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20021.

がん治療に大変革をもたらした2つの研究~がん免疫療法のいま・未来~

 2018年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞した、本庶 佑氏(京都大学高等研究院 特別教授)とJames P. Allison氏(テキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンター 教授)が、現地時間の12月10日(日本時間 12月11日未明)、授賞式に出席した。 両氏の研究成果は、がん免疫療法の発展に大きく寄与している。本庶氏は日本医師会での講演にて、がん免疫療法によって「今世紀中にがん死はなくなる可能性が出てきた」と語っている。いま一度、両氏の功績を振り返るとともに、がん治療に大変革をもたらした免疫チェックポイント阻害薬の開発までの軌跡をたどる。がん免疫療法、はじめの一歩 免疫チェックポイント阻害薬の標的である免疫チェックポイント分子のうち、最初に発見されたのがCTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)であった。 1987年、CTLA-4は活性化T細胞上に発現する分子として発見され1)、1990年代半ばにはCTLA-4が抑制性受容体であり、T細胞のブレーキ機能を果たすことが明らかにされた2)。これに着目し、がん治療への応用を考えたのがAllison氏らだ。Allison氏らはマウスを用いた実験でCTLA-4をモノクローナル抗体で遮断し、いわばT細胞のブレーキを外すことで、抗腫瘍免疫応答を活性化できることを証明した3)。これは、最初の免疫チェックポイント阻害薬である抗CTLA-4抗体の臨床開発につながる大きな発見だった。大変革への架け橋 時を同じくして、1992年に本庶氏らは、もう1つの免疫チェックポイント分子を発見する。それがPD-1(Programmed cell Death 1)分子だ。本庶氏らはPD-1がCTLA-4と同様にT細胞のブレーキとして機能するものの、CTLA-4とは異なる機序で作動することを示した4)。そして1990年代後半には、本庶氏らが実施したPD-1欠損マウスでの研究5)からPD-1分子による免疫抑制作用が明らかにされた6)。2000年にはPD-1のリガンドであるPD-L1(Programmed cell Death ligand 1)が同定された。T細胞上のPD-1が、がん細胞に発現したPD-L1と結合すると、T細胞にブレーキが掛かり活発な免疫反応が妨げられる。その結果、がん細胞は免疫システム攻撃から逃れていることを解明したのだ7)。 この本庶氏らの研究成果は、抗PD-1抗体開発につながる偉大な功績となった8)。がん免疫療法のいま・未来 2000年代に入り、抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体といった、免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験が開始された。2010年、抗CTLA-4抗体のイピリムマブの、悪性黒色腫に対する顕著な効果が示された9)。 また2012年には、抗PD-1抗体であるニボルマブの、非小細胞肺がん(NSCLC)、悪性黒色腫、腎細胞がん(RCC)といった複数のがん種に対する臨床試験において、既存の治療法と比べて、全生存期間および奏効率の双方に関する臨床的に著しい改善が示された10-12)。まさにがん治療の大変革が現実のものとなったのだ。 その後本邦では、2014年7月に世界に先駆けてニボルマブが、2015年7月にはイピリムマブが承認を取得した。両剤は免疫チェックポイント阻害薬のトップランナーとして、実臨床で高い効果を発揮し、がん治療に大きな貢献を果たしている。 現在、多数のがん種において、さまざまな免疫チェックポイント阻害薬の開発が進む中、がん免疫療法単独での効果を増強する目的で、作用機序が異なるがん免疫療法同士を組み合わせた、複合がん免疫療法の開発が盛んに行われている13)。イピリムマブとニボルマブの併用療法も一部のがん種で承認され、治療の幅が広がっている。今後もがん免疫療法の発展は続いていくようだ。 免疫チェックポイント阻害薬はがん治療に大きな変革をもたらした。本庶氏が語るように、がん免疫療法によってがん克服が可能になる日も遠くないのかもしれない。■参考1)Brunet JF, et al. Nature. 1987;328:267-270.2)Krummel MF, et al. J Exp Med. 1995;182:459-465.3)Leach DR, et al. Science. 1996;271:1734-1736.4)Ishida Y, et al. EMBO J. 1992;11:3887-3895.5)Nishimura H, et al. Science. 2001;291:319-322.6)Nishimura H, et al. Immunity. 1999;11:141-151.7)Freeman GJ, et al. J Exp Med. 2000;192:1027-1034.8)Iwai Y, et al. Int Immunol. 2005 Feb;17:133-144.9)Hodi FS, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2003;100:4712-4717.10)Brahmer J, et al. N Eng J Med. 2015;373:123-135.11)Weber J, et al. N Engl J Med. 2017;377:1824-1835.12)Motzer RJ, et al. N Eng J Med. 2018;378:1277-1290.13)河上 裕. 日臨. 2017;75:175-180.

20022.

受動喫煙と高血圧症との関連~日本人3万人の横断研究

 受動喫煙の直後に血圧は一時的に上昇するが、受動喫煙と慢性的な高血圧症との関連については明らかではない。今回、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC研究)の横断研究で、多くの潜在的交絡因子を制御し、その関連について評価を行った。その結果から、高血圧予防においてタバコ煙を制御する重要性が示唆された。Medicine(Baltimore)誌オンライン版で2018年11月に掲載。 本研究の対象者は、J-MICC研究に参加した生涯非喫煙者3万2,098人(男性7,216人、女性2万4,882人)である。受動喫煙は自記式調査票を用いて評価した。受動喫煙への曝露時間は、「時々またはほとんどなし」、「ほぼ毎日、1日2時間以内」、「ほぼ毎日、1日2~4時間」、「ほぼ毎日、1日4~6時間」、「ほぼ毎日、1日6時間以上」の5つの選択肢で把握した。高血圧症有病は、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上、あるいは降圧薬の服用のいずれかを満たす者とした。高血圧症の多変量調整オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)について、ロジスティック回帰モデルを用いて、受動喫煙の曝露レベルごとに推定した。 その結果、受動喫煙にほぼ毎日曝露された人の高血圧症の多変量調整ORは「時々またはほとんどなし」の人(基準群:OR=1.00)に比べて、1.11(95%CI:1.03~1.20)であった。また、受動喫煙の曝露時間が1日1時間増加することによる高血圧症の多変量調整ORは、1.03(95%CI:1.01~1.06、傾向性のp=0.006)であった。この関連は男性においてより強く観察された。男性における受動喫煙への曝露1日1時間当たりの高血圧症の多変量調整ORは1.08(95%CI:1.01~1.15、傾向性のp=0.036)、女性では1.03(95%CI:1.00~1.05、傾向性のp=0.055)であった。

20023.

