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限局性前立腺がん、前立腺全摘で生存期間延長/NEJM

 余命が長い臨床的に発見された限局性前立腺がん患者は、根治的前立腺全摘除術により平均2.9年の生存期間延長を期待できることが示された。グリーソンスコア高値および切除標本で被膜外浸潤が確認された患者は、前立腺がんによる死亡リスクが高かった。スウェーデン・Orebro University HospitalのAnna Bill-Axelson氏らが、スカンジナビア前立腺がんグループ研究4(SPCG-4)の29年間の追跡結果を報告した。根治的前立腺全摘除術により臨床的な限局性前立腺がん患者の死亡率は低下するが、長期にわたり追跡した無作為化試験のエビデンスはほとんどなかった。NEJM誌オンライン版2018年12月13日号掲載の報告。根治的前立腺全摘除術と待機療法の無作為化試験で、29年間追跡 SPCG-4は、前立腺特異抗原(PSA)検査の臨床導入以前である1989年10月~1999年2月に、スウェーデン、フィンランド、アイスランドの14施設において限局性前立腺がんと診断された695例を登録し、根治的前立腺全摘除術(RP)群と待機療法(watchful waiting:WW)群に割り付けて転帰を比較した無作為化臨床試験である。 研究グループは、2017年までの追跡データを収集し、intention-to-treat集団およびper-protocol集団について全死因死亡、前立腺がんによる死亡および転移の累積発生率と相対リスク、ならびに余命延長を推定するとともに、Cox比例ハザードモデルを用い組織病理学的指標による予後予測について評価した。根治的前立腺全摘除術群で余命が2.9年長い 2017年12月31日までに、RP群(347例)で261例、WW群(348例)で292例が死亡した。このうち前立腺がんによる死亡は、RP群71例、WW群110例であった(相対リスク:0.55[95%信頼区間[CI]:0.41~0.74、p<0.001]、リスクの絶対差:11.7ポイント[95%CI:5.2~18.2])。全死因死亡を1例防ぐのに必要な治療例数は8.4例であった。 追跡期間23年時点で、RP群では平均2.9年余命が延長した。RP群において、前立腺がんによる死亡リスクは、被膜外浸潤なしに比べ浸潤ありで5.21倍、グリーソンスコア(GS:範囲2~10、スコアが高いほどがんの悪性度が高いことを示す)でみた場合は、GS 3~6に比べGS 4+3で5.73倍、GS 8または9で10.63倍高かった。

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ネーザルハイフロー(高流量鼻カニュラ)酸素療法の効果について(解説:小林英夫氏)-981

 ネーザルハイフロー酸素療法(本稿ではNHFと略)は、従来の経鼻カニュラや酸素マスクとは異なり、数十L/分以上の高流量で高濃度かつ加湿された酸素を供給できるシステムである。価格は50万円以下で外観は太めの鼻カニュラ様であるが、酸素ボンベでは稼働せず配管を要するために診療所や外来診察室での利用は難しい。本療法に期待されることは、ガス交換や換気効率向上、PEEP(呼気終末陽圧換気)類似効果、加湿による気道粘液線毛クリアランス改善、などといった単なる酸素投与にとどまらない効果であり、NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)の一歩手前の呼吸療法としての活用が想定されていた。 これまでのNHFを用いた検討と今回のJAMA論文との違いは、免疫不全を基盤に有する急性呼吸不全症例を対象とした多施設無作為化比較試験という点にある。対象の多くは担がん症例、免疫抑制薬投与症例で、呼吸不全の原因疾患は細菌性肺炎、Pneumocystis肺炎、などとかなり多彩な疾患群となっている。結果は通常の酸素療法と比べ、明らかな死亡率低下には至らなかったとしている。 酸素投与は疾患を直接治療するものでない。原因疾患(感染など)を制御し、既存の免疫低下状態改善を併行させることが治療として不可欠であり、酸素投与による動脈血酸素分圧上昇だけでは本質的解決にならない。上記したような酸素投与以外の効果を推計学的有意差として示せなかったことは、ある程度予想可能であり受け入れ可能な結果である。しかし、この結果からNHFは無価値であると断定すべきなのであろうか。経鼻式酸素投与では、経口摂取や会話が継続可能で、同一病態下においてはベンチュリマスクやインスピロン高流量セットなどの顔マスクより不快感は軽減する。死亡率に反映されない長所にも目を向けておく意義はある。NHFにこだわりすぎて確実なPEEP投与を要するARDS(急性呼吸窮迫症候群)の呼吸管理開始に遅延を生じてはならないが、NFHの価値を全否定することは適正ではないと考える。2016年からは急性呼吸不全(経皮的酸素飽和度90%以下)における診療報酬算定が認められている。本邦でもICUや呼吸器病棟における普及はさらに進むものと筆者は予想している。

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ムンテラは質より量【Dr. 中島の 新・徒然草】(252)

二百五十二の段 ムンテラは質より量朝早く救急外来をのぞいたときのこと。たまたま高齢女性のめまいが搬入されていました。対応していた研修医に「あっ先生、ちょうど良いところに」と言われて、診察する羽目に。おそらくは良性発作性頭位めまい症だろうと思われましたが、ちょっと典型的ではない部分もあります。脳梗塞や脳出血があるといけないので頭部CTを撮影しようということになりました。ふと扉の隙間から患者さんのご主人がのぞいているのに気がつきました。中島「ご家族にムンテラしておいたら?」研修医「CTが終わってからしようと思っているんですけど」中島「そんなもん、今やった方がええで。ムンテラは質より量や」研修医「そうなんですか?」中島「質より量、量よりも回数や。CTに行く前にもムンテラ、終わってからもムンテラやぞ」研修医のうちの1人がストレッチャーでCTに向かう間、ほかの1人がムンテラを行います。研修医「この方のめまいは眼振がみられなくて。普通の良性発作性頭位めまい症は頭を動かしたらめまいがして眼振もみられて、30秒くらいで眼振がとまるのですが。小脳の出血や梗塞が起こったときにもめまいがみられることがあって」ご主人「はあ…」中島「何をうじゃうじゃ言うとるんや! そんな説明やったら分からへんやないか」研修医「やっぱり」中島「ご主人、今回のめまいの原因は耳か脳かのどちらかです。もちろん脳のほうが危ないわけです」ご主人「そうなんですか!」中島「多分、耳が原因なので、怖いものじゃないと私は思います。でも、念のためにCTを撮影して、脳のほうは大丈夫だということを確認しておきましょう」ご主人「分かりました。よろしくお願いします」研修医「なるほど。そう説明すると分かりやすいですね」中島「さっき、『ムンテラは質より量や』と言ったけど、質も大切みたいやな、先生の場合は」研修医「すみません」どんな検査でも、「何か所見が出るに違いない」と思ってやるのか、「正常であることを確認するためにやっておこう」と思ってやるのか、事前に区別しておくことが大切ですね。今回は、正常であることを確認するために頭部CTを行ったわけです。そして何よりも、若い先生方には簡単で分かりやすいムンテラを心掛けていただきたく思います。最後に1句ムンテラは 簡潔明瞭 何回も

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第15回 尿の出方の薬をお飲みの方は、目の手術時に医師へ相談を!【使える!服薬指導箋】

第15回 尿の出方の薬をお飲みの方は、目の手術時に医師へ相談を!1)日本排尿機能学会 男性下部尿路症状診療ガイドライン 2008年版2)日本泌尿器科学会 前立腺肥大症診療ガイドライン 2011年版3)Chang DF, et al. J Cataract Refract Surg. 2008;34:2153-2162.4)Intraoperative Floppy Iris Syndrome (IFIS) Associated with Systemic Alpha‐1 Antagonists ASCRS and AAO Educational Update Statement

