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20121.

SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

 SGLT2阻害薬は、アテローム動脈硬化性心血管疾患や心不全の既往にかかわらず、心不全による入院や腎疾患進行リスクを低減するベネフィットがあることが示された。主要有害心血管イベントリスクについては、ベースライン時にアテローム動脈硬化性心血管疾患が認められた場合に限り、低減効果が認められた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のThomas A. Zelniker氏らが、システマティックレビューとメタ解析を行い明らかにし、Lancet誌オンライン版2018年11月9日号で発表した。SGLT2阻害薬の心血管および腎アウトカムへの特異的効果の程度や、不均一性がベースライン特性に基づくものかどうかは明らかになっていなかった。SGLT2阻害薬の効果をアテローム動脈硬化性心血管疾患の有無などで階層化 研究グループは、PubMedやEmbaseで2018年9月24日までに発表された、2型糖尿病患者を対象としたSGLT2阻害薬に関する無作為化比較試験を検索し、システマティックレビューとメタ解析を行った。データ検索と抽出には標準化されたデータ形式を使用し、矛盾点はコンセンサスで解決した。 有効性アウトカムは、主要有害心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中・心血管死)、心血管死・心不全による入院の複合、および腎疾患の進行(eGFR低下、ESRD、腎機能廃絶などを含む標準化複合腎アウトカム)だった。 解析対象とした試験をプールし、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出し、有効性アウトカムについては、ベースライン時のアテローム動脈硬化性心血管疾患や心不全の有無、腎機能の程度により層別化した。SGLT2阻害薬は重症腎疾患の人ほど、心不全入院リスクの低減効果が大 解析の対象としたのは3試験で、被験者総数は3万4,322例、うちアテローム動脈硬化性心血管疾患が認められたのは60.2%だった。主要有害心血管イベントは3,342件、心血管死または心不全による入院は2,028件、腎疾患の進行は766件発生した。 メタ解析の結果、SGLT2阻害薬は主要有害心血管イベントを11%抑制したことが認められた(HR:0.89、95%CI:0.83~0.96、p=0.0014)。ただし、この抑制効果はベースライン時にアテローム動脈硬化性心血管疾患の認められた人に限られ(HR:0.86、95%CI:0.80~0.93)、同疾患のなかった人では抑制効果はみられなかった(同:1.00、0.87~1.16、交互作用のp=0.0501)。 一方でSGLT2阻害薬は、心血管死または心不全による入院リスクを23%減少した。同効果はベースライン時のアテローム動脈硬化性心血管疾患や、心不全の有無にかかわらず認められた(HR:0.77、95%CI:0.71~0.84、p<0.0001)。また、SGLT2阻害薬は、腎疾患の進行リスクを45%減少し、同効果もベースライン時のアテローム動脈硬化性心血管疾患の有無にかかわらず認められた。 SGLT2阻害薬の効果の程度は、ベースライン時の腎機能によって異なり、より重症の腎疾患の人ほど、心不全による入院リスクの低減効果が大きく(交互作用のp=0.0073)、腎疾患進行リスクの低減効果は小さかった(交互作用のp=0.0258)。

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高齢者への不適正処方、入院の影響は/BMJ

 高齢者にとって入院は、潜在的な不適正処方の独立関連因子であることが明らかになった。また、不適正処方は、患者の特性にかかわらず入院前より退院後のほうが、増える傾向があることも示されたという。スペイン・マドリード・コンプルテンセ大学のTeresa Perez氏らが、アイルランドの一般診療所の診療録を基に縦断研究を行い明らかにしたもので、BMJ誌2018年11月14日号で発表した。著者は、「結果は、高齢者における不適正処方に入院が及ぼす潜在的な悪影響を、考慮し解消する必要性を示すものだった」と述べ、「入院が高齢者の不適正処方にどのような影響を及ぼしているのか、また入院の潜在的有害性を最小限とする方法を明らかにすることが重要である」とまとめている。アイルランド44ヵ所の一般診療所の高齢者について調査 研究グループは2012~15年にかけて、アイルランド44ヵ所の一般診療所の診療録を基に、同診療所の65歳以上の患者を対象に試験を行った。 高齢者の処方スクリーニングツールScreening Tool for Older Persons’ Prescription(STOPP)ver.2の45の基準を用いて、潜在的不適正処方が占める割合を算出し、患者特性で補正を行い、層別化Cox回帰分析(明らかな潜在的不適正処方基準を満たした発生率)と、ロジスティック回帰分析(1人の患者について潜在的不適正処方が1回以上発生したか否かの2項値による)の2通りで分析し、入院との関連を検証した。患者特性と診断名に基づく傾向スコアによりマッチングを行い、感度分析も行った。患者の約半数に潜在的不適正な処方 分析には3万8,229例が包含された。2012年時点での平均年齢は76.8歳(SD 8.2)、男性が43.0%(1万3,212例)だった。年に1回以上入院した患者の割合は、10.4%(2015年、3,015/2万9,077例)~15.0%(2014年、4,537/3万231例)だった。 潜在的不適正処方を受けた患者の割合は、2012年の45.3%(1万3,940/3万789例)から2015年の51.0%(1万4,823/2万9,077例)の範囲にわたっていた。 年齢や性別、処方薬数、併存疾患、医療保険の種類とは関係なく、入院は明らかに潜在的不適正処方基準を満たす割合が高かった。入院補正後ハザード比(HR)は1.24(95%信頼区間[CI]:1.20~1.28)だった。 入院患者についてみると、潜在的不適正処方の発生率の尤度は、患者特性にかかわらず、退院後のほうが入院前よりも上昇した(補正後OR:1.72、95%CI:1.63~1.84)。なお、傾向スコア適合ペア分析でも、入院に関するHRはわずかな減少にとどまった(HR:1.22、95%CI:1.18~1.25)。

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可溶性ST2、慢性心不全の予後予測でBNPと高感度トロポニンTを超えた有用性【Dr.河田pick up】