英国でプライマリケアの検査件数が激増/BMJ

 英国では、性別や年齢、検査の種類にかかわらず、検査件数が経時的に増加しており、調査対象となった検査の9割が、16年間で統計学的に有意に件数が増加したことが、英国・オックスフォード大学のJack W. O’Sullivan氏らの検討で明らかとなった。プライマリケアにおける検査を定量的に評価したデータは、世界的にみても少ない。英国では、2005~09年の検査件数の増加を示す調査が1件あるだけで、加えてこの調査はサンプル数が少なく、種類は検体検査のみで、対象集団も限定的だという。BMJ誌2018年11月28日号掲載の報告。44の検査の16年間の使用状況を評価 研究グループは、英国のプライマリケアにおける検査の使用状況の経時的変化を評価するために、後ろ向きコホート研究を行った(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 2000年4月1日~2016年3月31日の期間に、英国のGeneral Practices in the Clinical Practice Research Datalink(CPRD)に登録された全患者のデータを用いた。 プライマリケアにおける年間の年齢別、男女別の検査件数を算出。44の検査(検体検査:28、画像検査:11、その他の検査:5[スパイロメトリー、上部消化管内視鏡、大腸内視鏡、子宮頸部細胞診、心電図])の解析を行った。 16年間(7,143万6,331人年)において、1,108万2,628例の患者に2億6,297万4,099件の検査が行われた。使用率は3.3倍、1例に年5件、3分の1が年10件以上、40検査が有意に増加 年齢・性別で補正した検査の使用率は、年間8.5%(95%信頼区間[CI]:7.6~9.4)上昇し、2000~01年度の1万人年当たり1万4,869件から、2015~16年度は4万9,267件へと3.3倍に増加した。患者1例当たりの年間平均検査件数は、2000~01年度が1.5件であったのに対し、2015~16年度は5件に達した。 16年間を通じて、検査使用率が最も高い年齢層は45~64歳で、次いで65~74歳、25~44歳の順であった。年齢・性別で補正した検査使用率は調査期間を通じて全年齢層で有意に上昇し、最低でも6.5%増加した。年間使用率が最も上昇したのは85歳以上の患者(11.1%)で、次いで75~84歳の患者(9.8%)だった。 検体検査は、調査期間を通じて画像およびその他の検査よりも大幅に使用頻度が高かった。補正後使用率は、3種の検査のいずれもが有意に上昇した。検体検査は、2000~01年度の1万人年当たり1万3,091件から、2015~16年度には4万4,847件へと増加し、年間平均増加率は8.7%であった。同様に、画像検査とその他の検査の年間平均増加率は、それぞれ5.5%および6.3%だった。 年に10件以上の検査を受けた患者の割合は、2000~01年度が9.5%であったのに対し、2015~16年度は32.7%に増加した(絶対増加率:23.2%、p<0.001)。検査を1つだけ受けた患者の割合は、2000~01年度に比べ2015~16年度は16.4%低くなった(p<0.001)。年に1件以上の検査を受けた患者のうち、複数の検査を受けた患者の割合は、経時的に有意に増加していた。 腎機能検査、全血算検査、肝機能検査などの使用頻度が高く、骨盤CTや膝MRIの頻度は低かった。44の検査のうち40検査の使用率が有意に増加した。調査期間中に年間使用率が統計学的に有意に低下したのは、膣スワブ検査のみであった。また、3つの検査(子宮頸部細胞診、腰椎X線検査、非違法薬物の尿検査)は、変化に有意差がみられなかった。 著者は、「これらの変化は、人口増加の変化よりも大きかった」とし、「今回の結果により、政策立案者は検査の使用状況の傾向を評価可能となった。国民保健サービス(NHS)の先例のない財政負担を踏まえると、これらのデータは今後の医療リソース計画の指針となるだろう」と指摘している。

20024.

診療ガイドライン2018(進行再発NSCLC)/日本肺学会

 肺診療ガイドラインが改訂され、変更ポイントについて第59回日本肺学会学術集会で発表された。ここでは、変更点の多かった進行再発非小細胞肺がん(NSCLC)について取り上げる。全領域にGRADE方式を採用 2018年までは一部だったGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)方式が、本年から全領域の推奨度に適用された。GRADEは「行う」「行わない」という2つの方向性に対する推奨レベルを数字の1と2(推奨する=1、提案する=2)で、エビデンスレベルを英語A~D(A=強、B=中、C=弱、D=とても弱い)で示し、この数字と英語の組み合わせで推奨度を表す。ドライバー遺伝子変異/転座陽性<EGFR遺伝子変異陽性の1次治療> EGFR遺伝子変異陽性の1次治療では、FLAURA、ARCHER1050、NEJ026、NEJ009といった臨床試験が検討された。その結果、PS0~1の場合の1次治療としては下記のようになった(CQ51)。 ・オシメルチニブを行うよう推奨する(1B) ・ダコミチニブを行うよう提案する(2B) ・ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブを行うよう提案する(2A) ・エルロチニブ+ベバシズマブを行うよう提案する(2B) ・ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセドを行うよう提案する(2B) 樹形図には、従来のEGFR-TKIに替わり、上記の5種の治療法が記載された。<ALK遺伝子転座陽性の2次治療以降> ALK-TKI既治療例に対するロルラチニブの第I/II相試験の結果を踏まえ検討された。その結果、ALK-TKI1次治療耐性または増悪後のPS0〜2に対する治療法として、「ロルラチニブによる治療を行うよう提案する(CQ58、2C)」が新規追加された。<BRAF遺伝子変異陽性> BRAF遺伝子変異陽性例は「ダブラフェニブ+トラメチニブを行うよう推奨する(CQ60、1C)」に変更された。<ドライバー変異/転座陽性例に対する免疫チェックポイント阻害剤> アテゾリズマブのIMpower150試験の結果が検討されたが、最終的には、「ドライバー遺伝子変異/座陽性の患者にプラチナ製剤併用療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法を行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない(CQ49、推奨度決定不能)」という結果となった。ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明…1次治療 ドライバー遺伝子変異/転座陰性の1次治療では、細胞障害性抗がん剤+免疫チェックポイント阻害剤レジメンとして、非扁平上皮がんのKEYNOTE-189、IMpower150、扁平上皮がんのKEYNOTE-407、IMpower131試験が検討された。<PD-L1 50%以上> PS0~1に対する1次治療に対して「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害薬を行うよう推奨する(CQ62、1B)」が追加された。PS2においては、「ペムブロリズマブ単剤療法を行うよう提案する(CQ63、2D)」に加え、「細胞障害性抗がん剤を行うよう推奨もしくは提案する(CQ63、単剤 1A、カルボプラチン併用療法 2B)」、「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤を行うよう推奨するだけの根拠が明確でない(CQ63、推奨度決定不能)」が追加された。 PS0~1の樹形図は、「ペムブロリズマブ単独」と「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤」の併記、PS2では「細胞障害性抗がん剤」と「ペムブロリズマブ単独」の併記となった。<50%未満もしくは不明> プラチナ製剤併用療法へのPD-1/PD-L1阻害剤の上乗せについては、PS0~1では「プラチナ製剤併用療法にPD-1/PD-L1阻害剤を併用するよう推奨する(CQ67、1B)」、PS2では「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤を行うよう推奨するだけの根拠がない(CQ67、推奨度決定不能)」という結果となった。 PS0~1の樹形図は、「プラチナ製剤併用療法+PD-1/PD-L1阻害剤」が追加され、75歳未満では「プラチナ製剤併用療法±PD-1/PD-L1阻害剤」、75歳以上では「細胞障害性抗がん剤単剤」と「プラチナ製剤併用療法±PD-1/PD-L1阻害剤」の併記に変更された。ちなみに、PS2は前版と変わらず「プラチナ製剤併用療法」「細胞障害性抗がん剤」の併記。ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明…2次治療以降 ドライバー遺伝子変異/転座陰性もしくは不明の2次治療以降では、新たに免疫チェックポイント阻害剤使用と未使用例に分類された。 免疫チェックポイント阻害剤未使用のPS0~2に対する2次治療においては、「PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤をよう推奨する(CQ72、1A)」「細胞障害性抗がん剤を行うよう提案する(CQ72、2A)」となった。 免疫チェックポイント阻害剤未使用のPS0~2の樹形図は、「PD-1/PD-L1阻害剤」と「細胞障害性抗がん剤」の併記となった。