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統合失調症患者に対するアリピプラゾール持効性注射剤切り替え~ドイツにおけるコスト比較

 ドイツ・Institute of Empirical Health EconomicsのChristoph Potempa氏らは、統合失調症治療において経口抗精神病薬からアリピプラゾール持効性注射剤へ切り替えることによるコスト推進要因を調査し、ドイツのヘルスケア環境における予算影響分析(BIA)を行った。Health Economics Review誌2018年11月23日号の報告。 単一レトロスペクティブ非介入前後比較研究として実施された。統合失調症患者132例を対象に、経口抗精神病薬治療およびアリピプラゾール持効性注射剤治療における精神科入院率と関連費用の比較を行った。両治療期間におけるヘルスケア関連費用を比較するため、BIAを用いた。結果のロバスト性を評価するため、単変量感度分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール持効性注射剤への切り替えは、経口抗精神病薬治療と比較し、6ヵ月の治療期間における精神科入院率を有意に減少させた(14% vs.55.1%、p<0.001)。・患者は、18.2%が就労者で、29.2%が就労不能であった。・患者1人当たりの統合失調症エピソード数は、アリピプラゾール持効性注射剤治療群は0.41エピソードであり、経口抗精神病薬治療群の2.58エピソードと比較し、有意に少なかった(p<0.001)。・アリピプラゾール持効性注射剤治療群は、経口抗精神病薬治療群と比較し、患者1人当たりの平均入院回数(0.16回 vs.0.63回、p<0.001)および入院日数(5.56日 vs.27.39日、p<0.001)を有意に減少させた。・さらに、診療所および精神科救急における平均滞在時間に、有意な減少が認められた(7.29日 vs.46.13日、p<0.01)。・1年間の観察期間中における統合失調症患者1人当たりのコストは、経口抗精神病薬治療群で9935.38ユーロ(直接費用:9498.36ユーロ)、アリピプラゾール持効性注射剤治療群で4557.56ユーロ(直接費用:4449.83ユーロ)であった。・ドイツのヘルスケアシステムの観点からみると、総コストは、経口抗精神病薬治療で65億1,760万6,265.43ユーロ、アリピプラゾール持効性注射剤治療で29億8,975万6,603.05ユーロであった。・この結果は、感度分析においてもロバスト性が示され、アリピプラゾール持効性注射剤治療は費用対効果の高い治療戦略であることが示唆された。 著者らは「本結果は、統合失調症患者に対するアリピプラゾール持効性注射剤治療は、ドイツの法定健康保険におけるコスト削減のための大きな可能性を秘めていることを示唆している」としている。■関連記事統合失調症、双極性障害に対する持効性注射剤使用と関連コスト統合失調症の再発、コスト増加はどの程度世界で最も高齢化している日本における認知症の推定コスト

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複合免疫療法の時代へ、変化する腎細胞がん薬物療法

 転移した場合は有効な抗がん化学療法がなく、術後10年以上経過しても再発がみられる場合があるなど、ほかのがん種とは異なる特徴を多く持つ腎細胞がん。近年は分子標的治療薬が薬物療法の中心だったが、2016年8月に抗PD-1抗体ニボルマブの単剤療法(2次治療)、2018年8月にニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法(1次治療)が承認され、大きな変化が訪れている。12月7日、都内で「変化する腎細胞がんに対する薬物療法」と題したメディアセミナーが開催され(共催:小野薬品工業、ブリストル・マイヤーズ スクイブ)、大家 基嗣氏(慶應義塾大学医学部泌尿器科 教授)が講演した。根治ではなく逐次療法。副作用管理が課題だった分子標的薬治療 腎細胞がんは早期から血管新生が顕著という特徴があり、分子標的薬はこの豊富な腫瘍血管をターゲットとしている。2008年にソラフェニブ、スニチニブという第1世代チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が、2012年にアキシチニブ、2014年にパゾパニブという第2世代TKIが承認された。1次治療でスニチニブ、2次治療でアキシチニブという流れがゴールドスタンダードだった時代を経て、「2017年度版 腎診療ガイドライン」ではTKI後の2次治療にニボルマブが加わっている。大家氏は、「2次治療でのニボルマブを含め、薬物療法での根治は難しく、効かなくなったら次の薬という逐次治療がこれまでの主体だった」と話した。 また、これらの分子標的薬では、副作用のコントロールが大きな課題であった。血圧上昇、下痢、発疹が主な副作用で、スニチニブでは白血球減少や血小板減少も問題となる。CheckMate-214試験からみえてきたこと CheckMate-214試験は、進行または転移を有する腎細胞がん1次治療において、ニボルマブ・イピリムマブ併用群のスニチニブ群に対する優越性・安全性を比較した第III相試験。腎細胞がんの80%以上を占める淡明細胞型、IMDC分類でIntermediateまたはPoorリスクの患者を対象として、観察期間中央値25.2ヵ月における全生存期間(OS)は、併用群で未達、スニチニブ群で26.0ヵ月(ハザード比:0.63)と、併用群で有意に延長した。本試験結果において、大家氏はとくに奏効率(ORR)に注目。併用群で完全奏効(CR)が9%だったことに触れ、「10人に1人で長期予後、場合によっては治癒すら狙えるというのは非常に大きい」と話した。 副作用については、スニチニブ群と比較すると全体では少ない(Grade3以上の全副作用:併用群45.7% vs.スニチニブ群62.6%)。しかし注意すべきは免疫関連の有害事象で、ニボルマブ単剤の場合とその傾向は必ずしも一致しないという。大家氏は「胃腸毒性(大腸炎)や肝毒性(肝機能障害)はイピリムマブ併用で多い傾向がみられる。内分泌系臓器障害については、これまでのニボルマブ投与による甲状腺機能低下症のほか、下垂体炎の発現がみられている。肺毒性(間質性肺疾患)などと合わせて、常に注意を払う必要がある」と話した。 また投与中止例について、治験薬毒性によるものが併用群24.5% vs.スニチニブ群11.8%と、むしろ併用群で多かったことを指摘。「全体として副作用は軽い傾向があるが、重篤な事象が発現した場合は中止が必要だという二面性がある」とコメントした。1次治療での複合免疫療法の時代が到来 NCCNガイドラインの2019年ver.1では、再発またはStageIVおよび切除不能な淡明細胞型腎細胞がんの1次治療として、IMDC分類のIntermediateまたはPoorリスクの患者に対しては、ニボルマブとイピリムマブの併用がpreferedレジメンとして推奨されている。 現在、1次治療においては、CheckMate-214試験のほか、免疫療法に分子標的治療薬を組み合わせた複合免疫療法の臨床試験が複数進行中である。そのうち、これまで2次治療で使われていたアキシチニブと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用によるKEYNOTE-426試験、アキシチニブと抗PD-L1抗体アベルマブの併用によるJAVELIN RENAL-101試験などで、すでに良好な結果が報告されている。大家氏は、「今後は異なる組み合わせの複合免疫療法が登場してくるだろう。バイオマーカーを探すことは容易ではないが、どんな患者さんにどの治療法が適切かを臨床家は判断していかなければならない」と今後への期待感と課題を示した。■関連記事進行性腎細胞がんの1次治療、ニボルマブとイピリムマブ併用が有効/NEJM

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このままでは現場は崩壊、医療のかかり方を厚労省懇談会が提言

