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GIP/GLP-1受容体デュアルアゴニストLY3298176は第3のインクレチン関連薬となりうるか?(解説:住谷哲氏)-986

 インクレチンは食事摂取に伴って消化管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンの総称であり、GIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)とGLP-1(glucagon-like peptide-1)の2つがある。GIPおよびGLP-1は腸管に存在するK細胞、およびL細胞からそれぞれ分泌され、インスリン分泌促進以外の多様な生理活性を有している。しかしGIPは高血糖状態においてはインスリン分泌作用が弱いこと、脂肪細胞に作用して脂肪蓄積につながることから、現在はGLP-1のみがGLP-1受容体作動薬として臨床応用されている。しかし生理状態では両者は同時に分泌される、いわば双子の腸管ホルモンであり、この両ホルモンの受容体を同時に刺激する目的で開発されたのがGIP/GLP-1受容体デュアルアゴニストLY3298176である。 LY3298176はGIPに類似した39個のアミノ酸からなるポリペプチドであり、20番目のリジンに脂肪酸側鎖を結合することで週1回投与を可能とした。GIP受容体とGLP-1受容体の両者に高い親和性で結合して細胞内シグナル伝達を惹起することが基礎実験で確認されている1)。基礎実験から臨床への橋渡しとなるproof of concept試験をクリアした後に実施されたphase 2 trialが本試験である。プラセボ群に加えて、実薬群としてはすでに発売されているデュラグルチド1.5mgが用いられて、1mg、5mg、10mg、15mgの4用量が検討された。 26週にわたり血糖降下作用、体重減少作用に対する有効性、および有害事象を検討したが、その結果は非常にimpressiveであった。試験開始時の平均HbA1cは8.1%、BMIは32.6kg/m2であったが、15mg投与群におけるHbA1cの低下はプラセボ群と比較して-1.94%、デュラグルチド群と比較しても-0.73%であった。さらにデュラグルチド群の2%に対して、10mg投与群の18%、15mg投与群の30%は正常血糖値とされるHbA1c<5.7%を達成した。体重減少についてもデュラグルチド群の-2.7kgに対して、-11.3kgであった。予想されたように消化器系の有害事象は用量依存性に増加したが多くは一過性であった。また重症低血糖は1例もなかった。 LY3298176による血糖降下作用および体重減少作用が、GLP-1受容体またはGIP受容体のいずれを介した作用なのかは、本試験の結果からは明らかではない。デュラグルチド群と比較してLY3298176の作用はより強力であることからGIP受容体を介した作用がdominantであると考えるのが妥当と思われるが、これまでの報告ではGIPの単独投与による血糖降下作用および体重減少作用はこれほど著明ではない。いずれにせよ本薬剤の投与により30%の患者の血糖値がほぼ正常化し、著明な体重減少が得られた結果から、非常にpromisingな薬剤であり第3のインクレチン関連薬となりうる可能性は高い。やはり双子のインクレチンはtwincretinとして作用するのが本来の姿であるのかもしれない。

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1円でも黒字【Dr. 中島の 新・徒然草】(253)

二百五十三の段 1円でも黒字忘年会シーズン真っ盛り。ほとんどお酒を飲まない私も、いくつかの宴会に出席してきました。その1つで聞いた挨拶に心を打たれたので、ここに披露します。そのお言葉は某病院の院長先生からのもの。いつも面白い挨拶をするので定評のある先生で、その日も満を持して最後の登場です。院長「えー、病院経営にも何らかのスローガンが必要かと思いまして」一同「何だ、何だ!」院長「『1円でも黒字』、これが私のスローガンです」一同「何じゃ、そりゃ?」院長「1億だろうが、1円だろうが、黒字は黒字」一同「ガッハッハ」院長「あんなものは大学入試と同じで、たとえ1円でも黒字になったらエエんですわ」一同「そりゃそうだ」確かにその通り。たとえ1円といえども黒字は正義。壊れたトイレの修理を後回しにしたとしても、割れた窓ガラスをガムテープで応急処置したとしても、なんとか年度末を黒字で乗り切るための我慢と思えば職員にも納得してもらえるというものです。一同笑いながら感心することしきり。この院長先生はさらに秘策を伝授してくれました。院長「診療会議なんかをやってね、最後に『とにかく患者確保をよろしく』と締めくくる院長がいますけどね」一同「ふむふむ」院長「あれ、まったく効果ありません」一同「ほんまかいな」院長「じゃあ、私がどないして職員のヤル気を引き出しているかというとね」一同「知りたい、知りたーい」院長「電話ですわ、電話」一同「はあ?」院長「職員は誰でも何か1つくらいはエエとこがあるわけでしてね」一同「ふむふむ」院長「それを見つけてね、院長自ら電話して誉めるんですわ」一同「1人、1人にですか?」院長「そうです。『昨日の当直大変やったな。3人も入院させてくれてありがとう』とかね」一同「なるほど」院長「これは効果抜群でっせ!」確かに部長先生の「ありがとう」と院長先生の「ありがとう」ではまったく言葉の重みが違います。院長「うちみたいな規模の病院やったら職員全部で500人ほどですから、毎日1人ずつ電話して1周するのに3年かかりましたわ」一同「そこまでやるか?」院長「お蔭で今年も黒字でいけそうですわ。おおきにっ」一同「おおーっ!」ニコニコした表情の院長先生ですが、部下を叱責する役目は副院長先生あたりが押し付けられているんでしょうね。それにしても「1円でも黒字」。そのめでたい響きの前には、どんな苦しいことも吹っ飛んでしまいそうです。読者の先生方もぜひ、口に出して唱えてみて下さい。では、今年最後の1句黒字なら 1円なれども 大威張り皆さま、よいお年をお迎えください!