 近年、心不全のマーカーとして血中B型(脳性)ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が広く使用されているが、腎不全患者ではあまり有用でないこともある。そこで、炎症や繊維化に関するバイオマーカーである可溶性ST2(soluble suppression of tumorigenesis-2)が予後予測や心不全の管理に使われることが増えている。その有用性について、イタリアのMichele Emdin氏らがJournal of American College of Cardiology誌2018年11月号に報告しているので紹介したい。可溶性ST2は併存症の影響を受けにくい 慢性心不全の予後予測やリスクの層別化にさまざまなバイオマーカーが提唱されている。ACC/AHAのガイドラインでは予後の層別化にナトリウム利尿ペプチドとトロポニンがclass I、可溶性ST2などの心筋障害や繊維化のマーカーがClass IIbとして推奨されている。ナトリウム利尿ペプチドは主に心筋壁ストレス、血行動態機能を反映するが、トロポニンは進行中の心筋ストレスや傷害を反映する。可溶性ST2は炎症や前繊維化の経路と関連し、ナトリウム利尿ペプチドが抱えるバイオマーカーとしてのいくつかの問題点を回避できる。具体的には、可溶性ST2は年齢や性別、BMIおよび腎不全などの併存症による影響を受けにくい。本研究の目的は、可溶性ST2の慢性心不全の予後予測因子としての価値を評価することであった。4,268例の心不全患者からデータを抽出 慢性心不全でのリスク予測因子として、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)と高感度トロポニンTと共に可溶性ST2を評価した研究から、個々の患者のデータを収集した。計4,268例が評価され、患者の年齢中央値は68歳、75%が男性で、65%が虚血性心不全、87%が左室駆出率(LVEF)40%未満であった。NT-proBNP、高感度トロポニンT、可溶性ST2はそれぞれ1,360ng/L (四分位範囲:513~3,222ng/L)、18ng/L(9~33ng/L)、そして27ng/L(20~39ng/L)であった。追跡期間中央値2.4年において、全死亡は1,319例(31%)、心臓血管関連死亡は932例(22%)であった。データが入手可能であった4,118例(96%)のうち、1,029例(24%)が少なくとも2.2年の間に1回以上心不全の増悪で入院した。可溶性ST2の全死亡、心臓血管関連死亡そして心不全による入院に対するカットオフ値は28ng/mLで、カプランマイヤー生存曲線でも良好な結果を示した(log-rank:117.6/61.0/88.6、 全てでp<0.001)。可溶性ST2はほとんどのサブグループにおいて独立した予後予測因子 年齢、性別、BMI、虚血性心疾患、LVEF、NYHAクラス、糸球体濾過率、心不全に対する薬物療法、NT-proBNPそして高感度トロポニンTを含むモデルにおいて、可溶性ST2が2倍になるごとに全死亡、心臓血管関連死亡、心不全による入院がそれぞれ26%、25%、30%増えていた。可溶性ST2はほとんどのサブグループにおいて独立した予後予測因子であった。たった1回の可溶性ST2の測定は全死亡、心臓血管関連死亡、心不全による入院に対して、併存症や心不全の機序、左室機能、腎機能、NT-proBNP、高感度トロポニンTに関わらず予後の予測因子であった。 筆者らは慢性心不全患者において、可溶性ST2はNT-ProBNPと高感度トロポニンTと共にマーカーの1つとして考慮されるべきであると結論づけている。(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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かかりつけ医でうつ病の治療をする時代に気を付けたいこと(解説:岡村毅氏)-957

 今後のわが国の医療がどのように変化するかわからないが、「まずはプライマリケアあるいは総合診療医にかかり、重篤や難治なケースが専門医に紹介される」という方向におおむね進むと理解している。 精神医療はどうだろうか? 多くの国ではうつ病の治療もプライマリケアでまず行うとされる。わが国でも今後そうなるかもしれず、この論文の知見は興味深い。 うつ病が疑われる患者さんが来て、薬物治療が必要な場合まず何を使うか? これについては多くのガイドラインが明確には語れない状況にある。とはいえ、ここでもったいをつけていても仕方ないのでえいやっとまとめてみたい。つまり、ここから下は個人的見解である。 おそらく現代の大多数の専門医はファーストラインでSSRI(なかでもセルトラリンとエスシタロプラムが総合的に優れているとされる。信頼できるエビデンスがあるのだ)を使うことが多いと一致するのではないか。 十分量を十分期間使っても効果がない場合にどうするか(セカンドライン)が本論文で検証されている。他の抗うつ薬(とくに薬理的に異なるもの)への変更、一部の抗うつ薬の追加(この論文のまさに主題であるがミルタザピンが使われることが多い、多くの治療アルゴリズムでそうなっているのだ)、抗精神病薬の抗うつ作用の利用、気分安定薬の利用、などなどの選択肢がある。とはいえ人間というものは多様過ぎて、この段階ではどれが優れているとは言い難い。そしてこの論文が示したのは、セカンドラインでの「ミルタザピンの追加は効果がなかった」というものだ。 ところで、精神科医はうつ病の方が受診した場合は、どのように治療戦略を考えるのだろう? 私見だが、多くの精神科専門医が最も注意を払うのは「本当にうつ病か」という点ではないかと思う。現代社会はますます複雑化する一方で、余裕は失われている。多くの人が、多様な悩みや苦しみを抱いて精神科を受診する。うつ病ではない人を、質問票に惑わされて、間違ってうつ病治療の文脈に導いてしまうと、「うつ病が治らないのは治療が悪いからだ、今は良い治療をするべきで、他の問題解決をするべきではない」という偽りの平衡状態にしばらく陥ることになる。この平衡状態では、医師は責任を感じて焦燥するし、患者はよくならないことに焦燥する、という絶望的なゲームとなる。 個人的臨床経験では、中核的・古典的・単純なうつ病の場合は最初の抗うつ薬(それが何であれ)でほとんど軽快する。一方で、最初の抗うつ薬が効果不十分な場合(つまりこの論文の対象集団だ)は、他の抗うつ薬に変更しようが、何かを加えようがあまり効果はない。その場合、臨床医として私なら、場合によってはミルタザピンを処方はするかもしれないが―――ミルタザピンは鎮静系なので睡眠は改善するだろうし―――内心では「そもそもの見立てを再構築しよう」と焦り、「家族内の葛藤などの語られていない情報はないか」、あるいは「双極性が隠れていないか」と考え、どうやって情報を集めようかと考えはじめるだろう。 この論文を読んで、非専門家がファーストラインで治せないうつ病は抜本的に治療戦略を見直すべきであり、そこで拘泥することは患者・医師双方にとって悲劇であると感じた。そして、この論文はきわめてまっとうな結論(さっさと専門家に紹介だ)を暗に示しているように思われた。 最後に、個々の抗うつ薬についてはさまざまなエビデンスが集積されていますし、その医師にとって使い慣れた、知り尽くした抗うつ薬がある意味で最も安全といえます。筆者はミルタザピンをファーストラインで使用することもあり、決して効果がないと言っているのではありません。本コラムの内容はあくまで単純化した一般論であり、誤解なきようお願いします。また、薬物治療は、精神療法や環境調整と並ぶ治療の大きな柱ですが、すべてではありません。

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第5回 再診料CT検査での査定/セルベックス処方での査定/カデュエット配合錠処方での査定/強力ネオミノファ-ゲンシ-増量処方での査定【レセプト査定の回避術 】

