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ウパダシチニブ、中等~重症クローン病に有効/NEJM

 中等症~重症のクローン病患者において、ウパダシチニブによる寛解導入療法および維持療法はプラセボと比較し優れることが、43ヵ国277施設で実施された第III相臨床開発プログラム(2件の寛解導入療法試験「U-EXCEL試験」「U-EXCEED試験」と1件の維持療法試験「U-ENDURE試験」)の結果で示された。米国・Mayo Clinic College of Medicine and ScienceのEdward V. Loftus氏らが報告した。ウパダシチニブは経口JAK阻害薬で、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、関節症性乾癬、アトピー性皮膚炎および強直性脊椎炎に対して承認されており、クローン病治療薬としても開発中であった。NEJM誌2023年5月25日号掲載の報告。ウパダシチニブvs.プラセボ、寛解導入療法と維持療法の有効性および安全性を比較 研究グループは、中等症~重症のクローン病で18~75歳の患者を対象とし、「U-EXCEL試験」では1剤以上の既存治療または生物学的製剤で効果不十分または不耐容の患者を、「U-EXCEED試験」では1剤以上の生物学的製剤で効果不十分または不耐容の患者を、ウパダシチニブ45mg群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、1日1回12週間投与する寛解導入療法試験を行った(二重盲検期)。さらに、両試験において臨床的奏効が認められた患者は、維持療法試験「U-ENDURE試験」に移行し、ウパダシチニブ15mg、同30mgまたはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、1日1回52週間の投与を受けた。 主要エンドポイントは、寛解導入療法(12週)、維持療法(52週)のいずれにおいても、臨床的寛解および内視鏡的改善とした。臨床的寛解は、クローン病活動指数(CDAI、スコア範囲:0~600、高スコアほど疾患活動性が重症であることを示す)のスコアが150点未満と定義した。内視鏡的改善は、中央判定による簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD、スコア範囲:0~56、高スコアほど重症度が高いことを示す)が、ベースラインから50%超減少(ベースラインのSES-CDが4点の患者ではベースラインから2点以上の減少)と定義した。 U-EXCEL試験では526例、U-EXCEED試験では495例、U-ENDURE試験では502例が各群に無作為に割り付けられた。臨床的寛解、内視鏡的改善ともにウパダシチニブが有意に優れる 臨床的寛解を達成した患者の割合(ウパダシチニブ45mg群vs.プラセボ群)は、U-EXCEL試験で49.5% vs.29.1%、U-EXCEED試験で38.9% vs.21.1%、同じく内視鏡的改善は、U-EXCEL試験で45.5% vs.13.1%、U-EXCEED試験で34.6% vs.3.5%であり、プラセボ群と比較してウパダシチニブ45mg群で有意に高かった(すべての比較でp<0.001)。 また、U-ENDURE試験の52週時において、臨床的寛解を達成した患者の割合はウパダシチニブ15mg群37.3%、同30mg群47.6%、プラセボ群15.1%、同じく内視鏡的改善はそれぞれ27.6%、40.1%、7.3%であり、いずれもウパダシチニブの両用量群がプラセボ群より有意に高かった(すべての比較でp<0.001)。 安全性については、帯状疱疹の発現率は、ウパダシチニブ45mg群および30mg群がプラセボ群より高く、肝障害ならびに好中球減少症の発現率は、ウパダシチニブ30mg群が他の維持療法群より高かった。消化管穿孔が、ウパダシチニブ45mg群で4例、ウパダシチニブ30mg群ならびに15mg群で各1例に発現した。

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5月19日 IBDを理解する日【今日は何の日?】

【5月19日 IBDを理解する日】〔由来〕「世界IBDデー」に准じ、クローン病や潰瘍性大腸疾患などの「炎症性腸疾患」(IBD)への理解促進のため、IBDネットワークとアッヴィの共同で2013年に制定。関連コンテンツクローン病【希少疾病ライブラリ】潰瘍性大腸炎【希少疾病ライブラリ】IBD【診療よろず相談TV】IBDの新規経口薬ozanimod、潰瘍性大腸炎の導入・維持療法に有効/NEJM潰瘍性大腸炎患者の大腸がんリスク、時間の経過で変化?/Lancet

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第156回 コロナで収益を得た製薬企業が次々と買収発表、思わずうなる戦略とは

国際的な製薬大手企業による企業買収が再び活発化している。3月13日に米・ファイザー社ががんの抗体薬物複合体(ADC)技術を有するシージェン社を約430億ドル(約5兆7,000億円)で買収すると発表。さらに4月16日には米・メルク社もベンチャーで自己免疫疾患治療薬を手がけるプロメテウス社を約108億ドル(約1兆4,500億円)で買収すると発表した。両社が現在抱える事情はほぼ似通っている。まず、共に新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)パンデミックで特需を経験した。ファイザー社はご存じのように新型コロナワクチン(商品名:コミナティほか)、経口新型コロナ治療薬のニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)の売上が伸長した。2022年の売上高は、前年比23%増収の1,003億3,000万ドル(約13兆4,400億円)と、前年に引き続き製薬企業で世界1位となっただけでなく、製薬企業史上初の1,000億ドルプレーヤーとなった。この売上高の6割弱はコロナワクチンと治療薬で占められている。一方の米・メルク社も2022年度売上高が前年比22%増収の592億8,300万ドル。前年からの増収分の44%は、新型コロナ治療薬のモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)の売上伸長が占める。この両者のコロナ関連特需が今後急速にしぼんでいくことは確実である。実際、ファイザー社はすでに2023年通期で、コロナ関連売上高が約60%減少するとの予想を発表している。またメルク社のモルヌピラビルはニルマトレルビル/リトナビルに比べ、効果が劣ることが各種の研究で明らかにされつつあるため、治療選択肢としてのプライオリティは、今後、一層低下していくことは避けられない。さらに両社に共通するのがコロナ関連以外の主力品の特許権失効である。ファイザー社の場合、コロナ関連を除いた売上筆頭製品が抗凝固薬のアピキサバン(商品名:エリキュース)の約65億ドル(約8,700億円)。その特許権は2025~26年にかけて失効すると言われており、もう目前に迫っている。経口薬の場合、アメリカなどではジェネリック医薬品登場から半年程度で先発品市場の約7割がジェネリック医薬品に置き換わるのが一般的だ。ファイザー社にとって事態は深刻である。前述のシージェン社は現在ADC技術を利用したがん治療薬で年間20億ドル程度の売上があるため、これをファイザー社の巨大販路で売上を伸長させ、ファイザー社側としてはアピキサバンの特許権の失効に伴う急速な売上減の穴埋めにしようという腹積もりなのだろう。一方、メルク社の売上高の筆頭は、ご存じの免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の209億ドル(約2兆8,000億円)。実に現在のメルク社の総売上高の約3分の1を占める。そのペムブロリズマブのアメリカでの特許権失効見込みは2028年である。私が今回やや驚いたのはこのメルク社の買収決断である。まず、特許権の失効まではまだ5年はある。かつ、注射剤のペムブロリズマブは抗体医薬品であり、いわゆるバイオ医薬品のジェネリックは「バイオシミラー」と称されるが、経口の低分子薬に比べ、開発難易度も高い。確かにペムブロリズマブの特許権失効後は同薬のバイオシミラーが登場すると思われるが、現状はアメリカですらバイオシミラーの普及が進まず、先発品市場の20%程度しか市場を奪えていない。にもかかわらず、日本円にして1兆円を超える金額を使い、まだ市場投入製品がないプロメテウス社を買収するのは何ともすごい決断と言わざるを得ない。ただ、よくよく考えれば、この決断は一つひとつが頷けてしまう。まず、アメリカでは近年、バイオシミラーの浸透をより容易にする規制変更の動きがある。オール・オア・ナッシング的に急激な政策決定が進みやすいアメリカの特性を考えれば、今後、バイオシミラーが急速に浸透する可能性はある。また、もしペムブロリズマブの特許権失効時にバイオシミラーの市場侵食が現状の20%程度だったとしても、もともとの売上高が巨大過ぎるため、日本円換算で4,000億円ほどの売上喪失となり、メルク社はかなり打撃をこうむることになるのは確かである。その意味で、この段階から手を打つというのも方策としてはあり得る。とりわけ近年の新薬開発の所要期間、開発費、開発難易度が年々増していることを考えればなおさらだ。そしてプロメテウス社が現在開発中の新薬候補は、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患(IBD)に対する抗体医薬品。この領域は近年、市場拡大中である。この新薬候補の開発段階は現在第II相試験。今後順調に開発が進めば、3~5年後の2026~28年に上市となるはず。そうすると、ペムブロリズマブの特許権失効への備えとしては時期的にも間に合うだろう。さらにIBDのような自己免疫性疾患の抗体医薬品は、ほかの自己免疫性疾患への適応拡大が容易なことは、アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)などの例を見れば明らか。つまりプロメテウス社は今後、全世界で数千億~1兆円規模の売上高を生み出す可能性を秘めているというわけだ。たしかに不確定要素はあるものの、現状からロジカルにさまざまな想定をすると1兆円の買収は十分割に合う可能性がある。すでに四半世紀近く製薬業界を眺めている自分も、一瞬、発表内容をぎょっとして受け止めたが、中身を考えるほど久々にうならされる買収発表だった。ただ、このニュースに接して、あえて残念と思うことがあるとするならば、それは日本の製薬企業の多くが、このような大胆かつ機動的な戦略が取れないことである。