 皆保険制度を維持しつつ医療の質を確保していくため、また医師の需給対策や医師の働き方改革を進めるにあたり、医療を受ける側の意識変容は欠かせない。2018年10月から5回にわたり開催されてきた厚生労働省「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」が12月17日、“「いのちをまもり、医療をまもる」国民プロジェクト宣言”と題したアクションプランを発表した。このアクションプランでは、医療を取り巻く状況の変化が大きい中で、市民・医師/医療提供者・行政・民間企業のそれぞれの立場で起こしていくべきアクションの例が提示されている。“こういう現実を放っておくと、確実に医療の現場は崩壊します” 懇談会では、(1)患者・家族の不安を解消する取り組みを最優先で実施すること、(2)医療の現場が危機である現状を国民に広く共有すること、(3)緊急時の相談電話やサイトを導入・周知・活用すること、(4)信頼できる医療情報を見やすくまとめて提供すること、(5)チーム医療を徹底し、患者・家族の相談体制を確立すること、を5つの方策として提示。「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」構成員として、これらの方策を国が速やかに具体的施策として実行することや、関係者の取り組みが実際に前進するよう、来年度以降も継続的にコミットし、進捗をチェックすることを宣言した。 宣言では、「日本において、医師は全職種中最も労働時間が長い」、日本の医師の「3.6%が自殺や死を毎週または毎日考える」「半数近くが睡眠時間が足りていない」「76.9%がヒヤリ・ハットを体験している」など具体的なデータを提示し、“こういう現実を放っておくと、確実に医療の現場は崩壊します”と広く国民全員に対して問題意識を持つことを促している。 そのうえで、「医療危機」の要因として市民・医師/医療従事者・行政・民間企業の4者にそれぞれ具体的にどんな問題があるのか、問題を解決するためにどんなアクションが必要なのかが箇条書き形式で明示されている。たとえば市民のアクションの例として挙げられているのは、「夜間・休日に受診を迷ったら♯8000や♯7119の電話相談を利用する」「夜間・休日よりも、できるだけ日中に受診する」「上手にチーム医療のサポートを受ける(日頃の体調管理は看護師に、薬のことは薬剤師に聞くなど、医師ばかりを頼らない)」など。行政に対しては「働く人が日中受診できる柔軟な働き方を進める」などが示されており、医師/医療提供者のアクションの例としては、タスクシフト推進のほか、「医療情報サイト」などの最新情報をチェックして質を保つことなどが挙げられている。この宣言をいかに具体的な施策・行動に落とし込んでいけるか 構成員からは、医療現場の現状が一般市民にもわかるようデータを踏まえてわかりやすく明示されたことや、それぞれの立場に求められるアクションが示されたことを評価する声が上がった。一方で、「♯8000や♯7119が実際に全国で機能するのか、チーム医療の推進が重要なことはわかったが実現するための人材は足りているのか、など課題は山積みで、この宣言はゴールではなくてスタートである」(デーモン閣下、アーティスト)」という意見も聞かれた。 また、「医療へのアクセスが制限されてしまうのか? という不安を与えるものになってはいけない。緊急性のある重篤な患者が確実に診てもらえることや、医師が健康に働けることの両方を、しっかり守っていただきたい(豊田 郁子氏、患者・家族と医療をつなぐ特定非営利活動法人架け橋 理事長)」「この宣言のキーワードは“総力戦”だと考えている。いま日本の医師数はおおよそ30万人で、その3.6%=約1万人の医師が自殺や死を考えている精神状態というのは待ったなしの状況といえるのではないか。医療を提供する者、受ける者全員が自分の問題としてできることを考えていく必要がある(裵 英洙氏、ハイズ株式会社 代表取締役社長)」などの声が上がった。 座長を務めた渋谷 健司氏(東京大学大学院医学系研究科 教授)は最後に、「われわれ懇談会構成員も、今後どう具体化するのかにコミットしていくつもりである。本当に施策として進むのか、そして国や厚労省だけの問題でなく、すべての国民の問題であるという認識のうえで、どうしたら改善していけるのかをそれぞれの立場で考えてほしい」とまとめた。■参考「いのちをまもり、医療をまもる」国民プロジェクト宣言!(第5回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会 資料)

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心房細動の早期発症関連遺伝子を特定/JAMA

 タイチン(TTN)遺伝子の機能喪失型変異(LOF)と、早期発症心房細動の関連が、症例対照試験で確認された。早期発症心房細動患者のうちTTN LOFが認められた人の割合は、対照群の1.76~2.16倍で、発症年齢が30歳未満群の同倍率は5.94倍だった。米国・The Broad Institute of MIT and HarvardのSeung Hoan Choi氏らが、国立心肺血液研究所(NHLBI)のTrans-Omics for Precision Medicine(TOPMed)プログラムの全ゲノムシークエンスデータを基に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年12月11日号で発表した。著者は、「さらなる研究を行い、因果関係があることなのかを明らかにする必要がある」とまとめている。心房細動は、集団の1%に認められる、よくみられる不整脈である。心房細動を有する若年者は、疾患に関連した遺伝子の関与が強いとされるが、そのメカニズムは完全には明らかになっていないという。症例群約2,800例と対照群約5,000例を対象に試験 TOPMedプログラムでは2014~17年に、米国、メキシコ、プエルトリコ、コスタリカ、バルバドス、サモアの1万8,526例について、全ゲノムシークエンスを行った。 今回Choi氏らの研究グループは、同プログラムの全ゲノムシークエンスデータを基に症例対照試験を行い、心房細動遺伝子座におけるLOF変異と、全ゲノム内の共通する遺伝子変異を調べ、早期発症心房細動の発症との関連を評価した。 分析の対象としたのは、9試験で特定した早期発症心房細動の患者2,781例と、その対照群としてヨーロッパ系のTOPMedプログラム参加者4,959例だった。 分析の結果は、UK Biobank(参加者数34万6,546例)とMyCode試験(4万2,782例)で再現した。 主要評価項目は、66歳未満の早期発症心房細動の発症とした。試験が複数のため、レアバリアント解析に関する有意性の閾値はp=4.55×10-3とした。TTN LOF保有率、症例群2.1%、対照群1.1% 早期発症心房細動を発症した2,781例は、男性72.1%、平均年齢は48.7歳(標準偏差:10.2)だった。全ゲノムシークエンスの平均深度は37.8倍で、平均カバー率は99.1%だった。 TTN LOFが1つ以上認められた人の割合は、対照群1.1%に対し、症例群は2.1%だった(オッズ比[OR]:1.76、95%信頼区間[CI]:1.04~2.97)。 早期発症心房細動患者のうちTTN LOFを持つ人の割合は、発症年齢が低いほど高率だった(傾向p=4.92×10-4)。発症年齢が30歳未満の群では、TTN LOFキャリアの割合は6.5%だった(OR:5.94倍、95%CI:2.64~13.35、p=1.65×10-5)。 TTN LOFと早期発症心房細動との関連については、MyCode試験における1,582例の症例群と対照群4万1,200例で、再現性が確認された(OR:2.16、95%CI:1.19~3.92、p=0.01)。

