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ICUにおけるCandida aurisの集団発生と制圧(解説:吉田敦氏)-930

 英国・オックスフォード大学病院の神経ICUで、C. aurisの集団感染が発生し、アクティブサーベイランス、全ゲノム解析に基づく分子疫学、伝播要因の追究、制圧の過程が今回NEJM誌に報告された。多剤耐性を示す本菌の増加は世界中で報告されており、米国および英国は2016年6月にアラートを発したが1)、今回の事例はその前から始まっていたもので、最終的に皮膚体温計のリユースが最も疑われる結果となった。 オックスフォード大学病院では、上記のアラートを受け、過去にさかのぼって調査を行ったところ、2015年2月~2016年10月までに4人の保菌と5人の感染があったことが判明した。このうち8人は神経ICUに入室歴があったため、2016年10月24日から患者・環境のスクリーニング(神経ICU入室時、入室中および退室時の鼻・腋窩・鼠径・気管切開部・創部・尿の培養を含む)を開始した。同定は質量分析を用いて行い、培養陽性例をCase、培養陰性例をControlとする症例対照研究としてリスクファクターを解析した。さらに同一患者において、最初に分離された株と最後に分離された株、そして環境分離株について全ゲノムシークエンスを行い、分子系統的な関係を解析した。 最終的に2015年2月~2017年8月31日までの間に患者は70例となり、うち66例(94%)は神経ICUに入室歴のある患者であった。7例は侵襲性感染症(真菌血症、デバイス関連髄膜炎)を生じていた。保菌/感染のリスクファクターとしては、再使用可能な皮膚体温計(OR=6.80)、フルコナゾールの全身投与(OR=10.34)が最も高かった。ベッド周囲、接触面、器具、空気を中心とした環境培養ではほとんどは陰性であったが、皮膚体温計、パルスオキシメーターは陽性であった。感染対策としては複数を組み合わせるバンドル介入(隔離、コホート、表面・床の連日の清掃、空室の最終清掃など)を行ったものの、新規の検出は皮膚体温計の使用を中止した後でもしばらく認められ、やがて終息した。全ゲノム解析では、患者・環境分離株はすべて南アフリカクレードに属し、単一クラスターをなしていた。ゲノム変異から算出した進化速度から推定すると、このクラスターが出現した時期は2013年4月ごろであった。 Candida aurisが最初に分離されたのは、実は本邦であり、耳感染症の患者からであった(2009年新種提唱)2)。しかし後に侵襲性感染症・保菌例の増加が相次ぎ、さらにフルコナゾール、アムホテリシンBを含む多剤に耐性であること、バイオフィルムを産生し、医療関連感染症を生じやすいことが明らかになった。ただし本菌の同定は、検査室で行われてきた従来法ではほぼ困難で、質量分析や遺伝子同定といった方法に頼らねばならない。つまり「同定不明なCandidaが気付かれないうちに増加し、治療抵抗性の侵襲性感染症を生じたり、大規模発生に進展してしまう」危険性が非常に高い。このような中で本報告がなされたわけであるが、患者体表に付着させ、うまく消毒できない器具が媒介になっていたことは、思いがけない伝播経路の存在と、究明の重要性を強調するものであろう。本邦では最近2例目の報告がなされたが3)、認識と同定に至っていない例があることはほぼ確実であるにもかかわらず、実態についてほとんど確実な情報がない状況といえよう。確実な同定に基づいたサーベイランス、発生を想定した対策の立案が喫緊の課題である。