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第14回 妊娠中のカフェインはコーヒー何杯までなら許容範囲?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 カフェインは、コーヒー、紅茶、緑茶、コーラ、エナジードリンク、チョコレートなど多くの飲食物に含まれている、とても身近な食品成分です。しかし、カフェインには胎盤通過性と母乳移行性があることが知られていて、摂取により子供に重大な転機を招かないか不安に思われる方も多くいらっしゃいます。WHOのホームページを参照すると、300mg/日を超えるカフェインを摂取している妊婦に対しては、妊娠損失(流産、死産、子宮外妊娠、奇胎妊娠など)や低体重出生リスクを減らすため、摂取量を減らすことが推奨されています1)。同ページでいくつかそのエビデンスが紹介されていますが、その中にコクランのシステマティックレビューがあります2)。このレビューには、カフェイン摂取の有無が妊娠転帰に及ぼす影響を調べた2つのランダム化比較試験が組み入れられています。まず、妊娠20週未満の女性を、カフェイン入りインスタントコーヒーを1日当たり3杯以上(1杯当たりのカフェインは85~110mgと想定)飲む群(カフェイン群、568例)と、カフェイン非含有インスタントコーヒーを飲む群(デカフェ群、629例)に無作為に割り付け、カフェイン群では妊娠中期~後期にカフェイン摂取量を平均182mg/日に減らしています。その結果、平均出生体重はカフェイン群3,539g、デカフェ群3,519g(p=0.48)で、相対効果は20.0g(95%信頼区間[CI]:-48.68~88.68)と、出生児の体重へ有意な影響はないという結果でした。早産のアウトカムについて見てみると、カフェイン群4.2%(23/552例)、デカフェ群5.2%(31/601例)で、リスク比は0.81(95%CI:0.48~1.37)となっています。子宮内の胎児発育不全はカフェイン群4.5%(25/552例)、デカフェ群4.7%(28/598例)で、リスク比は0.97(95%CI:0.57~1.64)であり、いずれも300mg/日程度のカフェイン摂取では有意差はないという結果でした。カフェイン摂取量が100mg/日増えるごとに妊娠損失リスクが7%増一方で、高用量カフェインの摂取による児へのリスクを示唆する研究もあります。妊娠期における酒、タバコ、アルコール、カフェインなどの嗜好品摂取と児の致命的転機の関係について検討したシステマティックレビュー3)の中の、カフェインに関する5つの観察研究のメタ解析では、妊娠前のカフェイン摂取量が300mg/日(一般的なコーヒー500mL相当)超の群は、150mg/日未満の群と比較して、妊娠損失のリスク比が1.31(95%CI:1.08~1.58)でした。さらに高用量による観察研究がそれぞれ1件ずつ同レビューに入っており、リスク比はそれぞれ420mg/日超で6.11(95%CI:5.12~7.29)、900mg/日超で1.72(95%CI:1.00~2.96)でした。2016年に発表された妊娠中のカフェイン摂取について検討した14の研究(参加総数13万3,885例)を含むシステマティックレビュー4)でも、高用量のカフェイン摂取(350~699mg/日)で妊娠損失が増えています。まったくあるいはほとんどカフェインの摂取がない群に比べて、高用量摂取群では妊娠損失が40%増加(リスク比:1.4、95%CI:1.16~1.68)し、超高用量摂取群(700mg/日以上)では72%増加(リスク比:1.72、95%CI:1.40~2.13)していました。これは、カフェイン摂取量が100mg/日増えるごとに妊娠損失リスクが7%増えるという計算になります。カフェイン摂取量の推定が不正確だったり、リコールバイアスや発表バイアスが入っていたりする可能性はありますが、妊婦に対する調査での介入研究は倫理的な問題が生じやすいですし、方法論的に限界があるのはやむを得ないでしょう。いずれにしても妊娠中の高用量カフェイン摂取を踏みとどまらせるインパクトはあります。妊婦のカフェイン摂取目安はコーヒー3~4杯/日まで「カフェインを何mg」と言われてもイメージが湧きにくいですが、厚生労働省の『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』では下表のようになっています5)。妊娠中に摂取できるカフェイン量の目安は国によって異なりますが、200~300mg/日以下を目安としている国が多いです。玉露などカフェイン含有量が多い飲料なら200mL/日弱でも上限に達しますが、コーヒーであれば500mL/日までなら許容範囲内であり、WHOの妊婦に悪影響のないコーヒーの最大摂取量はマグカップ3~4杯までとなっています。他のカフェインを含む飲食物との兼ね合いもありますが、目安として知っておくとよさそうです。1)WHO Restricting caffeine intake during pregnancy2)Jahanfar S, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2015;6:CD006965.3)Lassi ZS, et al. Reprod Health. 2014;11 Suppl 3:S6. 4)Chen LW, et al. Public Health Nutr. 2016;19:1233-1244.5)厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~

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不整脈デバイスの感染防止に抗菌薬追加投与は有効か(PADIT試験)【Dr.河田pick up】

 植込み型の医療機器の感染は重大な結果へとつながりうる。心調律デバイスの場合、術前のセファゾリンが標準的な予防的抗菌薬であるが、デバイス感染症によくみられるメチシリン耐性グラム陽性球菌には有効でない。また、術中よく行われる抗菌薬によるポケット内の洗浄についても明確なエビデンスはない。この研究は、標準的なセファゾリンに加えて、周術期に抗菌薬を追加投与することの有効性を評価することを目的として行われた。なお、本研究のユニークな点は患者ではなく、施設ごとに無作為化を行っている点である。 Andrew D. Krahn氏らによるカナダとオランダで行われた多施設研究で、Journal of American College of Cardiology誌2018年12月号掲載の報告。クラスター無作為化クロスオーバー試験で抗菌薬追加投与の有効性を検討 筆者らは各施設を6ヵ月ごと、4つの群に割り当てるクラスター無作為化クロスオーバー試験を行った。期間中、各施設ではすべての植込み型心臓デバイス手技に対して標準的な抗菌薬もしくは周術期の抗菌薬の追加投与が行われた。標準的治療(セファゾリン術前投与) vs.追加抗菌薬の周術期投与 標準的治療群では術前にセファゾリンが投与され、 追加投与群では術前のセファゾリンに加えバンコマイシン、術中にバシトラシンによるポケット内洗浄、そして術後2日間の経口セファレキシンが投与された。主要評価項目は、ハイリスク患者群の1年間のデバイス感染に伴う入院で、階層ロジスティック回帰モデルにより評価され、無作為化クラスターとクラスター期間の影響が調整された。追加投与により感染症減少傾向がみられたが、有意な差ではなかった デバイス手技は28施設で1万9,603例の患者に行われ、そのうち1万2,842例はハイリスク患者であった。感染は標準的治療群で99例(1.03%)、追加投与群の78例(0.78%)で発生した (オッズ比: 0.77、95%信頼区間[CI]: 0.56~1.05、p=0.10) 。ハイリスク患者において、入院を伴う感染は標準的治療群で77例(1.23%)、追加投与群では66例(1.01%)で発生した(オッズ比: 0.82、95% CI: 0.59~1.15、p=0.26) 。サブグループ解析でも追加投与により有意に恩恵を受ける患者や施設の特徴は明らかにならなかった。想定よりも感染症発生率が低く、有意差に結びつかず 追加投与群で感染の減少傾向がみられたが、全体の感染症発生率が想定していたよりも低く、統計的な有意差には結びつかなかった。 クラスタークロスオーバーデザインを用いることで、効率的に抗菌薬の追加投与の有効性を調べることが可能であった。 術前に投与するセファゾリンに追加して抗菌薬を投与することによる心調律デバイス感染症の有意な減少は認められなかったが、感染の減少傾向は認められた。しかしながら、抗菌薬の追加投与による心調律デバイス感染症が20%減少したとしても、全体の発生率が低いため、追加投与により防ぐことのできる感染症は500例に1例である。どのような症例が追加投与の恩恵を受けるかを、引き続き調べていく必要があると考えられる。(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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ダパグリフロジンと心疾患予防の関係は