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ブリンゾラミド/ブリモニジン配合剤、24時間の眼圧低下に有効

 米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRobert N. Weinreb氏らは、開放隅角緑内障または高眼圧症患者におけるブリンゾラミド1%/ブリモニジン0.2%固定用量配合剤(BBFC)による治療は、プラセボと比較して、24時間眼圧を有意に低下させることを明らかにした。BBFCの24時間眼圧低下効果を評価する試験としては初となる大規模多施設共同試験で、Ophthalmology誌オンライン版2018年11月4日号に掲載された。 本試験は、BBFCによる24時間にわたる眼圧(IOP)低下作用を検討するための多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較試験として、米国の大学病院を含む16施設で実施された。対象者は18歳以上の開放隅角緑内障または高眼圧症患者で、ベースラインの平均眼圧が少なくとも片眼で21mmHg以上28mmHg未満の患者であった。 ウォッシュアウト期(最大4週間)を経て適格時期となった段階で、未治療患者としてベースラインの24時間IOPを測定した。その後、試験開始時に患者をBBFC群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日3回(午前8時、午後3時、午後10時)4週間の点眼の後、試験前と同様の条件下で24時間眼圧の測定を行った。 眼圧測定は、空気眼圧計を使用して2時間おきに24時間実施された。また、光が制御された施設で測定を行い、昼間(午前8時~午後8時に計7回)と夜間(午後10時~翌午前6時に計5回)の眼圧を、座位または仰臥位それぞれ測定した。 主要評価項目は、4週間後におけるベースラインからの24時間眼圧の平均変化であった。 主な結果は以下のとおり。・無作為化された125例中123例(98%)が試験を完遂し、BBFC群は全例(62例)が試験を完遂した。・4週間後の24時間平均眼圧について、BBFC群はプラセボ群と比較して、有意に低下(最小二乗平均差:-2.5、95%信頼区間[CI]:-3.3~-1.7、p<0.001)し、昼間(-3.4、-4.3~-2.6、p<0.001)および夜間(-1.2、-2.3~0.0、p=0.053)のいずれにおいても、眼圧低下が観察された。・ベースラインからの変化量において、BBFC群と対照群では有意差が認められ、日中は全7回の測定、夜間は全5回のうち3回の測定(午後10時、午前12時、午前6時)が該当した。・有害事象の発現頻度は両群で類似しており、BBFC群では眼充血、角膜びらん、味覚異常が高頻度に報告され、添付文書の記載と一致していた。

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第8回 p値が小さいほど効果があったといえるのか?【統計のそこが知りたい!】

