サイト内検索|page:1007

検索結果 合計:36559件 表示位置:20121 - 20140

20121.

第16回 発熱の症例・全てのバイタルが異常。何を疑う?-3【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

今回の症例は、発熱を来した症例です。発熱のため受診される高齢者は少なくありませんが、なかには早期に治療を開始しないと生命にかかわる場合もあります。患者さんDの場合◎経過──3家族の到着後、医師・訪問看護師、施設の職員とあなたは、家族とよく相談して、近隣の救急病院に救急搬送することにしました。その晩、帰宅したあなたは、SIRSと敗血症について調べてみました。「サーズ、サーズっと。あら?SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome;重症急性呼吸器症候群)とは違うのね?」教科書を読むと、細菌毒素などにより様々なサイトカインや血管拡張物質が放出されて末梢血管抵抗が低下し、相対的に循環血液量が減少することで血圧が低下、臓器への低灌流や臓器障害を来すことが書かれていました。臓器への低灌流や臓器障害を来している場合は重症敗血症(severe sepsis)」と呼ばれ、適切な補液を行っても改善しない血圧低下があること、血圧を維持するためにドパミンやノルアドレナリンなどの昇圧薬を必要とする場合には「敗血症性ショック(septic shock)」といわれること、さらに循環動態を安定化させるための初期治療(Early Goal Directed Therapy; EGDT)について学びました。「すぐに点滴を始めたのは、このためだったのね」敗血症診療ガイドライン2016(J-SSCG2016)と新しい敗血症の定義つい最近、敗血症診療ガイドラインが新しくなったのをご存知ですか?新しいガイドラインでは敗血症の定義は「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態」と変更されました。敗血症の病態について、「感染症による全身性炎症反応症候群」という考え方から、「感染症による臓器障害」に視点が移されたわけです(図2)。本文の「経過3」には「臓器への低灌流や臓器障害を来している場合は『重症敗血症』と呼れ・・・」とありますが、この以前の重症敗血症が今回の敗血症になりました。また、敗血症性ショックの診断基準は、「適切な輸液にもかかわらず血圧を維持するために循環作動薬を必要とし、『かつ血清乳酸値>2mmol/Lを認める』」となりました。そこで何か感じませんか?そうなんです、敗血症の定義からSIRSがなくなったんです。SIRSは体温・脈拍数・呼吸数・白血球数から診断できますね。新しい敗血症はバイタルサインからその徴候に気付くことができるのでしょうか・・・。敗血症の診断「感染症によって臓器障害が引き起こされた状態」が新しい敗血症の定義でしたね。そこで、どうしたら臓器障害がわかるんだろうという疑問が出てきます。臓器障害は「SOFA(sequential organ failure assessment)スコア」によって判断します(表4)。感染症があり、SOFAスコアが以前と比べて2点以上上昇していた場合に臓器障害があると判断して、敗血症と診断します。この表をみるとすぐに点数を付けるのは難しいな・・・と思いますよね。そこで、救急外来などではqSOFA(quick SOFA)を使用します(表5)。意識の変容・呼吸数(≧22回/分)・収縮期血圧(≦100mmHg)の3項目のうち2項目以上を満たすときに敗血症を疑います。ガイドラインが新しくなったといっても、やはりバイタルサインによって敗血症かどうか疑うことができますね。敗血症が疑われたら、その次にSOFAスコアを評価して、敗血症と診断するわけです。具体的な診断の流れを図に示します(図3)。スライドを拡大するスライドを拡大するEGDT(Early Goal Directed Therapy)についてEGDTは、中心静脈圧・平均動脈圧などを指標にしながら、補液・循環作動薬などを使用して、尿量・血中乳酸値などを早期に改善しようとする治療法ですが、近年の臨床試験ではEGDTを遵守しても有益性は見いだせなかったという結果が得られました。ただ、敗血症性ショックに対する初期治療の一つは補液であることにかわりはありません。時の流れでガイドラインが変わっても患者さんを診るときにバイタルサインが重要なことは変わっていないようですね。エピローグ救急搬送先の病院で細菌学的検査、抗菌薬の投与、およびドブタミン、ノルアドレナリンによる治療が行われました。敗血症性ショックでした。約3週間が経ち、退院後にあなたが訪問すると、その91歳の女性は以前と同じようにベッドの上に寝ていました。以前と同じように寝たきりの状態で、以前と同じように職員の介助で何とか食事をしていました。本人の家族(長男)に新しく処方された薬について説明する機会がありました。ベッドサイドで長男と話をしていると、普段無表情な本人が、長男が来ているところを見て少しニコッと微笑んだように見えました。五感を駆使して、患者さんの状態を感じとる今回のポイントは、敗血症とSIRSの概念を知り、急を要する発熱を見極めることができるようになることでした。それともう1つ、今回のあなたは五感を駆使して患者さんの状態を知ろうとしました。ぐったりしているところや呼吸の状態を"視て"、呼吸が速い様子(息づかい)を耳で"聴き"ながら、手や手首を"触れて"体温や脈の状態を確認しました(味覚と嗅覚が入っていないなんて言わないでくださいね)。緊急度を素早く察知する手段のひとつですから、バイタルサインと併せて患者さんを注意して観察するとよいと思います。

20122.

VT/VFに対するランジオロールの試験結果が発表/日本循環器学会

 短時間作用型β1選択的遮断薬ランジオロール(商品名:オノアクト)に対し、2019年3月に「生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合:心室細動、血行動態不安定な心室頻拍」の効能が追加承認された。 その根拠となった後期第II相/第III相試験[J-LandII study]の結果が、第83回日本循環器学会学術集会(2019年3月29~31日)で発表された。発表者は、東京女子医科大学循環器内科、志賀剛氏。ランジオロールの投与量は10μg/kg/分以下が90% J-LandII studyは、III群抗不整脈薬を使用しているにも関わらず血行動態が不安定な心室頻拍(VT)/心室細動(VF)を呈する患者を対象に、ランジオロールの有効性と安全性を検討した多施設共同非盲検非対称試験である。主要評価項目には、有効性評価期間(1-49時間)における血行動態不安定なVTあるいはVFの非再発率が設定された。 対象患者を電気ショックなどにより洞調律復帰した後、ランジオロール 1μg/kg/分にて静脈内持続投与を開始し、用量設定期間(0~1時間)は10μg/kg/分まで、有効性評価期間(1~49時間)は40μg/kg/分まで増量可能とした。ランジオロールの平均投与量は、用量設定期間4.3±1.7μg/kg/分、必須投与期間(0-49時間) 8.5±5.2μg/kg/分であった。また、必須投与期間終了時(49時間)におけるランジオロールの投与量は、10μg/kg/分未満が18例(62%)、10μg/kg/分が8例(28%)、10μg/kg/分以上が3例(10%)だった。 39の登録症例のうち、安全性解析対象には29例、有効性解析対象には27例が用いられた。ランジオロール投与によるVT/VFの非再発率は約80% ランジオロールの主要評価項目である「有効性評価期間(1-49時間)における血行動態不安定なVTあるいはVFの非再発率」は、78%であった。演者の志賀氏は、VT/VFの非再発率は「当初45~65%と予測していたが、約80%という数字は予想をはるかに上回る素晴らしい成績だ」と強調した。なお、試験開始前の閾値有効率は20%に設定されていた。 本試験において有害事象は、29例中21例(72.4%)、副作用は10例(34%)に認められた。主な副作用は低血圧6例(21%)であったが、いずれもランジオロールの減量または中止により回復したという。

20123.

小児におけるリスペリドン使用関連有害事象

 リスペリドンは、小児の行動障害によく使用されるが、この集団における薬剤関連有害事象の定義は、あいまいである。米国・ヴァンダービルト大学のKazeem A. Oshikoya氏らは、リスペリドン治療を受けた小児における有害事象発生率およびリスク因子について検討を行った。Drugs-Real World Outcomes誌オンライン版2019年3月27日号の報告。 ジェネラリストおよび小児科専門医が所属する学術医療センターで、4週間以上のリスペリドン治療を受けた18歳以下の患者を対象とした。非特定化された電子健康記録よりデータを収集した。有害事象は、患者または親/保護者からの報告および、医師による発見もしくは研究室でのフォロー中に検出された、リスペリドンに起因する害のあるあらゆるイベントと定義した。有害事象と臨床変数との関連は、単変量および多変量解析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、371例(年齢中央値:7.8歳[四分位範囲:5.9~10.2]、男児:271例[73.0%])であった。・最も一般的な診断は、注意欠如多動症(160例[43.1%])と自閉症(102例[27.5%])であった。・リスペリドンのターゲット症状は、攻撃性(166例[44.7%])および問題行動(114例[30.7%])であった。・有害事象は、110例(29.6%)で156件認められた。・そのうち、最も一般的な有害事象は、体重増加(32件[20.5%])および錐体外路症状(23件、14.7%)であった。・攻撃性、過敏性、自傷行為は、有害事象と正の相関が認められ、鎮痛薬と抗菌薬の併用と負の相関が認められた。・多変量解析では、この関連性は、自傷行為(調整オッズ比:3.1、95%CI:1.7~5.4)および抗菌薬の併用(調整オッズ比:0.2、95%CI:0.1~0.9)において有意なままであった。 著者らは「1ヵ月以上のリスペリドン治療により、小児の3人に1人が1つ以上の有害事象を経験した。自傷行為を有する小児では、とくに注意が必要である」としている。■関連記事小児攻撃性に対する抗精神病薬の効果~メタ解析自閉スペクトラム症とADHDを有する小児における不安障害と気分障害第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索

20124.