事例17 再診料CT検査での査定再診料で、他院の撮影したフィルムについて診断を行い、コンピュ-タ-断層診断料を請求した。●査定点コンピュ-タ-断層診断料が査定された。解説を見る●解説「点数表の解釈」のコンピュ-タ-断層診断に、「当該保険医療機関以外の医療機関で撮影したフィルムについて診断を行った場合には、区分番号「A000」に掲げる初診料(注5のただし書に規定する2つ目の診療料に係る初診料を含む)を算定した日に限り、コンピュ-タ-断層診断料を算定できる」と記載されています。再診料での請求は認められていないのです。事例18 セルベックス処方での査定慢性胃炎の急性増悪でテプレノン(商品名:セルベックス)50mg 3カプセルを先月まで処方していたが、今月の請求から「急性増悪」を外して請求した。●査定点セルベックス50mg 3カプセルが査定された。解説を見る●解説添付文書の「効能・効果」に「下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善」として「急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期」と「胃潰瘍」が対象になっています。慢性胃炎から急性増悪期を外すと査定となります。このケ-スでは、「胃潰瘍」の病名に変更可能か検討することが必要です。事例19 カデュエット配合錠処方での査定他院から紹介され、狭心症でアムロジピン・アトルバスタチン配合剤(商品名:カデュエット配合錠)1番を処方した。●査定点カデュエット配合錠1番が査定された。解説を見る●解説添付文書の「効能・効果」に「本剤(アムロジピン・アトルバスタチン配合剤)は、アムロジピンおよびアトルバスタチンによる治療が適切である以下の患者に使用する。高血圧症または狭心症と、高コレステロ-ル血症または家族性高コレステロ-ル血症を併発している患者。なお、アムロジピンとアトルバスタチンの効能・効果は以下のとおりである」と示し、●アムロジピン・高血圧症・狭心症●アトルバスタチン・高コレステロ-ル血症・家族性高コレステロ-ル血症となっています。カデュエット配合錠を処方するときは、「高血圧症または狭心症」+「高コレステロ-ル血症または家族性高コレステロ-ル血症」の病名が求められています。事例20 強力ネオミノファ-ゲンシ-増量処方での査定C型肝炎でグリチルリチン・グリシン・システイン配合剤(商品名:強力ネオミノファ-ゲンシ-)20mL 3Aの請求をしていたが、今月から強力ネオミノファ-ゲンシ-20mL 5Aで請求した。●査定点強力ネオミノファ-ゲンシ-20mL 2Aが査定された。解説を見る●解説添付文書の「用法・用量」に「通常、成人には1日1回5~20mLを静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。慢性肝疾患に対しては1日1回40~60mLを静脈内に注射または点滴静注する。年齢、症状により適宜増減する。なお、増量する場合は1日100mLを限度とする」となっています。このケ-スのように60mL以上で請求するには、増量した理由の「症状詳記」が求められます。

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第15回 内科からのエリスロマイシンの処方【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?Campylobacter coli属・・・11名全員Salmonella Enteritidis(サルモネラ・エンテリティディス)・・・1名Escherichia coli(大腸菌)・・・1名Arcobacter属・・・1名Clostridium perfringens(ウェルシュ菌)・・・1名腹痛、下痢、鶏肉から 奥村雪男さん(薬局)カンピロバクター属が原因菌と予想されます。下痢と腹痛から市中腸管感染症で、加熱不十分の鶏肉を食べたこと、検査はおそらくグラム染色だったのではないでしょうか。カンピロバクターのグラム染色での感度は30%程度のようですが、特異度が高いので確定診断に至ったのだと考えます。カンピロバクターは一般的には補液などの対症療法で自然軽快することがほとんどとされていますが、早期治療による菌の排出期間短縮と症状軽減があったとの報告があります1)。キノロン系薬剤への耐性化が進んでいるため、マクロライド系薬剤が第一選択であり、下記が推奨されています1)。クラリスロマイシン経口 1回200mg 1日2回 3~5日間アジスロマイシン経口 1回500mg 1日1回 3~5日間エリスロマイシン経口 1回200mg 1日4回 3~5日間Q2 患者さんに確認することは?どのような検査をしたか わらび餅さん(病院)できればどのような検査をしたか聞きます。培養ではっきり菌を特定するには、通常は数日かかるからです。下痢と腹痛が主訴ですが、可能なら血便など重症だと判断する情報があるのか聞きたいです。潰瘍性大腸炎の可能性も? 中堅薬剤師さん(薬局)併用薬と副作用歴です。また、可能であれば潰瘍性大腸炎の除外診断を医師がしているかどうかも確認したいです。今回は検査結果があるので可能性はあまりないと思いますが、開業医が第六感で「感染性腸炎」と誤診し、潰瘍性大腸炎が重症化することが非常に多い、と広域病院の消化器科医の講演を聞いたことがあります。必要に応じて、潰瘍性大腸炎の可能性も考慮して対応することが重要だと考えます。併用薬について 荒川隆之さん(病院)併用薬を必ず確認します。エリスロマイシンはCYP3A4で代謝される薬剤と併用した場合、併用薬の代謝が阻害され血中濃度が上昇する可能性があります。また、P糖タンパクを介して排出される薬剤と併用した場合、併用薬剤の排出が阻害され血中濃度が上昇する可能性があります。ピモジドなどの併用禁忌の確認 奥村雪男さん(薬局)エリスロマイシンはマクロライド系抗菌薬の中でもCYP3A4 阻害作用が強いので、ピモジドなどの併用禁忌薬剤を服用していないか確認します。マクロライド系抗菌薬のCYP3A4阻害様式はMBI(Mechanical based inhibition)で、服用開始から数日程度で阻害作用が最大になり、服用終了から数日程度で阻害作用は消失すると考えられます2)。そのため、服薬終了後も併用薬に注意が必要です。自炊かどうか 児玉暁人さん(病院)可能なら鶏肉をどこで食べたか確認します。飲食店なのか自宅で自炊をしてなのか。一人暮らしで自炊しているのであれば、しっかり加熱する、二食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行う、食肉を取り扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱う、食肉に触れた調理器具などは使用後洗浄・殺菌を行うなどのアドバイスができるかもしれません。Q3 疑義照会する?する・・・5人エリスロマイシンの用量 キャンプ人さん(病院)エリスロマイシンの1 回用量が多いように思うので、確認します。ガイドラインでは1回200mg 1日4回 3~5日間1)とされています。重症でなければ自然軽快する場合が多い 清水直明さん(病院)カンピロバクター腸炎の場合、重症でなければ抗菌薬の投与なしで自然に軽快する場合がほとんどです。処方医と信頼関係ができていれば、説明した上で「抗菌薬は不要かもしれません」と提案するでしょう。他剤への変更 JITHURYOUさん(病院)本症例は、重症感がなくカンピロバクター自体は自然軽快することが多いため、抗菌薬は不要ではないかと感じます。それでも医師が抗菌薬は必要だとするなら、現時点で消化器症状があるのでクラリスロマイシンに変更提案します。エリスロマイシンより消化器作用が少ないこと、添付文書上の適応のためです。併用薬がある場合には、相互作用の少ないアジスロマイシンに変更提案します。可能なら抗菌薬処方なしにもっていきたいです。しない・・・6人3日間投与は適切 中堅薬剤師さん(薬局)ガイドラインには、カンピロバクターは世界的にキノロン系薬の耐性化が進んでおり、マクロライドを第一選択にすると記載されています1)が、マクロライド耐性も問題化しつつあるようなので、まず3日間投与は適切ではないでしょうか。エンピリック処方かどうか わらび餅さん(病院)患者さんの聞き取りを踏まえ、カンピロバクターと予想した上でのエンピリック処方だと判断できれば、疑義照会しません。ただし、原因菌と特定されていればエリスロマイシンの用法を確認します。もし、アドヒアランスなどを考慮して用法を1日3回としていたら、アジスロマイシン1日1回でもよいのでは、と聞ければ聞きます。海外での使用例やPAE※も考慮 ふな3さん(薬局)エリスロマイシンは半減期が1.5時間程度と短めのため、1日3回ではちょっと不安ですが、カンピロバクターへの適応はないものの米国などでは1,000mg/2×などの処方もあるようです。PAEも期待できることから、疑義照会はしないと思います。※post-antibiotic effect。血中や組織中から抗菌薬が消失しても、一定期間、病原菌の増殖が抑制される効果1日3回が難しければ処方提案 児玉暁人さん(病院)エリスロマイシンの1回量が多く、回数も3回ですが、適宜増減の範囲内と考え、疑義照会はしません。ただし、1日3回の内服が難しそうであればクラリスロマイシン1回200mg 1日2回 3日分の処方提案をします。Q4 抗菌薬について、患者さんに説明することは?しっかり飲みきること キャンプ人さん(病院)指示されている期間しっかり服用することです。また、エリスロマイシンのモチリン様作用(消化管運動亢進作用)により、消化管の蠕動運動が活発になることを説明しておきます。服用時間について ふな3さん(薬局)1回目の分はすぐに飲み始めること。2回目は6時間程度あけて服用。1日3回、3日間飲みきることを伝えます。下痢についての説明 清水直明さん(病院)「今回、下痢止めは出されていませんが、下痢止めを服用しなくても数日で回復してくると思います。治りを遅くすることがあるので、市販の下痢止めは服用しないでください。」脱水に注意 JITHURYOUさん(病院)現時点で重症感はなさそうですが、水分補給して脱水に注意し、安静にするよう伝えます。はっきりと重症化しないとはいえませんが、年齢的に考えてみても整腸剤だけで経過観察でもよかったかもしれませんね。他院受診時にお薬手帳を持参 奥村雪男さん(薬局)今回の抗菌薬は服薬終了後も数日間程度飲み合わせに注意が必要なので、他院にかかる場合はお薬手帳を持参することを伝えます。Q5 その他、気付いたことは?ボツリヌス毒素の可能性も? ふな3さん(薬局)「古いパックの食品も疑われた」という言葉から、ボツリヌス毒素の疑いもあったのかもしれません。また、カンピロバクターからのギランバレー症候群の発症のリスクもあるため、下記のような症状が出たら、すぐに医師に連絡するよう伝えたいです。口内乾燥、嚥下困難、複視、視力低下(ボツリヌス中毒)四肢の脱力(ボツリヌス中毒、ギランバレー)エリスロマイシンの処方意図 柏木紀久さん(薬局)今回の症例はあまり抗菌薬の必要性を感じませんが、排菌の促進や消化管運動の促進を期待して3日分の処方かな?と思いました。ギランバレー症候群と菌血症 奥村雪男さん(薬局)カンピロバクター感染症の合併症に、ギランバレー症候群と菌血症が知られています。0.1%以下でギランバレー症候群の報告があり、感染後2~3週後に発症するようです3、4)。発症はまれなので不安をあおらないように伝えません。菌血症は1%程度に報告があり4)、高齢者に多いようです。若年では検査陽性になるころには自然治癒するようで、あまり心配ないかもしれませんが、知識として持っておく必要があると思います。後日談(担当した薬剤師から)調剤した日の閉局間際に「薬を飲んだら、余計にお腹の調子が悪くなりました。どうしたらいいですか?」と電話がかかってきました。実は、薬を渡すときにモチリン様作用の説明をするのを忘れていたことに気付きました。「原因の菌を退治するだけでなく、胃腸の動きを活発にさせる作用もあるお薬ですので、自然とその症状は治まります。菌の排出も早まりますので、辛抱して内服を続けてください」と返事をしました。無事治療が終了したのか、後日の来局はありませんでした。1)JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会.JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015―腸管感染症―. 一般社団法人日本感染症学会、2016.2)鈴木洋史監. これからの薬物相互作用マネジメント 臨床を変えるPISCSの基本と実践. 東京、じほう、2014.3)青木眞. レジデントのための感染症診療マニュアル. 第2 版. 東京、医学書院、2008.4)酒見英太監. ジェネラリストのための内科診断リファレンス. 第1版. 東京、医学書院、2014.[PharmaTribune 2017年6月号掲載]