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第10回 内科クリニックからのミノサイクリン、レボフロキサシンの処方(前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?Mycoplasma pneumoniae(肺炎マイコプラズマ)・・・全員Bordetella pertussis(百日咳菌)・・・6名Chlamydophila pneumoniae(クラミジア・ニューモニエ)・・・4名Mycobacterium tuberculosis(結核菌)・・・3名マクロライド耐性の肺炎マイコプラズマ 奥村雪男さん(薬局)母子ともに急性の乾性咳嗽のみで他に目立った症状がないこと、およびテトラサイクリン、ニューキノロン系抗菌薬が選択されていることから、肺炎マイコプラズマ感染症、それもマクロライド耐性株による市中肺炎を想定しているのではないかと思います。「肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針」によれば、成人のマクロライド耐性マイコプラズマの第1選択はテトラサイクリンとされています。マイコプラズマと百日咳 中堅薬剤師さん(薬局)母子ともマイコプラズマか百日咳と予想します。しつこい乾性咳嗽(鎮咳薬が2週間も処方されていることから想像)もこれらの感染症の典型的症状だと思います。結核の可能性も わらび餅さん(病院)百日咳も考えましたが、普通に予防接種しているはずの13 歳がなる可能性は低いのではないでしょうか。症状からは結核も考えられますが、病歴など情報収集がもっと必要です。百日咳以外の可能性も? 清水直明さん(病院)発熱がなく2週間以上続く「カハっと乾いた咳」、「一度咳をし出すとなかなか止まらない」状態は、発作性けいれん性の咳嗽と考えられ、百日咳に特徴的な所見だと考えます。母親を含めた周囲の方にも咳嗽が見られることから、周囲への感染性が高い病原体であると予想されます。百日咳は基本再生産数(R0)※が16~21とされており、周囲へ感染させる確率がかなり高い疾患です。成人の百日咳の症状は小児ほど典型的ではないので、whoop(ゼーゼーとした息)が見られないのかもしれません。また、14日以上咳が続く成人の10~20%は百日咳だとも言われています。ただし、百日咳以外にもアデノウイルス、マイコプラズマ、クラミジアなどでも同様の症状が見られることがあるので、百日咳菌を含めたこれらが原因微生物の可能性が高いと予想します。※免疫を持たない人の集団の中に、感染者が1人入ったときに、何人感染するかを表した数で、この数値が高いほど感染力が高い。R0<1であれば、流行は自然と消失する。なお、インフルエンザはR0が2~3とされている。Q2 患者さんに確認することは?アレルギーやこれまでの投与歴など JITHURYOUさん(病院)母子ともにアトピー体質など含めたアレルギー、この処方に至るまでの投薬歴、ピロリ除菌中など含めた基礎疾患の有無、併用薬(間質性肺炎のリスク除外も含めて)、鳥接触歴を確認します。さらに、母親には妊娠の有無、子供には基礎疾患(喘息など)の有無、症状はいつからか、運動時など息苦しさや倦怠感の増強などがないかも合わせて確認します。併用薬・サプリメントについて  柏木紀久さん(薬局)車の運転や機械作業などをすることがあるか。ミノサイクリンやレボフロキサシンとの相互作用のあるサプリメントを含めた鉄、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの含有薬品の使用も確認します。結核の検査 ふな3さん(薬局)母には結核の検査を受けたか、結果確認の受診はいつかを聞きます。子にはNSAIDs などレボフロキサシンの併用注意薬の服用の有無、てんかん、痙攣などの既往、アレルギーを確認します。お薬手帳の確認 わらび餅さん(病院)母は前医での処方が何だったのか、お薬手帳などで確認したいです。Q3 疑義照会する?母の処方について疑義照会する・・・2人子の処方について疑義照会する・・・全員ミノサイクリンの用法 キャンプ人さん(病院)ミノサイクリンの副作用によるめまい感があるので、起床時から夕食後または眠前へ用法の変更を依頼します。疑義照会しない 中堅薬剤師さん(薬局)母については、第1選択はマクロライド系抗菌薬ですが、おそらく他で処方されて改善がないので第2 選択のミノサイクリンになったのでしょう。というわけで、疑義照会はしません。ミノサイクリン起床時服用の理由 ふな3さん(薬局)疑義照会はしません。ミノサイクリンが起床時となっているのは、相互作用が懸念される鉄剤や酸化マグネシウムを併用中などの理由があるのかもしれません。食事による相互作用も考えられるため、併用薬がなかったとしても、起床時で問題ないと思います。ミノサイクリンのあまりみない用法 中西剛明さん(薬局)母に関しては、疑義照会しません。初回200mgの用法は最近見かけませんが、PK-PD理論からしても、時間依存型、濃度依存型、どちらにも区分できない薬剤ですので、問題はないと考えます。加えて、2回目の服用法が添付文書通りなので、計算ずくの処方と考えます。起床時の服用も見かけませんが、食道刺激性があること、食物、特に乳製品との相互作用があることから、この服用法も理にかなっていると思います。レボフロキサシンは小児で禁忌 児玉暁人さん(病院)13歳は小児で禁忌にあたるので、レボフロキサシンについて疑義照会します。代替薬としてトスフロキサシン、ミノサイクリンがありますので、あえてレボフロキサシンでなくてもよいかと思います。キノロン系抗菌薬は切り札 キャンプ人さん(病院)最近の服用歴を確認して、前治療がなければマクロライド系抗菌薬がガイドラインなどで推奨されていることを伝えます。小児肺炎の各種原因菌の耐性化が進んでおり、レボフロキサシンはこれらの原因菌に対して良好な抗菌活性を示すため、キノロン系抗菌薬は小児(15 歳まで)では切り札としていることも伝えます。マクロライド系抗菌薬かミノサイクリンを提案 荒川隆之さん(病院)子に対して、医師がマイコプラズマを想定しているならクラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬、マクロライド耐性を危惧しているなら、母親と同じくミノサイクリンを提案します。ミノサイクリンの場合、歯牙着色などもあり8 才未満は特に注意なのですが、お子さんは13才ですので選択肢になると考えます。そもそも抗菌薬は必要か JITHURYOUさん(病院)子の抗菌薬投与の必要性を確認します。必要なら小児の適応があるノルフロキサシンやトスフロキサシンなどへの変更を提案します。咳自体はQOLを下げ、体力を消耗し飛沫感染リスクを上げることに加え、患者が投与を希望することがあり、心情的に鎮咳薬の必要性を感じます。効果不十分なら他の鎮咳薬も提案します。子の服薬アドヒアランスについて わらび餅さん(病院)体重56kgと言っても、まだ13歳。レボフロキサシンは禁忌であることを問い合わせる必要があります。処方医は一般内科なので、小児禁忌であることを知らないケースは有り得ます。ついでに、なぜ母と子で抗菌薬の選択が異なるのか、医師からその意図をききだしたいです。母の前医での処方がマクロライド系抗菌薬だったら、その効果不良(耐性)のためだと納得できます。子供だけがキノロン系抗菌薬になったのは、1日1回の服用で済むため、アドヒアランスを考慮しての選択かと思いました。学童が1日2~3回飲むのは、難しいこともありますが、母子でミノマイシンにしても1日2回になるだけで、アドヒアランスは維持できるものと思います。あくまで第1選択はマクロライド系抗菌薬 清水直明さん(病院)母と子は基本的に同じ病原体によって症状が出ていると考えられるので、同一の抗菌薬で様子を見てもよいのではないでしょうか。ミノサイクリン、レボフロキサシンともにマイコプラズマ、クラミジアなどの非定型菌にも効果があると思いますが、百日咳菌をカバーしていないので、これらをカバーするマクロライド系抗菌薬であるクラリスロマイシンやアジスロマイシンなどへの変更を打診します。マイコプラズマのマクロライド耐性化が問題になっていますが、それでも第1選択薬はマクロライド系抗菌薬です。13歳の小児にレボフロキサシン投与は添付文書上、禁忌とされていますが、アメリカでは安全かつ有効な他の選択肢がない場合、小児に対しても使用されているようです。前治療が不明なので何とも言えませんが、他の医療機関でマクロライド系抗菌薬の投与を「適正に」受けていたとすると、第2選択肢としてミノサイクリン、レボフロキサシン(15歳以上)が選択されることは妥当かもしれません。他の医療機関でマクロライド系抗菌薬の投与を「不適切に」(過少な投与量・投与期間)受けていたとすると、十分な投与量・投与期間で仕切り直してもよいのではないでしょうか。後編では、抗菌薬について患者さんに説明することは?、その他気付いたことを聞きます。

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日本人統合失調症患者の喫煙率に関する大規模コホートメタ解析

 統合失調症患者の喫煙は、世界的に一般集団と比較してより多くみられるが、日本での研究結果では矛盾が生じていた。最近では、一般集団の喫煙率は徐々に低下している。金沢医科大学の大井 一高氏らは、日本人の統合失調症患者を対象に、喫煙率の大規模コホートメタ解析を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年9月17日号の報告。 対象は、喫煙状況に関する日本の大規模コホートメタ解析より、統合失調症患者1,845例および一般集団19万6,845例、25年に及ぶ12件の研究より、統合失調症患者842例および精神医学的に健康な対照者766例(著者らの研究による、統合失調症患者301例および対照者131例を含む)。 主な結果は以下のとおり。・著者らのケースコントロールサンプルでは、統合失調症患者において、健康な対照者よりも有意に高い喫煙率が認められた(p=0.031)。・統合失調症患者のヘビースモーカーの割合(p=0.027)および1日の喫煙本数(p=0.0082)は、健康な対照者よりも有意に高かった。・統合失調症の喫煙者において、非定型抗精神病薬の投与量と1日の喫煙本数との間に正の相関が認められた(p=0.001)。・メタ解析では、統合失調症患者は男性(OR:1.53、p=0.035、統合失調症患者:52.9%、一般集団:40.1%)、女性(OR:2.40、p=0.0000108、統合失調症患者:24.4%、一般集団:11.8%)の両方において、一般集団よりも高い喫煙率が認められた。・男性の統合失調症患者は、男性の健康な対照者よりも高い喫煙率が認められたが(OR:2.84、p=0.00948、統合失調症患者:53.6%、健康な対照者:32.9%)、女性では統計学的に有意な差は認められなかった(OR:1.36、p=0.53、統合失調症患者:17.0%、健康な対照者:14.1%)。・男女両方において、統合失調症患者は、一般集団(OR:1.88、p=0.000026)および健康な対照者(OR:2.05、p=0.018)よりも高い喫煙率が認められた。・これらの割合は、患者が登録された年に影響を受けなかった(p>0.05)。・1日当たりの喫煙値は、統合失調症患者22.0、一般集団18.8であった。 著者らは「日本における10年以上のデータに基づくと、日本人の統合失調症患者は、一般集団および健康な対照者よりも、喫煙する可能性が約2倍高いことが示唆された」としている。■関連記事統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか統合失調症患者とタバコ、どのような影響を及ぼすのか?統合失調症発症予測に喫煙が関連