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知的活動、加齢による認知機能低下を予防せず/BMJ

 認知機能は行使することによって維持または強化が可能で、後年の認知機能低下も相殺する、ということを表す“use it or lose it”の考え方がある。しかし、英国・NHS GrampianのRoger T. Staff氏らが、498例を対象に15年追跡した前向き観察試験の結果、知的活動(intellectual engagement)は、加齢による認知機能低下への移行とは関連がないことが明らかにされた。一方で、後年の認知能力の向上とはわずかに関連が認められ、なかでも問題解決型の活動が、後年の認知能力の向上と最も関連していたという。BMJ誌2018年12月10日号(クリスマス特集号)掲載の報告より。認知能力を15年間、繰り返し測定 研究グループは、スコットランド北東部で自立した生活を送る1936年生まれの中高齢者498例を対象に、縦断前向き観察試験を行った。被験者は、1947年にスコットランド・メンタルヘルス調査(Scottish Mental Health Survey)を受けていた。 知的活動と、後年の認知能力と認知機能低下への移行との関連を検証した。典型的な知的活動について、質問票により評価。情報処理速度と言葉の記憶力の認知力測定値は、繰り返し15年間測定し、各認知テストについて1,200超の縦断的標本値群を得た。知的活動、幼少期の能力と教育にそれぞれ関連 知的活動は、後年の認知能力向上にわずかに関連が認められた。24ポイントスケールで、1ポイント上昇につき標準認知能力スコアは情報処理速度で0.97ポイント、記憶力では0.71ポイントの上昇が認められた(両者のp<0.05)。 とくに問題解決型の活動が、認知能力の向上に最も関連があった。1ポイント上昇につき、標準認知能力スコアの情報処理速度は0.43ポイント、記憶力は0.36ポイントの上昇が認められた(両者のp<0.05)。 一方、知的活動は、加齢による認知機能低下との関連は認められなかった。また、知的活動は、幼少期の能力(Pearson's相関係数0.35)、教育(同0.22)とそれぞれ関連が認められた(いずれもp<0.01)。

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日本と世界の平均寿命は2040年にどうなるか?(解説:有馬久富氏)-979

 日本人の平均寿命は、戦後右肩上がりで延び続け、世界でもトップクラスの長寿国となった。2017年の平均寿命は、男性で81年、女性で87年と報告されている1)。先日、Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)研究2016のデータを用いて、2040年の世界平均寿命を予測した成績がLancetに掲載された2)。その結果、世界の平均寿命は、男女ともに平均4.4年延び、日本の平均寿命も85年を超えて世界のトップクラスにあり続けると予測された。 同時に、各国の保健政策が有効に機能しなかった場合には平均寿命がほとんど変化しないとも予測されている2)ので、日本においても油断することはできない。論文のsupplementalファイルには国別にリスク要因を検討した結果が示されているが、日本においてとくに改善が必要なのは、喫煙、肥満、高血圧、飲酒および高血糖であった。これらのリスク要因に関して、国民全体の生活習慣を改善するポピュレーション予防戦略と高血圧・糖尿病・高度肥満者などに適切な医療を提供するハイリスク戦略を組み合わせて、さらなる健康長寿につなげてゆきたいところである。 一方、サハラ以南のアフリカでは平均寿命が短く、一部の国々では2040年になっても平均寿命が65年に到達しないと予測されている2)。日本などの長寿国に比べると、20年以上のギャップが存在することになる。これらの国々においては、保健・医療システムを含めた社会基盤の整備および貧困の解消に向けたサポートを継続してゆく必要があろう。

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スタチンに加え注射でLDL-Cをさらに下げると、心血管リスクが減少(解説:佐田政隆氏)-980

 約30年前にスタチンが発売されてから、数々のエビデンスが築かれてきた。2次予防はもちろん、ハイリスク症例の1次予防にも、有効性が示された。その後、スタチン間のhead to headの試験が組まれ、LDLコレステロールを大量のストロングスタチンで積極的に低下させる方が、より心血管イベント抑制効果が大きいことが示され、Lower is Better という概念が確立した。そして、LDLコレステロール値と心血管イベントがほぼ直線的に低下するグラフが作られ、その直線を外挿するとLDLコレステロールを20~30mg/dL程度まで低下させれば心血管イベントを0にすることができるのではないかと予想されていた。しかし、最大耐用量のストロングスタチンと小腸でのコレステロール吸収阻害薬であるエゼチミブを用いても、LDLコレステロールはせいぜい50mg/dLまでしか下げられなかった。そして、至適薬物療法を施しても、冠動脈病変が進行していく症例が存在し、いわゆるスタチン投与後の残余リスクとして問題になっている。 そのような中、PCSK9というLDL受容体の分解を促進するタンパク質に対する中和抗体が発売された。抗PCSK9抗体は、肝臓でLDL受容体を増やして血中LDLコレステロールを著明に低下させる。本ODYSSEY OUTCOMES研究では、最大用量のスタチンを用いてもLDLコレステロールが70mg/dL以上の急性冠症候群の患者に、抗PCSK9抗体であるアリロクマブを投与して、40mg/dL程度まで低下させると、複合エンドポイント(冠動脈性心疾患死、非致死的心筋梗塞、致死的または非致死的虚血性脳卒中、入院を要する不安定狭心症)が2.8年のフォローアップ中15%有意に低下した。エボロクマブを用いたFOURIER試験でも同様の結果が昨年報告されている。 本試験をみると、最大耐用量のスタチンを投与してもイベントが生じる一部の急性冠症候群患者で、抗PCSK9抗体を用いてLDLコレステロールをさらに低下させると、心血管イベントを防げることが明らかになった。抗PCSK9抗体は、Lp(a)低下作用やHDLコレステロール上昇作用があり、LDLコレステロール低下以外の抗動脈硬化効果が期待される。一方、極端なLDLコレステロール低下療法の長期安全性もこれから確認していかなければならないであろう。 スタチンに加えて、抗PCSK9抗体を、どのような患者に、どのくらいの期間で用いたらよいのか、今後明らかにしていかないといけない点が多い。

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野菜不足の患者さんにひと言【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第24回

■外来NGワード「もっと野菜を食べるようにしないと!」(あいまいな食事指導)「1日に野菜を350g以上食べるようにしなさい!」(わかりにくい食事療法を提示)「野菜ジュースを飲むようにしなさい!」(野菜の代わりになると勘違い)■解説 野菜にはビタミン・ミネラルや食物繊維が豊富に含まれており、国が推進する「健康日本21」では、がんと生活習慣病の予防や健康づくりの観点から、1日に350g以上摂ることが推奨されています1)。しかし、「1日350g」と言ってもわかりにくいので、野菜70gを1皿とカウントして「1日に5皿以上摂ることを目指してください」と説明すると、理解が深まります。また、手を使った方法で、生野菜なら両手で軽く1杯、温野菜なら片手で1杯が1皿の目安となります。漬物や汁物は1人前が0.5皿分、野菜サラダ、ホウレン草のおひたし、きんぴらごぼうは1人前が1皿分となり、野菜炒めなどの大皿料理、野菜たっぷりカレー、筑前煮などは1人前を2皿分とカウントできます。平成29年度「国民健康・栄養調査2)」によると、20歳以上で1日に野菜を350g以上食べている人の割合は30%程度です。とくに、20~30代の野菜摂取量が少ないことが問題となっています。しかし、野菜を摂る習慣がない人に「1日5皿を食べましょう!」と理想を提示しても、そんなのは無理だと思われてしまいます。そこで、以下のように説明してみてはいかがでしょうか。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師普段、1日にどのくらい野菜を食べていますか?患者食べないといけないのはわかっているんですが、なかなか毎食とはいかなくて…。医師そうですか。では、健康のためには1日にどのくらいの野菜を食べればいいか知っていますか?患者いえ、知りません。医師ちょっと、手でおわんを作ってもらえますか。患者こうですか?(両方の手のひらを上に向けて、おわんの形にする)医師生野菜なら両手で軽く1杯、温野菜なら片手で1杯が、だいたい70gになるので、これを野菜1皿分とします。患者はい。医師がんや糖尿病、生活習慣病などを予防するためには、1日に野菜を350g、つまり5皿分摂ることが推奨されています。患者えっ、そんなに食べないといけないんですか!?(驚きの表情)医師それが最終目標になりますが、今は1日に何皿ぐらい食べておられますか?患者そうですね…。2皿か、3皿くらいでしょうか。医師なるほど。気を付けておられますね。それでは、野菜をもう1皿増やすためには、どうしたらいいと思いますか?患者えーと…(野菜摂取のアイデアの話が続く)。■医師へのお勧めの言葉「野菜をもう1皿増やすとしたら、どうしたらいいと思いますか?」1)Nakamura S, et al. BMC Public Health. 2017;17:74.2)厚生労働省 平成29年「国民健康・栄養調査」結果の概要