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スポーツの違いで平均余命に差

 余暇の身体活動やスポーツの種類による平均余命の延長について調査したCopenhagen City Heart Study(CCHS)の結果から、スポーツの種類によって平均余命の延長年数に大きな差があることがわかった。なかでも、社会的相互作用の大きいスポーツのほうが、より平均余命が延長することが示唆された。Mayo Clinic Proceedings誌オンライン版2018年9月4日号に掲載。 CCHSは、余暇の身体活動やスポーツへの参加について詳細なアンケートを実施した前向き集団研究。被験者8,577人の全死因死亡を、1991年10月10日~1994年9月16日の調査から2017年3月22日まで最長25年追跡し、交絡変数を調整したCox比例ハザードモデルを用いて相対リスクを計算した。 その結果、座りがちなライフスタイルの群と比べた平均余命の延長(多変量調整後)は、テニスが9.7年、バドミントンが6.2年、サッカーが4.7年、サイクリングが3.7年、水泳が3.4年、ジョギングが3.2年、徒手体操が3.1年、スポーツクラブのアクティビティーが1.5年であった。 なお、本研究は観察研究のため、この関連の因果関係は不明である。

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統合失調症の認知機能に対するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬

 統合失調症で認められる認知機能障害は、予後の悪化をもたらす。そのため、統合失調症における認知機能改善を目的とした治療は、臨床的に重要であると考えられる。スペイン・バスク大学のBorja Santos氏らは、統合失調症患者の認知機能に対し、抗精神病薬とアセチルコリンエステラーゼ阻害薬併用療法の有効性を評価するため、検討を行った。Journal of Psychopharmacology誌2018年11月号の報告。 2018年3月までの研究をMedline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索を行った。特定の認知機能領域(処理速度、注意、ワーキングメモリ)について、抗精神病薬とアセチルコリンエステラーゼ阻害薬との併用、抗精神病薬とプラセボとの併用を比較した、ランダム化比較試験(RCT)を抽出した。2人の独立したレビュー著者が、研究適格性を評価し、データを抽出し、研究のバイアスリスクを評価した。ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行い、エビデンスの質の評価には、Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)を使用した。 主な結果は以下のとおり。・9件のRCTが抽出された。・6件のRCT(219例)では、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬併用群は、処理速度を改善するエビデンスが示された(標準化平均差[SMD]:-0.52、95%信頼区間[CI]:-0.79~-0.25、p=0.0002)。・その一方で、8件のRCT(252例)では、注意領域への改善効果はプラセボ併用群の方が優れているという結果が示された(SMD:-0.43、95%CI:-0.72~-0.13、p=0.005)。・8件のRCT(273例)では、両群間でワーキングメモリの改善に差は認められなかった(SMD:-0.14、95%CI:-0.51~0.24、p=0.47)。 著者らは「現在のエビデンスでは、統合失調症患者の認知機能改善に対し、抗精神病薬への補助療法としてアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を併用することへの推奨レベルは非常に弱かった。また、効果予測に対する信頼性も限定的であった。」としている。■関連記事統合失調症の精神病理および認知機能障害に対する抗認知症薬に関するメタ解析統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か統合失調症の認知機能障害、コリン作動系薬の可能性

20129.

