりました、是非そうします」たぶん、加齢やガンの他にも嗄声の原因は色々あるのでしょうけど、私自身はできるだけ単純に説明するようにしています。そもそも「ああかもしれない、こうかもしれない」というほどの知識もありません。とにかく、言葉1つで患者さんを励ます、ということも我々医師にとって大切な技術だと思います。最後に1句声かれて 加齢だったら 万々歳!

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第7回 スタチンの服薬アドヒアランスに影響する7つの要因【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 服薬アドヒアランスの改善は服薬指導における大きなテーマの1つです。とくに、すでに生じている症状の改善ではなく、将来的な発症の予防目的で長期的に服用する薬では、服薬アドヒアランスが低くなりがちですので、薬剤師としてどのような視点でアプローチすべきか試行錯誤されているのではないでしょうか。服薬アドヒアランスが低下しがちな薬剤の代表格であるスタチンは、服用6〜12ヵ月で25%〜50%の患者が服薬を中止し、2年経つころには75%に達するという推計(Brown MT, et al. Mayo Clin Proc. 2011;86:304-314.)もあります。心血管イベントリスクの高いほうではとくに服薬指導時の説明の工夫が必要です。そこで今回は、スタチンの服薬アドヒアランスに影響する要因を検討した質的研究を統合したシステマティックレビューを紹介します。なお、質的研究とは、インタビューや観察を通して被験者の行動やプロセスを分析して解釈的理解を行うことを目的とした研究です。Patient beliefs and attitudes to taking statins: systematic review of qualitative studies.Ju A, et al. Br J Gen Pract. 2018;68:e408-e419.このシステマティックレビューは、スタチンの服用に対する患者の視点、経験および態度について明らかにすべく、2016年10月6日までにPsycINFO、CINAHL、Embase、MEDLINEの各データベースや博士号論文から、スタチンに対する成人患者の視点に関する質的研究を検索し、得られた各文献からすべての文章と被験者のコメントを抽出してテーマ別に分析しています。主だった研究データをすべて反映させているため、情報の透明性は高そうです。最終的に8ヵ国、22〜93歳の888例からなる32の研究がレビューに含まれ、服薬アドヒアランスに影響する7つの要素が見い出されました。 1.予防効果の信頼(有効性の信頼、長期的な致命的心血管イベントリスクの最小化、安定したコレステロール値の獲得、高コレステロール状態の不安緩和) 2.ルーティン化(日常生活への取り込み) 3.薬理効果への疑問(効果の不認識、薬理学的メカニズムの不確実性) 4.医療に対する不信(過剰投与ないし医師の処方動機に対する疑い、治療開始へのプレッシャー) 5.健康への脅威(副作用リスク、体への毒性) 6.病気の実感(薬物に頼らざるを得ないことへの恐れ、治療意欲の喪失) 7.経済的な負担結果として、1のスタチンが心血管イベントを予防できるという期待と、2のスタチン服用を日常生活に取り入れることで服薬アドヒアランスが改善した一方で、3〜7の要素は障壁となりやすい傾向にありました。7つの要素から見えてくる具体的なアプローチ7つの要素からどのようなことが見えてくるでしょうか。たとえば、治療目的や将来期待できる効果について説明する、残薬の話から生活習慣の話へつなげて服薬の習慣への組み入れをアドバイスする、患者さんの性格や理解度別に丁寧に処方の理由や薬の作用を説明するなど、当たり前のようで漏れがちな取り組みかもしれません。残薬確認1つとっても聞き方はさまざまで、「処方薬を全部服用するのは大変かと思いますが、どのくらい飲み忘れたりしますか?」「何か事情があって中止されたお薬はありますか?」「何か気になる副作用はありましたか?」など批判的にならないように聞くのもよいでしょう。効果やリスクなどは、絶対リスク減少率など誤解をしにくい指標で期待できる効果をお伝えすることも患者さんの治療受容度に寄与しうるという研究もあります(Stovring H, et al. BMC Med Inform Decis Mak. 2008;8:25.)。冒頭の論文で例として挙げられている患者コメントの中には、「体調は悪くないので、服用すべきかわからない。効果の実感がない」「ずっと飲み続けなければならないのか不安」などネガティブなものから、「未来のために今服用する」「薬が効いているし、服用で健康になっているように感じられる」「ひげそり、コーヒーを入れるという朝のルーティンの一環で毎朝同じ時間に服用する」という積極的なものまで、アドヒアランス向上のヒントとなるような実践的な要素が散りばめられています。患者さんが日頃どのようなことを考えながら治療を受けているのかを知り、アプローチを考えてみてはいかがでしょうか。1)Brown MT, et al. Mayo Clin Proc. 2011;86:304-314.2)Ju A, et al. Br J Gen Pract. 2018;68:e408-e419.3)Stovring H, et al. BMC Med Inform Decis Mak. 2008;8:25.