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潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法におけるetrasimodの有用性(解説:上村直実氏)

 潰瘍性大腸炎(UC)の治療に関して、基準薬である5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤に変化はないが、有害事象が危惧されているステロイドは総使用量と使用期間が可能な限り控えられるようになり、新たな生物学的製剤や低分子化合物の分子標的治療が主流になりつつある。抗TNF-α抗体薬、インターロイキン阻害薬、インテグリン阻害薬、ヤヌスキナーゼ阻害薬などの開発により難治性のUCが次第に少なくなってきているものの、いまだに十分な効果が得られない患者や副作用により治療が中断される重症患者も少なくなく、新たな治療薬の追加が求められている。 今回、ozanimodに続く2番目の低分子スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節薬であるetrasimodの活動性UCに対する有効性と安全性を示す研究結果が、2023年3月のLancet誌に掲載された。本試験の維持療法部分のデザインは、通常の導入試験において寛解できた症例を対象とするResponder re-randomisation designではなく、寛解導入試験開始時の割り付けのままで維持療法終了時まで一貫して評価するTreat through designを採用している点が特徴的であり、今後、論議される点と思われる。 本試験の主要評価項目である活動性UCの臨床的寛解導入率および寛解維持率がプラセボに比べて統計学的に有意に高いことが示されているが、実薬の寛解導入および維持率は25%ないしは33%程度であり、対象の70%くらいの症例にとっては著明な効果が得られたとはいえない結果である。すなわち、臨床現場において従来の治療に抵抗性の重症UC患者に対してetrasimodを使用しても、十分な寛解効果を得ることができない患者が多く存在することを意味している。次々と開発されている分子標的治療薬の臨床治験の結果は、ほぼ同様の寛解率が報告されており、有効性の高い新規薬剤のさらなる開発が希求されている。 一方、安全性に関して本薬剤は免疫能低下の有害事象が少なく、重篤な感染症のリスク上昇を伴う他の新規治療薬とは異なる利点を有している。さらに、UC患者に使用される薬剤は長期使用が必要であるため、今後、長期使用の有用性と安全性に関する成績が必須であり、そのためには日本でも全国的な患者データベースの構築が待たれる。 最後に、これだけ高価な分子標的治療薬が次々と出現するたびに、学会発の診療ガイドラインに新たな選択肢として追記されるが、プラセボ対照試験ではなく市販後の新規薬剤同士の試験により、実際の臨床現場で困っている患者個人個人にとって適切な生物学的製剤や低分子化合物の選択を可能とするエビデンスが必要と思われる。

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etrasimod、中等~重症の活動期UCの導入・維持療法に有効/Lancet

 開発中のetrasimodは、中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)の導入および維持療法として有効であり、忍容性も良好であることが示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のWilliam J. Sandborn氏らが、2つの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。etrasimodは、1日1回経口投与のスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体モジュレーターであり、S1P受容体サブタイプの1、4および5を選択的に活性化し(2、3は活性化しない)、UCを含む免疫系疾患の治療のために開発が進められている。今回の結果を踏まえて著者は、「etrasimodは独自の組み合わせでUC患者のアンメットニーズに応える治療オプションとなる可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年3月2日号掲載の報告。2つの試験で導入療法と維持療法としての有効性・安全性を評価 2つの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ELEVATE UC 52試験」と「ELEVATE UC 12試験」は独立して行われた。 被験者は、中等症~重症の活動期UCで、1つ以上の承認されたUC治療効果が不十分または減弱が認められる、もしくは不耐の成人患者であり、無作為に2対1の割合で、etrasimodを1日1回2mgまたはプラセボを経口投与する群に割り付けられた。ELEVATE UC 52試験の患者は40ヵ国315施設から、ELEVATE UC 12試験の患者は37ヵ国407施設から登録された。無作為化では、生物学的製剤またはJAK阻害薬の既治療有無、ベースラインでのコルチコステロイド使用有無、およびベースラインの疾患活動性(修正Mayoスコア[MMS]4~6 vs.7~9)で層別化が行われた。 ELEVATE UC 52試験は、12週の導入療法期間+40週の維持療法期間からなる治療を完了するデザインで構成された。ELEVATE UC 12試験では、12週時に独自に導入療法を評価した。 主要な有効性エンドポイントは、ELEVATE UC 52試験では12週時と52週時に、ELEVATE UC 12試験では12週時に、臨床的寛解を示した患者の割合であった。安全性は両試験で評価された。臨床的寛解を達成した患者の割合はetrasimod群で有意に高率 ELEVATE UC 52試験の患者は2019年6月13日~2021年1月28日に登録され、ELEVATE UC 12試験の患者は2020年9月15日~2021年8月12日に登録された。それぞれ821例、606例の患者がスクリーニングを受け、433例、354例の患者が無作為化を受けた。 ELEVATE UC 52試験の完全解析セットでは、etrasimod群に289例、プラセボ群に144例が割り付けられ、ELEVATE UC 12試験の同セットでは、238例、116例が割り付けられた。 ELEVATE UC 52試験で、臨床的寛解を達成した患者の割合は、12週の導入期間終了時(74/274例[27%]vs.10/135例[7%]、p<0.0001)、および52週時(88/274例[32%]vs.9/135例[7%]、p<0.0001)のいずれにおいても、プラセボ群と比較してetrasimod群で有意に高かった。 ELEVATE UC 12試験で、12週の導入期間終了時に臨床的寛解を達成した患者は、プラセボ群17/112例(15%)に対して、etrasimod群は55/222例(25%)であった(p=0.026)。 有害事象は、ELEVATE UC 52試験ではetrasimod群206/289例(71%)、プラセボ群81/144例(56%)、ELEVATE UC 12試験ではetrasimod群112/238例(47%)、プラセボ群54/116例(47%)で報告された。死亡や悪性腫瘍の報告例はなかった。