ニッケル過敏症、過去20年で増加

 ニッケルは、頻度の高いアレルゲンとして知られている。米国・ミネソタ大学のErin M. Warshaw氏らが、北米接触皮膚炎共同研究班(NACDG)のデータを後ろ向きに解析した結果、ニッケル過敏症の発現頻度は、20年間で有意に増加していたことを報告した。著者は、「ニッケル過敏症は、北米における公衆衛生上重要な問題である」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年10月17日号掲載の報告。 研究グループは、北米におけるニッケル過敏症の疫学を調べる目的で、1994~2014年にNACDGによるパッチテストを受けた4万4,097例のデータを後ろ向きに解析した。 パッチテストでニッケルに陽性反応を示したものをニッケル過敏症と定義し、ニッケル過敏症の発現頻度と人口統計学的に患者をを評価し、ニッケルに陽性反応を示した患者の臨床所見や職業との関連性、および曝露源を集計した。 主な結果は以下のとおり。・1994~2014年におけるニッケル過敏症の平均発現頻度は、17.5%であった。・ニッケル過敏症は経時的に有意に増加した(1994~96年14.3%、2013~14年20.1%、p<0.0001)。・ニッケル過敏症患者は、女性、若年、非白人、アトピー(湿疹および喘息)および顔・頭皮・耳・首・腕・体幹に発症の皮膚炎を有する患者で、有意に高かった(p≦0.0474)。・現在、臨床的関連のある症例は全体の55.5%に及び、この頻度は経時的に有意に増加していた(1994~96年44.1%、2013~14年51.6%、p<0.0001)。・職業に関連した症例は全体の3.7%であり、経時的に有意に減少していた(1994~96年7.9%、2013~14年1.9%、p<0.0001)。・最も多かった曝露源は、ジュエリーであった。

20130.

心血管健康の変化と、その後のCVD発生の関連/JAMA

 心血管の健康状態が理想的であることと心血管疾患(CVD)発生の低さの関連には、首尾一貫したエビデンスがある。しかし大部分の試験は、心血管健康の単回評価指標を用いたものであったことから、フランス・パリ第5大学のThomas T. van Sloten氏らは、心血管健康が時間とともにどれくらい変化したかを調べ、それらの変化とCVD発生の関連を複合的に調べた。その結果、整合性がとれた関連は認められなかったという。JAMA誌2018年11月6日号掲載の報告。心血管健康「低」「中」「高」分類の変化を調べ、その後のCVD発生を評価 検討は、英国の公務員が参加する前向きコホート試験「Whitehall II試験」の参加者データを分析して行われた。同試験は、1985/88年(ベースライン)に開始され、以後2015/16年まで5年ごとに心血管健康の評価が行われている。CVD発生については2017年3月までフォローアップされていた。 研究グループは参加者を、米国心臓協会の7つの測定基準(非喫煙、理想的なBMI値、身体活動度、食事、血圧値、血糖値、総コレステロール値)を用いて、理想的な測定基準の該当項目数で「0~2」「3~4」「5~7」に分類。それぞれを心血管健康の程度が「低い群」「中程度群」「高い群」とした。 1985/88年(ベースライン)から1997/99年の10年間に心血管健康がどのように変化したかを再評価・再分類し、1997/99年からCVDおよび死亡のフォローアップを開始した。 主要評価項目は、CVD(冠動脈疾患[CHD]と脳卒中)発生であった。心血管健康「高い→高い」維持がベストではない? 試験には、CVD非既往の9,256例(ベースライン時の平均[SD]年齢44.8歳[6.0]、女性2,941例[32%])が包含された。このうち6,326例から心血管健康の変化に関するデータを入手できた。 1997/99年後のフォローアップ中央値18.9年間で発生したCVDイベントは、1,114件であった。 多変量解析および心血管健康が一貫して低かった参加者(全体の13.5%、CVD発生率:1,000人年当たり9.6、95%信頼区間[CI]:8.4~10.9)との比較において、CVDリスクとの関連に有意性は認められなかった。心血管健康が低い→中程度に変化した被験者群(全体の6.8%)は絶対発生率差:1,000人年当たり-1.9(95%CI:-3.9~0.1)でハザード比(HR)0.84(95%CI:0.66~1.08)、低い→高いに変化群(全体の0.3%)は-7.7(-11.5~-3.9)で0.19(0.03~1.35)、中程度→低いに変化群(全体の18.0%)は-1.3(-3.0~0.3)で0.96(0.80~1.15)だった。 また、次の群では、CVDリスクが低いことが観察された。一貫して中程度の参加者群(全体の38.9%)は絶対発生率差:1,000人年当たり-4.2(95%CI:-5.5~-2.8)でHRが0.62(95%CI:0.53~0.74)、中程度→高いに変化群(全体の5.8%)は-6.4(-8.0~-4.7)で0.39(0.27~0.56)、高い→低いに変化群(全体の1.9%)は-5.3(-7.8~-2.8)で0.49(0.29~0.83)、高い→中程度に変化群(全体の9.3%)は-4.5(-6.2~-2.9)で0.66(0.51~0.85)、そして一貫して高かった群(全体の5.5%)は-5.6(-7.4~-3.9)で0.57(0.40~0.80)であった。

20131.

エンパグリフロジンとリナグリプチンの配合剤、トラディアンス発売

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社は、DPP-4阻害薬リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)と、SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)との配合剤である2型糖尿病治療薬「トラディアンス配合錠 AP/BP」を、2018年11月20日発売した。 トラディアンス配合錠APは、トラゼンタ5mgとジャディアンス10mgとの配合、トラディアンス配合錠BPは、トラゼンタ5mgとジャディアンス25mgとの配合剤。 1日1回投与のDPP-4阻害薬トラゼンタは、心血管イベントや腎イベント、またはその両方のリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象としたCARMELINA試験において、主要評価項目を達成し、プラセボと同等の心血管安全性を示した。一方、1日1回投与のSGLT2阻害薬ジャディアンスは、心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者を対象としたEMPA-REG OUTCOME試験において、主要評価項目である複合心血管イベント(血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)リスクを14%、心血管死のリスクを38%、全死亡リスクを32%、心不全による入院のリスクを5%有意に減少させている。これら異なる作用機序の2成分を配合し1剤にすることで、患者の服薬負担を軽減し、アドヒアランスを高め、より良好な血糖コントロールが得られることが期待されている。 トラディアンス配合錠は、トラゼンタ、ジャディアンスと同様に、医療機関への情報提供活動については、日本ベーリンガーインゲルハイム、日本イーライリリー両社で行う。製品名:トラディアンス配合錠AP、トラディアンス配合錠BP一般名:エンパグリフロジン、リナグリプチン効能・効果:2型糖尿病。ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。用法・用量:通常、成人には1日1回1錠(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして 10mg/5mg又は25mg/5mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。薬価:トラディアンス配合錠AP 283.30円、トラディアンス配合錠BP 395.60円

20132.