 11月26日、アストラゼネカ株式会社と小野薬品工業株式会社は、アメリカ心臓協会(AHA)でDECLARE‐TIMI 58 試験(以下「本試験」と略す)の発表が行われたのを期し、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、糖尿病領域と循環器領域の2つの視点から試験結果に対し説明が行われた。DECLARE‐TIMI 58 試験概要 複数の心血管リスク因子、心血管疾患の既往歴を有する患者を含む、CVイベントリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象に、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の治療が及ぼす影響をプラセボとの比較で評価した試験。患者登録では、日本を含む世界33ヵ国882施設から1万7千例超の患者が参加。無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験。実施はアストラゼネカ株式会社。高血糖の人は心不全リスクが高い 糖尿病領域では、門脇 孝氏(一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長、東京大学大学院医学系研究科 特任教授、帝京大学医学部附属溝口病院 常勤客員教授)を講師に迎え、本試験の意義を確認した。 最近の調査から糖尿病患者と一般の健康な人との間では、平均寿命の差に約8~11年の隔たりがあること(2001~10年)、心不全合併症の糖尿病患者は心不全の既往がない糖尿病患者と比較して生存率が低いこと1)などを指摘、糖尿病患者の心血管イベントリスクへ警鐘を鳴らした。 本試験では、対象に2型糖尿病で「40歳以上および虚血性心疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患のいずれか1つ以上を有するもの」(2次予防)または「男性55歳以上、女性60歳以上で脂質異常、高血圧、喫煙のいずれか1つ以上のリスク因子を有するもの」(1次予防)を組み入れ、最長6年、平均追跡期間4.2年と長いスパンでみたものであると解説。なかでも「対象者に複数のリスク因子保有者が組み入れられている点は、臨床での実患者像に近い」と同氏は試験の意義を強調した。 本試験の結果につき、48ヵ月経過後プラセボ群のHbA1cが8.3%→8.1%だったのに対し、ダパグリフロジン群は8.3%→7.7%(最小二乗平均の差における95%CI 0.40~0.45)と有意に低下し、体重も同期間でプラセボ群が91kg→89kgだったのに対し、ダパグリフロジン群は91kg→87kg(最小二乗平均の差における95%CI 1.7~2.0)と有意に減少していた。 有効性に関し、主要心血管イベント(MACE)のイベント発生率ではプラセボ群が9.4%だったのに対し、ダパグリフロジン群は8.8%で有意差は認められなかった(HR 0.93[信頼区間0.84~1.03])一方で、心不全による入院と心血管死では、プラセボ群が5.8%だったのに対し、ダパグリフロジン群は4.9%と有意な減少(HR 0.83[信頼区間0.73~0.95])を認め、腎複合評価項目ではプラセボ群が5.6%だったのに対し、ダパグリフロジン群は4.3%と同じく有意な減少(HR 0.76[信頼区間0.67~0.87])を認めた2)。 安全性では、重篤な有害事象、重症低血糖、急性腎障害、膀胱がんでプラセボに非劣性だったのに対し、投与中止の有害事象、糖尿病性ケトアシドーシス、性器感染症はプラセボよりも高い数値だった。 以上の本試験の結果から同氏は「高血糖とリスクファクターを持つ人は症状こそ見えないが、心不全、腎不全の病態が進行していることが示唆された。また、心血管イベントの既往がない患者さんに対して、心不全・腎イベントの発症を抑制できることが初めて示唆され、今後は、健康な人と変わらないQOLの確保と寿命の維持のためにも、患者個々の背景と合ったエビデンスを持つ薬剤を使用していくべきと考える」と展望を語り、レクチャーを終えた。糖尿病患者は心不全の際に立っている 続いて小室 一成氏(一般社団法人日本循環器学会 代表理事、東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授)を講師に迎え、循環器領域から本試験結果への考察を説明した。 循環器疾患では、「心不全」が増加傾向にあり、重要な疾患と位置づけられている。心不全は、徐々に悪化するので早期から急性イベントや入院を防止することが大切だが、糖尿病患者では主要な合併症であることが知られている。糖尿病患者の生存率は、前述の講演の内容通りだが、「糖尿病患者は、心不全を起こす際に立っているようなものであり、いかに進行の傾斜を緩やかにするのかが重要だ」と指摘する。そのため、糖尿病患者では心不全を発症させないことが大事であり、予防では、糖尿病発症、左室リモデリング、左室機能障害、心不全の診断の4つの予防機会があるという。 その他、本試験のほかEMPA-REG OUTCOME、CANVAS Programの3試験の解析から本試験の対象者のハザード比が低いことも報告された。 実際、これらの試験成績を受けて小室氏は、「SGLT2阻害薬には、心血管既往歴のある2型糖尿病患者の心不全予防に有効だとしながらも、一次予防症例や後期高齢者などへの有効性についてはこれからの課題」である。「今後、治療に関するガイドラインなども議論が活発になると考えている」と述べ、講演を終えた。※ダパグリフロジンは2型糖尿病のみ承認取得した薬剤であり、心不全や心血管死などへ効能効果はない。また、わが国での開始使用量は5mg/日で、効果不十分などの場合は最大10mg/日まで増量可能。■関連記事CV高リスク2型DMへのSGLT2iのCV死・MI・脳卒中はプラセボに非劣性:DECLARE-TIMI58/AHA

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うつ病による自殺のリスク因子

 うつ病における自殺のリスク因子および自殺方法の性差について、フィンランド・ヘルシンキ大学のKari I. Aaltonn氏らが縦断的な検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年11月27日号の報告。 フィンランドの病院退院レジストリ、フィンランド国勢調査レジストリ、死亡原因に関するフィンランドの統計レジストリのデータを結びつけ、1991~2011年にフィンランドで初回入院したうつ病性障害の主要診断を有する患者5万6,826例(男性:2万5,188例、女性:3万1,638例)を抽出した。フォローアップ調査は、患者の死亡(自殺者:2,587例)または2014年末まで行われた(最大24ヵ月)。 主な結果は以下のとおり。・初回入院時の自殺による死亡の長期予測因子は、重症うつ病(調整ハザード比[aHR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.08~1.30)、精神病性うつ病(aHR:1.45、95%CI:1.30~1.62)、アルコール依存症併発(aHR:1.26、95%CI:1.13~1.41)、男性(aHR:2.07、95%CI:1.91~2.24)、社会経済的地位の高さ、独居であった。・最も高リスクな因子は、自殺企図歴であった(男性累積率:15.4%[13.7~17.3%]、女性累積率:8.5%[7.3~9.7%])。・リスク因子の性差は軽微であったが、自殺方法では顕著な差が認められた。 著者らは「初回入院時の社会人口学的および臨床的特徴は、長期的な自殺の予測因子であり、自殺企図歴を有する入院患者のリスクは高かった。男女のリスクの違いは、自殺方法の性差により説明可能かもしれない」としている。■関連記事うつ病成人の自殺傾向に対するSSRIの影響治療抵抗性うつ病と自殺率自殺予防の介入効果はどの程度あるのか

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新たなNASH治療薬、肝脂質比を有意に減少/Lancet