EGFR陽性MET増幅NSCLCに対するオシメルチニブとsavolitinib併用(TATTON)/AACR2019

 MET増幅は、EGRF変異陽性進行NSCLCのEGFR-TKIの獲得耐性の1つとして注目されている。savolitinibは高い親和性を持つ経口MET-TKIとして開発中の薬剤である。進行NSCLCを対象にした第Ib相オープンラベル多施設共同試験TATTONの中間解析として、EGFR変異陽性MET増幅患者に対するオシメルチニブとsavolitinibの併用治療の結果米国がん研究会議年次集会(AACR2019)で報告された。 オシメルチニブとsavolitinib併用のコホートは2つ。コホート1では第1世代または第2世代EGFR-TKI治療での進行患者が、コホート2では第3世代EGFR-TKI治療での進行患者がそれぞれ登録された。対象患者にはオシメルチニブ80mg/日とsavolitinib600mg/日が投与された。[コホート1]・46例が登録され、患者の年齢中央値は59歳、女性67%、アジア人80%であった。・頻度の高い(20%以上)有害事象(AE)は、悪心、下痢、疲労、食欲減退28%、発熱であった。Grade3以上のAE発現は43%であった。・客観的奏効率(ORR)は52%(すべてPR)。奏効持続期間(DoR)は7.1ヵ月であった。[コホート2]・48例の患者が登録され、患者の年齢中央値は59歳、男性56%、アジア人77%であった。・頻度の高い(20%以上)AEは、悪心、嘔吐、下痢、疲労、食欲不振、発熱。Grade3以上のAE発現は23%であった。・ORR)は28%(すべてPR)。奏効持続期間(DoR)は9.7ヵ月であった。■参考AACR 2019. Abstract(CT032)AACR 2019. Abstract(CT033)■関連記事EGFR-TKI耐性のNSCLCにおけるオシメルチニブ+savolitinibの成績:TATTON/WCLC2017

20125.

日本人の悪性黒色腫4,594例を解析、その特徴が判明

 筑波大学医学医療系皮膚科長・准教授・病院教授の藤澤 康弘氏を含む日本皮膚悪性腫瘍学会・Japanese Melanoma Study(JMS)の研究グループらは、日本人患者4,594例の悪性黒色腫による臨床的特徴や予後因子を分析した成果を、Cancer Medicine誌オンライン版2019年4月1日号で発表した。各ステージの5年疾患特異的生存率は白人種と同等の傾向がみられること、あらゆるステージで病型と生存率に関連性はみられないが、末端黒子型黒色腫(ALM)がStageIIIAでは予後不良と関連することなどが明らかになったという。著者は「このようなまれな浸潤性が強い悪性黒色腫をターゲットとした臨床試験の実施を提案する」と述べている。悪性黒色腫の発症率は、白人種と比べアジア人種では低いことが知られているが、これまでアジア人種に関する大規模なフォローアップデータはほとんどなく、本研究は著者の言葉を借りれば「われわれの知る限り、アジア最大規模の研究成果」として注目される。 本研究は、日本人の悪性黒色腫患者の臨床的特徴を調べ、予後因子の評価を目的とし、詳細な患者情報をJMSのデータベースから集めて行われた。また、米国がん合同委員会(AJCC)の第7版TNM分類を用いて解析を行い、浸潤性の悪性黒色腫患者における臨床的および組織学的パラメータの疾患特異的生存率への影響をKaplan-Meier法とCox比例ハザードモデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・合計4,594例が解析に含まれた。・平均年齢64.1歳、女性54.1%、家族歴あり2.1%、ほかの悪性腫瘍あり7.9%だった。・原発巣は下肢が最も多く(41.7%)、続いて上肢(20.2%)だった。また、全悪性黒色腫のうち44.7%が手(hands)と足(feet)で占められた。・病型は、ALMが最も多く(40.4%)、表在拡大型黒色腫(SSM、20.5%)、結節型黒色腫(NM、10.0%)、粘膜部黒色腫(9.5%)、悪性黒子型黒色腫(LMM、8.1%)と続いた。・非ヒスパニック系白人種ではALMは1.5%、白人種では最も多いSSMが20.5%にとどまるなど、日本人と西欧諸国の集団では多くの点で違いがあることが明白になった。・各ステージの5年疾患特異的生存率は、IA=98.0%、IB=93.9%、IIA=94.8%、IIB=82.4%、IIC=71.8%、IIIA=75.0%、IIIB=61.3%、IIIC=41.7%、IV=17.7%であった。・多変量解析の結果、すべてのステージで病型と生存率は関連しないことが示されたが、StageIIIAではALMが予後不良の独立因子であった。

20126.

SGLT1/2阻害薬sotagliflozin、1型糖尿病の転帰改善/BMJ

 sotagliflozinは、ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)1とSGLT2を、ともに阻害する経口薬。イタリア・Humanitas University Gradenigo HospitalのGiovanni Musso氏らは、1型糖尿病患者において、この新規SGLT1/2阻害薬のメタ解析を行い、血糖値および非血糖値関連のアウトカムの改善をもたらし、低血糖や重症低血糖の発現を抑制することを明らかにした。研究の成果は、BMJ誌2019年4月9日号に掲載された。1型糖尿病患者では、血糖目標値(HbA1c<7%)の達成率は30%にすぎず、インスリンによる低血糖や体重増加がみられ、とくに重症低血糖は至適な血糖コントロールを妨げる主要な因子とされる。sotagliflozinは、グルコースの腸管吸収だけでなく腎臓での再吸収を阻害する。この作用機序により、食後の血糖変動が抑制され、最終的にボーラスインスリン追加の補正の必要性や、低血糖リスクを低下させる可能性があるという。6つの無作為化プラセボ対照比較試験の参加者3,238例の解析 研究グループは、1型糖尿病に対するsotagliflozinの無作為化対照比較試験のメタ解析を行った(研究助成は受けていない)。 医学データベース、国際学会抄録、海外および国内の臨床試験、米国・欧州・日本の規制当局ウェブサイトなどを検索して、2019年1月10日までに公表された論文を選出した。年齢18歳以上の1型糖尿病患者を対象に、実薬またはプラセボ対照でのsotagliflozinの効果を評価した無作為化対照比較試験を解析に含めた。 3人のレビュアーが、試験参加者の背景因子、関心アウトカム、バイアスのリスクのデータを抽出した。主要アウトカムは、変量効果モデルを用いて統合した。 6つの無作為化プラセボ対照比較試験(3,238例、試験期間4~52週)が解析の対象となった。主な有害事象はケトアシドーシス、リスク最小化は可能 sotagliflozinはプラセボに比べ、HbA1c(加重平均の差:-0.34%、95%信頼区間[CI]:-0.41~-0.27、p<0.001)、空腹時血糖値(-16.98mg/dL、-22.1~-11.9[1mg/dL=0.0555mmol/L])、食後2時間血糖値(-39.2mg/dL、-50.4~-28.1)を有意に低下させ、1日の総インスリン量(-8.99%、-10.93~-7.05)、基礎インスリン量(-8.03%、-10.14~-5.93)、追加インスリン量(-9.14%、-12.17~-6.12)をいずれも有意に低下させた。 また、sotagliflozinにより、目標血糖範囲内時間の割合(加重平均の差:9.73%、95%CI:6.66~12.81)や他の持続血糖モニタリングのパラメータが改善し、非血糖値関連アウトカムでは体重(-3.54%、-3.98~-3.09)、収縮期血圧(-3.85mmHg、-4.76~-2.93)、アルブミン尿(アルブミン/クレアチニン比:-14.57mg/g、-26.87~-2.28)が低下した。さらに、低血糖(加重平均の差:-9.09イベント/人年、95%CI:-13.82~-4.36)の発生が抑制され、重症低血糖(相対リスク[RR]:0.69、95%CI:0.49~0.98)のリスクも低下した。 一方、ケトアシドーシス(RR:3.93、95%CI:1.94~7.96)、生殖器感染症(3.12、2.14~4.54)、下痢(1.50、1.08~2.10)、体液量減少イベント(2.19、1.10~4.36)のリスクが増加したが、尿路感染症(0.97、0.71~1.33)のリスクは増加しなかった。初回HbA1c値と基礎インスリン量の調整が、糖尿病性ケトアシドーシスのリスクと関連した。また、用量については、400mg/日は200mg/日に比べ、血糖値関連および非血糖値関連のほとんどのアウトカムをより改善し、有害事象のリスクは増加しなかった。 エビデンスの質は、ほとんどのアウトカムに関して高~中程度であったが、主要有害心血管イベントおよび全死因死亡に関しては低かった。また、相対的に短期間の試験が、長期アウトカムの評価の妨げとなっていた。 著者は、「主な有害事象は糖尿病性ケトアシドーシスであったが、そのリスクは適切な患者選択および基礎インスリン量を漸減することで最小化が可能と考えられる」としている。

20127.