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大きく育て!次世代の健康医学のタネ~日本抗加齢医学会

 2018年9月27日、日本抗加齢医学会 広報委員会は、都内でメディアセミナーを開催し、ヘルスケアベンチャー大賞事業の創設と第1回の開催概要について説明を行った。 同学会には、約8,500人の学会員が所属し、学術集会も2019年で19回を迎える。わが国の高齢化にともない健康寿命をいかに延伸するかが課題となっているが、そのための医学的な解決を学会では研究している。 学会では、わが国の科学的競争力や経済力が低下していくことに鑑み、「医学会からのイノベーション」を合言葉に、今回の事業を創設。セミナーでは、大賞概要などについて説明が行われた。この大賞が大きな流れのスタート はじめに今回の大賞を発案し、担当するイノベーション委員会の委員長である坪田 一男氏(同学会 理事/慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授)が、「イノベーション委員会立ち上げとヘルスケアベンチャー大賞 事業の意義とは」をテーマにレクチャーを行った。 同氏は、わが国の経済成長率が鈍化・低迷する現状を説明、創薬ベンチャーの未成熟(開発品目数:アメリカ334、イギリス38、日本10)を指摘するとともに、今後のわが国の置かれる環境への危機感を示した。 そのうえで、わが国の将来にとって、「技術革新とビジネス化が掛け合わさることで『社会改革』を起こすイノベーションが必要だ」と語る。とくにイノベーションは大学発だけでなく、「個々人がWEBを武器に挑戦できる時代が到来した。こうした挑戦を応援するために、抗加齢医学会というシーズをもとに新しい可能性を拓くためにイノベーション委員会を立ちあげた」と委員会設立の経緯を語った。 すでに欧米をはじめとする先進国では、大学内に学部横断の組織があり、医療者が経営を学ぶなどの組織やカリキュラムができ、さまざまなベンチャー企業が誕生していることを紹介するとともに、わが国の後塵を拝する状況に警鐘を鳴らした。 おわりに同氏は、「健康医療の分野にイノベーションが求められている。この創出の流れを、大学ばかりでなく、医学会も推進する必要がある。とくに抗加齢医学領域は、今後大きなイノベーションが起きると考えられ、わが国発の産業に発展させることが大切。今回の大賞をロールモデルとして、大きな流れのスタートにしてほしい」と期待を示し、レクチャーを終えた。挑戦者が尊敬される社会 つぎに森下 竜一氏(同学会 副理事長/大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学寄附講座 教授)が、「本事業が求めるものと国の政策とは」をテーマに、産業としての医療の面などから、今回の大賞の意義を説明した。 ヘルスケア産業は、2000年に2.93兆米ドルだった産業規模が、2010年には6.43兆米ドルと拡大。世界人口の増加と高齢化により、今後も増大を続けていくと説明した。そして、政府も「健康・医療戦略推進本部」を設置し、「健康長寿社会の実現」は成長戦力の要と位置付け、医療分野の研究開発を政府一体で進めていくため、「健康医療戦略法」を制定し、「健康長寿産業の創出・活性化による経済の成長」を進める姿勢であることを説明した。具体的には、各種規制の緩和だけでなく、1,000億円にのぼる官民イノベーションプログラムの実施、診療報酬の改定などを実施していくことになるという。 最後に同氏は、「イノベーションがないと将来がない。わが国の大学もイノベーションを起こすだけでなく、欧米のようにベンチャー企業を創設し、パテントなどで自立化することも重要だ。挑戦者が尊敬される社会にならなければいけない」と語り、講演を終えた。 なお、本大賞は、2019年1月25日(金)まで募集されている。第1回 ヘルスケアベンチャー大賞の概要・募集テーマ 抗加齢を目的とした創薬、遺伝子治療、再生医療製品、機能性食品、機能性化粧品など、またはヘルスケアIT(ビッグデータ解析、ディープラーニング、ウェアラブルデバイスなど)の製品、ビジネスプラン・応募条件 応募者の内、最低1名は学会員、協会員、協会賛助企業、事業協賛企業が含まれていること(詳細は下記のWEBサイトを参照のこと)・スケジュール 応募締切:2019年1月25日(金)  最終選考:2019年6月14日(金)・賞金/副賞 賞金:大賞100万円 学会賞30万円 副賞:起業支援サービス/大学発新産業創出プログラムへの推薦など・最終選考/受賞会場 2019年6月14日(金)パシフィコ横浜 最終選考では5つのテーマを 5分間のピッチ方式で行い、最終選考を実施 (第19回日本抗加齢医学会総会会場にて発表)■参考第1回 ヘルスケアベンチャー大賞日本抗加齢医学会

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日本の高齢ドライバーの自動車事故死亡率

 近年、先進国では高齢ドライバーによる自動車事故が大幅に増加している。わが国の高齢ドライバーの自動車事故の傾向を京都府立大学の松山 匡氏らが日本外傷データバンク(Japan Trauma Data Bank: JTDB)を用いて調べたところ、65歳以上のドライバーによる自動車事故の割合は年々増加しており、75歳以上で院内死亡率が最も高いことがわかった。Medicine誌2018年9月号に掲載。 JTDBは国内256施設による外傷患者の前向き全国病院レジストリである。本研究では、2004~15年における法定運転年齢以上の自動車事故のドライバー全員を登録し、成人群(64歳以下)、前期高齢者群(65~74歳)、後期高齢者群(75歳以上)に分けて検討した。主要アウトカムは院内死亡率で、前期高齢者群または後期高齢者群による自動車事故割合の傾向を、コクラン・アーミテージ傾向検定を用いて評価した。また、成人群と比べた後期高齢者群と院内死亡率の関連を多変量ロジスティック回帰分析で評価した。 主な結果は以下のとおり。・調査期間中、合計23万6,698例の外傷患者が登録され、3万9,691例(16.8%)が評価対象となった。・65歳以上のドライバーによる自動車事故の割合は、2004年の11.7%から2015年には23.8%に有意に増加した(p<0.001)。・未補正の院内死亡率は年齢が上がるほど高かったが、どの年齢群も年々減少していた。・成人群より後期高齢者群で院内死亡率が有意に高かった(17.3%[584/3,372]vs.8.0%[2,556/31,985]、調整オッズ比:4.80、95%信頼区間:4.06~5.67)。

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マダニが媒介するライム病、最適な抗菌薬は?

 早期ライム病(LB)における遊走性紅斑の管理について、抗菌薬の種類や治療法の選択をめぐる論争がある。ドイツ・アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクのGabriel Torbahn氏らは、早期LBへの各種抗菌薬と治療法に対するすべての無作為化試験について、ネットワークメタアナリシス(NMA)を行った。その結果、抗菌薬の種類や治療法は、有効性および薬剤関連有害事象に寄与しないことが明らかになった。著者は、「今回の結果は、LB患者を治療する医師ならびに患者の意思決定にとって重要なものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年10月3日号掲載の報告。 研究グループは、MEDLINE、EmbaseおよびCochrane Central Register of Controlled Trialsを用い、2017年7月までに行われた試験を電子検索するとともに、それらに記載された参考論文も手動検索し、著者に連絡を取った。また、進行中の臨床試験はClinicalTrials.govにて検索した。特定された9,975報について、1人のレビュワーが論文タイトルとアブストラクトをスクリーニングした後、関連のある161報の全文を入手。2人のレビュワーが独立してそれらを評価し、データ抽出した。抽出データには、さまざまな用量や投与期間で抗菌薬による治療がなされ、内科医に早期と診断された成人が含まれていた。 主要評価項目は、治療反応性(症状消失)および治療関連有害事象とし、これらのNMAは、netmetaパッケージのRを用いて頻度論的統計で計算した。また、NMAのエビデンスの確実性を評価するためにGRADEを使用した。 主な結果は以下のとおり。・19件の研究(計2,532例)が解析に組み込まれた。・患者の平均年齢は37~56歳、女性患者の割合は36~60%であった。・調査に含まれていた抗菌薬は、ドキシサイクリン、セフロキシム アキセチル、セフトリアキソン、アモキシシリン、アジスロマイシン、penicillin Vおよびミノサイクリンであった。・NMAによる効果量は、抗菌薬の種類(例:アモキシシリンvs.ドキシサイクリンのオッズ比[OR]:1.26、95%信頼区間[CI]:0.41~3.87)、投与量もしくは投与期間(例:ドキシサイクリン200mg/日・3週間vs.同種同用量・2週間のOR:1.28、95%CI:0.49~3.34)による有意差はなかった。・治療開始後2ヵ月時(4%[95%CI:2~5%])および12ヵ月時(2%[95%CI:1~3%])のいずれにおいても、治療失敗はまれであった。・治療関連有害事象は概して軽度~中等度であり、効果量は抗菌薬の種類および治療法による差がなかった。・なお、研究の多くが、不正確、間接的、そして研究制限(バイアスリスクの高さ)により、エビデンスの確実性は低い、もしくは非常に低いに分類された。