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学会発表とカウンター鮨の深い関係【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】 第6回

第6回 学会発表とカウンター鮨の深い関係今回は、学術論文を読むことと、学会発表を会場で直接に聴くことの違いと意義について考えてみたいと思います。学術論文は、学術雑誌に投稿し査読を受けてアクセプトされたものが掲載されます。学会発表は、学会を運営する事務局に研究発表を申し込み、採択されたものが発表されます。権威ある学会、とくに国際学会で採択され、口頭発表することは賞賛に値する業績です。しかし、学会発表よりも学術論文のほうがアクセプトされるための苦労が大きいでしょうし、学術的な価値も学術論文のほうが高いことはもちろんです。では、学会の発表会場に出向いてライブで口頭発表を聴く価値はどこにあるのでしょうか?「へい! いらっしぇーい!」「よっ、大将も元気?」「何かオススメのおいしい魚ある?」「そうだねえ、今日はいいアジがあるねえ。そうそうトビウオもいいのが入ったよ」「いやぁ。ちょうどよかった。青身の魚が大好きなんだよね。まずは刺身にしてくれる?」「へい。よろこんで!」鮨屋では、このように板前さんと会話をすることが醍醐味です。楽しい会話は食欲を増進させます。魚や料理についても教えてくれます。黙って食べていては、鮨屋のカウンターに座った意味がありません。街には寿司屋の新規開店が続きます。その多くは回転寿司です。大量仕入れと冷凍保存により、良い食材を安く提供する。それが回転寿司の宣伝文句です。一般的には、カウンターの鮨屋と回転寿司の違いは値段の違いとされます。確かにカウンターの鮨屋の中には、不当に高額で二度と足が向かない店も存在します。私の経験では、回転寿司でも美味しいものを食べれば必ずしも安くはなく、カウンターの鮨屋にも妥当な価格の店も少なくありません。回転寿司と鮨屋の違いは会話を必要とするか、しないかです。皆さんお気づきかと思いますが、「すし」の漢字、自分としては会話しながら食べる店が「鮨」で、黙って皿を取って食べるのが「回転寿司」と捉えています。「回転鮨」は何かピンとこないのです。そうです。発表者の表情や口調、聴衆の人数や、学会会場の熱気などを直接感じることができるのが、学会発表を聴く醍醐味なのです。会場の空気を生で吸うものだけが感じ取ることのできる活きた情報です。学術論文のpdfからは得られないものです。発表に続いて質疑応答を楽しむことができます。発表者が答えに窮するような鋭い質問がとぶ場合は見どころです。まさに新鮮さが勝負です。ところかわって、診察では、会話が大切です。医師と患者が向き合い、病状についていつ頃から、どんな症状が、どんな風に出現してきたのかを訊きだすのが問診です。医療は、人と人の心が最も触れ合う世界です。言葉なしには成立しません。会話をして情報を交換し、さらに感情を伝える。これは人間が他の動物と違い、人間である最大の特徴です。その面でも、学会発表は医療における情報伝達の本流であり続けることでしょう。今後インターネットがいっそう発展しても、学会発表の持つ意義には普遍性があるのではないでしょうか。