女性化乳房のPPIによる発症リスクを調査

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)による女性化乳房の症例報告は多いが、大規模な疫学研究はなかった。今回、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のBonnie He氏らが大規模な後ろ向きコホート研究を実施し、男性患者におけるPPIによる女性化乳房リスクを調べた。その結果、PPI使用による女性化乳房発症リスクはアモキシシリン使用に比べ、50歳超で1.5倍であった。Pharmacotherapy誌オンライン版2019年3月13日号に掲載。女性化乳房は新規PPI使用患者22万791例のうち389例 著者らは、米国のPharMetrics Plus健康診断データベースを使用して、2006~16年の新規PPI使用患者および新規アモキシシリン使用患者の後ろ向きコホート研究を実施した。女性化乳房の診断は、国際疾病分類(ICD-9、ICD-10)のコードで同定した。90日以内に女性化乳房の2つのコードがあり、最初のコードがイベントコードである患者を女性化乳房症例とした。ハザード比(HR)は、アルコール性肝硬変、甲状腺機能亢進症、精巣がん、クラインフェルター症候群、肥満のほか、ケトコナゾール・リスペリドン・スピロノラクトン・アンドロゲン除去療法の使用を調整し算出した。また、2回のPPI処方の曝露での感度分析も行われた。 PPIによる女性化乳房リスクを調べた主な結果は以下のとおり。・新規PPI使用患者では、22万791例のうち389例が女性化乳房と診断され、新規アモキシシリン使用患者では、83万7,740人のうち996例が女性化乳房と診断された。・女性化乳房発症をアモキシシリン使用と比較したPPI使用の粗HR は1.70であった(95%信頼区間[CI]:1.461~1.976)。・感度分析における調整HRは1.299(95%CI:1.146~1.473)であった。・調整HRは、50歳以上の患者では1.4795(95%CI:1.2431~1.7609)、50歳以下の患者では1.324(95%CI:1.1133~1.5745)であった。

20128.

コレステロール過剰摂取、卵の食べ過ぎは心血管疾患および全死因死亡を増やす?(解説:島田俊夫氏)-1028

 コレステロールの取り過ぎは体に悪い? これまでの欧米においては概して虚血性心疾患による死亡率がわが国と比較し圧倒的に多いことから、欧米からのエビデンスに基づき悪玉コレステロール高値は心血管疾患のリスク因子だとの考えが定着していた1,2)。もちろん家族性高コレステロール血症はとりわけハイリスクであるが、このような症例を一般化する解釈の根拠は必ずしも十分とは言えない。一方で高齢者の高コレステロール血症はむしろ健康状態が良いことが多く、スタチンを使用して下げている症例を時々みかけるが、個人的にはいらんお世話をしているのではと懸念している。コレステロールは細胞膜に不可欠な構成成分であり、卵から孵化する動物はヨークサックのコレステロールにより孵化までの期間の栄養を供給されており、バランスの取れた栄養食と考えられてきた。コレステロールの70~80%は体内で合成され、20~30%程度が食事由来と考えられている。2019年3月19日にJAMA誌に掲載された、米国・ノースウェスタン大学Victor W. Zhong氏らがLifetime Risk Pooling Projectの6つのコホートデータを統合のうえで解析し、食事由来コレステロールまたは卵の摂取量増加は、用量反応的に心血管疾患発症、全死因死亡リスク上昇に有意に関連していると報告した。いまだ議論の多い問題に一石を投じた論文であり論評に値すると考え、私見をコメントする。論文要約 1985年3月25日~2016年8月31日の期間に集められた米国の6つの前向きコホート研究の個々のデータを統合のうえで解析を行った。自己申告食事摂取に関するデータは標準的プロトコールを用いて調整のうえ、食事由来コレステロール(mg/日)または卵摂取量(個/日)を算出した。 主要評価項目は人口統計学的、社会経済的および行動的要因を調整のうえで、CVD発症と全死因死亡に関する全追跡調査期間のハザード比および絶対リスク差(ARD)により、コホートを層別化した原因別ハザードモデルおよび標準比例ハザードモデルを用いて解析された。 2万9,615例を解析対象とした。ベースライン時の研究対象者の平均年齢は51.6±13.5歳、男性1万3,299例(44.9%)、女性9,204例(31.1%)であった。 1日当たりの食事由来コレステロール摂取が300mg増えるとCVD発症(補正後HR:1.17[95%CI:1.09~1.26]、補正後ARD:3.24%[95%CI:1.39~5.08])および全死因死亡(補正後HR:1.18[95%CI:1.10~1.26]、補正後ARD:4.43%[95%CI:2.51~6.36])のリスク上昇と有意相関を認めた。 卵の1日当たりの摂取量が半個増えるか、または週に卵の摂取が3~4個増えた場合にも同様に有意な関連を認めた(CVD発症に関しては補正後HR:1.06[95%CI:1.03~1.10]、補正後ARD:1.11%[95%CI:0.32~1.89]、全死因死亡に関しては補正後HR:1.08[95%CI:1.04~1.11]、補正後ARD: 1.93[95%CI:1.10~2.76])。 しかし、食事由来コレステロール摂取量補正後は、卵摂取量とCVD発症(補正後HR:0.99[95%CI:0.93~1.05]、補正後ARD:-0.47[95%CI:-1.83~0.88])および全死因死亡(補正後HR:1.03[95%CI:0.97~1.09]、補正後ARD:0.71%[95%CI: -0.85~2.28])との間に、有意な関連を認めなかった。筆者コメント 本論文はあくまで前向きコホート研究であり、因果関係を証明するための研究デザインでないためにエビデンスレベルは必ずしも強固とはいえない。しかも、コレステロールを多く含む食材の過剰摂取、とくに卵は言われているほど悪くないとのエビデンスがある中でこのような結論を妄信することは控えたほうがよい3,4)。その一方でコレステロールは細胞膜にとり不可欠の構成要素であり、重要なステロイドホルモン、胆汁酸の原料でもある。食事由来のコレステロールは体内で合成されるコレステロールの1/3に満たない程度であり、本論文の結果をうのみにするのは危ない。とくに高齢者では高コレステロール血症をもはや危険因子(むしろ逆では)として受け止めることに個人的には疑問を感じている。まだ未解決な点も多くあり、本論文の結果を記憶にとどめておくだけでよいと考える。

20129.