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第3回 高齢者の高血糖で気を付けたいこと【高齢者糖尿病診療のコツ】

第3回 高齢者の高血糖で気を付けたいことQ1 高齢者では基準が緩和されていますが、血糖値高めでも様子をみる方針でいいのでしょうか? 注意すべき病態はありますか?最近のガイドラインでは、高齢者、とくに認知機能やADLが低下している場合血糖コントロールが甘めに設定されていますが、どんなに高くてもよいというものではありません。高血糖で緊急性を要する病態として、高浸透圧高血糖状態(HHS)と糖尿病ケトアシドーシス(DKA)があり、注意が必要です(表)。画像を拡大するHHSはインスリン分泌が保たれている患者に、何らかの血糖上昇をきたす因子(感染症やステロイド投与、経管栄養など)が加わり、著明な高血糖と高度脱水をきたす病態です。血糖値は通常600mg/dLを超え、重症では意識障害をきたし、死亡率は10~20%とされています。HHSはとくに高齢者で起こりやすく、糖尿病治療中でこれらの因子を伴った場合は、十分な水分摂取を促すこと、こまめに血糖値をチェックすることが大切です。水分摂取困難や意識障害の症例はもちろん、血糖300mg/dL以上が持続する場合も専門医を受診させ、入院を考慮するべきでしょう。以前行った調査1)では、HHS患者では認知症有の患者が86%を占め、要介護3以上、独居または高齢夫婦世帯がそれぞれ半数以上を占めていました。これらの患者ではとくに注意が必要です(図1)。画像を拡大するDKAは、インスリンの絶対的欠乏によって脂肪が分解され、血中のケトン体が上昇し、アシドーシスを呈する病態です。高齢者のDKAの多くは1型糖尿病で治療中の患者さんでの、感染症合併やインスリンの不適切な減量・中断による発症です。体調不良時のインスリンの使用法(シックデイルール)を指導しておく必要があります。食事がとれないような場合でも、安易にインスリン(とくに持効型)を中止しないよう指導することが重要になります。HbA1c9%以上では、HbA1c7~7.9%に比べHHSやDKAなどの急性代謝障害をきたすリスクが2倍以上となります。高齢者ではHbA1c8.5%以上だと肺炎、尿路感染症などの感染症のリスクも高くなります。そのため私たちは、認知機能やADLが低下している患者さんでも、HbA1c8.5%未満を目標としています。HbA1c8.5%以上が持続する症例では、入院での血糖コントロールを行い、その後の環境調整を行っています。Q2 HbA1cが正常なのに、 食後血糖が高い患者へはどのように対応すべきでしょうか?HbA1cは平均血糖の指標であり、HbA1cが正常でも、血糖変動が大きい可能性があります。食後高血糖は血糖変動の大きな要因であるため、外来受診の患者さんでも、空腹時のみでなく、定期的に食後血糖(1、2時間値)を測定するようにしています。食後高血糖は、糖尿病予備軍の患者さんの糖尿病への進展リスクを高めるといわれています。また高齢者のみでの研究ではありませんが、心血管疾患の発症率や死亡率も高いことが知られています(図2) 2)。一方で、SU薬やインスリン使用中で食後高血糖、かつHbA1cが低い場合は、低血糖が隠れていることがあるため、注意が必要です。また早朝の血糖が高値を示す場合、実は夜間に低血糖があり、それに引き続いてインスリン拮抗ホルモンが分泌されて血糖が上昇している場合があります(ソモジー効果)。ソモジー効果が疑われる場合は深夜の血糖を測ることが望ましく、低血糖が疑われる場合は、インスリンやSU薬の減量を行います。画像を拡大する食後高血糖に対しては、まず生活指導を行います。