第8回 p値は小さいほど効果があったといえるのか?p値とは何だったでしょうか。p値とはprobability(確率)の頭文字です。pの値は0~1の間の値です。p値は小さくなればなるほど誤る確率は低くなり、母集団において効果がある(違いがある)という結論の確からしさが高まります。p値と統計学が定めた基準の値(有意水準という)を比較し、p値<有意水準であれば帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択します。たとえば、新薬Yは母集団において効果があると判断します。有意水準は通常0.05の定数を適用します。では、既存薬Xとの比較試験でp<0.05となり効果があると判断された新薬Yと、同じく既存薬Xとの比較試験でp<0.01となり効果があると判断された新薬Zでは、効果の違いは判断できるでしょうか? 新薬Zのほうが既存薬Xと比べて新薬Yよりも効果があったといってもよいでしょうか?今回は、p値と効果との違いについて解説します。■仮説検定は帰無仮説を棄却できるかで決まる統計的仮説検定で最初にすることは、帰無仮説と対立仮説を立てることでした。新薬は従来の治療薬よりも効果が優れているというのが、自信を持って開発した薬剤が証明したい本当の仮説だったとします。しかし、検定ではあえて「既存薬と新薬の効果は等しい」という帰無仮説を立てて、それをデータで棄却しようとする方法をとります。帰無仮説が棄却された場合は、対立仮説が正しいとするのですが、問題はその対立仮説の確率が評価されないことにあります。統計的仮説検定は、帰無仮説を棄却することだけにあります。一方で、帰無仮説が棄却できなかった場合は、2つの薬剤(既存薬と新薬)の効果が等しいと積極的に証明できたわけではありません。帰無仮説が棄却できなかった場合は、「結論は保留」。つまり、「有意差はなかった」あるいは「効果があったかどうかはわからなかった」というのが、結果の正しい解釈です。このことを「仮説検定の非対称性」といいます。つまり、「有意差が出なかった」=「既存薬と新薬との効果に違いがなかった」と解釈することはできないのです。「有意差が出なかった」=「偽陽性の確率が高い(αエラー)」=「差があるということがわからなかった」ということなのです。■p値の小ささは効果を裏付ける指標となるか?p値が、小さければ小さいほど差があるとはいえません。つまり、p値が小さいことを理由にして、大きな効果があったと結論付けることはできません。p値の比較として、表の解熱効果を比較し、データでみてみましょう。表 各薬剤の解熱効果の比較新薬Yは、既存薬Xや新薬Zと比較し、体温低下の平均値は2.2と最も体温を下げています。そして、新薬Zも既存薬Xに比べて、有意に体温を下げています。既存薬Xと新薬Yの検定から得られるp値は0.041、既存薬Xと新薬Zのp値は0.009でした(図)。仮にp値の大きさが小さいからという理由で薬剤を選択したら、新薬Zのほうが効果が大きい(良い結果)ことになってしまいます。つまりp値の大きさだけで薬剤を選ぶと、効果の低い薬剤を選んでしまうという間違った判断をしてしまいます。図 新薬と既存薬との体温低下の平均値の比較p値は信頼度の強さの指標であって、効果の大きさの指標ではありません。単一のp値もしくは統計的有意性は、その結果である効果や重要性の大きさを測るものではないのです。実際に新薬Yも被験者数をもっと多くの人数で実施していたとしたら、p値は0.041よりも、もっと小さな値になるかもしれません。値が非常に小さければ、それだけで何かが証明されるわけではなく、p値は5%程度でもいいから、きちんと計画された追試がいくつか行われて、一貫して同じ結果が得られるほうが重要だというわけです。p値は目安ですので統計的には,次のようにおおまかな範囲を*印の数で示すことがあります。*  0.01≦p<0.05** 0.001≦p<0.01*** p<0.001また、p≧0.05 を有意でないという意味で n.s.(not significant)と書くこともあります。このようにp値の情報にも限界がありますので、臨床試験論文を読むときには、p値だけではなく、主要エンドポイントの効果の差に臨床的意義があるかないかも併せて確認してください。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション10 p値による仮説検定セクション11 対応のない場合の仮説検定第4回 ギモンを解決! 一問一答質問1 p値は小さければ小さいほど差がある(よく効いた)といえるのか?

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管理薬剤師の兼業はなぜできないのか?【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第8回

2018年11月22日、新潟県からとある薬局に対し、改善措置命令を行ったとの発表がされました。医薬品医療機器等法違反の概要は以下のとおりです。(1)保健所職員が立入検査を実施したところ、次の違反行為を複数確認。県知事の許可を受けずに薬局の管理者(管理薬剤師)を複数の薬局で薬事に関する業務に従事させていたこと。【法第7条第2項及び第3項違反】自社の薬剤師(勤務薬剤師)を勤務に関する届出を行わずに薬局で勤務させていたこと。【法第10条第1項違反】(2)同社に対し、社内調査と報告書の提出を指示したところ、県内の27薬局で違反を確認。(3)違反行為に取締役が関与するなど組織的に行われていた。※新潟県ホームページ(報道発表資料)2018年11月「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の違反事業者に対する行政処分(改善措置命令)について」より引用このうち、管理薬剤師を他の薬局で薬事に関して勤務させていたというものがあります。ご存じのとおり、以下の規定があるため、当該薬局以外の場所で薬事に関する実務に従事するものは管理薬剤師にはなれません。医薬品医療機器等法7条3項薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。要するに、管理薬剤師は管理する薬局以外の場所で薬事に関する業務を行うことはできないということです。なお、店舗販売業者や卸売販売業の管理者も同様の規定があります(医薬品医療機器等法25条3項、同法35条3項)。管理薬剤師は当該薬局を実地に管理しなければならず、その他の場所で薬事に関する業務に従事する者では管理ができないと考えられているため、この規定が定められています。したがって、ただし書きの許可は、管理薬剤師の義務を行うに当たって、支障がないと認められる場合にのみとされており、学校薬剤師業務、休日夜間診療所での業務などに限定されているようです。違反は内部からの通報で発覚昨今、一般企業において、副業が認められることが多くなってきていますので、管理薬剤師に対して、このように厳しく兼業を禁止しておくことが適切なのかという議論もあるかもしれません。しかし、現時点では、この規定がある以上、許可を受けない限り、薬局の管理薬剤師は他の場所で薬事に関する業務はできません。なお、報道によれば、この薬局での違反の事実は内部からの通報で明らかになったようです。薬局のコンプライアンスが問われる中、違法な行為などを隠し通すことは困難です。薬局開設者・管理薬剤師はもちろん、薬局で勤務する薬剤師は、自身の立場を守るためにも、法律をしっかり理解し、クリーンな運営に携わっていく意識が必要でしょう。参考資料1)新潟県ホームページ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の違反事業者に対する行政処分(改善措置命令)について

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第17回 秘伝「5+5チェック」 で仕事が楽しくなる【週刊・川添ラヂオ】

動画解説投薬時の患者さんとの会話の秘訣となる暮らしが先にくる思考回路では、食事、排泄、睡眠、運動機能、認知機能について想像し、質問することを前回紹介しました。今回はその5つのチェックに加え、薬剤師の五感活用法についてお話しします。患者さんの姿をよく見て、声の調子を聞き、家では鼻をきかせ、手を握り、そして話す。このちょっとした意識があなたの薬剤師人生を10倍楽しくします!

20030.