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者に対する、開発中のpegbelfermin(BMS-986036)の16週間皮下投与は、概して忍容性は良好で、肝脂質比を有意に減少したことが、米国・バージニア・コモンウェルス大学のArun Sanyal氏らによる第IIa相試験の結果、示された。pegbelferminは、線維芽細胞増殖因子21(FGF21)のPEG化アナログで、これまでに2型糖尿病を有する肥満症患者において、代謝および肝線維化マーカーを改善したことが示されていた。Lancet誌オンライン版2018年12月13日号掲載の報告。pegbelfermin 10mgを毎日、または同20mgを毎週投与 研究グループは、第IIa相試験においてNASH患者におけるpegbelferminの安全性と有効性を評価するため、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照平行群比較試験を行った。 米国17ヵ所の医療センターで、BMI値25以上、生検でNASH(線維化ステージ1~3)が確認され、MRI-PDFF(MRIによるプロトン密度脂肪画分測定法)で肝脂質比10%以上だった成人(21~75歳)を集めた。 適格患者を2型糖尿病の有無により層別化したうえで1対1対1の割合で無作為に3群に分け、(1)プラセボを1日1回、(2)pegbelfermin 10mgを1日1回、(3)pegbelfermin 20mgを週1回、16週にわたってそれぞれ皮下投与した。被験者、治療を行う試験チーム、アウトカムを分析する研究者(試験チームとは独立しており、分析以外は関与しない)は治療群に対してマスキングされた。 主要評価項目は、治療16週間後の安全性と肝脂質比の絶対変化だった。主要解析には、無作為化を受け試験薬またはプラセボの投与を受けた全患者を包含した。肝脂質比減少率、pegbelfermin 10mg群-6.8%、同20mg群-5.2% 2015年5月12日~2016年8月4日にNASHを有する過体重または肥満患者184例がスクリーニングを受けた。このうち、95例(52%)は試験基準を満たすことができず除外され、80例(43%)が、プラセボ導入フェーズに登録された。 さらなる除外を行い、無作為化を受け試験薬を1回以上投与された75例を主要解析に包含した。pegbelfermin 10mg群は25例、20mg群は24例、プラセボ群は26例だった。 事前に規定した8週時の中間解析で、主要解析について予想以上の変化量が認められ、計画したサンプルサイズを必要としないことが示されたため、被験者登録を早期に終了した。 プラセボ群と比較して両pegbelfermin群において、絶対肝脂質比の有意な減少が認められた。プラセボ群-1.3%に対し、pegbelfermin 10mg群は-6.8%(p=0.0004)、同20mg群は-5.2%(p=0.008)だった。 大半の有害事象は軽度だった。最も頻度が高かったイベントは下痢で、pegbelfermin治療を受けた49例中8例(16%)、プラセボ群は26例中2例(8%)、次いで悪心がそれぞれ7/49例(14%)、2/26例(8%)だった。死亡例はなく、有害事象による試験中断、あるいは治療関連の重篤有害事象もなかった。 今回の結果を受けて著者は、「NASH患者に対するpegbelfermin治療について、さらなる試験を行う根拠が示された」と述べ、「pegbelferminの肝組織への効果を評価するため肝生検を用いた付加的試験が必要だろう。さらに、より多くの被験者を対象とした、pegbelferminの安全性と有効性を評価する試験も考慮すべきである」とまとめている。

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オステオペニアへのゾレドロン酸、骨折リスクを低減/NEJM

 オステオペニアの高齢女性に対して、ゾレドロン酸の18ヵ月ごと投与はプラセボと比較して、長期の非脊椎・脊椎脆弱性骨折リスクを有意に低減することが示された。ニュージーランド・オークランド大学のIan R. Reid氏らが、2,000例を対象に行った6年間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌2018年12月20日号で発表した。閉経後女性における骨折の大半が、オステオペニアを有する女性で発生するため、そうした女性に対する効果的な治療法が必要とされている。ビスホスホネートは、骨粗鬆症患者の骨折を予防するが、オステオペニアの女性における有効性は不明だった。ゾレドロン酸5mgを18ヵ月ごと4回投与 研究グループは、股関節全体または左右どちらかの大腿骨頸部Tスコアが-1.0~-2.5のオステオペニアが認められる、65歳以上の高齢女性2,000例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはゾレドロン酸5mgを、もう一方には生理食塩水(プラセボ)を、それぞれ18ヵ月ごとに4回静注投与した。 両群被験者に対し、食事性カルシウムを1日1g量摂取するよう助言する一方、カルシウムサプリメントは投与しなかった。ビタミンDサプリメントを摂取していなかった被験者には、コレカルシフェロールを、試験開始前(2.5mg単回投与)と試験期間中(1.25mg/月)に投与した。 主要評価項目は、非脊椎・脊椎の脆弱性骨折の初回発生までの期間だった。1例の骨折予防の治療必要数は15 被験者のベースラインでの平均年齢(±SD)は71±5歳、大腿骨頸部の平均Tスコアは-1.6±0.5、股関節骨折10年リスクの中央値は2.3%だった。 脆弱性骨折の発生が認められたのは、プラセボ群190例に対し、ゾレドロン酸群は122例だった(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.50~0.79、p<0.001)。1例の骨折を予防するための治療必要数は15だった。 プラセボ群に比べゾレドロン酸群は、脊椎以外の脆弱性骨折(HR:0.66、p=0.001)、症候性骨折(HR:0.73、p=0.003)、脊椎骨折(オッズ比:0.45、p=0.002)、身長低下(p<0.001)について、リスクの低下が認められた。

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インフルエンザ報告数、前週から倍増

 2018年第50週(12月10~16日)のインフルエンザ報告数が、21日、厚生労働省より発表された。全国約5,000の定点当たり報告数は3.35(患者報告数1万6,589人)となり、前週(1.70)のほぼ2倍となった。 都道府県別では、北海道(9.59)が最も多く、愛知県(8.41)、香川県(7.13)、奈良県(5.20)、三重県(5.04)と続き、46都道府県で前週の報告数より増加した。警報レベルを超えている保健所がある都道府県は3府県(北海道、兵庫県、大分県)であった。 定点医療機関の報告を基に全国の医療機関を受診した患者数を推計すると約11.8万人となった(前週は約6.3万人)。年齢別では、5~9歳が約3.5万人と最も多く、0~4歳が約1.4万人、10~14歳が約2.1万人、15~19歳が約0.5万人、20代が約0.8万人、30代が約0.9万人、40代が約1.1万人、50代が約0.6万人、60代が約0.4万人、70代以上が約0.3万人。 基幹定点からのインフルエンザ患者の入院報告数も、147例と前週(88例)から大幅に増加した。 直近の5週間(2018年11月12日~12月16日)に国内で検出されたインフルエンザウイルスは、AH1pdm09、AH3亜型、B型の順に多かった。■参考国立感染症研究所:インフルエンザ流行レベルマップ

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ペムブロリズマブのNSCLC1次治療、3パターンが国内承認/MSD