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新種のカンジダ症、意外な感染経路/NEJM

 Candida aurisは、新興の多剤耐性病原体であり、2009年、日本で入院患者の外耳道から分離されたカンジダ属の新種である。2011年、韓国で院内の血流感染の原因として報告されて以降、多くの国や地域で相次いで集団発生が確認されており、集中治療室(ICU)でも頻繁に発生している。英国・オックスフォード大学病院のDavid W. Eyre氏らは、同大学関連病院のICUで発生したC. auris感染の集団発生の調査結果を、NEJM誌2018年10月4日号で報告した。約2.5年で70例が保菌または感染 研究チームは、オックスフォード大学関連病院の神経科学ICUでC. auris感染集団が同定された後、集中的な患者および環境のスクリーニングプログラムと、一連の感染制御のための介入を開始した(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 多変量ロジスティック回帰を用いて、C. aurisの保菌と感染の予測因子を特定。また、患者と環境からの分離株を、全ゲノムシークエンシングで解析した。 2015年2月2日~2017年8月31日の期間に、合計70例がC. aurisの保菌または感染患者として同定された。このうち66例(94%)は診断前に神経科学ICUに入室しており、診断までの在室期間中央値は8.4日(IQR:4.6~13.4)であった。他の3例は、診断前に隣接する神経科学病棟に入院しており、残りの1例は神経科学ICUにも病棟にも曝露していなかった。 侵襲性C. auris感染症は、7例で発症した。4例がカンジダ血症、3例は中枢神経系デバイス関連の髄膜炎(1例はカンジダ血症を伴っていた)であった。神経科学ICUにも病棟にも曝露していなかった1例では、整形外科デバイスによる感染が認められた。再使用が可能な腋窩温プローブが感染の予測因子に 多変量モデルでは、C. aurisの保菌または感染のリスクは、診断前の神経科学ICU在室期間が長くなるに従って増大し(p=0.001)、20日に達すると有意差はなくなった。同様に、好中球数が正常高値の場合に比べ、中等度の異常値に上昇すると、リスクは有意に増大した(p=0.01)。 さらに、C. aurisの保菌または感染の予測因子には、再使用が可能な皮膚表面腋窩の体温プローブの使用(多変量オッズ比:6.80、95%信頼区間[CI]:2.96~15.63、p<0.001)や、フルコナゾールの全身曝露(10.34、1.64~65.18、p=0.01)が含まれた。 C. aurisは、通常の環境ではほとんど検出されなかったが、複数の皮膚表面腋窩温プローブを含む再使用が可能な機器からの分離株では検出された。複数の感染制御のための介入を一括して行ったにもかかわらず、新規症例の発生が低下したのは、体温プローブの使用を中止した時だけだった。 すべての集団発生のシークエンスは、C. auris南アフリカクレード内の単一の遺伝子クラスターを形成した。シークエンスが決定された再使用機器からの分離株は、患者からの分離株と遺伝的に関連していた。 著者は、「この院内集団発生でのC. aurisの伝播には、再使用可能な腋窩温プローブとの関連を認めたことから、この新興病原体は環境内で生存し続け、医療環境下で感染する可能性があることが示された」としている。

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日本の常識、世界の常識(解説:野間重孝氏)-931

 2015年にLancet誌(オンライン版)に発表されたSCOT-HEART試験は、安定胸痛患者の管理に冠動脈造影CT(CTA)を利用することにより、診断精度、診断頻度を上げることができることを示したが、フォローアップ期間が短かったこともあり、非致死性・致死性心筋梗塞の発症頻度の低下を証明することはできなかった(低下傾向はみられたが統計学的有意差が得られなかった)。このことから、CTAの利用が非致死性・致死性心筋梗塞の発症を低下させることを示すことを主な目的として、同研究グループが前研究の参加者を対象に5年間(中間値で4.8年)の長期フォローを行ったのが本研究である。結果: 1. 主要評価項目の5年発生率は、標準治療群3.9%(81例)に対し、CTA群2.3%(48例)と、CTA群が有意に低いことが示された(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.41~0.84、p=0.004)。 2. 侵襲的冠動脈造影と冠血行再建術の実施率は、追跡開始当初の数ヵ月間はCTA群で標準治療群より高率だったが、5年時点では両群で同程度に認められた。 3. 一方で、予防療法や抗狭心症療法を開始した患者の割合は、CTA群が標準治療群より多かった。 4. 心血管系の原因による死亡、心血管以外の原因による死亡、全死因死亡の発生率は、いずれも両群で有意差は認められなかった。彼らの結論を要約すれば: 1. 安定胸痛の患者に対し、標準治療に加えCT冠動脈造影(CTA)を行うことで、5年間の非致死性・致死性心筋梗塞の発生リスクを約4割低下させることができる。 2. 一方、侵襲的冠動脈造影や冠血行再建術の5年実施率は、両群で有意差が認められなかった。 結論の1と2の関係に戸惑う人もいるかもしれない。実際率直な疑問として、冠動脈造影・血行再建の実施率に差がないのに、どうして非致死性・致死性心筋梗塞の発症に差がなかったんだろう、と素朴な疑問をお持ちになる方も多いのではないかと思う。 致死性心筋梗塞の発症、非致死性心筋梗塞の発症ともに、時間を追うごとに差が開いていっている。この差が約4割に達したのである。 侵襲的CAGの施行、血行再建の割合は両者で差がついていない。 なぜ差がつかなかったかについては、CTA非活用群では診断がきちんとなされないまま、フォローされているうちに非致死性・致死性心筋梗塞がどんどん発症してしまい、その結果としてこういう集団がフォローアップから脱落し、結果CAGや血行再建の頻度に差がでなかったと解釈されるのである。さらに、早期の血行再建だけではなく、診断確定の有無により両群で至適内科療法の実施状況に差があったことも当然挙げられなくてはならないだろう。 そんなに差がでるものか? フォローアップの姿勢に問題があったんじゃないのか? と思われる方もいらっしゃると思う。ここであらためてご注意したいのは、彼らがフォローしたのは“stable chest pain”であって“stable angina”ではないことで、実際、論文中で著者らが「おそらく半数は実際には有意な動脈硬化を持っていない可能性がある」という記述をしていることである。英国全体における虚血性心疾患の取り扱いがどうなっているかまでは言及できないが、少なくとも彼らが扱った集団のフォローアップ体制はその程度だったのであり、それは世界的にみても決して珍しいことではないのである。 一方、以上の結果をみて「なんだ、当たり前じゃないか」と思われる方も多いのではないかと思う。わが国においては心電図・胸部レントゲン写真・経胸壁心エコー図等のスクリーニング項目を一通りこなして、少し怪しいと思った患者に対してCTAを撮るのは当たり前になっている。以前は運動負荷が行われたが、現在では運動耐容量の不明な狭心症患者に対していきなり運動負荷検査を行うことは危険であり、運動負荷検査は(決まりきった健康診断のスクリーニングを除けば)すでに診断の確定した狭心症患者の運動耐容量の決定に用いられるほうが普通になっている。 しかし、わが国において以上は常識とされているが、日本以外の国においては必ずしもそうではないことには注意が必要である。日本はCTの普及率がOECD加盟国の中でも群を抜いた1位であり(世界CTの10台に1台はわが国にある)、簡単に造影CTができる環境にある。また健康保険制度が整備されているため、収入の低い人であってもCTやシンチグラムなどの高価な検査を受けることができる。さらに、わが国では患者はどの医療機関にも原則自由にアクセス可能である。これらは世界ではまれなことであることを認識しておかなければ、現在の日本の医療に対する評価を誤ることになる。 本研究はCTAの、というよりも虚血性心疾患の治療において、速やかかつ正確な診断がいかに重要であるかを示した論文として、重要な研究であると考える。さらにいえば、医療と医療費の問題についてあらためて考えさせられた論文であったともいえる。