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第19回 小児科クリニックからのセフカペンピボキシルの処方(前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 患児の保護者に確認することは?熱の有無や熱性けいれんの既往など ふな3さん(薬局)発熱の有無は、アセトアミノフェン坐剤の処方意図(すぐに使用するか予備か)やペリアクチン®による熱性けいれん誘発リスクの推測にも利用できるため、必ず確認します。他に、熱性けいれんやてんかんの既往、副作用歴、併用薬、発疹の有無も確認したいです。検査したかどうか 清水直明さん(病院)アレルギー歴は必ず確認します。もしA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌、S.pyogenes )だったら抗菌薬が必要だと思うので、「何か検査はされましたか」と確認します。セフェム系抗菌薬のアレルギーや過去1カ月以内に抗菌薬を使用したか 奥村雪男さん(薬局)患児の性別や、特にセフェム系抗菌薬に対してアレルギーはないかを確認します。他にも過去1カ月以内に抗菌薬を使用したか、いつから症状があったか、全身状態はどうか、咳や鼻水などの症状、アデノウイルスなどの迅速検査や血液検査を行っているかも確認します。可能なら検査結果や白血球数やCRPなどの検査値、肺炎球菌、ヒブなどのワクチンを接種しているかも聞きます。Q2 疑義照会しますかする・・・7人フロモックス®の用量 キャンプ人さん(病院)フロモックス®細粒は1日9mg/kgですので、少し量が少ないのでは? と照会します。そのときに、抗菌薬の処方を望まれていないことを「母親が伝え忘れた」として医師へ伝えます。もちろん母親にそのように照会してよいか確認しておきます。普段から風邪に抗菌薬は不要と医師に示し続ける 荒川隆之さん(病院)保護者がなぜ抗菌薬の処方を望んでいないのか、よく聴き取りを行います。風邪に抗菌薬は不要ということで望んでいないのならば、疑義照会を行ってよいか、保護者と話をします。そして、フロモックス®の投与量がやや少ないことで疑義照会するついでに、風邪に抗菌薬は不要ではないか確認します。最初は、保護者がそのように希望していると言わず、医師から保護者の意志を聞かれた場合に回答します。ただし、この疑義照会は、医師と薬剤師のそれまでの関係も大きく関係すると思います。普段から風邪に抗菌薬は不要というスタンスを医師に示し続ける必要があります。抗菌薬は必要? 柏木紀久さん(薬局)患児の主症状が発熱と咽喉頭炎なので、あまり抗菌薬の必要性を感じません。3日後の再診時に抗菌薬の投与を考慮してもいいのではないかと思います。体重9kgでアセトアミノフェン坐剤が処方されており、発熱の期間が長い、または日内変動が強い状態でぐずったり、食欲がなかったりして状態がよくないことも考えられます。この場合、説明通り二次感染が考えられ抗菌薬処方の妥当性を感じますが、食欲や水分摂取が少なくなっている場合は、低カルニチン血症も気になります。保護者が医師に言えなかったことを薬剤師に打ち明けているので、照会してみると思います。溶連菌の可能性も 児玉暁人さん(病院)フロモックス®の投与量が少ないので確認します。ウイルス性の単なる風邪では抗菌薬は不要です。ただトランサミン®散の処方、のどの発赤から溶連菌の可能性も捨てきれず、その場合は抗菌薬が必要です。溶連菌の合併症予防を風邪の二次予防と受け取ってしまったなど、知識があるだけにややこしくしている可能性もありえます。保護者には、投与量と処方意図の再確認をしたい旨を伝え、納得と了承を頂いてから疑義照会します。あとは、疑義照会への返答内容にもよりますが、抗菌薬を服用する/しない場合のメリット・デメリットを伝えて、服用するかどうかを保護者に判断してもらうかと思います。ですので、疑義照会時に「服用を保護者の判断に任せてよいか」と確認しておきます。容態が悪化したら飲ませるつもりなら、疑義照会する ふな3さん(薬局)処方を望んでいないという意味では、疑義照会しません。医師との関係を気にしているなら、あえて蒸し返す必要はないと考えます。また、調剤の際に下記のように3種に分包して、フロモックス®だけ(もしくはラックビー®Rも)は服用しなくて済むようにできます。(1)フロモックス®(2)ラックビー®R(3)トランサミン® /ペリアクチン® /アスベリン® /ムコダイン® 混合この患者さんに限らず、普段から対症療法用の薬剤(症状改善したら中止)と、抗菌薬・整腸剤(処方日数飲みきり)は別包にしています。これらの対応をした上で、「望んではいない」と言いながらも、「容態が悪化したら飲ませるかも」と考えている場合、フロモックス®の添付文書上用量(3mg/kg)に満たないため、0.81g(~0.9g程度)/日への増量を提案するため疑義照会をします。保護者自身の風邪であれば「抗菌薬は飲まずに治せる」と簡単に割り切れると思いますが、発話できない乳児で急な発熱であれば、「この子のためにできることは?」「やっぱり抗菌薬を飲ませるべきかも」と頭をよぎるのが親心だと思います(だからこそ、小児科医も抗菌薬処方を簡単には止められないのでしょうが...)。その意味合いも含めて、抗菌薬は適切な量に修正した上で、「飲み始めたら飲みきる」の条件の下、お渡ししておきたいと思います。抗菌薬は感染が起きたと推定されるときに服用する JITHURYOUさん(病院)当然、医師の指示通りに調剤しなければならないのですが、その話をしてもなお服薬拒否ということになるのならば、医師に確認したいですね。連鎖球菌による咽頭炎でも、フロモックス®ではなくペニシリンが第一選択なので、この場合処方変更の必要性があるのではと考えます。二次感染予防目的の抗菌薬処方だとしても、臨床経過を勘案して疑義照会したいところです(遷延していたら細菌による二次感染の可能性=抗菌薬適応)。となると、症状の変化などで感染が起きたと推定されるときに服用する方がベストのような感じがします。フロモックス®はそういう場合に服用していただく方が耐性菌を増やさないという観点でも必要ではないかと考えます。よって、調剤は別包装にすべきではないでしょうか。母親の気持ちを聞き取った上で わらび餅さん(病院)フロモックス®が1日量9mg/kgではないので、疑義照会はします。また、母親からどうして抗菌薬を希望しないのかを聞きます。二次感染予防の必要性を感じてない、風邪という診断に納得してない、赤ちゃんだからあまり薬を飲ませたくないなど、理由によって対応も変わってきます。しない・・・4人処方医は不要なリスクを避けたいと考える 奥村雪男さん(薬局)抗菌薬以外の処方内容からは、典型的なウイルス性の上気道炎に見えます。全身状態が悪くないのであれば、抗菌薬なしで数日の経過観察後、悪化した場合に細菌性肺炎などの診断がついた時点で、それに応じた抗菌薬を選択するのが理想的だと思います。ただ、実際には疑義照会しないと思います。ウイルス性上気道炎に第三世代セフェムを処方するのは現在の日本の慣行であり、慣行と異なる行為はリスクを伴います。仮に抗菌薬なしの経過観察中に細菌性肺炎を発症すれば、最悪の場合、訴訟問題に発展するかもしれません。処方医は不要なリスクを負うことは避けたいと考えるはずです。遠回りのようですが、ウイルス性上気道炎に抗菌薬を処方した場合の治療必要数※などのエビデンスを国民に提示し、抗菌薬の二次感染予防は効率の悪い治療行為であることを一般常識とすることが、疑義照会に優る方法だと思います。※治療必要数NNT(number needed to treat)のこと。死亡や病気の発症などのイベント発生を1人減らすために、何人の患者を治療する必要があるか、という疫学の指標。例えばNNTが100なら、1人の患者のイベント発生を減らすためには100人に治療を行う、ということになる。フロモックス®は別包に 清水直明さん(病院)抗菌薬をどうしても持ち帰りたくないと言うのであれば、そのことを説明して取り消してもらうことも可能でしょうが、医師が必要としたものを不要と説得するだけの材料が弱いかなと思います。風邪との診断であるならば、それほど重症感はなさそうです。抗菌薬を服用させたくないのであれば、親の責任の範囲でそれでもいいと思います。フロモックス®は別包とします。そもそも、このぐらいの年齢から保育園・幼稚園ぐらいまでのお子さんは、よく風邪をひきます。これからも外界と接する機会が増えるにつれて、いろいろな感染症を拾ってくることでしょう。もし、本当に抗菌薬が必要な感染症に罹ったとき、ちゃんと効いてくれないと大変です。風邪をひくたびに予防的に抗菌薬を飲んでいたら、耐性菌のリスクは上がってしまうと思います。フロモックス®など多くの抗菌薬には二次感染予防という適応はないし、そのことがよく分かっている親御さんであるならば、飲ませるか飲ませないかの判断は任せていいと思います。ただし、薬剤師の指導としては微妙ですが・・・後編では、抗菌薬について患者さんに説明することは?その他気付いたことを聞きます。

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抗うつ薬使用と道路交通事故による死亡との関連

 抗うつ薬は、最も一般的に使用されている精神疾患治療薬の1つである。しかし、抗うつ薬治療において、薬剤のクラス間または各物質に関連する交通事故リスクへの影響については、ほとんど知られていない。韓国・ソウル大学校病院のBo Ram Yang氏らは、道路交通事故における抗うつ薬使用と死亡リスクとの関連について調査を行った。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2018年11月24日号の報告。 2010年1月~2014年12月までの健康保険データベースにリンクした韓国国道交通機関データベース(Korean national road traffic authority database)を用いて、ケース・クロスオーバーデザインによる検討を行った。調査対象は、交通事故で死亡し、事故の1年以内に抗うつ薬を処方されていた韓国人ドライバー。ハザード期間およびマッチさせた4つの対照期間における抗うつ薬の処方状況について、他の薬剤の使用で調整した後、条件付きロジスティック回帰分析を用いて比較を行った。処方箋の数より、抗うつ薬の処方動向を調査した。使用傾向が増加している薬剤およびケース・クロスオーバーオッズ比(OR)が有意に高い薬剤には、ケース・ケース・タイム・コントロールデザインを適用した。 主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬を使用していたドライバー1,250例において、30日ハザード期間中にリスクの増加が認められた(調整OR:1.30、95%CI:1.03~1.63)。・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)およびセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)には有意なリスクが認められたが、三環系抗うつ薬では認められなかった。・しかし、すべての抗うつ薬、SSRI、SNRI、エスシタロプラム、デュロキセチンの関連性は、使用傾向を調整した後、有意ではなくなった。・パロキセチンとミルナシプランはリスク増加と関連が認められたが、それらの使用率に明らかな増加はみられず、ミルナシプランの結果には適応による交絡が影響を及ぼした可能性がある。 著者らは「抗うつ薬の処方や使用の傾向を考慮すると、パロキセチンの使用は、致死的な交通事故リスクを増加させる」としている。■関連記事自動車事故リスク、うつ病や抗うつ薬ではどうかゾルピデム処方と自動車事故リスク車両運転事故、とくに注意すべき薬剤は