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TYK2を選択的に阻害する乾癬治療薬「ソーティクツ錠6mg」【下平博士のDIノート】第113回

TYK2を選択的に阻害する乾癬治療薬「ソーティクツ錠6mg」今回は、チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬「デュークラバシチニブ錠(商品名:ソーティクツ錠6mg、製造販売元:ブリストル・マイヤーズ スクイブ)」を紹介します。本剤は、TYK2を選択的に阻害する世界初の経口薬で、既存治療で効果が不十分であった患者や、副作用などにより治療継続が困難であった患者の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の適応で、2022年9月26日に製造販売承認を取得し、同年11月16日に発売されました。光線療法を含む既存の全身療法(生物学的製剤を除く)などで十分な効果が得られず皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ場合や、難治性の皮疹や膿疱を有する場合に使用します。<用法・用量>通常、成人にはデュークラバシチニブとして1回6mgを1日1回経口投与します。なお、本剤使用前には結核・B型肝炎のスクリーニングを行い、24週以内に本剤による治療反応が得られない場合は、治療計画の継続を慎重に判断します。<安全性>国際共同第III相臨床試験(IM011-046試験)において、本剤投与群の22.0%(117/531例)に臨床検査値異常を含む副作用が発現しました。主なものは、下痢2.6%(14例)、上咽頭炎2.4%(13例)、上気道感染2.3%(12例)、頭痛1.9%(10例)などでした。なお、重大な副作用として、重篤な感染症(0.2%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、乾癬の原因となる酵素の働きを抑えることで、皮膚の炎症などの症状を改善します。2.免疫を抑える作用があるため、発熱、寒気、体がだるい、咳が続くなどの一般的な感染症症状のほか、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの症状に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかにご相談ください。3.本剤を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹・風疹混合/単独、水痘、おたふく風邪など)の接種ができないので、接種の必要がある場合は医師にご相談ください。4.感染症を防ぐため、日頃からうがいや手洗いを行い、規則正しい生活を心掛けてください。また、衣服は肌がこすれにくくゆったりとしたものを選び、高温や長時間の入浴はできるだけ避けましょう。<Shimo's eyes>本剤は、TYK2阻害作用を有する世界初の経口乾癬治療薬です。TYK2はヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーの分子ですが、本剤のようなTYK2だけを選択的に阻害する薬剤は比較的安全に使用できるのではでないかと期待されています。乾癬の治療としては、副腎皮質ステロイドやビタミンD3誘導体による外用療法、光線療法、シクロスポリンやエトレチナート(商品名:チガソン)などによる内服療法が行われています。近年では、多くの生物学的製剤が開発され、既存治療で効果不十分な場合や難治性の場合、痛みが激しくQOLが低下している場合などで広く使用されるようになりました。現在、乾癬に適応を持つ生物学的製剤は下表のとおりです。また、同じ経口薬としてPDE4阻害薬のアプレミラスト(同:オテズラ)が「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬」の適応で承認されています。臨床試験において、本剤投与群ではアプレミラストを上回る有効性を示しており、この点が評価されて薬価算定では40%の加算(有用性加算I)が付きました。安全性では、結核の既往歴を有する患者では結核を活動化させる可能性があるため注意が必要です。また、感染症の発症、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化の懸念もあるため、症状の発現が認められた場合にはすぐに受診するよう患者さんに説明しましょう。TYK2阻害薬は自己免疫疾患に対する新規作用機序の薬剤であり、今後の期待として潰瘍性大腸炎や全身性エリテマトーデスなどの幅広い疾患に適応が広がる可能性があり、注目されています。

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潰瘍性大腸炎治療で経口投与可能なα4インテグリン阻害薬「カログラ錠120mg」【下平博士のDIノート】第107回

潰瘍性大腸炎治療で経口投与可能なα4インテグリン阻害薬「カログラ錠120mg」今回は、α4インテグリン阻害薬「カロテグラストメチル錠(商品名:カログラ錠120mg、製造販売元:EAファーマ)」を紹介します。本剤は、経口投与可能な潰瘍性大腸炎治療薬であり、新たな寛解導入療法の選択肢として期待されています。<効能・効果>中等症の潰瘍性大腸炎(5-アミノサリチル酸製剤による治療で効果不十分な場合に限る)の適応で、2022年5月25日に薬価収載され、5月30日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはカロテグラストメチルとして1回960mg(8錠)を1日3回、食後に経口投与します。8週間投与しても、臨床症状や内視鏡所見などによる改善効果が得られない場合は、本剤の継続の可否も含めて治療法を再考します。なお、本剤と同一の機序を有する他剤において、進行性多巣性白質脳症(PML)の発現が報告されています。発現リスクを低減するため、投与期間は6ヵ月までとし、6ヵ月以内に寛解に至った場合はその時点で投与を終了します。本剤による治療を再度行う場合は、投与終了から8週間以上の間隔を空けます。<安全性>第II相試験および第III相試験の併合解析において、臨床検査値異常を含む副作用は、本剤投与群259例中48例(18.5%)で報告されました。主な副作用は、上咽頭炎5例(1.9%)、白血球数増加(4例)、頭痛、血中乳酸脱水素酵素増加各3例(1.2%)、腹部不快感、肝機能異常、発疹、関節痛、発熱各2例(0.8%)などでした。なお、重大な副作用として、進行性多巣性白質脳症(頻度不明)が設定されています。本剤投与中または投与終了後に意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害などの症状が現れた場合は、MRIによる画像診断および脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行います。<患者さんへの指導例>1.本剤は、過剰な免疫反応を抑えて腸管の炎症を抑えることで、潰瘍性大腸炎の症状を改善します。2.感染症にかかりやすくなったり悪化したりする場合があります。発熱、寒気、体がだるいなどの症状が現れた場合はご連絡ください。3.痙攣、意識の低下、意識の消失、しゃべりにくい、物忘れをする、手足の麻痺などの症状が現れた場合はご連絡ください。<Shimo's eyes>潰瘍性大腸炎は慢性の炎症性疾患であり、炎症が生じて症状が現れる「活動期」と症状が治まっている「寛解期」を繰り返すため、長期に渡る薬物療法が必要です。活動期の寛解導入治療として、軽症~中等症では経口5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤が第1選択薬として広く使用されていて、効果不十分の場合は局所製剤(坐剤、注腸剤)の併用や経口ステロイド薬が用いられます。難治例では血球成分除去療法や免疫抑制薬、抗体製剤(抗TNFα抗体製剤、抗α4β7インテグリン抗体製剤、抗IL-12/23p40抗体製剤など)、あるいはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬などが選択されます。本剤は、世界初の経口投与可能なα4インテグリン阻害薬であり、α4β1インテグリン、α4β7インテグリンの双方に作用し、大腸粘膜の病変部位に認められる炎症性細胞の過度な集積・浸潤を抑制することで、潰瘍性大腸炎の症状を抑えます。5-ASA製剤による適切な治療を行っても疾患に起因する明らかな臨床症状が残る中等症の患者に投与されます。活動期の炎症を抑える寛解導入療法に用いられる薬剤であり、再燃を防ぐ維持療法としては使用できないことに注意が必要です。なお、本剤と他の免疫抑制薬の併用について臨床試験は実施されていないので併用を避ける必要があります。既存のインテグリン阻害薬としては、中等症~重症患者に使用される抗α4β7インテグリン抗体製剤のベドリズマブ点滴静注用(商品名:エンタイビオ)があります。点滴を受けることが負担となっている患者にとって、本剤は大きなメリットがあると考えられます。服薬指導では、本剤はリンパ球の遊走を阻害するため、感染症に対する免疫能に影響を及ぼす可能性があるので、感染症の兆候が現れたらすぐに連絡するように伝えましょう。1回8錠を1日3回、つまり1日24錠を服用しなければならないので、アドヒアランス低下にも注意が必要です。