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26)エアゾール製剤/発作時(メプチンエアー、ペロテック、サルタノール、アイロミール)【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、エアゾール製剤/発作時(メプチンエアー、ペロテック、サルタノール、アイロミール)の吸入手順を説明します。手順としては、キャップを外し、容器を数回振る→押しボタンが上になるよう、垂直に立てて持つ→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口を軽く噛んで、歯の隙間から空気が同時に入るようにくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、ボンベを1回押すと同時になるべく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→2回目の指示がある場合、もう1度はじめから繰り返す→うがいをする。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)エアゾール製剤/発作時(メプチンエアー、ペロテック、サルタノール、アイロミール)

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抗菌スペクトルが選択的で腸内細菌に影響しづらい感染性腸炎治療薬「ダフクリア錠200mg」【下平博士のDIノート】第11回

抗菌スペクトルが選択的で腸内細菌に影響しづらい感染性腸炎治療薬「ダフクリア錠200mg」今回は、「フィダキソマイシン錠(商品名:ダフクリア錠200mg)」を紹介します。本剤は、抗菌スペクトルが狭く、クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)に選択的に作用するため、腸内細菌に大きな影響を与えにくく、再発リスクの軽減が期待されています。<効能・効果>本剤に感性のクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)の適応で、2018年7月2日に承認され、2018年9月18日より販売されています。細菌RNAポリメラーゼを阻害することでクロストリジウム・ディフィシルをはじめとする一部のグラム陽性菌に抗菌活性を示しますが、ほとんどのグラム陰性菌に対しては抗菌活性を示しません。<用法・用量>通常、成人には、フィダキソマイシンとして1回200mgを1日2回経口投与します。本剤の投与期間は原則として10日間であり、この期間を超えて使用する場合はベネフィット・リスクを考慮して投与の継続を慎重に判断する必要があります。<副作用>米国の第III相臨床試験において、発現割合が1%以上であった副作用は、悪心2.3%、嘔吐1.0%、便秘1.3%、食欲不振1.3%、頭痛1.0%、浮動性めまい1.3%でした。<患者さんへの指導例>1.感染性腸炎の原因であるクロストリジウム・ディフィシルを殺菌する薬です。2.自分の判断で飲むのを止めてしまうと、現在の病気が治りにくくなったり、悪化したりする恐れがあるので、医師の指示があるまでは必ず続けてください。3.悪心、嘔吐、便秘などの症状が現れることがあります。症状が強く出るようであれば連絡してください。<Shimo's eyes>クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)は、抗菌スペクトルの広い抗菌薬の使用などによって、腸内細菌叢が撹乱されて菌交代症が生じ、C.difficileが過増殖して毒素を産生することで起こります。主な症状は下痢や腹痛、発熱などですが、致死的な病態にもなりえるため注意が必要です。また、C.difficileは偽膜性大腸炎の主要原因菌としても知られています。本剤は、18員環マクロライド骨格を持つ新しいクラスの抗菌薬であり、わが国の既存CDI治療薬であるメトロニダゾールやバンコマイシンとは異なる作用機序を有します。抗菌スペクトルが狭いため腸内細菌叢を撹乱しにくく、また、芽胞形成を抑制する作用や毒素産生を阻害する作用も併せ持つという特徴があります。2018年10月に公表された「Clostridioides(Clostridium)difficile感染症診療ガイドライン」では、「フィダキソマイシンを初発CDI患者の初期治療薬として使用すべきか?」というCQに対し、「使用しないことを弱く推奨する」としながらも、「ただし、海外CDI患者において、CDIの再発抑制および治癒維持に対して優れていることが示されており、国内CDI患者においても再発率はバンコマイシンよりも低く、治癒維持率はバンコマイシンよりも高かった。そのため、再発リスクの高い患者では初期治療薬として推奨できる」と記載されています。CDIは再発が起こりやすく、海外では抗菌薬治療を受けたCDI患者のうち、約25%が再発し、そのうち約45~65%がさらに再発を繰り返しているという報告があり、いかに再発を減らすかということが課題となっています。米国のCDI患者623例を対象とした第III相試験の副次評価項目として再発率が検討され、本剤群は15.7%、対照薬であるバンコマイシン群は25.1%であり、本剤群のCDI再発率が統計学的に有意に少ないことが認められています(p=0.0080)。そのため、65歳以上であったり、CDIを繰り返しているなどの再発リスク因子をもつ患者さんや、継続的に発生している施設などでは、本剤の治療による再発の抑制が期待されます。なお、本剤は2018年2月現在、55の国と地域で承認されており、欧州のガイドラインでは再発に、米国のガイドラインでは初感染および再発に本剤が推奨されています。医療施設におけるCDIの発生数減少は、抗菌薬適正使用支援チーム(AST:Antimicrobial Stewardship Team)の成果指標にもなっています。CDIの感染予防は、石鹸と流水による手指衛生が基本となります。芽胞にはアルコールが効かないため、便や陰部に触れる場合には、ディスポーザブルガウン・手袋や器具を使用するなど細心の注意を払い、環境消毒には1日1回以上の次亜塩素酸による消毒が必要です。■参考資料一般社団法人 日本感染症学会 Clostridioides(Clostridium)difficile感染症診療ガイドライン

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論文は風呂で読むべし、試してみなはれ!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第4回