第5回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同院消化器化学療法外科、同大学院臨床腫瘍学分野、同大学院未来がん医療プロフェッショナル養成プランは、2019年1月13日(日)に、第5回「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、同院が地域がん診療連携拠点病院の活動の一環として、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の5回目となる。今回は『がん治療とQOL(生活の質)』をテーマに、がん治療中のQOLの維持に積極的に取り組む意味や、QOLの維持に役立つ情報を広く知ってもらうための内容となっており、各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が多数予定されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2019年1月13日(日)《ブース展示》12:00~17:00《セミナー》13:00~16:40【場所】東京医科歯科大学 M&Dタワー2F 鈴木章夫記念講堂〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45現地キャンパスマップはこちら【参加費】無料(※参加申し込み不要)【テーマ】がん治療とQOL(生活の質)【予定内容】《セミナー》13:00~16:40 鈴木章夫記念講堂 司会:石黒 めぐみ氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)13:00~13:05 開会挨拶 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/緩和ケア科)13:05~13:25 講演1 知ってますか? がん治療とQOLの関係 石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)13:25~13:55 講演2 がん患者さんのための栄養・食事の工夫 有本 正子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部)13:55~14:25 講演3  摂食嚥下(食べる・飲み込む機能)の大切さ 中川 量晴氏(東京医科歯科大学歯学部附属病院 摂食嚥下リハビリテーション外来)14:25~14:55 講演4 「がんのリハビリテーション」ってどんなもの? 何のため? 酒井 朋子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 リハビリテーション部)14:55~15:15 休憩15:15~15:35 医科歯科大のがん治療 update(1) 「遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)外来」がスタートしました 大島 乃里子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 周産・女性診療科)15:35~15:55 医科歯科大のがん治療 update(2) もっと知ってほしい!「緩和ケア病棟」のこと 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/緩和ケア科)15:55~16:35 パネルディスカッション がん治療とQOL 座長:植竹 宏之氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)16:35~16:40 閉会挨拶 川﨑 つま子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 看護部長)《ブース展示》 12:00~17:00 講堂前ホワイエ■がんと栄養・食事 (東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部)■お口の楽しみ、支えます (東京医科歯科大学歯学部 口腔保健学科)■「がんのリハビリテーション」ってどんなもの? (東京医科歯科大学医学部附属病院 リハビリテーション部)■「がんゲノム医療」ってなに? (東京医科歯科大学医学部附属病院 がんゲノム診療科)■ウィッグ・メイクを楽しもう! (アプラン東京義髪整形/マーシュ・フィールド)■術後の補正下着・パッドのご紹介 (株式会社ワコール リマンマ)■抗がん剤治療の味方「CVポート」ってどんなもの? (株式会社メディコン)■がん患者さんの家計・お仕事に関するご相談 (特定非営利活動法人 がんと暮らしを考える会)■がん患者と家族へのピアサポートの紹介 (特定非営利活動法人 がん患者団体支援機構)■リレー・フォー・ライフ・ジャパン(RFLJ)のご紹介 (RFLJ御茶ノ水実行委員会)■その情報、図書館で調べられます (東京都立中央図書館/東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター)■看護師よろずミニ相談 (東京医科歯科大学医学部附属病院 専門・認定看護師チーム)■「もっと知ってほしい」シリーズ冊子 (認定NPO法人 キャンサーネットジャパン)【お問い合わせ先】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45TEL:03-5803-4886(平日 9:00~16:30)【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科東京医科歯科大学大学院 臨床腫瘍学分野東京医科歯科大学大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プラン【協力】認定NPO法人キャンサーネットジャパン【後援】東京医科歯科大学医師会東京都医師会/東京都/文京区第5回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座 詳細はこちら

20031.

日本人生活保護受給者における精神病床入院の地域差に関する研究

 日本の生活保護受給者数は約200万人、年間医療扶助費は約1.8兆円に達しており、医療扶助費のうち15%は、精神疾患による入院医療費となっている。そして、さまざまな地域で精神科病床に長期間入院している患者に対する退院促進の取り組みが行われている。しかし、都道府県ごとに、どの程度の生活保護受給者が精神科病床に入院しているか、といった基礎的な統計資料は、これまで不十分であった。東京都医学総合研究所の奥村 泰之氏らは、厚生労働省による医療扶助実態調査を活用して分析を行った。Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年9月22日号の報告。 2014年5月、2015年5月、2016年5月の厚生労働省による医療扶助実態調査を活用して分析を行った。対象は、2016年6月審査分の生活保護受給者のレセプトより、2016年5月に精神病床に入院していた4万6,559例とした。年齢、性別で標準化された精神科病床の入院患者数は、都道府県ごとに、直接標準化法および間接標準化法を用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・人口10万人当たりの精神科病床入院中の生活保護受給者数は36.6例であった。・都道府県別では、人口10万人当たりの精神科病床入院中の生活保護受給者数が最も多い長崎県(83.3例)と最も少ない長野県(12.0例)との間に約7倍の差が認められた。・重回帰モデル分析では、人口10万人当たりの精神科病床数が多い地域は、精神科病床入院中の生活保護受給者数が多い傾向が認められた(R2=28%)。・また、人口1,000人当たりの生活保護受給者数が多い地域は、精神病床入院中の生活保護受給者数が多い傾向が認められた(R2=23%)。・感度分析では、別の調査年およびサブグループからのデータにおいても、同様の所見が示唆された。 著者らは「地域移行の施策が導入されてきた後、精神科病床へ長期入院となる都道府県ごとの生活保護受給者数には、最大で約8倍の差が認められた。都道府県の差を説明する主な要因は、人口当たりの精神科病床数と生活保護受給者数であることが明らかになった。政策立案者は、地域差が生じる合理性を評価し、その差を小さくする施策を検討することが求められる」としている。■関連記事日本における精神科病床への新規入院患者の在院日数に関する研究統合失調症と双極性障害における退院後早期の精神科受診と再入院リスクに関する研究せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているか

20032.