ゆっくり時間をかけて食べる、糖質を食物線維が多いものと一緒にとる、清涼飲料水など糖質が速やかに吸収される食品を避ける、食後1時間後を目安にウォーキングや軽い体操を行うこと、などを勧めます。これらの指導を行ったにもかかわらず、食後血糖が常に200mg/dLを超えている場合は、α-グルコシダーゼ阻害薬(非糖尿病でも使用可能)や、グリニド製剤(糖尿病のみ使用可能)などの食後高血糖改善薬の投与も考慮します。前者は糖質の吸収を緩やかにする薬剤ですが、腹部手術後は慎重投与となっています。後者はインスリン分泌を刺激する薬剤ですので、低血糖への配慮が必要になります。いずれも1日3回食直前の内服が必要なので、服薬アドヒアランスの不良な患者さんには適していません。そのような患者さんには、効果は劣るものの服薬回数の少ないDPP-4阻害薬を考慮しますが、認知機能やADLが低下している患者さんでは食後のみの高血糖であれば、無投薬で様子をみることも多いです。Q3 高血糖に対する認識の低さを感じます。患者指導のポイントがあれば教えてください。まず、年齢、認知機能やADL低下の程度、合併症や併発疾患、生命予後によって、コントロールの目標も変わってきます。認知機能やADLが低下している場合は、厳格なコントロールは必ずしも必要ありません(第6回で詳述予定です)。一方、比較的若く、認知機能やADLが保たれている患者さんには、しっかり指導をしなければなりません。ここではこういった患者さんで病識が低い人への対応を考えます。これらの患者さんでは何よりも、通院を中断してしまうことが問題です。通院しているだけである程度の意欲はあるわけですから、その部分は褒めるようにしています。また、看護師や栄養士にも協力してもらい、治療に対するご本人の考えや感情を十分に傾聴することが大切でしょう。チームとしてのサポートが重要となります。「もう歳だからいい」と言う場合や、配偶者の介護の負担などで治療に向き合えないこともあります。医療スタッフが来院時に悩みを聞きながら、少しずつ治療に向き合えるように粘り強く待つことが大切です。長期間来院しない時はスタッフから連絡してもらい、心配していることやあなたの健康を一緒に支えているということをわかっていただきます。教育面では、休日の糖尿病教室への参加をお勧めしたりしますが、強制はしません。また、診療時間は限られているので、教育資材やビデオを貸し出したりして、合併症予防の重要性を学んでいただくようにしています。そして1つでも合併症を理解していただいたら、褒めるようにします。治療に関しては、同時にいくつものことを要求しないことも重要です。禁煙と運動、食事内容を一度に全て改善しろといってもできません。患者さんの取り組みやすいところから1つずつ、しかも達成しやすいところに目標をおきます。例えばまったく運動していない人では、「まず1日3,000歩歩いてみましょう」とします。この際、目標は具体的に、数値化したものが望ましいでしょう。そして患者さんにはかならず記録をつけてもらうようにしています。たとえ目標が達成できなくても、記録をつけはじめたということについてまず褒めます。とにかく、できないことを責めるのではなく、できたことを褒める、という姿勢です。投薬の面でも、できるだけ負担のないようにし、例えば軽症で連日の投薬に抵抗がある患者さんには、週1回の製剤からはじめたりしています。なお、認知機能やADLが低下している場合でも、著明な高血糖は避ける必要があります。Q1で述べた内容を、家族・介護者に指導します。 1)Yamaoka T, et al. Nihon Ronen Igakkai Zasshi. 2017;54:349-355.2)Tominaga M, et al. Diabetes Care. 1999;22:920-924.