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中等症以上のクローン病に対する維持療法におけるリサンキズマブの有用性:第III相試験の結果 (解説:上村直実氏)

 クローン病の治療においては、病気の活動性をコントロールして患者の寛解状態をできるだけ長く保持し、日常生活のQOLに影響する狭窄や瘻孔形成などの合併症の治療や予防が非常に重要である。最近、活動性とくに中等症から重症のクローン病に対しては、生物学的製剤により寛解導入したのち、引き続いて同じ薬剤で寛解維持に対する有用性を検証する臨床試験が多い。 今回、アジアも含めた44ヵ国で行われた国際共同試験でIL-23 p19阻害薬であるリサンキズマブの静脈内投与によりクローン病の寛解導入に有用性を示す結果を得たADVANCE試験とMOTIVATE試験において臨床効果が認められた患者を対象としてリサンキズマブ皮下投与の52週間維持療法の有効性と安全性を検証した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(FORTIFY試験)の結果が2022年5月のLancet誌に掲載された。 本研究におけるクローン病の病勢を評価する方法は先行したADVANCE試験と同じく厳密なものである。52週目の内視鏡的改善度を主要評価項目として、従来から使用されているクローン病活動指数(CDAI)と便の回数や腹痛の回数など患者の訴えに加えて炎症性バイオマーカーである高感度CRPと便中カルプロテクチンを用いている。厳密な内視鏡的な評価によって寛解維持における有用性が確認されたことは、クローン病治療で重要な寛解維持の期間をできるだけ長く保ち、生活のQOLを高めることにつながる可能性を示唆する点で重要である。今後、クローン病や潰瘍性大腸炎に対する寛解維持療法の有用性を検証する場合には臨床的寛解に加えて内視鏡検査と生検による組織学的検査および炎症性バイオマーカーが必須となると思われる。 安全性に関して炎症性腸疾患や慢性関節リウマチなど自己免疫性疾患に対する新規薬剤のリスクとして結核やB型肝炎ウイルスの再活性化が周知されつつあるが、同類の薬剤として先行してクローン病の治療に用いられているウステキヌマブの臨床治験の経過中に前立腺などのがんが認められたとの報告もあり、生物学的製剤の長期使用に関しては感染症および悪性疾患の発生には十分に注意する必要がある。

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中等症から重症のクローン病の寛解導入に対するリサンキズマブの有用性:第III相試験の結果(解説:上村直実氏)

 クローン病や潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の治療は生物学的製剤の出現により大きく変化している。しかし、中等度以上の活動性を有するクローン病症例の中には、生物学的製剤の効果が得られない患者、時間の経過と共に効果が消失する患者、あるいは副作用により治療が中断される患者が少なくなく、いまだに新たな作用機序を有する治療薬の追加が求められているのが現状である。 わが国で乾癬などに対して2019年から承認され使用されている、IL-23p19阻害薬のリサンキズマブのクローン病寛解導入に対する有用性を明らかにした第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(ADVANCE試験とMOTIVATE試験)の結果が、2022年5月のLancet誌に掲載された。この2つの試験は適格条件の違いがあるものの、従来型の治療ないしは生物学的製剤の効果が不十分であった中等度以上の活動性クローン病患者を対象としたRCTで、12週後のリサンキズマブ群の臨床的寛解率と内視鏡的奏効率がプラセボ群に比して有意に高率であり、一方、有害事象の発生率はプラセボと同等であったと報告されている。この結果は、既存の生物学的製剤を用いても寛解導入に難渋している患者に対する大きな福音と思われる。 最近、クローン病治療に関する臨床研究におけるエンドポイントは、従来のクローン病活動指数(CDAI)に加えて内視鏡的効果を主要評価とするものが主流となりつつある。すなわち、クローン病治療のパラダイムシフトを反映し、再発リスクの低減、入院率の低下、ステロイドフリーの増加、腸管切除の減少など長期的な予後の改善に関連する内視鏡的治癒を治療目標とする試験が増えている。本研究はCDAI、便の回数、腹痛スコア、および全患者の中央判定による内視鏡的評価を網羅しており、今後、評価方法のモデルとなるかもしれない。 一方、リサンキズマブの臨床的寛解率は40%であり、今後、反応性の予測因子に関する分析が重要である。IL-12とIL-23を標的とするデュアル阻害剤であるウステキヌマブと異なり、リサンキズマブはIL-23p19に対する選択的なモノクローナル抗体である。リサンキズマブの有効性と安全性を検証するために、異なる作用機序を有する他の生物学的製剤と比較する試験が必要であり、現在進行中であるリサンキズマブとウステキヌマブの効果を検討する試験(SEQUENCE、NCT04524611)の結果が注目される。

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潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法における低分子医薬品ウパダシチニブの有用性 (解説:上村直実氏)

 潰瘍性大腸炎(UC)の治療は生物学的製剤や低分子化合物の出現により大きく変化している。すなわち、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬ベドリズマブ、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のトファシチニブやフィルゴチニブなど新規薬剤の出現で難治性UCが次第に少なくなってきている。しかし、中等度以上の活動性を有するUC症例の中にはいまだに十分な効果が得られない患者や副作用により治療が中断される患者が少なくなく、次々に新たな作用機序を有する治療薬の追加が求められているのが現状である。 今回、新たな経口低分子化合物でJAK1選択的阻害薬であるウパダシチニブの中等度から重度UC患者を対象とした2本の寛解導入試験と引き続き施行された寛解維持試験の結果、UCの寛解導入および寛解維持に対するウパダシチニブの有効性と安全性が示された論文が2022年5月のLancet誌に掲載された。 本研究で特記すべきは有用性を検証した評価項目である。従来の臨床研究において病勢の推移に使用されてきたMayoスコア(排便回数、血便、内視鏡的粘膜所見、医師による全般評価)から主観性の高い医師による全般評価を除き内視鏡的所見と組織学的所見の評価に重点を置いたAdapted Mayoスコアを用いて、さらに粘膜の炎症状態を把握する高感度CRPと便中カルプロテクチンや患者の治療方針に影響する腸管切迫感や腹痛を新たに含む評価としている。客観的で厳密なアウトカムの評価は、試験結果の信ぴょう性を高くして、一般診療現場における有用性を期待できるものとなり、今後の臨床試験での評価モデルとなる可能性が示唆された。 JAK阻害薬であるウパダシチニブ、トファシチニブおよびフィルゴチニブは、わが国の一般診療で慢性関節リウマチ(RA)に対して比較的長い間使用されているが、UCやRAなど自己免疫性疾患に対する新規薬剤のリスクとして結核やB型肝炎ウイルスの再活性化はよく知られており、長期使用に関しては感染症および悪性疾患の発生には留意する必要がある。そのほか、血管血栓症や帯状疱疹の発生リスク上昇の可能性、進行性多巣性白質脳疾患(PML)の発現も報告されており、薬理作用に精通した患者管理が重要である。