新たな抗体医薬、遺伝性血管性浮腫の予防に効果/JAMA

 遺伝性血管性浮腫I/II型の患者において、26週間のlanadelumab皮下注はプラセボと比較して、発作の発生率を有意に減少したことが、米国・マサチューセッツ総合病院のAleena Banerji氏らによる第III相の無作為化二重盲検並行群プラセボ対照試験の結果、示された。遺伝性血管性浮腫の現行治療には、長期予防に関して限界がある(相当な有害事象や、頻回投与を要するなど)。lanadelumabは開発中の完全ヒトモノクローナル抗体で、血漿中カリクレインの活性を選択的に阻害する。第1b相試験において、忍容性が高く発作を減少することが示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「示された結果は、遺伝性血管性浮腫の予防治療としてlanadelumabの使用を支持するものであった。さらなる研究を行い、長期的な安全性と有効性を確認する必要がある」とまとめている。JAMA誌2018年11月27日号掲載の報告。プラセボ対照で、lanadelumabの遺伝性血管性浮腫発作の予防効果を評価 研究グループは、lanadelumabの遺伝性血管性浮腫発作の予防効果を評価するため、カナダ、欧州、ヨルダン、米国の41施設で試験を行った。被験者は、12歳以上のI型またはII型の遺伝性血管性浮腫で、4週間のrun-in期間を受けた患者、およびrun-in期間に遺伝性血管性浮腫の発作を1回以上認めた患者を適格とし、lanadelumab群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けた。さらにlanadelumab群の割り付け患者は3つの用量レジメン群(4週ごとに150mg、4週ごとに300mg、2週ごとに300mg)に1対1対1の割合で割り付けた。 無作為化は2016年3月3日~9月9日に行われ、最終フォローアップ日は2017年4月13日であった。患者は全員(4週ごと群は治療期間中プラセボ投与を含めて)2週ごとに皮下注を受けた。 主要有効性評価項目は、治療期間中の研究者が確認した遺伝性血管性浮腫発作回数であった。治療期間中、3用量群ともにプラセボ群よりも有意に発作回数が減少 125例(平均年齢40.7歳[SD 14.7]、女性88例[70.4%]、白人113例[90.4%])が無作為化を受け、113例(90.4%)が試験を完遂した。 run-in期間中の遺伝性血管性浮腫の平均発作回数は、プラセボ群で4.0回/月、lanadelumabを4週ごと150mg群は3.2回/月、同4週ごと300mg群は3.7回/月、同2週ごと300mg群は3.5回であった。 治療期間中の遺伝性血管性浮腫の平均発作回数は、それぞれ1.97回/月、0.48回/月、0.53回/月、0.26回/月であり、プラセボと比較したlanadelumab群の月当たり発作率の平均差は、4週ごと150mg群が-1.49(95%信頼区間[CI]:-1.90~-1.08、p<0.001)、同4週ごと300mg群-1.44(95%CI:-1.84~-1.04、p<0.001)、同2週ごと300mg群-1.71(95%CI:-2.09~-1.33、p<0.001)で、いずれも有意な減少が認められた。 最も頻度が高くlanadelumab群でより多く認められた有害事象は、注射部位反応(プラセボ群34.1% vs.lanadelumab群52.4%)、めまい(プラセボ群0% vs.lanadelumab群6.0%)であった。

20033.

学校全体への介入、いじめの抑制に有効/Lancet

 生徒間のいじめや攻撃行動、暴力は、最も重大な公衆衛生上の精神面の問題の1つとされる。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のChris Bonell氏らは、“Learning Together”と呼ばれる学校全体への介入により、いじめに対しては小さいものの有意な効果が得られたが、攻撃行動の改善は有意ではなかったとの研究結果を示し、Lancet誌オンライン版2018年11月22日号で報告した。Learning Togetherは、単なる教室ベースの介入ではなく、学校全体の方針やシステムの修正を目指す全校的な介入法である。修復的実践(restorative practice)を活用し、社会情動的スキル(social and emotional skills)を身に付けることで、生徒に学校環境の修正を図るよう促すという。3年後のいじめと攻撃行動を評価するクラスター無作為化試験 研究グループは、南東イングランドの中等学校において、3年間のLearning Togetherによる介入の経済および作業評価を目的に、クラスター無作為化試験「INCLUSIVE試験」を実施した(英国国立健康研究所[NIHR]の助成による)。 Learning Togetherは、修復的実践におけるスタッフの育成、学校活動グループの招集と活動の促進、生徒の社会情動的スキルに関する教育課程から成る。2014~17年に40の中等学校が登録され、Learning Togetherを行う群(20校)または標準教育を行う対照群(20校)に無作為に割り付けられた。ベースラインの生徒の年齢は11~12歳、フォローアップ終了時は14~15歳だった。 主要アウトカムは、36ヵ月時の自己申告によるいじめ被害および攻撃行動の経験であった。いじめはGatehouse Bullying Scale(GBS:他の生徒からのからかい、うわさ、仲間外れ、身体的脅威、実際の暴力などがあり、対面およびインターネットを介する場合が含まれる)、攻撃行動はEdinburgh Study of Youth Transitions and Crime(ESYTC)school misbehaviour subscaleを用いて評価した。費用は1人当たり58ポンド増加 40校で7,121例の生徒が登録され、ベースラインのデータは6,667例(93.6%、介入群:3,320例、対照群:3,347例)から、36ヵ月時のデータは7,154例中5,960例(83.3%)で得られた。 36ヵ月時の平均GBSいじめスコアは、介入群が0.29(SE 0.02)、対照群は0.34(SE 0.02)であり、補正平均差に有意差が認められ、介入群で良好であった(補正平均差:-0.03、95%信頼区間[CI]:-0.06~-0.001、p=0.0441、補正効果量:-0.08)。 36ヵ月時の平均ESYTCスコアは、介入群が4.04(SE 0.21)、対照群は4.33(SE 0.20)であり、両群間に有意な差はみられなかった(補正平均差:-0.13、95%CI:-0.43~0.18、p=0.4199、補正効果量:-0.03)。 24ヵ月時の平均GBSいじめスコア(p=0.1581)および平均ESYTCスコア(p=0.7206)には有意差はなかった。 費用については、介入群の生徒は対照群に比べ1人当たり58ポンド負担が大きかった。重篤な有害事象は、介入群が8件(自殺2件、自傷の可能性のある行為4件、刺殺事件2件)、対照群は7件(強姦の可能性のある行為6件、身体障害/長期の病気1件)発生した。 著者は、「学校全体の環境を修正することで生徒の健康を促進する介入は、小児および若者と密接に関連したリスクや、健康アウトカムへの取り組みとして最も実行性が高く、効果的な方法の1つとなる可能性がある」とまとめ、「このような介入に修復的実践を含めることで、若者のいじめや、攻撃性の高い集団の攻撃行動が低減される可能性がある」と指摘している。

20035.