 MSD株式会社は、2018年12月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、非小細胞肺がんにおける以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺(非扁平上皮)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺(扁平上皮)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大・PD-L1陽性(TPS1≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大3パターンの試験でペムブロリズマブの有効性および安全性が示された 今回の適応拡大にあたっては、未治療の転移のある非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-189試験、未治療の転移のある非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-407試験、およびPD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験KEYNOTE-042試験のそれぞれにおいて、ペムブロリズマブの有効性および安全性が示された。 KEYNOTE-189試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者616例において、ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法が、標準化学療法であるペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善した(HR=0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.00001)。ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤の化学療法併用群の91.9%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、悪心46.2%、貧血38.0%、疲労33.1%、好中球減少症24.9%および食欲減退20.7%であった。 KEYNOTE-407試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者559例において、ペムブロリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法が、プラセボとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルの併用療法と比較して、OSを有意に改善した(HR=0.64、95% CI:0.49~0.85、p=0.0008)。ペムブロリズマブと化学療法の併用群の95.3%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、脱毛症45.3%、貧血44.2%、好中球減少症34.9%、悪心30.6%、血小板減少症29.1%および下痢21.9%であった。 KEYNOTE-042試験では、PD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者1,274例において、ペムブロリズマブ単独療法がプラチナ製剤併用化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)と比較してOSを有意に延長した(HR=0.81、95%CI:0.71~0.93、p=0.002)。ペムブロリズマブ群の62.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は甲状腺機能低下症10.8%であった。 今回の適応拡大により、ペムブロリズマブは、PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対する初回治療(PD-L1発現にかかわらず化学療法との併用療法。PD-L1陽性[TPS≧1%]の場合は単独療法も使用可能)に使用できる抗PD-1抗体となる。

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頭を使わないと認知症になるっていうけど本当か?(解説:岡村毅氏)-983

 お待ちかねのBMJ誌のクリスマス号である。ご存じの方も多いと思うが、クスリと笑えるが、じわじわと効いてくる論文(きちんとした科学であることが大前提で偽科学はダメ)が満載のなんとも英国的な恒例行事である。 今回取り上げた論文は、英国・アバディーン市の1936年生まれの子供たちをなんと11歳の時点から継続的に知能テストし続けたという超長期縦断研究からの報告である。最新の調査は2013年であるから77歳に到達している。その結果、わかったことは大きく2つある。 第1は、時の流れには逆らえないということ。加齢により、どんな活動をしようが、教育歴を調整しようが(認知予備能の文脈)、認知機能は低下していく。 第2は、かすかに低下を緩やかにしたものは問題解決型の活動であって、知的活動ではないとのこと。 高齢者の外来をしていると、家で家族以外に誰とも話さずに低活動で過ごしている方もいる。それは究極的には個人の自由なのであるが、認知症などがある方が「閉じこもり→昼もコタツで寝てる→夜眠れない→せん妄や易怒性」という負のサイクルに陥っている場合は、地域活動やデイサービスなどを勧める。しかし「いいえ、私は美術館巡りをして頭を使っていますから」などと断られることもある。 そういうときは「どうぞ美術館に行き続けてください。応援します。でもね、毎日行っているわけではないでしょう。地域の活動とかデイサービスとかに行くと、いろいろな人がいて、いい人もいれば嫌な人もいて、いろいろな問題が起こって、そりゃあ楽しいことばかりではないですよ。でも学校も仕事もそうだったでしょう。いろいろな問題をみんなで解決していくと、生きてるって感じるし、頭にもいいんですよ」なんて言っていたことを思い出した。しばしばエビデンスというものは臨床知を追いかけているものだ。 さて、この論文はなんとなく無常観を漂わせているように思われる。これを読んで筆者は鴨長明の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。(中略)世の中にある人とすみかと、又かくの如し」を思い出した。年をとれば認知機能も徐々にその人なりに低下し、死が訪れる。人生は有限だからこそ、与えられた時間の中で精いっぱい善く生きようとするのだ。医療は死や認知機能低下を撲滅することはできないが、時にちょっとだけ遅らせたり、もっと重要なことは、善く生きるためのささやかなお手伝いはできるかもしれない。 では皆さま、良いお年をお迎えください。

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NSCLCにおけるPD-1阻害薬の潜在的バイオマーカー【肺がんインタビュー】 第22回

第22回 NSCLCにおけるPD-1阻害薬の潜在的バイオマーカー(Investigatorインタビュー)出演:神奈川県立がんセンター臨床研究所 がん免疫療法研究開発学部 部長 笹田 哲朗氏NSCLCにおけるPD-1阻害薬治療前後のCXCL2とMMP2の変化は、治療効果の予測因子となる可能性が示唆された。この研究について、神奈川県立がんセンター笹田哲朗氏に聞いた。Matsuo N, et al. Association between soluble immune mediators and tumor responses in patients with non-small cell lung cancer treated with anti-PD-1 inhibitor. Int J Cancer.2018 Oct 11.[Epub ahead of print]

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第20回 小児科クリニックからの セフカペンピボキシル の処方(後編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