家族性アミロイドポリニューロパチー〔FAP: familial amyloid polyneuropathy〕

1 疾患概要■ 概念・定義家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)は、代表的な遺伝性全身性アミロイドーシスである1,2)。組織の細胞外に沈着したアミロイドは、コンゴレッド染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡下でアップルグリーンの複屈折を生じる。電子顕微鏡で観察すると、直径8~15nmの枝分かれのない線維状の構造物として観察される。現在までに、36種類以上の蛋白質がヒトの体内でアミロイド沈着を形成する蛋白質として同定されている3)。FAPを生じるアミロイド前駆蛋白質として、トランスサイレチン(TTR)、ゲルソリン、アポリポ蛋白質A-Iが知られているが、大部分のFAP患者は、TTRの遺伝子変異によるため、以下はTTRを原因とするFAP(TTR-FAP)に関して概説する。近年、国際アミロイドーシス学会は、TTR-FAPに代わる病名として「遺伝性TTR(ATTRv)アミロイドーシス」の使用を推奨しているが3)、わが国ではFAPの病名が現在も使用される場合が多いため、本稿ではFAPの病名を用いて概説する。本疾患の原因分子であるTTRは、主に肝臓から産生され血中に分泌される血清蛋白質である。その他のTTR産生部位として、脳脈絡叢、眼の網膜色素上皮、膵臓ランゲルハンス島のα細胞が知られている。血中に分泌された本蛋白質は、127個のアミノ酸から構成されるが、豊富なβシート構造を持つことにより、アミロイド線維を形成しやすいと考えられている。TTR遺伝子には150種類以上の変異型が報告されており、その大部分がFAPの病原性変異として同定されてきた。TTRの30番目のアミノ酸であるバリンがメチオニンに変異するVal30Met型が、最も高頻度に認められる1,2)。生体内では、通常TTRは四量体として機能し、四量体の中心部には1分子のサイロキシン(T4)が強く結合し、T4の運搬を担っている。また、TTRはレチノール結合蛋白質との結合を介して、ビタミンAの輸送も担っている。■ 疫学以前はFAP ATTR Val30Metの大きな家系が、ポルトガル、スウェーデン、日本(熊本県と長野県)に限局して存在すると考えられていたが、近年、世界各国からFAP ATTR Val30Met患者の存在が確認されている1,2)。また、明確な家族歴がなく高齢発症のFAP が日本各地から報告されており4)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、糖尿病性ニューロパチー、手根管症候群、腰部脊柱管狭窄症などの非遺伝性末梢神経障害の鑑別疾患として本症を考えることが重要である。スウェーデンでは、FAP ATTR Val30Met遺伝子保因者の3~10%しか発症しないことが知られているが、わが国においても、TTR遺伝子に変異を持ちながら、終生FAPを発症しない症例も存在する。Val30Met以外の変異型TTRによるFAPもわが国から多く報告されている(図1)。わが国の疫学調査の結果では、国内の推定患者数は約600人であるが、的確に診断されていない症例が多く存在する可能性がある。画像を拡大する■ 病因TTRに遺伝子変異が生じると、TTR四量体が不安定化し、単量体へと解離することが、アミロイド形成過程に重要であると、in vitroの研究で示されている。しかし、アミロイドがなぜ特定の部位に沈着するのか、どのように細胞や臓器の機能を障害するのかは、明らかにされていない。アミロイド線維を形成するTTRの一部は断片化されており、アミロイド線維形成への関与が議論されている。■ 症状1)神経症状末梢神経障害は、軸索障害が主体で神経軸索が細胞体より最も遠い両下肢遠位部の症状が初発症状となる場合が多い。また、神経症状は一般に自律神経、感覚(温痛覚低下)、運動(両側末梢優位)の順で症状が出現することが多い。これは、アミロイド沈着により小径無髄線維から大径有髄線維の順に障害が進行するためと考えられている。病初期には、下肢末梢部である足首以下で、温痛覚の低下を認めるが触覚は正常である解離性感覚障害を認める場合が多い。温痛覚障害のため、足の火傷や怪我に患者本人が気付かない場合がある。筋萎縮、筋力低下など運動神経障害は、感覚障害より2~3年遅れて出現する場合が多いが、まれに運動神経障害が主体で感覚障害が軽い症例もある。進行期には、高度の末梢神経障害による四肢の感覚障害と筋力低下や呼吸筋麻痺などを呈する。アミロイド沈着による手根管症候群を呈する場合がある。とくに家族歴が明らかでない症例では、病初期にCIDP、糖尿病性ニューロパチー、腰部脊柱管狭窄症などと誤診されることが多く、注意が必要である。症例によっては、脳髄膜や脳血管のアミロイド沈着による意識障害や脳出血など中枢神経症候を呈する場合がある。2)消化器症状重度の交代性下痢便秘や嘔気などの消化管症状が出現する。末期には持続性の下痢となり、吸収障害や蛋白質の漏出も生じる。3)循環器系障害早期より自律神経障害による起立性低血圧や、アミロイド沈着による房室ブロック、洞不全症候群、心房細動などの不整脈が生じる。心筋へのアミロイド沈着により心不全を生じ、心室の拡張障害が収縮障害に先行すると考えられている。TTR変異型により心症候が主体で、末梢神経障害が目立たないタイプがある。4)眼症状変異型TTRは肝臓のみならず網膜からも産生されており、アミロイド沈着による硝子体混濁はFAP患者に多く認められる。硝子体混濁が本症の初発症状である症例もある。前眼部へのアミロイド沈着による緑内障を来し、進行すると失明の原因となる。また、涙液分泌低下によるドライアイも生じる。5)腎障害アミロイド沈着によるネフローゼ症候群や腎不全を呈するが、症例によりその程度は異なる。病初期には目立たない場合が多い。■ 分類TTR変異型により症候が異なる場合がある。アミロイドポリニューロパチー(末梢神経障害)が主体となるタイプ(Val30Metなど)、心アミロイドーシスにより不整脈や心不全が主体となるタイプ(Ser50Ile、Thr60Alaなど)、脳髄膜・眼アミロイドーシスにより一過性の意識障害や脳出血、白内障や緑内障が強く生じるタイプ(Ala25Thr、Tyr114Cysなど)がある。また、同じATTR Val30Metを持つFAP患者でも、ポルトガルでは若年発症(20~30代で発症)が多く、スウェーデンでは高齢発症(50歳以降)が多い。わが国でも、本疾患の集積地である熊本や長野のFAP患者は若年発症が多いが、他の地域では高齢発症で家族歴が確認できない症例が多く、70歳以降の発症も少なくない。■ 予後未治療の場合は、発症からの平均余命は若年発症のFAP ATTR Val30Metは約10~15年1)、高齢発症のFAP ATTR Val30Metは約7年4)である。進行期には、呼吸筋麻痺、重度の起立性低血圧、心不全、致死的な不整脈、ネフローゼ症候群、腎不全、蛋白漏出性胃腸症、重度の緑内障などを呈する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)本症の診断基準を表に示す。病初期に各治療法の効果が高いため、早期診断、早期治療が重要である。臨床症候や各種の臨床検査により本症が疑われる場合には、生検によりアミロイド沈着を検索すること、および専門施設に依頼し、免疫組織化学染色や質量分析法でTTRがアミロイドの構成成分であることを確認する必要がある(図2)。生検部位は、侵襲度の比較的低い消化管(胃、十二指腸、直腸)、腹壁脂肪、口唇の唾液腺、皮膚などが選択されるが、病初期にはアミロイド沈着が検出されない場合もある。本症の疑いが強い場合は、繰り返し複数部位からの生検を行うことが重要である。また、前述の部位からアミロイド沈着が確認できない場合は、障害臓器である末梢神経や心筋からの生検も考慮する必要がある。TTRがアミロイド原因蛋白質として同定された場合は、野生型TTRが非遺伝性に生じる老人性全身性アミロイドーシス(SSA)(野生型TTR[ATTRwt]アミロイドーシス)との鑑別のため、遺伝子検査や血液中TTRの質量分析によりTTR変異の解析を必ず行う(図3)。画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)FAPに対する治療は、近年、劇的に進歩している。長く実施されてきた肝移植療法に加えて、TTR四量体の安定化剤であるタファミジス(商品名: ビンダケル)が、国内でも2013年9月に希少疾病用医薬品として承認され、現在、本疾患に対し広く使用されている。また、核酸医薬によるTTR gene silencing療法の国際的な臨床試験が終了し、良好な結果が得られている。図4にFAPに対する治療法を研究中のものを含めて示した。画像を拡大する■ 肝移植療法本疾患の病原蛋白質である変異型TTRの95%以上が肝臓で産生されていることから、1990年にスウェーデンで本疾患に対する治療法として肝移植が初めて行われ、その有効性が示されてきた5)。FAP患者の血液中の変異型TTRは、正常肝が移植された後に速やかに検出感度以下まで低下する。しかし、肝移植で本疾患が完全に治癒するわけではなく、末梢神経障害を含めて、症候の大部分は移植後も残存する。また、発症から長期間経過し、病態が進行した症例や、高齢患者、BMIが低値(低栄養状態)であると、移植後の予後が不良であるため、肝移植が実施できない場合も少なくない。そして、症例によっては、肝移植後も症候(とくに心アミロイドーシス)が進行するケースもある。眼の網膜色素上皮細胞や脳脈絡叢からは、肝移植後も継続して変異型TTRが産生され続けているため、眼や脳・脊髄では、肝移植後も変異型TTRによるアミロイドが形成され、症候も悪化する症例が報告されている。他の治療法が開発されたことにより、本症に対する肝移植の実施数は減少傾向にある。■ TTR四量体安定化剤(タファミジス)TTR四量体が不安定となり単量体へと解離することが、TTRのアミロイド形成過程に重要な過程と考えられている。TTR四量体の安定化作用を持つ薬剤が、本症の新たな治療薬として研究開発されてきた。非ステロイド系抗炎症薬の1つであるジフルニサルなどにTTR四量体の安定化作用が確認され、本症の末梢神経障害に対する進行抑制効果が確認された6)。ジフルニサルには、非ステロイド系抗炎症薬が元来持つCOX阻害作用があり、腎障害などの副作用が出現する可能性が想定されたため、COX阻害作用を持たずにTTR四量体のより強い安定化作用を示す新規化合物としてタファミジスが新たに開発された。本薬剤の国際的な臨床治験が実施され、生体内でもTTR四量体を安定する作用が確認されるとともに、末梢神経障害の進行を抑制する効果が確認されている7)。また、心症候に対する効果も報告された8)。わが国では2013年9月に本症による末梢神経障害の進行抑制目的で承認されている。■ 核酸医薬(TTR gene silencing療法)9, 10)Small interfering RNA(siRNA)9) やアンチセンスオリゴ(ASO)10) を用いて、肝臓におけるTTRの発現抑制を目的としたgene silencing療法の開発が行われ、強いTTR発現抑制効果と良好な治療効果が確認されている9, 10)。これらのgene silencing療法では、変異型TTRに加えて、野生型TTRの発現抑制も標的としている。これらの治療法は、今後、本疾患に対する標準的な治療法となることが期待されている。■ その他の研究段階の治療法前述のごとく、肝移植療法の実施やTTR四量体安定化剤の臨床応用、gene silencing療法によるTTR発現抑制法の開発など、本疾患に対する治療法は近年急激に発展しているが、いずれもアミロイド原因蛋白質であるTTRの発現抑制および安定化を標的としており、沈着したアミロイドを除去する治療法は確立していない。さらなる治療法の改善を目指して、図4に示した方法をはじめとした多くの治療法の開発が精力的に行われている。■ 対症療法本症では、心伝導障害の進行は必発であるため、I度房室ブロックの段階でペースメーカーの植え込みを考慮する場合がある。致死的な不整脈が発生する場合には、植込み型除細動器を積極的に検討する必要がある。起立性低血圧に対して、弾性ストッキングや腹帯の使用を考慮する。手根管症候群に対しては、手術療法を考慮する。眼アミロイドーシスによる白内障や緑内障に対しても手術療法が必要となる。そのほかにも、自律神経症状や消化管症状、心不全などに対して内服薬による対症療法を試みるが、十分な効果が得られない場合が少なくない。4 今後の展望肝移植療法がFAPに対して実施され始めて28年以上が経過し、その有効性とともに治療法としての限界や関連する問題点が明らかになってきた。TTR四量体の安定化剤が臨床応用され、広く使用されるにつれて、本症に対する肝移植実施数は減少傾向にある。また、肝臓でのTTR発現抑制を目的とした核酸医薬によるgene silencing療法の臨床治験で良好な結果が得られ、わが国でも承認が待ち望まれる。これらの治療法の長期的な効果に関しては、まだ不明な点が多く残されているため、長期予後に関する調査が必要である。さらに、すでに組織に沈着したアミロイド線維を除去できる根治療法の研究開発が必要である。5 主たる診療科脳神経内科、循環器内科、眼科、移植外科、消化器内科、腎臓内科、整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報家族性アミロイドポリニューロパチーの診療ガイドライン(日本神経学会)(医療従事者向け診療情報)難病情報センター:全身性アミロイドーシス(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)熊本大学 大学院生命科学研究部 脳神経内科学分野(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)熊本大学 医学部附属病院 アミロイドーシス診療センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)信州大学 医学部第3内科 アミロイドーシス診断支援サービス(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)GeneReviews(Pub Med)(医療従事者向けの診療、研究のまとまった情報)GeneReviews(日本語版)(医療従事者向けの診療、研究のまとまった情報)FAP WTR(FAPに対する肝移植に関する国際的レジストリ)(医療従事者向けの診療、研究のまとまった情報)THAOS(TTRアミロイドーシスの自然経過に関する国際的調査)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)The Registry of Mutations of Amyloid Proteins(TTR変異の国際的レジストリ)(医療従事者向けの研究情報)OMIM(医療従事者向けの診療・研究のレビュー情報)日本アミロイドーシス学会(医療従事者向けの研究情報)国際アミロイドーシス学会(ISA)(医療従事者向けの研究情報)厚生労働省 難治性疾患政策研究事業「アミロイドーシスに関する調査研究」班(医療従事者向けの研究情報)患者会情報道しるべの会 second step あゆみ ブログ(患者のブログ)1)Ando Y, et al. Arch Neurol. 2005;62:1057-1062.2)Ueda M, et al. Transl Neurodegener. 2014;3:19.3)Benson MD, et al. Amyloid. 2019 [Epub ahead of print]4)Koike H, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2012;83:152-158.5)Yamashita T, et al. Neurology. 2012;78:637-643.6)Berk JL, et al. JAMA. 2013;310:2658-2667.7)Coelho T, et al. Neurology. 2012;79:785-982.8)Maurer MS, et al. N Engl J Med, 2018;379:1007-1016.9)Adams D, et al. N Engl J Med. 2018;379:11-21.10)Benson MD, et al. N Engl J Med. 2018;379:22-31.公開履歴初回2013年08月08日更新2019年04月23日