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ウパダシチニブ、中等~重症の潰瘍性大腸炎に高い有効性/Lancet

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)の治療において、経口選択的ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害薬ウパダシチニブはプラセボと比較して、導入療法および維持療法として高い有効性と優れた安全性を有し、有望な治療選択肢となる可能性があることが、イタリア・University Vita-Salute San RaffaeleのSilvio Danese氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年6月4日号で報告された。3つの無作為化試験の第III相試験 本研究は、2つの導入療法試験(U-ACHIEVE substudy 2[UC1]、U-ACCOMPLISH[UC2])と、1つの維持療法試験(U-ACHIEVE substudy 3[UC3])から成る二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、UC1に39ヵ国199施設が、UC2に40ヵ国204施設が参加し、これらの試験で臨床的改善(Adapted Mayoスコアに基づく)が達成された患者を対象とするUC3には35ヵ国195施設が参加した(AbbVieの助成を受けた)。 導入療法試験では、年齢16~75歳で、少なくとも90日間が経過した中等症~重症の活動期UC患者(Adapted Mayoスコア:5~9、内視鏡サブスコア:2~3)が、ウパダシチニブ(45mg、1日1回)またはプラセボの経口投与を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。維持療法試験では、導入療法試験で8週後に臨床的改善が達成された患者が、ウパダシチニブ15mg、同30mg、プラセボの経口投与を受ける群に、1対1対1の割合で再び無作為に割り付けられ、52週の投与が行われた。 主要エンドポイントは、導入療法試験は8週後、維持療法試験は52週後の臨床的寛解(Adapted Mayoスコア≦2、Mayo排便回数サブスコア[SFS]≦1でベースラインより多くない、直腸出血スコア[RBS]=0、内視鏡サブスコア≦1で粘膜の脆弱性を伴わない)とされた。臨床的寛解:UCIは26%、UC2は33%、UC3は42%/52% UC1では、2018年10月~2020年9月の期間に、ウパダシチニブ45mg群に319例、プラセボ群に155例が、UC2では、2018年12月~2021年1月の期間に、それぞれ345例および177例が割り付けられた。UC3では、導入療法で8週後に臨床的改善が得られた451例(第IIb相試験から21例、UC1から278例、UC2から152例)が登録され、ウパダシチニブ15mg群に148例、同30mg群に154例、プラセボ群には149例が割り付けられた。 導入療法試験で臨床的寛解が達成された患者の割合は、ウパダシチニブ45mg群(UC1:26%[83/319例]、UC2:33%[114/341例])がプラセボ群(UC1:5%[7/154例]、UC2:4%[7/174例])に比べ、統計学的に有意に高かった(補正後群間差:UC1:21.6%、95%信頼区間[CI]:15.8~27.4、p<0.0001、UC2:29.0%、23.2~34.7、p<0.0001)。 また、維持療法試験で臨床的寛解が達成された患者の割合は、ウパダシチニブ群(15mg群:42%[63/148例]、30mg群:52%[80/154例])がプラセボ群(12%[18/149例])に比し、統計学的に有意に優れた(補正後群間差:プラセボ群と15mg群の比較: 30.7%、95%CI:21.7~39.8、p<0.0001、プラセボ群と30mg群の比較:39.0%、29.7~48.2、p<0.0001)。 UC1で報告の頻度が高かった有害事象は、鼻咽頭炎(ウパダシチニブ45mg群5% vs.プラセボ群4%)、クレアチンホスホキナーゼ値上昇(4% vs.2%)、ざ瘡(5% vs.1%)であった。UC2では、ざ瘡(7% vs.2%)の報告が多かった。また、2つの導入療法試験のいずれにおいても、重篤な有害事象(UC1:3% vs.6%、UC2:3% vs.5%)および投与中止の原因となった有害事象(UC1:2% vs.9%、UC2:2% vs.5%)の発現率は、ウパダシチニブ45mg群よりもプラセボ群で高かった。 UC3では、潰瘍性大腸炎の悪化(ウパダシチニブ15mg群13% vs.同30mg群7% vs.プラセボ群 30%)、鼻咽頭炎(12% vs.14% vs.10%)、クレアチンホスホキナーゼ値上昇(6% vs.8% vs.2%)、関節痛(6% vs.3% vs.10%)、上気道感染症(5% vs.6% vs.4%)の報告が多かった。また、重篤な有害事象(7% vs.6% vs.13%)と投与中止の原因となった有害事象(4% vs.6% vs.11%)の発現率は、いずれも2つの用量のウパダシチニブ群がプラセボ群に比べ低かった。 がん、中央判定による主要有害心血管イベント、静脈血栓塞栓症の報告はまれで、治療関連死はみられなかった。 著者は、「ウパダシチニブは経口投与の低分子化合物であるため、服薬順守の向上や免疫原性がないことなど、生物学的治療にさまざまな利益を付加する可能性がある」としている。

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抗TNFα抗体製剤治療中のIBD患者、2回目の新型コロナワクチン接種後の免疫応答が低下

 抗TNFα抗体製剤は、炎症性腸疾患(IBD)などの免疫介在性炎症性疾患の治療に頻繁に用いられる生物学的製剤の1つだ。これまで抗TNFα抗体製剤は、肺炎球菌やインフルエンザワクチン接種後の免疫応答を減弱させ、重篤な呼吸器感染症リスクを増加させることが知られていた。しかし、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)ワクチンに対するデータは不足していた。英国・Royal Devon and Exeter NHS Foundation TrustのSimeng Lin氏らは、インフリキシマブ(抗TNFα抗体製剤)またはベドリズマブ(腸管選択的抗α4β7インテグリン抗体製剤)で治療中のIBD患者において、2回目の新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体濃度やブレークスルー感染の頻度を比較した。Nature Communications誌2022年3月16日号の報告。 研究グループは、2020年9月22日~12月23日の間に、英国の92医療機関に来院したIBD患者7,226例を連続して登録した。そのうち新型コロナウイルス感染歴のないインフリキシマブ治療中の2,279例とベドリズマブ治療中の1,031例を対象とした。被験者はファイザー製BNT162b2ワクチン、アストラゼネカ製ChAdOx1 nCoV-19ワクチンのいずれかを接種し、2回目のワクチン接種から14~70日後に抗体が測定された。 主な結果は以下のとおり。・2回目のBNT162b2ワクチン接種後、インフリキシマブ治療群はベドリズマブ治療群と比べて抗SARS-CoV-2スパイク(S)受容体結合ドメイン(RBD)抗体の幾何平均濃度(SD)が低く、半減期が短かった(566.7 U/mL[6.2]vs.4,555.3 U/mL[5.4]、p<0.0001、26.8日[95%CI:26.2~27.5]vs.47.6日[45.5~49.8]、p<0.0001)。・ChAdOx1 CoV-19ワクチンでも同様に、インフリキシマブ治療群はベドリズマブ治療群と比べて抗S RBD抗体の幾何平均濃度が低く、半減期が短かった(184.7 U/mL[5.0]vs.784.0 U/mL[3.5]、p<0.0001、35.9日[34.9~36.8]vs.58.0日[55.0~61.3]、p<0.0001)。・新型コロナウイルスのブレークスルー感染は、インフリキシマブ治療群はベドリズマブ治療群と比べて頻度が高かった(5.8%[201/3,441]vs.3.9%[66/1,682]、p=0.0039)。・ワクチン接種前に新型コロナウイルス感染歴がある患者では、治療薬にかかわらず、より高く持続した抗体レベルが認められた。 著者らは「抗TNFα抗体製剤で治療中の、リスクを有する患者においては、個々に適したワクチン接種スケジュールの検討が必要な可能性がある」と述べた。