n-3多価不飽和脂肪酸(PUFAs)摂取量増加は高齢者を無病息災に導く期待大!(解説:島田俊夫氏)-956

 n-3多価不飽和脂肪酸 (PUFAs)に関しては、ちまたでは生活習慣病に対して健康改善に有効だとの認識がほぼ定着している。その一方でアカデミアにおいては、それを裏付けるエビデンスが必ずしも十分に得られているわけではないが賛同する方向にある1)。しかし、n-3 PUFAsは一般社会ではエビデンスに先行して医薬品、サプリメントとして確固たる地位を獲得しているように見える。米国・タフツ大学のHeidi TM Lai氏らは長期前向きコホート研究(Cardiovascular Health Study)の成果をBMJ誌の2018年10月17日号に発表した。 これまでn-3 PUFAsは健康に有効な作用が期待できると信じられ、日々の生活の中でサプリメントとして積極的に摂取することが多くなっている。その一方でn-3 PUFAs摂取量は自己申告または質問形式の食事調査によるものが大部分を占めており、情報の質が落ちる点が泣き所であった。本研究においては、ベースラインマーカーとして食事性または代謝性のn-3 PUFAs(循環脂肪酸)をバイオマーカーとして測定し、n-3 PUFAs摂取量の信頼性を担保するデータとして活用することで、これまでの論文と一線を画する論文内容となっており、興味深い。論文要約 本研究では、米国内4地域で1992~2015年の間に実施されたn-3 PUFAsの連続測定値と健康老化の関連が調べられた。採血済みの1992~93年、1998~99年、2005~06年の凍結保存血液を使用し、1992~93年のベースライン時に健康老化(ほぼ無病老化)と認定された健康老化者2,622例を本研究対象とした。平均年齢は74.4歳(SD 4.8)、女性が63.4%の集団であった。参加者のn-3 PUFAs値(植物由来のα-リノレン酸、魚由来のEPA、DPA、DHA)をガスクロマトグラフィー法により測定した。 主要評価項目を健康老化とした。つまり慢性疾患(心血管疾患、がん、肺疾患、重度CKDなど、および認知、身体障害のない生存)または65歳以降の健康老化アウトカムに含まれない要因による死亡と定義した2)。イベントについては医療記録・診断検査からの情報に基づき中央判定にて最終診断が行われた。 2,622例の参加者中2,330例(89%)が研究期間中に不健康老化(有病老化)を体験したことが明らかになった。残りの292例(11%)は重大な慢性疾患を持たず生存(健康老化)していた。社会的、経済的、生活習慣等を考慮したうえでEPA五分位数群の最高値群は最低値群に比較し24% (11~35%、p<0.001) 低く、リスク回避を達成していることがわかった。DPA五分位数群の上位3群で不健康老化(有病老化)リスクが18%(6~29%、p=0.003)低下した。海産物由来のDHA、植物由来のALAは健康老化への関与は明らかではなかったが全面否定する結果ではなかった。筆者コメント 本研究は観察研究であり、因果関係を明らかにすることを目的として計画されていない。n-3 PUFAs摂取を客観的に評価することが可能なバイオマーカー(循環脂肪酸)測定を導入したことにより情報の質を高めた研究であり、フォローアップ期間も長期(20年以上)にわたっており、高齢者におけるn-3 PUFAsの摂取の増加が不健康老化リスクの低下をもたらす可能性を明らかにした点は評価に値する。臨床医としての使用経験からも、この論文内容に素直に耳を傾けることができるのではと考える。いずれにしても未解決な点も多々あり、前向きに今後もこの問題に関心を持って研究を進めていく中で、真実が明らかになる日も近いと考える。

20134.

28)イナビル【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、イナビルの吸入手順を説明します。手順としては、薬を立てて持ち、軽く叩いて薬を下に集める→薬剤1番を右にスライドさせる→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く(底の空気口をふさがないよう注意)→吸入口をしっかりくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→呼吸を整え、薬剤2番を左にスライドさせる→もう一度、同様に吸入を行う→吸い残しがないよう、1番と2番の薬をもう一度吸入する→(10歳以上の患者さんは、2本目を吸入する)→うがいをする(口の中3回、喉の奥3回)

20135.

添付文書改訂:タミフル/スタチンとフィブラート併用の原則禁忌解除/リンゼス錠【下平博士のDIノート】第13回

タミフルカプセル75、タミフルドライシロップ3%画像を拡大する<Shimo's eyes>2007年に、オセルタミビルを服用した10代の患者が転落して死傷する事例が相次いで報告されたことから、緊急安全性情報の発出や添付文書の警告欄の新設によって、10代の未成年患者への使用は原則として差し控えられていました。しかし、2018年8月に、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知にて、オセルタミビル服用と異常行動について、明確な因果関係は不明という調査結果が報告され、インフルエンザ罹患時には、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無または種類にかかわらず、異常行動が発現する可能性があることが明記されました。そして、オセルタミビルを含めたすべての抗インフルエンザウイルス薬について、異常行動に対する注意喚起の記載が統一されました。今年は経口抗インフルエンザ薬のラインアップに変化が生じており、2018年3月には新規作用機序であり、1回の経口投与で治療が可能なバロキサビル錠(商品名:ゾフルーザ)が発売され、同年9月には顆粒製剤が承認されています。同じく9月には、オセルタミビルの後発医薬品も発売されています。患者さんに合わせて処方薬が使い分けられるようになりますが、どのような薬剤が処方されていたとしても、異常行動の可能性があることを念頭に、小児・未成年者を1人にしないことや住居が高層階の場合は施錠を徹底することなどを指導しましょう。スタチン系とフィブラート系併用の原則禁忌が解除画像を拡大する<Shimo's eyes>2018年10月に、腎機能低下患者へのフィブラートとスタチンの併用が添付文書の原則禁忌から削除され、「重要な基本的注意」の項で、腎機能に関する検査値に異常が認められる場合、両剤は治療上やむを得ないと判断する場合のみ併用することという旨の注意喚起が追記されました。欧米では腎機能が低下している患者でもスタチンとフィブラートの併用が可能であること、わが国においても併用治療のニーズがあることなどから、日本動脈硬化学会より2018年4月に添付文書改訂の要望書が提出されていました。さらに、2019年4月に施行される予定の医療用医薬品の添付文書記載要領の改訂において、「原則禁忌」および「原則併用禁忌」が廃止されることを踏まえた対応と考えられます。なお、原則禁忌が解除されたとはいえ、腎機能が低下している患者では、スタチンとフィブラートの併用による横紋筋融解症のリスクについて、引き続き十分な注意を払う必要があるでしょう。リンゼス錠0.25mg画像を拡大する<使用上の注意>治療の基本である食事指導および生活指導を行ったうえで、症状の改善が得られない患者に対して本剤の適用を考慮します。重度の下痢が現れるおそれがあるので、症状の経過を十分に観察し、漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討します。<用法・用量>通常、成人にはリナクロチドとして0.5mgを1日1回、食前に経口投与します。なお、症状により0.25mgに減量します。<Shimo's eyes>慢性便秘症は高齢者に多いため、超高齢社会となったわが国では、近年便秘治療薬の領域が活気を帯びています。従来、慢性便秘症の薬物治療には、酸化マグネシウムやセンノシドなどが主に使われてきましたが、近年新薬が相次いで発売されています。便秘は「本来、体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義され、腸そのものの病変(腫瘍や炎症、狭窄など)によって起こる「器質性便秘」と、消化器官の機能低下によって起こる「機能性便秘」に分類されます。「慢性便秘症」は機能性便秘のうち、便秘の状態が日常的に続くものです。リナクロチドは、2017年3月に「便秘型過敏性腸症候群」の適応で発売されましたが、今回「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」が追加されました。同適応を有するものとしてすでに、ルビプロストンカプセル(商品名:アミティーザ)、エロビキシバット錠(同:グーフィス)が発売されており、さらに2018年9月にはマクロゴール含有製剤(同:モビコール)、ラクツロースゼリー(同:ラグノスNF)が承認されました。なお、食後投与の薬剤や食前投与の薬剤、服用時点の定めのない薬剤があるため、監査・服薬指導の際には注意が必要です。

20136.