第4回 論文は風呂で読むべし、試してみなはれ!「論文は風呂で読むのがイチバン!」と本心から思っております。コツを伝授いたしましょう。英語の論文を読みたくても、「集中できない」「時間がない」という方に超おすすめです。騙されたと思って試してみてください。騙されただけで終わる方もいるかもしれません。仕方ありません、お許しください。技術的な説明をします。何よりも必要なものは風呂のフタです。浴槽に渡しているフタをずらして人ひとり入れる隙間を確保します。フタにタオルを敷けば読書台の完成です。隙間から足を入れ上半身を出し、風呂のフタに両腕を置いて読みましょう。首まで浸かると息苦しく感じます。お湯の量を控えめにすると呼吸が楽に行えます。半身浴よりもお湯を少し多く溜めたくらいで試してください。温度は38~39度のぬるま湯が良いです。お気に入りの入浴剤を使えば、さらに効果はアップします! 私の場合、「登別カルルス」がベストだとお伝えしておきましょう。乳白色の湯から澄みきった大自然の香りがただよいます。読むべき論文は紙に印刷したものを持ち込みます。パソコンやタブレットでpdf化した論文を読む方も多いと思います。うっかり湯船の中に取り落とす危険があります。タブレット端末を風呂場で使うための防水ケースがありますが、水気を完全に防ぐことができるのか自信がありません。自分は紙派です。入浴後に湿気を吸ってベロベロになった論文はごみ箱にサヨナラします。論文の構造を見てみましょう。多くの場合、Title・Authors・Abstract・Introduction・Methods・Results・Discussion・Conclusionの順に書かれています。最初から順番に読むのはおすすめしません。まず、Titleをじっくり読みます。著者の意図が凝縮されているからです。次はAbstractではありません。もちろん、Abstractは簡潔かつ端的に論文全体を要約しています。しかし、おすすめは、Introductionの最後の段落を最初に読むことです。Introductionは、研究の背景、仮説、解決したい問題について詳述する部分で、読者を論文に惹きつけるための部分です。次に、Discussionの第1段落を読みます。この部分には、著者が一番訴えたい内容が凝縮して書かれていることが通常です。Abstractよりもポイントを絞った情報が凝縮されています。ここまで読んで、面白そうだなと思えば最初から通読します。興味が湧かなければここで作業は中止です。眼を閉じて瞑想しながらリラックスすることに専念しましょう。面白くない論文で貴重な入浴タイムを浪費するのは人生のロスです。興味ある論文を熟読しながら、ゆっくり入浴した後にはベッドで熟睡です。おやすみなさい。

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医師の企業からの金銭受け取り、容認患者は少ない

 2014年から米国では国家的プログラムとして、医師に対する医療関連の企業支払いデータをOpen Paymentsのデータベースにて公開している。これらのデータに関する患者の意見は、患者の懸念や、このような支払い報告の仕組みを改善する政策担当者の理解に役立つとして、米国・コロンビア大学医療センターのGregory E. Stein氏らは、Open Paymentsの情報に対する患者の認識について評価した。その結果、医師の企業からの金銭受け取りを認めないとする患者が多いこと、一方でOpen Paymentsのデータベースにアクセスしたことがある/するつもりがあると回答した患者は少数派であることが明らかになった。著者は、「今回の結果が他の設定条件下でも一般化できるものかどうか、さらなる調査が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年9月13日号掲載の報告。 ニューヨーク市マンハッタンの大学関連機関の眼科クリニック3施設において、アンケート調査に基づく横断研究が行われた。対象は予約を待っていた18歳以上の全患者で、Open Paymentsに関する27の質問に対して、英語またはスペイン語で回答した。また、併せて人口統計情報も収集した。これらの調査データを2016年1~6月に収集し、同年6~9月に分析した。 主要評価項目は、Open Paymentsのデータベースについての患者の認識、ならびに医師の金銭的関係への容認とした。調査の質問項目をクロンバックのα係数にて、患者背景と回答の関連性をポアソン回帰分析にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・調査参加者は407例で、平均年齢±SDは58.8±17.9歳、女性が220例(54.2%)であった。・Open Paymentsのデータベースについて知っていたのは30例(7.3%、95%信頼区間[CI]:5.1~19.4)で、アクセスするつもりと回答したのは109例(26.8%、95%CI:24.8~34.0)であった。・半数以上の212例(53.5%、95%CI:48.6~58.5)は、担当医が企業から金銭を受け取っているかを知りたいと回答した。・どのような支払いにおいても100ドル相当の授受に難色を示した回答は161例(41.9%、95%CI:37.0~46.9)、同様に500ドルでは178例(45.8%、95%CI:40.8~50.7)、2万5,000ドルでは221例(57.0%、95%CI:52.0~61.9%)であった。・ポアソン回帰分析の結果、使用言語がスペイン語の回答では英語の回答と比較して、医師の金銭受け取りへの容認が38%高いことが示唆された(発生率比[IRR]:1.38、95%CI:1.19~1.59、p<0.001)。・年齢が1歳上がるごとに、医師の金銭受け取りへの容認は1%減少することが示唆された(IRR:0.995、95%CI:0.99~1.00、p=0.007)。・大学卒業の調査参加者では、高校卒業以下と比較して、医師の金銭受け取りへの容認は20%低かった(IRR:0.80、95%CI:0.66~0.97、p=0.02)。

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認知症と自殺との関係

 認知症と診断された患者における自殺念慮の存在、促進因子、保護因子について、英国・プリマス大学のGary Hodge氏が、文献レビューおよびデータ統合を行った。本レビューでは、どのような因子が自殺念慮のリスク上昇に影響を及ぼすかを考慮し、認知症での死亡を議論する際、選択の道徳性と倫理性への反映を試みた。Dementia(London, England)誌オンライン版2018年9月14日号の報告。 認知症における自殺念慮に関連するデータを判断するため、批判的な解釈統合モデルを用いた。サンプルフレームを用いて、抽出されたデータの品質と関連性を評価し、批判的な解釈統合を構築した。8つの主要論文よりデータ抽出を行った。 主な結果は以下のとおり。・本レビューおよびデータ統合は8つの統合結果から構築され、2つの結論が導き出された。・第1に、認知症および臨床的うつ症状と診断された患者において、自殺念慮のリスクが大幅に増加していた。・第2に、認知症と診断された患者とその家族において、終末期の話し合いが一般的に行われていた。 著者らは「死、とくに自殺念慮についての話し合いは難しいテーマであるが、認知症診断により複雑さが増したとしても、死についての話し合いは可能である。しかし、これらの会話は、個別化と慎重さが必要である。そして、本人の病前希望、事前の決定や選択を尊重し、“生きる権利”と“死ぬ権利”について、継続的に話し合う必要もある」としながら、「これらの話し合いを始める前に、新規および早期の認知症診断などの自殺念慮のリスク要因やうつ病などの精神的な合併症を認識し、対処する必要がある」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているか

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もっと気軽に使う漢方薬のススメ

 2018年9月20日、Kampo academiaは第5回となるプレスセミナーを都内で開催した。今回は、「『風邪には葛根湯!?』漢方医学の視点から診る風邪治療 漢方って何だろうー和漢と中医学、そして風邪」をテーマに、身近な漢方薬の使い方について講演が行われた。年齢別の風邪への漢方薬処方 セミナーでは新見 正則氏(愛誠病院 顧問/帝京大学医学部外科 准教授/帝京大学大学院医学研究科移植免疫学/同 東洋医学 指導教授)を講師に迎え、前述のテーマでレクチャーが行われた。 わが国での漢方の概念は、大きく分けて「フローチャート」「和漢」「中医学」と3つがあると同氏は私見としつつ示した。「フローチャート」では西洋医学的に症状から漢方薬を決める。「和漢」では症状、腹診、舌診などから漢方薬を決める。「中医学」では症状、望診、聞診などの四診の次に証候名を決め、さらに治法を決め、方剤の決定にいたるというおのおの異なるプロセスだと説明した。 そして、漢方薬を使うのであれば、簡単なやり方、つまり「フローチャート」から使用する漢方薬処方を同氏は薦めている。同氏は、この考え方を「モダン・カンポウ」と名付けて、現在広く啓発を行っているという。 モダン・カンポウの特徴として、漢方特有の診療ではなく、西洋医学的な診断をすること、漢方薬を気軽に使い、効果がない、有害な場合はすぐ止めることができること、患者の満足度が高いことなどを挙げる。たとえば、風邪症状を訴える患者に対して「葛根湯(カッコントウ)」は広く使われているが、本当に風邪かどうかの試薬にもなる。効果があれば風邪症状の改善に、なければ風邪以外の診断へと進むことができるとし、診断の助けになる漢方薬の使い方を説明した。また、患者年齢ごとの使用例として、若年女性には「麻黄湯(マオウトウ)」、中年男性には「葛根湯」から「柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)」そして「小柴胡湯(ショウサイコトウ)+麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)」へ、中年女性には「麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)」から「桂枝湯(ケイシトウ)+麻黄附子細辛湯」そして「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)+麻黄附子細辛湯」、高齢女性には「香蘇散(コウソサン)」から「参蘇飲(ジンソイン)」などを紹介した。 そのほか、漢方薬の臨床研究についても言及し、「補中益気湯」のインフルエンザへの予防効果について、内服群(n=179)と非内服群(n=179)に分けて8週間観察したところ、内服群では1例が、非内服群では7例がインフルエンザに罹患し、「補中益気湯」で予防できる可能性があるという1)。漢方薬使用の5つの効用 伝統漢方とモダン・カンポウの違いについて、同氏は次のように説明する。 伝統漢方では、漢方医が処方し、おもに煎じ薬を用いている。すべての疾患を対象に、膨大な古典の知識に基づき漢方診療を行い、長年の経験が必要とされるが、有効性は比較的高いのが特徴である。 一方、モダン・カンポウでは、西洋医が処方し、エキス剤を使用する。西洋医学で治療効果のないものをターゲットに、古典を参考にしつつ、漢方診療を行う(しかし漢方診療は必須ではない)。明日からでも処方ができ、効果がみられなければ順次処方変更ができるのが特徴という。 実際、「伝統漢方を行うとなると、膨大な知識・学習量が必要であり、漢方薬を使うことに二の足を踏んでしまう」と同氏は私見としながらも指摘する一方で、「漢方薬を使うことで『患者が喜ぶ』『外来が楽しい』『患者が離れない』『医療費の削減になる』『リスク管理になる』などの理由で漢方薬を使われた先生で止めた人はいない。漢方薬に身構えず使ってほしい」と自身の経験も含めて、漢方薬処方への思いを語った。 おわりに同氏は、「漢方薬は、西洋医学以外で唯一保険適用されている薬。問題があればすぐ止めることができる。生薬の足し算の英知である漢方薬を気軽に処方してもらいたい」と期待をのべ、講演を終えた。■参考1) Niimi M. BMJ. 2009;339:b5213.

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潜在性甲状腺機能低下症へのホルモン療法、最新メタ解析結果/JAMA

 潜在性甲状腺機能低下症患者への甲状腺ホルモン療法の便益は不明とされる。スイス・ベルン大学病院のMartin Feller氏らは、成人患者において甲状腺ホルモン療法の有効性を検討し、一般的なQOLや甲状腺関連症状の改善効果はみられないことを示した。研究の成果は、JAMA誌2018年10月2日号に掲載された。潜在性甲状腺機能低下症は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)高値と遊離サイロキシン(FT4)正常範囲内で定義され、とくに甲状腺機能低下症に起因する可能性がある症状(疲労感、便秘、原因不明の体重増加など)を伴う場合は、甲状腺ホルモン(レボチロキシン)による治療が行われることが多い。最近、2つの大規模臨床試験の結果が報告されたことから、これらを含めたメタ解析のアップデートが求められていた。プラセボ/無治療と比較した無作為化試験が対象 研究グループは、潜在性甲状腺機能低下症の成人患者において、甲状腺ホルモン療法とQOLおよび甲状腺関連症状との関連を評価するメタ解析を行った(スイス国立科学財団[SNSF]の助成による)。 2018年7月4日までに医学関連データベースに登録された文献を検索した。潜在性甲状腺機能低下症の妊娠していない成人患者において、甲状腺ホルモン療法をプラセボまたは無治療と比較した無作為化臨床試験の論文を対象とした。 主要アウトカムは、フォローアップ期間3ヵ月以上における一般的なQOLおよび甲状腺関連症状であった。各評価項目の臨床スコアの差を標準化平均差(SMD)に変換。SMDが正数の場合に、甲状腺ホルモン療法が便益をもたらしたことを示し、0.2を小さな効果、0.5を中等度の効果、0.8を大きな効果の基準とした。 日本の1件を含む21件の試験の論文(2,192例)が解析の対象となった。甲状腺ホルモン療法は、レボチロキシンが17件、サイロキシンが4件で使用され、対照群は、プラセボが18件、無治療が3件だった。倦怠感/疲労感、うつ症状、認知機能、血圧、BMIにも差はない 各試験の参加者数には20~737例の幅があり、平均年齢は32~74歳、女性の割合は46~100%、ベースラインの甲状腺刺激ホルモンの平均値は4.4~12.8mIU/Lの範囲であった。平均治療期間は3~18ヵ月だった。 甲状腺ホルモン療法群では、フォローアップ終了時の甲状腺刺激ホルモンの平均値は0.5~3.7mIU/Lであり、治療により正常化したのに対し、プラセボ/無治療群では、4.6~14.7mIU/Lと、高値の状態が続いていた。 これに対し、一般的QOLの評価(4試験、796例)では、甲状腺ホルモン療法群はプラセボ/無治療群に比べ便益を認めなかった(SMD:-0.11、95%信頼区間[CI]:-0.25~0.03、I2=66.7%)。また、甲状腺関連症状(4試験、858例)についても、甲状腺ホルモン療法群に統計学的に有意な便益はみられなかった(0.01、-0.12~0.14、0.0%)。 倦怠感/疲労感(1試験、638例、SMD:−0.01、95%CI:−0.16~0.15)、うつ症状(4試験、278例、-0.10、-0.34~0.13、I2=0.0%)、認知機能(4試験、859例、0.09、-0.05~0.22、14.7%)、収縮期血圧(8試験、1,372例、-0.7、-2.6~1.2、0.0%)、BMI(15試験、1,633例、0.2、-0.4~0.8、45.5%)のいずれにおいても、両群間に有意な差はなかった。 全般的に、試験のバイアスのリスクは低く、GRADE toolで評価した評価項目のエビデンスの質は中等度~高度と判定された。 著者は、「これらの知見は、潜在性甲状腺機能低下症の成人患者への甲状腺ホルモン療法のルーチンの使用を支持しない」としている。

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臨床試験サイトへ事前登録したら、結果の報告義務のあることを覚えておこう(解説:折笠秀樹氏)-929