前編 Q1患児の保護者に確認することは?Q2疑義照会しますか?Q3 抗菌薬について説明することは?今は必要ないかもしれないが、必要になる可能性もあると説明 中堅薬剤師さん(薬局)提示された情報から、ウイルス性感冒(ヘルパンギーナ、咽頭結膜炎など)の可能性は高いと思われますが、溶連菌感染症の可能性もあり、フロモックス®の必要性は否定できません。医師との関係性を壊したくない思いを尊重し、フロモックス®を服用するかどうかの選択も残したいと思います。「今は必要ないかもしれないが、今後、必要になる可能性もある」と説明し、調剤は受けてもらい、フロモックス®以外の対症療法薬で経過観察をするよう助言します。対症療法薬で軽快しないようであれば、溶連菌感染症の可能性があるので、耳鼻咽喉科に相談することを勧めます(小児科には行きにくいでしょうから・・・)。そして、フロモックス®は使わずに残してあることを伝えた上で、今後の対処を相談してもらいます。鑑別が難しいこと、重症化のリスク 奥村雪男さん(薬局)処方医と患児家族の関係を損なわぬよう、「ウイルスが原因となる初期の風邪だと思うが、患児は2歳未満であり、今後咳がひどくなって細気管支炎になると重症化するリスクがある。その場合、ウイルス性か細菌性か明確に鑑別するのが難しいので、効率は良くないが、慣行として抗菌薬をあらかじめ処方することがある」と説明します。低血糖の危険性 中西剛明さん(薬局)未熟児で生まれた子は、筋肉量が少ないことが多く、健常児より低血糖を起こしやすいと言われています。フロモックス®はピボキシル基を有する抗菌薬なので、低血糖の危険があります。出生時体重を参考に、未熟児であれば低血糖の危険について説明します。散剤の与薬の仕方 わらび餅さん(病院)小児病棟で、赤ちゃんへうまく薬を飲ませられない母親を何人も見てきました。理論通りではうまくいかない、赤ちゃんの機嫌に合わせた工夫も必要です。赤ちゃんが9カ月なら、母親の与薬経験が未熟な可能性があるので、薬を飲ませられるか聞いて、それに応じて散剤の与薬の仕方を説明します。フロモックス®は、マクロライドなどに比べるとひどい味ではないですが、飲み残しがないように食前に飲ませていいこと、たくさんの水で溶かないことなどです。鼻水や痰を除去すること JITHURYOUさん(病院)本人が苦しいばかりでなく、細菌の二次感染の引き金になる可能性があるので、鼻水や痰などはできるだけ取るように説明します。Q4 その他、気付いたことは?医療関係者でも知識に乏しいことがある ふな3さん(薬局)発熱(のおそれ)+咽頭炎ということで、溶連菌の疑いがあっての抗菌薬投与なのか、額面通り「二次感染予防」なのか微妙です。それ故、飲ませないという保護者の希望を後押しするかどうか悩ましいところです。「医療関係者」という言葉の範囲には、医師、看護師、薬剤師などの専門職から、受付事務まで非常に幅広く含む場合があります。たとえ医師でも、専門分野以外については知識が浅い場合もあります。こちらが「これくらいは知っているだろう。説明しなくてもいいな」と考えていても、実は相手は、説明を聞きたい、相談したい、と思っている可能性もあります。会話をしながらその辺りの「雰囲気」をくみ取ることは、さじ加減が難しいですが大切だと思います。また「医療関係者」である場合に、「薬歴管理料を算定するか?」という問題も同時に発生します。その医師と完全にツーカーの間柄で、飲み方の指示などを受けているようなら薬歴料は算定しませんし、前述のような「相談したい」というような雰囲気であれば、算定すると思います(今回のケースは患者負担はゼロなので、お会計には影響ないのですが・・・)。フォローアップがあるとすれば、さり気なく保護者に「どちらの病院にお勤めですか?」とか、医師との面会時に「○○さんとは、親しいんですね!」などと、お互いの関係性に"探り"を入れておくと、今後の展開が違うかも・・・と思います。薬剤師も同じ「医療関係者」です。「医師との信頼関係」と同時に、「薬剤師との信頼関係」が築けたらいいな、と思います。Von Harnack表を活用 奥村雪男さん(薬局)フロモックス®の1日量は9mg/kg、ムコダイン®の1日量は30mg/kgで、いずれも体重に比してやや少ないように思います。その他の薬剤は、Von Harnack表※より、6カ月で成人量の1/5、1歳で成人量の1/4なので、概ね妥当な用量だと思います。※成人量を1としたとき、それぞれの年齢での用量の目安。になっている。未熟児新生児6カ月1歳3歳7歳半12歳1/101/81/51/41/31/22/3VON HARNACK GA. Monatsschr Kinderheilkd 1956; 104(2): 55-56.ペリアクチンの副作用 柏木紀久さん(薬局)9カ月というとハイハイやつかまり立ちをする頃なので、ペリアクチンの傾眠によるケガなども心配です。痙攣の閾値も下がるので、鼻水や発赤疹がなければペリアクチンが疑義の対象になると思います。薬剤師も一般への啓発を 荒川隆之さん(病院)私は学校薬剤師として、何度か保護者に「風邪に抗菌薬は不要」という話をしております。北欧やオランダなど薬剤耐性菌の少ない国では、耐性菌に関する国民の知識がしっかりしていると聞きます。日本においても薬剤耐性(AMR)対策アクションプランなど国がようやく動き出したところですから、我々薬剤師もそれぞれにできることを少しずつやっていくことが大切なのでは、と考えます。1回で飲ませきれない量では 中西剛明さん(薬局)ペリアクチンが処方されていることが気になります。抗ヒスタミン薬を使うと痙攣の閾値が下がるので、発熱している場合は熱性けいれんも含め、痙攣の危険が高まります。数ある抗ヒスタミン薬の中でペリアクチンを選んだ意図がわかりません。加えて、近隣の小児科医は「抗ヒスタミン薬で鼻水が固くなって、鼻づまりが解消しにくくなり困る」と言っていました。あと、7種類の薬剤は出しすぎでは?1回で飲ませ切れない「かさ」になってしまっています。症状に合わせて用量を調節 児玉暁人さん(病院)ムコダインDSの量が少ないですが、症状に合わせているのだろうと考え、これに関しては疑義照会しません。医師の処方意図を理解しておくべき JITHURYOUさん(病院)医師に処方意図の確認が必要だと感じます。抗菌薬が必要ならば薬剤の処方の必要性を患者家族にもきちんと説明しなければいけません。服用しないならば、症状が悪化するリスクもあります。さまざまな可能性のリスク回避をしておきたいという医師の考えがあるのかもしれません。なぜ抗菌薬処方をしたのか、その医師の処方傾向をできれば把握したいです。調剤するだけではなく患者さんと向き合うこと 中堅薬剤師さん(薬局)私は「医師の治療方針に同意していない患者さん」には調剤をしない方針です。ただ、簡単に「調剤をしない」としてしまうと、後で治療する機会を奪うことにもなるので、十分な説明の上、患者さんの意向を尊重して調剤するかどうか決定します。私の経験ですが、「喘息ではないのに吸入を強要された」と言う患者さんがいました。医師法第二十三条に基づいて考えると、処方医は患者が納得する十分な医学的指導をしていない可能性があり、その結果、治療に対して強い拒否を示していると推察しました。ただ、咳喘息の可能性は否定できないので、「使ってみて改善しなければ、呼吸器科以外の医師に相談することをお勧めしたい」と助言しました。治療前から否定するのではなく、治療をしてから継続の可否を判断する方がよいのではないか、と患者さんに話したのです。その後、患者さんから感謝の言葉をいただきました。「医師よりも私の治療に向き合ってくれた気がする」と。同時に、医師はどうして患者側に寄り添って治療を考えてくれないのか、という不満も打ち明けてくれました。ですから、今回の症例は薬剤師はただ調剤すればいいというものではないと、考えさせられる症例だと感じました。医師法第二十三条・・・医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。担当した薬剤師の対応フロモックス®の量が少ないことを疑義照会し、添付文書上の用量まで増量した。また、患児の保護者から、処方箋提出時に「抗菌薬だけ別包にしてほしい」と言われたので、別包にて調剤した。[PharmaTribune 2017年9月号掲載]

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心代謝特性はBMIと関連するか

 BMIは脂肪を非脂肪と区別せず、脂肪分布を無視し、健康への影響を検出する能力が不明とのことで批判されている。今回、英国・ブリストル大学のJoshua A. Bell氏らは、心代謝特性との関連においてBMIと二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)による全身および局所の脂肪指数(fat index)を比較した。その結果から、腹部の肥満が心代謝障害の主因であり、その影響の検出にBMIが有用なツールであることが支持された。Journal of the American College of Cardiology誌2018年12月18日号に掲載。 著者らは、英国での親と子供の縦断研究Avon Longitudinal Study of Parents and Childrenの子供2,840人において、10歳時と18歳時にBMIおよびDXAによる全身・体幹・腕・脚の脂肪指数(kg/m2)を測定し、18歳時の230種類のメタボロミクスの項目との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・10歳時に全身脂肪指数およびBMIが高値であることが、18歳時に収縮期および拡張期血圧高値、高VLDLおよび高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセライド、高インスリンおよび高アセチル糖タンパク質といった心代謝特性と関連することが示された。・18歳時の全身脂肪指数とBMIの関連は強く、10歳から18歳までの各指標の増加も強く関連した(例 アセチル糖タンパク質の増加は、全身の脂肪指数のSD単位増加当たり0.45SD[95%信頼区間:0.38~0.53]vs. BMIのSD単位増加当たり0.38SD[同:0.27~0.48])。・心代謝特性との関連は、BMI・全身の脂肪指数・体幹の脂肪指数で類似していた。・非脂肪指数(lean mass index)高値は心代謝特性との関連は弱く、脂肪指数高値に防御的ではなかった。