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統合失調症患者のADHD有病率

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。 統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。・5件の研究がシステマティックレビューに含まれた。・統合失調症患者における小児期ADHDの有病率は17~57%、成人ADHDの有病率は10~47%であった。・本コホート内において、小児期または成人期どちらかのADHD症状スクリーニングで陽性だった統合失調症患者の割合は、47%であった。・小児期および成人のADHD症状がどちらも報告された統合失調症患者の割合は、23%であった。 著者らは「一般集団と比較し、統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された。統合失調症患者のサブグループにおいて、臨床評価や治療検討の改善を考慮することが重要である」としている。

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ロシュ、世界肺会議(WCLC2018)で新データを発表

 Roche社は、2018年9月6日、カナダのトロントで9月23~26日に開催される2018年第世界肺会議(WCLC/IASLC 2018)において、さまざまな肺がんを対象とした臨床開発プログラムの新データが発表される旨を公表した。同会議では、3つのLate Breakerと5つの口頭発表を含む10個のアブストラクトが受理されたとしている。 主要な発表は以下のとおり。・進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)初回治療の第III相IMpower133試験から、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)の併用の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS))がPredsidentialシンポジウムで発表される。・進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療における第III相IMpower132試験から、アテゾリズマブと化学療法(ペメトレキセド+プラチナ)の併用のPFSおよびOSの結果が発表される。・TKIナイーブのEGFR変異陽性NSCLCの患者における第Ib相試験から、エルロチニブ・アテゾリズマブ併用の長期の安全性と有効性の結果が発表される。・進行ROS1融合陽性NSCLCにおける新たな国際第II相STARTRK-2バスケット研究を含むプール解析から、entrectinibの安全性と有効性の結果が提示される。■参考Roche社メディアリリース

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抗インフル薬バロキサビルの第II相・第III相試験の結果/NEJM

 合併症を伴わない急性インフルエンザの思春期・成人患者へのバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の単回投与は、症状緩和についてプラセボに対し優越性を示し、投与開始1日後時点のウイルス量低下についてプラセボおよびオセルタミビルに対する優越性が示された。安全性に関する明らかな懸念はなかったが、治療後にバロキサビルに対する感受性の低下を示す知見も観察されたという。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らによる、日本と米国の患者を対象に行った2件の無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。バロキサビル マルボキシルは、インフルエンザウイルス・キャップ依存性エンドヌクレアーゼ選択的阻害薬。前臨床モデル試験で、既存の抗ウイルス薬では効果が認められない耐性株を含むインフルエンザA型とB型に対して、治療活性が示されていた。20~64歳、12~64歳の合併症のないインフルエンザ患者を対象に試験 研究グループは、合併症のない急性インフルエンザを発症し、それ以外は健康な患者を対象に2つの無作為化試験を行った。1つ目は、2015年12月~2016年3月にかけて20~64歳の日本人成人を対象に行った、第II相の二重盲検プラセボ対照無作為化用量範囲探索試験。被験者を4群に分け、バロキサビルを10mg、20mg、40mg、プラセボをそれぞれ単回投与した。 もう1つの試験は、2016年12月~2017年3月にかけて、インフルエンザ様症状で外来受診した12~64歳の米国人・日本人を対象に行った、第III相の二重盲検プラセボ/オセルタミビル対照無作為化試験「CAPSTONE-1」。20~64歳の被験者を無作為に3群に分け、バロキサビル(体重80kg未満は40mg、体重80kg以上は80mgを1回)、オセルタミビル(75mgを1日2回5日間)、プラセボをそれぞれ投与した。12~19歳の患者は、2対1の割合で無作為に割り付けてバロキサビルまたはプラセボを投与した。 有効性の主要評価項目は、intention-to-treat(ITT)感染集団におけるインフルエンザ症状緩和までに要した時間だった。バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間早く症状が緩和 第II相試験では、症状緩和までの時間中央値は、バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間短かった(p<0.05)。 CAPSTONE-1試験では、ITT感染集団1,064例のうち、インフルエンザA型(H3N2)感染が各群で84.8~88.1%に認められた。症状緩和までの時間中央値は、プラセボ群80.2時間(95%信頼区間[CI]:72.6~87.1)に対し、バロキサビル群53.7時間(同:49.5~58.5)だった(p<0.001)。また、バロキサビル群では、プラセボ群やオセルタミビル群と比べ、レジメン開始1日後のウイルス量が有意に減少した。 なお、バロキサビル群とオセルタミビル群の症状緩和までの時間中央値は類似していた。 有害事象の発生は、バロキサビル群20.7%、プラセボ群24.6%、オセルタミビル群24.8%で認められた。バロキサビルへの感受性低下につながるI38T/M/F置換を伴うポリメラーゼ酸性蛋白領域の変異は、第II相試験とCAPSTONE-1試験で、それぞれバロキサビル投与例の2.2%と9.7%で認められた。

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