BVSにまだ将来性はあるのか?(解説:上田恭敬氏)-970

 BVS(Absorb bioresorbable vascular scaffolds)とDES(Xience everolimus-eluting stent)を比較した国際多施設RCTであるABSORB IV試験の結果である。1,296例がBVS群に1,308例がDES群に割り付けられ、主要評価項目を30日でのtarget lesion failure(TLF:cardiac death、target vessel myocardial infarction、ischaemia-driven target lesion revascularisation)、主要副次評価項目を1年でのTLFと狭心症症状として非劣性が検討された。 30日でのTLFは5.0% vs.3.7%(BVS vs.DES)で非劣性が証明された。1年でのTLFは7.8% vs.6.4%(BVS vs.DES)、狭心症症状は20.3% vs.20.5%(BVS vs.DES)で非劣性が証明された。1年のステント血栓症は0.7% vs.0.3%(BVS vs.DES)と有意差はなかった。 結果からは、1年までの臨床成績はBVSとDESで同等であるということになるが、Ischaemia-driven TLRやQ-wave MIの発生頻度は有意ではない(p=0.08)もののBVSでやや多い印象がある。1年で非劣性なら長期的にはBVSが勝るだろうとの期待もあるのだろうが、やや不安の残る非劣性である。 また、「至適な方法で留置されたBVS」と記載されているが、前拡張が必要で高圧での後拡張が推奨されただけで、IVUSガイドでの至適拡張が大きく結果を改善するエビデンスが出ている現在においては、この試験のBVS留置方法およびDES留置方法が至適とは言えない。イメージングガイド下に真に至適に留置されたBVSとDESの比較がどのような結果になるかは誰にもわからないが、BVS留置早期の血管内視鏡画像を見ると、黄色病変と血栓像が見られ、Cypherステントに近い印象がある。死亡例での病理所見のみならず、生体内での各種血管内イメージングの所見を合わせて解釈し、BVSの早期血栓症の発症機序を解明して適切に対応することが、BVSの将来性を評価するためにぜひ必要と思われる。

20036.

チョコレートクッキーをあげると医学生からの講義の評価が上がる【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第128回

チョコレートクッキーをあげると医学生からの講義の評価が上がる いらすとやより使用 医学部の講義というのは、試験で医学生のことを評価するだけでなく、講師が医学生にどのように評価されているかも重要です。私は大学病院の医局に入っていないので、近くの看護学校の講義に時々赴くくらいですが、「わかりやすく伝わっているかな?」とちょっと気になります。 Hessler M, et al.Availability of cookies during an academic course session affects evaluation of teaching.Med Educ. 2018;52:1064-1072.この論文は、医学部の救急の講義に対して行われたランダム化比較試験です。どのような介入を行ったかというと、118人の医学生(医学部3年生)を20グループに分けて、そのうち10グループには500gのチョコレートクッキーを提供するという、前代未聞の研究です。10グループずつ、2人の講師が講義を担当し、全員同じ内容の講義を受けました。プライマリアウトカムは38の質問から構成された講義・講師に対する評価です。すなわち、チョコレートクッキーを与えられることによって、講師に対する医学生の評価が変化するかどうかを調べたのです。チョコレートクッキーは、ドロップクッキータイプのものを選びました。カントリーマ●ムみたいなヤツですね。アレを食べながら講義を受けられるなんてうらやましい。評価が可能だったのは112人の医学生でした。解析の結果、驚くべきことに、チョコレートクッキー群は、コントロール群と比較すると有意に講師や教材に対する評価が高かったのです(いずれもp=0.001)。総合的な評価でもチョコレートクッキー群のほうが上回っていました。この論文の考察では、チョコレートクッキー群のほうで評価が高かった理由について、「チョコレートの成分が影響を与えた」という可能性が真面目に論じられています。ジョークなのか本気なのか。クリスマスの時にBMJ誌から発表されるトンデモ論文と似たような印象を受けました。この研究はいろいろリミテーションがありそうです。医学生なら、さすがにチョコレートクッキーが出てきたら「怪しいな」と思うので、恣意的にスコアを高くつけそうな気もします。また、講師も目の前でチョコレートクッキーを食べている医学生を見ているわけですから、これも影響を及ぼしそうです。まぁ、クソ真面目に論じる内容ではないのは事実です。だからこそ、このコーナーで紹介しているわけですが(笑)。

20037.

経口アリピプラゾール前処置後の統合失調症患者における持効性注射剤の有効性

 実臨床におけるアリピプラゾール月1回投与(アリピプラゾール持効性注射剤:AOM)を使用した統合失調症治療の有効性について、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのDaniel Schottle氏らが評価を行った。BMC Psychiatry誌2018年11月14日号の報告。 本研究は、多施設プロスペクティブ非介入研究として実施された。対象は、6ヵ月間のAOM治療をモニタリングされた統合失調症患者242例(年齢:43.1±15.1歳、男性の割合:55.0%)。評価項目は、精神病理学的尺度(簡易精神症状評価尺度:BPRS)、疾病重症度尺度(臨床全般印象度-重症度:CGI-S、臨床全般印象度-改善度:CGI-I)とした。また、治療関連有害事象(TRAE)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の平均BPRS合計スコアは54.1±15.6であった。平均CGI-Sスコアは4.8±0.8であり、「顕著な精神疾患(markedly ill)」が最も高頻度に認められた(41.7%)。・経口アリピプラゾールによる前処置の平均期間は、9.7ヵ月(標準偏差[SD]:22.3)であり、平均5.9ヵ月で87.9%が臨床医より「臨床的に安定している」と判断された。・6ヵ月後の全体的なBPRSスコアの差は、-13.8(SD:16.0、95%信頼区間:-15.9~-11.7、p<0.001)であった。・高CGI-Sスコア患者が有意に減少し(p<0.001)、低CGI-Sスコア患者が有意に増加した(p<0.001)。・35歳以下の若年患者において、BPRSスコアはとくに良好な改善が認められ、CGI-Sスコアは有意な低下が認められた。・TRAEはまれであり、錐体外路症状(2.9%)および体重増加(0.4%)の発生率は低かった。 著者らは「AOM治療は、長期にわたる経口アリピプラゾールにより精神症状が改善し、臨床的に安定していると判断された外来統合失調症患者に対し、さらなる有効性が示唆された。AOMの治療効果は、これまでの無作為化比較試験での結果と同様に、実臨床においても実証される」としている。■関連記事うつ病に対するアリピプラゾール増強療法の実臨床における有効性と安全性ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響アリピプラゾール維持治療の52週RCT結果

20038.