20130.

研修受講シールがオークションで売買! かかりつけ薬剤師制度にも影【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第23回

2016年度の報酬改定により、かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料を算定する施設基準の1つに「研修認定制度の研修認定を取得している」という要件が入ったことから、研修認定薬剤師を目指す薬剤師が爆発的に増えました。薬局内だけにいるとどうしても目先の薬局業務のことばかり考えがちですので、座学やレポート提出、学会参加などによって新しい情報や取り組みを知り、知識をアップデートするのはとても素晴らしいことだと思います。しかし、薬剤師への信頼が地に落ちかねない、研修に関連する事件が起きています。今般、一部の薬剤師認定制度実施機関から交付されている研修受講シールが、インターネット上のオークションサイト等で売買されている事例が確認されました。不適切な方法により入手した研修受講シールにより、研修認定を取得する行為は、研修認定制度の信頼性を揺るがしかねないものであり、また、調剤報酬請求の適正性にも疑念を生じさせるものです。(中略)薬局に勤務する薬剤師が不適切な方法で研修認定を取得しないよう周知徹底を行っていただきたく、ご協力の程よろしくお願いいたします。(2019年3月1日付 厚生労働省課長通知「薬剤師研修認定制度の適切な運用について」より一部抜粋)実は受講シールの転売は以前から問題視されていましたが、今回、NHKにより受講シールの不正入手の問題が報じられ、それを受けて厚生労働省から上記の通知が発出されました。私自身も、オークションサイトで受講シールが出品されているのを目にしたことがあります。1点や1枚という単位で出品されている場合もあれば、5枚などの複数枚が連なって出品されている場合もあり、見つけたときは目を疑いました。どのくらいの価格を高いと思うかは人それぞれだと思いますが、あるオークションサイトでは1単位1,000~5,000円程度で出品されており、私の印象としては研修の受講料や交通費を考えるとそれほど高くはないかなと思いました。今後の研修では受講者名簿を薬剤師研修センターに提出か厚労省からの通知と同日に、公益財団法人日本薬剤師研修センターは、「研修受講シールに関する不正行為について」という薬剤師向けの文書を出しています。その中には、「認定後に不正が判明した場合は、実施要領の規定に従って認定の取り消しを行う」「不正を行うことは医療職種である薬剤師の本分にもとる行為であり、深く恥じるべきもの」と厳しい言葉が並んでいます。研修会を実施する機関に対しては、受講者名簿を整備して配布状況を厳格に管理すること、名簿を日本薬剤師研修センターに提出できるようにすること、本人確認を確実に行うこと、未受講者の受講シールの回収を徹底することなどの不正行為防止のための対応が求められています。一部の人たちの不正によって取り締まりが強まり、研修開催の手間を増やしてしまうのは残念なことです。研修認定の取得がかかりつけ薬剤師の要件になり、薬局の利益を上げたい経営者などから研修認定薬剤師になるように求める圧力があったのかもしれません。しかし、本来は自己研さんを積むことで患者さんの健康に貢献するための制度であり、この受講シールによってかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料を算定しているのであれば、不当な算定と言わざるを得ません。研修認定薬剤師となっても、継続研修によって3年ごとに30単位(各年5単位以上)が必要です。これからも研修は続き、シールの交付は続きます。売りに出す人、買う人の両方が薬剤師全体の信用を失墜させるのだと反省し、自浄できる業界であってほしいと切に願います。

20131.