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薬剤耐性菌の拡大を防ぐ「かぜ診療」最前線

 薬剤耐性(AMR)の問題は、これに起因する死亡者数が2050年には1,000万人に上ると推定されている喫緊の課題だ。2018年12月8日、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは抗菌薬の適正使用を目指し「かぜ診療ブラッシュアップコース」を都内で開催した。患者は抗菌薬ではなく、症状を緩和する薬を求めている 「適切なかぜ診療を行う際に知っておきたいこと」と題し、藤友結実子氏(国立国際医療センター病院 AMR臨床リファレンスセンター)が、一般市民の抗菌薬に関する意識調査の結果を紹介した。抗菌薬・抗生物質という言葉を聞いたことがある割合は94.2%だが、効果に関しては、71.9%が「細菌が増えるのを抑える」と正しく認識している一方、40.9%「熱を下げる」、39.9%が「痛みを抑える」とも回答している。 抗菌薬がどのような病気に有用か尋ねた質問には、49.9%が「かぜ」、49.2%が「インフルエンザ」と回答しており、ウイルス性疾患に抗菌薬が効くと誤解している一般市民は多いことが伺える。その一方で、かぜで受診したときに処方してほしい薬は、咳止め(61.9%)、解熱剤(59.8%)、鼻水を抑える薬(53.0%)が上位に挙がり、抗菌薬は30.1%であった。 また、2018年2月に実施したアンケート調査では、一般市民の57.6%は不必要に抗菌薬を飲んではいけないという情報を知らなかったが、59.4%が情報提供によって抗菌薬の使用可否についての考えが変わったと回答した。これらの結果から、患者が求めているのは抗菌薬ではなく症状を緩和する薬剤であるということを踏まえた正しい情報提供の重要性を強調した。「かぜ」は急性気道感染症の4つに分けるが、ほとんどの場合に抗菌薬不要 黒田 浩一氏(亀田総合病院 感染症科)は、抗菌薬使用を減らすために「かぜ」と訴える患者の中から細菌感染症を見分け、必要な人にのみ処方することが肝要であると述べ、「急性気道感染症の診断」について抗微生物薬適正使用の手引き第1版に則って解説を行った。 患者が申告する 「かぜ」は急性気道感染症だが、その90%以上はウイルス感染症であり、基本的に抗菌薬は不要だ。抗菌薬が必要なのは、中等症または重症の急性副鼻腔炎、A群連鎖球菌が検出された急性咽頭炎のみ。これらを確実に見つけるために、急性気道感染症の4病型‐感冒・急性副鼻腔炎・急性咽頭炎・急性気管支炎それぞれについて、特徴や対応を解説。ピットフォールとして、高齢者はかぜをひきにくく、かぜをひいたと言って受診した場合、細菌感染の可能性が高いという点にも触れた。抗菌薬の第1選択はアモキシシリン。第3世代セファロスポリンは極力避けて では抗菌薬が必要となった場合にどの薬を選択すべきなのか、山本 舜悟氏(京都大学医学部附属病院 臨床研究教育・研修部)が、細菌性副鼻腔炎、細菌性咽頭炎いずれも原則としてアモキシシリンが推奨される点を解説。その理由として腸管からの吸収に優れ、中耳や副鼻腔などへの移行性が良好であるなどの根拠を提示した。注意点として経口第3世代セファロスポリンはバイオアベイラビリティが低く、薬剤耐性菌を増加させる可能性があるため、原則として使用しないよう注意喚起を行った。手引きでは抗菌薬以外の対症療法薬について豊富な情報が記載されており、こちらも参考になるだろう。抗菌薬の代わりに説明の処方を 第1部で紹介されたように正しい情報提供によって患者の行動は変わりうるという点を踏まえて、かぜ受診で抗菌薬を求める患者に対する説明のロールプレイが行われた。実際に説明をしてみると患者が納得するように説明するのは難しいとの感想が会場から上がった。説明する際のポイントとして、患者の解釈・気になっていること・医療機関への期待を確認することが新規処方薬の少なさと関連する点に言及し、「抗菌薬の代わりに説明の処方を」と呼びかけセミナーは終了した。 同センターではセミナーを全国各地で行っており、来年も継続予定とのこと。■参考抗微生物薬適正使用の手引き第一版薬剤耐性AMR情報サイト各種啓発用ツールAMR臨床リファレンスセンター■関連記事Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャー

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がん患者の静脈血栓塞栓症予防、アピキサバンが有望/NEJM

 がん患者は静脈血栓塞栓症のリスクが高いとされる。カナダ・オタワ大学のMarc Carrier氏らAVERT試験の研究グループは、中等度~高度の静脈血栓塞栓症リスク(Khoranaスコア≧2)を有し、化学療法を開始した外来がん患者では、アピキサバンにより静脈血栓塞栓症の発生が抑制されることを示し、NEJM誌オンライン版2018年12月4日号で報告した。Khoranaスコアは静脈血栓塞栓症のリスクが高いがん患者を同定し、予防治療により便益を得ると考えられる患者の選定に役立つ可能性がある。また、直接経口抗凝固薬は、がん患者の血栓予防薬として、利便性や費用も含め、非経口薬よりも優れる可能性が示唆されている。静脈血栓塞栓症の予防におけるアピキサバンの有用性を評価 本研究は、化学療法を開始した外来がん患者の静脈血栓塞栓症の予防におけるアピキサバンの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験である(カナダ保健研究機構およびBristol-Myers SquibbとPfizerの提携組織の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、新規に診断されたがんまたは完全/部分寛解後に進行した既知のがんを有し、治療期間が最短でも3ヵ月の化学療法を新たに開始する患者であった。Khoranaスコア(0~6点、点数が高いほど静脈血栓塞栓症のリスクが高い)は、≧2(中等度~高度のリスク)とした。 被験者は、アピキサバン(2.5mg×2回/日)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。 主要な有効性評価項目は180日後の静脈血栓塞栓症(近位深部静脈血栓症、肺塞栓症)の発現であり、主な安全性評価項目は大出血エピソードとした。 2014年2月~2018年4月の期間に、カナダの13施設で574例(アピキサバン群291例、プラセボ群283例)が無作為割り付けの対象となり、563例(288例、275例)が修正intention-to-treat解析に含まれた。静脈血栓塞栓症の発生率はアピキサバン群が有意に低い 全体の平均年齢は61歳、女性が58.2%であった。がん種は多い順に、婦人科がん(25.8%)、リンパ腫(25.3%)、膵がん(13.6%)であった。転移病変を有する固形がんの患者が、アピキサバン群に73例、プラセボ群には67例含まれた。治療期間中央値はそれぞれ157日、155日、追跡期間中央値は両群とも183日だった。 追跡期間中の静脈血栓塞栓症の発生率は、アピキサバン群が4.2%(12/288例)と、プラセボ群の10.2%(28/275例)に比べ有意に低かった(ハザード比[HR]:0.41、95%信頼区間[CI]:0.26~0.65、p<0.001)。治療期間中の静脈血栓塞栓症の発生率は、それぞれ1.0%(3例)、7.3%(20例)であり、アピキサバン群で有意に低かった(0.14、0.05~0.42)。 一方、大出血エピソードの発生率は、アピキサバン群は3.5%(10/288例)であり、プラセボ群の1.8%(5/275例)に比し有意に高かった(HR:2.00、95%CI:1.01~3.95、p=0.046)。治療期間中の大出血の発生率は、それぞれ2.1%(6例)、1.1%(3例)であり、有意差は認めなかった(1.89、0.39~9.24)。 死亡率はアピキサバン群が12.2%(35例)、プラセボ群は9.8%(27例)であった(HR:1.29、95%CI:0.98~1.71)。死亡した62例中54例(87%)の死因は、がんまたはがんの進行に関連していた。 著者は、「全生存に差がないのは、最も一般的な死因である進行がんの患者が多かったという事実を反映している可能性がある。静脈血栓塞栓症の予防が死亡率の低減に結びつくのが理想だが、この課題に取り組むには、異なるデザインの、より大規模な試験を要するだろう」としている。