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潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法における低分子医薬品ozanimodの有用性(解説:上村直実氏)

 選択的スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬ozanimodの潰瘍性大腸炎(UC)に対する有用性を検証した第III相臨床試験の結果、中等度から重度UCの寛解導入および寛解維持に有効性を認めたことがNEJM誌に掲載された。選択的S1P受容体調整薬ozanimodはUC患者の大腸粘膜へのリンパ球の浸潤を抑えることで炎症を抑制する効果が期待されている新規の低分子医薬品である。UCは特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、現在の患者数は約18万人である。UCに対する薬物治療については、5-ASA製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物学的製剤が使用されているが、最近、ステロイドの長期投与に伴う副作用や依存性の懸念が強まり、ステロイドからの離脱や減量を目的として生物学的製剤や低分子医薬品の開発が盛んに行われている。すなわち、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬vedolizumab、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬フィルゴチニブ、今回のozanimodなど新規薬剤の有用性を示す試験結果が報告されて次々と上市されている。今後、さらなる難治性のUCに対しては生物学的製剤と低分子医薬品の併用の有用性と安全性の検証が必要となることも予測される。 ozanimodを含めてUCに対する有用性と安全性を検証する臨床試験の研究デザインは国際間多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験でほぼ一致しているが、最近のアウトカムは、一昔前の下痢や血便回数などの臨床的改善度のみでなく内視鏡を用いた肉眼的な粘膜治癒に加えて生検組織に好中球浸潤を認めないといった厳密なものに代わっている。したがって、試験結果の信憑性は高く、一般診療現場における有用性も十分に期待できるようになっている。 一方、薬剤の効果があればあるほど副作用ないしは安全性に関しては注意が必要となる。UCやリウマチなど自己免疫性疾患に対する新規薬剤のリスクとして結核やB型肝炎ウイルスの再活性化はよく知られているが、まれなものとして重篤なウイルス性脳疾患である進行性多巣性白質脳疾患(PML)の発現も報告されている。さらに市販後数年経過して心血管血栓症や死亡リスクの上昇が判明した事案の報告もあり、観察期間が限定されている臨床試験では検証できない長期使用の安全性については市販後に注意深く検証されるべきであり、今後、市販後の長期安全性に関する精緻な検証体制が重要である。

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IBDの新規経口薬ozanimod、潰瘍性大腸炎の導入・維持療法に有効/NEJM

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)患者に対する導入および維持療法として、新規経口薬として開発中のozanimodはプラセボと比較して、より有効であることが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のWilliam J. Sandborn氏らによる、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果、示された。ozanimodは、選択的スフィンゴシン-1-リン酸受容体調整薬で、炎症性腸疾患(IBD)の治療薬として開発が進められている。NEJM誌2021年9月30日号掲載の報告。中等症~重症の活動期UC患者を対象にozanimodとプラセボを比較 研究グループは中等症~重症の活動期UC患者を対象に、10週間の導入期間において、コホート1ではozanimod群(ozanimod塩酸塩1mg[ozanimod 0.92mg相当])またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日1回経口投与し、コホート2では非盲検下でozanimod(コホート1と同用量)を投与した。10週時点で、各コホートにおいてozanimodに対し臨床的反応を示した患者をozanimod群またはプラセボ群に再び無作為に割り付け、二重盲検下で52週間まで(維持期間)投与した。 両期間の主要評価項目は、臨床的寛解率として、3項目(直腸出血、排便頻度、内視鏡)のMayoスコアで評価した。主要な副次評価項目は、臨床的反応、内視鏡的改善、組織学的治癒とし、階層的検定を行った。安全性についても評価した。臨床的寛解率は導入期18.4% vs.6.0%、維持期37.0% vs.18.5% 導入期間において、コホート1に645例、コホート2に367例が割り付けられ、計457例が維持期間に再び割り付けられた。 臨床的寛解率は、導入期間でozanimod群18.4%(79/429例)vs.プラセボ群6.0%(13/216例)(p<0.001)、維持期間でそれぞれ37.0%(85/230例)vs.18.5%(42/227例)(p<0.001)であり、両期間においてozanimod群がプラセボ群と比較して有意に高かった。 臨床的反応率も、導入期間(47.8% vs.25.9%、p<0.001)および維持期間(60.0% vs.41.0%、p<0.001)のいずれにおいてもozanimod群がプラセボ群より有意に高率であった。その他のすべての副次評価項目も、両期間においてozanimod群がプラセボ群より有意に改善した。 安全性については、ozanimod群の感染症(あらゆる重症度)発生率がプラセボ群と比較し、導入期間では同程度、維持期間では増加した。重篤な感染症の発生率は、52週の試験期間を通していずれの群も2%未満であった。肝アミノトランスフェラーゼ値の上昇は、ozanimod群で多くみられた。 なお、著者は、日常診療での幅広い患者集団においては結果が異なる可能性があること、長期データが不足していることなどを挙げて結果は限定的だとしている。現在、非盲検延長試験が進行中である。