高血圧への腎交感神経アブレーション vs.シャム対照群のメタ解析【Dr.河田pick up】

 コントロール不良な高血圧に対する新しい治療法として、カテーテルによる腎動脈交感神経アブレーションの研究が行われている。しかしながら、腎動脈交感神経切除の高血圧に対する無作為化試験の結果は肯定的なものと否定的なものがあり、一定していない。この研究の目的はシャム対照群を用いた研究における、腎動脈交感神経アブレーション後の血圧の評価である。Brown大学のPartha Sardar氏ら米国の複数のグループにより、Journal of American College of Cardiology誌2019年4月号に報告された。6つの研究のメタ解析、977例の患者 2018年6月30日までのデータベースが検索された。50例以上の患者を含む、カテーテルによる腎動脈交感神経アブレーションとシャム対照群を比較した無作為化試験が対象。筆者らはランダム効果モデルによるメタ解析手法を用いて、95%信頼区間(CI)の加重平均差(WMD)として治療効果を推定した。本解析には6つの研究から977例が含まれた。腎交感神経アブレーション群で血圧が有意に低下 24時間血圧計における収縮期血圧の低下は、腎動脈交感神経アブレーション群で有意に大きかった (WMD:-3.65mmHg、95% CI:-5.33~-1.98、p<0.001)。シャム対照群と比較して、腎動脈交感神経アブレーション群は、日中の血圧(WMD:-4.07mmHg、95%CI:-6.46~-1.68、p<0.001)、職場での血圧(WMD:-5.53mmHg、95%CI:-8.18~-2.87、p<0.001)、24時間拡張期血圧(WMD:-1.71mmHg、95%CI:-3.06~-0.35、p=0.01)、日中の拡張期血圧(WMD:-1.57 mmHg、95%CI:-2.73~-0.42、p=0.008)、職場での拡張期血圧(WMD:-3.37mmHg、95%CI:-4.86 to-1.88、p<0.001)の低下と有意に関連していた。また、第1世代の試験と比較すると、第2世代の試験では日中の収縮期血圧で血圧の低下が有意に大きかった(6.12mmHg vs. 2.14mmHg、交互作用のp=0.04)。しかしながら、この相関性は24時間の収縮期血圧では有意ではなかった(4.85mmHg vs. 2.23mmHg、交互作用のp=0.13)。腎交感神経アブレーションの効果を結論づけるにはさらなる検討が必要 腎動脈交感神経アブレーションは、シャム対照群と比べて血圧を有意に低下させた。このメタ解析の結果をふまえて、腎動脈交感神経アブレーションの高血圧患者での役割を長期間評価する、より大きな、そしてピボタル試験となるような研究が行われるべきであると筆者らは結論づけている。 3つの第2世代研究における収縮期血圧の減少は、6.1mmHgと第1世代の研究の2.1mmHgと比較すると大きかったが、インパクトとしてはそれほど大きなものでなく、どのような患者でより良い効果が上がるのかなどを含めて、今後も研究が必要であろう。(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

20132.

COPD診療における最新知見/日本呼吸器学会

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療に対する吸入ステロイド薬(ICS)の上乗せについて、新しい臨床試験の結果が続々と報告されているが、それらをどう捉えればよいのだろうか。2019年4月12日から3日間、都内にて開催された第59回 日本呼吸器学会学術講演会において、シンポジウム3「COPD、ACOガイドラインを超えて」での講演から最新の知見を紹介する。COPD治療におけるICSの位置付けは? COPDの安定期における治療は、原則として長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の気管支拡張薬である。これまで、通常のCOPD治療にICSを追加する有益性は高くないとされていたため、本学会が発刊している『COPD診断と治療のためのガイドライン2018(第5版)』と『喘息とCOPDのオーバーラップ診断と治療の手引き2018』では、喘息とCOPDの合併例(asthma COPD overlap:ACO)に限定して、ICSの早期使用が推奨されている。 しかしその後、LAMA+LABA+ICSのトリプルセラピーがLAMA/LABA配合剤に対して、中等度~重度のCOPD増悪を有意に抑制したことが「IMPACT試験」で報告されたため、COPD治療におけるICSの位置付けに関しては引き続き検討されていくだろう。COPD、ACOの診断に用いられるバイオマーカー シンポジウムでは、玉田 勉氏(東北大学 呼吸器内科学分野 講師)が「末梢血好酸球増加はICS治療ターゲットになるか?」という問いかけをテーマに、COPD患者のバイオマーカーをどのように扱うかについて語った。 COPD治療において、好酸球性気道炎症が存在する症例の中には、LAMA、LABAなどの気管支拡張薬にICSを上乗せすることで、さらなる気管支拡張効果を得られる病態が存在することがわかっている。このようなICS感受性の高いCOPDに関して、判断の目安となるのは増悪回数、末梢血好酸球の増加、喘息の合併などであるという。 また、上述の最新ガイドラインでは、COPDにおける好酸球性気道炎症の存在を、喘息の特徴でもある末梢血好酸球>5%あるいは>300/μL、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)>35ppbなど複数の項目で評価することを推奨している。その結果ACOと判断できれば、早期にICSを投与することが望ましいが、ACOに該当しなければ、高用量のICS投与は肺炎リスクを上昇させる恐れがあるため、重症であっても投与しないとされている。しかし、ACOの病態は経過中に出現することもあるので、繰り返し評価することが重要である。 同氏は「われわれの研究と先行研究を合わせた結果、COPD患者の2割くらいにICS有効例が存在するのではないか」と見解を語った。海外データから読み取れる情報 海外で報告されているGOLD2019レポートでは、増悪リスクおよび症状レベルがともに高い“グループD”において、末梢血好酸球が300/μL以上あるいは100/μL以上で増悪を繰り返す患者ではICS/LABA有効例が多く、逆に末梢血好酸球100/μL未満ではICSの有効性は期待できないとされている。しかし、この根拠となった複数の臨床試験の対象となった症例には、さまざまな割合で喘息合併例が混在しているため、ICSの上乗せ効果を正確に判断することは難しい。 データを読む際、ICSの使用による1秒量(FEV1)の増加が大きいほど、喘息病態を合併したCOPDの症例が多く混ざっていると考えられ、その結果、末梢血好酸球300/μL以上の症例をピックアップすると、ICSが増悪抑制に有効であろうことが見えてくるという。 よって、各論文の筆者による結論だけでなく、喘息合併例をどうやって分けているか、ICSの使用でどれだけ呼吸機能が改善しているかなども考慮して解釈することが必要だ。単独のバイオマーカーでICS使用の判断はできない 発表テーマである「末梢血好酸球増加はICS治療ターゲットになるか?」という問いに対して考えると、気道の好酸球性気道炎症をよく反映するのは喀痰好酸球数だが、末梢血好酸球数とは強く相関しないことが明らかになっている。 「COPD、ACO患者のバイオマーカーは、これまでもさまざまな横断研究が報告されているが、日本人データを含めたバイオマーカーの使い方やカットオフ値の設定が求められる。よって、末梢血好酸球数だけでICSを使うかどうか決めるには時期尚早なのではないか」と現段階での見解を示し、「ICSの有効例に関しては、どこまで追求しても、最終的には過剰投与であったり、潜在的に有効でも投与されなかったりといった事態が起こりうる可能性がある」と指摘した。 COPDやACOの診断に当たっては、ガイドラインの知見を踏まえ、なるべく客観的な指標に基づいてICSの使用を検討するなど、診断の精度を高めることが求められる。また、ICSを開始する場合、肺炎リスクが頭打ちとなる半年より前に、呼吸機能の改善度などから効果判定を行い、ICS投与を継続するか判断することが望ましいとされている。■参考一般社団法人 日本呼吸器学会第59回日本呼吸器学会学術講演会■関連記事新COPDガイドラインの要点と日本人データCOPDの3剤併用療法、2剤併用と比較/NEJM

20133.

糖尿病性腎臓病におけるエンパグリフロジンの複合腎・心血管アウトカム/国際腎臓学会

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)によるEMPA-REG OUTCOME試験における、ベースライン時の顕性アルブミン尿を伴う糖尿病性腎臓病(DKD)患者での複合腎・心血管アウトカムの結果が、4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019にて公表された。日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社が発表した。 EMPA-REG OUTCOME試験では、心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者において、標準治療にエンパグリフロジンを上乗せ投与した結果、プラセボ群と比較して、主要評価項目である複合心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクが14%減少し、心血管死リスクが38%減少したことが報告されている。さらに同試験の副次評価項目では、腎症の初回発現もしくは悪化を評価した複合腎イベントの相対リスクが39%低下したことも示されている。 今回、EMPA-REG OUTCOME試験のさらなる解析として、腎イベントのリスクが高い、ベースライン時の顕性アルブミン尿を伴うDKD患者(30≦eGFR<90mL/分/1.73m2かつUACR>300mg/g)と、その他の患者(eGFR≧90mL/分/1.73m2またはUACR≦300mg/g)における複合腎・心血管アウトカム(末期腎不全[腎代替療法の開始またはeGFR<15 mL/分/1.73m2の持続]、血清クレアチニン値の倍加、腎疾患による死亡または心血管死のいずれかとして定義)の解析が行われた。また、その他の評価項目として、複合心血管アウトカム(心不全による入院または心血管死)、心血管死、複合腎アウトカム(末期腎不全、血清クレアチニン値の倍加、腎疾患による死亡)および全死亡について解析が行われた。 その結果、全体集団において、エンパグリフロジン群はプラセボ群と比較し、複合腎・心血管イベントリスクが43%低下した(ハザード比[HR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.46~0.70)。また、腎イベントリスクが高い集団であるベースライン時の顕性アルブミン尿を伴うDKD患者においては54%低下し(HR:0.46、95%CI:0.31~0.68)、その他の患者においても41%低下した(HR:0.59、95%CI:0.46~0.75)。 これらの複合腎・心血管イベントでの一貫した効果は、複合心血管イベント、心血管死、複合腎イベント、全死亡においても示された。

20134.