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乾癬患者は甲状腺疾患のリスクが高い

 これまで、乾癬と甲状腺疾患との関連はよくわかっていなかった。乾癬患者では、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、バセドウ病および橋本病などの甲状腺疾患リスクの増加が認められると、台湾・輔仁大学のShu-Hui Wang氏らによるコホート研究で明らかになった。著者は、「乾癬患者が甲状腺疾患の症状を呈した場合は、内分泌科への紹介を考慮したほうがいいだろう」とまとめている。なお、研究の限界として乾癬患者の重症度のデータが不足していた点を挙げている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年12月5日号掲載の報告。 研究グループは、乾癬患者における甲状腺疾患のリスクを検討する目的で、台湾の全民健康保険データベースを用い、乾癬および乾癬性関節炎に関連する甲状腺疾患発症のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・乾癬性関節炎患者1万3,266例(乾癬性関節炎群)、乾癬のみの患者14万9,576例(乾癬群)、非乾癬患者16万2,842例(対照群)が解析に組み込まれた。・対照群と比較した、乾癬性関節炎群および乾癬群の甲状腺機能亢進症発症に関する補正後ハザード比は、1.32(95%CI:1.07~1.65)、1.22(95%CI:1.11~1.33)。バセドウ病では、1.38(1.07~1.79)、1.26(1.13~1.41)と、それぞれで発症リスクは高かった。・同様に両群では、甲状腺機能低下症(補正後HR:1.74[95%CI:1.34~2.27]、同:1.38[95%CI:1.23~1.56])、橋本病(2.09[1.34~3.24]、1.47[1.18~1.82])のリスクも高かった。

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統合失調症治療の医療資源利用とコストにおける持効性注射剤と経口剤との比較

 抗精神病薬の使用において、長時間作用型持効性注射剤(LAI)は経口剤と比較し、アドヒアランスの改善や投薬回数の減少により、医療資源利用を減少させる可能性がある。米国・AlkermesのAnkit Shah氏らは、統合失調症と最近診断された患者におけるLAIと経口抗精神病薬の治療パターンについて調査を行った。Advances in Therapy誌2018年11月号の報告。 MarketScan Multi-state Medicaid databaseを用いて、2011~14年にLAIまたは経口抗精神病薬を投与された18歳以上の統合失調症患者を抽出した。主要アウトカムは、アドヒアランス(PDCの対象となる日数の割合として測定)、継続性、中止、切り替え、医療資源利用率、コストなどの治療パターンとした。コホート間のベースライン特性の違いは、傾向スコアマッチング(PSM)を用いて制御した。アウトカムは、登録後12ヵ月間にわたって評価し、治療コホート間で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・PSM後、LAIおよび経口抗精神病薬コホートのそれぞれに対象患者2,302例が含まれた。・両コホート間で、PDCまたは治療切り替えの差は認められなかった。・LAI治療患者は、経口抗精神病薬治療患者と比較し、中止率(46.1% vs.61.6%、p<0.001)、入院回数(0.5回 vs.0.9回、p<0.001)、受診日数(3.9日 vs.6.5日、p<0.001)、ER受診(2.4回 vs.2.9回、p=0.007)が低く、処方調合回数(29.5回 vs.25.3回、p<0.001)が多かった。・LAI治療患者は、登録後12ヵ月間にわたる経口抗精神病薬コホートとの比較で、毎月の入院コスト(4,007米ドル vs.8,769米ドル、p<0.001)およびER受診コスト(682米ドル vs.891米ドル、p<0.001)が低かったが、毎月の薬剤コスト(1万713米ドル vs.655米ドル、p<0.001)は高かった。・全体として、フォローアップ期間中の両コホートにおける類似総医療コストは、LAI抗精神病薬で2万4,988米ドル、経口抗精神病薬で2万3,887米ドルであった(p=0.354)。 著者らは「LAI治療は、経口抗精神病薬治療と比較し、薬物治療の継続率が高く入院回数を減少させる可能性がある。LAIによる薬剤コストの上昇は入院コストの削減と相殺され、経口抗精神病薬治療と比較し、総医療コストの増加を来さない」としている。■関連記事統合失調症、双極性障害に対する持効性注射剤使用と関連コスト統合失調症の再発、コスト増加はどの程度実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット

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ゴルフが上手い診療科は/BMJ

 世界中で、医師の燃え尽き症候群(バーンアウト)の罹患率は高いことが報告されている。余暇活動は健康で安心して暮らせる環境をもたらすが、医師の余暇活動の現況はよくわかっていないという。米国・ハーバード大学医学大学院のGal Koplewitz氏らは、今回、ゴルフの普及状況を調査し、米国の男性医師は一般的にゴルフに興じており、とくに外科医が多いことを明らかにした。ゴルフは、多くの医師にとってステレオタイプの娯楽だが、これまで専門科別の普及率や腕前、男女差については検討されておらず不明であった。BMJ誌2018年12月10日号(クリスマス特集号)掲載の報告。米国医師のゴルフパターンを調査 研究グループは、米国の医師がゴルフを行うパターンの調査を目的に観察研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 米国の医師の包括的なデータベースを、米国ゴルフ協会のアマチュアゴルファーのデータベースと関連付けた。2018年8月1日の時点で、米国ゴルフ協会のデータベースに、実際にゴルフのラウンドの記録があった医師を解析の対象とした。 主要評価項目は、ゴルフを行う医師の割合、技量(ゴルフハンディキャップ指数で評価、数値が低いほど技量が高い)、頻度(過去6ヵ月のゴルフのゲーム数)であった。 102万9,088人の医師のうち、米国ゴルフ協会のアマチュアゴルファーデータベースに、実際にゴルフのスコアの記載があったのは4万1,692人(4.1%)であった。女性は約1割、整形外科医が多く、血管外科医の技量が高い 医師ゴルファーの89.5%が男性で、女性医師は10.5%であった。全男性医師の5.5%(3万7,309/68万3,297人)がゴルフをしていたのに比べ、全女性医師に占めるゴルファーの割合は1.3%(4,383/34万5,489人)と少なかった。 医師ゴルファーは、61~70歳の男性(6.9%)が最も多く、31~35歳の女性(0.8%)が最も少なかった。男性医師ゴルファーの平均年齢は55.2歳(中央値56歳、IQR:46~64)だった。 専門科別のゴルフ普及率および技量にはばらつきがみられた。医師ゴルファーの割合が最も高かった専門科は整形外科(8.8%)で、次いで泌尿器科(8.1%)、形成外科(7.5%)、耳鼻咽喉科(7.1%)、血管外科(6.9%)、眼科(6.7%)の順であり、最も低かったのは内科(2.9%)および感染症科(2.9%)であった。 平均ハンディキャップは、全体では16.0であり、男性医師は15.0、女性医師は25.2であった。専門科別では、血管外科(14.7)が最も低く、技量が最も高いと判定された。次いで、胸部外科(14.8)、整形外科(14.9)、麻酔科(15.0)、救急医療科(15.0)の順であった。最も技量が低かった専門科は内分泌科(18.1)で、次いで皮膚科(17.2)および腫瘍科(17.2)であった。上位の3科は、下位3科に比べ約15%技量が優れた。 専門科別のゴルファーの割合とハンディキャップには負の相関が認められ、技量が高い専門科ほどゴルファーが多かった(p=0.002)。 2018年の前半6ヵ月で、男性医師ゴルファーは平均14.8回ゲームをしていた。女性医師ゴルファーは12.1回であった。医師レベルでは、ゲーム数とハンディキャップには負の相関がみられ、技量の高い医師ほど、頻回にゴルフをしていた(p=0.004)。 著者は、「今後、医師のゴルフと患者アウトカム、治療費、医師の安寧(wellbeing)との関連を検討する必要がある」としている。