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アトピー性皮膚炎患者、皮膚以外の感染症リスク上昇

 アトピー性皮膚炎(AD)は、皮膚への細菌定着や感染の増加、皮膚以外の感染症の多数のリスク因子に関連している。しかし、ADが皮膚以外の感染症の増加と関連しているかどうかについては、これまでの研究では相反する結果が得られていた。米国・ノースウェスタン大学のLinda Serrano氏らはシステマティックレビューおよびメタ解析を実施。その結果、AD患者は、皮膚以外の感染症リスクが高いことが明らかとなった。著者は「今後、これらの関連を確認し、その機序を明らかにする必要がある」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年11月21日号掲載の報告。 研究グループは、ADにおいて、皮膚以外での細菌感染およびマイコバクテリア感染が増加するかどうかを検討した。 MEDLINE、EMBASE、GREAT、CochraneおよびWeb of Scienceにおいて、AD患者に対する皮膚以外の感染症に関する、すべての比較対照試験を特定し、システマティックレビューを行うとともに、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った。ただし、個々の情報は入手できなかった。 主な結果は以下のとおり。・7件の研究が選択基準を満たし、解析に組み込まれた。・7件すべてにおいて、ADで1つ以上の皮膚以外の感染症(心内膜炎、髄膜炎、脳炎、骨・関節の感染症、敗血症)の可能性が高まることが認められた。・メタ解析の結果、小児および成人のADは、耳感染症(オッズ比[OR]:1.29、95%信頼区間[CI]:1.16~1.43)、レンサ球菌咽頭炎(OR:2.31、95%CI:1.66~3.22)、尿路感染症(OR:2.31、95%CI:1.66~3.22)の発症と関連していた。・肺炎(OR:1.72、95%CI:0.75~3.98)とは、関連していなかった。・出版バイアスは検出されなかった。

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若年者に増加しているヒトパピローマウイルス陽性中咽頭がんに対する標準的放射線化学治療(解説:上村直実氏)-976

 中咽頭がんは頭頸部がんの1つで、日本では年間の罹患者数が数千人であるのに対して、米国では毎年5万人が罹患し1万人が死亡する疾患である。生命予後とともに嚥下や発生などの機能の温存が重要で、手術療法とともに放射線化学療法が用いられる機会が多いのが特徴的である。 近年、中咽頭がんの原因の1つとしてヒトパピローマウイルス(HPV)が同定された後、HPV関連(p16陽性)がんと非関連(p16陰性)がんに大別され、前者は後者に比べて若年者に多く、予後が良いのが特徴であり、罹患者が急増していることで注目されている。 HPV関連の中咽頭がんに対する低侵襲治療法の代表として、放射線治療+シスプラチンを用いる放射線化学療法が標準治療とされている。最近、EGFR阻害薬セツキシマブがシスプラチンと比較して副作用が少ない治療として注目されている折、2018年11月15日のLancet誌にHPV陽性中咽頭がんを対象とした放射線化学療法に関する同じ内容の多施設共同RCTの結果が報告された。研究された場所は北米(米国とカナダ)と欧州(英国、アイルランドとオランダ)で異なっているが、得られた研究結果はほぼ同様である。「放射線療法+セツキシマブは放射線療法+シスプラチンに比べて重度の有害事象リスクには差がなく、生存率や再発率の延長に寄与しない」、すなわち「現時点では、HPV陽性中咽頭がんに対する放射線化学療法としては放射線療法+シスプラチンが標準レジメンである」との結論であった。 欧州と北米の異なる2つのグループが同時期に同様の臨床試験を行い、同じ結果を得た訳であるが、私が専門としているピロリ菌と胃がんの関連に関する世界初の疫学研究報告も、1991年の同じ号のNEJM誌に「ピロリ菌は胃がんの発生に関与している」との結果がスタンフォード大学とハワイ大学から同時に掲載された。さらに、低悪性度の胃MALTリンパ腫がピロリ菌の除菌により消退する研究結果が、1993年のLancet誌に英国とドイツから同時に報告されたことを思い出した。「世界には、同時期に同じアイデアを持って研究しているグループが最低でも3組ある」と言われた恩師の言葉が懐かしく思われた。 最後に、上部消化管内視鏡検査の際に、機器の発達に伴って咽頭や食道の観察精度が向上して、内視鏡的切除の対象となる上皮内がんとして発見される症例が劇的に増加していることは、日本独自の保険診療体制によることを強調したい。

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海洋由来オメガ3脂肪酸サプリの心血管疾患・がん1次予防効果に厳しい判定?(解説:島田俊夫氏)-978

 n-3脂肪酸(PUFAs)の摂取は心血管疾患・がん予防に好ましいとされてきたが、エビデンスに関しては必ずしもコンセンサスが得られていたわけでなく、議論の多いところである。この根拠の発端になったのが、グリーンランドのイヌイットに心筋梗塞が少ないとの報告1)である。これによりPUFA信仰が世界的に広がり、魚油、とくにその成分であるEPA、DHAなどがサプリとして広く普及し多くの人々に愛用されている。ところが、最近その効果に関して雲行きが怪しくなってきている。最近のビッグジャーナルに掲載された論文には、その効果に否定的な見解も多く見られるようになり、戸惑いが世の中に広がっている2)。2018年11月10日のNEJM誌に掲載された米国・Brigham and Women’s病院のManson JE氏らの論文は、無作為化二重盲検n-3脂肪酸群とプラセボ群との比較試験「VITAL試験」の結果報告であり、関心も高く時宜にかなっており私見をコメントする。研究要約 研究対象は米国の成人で参加者総数2万5,871例(n-3脂肪酸群:1万2,933例、プラセボ群:1万2,938例)であり、参加資格年齢は男性50歳以上、女性55歳以上とした。参加者平均年齢67.1歳、女性が51%で、5,105例(19.7%)の黒人参加者が含まれた。 ビタミンD3(2,000 IU/日)と魚介類由来のn-3脂肪酸(1g/日:EPA 460mg、DHA 380mg)を含む米国心臓病協会による心保護推奨用量(2次予防集団ですでに有効性確認されている用量)で介入が行われた。 研究は無作為化二重盲検デザインの「VITAL試験」として実施された。主要エンドポイント 心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管死の複合)およびタイプを問わない浸潤がん。副次エンドポイント 複合心血管イベントの各項目、複合心血管イベント+血行再建(拡大心血管イベント)、部位別がん、がん死など。 安全性も併せて評価した。 本論文は、n-3脂肪酸群とプラセボ群の比較結果を報告した。追跡期間は5.3年で主要血管イベント発生は、n-3脂肪酸群386例、プラセボ群419例(ハザード比[HR]:0.92、95%信頼区間[CI]:0.8~1.06)。浸潤がんは、n-3脂肪酸群820例、プラセボ群797例(HR:1.03、95%CI:0.93~1.13)と有意差は認めなかった。 主要なすべての副次エンドポイントのHRは、心筋梗塞以外すべてで有意差を認めなかった。 心筋梗塞のみHR:0.72(0.59~0.90)で有意であった。 全死因死亡(全体で978例)の解析では、HRは1.02(95%CI:0.90~1.15)と有意差を認めたが影響力は軽微。出血やそれ以外の有害事象に関しても両群間に差はなかった。執筆者コメント 本研究は明らかな病気がない50~55歳以上の成人を対象として、n-3脂肪酸サプリを1次予防に有効用量投与しメディアン5.3年追跡したが、少なくともこれまで言われていた好ましい効果を裏付ける結果を得ることができなかった。50~55歳の年齢集団を約5年間追跡したのは、追跡期間として評価するに十分な期間であったか多少疑問が残る。これまでも1次予防へのn-3脂肪酸の効果については議論の多いところであり、今回の本研究も有効性を認めなかったとの結果を素直に受け入れるべきではないか。投与量については十分量と言えるのか多少問題が残る。また、キーポイントはn-3脂肪酸の利用状況が酸化防止できていたか否かも気にかかる。n-3脂肪酸は不安定で酸化されやすいため、酸素との接触には特別注意が必要。結果がばらつく理由の中に酸化防止対策の問題はきわめて重要で見逃すわけにはいかない。 本論文の結果は、1次予防に関する研究成果に関しては失望を禁じ得ないと考える。しかし研究デザインのうえで多少検討の余地があると考える。

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