高血圧治療ガイドライン2019で降圧目標の変更は?

 本邦における高血圧有病者は約4,300万人と推計される。このうち、治療によって良好なコントロールが得られているのは30%以下。残りの70%は治療中・未治療含め血圧140/90mmg以上のコントロール不良の状態となっている。2014年以来5年ぶりの改訂となる「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」では、一般成人の降圧目標値が引き下げられ、より早期からの非薬物治療を主体とした介入を推奨する内容となっている。 4月25日の「高血圧治療ガイドライン2019」発表を前に、日本高血圧学会主催の記者発表が4月19日に行われ、平和 伸仁氏(横浜市立大学附属市民総合医療センター)が改訂点やその作成経過について解説した。家庭血圧 vs.診察室血圧、厳格治療 vs.通常治療などCQ方式で推奨度を明記 高血圧治療ガイドライン2019では、初めてClinical Question(CQ)方式、Systematic Review(SR)方式が採用され、エビデンスに基づく17のCQが作成された。また、エビデンスが十分ではないが、医療者が実臨床で疑問を持つ課題として9のQ(クエスチョン)を設定。コンセンサスレベルでの推奨が解説されている。 作成されたCQは、「成人の本態性高血圧患者において、家庭血圧を指標とした降圧治療は、診察室血圧を指標とした治療に比べ、推奨できるか?(CQ1)」、「降圧治療において、厳格治療は通常治療と比較して心血管イベントおよび死亡を改善するか?(CQ3)」、「高血圧患者における減塩目標6g/日未満は推奨されるか?(CQ4)」など。推奨の強さが3段階、エビデンスの強さが4段階でそれぞれ評価されている。 Qについては、2021年以降製造・輸出入が禁止される水銀血圧計に代わって何を推奨するか(Q1)、家庭血圧はいつ/何回/何日間の測定を推奨するか(Q2)などの項目が設けられた。基準値は変更なし、ただし120/80mmHg以上は定期的な再評価と早期介入を推奨 高血圧治療ガイドライン2019での高血圧の基準値は、2014年版と同じく140/90mmHg以上。一方で、正常域血圧の名称と拡張期血圧の範囲が、一部変更された:・至適血圧:120/80mmHg未満→正常血圧:120/80mmHg未満・正常血圧:120~129/80~84mmHg→正常高値血圧:120~129/80mmHg未満・正常高値血圧:130~139/85~89mmHg→高値血圧:130~139/80~89mmHg 背景には、120~139/80~89mmHgでは生涯のうちに高血圧へ移行する確率が高く、120/80mmHg未満と比較して脳心血管リスクが高いというデータがある。そのため、高血圧治療ガイドライン2019では基準値以下である高値血圧あるいは正常高値血圧の段階から、早期介入が推奨されている。2014年版では、I度高血圧以上のみ年齢や合併症の有無によって層別化されていた脳心血管病リスクが、高値血圧についても低~高リスクに分類された(表3-2)。また、高血圧管理計画は、高値血圧や正常高値血圧についてもフローチャートの形で整理され、初診時の血圧レベルに応じた再評価時期、治療法選択の考え方が示されている(図3-1)。なぜ高血圧治療ガイドライン2019で降圧目標が10mmHgずつ引き下げられたか 合併症のない75歳未満の成人および脳血管障害患者、冠動脈疾患患者については、高血圧治療ガイドライン2019では130/80mmHg未満、75歳以上の高齢者については140/90mmHg未満に、それぞれ降圧目標値が10mmHgずつ引き下げられた。この背景には、日本人対象のJATOS、VALISH、HOMED-BPなどを含む介入試験のメタ解析結果(CQ3)と、EPOCH-JAPANや久山町研究などのコホート研究結果があるという。 厳格治療群と通常治療群を比較したRCTのメタ解析では、厳格治療群で複合心血管イベントおよび脳卒中イベントリスクが有意に低く、130/80mmHgを目標とする厳格治療のメリットが示された。またEPOCH-JAPANでは、120/80mmHg未満と比較して血圧レベルが上昇するにつれ脳心血管死亡リスクが高まることが示されている。 高血圧治療ガイドライン2019では、高齢者は130 mmHg未満への降圧による腎障害などに注意を要するため、140/90mmHg未満とされたが、「忍容性があれば個別に判断して130/80mmHg未満を目指す」とされている。高血圧治療ガイドライン2019で従来より厳格な薬物治療が求められる患者とは? とはいえ、「この目標値は、すべての患者における降圧薬による降圧目標ということではない」と平和氏は重ねて強調。初診時あるいは降圧薬治療中で130/80mmHg台、低・中等リスクの患者では、生活習慣修正の開始・強化が推奨されている。脳心血管病や糖尿病などの合併症のある高リスク患者でのみ、「降圧薬治療の開始/強化を含めて、最終的に130/80mmHg未満を目指す」とされた。 2014年版と比較して、高血圧治療ガイドライン2019で生活習慣修正の上で薬物による降圧強化が新たに推奨された病態としては、下記が挙げられている:◇130~139/80~89mmHgで、以下のいずれか・75歳未満の高リスク患者※・脳血管障害患者(血管狭窄なし)・冠動脈疾患患者※高リスク患者の判定: ・脳心血管病既往 ・非弁膜症性心房細動 ・糖尿病 ・蛋白尿陽性のCKD ・65歳以上/男性/脂質異常症/喫煙の4項目のうち、3項目以上がある ・上記4項目のうちいずれかがあり、血圧160/100mmHg以上 ・血圧180/110mmHg以上◇75歳以上で、収縮期血圧140~149mmHg

20135.

大腸がん治療へのビタミンD補充、高用量 vs.標準用量/JAMA

 切除不能大腸がんの治療における標準化学療法へのビタミンD3補充療法の併用では、高用量は標準用量と比較して無増悪生存を改善しないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のKimmie Ng氏らが行ったSUNSHINE試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年4月9日号に掲載された。転移を有する大腸がんの前向き観察研究により、血漿25ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)値が高いほうが、生存は良好と報告されている。この知見を確証するための無作為化試験の実施が求められていた。高用量のPFS改善効果を評価する米国の無作為化第II相試験 本研究は、米国の11施設で行われた多施設共同二重盲検無作為化第II相試験であり、2012年3月~2016年11月の期間に患者登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、病理学的に確認された切除不能な局所進行または転移を有する大腸腺がんの患者139例(平均年齢56歳、女性43%)であった。全例に、修正FOLFOX6(mFOLFOX6)+ベバシズマブが、14日(1サイクル)ごとに投与された。これらの患者が、ビタミンD3の高用量(69例)または標準用量(70例)を投与する群に無作為に割り付けられた。 高用量群には、1サイクル目に8,000IU/日(4,000IUカプセルを2つ)を投与し、その後のサイクルでは4,000IU/日を投与した。標準用量群には、全サイクルで400IU/日(400IUカプセル1つとプラセボカプセル1つ)を投与した。治療は、病勢進行、耐用不能な毒性、同意撤回のいずれかが発生するまで継続した。 主要エンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とした。副次エンドポイントには、客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、血漿25(OH)D値の変化が含まれた。25(OH)D値は高用量群で有意に高い 全体のフォローアップ期間中央値は22.9ヵ月であった。両群とも、ビタミンD3の服用率の中央値は98%で、アドヒアランスは高かった。 PFS期間中央値は、高用量群が13.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:10.1~14.7)、標準用量群は11.0ヵ月(9.5~14.0)であり、有意な差は認めなかった(非補正log-rank検定p=0.07)。多変量ハザード比(HR)は0.64(0~0.90、p=0.02)であり、有意差が認められた。 ORR(高用量群58%vs.標準用量群63%、差:-5%、95%CI:-20~100、p=0.27)およびOS期間中央値(24.3 vs.24.3ヵ月、log-rank検定p=0.43)にも、両群に有意差はみられなかった。 ベースラインの25(OH)Dの中央値は、高用量群が16.1ng/mL、標準用量群は18.7ng/mLであり、有意差はなかった(差:-2.6ng/mL、95%CI:-6.6~1.4、p=0.30)。1回目の病期再評価時(4サイクル終了時、約8週後)には、高用量群で有意に高値となり(32.0ng/mL vs.18.7ng/mL、差:12.8ng/mL、95%CI:9.0~16.6、p<0.001)、2回目の病期再評価時(8サイクル終了時、約16週後、35.2ng/mL vs.18.5ng/mL、16.7ng/mL、10.9~22.5、p<0.001)および治療終了時(34.8ng/mL vs.18.7ng/mL、16.2ng/mL、9.9~22.4、p<0.001)も、高用量群で有意に高い値を示した。 化学療法+ビタミンD3による最も頻度の高いGrade 3以上の有害事象は、両群とも好中球減少(高用量群35% vs.標準用量群31%)と高血圧(13% vs.16%)であった。Grade 3以上の下痢は高用量群で少なかった(1% vs.12%)。ビタミンD3関連の可能性がある有害事象として、高リン血症(高用量群の1例)と腎臓結石(標準用量群の1例)がみられたが、高カルシウム血症は認めなかった。 著者は、「これらの知見は、より大規模な多施設共同無作為化臨床試験によって、さらに検討を進めることを正当化するものである」としている。

20136.