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ビタミンD受容体作動薬、透析患者の心血管リスク改善示せず/JAMA

 二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)を伴わない維持血液透析患者において、経口ビタミンD受容体作動薬(VDRA)アルファカルシドールは、心血管イベントのリスクを低減しないことが、大阪市立大学大学院医学研究科の庄司 哲雄氏らが行った「J-DAVID試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年12月11日号に掲載された。慢性腎臓病患者は、ビタミンD活性化が障害されるため心血管リスクが増大する。血液透析患者の観察研究では、活性型ビタミンDステロールは、副甲状腺ホルモン(PTH)値にかかわらず、全死因死亡のリスクを抑制することが報告されている。VDRAの有効性を評価する日本の無作為化試験 J-DAVIDは、維持血液透析を受けているSHPTを伴わない患者における、VDRAの心血管イベントおよび総死亡の改善効果の評価を目的とする日本の多施設共同非盲検エンドポイント盲検化無作為化試験である(日本腎臓財団の助成による)。 対象は、年齢20~80歳の維持血液透析を受けている患者であった。血清インタクトPTH値は180pg/mL以下とした。 被験者は、アルファカルシドール0.5μgを毎日経口投与する介入群または非投与(対照)群に無作為に割り付けられた。全例が、診療ガイドラインで推奨される標準的な薬物療法を受けた。 主要アウトカムは、48ヵ月のフォローアップ期間中に発生した、(1)致死的または非致死的心血管イベント(心筋梗塞、うっ血性心不全による入院、脳卒中、大動脈解離/破裂、虚血による下肢切断、心臓突然死)、(2)冠動脈血行再建(バルーン血管形成術、ステント留置)またはバイパス移植術、(3)下肢動脈血行再建(バルーン血管形成術、ステント留置)またはバイパス移植術の複合とした。副次アウトカムは全死因死亡であった。心血管イベント、全死因死亡とも有意差なし 2008年8月18日~2011年1月26日の期間に、全国の108の透析施設で976例が登録された。964例(年齢中央値65歳、女性386例[40.0%])がintention-to-treat解析に含まれ、944例(97.9%)が試験を完遂した。フォローアップ期間中央値は4.0年だった。 心血管イベントの主要複合アウトカムは、介入群では488例中103例(21.1%)に発生し、対照群の476例中85例(17.9%)に比べむしろ高率であったが、両群間に有意な差は認めなかった(絶対差:3.25%、95%信頼区間[CI]:-1.75~8.24%、ハザード比[HR]:1.25、95%CI:0.94~1.67、p=0.13)。 全死因死亡の発生率は、介入群が18.2%と、対照群の16.8%よりも高かったが、有意差はみられなかった(HR:1.12、95%CI:0.83~1.52、p=0.46)。 主要複合アウトカムのうち、心血管イベント(HR:1.26、95%CI:0.88~1.79)、冠動脈血行再建/バイパス移植術(1.20、0.64~2.25)、下肢動脈血行再建/バイパス移植術(1.40、0.64~3.05)のいずれにも有意な差はなかった。また、主要複合アウトカムのHRは、per-protocol解析では1.32(0.96~1.82、p=0.09)、修正per-protocol解析では1.34(0.97~1.83、0.07)に上昇したが、いずれも有意差はなかった。 重篤な有害事象は、介入群では心血管関連が199例(40.8%)、感染症関連が64例(13.1%)、悪性腫瘍関連が22例(4.5%)に、対照群ではそれぞれ191例(40.1%)、63例(13.2%)、21例(4.4%)に認められた。 著者は、「これらの知見は、SHPTを伴わない維持血液透析患者におけるVDRAの使用を支持しない」と結論したうえで、既報の観察研究と異なる結果となった理由の1つとして、副甲状腺機能や骨代謝回転がVDRAの心血管作用を修飾する可能性に言及し、「VDRAは副甲状腺機能亢進症や骨代謝回転が亢進した患者に処方されるのに対し、本研究ではインタクトPTH≦180pg/mLの患者を対象としていることから、VDRAは骨からのリン/カルシウムの動員を抑制することでSHPTの患者にのみ便益をもたらしている可能性がある」と指摘している。

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がんの静脈血栓予防は必要かな?(解説:後藤信哉氏)-982

 日本では静脈血栓症が欧米に比較して圧倒的に少ない。遺伝子型として活性化プロテインC抵抗性を示す血液凝固因子のLeiden型変異がいないことが理由の1つと想定されるが、その他の生活習慣も寄与しているかもしれない。静脈血栓症の圧倒的多数には血栓性素因がある。日本の高齢者に初発の静脈血栓症を認めた場合には、悪性腫瘍が隠れている可能性が高い。静脈血栓症例に対する悪性腫瘍スクリーニングは重要である。 悪性腫瘍一般に予防的抗凝固療法を考える必要はない。本研究ではKhorana scoreを用いて血栓リスクの高いがん、血小板数、白血球数、BMIなどから静脈血栓リスクの高い症例を選別してランダム化比較試験を行った。ランダム化比較試験による「標準治療転換」の前には「標準治療」が確立されている必要がある。がんの症例の静脈血栓予防における標準治療は確立されていない。そこでプラセボとの比較試験になった。アピキサバンはXa阻害薬なので当然重篤な出血イベントを増加させた。血栓イベントも低下した。科学的には「アピキサバンは血栓リスクのある悪性腫瘍の症例にて重篤な出血イベントを減少させ、血栓イベントを低減させた」との結果を得た。もともと確立されていなかった「標準治療」が本研究により確立されたわけではない。ランダム化比較試験を計画するのであれば「標準治療を確立する」、ないし「標準治療を転換」すべくデザインを考えるべきである。

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