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超加工食品の高摂取で炎症性腸疾患のリスク大/BMJ

 超加工食品の摂取量増加は、炎症性腸疾患(IBD)のリスク増加と関連していることが、前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)」で明らかとなった。カナダ・マックマスター大学のNeeraj Narula氏らが報告した。IBDは先進国で多くみられ、食事などの環境因子が影響していると考えられている。しかし、添加物や保存料を含む超加工食品の摂取とIBDとの関連性についてのデータは限られていた。著者は、「今後はさらに、超加工食品中の寄与因子を特定するための研究が必要である」とまとめている。BMJ誌2021年7月14日号掲載の報告。35歳以上の約11万6千例で超加工食品摂取とIBD発症の関連を評価 研究グループは、PURE研究のうち欧州・北米、南米、アフリカ、中東、東アジア、東南アジアおよび中国の7地域における、低・中・高所得国を含む21ヵ国のデータを用いて評価した。 解析対象は、2003年1日1日~2016年12月31日に登録され、ベースラインの食物摂取量調査(各国で検証済みの食物摂取頻度調査票を使用)ならびに、3年ごとの前向き追跡調査を少なくとも1サイクル完遂している、35~70歳の成人11万6,087例である。 主要評価項目は、クローン病や潰瘍性大腸炎を含むIBDの発症とした。Cox比例ハザードモデルを用い、超加工食品とIBDリスクとの関連についてハザード比(HR)およびその95%信頼区間(CI)を算出した。超加工食品の摂取量増加で、IBDリスクが約1.7~1.8倍に上昇 追跡期間中央値9.7年(四分位範囲:8.9~11.2)において、解析対象11万6,087例中467例がIBDを発症した(クローン病90例、潰瘍性大腸炎377例)。潜在的な交絡因子で補正後、超加工食品の摂取量が多いほどIBDの発症リスクが高いことが認められた(1日1サービング未満と比較した1日5サービング以上のHR:1.82[95%CI:1.22~2.72]、同1日1~4サービングのHR:1.67[95%CI:1.18~2.37]、傾向のp=0.006)。 清涼飲料水、精製甘味料入り食品、塩分の多いスナック菓子、加工肉などの超加工食品のさまざまなサブグループで、IBDのリスク上昇との関連が認められた。結果はクローン病と潰瘍性大腸炎で一貫しており、異質性は低かった。 一方、白身肉、赤身肉、乳製品、でんぷん、果物、野菜、豆類の摂取量は、IBD発症と関連していなかった。 なお、著者は、参加者の年齢が35~70歳であったためクローン病の発症例が少数であったこと、小児や若年成人でIBDを発症した患者に一般化できるかは不明であること、経時的な食事の変化は考慮されていないこと、観察研究の特性上バイアスが残存している可能性があること、などを研究の限界として挙げている。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(消化管)

第1回 ピロリ菌感染症関連第2回 消化管悪性腫瘍第3回 消化管出血 腹部緊急疾患第4回 消化管機能性疾患第5回 感染症 炎症性腸疾患第6回 遺伝性疾患 好酸球性胃腸症 内分泌 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医11名を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。消化器の消化管については、公立豊岡病院の宮垣亜紀先生がレクチャー。消化管は内視鏡画像の診断がポイント。豊富な症例画像を使って、頻出の内視鏡検査問題を徹底的にトレーニングします。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 ピロリ菌感染症関連消化管は、内視鏡画像診断がポイント。非専門医にとっては普段見慣れない内視鏡画像ですが、試験に出題される疾患はある程度絞られているので、それを押さえれば攻略できます。第1回は、胃十二指腸潰瘍や胃がんのリスクとなるヘリコバクター・ピロリ菌。ピロリ菌に起因する疾患は、胃がんや潰瘍だけではありません。ピロリ菌感染関連疾患は、内視鏡で胃炎を証明し、ピロリ菌を証明するための各種検査も覚えておくことが重要です。第2回 消化管悪性腫瘍消化管悪性腫瘍には、胃がん、大腸がん、食道がん、消化管間質腫瘍GISTがありますが、共通して問われやすいのは、リスクファクター、内視鏡所見の診断、疾患に関する知識です。胃がんは内視鏡所見から深達度と組織型を診断し、内視鏡的粘膜下層剥離術の適応を判断。近年のトピックスとして、バレット食道がんの報告が増えています。粘膜下腫瘍の形態をとるGISTは、どの消化管でも起こりえます。超音波内視鏡やCTで診断します。第3回 消化管出血 腹部緊急疾患消化管出血と、試験に出題されやすい腹部緊急疾患について、身体所見、検査、治療を整理します。上部消化管出血の中でも緊急性が高いのは静脈瘤出血。静脈瘤結紮術で治療します。下部消化管出血で最もコモンな疾患は虚血性腸炎と大腸憩室出血。X線・CTで特徴的な画像所見を示すS状結腸軸捻転。腸閉塞とイレウスは概念を混同しないように注意。生の海産物を摂取した後の激烈な腹痛はアニサキス症を疑います。第4回 消化管機能性疾患機能性疾患の中でもよく出題される食道アカラシア。見た目ではっきりわかる腫瘍があるわけではないので、内視鏡検査では見つかりにくく、食道造影やマノメトリーという検査が有用です。新たな治療法として、経口内視鏡的括約筋切開術POEMが注目されています。機能性ディスペプシアと過敏性腸症候群は器質的疾患の除外が重要。胃食道逆流症にはびらん性と非びらん性があり、同じ薬剤でも効果に差があります。第5回 感染症 炎症性腸疾患多岐にわたる腸管感染症から、感染性腸炎、アメーバ性大腸炎、抗菌薬起因性腸炎について解説します。感染性腸炎は、抗菌薬が必要な状況の見極めがポイント。内視鏡的所見が特徴的なアメーバ性大腸炎。潰瘍の周囲にタコいぼ様びらんが見られます。日常臨床でもよくある潰瘍性大腸炎は、重症度に応じて薬剤か手術を選択。非連続性の全層性の肉芽腫性炎症が起きるクローン病は、狭窄を考慮しながら適した画像検査を選択します。第6回 遺伝性疾患 好酸球性胃腸症 内分泌好酸球性消化管疾患は、原因がまだ明らかになっていないアレルギー疾患です。遺伝性疾患では、大腸にポリープが多発する家族性腺腫性ポリポーシスは、放置するとがん化するため、大腸全摘が必要です。Peutz-Jeghers症候群は過誤腫性ポリープで、こちらはほとんどがん化しません。毛細血管拡張の画像所見が特徴的なオスラー病も覚えておきましょう。消化管内分泌のトピックスとして、神経内分泌腫瘍のガストリノーマについて確認します。

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JAK阻害薬フィルゴチニブ、潰瘍性大腸炎の寛解導入・維持に有効(解説:上村直実氏)

 潰瘍性大腸炎(UC)は特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、最近の全国調査によると18万人以上の患者が存在している。UCに対する薬物治療については、寛解導入および寛解維持を目的として5-ASA製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物学的製剤が使用されている。なかでも生物学的製剤については、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬ベドリズマブ、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬など、異なる作用機序を有する分子標的薬が次々と開発され、それぞれの臨床試験結果が報告されている。なお、本邦のIBD診療ガイドライン2020において、血球成分除去療法や生物学的製剤の適応はステロイド依存例で免疫調節薬も効果のない患者やステロイド抵抗性の患者に限定されている。さらにJAK阻害薬と免疫調節薬チオプリン製剤との併用が原則禁忌となっている。 今回は中等度から重度の難治性UCを有する成人患者を対象として、10週間での寛解導入と58週間の寛解維持に対するJAK阻害薬フィルゴチニブの有効性と安全性に関する、第III相臨床試験(SELECTION試験)の結果がLancet誌に報告された。わが国では慢性関節リウマチ(RA)に対して承認されている経口剤フィルゴチニブが、TNF阻害薬やベドリズマブの治療歴の有無にかかわらず、難治性UCの寛解導入と寛解維持においてプラセボに比べて有意な有効性と同等の安全性を示したとされている。 今回の研究結果から、フィルゴチニブはステロイド依存性や抵抗性の難治性UCに対して有用性の高い経口治療薬として期待される。しかし、わが国においてRAに対して保険承認されている5種類のJAK阻害薬の中で唯一UCに対して保険適用を得ているトファシチニブに関しては、RA患者を対象とした安全性臨床試験の予備結果において、TNF阻害薬や低用量トファシチニブと比べて高用量のトファシチニブが心血管血栓イベントと死亡のリスク上昇を認めた結果、FDAにより慎重な使用に関する警告が発出されている。同じJAK阻害薬であるフィルゴチニブに関してもRAに加えてUCの適応が追加された場合、一般診療現場における長期間のリスクに注意した慎重な使用が必要と思われる。