臨床研究で患者登録増に影響を与える要素とは/BMJ

 英国・オックスフォード大学のJoanna C. Crocker氏らは、臨床試験の登録率や維持率への患者・市民参画(patient and public involvement:PPI)の影響、ならびにその影響が患者・市民参画の状況(対象患者集団、募集要件、臨床試験の介入/治療など)や特性(活性度、参画モデルなど)でどのように変化するかを調査した。システマティックレビューとメタ解析による検討の結果、とくに実際に臨床試験に参加した経験のある人が患者・市民参画に含まれている場合に、臨床試験の患者登録が改善する傾向が認められ、臨床試験における患者・市民参画の影響は大きいことが示された。著者は、「患者・市民参画に関しては、個々の状況でどのタイプが最も機能するか、費用対効果、試験計画の初期段階での影響、および維持に関する影響について評価するさらなる研究が必要である」とまとめている。BMJ誌2018年11月28日号掲載の報告。患者・市民参画の有無で臨床研究への登録率や維持率をメタ解析 研究グループは、10の電子データベース(Medline、INVOLVE Evidence Library、clinical trial registriesなど)を検索し、臨床試験への登録率や維持率に対する患者・市民参画の影響を、患者・市民参画なしまたは患者・市民参画以外の介入と比較し定量的に評価した実証研究および観察研究を特定した。患者・市民参画には、患者・市民参画と切り離せないそれ以外の要素(他の利害関係者の関与など)が加わったものも含めた。 2人の独立した研究者が、登録率および維持率、ならびに患者・市民参画の状況や特性に関するデータを抽出し、バイアスリスクを評価した。ランダム効果メタ解析により、臨床試験における登録と維持に対する患者・市民参画の平均的な影響を算出。主要解析には無作為化試験のみを組み込み、副次解析として非無作為化試験を組み込んだ解析、いくつかの探索的サブグループ解析および感度解析も行った。患者・市民参画により登録率は1.16倍 26件の研究がレビューに組み込まれた(登録に関するメタ解析19件、維持に関するメタ解析5件)。臨床試験への患者・市民参画には、関与の程度、関与する人の数やタイプ、臨床試験における一連の過程のどの段階で関与するかなど、さまざまな違いが確認された。 登録に関しては、主要解析では、患者・市民参画により被験者登録の可能性が若干ではあるものの有意に増加することが示された(オッズ比[OR]:1.16、95%信頼区間[CI]および予測区間[prediction interval]:1.01~1.34)。なお、この結果には患者・市民参画ではない介入要素が影響を与えた可能性があった。また、探索的サブグループ解析では、臨床試験に実際に参加した経験のある人が関与することが、登録の改善と有意に関連した(OR:3.14 vs.1.07、p=0.02)。 一方、維持に関しては、適格試験が少なく結論は得られなかった(主要解析のOR:1.16、95%信頼区間:0.33~4.14)。

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ADHD、同学年では早生まれの児童で診断率が高い/NEJM

 米国において、注意欠如・多動症(ADHD)の診断率と治療率は、幼稚園入園基準日を9月1日とする州では、基準日に近い同年の8月生まれの児童が、前年の9月生まれよりも高いことを、米国・ハーバード大学医学大学院のTimothy J. Layton氏らが、2007~09年に生まれた小児約40万人の調査で明らかにした。米国の大半の州では公立学校への入学基準を時期で区切っており、同学年でも誕生日が基準日に近い児童では、ほぼ1年の年齢差がある。そのため、同一学年のコホートにおいて、より年齢が低い(いわゆる早生まれ)児童は、より年齢が高い(遅生まれ)児童と比べて、年齢の違いによる行動がADHDと診断される可能性があると考えられていた。著者は、「今回の結果は、学年または学校クラス内の行動状況が、ADHDの診断に影響するという仮説と一致する」とまとめている。NEJM誌2018年11月29日号掲載の報告。同学年(9月入学)の9月生まれと8月生まれのADHD診断率と治療率を調査 研究グループは、大規模保険請求データベースの2007~15年のデータを用い、9月1日時点で5歳になっている児童は幼稚園に入園しなければならない州とそれ以外の州で、同じ学年の9月生まれ(遅生まれ)と8月生まれ(早生まれ)の児童のADHD診断率を比較した。ADHDの診断は、ICD第9版の診断コードに基づくものとした。また、同様に9月生まれと8月生まれの児童のADHD治療率を比較するために、処方記録も使用した。 解析対象は、2007~09年に米国全州で生まれた40万7,846人で、2015年12月まで追跡調査した。診断児の絶対差、入園基準日あり州21.5/1万例、なし州8.9/1万例 9月1日を基準日とする州では、保険請求で確認したADHDの診断率は、8月生まれの児童で85.1/1万例(309/3万6,319例、95%信頼区間[CI]:75.6~94.2)、9月生まれで63.6/1万例(225/3万5,353例、95%CI:55.4~71.9)であり、絶対差は21.5/1万例(95%CI:8.8~34.0)であった。一方、9月1日を基準日としない州では、絶対差は8.9/1万例(95%CI:-14.9~20.8)であった。 また、ADHDの治療率は、8月生まれの児童で52.9/1万例(192/3万6,319例、95%CI:45.4~60.3)、9月生まれで40.4/1万例(143/3万5,353例、95%CI:33.8~47.1)で、両者の絶対差は12.5/1万例(95%CI:2.43~22.4)であった。これらの差は、他の月における前月との比較では観察されず、基準日を9月1日としていない州でも観察されなかった。 また、9月1日を基準日とする州において、8月生まれと9月生まれの児童で、喘息、糖尿病、肥満の割合に有意差は確認されなかった。 なお、著者は、ADHD診断の適正や治療に関連した転帰は評価できず、メディケイド加入児童や保険未加入の児童は除外されていることなどを研究の限界として挙げている。

20040.

がん種横断的MSI検査キット保険適用

 株式会社ファルコバイオシステムズが製造販売を行う、局所進行性又は転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)がんを検出するコンパニオン診断薬「MSI検査キット(FALCO)」を用いた検査が平成30年12月1日より保険適用となった。 「MSI検査キット(FALCO)」は、局所進行性又は転移性のMSI-Highがんに対する効能・効果について製造販売承認事項一部変更承認申請中であるペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の適応を判定するためのコンパニオン診断薬。 本品は、5種類の1塩基繰り返しマーカー(プロメガパネル)を1本のチューブでPCR増幅を行い腫瘍組織のマイクロサテライト不安定性を検出するマルチプレックスPCR-フラグメント解析法を採用している。従来のマイクロサテライト不安定性検査では、腫瘍組織の泳動波形を正常組織の泳動波形と比較して判定する事が必須であったが、本品では腫瘍組織のみでの判定が可能。 さらに臨床性能試験において大腸がん以外の胃がん、子宮がん、乳がん、膵がんなどのMSI-Highの検出について確認をしており、世界で初めてのがん種横断的なコンパニオン診断薬である。 ・検査項目:マイクロサテライト不安定性検査(局所進行若しくは転移が認められた標準的な治療が困難な固形におけるマイクロサテライト不安定性検査)・保険点数:2,100 点

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