人も論文も見た目が9割【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第5回

第5回 人も論文も見た目が9割皆さん「人は見た目が9割」という書籍を見かけたことがあるのではないでしょうか。自分は、このようなキャッチーなタイトルに弱いので、すぐに購入して読みました。読後感想は、小生には役に立つ部分がないという事実でした。容姿に恵まれない者には無用の書籍であることに気づいたのは読後のことでした。まさに「書籍はタイトルが9割」です。社会学的実験から、恋愛では「イケメン」や「美女」であることが有利に働くことは間違いのない事実のようです。「人は見た目が100パーセント」というネーミングのテレビドラマもありました。ところで、イケメンや美女は「性格が悪い」と言う人がいます。そういう事例もあるでしょうが、多くはそうではないように感じています。容姿に恵まれた者は、友人や仲間が多く、社会的不安が少なく、性格も良いといわれます。神様は不公平で、「天は二物を与える」場合が多いのです。医学論文においても、この不公平な法則は当てはまります。見た目が優れた論文は、内容も優れている場合が多いです。ここでの見た目とは、「図(グラフ)」や「表」です。論文においては、display items(表示物)と総括されます。図表は強力なコミュニケーション・ツールです。クリアで説得力のある図表は、読者の興味を引き付けます。工夫されたグラフは、複雑で大量の情報を効果的に理解させます。査読者や編集者は評価すべき論文全部を読み始める前に図表に目を通すことが多いとされます。display itemsは、レイアウトがすっきりとしていて、フォントも読みやすいことが大切です。グラフにおいては、縦軸・横軸の名前や単位をわかりやすくすることが基本です。論文全体を参照しなくても、その図表を見るだけで理解できるくらい独立していることが望まれます。その重要性はどんなに強調しても強調しきれないほどです。逆に優れた内容の研究であっても、粗末な図表では論文の有効性を損なうことになります。イケメン、美人などといった見た目だけで、性格も素晴らしいに違いない、仕事ができるに違いない、将来も有望だろう、と無意識のうちにポジティブに評価してしまうのが人間です。これを、ハロー効果(halo effect)といいます。仏像の背中には、太陽の光を模した円形の飾り(光背)がついています。これが「ハロー」です。その人の本質ではなく後ろから輝いて見せている光、つまり他の目立つ特徴によって全体を評価してしまう、という人間の社会心理学的現象がハロー効果なのです。説得力があり読者の興味を引き付けるクリアな図表をもつ論文は、信頼できて素晴らしい内容に違いないと期待するのが人間です。皆様が論文を執筆・投稿する際には、ハロー効果を味方にすれば「ナミ・カゼ」が立たずスムースに採択されることでしょう。この一文が「波浪(ハロー)注意報」として皆の役に立てばと願っております。おあとがよろしいようで、チャンチャン!

20137.

乾癬のようにみえて違う難治性皮膚疾患の掌蹠膿疱症

 2018年11月2日、ヤンセンファーマ株式会社は、都内において難治性皮膚疾患である「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、国内に患者が13万人ともいわれる本症の概要、疫学、治療法について説明が行われた。なお、同社では、既存の乾癬治療薬グセルクマブ(商品名:トレムフィア)の掌蹠膿疱症への適応追加につき、厚生労働省薬事・食品衛生審議会に11月8日に報告を行っている。掌蹠膿疱症は乾癬とは区別される慢性皮膚疾患 「掌蹠膿疱症」をテーマに村上 正基氏(愛媛大学大学院医学系研究科分子機能領域 皮膚科学 准教授)を講師に迎え、本症の概要についてレクチャーが行われた。 掌蹠膿疱症は、手掌や足底に生じる無菌性の膿胞を主徴とする慢性皮膚疾患であり、乾癬とは区別され、わが国では1958年よりこの疾患概念で診療が行われている(海外では膿疱性乾癬の限局型と捉えられ、世界的なコンセンサスは現在も得られていない)。 疫学情報として、男性よりもやや女性に多く、男女ともに30~50歳代で好発し、地域差はなく、特徴として女性患者の約9割、患者全体では約8割が喫煙者であるという。全国で約13万人の患者がいると推定されている。 掌蹠膿疱症の原因としては、病巣感染(歯周病、扁桃炎、中耳炎など)、喫煙、TNF-α阻害薬などの誘因が挙げられているが、明確な機序はわかっていない。患者の訴えでは、身体が疲労し、免疫力が落ちている状態のときに発症または悪化するという声も多い。 皮膚病変では、手掌や足底に最初に小水疱が生じ、膿疱に変化する。その後、周囲の皮膚にも紅斑、鱗屑がみられるようになり、紅斑落屑局面が混じった状態になる。周期的に良悪を繰り返し、痒み、ひび割れ、痛みを生じさせる。夏季に悪化することが多く、患者では落屑などから外見への精神的負担が大きいため、社会生活が阻害される例もある。また、足底などに症状が出た場合、歩行が困難となりQOLにも多大な影響を及ぼすケースもある。経過中に肘や膝、足背などに乾癬様皮疹を生じる掌蹠外病変も散見され、爪病変を伴うこともある。そのほか合併症では、胸鎖肋関節痛や甲状腺疾患、糖尿病、IgA腎症を伴うこともある。乾癬と間違いやすい掌蹠膿疱症の診断の手掛かりは多数 掌蹠膿疱症の診断では、視診による手掌や足底の水疱・膿疱の所見確認を行う。ダーモスコープによる診断では、水疱と膿疱が混在し、水疱の中央に小膿疱のあるpseudo-vesicleがみられる。掌蹠膿疱症は一見、乾癬とよく似ているが、皮疹を拡大すると、肉眼的に観察されにくい小膿疱も確認でき、この点で区別できるという。また、臨床検査所見では、特異的な指標となるものはないが、そのため除外診断で役立つ。鑑別疾患では、足白癬、汗疱、膿疱性乾癬などの疾患との鑑別が必要とされる。 掌蹠膿疱症の治療では、発症や悪化因子が明確な場合、根治を目指して病巣感染の治療などを行う。皮疹に対しては、外用薬が基本となる。 外用薬による治療では、手掌や足底の水疱・膿疱へステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬を併用する(軽症では活性型ビタミンD3外用薬単独)。治療中は2~4週に1回はフォローアップし、もし皮膚への刺激感が認容できない場合は中止する。内服薬ではレチノイドが処方されるが、催奇形性があるので処方では注意が必要。また、中波長紫外線療法では、外用薬の効果が限られる場合に行われ、ナローバンドUVBやエキシマを使用し、週1~3回行われる。以上が現在保険適用とされている治療となる。 これら以外にも抗アレルギー薬、抗菌薬、コルヒチン、生物学的製剤などの処方による掌蹠膿疱症の治療もあるが、いずれも保険適用外の治療となる。そのほか、ビオチン療法が提唱されているが、エビデンスがなく推奨はされていない。 入院適応はまれではあるが、合併症の関節症状がQOLに影響している場合、感染病巣として慢性扁桃炎が疑われ、この摘出手術を受ける場合などは入院となる。 最後に同氏は掌蹠膿疱症治療のアルゴリズムを示し、「悪化因子として扁桃炎や歯性病巣は重要。同じく骨・関節症状の有無もきちんと診断し、ケースによってはCTやMRI検査によりVASスコアによる痛みの評価も患者にとっては必要となる。治療ではこの20年近く新しい治療薬が開発されていないこともあり、患者の容態によっては保険適用外と断ったうえで、別の治療薬で苦痛を除くことも必要だ」と語り、レクチャーを終えた。

20138.

ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連性が示唆された

 ベンゾジアゼピンの使用は、メンタルに関連する混乱や遅延を潜在的に引き起こす可能性がある。これらのよく知られているベンゾジアゼピンの副作用は、認知症と診断されるリスクの増加と関連しているといわれている。韓国・成均館大学校のKyung-Rock Park氏らは、ベンゾジアゼピンと認知症との関連について評価を行った。International Journal of Clinical Pharmacy誌オンライン版2018年10月26日号の報告。ベンゾジアゼピン使用が認知症リスク増加と関連しているかを調査 2002~13年の韓国医療データベースよりデータを抽出した。ベンゾジアゼピン使用が認知症リスク増加と関連しているかを調査するため、Sequence symmetry analysis(SSA)を行った。新規のベンゾジアゼピン使用者と新規に認知症と診断された患者(ICD-10:F00~03、G30、G318)を定義した。ベンゾジアゼピンは、作用時間に基づき長時間作用型と短時間作用型の2群に分類した。結果の非因果的解釈の可能性を除外するため、抗うつ薬、オピオイド鎮痛薬、スタチンの使用者を活性比較者とした。関連性を同定するため、時間傾向調整順序比(ASR)と95%信頼区間(CI)を用いた。主要アウトカム指標は、ASRとした。長時間作用型ベンゾジアゼピン使用者は認知症リスクが高い 主な結果は以下のとおり。・ベンゾジアゼピン使用者は、認知症との関連が認められた(ベンゾジアゼピン:4,212対、ASR:2.27、95%CI:2.11~2.44)。・長時間作用型ベンゾジアゼピン使用者(長時間作用型:3,972対、ASR:2.22、95%CI:2.06~2.39)は、短時間作用型ベンゾジアゼピン使用者(短時間作用型:5,213対、ASR:1.88、95%CI:1.77~2.00)よりも、ASRが高かった。・本SSAでは、期間と反応との関連は認められなかった。 著者らは「本研究において、ベンゾジアゼピンと認知症との関連が示唆された。さらに、長時間作用型ベンゾジアゼピン系薬剤使用患者は、同薬剤の短時間作用型使用患者よりも、認知症リスクが高いと考えられる。この疫学的関連性の因果関係を明らかにするためにも、さらなる研究が求められる」としている。

20139.

HFpEF患者への亜硝酸薬吸入、運動能への効果は?/JAMA

 左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者において、4週間にわたる無機亜硝酸塩の吸入投与はプラセボと比較して、運動能の有意な改善に結びつかなかった。米国・メイヨークリニックのBarry A. Borlaug氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年11月6日号で発表された。HFpEF患者に対する効果的な治療法はほとんどない。無機亜硝酸塩や硝酸塩製剤は、一酸化窒素シグナリングを強化することが示されており、HFpEF患者の運動能を改善する可能性が示唆されていた。4週間投与、プラセボ対照の無作為化クロスオーバー試験で検討 研究グループは、HFpEF患者に対する噴霧吸入による無機亜硝酸塩の4週間投与について、運動能改善への効果を調べるため、多施設共同二重盲検プラセボ対照試験を行った。検討は、HFpEF患者を2治療群に割り付け6週間の介入をクロスオーバーにて行い評価した。被験者の登録は、全米17施設で2016年7月22日~2017年9月12日に行われた。フォローアップ最終日は2018年1月2日。 無機亜硝酸塩またはプラセボの投与には、マイクロネブライザデバイス(I-neb AADネブライザ[Philips製])が用いられた。6週間の介入において、2週間は試験薬を投与せず(ベースライン/ウォッシュアウト期間)、その後に試験薬(亜硝酸塩またはプラセボ)46mg×3回/日を1週間、80mg×3回/日を3週間投与した。 主要評価項目は、最大酸素消費量(mL/kg/分)。副次評価項目は、日常生活活動量(加速度測定法で評価)、健康状態(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaireで評価[スコア範囲:0~100、高スコアほどQOLが良好])、機能分類、心充満圧(心エコーで評価)、NT-proBNP値、その他の運動指標、有害事象、忍容性などであった。平均最大酸素消費量、介入群13.5 vs.プラセボ群13.7mL/kg/分 105例(年齢中央値68歳、女性56%)が無作為化を受け、98例(93%)が試験を完了した。 亜硝酸塩投与中の平均最大酸素消費量は、プラセボ投与中の同値と比べて有意な差はなかった(13.5 vs.13.7mL/kg/分、群間差:-0.20[95%信頼区間[CI]:-0.56~0.16]、p=0.27)。また、日常生活活動量(5,497 vs.5,503、群間差:-15[95%CI:-264~234]、p=0.91)、健康スコア(62.6 vs.61.9、群間差:1.1[95%CI:-1.4~3.5]、p=0.39)、機能分類(2.5 vs.2.5、群間差:0.1[95%CI:-0.1~0.2]、p=0.43)、心エコーE/e′比(16.4 vs.16.6、群間差:0.1[95%CI:-1.2~1.3]、p=0.93)、NT-proBNP値(520 vs.533pg/mL、群間差:11[95%CI:-53~75]、p=0.74)は、いずれも有意な差はなかった。 心不全増悪は、亜硝酸塩投与中に3例(2.9%)、プラセボ投与中に8例(7.6%)で認められた。

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capmatinib、MET変異NSCLCに良好な結果(GEOMETRY mono-1)/ESMO2018

 METエクソン14スキッピング変異は非小細胞肺がん(NSCLC)の約3〜4%に同定される。この変異はドライバー遺伝子と考えられている。また、深刻な予後不良因子であり、標準治療にも免疫治療にも奏効しにくい。MET阻害薬capmatinib(INC280)は、MET受容体に高い親和性を持つTKIで、最も強力なMETエクソン14スキッピング阻害薬であり、単独およびEGFR-TKIとの併用でMET変異NSCLCに対し、有効性と管理可能な安全性プロファイルを示している。GEOMETRY mono-1は、EGFR野生型、ALK融合遺伝子陰性、MET遺伝子増幅および/またはMETエクソン14スキッピング変異を有する成人NSCLC患者におけるcapmatinib単剤の有効性および安全性を評価する多施設共同非盲検第II相試験。MET増幅患者とMETエクソン14スキッピング変異に分けて解析される。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、METエクソン14スキッピング変異患者の解析結果が、治療歴のある患者群(コホート4)と、未治療の患者群(5B)に分けて発表された。・対象[コホート4]1~2ラインの治療歴を有するMETエクソン14スキッピング変異のあるStageIIIB/IVのNSCLC[コホート5B]治療歴のないMETエクソン14スキッピング変異NSCLCのあるStageIIIB/IVのNSCLC・介入:capmatinib(400mg×2/日)・評価項目[主要評価項目]盲検下独立判定委員会(BIRC)評価による全奏効率(ORR)[副次評価項目]BIRCによる奏効期間(DOR)など。 主な結果は以下のとおり。・コホート4は69例、コホート5Bは28例であった。・有効性は94例(コホート4は69例、コホート5Bは25例)、安全性は302例で評価された。・BIRC評価のORRは、コホート5Bで72.0%(50.6~87.9)、コホート4では39.1%(27.6~51.6)であった。・病勢コントロール率は、コホート5Bで96.0%、コホート4では78.3%であった。・解析時点でのDORは未到達であった。・capmatinibの有害事象の発現率は、全Gradeで83.8%、Grade3/4は33.1%であった。主なものは、末梢浮腫、悪心、嘔吐、および血中クレアチニン値の上昇であった。

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