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フィルゴチニブ、潰瘍性大腸炎の寛解導入・維持に有効/Lancet

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者の治療において、JAK阻害薬フィルゴチニブ(200mg)は、忍容性が良好で、プラセボと比較して寛解導入療法および寛解維持療法における臨床的寛解の達成割合が高いことが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBrian G. Feagan氏らが実施した「SELECTION試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年6月3日号で報告された。生物学的製剤治療歴の有無別の寛解導入療法と、維持療法を評価 研究グループは、潰瘍性大腸炎の治療におけるフィルゴチニブの有効性と安全性を評価する目的で、2つの寛解導入療法試験と1つの寛解維持療法試験から成る二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb/III相試験を行った(米国・Gilead Sciencesの助成による)。本試験には、日本を含む40ヵ国341施設が参加し、2016年11月~2020年3月の期間に患者登録が行われた。 対象は、年齢18~75歳で、試験登録時に中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎の発症から6ヵ月以上が経過していた患者であった。参加者は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害療法およびベドリズマブによる治療歴の有無で、生物学的製剤治療を受けていない患者(導入試験A)と、同治療を受けている患者(同B)に分けられた。 被験者は、各導入試験でそれぞれフィルゴチニブ100mg、同200mgまたはプラセボを、1日1回、11週間経口投与する群に、2対2対1の割合で無作為に割り付けられた。10週時に、いずれかの導入試験で臨床的寛解またはMayo Clinic Score(MCS)で奏効を達成した患者が、11週時に維持試験として導入療法と同じ用量またはプラセボ(各用量で個別にプラセボ群を設定)を58週まで継続投与する群に、2対1の割合で再無作為化された。 主要エンドポイントは、10週および58週の時点での臨床的寛解(Mayo内視鏡所見、直腸出血、排便回数のサブスコアで評価)とされた。導入試験と維持試験を通じてプラセボの投与を受けた患者は、維持試験の最大の解析対象集団(FAS)には含まれなかった。 導入試験Aには659例が登録され、フィルゴチニブ100mg群に277例(平均年齢42歳、女性43.3%)、同200mg群に245例(42歳、49.8%)、プラセボ群に137例(41歳、36.5%)が割り付けられた。また、導入試験Bには689例が登録され、それぞれの群に285例(43歳、34.7%)、262例(43歳、43.5%)および142例(44歳、39.4%)が割り付けられた。100mg群も、58週時には有意に良好 10週以内に、導入試験Aで34例、同Bで54例が試験薬の投与を中止した。10週時の有効性評価後に、664例(導入試験A:391例、同B:273例)が維持試験に登録された。93例が、導入試験でプラセボにより臨床的寛解を達成し、維持試験でもプラセボの投与を継続した。 導入試験の100mg群のうち270例が臨床的寛解またはMCS奏効を達成し、このうち維持試験の100mg群に179例、プラセボ群に91例が無作為化された。また、導入試験の200mg群の臨床的寛解またはMCS奏効達成例301例のうち、維持試験の200mg群に202例、プラセボ群に99例が無作為化された。263例が、維持試験期間中に投与を中止した。 10週時の臨床的寛解の達成率は、導入試験AおよびBのいずれにおいても、200mg群がプラセボ群よりも有意に良好であった(A:26.1% vs.15.3%[群間差:10.8%、95%信頼区間[CI]:2.1~19.5、p=0.0157]、B:11.5% vs.4.2%[7.2%、1.6~12.8、p=0.0103])。 維持試験における58週時の臨床的寛解の達成率は、200mg群が37.2%と、プラセボ群の11.2%に比べ有意に優れた(群間差:26.0%、95%CI:16.0~35.9、p<0.0001)。 一方、100mg群では、10週時の臨床的寛解の達成率にプラセボ群との差はなかった(19.1% vs.15.3%、群間差:3.8%、95%CI:-4.3~12.0、p=0.3379)が、58週時は有意に高率であった(23.8% vs.13.5%、10.4%、0.0~20.7、p=0.0420)。 重篤な有害事象および注目すべき有害事象の発現は、各群で同程度であった。重篤な有害事象は、導入試験では100mg群で5.0%(28/562例)、200mg群で4.3%(22/507例)、プラセボ群で4.7%(13/279例)に認められた。維持試験における重篤な有害事象は、100mg群で4.5%(8/179例)、100mg群に対応するプラセボ群で7.7%(7/91例)、200mg群で4.5%(9/202例)、200mg群対応プラセボ群で0%(0/99例)であった。また、2つの導入試験で死亡例の報告はなかった。維持試験中に2例が死亡したが、いずれも試験薬との関連はなかった。 著者は、「本薬は、生物学的製剤による治療歴の有無を問わず、中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者の新たな治療選択肢となる可能性がある」としている。

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潰瘍性大腸炎、患者の90%が持つ自己抗体を発見/京大

 潰瘍性大腸炎(UC)は、その発症に免疫系の異常が関連していると考えられているが、原因はいまだ解明されておらず、国の指定難病となっている。京都大学・塩川 雅広助教らの研究グループは3月9日、潰瘍性大腸炎患者の約90%に認められる新たな自己抗体を発見したことを発表した。現在、この自己抗体を測定する検査キットを企業と共同開発中。Gastroenterology誌オンライン版2021年2月12日号に掲載。潰瘍性大腸炎患者の大多数はインテグリンαVβ6に対する自己抗体を持っていた 本研究は、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者165例が登録された。潰瘍性大腸炎は、症状、内視鏡所見、組織学的所見、および代替診断の欠如の組み合わせによって診断。血清サンプルは、2017年7月~2019年11月までに京都大学医学部附属病院で採取され、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者155例が、それぞれトレーニング群と検証群に分けられた。 23の組換えインテグリンタンパク質を使用して、潰瘍性大腸炎患者と対照患者の血清に対して酵素免疫測定法を実施した。また、結腸組織におけるインテグリン発現とIgG結合を、それぞれ免疫蛍光抗体法と共免疫沈降法を使用し、自己抗体の遮断活性は、細胞接着アッセイを使用して調べた。 潰瘍性大腸炎患者の抗体を調べた主な結果は以下のとおり。・スクリーニングにより、潰瘍性大腸炎患者はインテグリンαVβ6に対するIgG抗体を持っていることが明らかになった。両群では、潰瘍性大腸炎患者の92.0%(103/112例)と対照患者の5.2%(8/155例)が抗インテグリンαvβ6抗体を持っていた(p<0.001)。・潰瘍性大腸炎に対する抗インテグリンαVβ6のIgG自己抗体における感度は92.0%、特異度は94.8%だった。・抗インテグリンαVβ6抗体価は、疾患の重症度と一致し、IgG1が主要なサブクラスだった。・免疫蛍光法により、結腸上皮細胞におけるインテグリンαVβ6タンパクの発現が示され、免疫沈降法が、潰瘍性大腸炎患者の結腸粘膜におけるインテグリンαVβ6へのIgG結合を明らかにした。潰瘍性大腸炎患者のIgGは、インテグリンαVβ6-フィブロネクチンの結合を阻害した。 研究者らは、「潰瘍性大腸炎患者の大多数はインテグリンαVβ6に対する自己抗体を持っていた。これは、高い感度と特異性を備えた潜在的な診断バイオマーカーとして役立つ可能性がある」と結論している。

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