父親の年齢と統合失調症や双極性障害との関連

 これまでの研究では、出産時の父親の高齢化と統合失調症や双極性障害のリスク増加との関連が報告されていた。この関連は、父親の精子におけるデノボ突然変異によって引き起こされるとする仮説や、高齢時に子供持つ父親の心理社会的特徴に関連するともいわれている。イスラエル・Chaim Sheba Medical CenterのMark Weiser氏らは、これらの仮説について検証を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年3月4日号の報告。 イスラエルのドラフトボードレジストリ、精神科入院レジストリよりプロスペクティブ集団ベースコホート研究を行った。対象者数は、統合失調症患者4,488例、双極性障害患者883例を含む91万6,439例。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)は、ロジスティック回帰モデルを用いて算出し、予測因子として父親の年齢、アウトカム尺度として統合失調症または双極性障害による入院リスクを使用した。分析モデルは、最初は未調整で行い、次に長子誕生時の父親の年齢で調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・未調整モデルでは、出産時の父親の年齢が45歳以上だと、子供の統合失調症(OR:1.71、95%CI:1.49~1.99)および双極性障害(OR:1.63、95%CI:1.16~2.24)のリスクが高かった。・しかし、長子誕生時の父親の年齢を考慮すると、父親の高齢化は、統合失調症(OR:0.60、95%CI:0.48~0.79)または双極性障害(OR:1.03、95%CI:0.56~1.90)のリスク増加と関連が認められなかった。 著者らは「父親の高齢化と子供の統合失調症および双極性障害リスクとの関連は、父親となる年齢の遅れによる心理社会的要因または一般的な遺伝変異によることが示唆された」としている。■関連記事統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか親の年齢とてんかんリスクに関するレジストリベース調査統合失調症、双極性障害の家族特性を検証

20137.

LDL-コレステロール低下療法後の残余リスクは?(解説:平山篤志氏)-1027

 スタチン、コレステロール吸収阻害薬、そしてPCSK-9阻害薬と、これまではLDL-コレステロール(LDL-C)を低下させることにより心血管イベントが低下することが明らかにされてきた。しかし、それでもまだゼロにならないので、残余リスクと呼ばれている。その1つが、中性脂肪、トリグリセライド(TG)である。TGが高くなるのは、リポプロテインリパーゼ(LPL)活性の低下により中性脂肪が分解されず、結果としてHDL-コレステロールが低値になる病態で、インシュリン抵抗性とも関連しており糖尿病患者に多いパターンである。ただ、これまでの中性脂肪を低下させるという薬剤であるフィブラートを用いた大規模臨床試験では、心血管イベントを有意に低下させることができなかった。 本論文では中性脂肪値が低い遺伝的欠損を持つ群とLDLコレステロール受容体変異のためLDL-C値が低値群のイベントを比較し、TGの低下とLDL-Cの低下がともに心血管イベントを低下させることを示している。ただ、両者の効果をアポリポプロテインB(ApoB)の低下効果で表すと独立性がなくなってしまうことから、TGによるイベント低下効果もApoB低下によるLDL-C低下効果であることを示唆している。コレステロールは血中では溶解しないためリポ蛋白と結合している。ApoBはコレステロール受容体と結合し、コレステロール含有量が最も多いリボ蛋白であり、酸化されることで動脈硬化を惹起する。TGにはコレステロールが5分の1含まれているため、TGを低下させてもApoBの低下効果は低い。 本論文では、これまでのフィブラートが大規模臨床試験で有効性を示せなかったのは、ApoB低下効果、すなわちLDL-C低下が不十分であったからと指摘している。遺伝的変異からの解析では、残余リスクとしてのTGもLDL-Cではないかとの示唆である。確かに、TG高値はsmall dense LDL-C値が高くなることから、さらにLDL-Cを低下させることが必要であるとされている。しかし、JELIS試験やREDUCE-IT試験で示されたエイコサペンタ酸の効果は、LDL-C値とは関連がないとされている。この点では、エイコサペンタ酸でのイベント低下効果はLDL-Cでは低下しないResidual Riskを示した試験といえるであろう。ただ、TGへの介入がLDL-Cだけなのかどうかは、現在進行中の大規模臨床試験(PROMINENT試験)の結果を期待して待つのみである。

20138.

第35回 お薬手帳のココだけは絶対に書いてほしい【週刊・川添ラヂオ】

動画解説お薬手帳が本領を発揮するのは災害時。阪神大震災の教訓から生まれたお薬手帳は、2011年東日本大震災の際には避難所などでの医療支援において大変助けになりました。患者さんの服薬内容をすぐに把握できれば、より多くの患者さんがスムーズに医療支援を受けられます。そのお薬手帳で現在使用されていないことが多い項目があります。ココは絶対書いてほしい、と川添先生が力説する項目とは?

20140.

第1回 一介の勤務医があの『コード・ブルー』の公式イベントに呼ばれたワケ【外科医けいゆうの気になる話題】

第1回 一介の勤務医があの『コード・ブルー』の公式イベントに呼ばれたワケ2018年7月4日17時半ごろ、私はお台場海浜公園駅構内のトイレにいました。目的はただ1つ。フジテレビ内の会場で登壇する前に、鏡の前で髪型を整えることでした。その日は風が強く、聴衆の前に立つのに髪型が乱れていては恥ずかしい、と思ったからです。私のような何のポジションもない一介の若手勤務医が、『劇場版コード・ブルー』という、のちに興行収入90億円超となる大ヒット映画の公式イベントに登壇し、ドラマのストーリーを医学的に解説することになっている―。私は鏡の前で、それまでの数奇な1年間を思い出さずにはいられませんでした。なぜこんなことになったのでしょうか?2017年5月、私は独自に医療情報ウェブサイト「外科医の視点」を立ち上げました。当時、ネット上には医療に関する間違いだらけの情報があふれていました。「インフルエンザワクチン」と検索すると、1位には「インフルエンザワクチンは接種するな」というまとめサイトが出ました。「胃カメラ 食事」の検索での1位は、「事前に禁止されたお酒や食べ物をどのくらいぎりぎりまで摂取してもバレないか」を実験した個人のブログ記事でした。こういう記事は、閲覧したユーザーに健康被害を与えるリスクがあります。強い焦燥感を覚えた私は、ネットで医療に関する疑問を検索したユーザーに、自分が作ったサイトで正しい情報を手に入れてもらいたいと考えたのです。私にとって幸運だったのは、サイトを開設した年に、偶然、医療ドラマ『コード・ブルー』の3作目の放送が始まったことでした。コード・ブルーといえば、これまで高視聴率を記録し続けてきた人気のシリーズ作品。3作目の「3rd SEASON」は、7年ぶりの新作ということで、世間の期待も高まっていました。私は、このドラマに出てきた医学的な内容をサイトで解説すれば、エンタメを使った効果的な啓発ができるのではないか、と考えました。そして、コード・ブルーのストーリーを土台に、長文記事を量産しました。3rd SEASON終了後は、1st、2nd SEASONもすべて視聴し直し、劇場版も含めシリーズ合計70本以上の解説記事をネットに投下しました。のちにこれがネット上で話題になり、合計200万回以上閲覧され、コード・ブルーシリーズを手掛けた増本 淳プロデューサーから「異常な熱意だ」と苦笑いで褒められることになります。オンラインで始めた活動が、最終的に「公式イベント登壇」というオフラインでの活動につながる、というのは、われながら実に「現代的」な情報発信のスタイルだと感じました。今はまさに、無名の個人が発信した情報が、多くのユーザーに直接届く時代です。ウェブサイト、各種SNS、YouTubeなどのプラットフォームは豊富にあります。今回から始まったこの連載もその1つ。多くの方々が読むメディアで文章を書かせていただくことに感謝しつつ、少しでも読者の皆さまのお役に立てる情報を提供していけたらと思っています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

検索結果 合計:36559件 表示位置:20121 - 20140