 EU臨床試験サイト(EUCTR)は事前登録サイトの1つである。そこでは、試験終了後12ヵ月以内に結果を報告することが義務付けられている。ネットから結果の欄へ書き込むことが求められているのだ。EUCTRには3万1,818試験が登録されており、報告期限を過ぎている臨床試験7,274試験を今回調べたようである。EUCTRへの結果報告を順守していたのは、ほぼ半数の49.5%にすぎなかった。順守していないのはなぜだろうか。これは類推になるが、ほとんどが怠惰か失念ではないだろうか。サイトに結果報告の記入がなければ、学会発表も論文もないことを意味するわけではない。試験状況を「終了(all completed)」とチェックしているのだから、学会発表や論文執筆を通じて公表はしていると思いたい。サイトに要約した結果を書くのは面倒くさいだけと信じたい。 ヘルシンキ宣言によると、「研究者は、人間を対象とする研究の結果を一般的に公表する義務を有し報告書の完全性と正確性に説明責任を負う。」と書かれている(http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdfの第36項)。すなわち、研究結果を公表することは研究者の義務なのである。それは結果のいかんによらない。 順守率の要因分析結果へ移ろう。企業主宰(スポンサー)の試験では68.1%と高かった。また、登録実績のある機関(274件以上)では77.9%と高かった。日本企業別で見ると、第一三共100%、大塚96.3%、武田95.7%、エーザイ92.3%であり、平均の49.5%に比べてきわめて高い順守率であった。一方で、大学の研究者主導試験では、きわめて順守率が低かった。これは何を意味しているのだろうか。企業には監査などがあり、部署も決まっていたりと、その業務を遂行する体制が確立しているためだろう。実績ある機関もすでに慣行化されており、業務体制が確立しているためだろう。一方で、大学の研究者は一般的にまめでなく、業務体制や監査などもしっかりしていないことが多いためと思われる。

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第9回 コーチングから学ぶ、目標を実現するために大切なこと【週刊・川添ラヂオ】

動画解説現在コーチングセミナーを行っている川添先生。先生がコーチングスキルを学んだ時、講師に叶えたい目標を聞かれたそうです。先生の答えは「ハーレーに乗って阿蘇でツーリングをしてソフトクリームを食べること!」。この具体的でわくわくするような目標設定こそ、コーチングの要。あなたの今の目標を必ず実現させる方法を伝授します!

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メディカル・アフェアーズの役割は医療と製薬産業の橋渡し

 2018年9月29日に開催された第9回日本製薬医学会年次大会において、製薬企業におけるメディカルアフェアーズ(MA)とメディカルサイエンスリエゾン(MSL)の役割や期待に対する葛藤などについて、西村 剛氏(大日本住友製薬)、柴 英幸氏(アストラゼネカ社)、松本 志保氏(武田薬品工業)、向井 陽美氏(アッヴィ合同会社)が発表した。メディカルアフェアーズが正しい臨床情報を創出 MAとは、セールスの評価を伴わず、自社製品における適正使用の推進や正しい臨床成績を出すための製薬企業の一部門である。医薬品は製剤情報をはじめ、市販後の情報が追加・付加されることで価値が高まっていく。創出した医学情報は治療の選択肢を増やすことにつながり、医療従事者や患者にとってメリットになる。そのため正しい臨床情報を創出することが重要である。 ところが、マーケティング&セールスの中でそれらに従事すると、正しい医学情報が創出しづらくなる。これを防ぐために、製品販売活動を担当する部署から独立したMA部門が、医学的または科学的な知識をベースに、医師などの医療従事者に必要な情報を創出、提供し、自社製品の医療価値を最大化させる。そうした部門のなかで、MSLは医学的・科学的な面から製品の適正使用や製品価値の至適化などを推進する役割を担っている。 近年では、社外での医学専門家、研究者等との医学的・科学的な議論や学会活動等を通じて、アンメットメディカルニーズ(UMN)の解決に寄与している。メディカルアフェアーズの存在意義 自社のMA部設立当時から関わる西村氏は、現在のMAにおける課題を提示。「社内ステークホルダーにおいては期待と失望がみられるが、MA部門を確立するにあたっては、まずは社外ステークホルダーを優先して取り組み、信頼性の回復・向上、及び医療の質的向上への貢献を目指してきた。一例として、学会におけるタイムリ-な発表や論文投稿を積極的に行なっている」とコメントした。 続いて、松本氏がMSLの3つの役割(医師との医科学的交流、社内ステークホルダーへの貢献、エビデンスの創出)を示し、「活動のゴールを苦しんでいる患者におくことで、本当のUMNに触れるのではないか」と提言した。 社内のステークホルダーに焦点を置いて講演を行なった柴氏によると、「MSLの活動のゴールに対する認識に、営業を含む社内関連部署側と齟齬が生じることがある。MSLが出せる価値を認識してもらい、高いレベルでの情報提供や臨床研究に関わる適切な対応や運用/管理が達成されれば信頼関係が築ける」と述べ「ステークホルダーの方々の活動をどうサポートできるかだけに価値を見いだすのではなく、われわれMSLの活動結果自体が企業のゴールにどのような価値をもらたすのかを認知してもらうことが重要」と、MSL主体の行動が要であると強調した。これに関して、向井氏も「MSLは外にいれば良いわけではなく、自分たち自身の戦略・計画に対して理解し関わることが必要」とコメントした。 時には面会の際にMRと勘違いされるMSL。そんな彼らは臨床研究になくてはならない存在である。そして、臨床研究法が施行された今、MSLの活躍は益々期待される。“MSLです”と紹介された際には、MSLの役割や職務をぜひ思い出してほしい。

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統合失調症または双極性障害患者におけるアリピプラゾール経口剤と持効性注射剤の服薬アドヒアランスの比較

 リアルワールドにおける統合失調症または双極I型障害患者(BD-I)に対する長時間作用型持効性注射剤抗精神病薬(とくに、アリピプラゾール持効性注射剤月1回製剤400mg[AOM400]のような新規薬剤)と経口抗精神病薬のアドヒアランスを比較した研究は、あまり行われていない。米国・Partnership for Health Analytic ResearchのTingjian Yan氏らは、アリピプラゾールの経口剤と持効性注射剤の服薬アドヒアランスについて、比較を行った。Advances in Therapy誌オンライン版2018年9月11日号の報告。 2012年1月~2016年6月までのTruven MarketScanデータを用いた2つのレトロスペクティブコホート分析より、AOM400による治療を受けたか経口抗精神病薬単独療法から他の治療に移行した、統合失調症またはBD-I患者を抽出し服薬アドヒアランスと服薬中止について比較を行った。アドヒアランスは、調査開始から1年間における服薬日数の割合(PDC)0.8以上と定義した。AOM400および経口抗精神病薬と服薬アドヒアランスとの関連は、線形回帰モデルを用いて調べた。服薬中止までの時間およびリスクは、ベースライン時の共変量で調整した後、Kaplan-Meier曲線およびCox回帰を用いて推定した。マッチしたコホートを作成するため、傾向スコアマッチングと完全一致マッチングを組み合わせて感度分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・最終コホートサイズは、統合失調症患者ではAOM400群408例、経口抗精神病薬群3,361例、BD-I患者ではAOM400群413例、経口抗精神病薬群1万5,534例であった。・統合失調症患者の調整平均PDCは、AOM400群が経口抗精神病薬群より高く(0.57 vs.0.48、p<0.001)、服薬中止リスクは、AOM400群より経口抗精神病薬群が高かった(ハザード比[HR]:1.45、95%信頼区間[CI]:1.29~1.64)。・BD-I患者の調整平均PDCについても、AOM400群が経口抗精神病薬群より高かった(0.59 vs.0.44、p<0.001)が、服薬中止リスクに関しては、経口抗精神病薬群がAOM400群より高かった(HR:1.71、95%CI:1.53~1.92)。 著者らは「リアルワールドにおいて、統合失調症またはBD-I患者に対するAOM400治療は、経口抗精神病薬治療と比較し、PDC0.8以上の服薬アドヒアランス良好な割合が有意に高く、治療中止までの期間も有意に延長された」としている。■関連記事抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのか実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット持効性注射剤と経口薬の比較分析、どんなメリットがあるか

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